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Title:
SEMICONDUCTOR DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURING SAID DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116283
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a semiconductor device comprised of a channel layer of a nitrogen-containing Group 3 - 5 compound semiconductor, an electron supply layer which supplies electrons to the channel layer and has a trench in the surface opposite the surface facing the channel layer, a p-type semiconductor layer formed in the trench of the electron supply layer, and a control electrode formed adjacent to the p-type semiconductor layer or formed as an intermediate layer in the p-type semiconductor layer. For example, the channel current density increases while a GaN field effect transistor, which is the semiconductor device, is operated as normally off.

Inventors:
SAZAWA HIROYUKI (JP)
NISHIKAWA NAOHIRO (JP)
KURITA YASUYUKI (JP)
HATA MASAHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001209
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
SAZAWA HIROYUKI (JP)
NISHIKAWA NAOHIRO (JP)
KURITA YASUYUKI (JP)
HATA MASAHIKO (JP)
International Classes:
H01L21/338; H01L21/28; H01L21/336; H01L21/337; H01L29/12; H01L29/423; H01L29/49; H01L29/778; H01L29/78; H01L29/808; H01L29/812
Foreign References:
JP2007294528A2007-11-08
JP2006190991A2006-07-20
JPH04247628A1992-09-03
Attorney, Agent or Firm:
HAYASHI, SHIGENORI (JP)
Shigenori Hayashi (JP)
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Claims:
 3-5族化合物半導体のチャネル層と、
 前記チャネル層にキャリアを供給し、前記チャネル層に対向する面の反対面に溝部を有するキャリア供給層と、
 前記キャリア供給層の前記溝部に形成され、前記キャリアが示す伝導型とは逆の伝導型を示す半導体層と、
 前記半導体層の上に設けられた制御電極と、
 を含む半導体装置。
 前記半導体層は、窒素を含む3-5族化合物の半導体層である、
 請求項1に記載の半導体装置。
 前記半導体層は、InGaN層、AlGaN層またはGaN層である、
 請求項2に記載の半導体装置。
 前記半導体層は、
  Al x Ga 1-x N、ただし、0≦x≦0.5、
 である、
 請求項3に記載の半導体装置。
 前記制御電極は、前記半導体層との間に絶縁層を介して形成されている、
 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の半導体装置。
 前記絶縁層は、SiO x 、SiN x 、SiAl x O y N z 、HfO x 、HfAl x O y 、HfSi x O y 、HfN x O y 、AlO x 、AlN x O y 、GaO x 、GaO x N y およびTaO x 、TiN x O y から選択された少なくとも1つの絶縁性化合物を有する層である、
 請求項5に記載の半導体装置。
 前記キャリア供給層を覆い、前記溝部の開口に一致する開口部を有するパッシベーション層、をさらに備えた、
 請求項1から請求項6の何れか一項に記載の半導体装置。
 前記キャリア供給層は、前記チャネル層と格子整合または擬格子整合し、
 前記半導体層は、前記キャリア供給層と格子整合または擬格子整合する、
 請求項1から請求項7の何れか一項に記載の半導体装置。
 前記チャネル層は、窒素を含む、
 請求項1から請求項8の何れか一項に記載の半導体装置。
 前記チャネル層は、GaN層、InGaN層またはAlGaN層であり、
 前記キャリア供給層は、AlGaN層、AlInN層またはAlN層である、
 請求項9に記載の半導体装置。
 前記制御電極は、Ni、Al、Mg、Sc、Ti、Mn、Ag、Sn、PtおよびInから選択された少なくとも1つの金属を有する、
 請求項1から請求項10の何れか一項に記載の半導体装置。
 前記キャリアは電子である
 請求項1から請求項11の何れか一項に記載の半導体装置。
 3-5族化合物半導体のチャネル層にキャリアを供給するキャリア供給層の表面に、溝部を形成する段階と、
 前記キャリア供給層の前記溝部に、前記キャリアが示す伝導型とは逆の伝導型を示す半導体層を形成する段階と、
 前記半導体層を形成した後に、制御電極を形成する段階と、
 を含む半導体装置の製造方法。
 前記キャリア供給層を覆うパッシベーション層を形成する段階と、
 前記溝部が形成される領域の前記パッシベーション層に開口部を形成する段階と、
 をさらに備え、
 前記キャリア供給層の表面に溝部を形成する段階は、前記パッシベーション層の前記開口部に露出した前記キャリア供給層をエッチングして、前記溝部を形成する段階である、
 請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
 前記半導体層を形成する段階は、前記パッシベーション層の前記開口部に露出した前記キャリア供給層に、前記半導体層となるエピタキシャル層を選択的に成長させる段階である、
 請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
 前記キャリア供給層の表面に溝部を形成する段階は、
 前記キャリア供給層の一部を覆うマスクを形成する段階と、
 前記マスクで覆った領域以外の前記キャリア供給層に、さらにキャリア供給層を形成する段階と、
 前記マスクを除去する段階と、
 を有する段階である請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
 前記半導体層は、窒素を含み、
 前記チャネル層は、窒素を含む、
 請求項13から請求項16の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
Description:
半導体装置および半導体装置の 造方法

 本発明は、半導体装置および半導体装置 製造方法に関する。本発明は、特に、窒化 リウム等の窒素を含む3-5族化合物半導体を いたヘテロ接合電界効果トランジスタ等の 導体装置およびその製造方法に関する。

 窒化ガリウム系のへテロ接合電界効果ト ンジスタは、高周波の動作が可能で、かつ 電力での使用が可能なスイッチング素子と ての用途が期待されている。たとえば、n形 AlGaNと真性GaNとの界面に生成される二次元ガ (2DEG)をチャネルに用いるデバイスが、AlGaN/G aN-HEMT(高電子移動度トランジスタ)として実用 化されている。AlGaN/GaN-HEMTに求められる特性 して、ゲートに電圧を印加しない状態でも ース・ドレイン間がハイインピーダンスに るノーマリオフ形、つまりエンハンスメン モードでの動作が可能なことがある。これ より、単極性電源での動作、低消費電力等 実現できる。

 エンハンスメントモードでのトランジスタ 作を実現することを目的として、たとえば ート領域の電子供給層(AlGaN/GaN-HEMTの場合のA lGaN層)の厚みを他の領域に比較して薄く形成 るリセス(溝部)を有する構造が知られてい 。たとえば、非特許文献1には、ドライエッ ングによりAlGaN層にゲートリセス構造を形 したノーマリオフ形のAlGaN/GaNトランジスタ 開示されている。
R.Wang他著、「Enhancement-Mode Si3N4/AlGaN/GaN M ISHFETs」、IEEE Electron Device Letters,Vol.27,No.10、 2006年10月、793~795頁

 AlGaN層の一部に溝部を形成することによ 、溝部領域に対向する2DEG領域の電子濃度を 下させ、AlGaN層/GaN層界面の2DEGの一部を空乏 化できる。これによりゲート電圧を印加しな い状態においてもチャネルが遮断された状態 を実現でき、その結果、トランジスタのソー ス・ドレイン間がハイインピーダンスになる ノーマリオフ形の状態を実現できる。ゲート 電極に電圧を印加して、溝部領域に対向する 2DEG領域に電子が誘起されれば、チャネルが 通してエンハスメントモードの動作が実現 れる。

 しかし、非特許文献1に記載のトランジス タでは、チャネル電流の電流密度を充分に大 きくできない課題があることを本発明者は見 出した。すなわち、電子供給層(AlGaN層)の溝 の厚みを薄くしてエンハンスメントモード 実現できる一方、溝部の底面には結晶の不 全性に起因する中間準位が存在する。ゲー 電極に印加される電圧により当該中間準位 電子が充電されると、充電された電子は2DEG 形成する電子と反発するので、チャネル抵 を増大させ、チャネルの電流密度を低下さ る。スイッチ素子用途では、+1V~+3V程度の比 較的高い閾値での動作が要請されるが、前記 したチャネル電流密度の低下の結果、+2V程度 の閾値であっても、実用に耐える程度の低い 素子抵抗を実現できない問題がある。

 溝部底部の空間電荷による電流密度の低 は、溝部を2DEG領域から遠ざける、つまり溝 部深さを小さくすることにより、ある程度の 対策にはなり得る。しかし、溝部深さを小さ くすることはゲート閾値を負側にシフトさせ るので、ノーマリオフを実現できなくなる。 つまり、チャネルの電流密度を増加させるこ ととノーマリオフの実現(ゲート閾値の増加) はトレードオフの関係にあり、スイッチン 素子の性能を向上させるには限界があった

 また、非特許文献1に記載のトランジスタ では、チャネル領域の溝部内部にゲートリー クの低減を目的とする絶縁膜が形成される。 このため溝部底面のソース端およびドレイン 端にはゲート電圧によって制御され難い空乏 部が残り、この空乏部が導通時においても寄 生抵抗として作用して、チャネルの電流密度 を低下させる問題があった。

 上記課題を解決するために、本発明の第1 の形態においては、3-5族化合物半導体のチャ ネル層と、前記チャネル層にキャリアを供給 し、前記チャネル層に対向する面の反対面に 溝部を有するキャリア供給層と、前記キャリ ア供給層の前記溝部に形成され、前記キャリ アが示す伝導型とは逆の伝導型を示す半導体 層と、前記半導体層の上に設けられた制御電 極と、を含む半導体装置を提供する。あるい は、窒素を含む3-5族化合物半導体のチャネル 層と、前記チャネル層に電子を供給する電子 供給層であって前記チャネル層に対向する面 の反対面に溝部を有する電子供給層と、前記 電子供給層の前記溝部に形成されたp形半導 層と、前記p形半導体層と接して形成された または、前記p形半導体層との間に中間層を 介して形成された制御電極と、を備えた半導 体装置を提供する。

 第1の形態において、前記半導体層は、窒素 を含む3-5族化合物の半導体層であってよい。 前記半導体層は、InGaN層、AlGaN層またはGaN層 あってよい。前記半導体層は、Al x Ga 1-x N、ただし、0≦x≦0.5、であってよい。前記制 御電極は、前記半導体層との間に絶縁層を介 して形成されてよい。前記絶縁層は、SiO x 、SiN x 、SiAl x O y N z 、HfO x 、HfAl x O y 、HfSi x O y 、HfN x O y 、AlO x 、AlN x O y 、GaO x 、GaO x N y およびTaO x 、TiN x O y から選択された少なくとも1つの絶縁性化合 を有する層であってよい。ここで、添え字x yもしくはzを含む化学式は絶縁性化合物を しており、元素の構成比が化学量論比で示 れる化合物、または、欠陥もしくは非晶質 造を含むことにより元素の構成比が化学量 比では示されない化合物を表す。

 また、第1の形態において、前記半導体装 置は、前記キャリア供給層を覆い、前記溝部 の開口に一致する開口部を有するパッシベー ション層、をさらに備えてよい。前記キャリ ア供給層は、前記チャネル層と格子整合また は擬格子整合し、前記半導体層は、前記キャ リア供給層と格子整合または擬格子整合して よい。前記チャネル層は、窒素を含んでよい 。前記チャネル層は、GaN層、InGaN層またはAlGa N層であり、前記キャリア供給層は、AlGaN層、 AlInN層またはAlN層であってよい。前記制御電 は、Ni、Al、Mg、Sc、Ti、Mn、Ag、Sn、PtおよびI nから選択された少なくとも1つの金属を有し よい。前記キャリアは電子であってよい。

 本発明の第2の形態においては、3-5族化合 物半導体のチャネル層にキャリアを供給する キャリア供給層の表面に、溝部を形成する段 階と、前記キャリア供給層の前記溝部に、前 記キャリアが示す伝導型とは逆の伝導型を示 す半導体層を形成する段階と、前記半導体層 を形成した後に、制御電極を形成する段階と 、を含む半導体装置の製造方法を提供する。 あるいは、窒素を含む3-5族化合物半導体のチ ャネル層および前記チャネル層に電子を供給 する電子供給層を有し、前記電子供給層が表 面を為す基板を用意する段階と、前記電子供 給層の表面に溝部を形成する段階と、前記電 子供給層の前記溝部にp形半導体層を形成す 段階と、前記p形半導体層を形成した後に、 御電極を形成する段階と、を備えた半導体 置の製造方法を提供する。

 第2の形態において、前記半導体装置の製 造方法は、前記キャリア供給層を覆うパッシ ベーション層を形成する段階と、前記溝部が 形成される領域の前記パッシベーション層に 開口部を形成する段階と、をさらに備えてよ い。前記キャリア供給層の表面に溝部を形成 する段階は、前記パッシベーション層の前記 開口部に露出した前記キャリア供給層をエッ チングして、前記溝部を形成する段階であっ てよい。前記半導体層を形成する段階は、前 記パッシベーション層の前記開口部に露出し た前記キャリア供給層に、前記半導体層とな るエピタキシャル層を選択的に成長させる段 階であってよい。前記キャリア供給層の表面 に溝部を形成する段階は、前記キャリア供給 層の一部を覆うマスクを形成する段階と、前 記マスクで覆った領域以外の前記キャリア供 給層に、さらにキャリア供給層を形成する段 階と、前記マスクを除去する段階と、を有す る段階であってよい。前記半導体層は、窒素 を含み、前記チャネル層は、窒素を含んでよ い。

本実施形態の半導体装置100の断面例を す。 半導体装置100の製造過程における断面 を示す。 半導体装置100の製造過程における断面 を示す。 半導体装置100の製造過程における断面 を示す。 半導体装置100の製造過程における断面 を示す。 半導体装置100の製造過程における断面 を示す。 半導体装置100の製造過程における断面 を示す。 半導体装置100の製造過程における断面 を示す。 半導体装置100の製造過程における断面 を示す。 半導体装置100の製造過程における断面 例を示す。 実験例および比較例で作成した半導体 装置100のDC評価におけるドレイン電流の遷移 性グラフを示す。

符号の説明

 100 半導体装置
 102 基板
 104 バッファ層
 106 チャネル層
 108 電子供給層
 110 溝部
 112 p形半導体層
 114 絶縁層
 116 制御電極
 118 入出力電極
 120 パッシベーション層
 122 素子分離領域
 130 レジスト膜
 132 開口部
 134 レジスト膜
 136 開口部
 138 レジスト膜
 140 開口部
 142 絶縁膜
 144 金属膜

 図1は、本実施形態の半導体装置100の断面 例を示す。同図において半導体装置100は一つ のトランジスタ素子として図示するが、半導 体装置100は多数のトランジスタ素子を備えて いてよい。半導体装置100は、基板102、バッフ ァ層104、チャネル層106、電子供給層108、溝部 110、p形半導体層112、絶縁層114、制御電極116 入出力電極118、パッシベーション層120およ 素子分離領域122を備える。

 基板102は、エピタキシャル成長用の下地 板であってよく、たとえば単結晶のサファ ア、シリコンカーバイト、シリコン、ガリ ムナイトライドが例示できる。基板102は、 ピタキシャル成長用の基板として市販され いるものが使用できる。基板102は、絶縁形 好ましいがp形またはn形も使用できる。

 バッファ層104は、基板102の上に形成され 材料として、窒素を含む3-5族化合物半導体 適用できる。たとえば、バッファ層104は、 ルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)、ア ルミニウムナイトライド(AlN)、ガリウムナイ ライド(GaN)の単層であってよく、これら単 を積層したものであってもよい。バッファ 104は、その膜厚に特に制限はないが、300nmか ら3000nmの範囲が好ましい。バッファ層104は、 有機金属気相成長法(MOVPE)、ハライドVPE法ま は分子線エピタキシ法(MBE)などを用いて形成 できる。バッファ層104の形成材料として市販 の有機金属原料、たとえばトリメチルガリウ ムあるいはトリメチルインジウム等を用いる ことができる。

 チャネル層106は、バッファ層104の上に形 され、窒素を含む3-5族化合物半導体であっ よい。チャネル層106として、GaN層が好まし が、InGaN層またはAlGaN層も例示できる。チャ ネル層106の膜厚に特に制限はないが、300nmか 3000nmの範囲が好ましい。チャネル層106の形 方法として、バッファ層104の形成方法と同 な方法が例示できる。

 電子供給層108は、キャリア供給層の一例 あってよい。電子供給層108は、チャネル層1 06に電子を供給する。電子は、キャリアの一 であってよい。電子供給層108は、チャネル 106の上に形成され、電子供給層108とチャネ 層106との界面のチャネル層106の側には2DEGが 形成される。電子供給層108は、チャネル層106 に接して直接形成されてもよく、適切な中間 層を介して形成されてもよい。電子供給層108 は、チャネル層106と格子整合または擬格子整 合してよく、AlGaN層、AlInN層またはAlN層であ てよい。

 電子供給層108は、その膜厚を、チャネル 106と電子供給層108との格子定数差から見積 られる臨界膜厚より小さい範囲内で決定で る。臨界膜厚とは、格子不整合により発生 た応力により結晶格子に欠陥が発生して応 が緩和される膜厚であってよい。臨界膜厚 、各層のAl組成あるいはIn組成に依存するが 、10nmから60nmの範囲が例示できる。電子供給 108の形成方法としてバッファ層104の形成方 と同様な方法が例示できる。

 電子供給層108は、電子供給層108のチャネ 層106に対向する面の反対面に溝部110を有す 。電子供給層108に溝部110を形成して、溝部1 10の下部の2DEGを空乏化しやすくできる。この 結果、トランジスタのノーマリオフ動作を実 現しやすくできる。

 溝部110の膜厚は、p形半導体層112の組成、 膜厚およびトランジスタの閾値に応じて決定 する。溝部110の膜厚として、たとえば5nmから 40nmの範囲が例示できる。好ましくは7nmから20 nmnの範囲が例示でき、より好ましくは9nmから 15nmの範囲が例示できる。さらに好ましくは10 nmから13nmの範囲が例示できる。

 溝部110は、電子供給層108にたとえば溝部110 形成される領域に開口が形成されたマスク 適用して、当該マスクの開口部に露出した 子供給層108をドライエッチング等の異方性 ッチング法によりエッチングして形成でき 。マスクとして、ホトレジスト、SiO x 等の無機膜あるいは金属など、エッチングに おいて電子供給層108との選択性を有する材料 であれば任意に適用できる。エッチングガス として、Cl 2 、CH 2 Cl 2 などの塩素系ガスおよびCHF 3 、CF 4 などのフッ素系ガスが使用できる。

 あるいは溝部110は、電子供給層108の形成後 溝部110に対応する領域にマスクを形成して 当該マスクが存在する様態でさらに電子供 層108を形成した後、マスクを除去して形成 きる。マスクとして、SiN x あるいはSiO x が利用でき、この場合、選択成長法が適用で きる。選択性長法としてはMOVPE法が使用でき 。なお、電子供給層108の膜厚を適切に形成 ることで、溝部110を形成しなくてよい場合 ある。

 p形半導体層112は、半導体層の一例であって よい。p形半導体層112は、電子供給層108のチ ネル層106に対向する面の反対面に形成され 溝部110に形成される。p形半導体層112は、電 供給層108と格子整合または擬格子整合して い。p形半導体層112は、窒素を含む3-5族化合 物のp形の半導体であってよく、たとえばInGaN 層、AlGaN層またはGaN層が例示できる。特に、p 形半導体層112は、Al x Ga 1-x N層(ただし、0≦x≦0.5)であってよい。xの組成 は指定された範囲で適宜選択できるが、AlGaN 晶はAl組成が高くなると結晶性が劣化する で、0≦x≦0.4が好ましく、0≦x≦0.3がより好 しく、0≦x≦0.20がさらに好ましい。

 電子供給層108の溝部110にp形半導体層112を 形成することにより、p形半導体層112を介し チャネルの電位を制御して、チャネル電流 変調できる。すなわち、制御電極116の電位 応答して溝部110に接したp形半導体層112の電 が変位でき、さらにp形半導体層112に接した 溝部110の底面部におけるすべての範囲で電位 が変位できる。この結果、従来のトランジス タで見られたような溝部(リセス)底面のソー 端およびドレイン端での寄生抵抗の発生を ぐことができる。これにより電流密度の大 い半導体装置100を作製することができる。

 また、溝部110の底面に配置されるp形半導 体層112がp形半導体であるので、同じ厚みの 子供給層108に酸化膜等の絶縁膜を配置する りも、チャネルのポテンシャルをより引き げることができる。この結果、半導体装置10 0の閾値を大きくすることができる。

 p形の導電形を得るには、Mgなどのp形不純物 をドーピングすればよい。ドーパントの濃度 は、p形となる濃度であれば良い。ただし、 ーズ量をあまりに高濃度にすると、結晶性 悪化が懸念されるので、1×10 15 cm -2 から1×10 19 cm -2 の範囲が例示できる。p形不純物のドーズ量 、5×10 15 cm -2 から5×10 18 cm -2 が好ましく、1×10 16 cm -2 から1×10 18 cm -2 がより好ましく、5×10 16 cm -2 から5×10 17 cm -2 がさらに好ましい。

 さらにp形半導体層112は、電子供給層108の 溝部110に形成されるので、ノーマリオフ動作 を実現しやすくなり、溝部110にp形半導体層11 2を形成することにより、溝部110の電子供給 108の膜厚を厚くできる。電子供給層108に溝 110を形成する場合であっても、中間準位が 在する溝部110の底面とチャネルとの距離を すことができ、従来のノーマリオフトラン スタと比較して電流密度の大きなトランジ タを作ることができる。

 p形半導体層112の膜厚は、2nmから200nmの範 であってよく、好ましくは5nmから100nmの範 、さらに好ましくは7nmから30nmの範囲であっ よい。p形半導体層112は、たとえばMOVPE法に り形成できる。p形半導体層112を溝部110に形 成する場合、溝部110に選択的に形成できる。 たとえば電子供給層108の溝部110以外の領域を MOVPE法ではエピタキシャル成長されない阻害 で覆い、当該阻害膜に開口した特定の領域 p形半導体層112となるエピタキシャル膜をエ ピタキシャル成長させる選択成長法が適用で きる。阻害膜はエッチングにより除去されて もよく、パッシベーション層120として残して もよい。阻害膜として、たとえば10nmから100nm 程度の膜厚の窒化シリコン膜あるいは酸化シ リコン膜が例示できる。

 絶縁層114は、p形半導体層112の上に形成でき る。絶縁層114を形成することにより、制御電 極116からチャネルへのリーク電流を低減でき る。絶縁層114は、SiO x 、SiN x 、SiAl x O y N z 、HfO x 、HfAl x O y 、HfSi x O y 、HfN x O y 、AlO x 、AlN x O y 、GaO x 、GaO x N y およびTaO x 、TiN x O y から選択された少なくとも1つの絶縁性化合 を有してよい。添え字x、yもしくはzを含む 学式は上記の通り絶縁性化合物を示してお 、元素の構成比が化学量論比で示される化 物、または、欠陥もしくは非晶質構造を含 ことにより元素の構成比が化学量論比では されない化合物を表す。絶縁層114は、スパ タ法、CVD法などを利用して形成できる。絶 層114の膜厚は、それぞれが有する誘電率、 縁耐圧を考慮して決定できる。絶縁層114の 厚として、たとえば2nmから150nmの範囲が例示 でき、好ましくは5nmから100nmの範囲が、より ましくは7nmから50nmの範囲が、さらに好まし くは9nmから20nmの範囲が例示できる。

 制御電極116は、p形半導体層112と接して形 成されてよい。すなわち、絶縁層114を備えな くてもよい。あるいは制御電極116は、p形半 体層112との間に中間層である絶縁層114を介 て形成されてよい。なお、中間層として、 縁層114に代えて真性(絶縁形)の半導体層を形 成してもよい。

 制御電極116は、Ni、Al、Mg、Sc、Ti、Mn、Ag Sn、PtおよびInから選択された少なくとも1つ 金属を有することができ、Al、Mg、Sc、Ti、Mn 、AgまたはInが好ましい。あるいは制御電極11 6は、Al、TiまたはMgがより好ましい。制御電 116は、たとえば蒸着法などを用いて形成で る。

 入出力電極118は、電子供給層108の上に形 される。入出力電極118は、たとえばTiおよ Alなどの金属を蒸着法などで形成した後、リ フトオフ法などで所定の形状に加工した後、 700℃から800℃程度の温度でアニール処理する ことにより形成できる。

 パッシベーション層120は、制御電極116お び入出力電極118が形成された領域以外の領 の電子供給層108を覆う。パッシベーション 120は、前記の通り選択性長法のマスクとし 機能させることができ、その場合、パッシ ーション層120は、溝部110の開口に一致する 口部を有する。パッシベーション層120は、 とえば10nmから100nm程度の膜厚の窒化シリコ 膜あるいは酸化シリコン膜が例示できる。

 素子分離領域122は、トランジスタの活性 域を取り囲むように、電子供給層108を貫い 形成される。素子分離領域122は、電流が流 る領域を規定する。素子分離領域122は、た えばエッチングにより分離溝を形成して、 化物等の絶縁体を埋め込むことにより形成 きる。あるいは素子分離領域122は、窒素ま は水素を形成領域にイオン打ち込みにより ち込んで形成できる。

 図2から図10は、半導体装置100の製造過程 おける断面例を示す。図2に示すように、窒 素を含む3-5族化合物半導体のチャネル層106お よびチャネル層106に電子を供給する電子供給 層108を有して、電子供給層108が表面を為す基 板102を用意する。基板102には、バッファ層104 を有してよく、バッファ層104、チャネル層106 および電子供給層108が順次形成されて電子供 給層108が表面を為す基板はHEMT形成用のエピ キシャル基板として供給されているもので ってよい。

 図3に示すように、電子供給層108を覆うパ ッシベーション層120を形成した後、パッシベ ーション層120の上にレジスト膜130を形成する 。レジスト膜130は、適切なレジスト材料を基 板にスピンコートしてプリベーク、露光およ びポストベークの後に、露光領域を除去して 開口部132を形成する。開口部132は、溝部110を 形成する領域に形成する。

 図4に示すように、溝部110が形成される領 域(開口部132)のパッシベーション層120に開口 を形成する。そして、パッシベーション層1 20の開口部に露出した電子供給層108をエッチ グして、溝部110を形成する。すなわち溝部1 10は、レジスト膜130をマスクとして、パッシ ーション層120をエッチングする第1段階のエ ッチングと、レジスト膜130をマスクとして、 電子供給層108をエッチングする第2段階のエ チングとで形成できる。なお、第2段階のエ チングでは、レジスト膜130を除去して、パ シベーション層120をマスクとしてエッチン できる。また溝部110は、溝部110の底部に相 する膜厚の電子供給層を予め形成して、電 供給層108の一部を覆うマスクを形成した後 マスクで覆った領域以外の電子供給層108に さらに電子供給層108を形成して、マスクを 去することで形成することもできる。

 図5に示すように、電子供給層108の表面に 、窒素を含む3-5族化合物のp形半導体層112を 成する。p形半導体層112は、電子供給層108の 部110に形成されてよい。パッシベーション 120の開口部に露出した電子供給層108に、p形 半導体層112となるエピタキシャル層を選択的 に成長させてよい。その後、p形を示す不純 たとえばMgを、たとえばイオン打ち込みによ りドープする。

 図6に示すように、溝部110のp形半導体層11 2とパッシベーション層120とを覆うレジスト 134を形成する。レジスト膜134は、適切なレ スト材料を基板にスピンコートしてプリベ ク、露光およびポストベークの後に、露光 域を除去して開口部136を形成する。開口部13 6は、入出力電極118が形成される領域に形成 る。その後、レジスト膜134をマスクにして ッシベーション層120をエッチングする。

 図7に示すように、たとえば蒸着法により 入出力電極118となる金属膜を形成した後、レ ジスト膜134を除去して開口部136に金属膜を残 すリフトオフ法により、入出力電極118を形成 する。入出力電極118を形成した後、加熱によ りアニールを実行してもよい。金属膜は金属 積層膜であってよい。

 図8に示すように、レジスト膜138を形成し て、溝部110のp形半導体層112を露出させる開 部140を形成する。そして、図9に示すように 絶縁層114および制御電極116となる絶縁膜142 よび金属膜144を各々形成する。絶縁膜142お び金属膜144は、各々、絶縁膜の積層膜ある は金属膜の積層膜であってよい。

 図10に示すように、レジスト膜138を除去 て開口部140に絶縁膜142および金属膜144を残 リフトオフ法により、絶縁層114および制御 極116を形成する。すなわちp形半導体層112を 成した後に、制御電極116を形成する。

 その後、素子分離領域122となる領域に開 を有する適切なマスクを形成して、当該マ クの開口部に選択的にイオンを打ち込み、 子分離領域122を形成する。素子分離領域122 打ち込むイオンはたとえば窒素または水素 あってよく、電子供給層108およびチャネル 106が絶縁体となるイオンであれば任意に選 できる。以上のようにして、図1の半導体装 置100が製造できる。

 本実施形態の半導体装置100とその製造方 によれば、制御電極116の下部にp形半導体層 112を形成するので、半導体装置100をノーマリ オフで動作させつつ、チャネル電流密度を増 加でき、また、閾値を高くすることができる 。さらに、p形半導体層112を溝部110に形成す ので、溝部110の効果が相乗され、よりノー リオフ動作をさせやすく、またチャネル電 密度を増加できる。

(実験例)
 基板102としてサファイアを適用した。基板1 02の上に、バッファ層104としてGaN層を、チャ ル層106としてGaN層を、電子供給層108としてA lGaN層を、順次MOVPE法を用いて形成して、HEMT エピタキシャル基板とした。各層の膜厚は 各々100nm、2000nm、30nmとした。AlGaNの電子供給 層108のAl組成は25%とした。

 AlGaNの電子供給層108の上に、パッシベーシ ン層120としてSiN x 層を、スパッタリング法により100nmの膜厚で 成した。SiN x のパッシベーション層120の上にレジスト膜130 を形成して、リソグラフィーにより溝部110が 形成される位置のレジスト膜130に開口部132を 形成した。開口部132の寸法は30μm×2μmとした

 CHF 3 ガスを用いたICPプラズマエッチングにより、 レジスト膜130の開口部132に露出したSiN x のパッシベーション層120を除去した。このよ うにして開口部を有するSiN x のパッシベーション層120を形成した。ついで エッチングガスをCHCl 2 ガスに切り替えて、AlGaNの電子供給層108を20nm の深さまでエッチングした。これにより電子 供給層108に溝部110を形成した。

 表面のレジスト膜130をアセトンで除去した 、基板102をMOVPE反応炉に移して、選択成長 により溝部110にGaN膜を20nmの膜厚になるまで ピタキシャル成長させた。そしてGaN膜にMg ドーピングしてp形半導体層112を形成した。 ーピングした後のp形半導体層112のホール濃 度は5×10 17 cm -2 であった。

 基板102を反応炉から取り出した後、レジス 膜134を形成して、リソグラフィーにより、 出力電極118の形状にレジスト膜134の開口部1 36を形成した。前記と同様の手法で開口部136 露出したSiN x のパッシベーション層120を除去した。そして 蒸着法により、Ti/Al/Ni/Auの積層膜を形成して リフトオフにより、入出力電極118の形状に 工した。その後、基板102を窒素雰囲気、800 、30秒間の条件でアニールした。このよう して一対の入出力電極118を形成した。

 レジスト膜138を形成して、リソグラフィー より、GaNのp形半導体層112上のレジスト膜138 に、開口部140を形成した。開口部140の幅は1.5 μmとした。蒸着法により、SiO x の絶縁膜142を10nmの膜厚で、金属膜144としてNi /Auの金属積層膜を形成して、リフトオフによ り、Ni/Auの制御電極116および絶縁層114を形成 た。さらにレジスト膜をマスクとして素子 辺部に窒素をイオン打ち込みにより打ち込 、素子分離領域122を形成した。このように て図1に示す半導体装置100を作製した。

(比較例)
 実験例と同様にサファイアの基板102に、GaN バッファ層104、GaNのチャネル層106、AlGaNの 子供給層108を形成してHEMT用エピタキシャル 板とした。実験例と同様にSiN x のパッシベーション層120、溝部110、一対の入 出力電極118を形成した。溝部110にp形半導体 112を形成せず、実験例と同様の手法で、溝 110の底面に直接SiO x の絶縁層114となる絶縁膜142および制御電極116 となる金属膜144を形成して、絶縁層114および 制御電極116を形成した。さらに実験例と同様 の手法で素子分離領域122を形成した。

 図11は、実験例および比較例で作成した 導体装置100のDC評価におけるドレイン電流の 遷移特性グラフを示す。実線は実験例を、破 線は比較例を示す。横軸はドレイン電圧を、 縦軸はドレイン電流を示す。比較例の最大電 流密度が、ゲート電圧3V付近で約50mA/mmである のに対して、実験例では、ゲート電圧3.5V付 で110mA/mmと高い値を示した。上記実験例と比 較例との比較結果が示すとおり、p形半導体 112を備えることにより、半導体装置100をノ マリオフで動作させつつ、チャネルの電流 度を増加させることができた。