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Patent Searching and Data


Title:
SILVER MICROPARTICLE-CONTAINING COMPOSITION, PROCESS FOR PRODUCTION OF THE COMPOSITION, PROCESS FOR PRODUCTION OF THE SILVER MICROPARTICLE, AND PASTE CONTAINING THE SILVER MICROPARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054453
Kind Code:
A1
Abstract:
The object is to provide: a silver microparticle-containing composition which has a uniform grain size, which can form a fine graphic pattern and which has light environmental load; a process for producing the composition; a process for producing the silver microparticle; and a paste containing the silver microparticle. The silver microparticle can be produced by conducting the following steps: a solution preparation step of preparing a reduction solution comprising water, an aqueous ammonia, hexanoic acid and an aqueous hydrazine-hydrated solution; a silver reaction step of adding an aqueous silver nitrate solution to the reduction solution to cause a reaction; and a filtration/washing step. The reaction step is carried out by adding the aqueous silver nitride solution to the reduction solution which is heated to 40 to 80°C. The aqueous silver nitride solution is added at one portion. The silver microparticle-containing composition can be produced by dispersing the above-mentioned silver microparticle in a polar solvent. It becomes possible to produce a silver microparticle-containing composition which contains a silver particle bound to a linear fatty acid having 6 or less carbon atoms.

Inventors:
HISAEDA YUTAKA (JP)
UEYAMA TOSHIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069234
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 23, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DOWA ELECTRONICS MATERIALS CO (JP)
HISAEDA YUTAKA (JP)
UEYAMA TOSHIHIKO (JP)
International Classes:
B22F9/24; B22F1/0545; B22F1/10; B22F1/148; C09C1/62; C09C3/06; C09C3/08; H01B1/22
Foreign References:
JP2007146271A2007-06-14
JP2006089768A2006-04-06
JP2001035255A2001-02-09
JPH11319538A1999-11-24
JP2003253311A2003-09-10
US20070144305A12007-06-28
JP2007263860A2007-10-11
Other References:
See also references of EP 2208559A4
Attorney, Agent or Firm:
HIROKOH, Masaki et al. (1-6 Nishitenma 3-chome,Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 47, JP)
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Claims:
炭素数6以下の直鎖脂肪酸と結合した銀粒子を含む微小銀粒子含有組成物。
前記直鎖脂肪酸がヘキサン酸である請求項1に記載の微小銀粒子含有組成物。
前記組成物が、極性溶媒に分散している請求項1又は2に記載の微小銀粒子含有組成物。
前記極性溶媒が、水、ターピネオールのいずれか一方又は双方である請求項3に記載の微小銀粒子含有組成物。
水とアンモニア水とヘキサン酸とヒドラジン水和水溶液とを含む還元液を調整する調液工程と、
硝酸銀水溶液を前記還元液に添加し反応させる銀反応工程と、
前記銀反応工程の生成物を回収し水で洗浄するろ過・洗浄工程とを含む微小銀粒子の製造方法。
前記銀反応工程は、40℃から80℃の間に昇温させた還元液に前記硝酸銀水溶液を添加する工程である請求項5に記載の微小銀粒子の製造方法。
前記銀反応工程は、添加すべき硝酸銀水溶液を一挙に添加する工程である請求項5又は6に記載の微小銀粒子の製造方法。
水とアンモニア水とヘキサン酸とヒドラジン水和水溶液とを含む還元液を調整する調液工程と、
硝酸銀水溶液を前記還元液に添加し反応させる銀反応工程と、
前記銀反応工程の生成物を回収して水で洗浄し微小銀粒子を得るろ過・洗浄工程と、
極性溶媒に前記微小銀粒子を分散させる工程とを含む微小銀粒子含有組成物の製造方法。
前記銀反応工程は、40℃から80℃の間に昇温させた還元液に前記硝酸銀水溶液を添加する工程である請求項8に記載された微小銀粒子含有組成物の製造方法。
前記銀反応工程は、添加すべき硝酸銀水溶液を一挙に添加する工程である請求項8又は9に記載の微小銀粒子含有組成物の製造方法。
請求項1~3のいずれか1つの項に記載の微小銀粒子含有組成物に含まれる微小銀粒子を有するペースト。
TEM観察から測定した1次粒子平均径が1~100nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つの項に記載の微小銀粒子含有組成物。
純水100質量部に対してSDBS20質量部及び乾燥状態の前記微小銀粒子0.9質量部からなる分散液を1時間超音波処理した場合のコールター径が、5μm未満であることを特徴とする請求項12に記載の微小銀粒子含有組成物。
保留粒径1μmの濾紙に通液させたときに、(捕集された粒子質量/分散液に含まれる粒子質量)で表される該濾紙に捕集された粒子質量の100分率割合が10質量%未満であることを特徴とする請求項12又は13に記載の微小銀粒子含有組成物。
 
 
 
 
Description:
微小銀粒子含有組成物、その製 方法、微小銀粒子の製造方法および微小銀 子を有するペースト

 本発明は、ナノオーダーの微小銀粒子の 造方法、微小銀粒子含有組成物およびその 造方法、並びに微小銀粒子を有するペース に関するものである。

 ナノオーダーの物質は、比表面積が大き 、通常の性質とは異なる特性を示すことが られている。特に金属の場合は、微細な粒 の表面での反応性が高くなり、融点が下が といった現象が認められる。こうした特性 、小型かつ廉価で製品を供給できる可能性 あるため、特に電子機器の分野で注目され ようになっている。

 電子機器の小型化は、主として半導体の 積度の向上に依存する。また、プリント基 上で半導体同士を結線するパターンの高集 化も電子機器の小型化には必要である。こ ような高集積化されたパターンは線幅が狭 、かつ電気伝導度が高いという特性が望ま る。

 こうした要求特性に応えるものとしては めっきや真空中での蒸着、スパッタといっ 積層処理がある。しかし、上記の方法を行 うとするときには、装置が大がかりになる とが多く、より微細な描画パターンを描く は不適である。そこで装置がコンパクトで つ、生産性が高いような金属粒子の描画パ ーンが形成できるようになれば、大変有用 なる。

 こうした要求を満たすような描画パター を形成する方法としては、インクジェット スクリーン印刷といった印刷技術による方 が挙げられる。例えば、印刷技術で基板上 の描画パターンを形成するには、微小な金 粉をバインダーに分散させた導電性ペース を用いる。この場合の問題点は、パターン 成の精細度が低い点と、出来上がったパタ ンの電気伝導度が、元の金属の特性と比較 て低い点にある。

 従来導電性ペーストは、数十から数百ミ ロンの金属粉を有機樹脂バインダーに分散 ていたので、金属粒子の大きさ以下のパタ ン形成は困難であった。また、印刷したパ ーンは、金属粉同士が点で接触する構造と るため、電気伝導度は金属の連続膜の場合 比較して大きく悪化する。

 このような印刷による導電性膜の有する 題を解決するために、上記ナノオーダーの 属粒子を用いることが考えられている。こ した微小な金属粒子を用いれば、従来より 密度で高精度な描画パターンの形成を行う とも可能になるため、単位体積中での粒子 が増加することで、より連続膜に近づき電 伝導度の向上も期待できる。さらに、粒子 のものの活性が高くなることにより、融点 下がり、従来よりも、より低い焼結温度で 実質的に連続膜を得ることが可能になる。

 このような観点から、ナノオーダーの金 粒子作製方法も種々検討されてきており、 でにいくつかの報告がなされている。

 ナノオーダーの金属粒子を作製する方法 しては、主として気相法と液相法が知られ いる。例えば、特許文献1では、真空中で気 相法により、銀の超微粒子を作製し、有機溶 媒と混合することで、該超微粒子の表面が該 有機溶媒で覆われて個々に独立して分散した 銀超微粒子独立分散液が得られることが開示 されている。

 特許文献2では液相法によって得られる超 微粒子が開示されている。この技術では、水 相中の金属イオンを還元生成した金属微粒子 が、水相からより安定な有機溶媒相に相間移 動することを利用する。つまり、予め有機溶 媒中に、保護コロイドを少量存在させておく ことにより、水相から有機溶媒層へ相間移動 し金属微粒子を安定なコロイド粒子とするこ とで、有機溶媒相中で金属粒子を高濃度で得 ることができると開示されている。

 特許文献3も液相中での作製法を開示する ものである。ここでは、溶媒中で銀の塩を還 元することにより銀ナノ粒子を製造するに際 して、通常用いられる硝酸銀ではなく、銀の 塩として不溶性の塩であるハロゲン化銀(特 塩化銀または臭化銀)を用い、溶媒に溶解し に配位性を有する化合物から成る保護剤の 在下に還元を行う方法が開示されている。 の方法では、保護剤によって被覆・保護さ 溶媒中に分散された銀ナノ粒子の単分散液 得られるとされる。なお、溶媒としては極 溶媒を用い、保護剤として好ましい例とし は、チオコリンブロミドのようなチオール 好ましいと開示されている。

 特許文献4も液相法を用いて、極性溶媒中に 単分散したナノオーダーの銀微粒子を得る方 法を開示している。ここでは、銀の微粒子を 得るための出発材料は硝酸銀を用い、保護剤 はヘプタン酸を用いることが開示されている 。

特開2001-35255号公報

特開平11-319538号公報

特開2003-253311号公報

US2007/0144305 A1

 従来導電性ペーストは、印刷によってパ ーン形成後、金属微粒子を固定化するため バインダーとして樹脂を含有する。樹脂を 有させるため、溶媒は有機溶媒が使われる しかし、有機溶媒は、作業時に換気が必要 ある事、焼結時に蒸発した溶剤を燃焼させ 処理が必要である事、また洗浄で生じる廃 を直接環境に廃棄できない事といった、作 性、安全性、対環境性に課題が残る。

 また、金属微粒子の製造方法としては、 業上の量産性の観点では液相法で行うのが 当である。また液相中での合成の中でも、 りわけ水を初めとした極性溶媒中で合成で る、また、該合成後の金属微粒子を容易に 収できて乾燥状態でも安定して存在するこ 、さらには得られた乾燥状態の粒子が極性 媒に容易に再分散が可能であることが好ま い。特許文献3若しくは4は、このような金 微粒子を得ることができるものであるが、 造の条件などで得られる微粒子の粒度には 安定な部分も多い。また、特許文献4に記載 合成によって得られた乾燥状態の金属微粒 は、極性溶媒への再分散性の点で更に改善 必要なものであった。

 本発明は、このような従来技術の有する 題に鑑みてなされたものであり、その目的 するところは、粒度が均一で微細な描画パ ーンを形成でき、環境負荷が小さい微小銀 子の製造方法、微小銀粒子含有組成物およ その製造方法、並びに微小銀粒子を有する ーストを提供することにある。

 本発明者は、かかる目的を達成するため 意研究を重ねた結果、液相中で銀粒子の合 を行うこと、さらに得られる粒子を極性溶 中に分散させることで安定して存在しうる とにより、上記目的が達成できることを見 し、本発明を解決するに至った。

 即ち、本発明の微小銀粒子含有組成物は 炭素数6以下の直鎖脂肪酸と結合した銀粒子 を含むことを特徴とする。

 また、本発明の微小銀粒子の製造方法は 水とアンモニア水とヘキサン酸とヒドラジ 水和水溶液とを含む還元液を調整する工程 、硝酸銀水溶液を前記還元液に添加し反応 せる工程と、前記反応工程の生成物を濾過 た後、水で洗浄する工程を含むこと、本発 の微小銀粒子含有組成物の製造方法は、前 微小銀粒子の製造方法に、更に極性溶媒に 小銀粒子を分散させる工程を含むことを特 とする。

 更に、本発明のペーストは、微小銀粒子 有組成物に含まれる微小銀粒子を有するこ を特徴とする。

 本発明は、保護剤として炭素数6以下の直 鎖脂肪酸を用いることで、水を含む極性溶媒 中でも安定して存在しうる微小銀粒子の製造 方法、微小銀粒子含有組成物およびその製造 方法、並びに微小銀粒子を有するペーストを 得ることができる。

本発明の実施例のSEM写真を示す図であ 。 比較例2のSEM写真を示す図である。 保護剤がない場合の比較例のSEM写真を す図である。 本発明の実施例のTEM写真を示す図であ 。 保護剤をヘプタン酸にした比較例のTEM 真を示す図である。 比較例2のTEM写真を示す図である。 保護剤がない場合の比較例のTEM写真を す図である。 溶媒と分散性の関係を示すグラフであ 。 ポットライフと粘度の関係を示すグラ である。

 本発明の説明において、凝集は複数の粒 がそれぞれ別個の粒子として存在しつつも 合しており、適度な分散処理によって再度 れぞれの粒子が解離し得る状態のことを意 し、凝結とは複数の粒子が互いに融着し合 1個の粗大粒子を形成しており分散処理を施 しても再度解離することはできない状態のこ とを意味する。

 本発明の微小銀粒子含有組成物は、炭素 6以下の直鎖脂肪酸と結合した銀粒子を含ん でなる。このような構成により、乾燥時にお いては凝集した状態で安定して存在し、また 該乾燥状態の微小銀粒子の極性溶媒への分散 時には前記凝集体が別個の粒子へと解離し、 安定して存在する。

 ここで、炭素数6以下の直鎖脂肪酸は、保 護剤として機能する。この保護剤は、銀粒子 に結合することで、言い換えれば、銀粒子の 表面に付着し粒子同士の結合を阻害すること で、安定した微小銀粒子を得る効果がある。 本発明では、比較的短い直鎖の脂肪酸が好適 である。具体的には、ヘキサン酸を用いるこ とが好適である。

 また、本発明の微小銀粒子含有組成物に いては、極性溶媒を含有し、該極性溶媒に 小銀粒子を分散させてもよい。かかる極性 媒としては、水又は極性基を有する有機溶 が使用できる。具体的には、水、アルコー 、ポリオール、グリコールエーテル、1-メ ルピロリジノン、ピリジン、ターピネオー 、ブチルカルビトール、ブチルカルビトー アセテート、テキサノール、フェノキシプ パノールなどが例示できる。

 次に、本発明の微小銀粒子の製造方法に いて説明する。微小銀粒子の製造方法では 代表的には、原料液及び還元液を調整する 液工程、温度を上昇させる昇温工程、原料 を還元液に添加し反応を進行させる反応工 、液中の金属粒子(特に銀粒子)を成長させ 熟成工程、濾過・水洗を繰り返し余分な有 物質を除去する濾過・洗浄工程、及び乾燥 より液中の水分を除去する乾燥工程が行わ る。

 ここで前記濾過工程について更に説明す と、従来の多くの銀微粒子反応は、反応後 反応液中で1次粒子に完全に分散するため、 反応液中に浮遊し、容易に回収できないもの が多かった。このような銀微粒子は通常遠心 分離によって液中に沈降させ回収する。しか し、本発明の製造法によれば、ナノオーダー の1次微粒子が緩やかな凝集体を形成し、反 液中に自然に沈降するため、容易に回収で る。すなわち、遠心分離といった処理をす ことなく、例えば濾布などを用いた濾過で 収することができる。これは、銀微粒子の 産性、低コスト化に飛躍的に役立つ。

 本発明では、還元液の調液工程、銀反応 程、濾過・洗浄工程を以下のように行う。 体的には、前記還元液調液工程で用いる還 液には、水とアンモニア水とヘキサン酸と ドラジン水和水溶液とを含める。前記銀反 工程では、この還元液に硝酸銀水溶液を添 して反応させる。前記濾過・洗浄工程では 反応工程で得られた生成物を濾過回収した 、水で洗浄する。なお、還元液に含めるア モニア水は、水中に酸を溶解させるための 定化剤として添加するものである。

 前記銀反応工程では、反応槽中を40℃か 80℃の範囲に昇温して反応させるのがよい。 このとき、反応槽に添加する硝酸銀水溶液は 、反応槽と同じ温度にしておくとより好まし い。なお、反応槽中が前記温度範囲から外れ ると、40℃未満では、金属の過飽和度が上昇 、核発生が促進されるため、微粒が多くな やすい。80℃超では、核発生は抑制される 、粒子成長、粒子凝結が促進されやすい。

 また、前記銀反応工程では、溶液内の均 反応を実現する観点から、添加すべき硝酸 水溶液を一挙に添加することが好ましい。 挙に添加しないと溶液内が不均一系になり 核発生と粒子凝集が同時並行的に起こるよ になり、結果的に粒度分布の大きな、不均 な銀粒子が得られることがある。したがっ 、ここでいう「一挙に添加する」とは、還 剤や保護剤の濃度若しくはpH、温度といっ 反応要因が、硝酸銀水溶液の添加時期によ て実質的に変化しない態様であれば、特に 定されるものではない。

 ここで、前記ヒドラジン水和物は、還元剤 して金属を還元可能なものであればよい。 ドラジン水和物以外の還元剤、具体的には ヒドラジン、水素化ホウ素アルカリ塩(NaBH 4 など)、リチウムアルミニウムハイドライド(L iAlH 4 )、アスコルビン酸、第一級アミン、第二級 ミン、第三級アミンなどを併用することも きる。

 なお、本発明にかかる微小銀粒子の比表面 はBET法による測定値にして、5m 2 /g~20m 2 /gが好ましい。粒子の表面積は分散液の粘度 大きく影響する。そのため、微小銀粒子の 面積を制御することによって、分散液の粘 を制御することができる。表面積の制御方 については、還元剤の量や保護剤の量、反 温度などを適宜調整することによって可能 ある。ただし、BETが5m 2 /g未満である場合、微小粒子の存在割合が減 し、又は凝結による粗大粒子が過度に増加 ている可能性があり、粒径等を維持したま BETを制御するのは困難である。このような 子を用いると、印刷法によってはノズルの 詰まりや微細配線描写に適さないなどの不 合を生じる可能性がある。また、該粗大粒 が過度に増加することにより、後述する濾 通液評価時に濾紙上に捕集される割合が増 する可能性が考えられる。

また、BETの上限を20m 2 /gとしているが、実際に作製することができ 現段階での製造限界という意味で設定して る。本発明において、より好ましいBET範囲 大スケール反応でも安定して製造できて量 に好適という意味合いで7~20m 2 /gであり、更に好ましくは10~20m 2 /gである。なお、BET法による比表面積の測定 25℃、45cc/minのN 2 雰囲気下で前処理を行った後、ユアサアイオ ニクス製の4S-U2若しくはこの製品の同等品を いて行った。

 なお、TAP密度は0.5~5.0g/cm 3 が好ましい。0.5g/cm 3 より低い場合、膜中の粒子のつまりが不十分 で、焼結させた際の膜密度が低くなり抵抗値 が悪化する可能性があるからである。より好 ましくは1.0~4.5g/cm 3 であり、更に好ましくは1.5~4.0g/cm 3 である。なお、TAP密度の測定は、日本特許の 特開2007-263860に記載されている測定法を用い 行った。

 次に銀含量について説明する。本発明の 小銀粒子含有組成物は、電子材料分野など 配線形成などの用途にも使用される場合が る。配線形成用途などの場合、本願微小銀 子含有組成物を各種印刷法によって基板上 印刷した後、焼成して銀配線を形成するこ が行われる。このとき、銀を被覆している 護剤量が多い場合には該焼成工程で蒸散す 保護剤量が多くなるため、該銀配線の焼成 後における体積収縮率が大きくなり基板作 上好ましくない。配線の剥がれ等の不良が 生するからである。

 このため、微小銀粒子含有組成物の銀含 は出来る限り100質量%に近いことが望まれ、 好ましくは95質量%以上である。95質量%未満で ある場合、銀粒子を被覆する保護剤量が多す ぎることにより、体積収縮率が大きくなって しまうことが考えられる。本発明におけるよ り好ましい範囲は96質量%以上であり、更に好 ましくは96.5質量%以上である。

 なお、銀含量の測定は、灰分測定用灰皿( 角型50×30×10)に乾燥状態の微小銀粒子含有組 物を、厚み1~2mmとなるように入れ、該灰分 定用灰皿をマッフル炉(ヤマト科学株式会社 FO310)にて焼成し、該焼成前後の質量比から 出した。また、該焼成の条件は大気中で昇 速度10℃/minで25℃から700℃まで昇温し、そ 後自然冷却して室温まで冷却するという条 である。

 また、本発明における微小銀粒子の結晶子 としては、1~30nmの範囲内である。結晶子径 1nm未満である場合、焼結が進むため実質的 存在できない可能性があり、30nmを超える場 合は焼成時の焼結性が劣る可能性が考えられ る。好ましい範囲は5~20nmであり、より好まし くは9~15nmである。なお、本発明における結晶 子径の測定方法としては、株式会社リガク製 RINT2000にて、Co線源(40kV/30mA)を用いて(111)面を4 0~60°/2θの範囲を6回積算で測定した。該測定 得られた半価幅βを次の(1)式で表されるScher rerの式を用いて結晶子径を算出した。
Dhkl=(K・λ)/(β・cosθ)・・・(1)
ここで、各変数は以下の通りである。
D:結晶子径(nm)
λ:測定X線波長(nm)
β:結晶子による回折幅の広がり
θ:回折角のブラッグ角
K:Scherrer定数
なお、上の(1)式中における測定X線波長λは1.7 9、Scherrer定数Kには0.94を代入した。

 次に、本発明の微小銀粒子を含む組成物 製造方法では、上述の還元液の調液工程、 反応工程、濾過・洗浄工程、乾燥工程を行 た後に、極性溶媒中に当該微小銀粒子含有 成物を分散させる工程を行うことを特徴と る。ここで分散とは、極性溶媒中に微小粒 が安定に存在する状態をいい、静置した結 、微粒子の一部が沈殿してもよい。

 このような工程により、銀粒子は、乾燥 には凝集して安定に存在するが、溶媒へ再 散する際には適宜再分散処理を施すことで を含む極性溶媒中でも安定して存在するよ になる。

 ここで、凝集状態での粒子径を意味する 集径について説明する。本発明の説明にお ては、凝集径としてコールター平均径を用 ている。本発明の微小銀粒子含有組成物は 前述のように反応時に凝集するため濾過法 よって固液分離することができる。そのた 、ろ過・洗浄工程、乾燥工程後の乾燥状態 は凝集した状態で存在している。また、該 燥状態の微小粒子を分散液やペーストとし 使用する際には溶媒に再分散することがで る。

 この現象を定量化するため、溶媒に再分 させた後の溶媒中での分散粒径を湿式レー ー回折であるコールターで測定した。つま 、コールター平均径は該乾燥状態の微小粒 を溶媒に再分散させた場合の溶媒中での分 粒径を表すものである。

 コールター平均径の測定法を以下に述べ 。純水100質量部に対してSDBS(ドデシルベン ンスルホン酸ナトリウム)20質量部を混合し 完全に溶解させることで、SDBS混合水溶液と る。その後、前記純水100質量部に対して乾 状態の微小粒子を0.9質量部混合したものを1 時間超音波処理して測定用試料を作製した。 該超音波処理はシャープ株式会社製UT-205Sを いて、出力100%で行った。該測定用試料をベ クマン・コールター株式会社製LS-230を用い 測定した。

 本発明のナノ粒子の場合、前記コールタ 平均径の値が5μm以下であることが望ましい 。コールター平均径が5μmを超える場合、再 散性が悪いことを意味するため好ましくな 。好ましくは3μm以下であり、より好ましく 2μm以下である。本発明においては、通常0.1 ~2μm程度の値となるが、分散処理時間を増加 せるとより小さな値となる。そのため、本 明のナノ粉は、再分散処理条件によって分 粒径を制御することが可能である。実際に ースト化する際には本発明におけるコール ー平均径測定の再分散処理よりもより強い 散処理が行われることが多く、その場合に より小さな値になるものと考えられる。

 また、乾燥した微小粒子含有組成物の溶 への再分散性を量る指標の一つとして、分 液を濾過した際に捕集される粒子質量を測 する方法が一般的に用いられている。これ 通液試験と呼ぶ。本発明では該コールター 均径測定試料を保留粒径1μmの濾紙を用いて 濾過した場合に、(濾紙上に捕集された粒子 量/濾過前の分散液中の粒子質量)で表される 濾紙に捕集される割合によっても再分散性を 評価した。本発明においては、該濾紙に捕集 される割合が10質量%未満であることが好まし い。さらに好ましくは5質量%未満であり、よ 好ましくは1質量%未満である。

 この値が10質量%以上である場合、再分散性 悪いことを意味する。なお、本発明におい は、濾紙には保留粒子径1μmのADVANTEC社製NO.5 C濾紙(φ90mm)を用い、濾過はビフネルロートを 用いた吸引濾過によって行った。また、通液 試験で用いる液量が多過ぎる場合、濾紙の目 詰まりによる捕集が起こることが予測される ため、用いる液量としては、150cm 3 以下が好ましい。

 次に保存安定性について述べる。銀微粒 は通常溶媒に分散し、分散液の状態で使用 れる。従って、分散液状態でのポットライ は実用上重要である。本発明においては、 散液のポットライフ評価指標として、保管 後の該分散液の粘度変化を用いる。本発明 分散液作製の場合、乾燥状態では凝集して 在しているため、再分散時にある程度の分 処理が必要となる。

 この際、分散処理によって凝集粒子が分 していくにしたがって粘度が増加していく この現象は凝集粒子が分離して溶媒と接す 面積が大きくなるため、その分フリーな溶 量が少なくなることに起因すると考えられ 。そのため、保管によって分散性が劣化し 場合、粒子が再度凝集することによってフ ーな溶媒量が増加するため該分散液の粘度 減少することとなる。

 以上の理由からポットライフの評価指標 して分散液粘度の変化を用いることができ 。本発明の場合、保管前後において粘度変 がない場合は保管による分散性の劣化はな と解釈することができ、また、保管前後で 度減少が起こっていれば分散性が劣化した 解釈することができる。

 以上説明した本発明の微小銀粒子の製造 法及びこれを含む組成物の製造方法では、 応槽として、攪拌の均一性が得られる形状 よび構造のものを使用するのがよい。これ 、微小銀粒子は還元反応によって得られる 、得ようとしている粒子のサイズが非常に さいため、局所的な濃度やpHの分布が粒度 布に大きく影響するからである。

 続いて、本発明の微小銀粒子の製造方法 一実施形態について、反応の流れに沿って 製造工程を説明する。

<調液工程>
 本工程では、液を二種用意する。一方は還 性を有する物質を溶解させた液I(後には還 液と称する)であり、もう一方は原料である 属塩(特に銀塩)が溶解された液II(後には原 液と称する)である。還元液は、上述の還元 を純水に溶解させるとともに、保護剤およ 安定化剤のアンモニア水をそれぞれ添加し 均一になるまで混合することによって得る また、原料液は金属塩の結晶を純水に溶解 せることによって得られる。

<昇温工程>
 液をおのおの準備した後に、ウオーターバ もしくはヒーターを用いて液を昇温し、反 温度まで上昇させる。このとき、還元液と 応液は同様に加熱しておけば、反応時にお て反応の不均一が防止される効果があり、 子の均一性を保つことができるので好まし 。このときに昇温させる目的の温度(後の反 応温度)は、40~80℃の範囲である。

<銀反応工程>
 液がともに目的温度まで上昇すれば、還元 に対して原料液を添加する。添加は突沸に 意した上で、一度に行うことが反応の均一 の面から好ましい。

<熟成工程>
 反応液を混合した後、10~30分程度攪拌を続 、粒子の成長を完結させる。このときの反 は、サンプリングした反応液に対し、ヒド ジンを滴下することにより、未還元銀の反 が生じるかどうか確認することによって、 点を判断する。

<濾過・洗浄工程>
 得られたスラリーは濾過法によって固液分 することができる。濾過装置としては、従 から存在するものを適宜使用することが可 であり、数L(リットル)程度の小スケール反 時であればビフネルロートに濾紙を敷いた のを使用することができる。この際に使用 きる濾紙の種類は特に限定されるものでは く、保留粒子径が数ミクロンの濾紙でも問 無く使用することができる。

 また、数十L以上の大スケール反応時であ ればフィルタープレスなどを使用することが できる。洗浄工程においては、該濾過工程で 得られたケーキに対して純水を加え、再び該 純水を濾過することによって行う。

 また、得られたスラリーは遠心分離機を いて粒子を強制的に沈降させ固液分離を行 うこともできる。この場合、遠心分離は3000 rpmで30分運動させることにより行なう。固液 離後上澄みを廃棄し、純水を加え、超音波 散機で10分間分散した。遠心分離、上澄み 棄、純水添加、超音波分散という工程を3回 うことで、粒子に付着している余分な有機 質の除去を行い洗浄工程とする。

<乾燥工程>
 得られた金属塊(銀塊)を、60℃12時間の乾燥 程を経ることで、乾燥した金属粒子塊が得 れる。

 以下実施例について詳細に説明する。
(実施例1)
 反応槽には1Lビーカーを使用した。また攪 のために、羽根を備えた攪拌棒を反応槽の 心に設置した。反応槽には温度をモニター るための温度計を設置した。また溶液に下 より窒素を供給できるようにノズルを配設 た。

 まず、反応槽に水273gを入れ、残存酸素を 除くため反応槽下部から窒素を500mL/分の流量 で600秒間流した。その後、反応槽上部から500 mL/分の流量で供給し、反応槽中を窒素雰囲気 とした。

 攪拌棒の回転速度が280から320rpmになるよ に調整した。そして反応槽内の溶液温度が6 0℃になるように温度調整を行なった。

 アンモニア水(アンモニアとして30質量%含 有する)7.5gを反応槽に投入した後、液を均一 するために1分間攪拌した。

 次に保護剤としてヘキサン酸(和光純薬工 業株式会社製特級試薬)7.5g(銀に対して2.01当 にあたる)を添加し、保護剤を溶解するため1 0分間攪拌した。なお、保護剤は本発明の実 例と比較例で異なる材料を用いた。その後 還元剤として50質量%のヒドラジン水和物(大 化学株式会社製)水溶液を20.9g添加した。こ を還元液とした。尚、本発明におけるヘキ ン酸の銀に対する当量とはモル比のことを 味し、2.01当量とはヘキサン酸/銀のモル比 2.01であることを示す。

 別の容器に硝酸銀結晶(和光純薬工業株式 会社製特級試薬)36gを水175gに溶解した硝酸銀 溶液を用意した。これを原料液とした。な 、硝酸銀水溶液は反応槽内の溶液と同じ60 に温度調整を行なった。

 その後、原料液を還元液に一挙添加によ 加え、還元反応を行った。攪拌は連続して い、その状態のまま10分間熟成させた。そ 後、攪拌を止め、濾過・洗浄工程、乾燥工 を経て、微小銀粒子塊を得た。

 洗浄工程の終了段階で得られた粒子をTEM 察したところ、図4に示すようなヘキサン酸 が結合した粒子が得られ、平均粒子径14nmで 比較的粒径の整った微小銀粒子が得られた なお、TEMによる該1次粒子平均径は、174000倍 視野中に存在する300個以上の粒子の円相当 を測定し、それらの個数平均径を算出する とにより行った。

 また、乾燥品をSEMにより確認したところ 1に示す様な塊状に粒子が得られたが、高倍 率で観測すると、極めて小さい微量粒子集合 体からなっていることが観察された。また、 純水100g、SDBS20g及び乾燥状態の銀微小粒子0.9g を混合し、1時間超音波処理して分散液を作 した。その後、該分散液のコールター径測 及び再分散性の評価として濾紙への通液試 を行った。

(実施例2)
 反応温度を50℃とした以外は同じ条件で実 例1の反応を行った。この時のBETは7.1m 2 /gであった。

(比較例1)
 ヘキサン酸を、炭素数が7であるヘプタン酸 に変更した以外は実施例1と同様にして、銀 子を合成した。また、実施例1同様の条件で 散液を作製し、コールター平均径及び濾紙 の通液試験を行った。

(比較例2)
 アンモニア水(アンモニアとして30質量%含有 する)7.5gを反応槽に投入した後、液を均一に るために1分間攪拌した。

 次に保護剤としてヘプタン酸(和光純薬工 業株式会社製特級試薬)7.5g(銀に対して2.01当 にあたる)を添加し、保護剤を溶解するため1 0分間攪拌した。その後、還元剤として50質量 %のヒドラジン水和物水溶液を20.9g添加した。 これを還元液とした。

 別の容器に硝酸銀結晶(和光純薬工業株式 会社製特級試薬)36gを水175gに溶解した硝酸銀 溶液を用意した。これを原料液とした。な 、硝酸銀水溶液は反応槽内の溶液と同じ60 に温度調整を行なった。

 その後、原料液を還元液に5mL/分の添加速 度(添加終了までは35分を要した)でチューブ ンプを用いて徐々に添加し、還元反応を行 た。攪拌は連続して行い、その状態のまま10 分間熟成させた。その後、攪拌を止め、濾過 ・洗浄工程、乾燥工程を経て、微小銀粒子塊 を得た。

(比較例3)
 実施例1において、ヘプタン酸を添加しない 以外は同様にして銀粒子を作製した。

 次に、本発明の微小銀粒子含有組成物の ットライフを確認するため、下記実施例20~2 3を実施した。

 (実施例20)
 本発明の銀微粒子に銀濃度が60質量%になる うにターピネオールを加え分散しペースト 得た。分散は手攪拌を行った後、株式会社 ンキー製あわとり練太郎AR-250のミキシング ードで1分間分散処理を行いその後3本ロー を用いて分散処理を行った。

 このペーストを25℃のインキュベーター 入れ、当日、7日後、13日後保存した後、再 散を行ってレオメーターで粘度を測定した なお、再分散は前記あわとり練太郎AR-250の キシングモードで1分間分散処理した後、手 拌を行い、さらにまたあわとり練太郎AR-250 ミキシングモードで1分間行った。

 (実施例21)
 溶媒を2フェノキシ-1プロパノール(以下「ダ ウノール」と呼ぶ)にした以外は実施例20と同 じにした。

 (実施例22)
 溶媒をテキサノールにした以外は実施例20 同じにした。

 (実施例23)
 溶媒をブチルカルビトールアセテート(以下 「BCA」と呼ぶ)にした以外は実施例20と同じに した。

 実施例30~34はポットライフへの分散剤の影 を調べたものである。
 (実施例30)
 分散剤は銀に対して5質量%のDisperBYK2001(ビッ クケミー・ジャパン株式会社製)を用いた。 外は実施例20と同じにした。

 (実施例31)
 溶媒をダウノールにした以外は実施例30と じにした。

 (実施例32)
 溶媒をテキサノールにした以外は実施例30 同じにした。

 (実施例33)
 溶媒をBCAにした以外は実施例30と同じにし 。

 (実施例34)
 溶媒をγ―プチロラクトンにした以外は実 例30と同じにした。

 実験条件について、表1に示した。また、 実施例1、及び比較例1で測定したコールター と通液試験の結果について表2に示した。さ らに、実施例20~34の結果を表3と図8および図9 示した。

 各サンプルの走査型電子顕微鏡(FE-SEM)に り得られた写真を図1から図3に示し、透過型 電子顕微鏡(TEM)により得られた写真を図4から 7に示す。図1(a)は倍率が10,000倍、図1(b)は100,00 0倍である。写真中では、両側矢印が(a)では3. 0μm、(b)では300nmである。これは図1から図3を じて同じである。

 実施例1(図1)では、10,000倍のSEM観察で、粒 度の揃った微小粒子が集まっているのが観察 される。100,000倍の観察でも粒子は非常に均 に、しかもそれぞれ独立した状態で作製さ ているのに対して、比較例2(図2)の粒子は粒 同士の凝集や焼結が多く生じており、粒子 の均一性が得られていないことがわかる。 た、保護剤を添加しない比較例3(図3)の粒子 は、粒子そのものが焼結しているようにみら れ、確認される一次粒子も大きくかつ不定型 なものとなっていることがわかる。

 図4は実施例1により得られた粒子のTEM写 である。図4(a)は30,000倍、(b)は174,000倍である 。写真中では、(a)に500nm、(b)に100nmの基準線 入れた。30,000倍では、焼結によって生じる 大な粒子は存在していないことがわかる。 方、174,000倍に拡大したものでは、30,000倍で 確認時には、粒子が塊状になっているよう 見えたものは、おのおの数個の粒子の集合 より形成されており、それぞれは独立した のであり分離していた。また、粒子径の比 的そろった球状を呈したものが得られてい ことがわかる。

 一方、比較例1(図5)では、実施例と同様に 粒子同士は凝集しているに過ぎず、単独の粒 子同士は独立していることが確認された。し かし、個々の粒子を確認すると粒子径は不均 一であり、かつ粒子の形状も不揃いなものと なっていることがわかる。比較例2(図6)でも 様のことがいえ、粒子径のばらつきはより 著であり、数ナノメートル~数十ナノメート までの幅広い範囲で粒子が存在しているこ がわかる。比較例3(図7)に至っては、焼結に よる粒子の粗大化ならびに不定形化が一層進 んでおり、保護剤の存在は粒子の独立性を担 保するためには必須であることがわかる。

 以上の結果より、ヘプタン酸であるか、 キサン酸であるかを問わず、保護剤が存在 なければ、100nm以下の微粒子は作製できな 。すなわち、保護剤の存在なくして、反応 中で核となる粒子が形成された後の、さら る還元反応による銀の成長および粒子間の 結を止めることができず、粒子の秩序のな 成長および粗大化を惹起してしまうことを 唆する。言い換えると、保護剤を存在させ 状態で銀の還元反応を行なわせれば、保護 が反応物粒子表面に吸着もしくは結合して 在するようになると言える。

 次に、実施例1と比較例2との比較より、 較例2の方が粒径の小さな粒子の数が多い。 の点は、174,000倍のTEMの写真からわかるだけ でなく、SEMの10,000倍の写真で連続的な不定形 のように見える点からも高い蓋然性で推測で きる。つまりSEMの10,000倍では、数nmの銀粒子 分離して観測することができず、連続物の うに見えたと説明できる。

 保護剤は、反応槽に投入された原料液の 粒子表面における還元反応による銀の成長 阻害する効果があると考えられるので、ヘ サン酸とヘプタン酸の違いは、粒子形状と 度分布が均斉となる粒子ができるかどうか 決める主要因であると考えられる。すなわ 、ヘプタン酸は粒子形状が均斉な粒子を形 させるには不十分であることを示し、ヘプ ン酸の添加を連続添加とした場合に大きな 子も生成しているのは、反応初期の段階で 保護剤であるヘプタン酸が使用されてしま 、硝酸銀水溶液の投入の終わり頃には反応 保護するに十分なヘプタン酸が存在してい かったと考えられる。したがって、粒子径 比較的均斉なものとするためには、液の添 は一挙に行うことが好ましいことがわかる

 従って、保護剤としてヘキサン酸を用い だけでなく、硝酸銀水溶液の投入を一挙に 加することも、数十nmレベルの均一な微小 粒子を得るためには、いくらかの寄与があ ものと考えられる。

 次に表2を参照する。実施例1はヘキサン酸 用いた反応によって作製した銀微小粒子及 銀微小粒子含有組成物であるが、コールタ 平均径が0.201μmと小さく分散液濾過による濾 紙上に捕集された割合も非常に少ない。乾燥 状態では凝集して存在しているが溶媒に再分 散可能なものであることが分かる。

 それに対して比較例1のヘプタン酸を用い た反応によって作製した銀微小粒子はコール ター平均径が非常に大きくなっており、分散 液濾過時の捕集率も66.6質量%と非常に高くな ている。これより、ヘキサン酸を保護剤に いた場合、乾燥状態粒子の溶媒への再分散 が顕著に改善されることが分かった

 次に表3及び図8を参照する。なお、表3中に 載されている粘度は、レオストレスRS600(HAAK E社)を用いて25℃でせん断速度dγ/dt(1/s)が3.038 ときに測定した値である。銀微粒子の場合 粒子が分散していると、分散程度に従って 溶媒と接する表面積が大きいためフリーな 媒が少なくなり、粘度が高くなる。すなわ 、粘度の高さが分散性の度合いの指標とな 。

 表3の実施例20乃至23の粘度をグラフにし ものを図8に示す。横軸は保存日数であり、 軸は粘度を表わす。上記のように粘度が高 方が分散性が高いと考えられる。すべての 施例で経時変化によって粘度が低下する傾 にあり、分散性は劣化する方向にあった。 かし、ダウノール、ターピネオールは元々 粘度が高く、分散性は高いと判断できる。

 次にペースト中の分散剤の影響について べる。ペーストのポットライフは実用上、 要な項目となる。そこで本発明の微小銀微 子含有組成物に溶媒と分散剤を添加した実 例30乃至34を作製した。表3の実施例30乃至34 粘度の結果を図9に示す。分散剤の影響で、 初期粘度からすべての実施例で分散剤がない 場合の実施例より粘度が高かった。これより ペースト中に分散剤を入れる効果が分かった 。また、実施例30乃至34の全てで7日後の粘度 一定値となり、ペーストに分散剤を含有さ ることで、ポットライフが長くなることが かった。

 本発明により、溶媒への再分散性に優れた 小銀粒子含有組成物、及びその微小銀粒子 有組成物を用いた分散液を得ることができ ため、該微小銀粒子含有組成物又は分散液 用いる各用途に好適に利用することができ 。例えば、FPD・太陽電池・有機EL用の電極 成、RFIDの配線形成、また微細なトレンチ、 アホールコンタクトホールなどの埋め込み どの配線、車や船の塗装用色材、医療、診 、バイオテクノロジー分野での生化学物質 吸着させるキャリア、抗菌作用を利用した 菌塗料、触媒、導電性接着剤、樹脂との混 により導電性ペーストやそれを用いたフレ シブルプリント回路、高屈曲性シールド、 ンデンサ等といった各用途に利用できる。 明により、極性溶媒中に微小銀粒子を均一 単分散した組成物を得ることができるので 粒径がそろっていることにより効果が得ら ると考えられる用途(例えば反射膜)に利用 ることができる。