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Title:
SIALIDASE INHIBITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/004899
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a novel sialidase inhibitor capable of inhibiting the activity of sialidase present in Trypanosoma cruzi or the like. An N-acylneuraminic acid derivative in which an aromatic ring has been introduced at the 9-position and 2α-position has a strong inhibitory effect on the activity of sialidase. The invention is directed to the sialidase inhibitor comprising the N-acylneuraminic acid derivative (in the following formula, R1 and R2 each independently represent a substituent having an aromatic ring) or a pharmaceutically acceptable salt thereof. (I)

Inventors:
NISHIMURA SHIN-ICHIRO
HINOU HIROSHI
Application Number:
PCT/JP2008/060639
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
June 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV HOKKAIDO NAT UNIV CORP (JP)
NISHIMURA SHIN-ICHIRO
HINOU HIROSHI
International Classes:
C07H15/203; A61K31/7036; A61K31/7056; A61P33/02; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2007105094A12007-09-20
Foreign References:
JPH0625209A1994-02-01
JP2001131074A2001-05-15
JPH10330373A1998-12-15
Other References:
KAJIHARA YASUHIRO ET AL.: "Synthesis of CMP-9'' -modified-sialic acids as donor substrate analogues for mammalian and bacterial sialyltransferases, compounds 12 to 16", CARBOHYDRATE RESEARCH, vol. 342, no. 12-13, 5 June 2007 (2007-06-05), pages 1680 - 1688, XP029074256
SHELKE SACHIN V. ET AL.: "Synthesis of sialic acid derivatives as ligands for the myelin- associated glycoprotein(MAG) Tablel.", INTRODUCTION, BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY, vol. 15, no. 14, 25 April 2007 (2007-04-25), pages 4951 - 4965, XP026265760
GROSS HANS JUERGEN ET AL.: "Enzymic introduction of a fluorescent sialic acid into oligosaccharide chains of glycoproteins, Fig.1.", EUROPEAN JOURNAL OF BIOCHEMISTRY, vol. 177, no. 3, 1988, pages 583 - 589, XP026265760
Attorney, Agent or Firm:
SHIMODA, Akira et al. (Kyobashi-Nichiei Biru3-4, Kyobashi 3-chom, Chuo-ku Tokyo 31, JP)
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Claims:
式(I)
(式中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、芳香環を有する置換基を表す。)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物。
式(II)
(式中、R 3 は、置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Xは単結合、-S-、-(CH 2 ) n -(式中、nは1~5の自然数を表す。)、-CH=CH-又は-C≡C-を表し、R 4 は、置換基を有していてもよい芳香族基又は芳香環を有する脂肪族基を表す。)で表される請求項1に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物。
R 3 が、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂肪族環基、置換基を有しいてもよいヘテロ芳香族基チオアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリールカルバモイルアルキル基である請求項2に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物。
式(I)
(式中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、芳香環を有する置換基を表す。)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする医薬組成物。
式(II)
(式中、R 3 は、置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Xは単結合、-S-、-(CH 2 ) n -(式中、nは1~5の自然数を表す。)、-CH=CH-又は-C≡C-を表し、R 4 は、置換基を有していてもよい芳香族基又は芳香環を有する脂肪族基を表す。)で表される請求項4に記載の医薬組成物。
R 3 が、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂肪族環基、置換基を有しいてもよいヘテロ芳香族基チオアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリールカルバモイルアルキル基である請求項5に記載の医薬組成物。
式(I)
(式中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、芳香環を有する置換基を表す。)で表される化合物若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物から成るシアリダーゼ阻害剤。
式(II)
(式中、R 3 は、置換基を有していてもよい脂肪族基又は置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Xは単結合、-S-、-(CH 2 ) n -(式中、nは1~5の自然数を表す。)、-CH=CH-又は-C≡C-を表し、R 4 は、置換基を有していてもよい芳香族基又は芳香環を有する脂肪族基を表す。)で表される請求項7に記載のシアリダーゼ阻害剤。
R 3 が、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂肪族環基、置換基を有しいてもよいヘテロ芳香族基チオアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリールカルバモイルアルキル基である請求項8に記載のシアリダーゼ阻害剤。
Description:
シアリダーゼ阻害剤

 この発明は、シアリダーゼ阻害活性を有 るN-アシルノイラミン酸誘導体に関する。

 シアル酸として知られるN-アセチルノイラ ン酸を糖鎖から切断する能力を有する酵素 あるシアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)は、多 くの微生物やウイルスに存在する。これらノ イラミダーゼ産生病原体はヒト、その他の動 物の主要な感染症に関わっており、特に、イ ンフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウ イルス、コレラ菌、トリパノソーマ類などは 毎年極めて多数の感染例が報告され、莫大な 被害を引き起こしている。従って、シアリダ ーゼ活性の阻害剤はシアリダーゼを有するウ イルスによる感染や病状の重篤化を妨げると の考えに基づいて、様々なノイラミダーゼ阻 害剤の開発が行われている。
 これらのシアリダーゼ阻害剤のほとんどは 2-デオキシ-2,3-デヒドロ-N-アセチルノイラミ ン酸(DANA)の類似体及び誘導体であり、シアル 酸切断過程の遷移状態を模倣することにより 本来の基質であるシアリル化糖鎖より強力に シアリダーゼに結合することが期待されてい る(非特許文献1)。このような2-デオキシ-2,3- ヒドロ-N-アセチルノイラミン酸(DANA)の類似 や誘導体として、その4位を置換したもの(特 許文献1)、3位を置換したもの(特許文献2)、9 を置換したもの(特許文献3,4)などがシアリダ ーゼ活性の阻害剤やインフルエンザ治療薬な どとして開発されている。
 しかしながら、例えばトリパノソ-マ・クル ジ(非特許文献2)など、一部のシアリダーゼで はDANAによる阻害をほとんど受けないため、 たな基本骨格による阻害剤開発が期待され いる。

特許第2925863号

特開2001-131074

特開平10-139774

特許第3209946号 Virology, 58, 457-463 (1974) J. Mol. Biol., 345, 923-934 (2005)

 本発明は、トリパノソーマなどに存在す シアリダーゼの活性を阻害する新規シアリ ーゼ阻害剤を提供する。

 本発明者らは、N-アセチルノイラミン酸の9 と2α位に芳香環を導入すると、強いシアリ ーゼ活性の阻害効果を有することを見出し 本発明を完成させるに至った。
 即ち、本発明は、式(I)
(式中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、芳香環を有する置換基 を表す。)で表される化合物若しくはその製 上許容される塩又はそれらの溶媒和物に関 る。

 さらに、本発明は、以下の(2)~(5)に関する。
(2)式(II):
(式中、R 3 は、置換基を有していてもよい脂肪族基又は 置換基を有していてもよい芳香族基を表し、 Xは単結合、-S-、-(CH 2 ) n -(式中、nは1~5の自然数を表す。)、-CH=CH-又は- C≡C-を表し、R 4 は、置換基を有していてもよい芳香族基又は 芳香環を有する脂肪族基を表す。)で表され 上記(1)記載の化合物若しくはその製薬上許 される塩又はそれらの溶媒和物。
(3)R 3 が、置換基を有していてもよいアリール基、 置換基を有していてもよい脂肪族環基、置換 基を有しいてもよいヘテロ芳香族基チオアル キル基、又は置換基を有していてもよいアリ ールカルバモイルアルキル基である、上記(2) 記載の化合物若しくはその製薬上許容される 塩又はそれらの溶媒和物。
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載の化合物、 若しくはその製薬上許容される塩又はそれら の溶媒和物を有効成分とする医薬組成物。
(5)上記(4)記載の医薬組成物から成るシアリダ ーゼ阻害剤。

 本発明のシアリダーゼ阻害剤の対象であ シアリダーゼを産生するウイルスや微生物 して、例えば、トリパノソーマ・クルジ、 リパノソーマ・ブルセイ、クリプトスポリ ウム及びクリプトスポリジウム・パーバム どの寄生虫、コレラ菌、ウルシュ菌、ガス 疽菌、肺炎レンサ球菌、ヘリコバクター・ ロリ菌及びアルトロバクター・シアロフィ ス菌などの細菌、インフルエンザウイルス パラインフルエンザウイルス、家禽ペスト イルス、おたふくかぜウイルス、センダイ イルス及びニューカッスル病ウイルスなど ウイルスが挙げられる。

 シアリダーゼはインフルエンザシアリダー を中心として結晶構造が多数報告されてい 。その構造的特徴として活性部位はβプロ ラと呼ばれる構造を有しており、7個の特徴 なアミノ酸が見出されている。
 シアル酸やその誘導体がシアリダーゼに接 すると、シアリダーゼは、その3つのアルギ ニン残基で、シアル酸のカルボン酸部位を認 識し、そのアルギニンの一つをグルタミン酸 残基が塩対を形成することにより安定化し、 さらに、加水分解作用部位にはチロシンとグ ルタミン酸の水素結合リレー構造とアスパラ ギン酸残基が必要であることが知られている (J. Mol.Biol., 335,1343-1357(2004))。
 シアル酸やその誘導体がシアリダーゼに結 した形態においては、シアル酸の3位から5 アセトアミド部位付近の上部にシアリダー 活性部位周辺のループ構造が迫り出し、シ リダーゼの有する溝構造が、シアル酸のア マー位アキシアル面から(2位)からシアル酸9 水酸基側に向いている(Structure, 13, 803-815 ( 2005))。この溝構造はシアル酸が結合している 糖鎖部分を認識するための空間であると考え られており、インフルエンザシアリダーゼ(Na ture、363、418-423(1993))、コレラ菌等の細菌類が 産生する分泌型シアリダーゼ(J. Biol. Chem., 2 79, 40819-40826 (2004))、ヒトなどのほ乳類が産 するシアリダーゼ(J. Biol. Chem., 280, 469-475  (2005))などで共通構造として存在している。

 本願発明のシアリダーゼ阻害剤は、このシ リダーゼ活性部位の溝構造に着目し、その 構造に対応する9位水酸基及び2位α側を置換 することにより特異的かつ強力な阻害能を得 ている点に特徴がある。また、結合するシア ル酸(シアリダーゼ阻害剤)の2位α側から9位方 向へ対応する溝はシアリダーゼ全般に特徴的 な構造である。
 このような置換基として、芳香環は糖のピ ノース環又はフラノース環と類似の平面構 を有しており、シアル酸と結合している糖 を認識するシアリダーゼ活性部位周辺の溝 造に結合力を有すると考えられる(Structure,  12, 775-784 (2004))。本発明のN-アシルノイラミ 酸誘導体は、9位及び2α位に芳香環を有する ことが必須である。9位及び2α位の双方に芳 環を導入すると、π-πスタッキングにより、 シアル酸とシアリダーゼの互いの空間位置を 制御することが可能となり、標的とするシア リダーゼの溝構造にシアル酸を効率的に適合 させることが可能となる。
 本発明のN-アシルノイラミン酸誘導体はこ ような置換基を有するため、これまでシア ダーゼ阻害剤の基本骨格とされてきたDANAや の誘導体では機能することのなかった機構 より、シアリダーゼの活性を阻害すること 可能になるものと考えられる。
 なお、細胞内や生体内にはエステラーゼ(リ パーゼ)が多量に存在しているため、シアリ ーゼ阻害剤としての実際の使用を考えたと に、9位及び2α位の置換基はこのような条件 おいて容易に分解されないことが求められ 。例えば、エステル基(特許文献2、4)は迅速 に分解されてしまうため、実際の使用時にお いて、置換した効果が無いものと考えられる 。

 即ち、本発明のシアリダーゼ阻害剤は、9位 及び2α位に芳香環を有する置換基を有するN- シルノイラミン酸誘導体から成り、下式の 造式で表される。
 式中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、芳香環を有する置換基 を表す。この置換基は芳香環を、好ましくは 1~5個、より好ましくは1~3個有する。
 このR 1 及びR 2 は、0~5原子(主鎖上の原子数として)から成る 合基を介して、9位又は2位の炭素に結合す 芳香環を有することが好ましい。芳香環が5 子以上から成る結合基を介して9位又は2位 炭素に結合する場合には、この芳香環は、 アル酸(シアリダーゼ阻害剤)がシアリダーゼ 活性部位周辺の溝構造に結合する際に十分な 結合力を示さない場合もあると考えられる。 また0原子から成る結合基を介して9位又は2位 の炭素に結合するということは、芳香環が9 又は2位の炭素に直接結合することを意味す 。
 この芳香環としては、ベンゼン環、ナフタ ン環、アントラセン環、ピレン環などの炭 水素芳香族環が挙げられるが、ピリジン環 アクリジン環、キノリン環、ピリダジン環 ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、 ラゾール環、トリアゾール環、フラン環、 オフェン環等のヘテロ芳香環をも含む。こ らの芳香環は如何なる形態や結合数で置換 に結合されていてもよい。例えば、ベンゼ 環は、フェニル基やフェニレン基などとし 置換基中に存在してもよい。

 芳香環を9位及び2α位に結合させるためには 如何なる方法を用いてもよい。このような結 合方法として、オレフィンメタセシス法、鈴 木・箕浦クロスカップリング法、Heck反応、 イケル付加反応、アルドール型反応、Sn2型 はSn1型置換反応などによる芳香環の直接導 や炭素-炭素結合(-C-、-C=C-)の形成、脱水縮合 反応や活性化エステルを用いたアミド(-NHCO-) 尿素(-NHCONH-)・イミド(-N(CO-)CO-)・スルホン酸 アミド(-NHSO 2 -)結合の形成、Sn2型又はSn1型置換反応による ーテル(-O-)・チオエーテル(-S-)・セレノエー テル(-Se-)・アミン(-NH-、-N(-)-)・アルキン(-C≡ C-)結合の形成、アセタール(-C(-O-)O-)・チオア タール(-C(-S-)S-)等のアセタール型結合の形 、イミン(-N=C-、-C=N-)、オキシム(-O-N=C-、-C=N-O -)、ヒドラジド(-NH-N=C-、-C=N-NH-)等のイミン型 合形成、アジドを経由したトリアゾール環 介する結合、ディールス・アルダー反応や 述の反応を組合わせたタンデム反応による 形成反応などが挙げられる。
 これらの結合基は、複数の芳香環を導入す 場合には、複数の芳香環の間に存在するも であってもよい。

 この中で、一般的方法として、N-アシルノ ラミン酸の9位水酸基をアジド(-N=N + =N - )基に変換し(Tetrahedron, 50, 7445-7460 (1994))、又 はN-アシルノイラミン酸の2α位にSN2反応によ アジド(-N=N + =N - )基を導入し(Carbohydrate Research, 291, 183-187 (19 96))、一方、導入したい置換基にアセチレン(- C≡CH)を結合させたアルキン化合物を用意し これらを銅触媒存在下で反応させることに り、N-アシルノイラミン酸の9位又は2α位に リアゾール環(下式)を介して所望の置換基を 導入することができる。このトリアゾール環 は本願発明のシアリダーゼ阻害剤として、必 須の要素ではなく、所望の置換基を導入する ために不可避的に導入されたものである。

 またこの芳香環を有する置換基は、更に ハロゲン原子、水酸基、炭素数が1~4のアル ル基、ホルミル基、アミノ基、ニトロ基、 アノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、 らびに炭素数が1~4のアルキル基がハロゲン 子、水酸基、ホルミル基、アミノ基、ニト 基、シアノ基、カルボキシル基、及びスル ン酸基などの基で置換された基(置換基群A) ら選択される置換基で置換されていてもよ 。

 9位に芳香環を結合させるために上記の結合 基のいずれをも用いることができるが、生理 条件下における安定性から、9位に芳香環を 合させるための結合基(Y)は、好ましくは単 合、2価のトリアゾール環(化4)、-O-、-S-、-Se- 、-NHCO-、-NH-、-N(-)-、-NHCONH-、-N(CO-)CO-、-(CH 2 ) n -(式中、nは1~5の自然数を表す。)、-CH=CH-、又 -C≡C-である。
 この場合、R 1 は、-Y-R 3 と表される。

 R 3 は、置換基を有していてもよい芳香族基又は 芳香環を有する脂肪族基を表す。但し、Yが2 のトリアゾール環(化4)の場合には、R 3 は、芳香環を有しない脂肪族基であってもよ い。
 この芳香族基としては、アリール基やヘテ 芳香族基が挙げられる。アリール基として 、好ましくは、フェニル基やα-又はβ-ナフ ル基が挙げられる。ヘテロ芳香族基として 、上記ヘテロ芳香環の残基、例えば、フリ 基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリ 基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチ ゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリ 基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基 チアジアゾリル基、テトラゾリル基、ピリ ル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、 ラジニル基等が挙げられる。
 また、この芳香環は上記の定義と同じであ 。
 脂肪族基としては、直鎖又は分枝のアルキ 基、シクロヘキサン環などの脂肪族環基、 はこれらの組み合わせが挙げられる。
 この脂肪族基の炭素数は、好ましくは1~20、 より好ましくは1~12である。
 芳香環を有する脂肪族基は、芳香環を、好 しくは1~5個、より好ましくは1~3個有する。
 またこれらの芳香族基、芳香環を有する脂 族基及び芳香環を有しない脂肪族基は、更 上記の置換基を有していてもよい。

 更に、R 3 は、置換基を有していてもよいアリール基、 置換基を有していてもよい脂肪族環基、置換 基を有しいてもよいヘテロ芳香族基チオアル キル基、又は置換基を有していてもよいアリ ールカルバモイルアルキル基であることが好 ましい。
 R 3 における、置換基を有していてもよいアリー ル基の置換基としては、置換基群Aから選択 れる置換基で置換されていてもよいアリー カルバモイルカルバモイル基、置換基群Aか 選択される置換基で置換されていてもよい リールカルバモイル基等が挙げられる。
 R 3 における、置換基を有していてもよい脂肪族 環基の置換基としては、置換基群Aから選択 れる置換基で置換されていてもよいアリー オキシ基、ヒロドキシ基等が挙げられる。
 R 3 における、置換基を有しいてもよいヘテロ芳 香族基チオアルキル基の置換基としては、置 換基群Aから選択される置換基で置換されて てもよいアリール基等が挙げられる。
 R 3 における、置換基を有していてもよいアリー ルカルバモイルアルキル基の置換基としては 、置換基群Aから選択される置換基で置換さ ていてもよいアリール基、シクロアルキル 等が挙げられる。

 一方、2α位に芳香環を結合させるための結 基は、N-アシルノイラミン酸の2位炭素に酸 原子が結合しているため、9位の場合の結合 基に比べ、化学的・生物的安定性の理由によ り制限をうける。すなわち、2α位に芳香環を 結合させるための結合基(X)は好ましくは、単 結合、2価のトリアゾール環(化4)、-O-、-S-、-S e-、-NHCO-、-(CH 2 ) n -(式中、nは1~5の自然数を表す。)、-CH=CH-、-C C-であり、より好ましくは単結合、-S-、-(CH 2 ) n -(式中、nは1~5の自然数を表す。)、-CH=CH-、又 -C≡C-である。
 この場合、R 2 は、-X-R 4 と表される。この式中、R 4 はR 3 と同様に定義される。

 本明細書中、「溶媒和物」とは、例えば有 溶媒との溶媒和物、水和物等を包含する。 和物を形成する時は、任意の数の水分子と 位していてもよい。
 式(I)及び式(II)で示される化合物は、製薬上 許容される塩を包含する。例えば、アルカリ 金属(リチウム、ナトリウム又はカリウム等) アルカリ土類金属(マグネシウム又はカルシ ウム等)、アンモニウム、有機塩基及びアミ 酸との塩、又は無機酸(塩酸、硫酸、硝酸、 化水素酸、リン酸又はヨウ化水素酸等)、及 び有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン 、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、 マル酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ 、安息香酸、フタル酸、ベンゼンスルホン 、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸 又はエタンスルホン酸等)との塩が挙げられ 。特に塩酸、リン酸、酒石酸又はメタンス ホン酸等が好ましい。これらの塩は、通常 われる方法によって形成させることができ 。

 本発明のN-アシルノイラミン酸誘導体の 薬上許容される塩とは、1位のカルボン酸が オン化することにより形成される塩が好ま く、例えば、無機塩基又は有機塩基と塩で ってもよい。好ましい塩としては、例えば ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カ シウム、アルミニウム等の無機塩基との塩 メチルアミン、エチルアミン、ジエチルア ン、トリエチルアミン、テトラエチルアン ニウム、グアニジン、エタノールアミン等 有機塩基との塩、リジン、アルギニン、オ ニチン等の塩基性アミノ酸との塩等を挙げ ことができる。

 また、式(I)及び式(II)で示される化合物は、 特定の異性体に限定するものではなく、全て の可能な異性体(ケト-エノール異性体、イミ -エナミン異性体、ジアステレオ異性体、光 学異性体及び回転異性体等)やラセミ体を含 ものである。
 本発明に係る化合物をヒトに投与する場合 、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤 液剤等として経口的に、又は注射剤、坐剤 経皮吸収剤、吸入剤等として非経口的に投 することができる。また、本化合物の有効 にその剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤 、崩壊剤、滑沢剤等の医薬用添加剤を必要 応じて混合し、医薬製剤とすることができ 。
 投与量は疾患の状態、投与ルート、患者の 齢、又は体重によっても異なるが、成人に 口で投与する場合、通常0.1μg~1g/日であり、 好ましくは0.01~200mg/日であり、非経口投与の 合には通常1μg~10g/日であり、好ましくは0.1~ 2g/日である。

 更に本発明のシアリダーゼ阻害剤には、薬 学的に許容されるプロドラックも含まれる 例えば、加水分解、加溶媒分解により又は 理学的条件下で水酸基や1位カルボン酸、5 アセトアミド基に変換できる基であり、例 ば、水酸基のプロドラッグとしては、-OCO-置 換されてもよい低級アルキレン-COOR 5 (R 5 は水素原子又は低級アルキルを示す。以下同 様である。)、-OCO-置換されてもよい低級アル ケニレン-COOR 5 、-OCO-置換されてもよいアリール、-OCO-低級 ルキレン-O-低級アルキレン-COOR 5 、-OCO-COR 5 、-OCO-置換されてもよい低級アルキル、-OSO 2 -置換されてもよい低級アルキレン-COOR 5 、-O-フタジル、5-メチル-1,3-ジオキソレン-2- ン-4-イル-メチルオキシ等が挙げられ、カル ン酸のプロドラッグとしては、置換されて よい低級アルキレン基によるエステル化、 びアルデヒド基、アセタール基への変換反 等が挙げられ、アセトアミド基のプロドラ グとしてはイミドへの変換などが挙げられ 。

 以下、実施例にて本発明を例証するが本発 を限定することを意図するものではない。
合成例1
 図1に示す合成スキームにしたがって5-アセ ルノイライミン酸(Neu5Ac、ナカライテスク株 式会社)から5-アセタミド-9-アジド-3,5,9-トリ オキシ-2-S-(4-ニトロフェニル)-D-グリセオ-α-D -ガラクト-ノン-2-ウロピラノソン酸(化合物1) 合成した。
 5-アセチルノイライミン酸(Neu5Ac、ナカライ スク株式会社)(2.57g)をメタノール(37ml)に縣 し、メタノール洗浄した酸型イオン交換樹 Dowex(R)50W(ダウケミカル社)(2.5g)と共に一晩激 く攪拌した。樹脂を濾別した後、濾液を濃 し、残渣に塩化アセチル(23ml)を加え2日激し く攪拌した。残渣及び4-ニトロチオフェノー (3.45g)を乾燥アセトニトリル(73ml)に溶かし、 攪拌しながらエチルジイソプロピルアミン(3. 6ml)を滴下した。室温で一晩攪拌した後、反 液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロ トグラフィー[酢酸エチル]により精製し、メ チル 5-アセタミド-4,7,8,9-O-テトラアセチル-3, 5-ジデオキシ-2-O-メチル-2-S-(4-ニトロフェニル )-D-グリセオ-α-D-ガラクト-ノン-2-ウロピラノ ネート(化合物2)(2.9g、56%)を得た。化合物2:(T LC)Rf0.3[酢酸エチル]。

 次に、上記で得た化合物2(2.9g)の乾燥メタ ノール(45ml)溶液に28%ナトリウムメチラート溶 液(0.45ml)を加え、室温で1時間攪拌した。反応 中に沈殿した結晶を濾取しメチル-5-アセタミ ド-3,5-ジデオキシ-2-S-(4-ニトロフェニル)D-グ セオ-α-D-ガラクト-ノン-2-ウロピラノソネー (化合物3)(1.12g、52%)を得た。化合物3:(TLC)Rf0.5 [クロロホルム-メタノール(4:1)]。

 次に、上記で得た化合物3(1.1g)のピリジン (27ml)溶液に、塩化トシル(0.84g)及びDMAP(30mg)を 次加え、室温で一晩攪拌した。反応液を濃 し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ ィー[クロロホルム-メタノール(9:1)]により 製し、メチル-5-アセタミド-3,5-ジデオキシ-2- S-(4-ニトロフェニル)-9-O-トシル-D-グリセオ-α- D-ガラクト-ノン-2-ウロピラノソネート(化合 4)(1.3g、87%)を得た。化合物4:(TLC)Rf0.5[クロロ ルム-メタノール(8:1)]。

 次に、上記で得た化合物4(1.3g)のDMF(23ml)溶液 にアジ化ナトリウム(0.55g)を加え、100℃で一 攪拌した後濃縮した。残渣をシリカゲルカ ムクロマトグラフィー[クロロホルム-メタノ ール(2:1)]により精製し、5-アセタミド-9-アジ -3,5,9-トリデオキシ-2-S-(4-ニトロフェニル)-D- グリセオ-α-D-ガラクト-ノン-2-ウロピラノソ 酸(化合物1)(0.51g、51%)を得た。化合物1:(TLC)Rf0 .4[クロロホルム-メタノール(2:1)]。
 合成した化合物1の分析値を以下に示す。
1 H NMR (600 MHz, D 2 O) δ 8.29-7.82 (m, 2H; aromatic), 3.91 (m, 2H; H-8 , H-5), 3.74 (ddd, 1H, J = 4.2, 10.2, 11.4 Hz; H- 4), 3.67 (dd, 1H, J = 1.8, 13.2 Hz; H-7), 3.59 (m , 2H; H-6, H-9a), 3.43 (q, 1H, J = 6.6, 13.2 Hz; H-9b), 2.97 (dd, 1H, J = 4.2, 12.6 Hz; H-3eq), 2. 08 (s, 3H; Ac), 1.95 (dd, 1H, J = 11.4, 12.6 Hz; H-3ax); ESI-MS Calcd for C 17 H 21 N 5 O 9 S [M-H]- 470.44174, found 470.22825.

合成例2
 トリス-(1-ベンジルトリアゾール-4-イルメチ ル)アミン(tris-(1-Benzyltriazol-4-ylmethyl)amine、シ マアルドリッチ社)(5 mM、DMSO溶液、100μL)、 酸銅(5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、アスコルビン酸ナ リウム塩(50 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、合成例1で得た化合 物1(100 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、2,6-ジクロロ-N-(3-エ チニルフェニルカルボニル)ベンズアミド(2,6- dichloro-N-(3-ethynylphenylcarbamoyl)benzamide、Maybridge )(100 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、を順次混合し、室 で8時間攪拌した。ESI-MSにより反応の進行を 確認し、反応液を直接逆相HPLCにて精製し、5- アセタミド-9-(4-(3-(3-(2,6-ジクロロベンゾイル) ウレイド)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イ ル)-3,5,9-トリデオキシ-2-(4-ニトロフェニルチ )-D-グリセオ-α-D-ガラクト-ノン-2-ウロピラ ソン酸(化合物5、下式)を得た(収量3 mg、収 37%)。

 合成した化合物5の分析値を以下に示す。
1 H NMR (600 MHz, CD 3 OD) δ 8.24-7.43 (m, 11H; Aromatic), 4.83 (m, 1H; H -9a), 4.44 (dd, 1H, J = 8.4, 14.4 Hz; H-9b), 4.09 (ddd, 1H, J = 7.2, 8.4; H-8), 3.81 (d, 1H, J =  10.2 Hz; H-5), 3.69 (ddd, 1H, J = 4.8, 10.2, 10.8 Hz; H-4), 3.43 (d, 1H, J = 10.2 Hz; H-6), 3.38 ( d, 1H, J = 8.4 Hz; H-7), 2.87 (dd, 1H, J = 4.8, 12.6 Hz; H-3eq), 1.95 (s, 3H; Ac), 1.89 (dd, 1H,  J = 11.4, 12.0 Hz; H-3ax); ESI-MS Calcd for C 33 H 31 C l2 N 7 O 11 S [M-H]- 802.11793, found 802.00916.

合成例3
 トリス-(1-ベンジルトリアゾール-4-イルメチ ル)アミン(tris-(1-Benzyltriazol-4-ylmethyl)amine、シ マアルドリッチ社)(5 mM、DMSO溶液、100μL)、 酸銅(5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、アスコルビン酸ナ リウム塩(50 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、合成例1で得た化合 物1(100 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、17-α-エチニル-3-(4- トロフェノキシ)-1,3,5(10)-エストラトリエン- 17β-オール(17α-ethynyl-3-(4-nitrophenoxy)-1,3,5(10)-est ratrien-17β-ol、Maybridge社)(100 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、を順次混合し、室 で8時間攪拌した。ESI-MSにより反応の進行を 確認し、反応液を直接逆相HPLCにて精製し、5- アセタミド-3,5,9-トリデオキシ-9-(4-(17β-ヒド キシ-3-(4-ニトロフェノキシ)-1,3,5(10)-エスト トリエン-17α-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イ ル)-2-S-(4-ニトロフェニル)-D-グリセオ-α-D-ガ クト-ノン-2-ウロピラノソン酸(化合物6、下 )を得た(収量5 mg、収率56%)。

 合成した化合物6の分析値を以下に示す。
1 H NMR (600 MHz, CD 3 OD) δ 8.18-6.78 (m, 12H; Aromatic), 4.73 (dd, 1H,  J = 3.0, 14.4 Hz; H-9a), 4.43 (dd, 1H, J = 7.8,  14.4 Hz; H-9b), 4.15 (ddd, 1H, J = 3.0, 7.8, 9.0  Hz; H-8), 3.79 (t, 1H, J = 10.2 Hz; H-5), 3.68 (d dd, 1H, J = 4.8, 10.2, 10.8 Hz; H-4), 3.46 (d. 1H , J = 10.2 Hz; H-6), 3.38 (d, 1H, J = 9.0 Hz; H -7), 2.87 (dd, 1H, J = 4.8, 12.6 Hz; H-3eq), 2.83 (m, 2H), 2.44 (m, 1H), 2.22-1.99 (m, 4H), 1.97 (s,  3H; Ac), 1.87 (t, 1H, J = 12.0 Hz; H-3ax), 1.76- 1.38 (m, 6H), 1.25 (m, 1H), 1.05 (s, 3H), 0.76 (m,  1H); ESI-MS Calcd for C 43 H 48 N 6 O 13 S [M-H]- 887.30001, found 887.21774.

合成例4
 トリス-(1-ベンジルトリアゾール-4-イルメチ ル)アミン(tris-(1-Benzyltriazol-4-ylmethyl)amine、シ マアルドリッチ社)(5 mM、DMSO溶液、100μL)、 酸銅(5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、アスコルビン酸ナ リウム塩(50 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、合成例1で得た化合 物1(100 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、3-(4-ターシャリー チルフェニル)-5-(2-プロピニルチオ)-4-(3-(ト フルオロメチル)フェニル)-4H-1,2,4-トリアゾ ル(3-(4-tert-butylphenyl)-5-(prop-2-ynylthio)-4-(3-(triflu oromethyl)phenyl)-4H-1,2,4-triazole、Maybridge社)(100 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、を順次混合し、室 で8時間攪拌した。ESI-MSにより反応の進行を 確認し、反応液を直接逆相HPLCにて精製し、5- アセタミド-3,5,9-トリデオキシ-9-(4-((5-(4-ター ャリーブチルフェニル)-4-(3-(トリフルオロ チル)フェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル オ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-S-(4 -ニトロフェニル)-D-グリセオ-α-D-ガラクト-ノ ン-2-ウロピラノソン酸(化合物7、下式)を得た (収量9 mg、100%)。

 合成した化合物7の分析値を以下に示す。
1 H NMR (600 MHz, CD 3 OD) δ 7.97-7.27 (m, 13H, Aromatic), 4.59 (m, 1H; H -9a), 4.48 (s, 2H; CH2), 4.24 (dd, 1H, J = 8.4, 1 3.8 Hz; H-9b), 3.94 (t,1H, J = 8.4 Hz; H-8), 3.79 (t, 1H, J = 10.2 Hz; H-5), 3.67 (ddd, 1H, J = 4 .8, 10.2, 10.8 Hz; H-4), 3.39 (d, 1H, J = 10.8 Hz ; H-6), 3.35 (d, 1H, J = 9.0 Hz; H-7), 2.86 (dd, 1H, J = 4.8, 12.6 Hz; H-3eq), 1.95 (s, 3H; Ac),  1.88 (dd, 1H, J = 11.4, 12.6 Hz; H-3ax), 1.25 (s, 9H; CH3×3); ESI-MS Calcd for C 39 H 41 F 3 N 8 O 9 S 2  [M-H]- 885.23900, found 885.17536.

合成例5
 トリス-(1-ベンジルトリアゾール-4-イルメチ ル)アミン(12.5 mM、DMSO溶液、100μL)、硫酸銅(12 .5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、アスコルビン酸ナ リウム塩(12.5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、合成例1で得た化合 物1(250 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、(2-(2-プロピニルチ )-6-(チオフェン-2-イル)-4-(トリフルオロメチ ル)ニコチノニトリル(2-(prop-2-ynylthio)-6-(thiophen -2-yl)-4-(trifluoromethyl)nicotinonitrile、Maybridge社)(25 0 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、を順次混合し、室 で8時間攪拌した。ESI-MSにより反応の進行を 確認し、反応液を直接逆相HPLCにて精製し、5- アセタミド-9-(S-(3-シアノ-6-(チオフェン-2-イ )-4-トリフルオロメチルピリジン-2-イル))-1H-1 ,2,3-トリアゾール-1-イル)-3,5,9-トリデオキシ-2 -S-(4-ニトロフェニル)-D-グリセオ-α-D-ガラク -ノン-2-ウロピラノソン酸(化合物8、下式)を た(収量16 mg、収率81%)。

 合成した化合物8の分析値を以下に示す。
1 H NMR (600 MHz, CD 3 OD) δ 7.93-7.12 (m, 9H; aromatic), 4.58 (m, 3H; H- 9a, CH2), 4.12 (dd, 1H, J = 9.6 , 13.8 Hz; H-9b),  3.80 (t, 1H, J = 9.6 Hz; H-8), 3.70 (t, 1H, J  = 10.2 Hz; H-5), 3.57 (ddd, 1H, J = 4.8, 10.8 Hz;  H-4), 3.37 (m, 2H; H-6,H-7), 2.80 (dd, 1H, J = 4 .8, 12.0 Hz; H-3eq), 1.90 (s, 3H; Ac), 1.74 (dd, 1 H, J = 11.4, 12.0 Hz; H-3ax); ESI-MS Calcd for C 31 H 28 F 3 N 7 O 9 S 3  [M-H]- 794.10627, found 794.23757.

合成例6
 トリス-(1-ベンジルトリアゾール-4-イルメチ ル)アミン(12.5 mM、DMSO溶液、100μL)、硫酸銅(12 .5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、アスコルビン酸ナ リウム塩(12.5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、合成例1で得た化合 物1(250 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、4’-エチル-N-(1-エ ニルシクロヘキシル)ビピリジル-4-カルボキ ミド(4'-ethyl-N-(1-ethynylcyclohexyl)biphenyl-4-carboxam ide、Maybridge社)(250 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、を順次混合し、室 で8時間攪拌した。ESI-MSにより反応の進行を 確認し、反応液を直接逆相HPLCにて精製し、5- アセタミド-3,5,9-トリデオキシ-9-(4-(1-(4’-エ ルビフェニル-4-イルカルボキサミド)シクロ キシル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-S-(4- トロフェニル)-D-グリセオ-α-D-ガラクト-ノン -2-ウロピラノソン酸(化合物9、下式)を得た( 量13 mg、収率65%)。

 合成した化合物9の分析値を以下に示す。
1 H NMR (600 MHz, CD 3 OD) δ 8.09-7.29 (m, 13H; aromatic), 4.78 (dd, 1H,  J = 2.4, 14.4 Hz; H-9a), 4.37 (dd, 1H, J = 8.4,  14.4 Hz; H-9b), 4.13 (ddd, 1H, J = 1.8, 2.4, 9.0  Hz; H-8), 3.83 (t, 1H, J = 10.2 Hz; H-5), 3.71 (d dd, 1H, J = 4.8, 10.2, 10.8 Hz; H-4), 3.52 (dd, 1 H, J = 1.2 , 10.2 Hz; H-6), 3.38 (dd, 1H, J = 1 .2, 9.0 Hz; H-7), 2.89 (dd, 1H, J = 4.8, 12.6 Hz;  H-3eq), 2.69 (dd, 2H, J = 7.8 Hz; CH2), 2.60 (m,  2H), 2.10 (m, 2H), 1.97 (s, 3H; Ac), 1.90 (dd, 1 H, J = 11.4, 12.6 Hz; H-3ax), 1.73-1.49 (m, 6H), 1 .26 (t, 1H, J = 7.2 Hz; CH3); ESI-MS Calcd for C 40 H 46 N 6 O 10 S[M-H]-801.29961, found 801.40626.

合成例7
 トリス-(1-ベンジルトリアゾール-4-イルメチ ル)アミン(12.5 mM、DMSO溶液、100μL)、硫酸銅(12 .5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、アスコルビン酸ナ リウム塩(12.5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、合成例1で得た化合 物1(250 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、N-(4-エチニルフェ ル)-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミ ド(N-(4-ethynylphenyl)-3,5-bis(trifluoromethyl)benzamide、 Maybridge社)(250 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、を順次混合し、室 で8時間攪拌した。ESI-MSにより反応の進行を 確認し、反応液を直接逆相HPLCにて精製し、5- アセタミド-3,5,9-トリデオキシ-9-(4-(4-(3,4-ビス (トリフルオロメチル)ベンズアミド)フェニル )-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-S-(4-ニトロフ ニル)-D-グリセオ-α-D-ガラクト-ノン-2-ウロ ラノソン酸(化合物10、下式)を得た(収量14 mg 、収率68%)。

 合成した化合物10の分析値を以下に示す。
1 H NMR (600 MHz, CD 3 OD) δ 8.58-7.80 (m, 10H, aromatic), 4.82 (m, 1H; H -9a), 4.45 (dd, 1H, J = 7.8, 14.4 Hz; H-9b), 4.12 (dd, 1H, J = 7.8, 9.0 Hz; H-8), 3.83 (dd, 1H, J = 7.2, 9.6 Hz; H-5), 3.71 (m, 1H; H-4), 3.45 (d, 1H, J = 10.2 Hz; H-6), 3.41 (d, 1H, J = 8.4 Hz;  H-7), 2.90 (dd, 1H, J = 4.8, 12.6 Hz; H-3eq), 1. 98 (s, 3H; Ac), 1.91 (t, 1H, J = 12.6 Hz; H-3ax);  ESI-MS Calcd for C 31 H 28 F 6 N 6 O 10 S[M-H]- 827.16483, found 827.27480.

合成例8
 合成例1で得た化合物3(20mg)を0.1規定水酸化 トリウム(0.5mL)溶かし、一時間浸透攪拌した 反応液をドライアイスで中和した後、濃縮 、Sephadex G-10(Pharmacia社)にて脱塩を行い、S-4 -ニトロフェニル N-アセチル-α-ノイラミン酸 (化合物11)をナトリウム塩として得た。(収量2 0 mg、収率99%)。

 合成した化合物12の分析値を以下に示す。
1 H NMR (600 MHz, D 2 O) δ 8.23 (m, 2H), 7.84 (m, 2H), 3.89 (m, 2H), 3 .76 (ddd, 1H, J = 4.8, 10.2, 11.4 Hz), 3.67 (m, 1 H), 3.62 (dd, 1H, J = 6.0, 11.4 Hz), 3.47 (m, 2H) , 2.97 (dd, 1H, J = 4.8, 12.6 Hz), 2.08 (s, 3H), 1.95 (dd, 1H, J = 11.4, 12.6 Hz)

合成例9
 トリス-(1-ベンジルトリアゾール-4-イルメチ ル)アミン(12.5 mM、DMSO溶液、100μL)、硫酸銅(12 .5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、アスコルビン酸ナ リウム塩(12.5 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、5-アセタミド-9-ア ド-3,5,9-トリデオキシ-2-O-メチル-D-グリセオ- -D-ガラクト-ノン-2-ウロピラノソン酸(文献(Te trahedron, 50, 7445-7460 (1994))に従い調製した。) (250 mM 、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、N-(4-エチニルフェ ル)-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミ ド(N-(4-ethynylphenyl)-3,5-bis(trifluoromethyl)benzamide、 Maybridge社)(250 mM、H 2 O:t-BuOH = 1:1溶液、100μL)、を順次混合し、室 で8時間攪拌した。ESI-MSにより反応の進行を 確認し、反応液を直接逆相HPLCにて精製し、5- アセタミド-3,5,9-トリデオキシ-9-(4-(4-(3,4-ビス (トリフルオロメチル)ベンズアミド)フェニル )-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-S-(4-ニトロフ ニル)-D-グリセオ-α-D-ガラクト-ノン-2-ウロ ラノソン酸(化合物12、下式)を得た(収量15 mg 、収率85%)。

実施例1~6
 合成例2~7で得た化合物5~10について、トリパ ノソ-マ・クルジ由来シアリダーゼ阻害活性 測定した。
 この試験においては、シアリダーゼとして トリパノソ-マ・クルジ由来シアリダーゼ(Bi ofisica Carlos Chagas Filho研究所のJose Osvaldo Pre viato教授から入手して、文献(J. Biol. Chem., 27 7, 45962-45968 (2002))に従って調製した。)を用 、基質として4-メチル-ウンベリフェリル 5- セチルノイラミン酸(4-MU NANA、Calbiochem社)を 用いた。
 シアリダーゼ阻害活性は以下の手順で行っ 。予め最終濃度が100 mMとなるように調製し たpH5の酢酸ナトリウムバッファー、最終の酵 素活性が0.0015 unit(1unitは1μモルのシアリルラ クトースを1分間に加水分解する酵素量)にな ように調製した酵素溶液、最終濃度が10μM 30μM、50μM、100μM、300μM、500μMとなるように 製した試験化合物の水溶液、及び最終濃度 3mM又は1mMとなるように調製した4-MU NANA水溶 液を順次混合し、30分間攪拌した後、5倍容の 100 mMのグリシンバッファー(pH 11)加えて反応 を停止し、励起波長365 nm、蛍光波長450 nmを イクロプレートリーダー(SpectraMax M5、Molecul ar Device社)にて行い、Dixon法(Biochem. J., 55, 17 0-171 (1953))により阻害定数Kiを測定した。

比較例1~2
 比較のため、合成例8~9で得た化合物11~12に いて、実施例1と同様の方法でシアリダーゼ 害活性を調べた。

 結果を下表に示す。
 本願発明のシアリダーゼ阻害剤は、顕著に リパノソ-マ・クルジ由来シアリダーゼの活 性を阻害した。これは、シアル酸の9位及び2 位の本願発明の置換基が、ノイラミニダー の活性阻害に極めて有効であったことを示 ている。

製剤例1
 以下の成分を含有する顆粒剤を製造する。
 成分   式(I)で示される化合物           10mg
      乳糖                   700m g
      コーンスターチ              274mg
      HPC-L                 16mg
      計                   1000mg
 式(I)で示される化合物と乳糖を60メッシュ ふるいに通す。コーンスターチを120メッシ のふるいに通す。これらをV型混合機にて混 する。混合末にHPC-L(低粘度ヒドロキシプロ ルセルロース)水溶液を添加し、練合、造粒 (押し出し造粒 孔径0.5~1mm)、乾燥工程する。 られた乾燥顆粒を振動ふるい(12/60メッシュ) で櫛過し顆粒剤を得る。

製剤例2
 以下の成分を含有するカプセル充填用顆粒 を製造する。
 成分   式(I)で示される化合物          15mg
      乳糖                   90mg
      コーンスターチ              42mg
      HPC-L                 3mg
      計                   150mg
 式(I)で示される化合物、乳糖を60メッシュ ふるいに通す。コーンスターチを120メッシ のふるいに通す。これらを混合し、混合末 HPC-L溶液を添加して練合、造粒、乾燥する。 得られた乾燥顆粒を整粒後、その150mgを4号硬 ゼラチンカプセルに充填する。

製剤例3
 以下の成分を含有する錠剤を製造する。
 成分   式(I)で示される化合物          10mg
      乳糖                   90mg
      微結晶セルロース              30mg
      CMC-Na               15mg
      ステアリン酸マグネシウム           5mg
      計                   150mg
 式(I)で示される化合物、乳糖、微結晶セル ース、CMC-Na(カルボキシメチルセルロース  トリウム塩)を60メッシュのふるいに通し、 合する。混合末にステアリン酸マグネシウ 混合し、製錠用混合末を得る。本混合末を 打し、150mgの錠剤を得る。

製剤例4
 以下の成分を加温混合後、滅菌して注射剤 した。
 成分   式(I)で示される化合物           3mg
      非イオン界面活性剤            15mg
      注射用精製水                 1ml

合成例1で合成した5-アセタミド-9-アジ -3,5,9-トリデオキシ-2-S-(4-ニトロフェニル)-D- グリセオ-α-D-ガラクト-ノン-2-ウロピラノソ 酸(化合物1)の製法を示す図である。