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Patent Searching and Data


Title:
STACKED BANDPASS FILTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143071
Kind Code:
A1
Abstract:
Capacitors are formed between a ground electrode (109) of a ground electrode forming layer (103) and capacitor electrodes (111), (112), (113) and (114) of capacitor electrode forming layers (102) and (104), respectively, and a plurality of inductor electrodes are structured by via electrodes (131)-(138) of and line electrodes (116)-(119), so that those loop surfaces are overlapped in part with each other from a view in a disposing direction of the inductor electrodes to structure a plurality of LC parallel resonators. Further, the directions of the loops formed with the inductor electrodes of neighboring LC parallel resonators are made reverse. In addition, shapes and distributions [dispositions] of the capacitor electrodes (111), (112), (113) and (114) are formed to be point symmetry from a plane view.

Inventors:
TANIGUCHI TETSUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058800
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 14, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
TANIGUCHI TETSUO (JP)
International Classes:
H03H7/09; H01P1/203; H01P1/205; H01P7/08
Domestic Patent References:
WO2002009225A12002-01-31
Foreign References:
JPH03262313A1991-11-22
JP2001352224A2001-12-21
JPH046911A1992-01-10
JP2000201001A2000-07-18
JP2003198226A2003-07-11
Other References:
See also references of EP 2148438A4
Attorney, Agent or Firm:
KOMORI, Hisao (NoninbashiChuo-ku, Osaka-sh, Osaka 11, JP)
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Claims:
 複数の誘電体層と、キャパシタ電極および/またはインダクタ電極を含む複数の電極層とで構成された積層体を素体とした積層帯域通過フィルタにおいて、
 前記キャパシタ電極と前記インダクタ電極とにより、隣接するLC並列共振器同士で結合する偶数個のLC並列共振器が構成され、
 前記偶数個のLC並列共振器のうち入力側のLC並列共振器が接続される入力電極と、出力側のLC並列共振器が接続される出力電極とを備え、
 前記偶数個のLC並列共振器のインダクタ電極は、当該インダクタ電極の一方の端部と前記キャパシタ電極との接続点を始点とするループをそれぞれ形成し、互いに結合する前記LC並列共振器のインダクタ電極によるループの面を前記インダクタ電極の配列方向に見たとき、前記ループの面同士が少なくとも一部で重なっていて、
 結合する少なくとも2つの前記LC並列共振器のインダクタ電極によるループの方向が前記インダクタ電極の配列方向に見たとき、互いに逆であり、
 前記偶数個のLC並列共振器のキャパシタ電極の形状および分布が平面視で点対称であることを特徴とする積層帯域通過フィルタ。
 前記インダクタ電極、前記入力電極、および前記出力電極は、前記キャパシタ電極とともに形状および分布が平面視で点対称である、請求項1に記載の積層帯域通過フィルタ。
 互いに隣接する前記LC並列共振器の前記インダクタ電極によるループの方向がそれぞれ逆である請求項1または2に記載の積層帯域通過フィルタ。
 前記インダクタ電極は、前記誘電体層の積層方向に形成されたビア電極と少なくとも前記誘電体層の積層方向に対して垂直方向に形成された線路電極とでそれぞれコイル状をなし、当該インダクタ電極およびキャパシタ電極は、前記誘電体層および前記電極層が積層される積層方向に対して垂直方向に配列されている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の積層帯域通過フィルタ。
 前記キャパシタ電極は当該複数のキャパシタ電極の配置範囲に広がる共通の接地電極との間にそれぞれ容量を構成する電極であり、当該キャパシタ電極は同一の電極層で形成されている、請求項4に記載の積層帯域通過フィルタ。
 前記キャパシタ電極は当該複数のキャパシタ電極の配置範囲に広がる共通の接地電極との間にそれぞれ容量を構成する電極であり、当該キャパシタ電極は前記接地電極を厚み方向に挟んで当該接地電極の両側に設けられている請求項4に記載の積層帯域通過フィルタ。
Description:
積層帯域通過フィルタ

 この発明は、複数の誘電体層と電極層と 積層してなる積層帯域通過フィルタに関す ものである。

 従来、小型・低廉化に適した高周波の帯域 過フィルタは、誘電体層と電極層とを積層 た積層体内に複数のLC共振器を設けること よって構成されている。
 このような積層帯域通過フィルタとして特 文献1~4が開示されている。

 特許文献1の積層帯域通過フィルタの構成を 、図1を参照して説明する。
 図1の(A)はその回路図、(B)はその断面図であ る。このフィルタは複数のLC並列共振回路を 導結合(磁気的結合)させたものであり、コ ルL1,L2,L3・・・LnおよびコンデンサC1,C2,C3・ ・Cnで複数の並列共振器を構成し、それぞれ 隣接する共振器間のコイル同士を磁気的に結 合させている。

 図1の(B)に示すように、第1の層10-1、第2の 層10-2、および第3の層10-3には、キャパシタ電 極パターン12とコイルパターン13を印刷形成 ていて、これらの層によって共振器を構成 ている。すなわち、接地電極11とキャパシタ 電極12との間に容量を構成し、2層にわたるコ イルパターン13を、ブラインドスルーホール1 4を介して導通させている。このような共振 を、第4の層10-4から下の層に複数層積層する ことで互いに隣接するコイルが磁気的に結合 するようにしている。

 特許文献2は、誘電体層と電極層との積層 体の内部に、複数の容量形成電極により形成 される複数のキャパシタンスと、これらの複 数の容量形成電極がそれぞれ有しているイン ダクタンスとによって複数のLC共振器を構成 、積層体の内部で互いに隣接するLC共振器 積層体の厚み方向において異なる高さ位置 配置するともに電磁気的に結合させたもの ある。このように積層体内部に複数のLC共振 器を、積層体の厚み方向の異なる高さ位置に 配置することによって、バンドパスフィルタ の設計上必要とするLC共振器間の物理的距離 確保した状態で部品サイズを小型化できる

 特許文献3の積層帯域通過フィルタは、配 線層の一部に互いに平行な一対の線路からな る第1・第2のフィルタ線路を、互いに異なる 路層に平行に対向させるとともに、一端部 電気的に接続し、一対の線路が誘電体層を して折り返された構造のフィルタ素子を構 するものである。

 特許文献4の積層帯域通過フィルタは、共振 器を構成する2本のストリップラインを同一 に一定間隔で配置することによって電磁気 に結合させたものである。

特開平4-6911号公報

特開2000-201001号公報

特開2003-198226号公報

国際公開第02/009225号パンフレット

 特許文献1の積層帯域通過フィルタでは、 各LC並列共振器が有するコイルが2層のコイル パターンで形成されているので、各LC並列共 器間の磁気的な結合が大きくなるという問 がある。また、2層のコイルパターンでコイ ルを形成しているので、コイルのQ値の劣化 より、積層帯域通過フィルタの挿入損失が きくなるという問題がある。上記問題を解 するために、各LC並列共振器間の距離を十分 空ける必要があるが、そのため積層帯域通過 フィルタの厚み寸法が大きくなってしまうと いう問題がある。

 特許文献2の積層帯域通過フィルタは、コ ンデンサの自己共振を利用するものであり、 キャパシタ電極のキャパシタンス成分と、そ のキャパシタ電極がそれぞれ有するインダク タンス成分とでLC共振器を構成している。そ ため、所望のインダクタンスを持つ共振器 構成できず、低損失な帯域通過フィルタの 性が得られない。

 特許文献3,4の積層帯域通過フィルタでは 小型且つ低損失な帯域通過フィルタを得る とができるが、通過帯域からその帯域外へ 急峻な減衰量特性を得るために共振器を多 化しようとすると、2段のフィルタを積層方 向に積み上げてストリップラインを厚み方向 で結合させることになり、多段のフィルタを 構成する場合に厚み寸法が大きくなるという 問題が生じる。

 また、このような従来の積層帯域通過フ ルタでは、積層体内にキャパシタ電極およ インダクタ電極によるLC並列共振器を配置 るとともに、隣接するインダクタ電極間を 導結合させた場合に通過帯域での通過特性 リップル(偏差)が生じるという問題があった 。

 そこで、この発明の目的は、上述の問題 解消して、小型・低損失で且つ通過帯域か 通過帯域外への減衰が急峻であり、安定し 通過帯域特性を有する積層帯域通過フィル を提供することにある。

 (1)複数の誘電体層と、キャパシタ電極およ /またはインダクタ電極を含む複数の電極層 とで構成された積層体を素体とした積層帯域 通過フィルタにおいて、
 前記キャパシタ電極と前記インダクタ電極 により、隣接するLC並列共振器同士で結合 る偶数個のLC並列共振器が構成され、
 前記偶数個のLC並列共振器のうち入力側のLC 並列共振器が接続される入力電極と、出力側 のLC並列共振器が接続される出力電極とを備 、
 前記偶数個のLC並列共振器のインダクタ電 は、当該インダクタ電極の一方の端部と前 キャパシタ電極との接続点を始点とするル プをそれぞれ形成し、互いに結合する前記LC 並列共振器のインダクタ電極によるループの 面を前記インダクタ電極の配列方向に見たと き、前記ループの面同士が少なくとも一部で 重なっていて、
 結合する少なくとも2つの前記LC並列共振器 インダクタ電極によるループの方向が前記 ンダクタ電極の配列方向に見たとき、互い 逆であり、
 前記偶数個のLC並列共振器のキャパシタ電 の形状および分布(配置)が平面視で点対称で あることを特徴としている。

 (2)前記インダクタ電極、前記入力電極、 よび前記出力電極は、前記キャパシタ電極 ともに形状および分布(配置)が平面視で(平 上の共通の1点を対称中心として)点対称の 係となるように構成する。

 (3)互いに隣接する前記LC並列共振器の前 インダクタ電極によるループの方向はそれ れ逆の関係とする。

 (4)前記インダクタ電極は、前記誘電体層 積層方向に形成されたビア電極と少なくと 前記誘電体層の積層方向に対して垂直方向 形成された線路電極とでそれぞれコイル状 なし、当該インダクタ電極およびキャパシ 電極は、前記誘電体層および前記電極層が 層される積層方向に対して垂直方向に配列 れるものとする。

 (5)前記キャパシタ電極は当該複数のキャ シタ電極の配置範囲に広がる共通の接地電 との間にそれぞれ容量を構成する電極とし 当該キャパシタ電極は同一の電極層で形成 れたものとする。

 (6)前記キャパシタ電極は当該複数のキャ シタ電極の配置範囲に広がる共通の接地電 との間にそれぞれ容量を構成する電極であ 、当該キャパシタ電極は前記接地電極を厚 方向に挟んで当該接地電極の両側に設けら ている。

 この発明によれば、次のような効果を奏す 。
 (1)偶数個のLC並列共振器のインダクタ電極 それぞれがループを形成し、互いに結合す LC並列共振器のインダクタ電極によるループ の面がそのインダクタ電極の配列方向を見た とき、ループ面同士が少なくとも一部で重な っているため、隣接するLC並列共振器間の結 度(誘導結合)を高めることができ、広帯域 が図れる。

 また、キャパシタ電極とは別にインダク 電極を形成できるので、Q値の高いインダク タを形成して低挿入損失化が図れる。

 また、コンデンサの自己共振を使用した 振器ではないので所望のインダクタンスを する共振器が構成でき、所望の通過帯域で 挿入損失が実現できる。

 また、互いに隣接するLC並列共振器のイ ダクタ電極によるループの方向が逆方向で るので、通過帯域での挿入損失のリップル 抑えられ、良好な帯域通過特性が得られる

 さらに、入力および出力のインピーダン 特性(反射特性)が同特性となるため、フィ タの通過帯域の特性が安定する。

 (2)インダクタ電極、入力電極、および出 電極をキャパシタ電極とともに形状および 布(配置)が平面視で点対称となるように構 することにより、入力および出力のインピ ダンス特性(反射特性)がさらに揃うことにな り、特性に方向性の無い帯域通過フィルタと して用いることができる。

 (3)互いに隣接するLC並列共振器のインダ タ電極によるループの方向をそれぞれ逆の 係とすることにより、通過帯域に対して低 側および高域側に減衰極を設計することが きることから、低域側減衰量を設計するた の入出力間キャパシタが不要となり、入出 共振器を形成するキャパシタ電極を隣接さ た構造や、入出力キャパシタ間を接続する 極を配置した構造を採る必要がなく、それ の電極パターンの形成精度に起因する特性 らつきが生じないので構造的に安定であり 高減衰特性をもつ帯域通過フィルタを得る とができる。

 (4)LC並列共振器のインダクタ電極および ャパシタ電極を誘電体層および電極層の積 方向に対して垂直方向に配列することによ て、隣接するインダクタ電極によるループ の間隔が一定に保てるので、誘電体層と電 層の積層時の面方向のずれが生じても互い 隣接するLC並列共振器のインダクタ電極間の ずれをほとんど無くすことができ、特性ばら つきの少ない帯域通過フィルタ特性が得られ る。

 (5)LC並列共振器のキャパシタ電極を、そ らのキャパシタ電極の配置範囲に広がる共 の接地電極との間にそれぞれ容量を構成す ことによって、隣接するキャパシタ電極間 も容量が生じて、従来、独立して必要とさ ていたLC並列共振期間の結合用の容量素子を 省くことができ、共振器のQ値の向上が図れ 。また、キャパシタ電極を形成した層の積 ずれや印刷ずれが生じても、接地電極との に生じる容量および隣接するキャパシタ電 間にも容量に変化が生じないので、そのこ による特性のばらつきが抑えられる。

 (6)LC並列共振器のキャパシタ電極を、接 電極を厚み方向に挟んで当該接地電極の両 に設けることによって、隣接するLC並列共振 器間を結合させるキャパシタと、離れたLC並 共振器間を飛び結合させるキャパシタとを られた面積で構成するとができ、全体の小 化が図れる。

特許文献1に示されている積層帯域通過 フィルタの等価回路図および断面図である。 第1の実施形態に係る積層帯域通過フィ ルタの分解斜視図である。 同積層帯域通過フィルタの外観斜視図 ある。 同フィルタの等価回路図である。 同フィルタの通過特性および反射特性 示す図である。 第2の実施形態に係る積層帯域通過フィ ルタの分解斜視図である。 同フィルタの等価回路図である。

符号の説明

 1-積層帯域通過フィルタ
 6-接地端子
 7,8-入出力端子
 100-積層体
 101,203-入出力電極形成層
 102,104,202-キャパシタ電極形成層
 103,201-接地電極形成層
 105,204-線路電極形成層
 106,205-外層
 109,209-接地電極
 111~114,211~214-キャパシタ電極
 116~119,216~219-線路電極
 121,122,221,222-入出力電極
 131~138,231~238-ビア電極
 151,152,251,252-接地接続電極
 L1~L5-インダクタ
 C1~C5-キャパシタ
 C12,C23,C34,C14-容量
 M1~M4-誘導結合

 《第1の実施形態》
 第1の実施形態に係る積層帯域通過フィルタ について図2~図5を参照して説明する。
 図2は第1の実施形態に係る積層帯域通過フ ルタの分解斜視図、図3はその外観斜視図で る。

 図2において、接地電極形成層103の上面に 接地電極109を形成している。キャパシタ電極 形成層102にはキャパシタ電極111,114、キャパ タ電極形成層104にはキャパシタ電極112,113を れぞれ形成している。入出力電極形成層101 は入出力電極121,122を形成している。線路電 極形成層105には線路電極116~119を形成してい 。線路電極形成層105の上には外層106を設け いる。この積層帯域通過フィルタは、6つの 電体層と5つの電極層とで積層体をなすとと もに、その端面に端子電極を形成したもので ある。

 図3において、積層体100は上記誘電体層と 電極層との積層体である。この積層体100の4 の側面のうち対向する2つの側面に(端面に) 出力端子7,8を設け、残る2つの側面に接地端 6を設けることによって積層帯域通過フィル タ1を構成している。この積層体100の大きさ 、1.6mm×0.8mmで高さは0.5mmである。

 前記各層の誘電体層部分は、比誘電率εr= 53.5の低温焼結セラミック(LTCC)である。この 電体層は比誘電率が6以上80以下の範囲内の 料を用いることができる。

 また、上記線路電極を含む電極層に積層さ ている誘電体層、すなわち線路電極形成層1 05および外層106の比誘電率は6以上80以下の範 内にある。また、キャパシタ電極形成層の 誘電率は20以上である。各誘電体層は、例 ば酸化チタン、酸化バリウム、アルミナ等 成分のうち、少なくとも1つ以上の成分と、 ラス成分とから形成される低温焼結セラミ クスである。
 各誘電体層を形成する材料は、以降に示す の実施形態についても同様である。

 図2において、接地電極形成層103には、そ の平面外形より一回り小さな範囲に広がる接 地電極109と、この接地電極109に導通するとと もに接地電極形成層103の2つの側面にまで延 る接地接続電極151,152を形成している。この2 つの接地接続電極151,152は、図3に示した接地 子6に導通することになる。

 キャパシタ電極形成層102には、それぞれ ぼ矩形状をなし、互いに平行な2つのキャパ シタ電極111,114を形成している。また、キャ シタ電極形成層104には、それぞれ矩形状を し、互いに平行な2つのキャパシタ電極112,113 を形成している。これらのキャパシタ電極111 ~114は接地電極109との間でそれぞれ容量を構 する。また隣接するキャパシタ電極の間に 容量を構成する。

 入出力電極形成層101には、その2つの短辺 に接するほぼ矩形状の入出力電極121,122を形 している。この2つの入出力電極121,122は図3 示した入出力端子7,8に導通することになる

 線路電極形成層105には、互いに平行でそ ぞれ線路状の線路電極116~119を形成している 。

 入出力電極形成層101、キャパシタ電極形 層102,104、接地電極形成層103、および線路電 極形成層105には、これらの積層方向に延びる ビア電極131~138を形成している。ビア電極131 線路電極116の一端116A、キャパシタ電極111、 よび入出力電極121に導通する。ビア電極132 線路電極116の他端116Bおよび接地電極109に導 通する。ビア電極133は線路電極117の一端117A よび接地電極109に導通する。ビア電極134は 路電極117の他端117Bおよびキャパシタ電極112 導通する。ビア電極135は線路電極118の一端1 18Aおよびキャパシタ電極113に導通する。ビア 電極136は線路電極118の他端118Bおよび接地電 109に導通する。ビア電極137は線路電極119の 端119Aおよび接地電極109に導通する。ビア電 138は線路電極119の他端119B、キャパシタ電極 114、および入出力電極122に導通する。

 したがって上記各ビア電極と各線路電極 による各インダクタ電極およびそれらのル プ方向は次のような関係となる。

 [表1]
________________________________
 インダクタ電極   ビア電極    線路電    ループ方向
________________________________
   第1        131,132    116       1
   第2        133,134    117       0
   第3        135,136    118       1
   第4        137,138    119       0
________________________________
 インダクタ電極が形成する「ループ」は、 ャパシタ電極とインダクタ電極との接続点 始点とした、インダクタ電極の経路により 成される。すなわち、キャパシタ電極とビ 電極との接続点を始点とし、当該ビア電極 線路電極、別のビア電極との接続経路によ ループは形成される。

 「ループの方向」とは、線路電極の配列 向の一方の方向からループを見たとき、そ ループの始点からの回り方向である。例え 、図2を入出力電極121側から入出力電極122に 向かって、各インダクタ電極が形成するルー プを見たとき、第1のインダクタ電極は、キ パシタ電極111とビア電極131との接続点(始点) -ビア電極131-線路電極116-ビア電極132との接続 経路でループを形成していて、当該第1のイ ダクタ電極によるループの方向は左回りで る。第2のインダクタ電極は、キャパシタ電 112とビア電極134との接続点(始点)-ビア電極1 34-線路電極117-ビア電極133との接続経路でル プを形成していて、当該第2のインダクタ電 によるループ方向は右回りである。ここで ループの方向は左回り、右回りの2方向しか ないので、一方の方向を「1」,他方を「0」で 表す。

 このようにして、複数の誘電体層と、キ パシタ電極またはインダクタ電極の少なく も一方の電極を含む複数の電極層とで構成 れた積層体によって、キャパシタ電極とイ ダクタ電極とにより、隣接するLC並列共振 同士が結合する偶数個のLC並列共振器が構成 される。

 表1に示した4つ(4段)のLC並列共振器の各共 振器間の結合の極性は、帯域通過フィルタの 入力側から出力側にかけて順に表すと、〈101 0〉と表現できる。

 以上に示したように、この実施形態で示 た積層帯域通過フィルタは、次のような特 的な構成を備えている。

(1)偶数個のLC並列共振器のキャパシタ電極1 11~114の形状および分布(配置)が平面視で点対 である。

(2)各ビア電極131~138と各線路電極116~119とに る各インダクタ電極、入出力電極121,122は、 キャパシタ電極111~114とともに形状および分 (配置)が平面視で誘電体層の中心に対して点 対称の関係となっている。

(3)互いに隣接するLC並列共振器のインダク 電極によるループの方向がそれぞれ逆の関 である。

(4)各インダクタ電極は、誘電体層の積層方 向に通るビア電極131~138と少なくとも誘電体 の積層方向に対して垂直方向に延びる線路 極116~119とでそれぞれコイル状をなし、当該 ンダクタ電極およびキャパシタ電極は、誘 体層および電極層が積層される積層方向に して垂直方向に配列されている。

(5)キャパシタ電極は複数のキャパシタ電極 111~114の配置範囲に広がる共通の接地電極109 の間にそれぞれ容量を構成し、キャパシタ 極111,114およびキャパシタ電極112,113はそれぞ れ同一の電極層で形成されている。

(6)キャパシタ電極は複数のキャパシタ電極 111~114の配置範囲に広がる共通の接地電極109 の間にそれぞれ容量を構成する電極であり 当該キャパシタ電極111~114は接地電極109を厚 方向に挟んで当該接地電極109の両側に設け れている。

(7)入力段および出力段のLC並列共振器のキ パシタ電極111,114に接続されるビアホール131 ,138が、隣接するLC並列共振器の接地電極109に 接続されるビアホール133,136とそれぞれ隣り うように配置されている。

 図4は上記積層帯域通過フィルタの等価回路 図である。
 図4において、入力端子INは、図2に示した入 出力電極121が導通する図3の入出力端子7に対 し、出力端子OUTは入出力電極122が導通する 出力端子8に対応する。インダクタL1は、ビ 電極131,132および線路電極116で構成されるイ ンダクタ電極により生じるインダクタンスを 記号化したものである。インダクタL2はビア 極133,134および線路電極117で構成されるイン ダクタ電極により生じるインダクタンス成分 を記号化したものである。同様に、インダク タL3はビア電極135,136および線路電極118で構成 されるインダクタ電極により生じるインダク タンス成分を記号化したものである。インダ クタL4はビア電極137,138および線路電極119で構 成されるインダクタ電極により生じるインダ クタンス成分を記号化したものである。

 また、キャパシタC1~C4はキャパシタ電極11 1~114と接地電極109との間に生じる容量を記号 したものである。キャパシタC23はキャパシ 電極112-113間に生じる寄生容量を記号化した ものであり、2段目のLC並列共振器と3段目のLC 並列共振器との間の容量結合に寄与する。同 様にキャパシタC14はキャパシタ電極111-114間 生じる寄生容量を記号化したものであり、1 目のLC並列共振器間と4段目のLC並列共振器 との間の飛び結合に寄与する。

 このようにそれぞれ2つのビア電極と1つ 線路電極とによるインダクタ電極がなすル プ面をインダクタ電極の配列方向に見たと 、ループの面同士が少なくとも一部で重な ように配置している。そのため、少なくと 隣接するインダクタ電極によるインダクタ 士は誘導結合する。

 図中のM1はインダクタL1とL2による誘導結 、M2はインダクタL2とL3による誘導結合、M3 インダクタL3とL4による誘導結合を表してい 。

 図5は上記積層帯域通過フィルタの通過特性 (SパラメータのS21特性)および反射特性(Sパラ ータのS11特性,S22特性)を示す図である。
 図5に示すように、この例では3.3~4.0GHzの周 数帯で通過し、それ以外の周波数帯を遮断 る帯域通過フィルタ特性が得られる。また 2.2GHzおよび4.5GHzには減衰極(ポール)が生じて いて、この減衰極付近の減衰量を大きく確保 している。この減衰極は偶数のLC並列共振器 交互に逆極性の誘導結合で結合させたこと よって生じたものである。

 また、入出力端子7側の反射特性S11と入出 力端子8側の反射特性S22とがほぼ一致してい 。そのため、フィルタの通過帯域のリップ が少なく安定した特性が得られている。さ に、入力および出力のインピーダンス特性( 射特性)が揃っているので、入出力端子の方 向性が無い帯域通過フィルタとして用いるこ とができる。

 第1の実施形態によれば、従来の積層帯域 通過フィルタとは異なり、ビアホールと線路 電極により、90度回転させたコの字型のイン クタを備えたLC並列共振器が横方向に並べ れるため、低損失な通過帯域特性がられる

 また、入力段および出力段のLC並列共振器 キャパシタ電極111,114に接続されるビアホー 131,138が、隣接するLC並列共振器の接地電極1 09に接続されるビアホール133,136とそれぞれ隣 り合うように配置することにより、最適な電 磁結合が得られ、積層体の小型・低背化が可 能となる。
 また、接地電極109を挟んで接地109にそれぞ 対向する層にキャパシタ電極111,114とキャパ シタ電極112,113を分離形成したので、所定の 接するLC並列共振器間の不要な容量成分によ る結合(1段目と2段目との容量結合、および3 目と4段目との容量結合)を抑えることができ る。それとともに、飛び結合用のキャパシタ 電極(111,114)を単一の層で形成できるので、印 刷ズレや積み重ねズレがあっても、それらの 影響を受けることがなく、飛び結合用の容量 の変動を抑えることができる。

 また、線路電極116~119とキャパシタ電極111 ,112,113,114および接地電極109をビアホール131~13 8で接続する構成であるので、誘電体シート カットズレや積重ねズレがあっても、それ の影響を受けることがなく、共振周波数の らつきを低減することができる。入出力電 121,122に接続するキャパシタ電極111,114につい てもビアホール131,138を介して別層で接続す ことにより、印刷ズレや積み重ねズレがあ ても、それらの影響を受けることがなく、 量の変動を抑えることができる。

 しかも、設計構造が点対称の構造である め、入力および出力からのインピーダンス 特性が同特性となるため、安定した通過帯 特性が得られる。

 また、隣り合うLC並列共振器のインダク 電極によるループ方向をすべて逆〈1010〉の 係で構成することにより、通過帯域に対し 低域側および高域側に減衰極を設計できる このことから、低域側減衰量を確保するた に入出力間を結合させるキャパシタが不要 なり、キャパシタ電極間の寄生容量の変動 抑えられ、構造的に安定した高減衰特性を する帯域通過フィルタを得ることができる

 《第2の実施形態》
 第2の実施形態に係る積層帯域通過フィルタ について図6・図7を参照して説明する。
 図6は第2の実施形態に係る積層帯域通過フ ルタの分解斜視図である。

 図6において、接地電極形成層201の上面に 接地電極209を形成している。キャパシタ電極 形成層202にはキャパシタ電極211,212,213,214を形 成している。入出力電極形成層203には入出力 電極221,222を形成している。線路電極形成層20 4には線路電極216~219を形成している。線路電 形成層204の上には外層205を設けている。こ 積層帯域通過フィルタは、5つの誘電体層と 4つの電極層とで積層体をなすとともに、そ 端面に端子電極を形成したものである。

 前記各層の誘電体層部分の材料、比誘電 は、第1の実施形態の場合と同様であり、積 層帯域通過フィルタの外観も図3に示したも と同様である。

 図6において、接地電極形成層201には、そ の平面外形より一回り小さな範囲に広がる接 地電極209と、この接地電極209に導通するとと もに接地電極形成層201の2つの側面にまで延 る接地接続電極251,252を形成している。この2 つの接地接続電極251,252は、積層体側面の接 端子に導通することになる。

 キャパシタ電極形成層202には、それぞれ 形状をなし、互いに平行な4つのキャパシタ 電極211~214を形成している。これらのキャパ タ電極211~214は接地電極209との間でそれぞれ 量を構成する。また隣接するキャパシタ電 の間にも容量を構成する。

 入出力電極形成層203には、その2つの短辺 に接するほぼ矩形状の入出力電極221,222を形 している。この2つの入出力電極221,222は積層 体の入出力端子に導通することになる。

 線路電極形成層204には、互いに平行でそ ぞれ線路状の線路電極216~219を形成している 。

 入出力電極形成層203、キャパシタ電極形 層202、接地電極形成層201、および線路電極 成層204には、これらの積層方向に延びるビ 電極231~238を形成している。ビア電極231は線 路電極216の一端216A、キャパシタ電極211、お び入出力電極221に導通する。ビア電極232は 路電極216の他端216Bおよび接地電極209に導通 る。ビア電極233は線路電極217の一端217Aおよ び接地電極209に導通する。ビア電極234は線路 電極217の他端217Bおよびキャパシタ電極212に 通する。ビア電極235は線路電極218の一端218A よびキャパシタ電極213に導通する。ビア電 236は線路電極218の他端218Bおよび接地電極209 に導通する。ビア電極237は線路電極219の一端 219Aおよび接地電極209に導通する。ビア電極23 8は線路電極219の他端219B、キャパシタ電極214 および入出力電極222に導通する。

 したがって上記各ビア電極と各線路電極 による各インダクタ電極およびそれらのル プ方向は次のような関係となる。

 [表2]
________________________________
 インダクタ電極   ビア電極    線路電    ループ方向
________________________________
    第1      231,232     216      1
    第2      233,234     217      0
    第3      235,236     218      1
    第4      237,238     219      0
________________________________
 インダクタ電極が形成する「ループ」は、 1の実施形態の場合と同様に、キャパシタ電 極とインダクタ電極との接続点を始点とした 、インダクタ電極の経路により形成される。 すなわち、キャパシタ電極とビア電極との接 続点を始点とし、当該ビア電極、線路電極、 別のビア電極との接続経路によりループは形 成される。

 第1の実施形態と異なり、図6に示した例 は、4つのキャパシタ電極211~214を単一の層202 に形成し、隣接するキャパシタ電極間にそれ ぞれ容量を形成するように構成している。

 図7は上記積層帯域通過フィルタの等価回路 図である。
 図7において、インダクタL1は、ビア電極231, 232および線路電極216で構成されるインダクタ 電極により生じるインダクタンスを記号化し たものである。インダクタL2はビア電極233,234 および線路電極217で構成されるインダクタ電 極により生じるインダクタンス成分を記号化 したものである。同様に、インダクタL3はビ 電極235,236および線路電極218で構成されるイ ンダクタ電極により生じるインダクタンス成 分を記号化したものである。インダクタL4は ア電極237,238および線路電極219で構成される インダクタ電極により生じるインダクタンス 成分を記号化したものである。

 また、キャパシタC1~C4はキャパシタ電極21 1~214と接地電極209との間に生じる容量を記号 したものである。キャパシタC12はキャパシ 電極211-212間に生じる寄生容量を記号化した ものである。キャパシタC23はキャパシタ電極 212-213間に生じる寄生容量を記号化したもの ある。同様にキャパシタC34はキャパシタ電 213-214間に生じる寄生容量を記号化したもの ある。

 このようにそれぞれ2つのビア電極と1つ 線路電極とによるインダクタ電極がなすル プ面をインダクタ電極の配列方向に見たと 、ループの面同士が少なくとも一部で重な ように配置している。そのため、少なくと 隣接するインダクタ電極によるインダクタ 士は誘導結合する。

 図中のM1はインダクタL1とL2による誘導結 、M2はインダクタL2とL3による誘導結合、M3 インダクタL3とL4による誘導結合を表してい 。

 第2の実施形態によれば、第1の実施形態 場合と同様の効果を奏する。第1の実施形態 は異なる第2の実施形態特有の効果としては 、低域側減衰量を確保するために入出力間を 結合させるキャパシタが不要となり、接地電 極209をいわゆるベタ電極構成とし、キャパシ タ電極211~214を同一層で形成できるため、積 ねズレによる容量およびキャパシタ電極間 寄生容量の変動が抑えられ、構造的に電気 特性ばらつきが小さくなる。

 また、線路電極216~219とキャパシタ電極211 ~214および接地電極209をビアホール231~238で接 し、且つ入出力端子と接続される入出力電 221,222を線路電極形成層204とキャパシタ電極 形成層202との間に配置したことによりLC並列 振器が閉回路で構成でき、高Qの共振器特性 を保ちながら帯域通過フィルタを構成するこ とができる。