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Patent Searching and Data


Title:
SUBSTRATE FOR SOLAR CELL AND OXIDE SEMICONDUCTOR ELECTRODE FOR DYE-SENSITIZED SOLAR CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154314
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a solar cell substrate which is composed of a transparent conductive film formed on a glass substrate, wherein the thermal expansion coefficient of the glass substrate is 50 × 10-7 to 110 × 10-7/°C. Also provided is a solar cell substrate in which a conductive film composed of a fluorine-doped tin oxide or an antimony-doped tin oxide is deposited on a glass substrate having a thickness of 0.05 to 2 mm, wherein the strain point of the glass substrate is 525°C or higher.

Inventors:
SAWADA MASAHIRO (JP)
NAGAKANE TOMOHIRO (JP)
SAKAMOTO AKIHIKO (JP)
SETO TADASHI (JP)
FUJIMOTO SATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/064265
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
August 12, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON ELECTRIC GLASS CO (JP)
SAWADA MASAHIRO (JP)
NAGAKANE TOMOHIRO (JP)
SAKAMOTO AKIHIKO (JP)
SETO TADASHI (JP)
FUJIMOTO SATOSHI (JP)
International Classes:
H01M14/00; H01L31/04
Foreign References:
JPH11135819A1999-05-21
JP2007042366A2007-02-15
JP2007311242A2007-11-29
JP2003142170A2003-05-16
JP2003217688A2003-07-31
JP2001093591A2001-04-06
JP2002260448A2002-09-13
JP2008157645A2008-07-10
JP2008240955A2008-10-09
JP2008258761A2008-10-23
Other References:
"Technology of Transparent Conductive Film", OHMSHA, LTD., pages: 153 - 165
See also references of EP 2299536A4
Attorney, Agent or Firm:
NAITO, Teruo (JP)
Teruo Naito (JP)
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Claims:
 透明導電膜がガラス基板上に形成されてなる太陽電池用基板であって、ガラス基板の熱膨張係数が50×10 -7 ~110×10 -7 /℃であることを特徴とする太陽電池用基板。
 太陽電池が色素増感型太陽電池であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用基板。
 ガラス基板の歪点が525℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用基板。
 ガラス基板の厚さが2mm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の太陽電池用基板。
 請求項1~4のいずれかに記載の太陽電池用基板の透明導電膜上に、厚さ5~50μmの酸化物半導体層が形成されてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極。
 酸化物半導体層が酸化チタンを含むことを特徴とする請求項5に記載の色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極。
 酸化物半導体層が、光透過性の異なる複数の層で構成されることを特徴とする請求項5または6に記載の色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極。
 酸化物半導体層が、酸化物粒子の粒子径分布が異なる複数の層で構成されることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極。
 酸化物半導体層が、平均一次粒子径が30nm以下の酸化物粒子からなる層を含むことを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極。
 0.05~2mmの厚みを有するガラス基板上にフッ素ドープ酸化スズまたはアンチモンドープ酸化スズからなる導電膜が成膜されてなる太陽電池用基板であって、ガラス基板の歪点が525℃以上であることを特徴とする太陽電池用基板。
 太陽電池が色素増感型太陽電池であることを特徴とする請求項10に記載の太陽電池用基板。
 ガラス基板の熱膨張係数が70×10 -7 ~110×10 -7 /℃であることを特徴とする請求項10または11に記載の太陽電池用基板。
 請求項10~12のいずれかに記載の太陽電池用基板の導電膜上に、厚さ5~50μmの酸化物半導体層が形成されてなることを特徴とする色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極。
 酸化物半導体層が、平均一次粒子径が30nm以下の酸化物粒子からなることを特徴とする請求項13に記載の色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極。
 酸化物半導体層の気孔率が60~80%であることを特徴とする請求項13または14に記載の色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極。
Description:
太陽電池用基板および色素増感 太陽電池用酸化物半導体電極

 本発明は、太陽電池用基板、および当該 陽電池用基板を用いた色素増感型太陽電池 酸化物半導体電極に関する。

 近年、単結晶シリコン、多結晶シリコン 陽電池またはアモルファスシリコン太陽電 を始めとする太陽電池に対する需要がます す高まっている。これらの太陽電池は、主 家庭用発電、商業用発電などに利用されて る。また、その他の太陽電池として、CIS太 電池、CdTe太陽電池、色素増感型太陽電池、 有機薄膜太陽電池などが開発されており、こ れらも実用化されようとしている。

 アモルファスシリコン太陽電池や色素増 型太陽電池などには、電極基板として透明 電膜付ガラス基板が用いられる。ここで、 ラス基板としては、製造コストや汎用性の で有利なことから、一般にソーダライムガ スが用いられている。また透明導電膜とし は、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモ ドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジ ウム(ITO)などが用いられる。中でもFTOやATOは ITOに比べ抵抗率では劣るものの、化学的お び熱的に安定であり、さらに膜表面の凹凸 状による光の封じ込めや表面積の増大化に る導電性向上などの効果が期待できるため アモルファスシリコン太陽電池や色素増感 太陽電池用の電極基板として汎用されてい (例えば、特許文献1および非特許文献1参照) 。

 一般に、FTO膜およびATO膜の作製には、成 性が良好であり、かつ低コストであること ら熱化学気相成長(熱CVD)法が用いられる。 体的には、スズおよびフッ素を含む化合物 混合ガスを、約480℃以上に熱したガラス基 上で熱分解反応させることにより成膜され 。なお、熱CVD法には、板ガラス製造ライン その熱を利用して成膜するオンラインCVD法 、一旦冷却されたガラスを所定の寸法に切 し、再加熱して成膜するオフラインCVD法が る。

 ところで、近年の携帯電子機器の普及に い、電源として、従来のバッテリーに加え 太陽電池が使用されるようになってきてい 。太陽電池が携帯電子機器に用いられる場 、従来の屋外設置の家庭用や商業用発電に いられる太陽電池よりも、薄型化および軽 化が求められる。また、室内光などの直射 光以外の光に対する発電効率が高いことも められる。このような用途には、色素増感 太陽電池が特に適している。

 また、太陽電池を薄型化および軽量化す ためには、電極基板を薄型化することが最 有効である。電極基板を薄型化するために 、例えば、電極基板を構成するガラス基板 研磨して薄くする方法が挙げられる。通常 ガラスを研磨する場合、時間短縮やコスト 減などの理由により両面研磨が行われる。 かしながら、ガラス基板の片側に導電膜が 膜されている場合、片面しか研磨すること できないため時間とコストが掛かる。また 研磨工程において導電膜にキズが入りやす という問題がある。

 そこで、予め薄板ガラス基板を用意し、 の表面に導電膜を成膜する方法が提案され いる。当該方法によれば、ガラス基板の研 作業が不要であるため時間とコストの削減 なり、太陽電池の薄型化および軽量化を効 よく実現することが可能となる。

日本国特開2002-260448号公報

透明導電膜の技術(改訂2版)、オーム社、 153~165頁

 色素増感型太陽電池には、透明導電膜付 板(導電膜表面)上に酸化チタンや酸化亜鉛 どの酸化物半導体層が形成された酸化物半 体電極が用いられる。ここで、酸化物半導 層と導電膜付基板(導電膜表面)の密着性を高 めると、太陽電池のエネルギー変換効率が向 上する。しかしながら、基板の種類によって は、酸化物半導体層が導電膜付基板(導電膜 面)から剥離しやすく、所定の特性が得られ いという問題がある。

 したがって、本発明は、上記の事情に鑑 てなされたものであり、酸化物半導体層が 離しにくい太陽電池用基板、および当該太 電池用基板を用いた色素増感型太陽電池用 化物半導体電極を提供することを第1の目的 とする。

 また、既述のように、ガラス基板にFTO膜 ATO膜をオフラインCVD法で成膜する場合、ガ ス基板を約480℃以上まで加熱して成膜が行 れる。しかしながら、ガラス基板に吹き付 られるガス温度は比較的低いため、成膜に りガラス基板の温度が低下しやすい。それ より、ガラス基板の面方向や厚み方向の温 分布にムラが生じたりすると、応力が発生 変形が生じやすい。したがって、従来のよ にガラス基板厚みが十分に厚い場合は変形 生じにくいが、板厚が薄い場合、特に2mm以 となると変形は顕著となり、太陽電池用電 基板として使用できなくなるといった問題 生じていた。

 したがって、本発明は、FTO膜またはATO膜 成膜時に変形が生じにくい太陽電池用基板 および当該太陽電池用基板を用いた色素増 型太陽電池用酸化物半導体電極を提供する とを第2の目的とする。

 本発明者等は前記第1の目的について鋭意 検討を行った結果、太陽電池用基板に用いる ガラス基板の熱膨張係数が、酸化物半導体層 の剥離のしやすさと関係があることを見出し 、本発明を完成した。

 すなわち、本発明の第1の態様は、透明導電 膜がガラス基板上に形成されてなる太陽電池 用基板であって、ガラス基板の熱膨張係数が 50×10 -7 ~110×10 -7 /℃であることを特徴とする太陽電池用基板 関する。本発明において、ガラス基板の熱 張係数はJIS R3103に準じて測定された30~380℃ 範囲における値を指す。

 以下に、ガラス基板の熱膨張係数と酸化 半導体層の剥離のしやすさが相関する理由 述べる。

 ガラス基板(導電膜表面)上に酸化物半導 層を形成するには、酸化物粒子を含むペー トまたはスラリーを導電膜が形成されたガ ス基板(導電膜表面)に塗布した後、400~600℃ 好ましくは420~570℃、より好ましくは450~550℃ で熱処理(焼成)し、酸化物粒子を焼結させる 程を経る。この際、酸化物粒子が焼結する に伴って酸化物半導体層が収縮するため、 ラス基板(導電膜側)と酸化物半導体層の間 応力が発生し、この応力が酸化物半導体層 剥離の原因となる。この応力は酸化物半導 層の厚さが厚いほど、また、ガラス基板の さが厚いほど大きい。そこで、ガラス基板 熱膨張係数を前記範囲とすることにより、 処理時における最高温度から室温に冷却す 際のガラス基板の収縮によって、ガラス基 (導電膜側)と酸化物半導体層との間の応力を 緩和させることができ、酸化物半導体層の剥 離を防止することができる。

 本発明の第1の態様に係る太陽電池用基板 は、色素増感型太陽電池用基板に用いること ができる。

 また、本発明の第1の態様に係る太陽電池 用基板は、ガラス基板の歪点が525℃以上であ ることが好ましい。本発明において、歪点は JIS R3103に基づいて測定した値を指す。

 このように、ガラス基板の歪点を525℃以 とすることにより、導電膜形成時の加熱工 および酸化物半導体層の焼結工程における ラス基板の熱変形を抑制することが可能と る。なお、既述のとおり、ガラス基板(導電 膜側)と酸化物半導体層の間の応力はガラス 板の厚さが厚いほど大きくなるため、ガラ 基板の厚さは薄くすることが望まれる。し しながら、ガラス基板の厚さを薄くすると 結工程においてガラス基板が熱変形しやす なる問題がある。このような事情から、ガ ス基板の歪点を525℃以上とすることは、ガ ス基板の厚さが薄い場合に特に有効である

 さらに、本発明の第1の態様に係る太陽電 池用基板は、ガラス基板の厚さが2mm以下であ ることが好ましい。

 また、本発明は、前記第1の態様に係る太 陽電池用基板の透明導電膜上に、厚さ5~50μm 酸化物半導体層が形成されてなることを特 とする色素増感型太陽電池用酸化物半導体 極に関する。

 ここで、前記色素増感型太陽電池用酸化 半導体電極においては、酸化物半導体層が 化チタンを含むことが好ましい。

 また、前記色素増感型太陽電池用酸化物 導体電極においては、酸化物半導体層が、 透過性の異なる複数の層で構成されること 好ましい。

 後述するように、照射光を有効活用する め、酸化物半導体層の構成としては、光透 性の異なる少なくとも2種以上で構成される ことが好ましい。当該構成とした場合、各層 の焼結挙動の違いによって酸化物半導体層と ガラス基板(導電膜側)の間に働く応力が増加 やすくなるため、本発明による効果が得ら やすくなる。

 また、前記色素増感型太陽電池用酸化物 導体電極においては、酸化物半導体層が、 化物粒子の粒子径分布が異なる複数の層で 成されることが好ましい。

 さらに、前記色素増感型太陽電池用酸化 半導体電極においては、酸化物半導体層が 平均一次粒子径が30nm以下の酸化物粒子から なる層を含むことが好ましい。

 さらに、本発明者等は前記第2の目的につ いても鋭意検討を行った結果、薄板ガラス基 板にFTO膜またはATO膜が成膜されてなる太陽電 池用基板において、ガラス基板の歪点を一定 の範囲に限定することにより、前記目的を達 成できることを見出し、本発明を完成した。

 すなわち、本発明の第2の態様に係る太陽 電池用基板は、0.05~2mmの厚みを有するガラス 板上にフッ素ドープ酸化スズまたはアンチ ンドープ酸化スズからなる導電膜が成膜さ てなるものであって、ガラス基板の歪点が5 25℃以上であることを特徴とする。本発明に いてガラス基板の歪点は、JIS R3103に準じて 測定された値をいう。

 FTO膜およびATO膜の成膜温度は、例えば熱C VD法による場合、成膜に使用される原料や膜 によっても異なるが、概ね480℃以上である ガラス基板温度が480℃より低い場合、成膜 度が極端に遅くなるため、実用上好ましく い。基板温度が上がるにつれ成膜速度が速 なり、同時に膜表面の凹凸も大きくなる。 の膜表面の凹凸は、光の封じ込め効果や表 積の増大化に寄与し、導電性向上につなが 。良好な成膜速度および膜の表面状態を得 ためには、成膜温度は510℃以上であること ましい。特に、本発明で用いられるガラス 板は、厚みが0.05~2mmと非常に薄く、導電膜 成膜時に熱変形が生じやすいが、ガラス基 の歪点が525℃以上と成膜温度よりも十分に ければ、導電膜の成膜時におけるガラス基 の変形を防止することが可能となる。

 本発明の第2の態様に係る太陽電池用基板 は、色素増感型太陽電池に用いることができ る。

 色素増感型太陽電池は、導電膜付ガラス基 と、導電膜付ガラス基板上(導電膜上)に形 された多孔質酸化物半導体層(主にTiO 2 層)からなる多孔質酸化物半導体電極と、そ 多孔質酸化物半導体電極に吸着されたRu色素 等の色素と、ヨウ素を含むヨウ素電解液と、 触媒膜と透明導電膜が成膜された対極基板等 で構成される。

 色素増感型太陽電池においては、ガラス 板上にFTO膜やATO膜などの導電膜が成膜され のち、さらに、約500℃の加熱温度にて多孔 酸化物半導体層が導電膜付ガラス基板上(導 電膜上)に形成される。一般に、ガラス基板 に成膜された導電膜の耐熱温度は、成膜温 に依存する。そのため、導電膜の成膜温度 500℃付近であると、多孔質酸化物半導体層 成工程にて膜特性が変化し、特に抵抗率が 昇し、エネルギー変換効率が低下してしま おそれがある。本発明においては、ガラス 板の歪点が525℃以上であるため、従来のソ ダライムガラス等の基板と比べて、より高 での導電膜の成膜が可能であるため、多孔 酸化物半導体層の形成工程によって膜特性 変化しにくい。したがって、本発明の太陽 池用基板は色素増感型太陽電池用として好 である。

 なお、FTO膜やATO膜は、ITO膜と比較して膜表 の凹凸の度合いが大きいため、TiO 2 層などの多孔質酸化物半導体層が十分に固定 されやすくなる効果(アンカー効果)も期待で る。

 また、本発明の第2の態様に係る太陽電池用 基板において、ガラス基板の熱膨張係数が70 10 -7 ~110×10 -7 /℃であることが好ましい。本発明において ガラス基板の熱膨張係数は、JIS R3103に準じ 測定された30~380℃の範囲における熱膨張係 をいう。

 例えば、色素増感型太陽電池では、導電 付ガラス基板と対極基板の間に充填された ウ素電解液の漏れを防止するために、導電 付ガラス基板と対極基板の外周縁を樹脂あ いは鉛ガラスやビスマスホウ酸ガラスなど 低融点ガラスで封止する必要がある。低融 ガラスにより封止する場合、低融点ガラス ガラス基板との熱膨張係数の差が大きすぎ と、封止部分またはガラス基板にクラック 生じ、ヨウ素電解液の漏れが発生するおそ がある。鉛ガラスやビスマスホウ酸ガラス どの低融点ガラスは、一般に熱膨張係数が きいため、耐火物フィラーを添加すること より熱膨張係数を低下させ、ガラス基板と 熱膨張係数差を小さくするという手法がと れている。

 近年、環境への配慮から、封止材として無 ガラスが用いられるようになってきている しかしながら、ビスマスホウ酸ガラスは、 ガラスと比較して熱膨張係数を低下させに く、低熱膨張ガラス基板への対応が困難で った。そこで、本発明の第2の態様では、ガ ラス基板の熱膨張係数を70×10 -7 /℃以上と比較的高い範囲に限定することに り、ビスマスホウ酸ガラスによる封止にも 応が容易であり、環境の面からも好ましい 素増感型太陽電池とすることができる。

 一方、ガラス基板の熱膨張係数を110×10 -7 /℃以下に限定することにより、FTO膜やATO膜 成膜時における基板の熱変形や破損を防止 ることが可能となる。

 また、本発明は、前記第2の態様に係る太 陽電池用基板の導電膜上に、厚さ5~50μmの酸 物半導体層が形成されてなることを特徴と る色素増感型太陽電池用酸化物半導体電極 関する。

 ここで、本発明の第2の態様に係る色素増 感型太陽電池用酸化物半導体電極において、 酸化物半導体層が、平均一次粒子径が30nm以 の酸化物粒子からなることが好ましい。

 このように、酸化物半導体層を構成する 化物粒子の平均一次粒子径を小さくするこ により、酸化物半導体層の光透過性を高め ことが可能となる。

 また、本発明の第2の態様に係る色素増感 型太陽電池用酸化物半導体電極において、酸 化物半導体層の気孔率が60~80%であることが好 ましい。

 酸化物半導体層の気孔率を当該範囲に限 することにより、発生する応力を緩和でき とともに、色素の吸着を十分に行うことが きる。なお、本発明において、酸化物半導 層の気孔率は以下の式により算出される。

  ρ=W/V
  P=(1-ρ/D)×100〔%〕
 ここで、Wは酸化物半導体層の質量、Vは酸 物半導体層の体積、ρは酸化物半導体層の見 かけ密度、Dは酸化物半導体の理論密度、Pは 化物半導体層の気孔率を示す。

 本発明によれば、酸化物半導体層の剥離 防止され、あるいは、導電膜の成膜時にお るガラス基板の変形が防止された、色素増 型太陽電池用として特に有用な太陽電池用 板を得ることが出来る。

 まず、本発明の第1の態様について詳細に 説明する。

 本発明の第1の態様に係る太陽電池用基板に おいて、ガラス基板の熱膨張係数は50×10 -7 ~110×10 -7 /℃、好ましくは55×10 -7 ~100×10 -7 /℃、より好ましくは60×10 -7 ~95×10 -7 /℃である。ガラス基板の熱膨張係数が50×10 -7 /℃未満であると、前述したように、ガラス 板(導電膜側)と酸化物半導体層に間に発生す る応力の低減効果が小さく、酸化物半導体層 の剥離が生じやすい。一方、ガラス基板の熱 膨張係数が110×10 -7 /℃より大きいと、酸化物半導体層の焼成工 において、ガラス基板の熱膨張に起因する 力が大きくなり、酸化物半導体層の剥離が じやすくなる。

 また、ガラス基板の歪点は525℃以上、540 以上、特に560℃以上が好ましい。ガラス基 の歪点が525℃より低いと、導電膜形成時の 熱工程および酸化物半導体層の焼成工程に いてガラス基板の熱変形が生じやすくなる

 さらに、前述したように、ガラス基板(導 電膜側)と酸化物半導体層の間に働く応力を く保つため、ガラス基板の厚さは2mm以下、1. 8mm以下、特に1.5mm以下が好ましい。

 本発明の太陽電池用基板において、ガラス 板の材質としては、SiO 2 -RO-R’ 2 O系ガラス、SiO 2 -Al 2 O 3 -RO-R’ 2 O系ガラス、SiO 2 -Al 2 O 3 -RO系ガラス、SiO 2 -Al 2 O 3 -B 2 O 3 -RO系ガラス、SiO 2 -Al 2 O 3 -R’ 2 O系ガラス、SiO 2 -B 2 O 3 -R’ 2 O系ガラス、SiO 2 -B 2 O 3 -Al 2 O 3 -RO-R’ 2 O系ガラスなどが挙げられる(ただし、RはMg、C a、Sr、Ba、Znのいずれか1種以上を示し、R’は Li、Na、Kのいずれか1種以上を示す)。なお、 発明において「~系ガラス」とは、該当する 分を必須成分として含有するガラスをいう

 ここで、R’ 2 Oは熱膨張係数を高めるとともにガラスの溶 を容易にする成分であるが、同時に歪点を 下させる傾向がある。ROもR’ 2 Oと同様に熱膨張係数を高めるとともにガラ の溶融を容易にする成分であるが、R’ 2 Oと比較して歪点を低下させる割合が少ない 質を有する。よって、これらの成分を適宜 換することにより、熱膨張係数および歪点 好ましい範囲に保ちつつ、ガラスの溶融を 易にすることができる。

 例えば、SiO 2 -Al 2 O 3 -RO-R’ 2 O系ガラスとしては、質量%で、SiO 2  50~70%、Al 2 O 3  0.5~15%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 10~27%、Li 2 O+Na 2 O+K 2 O 7~15%、ZrO 2  0~9%、TiO 2  0~5%、SnO 2 +Sb 2 O 3 +As 2 O 3 +SO 3  0~1%の組成を含有するものが一例として挙げ られる。

 このようにガラス組成を限定した理由は 下のように説明される。

 SiO 2 はガラスの網目構成成分であり、その含有量 は50~70%、好ましくは52~65%である。SiO 2 の含有量が50%より少ないと、歪点が低くなる 傾向がある。一方、SiO 2 の含有量が70%より多いと、熱膨張係数が低く なり過ぎるとともに、溶融性が悪化し、また 失透しやすくなる。

 Al 2 O 3 は歪点を高めるための成分であり、その含有 量は0.5~15%、好ましくは2~12%である。Al 2 O 3 の含有量が0.5%より少ないと、歪点を高める 果が得られにくい。一方、Al 2 O 3 の含有量が15%より多いと、溶融温度が高くな るため溶融性が悪化し、また失透しやすくな る。

 MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOは、いずれもガ スの溶融性を向上させるとともに、熱膨張 数を制御するための成分である。また既述 ように、アルカリ金属酸化物と比較して歪 を低下させる割合が少ない性質を有する。 れらの成分の含有量は合量で10~27%、好まし は15~25%である。これらの成分の合量が10%よ 少ないと、溶融温度が高くなり溶融性が悪 しやすく、一方、27%より多いと失透しやす 、成形が困難となりやすい。

 Li 2 O、Na 2 OおよびK 2 Oは、いずれもガラスの溶融性を向上させる ともに、熱膨張係数を制御するための成分 ある。これらの成分の含有量は合量で7~15%、 好ましくは8~13%である。これらの成分の合量 7%より少ないと、溶融温度が高くなり溶融 が悪化しやすく、一方、15%より多いと、歪 が低下しやすくなる。

 ZrO 2 は歪点を高め、かつ化学的耐久性を向上させ る成分である。ZrO 2 の含有量は0~9%、好ましくは1~7%である。ZrO 2 の含有量が9%より多くなると、溶融時に失透 が生成しやすく成形が困難となりやすい。

 TiO 2 はガラスの紫外線による着色(ソーラリゼー ョン)を防止する成分である。ガラス基板中 不純物として鉄イオンを含有していると(例 えば、0.01~0.2%)、太陽電池を長期間使用する とにより、鉄イオンによる着色が生じやす なる。そこで、ガラス組成中にTiO 2 を添加すると、この種の着色を防止すること ができる。TiO 2 の含有量は0~5%、好ましくは1~4%である。TiO 2 の含有量が5%より多いと、失透しやすくなり 成形が困難となりやすい。

 SnO 2 、Sb 2 O 3 、As 2 O 3 およびSO 3 は、いずれも清澄剤として使用する成分であ る。これらの成分の含有量は合量で0~1%、好 しくは0.1~0.8%である。これらの成分の合量が 1%より多くなると、失透しやすくなり、成形 困難となりやすい。

 また、SiO 2 -Al 2 O 3 -RO系ガラスとしては、質量%で、SiO 2  30~50%、Al 2 O 3  0.5~15%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 30~60%、B 2 O 3  0~10%、ZrO 2  0~5%、TiO 2  0~5%、SnO 2 +Sb 2 O 3 +As 2 O 3 +SO 3  0~1%の組成を含有するものが一例として挙げ られる。

 SiO 2 はガラスの網目構成成分であり、その含有量 は30~50%、好ましくは32~42%である。SiO 2 の含有量が32%より少ないと、ガラス化しにく くなる。一方、SiO 2 の含有量が42%より多いと、熱膨張係数が低く なり過ぎるとともに、溶融性が悪化し、また 失透しやすくなる。

 Al 2 O 3 はガラスの歪点を高めるための成分であり、 その含有量は0.5~15%、好ましくは2~10%である。 Al 2 O 3 の含有量が0.5%より少ないと、歪点を高める 果が得られにくい。一方、Al 2 O 3 の含有量が10%より多いと、溶融温度が高くな るため溶融性が悪化し、また失透しやすくな る。

 MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOは、いずれもガ スの溶融性を向上させるとともに、熱膨張 数を制御するための成分である。また既述 ように、アルカリ金属酸化物と比較して歪 を低下させる割合が少ない性質を有する。 れらの成分の含有量は合量で30~60%、好まし は35~50%である。これらの成分の合量が30%よ 少ないと、溶融温度が高くなり溶融性が悪 しやすく、一方、60%より多いと失透しやす 、成形が困難となりやすい。

 B 2 O 3 はガラスの高温粘性を下げるとともに、ガラ スの失透を抑制する成分である。その含有量 は0~10%、好ましくは1~8%である。B 2 O 3 の含有量が10%より多くなると熱膨張係数が下 がりすぎるため好ましくない。

 ZrO 2 は歪点を高め、かつ化学的耐久性を向上させ る成分である。ZrO 2 の含有量は0~9%、好ましくは1~7%である。ZrO 2 の含有量が9%より多くなると、溶融時に失透 が生成しやすく成形が困難となりやすい。

 TiO 2 はガラスの紫外線による着色(ソーラリゼー ョン)を防止する成分である。ガラス基板中 不純物として鉄イオンを含有していると(例 えば、0.01~0.2%)、当該ガラス基板を用いた太 電池を長期間使用することにより、鉄イオ による着色が生じやすくなる。そこで、TiO 2 を含有することによって、この種の着色を防 止することができる。TiO 2 の含有量は0~5%、好ましくは1~4%である。TiO 2 の含有量が5%より多くなると、失透しやすく 成形が困難となりやすい。

 SnO 2 、Sb 2 O 3 、As 2 O 3 およびSO 3 は、いずれも清澄剤として使用する成分であ る。これらの成分の含有量は合量で0~1%、好 しくは0.1~0.8%である。これらの成分の合量が 1%より多くなると、失透しやすく、成形が困 となりやすい。

 導電膜を構成する材料としては、フッ素 ープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化 ズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)など 好ましい。中でもFTOやATOは、ITOに比べ抵抗 では劣るものの、化学的および熱的に安定 あり、さらに膜表面の凹凸形状による光の じ込めや表面積の増大による導電性向上な の効果が期待できるため好ましい。

 熱CVD法などの成膜方法によるFTO膜、ATO膜の 料としては、スズ源としてSnCl 4 、C 4 H 9 SnCl 3 、(CH 3 ) 2 SnCl 2 、フッ素源としてHF、CF 3 COOH、CHF 2 、CCl 2 F 2 、またアンチモン源としてSbCl 3 などを用いることができる。

 FTO膜およびATO膜の膜厚は特に限定されな が、0.5~1.5μmの範囲で調整することが好まし い。FTO膜およびATO膜の膜厚が0.5μmより薄いと 、十分な導電性が得られず、一方、1.5μmより 厚いと、太陽光スペクトルに対する透過率が 低下し、太陽電池の発電効率が低下しやすく なる。

 FTO膜およびATO膜の抵抗値は、好ましくは1 0ω/□以下、より好ましくは7ω/□以下である 膜の抵抗値が10ω/□を超えると、導電性が 下し、太陽電池としての性能に劣る傾向が る。

 FTO膜およびATO膜の平均表面粗さ(Ra)は、好 ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上で る。膜の平均表面粗さを当該範囲とするこ により、光の封じ込め効果が発揮されると もに、膜の表面積が増大し、導電性を向上 せることができる。

 なお、ガラス基板がアルカリ金属酸化物を むガラスからなる場合、FTO膜またはATO膜と ラス基板の間にSiO 2 などのアンダーコート層を設けてもよい。こ のようなアンダーコート層を設けると、ガラ スからアルカリイオンが溶出してFTO膜または ATO膜の導電性が低下したり、ピンホールや膜 厚分布の不均一等の問題が発生する事態を防 止することができる。

 本発明の色素増感型太陽電池用酸化物半 体電極において、酸化物半導体層の厚さは5 ~50μm、好ましくは8~40μm、より好ましくは10~30 μmである。酸化物半導体層の厚さが5μmより いと、色素増感型太陽電池の発電効率が低 なりやすい。一方、酸化物半導体層の厚さ 50μmより厚いと、照射光を有効活用しにくく なるとともに、酸化物半導体層の剥離が起こ りやすくなる。

 酸化物半導体層は、光透過性の異なる複 の層(少なくとも2層以上)で構成されること 好ましく、さらに、ガラス基板に近い側の から順に光透過性の高い酸化物半導体層が 置されていることがより好ましい。これに り、照射光を有効活用し、色素増感型太陽 池の発電効率を向上させることが可能とな 。

 酸化物半導体層の光透過性を高める手段 しては、酸化物半導体を構成する酸化物粒 の粒子径を小さくすること、または、酸化 半導体層の単位体積あたりの酸化物粒子数 低減させることが有効である。

 酸化物粒子の平均一次粒子径は30nm以下、 25nm以下、特に20nm以下が好ましい。

 酸化物半導体層は、酸化チタンを含む酸 物粒子から構成されることが好ましい。酸 チタンの結晶系としては、エネルギー変換 率に優れるためアナターゼ型が好ましい。 だし、酸化物粒子は、酸化チタンに限定さ るものではなく、色素増感型太陽電池とし の性能を発揮するものであれば使用可能で る。例えば、酸化亜鉛などが挙げられる。

 酸化物半導体層は、酸化物半導体ペース を導電膜上に塗布し、焼成することにより 成される。酸化物半導体ペーストの塗布方 としては、スクリーン印刷法、ドクターブ ード法、スキージ法、スピンコート法、ス レー法などが挙げられる。特に、スクリー 印刷法は、大面積に均一に数~数十μmの厚膜 を形成することができ、好ましい。

 酸化物半導体ペーストは、主に酸化物粒 と溶媒と樹脂とからなる。樹脂はペースト 粘性を調整する目的で添加される。また、 要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加 ることもできる。

 樹脂としては、アクリル酸エステル(アク リル樹脂)、エチルセルロース、カルボキシ ルロース、カルボキシメチルセルロース、 ドロキシエチルセルロースなどのセルロー 系化合物、ポリエチレングリコール誘導体 ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、 リエチレンカーボネート、メタクリル酸エ テル等が使用可能である。特に、アクリル エステル、エチルセルロース、ニトロセル ースは、熱分解性が良好であるため、好ま い。

 溶媒としては、N、N’-ジメチルホルムア ド(DMF)、α-ターピネオール、高級アルコー 、γ-ブチルラクトン(γ-BL)、テトラリン、ブ ルカルビトールアセテート、酢酸エチル、 酸イソアミル、ジエチレングリコールモノ チルエーテル、ジエチレングリコールモノ チルエーテルアセテート、ベンジルアルコ ル、トルエン、3-メトキシ-3-メチルブタノ ル、トリエチレングリコールモノメチルエ テル、トリエチレングリコールジメチルエ テル、ジプロピレングリコールモノメチル ーテル、ジプロピレングリコールモノブチ エーテル、トリプロピレングリコールモノ チルエーテル、トリプロピレングリコール ノブチルエーテル、プロピレンカーボネー 、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピ ロリドン等が使用可能である。特に、α-ター ピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解 性も良好であるため、好ましい。

 酸化物半導体ペーストの焼成温度は400~600 ℃、420~570℃、特に450~550℃が好ましい。400℃ 満であると、樹脂が完全に燃焼せず、酸化 粒子の結合が不十分であり、電池性能が低 する。一方、600℃より高いと、ガラス基板 変形しやすいとともに、酸化物半導体層の 縮に伴い、発生する応力が大きくなり、剥 れが生じやすくなる。

 つづいて、本発明の第2の態様について詳 細に説明する。

 本発明の第2の態様において、ガラス基板 の歪点は525℃以上であり、成膜時の温度むら などを考慮すると、好ましくは540℃以上であ る。ガラス基板の歪点が525℃未満であると、 成膜時に熱変形が生じやすくなる。なお、FTO 膜またはATO膜の成膜温度との兼ね合いで言え ば、ガラス基板の歪点は、FTO膜またはATO膜の 成膜温度より15℃以上、好ましくは30℃以上 いことが好ましい。ここで、成膜温度とは 成膜時におけるガラス基板の保持温度をい 。

 このようなガラスとしては、SiO 2 -Al 2 O 3 -RO-R’ 2 O系、SiO 2 -Al 2 O 3 -B 2 O 3 -RO系、SiO 2 -Al 2 O 3 -R’ 2 O系、SiO 2 -B 2 O 3 -R’ 2 O系、SiO 2 -B 2 O 3 -Al 2 O 3 -RO-R’ 2 O系ガラスなどが挙げられる(ただし、RはMg、C a、Sr、Ba、Znのいずれかを示し、R’はLi、Na、 Kのいずれかを示す)。

 ここで、Al 2 O 3 およびZrO 2 は、ガラスの歪点を高める成分であるが、高 温粘性も同時に高くなり、溶融性が悪化する 傾向がある。一方、Li 2 O、Na 2 O、K 2 Oなどのアルカリ金属酸化物は、高温粘性を げる成分であるが、ガラスの歪点が低下す 傾向がある。

 MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOは、ガラスの高温粘 を下げる成分であり、アルカリ金属酸化物 比較して歪点を低下させる割合が少ないと う性質を有する。よって、アルカリ金属酸 物をこれらの成分と適宜置換することによ 、ガラスの高温粘性を比較的低いレベルに 持しつつ、ガラスの歪点を高めることがで る。

 例えば、SiO 2 -Al 2 O 3 -RO-R’ 2 O系ガラスとしては、質量%で、SiO 2  50~70%、Al 2 O 3  0.5~15%、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO 10~27%、Li 2 O+Na 2 O+K 2 O 7~15%、ZrO 2  0~9%、TiO 2  0~5%、SnO 2 +Sb 2 O 3 +As 2 O 3 +SO 3  0~1%の組成を含有するものが一例として挙げ られる。

 このようにガラス組成を限定した理由は 下のように説明される。

 SiO 2 はガラスの網目構成成分であり、その含有量 は50~70%、好ましくは52~65%である。SiO 2 の含有量が50%より少ないと、ガラスの歪点が 低くなる傾向がある。一方、SiO 2 の含有量が70%より多いと、溶融温度が高くな るため溶融性が悪化し、また失透しやすくな る。

 Al 2 O 3 はガラスの歪点を高めるための成分であり、 その含有量は0.5~15%、好ましくは2~12%である。 Al 2 O 3 の含有量が0.5%より少ないと、歪点を高める 果が得られにくい。一方、Al 2 O 3 の含有量が15%より多いと、溶融温度が高くな るため溶融性が悪化し、また失透しやすくな る。

 MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOは、いずれもガ スの溶融性を向上させるとともに、熱膨張 数を制御するための成分である。また既述 ように、アルカリ金属酸化物と比較して歪 を低下させる割合が少ないという性質を有 る。これらの成分の含有量は合量で10~27%、 ましくは15~25%である。これらの成分の合量 10%より少ないと、溶融温度が高くなり溶融 が悪化しやすく、一方、27%より多いと失透 やすく、成形が困難となりやすい。

 Li 2 O、Na 2 OおよびK 2 Oは、いずれもガラスの溶融性を向上させる ともに、熱膨張係数を制御するための成分 ある。これらの成分の含有量は合量で7~15%、 好ましくは8~13%である。これらの成分の合量 7%より少ないと、溶融温度が高くなり溶融 が悪化しやすく、一方、15%より多いと、歪 が低くなりやすくなる。

 ZrO 2 は歪点を高め、かつ化学的耐久性を向上させ る成分である。ZrO 2 の含有量は0~9%、好ましくは1~7%である。ZrO 2 の含有量が9%より多くなると、溶融時に失透 が生成しやすく成形が困難となりやすい。

 TiO 2 はガラスの紫外線による着色(ソーラリゼー ョン)を防止する成分である。ガラス基板中 不純物として鉄イオンを含有していると(例 えば、0.01~0.2%)、当該ガラス基板を用いた太 電池を長期間使用することにより、鉄イオ による着色が生じやすくなる。そこで、TiO 2 を含有することによって、この種の着色を防 止することができる。TiO 2 の含有量は0~5%、好ましくは1~4%である。TiO 2 の含有量が5%より多くなると、失透しやすく 成形が困難となりやすい。

 SnO 2 、Sb 2 O 3 、As 2 O 3 およびSO 3 は、いずれも清澄剤として使用する成分であ る。これらの成分の含有量は合量で0~1%、好 しくは0.1~0.8%である。これらの成分の合量が 1%より多くなると、失透しやすく、成形が困 となりやすい。

 また、より歪点の高いSiO 2 -Al 2 O 3 -B 2 O 3 -RO系ガラスとしては、質量%で、SiO 2  50~70%、Al 2 O 3  10~20%、B 2 O 3  9~15%、MgO+CaO+SrO+BaO 10~18%、SnO 2 +Sb 2 O 3 +As 2 O 3  0.05~1%の組成を含有するものが挙げられる。

 このようにガラス組成を限定した理由は 下のように説明される。

 SiO 2 はガラスの網目構成成分である。SiO 2 の含有量は50~70%、好ましくは55~65%である。SiO 2 の含有量が50%より少ないと、歪点が低くなり やすい。一方、SiO 2 の含有量が70%より多いと、溶融温度が高くな り溶融性が悪化し、また失透しやすくなる。

 Al 2 O 3 は、ガラスの歪点を高めるための成分である 。Al 2 O 3 の含有量は10~20%、好ましくは12~18%である。Al 2 O 3 の含有量が10%より少ないと、歪点を高める効 果が十分に得られにくい。一方、Al 2 O 3 の含有量が20%より多いと、溶融温度が高くな り溶融性が悪化し、また失透しやすくなる。

 B 2 O 3 は融剤として働き、ガラスの粘性を下げて溶 融を容易にする成分である。B 2 O 3 の含有量は9~15%、好ましくは9~14%である。B 2 O 3 の含有量が9%より少ないと、融剤としての効 が不十分となりやすい。一方、B 2 O 3 の含有量が15%より多いと、歪点が低下しやす い。

 MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOは、いずれもガ スの溶融性を向上させるとともに、熱膨張 数を制御するための成分である。また既述 ように、アルカリ金属酸化物と比較して歪 を低下させる割合が少ないという性質を有 る。これらの成分の含有量は合量で10~18%、 ましくは11~16%である。これらの成分の合量 10%より少ないと、溶融温度が高くなり溶融 が悪化しやすく、一方、18%より多いと、失 しやすく、成形が困難となりやすい。なお 各成分の含有量としては、MgO 0~2.5%(さらに 0.1~2%)、CaO 6.5~15%(さらには、7~13%)、SrO 3~10%( さらには、3~8%)、BaO 0~3%(さらには、0.1~2%)で ることが好ましい。

 SnO 2 、Sb 2 O 3 、As 2 O 3 はいずれも清澄剤としての働きを有する成分 である。これらの成分の含有量は合量で0.05~1 %である。これらの成分の合量が0.05%より少な いと、清澄剤としての十分な効果が得られに くく、一方、1%より多いと、失透しやすくな 。

 本発明の第2の態様において、ガラス基板 の厚みは0.05~2mm、好ましくは0.1~1.5mm、より好 しくは0.2~1.2mmである。ガラス基板の厚みが2 mmよりも大きい場合、太陽電池の薄型軽量化 達成しにくい。一方、ガラス基板の厚みが0 .05mmよりも薄い場合、柔軟性(可撓性)に優れ ものの、強度が低下し破損しやすくなる。

 本発明の第2の態様において、導電膜はフッ 素ドープ酸化スズ(FTO)またはアンチモンドー 酸化スズ(ATO)からなるものである。例えば CVD法などの成膜方法によるFTO膜、ATO膜の原 としては、スズ源としてSnCl 4 、C 4 H 9 SnCl 3 、(CH 3 ) 2 SnCl 2 、フッ素源としてHF、CF 3 COOH、CHF 2 、CCl 2 F 2 、またアンチモン源としてSbCl 3 などを用いることができる。

 FTO膜およびATO膜の膜厚は特に限定されな が、0.5~1.5μmの範囲で調整することが好まし い。FTO膜およびATO膜の膜厚が0.5μmより薄いと 、十分な導電性が得られず、一方、1.5μmより 厚いと、太陽光スペクトルに対する透過率が 下がり太陽電池の発電効率が低下しやすい。

 FTO膜およびATO膜の抵抗値は、好ましくは1 0ω/□以下、より好ましくは7ω/□以下である 抵抗値が10ω/□を超えると、膜の導電性が 下し、太陽電池としての性能に劣る傾向が る。

 FTO膜およびATO膜の平均表面粗さ(Ra)は、好 ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上で る。膜の平均表面粗さを当該範囲とするこ により、光の封じ込め効果が発揮されると もに、膜の表面積が増大し、導電性を向上 せることができる。

 なお、ガラス基板がアルカリ金属酸化物を むガラスからなる場合、FTO膜またはATO膜と ラス基板の間にSiO 2 などのアンダーコート層を設けてもよい。こ のようなアンダーコート層を設けることによ り、ガラスから溶出するアルカリイオンによ るFTO膜またはATO膜の導電性低下を防止するこ とができる。

 本発明の第2の態様において、特に太陽電池 用基板を色素増感型太陽電池用として用いる 場合、ガラス基板の熱膨張係数を70×10 -7 ~110×10 -7 /℃の範囲で調整することが好ましい。既述 ように、ガラス基板の熱膨張係数が70×10 -7 /℃より小さいと、封止用の低融点ガラスと 熱膨張係数差が大きくなるため、封止部分 たはガラス基板にクラックが生じ、ヨウ素 解液の漏れが発生するおそれがある。一方 ガラス基板の熱膨張係数が110×10 -7 /℃より大きいと、FTO膜やATO膜の成膜時にお て、基板が熱変形しやすくなる。

 なお、ガラス基板の封止に、樹脂等の、低 点ガラス以外の封止材を用いる場合は、ガ ス基板の熱膨張係数は上記範囲に限定され 、例えば、熱膨張係数が-5×10 -7 ~110×10 -7 /℃、さらには30×10 -7 ~110×10 -7 /℃のガラス基板を用いることができる。特 、熱膨張係数が70×10 -7 /℃より小さいガラス基板も用いることが可 であり、具体的には、熱膨張係数が60×10 -7 /℃以下、さらには50×10 -7 /℃以下のガラス基板を用いることができる

 本発明の色素増感型太陽電池用酸化物半 体電極において、酸化物半導体層の厚さは5 ~50μm、好ましくは8~40μm、より好ましくは10~30 μmである。酸化物半導体層の厚さが5μmより いと、色素増感型太陽電池の発電効率が低 なりやすい。一方、酸化物半導体層の厚さ 50μmより厚いと、照射光を有効活用しにくく なるとともに、酸化物半導体層の剥離が起こ りやすくなる。

 酸化物半導体層は、単層あるいは光透過 の異なる複数の層(少なくとも2層以上)で構 される。

 酸化物半導体層は、光透過性の異なる複数 層(少なくとも2層以上)で構成すること、さ には、ガラス基板に近い側の層から順に光 過性の高い酸化物半導体層を配置すること より、照射光を有効活用し、色素増感型太 電池の発電効率を向上させることが可能と ることが知られている。一方、当該構成と た場合、各層の焼結挙動の違いによって酸 物半導体層とガラス基板の間に働く応力が 加しやすくなるため、酸化物半導体層の剥 が生じやすくなる。特に、ガラス基板の熱 張係数が小さい場合(例えば、70×10 -7 /℃未満、60×10 -7 /℃以下、さらには50×10 -7 /℃以下)、酸化物半導体層の剥離が顕著にな 傾向がある。そこで、このような酸化物半 体層の剥離を抑制するという観点では、酸 物半導体層を単層で構成することが好まし 。

 酸化物半導体層の光透過性を高める手段 しては、酸化物半導体を構成する酸化物粒 の粒子径を小さくすることが有効である。

 酸化物粒子の平均一次粒子径は30nm以下、 25nm以下、特に20nm以下が好ましい。酸化物粒 の平均一次粒子径が30nmを超えると、酸化物 半導体層の光透過性に劣る傾向がある。

 酸化物半導体層の気孔率は、60~80%、特に6 5~75%が好ましい。酸化物半導体層の気孔率が6 0%未満であると、焼成時に発生する応力によ 剥離が生じやすく、また十分な量の色素吸 が得られないため発電効率が低下する。酸 物半導体層の気孔率が80%を超えると、実効 化物半導体粒子数が減る、あるいは、電子 移動するためのパスが減るなどにより発電 率が低下する。また、膜の機械的強度が落 、僅かな外的衝撃が負荷されただけでも剥 れが生じやすくなる。

 酸化物半導体層は、酸化チタンを含む酸 物粒子から構成されることが好ましい。酸 チタンの結晶系としては、エネルギー変換 率に優れるためアナターゼ型が好ましい。 だし、酸化物粒子は、酸化チタンに限定さ るものではなく、色素増感型太陽電池とし の性能を発揮するものであれば使用可能で る。例えば、酸化亜鉛などが挙げられる。

 酸化物半導体層は、酸化物半導体ペース を導電膜上に塗布し、焼成することにより 成される。酸化物半導体ペーストの塗布方 としては、スクリーン印刷法、ドクターブ ード法、スキージ法、スピンコート法、ス レー法などが挙げられる。特に、スクリー 印刷法は、大面積に均一に数~数十μmの厚膜 を形成することができ、好ましい。

 酸化物半導体ペーストは、主に酸化物粒 と溶媒と樹脂とからなる。樹脂はペースト 粘性を調整する目的で添加される。また、 要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加 ることもできる。

 樹脂としては、アクリル酸エステル(アク リル樹脂)、エチルセルロース、カルボキシ ルロース、カルボキシメチルセルロース、 ドロキシエチルセルロースなどのセルロー 系化合物、ポリエチレングリコール誘導体 ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、 リエチレンカーボネート、メタクリル酸エ テル等が使用可能である。特に、アクリル エステル、エチルセルロース、ニトロセル ースは、熱分解性が良好であるため、好ま い。

 溶媒としては、N、N’-ジメチルホルムア ド(DMF)、α-ターピネオール、高級アルコー 、γ-ブチルラクトン(γ-BL)、テトラリン、ブ ルカルビトールアセテート、酢酸エチル、 酸イソアミル、ジエチレングリコールモノ チルエーテル、ジエチレングリコールモノ チルエーテルアセテート、ベンジルアルコ ル、トルエン、3-メトキシ-3-メチルブタノ ル、トリエチレングリコールモノメチルエ テル、トリエチレングリコールジメチルエ テル、ジプロピレングリコールモノメチル ーテル、ジプロピレングリコールモノブチ エーテル、トリプロピレングリコールモノ チルエーテル、トリプロピレングリコール ノブチルエーテル、プロピレンカーボネー 、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピ ロリドン等が使用可能である。特に、α-ター ピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解 性も良好であるため、好ましい。

 酸化物半導体ペーストの焼成温度は400~600 ℃、420~570℃、特に450~550℃が好ましい。400℃ 満であると、樹脂が完全に燃焼せず、酸化 粒子の結合が不十分であり、電池性能が低 する。一方、600℃より高いと、ガラス基板 変形しやすいとともに、酸化物半導体層の 縮に伴い、発生する応力が大きくなり、剥 れが生じやすくなる。

 本発明の太陽電池用基板の大きさは特に限 されず、用途に応じて適宜選択される。な 、基板の大きさが大きくなるほど成膜時の 度分布のムラが生じやすくなり、熱変形が じやすくなるため、本発明の効果が得られ すくなる。具体的には、導電膜付ガラス基 の面積が1000mm 2 以上、さらには5000mm 2 以上、特に10000mm 2 以上の場合に本発明は有効である。

 以下、本発明を実施例に基づいて説明す が、本発明はこれらの実施例に限定される のではない。

 先に、本発明の第1の態様について実施例に 基づき説明する。
 まず、表1に記載の組成、厚さ、熱膨張係数 および歪点を有するガラス基板(100mm×100mm)を 意した。なお、熱膨張係数は、ディラトメ タを用いて測定した値である。また、歪点 DTAにより測定した値である。

 次に、ジメチル塩化スズ及びトリフルオ 酢酸を用い、熱CVD法により成膜温度510℃に 、各ガラス基板に導電膜としてのFTO膜(膜厚 1μm)を成膜した。

 得られた導電膜膜付ガラス基板を徐冷し 後、定盤上に載置し、隙間ゲージにより変 の有無を確認した。変形が0.1mm未満の場合 「○」、0.1mm以上の場合を「×」として、導 膜膜付ガラス基板の状態を評価した。結果 表1に示す。

 各導電膜膜付ガラス基板を15mm×15mmのサイ ズに切断し、それに酸化チタンペーストを200 メッシュスクリーンを用いスクリーン印刷し た。酸化チタンペーストは、焼成後半透明で あるSolaronix社Ti-Nanoxide T/SP(以下T/SP、平均粒 13nm)、および焼成後不透明である同社Ti-Nanoxi de D/SP(以下、D/SP、平均粒径13nm(一部、平均粒 径400nm粒子含む))を用いた。酸化チタンペー トを導電膜膜付ガラス基板上(導電膜表面上) にT/SP、D/SPの順で印刷し、電気炉で500℃にて3 0分間焼成を行った。それぞれの膜厚は、T/SP 6μm、D/SPが14μmであり、計20μmの膜厚であっ 。

 次に、焼成された酸化チタン層にスコッ メンディングテープ810を貼り付け、ゴムロ ラーで加圧した後、一気に引き剥がすこと よりガラス基板(導電膜表面)と酸化チタン の密着性を確認した。このときの酸化チタ 層とガラス基板(導電膜表面)の密着性の度合 いを、酸化チタン層の印刷面積に対して、酸 化チタン層が剥がれガラス基板(導電膜表面) 剥き出しになっている面積の割合を求め、A :0~10%未満、B:10~30%未満、C:30~80%未満、D:80~100% ように評価し、AおよびBを良とした。結果を 表1に示す。

 実施例1~4では、ガラス基板の熱膨張係数が5 0×10 -7 ~110×10 -7 /℃であるため、酸化チタン層の密着性はい れもAあるいはBであり、良好であった。一方 、比較例1および2では、ガラス基板の熱膨張 数が50×10 -7 /℃よりも小さいため、密着性が悪く、いず もDであった。特に比較例2では、テープによ る引き剥がし試験を行う前に、ガラス基板( 電膜表面)から酸化チタン層が剥がれている 子が肉眼で観察された。

 続いて、本発明の第2の態様について実施 例に基づき説明する。

(実施例5~8および比較例3、4)
 表1に記載の各ガラス基板(120mm×120mm)上に、 CVD法により導電膜としてのFTO膜を成膜した 具体的には、原料として(CH 3 ) 2 SnCl 2 、CF 3 COOHを用い、これらを一旦ガス化した後、表1 載の成膜温度に加熱されたガラス基板上に き付けることにより成膜を行い、導電膜付 ラス基板を得た。成膜は、各ガラス基板を 膜温度にて10分間保持した後に行った。ま 、FTO膜の膜厚は約1μmとなるよう、2~5分の範 で成膜時間を調整した。

 得られた各導電膜付ガラス基板を徐冷し 徐冷後の導電膜付ガラス基板を定盤上に載 して隙間ゲージにより変形の有無を確認し 。変形が0.1mm未満の場合を「○」、0.1mm以上 の場合を「×」として導電膜付ガラス基板の 態を評価した。結果を表2に示す。

 実施例5~8では、導電膜付ガラス基板の歪 がいずれも525℃以上であるため、成膜後の 料に変形は確認されなかった。一方、比較 3および4では、実施例5~8よりガラス基板の みが大きく、かつ成膜温度が低いにも係わ ず、0.5mm以上の変形が確認された。

(実施例9~13)
 実施例5および6の導電膜付ガラス基板を15mm 15mmのサイズに切断し、200メッシュスクリー を用いて、導電膜上に酸化チタンペースト スクリーン印刷した。酸化チタンペースト 、焼成後半透明であるSolaronix社Ti-Nanoxide T/S P(以下T/SP、平均粒径13nm)、および焼成後不透 である同社Ti-Nanoxide D/SP(以下、D/SP、平均粒 径13nm(一部、平均粒径400nm粒子含む))を用いた 。実施例9および11ではD/SPのみを、実施例10お よび12ではT/SPのみを、さらに実施例13ではT/SP 、D/SPの順でスクリーン印刷し、電気炉で500 にて30分間焼成を行った。

 次に、焼成された酸化チタン層にスコッ メンディングテープ810を貼り付け、ゴムロ ラーで加圧した後、一気に引き剥がすこと よりガラス基板(導電膜表面)と酸化チタン の密着性を確認した。このときの酸化チタ 層とガラス基板(導電膜表面)の密着性の度合 いを、酸化チタン層の印刷面積に対して、酸 化チタン層が剥がれガラス基板(導電膜表面) 剥き出しになっている面積の割合を求め、A :0~10%未満、B:10~30%未満、C:30~80%未満、D:80~100% ように評価し、AおよびBを良とした。結果を 表3に示す。

 本発明を特定の態様を参照して詳細に説明 たが、本発明の精神と範囲を離れることな 様々な変更および修正が可能であることは 当業者にとって明らかである。
 なお、本出願は、2008年6月17日付で出願され た日本特許出願(特願2008-157645)、2008年9月19日 で出願された日本特許出願(特願2008-240955)及 び2008年10月3日付で出願された日本特許出願( 願2008-258761)に基づいており、その全体が引 により援用される。

 本発明の太陽電池用基板は、アモルファ シリコン太陽電池を始めとするシリコン系 膜太陽電池、色素増感型太陽電池、CdTe太陽 電池、などに用いられる電極基板として好適 であり、特に色素増感型太陽電池に用いられ る電極基板として好適である。




 
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