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Title:
SUBSTRATE FOR PHOTOMASK, PHOTOMASK, AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060511
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a substrate for a photomask, which can form a fine pattern by wet etching with high accuracy, a photomask, and a method for manufacturing the same. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A substrate (2) for a photomask, comprising a transparent substrate (10), a semitransparent layer (20), and a light shielding layer (33) for substantially shielding irradiated light provided on the semitransparent layer (20). The semitransparent layer (20) is formed of titanium nitride (TiNX wherein 0 < X < 1.33) of which the insolubility or sparing solubility in an etching solution (A) is higher than that in the light shielding layer (33) and which is easily soluble in an etching solution (B). On the other hand, the light shielding layer (33) is formed of metallic chromium (Cr) which is more easily soluble in the etching solution (A) than the semitransparent layer (20) and is insoluble or sparingly soluble in the etching solution (B). Since the individual layers are different from each other in resistance to the etching solution, the semitransparent layer (20) and the light shielding layer (33) can be selectively etching without damage to other layers.

Inventors:
SUGAWARA HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/071552
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
November 06, 2007
Export Citation:
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Assignee:
GEOMATEC CO LTD (JP)
SUGAWARA HIROYUKI (JP)
International Classes:
G03F1/00; H01L21/027
Foreign References:
JP2005084366A2005-03-31
JP2007271661A2007-10-18
JP2006085096A2006-03-30
JP2006018001A2006-01-19
JP2001027801A2001-01-30
JP4005622B12007-11-07
JPH06123961A1994-05-06
JPH03242648A1991-10-29
JPS6256388A1987-03-12
Attorney, Agent or Firm:
AKIYAMA, Atsushi et al. (5-1 Toranomon 3-chome, Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 透明基板と、該透明基板上に形成され照射光に対して半透過性を有する第1の層と、該第1の層上に形成され照射光を実質的に遮光する第2の層と、を備え、該第2の層により形成される遮光パターンが表面に露出する遮光部と、前記第1の層により形成される半透過パターンが表面に露出する半透過部と、前記透明基板が表面に露出する透明部とを形成可能なフォトマスク用基板であって、
 前記第1の層は、前記第2の層よりも第1のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であるとともに第2のエッチング液に対して易溶性であり、
 前記第2の層は、前記第1の層よりも前記第1のエッチング液に対して易溶性であるとともに前記第2のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であることを特徴とするフォトマスク用基板。
 前記第1の層は、前記透明基板上に直接形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク用基板。
 前記第1の層は、透過率70%以上100%未満の金属化合物層を介して前記透明基板上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク用基板。
 前記第1のエッチング液は、硝酸セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合液であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
 前記第2のエッチング液は、水酸化カリウム、過酸化水素及び水の混合液であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
 前記第1の層は、チタン、チタン窒化物及びチタン酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とすることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
 前記第2の層は、クロム、クロム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とすることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
 前記第2の層は、遮光層と、該遮光層よりも表面側に形成された反射防止層と、を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
 前記反射防止層は、クロム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とすることを特徴とする請求項8に記載のフォトマスク用基板。
 前記第1の層は、クロム、クロム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とする層であり、
 前記第2の層は、チタン、チタン窒化物及びチタン酸窒化物からなる群より選択される1又は2以上の成分を主成分とする層であり、
 前記第1のエッチング液は、水酸化カリウム、過酸化水素及び水の混合液であり、
 前記第2のエッチング液は、硝酸セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合液であることを特徴とする請求項1~3、8、9のいずれか1項に記載のフォトマスク用基板。
 前記第1の層及び前記第2の層は、スパッタリング法、イオンプレーティング法又は蒸着法により形成されることを特徴とする請求項1~10に記載のフォトマスク用基板。
 透明基板と、該透明基板上に形成され照射光に対して半透過性を有する第1の層と、該第1の層上に形成され照射光を実質的に遮光する第2の層と、を備えたフォトマスク用基板により形成されるフォトマスクであって、
 前記第1の層は、前記第2の層よりも第1のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であるとともに第2のエッチング液に対して易溶性であり、
 前記第2の層は、前記第1の層よりも前記第1のエッチング液に対して易溶性であるとともに前記第2のエッチング液に対して不溶性又は難溶性であり、
 前記フォトマスクには、
 前記第1のエッチング液により前記第2の層がエッチングされて形成された遮光パターンが表面に露出する遮光部と、
 前記第2のエッチング液により前記第1の層がエッチングされて形成された半透過パターンが表面に露出する半透過部と、
 前記第1のエッチング液及び前記第2のエッチング液により前記第2の層及び前記第1の層がそれぞれエッチングされて前記透明基板が表面に露出した透明部と、が形成されていることを特徴とするフォトマスク。
 請求項12に記載されたフォトマスクの製造方法であって、
 前記第2の層の表面にレジストを被覆する第1のレジスト被覆工程と、
 第1のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第1のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第1の露光工程と、
 前記第1の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分を除去する第1のレジスト除去工程と、
 前記レジストが除去された領域に露出した前記第2の層を前記第1のエッチング液でエッチングして前記遮光パターンを形成する第1のエッチング工程と、
 前記第1のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第1のレジスト剥離工程と、
 レジストを再度表面に被覆する第2のレジスト被覆工程と、
 第2のマスクパターンが形成されたマスクを介して前記第2のレジスト被覆工程で被覆した前記レジストの露光を行う第2の露光工程と、
 前記第2の露光工程後に前記レジストのうち露光された部分を除去する第2のレジスト除去工程と、
 前記レジストが除去された領域に露出した前記第1の層を前記第2のエッチング液でエッチングして前記半透過パターンを形成する第2のエッチング工程と、
 前記第2のレジスト除去工程で残存した前記レジストを剥離する第2のレジスト剥離工程と、を行うことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
Description:
フォトマスク用基板及びフォト スク並びにその製造方法

 本発明は、半透過層を有するフォトマス 用基板及びフォトマスク並びにその製造方 に係り、特にLSI等の微細パターンニング、L CD、PDP、EL等の平板型表示用機器の表示用素 、微細散乱凹凸を利用した反射防止板、微 子有無の拡散反射板、マイクロレンズアレ 、その他アレイ状凹凸形成等の表面改質等 用いられるパターン形成用のフォトマスク 基板及びフォトマスク並びにその製造方法 関する。

 液晶表示素子(反射型、透過型及び半透過型 )、プラズマ表示素子、有機EL(エレクトロル ネッセンス)表示素子、その他の平板型表示 子の発展に伴って、これらの表示素子の生 現場では、サイズ、パターン等の異なるさ ざまな種類のフォトマスクが用いられてい 。
 例えば、液晶表示素子の形成におけるTFT(Thi n Film Transistor)製造工程では、製造方法にも るが、一般的に3~5枚程度の異なるパターン ング用フォトマスクが必要となる。また、 晶表示素子に対向して配置されるカラーフ ルタ側でも、ブラックマトリックス形成用 着色層形成用と、それぞれ液晶表示素子に 応したフォトマスクが必要となる。

 LSI等の微細パターンを形成するために用 られるフォトマスクでは、パターン精度の 上を目的として、ハーフトーンマスクが使 されている(例えば、特許文献1~9)。ハーフ ーンマスクは、透過部と遮光部との間に半 過層(ハーフトーン)が形成されたフォトマス クである。この半透過層は、使用する露光波 長に合わせて位相をλ/2反転させたり、±λ/4 フトさせたりするよう膜厚が設計されてい 。これにより、隣接するパターンとの間に じる光の回折を防止し、マスクの遮光部の ッジ部分と透過部との間で光強度差が明確 なる。また、モアレやハレーションが発生 にくくなるため、解像度を向上させること できる。その他、微細な連続したストライ パターンを形成することにより、ハーフト ンと同様の効果を得る方法(グレートーンマ ク)もある。

 このようなハーフトーン付きのフォトマ クの製造方法として、はじめに第1の層(半 過層又は遮光層)を形成したフォトマスク用 板(フォトマスク用ブランクス)にレジスト 被覆して露光することで一度パターンニン した後、レジストを除去、洗浄して、再び 空装置等を利用して第2の層(遮光層又は半透 過層)を形成し、その後、フォトリソグラフ 工程で二回目に形成した第2の層をパターン ングする方法が知られている(例えば、特許 文献3、9参照)。また、別の製造方法として、 まず同質又は異質な多層構造を有する薄膜を 形成し、続いてそれぞれのパターンをドライ エッチングで形成する方法も知られている( えば、特許文献2、5)。

特開平7-209849号公報

特開平9-127677号公報

特開2001-27801号公報

特開2001-83687号公報

特開2001-312043号公報

特開2003-29393号公報

特開2003-322949号公報

特開2004-29746号公報

特開2006-18001号公報

 この従来の方法では、真空装置等を用い 成膜した第1の層に対してパターンニングを 行った後、再び真空装置等を用いて第2の層 成膜してパターンニングを行う必要がある め、真空装置等を用いた成膜工程を少なく も2度行うことが必要となる。このため、フ トマスクを製造するのに必要なプロセスが くなり、製造コストの上昇を招くという不 合があった。

 また、通常、フォトマスクのパターン形 には、反応性ガス等のプラズマやレーザ光 よりフォトマスク用基板上の層にイオンを 射してエッチングを行うドライエッチング 、腐食性のエッチング液(薬液)で層を化学 に腐食するウェットエッチング(湿式エッチ グともいう。)の2種類のエッチング法があ 。このうち、一般に、フォトマスクのパタ ン形成には、ドライエッチング法が用いら ている。

 しかしながら、ドライエッチングでは、 ォトマスクの大型化や大量製造に伴う種々 技術的課題がある。例えば、ドライエッチ グでの直接描画プロセスでは、フォトマス の大型化に伴って描画面積が増大するため 電子ビームやレーザ等による描画時間の増 が生じ、フォトマスク製造のタクトタイム 向上させることが困難であった。また、フ トマスクの大型化に伴って、真空タンクや ス種の切替え装置等の設備も大型化する必 があり、設備面での負担も増大し、フォト スクの製造に要するコストが増加するとい た不都合もあった。さらに、一度に処理で る基板の枚数が限られているため、大量生 にも不向きであった。

 一方、湿式エッチングでは、一般に設備や ッチング液が安価なことや、ドライエッチ グよりもエッチングによるパターン形成が 時間で可能であることから、ドライエッチ グと比較して大型フォトマスクの製造、フ トマスクの大量生産や短時間での生産には 合がよい。
 しかしながら、湿式エッチングでは、積層 れた層のいずれかの層をエッチングする際 他の層の一部を溶解したり、他の層とエッ ング液との界面や粒界で他の層を構成する 質とエッチング液とが反応して化学的に異 な構造に変質させたりすることで、他の層 損傷を引き起こすことがあり、このため、 度の高い微細加工が困難であった。特に、 相シフト層及び遮光層を積層したハーフト ンマスクのように異なる種類の層を積層し マスクを製造する場合、他の層に損傷を与 ず目的とする層のみを選択的にエッチング ることは、技術的に困難であった。

 本発明の目的は、上記課題に鑑み、従来の ォトマスク製造技術では困難であった湿式 ッチング法により、透明基板の表面に2種類 の微細なパターンを短時間かつ低コストで形 成可能なフォトマスク用基板を提供すること にある。
 また、本発明の他の目的は、フォトマスク 基板を湿式エッチングにより順次エッチン することにより、短時間かつ低コストで形 した2種類の微細なパターンを有するフォト マスク及びその製造方法を提供することにあ る。

 前記課題は、本発明のフォトマスク用基 によれば、透明基板と、該透明基板上に形 され照射光に対して半透過性を有する第1の 層と、該第1の層上に形成され照射光を実質 に遮光する第2の層と、を備え、該第2の層に より形成される遮光パターンが表面に露出す る遮光部と、前記第1の層により形成される 透過パターンが表面に露出する半透過部と 前記透明基板が表面に露出する透明部とを 成可能なフォトマスク用基板であって、前 第1の層は、前記第2の層よりも第1のエッチ グ液に対して不溶性又は難溶性であるとと に第2のエッチング液に対して易溶性であり 前記第2の層は、前記第1の層よりも前記第1 エッチング液に対して易溶性であるととも 前記第2のエッチング液に対して不溶性又は 難溶性であることにより解決される。

 このように本発明のフォトマスク用基板に れば、第1の層は、第2の層よりも第1のエッ ング液に対して不溶性又は難溶性であると もに第2のエッチング液に対して易溶性であ り、一方、第2の層は、第1の層よりも第1のエ ッチング液に対して易溶性であるとともに第 2のエッチング液に対して不溶性又は難溶性 ある。このため、第1のエッチング液を用い 第2の層を選択的にエッチングし、第2のエ チング液を用いて第1の層を選択的にエッチ グすることができる。
 そして、第1の層と第2の層を異なるエッチ グ液で選択的にエッチングすることで、半 過パターンと遮光パターンの2種類のパター を透明基板上に形成し、遮光パターンが露 した遮光部と、半透過パターンが表面に露 した半透過部と、透明基板が表面に露出し 透明部の3つの領域を、エッチング液を用い た湿式エッチングにより形成することが可能 となる。
 このように、本発明のフォトマスク用基板 は、第1の層と第2の層とがそれぞれ異なる ッチング液に対する耐性を有しており、こ 耐性の違いを利用することにより、第1の層 可溶化する第2のエッチング液により第2の が改質や損傷を受けることがほとんどなく 逆に、第2の層を可溶化する第1のエッチング 液により第1の層が改質や損傷を受けること ほとんどない。このため、精度が高く微細 パターンが形成されたフォトマスクを製造 ることが可能となる。

 また、前記第1の層は、前記透明基板上に直 接形成されていることが好ましい。
 一般に、透明基板と第1の層との間には、両 者の密着性を向上させるために金属化合物層 などを介在させているが、第1の層を透明基 上に直接形成することで、金属化合物層を 在させる必要がなくなる。このため、透明 板の表面に金属化合物層を形成するための 数やそのための材料を減らすことが可能と り、フォトマスク用基板の生産効率を向上 せることができる。

 また、前記第1の層は、透過率70%以上100% 満の金属化合物層を介して前記透明基板上 形成されていることが好ましい。

 このように、第1の層を透過率70%以上100%未 の金属化合物層を介して透明基板上に形成 ることで、透明基板を透過する光をほとん 反射することなく、透明基板と第1の層との 着性を向上させることができるとともに、 ォトマスク製造時にエッチング液による損 から透明基板の表面を保護することもでき 。
 このときの金属化合物層の屈折率は、基板 屈折率と同等であるか、又は基板の屈折率 りも低いと、より好ましい。

 また、前記第1のエッチング液は、硝酸セリ ウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合液 であることが好ましい。
 さらに、前記第2のエッチング液は、水酸化 カリウム、過酸化水素及び水の混合液である ことが好ましい。
 また、前記第1の層は、チタン、チタン窒化 物及びチタン酸窒化物からなる群より選択さ れる1又は2以上の成分を主成分とすることが ましい。
 さらに、前記第2の層は、クロム、クロム酸 化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物から なる群より選択される1又は2以上の成分を主 分とすると好適である。

 このように、第1のエッチング液、第2のエ チング液、第1の層及び第2の層を適宜選択す ることで、各層に対するエッチング液の選択 性が向上し、より高精度かつ微細なパターン を形成することができる。
 特に、チタン、チタン窒化物及びチタン酸 化物からなる群より選択される1又は2以上 成分は、第1のエッチング液である硝酸セリ ムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合液 対して不溶性又は難溶性であり、第2のエッ チング液である水酸化カリウム、過酸化水素 及び水の混合液に対して易溶性である。一方 、クロム、クロム酸化物、クロム窒化物及び クロム酸窒化物からなる群より選択される1 は2以上は、第1のエッチング液である硝酸セ リウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合 液に対して易溶性であり、第2のエッチング である水酸化カリウム、過酸化水素及び水 混合液に対して不溶性又は難溶性である。
 このため、第1の層としてチタン又はチタン 化合物、第2の層としてクロム又はクロム化 物を採用することで、それぞれのエッチン 液に対する選択性が向上し、より高精度か 微細なパターンを形成することが可能とな 。
 特に、チタン窒化物は、酸やアルカリ等の 品に対する耐性が高いため、レジスト除去 等のエッチング工程に用いられる薬剤によ て損傷を受けにくい。このため、スムーズ 選択エッチングを行うことが可能となると もに、高精度かつ微細なパターンを形成す ことが可能となる。

 また、前記第2の層は、遮光層と、該遮光 層よりも表面側に形成された反射防止層と、 を備えることが好ましい。

 このように、第2の層が反射防止層を備えて いることで、反射防止効果を得ることができ 、マスク露光時に照射光が反射することによ るハレーション等が防止されるため好ましい 。
 また、第2の層が遮光層と反射防止層とによ り形成されているため、遮光層と反射防止層 を一括してエッチングすることができ、表面 に反射防止層パターンが形成された遮光パタ ーンを容易に形成することができる。

 さらにこの場合、前記反射防止層は、ク ム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化 からなる群より選択される1又は2以上の成 を主成分とする層であると好適である。

 このように、反射防止層が反射率の低い ロム酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒 物からなる群より選択される1又は2以上の 分を主成分とする層で形成されているため 高い反射防止効果を得られ、マスク露光時 照射光が反射することによるハレーション が防止されるため好ましい。

 さらに、前記第1の層は、クロム、クロム 酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物か らなる群より選択される1又は2以上の成分を 成分とする層であり、前記第2の層は、チタ ン、チタン窒化物及びチタン酸窒化物からな る群より選択される1又は2以上の成分を主成 とする層であり、前記第1のエッチング液は 、水酸化カリウム、過酸化水素及び水の混合 液であり、前記第2のエッチング液は、硝酸 リウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混 液であっても、上記と同様の作用によりそ ぞれのエッチング液に対する選択性が向上 、より高精度かつ微細なパターンを形成す ことが可能となる。

 また、前記第1の層及び前記第2の層は、 パッタリング法、イオンプレーティング法 は蒸着法により形成されると好適である。

 このように、第1の層と第2の層がスパッ リング法などの成膜技術により製造するこ で、膜厚等を適宜調整して所望の光学特性 有するフォトマスク用基板とすることがで るため、所望の光学特性を有するフォトマ クを形成することが可能となる。また、ス ッタリング法などの成膜技術により製造す ことで、フォトマスク用基板の耐薬品性や 牢性等の物理特性を適宜調整することが可 となる。

 上記課題は、本発明のフォトマスクによれ 、透明基板と、該透明基板上に形成され照 光に対して半透過性を有する第1の層と、該 第1の層上に形成され照射光を実質的に遮光 る第2の層と、を備えたフォトマスク用基板 より形成されるフォトマスクであって、
 前記第1の層は、前記第2の層よりも第1のエ チング液に対して不溶性又は難溶性である ともに第2のエッチング液に対して易溶性で あり、前記第2の層は、前記第1の層よりも前 第1のエッチング液に対して易溶性であると ともに前記第2のエッチング液に対して不溶 又は難溶性であり、前記フォトマスクには 前記第1のエッチング液により前記第2の層が エッチングされて形成された遮光パターンが 表面に露出する遮光部と、前記第2のエッチ グ液により前記第1の層がエッチングされて 成された半透過パターンが表面に露出する 透過部と、前記第1のエッチング液及び前記 第2のエッチング液により前記第2の層及び前 第1の層がそれぞれエッチングされて前記透 明基板が表面に露出した透明部と、が形成さ れていることにより解決される。

 このように、本発明のフォトマスクによれ 、第1の層は、第2の層よりも第1のエッチン 液に対して不溶性又は難溶性であるととも 第2のエッチング液に対して易溶性であり、 一方、第2の層は、第1の層よりも第1のエッチ ング液に対して易溶性であるとともに第2の ッチング液に対して不溶性又は難溶性であ 。このため、第1のエッチング液を用いて第2 の層を選択的にエッチングし、第2のエッチ グ液を用いて第1の層を選択的にエッチング ることができる。
 そして、第1の層と第2の層を異なるエッチ グ液で選択的にエッチングすることで、遮 パターンと半透過パターンの2種類のパター を透明基板上に形成し、遮光パターンが露 した遮光部と、半透過パターンが表面に露 した半透過部と、透明基板が表面に露出し 透明部の3種類の領域を、エッチング液を用 いた湿式エッチングにより透明基板の表面に 形成している。
 このように、本発明のフォトマスクによれ 、第1の層と第2の層のエッチング液に対す 耐性の違いを利用しているため、第1の層の ッチング液で第2の層が改質や損傷を受ける ことがほとんどなく、逆に、第2の層のエッ ング液で第1の層が改質や損傷を受けること ほとんどなく、精度が高く微細なパターン 形成されたフォトマスクを提供することが 能となる。

 前記課題は、上述したフォトマスクの製 方法によれば、前記第2の層の表面にレジス トを被覆する第1のレジスト被覆工程と、第1 マスクパターンが形成されたマスクを介し 前記第1のレジスト被覆工程で被覆した前記 レジストの露光を行う第1の露光工程と、前 第1の露光工程後に前記レジストのうち露光 れた部分を除去する第1のレジスト除去工程 と、前記レジストが除去された領域に露出し た前記第2の層を前記第1のエッチング液でエ チングして前記遮光パターンを形成する第1 のエッチング工程と、前記第1のレジスト除 工程で残存した前記レジストを剥離する第1 レジスト剥離工程と、レジストを再度表面 被覆する第2のレジスト被覆工程と、第2の スクパターンが形成されたマスクを介して 記第2のレジスト被覆工程で被覆した前記レ ストの露光を行う第2の露光工程と、前記第 2の露光工程後に前記レジストのうち露光さ た部分を除去する第2のレジスト除去工程と 前記レジストが除去された領域に露出した 記第1の層を前記第2のエッチング液でエッ ングして前記半透過パターンを形成する第2 エッチング工程と、前記第2のレジスト除去 工程で残存した前記レジストを剥離する第2 レジスト剥離工程と、を行うことにより解 される。

 このように、本発明のフォトマスクの製造 法によれば、第1のマスクパターンが形成さ れたマスクを用いてレジストを露光し、レジ ストのうち露光された部分を除去し、第1の ッチング液で第2の層をエッチングし、続い 第2のマスクパターンが形成されたマスクで レジストを露光し、レジストのうち露光され た部分を除去し、第2のエッチング液で第1の をエッチングすることで、複数のパターン 成領域を透明基板の表面に形成することが きる。
 すなわち、第1の層と第2の層のエッチング に対する耐性の違いを利用することで、他 層のエッチングに用いられるエッチング液 よって改質や損傷をほとんど受けることが く、微細なパターンを高精度で形成するこ ができる。

 本発明のフォトマスク用基板によれば、第2 の層を第1のエッチング液、第1の層を第2のエ ッチング液により選択的にエッチングするこ とができるため、第1の層と第2の層が互いの ッチング液により改質や損傷をほとんど受 ることがなく、従来では困難であった湿式 ッチングにより精度が高く微細なパターン 形成されたフォトマスクを製造することが 能となる。
 また、本発明のフォトマスク及びその製造 法によれば、第2の層を第1のエッチング液 第1の層を第2のエッチング液により選択的に エッチングすることができるため、第1の層 第2の層が互いのエッチング液により改質や 傷をほとんど受けることがなく、このため 従来では困難であった湿式エッチングによ て精度が高く微細なパターンを有するフォ マスクを形成することが可能となる。
 したがって、本発明によれば、大型フォト スクの製造やフォトマスクの大量生産に適 た湿式エッチングによりパターンニングを うことができるため、従来のドライエッチ グによるパターンニングと比較して短時間 つ低コストでフォトマスクの製造を行うこ が可能となる。

本発明の一実施形態に係るフォトマス 用基板の縦断面図である。 本発明の一実施形態に係るフォトマス の縦断面図である。 フォトマスク用基板からフォトマスク パターンニングする工程を示す説明図であ 。 フォトマスクをパターンニングする工 を示す説明図である。 本発明の他の実施形態に係るフォトマ ク用基板の縦断面図である。 遮光パターン形成後のフォトマスクの 断面と平面を撮影した電子顕微鏡写真であ 。 クロスパターン形成後の平面を撮影し 光学顕微鏡写真である。 半透過パターン形成後のフォトマスク 縦断面と平面を撮影した電子顕微鏡写真で る。

符号の説明

1・・フォトマスク
2・・フォトマスク用基板
1a・・遮光部
1b・・半透過部
1c・・透明部
10・・透明基板
20・・半透過層(第1の層)
20a・・半透過パターン
30・・複合層(第2の層)
30a・・遮光パターン
33・・遮光層
33a・・遮光層パターン
35・・反射防止層
35a・・反射防止層パターン
50・・レジスト
60・・マスク原版
70・・レジスト
80・・マスク原版
90・・金属化合物層

 以下、本発明の一実施形態について、図を 照して説明する。なお、以下に説明する部 、配置、手順等は、本発明を限定するもの はなく、本発明の趣旨に沿って各種改変す ことができることは勿論である。
 図1は本発明の一実施形態に係るフォトマス ク用基板の縦断面図、図2は本発明の一実施 態に係るフォトマスクの縦断面図、図3はフ トマスク用基板からフォトマスクをパター ニングする工程を示す説明図、図4はフォト マスクをパターンニングする工程を示す説明 図、図5は本発明の他の実施形態に係るフォ マスク用基板の縦断面図、図6は遮光パター 形成後のフォトマスクの縦断面と平面を撮 した電子顕微鏡写真、図7はクロスパターン 形成後の平面を撮影した光学顕微鏡写真、図 8は半透過パターン形成後のフォトマスクの 断面と平面を撮影した電子顕微鏡写真であ 。なお、図1~図5では、発明の理解を容易に るために、各層の膜厚を実際の厚さよりも く描くことでフォトマスク用基板、フォト スク及びフォトマスクの製造工程を模式的 表している。

 図1に示すように、本例のフォトマスク用 基板(フォトマスク用ブランクスともいう。)2 は、透明基板10と、透明基板10の表面に形成 れる半透過層20と、半透過層20の表面に形成 れる遮光層33とにより構成されている。さ に、遮光層33の表面には、反射防止層35が形 されている。フォトマスク用基板2は、フォ トマスク1を製造するための元となる基板で り、後述するエッチング工程及びフォトリ グラフィ工程において、異なるエッチング を用いてフォトマスク用基板2を順次エッチ グしパターンニングを行うことでフォトマ ク1を製造することが可能となっている。半 透過層20は本発明の第1の層に相当し、遮光層 33及び反射防止層35からなる複合層30は本発明 の第2の層に相当する。

 図2に示すように、本例のフォトマスク1は 透明基板10と、透明基板10の表面に形成され 半透過パターン20aと、半透過パターン20aの 面に形成される遮光層パターン33aと、遮光 パターン33aの表面に形成される反射防止層 ターン35aとにより形成されている。半透過 ターン20aはフォトマスク用基板2の半透過層 20をエッチングして形成したパターンであり 遮光層パターン33aは遮光層33をエッチング て形成したパターン、反射防止層パターン35 aは反射防止層35をエッチングして形成したパ ターンである。遮光層パターン33a及び反射防 止層パターン35aにより、本発明の遮光パター ン30aが形成されている。
 フォトマスク1には、上面から見たときに反 射防止層パターン35a(すなわち、遮光パター 30a)の一部が表面に露出した遮光部1aと、半 過パターン20aの一部が表面に露出した半透 部1bと、透明基板10の一部が表面に露出した 明部1cが形成されている。

(透明基板10)
 以下に、フォトマスク用基板2を構成する各 部材について説明する。
 透明基板10は、フォトマスク用パターンを 成するための下地となる透明な基板である 本実施形態では、透明基板10は、十分に研磨 されたクオーツ基板である。透明基板10とし は、天然石英ガラス、合成石英ガラス、透 樹脂フィルム等の材料を使用することがで る。なお、ここで言う透明とは、具体的に 350~500nmの波長領域帯での透過率(Air Reference) が80~95%の範囲内に含まれることを意味するも のとする。

(半透過層20)
 透明基板10の表面には、半透過層20が形成さ れている。本実施形態の半透過層20は、波長3 50~500nmの波長領域帯での透過率が5~70%の範囲 に含まれる位相シフト機能を有する層であ 、チタン窒化物である窒化チタン(TiN x :ここで、0<x<1.33)を主成分とする材料に り形成されている。
 このような光学特性を有する膜は、波動光 理論に基づいて誘電体物質を多層薄膜化す ことにより可能であるが、パターンニング を考慮すると、エッチング液に対する選択 、レジスト材との密着性、タクトタイム、 ターン精度等の観点から必ずしも好ましい は言えない。したがって、半透過層20は、 層構造とせずに可能であれば単層で形成す ことが好ましい。また、パターンニングの 易な物質で光学特性を確保する必要もある さらに、フォトリソグラフィという観点か 、可能な限り反射率を低く抑える必要があ 、この点から適度な光吸収性のある薄膜の うが都合がよい。

 このような特性を備えた物質として、金 の酸化物、窒化物、酸窒化物等が挙げられ 。また、後述する遮光層33においても、そ 構成材料として金属酸化物、窒化物、酸窒 物等が挙げられる。半透過層20と遮光層33を 成する材料のうち基本となる元素は、同質 あっても異質であってもよいが、従来のフ トマスクの製造工程や製造設備で使用可能 材料を適宜選択して使用するとよい。

 本発明の半透過層20と遮光層33は、互いに異 なるエッチング液に対して耐性(不溶性又は 溶性)を示すとともに、可溶性を示す点を特 としている。
 すなわち、半透過層20は、遮光層33よりもエ ッチング液A(第1のエッチング液)に対して不 性又は難溶性であるとともに、エッチング B(第2のエッチング液)に対して易溶性である 一方、遮光層33は、半透過層20よりもエッチ ング液Aに対して易溶性であるとともに、エ チング液Bに対して不溶性又は難溶性である なお、本実施形態では、具体的には、エッ ング液Aとして硝酸セリウムアンモニウム、 過塩素酸及び水の混合液を、エッチング液B して水酸化カリウム、過酸化水素及び水の 合液を使用している。

 このように、半透過層20と遮光層33とが、 互いにエッチング液Aに対して不溶性又は難 性が異なるとともに、エッチング液Bに対す 易溶性が異なることから、半透過層20をエ チング液Bにより、遮光層33をエッチング液A より、選択的にエッチングすることができ 。

 この場合において、半透過層20が遮光層33よ りもエッチング液Aに対して不溶性又は難溶 であるとは、エッチング液Aに対する半透過 20の溶解度が実質的にゼロであるか、又は 光層33の溶解度よりも極端に低いことを意味 する。
 逆に、半透過層20が遮光層33よりもエッチン グ液Bに対して易溶性であるとは、エッチン 液Bに対する半透過層20の溶解度が遮光層33の それよりも極端に高いことを意味する。
 また、遮光層33が半透過層20よりもエッチン グ液Bに対して不溶性又は難溶性である場合 、エッチング液Bに対する遮光層33の溶解度 実質的にゼロであるか、又は半透過層20の溶 解度よりも極端に低いことを意味する。
 逆に、遮光層33が半透過層20よりもエッチン グ液Aに対して易溶性であるとは、エッチン 液Aに対する遮光層33の溶解度が半透過層20の それよりも極端に高いことを意味する。

 具体的には、本実施形態では、エッチング Aに30℃、約70秒間浸漬したとき(すなわち、 光層33を完全にエッチングできる時間)の半 過層20の436nmにおける透過率が、エッチング 液Aに浸漬する前の透過率の±0.5%以下である これは、遮光層33がエッチング液Aによって 全にエッチングできる条件であっても、半 過層20はエッチング液Aによりほとんど変化 ていない(エッチングされていない。)ことを 示している。
 また、エッチング液Bに30℃、120秒間浸漬し とき(すなわち、半透過層20を完全にエッチ グできる時間)の遮光層33の光学濃度が-0.3以 下である。これは、半透過層20がエッチング Bによって完全にエッチングできる条件であ っても、遮光層33はエッチング液Bによりほと んど変化していない(エッチングされていな 。)ことを示している。
 このように、半透過層20と遮光層33のエッチ ング液に対する溶解度が異なるため、その溶 解度特性を利用して半透過層20と遮光層33を 択的にエッチングすることが可能となる。

 発明者らは、いくつかの金属の酸化物、窒 物、酸窒化物について、エッチング液A(硝 セリウムアンモニウム、過塩素酸及び水の 合液)及びエッチング液B(水酸化カリウム、 酸化水素及び水の混合液)に対する可溶性を べた。用いた金属は、ニッケル、チタン、 ンタル、アルミニウム、モリブデン及び銅 ある。
 その結果、ニッケル、モリブデン、銅につ ては、酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれ ついても、エッチング液Aに可溶性があり、 エッチング液Bに対しては不溶性であった。 のため、遮光層33との選択的エッチングに用 いるには不向きであることがわかった。
 また、アルミニウム、タンタル、チタンの 化物、窒化物、酸窒化物について調べたと ろ、エッチング液Aに対してはいずれも不溶 性であったが、エッチング液Bに対してはチ ンの窒化物とチタンの酸窒化物は可溶性で ることがわかった。

 さらに、これらの化合物について、エッ ングによるパターン形成を行い、個別にパ ーン精度を調べた。その結果、タンタルの 化物、窒化物、酸窒化物と、アルミの酸化 、チタンの酸化物は、パターン形成が不可 かパターン精度が低いため、湿式エッチン には不向きであることがわかった。

 この調査結果から、エッチング液Aに対する エッチング耐性と光学特性を有する窒化チタ ン(TiN x )膜について、エッチング液の選定とパター ニング性の可否を検討した。まず、種々の 品に対する可溶性とエッチング性について 討を繰り返した結果、この窒化チタン(TiN x )膜は、フォトリソグラフィ工程でのアルカ (例えば、水酸化カリウム(KOH))耐性を有しな らも、過酸化水素(H 2 O 2 )と水酸化カリウム(KOH)と水の混合液に可溶で あり、さらには微細パターンが可能であるこ とがわかった。つまり、窒化チタン(TiN x )は、所望の光学特性とすることが可能な特 のほかに、遮光層33を可溶化するエッチング 液Aに対して耐性を有するとともに、レジス 除去液に含まれるアルカリに対しても耐性 有していることがわかった。このため、遮 層33との選択性という点から、半透過層20の 料として窒化チタン(TiN x )を選択することで、それ自身が良好なエッ ング特性を有することがわかった。

 次に、半透過層20の透明基板10に対する密 着性と遮光層33に対する密着性について検討 た。半透過層20は、透明基板10に対する密着 性を確保しつつ、パターンニング工程におい ては遮光層33との間で段差やオーバーハング が発生せずにエッチングされる必要がある 半透過層20は、これらの光学特性と上述の 薬品性(エッチング液耐性、アルカリ耐性な )とを兼ね備えた層であることが要求される 。

 半透過層20の密着性について試験を行い、 明基板10に対する半透過層20の密着性につい 評価を行った。具体的には、透明基板10の 面に窒化チタン(TiN x )膜を形成し、1mm間隔で格子状にカッターで れ込みを入れて複数の升目を形成し、これ 粘着テープを貼着して引き剥がす試験を行 た。その結果、すべての升目で剥離が発生 ず、透明基板10に対する密着性が良好である ことがわかった。このことから、窒化チタン (TiN x )膜は、透明基板10に対する密着性が高く、半 透過層20の材料として好適であるといえる。 らに、透明基板10に対して直接成膜しても 明基板10との密着性が良好なことから、金属 化合物層などの密着性を向上させる層を介さ なくても、透明基板10の表面に直接成膜する とができる。

 このように、窒化チタン(TiN x )は光学特性、エッチング液Aに対する耐性(不 溶性又は難溶性)及びエッチング液Bに対する 溶性(易溶性)を備えおり、さらに、透明基 10に対する密着性も良好であることから、半 透過層20の材料として最も好ましいものであ といえる。

(遮光層33)
 次に、遮光層33について説明する。遮光層33 は、照射光に対してほぼ100%遮光する性質を し、半透過層20の表面に形成される層である 。本実施形態では、金属クロム(Cr)を透過率0. 1%以下(光学濃度3.0以上)となるよう成膜して る。遮光層33の材料としては、クロム以外に 、チタン、モリブデン、アルミニウム、ニッ ケル、銅などの金属や、これらの金属の酸化 物、窒化物、酸窒化物など、さらにはこれら の金属や金属化合物の2種類以上からなる合 などが挙げられる。

 遮光層33は、半透過層20よりもエッチング 液Aに対して易溶性であるとともに、エッチ グ液Bに対して不溶性又は難溶性である性質 有している。このため、エッチング液Aを用 いることで半透過層20をエッチングせずに遮 層33のみを選択的にエッチングすることが 能となる。

(反射防止層35)
 次に、反射防止層35について説明する。反 防止層35は、遮光層33の表面に形成され、そ 反射率を低減させるための層である。本実 形態では、反射防止層35の材料としてクロ 酸化物である酸化クロム(CrO x )を主成分として用いているが、反射防止層35 の材料としてはこれに限定されない。

 本発明では、反射防止層35は任意の構成 あり、必ずしも反射防止層35を設ける必要は ない。しかしながら、フォトマスク用基板2 パターンニングして得られたフォトマスク1 用いてLSI等の微細パターン形成を行う際に 照射光の反射を反射防止層35で防止するこ により、反射光の干渉によるモアレやハレ ションを低下させることが可能となる。

 反射防止層35は、波動光学的に光の干渉を 用して反射防止効果を得る薄膜である。反 防止層35を形成する物質は、照射光に対する 屈折率(n)と吸収(k)(ここで、屈折率と吸収と 、光の真空中での速さと物質中(薄膜中)の位 相速度の比である複素屈折率で、一般的にN=n -ikで表される屈折率(n)と吸収係数(k)をいう。 )の組合せにより、以下の表1に示す特性を有 る。
 この表の左欄(屈折率)は、反射防止層35の照 射光に対する屈折率を、遮光層33と比較して 対的(「低い」、「同程度」、「高い」のい ずれか。)に示している。また、中央欄(吸収) は、反射防止層35の照射光に対する吸収(遮光 層33の吸収よりも少ない範囲において。)を、 相対的(「少ない」、「中程度」、「多い」 いずれか。)に示している。
 また、右欄(反射率)は、反射率の相対的特 を示し、「↓」は反射率が低いこと、「→ は反射率が中間であること、「↑」は反射 が高いことを示している。さらに、この欄 は、反射防止効果の高さに応じた評価を、 果の低いほうから高い順に「×」、「△」、 「○」の記号で示している。

 この表から、以下のことがいえる。
 ・遮光層33よりも照射光に対しての吸収が なく、反射防止層35のなかでも吸収が少ない (例えば、kの値が0.2~0.5)物質は、反射率が低 、反射防止効果が高い。
 ・遮光層33よりも照射光に対して吸収が少 く、反射防止層35のなかでも吸収が中程度の (例えば、kの値が0.5~1.0)物質では、反射率が 程度で、反射防止効果は中程度である。
 一方、以下の要件を満たす物質は、反射防 効果が低いか、又はほとんど反射防止効果 見られない。
 ・遮光層33よりも照射光に対して吸収が少 く、反射防止層35のなかでも吸収が多い(例 ば、kの値が1.0~2.0)物質は、反射率が高いた 、反射防止効果が低い。
 以上より、反射防止層35は、使用する波長 対して遮光層33よりも吸収の少ない物質であ って、かつ、光学的膜厚nd=p×λ/4(ここで、λ 設計波長、pは1、nは屈折率、dは実質膜厚で る。)を満足するように形成される。
 実際には、遮光層33及び反射防止層35のそれ ぞれに、屈折率の波長分散があるため、pは0. 5~1.0未満の範囲で形成される。
 また、反射防止層35の吸収を更に少なくす と(例えば、kの値が0.01~0.1)、例えばk=0.2~0.5の 時と比較して、反射率が上昇方向に移転して 反射防止効果が低減するため、遮光層33の光 特性に合わせて適宜調整を必要とする。

 反射防止層35は、遮光層33と同様のエッチ ング特性を備えている。すなわち、反射防止 層35は、半透過層20よりもエッチング液Aに対 て易溶性であるとともに、エッチング液Bに 対して不溶性又は難溶性である性質を有して いる。このため、エッチング液Aを用いるこ で半透過層20をエッチングせずに反射防止層 35のみをエッチングすることが可能となる。 た、反射防止層35と遮光層33は積層されてい るため、エッチング液Aを用いることで反射 止層35と遮光層33を一括してエッチングする とができる。

 反射防止層35の材料としては、上述した ッチング特性や成膜の利便性を考慮すると 遮光層33と同質の材料で構成されることが好 ましいが、エッチング液Aに対して易溶性で り、かつ、エッチング液Bに対して不溶性又 難溶性であれば、他の材料であってもよい

 次に、本発明のフォトマスク1の製造方法に ついて説明する。
 本発明のフォトマスク1は、半透過層20、遮 層33及び反射防止層35を透明基板10の表面に 膜によって順次積層したフォトマスク用基 2を用いて、各層に対して湿式エッチングに より所定のパターンを形成することで製造さ れる。成膜方法としては、スパッタリング法 、蒸着法、イオンプレーティング法等の真空 を利用した物理蒸着(PVD)や、プラズマCVD、熱C VDなどの気相蒸着(CVD)が挙げられる。

 スパッタリングにより成膜する場合、通常 スパッタリングのほかに、反応性スパッタ ングを利用することもできる。反応性スパ タリング装置の一つは、ターゲットをスパ タする成膜領域と、成膜後の薄膜を反応性 スのプラズマによりプラズマ処理する反応 域を備えた装置である。二つ目は、通常の パッタリング装置で、成膜中に反応性ガス 導入し、スパッタリングによるプラズマを 用して反応を促進させる装置である。以下 この二つ目の反応性スパッタリング装置に り成膜を行い、半透過層20として窒化チタ (TiN x )、遮光層33として金属クロム(Cr)、反射防止 35として酸化クロム(CrO x )の薄膜を形成する例について説明する。

(成膜工程)
 まず、半透過層20の成膜を行う。半透過層20 の成膜では、ターゲットとして金属チタンを 用いる。成膜開始前に、透明基板10をスパッ リング装置の基板ホルダにセットする。ス ッタリング装置の内部を高真空とし、ター ットに不活性ガス(Ar)と反応性ガス(N 2 )を導入してスパッタ電極に電圧を印加する とで、ターゲットから飛び出したチタン(Ti) 反応性ガス(N 2 )とプラズマ中で反応することにより、透明 板10の表面に窒化チタン(TiN x )の薄膜が形成される。これにより、透明基 10の表面に半透過層20を形成する(半透過層成 膜工程)。

 次に、遮光層33の成膜を行う。遮光層33の 成膜の前に、ターゲットを金属チタンから金 属クロム(Cr)に交換する。この状態で、再び パッタリング装置の内部を高真空状態とし ターゲットをスパッタすることで、半透過 20の表面に金属クロム(Cr)からなる遮光層33を 形成する(遮光層成膜工程)。

 続いて、反射防止層35の成膜を行う。反 防止層35は遮光層33と同じくクロムを主成分 しているため、ターゲットを交換すること く遮光層33の成膜に引き続いて成膜を行う とができる。

 窒化チタンを成膜するときと同様の考え方 、ターゲットとして金属クロムを用いる。 光層33を形成した後に、ターゲットに不活 ガス(Ar)と反応性ガス(O 2 )を導入してスパッタ電極に電圧を印加する とで、ターゲットから飛び出したクロム(Cr) 反応性ガス(O 2 )とプラズマ中で反応することにより、遮光 33の表面に酸化クロム(CrO x )の薄膜が形成される。これにより、遮光層33 の表面に反射防止層35を形成する(反射防止層 成膜工程)。
 なお、反射防止層35が遮光層33と異なる金属 材料からなる場合は、遮光層33の成膜後にタ ゲットを交換して反射防止層35の成膜を行 。
 次に、成膜後のフォトマスク用基板2に対し 、超音波洗浄などにより洗浄を行い、表面の 異物を取り除く。

(パターンニング工程)
 このようにして形成された積層構造を有す フォトマスク用基板2に対して、フォトリソ グラフィ技術とエッチング技術を用いて所定 のパターンを形成する。このパターン形成工 程(パターンニング工程)について、図3と図4 参照して説明する。

 まず、パターンニング前のフォトマスク 基板2を用意する(図3(a))。フォトマスク用基 板2は、上述したスパッタリング等の成膜技 を用いて製造することができる。次に、フ トマスク用基板2の表面に、スピンコーティ グなどの方法を用いてレジスト50を塗布す (図3(b))。レジスト50は、紫外線等により硬化 する感光性の高分子材料である。レジスト塗 布方法としては、スピンコーティングに限定 されず、例えばスプレーコーティング、ロー ルコーティングなど、公知の方法を用いるこ とができる。次に、塗布されたレジスト50を ータなどで高温にして、プリベーク(仮硬化 )する。以上により、フォトマスク用基板2の 面にレジスト50を被覆する(第1のレジスト被 覆工程)。

 次に、マスク原版60を用いてレジスト50に マスクパターンを形成する。マスク原版60は 予め所定のパターン(第1のマスクパターン) 書き込まれたものであり、そのパターンを ジスト50に転写するための部材である。マ ク原版60を介してレジスト50に紫外線を照射 て露光する(図3(c))。これにより、第1のマス クパターンどおりにレジスト50の表面を感光 せる(第1の露光工程)。

 続いて、露光後のレジスト50を現像液に 漬する。これにより、レジスト50のうち紫外 線に感光した領域が現像液により除去され、 その領域の下の反射防止層35が表面に露出す (図3(d))。レジスト50を一部除去した後、ヒ タなどを用いて残存するレジスト50を高温に してポストベーク(本硬化)する。これにより レジスト50の一部が除去され、第1のマスク ターンと同じパターンを残りのレジスト50 形成する(第1のレジスト除去工程)。

 次に、エッチング液A(すなわち、第1のエ チング液)を用いて反射防止層35と遮光層33 エッチングする。エッチング液Aは、硝酸セ ウムアンモニウム、過塩素酸、水の混合液 ある。エッチング液Aを浴槽に満たし、レジ スト除去後に露出する反射防止層35をエッチ グ液Aの中に完全に浸漬させる。この状態で 所定のエッチング温度を維持してエッチング を進行させる。反射防止層35と遮光層33は、 ずれもエッチング液Aに対して易溶性である め、エッチング液Aにより一括してエッチン グされてレジスト50の残存パターンと同じパ ーンが形成される。

 一方、半透過層20はエッチング液Aに対し 不溶性又は難溶性であるため、エッチング 止層としての役割を有している。このため エッチング液Aにより遮光層33がエッチング れても、半透過層20はエッチング液Aにより ッチングされずにそのままの状態で残存す (図3(e))。これにより、半透過層20の表面に 光層パターン33aと反射防止層パターン35aと らなる遮光パターン30aを形成する(第1のエッ チング工程)。

 続いて、表面に残存するレジスト50を剥 剤によって溶解し、純水等で表面を洗浄す (図3(f))。これにより、第1のマスクパターン 同じパターンを透明基板10の表面に残存さ る(第1のレジスト剥離工程)。

 次に、表面にレジスト70を塗布し、仮硬 させる(図4(b))。このレジスト70は、先のレジ スト50と同じ材料を用いてもよいし、硬化性 等の異なる材料を用いてもよい。これによ 、表面にレジスト70を被覆する(第2のレジス ト被覆工程)。

 続いて、マスク原版80を用いてレジスト70 にマスクパターンを形成する。マスク原版80 、マスク原版60と同様に予め所定のパター (第2のマスクパターン)が書き込まれた部材 ある。マスク原版80を介してレジスト70に紫 線を照射して露光する(図4(c))。これにより 第2のマスクパターンどおりにレジスト70の 面を感光させる(第2の露光工程)。

 次に、露光後のレジスト70を現像液に浸 し、レジスト70のうち紫外線に感光した領域 を除去する(図4(d))。これにより、レジスト70 一部が除去され、第2のマスクパターンと同 じパターンを残りのレジスト70により形成す (第2のレジスト除去工程)。

 続いて、エッチング液B(すなわち、第2の ッチング液)を用いて半透過層20をエッチン する。エッチング液Bは、水酸化カリウム、 過酸化水素、水の混合液である。エッチング 液Bを浴槽に満たし、レジスト除去後に露出 る半透過層20をエッチング液Bの中に完全に 漬させる。この状態で所定のエッチング温 を維持してエッチングを進行させる。半透 層20は、エッチング液Bに対して易溶性であ ため、エッチング液Bによりエッチングされ レジスト70の残存パターンに応じたパター が形成される。

 一方、遮光層33と反射防止層35はいずれも エッチング液Bに対して不溶性又は難溶性で るため、これらの層から形成される遮光パ ーン30aはエッチング液Bによりエッチングさ ない(図4(e))。これにより、透明基板10の表 に半透過パターン20aを形成する(第2のエッチ ング工程)。

 最後に、表面に残存するレジスト70を剥 剤によって溶解し、純水等で表面を洗浄す (図4(f))。これにより、第2のマスクパターン 同じパターンが透明基板10の表面に残る(第2 のレジスト剥離工程)。

 この方法でエッチングを行うと、図2に示 すように、第1のマスクパターンで露光され い部分は半透過層20、遮光層33、反射防止層3 5のいずれもエッチングされず反射防止層35( 射防止層35を備えていない場合は遮光層33)が 表面に露出した領域(遮光部1a)が形成される また、第1のマスクパターンで露光され第2の マスクパターンで露光されない部分は、遮光 層33と反射防止層35のみがエッチングされ半 過層20が表面に露出した領域(半透過部1b)が 成される。さらに、第1のマスクパターンと 2のマスクパターンの両方で露光された部分 は、半透過層20、遮光層33及び反射防止層35の いずれもエッチングされて透明基板10が表面 露出した領域(透明部1c)が形成される。

 このようにして製造されたフォトマスク1 は、TFTパネルなどを製造する際に用いられる 多階調マスク等として利用できる。TFTパネル などの製造工程では、多階調マスクの表面側 (反射防止層35側)に対向するよう転写基板を 置し、透明基板10側から転写基板に向けて転 写光を照射する。透明基板10側から反射防止 35側へ向けて光を照射すると、遮光部1aでは 照射光が遮光され、半透過部1bでは中間光量( 透過率5~70%)の光が透過し、透明部1cではほぼ1 00%の透過率で光が透過する。このため、対向 する転写基板では、遮光部1aによる未露光部 、半透過部1bによる半露光部分、透明部1cに よる完全露光部分の、異なる3つの露光レベ で転写が行われる。

 このように、本発明のフォトマスク1をフ ォトリソグラフィ技術においてパターン転写 用のマスクとして使用することで、露光強度 の異なる複数の転写パターンを容易に形成す ることができる。また、照射する光の波長と 強度を変更することで、露光のバリエーショ ンを更に増すことができる。

 なお、本実施形態の半透過層20は、透明 板10に直接コーティングされている。このた め、透明基板10の表面に半透過層20の密着性 増加させるための特別な層を事前に形成す 必要が無く、成膜工程の短縮を図ることが きる。また、半透過層20は、露光の際に遮光 層33のガラス面側からの反射率を低減させる 用を併せ持っている。これにより、照射光 対するハレーションの低減や、連続する微 なストライプパターン部などでのモアレ現 の低減を図り、パターン精度を向上させる とができる。

 一方で、図5に示すように、透明基板10の 面に半透過層20との密着性を向上させる金 化合物層90を形成してもよい。この場合、金 属化合物層90は、照射光の透過率70%以上100%未 満であることが好ましい。

 このような金属化合物層90は、エッチング から透明基板10の表面を保護し、かつ、半透 過層20との密着性の高い物質で形成される。 のような物質の例として、酸化ケイ素、酸 アルミニウム、酸化チタン、その他の金属 化物が挙げられる。
 金属化合物層90は、半透過層20を成膜する前 に、スパッタリング等の公知の成膜技術を用 いて透明基板10の表面に形成する。

 なお、上記の実施形態の説明において、第1 のエッチング液であるエッチング液A(硝酸セ ウムアンモニウム、過塩素酸及び水の混合 )、第2のエッチング液であるエッチング液B( 水酸化カリウム、過酸化水素及び水の混合液 )、半透過性を有する第1の層(チタン窒化物を 主成分とする層)、照射光を実質的に遮光す 第2の層(クロム層)、反射防止層(クロム酸化 の層)の場合について記載してきたが、第1 層の材料と第2の層の材料とを置き換え、か 、第1のエッチング液と第2のエッチング液 置き換えた場合についても同様の効果及び 用が得られる。
 すなわち、第1の層として、クロム、クロム 酸化物、クロム窒化物及びクロム酸窒化物か らなる群より選択される1又は2以上の成分を 成分とする層とし、、第2の層として、チタ ン、チタン窒化物及びチタン酸窒化物からな る群より選択される1又は2以上の成分を主成 とする層とする。そして、第1のエッチング 液として、水酸化カリウム、過酸化水素及び 水の混合液を用い、第2のエッチング液とし 、硝酸セリウムアンモニウム、過塩素酸及 水の混合液を用いる。この場合においても 上記の実施形態と同様の作用及び効果が得 れる。

 以下に、本発明のフォトマスク用基板2及び フォトマスク用基板2を用いたフォトマスク1 製造方法について、具体的な実施例を挙げ 説明する。
(実施例1)
 本実施形態では、真空を利用した成膜方法 より透明基板10の表面の各層を製造した。 体的には、窒素ガス、酸素ガス等の反応性 スを用いた反応性スパッタリング装置((株) ンクロン製1900)を用いた。

 本例では、はじめにクオーツ基板(透明基板 10)をスパッタリング装置にセットし、市販の 金属チタンターゲット(純度99.99%以上)を使用 て、反応性スパッタリングを行った。スパ タリング工程では、窒素ガスを導入しなが スパッタリングすることにより、チタンを 化させて窒化チタン(TiNx:ここで0<x<1.33) 薄膜を形成することで、半透過層20を形成 た。このとき半透過層20は、波長436nmで透過 が15%となるように成膜した。
 なお、このときのターゲットは、本例のよ に金属チタンターゲットを用いたものに限 されず、窒化チタンの焼結体をボンディン したものであってもよい。また、窒化度合 は装置により異なるため、成膜条件を適宜 み合わせて調整すればよい。

 次に、金属チタンターゲットを金属クロ ターゲットに換えて、膜厚が700Å(70.0nm)と るように、半透過層20の表面に遮光層33を成 した。このとき、反応性ガスは導入せず、 属クロム(Cr)のみを半透過層20の表面に成膜 た。遮光層として機能させるこの遮光層33 、光学濃度(OD)が3.0以上の光学特性とするた に、可能な限り高真空の下で高速にスパッ することが好ましい。しかし、高速でスパ タすることにより膜厚が急激に増加すると 遮光層33を形成するクロム膜の応力が増加 ることから、適度な範囲で高真空、高速ス ッタを行うことが好ましい。

 引き続き、ターゲットを別の新たな金属ク ムターゲットに替えて、反射防止層35を、 厚300Å(30.0nm)となるように成膜した。スパッ タリング工程では、酸素ガスを導入しながら スパッタリングすることにより、金属クロム を酸化クロム(CrO x :ここで0<x<1.5)に変換した。遮光層である クロムの反射率は、通常60%前後であり、この 反射率を低減させるために、装置にあわせて 適度な屈折率と吸収を持たせて成膜する。
 このときの一般的な反射率は、反射防止層3 5の成膜時に、波長650nmでは25~30%、430nm近傍で 最低でも6~8%である。反射防止層35を2~3層積 することで、反射率を平均数パーセントに えることが可能とである。

 次に、上記スパッタリング工程で成膜し フォトマスク用基板2をスパッタリング装置 から取り出し、保管庫にて1週間放置した。 いて、保管庫から取り出したフォトマスク 基板2に対し、複数槽からなるアルカリ洗剤 中性洗剤、純水の各槽で超音波洗浄を行っ 後、フォトマスク用基板2の表面の全面にレ ジスト(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)  AZ RFP-230K2)を塗布して仮硬化を行った。な お、このレジスト塗布工程では、薬品、プラ ズマ、紫外線等でフォトマスク用基板2の表 を表面処理していない。以下、同様の処理 つき同じである。

 レジスト仮硬化後、第2のストライプパタ ーンの露光(オーク製作所製 ジェットプリン タ:光源CHM-2000 超高圧水銀灯にて16秒間露光) 現像(東京応化(株)製 PMER現像液:温度30℃、1 分間)、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオー ブン:120℃、10分間)を行った。ストライプパ ーンは、ライン幅5μmと2μmの2種類を用いた 続いて、第1のエッチング液である過塩素酸 硝酸セリウムアンモニウム、水の混合液(過 塩素酸:硝酸セリウムアンモニウム:水=4:17:70 反応温度:30℃、エッチング時間:100秒間)に浸 漬して遮光層33と反射防止層35を同時にエッ ングすることで、遮光層パターン33aと反射 止層パターン35aが積層した遮光パターン30a らなるストライプパターンを形成した。次 、所定の薬液等でレジストを除去した。

 このときの遮光層パターン33aと反射防止 パターン35aを合わせた遮光パターン30aのオ バーエッチ寸法は、光学顕微鏡では測定不 能であったため、パターン形成後(レジスト 除去後)のフォトマスク用基板2(以下単に「基 板」という。)を縦方向に切断して電子顕微 にて断面と平面を観察した。撮影した電子 微鏡写真を図6の(a)~(c)に示す。図6の(a)は直 パターンの断面形状を示した断面写真であ てレジスト除去前の状態で撮影した電子顕 鏡写真、(b)は直線パターンの断面形状を示 た断面写真であってレジスト除去後の状態 撮影した電子顕微鏡写真、(c)は直線パター のエッジ部を拡大して撮影した正面写真で ってフォトレジスト除去後の状態を撮影し 電子顕微鏡写真である。

 このうち、(a)と(b)の断面観察の結果から、 明基板10の表面に半透過層20と遮光パターン 30aが積層されていることがわかる。また、(a) の断面観察の結果から、レジストの端部から 内側に向けて遮光パターン30aがオーバーエッ チされていることがわかる。このオーバーエ ッチ寸法は、(a)の写真から0.38μmであること わかった。また、(c)の正面観察の結果から 直線パターンのエッジ部において凹凸が発 しており、その最大と最小の幅は0.1μm以下 あることがわかった。この時点では、半透 層20である窒化チタン(TiN x )膜には特に変化が見られず、透明基板10の表 面に残存していることがわかった。

 次に、レジスト除去後の基板を90度回転 せて、再びレジストを全面に塗布して仮硬 させた。その後、第1のストライプパターン 露光(オーク製作所製 ジェットプリンタ:光 源CHM-2000 超高圧水銀灯にて16秒間露光)、現 (東京応化(株)製 PMER現像液:温度30℃、1分間) 、本硬化(ヤマト科学製 DX402ドライオーブン: 120℃、10分間)を行った。続いて、第2のエッ ング液である過酸化水素、水酸化カリウム 水の混合液(過酸化水素(35%水溶液):水酸化カ ウム(30%水溶液):水=16:1:32、反応温度:30℃、 ッチング時間:150秒間)に浸漬して半透過層20 エッチングすることで、半透過パターン20a らなるストライプパターンを形成した。こ により、ひとつの透明基板10の表面に、半 過パターン20aと遮光パターン30aとが積層し 遮光部1aと、半透過パターン20aのみからなる 半透過部1bとがクロスしたパターンが得られ (図7参照)。

 図7の左側の写真はパターンのライン幅が5μ mとなるようパターンニングを行った例、右 の写真はライン幅が2μmとなるようパターン ングを行った例を示している。各写真の手 側の直線パターン(縦方向の直線)が遮光パ ーン30a、遮光パターン30aの下に形成された 線パターン(横方向の直線)が半透過パターン 20aである。半透過パターン20aの下に位置する 升目状の領域が透明基板10の上面である。
 図7の写真から、ライン幅が2μmと短い場合 あっても各パターンは良好な線形性を備え いることがわかる。このため、本発明のフ トマスクの製造方法によれば、微細なパタ ンを高精度に形成することが可能であるこ がわかった。

 次に、遮光パターン30aの形成後にオーバ エッチ寸法を測定したときと同様に、基板 縦方向に切断して電子顕微鏡にて断面と平 を観察した。撮影した電子顕微鏡写真を図8 の(a)~(c)に示す。図8の(a)は直線パターンの断 形状を示した断面写真であってレジスト除 前の状態で撮影した電子顕微鏡写真、(b)は 線パターンの断面形状を示した断面写真で ってレジスト除去後の状態を撮影した電子 微鏡写真、(c)は直線パターンのエッジ部を 大して撮影した正面写真であってフォトレ スト除去後の状態を撮影した電子顕微鏡写 である。

 このうち図8の(a)と(b)の断面観察の結果か ら、透明基板10の表面に半透過パターン20aが 成されていることがわかる。また、(a)の断 観察の結果から、レジストの端部から内側 向けて半透過パターン20aがオーバーエッチ れていることがわかる。このオーバーエッ 寸法は、(a)の写真から0.37μmであることがわ かった。また、(c)の正面観察の結果から、直 線パターンに対してエッジ部の凹凸寸法が0.0 5μm以下と相対的に小さく、十分に線形性が たれていることがわかった。このため、パ ーンの直線性については問題視するレベル はないと考えられる。

 パターンニングしない他の基板を利用し 、光学濃度(OD)を小西六写真工業社製のマク ベス濃度計にて測定し、過塩素酸、硝酸セリ ウムアンモニウム、水の混合液からなるエッ チング液Aで遮光層33と反射防止層35とをエッ ングした後よく洗浄して、日立ハイテクノ ジーズ製の光学特性である分光透過率を自 分光光度計U-4000で測定した。その結果得ら た光学濃度は3.38であり、透過率は350nmで6.91 %、436nmで14.73%、500nmで18.29%であった。

 クロスパターンの一部を利用して、半透過 ターン20aと遮光パターン30aをアルバック製 触針式表面形状測定器Dectakによって測定し 。この結果、半透過パターン20aの膜厚は319 (31.9nm)、遮光パターン30aの膜厚は1020Å(102.0n m)であった。遮光層パターン33aの膜厚設定が7 00Å、反射防止層パターン35aが300Å(30.0nm)で ったことからすると、遮光パターン30aの膜 の1020Å(102.0nm)は、測定器の誤差範囲内であ 、目標値とほぼ一致することが確認できた この結果を表2に示す。

(実施例2)
 実施例2は、実施例1と異なり、436nmの透過率 が20%となるように半透過層20を設計した例で る。本例では、半透過層20の膜厚を調整す ことで、照射光の436nmにおける透過率が約20% となるように設計している。それ以外の条件 は、実施例1と同様である。

 実施例1と同様の手順により、遮光層33と反 防止層35をエッチングして遮光パターン30a らなるストライプパターンを形成した。形 後の基板を縦方向に切断し、実施例1の図6と 同様の電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平 面を観察した。断面観察の結果から、オーバ ーエッチ寸法は0.37μmであることがわかった また、正面観察の結果から、直線パターン エッジ部において凹凸が発生しており、そ 最大と最小の幅は0.1μm以下であることがわ った。この時点では、半透過層20である窒化 チタン(TiN x )膜には特に変化が見られず、透明基板10の表 面に残存していることがわかった。

 次に、実施例1と同様の手順で半透過層20を ッチングして、半透過パターン20aからなる トライプパターンを形成した。形成後の基 を縦方向に切断し、実施例1の図8と同様の 子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平面を観 した。この結果、オーバーエッチ寸法は0.39 mであった。また、直線パターンに対してエ ジ部の凹凸寸法が0.05μm以下と、十分に小さ いことがわかった。
 また、実施例1と同様に透過率等を測定した ところ、光学濃度は3.29、透過率は350nmで12.85% 、436nmで21.14%、500nmで25.53%であった。
 さらに、膜厚測定の結果、半透過パターン2 0aの膜厚は260Å(26.0nm)、遮光パターン30aの膜 は1015Å(101.5nm)であった。これらの結果を表2 に示す。

(実施例3)
 実施例3は、実施例1、2とは異なり、436nmの 過率が30%となるように半透過層20を設計した 例である。本例では、半透過層20の膜厚を調 することで、照射光の436nmにおける透過率 約30%となるように設計しているが、それ以 の条件は、実施例1、2と同様である。

 実施例1と同様の手順により、遮光層33と反 防止層35をエッチングして遮光パターン30a らなるストライプパターンを形成した。形 後の基板を縦方向に切断し、実施例1の図6と 同様の電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平 面を観察した。断面観察の結果から、オーバ ーエッチ寸法は0.39μmであることがわかった また、正面観察の結果から、直線パターン エッジ部において凹凸が発生しており、そ 最大と最小の幅は0.1μm以下であることがわ った。この時点では、半透過層20である窒化 チタン(TiN x )膜には特に変化が見られず、透明基板10の表 面に残存していることがわかった。

 次に、実施例1と同様の手順で、半透過層 20をエッチングして半透過パターン20aからな ストライプパターンを形成した。形成後の 板を縦方向に切断し、実施例1の図8と同様 電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平面を 察した。この結果、オーバーエッチ寸法は0. 35μmであった。また、直線パターンに対して ッジ部の凹凸寸法が0.05μm以下と十分に小さ いことがわかった。

 また、実施例1と同様に透過率等を測定した ところ、光学濃度は3.22、透過率は350nmで18.79% 、436nmで29.67%、500nmで32.78%であった。
 さらに、膜厚測定の結果、半透過パターン2 0aの膜厚は231Å(23.1nm)、遮光パターン30aの膜 は1005Å(100.5nm)であった。これらの結果を表2 に示す。

(実施例4)
 実施例4は、実施例1~3とは異なり、436nmの透 率が40%となるように半透過層20を設計した である。本例では、半透過層20の膜厚を調整 することで、照射光の436nmにおける透過率が 40%となるように設計しているが、それ以外 条件は実施例1~3と同様である。

 実施例1と同様の手順により、遮光層33と反 防止層35をエッチングして遮光パターン30a らなるストライプパターンを形成した。形 後の基板を縦方向に切断し、実施例1の図6と 同様の電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平 面を観察した。断面観察の結果から、オーバ ーエッチ寸法は0.38μmであることがわかった また、正面観察の結果から、直線パターン エッジ部において凹凸が発生しており、そ 最大と最小の幅は0.1μm以下であることがわ った。この時点では、半透過層20である窒化 チタン(TiN x )膜には特に変化が見られず、透明基板10の表 面に残存していることがわかった。

 次に、実施例1と同様の手順で、半透過層 20をエッチングして半透過パターン20aからな ストライプパターンを形成した。形成後の 板を縦方向に切断し、実施例1の図8と同様 電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平面を 察した。この結果、オーバーエッチ寸法は0. 38μmであった。また、直線パターンに対して ッジ部の凹凸寸法が0.05μm以下と十分に小さ いことがわかった。

 また、実施例1と同様に透過率等を測定した ところ、光学濃度は3.17、透過率は350nmで28.05% 、436nmで39.93%、500nmで48.18%であった。
 さらに、膜厚測定の結果、半透過パターン2 0aの膜厚は209Å(20.9nm)、遮光パターン30aの膜 は1000Å(100.0nm)であった。これらの結果を表2 に示す。

(実施例5)
 実施例5は、実施例1~4とは異なり、436nmの透 率が50%となるように半透過層20を設計した である。本例では、半透過層20の膜厚を調整 することで、照射光の436nmにおける透過率が 50%となるように設計しているが、それ以外 条件は実施例1~4と同様である。

 実施例1と同様の手順により、遮光層33と反 防止層35をエッチングして遮光パターン30a らなるストライプパターンを形成した。形 後の基板を縦方向に切断し、実施例1の図6と 同様の電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平 面を観察した。断面観察の結果から、オーバ ーエッチ寸法は0.35μmであることがわかった また、正面観察の結果から、直線パターン エッジ部において凹凸が発生しており、そ 最大と最小の幅は0.1μm以下であることがわ った。この時点では、半透過層20である窒化 チタン(TiN x )膜には特に変化が見られず、透明基板10の表 面に残存していることがわかった。

 次に、実施例1と同様の手順で、半透過層 20をエッチングして半透過パターン20aからな ストライプパターンを形成した。形成後の 板を縦方向に切断し、実施例1の図8と同様 電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平面を 察した。この結果、オーバーエッチ寸法は0. 40μmであった。また、直線パターンに対して ッジ部の凹凸寸法が0.05μm以下と十分に小さ いことがわかった。

 また、実施例1と同様に透過率等を測定した ところ、光学濃度は3.03、透過率は350nmで40.01% 、436nmで52.03%、500nmで59.59%であった。
 さらに、膜厚測定の結果、半透過パターン2 0aの膜厚は153Å(15.3nm)、遮光パターン30aの膜 は980Å(98.0nm)であった。これらの結果を表2 示す。

(実施例6)
 実施例6は、実施例1~5とは異なり、436nmの透 率が60%となるように半透過層20を設計した である。本例では、半透過層20の膜厚を調整 することで、照射光の436nmにおける透過率が 60%となるように設計しているが、それ以外 条件は実施例1~5と同様である。

 実施例1と同様の手順により、遮光層33と反 防止層35をエッチングして遮光パターン30a らなるストライプパターンを形成した。形 後の基板を縦方向に切断し、実施例1の図6と 同様の電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平 面を観察した。断面観察の結果から、オーバ ーエッチ寸法は0.40μmであることがわかった また、正面観察の結果から、直線パターン エッジ部において凹凸が発生しており、そ 最大と最小の幅は0.1μm以下であることがわ った。この時点では、半透過層20である窒化 チタン(TiN x )膜には特に変化が見られず、透明基板10の表 面に残存していることがわかった。

 次に、実施例1と同様の手順で、半透過層 20をエッチングして半透過パターン20aからな ストライプパターンを形成した。形成後の 板を縦方向に切断し、実施例1の図8と同様 電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平面を 察した。この結果、オーバーエッチ寸法は0. 39μmであった。また、直線パターンに対して ッジ部の凹凸寸法が0.05μm以下と十分に小さ いことがわかった。

 また、実施例1と同様に透過率等を測定した ところ、光学濃度は3.13、透過率は350nmで48.06% 、436nmで60.52%、500nmで68.30%であった。
 さらに、膜厚測定の結果、半透過パターン2 0aの膜厚は118Å(11.8nm)、遮光パターン30aの膜 は1010Å(101.0nm)であった。これらの結果を表2 に示す。

 実施例1~6における遮光パターン30aのパター ニング性は、光学顕微鏡と電子顕微鏡の観 結果から、オーバーエッチ寸法が0.35~0.40μm あり、直線パターンのエッジ部の凹凸寸法 0.1μm以下であった。また、半透過パターン2 0aでは、オーバーエッチ寸法が0.35~0.40μmであ 、パターンエッジの直線性については、直 パターンに対する凹凸寸法が0.05μm以下であ った。この凹凸寸法は、2μmのパターン幅に して1/40(0.05μm)と小さく、直線性に問題のな レベルであることが確認できた。
 なお、パターンエッチの直線性を阻害して るのは、薄膜粒界でのエッチング液との反 や、表面処理をせずにパターンニングした とによる薄膜とレジスト界面での密着性の 足によるものであると推測される。この密 不足は、薄膜形成後のフォトマスク用基板2 を放置することによる薄膜表面の酸化や汚染 、その他が原因であると考えられる。

(実施例7)
 本実施例では、実施例1~6とは異なり、第1の 層(半透過層)の材料と第2の層(遮光層)の材料 を置き換え、かつ、第1のエッチング液(エ チング液A)と第2のエッチング液(エッチング B)とを置き換えた場合の例である。なお、 膜工程、パターンニング工程は実施例1~6と 本的に同様の手順である。

 実施例1と同様、はじめにクオーツ基板( 明基板10)をスパッタリング装置にセットし 市販のクロム金属ターゲット(純度99.99%以上) を使用して反応性スパッタリングを行った。 スパッタリング工程では、酸素ガスと窒素ガ スを導入しながらスパッタリングすることに より、クロムと酸素と窒素からなる化合物(Cr ON)の薄膜を形成することで、半透過層20を形 した。このとき半透過層20は、波長436nmで透 過率20%となるように成膜した。

 次に、金属クロムターゲットを金属チタ ターゲットに替えて、膜厚700Å(70nm)となる うに、半透過層20の表面に遮光層33を成膜し た。このとき、反応性ガスは導入せず、金属 チタン(Ti)のみを半透過層20の表面に成膜した 。

 引き続き、ターゲットを新たなチタンター ットに替えて、反射防止層35を、膜厚300Å(3 0nm)となるように成膜した。スパッタリング 程では、酸素ガスと窒素ガスを導入しなが スパッタリングすることにより、チタンと 素と窒素の化合物(TiON)を形成した。
 このときの反射率は、反射防止層35の成膜 に、波長650nmでは35~38%、430nm近傍では9~10%で る。

 次に、上記スパッタリング工程で成膜した ォトマスク用基板2をスパッタリング装置か ら取り出し、保管庫にて1週間放置した後、 ッチング液B(水酸化カリウム、過酸化水素、 水の混合液)にて、実施例1と同様の手順で、 光層33と反射防止層35が積層した遮光パター ン30aからなるストライプパターンを形成した 。
 形成後の基板を縦方向に切断し、実施例1の 図6と同様の電子顕微鏡写真を撮影し、断面 び平面を観察した。断面観察の結果から、 ーバーエッチ寸法は0.39μmであることがわか た。また、正面観察の結果から、直線パタ ンのエッジ部において凹凸が発生しており その最大と最小の幅は0.1μm以下であること わかった。この時点では、半透過層20であ 酸窒化クロム(CrON)膜には特に変化は見られ 、透明基板10の表面に残存していることがわ かった。

 次に、実施例1と同様の手順で半透過層20を ッチング液A(硝酸セリウムアンモニウム、 塩素酸、水の混合液)にてエッチングし、半 過パターン20aからなるストライプパターン 形成した。形成後の基板を縦方向に切断し 実施例1の図8と同様の電子顕微鏡写真を撮 し、断面及び平面を観察した。この結果、 ーバーエッチ寸法は、0.38μmであった。また 直線パターンに対してエッジ部の凹凸寸法 0.1μm以下と十分に小さいことがわかった。
 また、実施例1と同様に透過率等を測定した ところ、光学濃度は3.07、透過率は350nmで7.65% 436nmで18.97%、500nmで27.66%であった。
 さらに、膜厚測定の結果、半透過パターン2 0aの膜厚は487Å(48.7nm)、遮光パターン30aの膜 は1000Å(100nm)であった。これらの結果を表2 示す。

(実施例8)
 実施例8は、実施例7とは異なり、436nmの透過 率が40%となるように半透過層20を設計した例 ある。本例では、半透過層20の膜厚を調整 ることで、照射光の436nmにおける透過率が約 40%となるように設計しているが、それ以外の 条件は実施例7と同様である。

 実施例7と同様の手順により、遮光層33と 射防止層35が積層した遮光パターン30aから るストライプパターンを形成した。形成後 基板を縦方向に切断し、実施例1の図6と同様 の電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平面を 観察した。断面観察の結果から、オーバーエ ッチ寸法は0.39μmであることがわかった。ま 、正面観察の結果から、直線パターンのエ ジ部において凹凸が発生しており、その最 と最小の幅は0.1μm以下であることがわかっ 。この時点では、半透過層20である酸窒化ク ロム(CrON)膜には特に変化は見られず、透明基 板10の表面に残存していることがわかった。

 次に、実施例7と同様の手順で半透過層20 エッチングして半透過パターン20aからなる トライプパターンを形成した。形成後の基 を縦方向に切断し、実施例1の図8と同様の 子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平面を観 した。この結果、オーバーエッチ寸法は0.37 mであった。また、直線パターンに対してエ ジ部の凹凸寸法が0.1μm以下と十分に小さい とがわかった。

 また、実施例1と同様に透過率等を測定した ところ、光学濃度は3.05、透過率は350nmで29.03% 、436nmで37.66%、500nmで43.48%であった。
 さらに、膜厚測定の結果、半透過パターン2 0aの膜厚は287Å(28.7nm)、遮光パターン30aの膜 は1020Å(102nm)であった。これらの結果を表2 表す。

(実施例9)
 実施例9は、実施例7、8とは異なり、波長436n mの透過率が60%となるように半透過層20を設計 した例である。本例では、半透過層20の膜厚 調整することで、照射光の波長436nmにおけ 透過率が約60%となるように設計しているが それ以外の条件は実施例7、8と同様である。

 実施例7、8と同様の手順により、遮光層33 と反射防止層35が積層した遮光パターン30aか なるストライプパターンを形成した。形成 の基板を縦方向に切断し、実施例1の図6と 様の電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平 を観察した。断面観察の結果から、オーバ エッチ寸法は0.38μmであることがわかった。 た、正面観察の結果から、直線パターンの ッジ部において凹凸が発生しており、その 大と最小の幅は0.1μm以下であることがわか た。この時点では、半透過層20である酸窒 クロム(CrON)膜には特に変化は見られず、透 基板10の表面に残存していることがわかった 。

 次に、実施例7、8と同様の手順で半透過 20をエッチングして半透過パターン20aからな るストライプパターンを形成した。形成後の 基板を縦方向に切断し、実施例1の図8と同様 電子顕微鏡写真を撮影し、断面及び平面を 察した。この結果、オーバーエッチ寸法は0 .36μmであった。また、直線パターンに対して エッジ部の凹凸寸法が0.1μm以下と十分に小さ いことがわかった。

 また、実施例1と同様に透過率等を測定した ところ、光学濃度は3.03、透過率は350nmで48.21% 、436nmで59.05%、500nmで64.98%であった。
 さらに、膜厚測定の結果、半透過パターン2 0aの膜厚は124Å(12.4nm)、遮光パターン30aの膜 は1010Å(101nm)であった。これらの結果を表2 示す。

 これら実施例7~9に示すように、第1の層で ある半透過層の材料と第2の層である遮光層 材料を置き換え、第1のエッチング液である ッチング液Aと第2のエッチング液であるエ チング液Bを置き換えた場合においても、実 例1~6と同様の結果が得られた。

 結果として、現状の液晶用表示素子やカ ーフィルタ基板等に利用されているブラッ マトリックスはもちろん、フォトマスクと ての利用が十分可能であることを確認した 実施例1~9の評価結果を表2に示す。

 以下に、比較例について説明する。
(比較例1)
 比較例1は、実施例1~9とは異なり、透明基板 10の表面に酸化クロム(CrO x )からなる第1の反射防止層と、金属クロム(Cr) からなる遮光層と、酸化クロム(CrO x )からなる第2の反射防止層の3層を、この順で 順次積層した例である。この例の積層構造は 、一般的に利用されているフォトマスクの構 成と同じである。すなわち、一般的なフォト マスクは、遮光層の吸収度合いにより、その 上下に配置される層のうちいずれか一方や両 方を酸化物、窒化物、酸窒化物等で形成した り、狭持させたりすることが多い。比較例1 は、上記各実施例との比較対象として、そ ような一般的なフォトマスクを形成するた の基板を採用している。

 比較例1では、実施例1と同様のスパッタリ グ装置を用い、実施例1の金属チタンターゲ トに換えて金属クロムターゲット(純度99.99% 以上)を使用し、反応性ガスとして酸素ガス 用いて、反応性スパッタリングにより第1の 射防止層としての酸化クロム(CrO x )を透明基板10の表面に直接成膜した。なお、 酸化度はスパッタリング装置により異なるた め、成膜条件を組み合わせて適宜調整すれば よい。

 次に、金属クロムターゲットを新たな金属 ロムターゲットに替えて、第1の反射防止層 の表面に金属クロム(Cr)からなる遮光層をス ッタリングにより成膜した。この遮光層は 照射光に対してほぼ100%遮蔽(OD>3.0)可能な 厚となっている。さらに、連続して遮光層 表面に、酸化クロム(CrO x )からなる第2の反射防止層を形成した。

 続いて、上記スパッタリング工程で成膜 た積層基板をスパッタリング装置から取り し、保管庫にて1週間放置した。続いて、保 管庫から取り出した基板に対し、複数槽から なるアルカリ洗剤、中性洗剤、純水の各槽で 超音波洗浄を行った後、基板表面の全面に実 施例1と同様のレジストを塗布して仮硬化を った。その後、実施例1で使用したパターン 用いて露光、現像、本硬化を行い、第1のエ ッチング液である過塩素酸、硝酸セリウムア ンモニウム、水からなる混合液を用いて第1 反射防止層、遮光層及び第2の反射防止層を 括してエッチングし、ストライプパターン 形成した。

 実施例1と同様に電子顕微鏡を用いて断面 及び平面を観察することにより、このときの 3つの層からなるストライプパターンのオー ーエッチを評価した。その結果、断面観察 らオーバーエッチ寸法は0.40μmであり、正面 察の結果から直線パターンのエッジ部にお る凹凸の幅は0.1μm以下であることがわかっ 。

 パターンニングしない他の基板を利用して 実施例1と同様に光学濃度(OD)と光学特性で る分光反射率を日立ハイテクノロジーズ製 自記分光光度計U-4000で測定した。その結果 られた光学濃度は3.18であり、基板面側から 反射率は436nmで7.11%であった。
 また、エッチングされたストライプパター の一部を利用して、第1の反射防止層と遮光 層と第2の反射防止層とからなるパターンの 厚を測定した結果、これらの合計膜厚は1280 (128.0nm)であった。この結果を表2に示す。

(比較例2)
 比較例2は、実施例1~9や比較例1とは異なり 透明基板10の表面に反射防止層としての酸化 クロム(CrO x )層と遮光層としての金属クロム(Cr)層の2層を この順で順次積層した例である。この例は、 液晶表示素子等の表示品位を向上させる目的 で、各画の外周(例えば、カラーフィルタの 、緑、青などの画素の外周)に設けられるブ ックマトリクス用の薄膜や、数ミクロン~数 十ミクロンオーダーのフォトマスクに利用さ れている2層タイプのフォトマスクと同様の 成を備えたものである。ブラックマトリク の場合は、マスクと反対の視認側からの反 率を低減するため、基板側に反射防止層と ての酸化クロム(CrO x )を配置した構造となっている。

 本例では、実施例1と同様の手順で、酸化ク ロム(CrO x )を膜厚300Å(30.0nm)となるように積層した。続 いてその上に、金属クロム(Cr)を膜厚700Å(79.0 nm)となるように積層した。
 次に、実施例1と同様の手順で露光、現像、 本硬化を行い、第1のエッチング液である過 素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水から る混合液を用いて酸化クロム(CrO x )層と金属クロム(Cr)層を一括してエッチング 、ストライプパターンを形成した。

 実施例1と同様に電子顕微鏡を用いて断面及 び平面を観察することにより、このときの反 射防止層である酸化クロム(CrO x )層と遮光層としての金属クロム(Cr)層からな ストライプパターンのオーバーエッチを評 した。その結果、断面観察からオーバーエ チ寸法は0.38μmであり、正面観察の結果から 直線パターンのエッジ部における凹凸の幅は 0.1μm以下であることがわかった。

 パターンニングしない他の基板を利用して 実施例1と同様に光学濃度(OD)と光学特性で る分光反射率を日立ハイテクノロジーズ製 自記分光光度計U-4000で測定した。その結果 られた光学濃度は3.04であり、基板面側から 反射率は436nmで7.53%であった。
 また、エッチングされたストライプパター の一部を利用して、遮光層と反射防止層か なるパターンの膜厚を測定した結果、これ の合計膜厚は980Å(98.0nm)であった。この結 を表2に示す。

(比較例3)
 比較例3は、実施例1~9や比較例1、2とは異な 、透明基板10の表面に酸化クロム(CrO x )層のみを形成した例である。酸化クロム(CrO x )層は金属クロム(Cr)層と同一のエッチング液 てエッチングされるため、従来の方法でハ フトーンマスクを作成する際には、遮光性 金属クロム(Cr)層と半透過性の酸化クロム(Cr O x )層は別々に(すなわち、2回にわけて)成膜し いた。そこで比較例3では、半透過層として 機能のみを有する酸化クロム(CrO x )層のみを形成した例を、上記各実施例との 較対象として採用している。

 本例では、実施例1と同様の手順で、酸化ク ロム(CrO x )層を膜厚300Å(30.0nm)となるように形成した。
 次に、実施例1と同様の手順で露光、現像、 本硬化を行い、第1のエッチング液である過 素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水から る混合液を用いて酸化クロム(CrO x )層をエッチングし、ストライプパターンを 成した。

 実施例1と同様に電子顕微鏡を用いて断面及 び平面を観察することにより、このときの酸 化クロム(CrO x )層からなるパターンのオーバーエッチを評 した。その結果、断面観察からオーバーエ チ寸法は0.38μmであり、正面観察の結果から 線パターンのエッジ部における凹凸の幅は0 .1μm以下であることがわかった。

 パターンニングしない他の基板を利用して 実施例1と同様に光学濃度(OD)と光学特性で る分光透過率を日立ハイテクノロジーズ製 自記分光光度計U-4000で測定した。その結果 られた光学濃度は0.39であり、透過率は436nm 40.64%であった。
 また、エッチングされたストライプパター の一部を利用して、パターンの膜厚を測定 た結果、膜厚は290Å(29.0nm)であった。この 果を表2に示す。

(比較例4)
 比較例4は、実施例1~9や比較例1~3とは異なり 、透明基板10の表面に金属クロム(Cr)層のみを 形成した例である。金属クロム(Cr)は反射率 高いため、配線を含む電極やミラー等で利 されるため、実施例とのパターンニング性 比較する上で参考となるものである。

 本例では、実施例1と同様の手順で、金属ク ロム(Cr)層を膜厚700Å(70.0nm)となるように形成 した。
 次に、実施例1と同様の手順で露光、現像、 本硬化を行い、第1のエッチング液である過 素酸、硝酸セリウムアンモニウム、水から る混合液を用いて金属クロム(Cr)層をエッチ グし、ストライプパターンを形成した。

 実施例1と同様に電子顕微鏡を用いて断面 及び平面を観察することにより、このとき金 属クロム(Cr)層からなるパターンのオーバー ッチを評価した。その結果、断面観察から ーバーエッチ寸法は0.35μmであり、正面観察 結果から直線パターンのエッジ部における 凸の幅は0.05μm以下であることがわかった。

 パターンニングしない他の基板を利用して 実施例1と同様に光学濃度(OD)と光学特性で る分光反射率と透過率を日立ハイテクノロ ーズ製の自記分光光度計U-4000で測定した。 の結果得られた光学濃度は3.02であり、透過 は436nmで0.092%、反射率は59.71%であった。
 また、エッチングされたストライプパター の一部を利用して、パターンの膜厚を測定 た結果、これらの合計膜厚は720Å(72.0nm)で った。この結果を表2に示す。




 
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