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Title:
SIGNAL PROCESSING DEVICE AND SIGNAL PROCESSING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113333
Kind Code:
A1
Abstract:
An improvement in surround effect in the low sound range is enabled when surround sound is implemented by using speakers disposed in front of a listener. A left surround signal extraction unit (11) outputs a left surround signal (Ls) as it is through to a speaker (LSP). The left surround signal (Ls) from the left surround signal extraction unit (11) is attenuated by an attenuation unit (12), and delayed for each frequency band and outputted to a center speaker (CSP) by a delay unit (13). A phase inversion unit (14) inverts the phase of the left surround signal (Ls) from the left surround signal extraction unit (11) and outputs the phase-inverted signal to a speaker (RSP).

Inventors:
OHTA YOSHIKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051185
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
January 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PIONEER CORP (JP)
OHTA YOSHIKI (JP)
International Classes:
H04S5/02
Domestic Patent References:
WO2007108301A12007-09-27
Foreign References:
JP2002354597A2002-12-06
JP2000228799A2000-08-15
JPH09252499A1997-09-22
Attorney, Agent or Firm:
ISHIKAWA, Yasuo et al. (JP)
Yasuo Ishikawa (JP)
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Claims:
 入力されたサラウンド信号を、左右のうち当該信号が対応する一方のステレオ音を出力すためのスピーカである一方スピーカと、他方のステレオ音を出力するためのスピーカである他方スピーカと、前記一方スピーカと前記他方スピーカとの中間に位置すべきスピーカである中央スピーカと、のうち、前記一方スピーカに出力する一方出力手段を備える信号処理装置において、
 前記入力されたサラウンド信号を減衰させ、且つ、当該サラウンド信号を周波数帯域毎に遅延させ、減衰遅延サラウンド信号を生成する減衰遅延手段と、
 前記生成された減衰遅延サラウンド信号を前記中央スピーカに出力する中央出力手段と、
 前記入力されたサラウンド信号の位相を反転させ、逆相サラウンド信号を生成する位相反転手段と、
 前記生成された逆相サラウンド信号を、前記他方スピーカに出力する他方出力手段と、
 を備えることを特徴とする信号処理装置。
 請求項1に記載の信号処理装置において、
 前記入力されたサラウンド信号の予め定められた所定周波数以下の信号成分を、前記減衰遅延手段と前記位相反転手段とに出力する第1フィルタ手段と、
 前記入力されたサラウンド信号の前記所定周波数よりも周波数が高い信号成分を出力する第2フィルタ手段と、
 前記第2フィルタ手段により出力された前記信号成分を減衰させ、且つ、当該信号成分を周波数帯域毎に遅延させて、第2減衰遅延サラウンド信号を生成する第2減衰遅延手段と、を更に備え、
 前記減衰遅延手段は、前記第1フィルタ手段により出力された前記信号成分に基づいて、前記減衰遅延サラウンド信号を生成し、
 前記位相反転手段は、前記第1フィルタ手段により出力された前記信号成分に基づいて、前記逆相サラウンド信号を生成し、
 前記他方出力手段は、前記逆相サラウンド信号と前記第2減衰遅延サラウンド信号とを、前記他方スピーカに出力することを特徴とする信号処理装置。
 請求項2に記載の信号処理装置において、
 前記他方出力手段は、前記逆相サラウンド信号を前記他方スピーカに含まれる低音域用スピーカに出力し、前記第2減衰遅延サラウンド信号を前記他方スピーカに含まれる高音域用スピーカに出力することを特徴とする信号処理装置。
 請求項1に記載の信号処理装置において、
 前記減衰遅延手段による信号の遅延に用いられる周波数帯毎の遅延量が、前記サラウンド信号の入力によって前記一方スピーカ、前記他方スピーカ及び前記中央スピーカから音が出力された場合に、予め定められた受聴位置における両耳間の音圧レベルの差が最大となるように、夫々予め設定されていることを特徴とする信号処理装置。
 請求項1乃至4の何れか1項に記載の信号処理装置において、
 前記減衰遅延手段及び前記位相反転手段は、左右夫々に対応して設けられ、
 前記一方出力手段は、前記一方に対応する前記サラウンド信号と、前記他方に対応する前記位相反転手段により生成された前記逆相サラウンド信号と、を加算し、一方加算信号を前記一方スピーカに出力し、
 前記他方出力手段は、前記他方に対応する前記サラウンド信号と、前記一方に対応する前記位相反転手段により生成された前記逆相サラウンド信号と、を加算し、他方加算信号を前記他方スピーカに出力し、
 前記中央出力手段は、左右の前記減衰遅延手段により生成された前記遅延減衰サラウンド信号同士を加算し、中央加算信号を前記中央スピーカに出力することを特徴とする信号処理装置。
 入力されたサラウンド信号を、左右のうち当該信号が対応する一方のステレオ音を出力すためのスピーカである一方スピーカと、他方のステレオ音を出力するためのスピーカである他方スピーカと、前記一方スピーカと前記他方スピーカとの中間に位置すべきスピーカである中央スピーカと、のうち、前記一方スピーカに出力し、
 前記入力されたサラウンド信号を減衰させ、且つ、当該サラウンド信号を周波数帯域毎に遅延させ、減衰遅延サラウンド信号を生成し、当該減衰遅延サラウンド信号を前記中央スピーカに出力し、
 前記入力されたサラウンド信号の位相を反転させ、逆相サラウンド信号を生成し、当該逆相サラウンド信号を、前記他方スピーカに出力することを特徴とする信号処理方法。
Description:
信号処理装置及び信号処理方法

 本願は、サラウンド信号を処理し、リス ーの前方に位置すべきスピーカに出力する 号処理装置及び信号処理方法の技術分野に する。

 5.1chのようなサラウンドシステムを利用 るためには、リスナーの後方にサラウンド スピーカを配置する必要があるが、一般的 住宅においては、このサラウンド用スピー を配置するスペースが無い場合が多いこと ら、従来、前方のスピーカのみで、サラウ ド音響を実現するフロントサラウンドシス ムが提案されている。

 こうしたフロントサラウンドシステムに いては、頭部伝達関数が用いられているこ が多いが(例えば、特許文献1)、この頭部伝 関数を用いる方式では、音源の周波数特性 大きく変化させてしまうことに起因する音 劣化が生じたり、リスナーの頭の形などに ってその効果に個人差があるなどの問題が った。

 そこで、本願の発明者等は、入力された ラウンド信号を、左右のスピーカのうち対 するスピーカに出力する一方、このサラウ ド信号を周波数帯域毎に所定の遅延量で遅 させるとともに減衰させて、他方のスピー ーに出力するサラウンド再生システムを提 した(非特許文献1)。

 このサラウンド再生システムによれば、基 的には帯域毎の位相のみを制御するため、 質の劣化が少なく、また、頭部伝達関数の うなリスナーの特徴に依存するような情報 用いないため、効果の個人差が少なくなる

特開平8-265899号公報 小幡健作、他1名、前方2つのスピーカに るサラウンド再生システム、日本バーチャ リアティ学会第12回大会論文集、2007年9月

 しかしながら、非特許文献1に記載のサラ ウンド再生システムでは、スピーカから出力 される音声の波長が頭の幅より長い帯域にお いては、回折量が大きくなることから、例え ば、右の耳に到達する左側サラウンド用音声 の音圧を下げようとすると、遅延された(右 スピーカから出力された)左側サラウンド用 声が回り込んで、左側スピーカから出力さ た左側サラウンド用音声に干渉し、左の耳 おける左側サラウンド用音声の音圧までも 下がるという傾向がある。特に、低音域に いては、中高音域に比べて音圧低下が大き なる傾向がある。

 また、この音圧低下に起因して、両耳間 の音圧差が小さくなることから、低音域に ける音像の定位角も小さくなる。

 その結果、低音域のサラウンド音声が、 スナーの正面付近から、中高音域に比べて さく聞こえてくるという不都合があった。

 本願は、以上の点に鑑みてなされたもの あり、その課題の一例は、リスナーの前方 配置されるべきスピーカを用いてサラウン 音響を実現する場合において、低音域にお るサラウンド効果を向上させることを可能 する信号処理装置及び信号処理方法を提供 ることにある。

 上記課題を解決するために、本願の一つ 観点では、入力されたサラウンド信号を、 右のうち当該信号が対応する一方のステレ 音を出力すためのスピーカである一方スピ カと、他方のステレオ音を出力するための ピーカである他方スピーカと、前記一方ス ーカと前記他方スピーカとの中間に位置す きスピーカである中央スピーカと、のうち 前記一方スピーカに出力する一方出力手段 備える信号処理装置において、前記入力さ たサラウンド信号を減衰させ、且つ、当該 ラウンド信号を周波数帯域毎に遅延させ、 衰遅延サラウンド信号を生成する減衰遅延 段と、前記生成された減衰遅延サラウンド 号を前記中央スピーカに出力する中央出力 段と、前記入力されたサラウンド信号の位 を反転させ、逆相サラウンド信号を生成す 位相反転手段と、前記生成された逆相サラ ンド信号を、前記他方スピーカに出力する 方出力手段と、を備えることを特徴とする

 本願の他の観点では、入力されたサラウ ド信号を、左右のうち当該信号が対応する 方のステレオ音を出力すためのスピーカで る一方スピーカと、他方のステレオ音を出 するためのスピーカである他方スピーカと 前記一方スピーカと前記他方スピーカとの 間に位置すべきスピーカである中央スピー と、のうち、前記一方スピーカに出力し、 記入力されたサラウンド信号を減衰させ、 つ、当該サラウンド信号を周波数帯域毎に 延させ、減衰遅延サラウンド信号を生成し 当該減衰遅延サラウンド信号を前記中央ス ーカに出力し、前記入力されたサラウンド 号の位相を反転させ、逆相サラウンド信号 生成し、当該逆相サラウンド信号を、前記 方スピーカに出力することを特徴とする。

第1実施形態に係るサラウンド信号処理 装置10の概要構成の一例を示すブロック図で る。 周波数帯域毎の最適遅延量の一例を示 グラフである。 周波数毎の最大定位角の一例を示すグ フである。 比較例において、リスナーの両耳に達 た左側サラウンド音声の平均音圧レベルの 例を等高線で示した図である。 第1実施形態に係るサラウンド信号処理 装置10において、リスナーの両耳に達した左 サラウンド音声の平均音圧レベルの一例を 高線で示した図である。 第1実施形態に係るサラウンド信号処理 装置10における周波数帯域毎の最適遅延量と の近似結果の一例を示すグラフである。 AVアンプ50の概要構成の一例を示すブロ ック図である。 第2実施形態に係るサラウンド信号処理 装置20の概要構成の一例を示すブロック図で る。 第3実施形態に係るサラウンド信号処理 装置30の概要構成の一例を示すブロック図で る。 比較例において、遅延量及び周波数と 、定位角と、の関係の一例を示す図である。 第1実施形態に係るサラウンド信号処 装置10において、遅延量及び周波数と、定位 角と、の関係の一例を示す図である。 比較例において、遅延量及び周波数と 、両耳間の音圧レベル差と、の関係の一例を 示す図である。 第1実施形態に係るサラウンド信号処 装置10において、遅延量及び周波数と、両耳 間の音圧レベル差と、の関係の一例を示す図 である。

符号の説明

 10、20、30 サラウンド信号処理装置
 11 左サラウンド信号抽出部
 12、24 減衰部
 13、25 遅延部
 14 位相反転部
 21、22、31 低域濾過部
 23、32 高域濾過部
 26 加算部
 50 AVアンプ
 51 デコーダ
 52、55 アッテネータ
 53、56 オールパスフィルタ
 54、57 位相反転回路
 58、59、60 加算器
 100 リスナー
 200 音像
 LSP、RSP、LSSP、RSSP スピーカ
 CSP センタースピーカ
 SW サブウーファ

 以下、図面を参照して本願の最良の実施 態について詳細に説明する。

 [1.第1実施形態]
 [1.1 信号処理装置の構成]
 先ず、第1実施形態に係るサラウンド信号処 理装置10の構成について、図1を用いて説明す る。

 図1は、第1実施形態に係るサラウンド信 処理装置10の概要構成の一例を示すブロック 図である。

 本実施形態に係るサラウンド信号処理装 10は、サラウンド信号を処理することによ て、前面左側スピーカ、前面右側スピーカ びセンタースピーカの3つの前方のスピーカ けで、サラウンド音響を実現する装置であ 。

 なお、以下の説明においては、左側サラ ンド信号に対する処理を行うための構成の について説明するが、右側サラウンド信号 対する処理を行うための構成も同様である

 図1に示すように、サラウンド信号処理装 置10は、左側サラウンド信号抽出部11と、減 部12と、遅延部13と、位相反転部14と、を含 で構成されている。

 ここで、左側サラウンド信号抽出部11は 一方出力手段を構成し、減衰部12及び遅延部 13は、減衰遅延手段を構成し、遅延部13は、 央出力手段を構成する。また、位相反転部14 は、位相反転手段及び他方出力手段を構成す る。

 左側サラウンド信号抽出部11には、サラ ンド信号処理装置10の外部からオーディオス トリーム信号Asが入力されるようになってお 、当該左側サラウンド信号抽出部11は、こ オーディオストリーム信号Asから左側サラウ ンド信号Lsを抽出するようになっている。ま 、左側サラウンド信号抽出部11は、抽出さ た左側サラウンド信号Lsを、左側のステレオ 音声を出力するスピーカLSP(一方スピーカの 例)と、減衰部12と、位相反転部14とに夫々出 力するようになっている。

 減衰部12は、左側サラウンド信号抽出部11 から供給された左側サラウンド信号Lsを減衰 せるようになっている(例えば6dB)。

 遅延部13は、減衰部12により減衰させられ た左側サラウンド信号を周波数帯域毎に遅延 させるようになっている。例えば、遅延部13 、250Hz周辺から2KHz周辺までの3オクターブに 渡る左側サラウンド信号を、3分の1オクター の帯域毎に分割し、分割された帯域毎に、 々予め設定された遅延量で遅延させ、遅延 せた周波数帯域毎の信号を一つの信号に合 するようになっている。そして、遅延部13 、合成した信号(減衰遅延サラウンド信号の 例)を、主にセリフの音声を出力するセンタ ースピーカCSP(中央スピーカの一例)に出力す ようになっている。

 ここで、遅延量は、リスナー100が感じる 源、すなわち、音像200の定位角(リスナー100 正面方向からの角度)が最大の開き角度とな よう、周波数帯域毎に設定されている。

 なお、左側サラウンド信号抽出部11から 側サラウンド信号Lsを遅延部13に供給し、こ 左側サラウンド信号Lsを遅延部13により遅延 させた後で、減衰部12により減衰させる構成 しても良い。

 位相反転部14は、左側サラウンド信号抽 部11から供給された左側サラウンド信号Lsの 相を反転させ、この反転させた信号(逆相サ ラウンド信号の一例)を、右側のステレオ音 を出力するスピーカRSP(他方スピーカの一例) に出力するようになっている。

 [1.2 信号処理装置の動作]
 次に、サラウンド信号処理装置10の動作に いて説明する。

 オーディオストリーム信号Asは、サラウ ド信号処理装置10の左側サラウンド信号抽出 部11に入力される。そして、左側サラウンド 号抽出部11は、オーディオストリーム信号As から左側サラウンド信号Lsを抽出し、この信 を、スピーカLSP、減衰部12及び位相反転部 出力する。

 減衰部12に供給された左側サラウンド信 Lsは、当該減衰部12により減衰させられた後 遅延部13により、周波数帯域毎に遅延させ れ、その後、センタースピーカCSPに出力さ る。

 位相反転部14に供給された左側サラウン 信号Lsは、当該位相反転部14により反転させ れた後、スピーカRSPに出力される。

 スピーカLSPからは、左側サラウンド信号 出部11から出力された左側サラウンド信号Ls そのものに対応する音声が出力される。

 また、センタースピーカCSPからは、減衰 、周波数帯域毎に遅延した左側サラウンド 号Lsに対応する音声が出力される。

 また、スピーカRSPからは、位相が反転し 左側サラウンド信号Lsに対応する音声が出 される。

 リスナー100は、左側のサラウンド音声を 力するスピーカLSSPと、右側のサラウンド音 声を出力するスピーカRSSPとが、あたかも図1 示す位置に置かれているようにサラウンド 声を聴くことができる。なお、スピーカLSSP 及びスピーカRSSPは、説明の便宜のために、 線で仮想的に図示されているにすぎない。

 次に、サラウンド信号処理装置10を用い サラウンド効果の主観評価について、図2乃 図6を用いて説明する。図2は、周波数帯域 の最適遅延量の一例を示すグラフである。 た、図3は、周波数毎の最大定位角の一例を すグラフである。また、図4は、比較例にお いて、リスナー100の両耳に達した左側サラウ ンド音声の平均音圧レベルの一例を等高線で 示した図である。また、図5は、第1実施形態 係るサラウンド信号処理装置10において、 スナー100の両耳に達した左側サラウンド音 の平均音圧レベルの一例を等高線で示した である。また、図6は、第1実施形態に係るサ ラウンド信号処理装置10における周波数帯域 の最適遅延量とその近似結果の一例を示す ラフである。

 以下に説明する評価においては、スピー LSPとスピーカRSPとの間隔を、1.5メートルと た。また、センタースピーカCSPを、スピー LSPとスピーカRSPとを結ぶ線分の中心に配置 た。また、リスナー100は、スピーカLSPとス ーカRSPとを結ぶ線分の垂直2等分線上に位置 させ、センタースピーカCSPからリスナー100ま での距離を、2メートルとした。

 図2は、250Hz、315Hz、397Hz、500Hz、630Hz、794Hz 、1000Hz、1260Hz、1587Hz、2000Hzを中心周波数とす る10の周波数帯域夫々において、音像200の定 角が最大となる最適遅延量を示すグラフで る。図2に示すように、最適遅延量は、約0~4 ラジアンの範囲に分布しており、特に、中心 周波数が500Hz以下の帯域においては、1ラジア ン未満となっている。

 ここで、比較例についても説明する。比 例は、上述した非特許文献1に記載のサラウ ンド再生システムと同様の構成となっている 。具体的に、このサラウンド再生システムは 、左側サラウンド信号を、そのままスルーで 前面左側スピーカに出力する一方、当該左側 サラウンド信号を、オールパスフィルタで周 波数帯域毎に予め設定された遅延量で遅延さ せた後、減衰させて、前面右側スピーカに出 力する構成となっている(左側サラウンド信 についての構成のみ)。

 比較例においても、音像200の定位角が最 となるように最適遅延量を設定すると、図2 に示すように、その遅延量は、約3~6ラジアン の範囲に分布しており、本実施形態に係るサ ラウンド信号処理装置10の最適遅延量よりも きくなっている。

 図3は、図2に示した最適遅延量で、周波 帯域毎の左側サラウンド信号を遅延させた 合における、音像200の定位角を示すグラフ ある。

 図3に示すように、中心周波数が630Hz以上 帯域においては、本実施形態よりも比較例 方の最大定位角が勝っているが、比較例で サラウンド効果が弱いとされている中心周 数が500Hz以下の帯域においては、比較例よ も本実施形態の方の最大定位角が勝ってい 。つまり、本実施形態に係るサラウンド信 処理装置10では、低音域におけるサラウンド 効果が改善されているのである。

 図4及び図5は、遅延量を0から2πまで設定 た場合における、250Hzから2KHzまでの音圧特 を示した図であり、図4は、比較例における 図であり、図5は、本実施形態に係るサラウ ド信号処理装置10における図である。また、 図4及び図5は、最大の音圧レベルを0dBに正規 し、音圧レベルを等高線で示した図である

 比較例においては、図4に、図2に示すグ フを重ね合わせると、最適遅延量がたどる ラフ上の音圧レベルが低くなっていること 分かる。特に、最適遅延量がπラジアン前後 となる、中心周波数500Hz以下の帯域において 、約-4~-10dBとなっており、音圧レベルの低 が激しくなっている。

 一方、本実施形態においては、全周波数 び全遅延量において、約-1dB以上の音圧レベ ルが確保され、最低でも約-1.4dBとなっている 。図2に示すグラフを重ね合わせてみても、 適遅延量がたどるグラフ上の音圧レベルは 好に保たれている。

 次に、中心周波数500Hz以下の帯域におい 、音圧レベルとサラウンド効果が改善され 理由を説明する。

 サラウンド音声の波長が頭の幅より長い 域においては回折量が大きくなる。比較例 おいて、この波長のサラウンド音声に関し 両耳間における音圧差をつけようとすると 例えば、スピーカRSPから出力された左側用 サラウンド音声が、リスナー100の頭を回り んでスピーカLSPから出力された左側用のサ ウンド音声に干渉する。ここで、図2に示す ように、中心周波数500Hz以下における比較例 最適遅延量は2分の1波長前後であることか 、波長が長いことも相まって、スピーカLSP ら出力された左側用のサラウンド音声と、 ピーカRSPから出力されてリスナー100の頭を り込んだ左側用のサラウンド音声とが、ほ 逆相の関係となる。

 こうしたことが、サラウンド音声がリス ー100の耳に達したときの音圧レベルが低下 る原因の一つとなっていることが考えられ 。

 また、リスナー100の耳に達したサラウン 音声の音圧レベルは、両方の耳において夫 低下することから、その結果として両耳間 おける音圧差はそれほど広がらない。従っ 、音像の定位角も大きくならず、サラウン 効果が低下する原因となっていた。

 これに対し、本実施形態に係るサラウン 信号処理装置10においては、図2に示すよう 、中心周波数500Hz以下における最適遅延量 、比較例と比べて小さくなっており、0ラジ ンに近い状態になっている。

 そうすると、スピーカLSPから出力された 側用のサラウンド音声と、センタースピー CSPから出力された左側用のサラウンド音声 は、スピーカLSPとセンタースピーカCSPとを ぶ線分の垂直2等分線上において、ほぼ同相 の関係となって、音圧レベルを上昇させるこ ととなる。また、サラウンド音声の波長が比 較的長いことから、この垂直2等分線の周辺 おいても音圧レベルが上昇し、その結果、 スナー100の左耳における左側用のサラウン 音声の音圧レベルは高くなる。

 一方、スピーカRSPから出力された左側用 サラウンド音声と、センタースピーカCSPか 出力された左側用のサラウンド音声とは、 ピーカRSPとセンタースピーカCSPとを結ぶ線 の垂直2等分線上において、ほぼ逆相の関係 となって、音圧レベルを低下させる結果とな る。また、上記と同様に、この垂直2等分線 周辺においても音圧レベルが低下し、その 果、リスナー100の右耳における左側用のサ ウンド音声の音圧レベルは低くなる。

 従って、左耳における音圧レベルは上が 、右耳における音圧レベルは下がることか 、両耳間における音圧差が広がることによ 、音像の定位角が大きくなり、サラウンド 果も向上する。

 ところで、サラウンド信号の周波数fにお ける最適遅延量をφ(f)を求める式は、

 となる。上記式(1)において、iは、次元数 であり、P(i)は、定数パラメータである。こ で、P(0)=74.7124、P(1)=-55.3851、P(2)=10.2811とする 、式(1)のグラフは図6に示したものとなり、 図2に示す評価実験で得られた最適遅延量を 似することができる。従って、このような 相遅延特性を有するオールパスフィルタで 延部13を構成することが可能である。

 なお、スピーカLSPとスピーカRSPとの間隔 センタースピーカCSPからリスナー100までの 離等のリスニング環境によって、最大定位 や音圧レベルは異なることから、想定され リスニング環境における評価を十分に行っ 上で、各周波数帯域における遅延量(あるい は、上記定数パラメータ)を決定することが ましい。

 次に、遅延部13における周波数帯毎の最 遅延量の求め方(遅延部13の位相遅延特性の め方)の他の例について、図10乃至図13を用い て説明する。図10は、比較例において、遅延 及び周波数と、定位角と、の関係の一例を す図である。また、図11は、第1実施形態に るサラウンド信号処理装置10において、遅 量及び周波数と、定位角と、の関係の一例 示す図である。また、図12は、比較例におい て、遅延量及び周波数と、両耳間の音圧レベ ル差と、の関係の一例を示す図である。また 、図13は、第1実施形態に係るサラウンド信号 処理装置10において、遅延量及び周波数と、 耳間の音圧レベル差と、の関係の一例を示 図である。

 これまでの説明においては、主観評価に って音像の定位角が最大となるように周波 帯毎の最適遅延量の求めていたが、客観的 実験で両耳間の音圧レベル差をとることに っても求めることができる。

 ここで先ず、主観評価の結果を説明する 図10及び図11は、図2に示す最大定位角を導 出すにあたって、主観評価の結果を示した であり、図10は比較例の結果であり、図11は ラウンド信号処理装置10での結果である。 た、図10及び図11において、それぞれ縦軸は 延量(位相)、横軸は周波数であり、定位角 等高線で示されている。

 この結果は、250~2000Hzの各周波数及び0~2π ジアンの各遅延量における主観評価に基づ て得られたものである。そして、当然のこ ながら、各周波数において最大定位角がと 遅延量(最適遅延量)は、図2に示すグラフに 致する。

 次に、実験環境としては、基本的には前 の主観評価と同様である。つまり、スピー LSPとスピーカRSPとの間隔を、1.5メートルと 、センタースピーカCSPを、スピーカLSPとス ーカRSPとを結ぶ線分の中心に配置した。そ て、リスナー100の代わりに、ダミーヘッド スピーカLSPとスピーカRSPとを結ぶ線分の垂 2等分線上に位置させ、センタースピーカCSP からダミーヘッドまでの距離を、2メートル した。このダミーヘッドの左右の耳の部分 は、それぞれマイクロホンを装着した。そ て、各マイクロホンに録音装置を接続し、 音レベル(音圧)を測定することができるよう にした。また、比較例に関しても、センター スピーカが無いことを除けば、同様である。

 そして、それぞれの環境において、各周 数及び各遅延量で左側サラウンド信号を発 させてスピーカから試験音を出力し、その 験音をダミーヘッドの両耳に装着したマイ ロホンで集音して、そのときの両耳間の音 レベル差(左耳の音圧レベル-右耳の音圧レ ル)を求めた。

 図12及び図13は、この結果を示した図であ り、図12は比較例の結果であり、図13はサラ ンド信号処理装置10での結果である。また、 図12及び図13において、それぞれ縦軸は遅延 (位相)、横軸は周波数であり、音圧レベル差 (dB)は等高線で示されている。

 この結果について、図12と図10、及び、図 13を図11とをそれぞれ比較すると、音像の定 角の傾向と両耳間の音圧レベル差の傾向と 、極めて類似していることが見て取れる。 まり、両耳間の音圧レベル差が大きければ きいほど定位角も大きくなり、両耳間の音 レベル差が小さければ小さいほど定位角も さくなる。

 例えば、図12においては、250Hzから500Hz付 で音圧レベル差が最大となるのはπラジア 付近であり、500Hz付近から2000Hzにかけて、音 圧レベル差が最大となるの遅延量が、πラジ ンから2πラジアンへ徐々に移動している。 れは、図10において、最大定位角が位置す 周波数及び遅延量の組み合わせ(図2に示す比 較例のグラフ)とおおよそ一致する。

 また、図13においては、250Hzから500Hz付近 音圧レベル差が最大となるのは0~0.5ラジア 付近であり、500Hz付近から2000Hzにかけて、音 圧レベル差が最大となるの遅延量が、0ラジ ンから4ラジアンへ徐々に移動している。こ は、図11において、最大定位角が位置する 波数及び遅延量の組み合わせ(図2に示すサラ ウンド信号処理装置10のグラフ)とおおよそ一 致する。

 以上の結果は、音像の定位角が両耳間の 圧レベル差に強く影響されることを示して る。よって、音像の定位角と両耳間の音圧 ベル差とは相関関係があると考えて良い。

 従って、図13に示す結果により、各周波 において、それぞれ両耳間の音圧レベル差 最大になるような遅延量を最適遅延量とし 遅延部12に対して設定すれば良い。たとえ、 この最適遅延量が、図2に示す最適遅延量か 多少ずれていたとしても、図11に示すように 、最大定位角付近では定位角が急激に落ち込 むことは無く、本実施形態による効果を十分 に発揮する。

 そして、音像の定位角は両耳間の音圧レ ル差に強く影響されるという事実から、ス ーカの配置やリスナーの位置(受聴位置)等 常識的な範囲内であれば、これらを予め決 した上で、ここで説明した方法で最適遅延 を求めることができることは自明である。 

 [1.3 5.1chサラウンドシステムへの適用例]
 次に、本実施形態を5.1chのサラウンドシス ムのAVアンプに適用した場合の適用例につい て説明する。

 図7は、AVアンプ50の概要構成の一例を示 ブロック図である。

 図7に示すように、AVアンプ50は、デコー 51と、アッテネータ52及び55と、オールパス ィルタ53及び56と、位相反転回路54及び57と、 加算器58、59及び60と、を含んで構成されてい る。

 ここで、アッテネータ52及びオールパス ィルタ53は、左側サラウンド信号に対応する 減衰遅延手段を構成し、位相反転回路54は、 側サラウンド信号に対応する位相反転手段 構成する。また、アッテネータ55及びオー パスフィルタ56は、右側サラウンド信号に対 応する減衰遅延手段を構成し、位相反転回路 57は、右側サラウンド信号に対応する位相反 手段を構成する。また、加算器58は、左側 ラウンド信号に対応する一方出力手段と右 サラウンド信号に対応する他方出力手段を 成する。また、加算器59は、中央出力手段を 構成する。また、加算器60は、右側サラウン 信号に対応する一方出力手段と左側サラウ ド信号に対応する他方出力手段を構成する

 デコーダ51には、AVアンプ50の外部からオ ディオストリーム信号Asが入力されるよう なっており、当該デコーダ51は、このオーデ ィオストリーム信号Asを復号し、左側ステレ 信号L、右側ステレオ信号R、センター信号C 左側サラウンド信号Ls、右側サラウンド信 Rs及び低音域効果信号Lfeを出力するようにな っている。

 デコーダ51から出力された左側ステレオ 号Lは、加算器58に供給されるようになって る。また、右側ステレオ信号Rは、加算器60 供給されるようになっている。また、セン ー信号Cは、加算器59に供給されるようにな ている。

 また、左側サラウンド信号Lsは、アッテ ータ52と、位相反転回路54と、加算器58とに 々供給されるようになっている。また、右 サラウンド信号Rsは、アッテネータ55と、位 反転回路57と、加算器60とに夫々供給される ようになっている。また、低音域効果信号Lfe は、サブウーファSWに供給されるようになっ いる。

 アッテネータ52は、左側サラウンド信号Ls を減衰させるようになっている。また、オー ルパスフィルタ53は、アッテネータ52により 衰させられた左側サラウンド信号を周波数 域毎に遅延させ、この遅延させた信号(減衰 延サラウンド信号の一例)を加算器59に出力 るようになっている。また、位相反転回路5 4は、左側サラウンド信号Lsの位相を反転させ 、この反転させた信号(逆相サラウンド信号 一例)を加算器60に出力するようになってい 。

 アッテネータ55は、右側サラウンド信号Rs を減衰させるようになっている。また、オー ルパスフィルタ56は、アッテネータ55により 衰させられた左側サラウンド信号を周波数 域毎に遅延させ、この遅延させた信号(減衰 延サラウンド信号の一例)を加算器59に出力 るようになっている。また、位相反転回路5 7は、右側サラウンド信号Rsの位相を反転させ 、この反転させた信号(逆相サラウンド信号 一例)を加算器58に出力するようになってい 。

 上記オールパスフィルタ53及び56の構成及 び機能は、遅延部13と同様であり、その位相 延特性は、上述した式(1)及び定数パラメー で示される。

 加算器58は、デコーダ51からの左側ステレ オ信号Lsと、同じくデコーダ51からの左側サ ウンド信号Lsと、位相反転回路57の出力信号 を加算し、加算された信号(一方加算信号及 び他方加算信号の一例)をスピーカLSPに出力 るようになっている。

 加算器59は、デコーダ51からのセンター信 号Cと、オールパスフィルタ53の出力信号と、 オールパスフィルタ56の出力信号とを加算し 加算された信号(中央加算信号の一例)をス ーカCSPに出力するようになっている。

 加算器60は、デコーダ51からの右側ステレ オ信号Rsと、同じくデコーダ51からの右側サ ウンド信号Rsと、位相反転回路54の出力信号 を加算し、加算された信号(一方加算信号及 び他方加算信号の一例)をスピーカRSPに出力 るようになっている。

 このような構成のAVアンプ50を備えるサラ ウンドシステムにより、リスナーは、5.1chの ラウンド音響を楽しむことができる。

 なお、5.1chに限らず、例えば、5chや6.1ch等 のサラウンドシステムに適用することも可能 である。

 以上説明したように、本実施形態によれ 、左サラウンド信号抽出部11が、左側サラ ンド信号LsをそのままスルーでスピーカLSPに 出力し、左サラウンド信号抽出部11からの左 サラウンド信号Lsを減衰部12が減衰させ、且 つ、遅延部13が周波数帯域毎に遅延させて、 ンタースピーカCSPに出力し、位相反転部14 、左サラウンド信号抽出部11からの左側サラ ウンド信号Lsの位相を反転させて、スピーカR SPに出力するので、低音域におけるサラウン 効果を向上させることができる。また、右 サラウンド信号に関しても、同様の作用に り同様の効果を奏することができる。

 [2.第2実施形態]
 次に、第2実施形態について、図8を用いて 明する。

 図8は、第2実施形態に係るサラウンド信 処理装置20の概要構成の一例を示すブロック 図であり、同図において、図1と同様の要素 ついては同様の符号を付してある。

 上述した第1実施形態においては、図3に すように、中高音域におけるサラウンド効 が比較例よりも低くなっていたが、本実施 態においては、この中高音域におけるサラ ンド効果を向上させるべく、サラウンド信 処理装置10の構成と比較例の構成とを組み合 わせた場合について説明する。

 図8に示すように、サラウンド信号処理装 置20は、左側サラウンド信号抽出部11と、減 部12と、遅延部13と、位相反転部14と、低域 過部21及び22と、高域濾過部23と、減衰部24と 、遅延部25と、加算部26と、を含んで構成さ ている。

 ここで、左側サラウンド信号抽出部11は 一方出力手段を構成し、減衰部12及び遅延部 13は、減衰遅延手段を構成し、遅延部13は、 央出力手段を構成し、位相反転部14は、位相 反転手段を構成する。また、低域濾過部21及 22は、第1フィルタ手段を構成し、高域濾過 23は、第2フィルタ手段を構成し、減衰部24 び遅延部25は、第2減衰遅延手段を構成し、 算部26は、他方出力手段を構成する。

 左側サラウンド信号抽出部11は、オーデ オストリーム信号Asから抽出した左側サラウ ンド信号Lsを、スピーカLSPと、低域濾過部21 、低域濾過部22と、高域濾過部23とに夫々出 するようになっている。

 低域濾過部21及び22は、夫々左側サラウン ド信号抽出部11から供給された左側サラウン 信号Lsの所定周波数(詳細は後述)より高い周 波数の信号成分をカットし、当該所定周波数 以下の信号成分を出力するようになっている 。そして、低域濾過部21からの出力信号は減 部12に供給され、低域濾過部22からの出力信 号は位相反転部14に供給されるようになって る。

 減衰部12に供給された信号は、当該減衰 12により減衰された後、遅延部13により各周 数帯域毎に遅延されて、スピーカCSPに出力 れるようになっている。なお、遅延部12は 250Hz周辺から500Hz周辺までの信号を、3分の1 クターブの帯域毎に分割し、分割された帯 毎に、夫々予め設定された遅延量で遅延さ るようになっている。

 位相反転部14に供給された信号は、当該 相反転部14によりその位相が反転させられて 、加算部26に出力されるようになっている。

 高域濾過部23は、左側サラウンド信号抽 部11から供給された左側サラウンド信号Lsの 定周波数以下の信号成分をカットし、当該 定周波数より高い周波数の信号成分を減衰 24に出力するようになっている。

 減衰部24は、高域濾過部23からの出力信号 を減衰させるようになっている(例えば3dB)。

 遅延部25は、減衰部24により減衰させられ た出力信号を周波数帯域毎に遅延させるよう になっている。例えば、遅延部25は、630Hz周 から2KHz周辺までの信号を、3分の1オクター の帯域毎に分割し、分割された帯域毎に、 々予め設定された遅延量で遅延させ、遅延 せた周波数帯域毎の信号を一つの信号に合 するようになっている。そして、遅延部25は 、合成した信号(第2減衰遅延サラウンド信号 一例)を加算部26に出力するようになってい 。

 この遅延部25における遅延量は、音像200 定位角が最大になるように(図3に示す比較例 の最大定位角を参照)、周波数帯域毎に夫々 定されている。このとき、例えば、図2に示 比較例の最適遅延量を近似式で近似させた 相遅延特性を有するオールパスフィルタで 延部25を構成することが可能である。

 また、遅延部25における遅延量として、 述したように、両耳間の音圧レベル差が最 になるように(図12を参照)、周波数帯域毎に 々設定されるようにしても良い。

 加算部26は、位相反転部14からの出力信号 と遅延部25からの出力信号とを加算し、この 算された信号をスピーカRSPに出力するよう なっている。

 このように、サラウンド信号処理装置20 、左側サラウンド信号LsをスピーカRSPに出力 する際に、低音域(所定周波数以下の周波数 )においては、サラウンド信号処理装置10と 様の位相反転部14で位相を反転させる一方、 中高音域(所定周波数よりも高い周波数帯)に いては、比較例と同様の減衰部24及び遅延 25で減衰及び遅延させ、両方の出力信号を加 算部26により加算するようになっている。

 他方、左側スピーカLSPに関する構成は、 ラウンド信号処理装置10も比較例も同様で り、センタースピーカCSPに関する構成は、 ラウンド信号処理装置10のみが有しているこ とから、これらに関するサラウンド信号処理 装置20の構成はサラウンド信号処理装置10と 様である。

 ここで、上述した所定周波数、すなわち 低域濾過部21及び22並びに高域濾過部23にお るカットオフ周波数は、中心周波数500Hzの 域と中心周波数630Hzの帯域とを分ける境界周 波数としている。つまり、図3に示すように 中心周波数500Hz以下の帯域では、第1実施形 によるサラウンド効果の方が比較例よりも く、中心周波数630Hz以上の帯域では、比較例 によるサラウンド効果の方が第1実施形態よ も高いので、この境界周波数をカットオフ 波数とした。

 このようにカットオフ周波数を決定する とで、音像200の最大定位角は、中心周波数5 00Hz以下の帯域では、第1実施形態の場合と同 となり、中心周波数630Hz以上の帯域では、 較例の場合と同様になり、中心周波数630Hz以 上の帯域でのサラウンド効果が向上する。

 なお、スピーカLSPとスピーカRSPとの間隔 センタースピーカCSPからリスナー100までの 離等のリスニング環境によって、最大定位 や音圧レベルは異なることから、想定され リスニング環境における評価を十分に行っ 上で、カットオフ周波数を決定することが ましい。

 更に、カットオフ周波数の決定方法とし は、最大定位角のみに基づいて決定する以 にも、例えば、音圧特性(図4及び5参照)に基 づいて決定しても良いし、最大定位角と音圧 特性の両方に基づいて決定しても良い。音圧 特性に基づいて決定する場合には、例えば、 音圧レベルが急激に低下する周波数をカット オフ周波数としても良い。

 また更に、カットオフ周波数の決定方法 して、両耳間の音圧レベル差に基づいて決 しても良い。例えば、図12及び図13に示す最 大音圧レベル差から最適遅延量を求めた場合 、500Hz付近以下では、第1実施形態の最大音圧 レベル差の方が比較例の最大音圧レベル差方 よりも大きく、600Hz付近以上では、比較例の 大音圧レベル差の方が第1実施形態の最大音 圧レベル差よりも大きいので、カットオフ周 波数は、500Hzから600Hzの間で決定する。

 以上説明したように、本実施形態によれ 、第1実施形態の作用による効果に加えて、 低域濾過部21及び22が、左側サラウンド信号Ls の所定周波数以下の信号成分を、減衰部12と 相反転部14に出力し、低域濾過部21からの出 力信号を減衰部12が減衰させ、且つ、遅延部1 3が周波数帯域毎に遅延させて、センタース ーカCSPに出力し、位相反転部14が、低域濾過 部22からの出力信号の位相を反転させて、加 部26に出力し、高域濾過部23が、左側サラウ ンド信号Lsの所定周波数以下よりも高い周波 の信号成分を減衰部24に出力し、この出力 号を、減衰部24が減衰させ、且つ、遅延部25 周波数帯域毎に遅延させて、加算部26が、 相反転部14の出力信号と遅延部25の出力信号 加算してスピーカRSPに出力するので、低音 におけるサラウンド効果を向上させながら 更に中高音域におけるサラウンド効果も向 させることができる。

 [3.第3実施形態]
 次に、第3実施形態について、図9を用いて 明する。

 図9は、第3実施形態に係るサラウンド信 処理装置30の概要構成の一例を示すブロック 図であり、同図において、図2と同様の要素 ついては同様の符号を付してある。

 上述した第2実施形態においては、左右夫 々一つのスピーカにサラウンド信号を出力す る構成としていたが、本実施形態においては 、2Wayスピーカに対してサラウンド信号を出 する場合について説明する。

 図9に示すように、サラウンド信号処理装 置30は、左側サラウンド信号抽出部11と、減 部12及び24と、遅延部13及び25と、位相反転部 14と、低域濾過部21、22及び31と、高域濾過部2 3及び32と、を含んで構成されている。

 ここで、低域濾過部31及び高域濾過部32は 、一方出力手段を構成し、減衰部12及び遅延 13は、減衰遅延手段を構成し、遅延部13は、 中央出力手段を構成し、位相反転部14は、位 反転手段を構成する。また、低域濾過部21 び22は、第1フィルタ手段を構成し、高域濾 部23は、第2フィルタ手段を構成し、減衰部24 及び遅延部25は、第2減衰遅延手段を構成し、 位相反転部及び遅延部35は、他方出力手段を 成する。

 また、本実施形態においては、スピーカL SP及びRSPに替えて、ウーファLW及びツイータLT により構成されるスピーカユニットLSU(一方 ピーカの一例)と、ウーファRW(低音域用スピ カの一例)及びツイータRT(高音域用スピーカ の一例)により構成されるスピーカユニットRS U(他方スピーカの一例)とが配置されている。

 左側サラウンド信号抽出部11は、オーデ オストリーム信号Asから抽出した左側サラウ ンド信号Lsを、低域濾過部21と、低域濾過部22 と、高域濾過部23と、低域濾過部31と高域濾 部32とに夫々出力するようになっている。

 低域濾過部31は、左側サラウンド信号抽 部11から供給された左側サラウンド信号Lsの 定周波数より高い周波数の信号成分をカッ し、当該所定周波数以下の信号成分を、ス ーカユニットLSUのウーファLWに出力するよ になっている。

 高域濾過部32は、左側サラウンド信号抽 部11から供給された左側サラウンド信号Lsの 定周波数以下の信号成分をカットし、当該 定周波数より高い周波数の信号成分を、ス ーカユニットLSUのツイータLTに出力するよ になっている。

 なお、低域濾過部31の構成は低域濾過部21 及び22と同様であり、そのカットオフ周波数 これらと同一である。また、高域濾過部32 構成は高域濾過部23と同様であり、そのカッ トオフ周波数もこれと同一である。

 位相反転部14の出力信号は、スピーカユ ットRSUのウーファRWに供給されるようになっ ている。また、遅延部35の出力信号は、スピ カユニットRSUのツイータRTに供給されるよ になっている。

 このように、本実施形態においては、サ ウンド信号の低音域の成分はウーファに出 され、当該サラウンド信号の中高音域の成 はツイータに出力されるようになっている

 以上、説明したように、本実施形態によ ば、位相反転部14からの出力信号はウーフ RWに供給され、遅延部35の出力信号はツイー RTに供給されるので、第2実施形態の場合と 様の効果を奏することができるとともに、 々の出力信号が周波数帯域に合ったスピー に夫々供給されることにより、音質を向上 せることができる。

 なお、上記第2実施形態または第3実施形 を、第1実施形態の場合のように、例えば、5 .1ch等のサラウンドシステムに適用可能であ ことは無論である。

 また、本発明は、上記実施形態に限定さ るものではない。上記実施形態は、例示で り、本発明の請求の範囲に記載された技術 思想と実質的に同一な構成を有し、同様な 用効果を奏するものは、如何にしてもので っても本発明の技術的範囲に包含される。