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Title:
STEEL SHEET, MEMBER, AND METHODS FOR PRODUCING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175665
Kind Code:
A1
Abstract:
The present invention addresses the problem of providing: a steel sheet and a member which have excellent cold workability and quenching properties, and have excellent surface hardness after quenching; and methods for producing same. The steel sheet according to the present invention has a predetermined composition and a microstructure containing ferrites and carbides, wherein: the volume ratio of the ferrites and the carbides to the entire microstructure is at least 90%; the volume ratio of proeutectoid ferrites to the entire microstructure is 20-80%; the concentration of Mn in the carbides is 0.10-0.50 mass%; and the ratio of the number of carbides having a particle diameter of at least 1 μm to the total number of the carbides is 30-60%.

Inventors:
MATSUI YOICHIRO (JP)
MIYAMOTO YUKA (JP)
YOKOTA TAKESHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/008223
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 28, 2020
Export Citation:
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Assignee:
JFE STEEL CORP (JP)
International Classes:
C21D9/46; C22C38/00; C22C38/18; C22C38/60
Domestic Patent References:
WO2015097891A12015-07-02
Foreign References:
JP2012241216A2012-12-10
JP2015146173A2015-08-13
JP2015117406A2015-06-25
Other References:
See also references of EP 3933055A4
Attorney, Agent or Firm:
KUMASAKA Akira et al. (JP)
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Claims:
\¥02020/175665 24 卩(:171? 2020 /008223

請求の範囲

[請求項 1] 質量%で、

0 : 〇. 1 0 %以上 0. 33 %以下、

3 I = 0. 01 %以上 0. 50 %以下、

M n : 0. 40 %以上 1. 25 %以下、

9 : 0. 03 %以下、

3 : 0. 01 %以下、

3〇 丨 . 八 丨 : 〇. 1 0 %以下、

N = 0. 01 %以下、 及び

〇 「 : 0. 50%以上 1. 50%以下を含有し、 残部が 6及び不 可避的不純物からなる成分組成と、 フェライ ト及び炭化物を含むミク 口組織とを有し、

ミクロ組織全体に対して前記フェライ ト及び炭化物が占める体積の 割合が 90%以上であり、 かつミクロ組織全体に対して初析フェライ 卜が占める体積の割合が 20 %以上 80 %以下であり、

前記炭化物中の IV! n濃度が〇. 1 0質量%以上〇. 50質量%以下 であり、 かつ、 前記炭化物の総数に対して、 粒径が 1 以上の炭化 物の数が占める割合が 30%以上 60%以下である鋼板。

[請求項 2] 前記成分組成は、 さらに、 質量%で、 巳 : 0%以上〇. 01 %以下 を含有する請求項 1 に記載の鋼板。

[請求項 3] 前記成分組成は、 さらに、 質量%で、 丁

6、 36のうち 1種以上を合計で〇. 002%以上〇. 03%以下を 含有する請求項 1又は請求項 2に記載の鋼板。

[請求項 4] 前記成分組成は、 さらに、 質量%で、 !\1 丨、 IV!〇のうちの 1種以上 を合計で〇. 01 %以上〇. 5%以下を含有する請求項 1から請求項 3までのいずれか一項に記載の鋼板。

[請求項 5] 前記成分組成は、 さらに、 質量%で、 N 13、 丁 し Vのうちの 1種 以上を合計で〇. 001 %以上〇. 05%以下を含有する請求項 1か \¥0 2020/175665 25 卩(:171? 2020 /008223

ら請求項 4までのいずれか一項に記載の鋼板。

[請求項 6] 請求項 1から請求項 5までのいずれか一項に記載の成分組成を有す る鋼素材を熱間粗圧延後、 仕上温度: 9 2 0 °〇以下で仕上圧延を行い 、 前記仕上温度から 7 0 0 °〇まで 5 0 °〇/ 3以下の平均冷却速度で冷 却した後、

巻取温度: 5 5 0 °〇以上 7 0 0 °〇以下で巻き取り、 ミクロ組織全体 に対して、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占める体積の割合を 2 0 %以上 8 0 %以下とし、 その後、

焼鈍温度: 7 0 0 °〇以上 〇 !変態点未満で焼鈍する鋼板の製造方 法。

[請求項· 7] 請求項 1から請求項 5までのいずれか _項に記載の成分組成を有す る鋼素材を熱間粗圧延後、 仕上温度: 9 2 0 °〇以下で仕上圧延を行い 、 前記仕上温度から 7 0 0 °〇まで 5 0 °〇/ 3以下の平均冷却速度で冷 却した後、

巻取温度: 5 5 0 °〇以上 7 0 0 °〇以下で巻き取り、 ミクロ組織全体 に対して、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占める体積の割合を 2 0 %以上 8 0 %以下とし、 その後、

八〇 1変態点以上 8 0 0 °〇以下の温度に加熱して 0 . 5時間以上保 持した後、 変態点未満に冷却して、 7 0 0 °〇以上八 「 1変態点 未満で 2 0時間以上保持して焼鈍する鋼板の製造方法。

[請求項 8] 請求項 1から請求項 5までのいずれか一項に記載の鋼板に対して、 成形加工及び熱処理の少なくとも一方を施してなる部材。

[請求項 9] 請求項 6又は請求項 7に記載の鋼板の製造方法によって製造された 鋼板に対して、 成形加工及び熱処理の少なくとも一方を施す工程を有 する部材の製造方法。

Description:
\¥02020/175665 1 卩(:17 2020 /008223 明 細 書

発明の名称 : 鋼板、 部材及びそれらの製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、 冷間加工性、 焼入れ性、 及び焼入れ後表層硬さに優れた鋼板、 部材及びそれらの製造方法に関する。

背景技術

[0002] 自動車用駆動系部品等の多くの機械構造部品 は、 機械構造用炭素鋼鋼材又 は機械構造用合金鋼鋼材である熱延鋼板を、 冷間加工によって製品形状とし た後、 所望の硬さを確保するために熱処理を施して 製造されることが多い。 このため、 素材となる熱延鋼板には優れた冷間加工性、 焼入れ性、 及び焼入 れ後表層硬さが必要とされ、 これまでに種々の鋼板が提案されている。

[0003] 例えば、 特許文献 1 には、 質量%で、 〇 : 〇. 20〜〇. 40%, 3 I :

〇. 1 0 %以下、 M n : 0. 50 %以下、 9 : 0. 03 %以下、 3 : 0. 0 1 0 %以下、 3〇 丨 . 八 丨 : 〇. 1 0 %以下、 1\1 : 0. 005 %以下、 巳 : 〇. 0005〜〇. 0050%を含有し、 さらに

のうち 1種以上を合計で〇. 002〜〇. 03%含有し、 残部が 6及び不可避的不純物からなる組成を有し、 巳含有量に占める固溶巳量の 割合が 70%以上であり、 フェライ トと炭化物からなり、 当該フェライ ト粒 内の炭化物密度が〇. 〇 8個/ 2 以下であるミクロ組織を有し、 硬さが !! 巳で 73以下、 全伸びが 39%以上であることを特徴とする高炭素熱延鋼 板が記載されている。

[0004] また、 特許文献 2には、 質量%で、 0 : 0. 1 0〜〇. 70%、 3 I : 0 . 01〜 1. 0%、 〇. 1〜 3. 0%、 9 : 〇. 001〜〇. 025

%、 3 : 〇. 0001〜〇. 01 0%、 八 丨 : 〇. 001〜〇. 1 0%、

: 〇. 001〜〇. 01 0%を含有し、

さらに、 丁 1 : 〇. 01〜〇. 20%、 01 ~ 1. 50%、 1\/1〇 : 〇. 01〜 0 50%、 巳 : 〇. 0001〜〇. 01 0%、 : 〇· 0 \¥02020/175665 2 卩(:171? 2020 /008223

01〜 0 1 0%、 V : 〇. 001〜〇. 2%、 〇リ : 〇· 001〜 0 4 %、 : 0. 001〜〇. 5%、 7 a : 0. 001〜〇. 5%、 1\1 丨 : 〇. 001〜 0 5%、 〇. 001〜〇. 03%、 03 : 0. 001〜〇 . 03%、 丫 : 〇. 001〜〇. 03%、 å r : 0. 001〜〇. 03%、

L a : 0. 001〜 0 03%、 0 ø : 0. 001〜 0 030%の内の 1 種又は 2種以上を含有し、 残部が 6 及び不純物からなる鋼板であり、 鋼板 表層から板厚方向 200 までの領域において、 (1 1 0) 面が鋼板表面 に対して ±5° 以内の平行度におさまる結晶方位の集積度が 2. 5以上であ ることを特徴とする打抜き性に優れる高炭素 熱延鋼板が提案されている。 先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :再表 201 5 - 1 46 1 73号公報

特許文献 2 :特開 201 5 _ 1 1 7406号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] 特許文献 1 に記載される技術では、 炭素含有量が〇. 20〜〇. 40質量 %の鋼において、 焼入れ性を高める合金元素である 1\1 丨、 〇 「、 1\/1〇のうち 1種以上が合計で〇. 50質量%以下しか含有されておらず、 板厚がより厚 く中心部までの完全な焼入れを要する自動車 用部品等には不適である。

[0007] 特許文献 2では、 鉄の体心立方格子の (1 1 0) 面が鋼板表面に対して土

5° 以内の平行度におさまる結晶方位の集積度を 2. 5以上に制御すること により、 打ち抜き性を高めている。 しかしながら、 焼入れ後の硬さや、 焼入 れ後表層硬さに関しての記載はされていない 。

[0008] 本発明は、 上記問題を解決し、 冷間加工性、 焼入れ性、 及び焼入れ後表層 硬さに優れた鋼板、 部材及びそれらの製造方法を提供することを 目的とする 課題を解決するための手段 \¥02020/175665 3 卩(:171? 2020 /008223

[0009] 本発明者らは鋭意検討した結果、 鋼板を、 所定の成分組成を有し、 ミクロ 組織中のフェライ ト及び炭化物が所定の関係を満たすようにす ることで、 冷 間加工性、 焼入れ性、 及び焼入れ後表層硬さに優れた鋼板が得られ るという 知見を初めて得た。 本発明は以上のような知見に基づいてなされ たものであ り、 以下を要旨とする。

[ 1] 質量%で、

0 : 〇. 1 0 %以上 0. 33 %以下、

3 I = 0. 01 %以上 0. 50 %以下、

M n : 0. 40 %以上 1. 25 %以下、

9 : 0. 03 %以下、

3 : 0. 01 %以下、

3〇 丨 . 八 丨 : 〇. 1 0 %以下、

N = 0. 01 %以下、 及び

〇 「 : 0. 50%以上 1. 50%以下を含有し、 残部が 6 及び不可避的 不純物からなる成分組成と、 フェライ ト及び炭化物を含むミクロ組織とを有 し、

ミクロ組織全体に対して前記フェライ ト及び炭化物が占める体積の割合が 90%以上であり、 かつミクロ組織全体に対して初析フェライ トが占める体 積の割合が 20 %以上 80 %以下であり、

前記炭化物中の IV! n 濃度が〇. 1 0質量%以上〇. 50質量%以下であり 、 かつ、 前記炭化物の総数に対して、 粒径が 1 以上の炭化物の数が占め る割合が 30 %以上 60 %以下である鋼板。

[2] 前記成分組成は、 さらに、 質量%で、 巳 : 0%以上 0. 01 %以下を 含有する [1] に記載の鋼板。

[3] 前記成分組成は、 さらに、 質量%で、 巳 丨、 〇㊀、 丁㊀ 、 36のうち 1種以上を合計で〇. 002%以上〇. 03%以下を含有する

[ 1] 又は [2] に記載の鋼板。

[4] 前記成分組成は、 さらに、 質量%で、 !\1 丨、 IV!〇のうちの 1種以上を \¥0 2020/175665 4 卩(:171? 2020 /008223

合計で〇. 0 1 %以上〇. 5 %以下を含有する [1] から [3] までのいず れか一つに記載の鋼板。

[5] 前記成分組成は、 さらに、 質量%で、 N 13、 丁 し Vのうちの 1種以 上を合計で〇. 0 0 1 %以上〇. 0 5 %以下を含有する [1] から [4] ま でのいずれか一つに記載の鋼板。

[6] [1] から [5] までのいずれか一つに記載の成分組成を有す る鋼素 材を熱間粗圧延後、 仕上温度: 9 2 0 ° 〇以下で仕上圧延を行い、 前記仕上温 度から 7 0 0 ° 〇まで 5 0 ° 〇/ 3以下の平均冷却速度で冷却した後、

巻取温度: 5 5 0 ° 〇以上 7 0 0 ° 〇以下で巻き取り、 ミクロ組織全体に対し て、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占める体積の割合を 2 0 %以上 8 0 %以下とし、 その後、

焼鈍温度: 7 0 0 °〇以上 〇 ! 変態点未満で焼鈍する鋼板の製造方法。

[7] [1] から [5] までのいずれか一つに記載の成分組成を有す る鋼素 材を熱間粗圧延後、 仕上温度: 9 2 0 ° 〇以下で仕上圧延を行い、 前記仕上温 度から 7 0 0 ° 〇まで 5 0 ° 〇/ 3以下の平均冷却速度で冷却した後、

巻取温度: 5 5 0 ° 〇以上 7 0 0 ° 〇以下で巻き取り、 ミクロ組織全体に対し て、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占める体積の割合を 2 0 %以上 8 0 %以下とし、 その後、

八〇 1 変態点以上 8 0 0 ° 〇以下の温度に加熱して 0 . 5時間以上保持した後 、 変態点未満に冷却して、 7 0 0 °〇以上 「!変態点未満で 2 0時間以 上保持して焼鈍する鋼板の製造方法。

[8] [1] から [5] までのいずれか一つに記載の鋼板に対して、 成形加 エ及び熱処理の少なくとも一方を施してなる 部材。

[9] [6] 又は [7] に記載の鋼板の製造方法によって製造された 鋼板に 対して、 成形加工及び熱処理の少なくとも一方を施す 工程を有する部材の製 造方法。

発明の効果

[0010] 本発明によれば、 冷間加工性、 焼入れ性、 及び焼入れ後表層硬さに優れた \¥02020/175665 5 卩(:171? 2020 /008223

鋼板、 部材及びそれらの製造方法を提供することが できる。 本発明の鋼板は 、 冷間加工性、 焼入れ性、 及び焼入れ後表層硬さに優れるため、 素材鋼板に 冷間加工性及び熱処理後の焼入れ硬さが必要 とされる、 ギア、 ミッション、 シートリクライナーなどの自動車用部品に好 適に適用できる。

発明を実施するための形態

[0011] 以下に、 本発明の鋼板及びその製造方法について詳細 に説明する。

[0012] 鋼板の成分組成、 ミクロ組織、 製造条件の順で説明する。 なお、 成分組成 の含有量の単位である 「%」 は、 特に断らない限り 「質量%」 を意味するも のとする。

[0013] 1) 成分組成

0 : 〇. 1 0 %以上 0. 33 %以下

〇は、 焼入れ後の強度を得るために重要な元素であ る。 0含有量が 0. 1 〇 %未満の場合、 部品形状に成形した後の熱処理によって所望 の硬さが得ら れないため、 〇含有量は 0. 1 0%以上とする。 板厚 1 /4 (1 /41:) の 位置において、 熱処理後により大きなピッカース硬さ (1 ~ 1 ) を得る観点か らは、 〇含有量は〇. 1 8%以上とすることが好ましい。 一方、 〇含有量が 〇. 33%を超えると硬質化し、 靭性や冷間加工性が劣化する。 したがって 、 〇含有量は〇. 33%以下とする。 強加工を必要とする部品に用いられる 場合には、 冷間加工性を確保する観点から、 〇. 28%以下とすることが好 ましい。

[0014] 3 1 : 0. 01 %以上〇. 50%以下

3 I は焼戻しに伴う軟化を抑制する効果があると ともに、 固溶強化により 強度を上昇させる元素である。 3 丨含有量の増加とともに硬質化し、 冷間加 エ性が劣化するため、 3 丨含有量は〇. 50 %以下であり、 好ましくは〇.

33%以下である。 一方、 過度に 3 丨含有量を低減すると、 3 丨の焼き戻し 軟化抑制の効果が得にくくなるため、 3 丨含有量は〇. 01 %以上であり、 好ましくは〇. 1 5%以上である。

\¥02020/175665 6 卩(:171? 2020 /008223

IV! nは焼入れ性を向上させるとともに、 固溶強化により強度を上昇させる 元素である。 Mn含有量が 1. 25%を超えると、 Mnの偏析に起因したバ ンド組織が発達し、 組織が不均一になるため、 冷間加工性が低下する。 した がって、 IV! n含有量は 1. 25 %以下であり、 好ましくは 1. 00 %以下で ある。 一方、 IV! n含有量が 0. 40 %未満になると焼入れ性が低下し始める ため、 IV! n含有量は〇. 40%以上であり、 好ましくは〇. 50%以上であ る。

[0016] 9 : 〇. 03%以下

は冷間加工性及び焼入れ後の靭性を低下させ る元素であり、 ?含有量が 〇. 〇 3%を超えて増加すると粒界脆化を招き、 焼入れ後の靭性が劣化する 。 したがって、 含有量は〇. 03%以下とする。 優れた焼入れ後の靭性を 得るには、 含有量は 0. 02 %以下が好ましい。 含有量は少ないほど好 ましいが、 過度に 含有量を低減すると精錬コストが増大するた め、 含有 量は〇. 002 %以上が好ましい。

[0017] 3 : 0. 01 %以下

3含有量が〇. 01 %を超えると、 硫化物を形成し、 鋼板の冷間加工性及 び焼入れ後の靭性が著しく劣化する。 したがって、 3含有量は〇. 01 %以 下とする。 優れた冷間加工性及び焼入れ後の靭性を得る には、 3含有量は 0 . 005 %以下が好ましい。 3含有量は少ないほど好ましいが、 過度に 3を 低減すると精錬コストが増大するため、 3含有量は〇. 0002%以上が好 ましい。

[0018] 3〇 丨 . 八 丨 : 〇. 1 0%以下

〇 丨 . 丨含有量が 0. 1 0%を超えると、 焼入れ処理の加熱時に八 丨 1\1が生成してオーステナイ ト粒が微細化し、 冷却時にフェライ ト相の生成が 促進され、 組織がフェライ トとマルテンサイ トとなり、 焼入れ後の硬さが低 下する。 したがって、 3〇 丨 .八 丨含有量は〇. 1 0%以下とし、 好ましくは 〇. 06%以下とする。 八 I は溶鋼中にアルミナ系介在物を形成し、 錶造時 のノズル詰まりの要因となるため、 3〇 I . 八 丨含有量は少ないほど好まし \¥02020/175665 7 卩(:171? 2020 /008223

く、 下限は特に規定しないが、 精錬コスト増大の観点から、 30 1. 八 I含 有量は〇. 001 %以上が好ましい。

[0019] N = 0. 01 %以下

!\!含有量が 0. 01 %を超えると、 I 1\!の形成により焼入れ処理の加熱 時にオーステナイ ト粒が微細化し、 冷却時にフェライ ト相の生成が促進され 、 焼入れ後の硬さが低下する。 したがって、 1\1含有量は〇. 01 %以下であ り、 好ましくは〇. 0050 %以下である。 なお、 下限は特に規定しないが 、 1\1は八 I 1\1、 〇 系窒化物及び IV!〇系窒化物を形成し、 これにより焼入れ 処理の加熱時にオーステナイ ト粒の成長を適度に抑制し、 焼入れ後の靭性を 向上させる元素であるため、 1\1含有量は〇. 0005%以上が好ましい。

[0020] 〇 「 : 0. 50 %以上 1. 50 %以下

〇 「は焼入れ性を高める重要な元素であり、 含有量が〇. 50%未満 の場合、 十分な効果が認められないため、 〇 含有量は〇. 50%以上であ り、 好ましくは〇. 70%以上である。 一方、 〇 「が1. 50%を超えると 、 焼入れ前の鋼板が硬質化して冷間加工性が損 なわれるため、 ·! . 50%以 下とする。 なお、 プレス成形の難しい高加工を必要とする部品 を加工する際 にはより一層優れた冷間加工性を必要とする ため、 1. 25 %以下が好まし く、 1. 20 %以下がより好ましい。

[0021] 上記成分が本発明の必須成分である。 なお、 本発明において、 必要に応じ て以下の元素を含有しても良い。

[0022] 巳 : 0%以上 0. 01 %以下

巳は焼入れ性を高める重要な元素であり、 〇. 01 %以下添加することが 好ましい。 巳含有量が〇. 01 %を超えると、 仕上げ圧延後のオーステナイ 卜の再結晶化が遅延する。 この結果、 熱延鋼板の圧延集合組織が発達し、 焼 鈍後の鋼板の機械特性値の面内異方性が大き くなる。 これにより、 絞り成形 において耳が発生しやすくなり、 また真円度が低下して、 成形時に不具合を 生じやすくなる。 このため、 含有する場合は、 巳含有量を〇. 01 %以下と することが好ましい。 なお、 巳が 0%でも本発明の効果は得られるので、 巳 \¥02020/175665 8 卩(:171? 2020 /008223

は 0%でもよい。 ただし、 本発明の熱間圧延における仕上げ圧延後の冷 却速 度の条件のもとでは、 巳含有量が〇. 0005%未満の場合、 フェライ ト変 態を遅延させる固溶巳含有量が不足する可能 性があり、 十分な焼入れ性向上 効果が得られない場合がある。 よって、 含有する場合は、 巳含有量を 0. 0 005 %以上とすることが好ましく、 より好ましくは〇. 001 0 %以上で ある。

[0023] 巳 丨、 06 % 丁㊀、 36のうち 1種以上を合計で〇. 002

%以上〇. 03%以下

31-1, 巳 し 06, 7 e s 3㊀は表層からの浸窒抑制に重要な元素 である。 これら元素のうち 1種以上の合計の含有量が〇. 002%未満の場 合、 十分な効果が認められない。 このため、 含有する場合は合計で 0. 00 2%以上とすることが好ましく、 〇. 005%以上とすることがより好まし い。 一方、 これらの元素を合計で〇. 〇 3%を超えて含有しても、 浸窒防止 効果は飽和する。 また、 これらの元素は粒界に偏析する傾向があり、 これら の元素の含有量を合計で〇. 03%超えとすると、 含有量が多くなりすぎて 、 粒界脆化を引き起こす可能性がある。 したがって、 3匕、 S n、 巳 し ◦ 6、 丁 6、 36のうち 1種以上の合計は〇. 03%以下とすることが好まし く、 〇. 02%以下とすることがより好ましい。 また、 このように浸窒を抑 制できるため、 鋼板中に巳を含有する場合において、 焼入れ性向上に寄与す る固溶巳が巳 1\1として窒化物を形成するのを抑制する効果 がある。

[0024] 1\! し 1\/1〇のうちの 1種以上を合計で〇. 01 %以上〇. 5 %以下

1\! し IV!〇は焼入れ性を高める重要な元素であり、 〇 「含有のみでは焼入 れ性が不十分な場合に焼入れ性を向上させる 。 また、 焼戻し軟化抵抗を抑制 する効果を有する。 このような効果を得るため、 含有する場合は、 合計の含 有量を〇. 01 %以上とすることが好ましく、 〇. 1 %以上とすることがよ り好ましい。 一方、 1\1 し 1\/1〇のうちの 1種以上を合計で〇. 5%を超えて 含有すると、 焼入れ前の鋼板が硬質化して冷間加工性が損 なわれる場合があ るため、 含有する場合は合計で〇. 5%以下とすることが好ましい。 なお、 \¥02020/175665 9 卩(:171? 2020 /008223

プレス成形の難しい高加工を必要とする部 品を加工する際にはより一層優れ た冷間加工性を必要とするため、 合計で〇. 3%以下がより好ましい。

[0025] 丁 丨及び Vのうちの 1種以上を合計で〇. 001 %以上〇. 05% 以下

丁 丨及び Vは、 1\1と窒化物を形成することにより耐摩耗性の 向上に 寄与するとともに、 鋼板中に巳を含有する場合において、 焼入れ性向上に寄 与する固溶巳が巳 1\1として窒化物を形成するのを抑制する効果 がある。 この ような効果を得るため、 含有する場合は、 合計で〇. 001 %以上とするこ とが好ましい。 一方、 丁 丨及び Vのうちの 1種以上を合計で 0. 05 %を超えて含有すると、 炭化物等の析出物を生成し、 焼入れ前の鋼板が硬質 化して冷間加工性が損なわれる可能性がある ため、 合計で〇. 05%以下と することが好ましく、 〇. 03%以下とすることがより好ましい。

[0026] 上記した成分以外の残部は、 6 及び不可避的不純物からなる。 また、 上 記任意成分を成分組成に下限未満で含む場合 、 下限未満で含まれる任意成分 は、 不可避的不純物に含まれるものとする。 また、 不可避的不純物としては 、 0 : 0.005%以下、 IV! 9 : 0.003%以下、 が許容できる。 また、 本 発明の効果を損なわない成分として、 〇リ : 0.04%以下を含有することが できる。

[0027] 2) ミクロ組織

本発明の鋼板は、 フェライ ト及び炭化物を含むミクロ組織を有する。

[0028] ミクロ組織全体に対してフヱライ ト及び炭化物が占める体積の割合が 90 %以上

フェライ トと炭化物以外に、 ベイナイ トやマルテンサイ ト、 パーライ トな どの残部組織を含む場合、 冷間加工性や打抜き性が損なわれるため、 フェラ イ ト及び炭化物の占める体積の割合は、 ミクロ組織全体に対して 90%以上 であり、 好ましくは 95 %以上である。

[0029] ミクロ組織全体に対して初析フェライ トが占める体積の割合が 20%以上

80 %以下 \¥02020/175665 10 卩(:171?2020/008223

本発明でいう初析フェライ トとは、 結晶粒内で炭化物が占める体積の割合 が 5 %未満のフェライ トのことをいう。 初析フェライ トは、 熱間圧延後の冷 却過程で初晶として析出した、 実質的に炭化物をほとんど含まないフェライ 卜であり、 鋼板の冷間加工性向上に寄与する。 このような効果を十分に得る ために、 初析フェライ トの組織全体に占める体積の割合は 2 0 %以上であり 、 好ましくは 2 5 %以上である。 また、 初析フェライ トの組織全体に占める 体積の割合が 8 0 %を超えると、 熱間圧延後のミクロ組織にパーライ トやべ イナイ ト等の第二相が生成して、 焼鈍後の炭化物の分布が不均一になり、 焼 入れ後の硬度分布が不均一となる。 そのため、 初析フェライ トの組織全体に 占める体積の割合は 8 0 %以下であり、 好ましくは 6 0 %以下である。

[0030] 炭化物中の IV! n 濃度が〇. 1 0質量%以上〇. 5 0質量%以下であり、 か つ、 炭化物の総数に対して、 粒径が 1 以上の炭化物の数が占める割合が 3 0 %以上 6 0 %以下

本発明でいう 「炭化物中の IV! 濃度」 は、 炭化物中の IV! の平均濃度であ り、 例えば、 実施例に記載の方法で測定することができる 。 炭化物中の IV! n 濃度及び炭化物の粒径は、 焼入れ後の表層硬さと相関を有する。 炭化物中に IV! n が濃化し、 かつ炭化物の粒径が十分大きい場合、 部品成型後の熱処理の 加熱の際に炭化物が溶解しにくくなることに より、 若干の未溶解炭化物が生 じやすくなり、 鋼板表層に未溶解炭化物が存在することで、 焼入れ後の表層 硬さが向上する。 このような効果を得るため、 炭化物中の IV! 濃度は 0 . 1 〇質量%以上とし、 かつ炭化物の総数に対して、 粒径が 1 以上の炭化物 の数が占める割合を 3 0 %以上とする。 炭化物中の IV! n 濃度は好ましくは 0 . 1 5質量%以上である。 また、 炭化物の総数に対して、 粒径が 1 以上 の炭化物の数が占める割合は好ましくは 3 5 %以上である。 一方、 炭化物中 の1\/1 n 濃度及び炭化物の粒径が大きすぎる場合 、 熱処理時に生じる未溶解炭 化物の量が過度に多くなり、 十分な焼入れ硬さが得られないため、 炭化物中 のM n濃度は〇. 5 0質量%以下とし、 炭化物の総数に対して、 粒径が 1 以上の炭化物の数が占める割合は 6 0 %以下とする。 炭化物中の IV! n濃度 \¥0 2020/175665 1 1 卩(:171? 2020 /008223

は好ましくは〇. 3 0質量%以下である。 また、 炭化物の総数に対して、 粒 径が 1 以上の炭化物の数が占める割合は好ましくは 5 0 %以下、 より好 ましくは 4 0 %以下である。

[0031 ] 3) 製造条件

本発明の鋼板は、 上記の成分組成を有する鋼素材を熱間粗圧延 後、 仕上温 度: 9 2 0 °〇以下で仕上圧延を行い、 仕上温度から 7 0 0 °〇まで 5 0 °〇/ 3 以下の平均冷却速度で冷却した後、 巻取温度: 5 5 0 °〇以上 7 0 0 °〇以下で 巻き取り、 ミクロ組織全体に対して、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占 める体積の割合を 2 0 %以上 8 0 %以下とし、 その後、 焼鈍を行うことによ り製造される。

[0032] 焼鈍は、 下記 (1) 又は (2) によって行うことができる。

( 1) 焼鈍温度: 7 0 0 °〇以上 〇 1 変態点未満で焼鈍する。

(2) 八〇 1 変態点以上 8 0 0 °〇以下の温度に加熱して 0 . 5時間以上保持し た後、 「!変態点未満に冷却して、 7 0 0 °〇以上 「!変態点未満で 2 0時 間以上保持して焼鈍する。

[0033] なお、 本発明の鋼板の板厚は特に限定されないが、 1 . 0

以下とすることが好ましい。

[0034] 以下、 本発明の鋼板の製造方法における各条件の限 定理由について説明す る。 製造方法で示す温度は、 鋼素材、 鋼板等の表面温度を意味する。

[0035] なお、 本発明において、 鋼素材の製造方法は、 特に限定する必要はない。

本発明の鋼を溶製するには、 転炉、 電気炉どちらも使用可能である。 また、 こうして溶製された鋼は、 造塊一分塊圧延又は連続錶造によりスラブと され る。 スラブは、 通常、 加熱された後、 熱間圧延 (熱間粗圧延、 仕上げ圧延) される。 スラブを加熱して熱間圧延する場合は、 スケールによる表面状態の 劣化を避けるためにスラブ加熱温度を 1 2 8 0 °〇以下とすることが好ましい 。 熱間圧延では、 所定の温度で仕上げ圧延を行うため、 熱間圧延中にシート パ—ヒータ—等の加熱手段により被圧延材の 加熱を行ってもよい。

[0036] 仕上温度: 9 2 0 °◦以下で仕上圧延 \¥02020/175665 12 卩(:171?2020/008223

仕上温度を 9 2 0 °〇以下とすることにより、 オーステナイ トに歪が導入さ れてフェライ ト変態が加速し、 冷間加工性向上に寄与する初析フェライ トを 得ることができる。 このため、 仕上温度は 9 2 0 ° 〇以下であり、 好ましくは 9 1 5 ° 〇以下である。 下限については特に規定しないが、 粗圧延時の圧延荷 重低減の観点から、 仕上温度は 8 0 0 ° 〇以上であることが好ましい。 なお、 仕上温度は鋼板の表面温度である。

[0037] 仕上温度から 7 0 0 ° 〇まで 5 0 ° 〇/ 3以下の平均冷却速度で冷却

仕上温度から 7 0 0 °〇以上の温度範囲は IV! n が容易に拡散できる温度範囲 であり、 この温度範囲を徐冷することにより、 炭化物中に 及び(3 「を濃 化させることができる。 この温度範囲における平均冷却速度が 5 0 ° 〇/ 3を 超える場合、 上記の効果が不十分となるため、 平均冷却速度は 5 0 ° 〇/ 3以 下である。 平均冷却速度は、 好ましくは 4 0 ° 〇/ 3以下である。 また、 平均 冷却速度の下限は特に限定されないが、 炭化物への IV! の過剰な拡散を抑制 する観点から、 2 0 °〇/ 3以上であることが好ましい。

[0038] 巻取温度 = 5 5 0。0以上 7 0 0。0以下

仕上圧延後の熱延鋼板は、 コイル形状に巻き取られる。 巻取温度が高すぎ ると熱延鋼板の強度が低くなり過ぎて、 コイル形状に巻き取られた際、 コイ ルの自重で変形する場合があるため、 操業上好ましくない。 したがって、 卷 取温度は 7 0 0 °〇以下であり、 好ましくは 6 8 0 °〇以下である。 一方、 巻取 温度が低すぎると、 十分な量の初析フェライ トが得られず、 熱延鋼板が硬質 化するため好ましくない。 したがって巻取温度は 5 5 0 ° 〇以上であり、 好ま しくは 5 8 0 °〇以上であるとする。 また、 巻取温度を 5 8 0 °〇以上 6 8 0 °〇 以下の温度域にする場合、 初析フェライ トを安定して得るために 7 0 0 ° 〇か ら卷取温度までの平均冷却速度を 4 0 °〇 以下とすることが好ましい。 なお 、 卷取温度は鋼板の表面温度である。

[0039] ミクロ組織全体に対して、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占める体積 の割合を 2 0 %以上 8 0 %以下

熱間圧延後の鋼板のミクロ組織に初析フェラ イ トを含むことにより、 焼鈍 \¥0 2020/175665 13 卩(:171? 2020 /008223

後の鋼板のミクロ組織に、 粒内に実質的に炭化物を含まないフェライ トを導 入することができる。 また、 この初析フェライ トの粒径は大きいほど冷間加 エ性に優れる。 このため、 熱間圧延後の鋼板のミクロ組織全体に対して 、 粒 径 3 以上の初析フェライ トが占める体積の割合は 2 0 %以上であり、 好 ましくは 2 5 %以上である。 また、 ミクロ組織全体に対して、 粒径 3 以 上の初析フェライ トが占める体積の割合が 8 0 %を超えると、 熱間圧延後の ミクロ組織にパーライ トやベイナイ ト等の第二相が生成して、 焼鈍後の炭化 物の分布が不均一になり、 焼入れ後の硬度分布が不均一となる。 そのため、 ミクロ組織全体に対して、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占める体積の 割合は 8 0 %以下であり、 好ましくは 6 0 %以下である。 上述した仕上温度 と卷取温度の条件を両方満たすように実施す ることで、 ミクロ組織全体に対 して、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占める体積の割合を、 上記本発明 の範囲内に調整することができる。

[0040] 本発明の熱延鋼板の製造方法では、 以下の焼鈍条件 (1) 又は (2) で焼 鈍を行う。

[0041 ] 焼鈍条件 (1) :焼鈍温度が 7 0 0 °◦以上 〇 ! 変態点未満で焼鈍

上記のようにして得た熱延鋼板に、 焼鈍 (炭化物の球状化焼鈍) を施す。 焼鈍温度が 〇 1 変態点以上であると、 オーステナイ トが生成し、 焼鈍後の冷 却過程において粗大なパーライ ト組織が形成され、 不均一な組織となる。 こ のため、 焼鈍温度は 〇 1 変態点未満とする。 なお、 フェライ ト粒内の炭化物 粒の個数密度を所望の値とする上で、 焼鈍温度は 7 0 0 ° 〇以上であり、 好ま しくは 7 1 0 ° 〇以上である。 なお、 雰囲気ガスは窒素、 水素、 窒素と水素の 混合ガスのいずれも使用でき、 これらのガスを使用することが好ましいが、 八 「を使用してもよく、 特に限定されない。 また、 焼鈍時間は〇. 5〜 4 0 時間とすることが好ましい。 目標とするミクロ組織を安定して得ることが で き、 鋼板の硬度を所定の値以下とすることができ るため、 焼鈍時間は 0 . 5 時間以上とすることが好ましく、 8時間以上とすることがより好ましい。 ま た、 焼鈍時間が 4 0時間を超えると、 生産性が低下し、 製造コストが過大と \¥0 2020/175665 14 卩(:171? 2020 /008223

なりやすいため、 焼鈍時間は 4 0時間以下とすることが好ましく、 3 5時間 以下とすることがより好ましい。 なお、 焼鈍温度は鋼板の表面温度とする。 また焼鈍時間は、 所定の温度を維持している時間とする。

[0042] 焼鈍条件 (2) : 八〇 変態点以上 8 0 0 °〇以下の温度に加熱して〇. 5時 間以上保持した後、 変態点未満に冷却して、 7 0 0 °〇以上 「 変態点 未満で 2 0時間以上保持

上記の熱延鋼板を、 変態点以上 8 0 0 ° 〇以下の温度に加熱して 0 . 5 時間以上保持することにより、 熱延鋼板中に析出していた比較的微細な炭化 物が溶解し、 固溶〇量が多いオーステナイ トが一部生成する。 一方、 オース テナイ トに変態せずに残ったフェライ トは高温で焼鈍されるため、 転位密度 が減少して軟化する。 また、 フェライ ト中には溶解しなかった比較的粗大な 炭化物 (未溶解炭化物) が残存するが、 オストワルド成長により、 より粗大 になる。 焼鈍温度が八〇 1 変態点未満では、 オーステナイ ト変態が生じないた め、 炭化物を才ーステナイ ト中に固溶させることができない。 したがって、 焼鈍温度は 〇 1 変態点以上であり、 好ましくは ( 〇 1 変態点 + 1 0 ° 〇 以 上である。 焼鈍温度が 8 0 0 ° 〇を超えると、 オーステナイ トが粗大に生成す るため、 この後の冷却過程において才ーステナイ ト域が球状化せずにパーラ イ トが生成し、 冷間加工性が低下する。 したがって、 焼鈍温度は 8 0 0 ° 〇以 下であり、 好ましくは 7 6 0 ° 〇以下である。 また、 八〇 1 変態点以上 8 0 0 ° 〇 以下の温度での保持時間が〇. 5時間未満では、 微細な炭化物を十分に溶解 させることができない。 このため、 八〇 1 変態点以上 8 0 0 ° 〇以下の温度に加 熱して 0 . 5時間以上保持することとし、 1時間以上保持することが好まし い。

[0043] その後、 八 変態点未満に冷却して、 7 0 0 °〇以上八 「!変態点未満で 2

0時間以上保持することにより、 才ーステナイ ト、 又は才ーステナイ ト/フ ェライ ト界面を核として比較的粗大な炭化物が析出 して炭化物の球状化率が 高い組織を得ることができ、 さらにオストワルド成長により、 粗大な球状炭 化物をさらに成長させ、 冷間加工性や打抜き性の低下を招く微細な炭 化物の \¥0 2020/175665 15 卩(:171? 2020 /008223

数を低減させることができる。 焼鈍温度が 7 0 0 ° 〇未満の場合、 炭化物の成 長が不十分となる。 したがって、 焼鈍温度は 7 0 0 ° 〇以上であり、 好ましく は 7 1 0 °〇以上である。 また、 焼鈍温度が 変態点以上の場合、 才ーステ ナイ トが粗大に成長し、 冷却時に加工性の低下の原因となるパーライ トが生 成する。 したがって、 焼鈍温度は 変態点未満である。 7 0 0 °〇以上八 「

! 変態点未満の温度での保持時間が 2 0時間未満の場合、 炭化物を十分に成長 させることができず、 冷間加工性が低下する。 このため、 変態点未満に 冷却して、 7 0 0 °〇以上 「 1 変態点未満で 2 0時間以上保持することとする 。 保持時間は好ましくは 2 5時間以上である。

[0044] なお、 雰囲気ガスは窒素、 水素、 窒素と水素の混合ガスのいずれも使用で き、 これらのガスを使用することが好ましいが、 八 「を使用してもよく、 特 に限定されない。

[0045] 本発明の部材は、 本発明の鋼板に対して、 成形加工及び熱処理の少なくと も一方を施してなるものである。 また、 本発明の部材の製造方法は、 本発明 の鋼板の製造方法によって製造された鋼板に 対して、 成形加工及び熱処理の 少なくとも一方を施す工程を有する。

[0046] 本発明の鋼板は、 冷間加工性、 打ち抜き性及び焼入れ性に優れている。 ま た、 本発明の鋼板を用いて得た部材は、 焼入れ後の鋼板表層の硬さに優れる ので、 耐摩耗性に優れている。 また、 部材を製造する際に、 打ち抜き加工す る場合には、 打ち抜きする際に使用する工具 (金型) を高寿命化することが できる。 本発明の部材は、 例えば、 ギア、 ミッション、 シートリクライナー などの自動車部品に好適に用いることができ る。

[0047] 成形加工は、 プレス加工、 打ち抜き加工等の一般的な加工方法を制限な く 用いることができる。 また、 熱処理は、 機械構造用炭素鋼鋼材、 機械構造用 合金鋼鋼材に適用される高周波焼入れ、 浸炭焼入れ、 焼入れ、 焼戻し等の一 般的な熱処理方法を制限なく用いることがで きる。

実施例

[0048] 本発明を、 実施例を参照しながら具体的に説明する。 なお、 本発明の範囲 \¥0 2020/175665 16 卩(:171? 2020 /008223

は以下の実施例に限定されない。

[0049] 表 1 に示す成分組成を有する鋼素材を溶製した。 次いで、 これらの鋼素材 に対して、 表 2 _ 1 に示す熱延条件で熱間圧延を施し、 熱延鋼板とした。 な お、 巻取温度が 7 0 0 °〇未満の場合、 仕上温度から 7 0 0 °〇まで冷却した後 、 7 0 0 °〇から巻取温度までの平均冷却速度は、 0超〜 4 0 °〇/ 3の範囲内 とした。 次いで、 熱間圧延時に生じた表面スケールを除去し、 窒素雰囲気中 にて表 2 _ 1 に示す条件の焼鈍 (球状化焼鈍) を施して、 本発明の鋼板とし て板厚 3 . 〇 の熱延焼鈍板を製造した。 このようにして製造した熱延焼 鈍板について、 下記に示す方法で、 ミクロ組織、 冷間加工性、 焼入れ性、 炭 化物中の IV! 濃度を調査した。 結果を表 3に示す。 なお、 表 2 - 1の 1\1〇.

9の焼鈍条件において、 「7 5 0 °〇 1 「 ® 7 1 5 °〇 2 0 「」 は、 7 5 0 °〇で 1時間保持した後、 7 1 5 °〇まで冷却して、 7 1 5 °〇で 2 0時間保 持して焼鈍したことを意味する。 また、 表 2— 1の 1\1〇. 1 0の焼鈍条件に おいて、 「 8 1 0 °〇 1 「 ® 7 1 5 °〇 2 0 「」 は、 8 1 0 °〇で 1時間 保持した後、 7 1 5 ° 〇まで冷却して、 7 1 5 ° 〇で 2 0時間保持して焼鈍した ことを意味する。 また、 表 2 - 1の 1\1〇. 2 0、 2 1、 2 4〜 2 6も、 同様 に、 表 2 _ 1 に記載のとおりの保持温度及び保持時間で、 二段階で焼鈍を行 った。

[0050] なお、 表 1 に示す八〇 1 変態点及び八 「 1 変態点は、 次のようにして求めた 。 フォーマスター試験機にて、 円柱状の試験片 (直径 3 111 111 X高さ 1 0 01 111 ) を用いて、 加熱時の膨張曲線を測定し、 フェライ トから才ーステナイ トに 変態を開始する温度 (八 変態点) を求めた。 また、 同様の試験片を用いて 、 才ーステナイ ト単相域に加熱したのち、 才ーステナイ ト単相域から室温ま で冷却したときの膨張曲線を測定し、 才ーステナイ トからフェライ ト、 炭化 物への変態を完了する温度 ( 変態点) を求めた。

[0051 ] ミクロ組織

上記の熱延鋼板及び熱延焼鈍板の板幅中央部 から切断して採取した各試料 を板厚 1 / 4位置まで研磨後、 ナイタール腐食を施し、 走査電子顕微鏡を用 \¥0 2020/175665 17 卩(:171? 2020 /008223

いて圧延方向断面のミクロ組織を観察した 。 熱延鋼板に対しては、 走査電子 顕微鏡写真に対して後述する画像解析処理を 行い、 フヱライ ト及び炭化物以 外の残部組織 (以下、 単に残部組織ともいう。 ) の体積率、 初析フェライ ト 粒径、 粒径 3 以上の初析フェライ トが占める体積の割合を求めた。 熱延 焼鈍板に対しては、 走査電子顕微鏡写真に対して後述する画像解 析処理を行 い、 残部組織の体積率、 初析フェライ ト分率 (ミクロ組織全体に対する初析 フェライ トが占める体積の割合) 、 及び炭化物の総数に対する粒径が 1 以上の炭化物の数が占める割合を求めた。 なお、 それぞれの値には、 異なる 3視野の走査電子顕微鏡写真に対して画像解 処理を行った得られた値の算 術平均値を用いた。

[0052] 走査電子顕微鏡写真に対して、 画像解析ソフトを用いてフヱライ ト、 炭化 物及び残部組織の二値化処理を行い、 全体の面積に対して残部組織の面積が 占める割合を、 フェライ ト及び炭化物以外の残部組織の体積率として 求めた 。 また、 1 0 0 %から残部組織の体積率 (%) を引いた値を、 ミクロ組織全 体に対するフェライ ト及び炭化物の体積の割合 (%) とした。

[0053] 熱延鋼板の初析フヱライ ト粒径は、 」 丨 3 0 0 5 5 1 に定めた結晶粒 度の評価方法 (切断法) を用いて測定した値を用いた。 そのうち、 3 以 上の粒径を有する初析フェライ トの面積率を画像解析ソフトにより測定し、 この測定値を、 ミクロ組織全体に対して、 粒径 3 以上の初析フェライ ト が占める体積の割合として用いた。

[0054] 熱延焼鈍板における初析フェライ トの組織全体に占める体積の割合は、 熱 延焼純板の走査電子顕微鏡写真に対して、 画像解析ソフトを用いて初析フェ ライ トの面積率を測定した値を用いた。

[0055] 炭化物の総数に対して、 粒径が 1 以上の炭化物の数が占める割合は、 走査電子顕微鏡写真に対して、 画像解析ソフトを用いてフヱライ トと炭化物 の二値化処理を行い、 さらに画像処理ソフト 丨 01 3 9 ㊀ 」を用いて各炭化 物の円相当径を求め、 粒径が 1 以上の炭化物の数を炭化物の総数で除す ることにより求めた。 \¥02020/175665 18 卩(:171? 2020 /008223

[0056] 炭化物中の IV! n 濃度

熱延焼鈍板に対して、 1 0 V〇 I %アセチルアセトン _ 1 01333%塩化 テトラメチルアンモニウムーメタノール電解 液中で、 電流密度 20 八/〇 2で定電流電解した。 続いて、 電解液から試験片を取り出してメタノールを 入れたビーカーに移し、 超音波撹拌により試料表面に付着した析出物 を完全 に除去し、 穴径〇. 2 のフィルターを用いて捕集した。 この抽出残渣に 対して誘導結合プラズマ発光分光分析を行う ことにより、 析出物中に含有さ れる IV! の濃度 (質量%) を求め、 表 2— 2に示した。

[0057] 冷間加工性

加工性を評価するため、 熱延焼鈍板から、 圧延方向と引張方向が平行とな るように」 I 31 3巳号引張試験片を採取し、 島津製作所社製 〇_ 丨 3 2501< を用いて、 クロスへツ ド速度 1 0〇1〇1/〇1 1 门で」 1 3 22

4 1 (201 1 ) の規定に準拠した引張試験を行い、 突合せ伸び (%) を求 め、 表 3に示した。 本発明では、 30%以上の突合せ伸びを有する試料を優 れた冷間加工性を有するとした。

[0058] 焼入れ性、 焼入れ後の表層硬さ

熱延焼鈍板に対してせん断加工を施して部材 を製造し、 当該部材をソルト バスにて 925°〇で 30 丨 の等温保持後、 水冷を行った。 この試験片の 圧延方向断面に対して、 荷重 1. 〇 !< 9 チで板厚方向のビツカース硬さ分布 を測定した。 板厚 1 /4 (1 /41 ) の位置において 1 ~ 1 430以上のビツ カース硬さを有する試料を評価 ランク、 1 ~ 1 430未満のピツカース硬さ を有する試料を評価巳ランクとした。 ここで、 評価 ランクであった試料を 優れた焼入れ性を有するとした。 また、 鋼板表面から板厚方向に〇. の位置において 1 ~ 1 450以上のピツカース硬さを有する試料を評価 ラン ク、 1 ~ 1 450未満のピツカース硬さを有する試料を評価 巳ランクとした。 ここで、 評価八ランクであった試料を、 優れた焼入れ後の表層硬さを有する とした。

[0059] 〔姍二

\¥02020/175665 20 卩(:171? 2020 /008223

[0060] [表 2-1]

※ :仕上温度から 700¾までの平均冷却速度 (ただし、 N0.23は仕上温度から巻取温度ま での平均冷却速度である。)

«2:熱延後のミクロ組織全体に対して、粒径 3" 以上の初析フヱライトが占める体積の 割合

[0061] 〇 2020/175665 21 卩(:171? 2020 /008223

[表 2-2]

※彳:ミクロ組織全体に対して、フェライト 及び炭化物が占める体積の割合

«2 :ミクロ組織全体に対して、初析フェライト 占める体積の割合(初析フェライト分率)

※3 : 炭化物中の 濃度

※ :炭化物の総数に対して、粒径が 1 以上の炭化物の数が占める割合

[0062]

\¥0 2020/175665 22 卩(:171? 2020 /008223

[表 3]

表 3に示すように、 発明例の 1\1〇. 1、 3、 5、 7、 9、 1 1〜 1 4、 2 〇〜 2 2、 2 4、 2 5は、 いずれも優れた冷間加工性、 焼入れ性、 焼入れ後 の表層硬さを示した。

[0063] これに対して、 比較例の 1\1〇. 2は、 仕上圧延温度が高いことにより初析 フェライ ト分率が小さくなり、 冷間加工性に劣っていた。

[0064] 比較例の N 0 . 4は、 冷却速度が高いことにより炭化物中の IV! 濃度かつ

1 以上の炭化物の割合が不十分となり、 焼入れ後の表層硬さに劣ってい た。

[0065] 比較例の 1\1〇. 6は、 巻取り温度が低いことにより初析フェライ ト分率が 小さくなり、 冷間加工性に劣っていた。 \¥0 2020/175665 23 卩(:171? 2020 /008223

[0066] 比較例の N 0 . 8、 1 0は、 焼鈍温度が高いことによりパーライ トが多く 生成し、 冷間加工性に劣っていた。

[0067] 比較例の N 0 . 1 5〜 1 9は、 〇、 IV! 〇 「のいずれかの濃度が不適当 であったため、 冷間加工性、 焼入れ性、 焼入れ後の表層硬さのいずれかに劣 つていた。

[0068] 比較例の 1\!〇. 2 3は、 巻取温度が高いことにより初析フェライ ト分率が 過剰に大きくなり、 焼入れ後の表層硬さに劣っていた。

[0069] 比較例の N 0 . 2 6は、 焼鈍温度が 変態点以上であるため、 パーライ 卜が多く生成し、 かつ粒径が 1 以上の炭化物の数が過剰に増えて、 冷間 加工性、 焼入れ性及び焼入れ後の表層硬さに劣ってい た。