住友ゴム工業株式会社 (〒72 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 Hyogo, 6510072, JP)
| 1本のコア素線からなるコアと、このコアの周囲に撚りピッチPiで撚られたN本(2~5本)の内シース素線からなる内側のシースと、この内側のシースの周囲に撚りピッチPoで撚られたM本(6~11本)の外シース素線からなる外側のシースとからなる3層撚り構造のコード本体を具え、 前記コア素線と内シース素線と外シース素線とは直径daが互いに等しく、かつ該直径daは0.15~0.25mmの範囲とするとともに、 前記内側のシースと外側のシースとは撚り方向が同一、 しかも前記内側のシースの撚りピッチPiは、前記直径daの25倍より大かつ100倍より小とし、かつ前記外側のシースの撚りピッチPoは、前記撚りピッチPiより大しかも前記直径daの42倍より大かつ167倍より小とするとともに、 前記内シース素線の本数Nと外シース素線の本数Mとの差(M-N)は4~6本の範囲とし、 しかも、前記内シース素線の撚り角度Aiと外シース素線の撚り角度Aoとの差(|Ai-Ao|)は、1°より大かつ3°より小であることを特徴とするタイヤ用のスチールコード。 |
| 請求項1に記載のタイヤ用のスチールコードを、カーカスコード又はビード補強コードに用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。 |
本発明は、カーカスコードおよびビード 強コードとして好適なタイヤ用のスチール ード及びそれを用いた空気入りタイヤに関 る。
重荷重用タイヤでは、タイヤの骨格をな カーカス、及び/又はビード部を補強してビ ード耐久性を向上させるビード補強層などに 、スチールコードが使用される場合が多く、 又このようなスチールコードとして、コード 直径当たりのコード引張り強さを大きくかつ 良好な耐疲労性を得るため、同線径の素線を 最密に配置した例えば3+9、1+6の2層撚り構造 或いは3+9+15、1+6+12の3層撚り構造が広く採用 れている。
しかしながらこのような、最密の層撚り構
では、シ-ス内の素線相互の隙間が少なくコ
ード内部へのゴム浸透性が悪い。そのため、
走行中に受けたタイヤ損傷部からの水分等に
よって素線に錆が発生し、コード強力を低下
させる傾向がある。そこで、コア素線を、シ
ース素線に比して太くすることで、最密の層
撚り構造におけるゴム浸透性を向上させたり
、或いは特許文献1の如く、コア素線に波状
型付け素線を用い、捻りながらシースと撚
合わすことで型付けを3次元化してゴム浸透
を向上させること等が提案されている。
しかしながら前者のものは、直径の異な 素線を準備する必要があり経済的ではなく 又コア素線を太くすると素線の断面積当た の引張強さが低下する傾向にあり軽量化に 影響を与える。又後者のものは、型付け加 によって強度低下が生じるため、コード打 こみ数等を増やすことが必要となるなど、 イヤの軽量化に悪影響を与える。
他方、特に高強度が必要とされるトラッ ・バス用やダンプカー用のタイヤのカーカ コード及び/又はビード補強コードでは、3 撚り構造のスチールコードが用いられる場 が多いが、この3層撚り構造の場合、内側の ースと外側のシースとの間で、素線同士に れ(フレッティング)が発生し、タイヤ走行 よって強度低下が発生するという問題もあ 。
そこで本発明は、この3層撚り構造のスチ ールコードにおいて、素線同士の擦れを減じ 、走行によるコード強度の低下を抑制すると ともに、ゴム浸透性を高め、タイヤの耐久性 を向上しうるタイヤ用のスチールコード及び それを用いた空気入りタイヤの提供を目的と している。
本願第1の発明はタイヤ用のスチールコード
であって、1本のコア素線からなるコアと、
のコアの周囲に撚りピッチPiで撚られたN本(2
~5本)の内シース素線からなる内側のシースと
、この内側のシースの周囲に撚りピッチPoで
られたM本(6~11本)の外シース素線からなる外
側のシースとからなる3層撚り構造のコード
体を具え、
前記コア素線と内シース素線と外シース素
とは直径daが互いに等しく、かつ該直径daは
0.15~0.25mmの範囲とするとともに、
前記内側のシースと外側のシースとは撚り
向が同一、
しかも前記内側のシースの撚りピッチPiは
前記直径daの25倍より大かつ100倍より小とし
かつ前記外側のシースの撚りピッチPoは、
記撚りピッチPiより大しかも前記直径daの42
より大かつ167倍より小とするとともに、
前記内シース素線の本数Nと外シース素線の
本数Mとの差(M-N)は4~6本の範囲とし、
しかも、前記内シース素線の撚り角度Aiと
シース素線の撚り角度Aoとの差(|Ai-Ao|)は、1°
より大かつ3°より小であることを特徴として
いる。
又本願第2の発明は、空気入りタイヤであ って、請求項1に記載のタイヤ用のスチール ードを、カーカスコード又はビード補強コ ドに用いたことを特徴としている。
本発明は叙上の如く、コアを1本の素線で 形成するため、コア内へのゴム浸透性不良を 回避できる。又内側のシースを2~5本の素線で 形成し、かつ外側のシースを6~11本の素線で 成しているため、各素線を同径としながら 、又素線に型付け加工を施すことなく、各 -ス内の素線間に充分な隙間を確保でき、ゴ 浸透性を高め錆に起因するコード強力の低 を抑制しうる。なお各素線を同径とするこ で、コア素線を太くすることに起因する引 強さの低下、及び型付け加工を施すことに 因する強度低下を防止できる。
又内側のシースと外側のシースとの撚り 向を同一とすることにより、シース間相互 おける素線同士の接触面積が高まり、素線 の単位面積当たりの接触圧を低減しうる。 に本発明では、内側のシースの素線の撚り 度Aiと外側のシースの素線の撚り角度Aoとの 差(|Ai-Ao|)を、1°より大かつ3°より小の範囲に 規制している。これにより前記接触圧を大幅 に減じることができ、フレッティングの発生 を高レベルで抑制し、前記ゴム浸透性の向上 と相俟って、タイヤの耐久性を向上しうる。
6C カーカスコード
9C ビード補強コード
15、21 スチールコード
16 コア
17 内側のシース
18 外側のシース
19 コード本体
f1 コア素線
f2 内シス素線
f3 外シース素線
以下、本発明の実施の一形態を、図示例と
もに説明する。
図1は本発明のスチールコードを用いた空気
入りタイヤの子午断面図である。
図1に示すように、空気入りタイヤ1は、 例ではトラック、バス用等の重荷重用タイ であって、トレッド部2からサイドウォール 3をへてビード部4のビードコア5に至るカー ス6と、トレッド部2の内部かつ前記カーカ 6の半径方向外側に配されるベルト層7と、ビ ード部4の内部に配されるビード補強層9とを 備して構成される。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイ ヤ周方向に対して例えば70~90°の角度で配列 た1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6A ら形成される。該カーカスプライ6Aは、前 ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両 に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向 内側から外側に折り返されるプライ折返し部 6bを一連に具える。このプライ本体部6aと折 し部6bとの間には、前記ビードコア5から半 方向外方に向かってのびる断面三角形状の ードエーペックスゴム8が配置され、ビード 4からサイドウォール部3にかけて補強され 。
又前記ベルト層7は、ベルトコードを用い た2枚以上(重荷重用タイヤの場合は通常3枚以 上)のベルトプライから形成される。本例で 、ベルト層7が、ベルトコードをタイヤ周方 に対して例えば60±15°の角度で配列した半 方向最内側の第1のベルトプライ7Aと、タイ 周方向に対して例えば10~35°の小角度で配列 た第2~4のベルトプライ7B~7Dとの4枚構造の場 を例示している。このベルトプライ7A~7Dは ベルトコードがプライ間で互いに交差する 所を1箇所以上設けて重置されることにより ベルト剛性を高めトレッド部2のほぼ全巾を タガ効果を有して強固に補強している。
次に、前記ビード補強層9は、ビード補強 コードをタイヤ周方向に対して10~50°の角度 配列した1枚以上、本例では1枚のビード補強 プライ9Aから形成される。このビード補強層9 は、本例では、前記プライ本体部6aのタイヤ 方向内側面に沿って立上がる内側部9iと、 記プライ折返し部6bのタイヤ軸方向外側面に 沿って立上がる外側部9oとを連ねた断面U字状 をなし、本例では、前記内側部9i、外側部9o 、プライ折返し部6bよりもタイヤ半径方向内 側で終端している。このビード補強層9は、 ード部4の曲げ剛性を高め、かつ荷重負荷時 おけるプライ折返し部6bに作用する圧縮応 及びプライ本体部6aに作用する引張応力を緩 和してビード耐久性を向上させることができ る。
そして本実施形態の空気入りタイヤ1では 、前記ビード補強層9に用いるビード補強コ ド9Cとして、図2、3に示す構造のスチールコ ド15を採用している。
このスチールコード15は、1本のコア素線f 1からなるコア16と、このコア16の周囲に撚り ッチPiで撚られたN本(2~5本)の内シース素線f2 からなる内側のシース17と、この内側のシー 17の周囲に撚りピッチPoで撚られたM本(6~11本 )の外シース素線f3からなる外側のシース18と らなる3層撚り構造のコード本体19を具える そして本例では、前記コード本体19の外側 、1本のラッピングワイヤ20が螺旋状に巻き けられた場合が例示されている。
詳しくは、前記コア素線f1と内シース素 f2と外シース素線f3とは直径daが互いに等し 、かつその直径daは0.15~0.25mmの範囲に設定さ ている。なおコア素線f1、内シース素線f2及 び外シース素線f3を総称して素線fという場合 がある。
ここで、素線fが太いと、その断面積当た りの引張強さが低下する傾向にあり、又大き な曲げ変形に対しても曲げ外側での表面歪み が大となる。従って、各素線fを同径とする とで、太い一部の素線fに荷重や歪みが集中 るのを抑えることができ、応力負担を均衡 して強力利用率を高めるため、コード耐久 に有利となる。又直径の異なる素線を準備 る必要がなく経済的であり、かつコードの り作業性を向上しうる。又前記素線fの直径 daが0.15mm未満では、カーカスコード6Cやビー 補強コード9Cとして使用する場合、細すぎて 耐カット性に劣るなど充分なコード強力を得 ることが難しくなる。逆に直径daが0.25mmを超 ると、前述の如く大きな曲げ変形に対して 表面歪みが大となって破断損傷しやすくな など耐久性の低下を招く。
又前記コード本体19では、コア16を1本の 線f1で形成するため、コア16内へのゴム浸透 不良を回避できる。又内側のシース17をN本( 2~5本)の素線f2で形成し、かつ外側のシース18 M本(6~11本)の素線f3で形成しているため、各 線fを同径としながらも、各シ-ス内の素線 に充分な隙間を確保でき、ゴム浸透性を高 錆に起因するコード強力の低下を抑制でき 。又素線への型付け加工が不要であるため 該型付け加工に起因するコード強力の低下 防止できる。
又このとき前記内シース素線f2の本数Nと シース素線f3の本数との差(M-N)が4~6本の範囲 であることが必要である。前記差(M-N)が4本未 満では、外シース素線f3間の間隔が広すぎて コードが不安定な形状となるという問題が じ、逆に差(M-N)が6本を超えると、外シース 線f3間の隙間がなくなる。なお外シース素 f3間の間隔を適正に保ち、コードの形状を安 定化させるために、前記本数Nは、3~5本が好 しく、4~5本がさらに好ましい。
又前記コード本体19では、内側のシース17 と外側のシース18とは撚り方向が同一であり しかも内側のシース17の撚りピッチPiは、前 記直径daの25倍より大かつ100倍より小とし、 つ前記外側のシース18の撚りピッチPoは、前 撚りピッチPiよりも大しかも前記直径daの42 より大かつ167倍より小としている。このシ ス17、18の撚り方向を同一とすることで、シ ース間相互における素線同士の接触面積を高 めることができ、素線f、f間の単位面積当た の接触圧を低減しうる。又撚りピッチPi、Po を前記の範囲に規制することで、コードの耐 疲労性と強度を確保できるという効果がある 。なお前記撚りピッチPiが素線fの直径daの25 以下では、コードの強度が低下するという 題があり、逆に100倍を超えると、コードの 疲労性の低下を招くという問題がある。又 記撚りピッチPoが素線fの直径daの42倍以下で 、コードの強度が低下するという問題があ 、逆に167倍を超えると、コードの耐疲労性 低下を招くという問題がある。
又本実施形態のコード本体19では、さらに
前記内側のシース17の素線f2の撚り角度Aiと
側のシース18の素線f3の撚り角度Aoとの差(|Ai-
Ao|)を、1°より大かつ3°より小の範囲に規制
ている。なお前記撚り角度Ai、Aoは、図3に示
すように、コードの軸方向に対する素線f2、f
3の傾き角度を意味し、撚りピッチPi、Poとの
には以下の関係がある。式中の符号Diは内
のシース17の直径、Doは外側のシース18の直
を意味する。
tan Ai=π×Di/Pi
tan Ao=π×Do/Po
前記撚り角度の差(|Ai-Ao|)を前記範囲に規 することにより、素線f2、f3間の接触圧を大 幅に減じることができ、素線f2、f3間のフレ ティングの発生を高レベルで抑制しうる。 お差(|Ai-Ao|)が3°以上では、例え前記シース17 、18の撚り方向を同一としたとしても、フレ ティング抑制効果の充分な確保は望めない 逆に、差(|Ai-Ao|)が1°以下では、内シース素 f2、f2間に、外シース素線f3が落ち込んでゴ 浸透性を悪化させるなど、安定したゴム浸 性の確保が難しくなる。又落ち込み部分で ードの曲げ剛性が局部的に変化し、新たな 傷の起点となりうる。
又前記スチールコード15をビード補強コ ド9Cとして使用する場合、前記コード本体19 外側に、1本のラッピングワイヤ20を螺旋状 巻き付け、コード本体19の素線fを集束する とが好ましい。これは、タイヤ走行時、ビ ド部4に大きな曲げ変形が繰り返し作用する からであり、もしラッピングワイヤ20がない 、曲げ変形時、素線fがバラバラになって局 部的な異常圧縮入力が素線fに加わり、素線f 座屈を起こし、フレッティングによる破断 りも早期に、破断に至る傾向を招くからで る。従って、ビード補強コード9Cでは、こ を防ぐため、ラッピングワイヤ20によって前 記コード本体19の素線fを集束している。この とき、前記ラッピングワイヤ20の直径drは前 素線fの直径daより小であり、又その巻き付 ピッチPrは、前記撚りピッチPoの15~30%と、小 ッチに設定される。なお巻き付けピッチPr 撚りピッチPoの15%未満では、ゴム浸透性を損 ねる傾向となり、逆に30%を超えると、素線f 集束性を不充分とする。
又ラッピングワイヤ20の巻き付け方向は 前記シース17、18の撚り方向と同一であり、 れにより、ラッピングワイヤ20と外シース 線f3との接触圧を減じて、該外シース素線f3 のフレッティングを軽減している。
なお前記素線f、及びラッピングワイヤ20 しては、特に規制されないが、例えば炭素 有量が0.65~0.88wt%の硬鋼線材が好適に採用し る。
次に、本例では、カーカスコード6Cにも 図4、5に示す構造のスチールコード21を採用 ている。このスチールコード21は、前記ス ールコード15とほぼ同構成であり、前記スチ ールコード15とはラッピングワイヤ20が除外 れていることのみ相違している。即ち、ス ールコード21は、コード本体19のみによって 成されており、従って本明細書では、スチ ルコード21の説明を省略する。なお前記ス ールコード21において、ラッピングワイヤ20 除外できる理由は、カーカスコード6Cは、 の両端がビードコア5によって係止されるた 、常時、充填内圧によってテンション力が 荷されているからである。従って、カーカ コード6Cでは、タイヤの曲げ変形時にも素 fがバラけることなく集束されているため、 ッピングワイヤ20を除外しうるのである。
なお空気入りタイヤ1では、ビード補強コ ード9Cに本発明に係わる前記スチールコード1 5を採用するとともに、カーカスコード6Cに、 従来的なスチールコード或いは有機繊維コー ドを採用することもできる。又逆に、ビード 補強コード9Cに従来的なスチールコードを採 するとともに、カーカスコード6Cに本発明 係わる前記スチールコード21を採用すること もできる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態に いて詳述したが、本発明は図示の実施形態 限定されることなく、種々の態様に変形し 実施しうる。
本発明の効果を確認すべく、図1の構造を 有しかつ表1の仕様のビード補強コード用い 重荷重用タイヤA(タイヤサイズ11R22.5)、及び 2の仕様のカーカスコードを用いた重荷重用 タイヤB(タイヤサイズ11R22.5)をそれぞれ作成 、前記ビード補強コード、及びカーカスコ ドのゴム浸透性、走行後の錆発生、走行後 強度保持性をそれぞれテストした。なお比 例1A、1Bのコードの断面形状は図6(A)に示され 、比較例2A、2Bのコードの断面形状は図6(B)に されている。
(1)ゴム浸透性:
タイヤからビード補強コード、及びカーカ
コードをトッピングゴムが付着した状態で
出し、このゴム付コードの表面からできる
りゴムを除去した後、コードを解体した。
して、コードを長さ方向に10cmにわたり観察
し、素線間にゴムが完全に充填されている部
分の長さを測定する。そしてゴムが完全に充
填されている部分の長さの前記10cmに対する
率をもってゴムの浸透率とする。上記測定
10本のコードについて行い、平均値をもって
そのコードの測定値とする。
(2)走行後の錆発生:
タイヤを約20万km走行させた後、タイヤを解
体してビード補強コード、及びカーカスコー
ドの錆の発生状況を観察した。評価は指数で
示し、数値が小さいほど錆の発生が少なく良
好である。
(3)走行後の強度保持率:
タイヤを約20万km走行させた後、タイヤを解
体してビード補強コード、及びカーカスコー
ドを取り出し、それぞれ走行前のコードの強
度(コード強力)を100とする指数で表示してい
。数値が大きいほど良好である。
