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Patent Searching and Data


Title:
SILICON CARBIDE POROUS BODY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069731
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a silicon carbide porous body containing silicon carbide particles as an aggregate and an oxide as a binder. The silicon carbide particles are bonded together, while having fine pores between the particles. The addition amount of the oxide is not less than 0.5 g/m2 but less than 3.0 g/m2 relative to the surface area of the silicon carbide particles.

Inventors:
KIKUCHI YOSHIO (JP)
KAWASAKI SHINJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071619
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NGK INSULATORS LTD (JP)
KIKUCHI YOSHIO (JP)
KAWASAKI SHINJI (JP)
International Classes:
C04B38/00; B01D39/20; C04B35/565
Domestic Patent References:
WO2002070433A12002-09-12
Foreign References:
JP2002234779A2002-08-23
JP2003292388A2003-10-15
JP2003103285A2003-04-08
JP2001199777A2001-07-24
JPH06182228A1994-07-05
JPS6126550A1986-02-05
JPH08165171A1996-06-25
JPS6113845B21986-04-16
JPS6113846B21986-04-16
JP2001199777A2001-07-24
JP2002154882A2002-05-28
Other References:
See also references of EP 2233455A4
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Kazuhira (No.8 Kikuboshi Tower Building20-18, Asakusabashi 3-chome,Taito-k, Tokyo 53, JP)
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Claims:
 骨材としての炭化珪素粒子と、結合材としての酸化物とを含み、前記炭化珪素粒子相互間に細孔を保持した状態で結合しており、前記酸化物の添加量が炭化珪素粒子の表面積に対して0.5g/m 2 以上3.0g/m 2 未満である炭化珪素質多孔体。
 前記酸化物がSi(シリコン)元素を含み、さらに、アルカリ土類金属、Y(イットリウム)、ランタノイド、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、およびAl(アルミニウム)元素からなる群のうち少なくともいずれか1つを含む請求項1に記載の炭化珪素質多孔体。
 前記酸化物が結晶相を含んでおり、該結晶相がコージェライト、チタン酸アルミニウム(Al 2 TiO 5 )、ムライト、ジルコン、アノーサイト、ストロンチウム長石またはサイアロンである請求項1または2に記載の炭化珪素多孔体。
 前記細孔の開気孔率が30~75%である請求項1~3のいずれか一項に記載の炭化珪素質多孔体。
 前記細孔の平均細孔径が5~50μmである請求項1~4のいずれか一項に記載の炭化珪素質多孔体。
 請求項1~5のいずれか一項に記載の炭化珪素質多孔体により構成されるハニカム構造体。
 請求項1~5のいずれか一項に記載の炭化珪素質多孔体の製造方法であって、炭化珪素粒子原料に酸化物原料を添加し混合後、1100~1600℃で焼成する炭化珪素質多孔体の製造方法。
Description:
炭化珪素質多孔体

 本発明は炭化珪素質多孔体に関し、更に しくは、DPF(ディーゼルパティキュレートフ ィルタ)に好適に使用し得る炭化珪素質多孔 に関する。

 従来、ディーゼルエンジン排ガスのよう 含塵流体中に含まれる粒子状物質を捕集除 するためのフィルター、あるいは排ガス中 有害物質を浄化する触媒成分を担持するた の触媒担体として、多孔質のハニカム構造 が広く使用されている。また、このような ニカム構造体の構成材料として、炭化珪素( SiC)粒子のような耐火性粒子を使用すること 知られている。

 具体的な関連技術として、例えば特許文 1には、所定の比表面積と不純物含有量を有 する炭化珪素粉末を出発原料とし、これを所 望の形状に成形、乾燥後、1600~2200℃の温度範 囲で焼成して得られるハニカム構造の多孔質 炭化珪素質触媒担体が開示されている。

 一方、特許文献2には、易酸化性素材、ま たは易酸化性素材を含有する耐火組成物にガ ラス化素材を添加し、結合材とともに混合、 混練および成形し、成形した成形体を非酸化 雰囲気の炉内で裸焼成することを特徴とする ガラス化素材含有耐火物の製造方法が、特許 文献3には、炭化珪素粉末に、有機バインダ と、粘土鉱物系、ガラス系、珪酸リチウム の無機バインダーを添加して成形する炭化 素成形体がそれぞれ開示されている。

 また、前記特許文献1には、従来の多孔質 炭化珪素焼結体の製造方法として、骨材とな る炭化珪素粒子にガラス質フラックス、ある いは粘土質などの結合材を加え成形した後、 その成形体を前記結合材が溶融する温度で焼 き固めて製造する方法も紹介されている。

 さらに、特許文献4および特許文献5には、 砂、陶磁器粉砕物、Al 2 O 3 、TiO 2 、ZrO 2 等の金属酸化物、炭化珪素、窒化物、硼化物 あるいはその他の耐火性材料等よりなる所定 粒度に整粒された耐火性粒子が、水ガラス、 フリット、釉薬等の耐火性結合材で多孔質の 有底筒状体に形成された高温用セラミックス フィルターについて、その好適な耐火性粒子 平均径、耐火性粒子粒度分布、筒状体気孔率 、筒状体平均細孔径、筒状体細孔容積、筒状 体隔壁肉厚等が開示されている。

 加えて、特許文献6には、炭化珪素などの 耐火性粒子がガラス質成分により結合されて 、十分に多孔質かつ高比表面積で、自動車排 ガス浄化用のフィルターや触媒担体等として 高SV条件下でも好適に使用できるハニカム構 体、および、その製造方法が開示されてい 。

 他方、特許文献7には、骨材である耐火性粒 子、特に炭化珪素と金属珪素を含む多孔質ハ ニカム構造体、および、その製造方法が開示 されている。

特開平6-182228号公報

特開昭61-26550号公報

特開平8-165171号公報

特公昭61-13845号公報

特公昭61-13846号公報

特開2001-199777号公報

特開2002-154882号公報

 前記特許文献1に示される、炭化珪素粉末 自体の再結晶反応による焼結形態(ネッキン )では、炭化珪素粒子表面から炭化珪素成分 蒸発し、これが粒子間の接触部(ネック部) 凝縮することで、ネック部が成長し結合状 が得られるが、炭化珪素を蒸発させるには 非常に高い焼成温度が必要であるため、こ がコスト高を招き、かつ、熱膨張率の高い 料を高温焼成しなければならないために、 成歩留が低下するという問題があった。

 一方、特許文献2、特許文献1や、特許文献6 示される、原料炭化珪素粉末をガラス質で 合させる手法は、焼成温度としては1000~1400 と低くて済むが、例えばこの手法で作製さ た焼結体をディーゼルエンジンから排出さ る排気ガス中に含まれるパティキュレート 除去するためのディーゼルパティキュレー フィルタ(DPF)の材料として用いる場合には フィルター再生のため、フィルターに補集 れ堆積したパティキュレートを燃焼させよ とすると、熱拡散率(m 2 /s)および構成材料の単位体積当りの熱容量(J/ K/m 3 )が小さいために局所的な発熱が生じ破壊に るという問題点があった。同様に、特許文 7に示される、炭化珪素と金属珪素を含む多 質ハニカム構造体においても、熱容量が小 いために局所的な発熱が生じ破壊に至る問 点があった。

 さらに、特許文献4および特許文献5に示 れるフィルターは、多孔質ではあるものの 隔壁が5~20mmと厚い有底筒状体であり、自動 排気ガス浄化用フィルターのような高SV(空 速度)条件下には適用できなかった。

 本発明は、このような従来技術の有する問 点に鑑みてなされたものであり、その課題 するところは、熱拡散率(m 2 /s)および/または構成材料の単位体積当りの 容量(J/K/m 3 )が大きいことにより局所的な発熱が生じ難 かつDPFとして使用するために要求される各 性能を兼ね備えた炭化珪素質多孔体を提供 ることにある。

 本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意 討した結果、高SV条件下に適用できる開気 率、平均細孔径を有する炭化珪素質多孔体 あって、結合材の添加量をできるだけ少な することにより熱容量を大きくすることが き、かつ、結合材に融点の低い酸化物を使 することにより焼成温度を低くすることが きる炭化珪素質多孔体を見出し、本発明を 成するに至った。

 即ち、本発明によれば、以下に示す炭化 素質多孔体が提供される。

[1] 骨材としての炭化珪素粒子と、結合材と ての酸化物とを含み、前記炭化珪素粒子相 間に細孔を保持した状態で結合しており、 記酸化物の添加量が炭化珪素粒子の表面積 対して0.5g/m 2 以上3.0g/m 2 未満である炭化珪素質多孔体。

[2] 前記酸化物がSi(シリコン)元素を含み、 さらに、アルカリ土類金属、Y(イットリウム) 、ランタノイド、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタ )、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、およ Al(アルミニウム)元素からなる群のうち少な くともいずれか1つを含む上記[1]に記載の炭 珪素質多孔体。

[3] 前記酸化物が結晶相を含んでおり、該結 相がコージェライト、チタン酸アルミニウ (Al 2 TiO 5 )、ムライト、ジルコン、アノーサイト、ス ロンチウム長石またはサイアロンである上 [1]または[2]に記載の炭化珪素多孔体。

[4] 前記細孔の開気孔率が30~75%である上記[ 1]~[3]のいずれかに記載の炭化珪素質多孔体。

[5] 前記細孔の平均細孔径が5~50μmである上 記[1]~[4]のいずれかに記載の炭化珪素質多孔 。

[6] 上記[1]~[5]のいずれかに記載の炭化珪素 質多孔体により構成されるハニカム構造体。

[7] 上記[1]~[6]のいずれかに記載の炭化珪素 質多孔体の製造方法であって、炭化珪素粒子 原料に酸化物原料を添加し混合後、1100~1600℃ で焼成する炭化珪素質多孔体の製造方法。

 DPFにおいては、圧力損失を小さくするた には高気孔率とすることが必要である一方 高気孔率にするとDPF単位体積当りの熱容量 低下し、その結果、フィルター再生のため フィルターに補集され堆積したパティキュ ートを燃焼させようとすると、局所的な発 が生じ破壊に至るという問題点がある。し がって、気孔率を小さくせずに、DPF単位体 当りの熱容量を大きくするには、構成材料 単位体積当りの熱容量を大きくする必要が る。

 耐火性粒子の中で炭化珪素は単位体積当 の熱容量が大きく、かつ、熱膨張係数も小 いため、DPF構成材料には好適である。一方 従来技術に記載したガラス素材や金属珪素 、炭化珪素と比較して、単位体積あたりの 容量が小さい、熱膨張係数が大きいなどの 題点がある。

 本発明においては、炭化珪素粒子を酸化 で結合させる炭化珪素質多孔体の酸化物添 量をできるだけ少なくすることにより構成 料の単位体積当りの熱容量を大きくするこ ができる。また、熱膨張係数を小さくする とができる。さらに融点の低い酸化物を使 することで、焼成温度が1100~1600℃と低いた 、焼成歩留まりを高くすることができる。

 以下、本発明の実施の最良の形態につい 説明するが、本発明は以下の実施の形態に 定されるものではなく、本発明の趣旨を逸 しない範囲で、当業者の通常の知識に基づ て、以下の実施の形態に対し適宜変更、改 等が加えられたものも本発明の範囲に入る とが理解されるべきである。

[1.炭化珪素粒子]
 本発明においては、骨材として炭化珪素(SiC )粒子を使用する。SiCは耐熱性が高く、蓄積 ティキュレートの燃焼処理時にしばしば高 に晒されるDPF等の用途に好適に用いられる

 炭化珪素粒子の平均粒子径は、10~100μmで ることが好ましい。本発明のハニカム構造 は、焼成温度が比較的低いために炭化珪素 子の粒子形状や粒子径が概ね焼成後まで維 される。したがって、前記平均粒子径が10μ m未満であると、所望の細孔径に対して粒子 が小さ過ぎ、結果的に、5μm以下の細孔径が 加することとなり、圧力損失が著しく上昇 てしまう。

 逆に、前記平均粒子径が100μmを超える場 には、所望の細孔径に対して用いる炭化珪 粒子径が大き過ぎ、成形の段階で炭化珪素 子を密に充填することによっても、その間 に所望の細孔を得ることが困難となり、更 フィルター用途では、気孔率低下を招く点 も好ましくない。

 炭化珪素粒子原料中に含まれる不純物は 結合材の軟化点の降下を招き、焼結状態に 響を与えるため、その含有量を5質量%以下 抑えることが好ましい。特に、アルカリ金 については軟化点降下への影響が大きいた 、1質量%以下に抑えることが好ましい。

[2.結合材]
 本発明において使用し得る結合材としての 化物は、Si(シリコン)元素を含み、さらに、 アルカリ土類金属、Y(イットリウム)、ランタ ノイド、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)、Fe(鉄) 、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、およびAl(アル ニウム)元素からなる群のうち少なくともい ずれか1つを含むのが好ましい。これらの中 も、アルカリ土類金属、Ti(チタン)、Al(アル ニウム)を含むのが好ましく、Mg(マグネシウ ム)、Sr(ストロンチウム)、Al(アルミニウム)を 含むのが特に好ましい。2種類以上の結合材 使用しても良い。この際、例えばAlおよびSi 酸化物からなる結合材の場合、それぞれ単 の酸化物(Al 2 O 3 ,SiO 2 )を原料としてもよいが、AlとSiの複合酸化物 原料としてもよい。複合酸化物を原料とし 方が、結合材の均質性がより良好である傾 にある。

 結合材は焼成中に溶けて炭化珪素粒子にま わりつき粒子同士を接合する役割を担うた 、その適切な添加量は、炭化珪素粒子の表 積と密接な関わりがある。そして、この場 の炭化珪素粒子の表面積とは、結合材が溶 して覆い接着することを論じている訳であ から、粒子の形状等にも依るが、一般的に 、いわゆるBET比表面積よりむしろ炭化珪素 子を球体とみなした幾何学的表面積S=4πr 2 (rは炭化珪素粒子の平均粒子径の1/2)の方が適 切である。この幾何学的表面積S=4πr 2 を用いると、「炭化珪素粒子単位表面積当た りの結合材量W」を、下式にて簡易的に算出 ることができる。
W=(結合材の質量割合)/[(炭化珪素粒子の質量 合)/(4/3πr 3 ×ρ)×(4πr 2 )]
(ここで、rは炭化珪素粒子の平均粒子径の1/2 ρは炭化珪素粒子の比重である。)

 本発明において、結合材の含量は、「炭化 素粒子単位表面積当たりの結合材量W」が、 0.5g/m 2 以上3.0g/m 2 未満となるように設定することが好ましい。 0.5g/m 2 未満では、結合材が不足して、ハニカム構造 のような薄壁の構造体を維持し得る強度を得 ることができない傾向にあり、崩壊する危険 性が増大する傾向にある。逆に3.0g/m 2 以上であると、適切に炭化珪素粒子同士を結 合し得る以上に過剰に結合材が存在するため 、強度は向上するものの熱容量が低下する傾 向にあり、さらに、気孔率低下、平均細孔径 縮小などの弊害が併発してくる傾向にある。

[3.炭化珪素質多孔体]
 炭化珪素質多孔体は、その微構造として、 記炭化珪素粒子が、その原料粒子形状を留 た状態で結合材により結合された構造を有 ることが好ましい。また、本発明の炭化珪 質多孔体を、含塵流体中に含まれる粒子状 質を捕集除去するためのフィルターとして いる場合、その開気孔率を30~75%の範囲とす ことが好ましい。ハニカム構造体の開気孔 が30%未満では濾過速度が不足し、75%を超え と構造体としての強度が不足する。更に、 動車排ガス浄化用フィルター等の圧力損失 懸念される用途に用いる場合には、開気孔 を40%以上とすることが好ましい。

 同様に本発明の炭化珪素質多孔体をフィ ターとして用いる場合、ハニカム構造体の 均細孔径は、濾過する対象に応じて決定す ことが好ましい。例えば、ディーゼルエン ンから排出される排気ガス中に含まれるパ ィキュレートを捕集除去するためのディー ルパティキュレートフィルター(DPF)として いる場合には、平均細孔径を5~50μmの範囲と ることが好ましい。平均細孔径が5μm未満で はパティキュレートの少量堆積によっても著 しく圧損が上昇し、逆に、50μmを超えるとパ ィキュレートの素抜けが起こるため、好ま くない。

 結合材はガラス状でも結晶状でも良いが結 相を含むのが好ましい。酸化物の主な結晶 がコージェライト、チタン酸アルミニウム( Al 2 TiO 5 )、ムライト、ジルコン、アノーサイト、ス ロンチウム長石またはサイアロンであるの 好ましい。

[4.その他]
 炭化珪素粒子を骨材とし、結合材及び必要 応じて造孔剤等を配合してなる坏土を、ハ カム形状に滑らかに押出成形するため、成 助剤として、1種以上の有機バインダーを、 主原料(炭化珪素粒子原料と結合材)の合計量 対し外配で2質量%以上添加することが好ま い。しかしながら、30質量%を超える添加は 仮焼後に過剰な高気孔率を招き、強度不足 至らしめるため好ましくない。

 更に、隔壁の厚さが20mil(508μm)以下のハニ カム構造体に押出成形する場合には、4~20質 %の範囲で添加することが好ましい。添加量 4質量%未満では斯様な薄壁に押出すことが しく、逆に、20質量%を超えると、押出し後 その形状を維持することが困難となる。

 ハニカム構造体をフィルターとして使用 る場合には、開気孔率および平均細孔径を 整するために、坏土の調合時に造孔剤を添 してもよい。造孔剤の添加量は、主原料(炭 化珪素粒子と結合材)の合計量に対し、外配 30質量%以下とすることが好ましい。添加量 30質量%を超えると、過度に気孔率が高くな 強度不足に至る。造孔剤の平均粒子径は、 れが燃焼して抜けた跡に気孔が形成される め、焼成後に得ようとする平均細孔径に対 、25~100%の範囲のものを使用することが好ま い。所望の開気孔率および平均細孔径とす ために、造孔剤の量および造孔剤の平均粒 径を適宜選択し得る。造孔剤としては、デ プン、吸水性樹脂、球状ポリマー、グラフ イト等の有機物およびシラスバルーン、フ イアッシュバルーン、シリカゲル等の嵩高 無機物を使用し得る。

[5.製造方法]
 まず、前記原料を混合及び混練する。この 、結合材の分散性を向上させるために、結 材の平均粒子径を0.1μm~10μm、好ましくは、0 .5μm~5μmに調整する。5μmを超えると分散性が 下する傾向にある。一方、0.5μm未満の場合 は、凝集が発生する傾向にある。凝集が発 し、分散性が低下した場合には、結合材を 中に分散させる。この際、ラウリン酸塩、 ルボキシメチルセルロース、およびポリオ シアルキルエーテル等の界面活性剤などの 剤を添加して、分散性を向上させる。また 、粉砕機を使用して凝集を機械的に破壊し も良い。

 このようにして得られた坏土を、押出成 法等により所望のハニカム形状に成形する 次いで、得られた成形体を仮焼して成形体 に含まれる有機バインダーを除去(脱脂)し 後、本焼成を行う。仮焼は、結合材が溶融 る温度より低い温度にて実施することが好 しい。具体的には、150~700℃程度の所定の温 で一旦保持してもよく、また、所定温度域 昇温速度を50℃/hr以下に遅くしてもよい。

 所定の温度で一旦保持する手法について 、使用した有機バインダーの種類と量によ 、一温度水準のみの保持でも複数温度水準 の保持でもよく、更に複数温度水準で保持 る場合には、互いに保持時間を同じにして 異ならせてもよい。また、昇温速度を遅く る手法についても同様に、ある一温度区域 のみ遅くしても複数区間で遅くしてもよく 更に複数区間の場合には、互いに速度を同 としても異ならせてもよい。

 仮焼の雰囲気については、酸化雰囲気でも いが、成形体中に有機バインダーが多く含 れる場合には、仮焼中にそれ等が酸素で激 く燃焼して成形体温度を急激に上昇せしめ ことがあるため、N 2 、Ar等の不活性雰囲気で行うことによって、 形体の異常昇温を抑制することも好ましい 法である。この異常昇温の抑制は、熱膨張 数の大きい(熱衝撃に弱い)原料を用いた場 に重要な制御である。有機バインダーを、 えば主原料に対して20質量%(外配)以上添加し た場合には、前記不活性雰囲気にて仮焼する のが好ましい。

 仮焼とそれに続く本焼成は、同一の或い 別個の炉にて、別工程として行ってもよく また、同一炉での連続工程としてもよい。 焼と本焼成を異なる雰囲気にて実施する場 には前者も好ましい手法であるが、総焼成 間、炉の運転コスト等の見地からは後者の 法も好ましい。

 本焼成の温度は、用いる結合材によって なるが、通常1100~1600℃の範囲で実施するこ が好ましい。本焼成の実施温度が1100℃未満 では、結合材の溶融が十分におこらないため 炭化珪素粒子同士が強固に結合されず、逆に 、1600℃を超えると、結合材の一部が蒸発し 結合部が欠如することが生じるため好まし ない。

 また、本焼成の雰囲気については、SiCは高 での酸化が懸念されるので、少なくとも酸 が始まる温度以上の温度域においては、酸 分圧が10 -4 atm以下のN 2 、Ar等の不活性ガス雰囲気又は減圧雰囲気と ることが好ましい。

 一般に、ハニカム構造体の押出成形時に 、粒度差のある原料粉末2種以上を混合する 方が滑らかに押し出すことができ、その観点 からは、結合材の平均粒子径を、骨材である 炭化珪素粒子の平均粒子径の30%以下にするこ とが好ましい。

 以下、本発明を実施例に基づいて具体的 説明するが、本発明はこれらの実施例に限 されるものではない。

(実施例1)
 平均粒径50.0μmのSiC原料粉末98質量部、平均 径1.2μmの結合材(SiO 2 、SrO、Al 2 O 3 )2質量部、有機バインダーとしてメチルセル ース6質量部、造孔剤としてデンプン5質量 、界面活性剤2.5質量部、及び水35質量部を均 一に混合及び混練した。この際、予め結合材 と界面活性剤を20質量部相当の水に添加し、 モジナイザーで均一分散させた。このよう して得た杯土を、押出し成形機にて外径35mm 、長さ170mm、隔壁厚さ0.3mm、セル密度300セル/ 方インチ(48セル/cm 2 )のハニカム形状に成形した。このハニカム 形体を酸化雰囲気において450℃で5時間、脱 のため仮焼を行った後、非酸化雰囲気にお て1450℃で2.5時間の焼成を行い、多孔質でハ ニカム構造の炭化珪素焼結体を作製した。こ の焼結体について、評価を行い、その結果を 表1に示した。

(実施例2~9、比較例1~3)
 酸化物組成、SiC粉末の平均粒径、SiC粉末の 合量、造孔剤添加量および酸化物の主な結 相を表1に示したものとし、焼成温度を表1 示したものとした以外、実施例1と同様にし 実施例2~10および比較例1~3を行った。結果を 表1に示す。

[各項目の評価方法]
SiC粉末の平均粒径[μm]:レ-ザー回折法(JIS-R1629) にて測定。
SiC粉末表面積[m 2 ]:SiC粉末を球形近似し、平均粒径より表面積 算出。
平均細孔径[μm]:水銀圧入法(JIS-R1655)にて測定
気孔率[%]:アルキメデス法(JIS R 1634)にて測定 。
結晶相:粉末X線回折法にて同定。詳しくは、( 1)酸化物粉末添加量から算出されるSiC/結晶相 (質量比)のSiC、結晶物混合粉末のXRDを測定し 結晶相のピーク面積を測定し、(2)作製した 料のXRDを測定し、生成した結晶相のピーク 積を測定し、(3)(1)および(2)の結晶相のピー 面積を比較し、作製した試料中の結晶相質 を算出する。
熱容量[J/K/cm 3 ]:レーザーフラッシュ法(JIS-R1611)にて測定(測 温度600℃での値)。
熱拡散率[m 2 /s]:レーザーフラッシュ法(JIS-R1611)にて測定( 定温度600℃での値)。

 表1から、結合材の量を減らしていくと、 比較例1、実施例2、実施例1の順で熱容量が大 きくなっていき、また、気孔率も上昇してい くことがわかる。しかしながら、結合材の量 が本発明特定の範囲未満となると(比較例2)、 炭化珪素質多孔体は崩壊してしまうことがわ かる。また、実施例1~3と実施例4~10を比較す ば明らかなように、結晶相を含む方(実施例4 ~10)が、熱拡散率に優れることがわかる。さ に、実施例1~10と比較例3から、本発明の特定 の結合材を採用した炭化珪素質多孔体は、本 発明の結合材以外の結合材(Si)を採用したも よりも、熱容量が大きいことがわかる。

 本発明の炭化珪素質多孔体は、DPF(ディー ゼルパティキュレートフィルタ)に好適に使 し得る。