Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
SILVER MICROPOWDER, SILVER INK, SILVER COATING, AND METHODS FOR PRODUCTION OF THESE MATERIALS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/087918
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a silver micropowder coated with a protecting material which can largely decrease the sintering temperature compared with a conventionally employed sintering temperature. Specifically disclosed is a silver micropowder which comprises silver particles having an average particle diameter (DTEM) of 3 to 20 nm or each having an X-ray crystal grain diameter (Dx) of 1 to 20 nm, and which further comprises hexylamine (C6H13-NH2) adsorbed on the surfaces of the silver microparticles. The silver micropowder enables the production of an electrically conductive film having a specific resistivity of 25 μΩ cm or less by mixing the silver micropowder with an organic medium to prepare a silver coating, applying the silver coating to form a coating film, and firing the coating film at 120˚C in the atmosphere. An electrically conductive film having a specific resistivity of 25 μΩ cm or less can be also produced when the coating film is fired at 100˚C. The silver micropowder can be produced by mixing a silver particle dispersion with hexylamine and maintaining the mixture at 5 to 80˚C while stirring to cause the settlement of particles, wherein the silver particle dispersion comprises: an organic medium; and silver particles which are coated with a primary amine (A) having an unsaturated bond and also having a molecular weight of 200 to 400 and which are monodispersed in the organic medium.

Inventors:
SATO, Kimitaka (LTD. 14-1 Soto-kanda 4-chom, Chiyoda-ku Tokyo 21, 1010021, JP)
佐藤 王高 (〒21 東京都千代田区外神田四丁目14番1号 DOWAエレクトロニクス株式会社内 Tokyo, 1010021, JP)
OKANO, Taku (LTD. 14-1 Soto-kanda 4-chom, Chiyoda-ku Tokyo 21, 1010021, JP)
Application Number:
JP2008/073623
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
December 25, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
DOWA ELECTRONICS MATERIALS CO., LTD. (14-1, Soto-kanda 4-chome Chiyoda-ku Tokyo, 21, 1010021, JP)
DOWAエレクトロニクス株式会社 (〒21 東京都千代田区外神田四丁目14番1号 Tokyo, 1010021, JP)
SATO, Kimitaka (LTD. 14-1 Soto-kanda 4-chom, Chiyoda-ku Tokyo 21, 1010021, JP)
佐藤 王高 (〒21 東京都千代田区外神田四丁目14番1号 DOWAエレクトロニクス株式会社内 Tokyo, 1010021, JP)
International Classes:
B22F1/02; B22F1/00; B22F9/24; C09C1/62; C09C3/08; C09D5/24; C09D7/12; C09D11/00; H01B1/22; H01B5/00; H01B13/00
Attorney, Agent or Firm:
KOMATSU, Takashi (Room601, Lions Mansion Ichigaya8-10, Sumiyoshi-choShinjuku-ku, Tokyo 65, 1620065, JP)
Download PDF:
Claims:
 ヘキシルアミンを表面に吸着させた平均粒子径D TEM :3~20nmの銀粒子からなる銀微粉。
 ヘキシルアミンを表面に吸着させたX線結晶粒径D X :1~20nmの銀粒子からなる銀微粉。
 当該銀微粉を有機媒体と混合して銀塗料とし、これを塗布した塗膜を大気中120℃で焼成したときに比抵抗25μω・cm以下の導電膜となる性質を備えた請求項1または2に記載の銀微粉。
 当該銀微粉を有機媒体と混合して銀塗料とし、これを塗布した塗膜を大気中100℃で焼成したときに比抵抗25μω・cm以下の導電膜となる性質を備えた請求項1または2に記載の銀微粉。
 請求項1~4のいずれかに記載の銀微粉を液状有機媒体Sに分散させた銀インク。
 液状有機媒体Sが芳香族炭化水素である請求項5に記載の銀インク。
 液状有機媒体Sがデカリンである請求項5に記載の銀インク。
 ヘキシルアミンを表面に吸着させた平均粒子径D TEM :3~20nmの銀粒子を成分とする銀塗料であって、この銀塗料を塗布した塗膜を大気中120℃で焼成したときに比抵抗25μω・cm以下の導電膜となる性質を備えた銀塗料。
 ヘキシルアミンを表面に吸着させたX線結晶粒径D X :1~20nmの銀粒子を成分とする銀塗料であって、この銀塗料を塗布した塗膜を大気中120℃で焼成したときに比抵抗25μω・cm以下の導電膜となる性質を備えた銀塗料。
 当該銀塗料を塗布した塗膜を大気中100℃で焼成したときに比抵抗25μω・cm以下の導電膜となる性質を備えた請求項8または9に記載の銀塗料。
 不飽和結合を持つ分子量200~400の1級アミンAに被覆された平均粒子径D TEM :3~20nmまたはX線結晶粒径D X :1~20nmの銀粒子が有機媒体中に単分散した銀粒子分散液と、ヘキシルアミンとを混合する工程、この混合液を撹拌状態で5~80℃に保持することにより沈降粒子を生成させる工程、固液分離操作により前記沈降粒子を固形分として回収する工程を有する請求項1~4のいずれかに記載の銀微粉の製造法。
 1級アミンAはオレイルアミンである請求項11に記載の銀微粉の製造法。
 不飽和結合を持つ分子量200~400の1級アミンAに被覆された平均粒子径D TEM :3~20nmまたはX線結晶粒径D X :1~20nmの銀粒子が有機媒体中に単分散した銀粒子分散液と、ヘキシルアミンとを混合する工程、この混合液を撹拌状態で5~80℃に保持することにより沈降粒子を生成させる工程、固液分離操作により前記沈降粒子を固形分として回収する工程、得られた固形分を洗浄する工程、洗浄後の固形分を液状有機媒体Sに分散させる工程を有する請求項5~7のいずれかに記載の銀インクの製造法。
 1級アミンAはオレイルアミンである請求項13に記載の銀インクの製造法。
 不飽和結合を持つ分子量200~400の1級アミンAに被覆された平均粒子径D TEM :3~20nmまたはX線結晶粒径D X :1~20nmの銀粒子が有機媒体中に単分散した銀粒子分散液と、ヘキシルアミンとを混合する工程、この混合液を撹拌状態で5~80℃に保持することにより沈降粒子を生成させる工程、固液分離操作により前記沈降粒子を固形分として回収する工程、得られた固形分を洗浄する工程、洗浄後の固形分と有機媒体を混合して塗布可能な性状とする工程を有する請求項8~10のいずれかに記載の銀塗料の製造法。
 1級アミンAはオレイルアミンである請求項15に記載の銀塗料の製造法。
Description:
銀微粉、銀インクおよび銀塗料 らびにそれらの製造法

 本発明は、有機物質に被覆された銀ナノ 子からなる銀微粉、その銀微粉を用いた銀 ンク、銀塗料ならびにそれらの製造法に関 る。なお、本明細書において「ナノ粒子」 は粒子径が40nm程度以下の粒子を意味し、「 微粉」とはナノ粒子で構成される粉体を意味 する。

 金属微粉は活性が高く、低温でも焼結が むため、耐熱性の低い素材に対するパター ング材料として着目されて久しい。特に昨 ではナノテクノロジーの進歩により、シン ルナノクラスの粒子の製造も比較的簡便に 施できるようになってきた。

 特許文献1には酸化銀を出発材料として、 アミン化合物を用いて銀ナノ粒子を大量に合 成する方法が開示されている。また、特許文 献2にはアミンと銀化合物原料を混合し、溶 させることにより銀ナノ粒子を合成する方 が開示されている。非特許文献1には銀ナノ 子を用いたペーストを作成することが記載 れている。特許文献4には液中での分散性が 極めて良好な銀ナノ粒子を製造する技術が開 示されている。一方、特許文献3には有機保 材Aで保護した金属ナノ粒子が存在する非極 溶媒に、金属粒子との親和性の良いメルカ ト基等の官能基を持つ有機保護材Bが溶解し た極性溶媒を加えて、撹拌混合することによ り、金属ナノ粒子の保護材をAからBに交換す 手法が開示されている。

特開2006-219693号公報

国際公開第04/012884号パンフレット

特開2006-89786号公報

特開2007-39718号公報 中許昌美ほか、「銀ナノ粒子の導電ペー ストへの応用」、化学工業、化学工業社、200 5年10月号、p.749-754

 金属微粉の表面は一般的に有機保護材に り被覆されているのが通常である。この保 材は銀粒子合成反応時に粒子同士を隔離す 役割を有する。したがって、ある程度分子 の大きいものを選択することが有利である 分子量が小さいと粒子間距離が狭くなり、 式の合成反応では反応中に焼結が進んでし う場合がある。そうなると粒子が粗大化し 粉の製造が困難になる。

 一方、有機保護材で保護された金属微粉 用いて基板上に微細配線を形成するときに 、配線を描画した後、金属微粒子同士を焼 させることが必要である。焼結の際には、 子間に存在する有機保護材が揮発等により 去されなければならない。若干の炭素分が 結体(配線)の中に残存することが許容され 場合もあるが、電気抵抗の上昇を招くので 完全に除去されることが望ましい。

 ところが、分子量の大きい有機保護材は 般的には加熱しても揮発除去されにくいの 、例えば銀微粉の場合250℃以上といった高 に曝さなければ導電性の高い焼結体(配線) 構築することが難しい。このため、適用可 な基板の種類は、例えばポリイミド、ガラ 、アラミドなど、耐熱温度の高い一部の素 に限られる。

 本出願人は、特許文献4に示した手法や、 その後に開発した手法を用いて、オレイルア ミンなどの不飽和結合を有する1級アミン存 下で銀塩を還元することにより、極めて分 性の良い銀ナノ粒子を合成することに成功 た。このような手法で合成された銀粒子は 元反応時に存在させた1級アミンからなる有 保護材に被覆されている。この有機保護材 分子量が200以上と比較的大きいために、金 銀の周囲に付着して、いわゆる「浮き輪(あ るいは浮き袋)」の役割を果たし、液状有機 体中での優れた分散性を担う。また、この 機保護材は分子量が比較的大きいにもかか らず、当該銀粒子を含有するインクや塗料 描画された薄膜において、金属銀粒子同士 焼結を容易にする作用を呈する。これは、 機保護材の分子中に不飽和結合を持つこと より焼成時に有機保護材自体が酸化・分解 起こしやすく、金属銀粒子からの脱離が比 的容易に起こるためであると考えられ、オ イルアミンの例では180℃程度の低温焼成で 導電膜を形成させることが可能である。

 しかし、180℃程度まで焼成温度を下げる とができたとしても、基板に対する制約は 然として大きい。もし、100~180℃、好ましく は100~150℃程度の低い温度で焼結させること できる金属微粉が簡便な手法で生産可能に れば、その用途は著しく拡大することが必 である。例えば、透明性のポリカーボネー を基板に使用すると、CD、DVD等のメディアや 、レンズの表面に直接微細配線を描画するこ とが可能になり、各種機能が付与できる。PET (ポリエチレンテレフタレート)基板上に微細 線を描画した安価なアンテナや、紙を素材 したICタグなども実現可能と考えられる。 らに、導電性高分子へ直接金属配線を描画 ることも可能になると考えられ、各種電極 等の用途が広がることが期待される。金属 粉として銀を使用すれば、その抗菌作用を かすこともできる。その他にも数限りない 途が考えられる。

 特許文献3には、金属粒子の表面を覆う保 護材を、別の保護材に交換する技術が開示さ れている。しかしながら、この技術では金属 ナノ粒子を合成する段階で、金属供給物質と 保護材が溶解した溶媒中に後から還元剤を滴 下することによって保護材に覆われた金属粒 子を得るという手段を採用するものである。 このように溶媒中に還元剤を滴下する反応の 場合、還元剤自体が溶媒で稀釈されるために 強い還元性を有する還元剤を使用する必要が あり、液を撹拌するにしても完全に均一な還 元力で金属ナノ粒子を析出させることは容易 でない。また、還元剤の成分が粒子に混入し やすい。このため、粒径分布を均一化したり 、金属粒子中の不純物を少なくしたりする品 質管理面のコントロールが難しい。また、特 許文献3の発明には粒子合成段階で形成させ 保護材として、ナフテン酸やオクチルアミ など、分子量が100前後と小さい有機化合物 使用した例が示されており、それより大き 有機化合物で保護された金属ナノ粒子を合 する具体的手法は示されていない。保護材 分子量が上記のように小さい金属ナノ粒子 、液状媒体中で凝集して沈降しやすい。現 特許文献3の発明では、合成段階で金属ナノ 子集合体を沈降させて回収する工程が必須 されている。このような凝集・沈降しやす 粒子は液状媒体中での分散状態を保つこと 難しく、洗浄を含めた中間工程での取扱い 手間が掛かり、また保護材を交換する工程 は均一な品質を維持する上で強い撹拌混合 不可欠であると考えられる。このように、 許文献3の技術は、均一な還元反応のコント ロールが難しい点、粒子が凝集・沈降しやす い(分散性があまり良くない)点などにおいて 工業的に実施化するには更なる改善が望ま る。

 本発明は、簡便な手法により、従来より 焼結温度を大幅に低減しうる保護材で被覆 れた銀微粉およびそれを用いた銀インク、 塗料を提供しようというものである。

 上記目的を達成するために本発明では、ヘ シルアミン(C 6 H 13 -NH 2 )を表面に吸着させた平均粒子径D TEM :3~20nmまたはX線結晶粒径D X :1~20nmの銀粒子からなる銀微粉が提供される また、この銀微粉を液状有機媒体Sに分散さ た銀インクが提供される。液状有機媒体Sと しては芳香族炭化水素が好適であり、例えば デカリン(C 10 H 18 )が挙げられる。さらに、この銀微粉を有機 体と混合してなる銀塗料が提供される。こ 銀塗料は、これを塗布した塗膜を大気中120 で焼成したときに比抵抗25μω・cm以下の導電 膜となる性質を備えている。100℃で焼成して も比抵抗25μω・cm以下を示す導電膜が得られ 。

 上記の低温焼結性に優れた銀微粉の製造法 して、不飽和結合を持つ分子量200~400の1級 ミンAに被覆された平均粒子径D TEM :3~20nmまたはX線結晶粒径D X :1~20nmの銀粒子が有機媒体中に単分散した銀 子分散液と、ヘキシルアミンとを混合する 程(混合工程)、この混合液を撹拌状態で5~80 に保持することにより沈降粒子を生成させ 工程(沈降工程)、固液分離操作により前記沈 降粒子を固形分として回収する工程(固液分 工程)を有する製造法が提供される。回収さ たこの固形分は低温焼結性の銀微粉で構成 れるものである。ここで、「沈降粒子」は の撹拌を止めたときに沈降する粒子であり 沈降工程を実施しているときは液を撹拌し いるので多くの沈降粒子は液中を漂ってい 。前記1級アミンAとしてはオレイルアミン(C 9 H 18 =C 9 H 17 -NH 2 、分子量約267)が好適な対象として挙げられ 。

 また本発明の銀インクは、前記のように て回収された固形分(銀微粉)を洗浄する工 (洗浄工程)、洗浄後の固形分を液状有機媒体 Sに分散させる工程(インク化工程)を有する手 法により製造することができる。さらに本発 明の低温焼結性銀塗料は、前記のようにして 回収された固形分(銀微粉)を洗浄する工程(洗 浄工程)、洗浄後の固形分と有機媒体を混合 て塗布可能な性状とする工程(塗料化工程)を 有する手法により製造することができる。

 ところで、銀塗料を塗布した塗膜を大気 120℃あるいは100℃で焼成し、その焼成膜の 抵抗を測定する方法については特に限定さ ないが、従来一般的な手法を採用すること 望ましい。ここでは、被測定試料を大気中2 00℃で焼成したときに焼成膜の比抵抗が20μω cm以下と評価される条件を120℃焼成あるい 100℃焼成に適用して、120℃焼成膜または100 焼成膜の導電性を評価する。つまり、塗料 調製、塗布、焼成および測定の条件を、200 焼成で比抵抗が20μω・cm以下となる場合の条 件と同じにして(ただし焼成温度のみ120℃ま は100℃に変える)、120℃焼成膜または100℃焼 膜の比抵抗を測定する。200℃焼成で焼結が じていることが確認できる手法(公知の一般 的な手法)であれば、120℃焼成あるいは100℃ 成に適用しても焼結の有無を判定できる。 お、もともと大気中200℃焼成で比抵抗20μω cm以下の焼成膜が形成される条件が見出せな いような銀微粉または銀塗料は、本発明の対 象外である。

 本明細書において「ヘキシルアミンを表 に吸着させた」とは、金属銀の表面が、そ 表面にヘキシルアミンの分子を吸着させる とにより形成された保護材で被覆され、個 の粒子の金属銀どうしが、結合せずに独立 た粒子として存在しうる状態を意味する。 のような銀ナノ粒子で構成される銀微粉が 上記のように大気中120℃で焼成したときに 抵抗25μω・cm以下の導電膜となる性質を備 たものである限り、不純物として他の有機 質(例えばオレイルアミン等のアミンA成分な ど)が含まれていても構わない。

 本発明によれば、120℃という低い焼成温 で焼結が可能な銀微粉およびそれを用いた インク、銀塗料が実現された。特に、焼成 度が100℃程度まで低下した場合でも焼結不 が生じにくいことから、焼成温度管理の自 度が従来よりも拡大される。また、本発明 銀微粉、銀インクおよび銀塗料は比較的簡 に製造することができ、工業的な実施化が 分可能であると考えられる。

比較例1で銀塗料に使用した粒子の保護 材についてのDTA曲線。 比較例2で銀塗料に使用した粒子の保護 材についてのDTA曲線。 実施例1のn=6の例で銀塗料に使用した粒 子の保護材についてのDTA曲線。 実施例2で銀塗料に使用した粒子の保護 材についてのDTA曲線。 実施例1のn=6の例で得られた銀粒子のTEM 写真。 実施例2で得られた焼成膜について焼成 時間と体積抵抗の関係を示したグラフ。

 本発明の低温焼結性に優れた銀微粉は、 の構成要素である銀粒子が、ヘキシルアミ を吸着させてなる有機保護材に被覆されて ることに特徴がある。

 一般に界面活性剤としての機能を有する有 化合物は疎水基Rと親水基Xを有するR-Xの構 をもつ。疎水基Rとしては炭素骨格に水素が 合したアルキル基が代表的であり、親水基X としては種々のものがあるが、脂肪酸では「 -COOH」、アミンでは「-NH 2 」である。このような界面活性剤は、金属銀 粒子の活性な最表面を保護する有機保護材と しても利用できる。この場合、親水基Xが金 銀の表面と結合し、疎水基Rがこの有機保護 に覆われた粒子の外側に向いて配向してい と考えられる。金属ナノ粒子は極めて活性 高いので、通常、粒子の表面は保護材で覆 れていなければ安定に存在できない。ただ 、銀ナノ粒子の塗料で描画した薄膜に導電 を付与するには、できるだけ低温で銀粒子 金属銀どうしが焼結を起こすことが必要で り、そのためには金属銀の粒子サイズが例 ばD TEM 20nm以下というように極めて微細であること 加え、粒子表面の保護材が低温焼成時に容 に粒子表面から脱離して揮発除去されなけ ばならない。

 低温焼成時において粒子からの脱離と揮 を生じやすくするためには、親水基が同じ ら、できるだけ分子量の小さい有機化合物 保護材として使用することが有利となる。 方、分子量が概ね同等なら、親水基Xの構造 によって脱離と揮発の起こりやすさが変わっ てくる。発明者らの検討によれば、脂肪酸と アミンを比較すると、アミンの方が低温焼結 性には有利であることがわかってきた。金属 銀の表面を分子量の小さいアミンで被覆した 金属ナノ粒子を得ることができれば、低温焼 結性に優れたインクや塗料(ペースト)が作成 きると考えられる。

 ところが、気相からの合成に比べ大量生 に有利な「湿式工程」によって銀ナノ粒子 合成する場合、合成時に直接低分子量のア ンに被覆された銀粒子を製造しようとする 、凝集等により分散性の良好な銀微粉を得 ことが難しく、合成反応後に洗浄等の工程 経て塗料を調製する操作に支障をきたしや い。そこで本発明では、分子量200~400のアミ ンAで被覆された分散性の良い銀ナノ粒子を め得ておき、その後、アミンAを低分子量の ミンBに付け換えることにより、アミンBの 機保護材に被覆された銀ナノ粒子を得る。

 アミンBとして、本発明ではヘキシルアミン (C 6 H 13 -NH 2 、分子量101.2)を適用する。後述のデータに示 されるように、炭素数が8の1級アミンである クチルアミン(C 8 H 17 -NH 2 )を吸着させた銀ナノ粒子では、120℃の焼成 度で十分に焼結が生じる性質を呈するが、10 0℃程度になると導電膜の抵抗が急激に上昇 る傾向を示す。このため、例えば120℃とい 低い焼成温度条件を採用するような場合に 、温度管理を厳密にしなければ所望の導電 を安定して得ることが難しい。これに対し 炭素数が6の1級アミンであるヘキシルアミン を吸着させると、100℃でも十分に焼結が生じ ることが確認された。すなわち、保護材が低 分子量のヘキシルアミンにより構成されてい るため、100℃程度の低温焼成においても保護 材の脱離が容易に起こるのである。したがっ て、焼成温度条件の許容範囲を大幅に拡大す ることが可能になる。

 アミンAには不飽和結合を持つ分子量が200 ~400の1級アミンを採用する。このような1級ア ミンは、銀粒子を湿式過程で合成するときに 存在させる保護材として好適である。アミン は、銀粒子表面への配位力が弱いため、銀粒 子表面からの脱着が比較的怒りやすく、ヘキ シルアミンへの付け替えが容易となる。ただ し、分子量が過剰に大きいとスムースな脱着 に支障をきたしうるので、分子量400以下のも のがよい。また、不飽和結合の存在により、 分子量が200~400と多少大きくても、室温付近 液状を呈するので、その後の沈殿工程や固 分離工程で、加熱の必要がなく、工業的に 施しやすいメリットがある。特に、本発明 ような低温焼結性粒子では工程中の加熱は 子同士の焼結を引き起こし、高品質な塗料 インクの製造の阻害要因となる。これまで 調査では、オレイルアミンが、銀粒子合成 容易性とも相俟って非常に好適である。

 有機保護材に被覆された銀粒子の粒径は、T EM(透過型電子顕微鏡)の画像から測定される 均粒子径D TEM あるいはX線結晶粒径D X によって表すことができる。本発明ではD TEM が3~20nmである銀粒子、あるいはX線結晶粒径D X が1~20nmである銀粒子が好ましい対象となる。 このような粒径範囲の銀微粉は良好な特性を 有するインクや塗料を作る上で有利である。 このうち、D TEM が6~20nm、D X が4~20nm程度の粒子径の銀粒子は、後述の方法 によって合成しやすい。また、D TEM が3~7nm、D X が1~5nm程度の極めて微細な銀粒子は、例えば レイルアミンを溶媒として直接銀化合物を 元する手法などによって合成することがで る。なお、合成された金属銀の結晶粒界に 不純物が混入しやすく、不純物の量が多く ると、微細配線を焼成する際にポアが生じ 良好な導電性が確保できなくなったり、耐 イグレーション性に劣ったりする不都合を じやすい。種々検討の結果、D TEM /D X で表される単結晶化度が2.5以下である銀粒子 であることが望ましく、2.0以下であることが 一層好ましい。

 ヘキシルアミンを保護材とする銀粒子は、 子量が大きい有機保護材に被覆されたもの 比べ液状媒体中では沈降しやすいが、種々 討の結果、適切な液状有機媒体Sを使用すれ ば良好な分散性を呈する「銀インク」が得ら れることがわかった。そのような液状有機媒 体Sとして、芳香族炭化水素が好適である。 えば、シクロヘキサン、トルエン、クメン ジエチルベンゼン、テトラリン、デカリン どにおいて良好な分散性が得られることを 認している。ヘキシルアミンを保護材とす 銀粒子をデカリン(C 10 H 18 )に分散させた銀インクについては、100℃で 結可能な導電塗膜が形成できることを確認 た。

 この低温焼結性に優れた銀微粉は以下のよ にして得ることができる。
〔銀粒子の合成〕
 本発明で使用する銀ナノ粒子原料は、粒度 布等の粒子性状が安定しており、かつ液状 体中で凝集・沈降しにくい性質を有してい ことが重要である。そのような銀粒子の合 法として、ここでは特許文献4に開示した合 成法を簡単に説明する。すなわち、この合成 法は、アルコール中またはポリオール中で、 アルコールまたはポリオールを還元剤として 、銀化合物を還元処理することにより銀粒子 を析出させるものである。この場合、アルコ ールまたはポリオールは溶媒であるとともに 還元剤でもある。還元反応は溶媒液を昇温し て、好ましくは還流状態とすることによって 進行させることができる。こうした手法をと ることにより、不純物の混入を防ぎ、例えば 配線材料として使用とした時には抵抗値を小 さくすることが可能になる。

 その還元反応を進行させる際には、溶媒 に保護材として機能する有機化合物を共存 せておくことが肝要である。その有機化合 として、ここでは不飽和結合を持つ1級アミ ンAを使用する。不飽和結合を持たないもの は、表面がそのアミンで保護された銀ナノ 子を合成することは困難である。発明者ら 知見では、このときの不飽和結合の数はア ンAの1分子中に少なくとも1個あれば足りる ただし、アミンAとしては分子量200~400のもの を使用する。分子量が小さいものでは還元時 の液状媒体中において凝集・沈降が生じやす く、均一な還元反応の妨げになる場合がある 。そうなると粒径分布を均一化するなどの品 質管理面のコントロールが難しくなる。また 液状有機媒体中に銀粒子が単分散した状況を 作ることが難しくなる。逆に分子量が過剰に 大きい有機化合物を用いると、後の工程にお いてヘキシルアミンに置き換える操作が難し くなることが懸念される。アミンAの具体的 例としては、オレイルアミンが挙げられる

 還元反応時に溶媒中に共存させる1級アミ ンAの量は、銀に対し0.1~20当量とすることが き、1.0~15当量とすることがより好ましく、2. 0~10当量が一層好ましい。ここで、1級アミン は銀1モルに対しアミン1モルが1当量に相当 る。1級アミンの使用量が少なすぎると銀粒 子表面の保護材の量が不足して、液中での単 分散が実現できなくなる。多すぎると後の工 程でアミンAをヘキシルアミンに置き換える 応が効率的に行えない恐れがある。

 還元剤としては、溶媒であるアルコール たはポリオールを使用する。反応に際して 還流操作を行うことが効率的である。この め、アルコールまたはポリオールの沸点は い方が好ましく、具体的には80~300℃、好ま くは80~200℃、より好ましくは80~150℃である がよい。特許文献4などに開示される種々の ものが使用できるが、中でもイソブタノール 、n-ブタノールが好適である。

 還元反応を促進させるためには還元補助 を添加しても構わない。還元補助剤の具体 は特許文献4に開示されているものから1種 上を選択すれば良いが、これらのうちジエ ノールアミン、トリエタノールアミンを用 るのが特に好ましい。

 銀の供給源である銀化合物としては、上 溶媒に溶解し得るものであれば種々のもの 適用でき、塩化銀、硝酸銀、酸化銀、炭酸 などが挙げられるが、工業的観点から硝酸 が好ましい。還元反応時の液中のAgイオン 度は0.05モル/L以上、好ましくは0.05~5.0モル/L することができる。アミンA/Agのモル比につ いては0.05~5.0の範囲とすることができる。還 補助剤/Agのモル比については0.1~20の範囲と ることができる。

 還元反応の温度は、50~200℃の範囲内とす ことが望ましい。50~150℃とすることがより ましく、60~140℃の範囲が一層好ましい。ア ンAに覆われた銀粒子(上記還元により合成 れたもの)は、銀粒子とアミンAの合計に対す るアミンAの存在割合(以下、単に「アミンA割 合」という)が0.05~25質量%に調整されているこ とが望ましい。アミンA割合が低すぎると粒 の凝集が生じやすい。逆にアミンA割合が高 なると、後の工程でアミンAをアミンBに置 換える反応が効率的に行えない恐れがある

〔銀粒子分散液の作成〕
 アミンAに覆われた銀粒子は、例えば上記の ような湿式プロセスでの還元反応で合成され たのち、固液分離および洗浄に供される。そ の後、液状有機媒体と混合して分散液を作る 。液状有機媒体としては、アミンAに覆われ 銀粒子が良好に分散する物質を選ぶ。例え 、炭化水素系が好適に使用できる。例えば ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、 カン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン テトラデカン等の脂肪族炭化水素が使用で る。ケロシンなどの石油系溶媒を使用して 構わない。これらの物質を1種以上使用して 状有機媒体とすれば良い。

 ただし、本発明では、アミンAに被覆され た銀粒子が単分散している銀粒子分散液を用 意することが重要である。ここで、「単分散 」とは、液状媒体中に個々の銀粒子が互いに 凝集することなく、独立して動ける状態で存 在していることをいう。具体的には、銀粒子 を含む液を遠心分離による固液分離操作に供 したとき、粒子が分散したまま残っている状 態の液(上澄み)を、ここでは銀粒子分散液と て採用することができる。

〔保護材の付け替え〕
 アミンAにより被覆されている銀粒子が単分 散している液状有機媒体と、ヘキシルアミン を混合すると、個々の粒子の周囲にヘキシル アミンが存在する状態、すなわち粒子が液中 でヘキシルアミンの分子に包囲されている状 態(以下「ヘキシルアミンによる包囲状態」 いう)を実現することができる。発明者らは この状態をしばらく維持すると、アミンAが 銀粒子からはずれて、ヘキシルアミンに置き 換えられる現象(以下「置き換え反応」とい ことがある)が生じることを発見した。

 この置き換え反応が生じるメカニズムに いては現時点で未解明の部分が多いが、ア ンAとヘキシルアミンの疎水基のサイズが相 違することに起因する金属銀とアミンとの親 和力の差が、この反応の進行の主たる要因に なっているのではないかと考えられる。また 、アミンAとして不飽和結合を有するものを 用していることも、アミンAの金属銀からの 離を容易にし、ヘキシルアミンとの置き換 反応の進行に寄与していると思われる。

 置き換え反応は概ね5℃以上で進行するが 、液温が低い状態で反応させると、アミンA 一部が金属銀表面に吸着したまま残存しや い。すなわち、ヘキシルアミンの中に不純 のアミンAが多く存在する保護材が形成され すい。この場合、芳香族有機化合物への分 性が低下し、芳香族有機化合物を分散媒と る安価な液状インクを作成する際には不利 なる。そこで、ヘキシルアミンへの付け替 を20℃以上で行うことが好ましく、50℃以上 で行うことがより好ましい。ただし、あまり 温度を高めると不用意な焼結が生じる恐れが あるので、80℃以下の温度で行うのが良く、7 0℃以下とすることがより好ましい。

 銀粒子の表面を覆っている保護材が低分 量のヘキシルアミンに置き換わる反応が進 していくと、分子量の大きいアミンAによる 「浮き輪」の効果が徐々に低減し、アミンA まだ残存している状態でも粒子は沈降する うになる。沈降粒子が反応容器の底に堆積 ると、それらの粒子は「ヘキシルアミンに る包囲状態」が得られなくなり、置き換え 応がそれ以上進行しにくくなる。したがっ 、本発明では置き換え反応に際し、液を撹 する。ただし、あまり強く撹拌する必要は い。アミンAがまだ付着している粒子を「ヘ シルアミンによる包囲状態」に曝すことが きれば十分である。したがって、反応容器 底に沈降粒子が堆積しない程度の撹拌力を えることが望ましい。

 「ヘキシルアミンによる包囲状態」を作 と、時間とともにヘキシルアミンによる置 量が増えていくが、1時間以上の置き換え反 応時間を確保することが望ましい。ただし、 24時間を超えても、それ以上の置き換え反応 あまり進行しないので、24時間以内で置き え反応を終了させるのが実用的である。現 的には1~7時間の範囲で調整すればよい。

 混合するヘキシルアミンの量は、「ヘキ ルアミンによる包囲状態」が実現できるに る量を確保する。混合前に保護材として存 するアミンAの量に対しては、モル比にして かなり多い量を添加することが望ましい。具 体的には混合前に銀粒子として存在するAgに する当量比(ヘキシルアミン/Ag)では、液量 もよるが、1当量以上のヘキシルアミンを混 することが望ましい。これまでの実験では2 ~20当量程度のヘキシルアミン/Ag当量比で良好 な結果が得られている。なお、Ag;1モルに対 、ヘキシルアミン;1モルが1当量に相当する

 置換反応を進行させる液中にアミンAが溶 解しやすいアルコールを配合させると、より 効率良くヘキシルアミンへの置き換えが進行 する。アミンAがオレイルアミンの場合、例 ばイソプロパノールを好適に添加すること できる。

〔固液分離〕
 上述のように、置き換え反応が終了した粒 は沈降するので、反応終了後の液を固液分 することによって、置き換え反応(沈降工程 )を終えた粒子を固形分として回収すること できる。固液分離としては遠心分離が望ま い。得られた固形分は、ヘキシルアミンで 成される有機保護膜で被覆された銀ナノ粒 を主体とするものである。このようにして 発明の銀微粉が得られる。

〔洗浄〕
 上記の固形分は、アルコールなどの溶媒を いて洗浄することが望ましい。1回以上の洗 浄操作を経て最終的に固液分離されて得られ た固形分を塗料に使用する。

〔インクの調整〕
 上記洗浄後の固形分(保護材をヘキシルアミ ンに付け替えた銀微粉)と、適当な液状有機 体Sとを混合して、液状有機媒体S中に銀微粉 を分散させることにより、本発明の銀インク が得られる。ヘキシルアミンは低分子量であ るため「浮き輪」としての能力が本来小さい が、適切な液状有機媒体Sを使用することに り、良好な分散状態が実現できる。そのよ な液状有機媒体Sとして、芳香族炭化水素が 較的効果的であり、例えばデカリンが好適 対象として例示できる。

〔塗料の調製〕
 上記洗浄後の固形分(保護材をヘキシルアミ ンに付け替えた銀微粉)と、適当な有機媒体 を混合して塗布可能な性状とすることによ 、本発明の銀塗料が得られる。ここで混合 る有機媒体は、120℃程度の温度で揮発除去 やすいものを選択することが肝要である。

《比較例1》
 リファレンスとして、特許文献4などに開示 のアルコール還元法で合成した銀微粉を用い て銀塗料を調整し、焼成温度200℃および120℃ で焼成した焼成膜の比抵抗を調べた。この銀 微粉は個々の粒子の表面がアミンA(ここでは レイルアミン)からなる有機保護材に覆われ ているものである。具体的には以下のように して実験を行った。

〔銀粒子の合成〕
 反応媒体兼還元剤としてイソブタノール(和 光純薬株式会社製の特級)96.24g、アミンAとし オレイルアミン(和光純薬株式会社製、分子 量=267)165.5g、銀化合物としての硝酸銀結晶(関 東化学株式会社製)20.59gを用意し、これらを 合してマグネットスターラーにて撹拌し、 酸銀を溶解させた。この溶液を還流器のつ た容器に移してオイルバスに載せ、容器内 不活性ガスとして窒素ガスを400mL/minの流量 吹込みながら、該溶液をマグネットスター ーにより撹拌しながら108℃まで昇温した。10 8℃の温度で5時間の還流を行なった後、還元 助剤として2級アミンのジエタノールアミン (和光純薬株式会社製、分子量=106)を対Agモル 1.0となるように12.87g添加した。その後、1時 間保持した後、反応を終了した。反応終了後 のスラリーを遠心分離機で固液分離し、分離 された液を廃棄して固体成分を回収した。そ の後、「固体成分をメタノールと混合したの ち遠心分離機で固液分離し、分離された液を 廃棄して固体成分を回収する」という洗浄操 作を2回行った。

〔銀粒子分散液の作成〕
 液状有機媒体としてテトラデカンを用意し 。これに前記洗浄後の固形成分を混合・分 し、遠心分離機により30分間固液分離し、 離された液を回収した。この液にはアミンA( オレイルアミン)に覆われた銀粒子が単分散 ている。

 この銀粒子分散液を透過型電子顕微鏡(TEM) より観察し、平均粒径D TEM を求めた。すなわち、TEM(日本電子株式会社 JEM-2010)により倍率60万倍で観察される粒子の うち、重なっていない独立した300個の銀粒子 の粒子径を計測して、平均粒子径を算出した 。その結果、D TEM は8.5nmであった。本例では後述のように、こ 銀粒子分散液を銀塗料に用いるので、表1に はこのD TEM 値を記載してある。

 なお、この銀粒子分散液中の銀粒子にお るアミンA(オレイルアミン)の被覆量は、特 2007-235015号で開示した手法による測定の結 、8.0質量%であった。

〔保護材のTG-DTA測定〕
 上記「銀粒子の合成」に従って得られた洗 後の固形分(ウエット状態のもの)について 温速度10℃/分でのTG-DTA測定を行った。そのDT A曲線を図1に示す。図1において、200~300℃の にある大きな山および300~330℃の間にあるピ クはアミンAであるオレイルアミンに起因す るものであると考えられる。

〔X線結晶粒径D X の測定〕
 上記「銀粒子の合成」に従って得られた洗 後の固形分(ウエット状態のもの)を、ガラ 製セルに塗り、X線回折装置にセットし、Ag(1 11)面の回折ピークを用いて、下記(1)式に示す Scherrerの式によりX線結晶粒径D X を求めた。X線にはCu-Kαを用いた。
 D X =K・λ/(β・cosθ) ……(1)
ただしKはScherrer定数で、0.94を採用した。λは Cu-Kα線のX線波長、βは上記回折ピークの半価 幅、θは回折線のブラッグ角である。
 結果を表1に示す(以下の各例において同じ)

〔銀塗料の調製〕
 ここでは、アミンAからなる保護材に被覆さ れた銀粒子を用いた銀塗料を作成した。前記 の銀塗料分散液の粘度を回転式粘度計(東機 業製RE550L)により測定したところ、粘度は5.8m Pa・sであった。また、TG-DTA装置を用いた測定 によりこの銀粒子分散液中の銀濃度は60質量% であった。この銀粒子分散液はインクとして 塗布可能な特性を有していると判断されたの で、これをそのまま銀塗料として使用するこ ととした。

〔塗膜の形成〕
 前記銀塗料をスピンコート法でガラス基板 上にコーティングすることにより塗膜を形 させた。

〔焼成膜の形成〕
 塗膜を形成した基板を、まず大気中60℃で30 分ホットプレート上で予備焼成した後、さら にそのホットプレート上で大気中200℃で1時 保持することにより「200℃焼成膜」を得た また、同様に60℃の予備焼成後に120℃のホッ トプレート上で1時間保持することにより「12 0℃焼成膜」を得た。

〔焼成膜の比抵抗(体積抵抗)測定〕
 表面抵抗測定装置(三菱化学製;Loresta HP)に り測定した表面抵抗と、蛍光X線膜厚測定器( SII製;STF9200)で測定した焼成膜の膜厚から、計 算により体積抵抗値を求め、これを焼成膜の 比抵抗として採用した。
 結果を表1に示す(以下の各例において同じ)

 表1からわかるように、保護材の構成がア ミンAである本例の銀微粉によると、200℃焼 膜の比抵抗が非常に低下していることから 200℃以下の温度で銀の焼結が起こると言え 。しかし、120℃焼成膜は導電性を有してい とは認められなかった。したがって、120℃× 1時間の条件では導電性を付与するに足るだ の銀粒子の焼結は起こっていないと言える

《比較例2》
 比較例1に記載した「銀粒子の合成」に従っ て銀ナノ粒子を合成し、アミンA(オレイルア ン)に被覆された銀粒子がテトラデカン中に 単分散した銀粒子分散液を得た。置換するア ミンBとして、比較例2ではオクチルアミンを 用した。

〔オクチルアミン置換粒子の生成〕
 試薬のオクチルアミン(C 8 H 17 -NH 2 、和光純薬株式会社製の特級)を107.8g用意し 。これは、Agに対して10.0当量となる量であ 。また、反応を促進する目的でイソプロピ アルコール(和光純薬株式会社製の特級)を100 .3g用意し、オクチルアミンとイソプロピルア ルコールをガラス容器内で混合した。その後 、比較例1の手法で得られた銀粒子分散液(ア ンA被覆量は8.0質量%、銀濃度約50質量%)18.0g 、オクチルアミンとイソプロピルアルコー の混合液を添加した。その後、反応容器を ォーターバス中で液温を60℃で、加熱しなが ら、400rpmで撹拌状態を維持して5時間の置換 応を行った。撹拌を止めると沈降粒子が生 したことが観察された。

〔固液分離および洗浄〕
 上記の反応液に対してメタノールを452.1g(反 応液の質量の2倍相当)添加した。これは、沈 を促進させるために添加した。その液を5分 間の遠心分離により固液分離した。得られた 固形分を回収し、この固形分にさらにメタノ ール80.1gを添加して400rpmの撹拌を30分間行い その後、5分間の遠心分離により固液分離し 固形分を回収した。

〔保護材のTG-DTA測定〕
 洗浄後の固形分について、比較例1と同様に TG-DTA測定を行った。そのDTA曲線を図2に示す 置換前(図1)と置換後(図2)の対比から、置換 には図1に見られたピークは消失し、新たな ークが観測された。このことから、保護材 、アミンA(オレイルアミン)から、オクチル ミンに付け替えられたと考えられる。

〔平均粒子径D TEM の測定〕
 試料粉末(オクチルアミンの保護材で被覆さ れた洗浄後のウエット状態の固形分)につい 、TEM(日本電子株式会社製JEM-2010)により観察 れる銀粒子のうち、重なっていない独立し 300個の銀粒子を無作為に選択して、粒子径( 画像上での長径)を計測した。個々の粒子に いての粒子径を算術平均することにより平 粒子径D TEM を求めた。

〔X線結晶粒径D X の測定〕
 試料粉末(オクチルアミンの保護材で被覆さ れた洗浄後のウエット状態の固形分)をガラ 製セルに塗り、X線回折装置にセットし、比 例1と同様の条件でX線結晶粒径D X を求めた。

〔銀塗料の調製〕
 上記の洗浄後の固形分に、デカリンを少量 えたのち、混練脱泡器にかけ、50質量%の銀 料を得た。

〔塗膜の形成〕
 銀塗料をアプリケーターを用いて比較例1と 同様の基板上に塗布することにより塗膜を形 成した。

〔焼成膜の形成〕
 比較例1と同様の方法により行った。

〔焼成膜の比抵抗(体積抵抗)測定〕
 比較例1と同様の方法により行った。ただし 、焼成温度100℃とした場合についても測定し た。

《実施例1》
 比較例1に記載した「銀粒子の合成」に従っ て銀ナノ粒子を合成し、アミンA(オレイルア ン)に被覆された銀粒子がテトラデカン中に 単分散した銀粒子分散液を得た。置換するア ミンBとして、実施例1ではヘキシルアミンを 用した。ここでは再現性を確認するために 下に示す条件で行った7回の実験結果をn=1~7 して後述の表1に記載した。

〔ヘキシルアミン置換粒子の生成〕
 アミンBとして試薬のヘキシルアミン(C 6 H 13 -NH 2 、和光純薬株式会社製の特級)を84.4g用意した 。これは、Agに対して10.0当量となる量である 。また、反応を促進する目的でイソプロピル アルコール(和光純薬株式会社製の特級)を100. 3g用意し、ヘキシルアミンとイソプロピルア コールを混合した。その後、比較例1の手法 で得られた銀粒子分散液(アミンA被覆量は8.0 量%、銀濃度約50質量%)18.0gに、ヘキシルアミ ンとイソプロピルアルコールの混合液を添加 した。その後、反応容器をウォーターバス中 で液温を60℃で、加熱しながら、400rpmで撹拌 態を維持して5時間の置換反応を行った。撹 拌を止めると沈降粒子が生成したことが観察 された。

〔固液分離および洗浄〕
 上記の反応液に対してメタノールを405.3g(反 応液の質量の2倍相当)添加した。これは、沈 を促進させるために添加した。その液を5分 間の遠心分離により固液分離した。得られた 固形分を回収し、この固形分にさらにメタノ ール80.1gを添加して超音波分散を30分間行い その後、5分間の遠心分離により固液分離し 固形分を回収した。

〔保護材のTG-DTA測定〕
 洗浄後の固形分について、比較例1と同様に TG-DTA測定を行った。そのDTA曲線の代表例(n=6 例)を図3に示す。置換前(図1)と置換後(図3)の 対比から、置換後には図1に見られたピーク 消失し、新たなピークが観測された。この とから、保護材は、アミンA(オレイルアミン )から、ヘキシルアミンに付け替えられたと えられる。

〔平均粒子径D TEM の測定〕
 試料粉末(ヘキシルアミンの保護材で被覆さ れた洗浄後のウエット状態の固形分)につい 、比較例2と同様の手法で平均粒子径D TEM を求めた。
 参考のため、図5に実施例1のn=6の例で得ら た銀粒子のTEM写真を示す。

〔X線結晶粒径D X の測定〕
 比較例2と同様の手法でX線結晶粒径D X を求めた。

〔銀塗料の調製〕
 比較例2と同様の手法で50質量%の銀塗料を得 た。

〔塗膜の形成〕
 比較例2と同様の手法で塗膜を形成した。

〔焼成膜の形成〕
 比較例2と同様の方法により行った。

〔焼成膜の比抵抗(体積抵抗)測定〕
 比較例2と同様の方法により行った。

《実施例2》
 比較例1に記載した「銀粒子の合成」に従っ て銀ナノ粒子を合成し、アミンA(オレイルア ン)に被覆された銀粒子がテトラデカン中に 単分散した銀粒子分散液を得た。置換するア ミンBとして、実施例1と同様にヘキシルアミ を採用した。ここでは、ヘキシルアミンBに 覆われた銀粒子が分散した銀粒子分散液を用 いて、低温焼結性の時間依存性を確認した。

〔ヘキシルアミン置換粒子の生成〕
 アミンBとして試薬のヘキシルアミン(C 6 H 13 -NH 2 、和光純薬株式会社製の特級)を42.2g用意した 。これは、Agに対して5.0当量となる量である また、反応を促進する目的でイソプロピル ルコール(和光純薬株式会社製の特級)を50.1g 用意し、ヘキシルアミンとイソプロピルアル コールを混合した。その後、比較例1の手法 得られた銀粒子分散液(アミンA被覆量は8.0質 量%、銀濃度約50質量%)18.0gに、ヘキシルアミ とイソプロピルアルコールの混合液を添加 た。その後、反応容器をウォーターバス中 液温を60℃で、加熱しながら、400rpmで撹拌状 態を維持して5時間の置換反応を行った。撹 を止めると沈降粒子が生成したことが観察 れた。

〔固液分離および洗浄〕
 上記の反応液に対してメタノールを220.7g(反 応液の質量の2倍相当)添加した。これは、沈 を促進させるために添加した。添加後30分 、液を撹拌混合し、その後12時間静置した。 静置後に上澄みを除去することにより固液分 離した。得られた沈殿物を回収し、この沈殿 物にさらにメタノール80.1gを添加して30分間 拌混合を行い、その後12時間静置した。静置 後に上記と同様に上澄みを除去することによ り固液分離した。得られた沈殿物を回収し、 この沈殿物にさらにメタノール80.1gを添加し 30分間撹拌混合を行い、5分間の遠心分離に り固液分離して固形分を回収した。

〔銀粒子分散液の作成〕
 液状有機媒体としてデカリンを用意した。 れに前記洗浄後の固形成分を混合・分散し 遠心分離機により30分間固液分離し、分離 れた液を回収した。この液にはアミンAに覆 れた銀粒子が単分散している。

〔保護材のTG-DTA測定〕
 洗浄後の固形分について、比較例1と同様に TG-DTA測定を行った。そのDTA曲線を図4に示す 置換前(図1)と置換後(図4)の対比から、置換 には図1に見られたピークは消失し、新たな ークが観測された。このことから、保護材 、アミンA(オレイルアミン)から、ヘキシル ミンに付け替えられたと考えられる。また このときの熱減量は3.3%であった。

〔平均粒子径D TEM の測定〕
 試料粉末(ヘキシルアミンの保護材で被覆さ れた洗浄後のウエット状態の固形分)につい 、比較例2と同様の手法で平均粒子径D TEM を求めた。

〔X線結晶粒径D X の測定〕
 比較例2と同様の手法でX線結晶粒径D X を求めた。

〔銀塗料の調製〕
 比較例1と同様の手法で67.5質量%の銀塗料を た。この銀粒子分散液はインクとして塗布 能な特性を有していると判断されたので、 れをそのまま銀塗料として使用することと た。

〔塗膜の形成〕
 比較例1と同様にスピンコート法で塗膜を形 成した。

〔焼成膜の形成〕
 比較例2と同様の方法による実験に加え、本 例ではさらに以下の方法で焼成膜を形成した 。
 塗膜を形成した基板を、ホットプレート上 大気中200℃、120℃、100℃の各温度で焼成を った。このとき、予備焼成は行わず、焼成 間(上記温度での保持時間)を5、10、30、60分 変化させることにより、各保持時間での「2 00℃焼成膜」、「120℃焼成膜」および「100℃ 成膜」を得た。

〔焼成膜の比抵抗(体積抵抗)測定〕
 比較例2と同様の方法により測定した。上記 焼成膜の形成を比較例2と同様の方法で行っ 場合の結果は表1中に示してある。上記の各 持時間での焼成膜についての結果は表2に示 す。

 表1からわかるように、比較例2のオクチ アミンを吸着させてなる保護材で被覆され 銀ナノ粒子では120℃という低温で十分な焼 が可能であったものの、焼成温度が100℃に ると、導電膜の比抵抗が急激に上昇した。 れに対して実施例1、2のヘキシルアミンを吸 着させてなる保護材で被覆された銀ナノ粒子 では焼成温度100℃でも安定して十分に低い比 抵抗が維持された。

 また、表2からわかるように、予備焼成を行 うことなく5分という短時間の焼成時間でも 100℃で25μω・cm以下の十分に低い比抵抗が得 られた。
 これらの関係を図6に示す。