Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
SLAG FOR ELECTROSLAG REMELTING OF COPPOER ALLOYS AND PROCESS FOR MANUFACTURING COPPER ALLOY PRODUCTS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078467
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention aims to attain lowered S content and non-contamination with Al and thereby enable the manufacturing of a copper alloy which has excellent casting surface and internal properties and in which crystal grains are refined. A slag for electroslag remelting of copper alloys which has a composition comprising by mass CaF2: 20 to 45%, CaO: 10 to 30%, SiO2: 10 to 30%, LiF: 10 to 20%, ZrO2: 5 to 15%, and impurities: 1% or below and satisfying the relationship: 17.0(LiF content + ZrO2 content) - 556 ≤ CaF2 content ≤ 4.1 (LiF content + ZrO2 content) - 80.9 and a process for manufacturing copper alloys with the slag.

Inventors:
TANAKA SHINJI
MIZUSAWA MAMORU
YAMADA HITOHISA
Application Number:
PCT/JP2008/073108
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 18, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
JAPAN STEEL WORKS LTD (JP)
TANAKA SHINJI
MIZUSAWA MAMORU
YAMADA HITOHISA
International Classes:
C22B9/18; B22D23/10; C22B15/14
Foreign References:
JPH05318087A1993-12-03
JPH03138323A1991-06-12
JPS61183419A1986-08-16
JPS57209795A1982-12-23
JPS5348926A1978-05-02
JPS61183419A1986-08-16
JPS5348926A1978-05-02
Other References:
See also references of EP 2224023A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
Download PDF:
Claims:
 CaF 2 :20~45質量%、CaO:10~30質量%、SiO 2 :10~30質量%、LiF:10~20質量%、ZrO 2 :5~15質量%を含有し、その他不純物:1質量%以下であり、下記式を満たす配合からなることを特徴とする銅合金向けエレクトロスラグ再溶解用スラグ。
 17.0(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-556 ≦ CaF 2 の含有量 ≦ 4.1(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-80.9
 さらに、Cr 2 O 3 、MnO、TiO 2 、MgOの一種以上:総量で5質量%以下を配合したことを特徴とする請求項1記載の銅合金向けエレクトロスラグ再溶解用スラグ。
 1000℃以上で、比抵抗が0.1~0.7ω・cm、粘度が1poise以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の銅合金向けエレクトロスラグ再溶解用スラグ。
 請求項1~3のいずれか1項に記載された銅合金向けエレクトロスラグ再溶解用スラグを用いて、銅合金をエレクトロスラグ再溶解することを特徴とする銅合金材の製造方法。
Description:
銅合金向けエレクトロスラグ再 解用スラグおよび銅合金材の製造方法

 この発明は、S含有量が低く、Alの混入が く、良好な鋳肌と内部性状を有し、晶出物 微細化された銅合金の製造に好適に使用さ る銅合金向けエレクトロスラグ再溶解用ス グおよび該スラグを用いた銅合金材の製造 法に関するものである。

 従来、高い清浄度が要求される鋳塊の製造 法としてエレクトロスラグ再溶解法(以下ESR 法という)が知られている。ESR法は、溶融ス グの抵抗熱によって電極を溶解し、この溶 を水冷モールド内で逐次凝固させて清浄な 塊を製造する方法である。このESR法におい は、適正な比抵抗、融点、粘度などを有す スラグを用いる必要があり、一般的にCaF 2 -CaO-Al 2 O 3 三元系スラグを使用している。しかしながら 、このようなスラグはFe基合金やNi基合金を 解するために開発されたものであるため融 が高いという性質を有している。

 一方、銅合金の大型鋳塊(1ton以上)は、一 に金型鋳造法あるいは連続鋳造法により溶 される。銅合金は鋼よりも熱伝導率が高い め、凝固速度が速まることに伴い内部に鋳 欠陥を生じやすい。また、スクラップなど 廉価な溶解原料を使用して溶製した銅合金 、Sを数十ppm以上含有することが多く、粒界 に偏析したSに起因して粒界強度が低下する め、熱間延性が著しく劣化する。さらに、 合金には凝固中に大量の晶出物を生じるも もあるが、そのような銅合金の大型鋳塊を 型鋳造法で溶製すると、晶出物が粗大化し 加工性が低下する。また、そのような銅合 は、高温強度が低いため、連続鋳造法では 塊の引き抜きが困難となる。

 このため銅合金においてESR法の適用の可 性について検討されているが、銅合金は融 が低いため、上記のように融点の高いスラ を銅合金のESR溶解に適用することはできな 。実際、銅合金のESR溶解の実施例自体が少 く、銅合金向けスラグについてはほとんど 告例がないものの、特許文献1や特許文献2 どの一部文献において銅合金向けスラグが 案されている。

 特許文献1では、Na 3 AlF 6 -CaF 2 -Al 2 O 3 系またはCaF 2 -LiF-Al 2 O 3 系を基本系とし、これらに質量%でSiO 2 :5~40%、TiO 2 :10%以下、Na 2 O:5%以下、MnO:5%以下、BaO:5%以下、MgO:10%以下の1 種又は2種以上を同時に添加することを特徴 する銅及び銅合金のエレクトロスラグ再溶 方法が提案されている。

 また、特許文献2では、質量%でSiO 2 :30~40%、MnO:9~15%、Al 2 O 3 :1~8%、TiO 2 :≦10%、BaO:≦1%、CaO:15~80%、CaF 2 :3~7%、MgO:≦2%の成分比率からなるスラグを使 することを特徴とする銅または銅合金のエ クトロスラグ鋳造法が提案されている。

特開昭61-183419号公報

特開昭53-48926号公報

 従来の造塊方法では、上述したように銅合 に生じる鋳造欠陥を完全に防止するのは困 である。また、廉価な溶解原料を用いた銅 金はS含有量が多くなり、熱間延性が低下す る。さらに、晶出物が生じるタイプの銅合金 は、凝固中に粗大な晶出物が生成し、熱間延 性がさらに低下するが、Sはスラグ-メタル間 反応により除去可能である。
 スラグ-メタル間の脱硫反応はS+(CaO)=(CaS)+Oと 表される。その際、平衡定数はK CaS =a CaS ・a O /a S ・a CaO と表される。a S 、a O は溶湯中の硫黄、酸素の活量、a CaS 、a CaO は純粋な固体状態を基準としたCaS、CaOの活量 である。反応式からは、スラグ中のCaOの濃度 が高いほど、溶湯中の酸素含有量が低いほど 脱硫反応は進行しやすくなる。

 ところが、前記特許文献1に記載されたスラ グには、CaOが添加されていないためエレクト ロスラグ再溶解時の脱硫効果を期待できない 。また、当スラグにはAl 2 O 3 が添加されているため、再溶解して得た銅合 金にはAlとCuが固溶体を形成することにより Alが混入する可能性が高い。Alは少量でも銅 金の導電率を大きく低下させるため、Alが 金添加元素でない限りはAlの混入を極力避け なければならない。

 また、特許文献2に記載されたスラグは、ス ラグの滓化を促進し、融点と粘性を低下させ るフッ化物が最大で7%しか添加されておらず スラグの融点の目標も1300~1800℃と高い。ス グの融点ならびに粘性が高いと、エレクト スラグ再溶解時に溶融スラグならびに凝固 み鋳塊と水冷モールド間の凝固スラグ層、 謂スラグスキンが厚くなり、鋳肌に生じる 凸が大きくなると予想される。また、当ス グも特許文献1で提案されたスラグと同様に Al 2 O 3 が添加されていることから、再溶解して得た 銅合金にはAlが混入する可能性が高い。

 この発明は上記のような従来のものの課 を解決するためになされたもので、銅合金 S含有量を低減し、Alの混入を防ぎ、良好な 肌と内部性状を有し、なおかつ晶出物が微 化された銅合金向けESRスラグおよび銅合金 の製造方法を提供することを目的としてい 。

 すなわち、本発明は以下の[1]~[4]に関する。
[1]
 CaF 2 :20~45質量%、CaO:10~30質量%、SiO 2 :10~30質量%、LiF:10~20質量%、ZrO 2 :5~15質量%を含有し、その他不純物:1質量%以下 であり、下記式を満たす配合からなることを 特徴とする銅合金向けエレクトロスラグ再溶 解用スラグ。
 17.0(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-556 ≦ CaF 2 の含有量 ≦ 4.1(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-80.9
[2]
 さらに、Cr 2 O 3 、MnO、TiO 2 、MgOの一種以上:総量で5質量%以下を配合した ことを特徴とする上記[1]記載の銅合金向けエ レクトロスラグ再溶解用スラグ。
[3]
 1000℃以上で、比抵抗が0.1~0.7ω・cm、粘度が1 poise以下であることを特徴とする上記[1]また [2]に記載の銅合金向けエレクトロスラグ再 解用スラグ。
[4]
 上記[1]~[3]のいずれか1に記載された銅合金 けエレクトロスラグ再溶解用スラグを用い 、銅合金をエレクトロスラグ再溶解するこ を特徴とする銅合金材の製造方法。

 以上のように、本発明のSi含有銅合金向け レクトロスラグ再溶解用スラグを用いれば CaF 2 :20~45質量%、CaO:10~30質量%、SiO 2 :10~30質量%、LiF:10~20質量%、ZrO 2 :5~15質量%を含有し、その他不純物:1%以下であ り、17.0(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-556 ≦ CaF ≦4.1(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-80.9の式を満たす配合からなるので 、Sが低減され、Alの混入がなく、良好な鋳肌 と内部性状を有し、晶出物が微細化された銅 合金材を得ることができる。

本発明の一実施形態のスラグが用いた レクトロスラグ再溶解を説明する図である 本発明の実施例における発明スラグと 存スラグの比抵抗を示すグラフである。 本発明の実施例における発明スラグと 存スラグの粘度を示すグラフである。 本発明の実施例における発明スラグを いたESR鋳塊の表面(a)および縦断面(b)を示す 面代用写真である。 本発明の実施例における既存スラグを いたESR鋳塊の表面(a)および縦断面(b)を示す 面代用写真である。 本発明の実施例におけるESR電極(a)およ 発明スラグを用いたESR鋳塊(b)の金属組織を す図面代用写真である。 本発明の実施例における成分をプロッ した組成図である。 本発明の実施例における粘度測定に用 た比抵抗測定装置を示す図である。 本発明の実施例における比抵抗測定に いた比抵抗測定装置を示す図である。

符号の説明

 1  ESR炉
 2  電源
10  ESR電極
11  スラグ
12  溶融プール
13  ESR鋳塊

 以下に、本発明の一実施形態を説明する。
 本発明のスラグは、脱硫能を持たせるため CaOを添加し、CaF 2 、CaO、SiO 2 の含有量は、融点が極力低くなる組成を狙っ ている。さらに、LiFを添加して融点が800~1000 になるように調整している。スラグの融点 Fe基合金やNi基合金における経験から、電極 の融点の-100~-200℃が適当と判断される。銅合 金の融点は1000~1100℃程度であるため、スラグ の融点は800~1000℃が適当である。また、鋳塊 のAlの混入を防止するためにAl 2 O 3 を使用せずにZrO 2 を添加している。なお、該当スラグ中に含ま れるZrO 2 によって、鋳塊にZrが混入する可能性が高い 、少量のZrは鋳塊の特性に大きな影響を及 さないため、混入しても問題とならない。

 また、スラグの比抵抗は高過ぎると溶解 必要な熱を発することができなくなり、逆 、低過ぎると投入電力が増大し、溶解コス が増す。そのため、スラグの比抵抗は使用 度領域である1000℃以上で0.1~0.7ω・cmになる うに調整している。この比抵抗は、0.15~0.5ω ・cmが一層望ましい。さらに、我々は鋭意研 した結果、電極の融点以上におけるスラグ 粘度が1poise以下であれば、安定溶解が可能 なるとともに鋳肌の良好な鋳塊が得られる とを突き止めた。従って、発明スラグは1000 ℃以上における粘度が1poise以下となるように 調整している。

 本発明スラグは、融点、比抵抗、粘度を 適化したので、投入電力を極力低減して溶 しても適切な厚さのスラグスキンが形成さ 、安定溶解が可能となる。投入電力を低減 ると、溶解コストが低減されることはもち ん、鋳塊の部分凝固時間を短縮されるので 晶出物を微細化する効果がある。

 以下に各成分の作用およびその含有量(以下 、質量%で示す)を定めた理由を説明する。
CaF 2 :20~45%
 CaF 2 はスラグの基本的な成分であり、粘度、融点 、比抵抗を適性化するために添加される。し かしながら、含有量が多過ぎると比抵抗が低 下し、逆に、少な過ぎると融点が高くなるた め、安定溶解が困難になる。従って、CaF 2 含有量は20~45%とする。なお、望ましい下限は 20%、望ましい上限は28%である。

CaO:10~30%
 CaOはスラグの塩基度を増加させ、脱硫能を 上させる。この作用を得るためには10%以上 有させる必要がある。一方、含有量が多過 ると粘度と融点を高めるため、CaO含有量は1 0~30%とする。なお、望ましい下限は20%、望ま い上限は28%である。

SiO 2 :10~30%
 SiO 2 は比抵抗を増加させるために必要である。し かしながら、含有量が多過ぎると塩基度の低 下を招いて脱硫能を低下させる。従って、SiO 2 含有量は10~30%とする。なお、望ましい下限は 20%、望ましい上限は28%である。

LiF:10~20%
 LiFはスラグの融点を下げるために10%以上必 である。しかしながら、含有量が多過ぎる 比抵抗が低下する。従って、LiF含有量は10~2 0%とする。さらに望ましい下限は13%、望まし 上限は18%である。

ZrO 2 :5~15%
 ZrO 2 は比抵抗を増加させるために必要である。し かしながら、5%未満では、その作用が十分に られず、含有量が多過ぎると融点が高くな 。従って、ZrO 2 含有量は5~15%とする。なお、望ましい下限は8 %、望ましい上限は12%である。

Cr 2 O 3 、MnO、TiO 2 、MgOの一種以上:総量5%以下
 Cr 2 O 3 、MnO、TiO 2 、MgOは、溶解する銅合金に含まれるCr、Mn、Ti 、Mgの歩留まりをそれぞれ安定させるために 種以上を添加しても良い。含有量はスラグ 特性を大きく変化させない程度とし、総量 5%以下とする。

その他不純物:1%以下
 その他不純物はスラグの特性を変動させる 因となるので、総量を1%以下とする。該不 物としては、例えば、CaS、MnS、FeO、Na 2 Oなどが挙げられる。

 本発明のスラグは下記式を満たす配合から る。
 17.0(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-556≦ CaF 2 の含有量 ≦ 4.1(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-80.9
 また、CaF 2 、LiF 2 、ZrO 2 は特に融点に大きな影響があり、CaF 2 の含有量、(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)、融点の関係をプロットすると図7 ようになる。これより、CaF 2 が17.0(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-556.0より低くなっても、またCaF 2 が4.1(LiFの含有量+ZrO 2 の含有量)-80.9より高くなっても融点が高くな り、エレクトロスラグ再溶解に適用すること は困難となる。よって、上記式を満たすこと を必須とした。

 図1に、本発明のスラグを用いたエレクトロ スラグ再溶解の一実施態様を示す。
 目標成分の鋳塊が得られるように成分調整 した銅合金によってESR用電極10を製造し、ES R炉1内に上下に移動可能に設置し、電源2の一 端に接続する。なお、本発明としては、銅合 金の組成が特定のものに限定されるものでは なく、所望の鋳塊目標成分に合わせて組成を 定めることができる。
 ESR炉1では、導電性炉床に前記電源2の他端 接続される。ESR炉1の炉壁では、図示しない 、水冷などの適宜の冷却手段を設けること できる。

 ESR炉1内には、さらに、質量%で、CaF 2 :20~45%、CaO:10~30%、SiO 2 :10~30%、LiF:10~20%、ZrO 2 :5~15%を含有し、その他不純物:1%以下で、式 1 7.0(LiF+ZrO 2 )-556≦CaF 2 ≦4.1(LiF+ZrO 2 )-80.9を満たし、所望によりCr 2 O 3 、MnO、TiO 2 、MgO:総量で5%以下となるように配合した本願 発明のスラグ11を装入する。前記ESR電極10を その先端部がスラグ11中に浸漬するように位 置させる。なお、この実施形態では、ESR炉1 開放された形態で図示しされているが、本 明としては、密閉型で雰囲気調整を行うESR への適用も当然に可能である。

 次に、上記スラグを用いたESRについて説 する。上記ESR電極10およびスラグ11を通して 電源2により通電すると、スラグ11の抵抗熱に よってスラグ11およびESR電極10の先端部が溶 する。溶融金属は、適度な粘度(1poise以下)を 有するスラグ11中を滴下し、その際にスラグ に溶融金属中のSなどが取り込まれて精製さ れ、スラグ下方に溶融プール12を形成し、次 に炉壁と炉底から冷却されてESR鋳塊13が生 される。ESR鋳塊13および溶融プール12の生成 伴って、スラグ11が次第に上方に浮遊移動 るため、これに合わせて電極10を降下させて ESR電極10の再溶解を継続して行う。上記のよ に溶融金属は、スラグ11中を降下して脱硫 が効果的になされ、炉壁と炉底から冷却さ ることで良好な鋳肌と内部性状を有し、し も晶出物が微細化された鋳塊が得られる。

 以下に、本発明の実施例について説明する
 CaF 2 :25%、CaO:25%、SiO 2 :25%、LiF:15%、ZrO 2 :10%、その他:総量で1%以下を含有する発明ス グと、特許文献1に示されたCaF 2 :70%、LiF:20%、Al 2 O 3 :10%を含有するスラグ(以下、既存スラグと称 )とを用意し、その比抵抗と粘度を測定した 。
 図2には比抵抗測定結果を示す。発明スラグ は目標通り、1000℃以上で0.1~0.7ω・cmの比抵抗 を有している。
 図3には粘度測定結果を示す。発明スラグは 目標通り、1000℃以上で1poise以下の粘度を有 ているが、既存スラグは、1000℃に近い温度 で粘度が高い数値を示している。

 なお、上記粘度測定は以下の方法により行 た。図8には振動式粘度計の概略を示す。該 振動式粘度計では、溶液中に薄い振動片を入 れて正弦的に振動させると、この振動片は液 体の粘性抵抗を受ける。振動片を一定駆動力 の下で振動させておくと、振動片の振幅は液 体の粘度に応じて変化するので、この振幅を 測定することによって液体の粘度を求めるこ とができる。スラグの粘度測定においては、 加熱炉20内にスラグ25を収容する白金ルツボ21 を配置し、スラグ25中に上記振動片22を浸漬 た。
 振動片22を共振周波数で振動させたとき、 体の密度と粘度の積(ρμ)が次式で与えられ 。

 ρ :測定液体の密度(kg/m 3 )
 μ :測定液体の粘度(poise)
 E a :空気中での振動の振幅(m)
 E :測定液体中での振動の振幅(m)
 R M :粘度計固有の機械的インピーダンスの抵抗 (N・s/m)
 f a :空気中の共振周波数(l/s)
 A :振動片両面の面積(m 2 )

 振動系の構造、材質および寸法が決まれば 数式1のKは一定値になる。そこで粘度およ 密度既知の試料を用いて予めKの値を決定し おけば、E a およびEを測定することによって、測定液体 ρμの値を求めることができる。密度が与え れれば、測定液体の粘度を算出できる。な 、本方法により、二液分離するタイプの液 でなければ、粘度が急激に上昇した温度を 点と考えることができるため、同時に融点 求めることができる。

 次に、上記比抵抗測定は、以下の方法によ 行った。
L(cm)の距離を隔てて、表面積A(cm 2 )の極板が対立して置かれた場合、電気抵抗R X (ω)は次の数式2で表される。

 R:比抵抗(ω・cm)

 従って、比抵抗は次の数式3で表される。

 比抵抗の測定は一定の形状、構造を持った 器で行い、この容器を比抵抗セルと呼ぶ。 抵抗測定装置の概略を図9に示す。
 比抵抗測定装置では、炉体30内に、前記比 抗セル31を配し、該比抵抗セル31内に測定対 となるスラグ35を収納するとともに、該ス グ35に浸漬するようにスラグ35の温度および 抗値を測定するセンサ33を配置する。セン 33は、センサ昇降装置32に取り付けられてお 、油面検出装置の検出結果に基づいてセン 昇降装置32によりセンサ33が昇降してスラグ 35内で所定の深さ位置に置かれる。センサ33 よる検知結果は、パーソナルコンピュータ34 に送信されてデータ処理がなされ、比抵抗が 前記式により求められる。

 上記(3)式のJは各装置固有のものであり、セ ル定数と呼ぶ。セル定数はセンサ先端の電極 を標準液の液面より一定の深さで浸漬させ、 求めた室温での電気抵抗R X で標準液のRを除して求める。セル定数は温 に依存しないため、室温で求めた値を高温 おいても適用できる。セル定数が決まれば 測定溶液について電気抵抗R X を測定することにより測定溶液の比抵抗Rが まる。

 次に、発明スラグあるいは既存スラグを いて、Si含有銅合金のφ40mmESR電極を溶解し 、約5kgのφ80mmESR鋳塊を得た。溶解は700Aを目 とした電流制御で、モールド内にArガスを しつつ実施した。表1に、ESR電極と、発明ス グあるいは既存スラグでESRして得られたESR 塊の成分分析結果を示す。

 図4には、発明スラグでESRして得られた鋳 塊の外観と縦断面マクロ組織を示す。得られ た鋳塊は良好な鋳肌を有し、内部に鋳造欠陥 が認められない。図5に、既存スラグでESRし 得られた鋳塊の外観と縦断面マクロ組織を す。既存スラグを用いたESRでは溶解が安定 ず、途中で過電流が流れて溶解が停止した め、鋳塊の長さが短くなっている。鋳塊は 造欠陥こそ認められないものの、凸凹した 肌を有している。これは、スラグの比抵抗 粘度、融点が適正化されていなかったため ある。

 また、表1の成分分析結果に示すように、 発明スラグを用いてESRして得られた鋳塊には 、Alの混入がなく、電極よりもSを低減するこ とができた。また、Zr含有量も特性に影響を えない程度であった。一方、既存スラグを いてESRして得られた鋳塊には、Alが混入し ESR電極よりもSがやや増加した。

 図6にはESR電極と発明スラグを用いてESRし て得られた鋳塊のミクロ組織を示す。鋳塊の 晶出物は電極よりも微細化されていた。

 次に、表2に示す配合で、銅合金向けエレク トロスラグ再溶解用スラグを用意し、上記方 法により、融点、1000℃における粘度(poise)お び比抵抗を測定した。その結果を表2に示し た。また、本発明の範囲とともに、各スラグ の成分に従ってプロットした図7を示した。
 表2から明らかなように、本発明のスラグは 、融点が1000℃以下で、1000℃における粘度お び比抵抗も良好な値を示した。なお、ZrO 2 を10%程度添加する場合、CaF 2 :CaO:SiO 2 =1:1:1の配合比とすると、低融点を得やすかっ た。

 なお、上記実施例では、銅合金に、Cr、Mn、 Ti、Mgを含まなかったが、これらの成分を1種 上含む場合、Cr 2 O 3 、MnO、TiO 2 、MgOの一種以上:総量5%以下でスラグ中に含有 させることができる。これら成分の含有によ って本発明スラグの作用は損なわれず、ESR鋳 塊中へのこれら成分の歩留まりを向上させる ことができた。ただし、総量で5%を超えると スラグの粘度が上昇し、安定溶解が困難で った。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参 して説明したが、本発明の精神と範囲を逸 することなく様々な変更や修正を加えるこ ができることは当業者にとって明らかであ 。本出願は2007年12月18日出願の日本特許出 (特願2007-326097)、に基づくものであり、その 容はここに参照として取り込まれる。

 本発明のSi含有銅合金向けエレクトロス グ再溶解用スラグを用いれば、Sが低減され Alの混入がなく、良好な鋳肌と内部性状を し、晶出物が微細化された銅合金材を得る とができる。