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Patent Searching and Data


Title:
SPIN POLARIZED ELECTRON SOURCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119074
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a spin polarized electron source having high spin polarization degree and external quantum efficiency while providing flexibility in selecting the materials of a substrate, a buffer layer, and a distorted superlattice layer. The spin polarized electron source comprises a substrate, a buffer layer, and a distorted superlattice layer formed on the buffer layer. In the spin polarized electron source, an intermediate layer is interposed between the substrate and the buffer layer, the intermediate layer being made of a crystal having a lattice constant larger than the lattice constant of a crystal constituting the buffer layer. This causes cracks in the direction perpendicular to the substrate to occur in the buffer layer due to a tensile distortion, so that the buffer layer becomes mosaic-like. As a result, since a glide dislocation in an oblique direction is not introduced into the distorted superlattice layer grown on the buffer layer, the crystalline property of the distorted superlattice layer is improved. Consequently, the spin polarization degree of excited electrons and the external quantum efficiency of polarized electrons are improved.

Inventors:
UJIHARA, Toru (1 Furo-cho, Chikusa-ku,Nagoya-sh, Aichi ., 464-8601, JP)
宇治原徹 (〒01 愛知県名古屋市千種区不老町1番国立大学法人名古屋大学内 Aichi, 46486, JP)
JIN, Xiuguang (1 Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya-sh, Aichi 01, 46486, JP)
金秀光 (〒01 愛知県名古屋市千種区不老町1番国立大学法人名古屋大学内 Aichi, 46486, JP)
TAKEDA, Yoshikazu (1 Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya-sh, Aichi 01, 46486, JP)
竹田美和 (〒01 愛知県名古屋市千種区不老町1番国立大学法人名古屋大学内 Aichi, 46486, JP)
NAKANISHI, Tsutomu (1 Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya-sh, Aichi 01, 46486, JP)
Application Number:
JP2009/001304
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 24, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION NAGOYA UNIVERSITY (1 Furo-cho, Chikusa-ku Nagoya-sh, Aichi 01, 46486, JP)
国立大学法人名古屋大学 (〒01 愛知県名古屋市千種区不老町1番 Aichi, 46486, JP)
UJIHARA, Toru (1 Furo-cho, Chikusa-ku,Nagoya-sh, Aichi ., 464-8601, JP)
宇治原徹 (〒01 愛知県名古屋市千種区不老町1番国立大学法人名古屋大学内 Aichi, 46486, JP)
JIN, Xiuguang (1 Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya-sh, Aichi 01, 46486, JP)
金秀光 (〒01 愛知県名古屋市千種区不老町1番国立大学法人名古屋大学内 Aichi, 46486, JP)
TAKEDA, Yoshikazu (1 Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya-sh, Aichi 01, 46486, JP)
竹田美和 (〒01 愛知県名古屋市千種区不老町1番国立大学法人名古屋大学内 Aichi, 46486, JP)
International Classes:
H01J37/073; G21K1/00; H01J1/34
Attorney, Agent or Firm:
FUJITANI, Osamu (Marunouchi KS Building. 16F, 18-25 Marunouchi 2-chome,Naka-ku, Nagoya-sh, Aichi ., 460-0002, JP)
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Claims:
 基板と、バッファ層と、バッファ層上に形成された歪み超格子層とを有するスピン偏極電子発生素子において、
 前記基板と前記バッファ層との間に、前記バッファ層を構成する結晶の格子定数よりも大きな格子定数を有する結晶から成る中間層を介在させたことを特徴とするスピン偏極電子発生素子。
 前記中間層の厚さは、臨界膜厚以上の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記バッファ層には、引張歪みにより基板に垂直な方向へのクラックが発生していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記中間層は、前記バッファ層に係る引張歪みが緩和される時に、前記バッファ層から歪みを受けない厚さであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記スピン偏極電子発生素子は前記基板の裏面から励起光を前記歪み超格子層に入射させるものであり、前記中間層の厚さは、前記励起光を50% ~100%透過させる厚さであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記基板は、GaP から成り、前記バッファ層は、GaAs x P 1-x  (0≦x≦1) 、Ga y In 1-y P (0≦y≦1)又は Ga z In 1-z As(0≦z≦1)から成り、前記中間層は、前記バッファ層の格子定数よりも、格子定数が大きい、一般式、AlGaInAsPで表される2元、3元、4元、5元の化合物から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記中間層は、GaAsから成ることを特徴とする請求項6に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記基板は、GaAsから成り、前記バッファ層は、GaAs x P 1-x  (0≦x≦1) 、Ga y In 1-y P (0≦y≦1)又は Ga z In 1-z As(0≦z≦1)、前記中間層は、前記バッファ層の格子定数よりも、格子定数が大きい、一般式、AlGaInAsPで表される2元、3元、4元、5元の化合物から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記中間層は、InAsから成ることを特徴とする請求項8に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記基板は、GaN から成り、前記バッファ層は、Al x Ga 1-x N(0≦x≦1)又はGa y In 1-y N(0≦y≦1)から成り、前記中間層は、前記バッファ層の格子定数よりも、格子定数が大きい、一般式、AlGaInNで表される2元、3元、4元の化合物から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のスピン偏極電子発生素子。
 前記中間層は、InN から成ることを特徴とする請求項10に記載のスピン偏極電子発生素子。
 請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載のスピン偏極電子発生素子を用いたスピン偏極電子発生装置。
 前記スピン偏極電子発生装置は、前記スピン偏極電子発生素子をスピン偏極電子源とした電子顕微鏡であることを特徴とする請求項12に記載のスピン偏極電子発生装置。
Description:
スピン偏極電子発生素子

 本発明は、歪み超格子層を用いたスピン 極電子発生素子に関する。特に、歪み超格 層の結晶性を改善し、スピン偏極度と外部 子効率の向上を実現するための構造に関す 。

 スピン偏極電子源は、磁区構造を観測す スピン低速電子顕微鏡や、陽子とスピン偏 電子とを衝突させて素粒子を生成する場合 素粒子研究に用いられることが期待されて る。これらの分野では、特に、高偏極度と 外部量子効率が必要である。現在、スピン 極電子源には、主に、スピン偏極電子発生 子である半導体フォトカソードが用いられ いる。半導体フォトカソードは、光を照射 ることで電子を励起し、その電子を表面か 取り出すことで、電子ビームを得る素子で る。スピン偏極電子源として用いる場合は 励起光に円偏光を用いることで、励起され 電子のスピンに偏りが生じ、スピン偏極電 源として機能する。

 GaAs系半導体フォトカソードにおけるスピ ン偏極の原理を説明する。半導体フォトカソ ードに照射された円偏光により、重い正孔バ ンドと軽い正孔バンドから、伝導帯へ電子が 励起される。そのとき、それぞれのバンドか らは、異なるスピンを持った電子が3 対1 の 割合で励起される。その結果、カソードの外 部に出力される電子ビームのスピンに偏りが 生じ、スピン偏極電子ビームが得られる。

 歪みGaAs半導体の単層を用いたスピン偏極 電子発生素子として、下記特許文献1、2、3の 技術が知られている。その技術は、GaAs半導 層に歪みを与えることでスピン偏極度を向 させるものである。GaAs系半導体では、価電 帯の重い正孔バンドと軽い正孔バンドは、 点で縮退しているため、両方のバンドから 時に電子が励起されてしまう。もし、この 退を解いて2つのバンドを分離することがで れば、片方のスピン電子しか励起されず、 理的には100% のスピン偏極度を達成するこ ができる。バンドを分離する方法として、 導体に歪みを与える方法がある。これらの 許文献1~3では、GaAs基板上に、それと格子定 数の異なるGaAsP 結晶活性層をエピタキシャ 成長させることで格子不整合によりGaAsP 層 歪みを生じさせ、それによるGaAsP の価電子 帯のバンド分離により偏極度50%以上を達成し ている。さらに、GaAs基板に直接ではなく、 性層の下に、活性層とは異なる組成をもつGa AsP を挿入することで、活性層の結晶性の劣 を抑制することが提案されている。

 また、下記特許文献4では、歪み超格子構 造を用いて、スピン偏極度を向上させる技術 が開示されている。超格子構造とは、一層が 1ML ~数nmの厚さの、2種類以上の異なるバンド ギャップを持つ半導体を繰り返し積層したも のである。電子の場合は、伝導帯の底のエネ ルギーが低い層、また正孔の場合は、価電子 帯の頂上のエネルギーが高い層は、井戸層と よばれ、それを挟む層は障壁層と呼ばれてい る。電子や正孔はこの井戸層に閉じ込められ ることで、量子準位が形成される。また、そ の準位は、重い正孔と軽い正孔では異なるエ ネルギー領域に形成されるため、これによっ てもバンドの分離が生じる。

 さらに、超格子層に歪みを付与したもの 、歪み超格子構造といい、歪みと量子閉じ めによる効果を相加的に利用することで、 なるバンド分離が実現される。特許文献4で はGaAs基板上に形成したGaAs-GaAsP歪み超格子構 によるスピン偏極電子源に関するもので、9 0%以上の偏極度が実現されている。

 また、下記特許文献5に開示された技術は 、高輝度偏極電子線を実現する電子源に関す る。輝度向上のためには、励起光を絞り、電 子線発生領域を小さくすることが有効である 。本発明では、励起光をフォトカソードの裏 面から照射することで、表面から放出される スピン偏極電子線と干渉せずに、レンズで励 起光を集光する構造を提案している。ここで 、半導体フォトカソードに関しては、励起光 を透過するGaP 基板上のGaAs-GaAsP歪み超格子構 造を新たに発明している。しかし、このまま の構造では高い偏極度は得られない。

特許第3189444

特開平6-28970

特開平6-231676

特開2000-90817

特開2007-258119

 上記特許文献4の技術は、歪み超格子層を 用いることで、価電子帯の縮退を解き、重い 正孔バンドと軽い正孔バンドとにスプリット させて、吸収波長が長波長側となる重い正孔 バンドと伝導帯との間の電子の遷移を、片方 向円偏光を用いて実現するものである。この 技術は、原理的には、理想状態で100%のスピ 偏極度を得ることができる。

 図1に歪み超格子半導体フォトカソードの 構成を示す。歪み超格子半導体フォトカソー ドの偏極度は、主に、軽い正孔バンドと重い 正孔バンドとの分離の程度によって決まる。 これらのバンド構造は、超格子構造4の井戸 401と障壁層402の組成と厚さと、それぞれの に生じる歪みに依存し、クローニッヒペニ モデルと、モデルソリッド理論を用いるこ で理論的に計算可能である。このとき、そ ぞれの層401、402に生じる歪みは、それらの に存在するバッファ層3の組成によって決ま 。図2に、一例として、GaAsP バッファ層上 形成したGaAsP/GaAs超格子構造のミニバンド構 を示す。この構造の場合、重い正孔バンド 軽い正孔バンドの分離幅が107 meV であるこ とがわかる。この値が大きいほど、理論的に は偏極度は大きくなり、このように設計した 構造において、重い正孔バンドと伝導帯との 間で電子の遷移が行われる波長の円偏光を入 射させれば、理論的には、100 %のスピン偏極 度が得られる。

 しかしながら、実際には偏極度は100%に達 しない。本発明者らは、この原因を追求すべ く、鋭意研究を重ねてきた。その結果、次の ことが、原因であることを見出した。本構造 においては結晶中に多くの転位が導入され、 それらによるスピン反転散乱が生じ、それに より偏極度は低下してしまう。また、歪み超 格子構造における転位の導入は生成された電 子を捕獲するため、量子効率も低下させてい る。

 そして、転位が導入される原因には、主 二つあることを発見した。一つの原因は、 み超格子構造内に蓄積される歪み自体によ ものである。これに関しては、本発明者ら 、未公開の出願特願2006-60673で提案している 。井戸層と障壁層で逆向きの歪みをかけるこ とで、超格子構造全体としての歪みの蓄積を 抑制する歪み補償構造の採用により、ある程 度、転位の発生を改善することが可能である 。

 もう一つの原因は、バッファ層と基板と 間の格子不整合によるものである。基板結 としては、現在、入手可能なものとして、G aAs、GaP 、InP 、InAs、GaN 、AlN 、Si、Ge、SiC  、サファイアなどが想定される。バッファ層 の格子定数は、歪み超格子層に印加させる歪 み量に応じて、前述の理論計算による設計に より決定される。また、基板は結晶成長の容 易性から、歪み超格子層と比較的組成が共通 し、格子定数の近いものを選ぶ必要がある。 また、スピン偏極電子発生素子を基板の裏面 から励起光を入射させる励起光透過型にする 場合は、基板において光吸収が起こらないよ うに、バンドギャップを考慮して、基板の材 料を決定する必要がある。このように決定し たバッファ層と基板の格子定数は、ほとんど の場合、一致しない。そのため、バッファ層 には必ず格子不整合に起因する転位が発生す ることになる。また、バッファ層の転位は、 その上にエピタキシャル成長する超格子構造 へも伝播し、超格子構造の結晶性も劣化させ る。また、これらの転位は電子を捕獲するた め、量子効率も低下させる。

 本発明は、上記の課題を解決するために されたものであり、その目的は、基板、バ ファ層、歪み超格子層の材料選択の自由度 持たせた状態で、スピン偏極度と外部量子 率の高いスピン偏極電子発生素子を実現す ことである。

 第1の発明は、基板と、バッファ層と、バ ッファ層上に形成された歪み超格子層とを有 するスピン偏極電子発生素子において、基板 とバッファ層との間に、バッファ層を構成す る結晶の格子定数よりも大きな格子定数を有 する結晶から成る中間層を介在させたことを 特徴とするスピン偏極電子発生素子である。

 すなわち、本発明の要旨は、歪み超格子層 価電子帯の縮退を解き、2つのバンドを効果 的に分離させるために超格子層に歪みを付与 するためのバッファ層の下に、そのバッファ 層の結晶の格子定数よりも大きな格子定数を 有する結晶から成る中間層を設けたことであ る。この中間層により、基板の結晶材料に関 係なく、バッファ層に対して、引張歪みを付 与するようにしたことが特徴である。したが って、本発明では、バッファ層に対して引張 歪みが付与できる、バッファ層の格子定数よ りも格子定数の大きな材料を中間層に用いれ ば、十分であるので、その材料の種類には、 限定されるものではない。また、バッファ層 は、歪み超格子層に対して、圧縮歪みを印加 する格子定数の組成であることが望ましい。 この場合には、重い正孔バンドは、正孔のエ ネルギーが低い方に、軽い正孔バンドを正孔 のエネルギーが高い方に分離でき、2つの価 子帯を、γ点の付近で交差させることなく、 分離できる。したがって、歪み超格子に励起 されたスピン偏極度を高くすることができる 。
このためには、バッファ層は、歪み超格子層 の少なくとも井戸層の格子定数よりも、小さ い格子定数を有する結晶を用いる。もちろん 、バッファ層は、歪み超格子層の障壁層の格 子定数よりも小さい格子定数の結晶であって も良い。

 また、第2の発明は、第1の発明において 中間層の厚さは、臨界膜厚以上の厚さを有 ることを特徴とする。これは、バッファ層 、歪み超格子層に対して、所定の歪みを印 し得るためには、中間層は、臨界膜厚以上 厚さに構成されており、十分に歪みが緩和 れていることが望ましい。これにより、歪 超格子層は、その下の層であるバッファ層 らのみ所定の歪みを受けることになるため 歪み超格子層の価電子帯を、設計通りに、 果的に分離することが可能となる。

 また、第3の発明は、第1又は第2の発明に いて、バッファ層には、引張歪みにより基 に垂直な方向へのクラックが発生している とを特徴とする。このクラックによりバッ ァ層は、モザイク状となる。本発明者らは 引張歪みが、バッファ層に印加されると、 ッファ層には、その歪みを緩和させるため 垂直方向に、部分的に、低密度で、クラッ が発生することを見出した。この結果、バ ファ層には、斜め方向の滑り転位の発生が く、バッファ層上の歪み超格子層には、こ 斜め方向の転位が継承されないために、歪 超格子層の結晶性が良くなることを見出し 。すなわち、バッファ層に圧縮歪みが印加 れると、バッファ層には、高密度の斜め方 の滑り転位が発生し、この転位面が、バッ ァ層上にエピタキシャル成長する歪み超格 層にも伝播する結果、歪み超格子層に大き 密度の転位が発生していることを見出した そして、歪み超格子層における転位密度を 減させることにより、スピン偏極度、偏極 た電子の外部量子効率を向上させることを 出した。

 また、第4の発明は、第1乃至第3の何れか1 の発明において、中間層は、バッファ層に係 る引張歪みが緩和される時に、バッファ層か ら歪みを受けない厚さであることを特徴とす る。バッファ層から中間層に歪みが印加され ると、バッファ層から歪み超格子層へ、所定 の歪みが印加され難くなるので、中間層は、 この条件を満たすような厚さであることが望 ましい。

 また、第5の発明は、第1乃至第4の何れか1 の発明において、スピン偏極電子発生素子は 基板の裏面から励起光を歪み超格子層に入射 させるものであり、中間層の厚さは、励起光 を50% ~100% 透過させる厚さであることを特徴 とする。歪み超格子層に、所定の設計通りの 歪みが印加されるためには、中間層の厚さは 厚い程、望ましいことになる。そこで、基板 の裏面から励起光を入射させた場合には、そ の励起光が減衰せずに、歪み超格子層に入射 することも必要であるので、中間層での励起 光の透過率は、50% ~100% とする厚さが望まし い。

 また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何 か1つの発明において、基板は、GaP から成 、バッファ層は、GaAs x P 1-x  (0≦x≦1) 、Ga y In 1-y P (0≦y≦1)又は Ga z In 1-z As(0≦z≦1)から成り、中間層は、バッファ層 格子定数よりも、格子定数が大きい、一般 、AlGaInAsPで表される2元、3元、4元、5元の化 物から成ることを特徴とする。この構成の 合に、歪み超格子層は、Ga s In 1-s As(0≦s≦1)とGaAs t P 1-t  (0 ≦t≦1) との超格子、Ga s In 1-s As(0≦s≦1)とGa w In 1-w P(0≦w≦1)との超格子、Ga w In 1-w P(0≦w≦1)とGaAs t P 1-t  (0 ≦t≦1))との超格子、組成比の異なるGa s In 1-s As(0≦s≦1)による超格子、組成比の異なるGaAs t P 1-t   (0 ≦t≦1)による超格子、または、Ga w In 1-w P(0≦w≦1)が望ましい。これらの組成にAlが含 れていても良い。もちろん、一般式AlGaInAsP 表される2元、3元、4元、5元の組成のうち、 バンドギャップの小さい組成と、大きい組成 との組合せで歪み超格子層を形成しても良い 。もちろん、GaP以外の基板を用いる場合であ っても、中間層、バッファ層、歪み超格子層 の材料は、上記した材料を用いることかでき る。バッファ層としては、中間層よりも格子 定数が小さく、且つ、歪み超格子層に対して 圧縮歪みを付与するように、歪み超格子層の 井戸層よりも格子定数が小さいものが採用さ れる。また、バッファ層は、歪み超格子層の 障壁層よりも格子定数が小さくとも良い。
 また、第7の発明は、第6の発明において、 間層は、GaAsから成ることを特徴とする。
この構成の場合に、歪み超格子層は、第6の 明で記載した組合せの他、特に、GaAsとGaAs w P 1-w  (0≦w<1) との超格子を用いることが望まし 。なお、第6又は第7の発明において、バッ ァ層における組成は、歪み超格子層のバリ 層の組成と同一でも異なっていても良い。 の構成の発明の場合には、基板の裏面から 起光を入射させるスピン偏極電子発生素子 することができる。

 また、第8の発明は、第1乃至第5の発明の何 か1つの発明において、基板は、GaAsから成 、バッファ層は、GaAs x P 1-x  (0≦x≦1) 、Ga y In 1-y P (0≦y≦1)又は Ga z In 1-z As(0≦z≦1)から成り、中間層は、バッファ層 格子定数よりも、格子定数が大きい、一般 、AlGaInAsPで表される2元、3元、4元、5元の化 物から成ることを特徴とする。この構成の 合に、歪み超格子層は、Ga s In 1-s As(0≦s≦1)とGaAs t P 1-t  (0 ≦t≦1) との超格子、Ga s In 1-s As(0≦s≦1)とGa w In 1-w P(0≦w≦1)との超格子、Ga w In 1-w P(0≦w≦1)とGaAs t P 1-t  (0≦t≦1)) との超格子、組成比の異なるGa s In 1-s As(0≦s≦1)による超格子、組成比の異なるGaAs t P 1-t  (0≦t≦1)による超格子、または、Ga w In 1-w P(0≦w≦1)が望ましい。これらの組成にAlが含 れていても良い。もちろん、一般式AlGaInAsP 表される2元、3元、4元、5元の組成のうち、 バンドギャップの小さい組成と、大きい組成 との組合せで歪み超格子層を形成しても良い 。もちろん、GaAs以外の基板を用いる場合で っても、中間層、バッファ層、歪み超格子 の材料は、上記した材料を用いることかで る。バッファ層としては、中間層よりも格 定数が小さく、且つ、歪み超格子層に対し 圧縮歪みを付与するように、歪み超格子層 井戸層よりも格子定数が小さいものが採用 れる。バッファ層は、障壁層よりも格子定 が小さくとも良い。
 また、第9の発明は、第8の発明において、 間層は、InAsから成ることを特徴とする。こ 構成の場合に、歪み超格子層は、第8の発明 で記載した組合せの他、特に、Ga z In 1-z As(0≦z≦1)とGa y In 1-y P (0≦y ≦1)との超格子とすることが望まし 。この構造の発明の場合には、大出力の半 体レーザが得られ易い長波長、たとえば、90 0nm の励起光を、基板の裏面から入射させる のスピン偏極電子発生素子とすることがで る。

 また、第10の発明は、第1乃至第5の発明の何 れか1つの発明において、基板は、GaN から成 り、バッファ層は、Al x Ga 1-x N(0≦x≦1) 又はGa y In 1-y N(0≦y≦1)から成り、中間層は、バッファ層の 格子定数よりも、格子定数が大きい、一般式 、AlGaInNで表される2元、3元、4元の化合物か 成ることを特徴とする。この構成の場合に 、歪み超格子層は、Ga s In 1-s N (0≦s≦1)とAl t Ga 1-t N(0≦t≦1)との超格子とすることが望ましい。 また、組成比の異なるGa s In 1-s N  (0 ≦s≦1)による超格子、又は、組成比の 異なるAl t Ga 1-t N(0≦t≦1)による超格子が望ましい。もちろん 、一般式AlGaInNで表される2元、3元、4元、5元 組成のうち、バンドギャップの小さい組成 、大きい組成との組合せで歪み超格子層を 成しても良い。もちろん、GaN以外の基板を いる場合であっても、中間層、バッファ層 歪み超格子層の材料は、上記した材料を用 ることかできる。バッファ層としては、中 層よりも格子定数が小さく、且つ、歪み超 子層に対して圧縮歪みを付与するように、 み超格子層の井戸層よりも格子定数が小さ ものが採用される。バッファ層は、障壁層 りも格子定数が小さくとも良い。
  また、第11の発明は、第10の発明において 中間層は、InN から成ることを特徴とする この構成の場合に、歪み超格子層は、第10の 発明で記載した組合せの他、特に、Ga z In 1-z N (0≦z<1)とGaN との超格子とすることが望 しい。この構成の場合には、基板の裏面か 励起光を入射させることが可能である。ま 、バンドギャップが大きいことから、外部 のスピン偏極電子の取り出し効率が向上し 外部量子効率を大きくすることができる。

 本発明は、バッファ層の結晶の格子定数 りも、格子定数の大きい結晶の中間層を、 ッファ層の下に設けたものであるので、バ ファ層に引張歪みを印加でき、バッファ層 の歪み超格子層の転位密度を低減できる。 の結果、励起された電子の転位によるスピ 反転散乱と、転位による電子の捕獲が減少 るので、歪み超格子層の伝導帯に励起され 電子のスピン偏極度を大きくでき、また、 部量子効率を向上させることができる。す わち、バッファ層と基板の材料の選択に係 らず、バッファ層には引張歪みを印加する とができ、歪み超格子層の結晶性を改善し 、高偏極度、高量子効率の実現が可能とな 。

バッファ層と歪み超格子層を用いたス ン偏極電子発生素子の構造図。 バッファ層と歪み超格子層におけるバ ド図。 (a)は、バッファ層に引張歪みが印加さ た場合の結晶の断面図、(b)は、バッファ層 圧縮歪みが印加された場合の結晶の断面図 本発明の具体的な実施例1に係るスピン 偏極電子発生素子の構造図。 (a)は、実施例1の構成において、中間層 を用いてバッファ層を成長させた後のバッフ ァ層のAFM 像、 (b)は、実施例1の構成におい 、中間層を用いずに、バッファ層を成長さ た後のバッファ層のAFM 像。 実施例1のスピン偏極電子発生素子のス ピン偏極度と波長との関係、及び、中間層を 用いない場合のスピン偏極電子発生素子のス ピン偏極度と波長との関係を測定して得た特 性図。 本発明の具体的な実施例2に係るスピン 偏極電子発生素子の構造図。 本発明の具体的な実施例3に係るスピン 偏極電子発生素子の構造図。 本発明のスピン偏極電子発生素子を用 たスピン偏極電子発生装置の構成図。 スピン偏極電子発生装置のスピン偏極 電子発生素子の設置部の構成図。

符号の説明

1,10,11,12…基板
20,21,22…中間層
3,30,31,32…バッファ層
4,40,41,42…歪み超格子層
50,51,52…キャップ層

 本発明は、超格子層において偏極度や量 効率の低下の原因となる転位の密度を低下 せるための構造に関する。図3に示すように 、バッファ層3の格子定数が基板1の格子定数 りも大きい場合、バッファ層3は、面内2軸 縮歪みをうける。バッファ層3の厚さが増加 、臨界膜厚をこえると、その歪みを緩和す ために転位が導入される。図3(b)に示すよう に、バッファ層3 に圧縮歪みが印加される場 合は、結晶中に細かく、高密度で転位が分布 することになる。

 一方、バッファ層3の格子定数が基板1の 子定数よりも小さい場合には、バッファ層3 面内2軸引張歪みを受ける。バッファ層3の さが臨界膜厚を越えると、やはり転位が導 されるが、それと同時に基板面に対して垂 方向に伸びるクラック5が発生する。その結 、図3(a)に示すようなクラック5に区切られ モザイク構造が形成される。このクラック5 発生密度は、図3(b)に示す圧縮歪みの場合の 転位密度に比べると遥かに小さい。引張歪み の場合、クラック5で囲まれたモザイク構造 部には、歪みがクラックで開放されるので 転位密度が低い状態が維持される。したが て、励起された電子が転位に散乱される確 が減少し、偏極度、量子効率が増加する。

 また、超格子層で励起された電子のうち 基板に垂直方向に進む電子が真空中に取り されるが、滑り転位の場合は、基板垂直方 に進む電子の進行を妨げ、スピン反転散乱 要因となるが、クラックは電子の進行方向 平行であるため、電子はクラックによって 散乱されず、スピン反転散乱の要因になら い。

 上述したように、超格子層3に歪みを与え て価電子帯を有効にスプリットさせるために 設計したバッファ層3の格子定数が、基板1の 子定数より、必ずしも小さくなるわけでは い。たとえば、基板1に励起光を透過させる ためには、バンドギャップの大きい基板を選 ぶ必要がある。一般に、バンドギャップが大 きい材料は格子定数が小さい。励起光を透過 させる目的のために、GaP 基板を用いた場合 は、GaP 基板上にバッファ層を形成して、 のバッファ層上に、GaAsP/GaAs超格子層を形成 た場合、バッファ層の格子定数が基板の格 定数よりも大きくなる。この構造では、バ ファ層は、圧縮歪みが緩和されて、高い密 の滑り転位が発生し、その転位が歪み超格 層に伝播して、歪み超格子層の転位密度が くなり、スピン偏極度や量子効率が低下す 。

 バッファ層の組成は理論計算による設計 より決定され、また基板は入手可能なもの あり、かつ、目的に応じて制限されてしま 。このため、基板とバッファ層との間で、 子定数の大小関係を任意に選ぶことは不可 である。本発明では、基板とバッファ層を のように選択したとしても、バッファ層に 張歪みを印加するようにするために、基板 バッファ層の間に、バッファ層よりも格子 数の大きい中間層を導入する。本発明は、 れにより、どのような歪み超格子層を形成 る場合であっても、バッファ層に、基板に 直な方向のクラックを発生させて、モザイ 構造にして、歪み超格子層の結晶性を改善 て、励起される電子の高スピン偏極度、高 子効率を実現するものである。

 最も望ましい場合には、中間層には、主に の4 つの要件が要求される。ただし、本発 においては、1.項の要件が必須であって、 の要件は、望ましくは付加すべき要件であ 。
1.  バッファ層よりも格子定数が大きい。
2.  中間層の歪みが十分緩和されていること 。(中間層は、臨界膜厚以上の厚さを有する と。)
3.  バッファ層の引張歪みが緩和されるとき に、中間層はほとんど歪まないこと。(バッ ァ層によって、中間層が歪まないほどに、 間層は十分な厚さを有すること。)
4.  透過型のスピン偏極電子発生素子の場合 、歪み超格子層での電子励起効率を低下させ ないために、中間層は、入射する励起光の50~ 100%が透過する厚さ以下であること。

 中間層には、バッファ層よりも格子定数の きい材料・組成を選択する。中間層は、格 定数が異なる基板上にエピタキシャルに成 しているため、中間層には歪みが生じる。 間層としての機能を有効に働かせるために 、膜厚を大きくし、その歪みが十分緩和す 必要がある。歪みが緩和される中間層の膜 h は次式で求められる。

 また、中間層は、バッファ層に転位が導入 れ、垂直方向のクラックによりモザイク構 が形成されるまで、ほとんど歪まない厚さ あることが望ましい。このような厚さh i ' は、次の式で求めることができる。ここで は、バッファ層の歪みに対する中間層の歪み の割合をx%とした。

ここで、
 ただし、
  G b :  バッファ層のshear modulus
  G i :  中間層のshear modulus
 ν b :  バッファ層のポアソン比
 ν i :  中間層のポアソン比
  a b :  バッファ層の格子定数
  a i :  中間層の格子定数
  a s :  基板の格子定数
  h b :  バッファ層にモザイク構造が形成される 厚
  b :  中間層に導入される転位のバーガー ズベクトル
 θ:  転位線とバーガーズベクトルのなす角
 λ:  中間層と基板界面の法線方向とバーガ ーズベクトルのなす角
  f :  基板と中間層の格子不整合度
である。
 x は、5 程度よりも小さいほうが望ましい
 中間層の膜厚は、上述のh i とh i ' のいずれの値よりも大きい必要がある。

 さらに、半導体フォトカソードを透過型 子源として用いる場合は、励起光が基板と 間層を透過する必要がある。しかし、一般 には、中間層の格子定数は超格子層の格子 数よりも大きいため、中間層のバンドギャ プは、超格子層のバンドギャップよりも小 くなる。このため、中間層は、励起光を100% 透過できない場合が多い。その際には、励起 光が中間層を、入射強度の50%以上透過できる ようにすることが望ましい。そのためには、 中間層の透過率は次式を満たす必要がある。

 α:  励起光波長に対する中間層の透過率

 透過率αは、中間層の組成に依存するの 、中間層の組成は、この透過率の条件を満 すものであることが望ましい。さらに(6)式 おいて、1に近いほど(中間層での光吸収がな いほど)最適な構造となる。

 バッファ層にモザイク構造が形成されるバ ファ層の臨界膜厚h b は、理論的には次式で求められる。
 ただし、
 b b   :  バッファ層に導入される転位のバーガ ーズベクトル
 θ :  バッファ層における転位線とバーガーズ クトルのなす角
 λ :  バッファ層と中間層界面の法線方向とバ ガーズベクトルのなす角
  f b :  バッファ層と中間層の格子不整合度

 また、中間層の厚さの下限値をより正確に 義するためには、実験によるバッファ層の 界膜厚の測定値を用いても良い。任意の基 上に中間層を、予測される最適厚さよりも 十分厚くエピタキシャル成長させ、その上 、バッファ層をエピタキシャル成長する。 々な厚さのバッファ層を成長させ、顕微鏡 もしくは原子間力顕微鏡などで、バッファ の表面を観察する。そのとき、亀裂状のク ックが確認できる厚さを、バッファ層の臨 膜厚h b として求めても良い。

  転位の導入により形成されるモザイク 造は、その幅が、超格子層の厚さ、及び、 子の拡散長以上であることが望ましい。歪 超格子層において、励起された電子が、こ クラックで散乱される確率を低減させるた である。

 実施例1は、図4に示すように、GaP 基板と 、GaAsP/GaAs歪み超格子層を用いたスピン偏極 子発生素子である。すなわち、GaP から成る 基板10上に、厚さ500nm のGaAsから成る中間層20 が形成され、その上に、厚さ1 μm のバッフ 層30が形成され、そのバッファ層30の上に歪 み超格子層40が形成され、その歪み超格子層4 0の上に、厚さ5nm のキャップ層50が形成され いる。

 この構造は、高偏極度、高輝度のスピン偏 電子源を目的として設計された透過型歪み 格子半導体フォトカソードである。歪み超 子層40は、理論計算に基づき、図4のように 計された。すなわち、バッファ層30は、Znが 濃度1.5 ×10 18 cm -3 に添加された厚さ1 μm のGaAs 0.65 P 0.35 で構成されている。また、歪み超格子層40は 厚さ4.3nm のGaAsから成る井戸層401と、厚さ4. 3nm のGaAs 0.65 P 0.35 から成る障壁層402を1組として、12組で構成さ れており、総合厚さは103.2nm である。また、 井戸層401と障壁層402には、共に、Znが濃度1.5 ×10 18 cm -3 で添加されている。これは、p型半導体とし 、励起された電子を少数キャリアとするた である。そして、歪み超格子層40の上には、 厚さ5nm のZnが濃度6 ×10 19 cm -3 で添加されたGaAsから成るキャップ層50が形成 されている。

 この構造から計算されるバンド構造を図2 に示す。この構造では、重い正孔バンドと、 軽い正孔バンドの分離幅が107 meV であり、 論的には100%のスピン偏極度が期待できる。 た、バンド構造から偏極電子の励起には、7 80nm 程度の励起光波長が最適であることがわ かる。ここで、透過型スピン偏極電子発生素 子を想定する場合、基板が780nm の光を透過 る必要があり、基板10としてはGaP を選択す こととなる。この場合、バッファ層30の格 定数は0.558 nmであるのに対して、基板10の格 子定数は0.539 nmとなるため、バッファ層30の 晶の方が、基板10の結晶よりも格子定数が きくなる。このため、バッファ層30を基板10 上に直接、成長させた場合には、バッファ 30には、圧縮歪みがかかる。この圧縮歪み 引張歪みに変化させて、高偏極度を得るた には、本発明の要部である中間層20が必要と なる。本発明の設計指針にしたがって、本構 造では中間層20として厚さ500nm のGaAs層を導 した。上記組成のバッファ層30と中間層20と 組み合わせでは、バッファ層の臨界膜厚は 式(7) に基づき、7nm である。しかし、バッ ファ層30が歪み超格子の厚さに対して薄すぎ と、歪み超格子に掛かるべき歪みがバッフ 層に掛かって好ましくないという理由から バッファ層の厚さは歪み超格子の厚さの10 程度が望ましいので、バッファ層の厚さを1 クロンとした。この厚さの違いにより、約9 0%の歪みが歪み超格子に掛かり、バッファ層 は約10%の歪みが掛かることになる。バッフ 層の厚さは、素子全体の大きさが大き過ぎ い範囲であれば、いくらでも厚くて構わな 。

 図5に、バッファ層の表面のAFM 像を示す 図5(b)は、GaP 基板に直接GaAsP バッファ層を 積層した場合のバッファ層表面のAFM 像、図5 (a)は、GaP 基板上に、GaAs中間層を成長させて 、その中間層上にGaAsP バッファ層を成長さ た場合のバッファ層表面のAFM 像である。中 間層が介在されている場合には、図5(a)から らかなように、大きなクラック状の欠陥が られ、さらにその間隔は0.5 ~1 μm 程度ある ことが確認できている。クラック密度として は、圧縮歪みにより生じた転位密度よりも低 い。

 このバッファ層30の上に設計した歪み超格 層40を形成し、さらに、その上に、高Znドー GaAsから成るキャップ層50を形成後、表面をC s:O蒸着によりNEA 表面を形成した。これは、 事関数を小さくして、電子を真空中に取り し易くするためである。この構造のスピン 極電子発生素子の基板10の裏側からの励起 照射により、偏極度測定を行った。その結 を図6に示す。横軸は励起光波長、縦軸はス ン偏極度である。GaAs中間層を導入しなかっ たものは、最大偏極度で70% 以下と非常に低 値となっている。それに対して、GaAs中間層 を導入したものは90% の偏極度を達成してい ことがわかる。本実施例において、中間層 望ましい厚さは、370nm以上500nm以下である。 中間層の厚さが、370nmよりも薄いと、バッフ 層の歪みに対する中間層の歪みを5%よりも さくすることができないので、望ましくな 。また、中間層の厚さは、基板の裏面から 起光を導入する場合に、光損失を低減する めに、なるべく薄い方が望ましい。中間層 500nmよりも厚いと、光損失が大きくなり、望 ましいくない。さらに、望ましくは、370nm以 400nm以下である。
この実施例において、バッファ層は、中間層 の格子定数よりも格子定数が小さく、歪み超 格子層の少なくとも井戸層の格子定数よりも 小さい格子定数を有する結晶であれば、任意 組成比のGaAsP(2元を含む)を用いることででき 歪み超格子層も任意組成比のGaAsP/GaAsP超格 を用いることができる。また、中間層も、 子定数の上述した関係を満たすのであれば GaAsP、GaInP, GaInAs(いずれも2元系を含む)を用 ることができる。基板には、GaP、その他の 板を用いても良い。

 実施例2は、図7に示すように、GaAs基板と GaInP/GaInAs歪み超格子層を用いたスピン偏極 子発生素子である。電子源の目的によって 、フォトカソードから取り出せる電流を大 くする必要がある。その一つの方法は、励 光のパワーを大きくすることである。また 電子顕微鏡への応用などを想定した場合、 型のレーザーではなく、小型で汎用性の高 半導体レーザーの利用が有効である。半導 レーザーにおいては、発光波長900 ~1000nmで W の出力を持つ汎用品が多く存在する。し がって、この波長域の励起光により電子が 起される歪み超格子の利用が有効である。 た、小型化のためには透過型が必須である

 図7に示すように、本実施例のスピン偏極電 子発生素子は、GaAsから成る基板11上に、厚さ 500nm のInAsから成る中間層21が形成され、そ 上に、厚さ1 μm のバッファ層31が形成され そのバッファ層31の上に歪み超格子層41が形 成され、その歪み超格子層41の上にキャップ 51が形成されている。バッファ層31は、Znが 度1.5 ×10 18 cm -3 に添加された厚さ1 μm のGa 0.4 In 0.6 Pで構成されている。また、歪み超格子層41は 、厚さ4nm のGa 0.4 In 0.6 Asから成る井戸層411と、厚さ4nm のGa 0.4 In 0.6 P から成る障壁層412を1組として、12組で構成 され、総合厚さは、96nmである。また、井戸 411と障壁層412には、共に、Znが濃度1.5 ×10 18 cm -3 で添加されている。そして、歪み超格子層41 上には、厚さ5nm のZnが濃度6 ×10 19 cm -3 で添加されたGaAsから成るキャップ層51が形成 されている。

 この構造のスピン偏極電子発生素子は、900- 1000nmの励起光で励起される。この波長範囲の 光を透過する基板としては、GaAs基板が適切 ある。しかし、この場合も、バッファ層の 子定数は基板の格子定数よりも大きくなる そのため、本発明による中間層が有効とな 。このような汎用な高強度半導体レーザー 利用は、これまでも望まれてきたが、本発 によって、高い偏極度を維持したまま、初 て実現できる構造である。上記組成のバッ ァ層31と中間層21との組み合わせでは、バッ ァ層の臨界膜厚は、式(7) に基づき、1nm で ある。しかし、バッファ層31が歪み超格子の さに対して薄すぎると、歪み超格子に掛か べき歪みがバッファ層に掛かって好ましく いという理由から、バッファ層の厚さは歪 超格子の厚さの10倍程度が望ましいので、 ッファ層の厚さを1ミクロンとした。この厚 の違いにより、約90%の歪みが歪み超格子に かり、バッファ層には約10%の歪みが掛かる とになる。バッファ層の厚さは、素子全体 大きさが大き過ぎない範囲であれば、いく でも厚くて構わない。
 本実施例において、中間層の望ましい厚さ 、250nm以上、500nm以下である。
 中間層の厚さが、250nmよりも薄いと、バッ ァ層の歪みに対する中間層の歪みを5%よりも 小さくすることができないので、望ましくな い。また、中間層の厚さは、基板の裏面から 励起光を導入する場合に、光損失を低減する ために、なるべく薄い方が望ましい。中間層 が500nmよりも厚いと、光損失が大きくなり、 ましいくない。さらに、望ましくは、250nm 上400nm以下である。この実施例において、バ ッファ層は、中間層の格子定数よりも格子定 数が小さく、歪み超格子層の少なくとも井戸 層の格子定数よりも小さい格子定数を有する 結晶であれば、任意組成比のGaInP(2元を含む) 用いることででき、歪み超格子層も任意組 比のGaInP/GaInP超格子を用いることができる また、中間層も、格子定数の上述した関係 満たすのであれば、GaAsP、GaInP, GaInAs(いずれ も2元系を含む)を用いることができる。基板 は、GaAs、その他の基板を用いても良い。

 実施例3は、図8に示すように、GaN 基板と、 GaN/GaInN 歪み超格子層を用いたスピン偏極電 発生素子である。図8に示すように、本実施 例のスピン偏極電子発生素子は、GaN から成 基板12上に、厚さ500nm のInN から成る中間 22が形成され、その上に、厚さ1 μm のバッ ァ層32が形成され、そのバッファ層32の上に 歪み超格子層42が形成され、その歪み超格子 42の上にキャップ層52が形成されている。バ ッファ層32は、Mgが濃度1.5 ×10 18 cm -3 に添加された厚さ1 μm のGaN で構成されて る。また、歪み超格子層42は、厚さ4nm のGa 0.8 In 0.2 N から成る井戸層421と、厚さ4nm のGaN から る障壁層422を1組として、12組で構成され、 合厚さは、96nmである。また、井戸層421と障 層422には、共に、Mgが濃度1.5 ×10 18 cm -3 で添加されている。そして、歪み超格子層42 上には、厚さ5nm のMgが濃度6 ×10 19 cm -3 で添加されたGa 0.7 In 0.3 N から成るキャップ層52が形成されている。

 一般に、バンドギャップが大きいほど、フ トカソード表面からの電子の取出しが容易 なり、量子効率が良くなることが知られて る。また、寿命も長くなることが知られて る。そのため、ワイドバンドギャップ材料 期待されている。この材料系で、結晶性な を考慮したときに最も実現可能な超格子層 、GaN/GaInN である。また、基板にはGaN かAlN  を用いることになり、やはりこの場合も、 ッファ層の格子定数は基板の格子定数より 大きくなる。そのため、本発明による中間 が有効となる。上記組成のバッファ層31と 間層21との組み合わせでは、バッファ層の臨 界膜厚は、式(7) に基づき、1nm である。し し、バッファ層31が歪み超格子の厚さに対し て薄すぎると、歪み超格子に掛かるべき歪み がバッファ層に掛かって好ましくないという 理由から、バッファ層の厚さは歪み超格子の 厚さの10倍程度が望ましいので、バッファ層 厚さを1ミクロンとした。この厚さの違いに より、約90%の歪みが歪み超格子に掛かり、バ ッファ層には約10%の歪みが掛かることになる 。バッファ層の厚さは、素子全体の大きさが 大き過ぎない範囲であれば、いくらでも厚く て構わない。
本実施例において、中間層の望ましい厚さは 、85nm以上、500nm以下である。中間層の厚さが 、85nmよりも薄いと、バッファ層の歪みに対 る中間層の歪みを5%よりも小さくすることが できないので、望ましくない。また、中間層 の厚さは、中間層で吸収する波長の励起光を 基板の裏面から導入する場合に、光損失を低 減するために、なるべく薄い方が望ましい。 たとえば、波長430mmを用いる場合には、中間 が500nmよりも厚いと、光損失が大きくなり 望ましいくない。さらに、望ましくは、85nm 上400nm以下である。この実施例において、 ッファ層は、中間層の格子定数よりも格子 数が小さく、歪み超格子層の少なくとも井 層の格子定数よりも小さい格子定数を有す 結晶であれば、任意組成比のAlGaN, GaInN(いず れも2元系を含む)を用いることででき、歪み 格子層も任意組成比のAlGaN/AlGaN超格子、GaInN /AlGaNの超格子を用いることができる。また、 中間層も、格子定数の上述した関係を満たす のであれば、GaInN、AlGaN, AlGaInN(いずれも2元 を含む)を用いることができる。基板には、G aNの他、サファイア、SiCなど、その他の基板 用いても良い。

 井戸層組成をGa 0.9 In 0.1 Asとした以外は、実施例2と同様とした。
実施例2より本実施例のほうが、励起波長900nm により適切な素子が作成できた。

 以上述べた全ての実施例において、歪み 格子層の組成や組成比は一例であって、他 組成比であっても良いし、組成が上記実施 と異なっていても良い。また、全実施例で 中間層は、2元系材料を選択しているが、バ ッファ層の格子定数よりも、中間層の格子定 数の方が大きいものであれば、この中間層も 3元、4元系の材料を選択することも可能であ 。また、中間層の格子定数は、バッファ層 格子定数に対して、0.1% 以上( 中間層の格 定数-バッファ層の格子定数)/バッファ層の 子定数)であることが望ましい。さらに、望 ましくは、0.5% 以上である。

 また、基板、中間層、バッファ層の組成及 組成比は、励起光を吸収することのない、 成又は組成比であって、中間層の格子定数 、バッファ層の格子定数よりも大きい材料 使用することが、望ましい。この場合に、 ピン偏極電子の外部量子効率を大きく向上 せることができる。
 製造方法については、MOCVD 法など、公知の 方法を用いることができ、良く知られている ので記載を省略した。

 次に、本発明のスピン偏極電子発生素子 用いたスピン偏極電子発生装置について説 する。図9は、スピン偏極電子線発生装置100 の構成を説明する概念図である。このスピン 偏極電子線発生装置100は、図示しない排気系 に接続されて超高真空に維持される気密な真 空容器112を備えている。この真空容器112は、 励起光Lが入射される開口114を形成する筒状 ポート116と、Mott散乱偏極度測定装置或いは 影型表面電子顕微鏡(LEEM)などのスピン偏極 子線利用機器に接続されて真空容器112内で 生させられたスピン偏極電子線Bをそれらの 機器へ導くための筒状の接続用のポート118と が設けられている。上記ポート116の開口114は 、石英などの透光板119によって気密に閉じら れている。

 上記排気系は、高真空とするために真空容 112内を排気するターボポンプとロータリポ プとが直列に接続された粗排気系と、真空 器112全体を200℃程度でベーキングした後に 気して真空容器112内を10 -10  Pa台の超高真空とするためにイオンポンプとN EG ポンプとを用いる本排気系とから構成さ る。

  上記真空容器112には、図10に示す素子保 持装置120によって上記開口114の中心位置とな るように保持される偏極電子線発生素子122と 、図示しない支持装置によって支持されて上 記偏極電子線発生素子122からスピン偏極電子 線Bを引き出すための電界を印加する円筒状 アノード電極124と、アノード電極124により き出されたスピン偏極電子線Bを収束させる めの円筒状のソレノイドレンズ126と、前記 出口114へ向かうように上記スピン偏極電子 Bの進行方向を直角に曲げて偏極電子のスピ ン軸を進行方向に対してたとえば直角とする ための偏向電磁石(スピンマニピュレータ)128 が、一直線上に所定の間隔で配置されてい 。また、真空容器112において、上記ポート1 18と偏向電磁石(スピンマニピュレータ)128と 間には、スピン偏極電子線Bのスピンの向き( 方位角)を制御するための円筒状のソレノイ レンズ130が配設されている。

 図10に詳しく示すように、偏極電子源素 保持装置120は、円筒状の一端部が外向きに き出してポート116に固定されているカソー ホルダ132と、そのカソードホルダ132を介し 真空容器112のポート116に固定されて上記偏 電子線発生素子122をその両端面が露出する うに周縁部で保持し位置決めする保持ブロ ク134と、前記円筒状のアノード電極124と同 となるように上記カソードホルダ132に嵌め けられたカソード電極136とを備えている。 ソード電極136は周壁部134aと底壁部136bとを有 する有底円筒状を成し、その底壁部136bは、 極電子線発生素子122の中央部を露出させる めに中央部に貫通して形成された中央穴136c 、外周部から中央穴136cに向かうに従って薄 くなる厚み形状とを備えている。前記アノー ド電極124は、カソード電極136へ向かうに従っ て小径となるテーパ形状を備え、上記中央穴 136cから露出した偏極電子線発生素子122付近 電界強度が最も大きくなるようにされてい 。上記アノード電極124およびカソード電極13 6は、暗電流を抑制するためにその表面が鏡 仕上げされたものであり、たとえばステン ス鋼により構成される。

 上記保持ブロック134には、それにより保 されている偏極電子線発生素子122の基板側 面すなわち裏面の中央部を露出させるため 貫通して形成された貫通穴138と、その貫通 138の外周側に位置して保持ブロック134内に め着けられた円筒状のヒータ140とが設けら ている。上記保持ブロック134はたとえば偏 電子線発生素子122の構成元素に対して非反 性の金属材料たとえばモリブデン、タンタ 等により構成されている。

 また、真空容器112のポート116内には、偏極 子線発生素子122の非基板側表面すなわち電 放出側表面を負の電子親和性(NEA :Negative El ectron Affinity) 表面とするために、アノード 極124およびカソード電極136付近でセシウムCs および酸素Oを放出するセシウム放出装置144 よび図示はしていないが酸素Oを導入する装 がそれぞれ設けられている。セシウム放出 置144は、たとえば、CsCrO および還元剤がゲッター剤とともにニクロム 製スリーブ内に収容されることにより構成さ れ、そのヒータの通電加熱によりCsCrO を還元させることでセシウムCsを放出する。 極電子線発生素子122の清浄にされた表面層 表面にセシウムCsおよび酸素Oが付加される とによりおよそ数原子層の厚さを持つ電気2 重層ポテンシャルが形成されて真空順位が下 げられる。すなわち、真空中へ伝導帯にある 偏極電子が放出されるための電子親和性が負 とされて、スピン偏極電子線Bを得るための 子効率が高められる。なお、酸素Oを導入す 代りに、三フッ化窒素NF などのフッ化窒素を導入する装置を設けて、 前記電子放出側表面にセシウムCsおよびフッ 窒素を付加しても、同様の効果が得られる

  前記励起光Lは、励起光入射装置146によ 発生させられて偏極電子線発生素子122の基 側表面すなわち裏面に入射させられるよう なっている。励起光入射装置146は、たとえ レーザ光源148と、そのレーザ光源148から出 されたレーザ光を直線偏光から円偏光に変 して励起光Lとするための直線偏光子150およ びλ/4波長板152と、その励起光Lを収束させる めにカソードホルダ132から透光板119側へ突 されたレンズ支持部156により前記アノード 極124と同心に支持されることにより真空容 112内に配置されたレンズ154とを備え、収束 ンズ154は、ポート116の開口114を塞ぐように けられた透光板119および保持ブロック134に 成された貫通穴138を通して、励起光Lを小さ なスポット径で偏極電子線発生素子122の基板 側から入射させ、超格子半導体光電層166に収 束させる。収束レンズ154と偏極電子線発生素 子122との間の距離すなわち焦点距離fは、上 透光板119の厚み寸法と保持ブロック134の厚 寸法とを加えた値よりも大きいが、アノー 電極124、ソレノイドレンズ126、および偏向 磁石(スピンマニピュレータ)128を通して偏極 電子線発生素子122の非基板側表面に収束する 場合に比較して、大幅に短縮されている。こ の装置例よりさらに収束レンズ154と偏極電子 線発生素子122の距離を短くすることは可能で あり、たとえば負の電子親和性表面処理(NEA  活性化)は別の真空容器で行った偏極電子線 生素子122をロードロック機構によりカソー 電極136にセットする方式を採用すると円筒 のヒータ140は不要となり、収束レンズ154と 極電子線発生素子122との間の距離を数mm以内 にすることができる。

 なお、励起光入射装置146の収束レンズ154 、真空容器112の外部に設けても良い。また ポート118に、Mott散乱偏極度測定装置或いは 投影型表面電子顕微鏡(LEEM)などを接続するこ とにより、本スピン偏極電子発生装置をMott 乱偏極度測定装置や、投影型表面電子顕微 などのスピン偏極電子線応用装置とするこ ができる。

  本実施例のスピン偏極電子発生装置は スピン偏極電子発生素子と、該スピン偏極 子発生素子の半導体光電層に励起光を入射 せる励起光入射装置とを含み、該半導体光 層に励起光が収束されることによって該半 体光電層からスピン方向が偏在しているス ン偏極電子を発生させ、励起光入射装置は スピン偏極電子発生素子の基板側から半導 光電層に励起光を収束させる構成である。

 本発明は、スピントロニクスや磁気記録 体材料における磁区構造を観察する電子顕 鏡の偏極電子源に用いることができる。