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Patent Searching and Data


Title:
SEPARATION MEMBRANE MANUFACTURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175247
Kind Code:
A1
Abstract:
The present invention provides a separation membrane manufacturing method including: a seed crystal bonding step for bonding a zeolite seed crystal to a porous support body made of stainless steel, and obtaining a seed-crystal-bonded support body; and a separation layer formation step for forming a porous separation layer made of zeolite on the seed-crystal-bonded support body. The stainless steel is such that the contact angle with water is 90° or greater. The seed crystal bonding step includes bringing the zeolite seed crystal and a solvent in which the contact angle with stainless steel is 30° or less into contact with the porous support body.

Inventors:
SUZUKI TAKAHIRO (JP)
OMORI SHIORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006355
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 18, 2020
Export Citation:
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Assignee:
ZEON CORP (JP)
International Classes:
B01D69/10; B01D69/12; B01D71/02; C01B39/48
Domestic Patent References:
WO2012018007A12012-02-09
WO2016121377A12016-08-04
Foreign References:
JP2010120834A2010-06-03
JP2016190200A2016-11-10
JPH10506363A1998-06-23
CN101028605A2007-09-05
JP2010142809A2010-07-01
Other References:
See also references of EP 3932530A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA Kenji (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175247 18 卩(:17 2020 /006355

請求の範囲

[請求項 1 ] ステンレス鋼よりなる多孔性支持体に対してゼオライ ト種結晶を付 着させて、 種結晶付着済支持体を得る種結晶付着工程と、 前記種結晶 付着済支持体上にゼオライ トからなる多孔性分離層を形成する分離層 形成工程と、 を含む分離膜製造方法であって、

前記ステンレス鋼は、 水に対する接触角が 9 0 ° 以上であり、 前記種結晶付着工程は、 前記多孔性支持体に対して、 ゼオライ ト種 結晶と、 前記ステンレス鋼に対する接触角が 3 0 ° 以下の溶媒とを接 触させることを含む、

分離膜製造方法。

[請求項 2] 前記種結晶付着工程において、 前記多孔性支持体を前記溶媒で湿ら せた後に、 前記多孔性支持体に対して前記ゼオライ ト種結晶を擦り込 むことで、 前記種結晶付着済支持体を得る、 請求項 1 に記載の分離膜 製造方法。

[請求項 3] 前記種結晶付着工程において、 前記ゼオライ ト種結晶と、 前記溶媒 とを含むスラリー組成物と、 前記多孔性支持体とを接触させることで 、 前記種結晶付着済支持体を得る、 請求項 1 に記載の分離膜製造方法

[請求項 4] 前記溶媒は、 炭素数 5以下のアルコール類を含む、 請求項 1〜 3の 何れかに記載の分離膜製造方法。

[請求項 5] 前記溶媒の純度が、 9 5体積%以上である、 請求項 1〜 4の何れか に記載の分離膜製造方法。

Description:
\¥0 2020/175247 1 卩(:17 2020 /006355 明 細 書

発明の名称 : 分離膜製造方法

技術分野

[0001 ] 本発明は、 分離膜製造方法に関するものである。 特には、 本発明の分離膜 製造方法は、 炭化水素混合物から一部の炭化水素を分離す る際に好適に使用 し得る分離膜を製造する際に、 好適に用いることができる。

背景技術

[0002] 従来、 炭素数が等しい直鎖状炭化水素と分岐状炭化 水素とを含む炭化水素 混合物から分岐状炭化水素を低エネルギーで 分離する方法として、 膜分離法 が用いられている。 そして、 分離膜としては、 支持体上にゼオライ トを膜状 に形成してなるゼオライ ト膜が広く用いられている。

[0003] 例えば、 特許文献 1 には、 多孔質金属支持体を非揮発性洗剤で前処理し 、 洗浄乾燥後、 多孔質金属支持体を酸で最終処理し、 最終処理した部分にゼオ ライ ト種結晶を担持もしくは付着させてゼオライ ト膜を製膜するゼオライ ト 膜製膜方法が開示されている。 かかるゼオライ ト膜製膜方法によれば、 ステ ンレス製の多孔質金属支持体の表面にゼオラ イ ト膜を製膜することができる 先行技術文献

特許文献

[0004] 特許文献 1 :特開 2 0 1 0 - 1 4 2 8 0 9号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005] しかし、 上記従来のような、 多孔質金属支持体を酸で最終処理することを 含むゼオライ ト膜製膜方法では、 操作が煩雑であり、 処理時間も長かった。 また、 特に、 機械的強度及び安定性等に優れる、 ステンレス鋼よりなる多孔 質金属支持体を用いた場合には、 上記のような酸による処理を経ることなく 、 充分な分離性能を発揮し得る分離膜を形成す ることが難しかった。 〇 2020/175247 2 卩(:170? 2020 /006355

そこで、 本発明は、 煩雑な操作及び長い処理時間が不要であると ともに、 分離性能に優れる、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体を含む分 離膜を製造 することが可能な、 分離膜製造方法を提供することを目的とする 。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明者らは、 上記目的を達成するために鋭意検討を行った 。 その結果、 本発明者らは、 ステンレス鋼よりなる多孔質支持体に対して 、 所定の溶媒を 用いてゼオライ ト種結晶を付着させて、 多孔質支持体上でゼオライ トを合成 することで、 煩雑な操作及び長い処理時間を必要とせずに 、 分離膜を形成す ることできることを新たに見出した。 さらに、 本発明者らは、 得られた分離 膜が、 炭素数が等しい直鎖状炭化水素と分岐状炭化 水素とを良好に分離する ことができることを確認し、 本発明を完成させた。

[0007] 即ち、 この発明は、 上記課題を有利に解決することを目的とする ものであ り、 本発明の分離膜製造方法は、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体に対し てゼオライ ト種結晶を付着させて、 種結晶付着済支持体を得る種結晶付着工 程と、 前記種結晶付着済支持体上にゼオライ トからなる多孔性分離層を形成 する分離層形成工程と、 を含む分離膜製造方法であって、 前記ステンレス鋼 は、 水に対する接触角が 9 0 ° 以上であり、 前記種結晶付着工程は、 前記多 孔性支持体に対して、 ゼオライ ト種結晶と、 前記ステンレス鋼に対する接触 角が 3 0 ° 以下の溶媒とを接触させることを含むことを 特徴とする。 このよ うに、 多孔性支持体を形成するステンレス鋼に対す る接触角が 3 0 ° 以下の 溶媒を用いてゼオライ ト種結晶を付着させて、 多孔質支持体上でゼオライ ト を合成して多孔性分離層を形成することで、 煩雑な操作及び長い処理時間を 必要とせずに、 分離性能に優れる分離膜を製造することがで きる。 なお、 「 ゼオライ ト」 とは、 細孔構造を有する含 3 丨化合物を意味する。 また、 ステ ンレス鋼の 「水に対する接触角」 は、 実施例に記載の方法により測定するこ とができる。 そして、 溶媒の 「ステンレス鋼に対する接触角」 は、 実施例に 記載の方法により測定することができる。

[0008] また、 本発明の分離膜製造方法の前記種結晶付着工 程において、 前記多孔 〇 2020/175247 3 卩(:170? 2020 /006355

性支持体を前記溶媒で湿らせた後に、 前記多孔性支持体に対して前記ゼオラ イ ト種結晶を擦り込むことで、 前記種結晶付着済支持体を得ることができる 。 湿らせた多孔性支持体に対してゼオライ ト種結晶を擦り込むことで、 ゼオ ライ ト種結晶を高い密度で多孔性支持体に付着さ せることができる。

[0009] また、 本発明の分離膜製造方法の前記種結晶付着工 程において、 前記ゼオ ライ ト種結晶と、 前記溶媒とを含むスラリー組成物と、 前記多孔性支持体と を接触させることで、 前記種結晶付着済支持体を得ることができる 。 スラリ _組成物と、 多孔性支持体とを接触させることで、 種結晶付着済支持体を得 ることで、 一層効率的に分離膜を製造することができる 。

[0010] また、 本発明の分離膜製造方法において、 前記溶媒は、 炭素数 5以下のア ルコール類を含むことが好ましい。 種結晶付着工程で用いる溶媒が炭素数 5 以下のアルコール類を含んでいれば、 ゼオライ ト種結晶と溶媒との間の親和 性が高く、 多孔性支持体に対してゼオライ ト種結晶を安定して付着させるこ とができる。

[001 1 ] そして、 本発明の分離膜製造方法において、 前記溶媒の純度が、 9 5体積 %以上であることが好ましい。 溶媒の純度が 9 5体積%以上であれば、 ゼオ ライ ト種結晶と溶媒との間の親和性が一層高く、 多孔性支持体に対してゼオ ライ ト種結晶を一層安定して付着させることがで きる。

発明の効果

[0012] 本発明によれば、 煩雑な操作及び長い処理時間が不要であると ともに、 分 離性能に優れる、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体を含む分 離膜を製造す ることが可能な、 分離膜製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1 ]実施例及び比較例で用いた試験装置の概略 成を示す図である。

発明を実施するための形態

[0014] 以下、 本発明の実施形態について詳細に説明する。

ここで、 本発明の分離膜製造方法によれば、 炭化水素混合物から一部の炭 化水素を分離する際、 より具体的には、 炭素数が等しい直鎖状炭化水素と、 〇 2020/175247 4 卩(:170? 2020 /006355

分岐状炭化水素及び/又は環状炭化水素と 含む炭化水素混合物を膜分離す る際に好適に用いることができる、 分離膜を良好に製造することができる。

[0015] (分離膜製造方法)

本発明の分離膜製造方法は、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体に対して ゼオライ ト種結晶を付着させて、 種結晶付着済支持体を得る種結晶付着工程 と、 種結晶付着済支持体上にゼオライ トからなる多孔性分離層を形成する分 離層形成工程と、 を含む分離膜製造方法である。 そして、 本発明の分離膜製 造方法は、 任意に、 ゼオライ ト種結晶を準備する工程 (種結晶準備工程) を 含む。 以下、 各工程について詳述する。 なお、 各工程中にて使用可能な成分 として例示列挙した各化合物等は、 一種を単独で、 或いは複数種を混合して 用いることができる。 複数種を併用する場合には、 それらの合計配合量が、 各所に記載した量比を満たすことが好ましい 。

[0016] <種結晶準備工程>

種結晶準備工程では、 特に限定されることなく、 既知のゼオライ ト種結晶 の製造方法を用いてゼオライ ト種結晶を調製する。 なお、 種結晶準備工程で は、 例えば、 既知の方途に従って、 シリカ源、 構造規定剤および水を混合し て得た種結晶用水性ゾルを加熱し、 水熱合成によりゼオライ トの粗結晶を調 製した後、 任意に得られた粗結晶を乾燥および粉砕する ことにより、 ゼオラ イ ト種結晶を調製することができる (例えば、 国際公開第 2 0 1 6 / 1 2 1 3 7 7号参照) 。

[0017] ここで、 ゼオライ ト種結晶の平均粒子径は、 5 0 n 以上が好ましく、 7

0 0 n 以下が好ましく、 6 0 0 n 以下がより好ましく、 5 5 0 n 以下 がさらに好ましい。 ゼオライ ト種結晶の平均粒子径が上記範囲内であれば 、 良好な性状の多孔性分離層を形成し、 分離の選択性を更に向上させることが できる。

なお、 「ゼオライ ト種結晶の平均粒子径」 は、 走査型電子顕微鏡 (3巳 IV! ) を使用して測定した 2 0個のゼオライ ト種結晶の粒子径の個数平均を算出 することにより求めることができる。 [0018] <種結晶付着工程>

種結晶付着工程では、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体に対して ゼオラ イ ト種結晶を付着させて、 種結晶付着済支持体を得る。 ここで、 本発明の分 離膜製造方法では、 多孔性支持体を形成するステンレス鋼が、 水に対する接 触角が 9 0 ° 以上であること、 及び、 種結晶付着工程にて、 多孔性支持体に 対して、 ゼオライ ト種結晶と、 ステンレス鋼に対する接触角が 3 0 ° 以下の 溶媒とを接触させることを特徴とする。 これらの特徴を備えることにより、 本発明の分離膜製造方法によれば、 煩雑な操作及び長い処理時間が不要であ るとともに、 分離性能に優れる、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体を含む 分離膜を製造することができる。 以下、 本工程における各要素について詳述 する。

[0019] «ステンレス鋼よりなる多孔性支持体»

ステンレス鋼よりなる多孔性支持体は、 複数の細孔を有する、 ステンレス 鋼よりなる多孔質体である。 「ステンレス鋼」 とは、 クロムを 1 0 . 5質量 %以上含む鋼を意味し、 より具体的には、 I S O 1 5 5 1 0 (上記クロム含 有量に加えて、 炭素含有量: 1 . 2質量%以下を規定、 J I S G 0 2 0 3 も同じ) に従うステンレス鋼を意味する。 ステンレス鋼としては、 特に限定 されることなく、 例えば、 S U S (Stee l Use Sta i n less) 3 0 4、 S U S 3 1 6、 及び S U S 3 1 6 L等が挙げられる。

[0020] 多孔性支持体を構成する材料としてのステン レス鋼の、 水に対する接触角 は、 9 0 ° 以上である必要があり、 9 2 ° 以上であることが好ましく、 9 5 ° 以上であることがより好ましい。 概して、 酸等を用いて表面処理をしてい ない、 未処理のステンレス鋼は、 水に対する接触角が 9 0 ° 以上、 特には 9 5 ° 以上であり得る。 未処理のステンレス鋼を酸処理することによ って、 水 に対する接触角を低くすることができる。 ステンレス鋼の水に対する接触角 が低くなるということは、 ステンレス鋼の水に対する接触角が高い場合 と比 較して、 ステンレス鋼と水との親和性が高いことを意 味する。 このため、 酸 処理等を経て、 水に対する接触角が低くなったステンレス鋼 よりなる支持体 〇 2020/175247 6 卩(:170? 2020 /006355

を用いた場合には、 かかる支持体をステンレス鋼に対する接触角 が 3 0 ° 以 下の溶媒と接触させる必要無く、 種結晶付着済み支持体を得ることができる と想定される。 反対に、 ステンレス鋼の水に対する接触角が 9 0 ° 以上と高 ければ、 かかるステンレス鋼は撥水性を有するため、 従来的な、 水を溶媒と して用いた種結晶付着方法では、 支持体に対して良好に種結晶を付着させる ことができない。 そこで、 本発明による分離膜製造方法を係る条件を満 たす 多孔性支持体に対して適用することで、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体 に対してゼオライ ト種結晶を安定して付着させることができる ため、 かかる 多孔性支持体上に、 良好に多孔性分離層を形成することができ、 分離性能に 優れる分離膜を形成することができる。

なお、 ステンレス鋼の水に対する接触角は、 特に限定されないが、 通常、

9 9 ° 以下であり得る。

[0021 ] なお、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体の形状は 、 特に限定されること なく、 例えば、 平膜状、 平板状、 チューブ状、 ハニカム状などの任意の形状 とすることができる。

[0022] そして、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体の平均細 孔径は、 0 . 0 1 以上であることが好ましく、 〇. 0 5 以上であることがより好ましく 、 〇. 0 7 〇!以上であることが更に好ましく、 〇. 1 〇!以上であること が特に好ましく、 1 . 5 以下であることが好ましく、 1 . 2 以下で あることがより好ましく、 1 . 〇 以下であることがさらに好ましい。 ス テンレス鋼よりなる多孔性支持体の平均細孔 径が上記範囲内であれば、 分離 性能に一層優れる分離膜を製造することがで きる。 なお、 ステンレス鋼より なる多孔性支持体の平均細孔径は、 水銀圧入法に従って測定することができ る。

[0023] また、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体は、 好ましくは、 多孔性支持体 の平均細孔径に対するゼオライ ト種結晶の平均粒子径の比が〇. 〇 1以上 3 . 0以下となるような多孔性支持体であること 好ましい。 ゼオライ ト種結 晶の平均粒子径とステンレス鋼よりなる多孔 性支持体の平均細孔径との比率 〇 2020/175247 7 卩(:170? 2020 /006355

を上記範囲内とすることで、 多孔膜分離層の形成効率を向上させうる。 その 理由は明らかではないが、 上述した平均粒子径を有するゼオライ ト種結晶及 び上述した平均細孔径を有する多孔性支持体 を使用した場合、 多孔性支持体 の細孔中にゼオライ ト種結晶が入り込み、 ゼオライ トが成長する方向が適切 に制限されるために、 多孔性分離層を容易に形成することができる ためであ ると推察される。

[0024] «ステンレス鋼に対する接触角が 3 0 ° 以下の溶媒»

溶媒のステンレス鋼に対する接触角は、 3 0 ° 以下である必要があり、 2 0 ° 以下であることが好ましい。 溶媒のステンレス鋼に対する接触角が 2 0 ° 以下であれば、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体との親和 性をより高め ることができる。 なお、 溶媒のステンレス鋼に対する接触角は、 通常、 5 ° 以上であり得る。

[0025] ステンレス鋼に対する接触角が 3 0 ° 以下の溶媒としては、 特に限定され ることなく、 メタノール、 エタノール、 ブタノール、 プロパノール、 ペンタ ノール及びこれらの異性体等の炭素数 5以下のアルコール等を含むアルコー ル類; アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン 類、 並びに、 トルエン及 びヘキサン等の炭化水素化合物類、 のうちの少なくとも一種を含む溶媒が挙 げられる。 中でも、 ゼオライ ト種結晶との親和性の観点から、 炭素数 5以下 のアルコール類が好ましい。 ゼオライ ト種結晶と溶媒との親和性が高ければ 、 多孔性支持体に対してゼオライ ト種結晶を安定して付着させることができ る。 なお、 溶媒として、 上述した複数の化合物の混合溶媒を用いるこ とも可 能であるが、 単独溶媒を用いることがより好ましい。

[0026] 溶媒の純度は、 9 5体積%以上であることが好ましく、 9 7体積%以上で あることがより好ましい。 溶媒の純度が上記下限値以上であれば、 ゼオライ 卜種結晶と溶媒との間の親和性が一層高く、 多孔性支持体に対してゼオライ 卜種結晶を一層安定して付着させることがで きる。 なお、 溶媒に混入し得る 不純物としては、 溶媒を製造する際に、 不可避的に混入しうる不純物等が挙 げられる。 〇 2020/175247 8 卩(:170? 2020 /006355

[0027] «ゼオライ ト種結晶の付着方法》

本工程において、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体に対して ゼオライ ト 種結晶を付着させて、 種結晶付着済支持体を得るための方途として は、 下記 の 2通りの方途が挙げられる。

1) 種結晶付着工程において、 多孔性支持体を溶媒で湿らせた後に、 多孔 性支持体に対してゼオライ ト種結晶を擦り込むことで、 種結晶付着済支持体 を得る。

2) 種結晶付着工程において、 ゼオライ ト種結晶と、 溶媒とを含むスラリ _組成物と、 多孔性支持体とを接触させることで、 種結晶付着済支持体を得 る。

[0028] 上記 1) に従う方途としては、 具体的には、 溶媒に 1〜 6 0分間浸潰する ことにより予め溶媒で湿らせておいた多孔性 支持体上にゼオライ ト種結晶を 擦り込むことにより、 ゼオライ ト種結晶を多孔性支持体に付着させることが できる。 かかる方途によれば、 ゼオライ ト種結晶を高い密度で多孔性支持体 に付着させることができる。 なお、 擦り込むゼオライ ト種結晶は、 種結晶合 成時に用いた溶媒成分等を実質的に含有しな い、 乾燥状態であることが好ま しい。 「溶媒成分等を実質的に含有しない」 とは、 種結晶合成時に用いた溶 媒成分等の含有量が、 〇. 5質量%以下であることを意味する。 また、 「擦 り込む」 とは、 多孔性支持体の表面に対して、 少なくとも厚み方向の外力を 加えつつゼオライ ト種結晶を適用することを意味する。

[0029] 上記 2) に従う方途としては、 所謂、 「塗布」 、 「濾過」 、 「含浸」 等の 方途が挙げられる。 具体的には、 「塗布」 による場合には、 ゼオライ ト種結 晶を溶媒で湿潤させて得たスラリー組成物を 多孔性支持体に塗布し、 塗布し たスラリー組成物を乾燥することにより、 ゼオライ ト種結晶を多孔性支持体 に付着させることができる。 また、 「濾過」 による場合には、 ゼオライ ト種 結晶を溶媒中に分散させて得たスラリー組成 物を多孔性支持体で濾過するこ とによってゼオライ ト種結晶を多孔性支持体に付着させることが できる。 さ らには、 「含浸」 による場合には、 ゼオライ ト種結晶を溶媒中に分散させて 〇 2020/175247 9 卩(:170? 2020 /006355

得たスラリー組成物に対して、 多孔性支持体を 1〜 6 0分間含浸することに よってゼオライ ト種結晶を多孔性支持体に付着させることが できる。 中でも 、 高い製造効率で分離膜を製造する観点から、 2) に従う方途の中でも、 「 濾過」 を選択することが好ましい。 また、 これらの方途にて用いるスラリー 組成物の溶媒として、 上述したステンレス鋼に対する接触角が 3 0 ° 以下の 溶媒の中でも、 炭素数 5以下のアルコール類を用いることで、 スラリー組成 物中においてゼオライ ト種結晶を良好に分散させることができ、 多孔性支持 体に対して、 ゼオライ ト種結晶を均一に付着させることができる。

[0030] «操作条件》

本工程にて、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体に対して ゼオライ ト種結 晶を付着させるにあたり、 開放系ではなく、 閉鎖系にて各種操作を実施する ことが好ましい。 これは、 ステンレス鋼に対する接触角が 3 0 ° 以下の溶媒 が、 操作中に揮発することにより所望の操作結果 が得られなくなることを回 避するためである。 特に、 ゼオライ ト種結晶の付着方法の中でも、 上記 2) に従う、 スラリー組成物を用いる方途を採用した場合 に、 各種操作を閉鎖系 で実施することの重要性が高い。 スラリー組成物から溶媒が揮発すると、 操 作中にスラリー組成物中におけるゼオライ ト種結晶の分散性が低下すること となる。 そこで、 上記 2) に従う方途における各種操作を、 閉鎖系にて実施 することで、 溶媒の揮発を抑制して操作中のスラリー組成 物中におけるゼオ ライ ト種結晶の分散性が低下することを抑制する ことができ、 結果的に、 多 孔性支持体に対してゼオライ ト種結晶を安定して付着させることができる 。

[0031 ] «乾燥方法》

そして、 上述した何れかの方途に従ってステンレス鋼 よりなる多孔性支持 体に対して付着させたゼオライ ト種結晶は、 溶媒を乾燥により除去すること で多孔性支持体に固定できる。 この際の乾燥温度は、 特に限定されないが、 好ましくは 5 0 °〇以上、 より好ましくは 7 0 °〇以上であり、 好ましくは 1 5 〇°〇以下、 より好ましくは 1 0 0 °〇以下である。

[0032] <分離層形成工程> 〇 2020/175247 10 卩(:170? 2020 /006355

分離層形成工程では、 上記工程で得られた種結晶付着済支持体を、 シリカ 源及び構造規定剤を含む水性ゾルに浸潰し、 水熱合成によりゼオライ トを合 成して多孔性支持体上に多孔性分離層を形成 する。 なお、 分離層形成工程に おいて多孔性支持体上に多孔性分離層を形成 して得られた分離膜には、 任意 に、 煮沸洗浄や焼成処理を施してもよい。 かかる分離層形成工程における、 水性ゾルの調製、 ゼオライ トの水熱合成、 任意の煮沸洗浄及び焼成処理は、 特に限定されることなく、 既知の方途に従って実施することができる (例え ば、 国際公開第 2 0 1 6 / 1 2 1 3 7 7号参照) 。

[0033] «分離層の性状》

上記に従って得られる分離層は、 ゼオライ トからなる多孔性分離層である 。 好ましくは、 多孔性分離層を形成する 「ゼオライ ト」 は、 IV! 丨型細孔構 造を有し、 骨格構造が 3 丨 を含んでなる。 多孔性分離層を形成するゼオライ 卜が、 かかる構造を有していれば、 分離性能に一層優れた分離膜を得ること ができる。

[0034] <分離膜の分離性能>

本発明の分離膜製造方法に従って製造された 分離膜 (以下、 「本分離膜」 とも称する) は、 炭化水素混合物から一部の炭化水素を分離す る際の分離性 能に優れる。 より具体的には、 炭化水素混合物は、 炭素数が等しい直鎖状炭 化水素と、 分岐状炭化水素及び/又は環状炭化水素とを む混合物である。 中でも、 本分離膜は、 ナフサを熱分解してェチレンを生産する際に 副生する 0 4留分や、 〇 4留分から少なくともブタジェンの一部を回 した後に残る 留分等の、 炭素数が 4の直鎖状炭化水素と、 分岐状炭化水素及び/又は環状 炭化水素を主成分として含む混合物の分離性 能に優れる。 また、 本分離膜は 、 ナフサを熱分解してェチレンを生産する際に 副生する〇 5留分や、 〇5留 分から少なくともイソプレンの一部を回収し た後に残る留分等の、 炭素数が 5の直鎖状炭化水素と、 分岐状炭化水素及び/又は環状炭化水素とを 成分 として含む混合物の分離性能に優れる。

なお、 「主成分として含む」 とは、 直鎖状炭化水素と、 分岐状炭化水素及 〇 2020/175247 1 1 卩(:170? 2020 /006355

び/又は環状炭化水素とを合計で 5 0モル%以上含有することを指す。

実施例

[0035] 以下、 本発明について実施例に基づき具体的に説明 するが、 本発明はこれ ら実施例に限定されるものではない。 なお、 以下の説明において、 量を表す 「%」 等は、 特に断らない限り、 質量基準である。 また、 圧力はゲージ圧で ある。

実施例及び比較例において、 ゼオライ ト種結晶の平均粒子径、 各種接触角 、 並びに、 分離膜の分離性能は、 下記の方法で測定及び評価した。

[0036] <ゼオライ ト種結晶の平均粒子径>

走査型電子顕微鏡 (3巳 IV!) を使用し、 ゼオライ ト種結晶 2 0個の粒子径 を測定した。 そして、 得られた測定値の平均値を算出し、 ゼオライ ト種結晶 の平均粒子径とした。

[0037] <接触角>

実施例、 比較例で用いた多孔性支持体の形成材料とし てのステンレス鋼よ りなる、 5 0 \ 3 0 の平板試料を試験片とした。 各種接触角は、 接 触角計 (協和界面科学株式会社製、 ポータブル接触角計 〇 一 1 1 を用い て、 液滴法 (液量 2 丨) にて測定した。

[0038] <分離性能>

後述する膜分離試験の結果から、 下記式 (丨) を用いて透過流束 を算出 した。 また、 下記式 (丨 丨) を用いて分離係数《を算出した。 そして、 分離 係数《と透過流束 との積 ( 〇〇 を算出し、 その値に基づいて分離性能 を評価した。 の値が大きいほど、 分離性能に優れていることを示す。

« = (丫ノ丫 / (乂ノ乂 ) - ( I I)

なお、 式 (丨) 中、 は、 分離膜を透過した成分の質量 [1< 9] であり、 八は、 分離膜の有効面積 [ 2 ] であり、 は、 処理時間 [時間] である。 ま た、 式 (丨 丨) 中、 X は、 原料中の直鎖状炭化水素の含有割合 [モル%] で あり、 。は、 原料中の分岐鎖状炭化水素及び環状炭化水素 の含有割合 [モル 〇 2020/175247 12 卩(:170? 2020 /006355

%] であり、 丫 は、 透過側サンプル中の直鎖状炭化水素の含有割 合 [モル% ] であり、 丫 6 。は、 透過側サンプル中の分岐鎖状炭化水素及び環 状炭化水素の 含有割合 [モル%] である。

また、 透過側サンプルの取得にあたり、 後述のように、 サンプリング時間 は 1 〇分間とした。 試験開始後 X分の時点における上記各値はそれぞれ、 か かる X分の時点が、 1 0分間のサンプリング時間の中間時点となる うに取 得した各サンプルを用いて算出した。

[0039] (実施例 1)

<種結晶用水性ゾルの調製>

濃度 2 2 . 5質量%のテトラプロピルアンモニウムヒド キシド水溶液 ( 東京化成工業社製) 1 5 2 . 1 5 9 (構造規定剤としてのテトラプロピルア ンモニウムヒドロキシド換算で 3 4 . 2 3 9 ) と、 超純水 4 8 . 4 4 9とを マグネチックスターラーで混合した。 更に、 シリカ源としてのテトラエトキ シシラン (3 I 〇1\/1八一八!_ 0 !_ I 〇 1 ~ 1社製) 9 9 . 4 1 9 を加えて、 室温 にて 7 0分間マグネチックスターラーで混合するこ で、 種結晶作製用の水 性ゾルを調製した。

[0040] <ゼオライ ト種結晶の作製>

種結晶用水性ゾルをフッ素樹脂製内筒付ステ ンレス鋼製耐圧容器内に入れ 、 1 3 0 °〇の熱風乾燥器中で 4 8時間反応 (水熱合成) させた。 次に、 得ら れた反応液を遠心分離機 (4 0 0 0 「 ) で 3 0分間遠心分離することに より固液分離し、 固形分を回収した。 そして、 回収した固形分を 8 0 ° 0の恒 温乾燥器中で 1 2時間乾燥し、 次いで、 得られた乾燥固体を乳鉢にて粉砕し 、 電気炉にて昇温速度 nで 5 0 0 °〇まで昇温し、 2 0時間保持す ることでゼオライ ト種結晶に残留している構造規定剤を除去す ることにより 、 ゼオライ ト種結晶を得た。 得られたゼオライ ト種結晶は、 X線回折測定に より、 1\/1 丨型構造を有していることが確認された。 なお、 ゼオライ ト種結 晶の平均粒子径は、 4 0 0 n であった。 また、 得られたゼオライ ト種結晶 は、 実質的に水分を含有しておらず (水分含有率が〇. 5質量%以下) 、 乾 〇 2020/175247 13 卩(:170? 2020 /006355

燥状態であった。

[0041] <種結晶付着工程>

種結晶付着工程では、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体を溶媒で 湿らせ た後に、 かかる多孔性支持体に対してゼオライ ト種結晶を擦り込むことで、 種結晶付着済み支持体を得た。

円筒状の、 ステンレス製多孔質支持体 (ステンレス: 3113304、 外径 : 1 0〇!〇1、 厚み: 2. 5〇! 01、 平均細孔径: 1 0 ) を、 エタノール (純度: 99. 5体積%) に 1 0分間浸潰した。 そして、 エタノールに浸潰 した後の湿った多孔性支持体の外表面上に、 上記にて得られたゼオライ ト種 結晶〇. 2 9 を擦り込み、 80°〇の乾燥器中で 1 2時間乾燥させることで、 多孔性支持体の表面にゼオライ ト種結晶を付着及び固定させた。

[0042] <多孔性分離層用水性ゾルの調製>

濃度 22. 5質量%のテトラプロピルアンモニウムヒド キシド水溶液 ( 東京化成工業社製) 1 7. 63 9 (構造規定剤としてのテトラプロピルアン モニウムヒドロキシド換算で 3. 97 9 ) と、 超純水 2 1 0. 459とを、 室温にて 1 0分マグネチックスターラーで混合した。 更に、 シリカ源として のテトラエトキシシラン (3 I 〇1\/1八一八!_ 0 !_ I 〇 1 ~ 1社製) 22. 1 2 9 を加えて、 室温にて 60分間マグネチックスターラーで混合するこ で、 多 孔性分離層形成用の水性ゾルを調製した。 なお、 水性ゾルの組成は、 モル比 で、 テトラエトキシシラン:テトラプロピルアン モニウムヒドロキシド水二 1 : 0. 2 : 1 1 7であった。

[0043] <分離層形成工程>

上記にて得られた多孔性分離層用水性ゾルを ステンレス鋼製耐圧容器内に 入れた。 次に、 ゼオライ ト種結晶を付着させた多孔性支持体を多孔性 分離層 用水性ゾルに浸潰し、 1 85°◦の熱風乾燥器中で 72時間反応 (水熱合成) させて、 多孔性支持体上に多孔性分離層を形成した。 そして、 多孔性分離層 を形成した多孔性支持体に対し、 洗浄液として蒸留水を使用して、 1時間の 煮沸洗浄を 2回行った。 その後、 多孔性分離層を形成した多孔性支持体を 8 〇 2020/175247 14 卩(:170? 2020 /006355

0 °〇の恒温乾燥器で 1 2時間乾燥させた。 次いで、 多孔性分離層中に含まれ ている構造規定剤 (テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド ) を除去する ために焼成を行い、 分離膜を得た。 なお、 焼成条件は、 昇温速度: 0 . 2 5 °〇/分、 焼成温度: 5 0 0 ° 0、 焼成時間 (保持時間) : 2 0時間、 降温速度 〇. 3 8 ° 〇/分とした。

[0044] そして、 得られた分離膜について、 多孔性分離層の層厚を測定した。 また 、 多孔性分離層の乂線回折測定を行い、 X線回折パターンを得た。 その結果 、 得られた X線回折パターンより、 多孔性分離層は 1\/1 I型ゼオライ トを含 んでいることが確認された。

[0045] <膜分離試験>

また、 上記にて得られた分離膜を使用し、 図 1 に示すような試験装置 1 を 用いて、 膜分離試験を行った。

[0046] [試験装置]

図 1 に示す試験装置 1は、 原料タンク 2と、 送液ポンプ 3と、 第 1熱交換 器 4と、 分離装置 5と、 第 2熱交換器 7とを備えている。 なお、 分離装置 5 は、 円筒管に、 上記にて得られた分離膜を組み付けることに より構成されて いる。 また、 図 1 に示す試験装置 1は、 三方弁 1 〇を介して分離装置 5に接 続されたコールドトラップ 6及びサンプリング用コールドトラップ 1 3と、 三方弁 1 4を介してコールドトラップ 6及びコールドトラップ 1 3の下流側 に接続された減圧ポンプ 1 1 とを備えている。 更に、 試験装置 1は、 原料夕 ンク 2と送液ポンプ 3との間に、 サンプリング用弁 1 2を備えており、 また 、 分離装置 5の下流側に、 背圧弁 8及び圧力計 9を備えている。

ここで、 図 1 に示す試験装置 1では、 原料タンク 2に充填された原料が、 送液ポンプ 3にて第 1熱交換器 4へと送られ、 原料が気化する温度以上の温 度に加温される。 そして、 気化した原料は、 気相にて分離装置 5へと送られ 、 分離膜を備える分離装置 5により成分の分離 (膜分離) が行われる。 ここ で、 試験装置 1 においては、 減圧ポンプ 1 1 により分離膜の透過側は減圧状 態とされており、 分離膜を透過した成分は、 三方弁 1 〇を介して接続された 20/175247 15 卩(:170? 2020 /006355

コールドトラップ 6又はサンプリング用コールドトラップ 1 3へと送られる 。 一方、 分離装置 5に備えられた分離膜を透過しなかった非透 成分は、 第 2熱交換器 7で冷却することにより凝縮され、 原料タンク 2に還流される。 なお、 試験装置 1では、 分離装置 5の下流側に設けた背圧弁 8及び圧力計 9 により、 背圧を調整している。 そして、 試験装置 1では、 三方弁 1 0 , 1 4 を切り替えることで、 分離装置 5に備えられた分離膜を透過した透過成分を 、 透過側のサンプルとして抽出することができ る。

[膜分離]

図 1 に示す試験装置 1 を用いた膜分離試験は、 以下のようにして実施した 具体的には、 まず、 炭素数が 5の直鎖状炭化水素、 分岐状炭化水素、 及び 環状炭化水素を含む〇 5留分である炭素数 5の炭化水素混合物を原料タンク 2に充填し、 脱気操作を 3回行った後、 送液ポンプ 3にて、 炭化水素混合物 を、 7 0 °〇に加温された第 1熱交換器 4を介して、 液相にて分離装置 5に供 給し、 次いで、 第 2熱交換器 7により冷却し、 原料タンク 2に戻す原料循環 処理を開始した。 そして、 原料循環処理開始後、 系内の温度が定常状態に達 するまで運転を行い、 系内の温度が定常状態に達した後、 背圧弁 8により非 透過側を 1 8 0 3に加圧するとともに、 減圧ポンプ 1 1 を起動すること で透過側 (コールドトラップ 6及びコールドトラップ 1 3)

3に減圧し、 系内の温度、 圧力が安定したことを確認した後、 透過側の三方 弁 1 0を開くことで、 膜分離試験を開始した。 即ち、 温度 7 0 1、 非透過側 と透過側の差圧 2 8 0 3の条件で膜分離試験を行った。

そして、 膜分離試験を開始した後、 5分経過した時点において、 透過側の サンプルの抽出を開始した。 具体的には、 三方弁 1 0 , 1 4を用いて、 透過 側の流路をコールドトラップ 6側からサンプリング用コールドトラップ 1 3 側に切替えて、 サンプリング用コールドトラップ 1 3にて透過側のサンプル を凝縮液として捕集することにより抽出した 。 なお、 この際におけるサンプ リング時間は 1 0分間とした。 そして、 透過側のサンプル (凝縮液) につい 〇 2020/175247 16 卩(:170? 2020 /006355

て、 重量を秤量するとともに、 ガスクロマトグラフにて、 直鎖状成分と分岐 鎖状成分、 環状成分とのモル比率を測定した。 そして、 これらの測定結果を 用いて膜分離試験開始後 1 〇分の時点における分離膜の分離性能を評価 した 。 結果を表 1 に示す。

[0047] さらに、 上記と同様の手順に従って、 膜分離試験を開始してから 1時間経 過後のサンプルを採取した。 そして、 上記と同様にして、 採取したサンプル を分析して、 膜分離試験開始後 1時間の時点における分離性能を評価した。 結果を表 1 に示す。

[0048] (比較例 1)

<種結晶付着工程>にてエタノールに代えて 超純水を用いた以外は、 実施 例 1 と同様にして、 分離膜の作製及び評価を行った。 結果を表 1 に示す。 な お、 分離膜の多孔性分離層の乂線回折測定の結果 、 多孔性分離層は 1\/! I型 ゼオライ トを含んでいることが確認された。

[0049] [表 1 ]

[0050] 実施例 1 における、 溶媒としてエタノールを用いた<種結晶付着 工程>で は、 多孔性支持体の溶媒への浸潰時間等を含む工 程の所要時間は、 従来的な 水を用いた種結晶付着方法と同程度であった 。 このことから、 本発明によれ ば、 煩雑な操作を行わず、 且つ、 多孔性支持体を酸処理しないで使用するこ とができるので長い処理時間を要することな く、 表 1 に示すような分離性能 〇 2020/175247 17 卩(:170? 2020 /006355

を呈し得る、 分離膜を製造することができたことが分かる 。

一方、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体に対して 、 従来的な水を用いた 種結晶付着方法を実施した比較例 1では、 十分な分離性能を呈し得る分離膜 を製造することができなかったことが分かる 。

産業上の利用可能性

[0051 ] 本発明によれば、 煩雑な操作及び長い処理時間が不要であると ともに、 分 離性能に優れる、 ステンレス鋼よりなる多孔性支持体を含む分 離膜を製造す ることが可能な、 分離膜製造方法を提供する。

符号の説明

[0052] 1 試験装置

2 原料タンク

3 送液ポンプ

4 第 1熱交換器

5 分離装置

6 コールドトラップ

7 第 2熱交換器

8 背圧弁

9 圧力計

1 0 , 1 4 三方弁

1 1 減圧ポンプ

1 2 サンプリング用弁

1 3 サンプリング用コールドトラップ