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Title:
SIDE MEMBER AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME AND METHOD FOR PRODUCING CLAD MEMBER FOR HEAT EXCHANGER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119653
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a side member from which a clad member for heat exchanger exhibiting excellent productivity and corrosion resistance while preventing poor adhesion can be produced in production of a clad member for heat exchanger by controlling the surface state and flatness, a method for producing the side member, and a method for producing a clad member for a heat exchanger by using the side member. A side member (A) consists of a core material and one or more layers of side member (A) applied onto one side or both sides thereof and being used in a clad member for a heat exchanger, wherein a plurality of periodic forms (B) of fine groove which become arcuate toward one direction of the side member (A) is formed on the surface of the side member (A). The periodic form (B) of fine groove extends up to the outer circumferential edge of the side member (A) with a radius of curvature of 800-1500 mm and has a period (D) of 1-8 mm in the above-mentioned direction of the side member (A) and surface roughness of the side member (A) in the above-mentioned direction of 1-15 μm in 10-point average roughness (Rz).

Inventors:
UEDA TOSHIKI (JP)
TOKUDA KENJI (JP)
NISHIOKA YASUHIRO (JP)
KUNII HIROSHI (JP)
HAKUYA HIDEAKI (JP)
SHIKATA JITSUTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055932
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 25, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KOBE STEEL LTD (JP)
UEDA TOSHIKI
TOKUDA KENJI
NISHIOKA YASUHIRO
SHIKATA JITSUTO
KUNII HIROSHI
HAKUYA HIDEAKI
International Classes:
F28F21/08; B23K35/22; C22C21/00; C22F1/00; C22F1/04
Foreign References:
JP2007260770A2007-10-11
JPS63130281A1988-06-02
JPH05245655A1993-09-24
JPH04182122A1992-06-29
Other References:
See also references of EP 2259002A4
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (JP)
Mitsuo Tanaka (JP)
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Claims:
芯材とその片面または両面に重ね合わされた1層以上の側材とからなる熱交換器用クラッド材に使用される前記側材であって、
前記側材の少なくとも片面の表面に、前記側材の一方向に向かって円弧形状となる微細溝周期形態が複数形成され、前記微細溝周期形態は、800~1500mmの曲率半径で前記側材の外周縁まで延びると共に、前記側材の前記方向に1~8mmの周期を有し、かつ、
前記側材の前記方向の表面粗さが、十点平均粗さ(Rz)において1~15μmであることを特徴とする側材。
前記側材の前記方向1m当たりの平坦度が1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の側材。
前記側材の厚さが10~250mmであることを特徴とする請求項1に記載の側材。
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の側材の製造方法であって、
前記芯材とは成分組成の異なる側材用金属を溶解する溶解工程と、
前記溶解工程で溶解された側材用金属を鋳造して側材用鋳塊を製造する鋳造工程と、
前記側材用鋳塊を所定厚さにスライスするスライス工程と、
前記スライスされた所定厚さのスライス材の表面に、表面平滑化処理を行う表面平滑化処理工程とをこの順に行うことを特徴とする側材の製造方法。
前記スライス工程において、前記側材用鋳塊を、水平に設置されている前記側材用鋳塊の設置面に対し平行にスライスすることを特徴とする請求項4に記載の側材の製造方法。
前記鋳造工程の後で、かつ、前記スライス工程の前に、鋳造された側材用鋳塊に、さらに均質化熱処理を行う均質化熱処理工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の側材の製造方法。
前記表面平滑化処理を、切削法、研削法および研磨法から選択された1種以上の方法で行うことを特徴とする請求項4に記載の側材の製造方法。
芯材とその片面または両面に重ね合わされた1層以上の側材とからなる熱交換器用クラッド材の製造方法であって、
前記側材の少なくとも1層が、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の側材であり、
前記側材と、この側材を重ね合わせるための芯材とを準備する準備工程と、
前記芯材および前記側材を所定配置に重ね合わせて重ね合わせ材とする重ね合わせ工程と、
前記重ね合わせ材に均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、
前記均質化熱処理工程の後に熱間圧延を行う熱間圧延工程と、
前記熱間圧延工程の後に冷間圧延を行う冷間圧延工程とを含むことを特徴とする熱交換器用クラッド材の製造方法。
Description:
側材およびその製造方法並びに 交換器用クラッド材の製造方法

本発明は、自動車等の熱交換器に用いられ る熱交換器用クラッド材(ブレージングシー )に使用される側材(side material)およびその製 造方法並びに熱交換器用クラッド材の製造方 法に関する。

一般に、自動車用のインタークーラー、オイ ルクーラー、ラジエーター、コンデンサー、 エバポレーター、ヒーターコア等に用いられ る熱交換器用クラッド材は、側材が圧延、ま たは、鋳塊からスライスされて使用されてい る。
例えば、特許文献1には、従来の一般的な熱 換器用クラッド材の製造方法が以下のよう 記載されている。まず、芯材用アルミニウ 合金、側材(特許文献1では、犠牲陽極材およ びろう材)用アルミニウム合金を連続鋳造に り溶解、鋳造し、必要に応じて均質化熱処 (homogenized heat treatment)する(表面平滑化処理( surface smoothing heat treatment)を行う場合もある )。また、側材用アルミニウム合金の鋳塊に いては、それぞれ所定厚さまで熱間圧延す (図7のS11a、S11b参照、溶解は溶解工程、鋳造 鋳造工程、表面平滑化処理は面削工程、均 化熱処理は均熱工程、熱間圧延は熱間圧延 程と記載する)。

ついで、芯材用アルミニウム合金鋳塊(芯材) 、側材用熱間圧延板(側材)を重ね合わせて 常法に従って熱間圧延(クラッド熱延)により クラッド材とする(図7のS12、S13参照、重ね合 せは重ね合わせ工程、熱間圧延は熱間圧延 程と記載する)。また、特許文献2には、熱 換器用クラッド材に用いる側材として、鋳 からスライスされた所定の厚さの側材を用 、さらに、この側材に表面平滑化処理を行 ことが記載されている。

特開2005-232507号公報(段落0037、0039、0040)

特開2007-260769号公報(段落0027~0040)

しかし、このような従来のクラッド材に用い る側材、または、その製造方法、あるいはク ラッド材の製造方法においては、以下に示す 問題がある。
(1)側材として熱間圧延板を使用すると、クラ ッド材の製造工程が多く、また、熱間圧延の 回数が多くなり、生産性が低下するという問 題がある。

(2)芯材用鋳塊はフライス盤等により面削処 理されることが多く、その表面は面削加工面 である。一方、側材用熱間圧延板は、圧延方 向に沿って生じる圧延目が形成されたロール 加工面である。したがって、芯材用鋳塊と、 側材用熱間圧延板とでは、その表面状態が異 なり、両者を重ね合わせてクラッド熱延した 際に、芯材と側材との密着不良が生じやすい という問題がある。そして、芯材と側材の密 着性を向上させるためには、クラッド熱延に おいて軽圧下での多パス圧延が必要となり、 クラッド熱延での生産性が低下することとな る。

(3)側材として熱間圧延板を使用すると、圧延 板の表面状態および平坦度(特に長手方向の 坦度)の制御は圧延ロールのみで行うことに り、また、熱間圧延により圧延板表面に厚 酸化皮膜が形成されるため、表面状態およ 平坦度の制御が困難であり、芯材と側材と 密着不良が防止できないという問題がある
(4)側材として、鋳塊からスライスしたスライ ス板を使用する場合、平坦度や、酸化皮膜厚 の制御等により表面状態を制御した場合でも 、スライスや表面平滑化処理による表面の微 細な溝の形状や表面粗さ等の規定による表面 状態(表面形態)の制御が不十分であると、依 として部分的な密着不良が残るという問題 ある。

(5)芯材と側材との密着不良が生じると、ク ラッド材の生産性の低下の問題と共に、所定 のクラッド率が得られないという問題、フク レ(bulge)等の品質異常が発生するという品質 下の問題、さらには、密着不良によって耐 性が低下するという問題も発生する。

本発明は、前記課題に鑑みてなされたもの であり、その目的は、表面状態および平坦度 が制御され、熱交換器用クラッド材の製造に おいて、密着不良が生じにくく、生産性、耐 食性に優れた熱交換器用クラッド材を製造す ることができる側材およびその製造方法、並 びに、この側材を用いた熱交換器用クラッド 材の製造方法を提供することにある。

前記課題を解決するため、請求項1の側材 、芯材とその片面または両面に重ね合わさ た1層以上の側材とからなる熱交換器用クラ ド材に使用される前記側材であって、前記 材の表面に、前記側材の一方向に向かって 弧形状となる微細溝周期形態が複数形成さ 、前記微細溝周期形態は、800~1500mmの曲率半 径で前記側材の外周縁まで延びると共に、前 記側材の前記方向に1~8mmの周期を有し、かつ 前記側材の前記方向の表面粗さが、十点平 粗さ(Rz)において1~15μmであることを特徴と る。

このような側材によれば、側材の表面に所 定形状の微細溝周期形態が複数形成されてい るため、熱交換器用クラッド材の製造におけ る芯材との圧着時に、芯材や各側材(側材が 数ある場合)との間に存在する空気が微細溝 期形態を介して効率よく排出され、密着性 向上する。また、側材の表面粗さを所定の 囲に規定することで、芯材や各側材との間 隙間が形成されにくく、密着性が向上する また、これらにより、圧着性(ここでは、圧 延による圧着のしやすさをいう)が向上し、 着パス数(熱間圧延の回数)が減少する。

 請求項2の側材は、前記方向1m当たりの平坦 が1mm以下であることを特徴とする。
このような側材によれば、平坦度を所定値以 下に制御することで、平坦性がより向上し、 芯材や各側材との密着性がより向上する。ま た、圧着性がより向上し、圧着パス数が減少 する。

請求項3の側材は、厚さが10~250mmであることを 特徴とする。
このような側材によれば、厚さを所定の範囲 に規定することで、熱交換器用クラッド材の クラッド率が適切に調整される。

請求項4の側材の製造方法は、請求項1ない 請求項3のいずれか一項に記載の側材の製造 方法であって、前記芯材とは成分組成の異な る側材用金属を溶解する溶解工程と、前記溶 解工程で溶解された側材用金属を鋳造して側 材用鋳塊を製造する鋳造工程と、前記側材用 鋳塊を所定厚さにスライスするスライス工程 と、前記スライスされた所定厚さのスライス 材の表面に、表面平滑化処理を行う表面平滑 化処理工程とをこの順に行うことを特徴とす る。

このような製造方法によれば、側材をスラ イスおよび表面平滑化処理して製造するため 、側材の表面状態および平坦度を容易に制御 でき、酸化皮膜厚が減少すると共に、表面に 所定形状の微細溝周期形態が形成され、かつ 表面粗さが所定の範囲に規定される。また、 熱交換器用クラッド材の製造における芯材と の圧着時に、芯材や各側材との間に存在する 空気が効率よく排出され、密着性が向上する 。また、圧着性が向上し、圧着パス数が減少 する。さらに、熱交換器用クラッド材の製造 において、側材用部材としてスライスした側 材を使用するため、従来の熱交換器用クラッ ド材のように熱間圧延によって側材用部材の 厚さを減少させる必要がなくなる。これによ り、従来に比べて熱間圧延の回数(圧着パス )が減少し、作業工程が省略化される。

請求項5の側材の製造方法は、前記スライス 程において、前記側材用鋳塊を、水平に設 されている前記側材用鋳塊の設置面に対し 行にスライスすることを特徴とする。
このような製造方法によれば、スライスの際 に生じる切断塊(スライス塊)の自重、形状に る変位(例えば、切断塊が倒れようとする力 等)の影響が極小化され、スライスされた側 の平坦性が向上し、芯材や各側材との密着 が向上する。また、圧着性が向上し、圧着 ス数が減少する。

請求項6の側材の製造方法は、前記鋳造工程 後で、かつ、前記スライス工程の前に、鋳 された側材用鋳塊に、さらに均質化熱処理 行う均質化熱処理工程を含むことを特徴と る。
このような製造方法によれば、側材用鋳塊の 内部応力が除去され、スライスされた側材の 平坦性が向上し、芯材や各側材との密着性が 向上する。また、圧着性が向上し、圧着パス 数が減少する。

請求項7の側材の製造方法は、前記表面平滑 処理を、切削法、研削法および研磨法から 択された1種以上の方法で行うことを特徴と る。
このような製造方法によれば、側材の表面状 態および平坦性が向上し、芯材や各側材との 密着性が向上する。また、圧着性が向上し、 圧着パス数が減少する。

請求項8の熱交換器用クラッド材の製造方 は、芯材とその片面または両面に重ね合わ れた1層以上の側材とからなる熱交換器用ク ッド材の製造方法であって、前記側材の少 くとも1層が、請求項1ないし請求項3のいず か一項に記載の側材であり、前記側材と、 の側材を重ね合わせるための芯材とを準備 る準備工程と、前記芯材および前記側材を 定配置に重ね合わせて重ね合わせ材とする ね合わせ工程と、前記重ね合わせ材に均質 熱処理を行う均質化熱処理工程と、前記均 化熱処理工程の後に熱間圧延を行う熱間圧 工程と、前記熱間圧延工程の後に冷間圧延 行う冷間圧延工程とを含むことを特徴とす 。

このような製造方法によれば、側材用部材 として、表面状態および平坦度が制御された 側材を用いるため、芯材に側材を重ね合わせ る際に、芯材や各側材との間に隙間が形成さ れにくく、また、芯材との圧着時に、芯材や 各側材との間に存在する空気が微細溝周期形 態を介して効率よく排出され、密着性が向上 する。また、熱間圧延工程において、圧着パ ス数を減らすことができ、歩留り、生産性が 向上する。これらにより、熱交換器用クラッ ド材の生産性、耐食性が向上する。

本発明の請求項1に係る側材によれば、側 の表面状態および平坦度が制御されている め、熱交換器用クラッド材の製造において 密着不良が生じにくく、フクレ等の不良を 減させることができる。また、圧着性が向 するため、圧着パス数を減少させることが きる。これらにより、生産性、耐食性に優 た熱交換器用クラッド材が製造できる。

請求項2に係る側材によれば、芯材や各側 との間に隙間が形成されにくく、密着性お び圧着性がさらに向上する。請求項3に係る 材によれば、側材の厚さを規定したので、 切なクラッド率を有する熱交換器用クラッ 材が製造できる。

本発明の請求項4に係る側材の製造方法に れば、側材の表面状態および平坦度を容易 制御でき、酸化皮膜厚を減少させると共に 側材の表面状態を所定に規定することがで る。そのため、熱交換器用クラッド材の製 において、密着不良が生じにくく、フクレ の不良を低減させることができる。また、 着性が向上するため、圧着パス数を減少さ ることができる。さらに、熱間圧延によっ 製造したものではないため、熱間圧延によ て側材用部材の厚さを減少させる必要がな 、また、熱交換器用クラッド材の製造にお て、従来の熱間圧延によって製造した側材 使用する場合に比べて熱間圧延の回数が減 し、作業工程の省略化を図ることができる これらにより、生産性、耐食性に優れた熱 換器用クラッド材が製造できる。

請求項5に係る側材の製造方法によれば、 坦性がより向上した側材を得ることができ 芯材との密着性および圧着性がより向上す ため、密着不良がより一層生じにくい。請 項6に係る側材の製造方法によれば、側材用 塊に均質化熱処理を行うことで、スライス れた側材の平坦性がより向上するため、密 不良がより一層生じにくい。

請求項7に係る側材の製造方法によれば、 材の表面平滑化処理を、切削法、研削法お び研磨法から選択された1種以上の方法で行 ことで、側材の表面状態および平坦性が向 し、密着不良がより一層生じにくい。

請求項8に係る熱交換器用クラッド材の製 方法では、側材用部材として、前記の方法 より製造した側材を使用するので、側材用 材の表面状態および平坦度が制御されてお 、密着不良が生じにくく、耐食性に優れた 交換器用クラッド材が製造できる。また、 造コストの低い熱交換器用クラッド材を製 することができる。

(a)~(f)は、本発明に係る熱交換器用クラ ッド材の構成を示す断面図である。 本発明に係る側材の表面状態を説明す ための模式図であり、(a)、(b)は、微細溝周 形態の形状を説明するための模式図、(c)は (a)、(b)のXX線における断面の一部を示す模 図である。 (a)、(b)は、本発明に係る熱交換器用ク ッド材の製造方法のフローを示す図である 側材鋳造工程または芯材鋳造工程の概 を示す模式図である。 (a)、(b)は、側材のスライス方法の概略 示す模式図である。 (a)は、重ね合わせ材の構成を示す模式 、(b)は、熱間圧延工程の概略を示す模式図 ある。 従来の熱交換器用クラッド材の製造方 のフローを示す図である。

符号の説明

S1a 側材製造工程
S1b 芯材製造工程
S2 重ね合わせ工程
S3 均質化熱処理工程
S4 熱間圧延工程
S5 冷間圧延工程
1a、1b、1c、1d、1e、1f 熱交換器用クラッド材
2 芯材
3 ろう材
4 犠牲材
5 中間材
17 側材用鋳塊
25 芯材用鋳塊
26 芯材
35 側材
35a 設置面
40 重ね合わせ材
A 側材
B 微細溝周期形態
C 微細溝
D 周期
F 外周縁

次に、図面を参照して本発明に係る側材お よびその製造方法並びに熱交換器用クラッド 材の製造方法について詳細に説明する。

≪側材≫
側材は、芯材(core material)とその片面または 面に重ね合わされた1層以上の側材(side materi al)とからなる熱交換器用クラッド材に使用さ れるものである。まず、側材を用いた熱交換 器用クラッド材の構成について説明する。
<熱交換器用クラッド材の構成>
熱交換器用クラッド材の側材の層数は何ら限 定されることはない。例えば、図1(a)に示す うに、芯材2の片面に1つのろう材3をクラッ した2層の熱交換器用クラッド材1a、図1(b)に すように、芯材2の両面にろう材3を1つずつ ラッドした3層の熱交換器用クラッド材1b、 1(c)に示すように、芯材2の片面にろう材3と 芯材2の他面に犠牲材4を1つずつクラッドし 3層の熱交換器用クラッド材1c、図1(d)に示す ように、芯材2の片面に中間材5、ろう材3をク ラッドした3層の熱交換器用クラッド材1d、図 1(e)に示すように、芯材2の片面に中間材5、ろ う材3と、芯材2の他面に犠牲材4をクラッドし た4層の熱交換器用クラッド材1e、図1(f)に示 ように、芯材2の両面に中間材5、ろう材3を ラッドした5層の熱交換器用クラッド材1f等 挙げることができる。
しかしながら、図示しないが、さらに側材( う材、犠牲材、中間材)の層数を増やした6層 以上の熱交換器用クラッド材にも好適に適用 することが可能であることはいうまでもない 。

次に、側材の表面状態について説明する。
図2(a)~(c)に示すように、側材A(A1、A2)は、その 表面に、側材Aの長手方向に向かって円弧形 となる微細溝周期形態(fine groove periodic conf iguration)Bが複数形成されている。そして、こ 微細溝周期形態Bは、800~1500mmの曲率半径Rで 材Aの外周縁Fまで延びると共に、側材Aの長 方向に1~8mmの周期Dを有している。さらに、 材Aは、その長手方向の表面粗さが、十点平 均粗さ(Rz)において1~15μmである。なお、側材A の表面状態は、後記するように、表面平滑化 処理において、円盤装置の円盤の回転速度や 送り速度等を適宜調整することにより制御す る。

なお、微細溝周期形態Bとは、図2(c)に示す うに、1箇所の微細溝Cの部分の形態を含む 期Dの形態のことをいう。すなわち、周期Dの 部分が1周期の微細溝周期形態Bということに る。また、微細溝Cの部分の形態としては、 微細溝Cの部分に、細かい溝が複数形成され ようなものも含むものである(図示省略)。ま た、微細溝Cの部分の形態は、表面平滑化処 の際の切削痕、研削痕、研磨痕等のような のである。なお、図2(c)は、便宜上、縦方向 拡大されている模式図である。

なお、クラッドの初期圧着段階で、空気が 微細溝周期形態Bから排出された後、熱間圧 によって微細溝周期形態Bが自体もつぶれな ら、側材と芯材が一体となる。そのため、 細溝周期形態Bにより、クラッド材に不具合 が生じることはない。

また、長手方向とは、後記する熱交換器用 クラッド材の製造において、側材Aが芯材と ね合わされて熱間圧延される際の圧延方向 ある。さらに、「側材Aの長手方向に向かっ 円弧形状となる」とは、すべての微細溝周 形態Bが、側材Aの長手方向のどちらか一方 向かって、同一の方向に円弧形状となって ることを意味する。このように、側材Aが芯 と重ね合わされて熱間圧延される前の、側 Aが単独で存在する時には、長手方向は未定 である。微細溝周期形態Bの方向に応じて、 2に示されるように圧延方向を決めることに る。

微細溝周期形態Bの曲率半径Rおよび周期Dを 所定値に規定することで、熱交換器用クラッ ド材の製造おける芯材との圧着時に、芯材や 各側材との間に存在する空気が、微細溝周期 形態Bを介して効率よく排出される。また、 面粗さを所定値に規定することで、芯材や 側材との間に隙間が形成されにくくなる。 のため、密着性が向上し、フクレ等の不良 低減させることができると共に、圧着性が 上し、圧着パス数を減少させることができ 。

微細溝周期形態Bを設ける必要があるのは 側材の両面のうち、少なくとも芯材とクラ ドされる側の面である。クラッドされない の面(すなわち圧着圧延時の一番外側表面)に は不要であるが、その面に微細溝周期形態B 設けられていても特に悪い作用は無い。4層 や、5層材の中間層の場合でも、少なくとも 芯材とクラッドされる側の面に微細溝周期形 態Bを設ける必要があり、芯材と反対側の面 は不要である。芯材と反対側の面に微細溝 期形態Bが設けられていても特に悪い作用は い。

<微細溝周期形態の曲率半径:800~1500mm>
微細溝周期形態Bの曲率半径Rが800mm未満であ と、後記する熱交換器用クラッド材の製造 おける熱間圧延工程での空気の残存が局所 し、密着性、圧着性の向上効果が不十分と る。一方、1500mmを超えると、空気の排出さ る距離が長くなりすぎ、密着性、圧着性の 上効果が不十分となる。
したがって、微細溝周期形態Bの曲率半径Rは 800~1500mmとする。
なお、好ましくは900~1300mmである。なお、微 溝周期形態Bは、側材Aの外周縁Fまで延びる のである。すなわち、側材Aの外周縁Fにむけ て、断裂することなく連続して形成されてい る。
微細溝周期形態Bの曲率半径が非常に大きく 溝が直線状に近くなった場合、前述のよう 圧延時の方向(長手方向)を設定すると、溝は 圧延方向と略直角方向延びるような形になる 。その場合、溝に沿って空気を排出する(圧 ロールの圧下によって押し出される)力が働 難くなる。曲率半径Rの上限値は、このよう な観点で設けられている。
曲率半径Rの測定は、例えば、微細周期形態 写真撮影し、写真上または写真画像が処理 能なモニター上で相当する円弧の曲率を、 率を考慮して測定することができる。

<微細溝周期形態の周期:1~8mm>
ここでの微細溝周期形態Bの周期Dが1~8mmとは 微細溝周期形態Bの周期Dにおいて、どの箇所 においても、長手方向の周期Dが略一定値で り、その数値が、1~8mmの範囲であることをい う。
微細溝周期形態Bの周期Dが1mm未満であると、 気の排出通路が確保できなくなり、空気を 分に排出できない。一方、8mmを超えると、 細溝周期形態Bの数が少なくなり、芯材や各 側材との間に残存する空気が増大し、フクレ の発生が増える。
したがって、微細溝周期形態Bの周期Dは、1~8m mとする。なお、好ましくは、2~7mmである。

また、微細溝周期形態Bの円弧形状は、図2(a) 示すように、円弧の中心が、側材Aの幅方向 中心の位置にくるようにしてもよく、図2(b) 示すように、円弧の中心が、側材Aの幅方向 心からどちらかの側にずれた位置にくるよ にしてもよい。
周期の測定は、例えば、微細周期構造を有す る側材の表面の円弧形状を樹脂上に転写させ たレプリカを作成し、該樹脂を後記の十点平 均粗さの測定方法と同様にして表面粗さを測 定することにより行うことができる。

このような微細溝周期形態Bの形状は、後記 るスライス材の表面平滑化処理により制御 ることができる。
微細溝周期形態Bを、図2(a)のような形状とす には、後記するように、例えば、表面平滑 処理方法として切削法、研削法、研磨法等 用いる際に、これらの方法を回転する円盤 置と組み合わせて行い、その際、鋳塊(スラ イス材)の長手方向に水平に、かつ、回転円 装置の中心が鋳塊幅方向中心となるように 滑化処理を行う。また、図2(b)のような形状 するには、前記のように表面平滑化処理を う際、鋳塊の長手方向に水平に、かつ、回 円盤装置の中心を鋳塊幅方向中心から、ど らかの側にずらして表面平滑化処理を行う なお、この場合、側材Aの両端部は、側材A 寸法により、微細溝周期形態Bが長手方向の で途切れるが、この両端部の微細溝周期形 Bにおいても、長手方向に向かって円弧形状 に形成されているといえる。

<十点平均粗さ(Rz):1~15μm>
側材Aは、その長手方向の表面粗さが、十点 均粗さ(ten points mean roughness; Rz)において1~1 5μmである。十点平均粗さ(Rz)が1μm未満である と、空気の排出通路が十分確保されない。一 方、15μmを超えると、熱交換器用クラッド材 密着不良が発生しやすくなる。したがって 表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)において1~15μ mとする。なお、好ましくは、3~14μmである。 こで規定している十点平均粗さ(Rz)において は、微細溝Cも含めた形状が反映される。す わち、ここで言う表面粗さにおいては、微 溝Cが主として寄与することになる。

なお、十点平均粗さの測定は、例えば、「JIS 規格 B0601表面粗さ」に基づき、小坂研究所(K osaka Laboratory Ltd.)製の表面粗さ測定器(サー コーダ(SURFCORDER) SE-30D)を使用して、基準長 25mmで測定することにより行うことができる また、側材Aの表面の微細溝周期形態Bが形 された箇所の少なくとも2周期以上分の長さ 含んで測定する。すなわち、微細溝Cも含ん で測定するものである。
このような表面粗さの規定は、後記するスラ イス材の表面平滑化処理により制御すること ができる。

さらに、側材Aの長手方向1m当たりの平坦度は 、1mm以下が好ましく、側材Aの厚さ(側材1層の 厚さ)は、10~250mmが好ましい。
<平坦度:1mm以下>
平坦度が1mmを超えると、熱交換器用クラッド 材に密着不良が発生しやすくなる。
したがって、平坦度は、1mm以下が好ましく、 0.5mm以下がより好ましい。
平坦度の測定は、例えば、1mの金尺を側材の 手方向が1mとなるように当て、生じた隙間 すきまゲージを用いて測定することができ 。

<厚さ:10~250mm>
 厚さが10mm未満の場合、側材と芯材を圧着す る際に、側材が薄すぎることにより、側材自 体に波打ちのような不均一な変形が発生し、 クラッド厚さが変動しやすくなり、クラッド 率の変化が増大してしまう。一方、厚さが250 mmを超える場合には、圧着する際に圧延ロー で側材を押す荷重が、側材と芯材の圧着界 に十分到達しなくなる。その結果、圧着状 が不均一となるため、側材部の圧延時の伸 が圧着状態の不均一に対応して変化し、ク ッド率の変動が増大する要因となる。
 そのため、厚さが前記範囲外であると、熱 換器用クラッド材のクラッド率が不適切な のとなりやすい。さらに、密着不良を生じ 場合もある。
したがって、厚さは、10~250mmが好ましく、20~2 00mmがより好ましい。

なお、熱交換器用クラッド材の製造の際、 側材Aを熱間圧延工程で圧着する場合に、圧 される相手側の材料(芯材、または、中間層 必要な場合は別の側材)の表面状態は特に規 定しなくとも、密着性、圧着性の向上効果が 発揮される。

また、圧着される相手側の材料(芯材、ま は、中間層が必要な場合は別の側材)が本発 の側材Aと同様の表面状態を有する場合には 、圧着時の空気の排出効果がより増大し、さ らに密着性、圧着性の向上効果が得られ、フ クレの低減の効果が得られる。よって、圧着 される相手側の材料が、中間層用の側材の場 合、表面平滑化処理により本発明の側材と同 様の表面状態とすることが好ましい。また、 圧着される相手側の材料が芯材の場合、本発 明の側材と同様に表面平滑化処理を行うこと により、本発明の側材と同様の表面状態とす ることが好ましい。

なお、熱交換器用クラッド材の製造の際、 側材Aを熱間圧延工程で圧着する場合に、圧 時の熱間圧延の方向を図2(a)、(b)に示す圧延 向となるように熱間圧延することにより、 も密着性、圧着性の向上効果が得られる。

≪側材の製造方法(側材製造工程)≫
側材の製造方法は、図3(a)、(b)に示すように 側材製造工程S1aにより、前記側材を製造す ものである。
この側材製造工程S1aは、溶解工程と、鋳造工 程と、スライス工程と、表面平滑化処理工程 (図3では面削工程と記載する)と、を備えるも のである。
なお、必要に応じて、鋳造工程の後で、かつ 、前記スライス工程の前に、均質化熱処理工 程(図3では均熱工程と記載する)を備えてもよ い。

(溶解工程)
溶解工程は、芯材とは成分組成の異なる側材 用金属を溶解する工程である。
側材用金属として、熱交換器用クラッド材が ろう材を備えるときに(図1の1a~1f参照)、ろう 用として、4000系のAl-Si系アルミニウム合金 用いることができる。ここで、Al-Si系合金 は、Siの他に、Znを含有した合金も含むもの ある。Al-Si系合金としては、例えば、Al-7~13 量%Si系合金、またはAl-7~13質量%Si-2~7質量%Zn 合金等を用いることができるが、これらに 定されるものではなく、ろう材として用い れる合金であれば、全て適用することがで る。

側材用金属として、熱交換器用クラッド材 が犠牲材を備えるときに(図1の1c、1e参照)、 牲材用として、3000系のAl-Mn系アルミニウム 金または7000系のAl-Zn-Mg系アルミニウム合金 用いることができ、さらに、Al-Zn系合金を用 いることができる。ここで、Al-Zn系合金とは Znの他に、Mn、Siを含有した合金も含むもの ある。Al-Zn系合金としては、例えば、Al-1~7 量%Zn系合金、Al-0.5~1.2質量%Mn-0.5~1.2質量%Si-2~6 量%Zn系合金、Al-0.8~1.2質量%Si-2~6質量%Zn系合 を用いることができるが、これらに限定さ るものではなく、犠牲材として用いられる 金であれば、全て適用することができる。

側材用金属として、熱交換器用クラッド材が 中間材を備えるときに(図1の1d~1f参照)、中間 用として、1000系の純アルミニウムまたは700 0系のAl-Zn-Mg系アルミニウム合金等を用いるこ とができ、さらに、Al-Mn系合金を用いること できる。ここで、Al-Mn系合金とは、Mnの他に 、Cu、Si、Tiを含有した合金も含むものである 。Al-Mn系合金としては、例えば、Al-0.5~1.2質量 %Mn-0.5~1.2質量%Cu-0.5~1.2質量%Si系合金、Al-0.5~1.2 量%Mn-0.5~1.2質量%Cu-0.5~1.2質量%Si-0.05~0.3質量%Ti 系合金を用いることができるが、これらに限 定されるものではなく、中間材として用いら れる合金であれば、全て適用することができ る。
前記した金属の成分組成の調整は、用いる熱 交換器用クラッド材の用途等に応じて適宜決 めることができる。

(鋳造工程)
鋳造工程は、溶解工程で溶解された側材用金 属を鋳造して側材用鋳塊を製造する工程であ る。
鋳造方法としては、半連続鋳造法を用いるこ とができる。
半連続鋳造法は、図4に示すような鋳造装置10 が用いられ、底部が開放された金属製の水冷 鋳型11に、上方より金属(ここでは側材用金属 )の溶湯Mを注入し、水冷鋳型11の底部より凝 した金属を連続的に取り出し、所定厚さT 1 の側材用鋳塊17を得るものである。このとき 溶湯Mは、桶12から、ノズル13、フロート14お よびグラススクリーン15を介して、水冷鋳型1 1に供給される。水冷鋳型11に供給された溶湯 Mは、冷却水Wで冷却された水冷鋳型11の内壁 に接することにより凝固し凝固殻16となる。 さらに、水冷鋳型11の下部から冷却水Wが、直 接、凝固殻16の表面に噴射され、連続的に側 用鋳塊17が製造される。

ここで、側材用鋳塊17の厚さT 1 は、200~700mmが好ましい。また、側材用鋳塊17 幅、長さは特に限定されるものではないが 生産性を考慮すると、幅1000~2500mm、長さは30 00~10000mmが好ましい。
なお、半連続鋳造法は、縦向き、横向きのど ちらで行ってもよい。

(スライス工程)
スライス工程は、側材用鋳塊を所定厚さにス ライスする工程である。
スライス方法としては、スラブスライス法を 用いることができる。
スラブスライス法は、図5(a)に示すように、 記した半連続鋳造法で製造した側材用鋳塊17 を、図示しない帯鋸切断機等によってスライ スすることによって、所定厚さT 2 の側材35(スライス材)が製造される。ここで 側材35の厚さT 2 は、表面平滑化処理後に、10~250mmとなる厚さ 好ましく、20~200mmとなる厚さがより好まし 。厚さT 2 が前記範囲外であると、熱交換器用クラッド 材のクラッド率が不適切なものとなりやすい 。また、図5(b)に示すように、側材用鋳塊17を 、水平に設置されている側材用鋳塊の設置面 35aに対し、平行にスライスするのが好ましい 。
ここで、設置面35aとは、側材用鋳塊17のスラ ス装置の設置台に接する面のことである。
このようにすることにより、スライスの際に 生じる切断塊(スライス塊)の自重、形状によ 変位(例えば、切断塊が倒れようとする力等 )の影響が極小化され、スライスされた側材35 の平坦性がより向上する。
スライスの方法としては、丸鋸切断機により 切断してもよく、また、レーザーや水圧等に より切断してもよい。

(表面平滑化処理工程)
表面平滑化処理工程は、スライスされた所定 厚さの側材(スライス材)の表面に、表面平滑 処理を行う工程である。
前記スライスした所定厚さの側材35(スライス 材)は、芯材と重ね合わせる前に、側材の表 状態や平坦度を制御するため、また、表面 形成された晶出物や酸化物を除去するため 表面平滑化処理を行う。
表面平滑化処理法としては、エンドミル切削 やダイヤモンドバイト切削等の切削法、表面 を砥石等で削る研削法、バフ研磨等の研磨法 等を用いることができるが、これらに限定さ れるものではない。

なお、表面平滑化処理において、例えば、 これらのエンドミル切削やダイヤモンドバイ トによる切削法、砥石等で削る研削法、バフ 研磨等の研磨法等を用いる際に、回転する円 盤状の装置と組み合わせて、切削、研削、研 磨等を行うことで、本発明の側材の表面状態 を得ることができる。その際、円盤の回転速 度、および、スライス材上での円盤の送り速 度を制御することで、所望の微細溝周期形態 Bを有する表面状態が得られる。

このように、側材用鋳塊17のスライス後に 面平滑化処理を施すことにより、その表面 、側材の長手方向に向かって円弧形状とな 、800~1500mm、好ましくは900~1300mmの曲率半径 側材の外周縁まで延びると共に、長手方向 1~8mm、好ましくは、2~7mmの周期を有して複数 成された微細溝周期形態Bを有する側材35を ることができる。さらに、長手方向の表面 さが、十点平均粗さ(Rz)において1~15μm、好 しくは、3~14μm、平坦性の評価において、長 方向1m当たりの平坦度を1mm以下、好ましく 0.5mm以下とする側材35を得ることができる。

また、このような側材35を用いることにより 外面耐食性の試験としてCASS試験(塩水噴霧 験:JIS Z 2371)を1500時間、内面耐食性の試験 して浸漬試験(Na +  :118ppm、Cl - :58ppm、SO 4   2-  :60ppm、Cu 2+  :1ppm、Fe 3+  :30ppm)を80℃で2000時間行った後、試験後の腐 食深さが60μm以下となる熱交換器用クラッド となる。

(均質化熱処理工程)
均質化熱処理工程は、鋳造された側材用鋳塊 に、さらに均質化熱処理を行う工程である。
図3(b)に示すように、前記鋳造方法で鋳造さ た側材用鋳塊17に、適宜必要に応じて、側材 用鋳塊17をスライスする前に、均質化熱処理 程により、内部応力の除去のための均質化 処理を行ってもよい。均質化熱処理を行う とにより、側材用鋳塊17の内部応力が除去 れ、スライスされた側材35の平坦性がより向 上する。ここで均質化熱処理の温度、時間は 特に限定されるものではないが、処理温度は 、350~600℃、処理時間は1~10時間とするのが好 しい。

均質化熱処理の処理温度が350℃未満である と、内部応力の除去量が小さく、鋳造中に偏 析した溶質元素の均質化も不十分となり、敢 えて熱処理を施した効果は小さい。一方、処 理温度が600℃を超えると、鋳塊表面の一部が 溶解するバーニングと呼ばれる現象が生じ、 熱交換器用クラッド材の表面欠陥の原因にな りやすい。また、処理時間が1時間未満であ と、内部応力の除去効果が小さく、また均 化が不十分となりやすい。なお、処理時間 、生産性を考慮すると10時間以下が好ましい 。

≪熱交換器用クラッド材の製造方法(熱交換 用クラッド材製造工程)≫
熱交換器用クラッド材の製造方法は、芯材と その片面または両面に重ね合わされた1層以 の側材とからなる熱交換器用クラッド材の 造方法であって、図3(a)、(b)に示すように、 材製造工程S1aおよび芯材製造工程S1bからな 準備工程と、重ね合わせ工程と、均質化熱 理工程S3(図3では均熱工程と記載する)と、 間圧延工程S4と、冷間圧延工程S5と、を含む のである。

<準備工程>
準備工程は、側材と、この側材を重ね合わせ るための芯材とを準備する工程である。
この準備工程では、側材製造工程S1aおよび芯 材製造工程S1bにより、側材および芯材が製造 される。

[側材製造工程]
側材製造工程S1aは、前記したとおりであるの で、ここでは説明を省略する。
なお、熱交換器用クラッド材は、側材の少な くとも1層が、前記製造方法(側材製造工程S1a) により製造され、他の層は、従来の製造方法 により製造されていてもよい。

[芯材製造工程]
図3(a)に示すように、芯材製造工程S1bは、溶 工程と、鋳造工程とを備えることとした。
なお、必要に応じて、表面平滑化処理工程( 3では面削工程と記載する)および均質化熱処 理工程(図3では均熱工程と記載する)の少なく とも1つを備えてもよい。

(溶解工程)
溶解工程は、側材とは成分組成の異なる芯材 用金属を溶解する工程である。
芯材用金属としては、2000系のAl-Cu系アルミニ ウム合金、3000系のAl-Mn系アルミニウム合金、 5000系のAl-Mg系アルミニウム合金等を用いるこ とができるが、これらに限定されるものでは なく、芯材として用いられる合金であれば、 全て適用することができる。前記した金属の 成分組成の調整は、用いる熱交換器用クラッ ド材の用途等に応じて適宜決めることができ る。

(鋳造工程)
鋳造工程は、溶解工程で溶解された芯材用金 属を鋳造して芯材用鋳塊を製造する工程であ る。
鋳造方法としては、前記に説明した半連続鋳 造法を用いることができる。
ここで、芯材用鋳塊25の厚さT 1 (図4参照)は、200~700mmが好ましい。厚さT 1 が前記範囲外であると、熱交換器用クラッド 材のクラッド率が不適切なものとなりやすい 。また、芯材用鋳塊25の幅、長さは特に限定 れるものではないが、生産性を考慮すると 幅1000~2500mm、長さは3000~10000mmが好ましい。

前記鋳造方法で鋳造された芯材用鋳塊25に 適宜必要に応じて、前記した側材35と重ね わせる前に表面に形成された晶出物や酸化 を除去するための表面平滑化処理および内 応力の除去のための均質化熱処理の少なく も1つを行ってもよい。

(表面平滑化処理工程)
表面平滑化処理工程は、鋳造工程で製造され た芯材用鋳塊の表面に、表面平滑化処理を行 う工程である。
表面平滑化処理工程で表面平滑化処理を行う ことにより、長手方向の表面粗さが、十点平 均粗さ(Rz)において1~15μm、好ましくは、3~14μm 、平坦性の評価において、長手方向1m当たり 平坦度を1mm以下、好ましくは0.8mm以下とす 芯材を得ることができる。表面粗さが前記 囲未満であると、疵の発生を招きやすく、 た、加工が困難となりやすい。表面粗度が 記範囲を超えると、熱交換器用クラッド材 密着不良が発生しやすくなる。平坦度が前 範囲を超えると、熱交換器用クラッド材に 着不良が発生しやすくなる。
なお、前記したように、本発明の側材と同様 に表面平滑化処理を行うことにより、芯材に おいても、本発明の側材と同様の表面状態と することができる。

(均質化熱処理工程)
均質化熱処理工程は、鋳造工程で鋳造された 芯材用鋳塊に、均質化熱処理を行う工程であ る。均質化熱処理工程で均質化熱処理を行う ことにより、芯材用鋳塊25の内部応力が除去 れ、芯材の平坦性がより向上する。ここで 質化熱処理の温度、時間は特に限定される のではないが、処理温度は、350~600℃、処理 時間は1~10時間とするのが好ましい。均質化 処理の処理温度が350℃未満であると、内部 力の除去量が小さく、鋳造中に偏析した溶 元素の均質化も不十分となり、敢えて熱処 を施した効果は小さい。一方、処理温度が60 0℃を超えると、鋳塊表面の一部が溶解する ーニングと呼ばれる現象が生じ、熱交換器 クラッド材の表面欠陥の原因になりやすい また、処理時間が1時間未満であると、内部 力の除去効果が小さく、また均質化も不十 となりやすい。なお、処理時間は、生産性 考慮すると10時間以下が好ましい。

<重ね合わせ工程>
重ね合わせ工程S2は、準備工程で準備された 材および側材を所定配置に重ね合わせて重 合わせ材40とする工程である。
重ね合わせ工程S2では、図6(a)に示すように、 前記工程で製造された芯材用鋳塊25(図4参照) 先端および後端を切断して所定長さとした 材26の片面または両面(図示省略)に1つの側 35、または、複数の側材(図示省略)を所定配 に重ね合わせて重ね合わせ材40とする。こ で、所定配置とは、製品としての熱交換器 クラッド材、例えば、図1(a)~(f)に示すような 熱交換器用クラッド材1a~1fにおける芯材2、ろ う材3、犠牲材4、中間材5の配置に対応するこ とを意味する。また、重ね合わせ方法は、従 来公知の、例えば、芯材26および側材35の両 部をバンド掛けする方法が用いられる。バ ド掛けする方法以外に溶接止めする等の方 を用いても問題ない。
なお、重ね合わせたときの各隙間は、最大で 10mm以内、好ましくは、5mm以内とするのが好 しい。

<均質化熱処理工程>
均質化熱処理工程S3は、重ね合わせ工程S2で 造された重ね合わせ材に均質化熱処理を行 工程である。
重ね合わせ工程S2で製造した重ね合わせ材40 、内部組織を均一化するため、および、熱 圧延を行い易いように柔らかくするために 質化熱処理を施す。

<熱間圧延工程>
熱間圧延工程S4は、均質化熱処理工程S3の後 熱間圧延を行う工程である。
熱間圧延工程S4では、図6(b)に示すように、前 記重ね合わせ材40のバンドを切断し、重ね合 せ材40を熱間圧延して熱間圧延材1Aを製造す る。ここで、熱間圧延方法は、従来公知の圧 延法で行う。そして使用する圧延機は、図6(b )では4段式圧延機50を記載したが、図示しな 、2段圧延機または4段以上の圧延機を使用し てもよい。また、図6(b)では1列のロールスタ ドを備えた4段式圧延機50を記載したが、図 しない、複数列のロールスタンドを備えた 延機を使用して、所定厚さの熱間圧延材1A 得られるまで、熱間圧延を繰り返し行って よい。

<冷間圧延工程>
冷間圧延工程S5は、熱間圧延工程S4の後に冷 圧延を行う工程である。
熱間圧延工程S4で製造された熱間圧延材1Aは その後、冷間圧延処理を行う。冷間圧延処 としては、一例として、30~99%の圧下率で行 ことができる。

また、必要に応じて所望の機械的特性等を付 与するために、常法により、熱処理(焼鈍処 )、歪み矯正処理、時効硬化処理等を行った 、所定の形状に加工し、または所定の大き に裁断等したりしてもよい。一例として、 鈍処理として、冷間圧延前に行う荒焼鈍、 間圧延間に行う中間焼鈍、最終冷間圧延後 行う最終焼鈍を連続炉またはバッチ炉で200~ 500℃×0~10時間で行うことを挙げることができ るが、これらに限定されるものではなく、こ れらの処理によって得られる効果(機械的特 )を奏する限りにおいて、その条件を適宜変 できることはいうまでもない。
本発明に係る熱交換器用クラッド材は、前記 説明した熱交換器用クラッド材の製造方法の 各工程により、製造される。

以上のように、本発明に係る側材およびその 製造方法並びに熱交換器用クラッド材の製造 方法によれば、以下の効果を得ることができ る。
本発明の側材は、表面状態および平坦度が制 御され、側材の平坦性、平滑性が向上し、さ らに酸化皮膜厚が減少する。
また、熱交換器用クラッド材の製造において 、芯材や各側材との間に存在する空気が微細 溝周期形態を介して効率よく排出され、また 、芯材や各側材との間に隙間が形成されにく く、密着性が向上するため、熱交換器用クラ ッド材の耐食性を向上させることができる。 また、圧着性が向上するため、圧着パス数を 減らすことができ、歩留まり、生産性を向上 させることができる。

 以上、本発明を実施するための最良の形 について述べてきたが、以下に、本発明の 果を確認した実施例について説明する。

≪供試材作製≫
 まず、JIS3003合金からなる芯材用アルミニウ ム合金を連続鋳造により溶解、鋳造し、均質 化熱処理、面削(表面平滑化処理)して、芯材 鋳塊(芯材(芯材用部材))を得た。また、JIS404 5合金からなるろう材用アルミニウム合金、 よび、JIS7072合金からなる犠牲材用アルミニ ム合金を連続鋳造により溶解、鋳造し、均 化熱処理を施した後、それぞれ所定厚さに ライスし、面削(表面平滑化処理)して、ろ 材(ろう材用部材)、犠牲材(犠牲材用部材)を た。なお、ろう材、犠牲材の一部について 、均質化熱処理は行なわなかった。また、 れら芯材および側材(ろう材および犠牲材) 、すべて、長さ6000mm、幅1000mmとした。

 表面平滑化処理は、所望の平坦度および 細溝周期形態を有する表面状態が得られる うに、表面平滑化処理方法との組み合わせ 考慮し、装置の円盤の回転速度、送り速度 適宜調整することで行った。なお、後記す 比較例13は、引用文献2に記載の発明に基づ 、従来行われている通常の面削を行ったも であり、本発明の範囲の表面状態にするた の調整を特に行なわなかったものである。 して、このようにして作製した側材につい 、表面の微細溝周期形態(曲率半径、周期) 表面粗さ(十点平均粗さ(Rz))、長手方向1mあた りの平坦度、板厚を測定した。その結果を表 1に示す。

 なお、曲率半径については前述の写真画 を用いる方法により測定し、周期について 前述の樹脂レプリカを用いる方法により測 した。十点平均粗さ(Rz)は、「JIS規格 B0601 面粗さ」に基づき、小坂研究所製の表面粗 測定器(サーフコーダ SE-30D)を使用して、基 長さ25mmで測定した。なお、側材の表面の微 細溝周期形態が形成された箇所の少なくとも 2周期以上分の長さを含んで測定、すなわち 微細溝も含んで測定した。平坦度は、平坦 測定機(Zygo社製 Zygo mes)を使用して測定した 。

 次に、芯材の一面側にろう材、他面側に 牲材を重ね合わせてバンド掛けし、均質化 処理をした後、熱間圧延により圧着して3層 の板材とした。その後の冷間圧延は行わず、 この熱間圧延による圧着後の材を供試材とし て使用した。そして、このようにして作製し た供試材について、ろう材および犠牲材の密 着性について評価した。

<密着性評価>
 密着性は、ろう材側表面、犠牲材側表面を れぞれ目視観察し、フクレ発生の個数(フク レ個数)により評価した。なお、フクレとは 圧着圧延後状態で、ろう材、犠牲材の表面 生じた凸に膨らんだ部分の最長径(長さまた 幅)が50mm以上のものを指す。そして、フク がないものを、密着性が非常に良好(◎)、フ クレ個数が1~3個のものを、良好(○)、フクレ 数が4個以上のものを、不良(×)と判断した この結果を表1に示す。なお、表1において、 本発明の構成を満たさないもの、および、本 発明の好ましい構成を満たさないものについ ては、数値に下線を引いて示す。

 表1に示すように、実施例1~14は、本発明の 成を満たしているため、ろう材、犠牲材と に、密着性が非常に良好または良好であっ 。
 なお、実施例9は、ろう材の平坦度が好まし い上限値を超えるため、ろう材の密着性が、 良好であるものの、非常に良好とはならなか った。また、実施例10は、ろう材の厚さが好 しい下限値未満であり、実施例11は、ろう の厚さが好ましい上限値を超えるため、ろ 材の密着性が、良好であるものの、非常に 好とはならなかった。なお、これらは、ク ッド率が不適切なものとなりやすいもので る。

 実施例14は、犠牲材の平坦度が好ましい上 値を超えるため、犠牲材の密着性が、良好 あるものの、非常に良好とはならなかった また、実施例12は、犠牲材の厚さが好ましい 下限値未満であり、実施例13は、犠牲材の厚 が好ましい上限値を超えるため、犠牲材の 着性が、良好であるものの、非常に良好と ならなかった。なお、これらは、クラッド が不適切なものとなりやすいものである。
 一方、比較例1~12は、本発明の構成を満たさ ないため、フクレ個数が多く、密着性に劣っ た。比較例13,14は、ろう材、犠材に微細周期 造を有しないため、それぞれろう材、犠材 のフクレ個数が多く、密着性が劣った。な 、密着性が悪いと、製品板厚においても欠 が残存し、腐食環境化で塩素等の腐食促進 オンを含有する水溶液が、ろう材や、犠牲 の欠陥を経路として芯材に到達しやすくな 。これにより、耐食性に劣ることとなる。

以上、本発明に係る側材およびその製造方 法並びに熱交換器用クラッド材の製造方法に ついて説明してきたが、本発明の趣旨はこれ らの記載に限定されるものではなく、本願の 特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈し なければならない。また、本発明の技術的範 囲は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲におい て広く変更、改変することができることはい うまでもない。




 
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