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Patent Searching and Data


Title:
SOLID OXIDE FUEL CELL AND FUEL CELL STACK
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090744
Kind Code:
A1
Abstract:
A solid oxide fuel cell structured so that an oxidizer gas and a fuel gas are fed to each of multiple power generation cells disposed in parallel relationship through an oxidizer gas passageway and a fuel gas passageway having diverged from each other in a separator. In this structuring, as the gas seal points of the separator can be limited to two points consisting of an oxidizer gas hole and a fuel gas hole, the seal structure of the separator can be simplified. Further, there is provided a solid oxide fuel cell comprising an exhaust gas flow channel disposed in a stack interior so that any exhaust gas resulting from power generation reaction flows in the direction of stacking, wherein the rate of gas flow toward one side along the stacking direction in the exhaust gas flow channel is greater than that toward the other side. In this construction, by virtue of the exhaust gas flowing along the stacking direction in the stack interior, not only is the mid portion of the stack deprived of heat to thereby attain temperature lowering but also the end portions of the stack are heated to thereby attain temperature rise. Accordingly, the temperature distribution along the stacking direction of the stack can be uniformized.

Inventors:
AKIKUSA JUN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000076
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
January 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI MATERIALS CORP (JP)
KANSAI ELECTRIC POWER CO (JP)
AKIKUSA JUN (JP)
International Classes:
H01M8/12; H01M8/02; H01M8/24
Foreign References:
EP0530451A11993-03-10
JPH1116581A1999-01-22
JP2002313370A2002-10-25
JPH0722059A1995-01-24
JP2005044599A2005-02-17
JP2002008683A2002-01-11
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Chiharu (Nakagin-Shiroyama Bldg.16-13, Ginza 8-chome, Chuo-k, Tokyo 16, JP)
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Claims:
 固体電解質層の両面に燃料極層と酸化剤極層を配置した発電セルが同一平面内で複数並列接続状態で配置され、これら複数の発電セルが内部に燃料ガス通路および酸化剤ガス通路を備えたセパレータを介して複数積層されると共に、当該積層体内に各上記セパレータの酸化剤ガス通路および燃料ガス通路に連通して積層方向に貫通する酸化剤ガスマニホールドおよび燃料ガスマニホールドを備え、
 上記セパレータには、上記酸化剤ガスマニホールドに連通する酸化剤ガス孔と、上記燃料ガスマニホールドに連通する燃料ガス孔とがそれぞれ設けられ、
 上記酸化剤ガス通路は、一端が上記酸化剤ガス孔に連通すると共に、当該酸化剤ガス通路が分岐し又は複数設けられることにより、他端側が各上記酸化剤極層と対面する部分において開口されており、
 上記燃料ガス通路は、一端が上記燃料ガス孔に連通すると共に、当該燃料ガス通路が分岐し又は複数設けられることにより、他端側が各上記燃料極層と対面する部分において開口されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
 上記酸化剤ガス通路は、上記セパレータの上記発電セルに囲まれた部位の中央部を経て各上記酸化剤極層と対面する部分に誘導されることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
 上記複数の発電セルは、上記セパレータの中央部に縦横対称に配置されるとともに、
 上記酸化剤ガス孔と上記燃料ガス孔とは、上記セパレータの一対向角部に配置されており、且つ
 上記酸化剤ガス通路は、上記セパレータの縁部より上記複数の発電セルで囲まれた部位の中央部に至り、当該中央部にて分岐して各上記酸化剤極層と対面する部分に誘導されることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
 少なくとも上記燃料ガス通路は、流路方向と直行する方向に二股に分岐しながら各上記燃料極層と対向する部分に誘導されることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の固体酸化物形燃料電池。
 分岐毎にガス通路の断面積を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
 分岐毎にガス通路の断面積を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池。
 上記酸化剤ガスマニホールドに連通する酸化剤ガス孔は、上記発電セルに囲まれた部位に配置されるとともに、上記酸化剤ガス通路は、複数本設けられて、それぞれ上記発電セルに囲まれた部位より各上記酸化剤極層と対面する部分に誘導されることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
 上記発電セルは、発電反応に使用されなかった残余のガスを発電セルの外周部より放出するシールレス構造を有し、且つ、上記複数の発電セルにより囲まれた部位に対応する上記セパレータの中央部分に厚さ方向に貫通するガス排出用の孔部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
 発電セルが同一平面内に複数配設され、これら複数の発電セルがセパレータを介して複数積層されて成る燃料電池スタックにおいて、
 スタックの内部に、発電反応後の排ガスが積層方向に流通する排ガス流路が設けられ、且つ、当該排ガス流路における積層方向の一方側へのガス流通量を積層方向の他方側へのガス流通量より多くしたことを特徴とする燃料電池スタック。
 上記発電セルは、発電反応後の排ガスを外周部より放出するシールレス構造を有し、且つ、各セパレータの上記複数の発電セルで囲まれた部位に対応する部分に積層方向に貫通するガス排出孔が設けられ、当該ガス排出孔を通して上記排ガスが積層方向に流通することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池スタック。
 スタックの積層方向の他方側の端部に位置する上記セパレータのガス排出孔の大きさを他のセパレータのガス排出孔より小さくして成ることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池スタック。
 上記スタックの積層方向の他方側の端部に位置する上記セパレータのガス排出孔の開度を調整するための蓋機構を備えることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池スタック。
 上記スタックの両端にそれぞれ端板が設けられ、且つ、積層方向の一方側の端部の端板に、上記排ガス流路内の排ガスをスタック外に排出するガス排出口を設けて成ることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池スタック。
Description:
固体酸化物形燃料電池および燃 電池スタック

 本発明は、固体電解質層の両面に燃料極層 酸化剤極層を配置した発電セルを備える固 酸化物形燃料電池に関し、特に、同一平面 に並列配置された複数の発電セルとセパレ タを交互に積層して成る固体酸化物形燃料 池に関するものである。
 さらに、本発明は、同一平面内に配設され 複数の発電セルとセパレータを交互に多数 層して成る燃料電池スタックに関し、特に 燃料電池スタックの積層方向における温度 均一化に関するものである。

 近年、燃料の有する化学エネルギーを直 電気エネルギーに変換する燃料電池は高効 でクリーンな発電装置として注目されてい 。この燃料電池は、酸化物イオン導電体か 成る固体電解質層を両側から空気極層(カソ ード)と燃料極層(アノード)で挟み込んだ積層 構造を有する。

 発電時、反応用ガスとして空気極層側に酸 剤ガス(酸素) が、また燃料極層側に燃料ガ ス (H 2 、CO、CH 4 等) が供給される。空気極層と燃料極層は、 反応用ガスが固体電解質層との界面に到達す ることができるよう、何れも多孔質の層とさ れている。

 発電セル内において、空気極層側に供給さ た酸素は、空気極層内の気孔を通って固体 解質層との界面近傍に到達し、この部分で 気極層から電子を受け取って酸化物イオン( O 2- )にイオン化される。この酸化物イオンは、 料極層に向かって固体電解質層内を拡散移 する。燃料極層との界面近傍に到達した酸 物イオンは、この部分で、燃料ガスと反応 て反応生成物(H 2 O、CO 2 等)を生じ、燃料極層に電子を放出する。尚 電極反応で生じた電子は、別ルートの外部 荷にて起電力として取り出すことができる

 平板積層型の燃料電池は、これら発電セル セパレータを交互に多数積層してスタック すると共に、その両端より積層方向に荷重 掛けてスタックの各構成要素を相互に圧接 密着させることにより構成される。
 また、セパレータは、発電セル間を電気的 接続すると同時に発電セルに対して反応用 スを供給する機能を有し、その内部に、燃 ガスを燃料極層側に誘導する燃料ガス通路 、酸化剤ガスを空気極層側に誘導する酸化 ガス通路とを備える。

 図12は上記セパレータの一例を示してい 。当セパレータ8は、厚さ数mmの四角形のス ンレス製板材で成り、板材の内部には上述 た燃料ガス通路11と酸化剤ガス通路12がそれ れ渦巻き状に形成されており、その表面に パレータ8のほぼ全面を覆うように円形の発 電セル5が配設される。

 ところで、固体酸化物形燃料電池では、 電出力を高めるために、セパレータととも 発電セルを大きく形成し、固体酸化物形燃 電池を大型化する必要がある。ところが、 電セルを所定以上に大きくすると(通常は、 直径120mm程度)発電セルの運転時に温度分布が 生じ易くなり、その際の熱応力により熱歪み が生じて発電セル(特に、固体電解質層)が割 易くなるという問題があった。

 このような実状から、従来より、上述の 電セルを同一セパレータ上に複数個配置す ことにより発電セルを小形化した構造の固 酸化物形燃料電池が提案されており、例え 、特許文献1~3に開示されている。

 特許文献1には、金属セパレータ間に複数 の発電セルが配設された内部マニホールド構 造の燃料電池が開示されているが、各発電セ ルの中央に反応用ガス(燃料および空気)の供 口を設ける構造である。この供給口でのシ ルは必須であるが、シールが発電セルの個 分必要であるためシール構造が複雑化する 共に、運転時の熱膨応力により、これらの ールが破損して燃料ガスと空気が混合し、 の際の発熱によって発電セルが割れる不具 があった。

 特許文献2は、特許文献1のように、発電 ルに反応用ガスの供給口を設けず、燃料お び空気はセパレータ内部のガス流路を通っ 発電セルの中心部に噴出する構造であるた 、上述のシール構造の問題は回避されるが 外部マニホールド構造であるため、各セパ ータ毎に燃料および空気のガス供給管が必 で反応用ガスの供給構造が極めて複雑化す と共に、セパレータ内において、空気導入 付近の温度が低下し、燃料導入部付近の温 が上昇する傾向にあり、このようなセパレ タ内の温度不均一により、発電セルが割れ 不具合があった。

 特許文献3は、セパレータ中央の空洞に燃 料予熱管と空気予熱管が配設されており、反 応ガスがこれらを通してマニホールドへ供給 される構造であるため、セパレータ内での温 度を均一に保つことは可能であるが、セパレ ータ中央部の空気および燃料の予熱管は筒状 であるため、積層された各発電セルから中央 部へのガスの流れが無く、このため、発電セ ルへの燃料と空気の供給が外周部に偏るガス の流れになり、結果として発電性能が低下し てしまう不具合がある。加えて、外部マニホ ールド構造であるため、ガス配管構造は極め て複雑であり、運転時にスタックの構造に不 要な熱応力が加わり、発電セルの割れやガス 配管の破損等が生じる虞がある。

 このように、特許文献1~3に記載の固体酸化 形燃料電池にあっても、熱応力により発電 ルが割れ易くなる等の不具合を有している
 他方、酸化物イオン導電体から成る固体電 質層を両側から空気極層と燃料極層で挟み んだ構造の発電セルは、上述したように、 気極層に空気(酸素)を燃料極層に燃料ガス(H 2 、CO、CH 4 )を供給することにより、電極間に発電反応 生じて起電力が得られることが知られてい 。

 かような構成の発電セルでは、単位セル たりの起電力が高々1V程度と極めて小さい め、通常は、この発電セルを、セパレータ 集電体等の導電部材を介して多数積層して タック化することにより、実質的な電池出 が得られるようにしている。

 ところが、このような平板積層型の燃料 池スタックでは、積層方向において各発電 ル間に温度差が生じており、スタック温度 、図13のC1に示すように、スタック中段部で 高く、スタック端部において低くなる傾向に ある。

 これは、燃料電池スタックの端部は中段部 較べて発電セルのジュール熱が外に発散し いためであり、また、スタックの積層方向 縦にした縦設置型の燃料電池スタックの場 、スタック端部の温度については、上昇す 高温の排ガスによってスタック上段部が加 されるため、上端部の温度が高くなり、下 部の温度が低くなっている。
 温度が低い部分の発電セルは、電極反応が 活発なため、内部抵抗が大きくなっており 高温部分であるスタック中段部の発電セル 較べて発電性能は低下している。

 このように、燃料電池スタックの積層方向 おいて温度分布が生じていると、総合的な 電性能が低温部分に位置する発電セルの発 性能で制限されるため、効率的な発電が行 ないという問題が有った。この傾向は、ス ックの積層段数が多い程顕著である。
 また、高温部分の発電セルは発電性能は良 であるが、発電セルやセパレータ等の構成 品は他の部分に較べて高温に晒されるため 劣化、破損し易いという問題がある。

 尚、燃料電池スタックにおける積層方向の 度を均一化する技術として、例えば、特許 献4が開示されている。特許文献4は、積層 態の各セパレータに放熱フィンを設けて、 パレータの熱放射性を向上することで燃料 池スタックの温度分布を制御する(放熱によ スタック温度を下げる)ものであるが、この ような放熱フィンによる熱放射性の制御では 、特に温度が低くなるスタック下端部の温度 を上昇させることはできなかった。
 それ故、上記技術により、スタック積層方 の温度分布が或る程度低減されても、スタ ク下端部に位置する発電セルの発電性能は 然として低いままであり、よって、燃料電 スタックの総合的な発電性能は決して満足 きるものではなかった。

特開平6-310164号公報

特開2002-008683号公報

特開2003-168469号公報

特開2004-273140号公報

 本発明の第1の目的は、構造が簡便で、且 つ発電セルの破損を防止できる固体酸化物形 燃料電池を提供することである。

 本発明の第2の目的は、燃料電池スタック 内部に、発電セルから放出される排ガスをス タックの積層方向に流通させる排ガス流路を 設け、排ガスの熱により、特に、スタック端 部の温度を上昇させることで、スタック積層 方向の温度を均一化し、スタック端部に位置 する発電セルの発電性能を向上させた高効率 の燃料電池スタックを提供することである。

[本発明の第1の態様]
 上記第1の目的を達成するため、本発明の第 1の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、固 電解質層の両面に燃料極層と酸化剤極層を 置した発電セルが同一平面内で複数並列接 状態で配置され、これら複数の発電セルが 部に燃料ガス通路および酸化剤ガス通路を えたセパレータを介して複数積層されると に、当該積層体内に各上記セパレータの酸 剤ガス通路および燃料ガス通路に連通して 層方向に貫通する酸化剤ガスマニホールド よび燃料ガスマニホールドを備え、上記セ レータには、上記酸化剤ガスマニホールド 連通する酸化剤ガス孔と、上記燃料ガスマ ホールドに連通する燃料ガス孔とがそれぞ 設けられ、上記酸化剤ガス通路は、一端が 記酸化剤ガス孔に連通すると共に、当該酸 剤ガス通路が分岐し又は複数設けられるこ により、他端側が各上記酸化剤極層と対面 る部分において開口されており、上記燃料 ス通路は、一端が上記燃料ガス孔に連通す と共に、当該燃料ガス通路が分岐し又は複 設けられることにより、他端側が各上記燃 極層と対面する部分において開口されてい ことを特徴としている。

 ここで、「当該酸化剤ガス通路が分岐し は複数設けられる」とは、酸化剤ガス通路 複数設けられ、かつ分岐しているものも含 意味である。同様に、「当該燃料ガス通路 分岐し又は複数設けられる」とは、燃料ガ 通路が複数設けられ、かつ分岐しているも も含む意味である。

 上記固体酸化物形燃料電池において、上 酸化剤ガス通路は、上記セパレータの上記 電セルに囲まれた部位の中央部を経て各上 酸化剤極層と対面する部分に誘導される構 とすることが可能である。

 また、上記複数の発電セルは、上記セパ ータの中央部に縦横対称に配置されるとと に、上記酸化剤ガスマニホールドに連通す 酸化剤ガス孔と上記燃料ガスマニホールド 連通する燃料ガス孔とは、上記セパレータ 一対向角部に配置されており、且つ上記酸 剤ガス通路は、上記セパレータの縁部より 記複数の発電セルで囲まれた部位の中央部 至り、当該中央部にて分岐して各上記酸化 極層と対面する部分に誘導される構成とす ことが可能である。

 また、少なくとも上記燃料ガス通路は、 路方向と直行する方向に二股に分岐しなが 各上記燃料極層と対向する部分に誘導され 構成とすることが可能である。この場合、 岐毎にガス通路の断面積を小さくすること 望ましい。

 また、上記固体酸化物形燃料電池におい 、上記酸化剤ガスマニホールドに連通する 化剤ガス孔は、上記発電セルに囲まれた部 に配置されるとともに、上記酸化剤ガス通 は、複数本設けられて、それぞれ上記発電 ルに囲まれた部位より各上記酸化剤極層と 面する部分に誘導される構成とすることが 能である。

 また、上記発電セルは、発電反応に使用 れなかった残余のガスを発電セルの外周部 り放出するシールレス構造を有し、且つ、 記複数の発電セルにより囲まれた部位に対 する上記セパレータの中央部分に厚さ方向 貫通するガス排出用の孔部を設ける構成と ることが可能である。

 本発明の第1の態様によれば、複数の発電セ ルを同一セパレータ上に並列接続状態に配置 する構造としたので、セパレータ上に1個の 電セルを配置する場合に比べて、各発電セ のサイズを小さくすることができるため、 の分、温度分布を均一化でき、発電セルを れ難くできる。加えて、複数の発電セルの の1つが破損した場合であっても、正常な他 発電セルより出力を取り出すことができる め、極端な出力低下を招かず運転を続行で る。
 また、酸化剤ガス通路および燃料ガス通路 複数設け或いは分岐して、並列配置された 数の発電セル各々に酸化剤ガスおよび燃料 スを供給する構造としたので、必要なガス ール箇所は、配設される発電セルの個数に 係なく、酸化剤ガス孔と燃料ガス孔の2カ所 のみとすることができ、よって、セパレータ のシール構造が簡素化され、運転時の熱応力 に対するシール構造の信頼性を向上でき、ひ いては発電セルの割れ防止に寄与できる。

 また、酸化剤ガス通路がセパレータの発 セルに囲まれた部位の中央部を経て酸化剤 層と対面する部分に誘導されているため、 化剤ガスの冷却効果により発電セルに囲ま た部位に対応するセパレータ中央部の温度 昇を抑制して、セパレータ面内での温度分 を均一化させることができ、発電セルの割 を防止することができる。

 さらに、酸化剤ガス通路をセパレータの 央部にて分岐させたため、酸化剤ガスを効 的に加熱することができるとともに、その 却効果により効率的にセパレータ中央部分 温度上昇を抑制して、セパレータ面内での 度分布を均一化させることができ、より確 に発電セルの割れを防止することができる また、酸化剤ガス孔と燃料ガス孔とをセパ ータの一対向角部に配置したため、ガス流 の全長を長くすることができ、酸化剤ガス び燃料ガスを充分に加熱して、発電セルに 入させることによって発電性能を向上させ ことができる。

 また、燃料ガス通路をT字状に分岐させる ようにしたので、分岐部における燃料ガスの 分配を均等にできると共に、ガス流路の全長 をより長くすることができ、これにより、各 燃料極層への燃料ガスの等流配が可能となり 、発電性能を向上できる。

 また、ガス流路の下流側に向けて分岐毎 ガス通路の断面積を小さくして、分岐した ガス通路の流路抵抗を等しくさせるように たので、より確実な燃料ガスの等流配が可 となる。

 さらに、酸化剤ガス孔を発電セルに囲ま た部位に配置することによって、効率的に パレータ中央部の温度上昇を抑制できると もに、酸化剤ガス通路の全長を短くしても 化剤ガスを等流配でき、セパレータ構造が 素化されて、燃料電池全体の小型化を可能 することができる。

 また、セパレータの中央部分にガス排出 の孔部を設けたので、発電セルの外周部よ 排出される反応ガスがパレータ中央付近に 留することがなく、この孔部より効率良く 出されるため、酸化剤ガスおよび燃料ガス 各電極層の全面に効率良く供給されるよう なり、発電性能を向上できる。

[本発明の第2の態様]
 上記第2の目的を達成するため、本発明の第 2の態様に係る燃料電池スタックは、発電セ が同一平面内に複数配設され、これら複数 発電セルがセパレータを介して複数積層さ て成る燃料電池スタックにおいて、スタッ の内部に、発電反応後の排ガスが積層方向 流通する排ガス流路が設けられ、且つ、当 排ガス流路における積層方向の一方側への ス流通量を積層方向の他方側へのガス流通 より多くしたことを特徴としている。

 上記燃料電池スタックにおいて、上記発 セルは、発電反応後の排ガスを外周部より 出するシールレス構造を有し、且つ、各セ レータの上記複数の発電セルで囲まれた部 に対応する部分に積層方向に貫通するガス 出孔が設けられ、当該ガス排出孔を通して 記排ガスが積層方向に流通する構成とする とが可能である。

 この場合、スタックの積層方向の他方側の 部に位置する上記セパレータのガス排出孔 大きさを他のセパレータのガス排出孔より さくすることが望ましい。
 これにより、当排ガス流路内において、主 してスタックの積層方向の他方側から一方 に向けた排ガスの流れを生じさせることが きる。

 また、上記スタックの積層方向の他方側 端部に位置する上記セパレータのガス排出 の開度を調整するための蓋機構を設けるこ が望ましい。

 また、上記燃料電池スタックにおいては 上記スタックの両端にそれぞれ端板を設け 且つ、積層方向の一方側の端部の端板に、 記排ガス流路内の排ガスをスタック外に排 するガス排出口を設ける構成とすることが 能である。

 本発明の第2の態様によれば、スタック内部 に発電反応後の排ガスが積層方向に流通する 排ガス流路を設け、当排ガス流路における積 層方向の一方側へのガス流通量を他方側への ガス流通量より多くしたので、比較的温度の 高いスタック中段部においては、発電セルか らの排ガスが排ガス流路内を流通することに より、発電セルの熱発散性が向上してスタッ ク中段部の温度を低下できると共に、温度の 低いスタック端部においては、積層方向に流 通する排ガスの熱により加熱されてスタック 温度が上昇し、スタック積層方向の温度分布 を低減する(均熱化)ことができる。
 特に、縦設置型の燃料電池スタックでは、 ガス流路内に、積層方向の一方側となる下 への排ガスの流れを生じさせることにより 最も温度の低いスタック下端部の温度をス ック平均温度より上昇させることも可能で る。その結果、スタック下端部の発電セル 発電性能が向上し、燃料電池スタックの総 的な発電性能を向上できる。
 加えて、上述のように、ガス排出孔への排 スの流れにより熱発散性が向上し、スタッ 中段部の温度が低下することで、スタック 段部においては、発電セルやセパレータ等 各構成部品に対する熱的ストレスが緩和さ るため、燃料電池スタックの耐久性や信頼 を向上できる。

 また、セパレータの複数の発電セルに囲ま た部位に対応する部分にガス排出孔を設け ので、発電セルの外周部より放出された排 スを発電セルの周部に滞留させることなく このガス排出孔を通してガス流路内をスタ クの積層方向に流通させることができる。
 これにより、反応用ガスが各発電セルにス ーズに供給されるようになり、各発電セル 発電性能を向上できる。また、比較的温度 高いスタック中段部においては、発電セル 熱発散性が向上してスタック中段部の温度 低下できると共に、温度の低いスタック端 においては、積層方向に流通する排ガスの によりスタック温度が上昇し、スタック積 方向の温度分布を低減することができる。

 また、スタックの積層方向の他方側の端部 位置するセパレータのガス排出孔の大きさ 他のセパレータのガス排出孔より小さくし ので、排ガス流路内において積層方向の他 側に抜ける排ガスの流量が減少し、これに り、排ガス流路に主として積層方向の一方 に向かう排ガスの流れを生じさせることが きる。
 この排ガスの熱により、特に、縦設置型の 料電池スタックでは、積層方向の一方側と る最も温度の低いスタック下端部の温度を タックの平均温度より上昇させることも可 であり、その結果、スタック下端部の発電 ルの発電性能が向上し、燃料電池スタック 総合的な発電性能を向上できる。

 また、スタックの積層方向の他方側の端 に位置するセパレータのガス排出孔の開度 調整するための蓋機構を備えるので、この ス排出孔の開度をスタック積層方向の温度 布の状態(すなわち、スタックの積層段数や 電気的出力密度)に応じて調整し、排ガス流 内における積層方向の上方側へのガス流通 と下方側へのガス流通量を適宜調整するこ により、スタック両端部の温度をバランス く調整することができ、スタック積層方向 温度分布をより確実に低減し、スタック温 の均熱化を図ることができる。

 さらに、積層方向の一方側の端板に、排ガ 流路内より放出された排ガスをスタック外 排出するガス排出口を設けたので、排ガス 路内における積層方向の一方側への排ガス 流れがスムーズになり、スタック端部の温 を効率良く上昇させることができる。

図1は、第1実施形態の平板積層型の固 酸化物形燃料電池の構成を示す図である。 図2は、図1の一部拡大図である。 図3は、図1のセパレータの構造を示す である。 図4は、図3とは別のセパレータの構造 示す図である。 図5は、図4とは別のセパレータの構造 示す図である。 図6は、第2実施形態の平板積層型の固 酸化物形燃料電池の一部拡大図である。 図7は、図6のセパレータの構造を示す である。 図8は、第3実施形態の平板積層型の固 酸化物形燃料電池におけるセパレータの構 を示す図である。 図9は、第4実施形態の固体酸化物形燃 電池スタックの内部構造を示す模式図であ 。 図10は、図9の下端板の上面図である。 図11は、図9のセパレータの構造を示す 図である。 図12は、従来例として示したセパレー の構造を示す図である。 図13は、スタック積層方向の温度分布 示す図である。

符号の説明

 1 固体酸化物形燃料電池
 2 固体電解質層
 3 燃料極層
 4 酸化剤極層
 5 発電セル
 8、9、95 セパレータ
 11、91、96 燃料ガス通路
 12、92、97 酸化剤ガス通路
 13、43 燃料ガス孔
 14、44 酸化剤ガス孔
 17 燃料ガスマニホールド
 18 酸化剤ガスマニホールド
 31、93 ガス排出用の孔部
 101 燃料電池スタック
 105(105a~105d) 発電セル
 108 セパレータ
 109a、109b 端板
 121 ガス排出口
 129 蓋機構
 130 排ガス流路
 131 ガス排出孔

[第1実施形態]
 第1~第3実施形態は、本発明の第1の態様に対 応するものである。
 以下、図面に基づいて本発明による固体酸 物形燃料電池の第1実施形態を説明する。
 図1は本発明が適用された平板積層型の固体 酸化物形燃料電池1の構成を示し、図2は図1の 一部拡大を示し、図3はセパレータ8の構造を している。

 図2に示すように、単セル10は、固体電解 層2の両面に燃料極層3と酸化剤極層4を配し 複数個(4個)の発電セル5と、各燃料極層3の 側に配した燃料極集電体6と、各酸化剤極層4 の外側に配した空気極集電体7と、これら集 体6、7の外側に配した上下2枚のセパレータ8 で構成されている。

 これら発電要素の内、固体電解質層2はイッ トリアを添加した安定化ジルコニア(YSZ)等で 成され、燃料極層3はNi等の金属あるいはNi-Y SZ等のサーメットで構成され、酸化剤極層4は LaMnO 3 、LaCoO 3 等で構成され、燃料極集電体6はNi等のスポン ジ状の多孔質焼結金属板で構成され、空気極 集電体7はAg等のスポンジ状の多孔質焼結金属 板で構成されされている。

 セパレータ8は、図3に示すように、厚さ mmの略方形状のステンレス製の板材で構成さ れており、上述した複数の発電セル5(5a~5d)と 各集電体6、7が積層される中央部分のセパ ータ本体8cと、このセパレータ本体8cより面 向に延設されて、当セパレータ本体8cの対 縁部を2カ所で支持するセパレータアーム8a 8bとで構成されている。

 図3中、一点鎖線で示すように、このセパレ ータ本体8cの中央部分には、直径約60mm程の小 径の発電セル5a~5dが縦横対称に配設される。
 セパレータ8は、これらの発電セル5a~5dを共 の集電体6、7を介して電気的に並列接続す と共に、各発電セル5a~5dに反応用ガス(酸化 ガス、燃料ガス)を供給する機能を有し、そ 内部に酸化剤ガス通路12と燃料ガス通路11と を有する。

 また、各セパレータアーム8a、8bは、それ ぞれセパレータ本体8cの外周辺に沿って僅か 隙間を持って対向隅角部より延設される細 帯状として、積層方向に可撓性を持たせて り、これにより、積層方向の加重がセパレ タ本体8cの全面に均一に加わるようになさ ていると共に、これらセパレータアーム8a、 8bの端部には、板厚方向に貫通する一対のガ 孔(酸化剤ガス孔14、燃料ガス孔13)が設けら ている。

 酸化剤ガス孔14は、セパレータ8の酸化剤 ス通路12に連通し、また、燃料ガス孔13は、 燃料ガス通路11に連通し、各々のガス孔14、13 から、これらのガス通路12、11を通して通路 端のガス吐出口12a、11aより各発電セル5の各 極面(酸化剤極層4、燃料極層3)の中央部に酸 化剤ガスおよび燃料ガスを吐出するようなっ ている。

 さらに細述すれば、酸化剤ガス通路12は、 化剤ガス孔14よりセパレータアーム8a内を通 てセパレータ8の下辺部中央部位P1に至り、 こから内方に向けてセパレータ本体8cの発 セル5a~5dで囲まれた中心部位P2に至り、中心 位P2において横方向T字に分岐し、一方の酸 剤ガス通路12は、発電セル5a、5bの中間部位P 3に至り、この中間部位P3においてさらに縦方 向T字に分岐して、それぞれ発電セル5a、5bの 心部に対応するセパレータ面上に開口され 酸化剤ガス吐出12a、12aに連通している。
 他方、上記中心部位P2において横方向T字に 岐した酸化剤ガス通路12の他方側(図中右側) は、発電セル5c、5dの中間部位P4に至り、この 部位P4においてさらに縦方向T字に分岐してそ れぞれ発電セル5c、5dの中心部に対応するセ レータ面上に開口された酸化剤ガス吐出12a 12aに連通している。

 また、燃料ガス通路11は、燃料ガス孔13より セパレータアーム8b内を通してセパレータ本 8cの上辺部中央から発電セル5b、5cの中間部 P5に至り、この中間部位P5において横方向T に分岐し、一方の燃料ガス通路11は、発電セ ル5bの周縁に沿って発電セル5a、5bの中間部位 P6に至り、この中間部位P6においてさらに縦 向T字に分岐して、それぞれ発電セル5a、5bの 中心部に対応するセパレータ面上に開口され た燃料ガス吐出口11a、11aに連通している。
 他方、上記中間部位P5においてT字状に分岐 た燃料ガス通路11の他方側(図中右側)は、発 電セル5cの周縁に沿って発電セル5c、5dの中間 部位P7に至り、この中間部位P7においてさら 縦方向T字に分岐してそれぞれ発電セル5c、5d の中心部に対応するセパレータ面上に開口さ れた燃料ガス吐出口11a、11aに連通している。

 そして、この燃料ガス通路11については 上述したセパレータ本体8cの部位P5、部位P6 部位P7においてガス通路が分岐される毎にそ の断面積が約1/2に縮小されている。

 また、発電セル5a~5dにより囲まれた部位 対応するセパレータ本体8cの中央部分には、 酸化剤ガス通路12を避けるように、厚さ方向 貫通する3個のガス排出用の孔部31が形成さ ている。また、発電セル5aと発電セル5bの間 であって、燃料ガス通路11の分岐部P6と酸化 ガス通路12の分岐部P3とに挟まれた部位、お び、発電セル5cと発電セル5dの間であって、 燃料ガス通路11の分岐部P7と酸化剤ガス通路12 の分岐部P4とに挟まれた部位、および、発電 ル5bと発電セル5cの間であって、燃料ガス通 路11の分岐部P5とガス排出用の孔部31に挟まれ た部分には、それぞれ厚さ方向に貫通する放 熱用の孔部32が形成されている。

 上記構成の単セル10を、図1、図2に示すよ うに、間にリング状の絶縁性ガスケット16、1 5を介在して順次積層すると共に、この積層 の上下両端にセパレータ8よりサイズの大き 四角形の上締付板20aと下締付板20bを配して その周縁部の4カ所をボルト21とナット26に 締め付けることにより、その締め付け荷重 より各々のガスケット16、15がそれぞれセパ ータ8の各ガス孔14、13を介して積層方向に 結され、スタック内部に積層方向に延びる スシール性に優れる2系統の内部マニホール (酸化剤ガスマニホールド18と燃料ガスマニ ールド17)が形成される。

 そして、運転時には、酸化剤ガスマニホ ルド18および燃料ガスマニホールド17に外部 から供給される酸化剤ガス(空気)と燃料ガス 流通し、各反応用ガスが各セパレータ8の酸 化剤ガス孔14、燃料ガス孔13より酸化剤ガス 路12、燃料ガス通路11を介して各発電セル5の 酸化剤極層4と燃料極層3に分配・供給され、 発電セル5において発電反応を生じさせるよ うになっている。

 また、この固体酸化物形燃料電池1は、発 電セル5の外周部にガス漏れ防止シールを設 ないシールレス構造であり、運転時には、 電反応で消費されなかった残余のガス(排ガ )を各発電セル5の外周部から外に自由に放 するようになっている。

 以上、第1実施形態による固体酸化物形燃 料電池1では、同一セパレータ8上に複数の発 セル5を並列に配置する構造とすることによ り、同じ出力を得る場合において、セパレー タ8上に1個の発電セル5を配置する構造に比べ て、発電セル5の径を小さくすることができ ため(例えば、直径120mmを60mmとする)、その分 、温度分布を均一化でき、発電セル5を割れ くできる。加えて、各々発電セル5が並列に 続されているため、複数の発電セル5の内の 1つが破損した場合であっても、正常な他の 電セル5より出力を取り出すことができ、極 な出力低下を招かずに運転を続行できる。

 また、酸化剤ガス通路12より、セパレータ8 中央部分に酸化剤ガス(空気)を導入するこ により、その冷却効果により、セパレータ 心部分の温度上昇を抑制してセパレータ面 での温度分布を均一化させることができ、 電セル5の割れを防止することができる。
 また、燃料ガスは酸化剤ガスに比べて流量 少ないため、燃料ガスによる冷却効果は得 れないが、図3のように、発電セル5の隣接 位に放熱用の孔部32を設けることにより、セ パレータ8隣接部位の放熱効果を助長するこ ができ、セパレータ面内での温度分布の均 化に寄与できる。

 また、酸化剤ガス通路12および燃料ガス通 11をT字状に分岐させていくことにより、分 部における反応用ガスの分配を均等にでき 且つ、各ガス流路の全長を長くすることが きる。これにより、各発電セルへの反応用 スの等流配が可能となり、発電性能を向上 きる。
 特に、燃料ガス通路11においては、ガス流 の下流側に向けて分岐毎にガス通路の断面 を小さくして圧損失を生じさせるようにし ので、燃料ガス通路11においては、より確実 な燃料ガスの等流配が可能となり、より安定 した発電性能が得られるようになる。

 また、セパレータ8の中央部分にガス排出 用の孔部31を設けることにより、発電セル5a~5 dの外周部より排出される反応ガスがパレー 中央付近において滞留することがなく、こ 孔部31より効率良く排出されるため、酸化剤 ガスおよび燃料ガスが各電極層の全面に効率 良く供給されるようになり、発電性能を向上 できる。

 以上、本実施形態では、発電セル5の形状を 円形としたが、この他、発電セル5の形状を 4に示すような六角形、或いは図5に示すよう な四角形等とすることも可能である。
 尚、図4、図5において、図3と共通する部分 それぞれ同一符号を用いており、8はセパレ ータ、5a~5dは発電セル、11は燃料ガス通路、12 は酸化剤ガス通路、13は燃料ガス孔、14は酸 剤ガス孔、31はガス排出用の孔部、32は放熱 の孔部である。

 次に、本発明の効果を確認するため、以 のような発電試験を実施した。

 <実施例1>
 作動温度750℃、電流密度500mA/cm 2 、燃料利用率75%にて発電試験を実施し、セル の形状および1枚のセパレータ8上に設置する 電セル5の枚数を変化させた時の発電セルの 平均出力密度と発電セルの割れを調査し、そ の結果を表1に示した。上記セルとは、発電 ル5をセパレータ8で挟み込んだものを示して いる。尚、酸化剤ガスとして空気を水素の5 量を供給した。また、発電セル5には自立膜 ランタンガレート系電解質のLSGMC5を使用し 固体電解質層2の厚さは0.20~0.25mmとした。燃 極層3はCe 0.2 Sm 0.8 O 2 とNiのサーメット、酸化剤極層4にはSm 0.5 Sr 0.5 CoO 3 を用いた。

 実施例1-1(従来型)では、直径160mmの円形平板 形のセルを5段積層し、燃料ガスとして水素 5Nml/cm 2 /minで供給した。ここで、NmlのNは0℃を意味す る。
 この時の平均出力密度は500mW/cm 2 であり、高い性能が得られたが、室温に降温 後、スタックを解体すると5枚のセル中、3枚 割れていた。これは、作動温度750℃から室 に降温する際の収縮で生じる引張り応力に るものと推測される。
 この割れた発電セル5を再度スタックに組み 込み、発電試験を同条件にて実施したところ 、平均出力密度は0.18W/cm 2 まで低下した。このように、スタック中のセ ルが割れてしまうと発電性能が著しく低下す ることが確認された。

 実施例1-2(従来型)では、円形セルの直径を12 0mmとし、実施例1-1と同様に従来型の1枚のセ を5段積層した時の結果である。セルの単位 積当たりの燃料ガスおよび空気流量を一定 した条件下での平均出力密度は0.51W/cm 2 であった。発電試験後のセルの割れは5枚中1 であった。
 この割れたセルを再度スタックに組み込み 発電試験を同条件で実施したところ、平均 力密度は0.36W/cm 2 まで低下した。この場合の、低下率は29%であ る。
 このように、スタック中の1枚のセルが割れ ただけで発電性能は急激に低下した。この理 由は、5枚のセルが直列に接続されているた 、その内の1枚のセルが破損すると、その部 での抵抗が著しく増大し、スタック全体の 能を低下させてしまうためである。

 実施例1-3では、円形セルの直径を80mmとし、 1枚のセパレータ8上に4枚の発電セル5を並列 置し、5段積層した時の結果である。この場 の同条件における平均出力密度は0.49W/cm 2 であり、従来型のセルを用いた実施例1-1に較 べて0.01W/cm 2 の減少となった。
 この性能低下の理由は、発電セル5の半径を 小さくすることにより、セルの中心部と外周 部との距離が減少して、セパレータ8の中心 から吐出される水素と燃料極層3との電気化 反応の頻度が減少したためと推測される。
 発電試験後の20枚のセルの内、割れは1枚で り、割れたセルを再度スタックに組み込み 発電試験を同条件で実施したところ、平均 力密度は0.45W/cm 2 となり、出力低下は0.04W/cm 2 、低下率は8%に留まった。
 尚、従来型のセルを用いた実施例1-2では、1 枚のセルの割れたことによる平均出力密度の 低下率は29%であった。このことにより、セル 割れが発生した場合、第1実施形態のセパレ タ構造では、スタック全体の性能低下を低 抑えることができることが確認された。

 実施例1-4では、円形セルの直径を60mmとし、 1セパレータ8上に4枚の発電セル5を並列配置 、5段積層した時の結果である。この場合、 条件における平均出力密度は0.47W/cm 2 であり、従来型セルを用いた実施例1-1に較べ て0.03W/cm 2 の減少となった。この性能低下の理由は、上 述した通りである。
 発電試験後の20枚のセルの内、割れはなく 再度同じセルをスタックに組み込み同条件 発電試験を実施したところ、平均出力密度 0.47W/cm 2 であり、発電性能の低下は見られなかった。 発電セル5を小形化することにより、電流密 650mA/cm 2 の高出力条件下にも拘わらず、セル割れを起 こさずに昇温・発電・降温することが可能で あることが確認された。
 これらの発電セル5をそれぞれ未使用セルに 入れ換えて比較試験(2)(3)を実施し、降温後の セル割れを確認したところ、20枚中割れてい セルはなく、発電セル5の小形化がセル割れ 防止に効果的であり、且つ、発電セル5の並 接続がその発電性能を維持できることが確 された。

 実施例1-5では、円形セルの直径を40mmとし、 実施例1-6では、円形セルの直径を30mmとし、1 のセパレータ8上に16枚のセルを並列配置し それぞれ5段積層した時の結果である。
 この場合、同条件における平均出力密度は れぞれ0.45W/cm 2 、0.43W/cm 2 であり、小形化により発電性能は減少傾向に ある。試験後の80枚のセルの内、実施例1-5、 施例1-6とも割れはなく、かつ、比較試験(2)( 3)を実施して降温後のセルの割れを確認した ころ、割れは全く見られず、発電セル5の小 形化がセルの割れ防止に効果的であることが 再度確認された。実施例1-5、6の場合は、1A/cm 2 以上の高電流密度においてもセル割れを起こ さずに昇温・発電・降温が可能であると推測 される。

 実施例1-7(従来型)、実施例1-8、実施例1-9で 、角形の発電セルを用い、セパレータ8上の ル枚数を変化させ、全セルの合計面積を500c m 2 一定とした時の発電性能および降温後のセル 割れの枚数についての試験結果である。
 従来型のセルを用いた実施例1-7の場合、比 試験(1)後、5枚のセルの全てが割れており、 再度組み立て後の平均出力密度は0.08W/cm 2 まで減少した。これより、セル形状を角形に すると、円形セルに較べて割れ易くなってい ることが分かる。セルを小形化した実施例1-8 、実施例1-9の場合、比較試験(1)後のセルの割 れがないことが確認された。

 実施例1-10(従来型)、実施例1-11、実施例1-12 は、六角形の発電セルを用い、セパレータ8 のセル枚数を変化させ、全セルの合計面積 540cm 2 一定とした時の発電性能および降温後のセル 割れについての試験結果である。

 従来型のセルを用いた実施例1-10の場合では 、比較試験(1)後、2枚のセルが割れており、 み立て後の平均出力密度は0.23W/cm 2 まで減少した。セル形状を六角形としたため 、上述した角形セルに較べて割れ難くなって いるが、円形セルに較べて割れ易いことが分 かる。

 実施例1-11の場合では、比較試験(1)後、1 のセル割れがあったが、極端な発電性能の 下には至らなかった。4枚のセルの内の3枚が 割れていなければ、この3枚のセルにより燃 ガスの少なくとも3/4は電気化学的に消費可 であるため、燃料利用率75%以上での正常な 電が可能であり、例えば、割れたセル1枚の 分の面積が発電可能であるとすると、概算 燃料利用率87.5%まで正常発電が可能と推測 れる。これに対し、実施例1-10の場合、1枚の セル割れが起こり、仮に割れたセルの50%の部 分が発電可能であるとしても、燃料利用率50% 以上では正常な発電は不可能である。

 <実施例2>
 実施例2では、セパレータ8内部のガス供給 路において、第1実施形態の中心部に空気を 給した場合(図3において、セパレータ8の酸 剤ガス通路12に空気を供給し、燃料ガス通 11に燃料ガスを供給する)と、燃料ガスと空 の供給を入れ換えてセパレータ8中心部のガ 供給路に燃料ガスを供給した場合(すなわち 、酸化剤ガス通路12に燃料ガスを供給し、燃 ガス通路11に空気を供給する)とで比較試験 行い、その結果を表2に示した。

 実施例2-1では、直径60mmの円形セルを1セパ ータ8上に4個並列配置し、5段積層した。こ 時の平均出力密度は0.47W/cm 2 である。これに対して、実施例2-2の場合の、 燃料と空気の流路を入れ換えた発電試験では 、平均出力密度は0.43W/cm 2 に低下した。
 空気がセパレータ中央部に供給されない実 例2-2の場合では、セパレータ中心部の温度 788℃程、端部は734℃程となり、同一セパレ タ上での温度差は52℃程であった。これは 燃料ガスの流量は空気流量に較べて1/5であ ため、セパレータ中心部分での熱交換量が 下して温度が上昇したものと考えられる。 れに対し、空気がセパレータ中央部に供給 れる実施例2-1の場合は、温度差は僅か12℃程 であった。

 実施例2-2の場合では、比較試験(4)の降温後 セル割れはなかったが、比較試験(5)、(6)で 、20枚のセルの内、直径60mmの小型セルを用 たにも拘わらず、比較試験(5)で3枚、比較試 験(6)で1枚割れていた。割れがあった時の発 性能が低下していることから、発電中にセ レータ内部で温度差が生じて割れた可能性 大きいと考えられる。
 また、発電試験後、セル割れが生じていな のにも拘わらず比較試験(4)の平均出力密度 0.43W/cm 2 と低かった。この理由は、燃料ガスを、分岐 部分において流路幅が狭まっていない酸化剤 ガス通路12に供給したことにより、セパレー 内部での燃料ガスの均等流配が崩れたため 推測される。

 <実施例3>
 実施例3では、セパレータ中心部のガス排出 用の孔部31の有無についての比較試験(7)およ 比較試験(8)を行い、その結果を表3に示した 。
 これらの発電試験では、直径60mmの円形セル をセパレータ上に4個並列配置し、5段積層し 。また、空気は通常通り、セパレータ8の酸 化剤ガス通路12より供給した。

 排気孔31を設けた実施例3-1場合では、平均 力密度は0.47W/cm 2 であった。これに対し、排気孔31を設けてい い実施例3-2の場合の平均出力密度は0.38W/cm 2 と発電性能の低下が見られた。尚、実施例3-1 の場合、同一セパレータ内部での温度差は12 程であるのに対して、実施例3-2の場合は、 度差が31℃程と大きかった。
 比較試験(7)および比較試験(8)において、実 例3-2の場合、試験後にセル割れは生じなか たが、発電性能は低かった。この理由は、 気孔31を設けていないと、発電反応生成物 ある水蒸気がセパレータ中心部分で排出さ ずに滞留し、この部分での電気化学反応が しく低下したためと推定される。よって、 パレータ中心部分に排気孔31を設けることが 、発電性能の向上のために重要であることが 確認された。

 <実施例4>
 実施例4では、直径60mmの円形セルをセパレ タ8上に4個並列配置し、5段積層した構造で 発電セル5の固体電解質層2の種類を変えた場 合の発電試験を行い、その結果を表4に示し 。
 すなわち、実施例4-1では、固体電解質層2と して厚さが0.2mm程度の自立膜型のランタンガ ートを用い、実施例4-2では、固体電解質層2 として厚さ0.03mmのジルコニア系8YSZを用い、 施例4-3では、セリア系電解質(CeO 2 )を用いた。

 実施例4-1の場合、平均出力密度が0.47W/cm 2 と高いが、実施例4-2の場合は、平均出力密度 が0.20W/cm 2 と低かった。
 これは、実施例4-2では、燃料極層3にNi-CeO 2 サーメットを支持基盤として使用し、酸化剤 極層4にランタンマンガナイト(LaMnO 3 )を使用しており、YSZ電解質のイオン伝導度 対する電子伝導度の割合がランタンガレー に較べて低いため、開回路起電力は5.5Vと高 が薄膜の電解質においても750℃では十分な オン伝導度が得られず、性能が低下したも と推定される。
 実施例4-2の場合、3回の比較試験において比 較試験(10)でセル割れが1枚発生したが、全体 にセル割れが少ないことが確認された。

 実施例4-3では、Ni-CeO 2 サーメットを支持基盤として使用し、酸化剤 極層4にランタンマンガナイト(LaMnO 3 )を使用した。セリア系電解質であるため、 オン伝導度に対する電子伝導度が高く、電 質部分での内部短絡により開回路起電力が い結果となった。また、比較試験後、多数 セルが割れたことから、セリア系電解質を いる場合は、セルの大きさを径60mmよりもさ に小さくする必要があると考えられる。

[第2実施形態]
 次いで、第2実施形態の固体酸化物形燃料電 池を、図6および7を用いて説明する。
 尚、第1実施形態と同一の構成については、 同一符号を用いることによって説明を省略す る。

 図6に示すように、単セル40は、固体電解 層2の両面に燃料極層3と酸化剤極層4を配し 複数個(4個)の発電セル5と、各燃料極層3の 側に配した燃料極集電体6と、各酸化剤極層4 の外側に配した空気極集電体7と、これら集 体6、7の外側に配した上下2枚のセパレータ9 で構成されている。

 セパレータ9は、図7に示すように、厚さ mmの方形状のステンレス製の板材で構成され ており、縦横対称に配設される直径約60mm程 小径の発電セル5a~5dを覆う大きさに形成され ている。そして、これらの発電セル5a~5dを共 の集電体6、7を介して電気的に並列接続す と共に、各発電セル5a~5dに反応用ガスを供給 する機能を有し、その内部に酸化剤ガス通路 92と燃料ガス通路91とを有する。

 さらに、セパレータ9には、複数の発電セ ル5a~5dに囲まれた部位に対応する中央部に、 厚方向に貫通する酸化剤ガス孔44が設けら るとともに、この酸化剤ガス孔44を挟むよう にして、複数の発電セル5a~5bの外方に対応す 外周部であって、かつ発電セル5a、5b間およ び発電セル5c、5d間に対応する部位に、それ れ板厚方向に貫通する燃料ガス孔43が対にな って設けられている。

 酸化剤ガス孔44は、それぞれセパレータ9の 角部方向に向けて延在する直線状の4本の酸 化剤ガス通路92に連通しており、各酸化剤ガ 通路92は、各発電セル5の中央部に対応する 置に開口する末端のガス突出口92aより各発 セル5の酸化剤極層4に酸化剤ガスを吐出す ようなっている。
 他方、各燃料ガス孔43は、各発電セル5の中 部に向けて延在する直線状の2本の燃料ガス 通路91に連通し、各燃料ガス通路91は、末端 ガス突出口91aより各発電セル5の燃料極層3の 中央部に燃料ガスを吐出するようなっている 。

 また、発電セル5a~5dにより囲まれた部位 対応するセパレータ9の中央部分には、酸化 ガス孔44の周囲における酸化剤ガス通路92間 に各々酸化剤ガス通路92を避けるように、そ ぞれ厚さ方向に貫通する4個のガス排出用の 孔部93が形成されている。

 上記構成の単セル40を、第1実施形態と同 に、間にリング状の絶縁性ガスケット16、15 を介在して順次積層すると共に、この積層体 の上下両端にセパレータ9よりサイズの大き 四角形の上締付板20aと下締付板20bを配して その周縁部の4カ所をボルト21とナット26にて 締め付けることにより、その締め付け荷重に より各々のガスケット16、15がそれぞれセパ ータ9の各ガス孔44、43を介して積層方向に連 結され、スタック内部に積層方向に延びるガ スシール性に優れる2系統の内部マニホール (酸化剤ガスマニホールドと燃料ガスマニホ ルド)が形成される。

 そして、運転時には、酸化剤ガスマニホ ルドおよび燃料ガスマニホールドに外部か 供給される酸化剤ガス(空気)と燃料ガスが 通し、各反応用ガスが各セパレータ9の酸化 ガス孔44、燃料ガス孔43より酸化剤ガス通路 92、燃料ガス通路91を介して各発電セル5の酸 剤極層4と燃料極層3に分配・供給され、各 電セル5において発電反応を生じさせるよう なっている。

 また、この第2実施形態の固体酸化物形燃 料電池も、発電セル5の外周部にガス漏れ防 シールを設けないシールレス構造であり、 転時には、発電反応で消費されなかった残 のガス(排ガス)を各発電セル5の外周部から に自由に放出するようになっている。

[第3実施形態]
 次いで、第3実施形態の固体酸化物形燃料電 池を、図8を用いて説明する。
 尚、第2実施形態と同一の構成については、 同一符号を用いることによって説明を省略す る。

 単セルは、第2実施形態と同様、固体電解 質層2の両面に燃料極層3と酸化剤極層4を配し た複数個の発電セル5と、各燃料極層3の外側 配した燃料極集電体6と、各酸化剤極層4の 側に配した空気極集電体7と、これら集電体6 、7の外側に配した上下2枚のセパレータ95と 構成されている。ここで、発電セル5は、図8 に示すように、縦方向に複数行(2行)、横方向 に偶数列(4列)に配置されることにより、合計 8個設けられている。

 セパレータ95は、厚さ数mmの長方形状のス テンレス製の板材で構成されて、直径約60mm の小径の発電セル5a~5hを覆う大きさに形成さ れている。そして、これらの発電セル5a~5hを 通の集電体6、7を介して電気的に並列接続 ると共に、各発電セル5a~5hに反応用ガスを供 給する機能を有し、その内部に酸化剤ガス通 路97と燃料ガス通路96とを有する。

 さらに、セパレータ95には、複数の発電セ 5a~5hに囲まれた部位に対応する中央部に、全 ての酸化剤ガス孔44を配設すべく、複数の発 セル5a~5bの外方に対応する外周部であって かつ発電セル5a、5b間および発電セル5e、5f間 に対応する部位に、それぞれ板厚方向に貫通 する燃料ガス孔43が対になって設けられてい 。
 これにより、セパレータ95には、これら発 セル5a、5bに対する燃料ガス孔43の反対側の 電セル5a、5b、5c、5hに囲まれた部位に対応す る位置、およびこれら発電セル5e、5fに対す 燃料ガス孔43の反対側である発電セル5d、5e 5f、5gに囲まれた部位に対応する位置に、そ ぞれ板厚方向に貫通する酸化剤ガス孔44が けられている。
 また、セパレータ95には、これら発電セル5c 、5hに対する酸化剤ガス孔44の反対側であっ 、これら発電セル5d、5gに対する酸化剤ガス 44の反対側でもある発電セル5c、5h、5d、5gに 囲まれた部位に対応する位置にも、板厚方向 に貫通する燃料ガス孔43が設けられている。

 各酸化剤ガス孔44は、それぞれ各発電セル5 中央部に向けて延在する直線状の4本の酸化 剤ガス通路97に連通しており、各酸化剤ガス 路97は、末端のガス突出口97aより各発電セ 5の酸化剤極層4の中央部に酸化剤ガスを吐出 するようなっている。同様に、各燃料ガス孔 43も、各発電セル5の中央部に向けて延在する 直線状の4本の燃料ガス通路96に連通し、各燃 料ガス通路96は、末端のガス突出口96aより各 電セル5の燃料極層3の中央部に燃料ガスを 出するようなっている
 ただし、セパレータ95の発電セル5a、5b間お び発電セル5e、5f間に対応する部位に対にな って設けられた燃料ガス孔43は、各発電セル5 の中央部に向けて延在する直線状の2本の燃 ガス通路96に連通しており、これらの燃料ガ ス通路96も、末端のガス突出口96aより各発電 ル5の燃料極層3の中央部に燃料ガスを吐出 るようなっている。

 また、発電セル5a~5hにより囲まれた部位 対応するセパレータ95の中央部分には、各酸 化剤ガス孔44の周囲における酸化剤ガス通路9 7間に各々酸化剤ガス通路97を避けるように4 のガス排出用の孔部93がそれぞれ厚さ方向に 貫通して形成されて、8個のガス排出用の孔 93が形成されている。また、酸化剤ガス孔44 周囲における燃料ガス通路96間に各々燃料 ス通路96を避けるように、それぞれ厚さ方向 に貫通する4個のガス排出用の孔部93が形成さ れている。

 上記構成の単セルを、第2実施形態と同様 に、間にリング状の絶縁性ガスケット16、15 介在して順次積層すると共に、この積層体 上下両端にセパレータ95よりサイズの大きい 四角形の上締付板20aと下締付板20bを配して、 その周縁部の4カ所をボルト21とナット26にて め付けることにより、その締め付け荷重に り各々のガスケット16、15がそれぞれセパレ ータ95の各ガス孔44、43を介して積層方向に連 結され、スタック内部に積層方向に延びるガ スシール性に優れる2系統の内部マニホール (酸化剤ガスマニホールドと燃料ガスマニホ ルド)が形成される。

 そして、運転時には、酸化剤ガスマニホー ドおよび燃料ガスマニホールドに外部から 給される酸化剤ガス(空気)と燃料ガスが流 し、各反応用ガスが各セパレータ95の酸化剤 ガス孔44、燃料ガス孔43より酸化剤ガス通路97 、燃料ガス通路96を介して各発電セル5の酸化 剤極層4と燃料極層3に分配・供給され、各発 セル5において発電反応を生じさせるように なっている。
 また、この第3実施形態の固体酸化物形燃料 電池も、発電セル5の外周部にガス漏れ防止 ールを設けないシールレス構造である。

 尚、第2および第3実施形態では、発電セ 5の形状を円形としたが、第1実施形態と同様 に発電セル5の形状を四角形或いは六角形等 することも可能である。

 以上、第2実施形態および第3実施形態に る固体酸化物形燃料電池1においても、第1実 施形態と同様、同一セパレータ9、95上に複数 の発電セル5を並列に配置する構造とするこ により、同じ出力を得る場合において、セ レータ9、95上に1個の発電セル5を配置する構 造に比べて、発電セル5の径を小さくするこ ができるため(例えば、直径120mmを60mmとする) 、その分、温度分布を均一化でき、発電セル 5を割れ難くできる。加えて、各々発電セル5 並列に接続されているため、複数の発電セ 5の内の1つが破損した場合であっても、正 な他の発電セル5より出力を取り出すことが き、極端な出力低下を招かずに運転を続行 きる。

 また、酸化剤ガス通路92、97より、セパレ ータ9、95の中央部分に酸化剤ガス(空気)を導 することにより、その冷却効果により、セ レータ中心部分の温度上昇を抑制してセパ ータ面内での温度分布を均一化させること でき、発電セル5の割れを防止することがで きる。

 また、第2および第3実施形態の固体酸化 形燃料電池では、セパレータ9、95の複数の 電セル5a~5d、5a~5hに囲まれた部位に対応する 央部に設けた酸化剤ガス孔44によって酸化 ガスマニホールドを形成したため、この酸 剤ガスマニホールドから酸化剤ガス孔44を通 じて、酸化剤ガスを直接セパレータ9の酸化 ガス通路92、97に供給することによって、効 的にセパレータ中心部分の温度上昇を抑制 きる。さらには、セパレータ9、95の酸化剤 ス通路92、97の全長を短くすることによって 、セパレータ9、95の構造が簡素化されて、燃 料電池全体の小型化を可能にすることができ る。

 また、第2および第3実施形態の固体酸化 形燃料電池では、セパレータ9、95の中央部 にガス排出用の孔部93を設けることにより、 発電セル5a~5dの外周部より排出される反応ガ がパレータ中央付近において滞留すること なく、この孔部93より効率良く排出される め、酸化剤ガスおよび燃料ガスが各電極層 全面に効率良く供給されるようになり、発 性能を向上できる。

[第4実施形態]
 第4実施形態は、本発明の第2の態様に対応 るものである。
 以下、図9~図11に基づいて本発明に係る燃料 電池スタックの第4実施形態を説明する。
 図9は本実施形態による固体酸化物形燃料電 池スタックの内部構造を示す模式図、図10は 端板の上面図、図11はセパレータの構造を す図である。

 本実施形態による固体酸化物形燃料電池ス ックは、図9の要部拡大図ように、固体電解 質層102の両面に燃料極層103と空気極層104を配 して成る複数の発電セル105(105a~105d)と、燃料 層103の外側の燃料極集電体106と、空気極層1 04の外側の空気極集電体107と、各集電体106、1 07の外側のセパレータ108をそれぞれ順番に多 縦方向に積層した構造を有する。
 上記積層体(スタック)の構成要素の内、固 電解質層102はイットリアを添加した安定化 ルコニア(YSZ)等で構成され、燃料極層103はNi の金属、或いはNi-YSZ等のサーメットで構成 れ、空気極層104はLaMnO 3 、或いはLaCoO 3 等で構成され、燃料極集電体106はNi等のスポ ジ状の多孔質焼結金属板で構成され、空気 集電体107はAg等のスポンジ状の多孔質焼結 属板で構成されている。

 また、セパレータ108は、図11に示すよう 、厚さ数mmの略四角形状のステンレス板で成 り、上述した複数の発電セル105と各発電セル 105の外側の各集電体106、107等が配設されるセ パレータ本体108aと、このセパレータ本体108a り面方向に延設されて、当セパレータ本体1 08aの対向縁部を2カ所で支持するアーム部108b 108bとで構成されている。

 本実施形態では、図11中、一点鎖線で示す うに、セパレータ本体108aの中央部分に、平 視円形の4個の発電セル105a~105dが同一平面上 に縦横対称に配設される。
 セパレータ108は、これらの同一平面上に配 された発電セル105a~105dを集電体106、107を介 て電気的に並列接続すると共に、並列に接 されたこれら発電セル群(105a~105d)を積層方 に直列に接続していく。
 また、セパレータ108は、各発電セル105a~105d ぞれぞれに反応用ガスとしての燃料ガス及 空気を供給する機能を有し、内部に燃料ガ が流通する燃料ガス流路111と空気が流通す 空気流路112が形成されている。また、各ア ム部108b、108bの端部には、厚さ方向に貫通 る燃料導入口113と空気導入口114が対向位置 設けられ、燃料導入口113は上記燃料ガス流 111に連通し、空気導入口114は上記空気流路11 2に連通している。

 さらに詳しく述べれば、図11に示すように 上記空気流路112は、空気導入口114より一方 アーム部108bの内部を通してセパレータ108の 辺中央部位P1に至り、ここから内方に向け 発電セル105a~105dで囲まれたセパレータ本体10 8aの中心部位P2に至り、P2において横T字に分 し、一方(左方向)の空気流路112は発電セル105 aと発電セル105bの中間部位P3に至り、P3におい て更に縦T字に分岐して、それぞれ発電セル10 5a、105bの中心部に対応するセパレータ面上に 開口した空気吐出口112a、112aに連通している
 一方、P2において、他方(右側)の空気流路112 は、発電セル105cと発電セル105dの中間部位P4 至り、P4において更に縦T字に分岐してそれ れ発電セル105c、105dの中心部に対応するセパ レータ面上に開口した空気吐出口112a、112aに 通している。

 また、燃料ガス流路111は、燃料導入口113よ 上記とは別のアーム部108b内を通してセパレ ータ108の上辺部中央から発電セル105cと発電 ル105dの中間部位P5に至り、P5において横T字 分岐し、一方(左側)の燃料ガス流路111は、発 電セル105bの周縁に沿って発電セル105aと発電 ル105bの中間部位P6に至り、P6において更に T字に分岐して、それぞれ発電セル105a、105b 中央部に対応するセパレータ面上に開口し 燃料吐出口111a、111aに連通している。
 一方、P5において他方(右側)の燃料ガス流路 111は、発電セル105cの周縁に沿って発電セル10 5cと発電セル105dの中間部位P7に至り、P7にお て更に横T字に分岐してそれぞれ発電セル105c 、105dの中央部に対応するセパレータ面上に 口した燃料吐出口111a、111aに連通している。
 尚、この燃料ガス流路111については、セパ ータ本体108a上の各部位P5、P6、P7においてガ ス流路が分岐される毎にその断面積を縮小す るようにして、各発電セル105a~105dへの燃料ガ スの等配流を可能にしている。

 また、発電セル105aと発電セル105bの間で って、燃料ガス流路111の分岐部P6と空気流路 112の分岐路P3とに挟まれた部位、および発電 ル105cと発電セル105dの間であって、燃料ガ 流路111の分岐部P5とガス排出孔131に挟まれた 部分に、それぞれ厚さ方向に貫通する細長の 孔部132が形成されている。これらの孔部132は 、セパレータ隣接部分の放熱性を向上する効 果があるため、セパレータ面内の温度分布を 低減することができる。

 ところで、本実施形態のセパレータ108で特 すべきは、発電セル105a~105dによって囲まれ 部位に対応する各セパレータ108の中央部分 厚さ方向に貫通する排ガス排出用のガス排 孔131が形成されている点である。このガス 出孔131は、セパレータ本体108aの中央部分の 空気流路112を囲むように形成された三角形や 台形で成る計3個の貫通孔である。これらの ス排出孔131を有するセパレータ108が多数積 されることにより、図9に示すように、スタ クの中央部に縦方向に貫通する排ガス流路1 30が形成される。
 そして、本実施形態では、スタック上端部 位置するセパレータ108のガス排出孔131の大 さ(上記した3個の貫通孔のトータル面積)は 下方に位置する他のセパレータ108のガス排 孔131の大きさより小さく設定されている。

 また、図9に示すように、スタックの上下両 端に絶縁性のマニホールドリング115、116を介 在してステンレス製の上端板109aと下端板109b 配設されており、これら上下端板109a、109b より、スタックが積層方向に締結されてい 。
 上端板109aの中央部には、丸孔119が設けられ 、この丸孔119を通してスタック上端のセパレ ータ108の上面に円筒形の錘120が載置されてい る。この錘120による荷重でスタックが下方に 押圧されることにより、各構成要素(発電セ 105、集電体106、107、セパレータ108)がそれぞ 相互に密着して一体的に固定されている。
 この錘120の底部には、脚120aが設けられ、錘 120の下面とセパレータ108の上面との間に空間 部が生じるようになっている。従って、上記 排ガス流路130内を上方に向かう排ガスは、ス タック上端(排ガス流路130の上端部)において パレータ108のガス排出孔131より上記空間部 放出され、この空間部を流通して燃料電池 タック101の側方より外に排出される。

 また、スタックの対向縁部に管状の燃料 スマニホールド117と空気マニホールド118が 方向に延設されている。これらマニホール 117、118は、各セパレータ108の燃料導入口113 および空気導入口114同士を上下で連結させ ために各セパレータ108間に介装されたマニ ールドリング115、116により構成されており 燃料ガスマニホールド117は、スタック内に いて各セパレータ108の燃料導入口113を介し 燃料ガス流路111と連通し、空気マニホール 118は、各セパレータ108の空気導入口114を介 て空気流路112と連通している。

 また、図9、図10に示すように、下端板109bの 一側部であって、上記空気マニホールド118の 下端近傍には、外部空気が導入される空気配 管125が設けられていると共に、下端板109bの 側部であって、燃料ガスマニホールド117の 端近傍には、外部燃料ガスが導入される燃 ガス配管124が設けられている。空気配管125 、下端板109b内に形成された空気通路123を介 て空気マニホールド118の下端部で連通し、 料ガス配管124は、下端板109b内に形成された 燃料通路122を介して燃料ガスマニホールド117 の下端部で連通している。
 また、下端板109bの中央部には、上記排ガス 流路130内を下方に流通する排ガスをスタック 外に排出するためのガス排出口121が設けられ ている。下端板109bの下面には、脚部126が設 られ、図示しない設置面との間にガス排出 121から排出される排ガスが流通可能な空間 確保されている。

 上記構成の燃料電池スタック101では、運 時、空気マニホールド118と燃料ガスマニホ ルド117に空気配管125と燃料ガス配管124を通 て外部より供給される空気と燃料ガスが流 し、これら反応用ガスが各セパレータ108の 入口113、114より燃料ガス流路111および空気 路112を通して末端の燃料吐出口111aおよび空 気吐出口112aより燃料極集電体106側と空気極 電体107側に吐出され、これら集電体の内部 拡散・移動して各発電セル105の各電極面(燃 極層103、空気極層104)に誘導されることによ り、発電反応が生じる。

 この発電反応によって、各発電セル105にジ ール熱が発生し、その熱エネルギーが各セ レータ108を介して外部に放出される。また 発電セル105は外周部にガス漏れ防止シール 設けないシールレス構造であり、発電反応 消費されなかった残余のガス(排ガス)を各 電セル105の外周部から放出するようなって る。
 従って、複数の発電セル105a~105dで囲まれた パレータ108の中央部分においては、各発電 ル105a~105dの側部より放出された排ガスが各 パレータ108のガス排出孔131を通して排ガス 路130内に流入し、排ガス流路130内を縦方向 流通する。
 排ガス流路130内を上方に流れる排ガスにつ ては、排ガス流路130の上端部において、最 段のセパレータ108のガス排出孔131より放出 れ、セパレータ108の上面と錘120の下面との の空間部を流通してスタック外に排出され 。他方、下方に流れる排ガスは、排ガス流 130の下端部において、最下段のセパレータ1 08のガス排出孔131より放出され、主として下 板109bのガス排出口121を通してスタック外に 排出される。

 以上、本実施形態では、4個の発電セル105 a~105dに囲まれた部位に対応するセパレータ108 の中央部分にガス排出孔131を設けたので、発 電セル105a~105dの外周部より放出される排ガス をセパレータ108の中央付近に滞留させること なく、このガス排出孔131を通して排ガス流路 130内を縦方向に流通させることができる。

 これにより、各発電セル105に外部からの 応用ガスがスムーズに供給されるようにな 、各発電セル105a~105dの発電性能を向上でき と共に、比較的温度の高いスタック中段部 おいては、上記ガス排出孔131への排ガスの れにより、発電セル105a~105dの熱発散性が向 してスタック中段部の温度を低下でき、発 セル105a~105dやセパレータ108等、各構成部品 対する熱的ストレスが緩和されるため、燃 電池スタック101の耐久性や信頼性を向上で ると共に、温度の低いスタック端部におい は、上下に流通する排ガスの熱により加熱 れてスタック温度が上昇し、スタック積層 向の温度分布を低減する(均熱化)ことがで る。

 特に、スタック上端部に位置するセパレー 108のガス排出孔131の大きさを他のガス排出 131より小さくしたので、排ガス流路130を上 に抜ける排ガスの流量が減少し、これによ 、排ガス流路130に下向きの排ガスの流れを じさせることができる。
 この下方へ流れる排ガスの熱により、図13 C2に示すように、最も温度の低いスタック下 端部が加熱され、その部位の温度を上昇させ ることが可能となり、その結果、スタック下 端部の発電セル105a~105dの発電性能が向上し、 燃料電池スタック101の総合的な発電性能を向 上できる。

 また、下端板109bに、排ガス流路130の下端 部より放出される排ガスをスタック外に排出 するガス排出口121を設けたので、排ガス流路 130内における下方への排ガスの流れがスムー ズになり、スタック下端部の温度を効率良く 上昇させることができる。

 この場合、図9に示すように、スタック上端 部に位置するセパレータ108のガス排出孔131を 覆う板状の蓋機構129を移動可能に設けてガス 排出孔131の開度を調整可能にすることも可能 である。
 この蓋機構129により、ガス排出孔131の開度 スタック積層方向の温度分布の状態(すなわ ち、スタックの積層段数や電気的出力密度) 応じて調整し、排ガス流路130内における上 へのガス流通量と下方へのガス流通量を適 調整することにより、スタック両端部の温 をバランス良く調整することができ、スタ ク積層方向の温度分布をより確実に低減す ことができるようになる。

 また、本実施形態では、縦設置型の燃料 池スタック101について説明したが、本発明 、スタックの積層方向を横にした横設置型 燃料電池スタックにも勿論適用可能であり この場合は、スタックの内部に発電反応後 排ガスが横方向に流通する排ガス流路が形 される。本構成の燃料電池スタックにおい も、比較的温度の高くなるスタック中段部 おいては、発電セルの放熱性が向上してス ック中段部の温度を低下できると共に、温 が低くなるスタック端部においては、横方 に流通する排ガスの熱によりスタック端部 温度が上昇し、スタック積層方向の温度分 を低減することができる。

 本発明の第1の態様によれば、固体酸化物形 燃料電池の構造を簡素化することができる上 に、発電セルの破損を防止することができる 。
 本発明の第2の態様によれば、スタック積層 方向の温度を均一化することができ、これに よりスタック端部に位置する発電セルの発電 性能を向上させることができる。




 
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