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Title:
SUPERCONDUCTING MAGNET APPARATUS, MAGNETIC RESONANCE IMAGING DEVICE, AND MAGNETIC FIELD INHOMOGENEITY COMPENSATION METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126895
Kind Code:
A1
Abstract:
A superconducting magnet apparatus for producing a homogeneous magnetic field by inexpensively and efficiently compensating the inhomogeneous magnetic field attributed to the error of the exciting current applied to a superconducting coil and a magnetic resonance imaging device are provided. A magnetic field homogeneity adjusting device (20) is used for a superconducting magnet apparatus (1). The superconducting magnet apparatus (1) composed of a pair of magnetic field producing sources which are opposed to each other and each include at least a pair of superconducting coils (2A, 3A) and at least a pair of ferromagnetic bodies. A substantially homogeneous magnetic field space is formed in the region interposed between the producing sources. The magnetic field homogeneity adjusting device (20) is characterized by comprising a magnetic field distribution measuring unit (21) for measuring the magnetic field distribution in the magnetic field space, a temperature variation calculating unit (22) for calculating the temperature variation of the ferromagnetic bodies needed to improve the homogeneity of the magnetic field space from the measured magnetic field distribution, and a temperature control unit (12) for setting a temperature control value of the ferromagnetic bodies according to the calculated temperature variation.

Inventors:
ANDO RYUYA (JP)
SAKAKIBARA KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057075
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
April 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI MEDICAL CORP (JP)
ANDO RYUYA (JP)
SAKAKIBARA KENJI (JP)
International Classes:
A61B5/055; H01F6/00
Foreign References:
JP2003513436A2003-04-08
JPH08215168A1996-08-27
JP2006305146A2006-11-09
JP2004351207A2004-12-16
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Claims:
 超伝導コイルと強磁性体とを有して成る磁場発生装置と、
 磁場空間の磁場不均一を補償するための、前記強磁性体の温度変化量を、算出する温度変化量算出装置と、
 前記温度変化量算出装置により算出された前記温度変化量に基づいて、前記強磁性体の温度を制御する温度制御装置と、
 を備えることを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項1記載の超伝導磁石装置において、
 前記強磁性体は、前記超伝導コイルの内側に配置されていることを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項2記載の超伝導磁石装置において、
 前記超伝導コイルは円環状に形成されており、
 前記超伝導コイルを収容する第1の容器と、内部が真空にされて前記第1の容器を収容する第2の容器と、を有し、
 前記強磁性体は、前記第1の容器の径方向内側であって、前記第2の容器の真空領域内に配置されていることを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項3記載の超伝導磁石装置において、
 前記第1の容器と前記第2の容器との間に輻射シールドが配置されていることを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項4記載の超伝導磁石装置において、
 前記強磁性体は、前記輻射シールド内に配置されていることを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項1記載の超伝導磁石装置において、
 前記強磁性体が複数備えられ、
 前記複数の強磁性体は、互いに伝熱部材で接続されていることを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項6記載の超伝導磁石装置において、
 前記伝熱部材は、前記強磁性体の周方向に所定の間隔を置いて、平面視で略放射状に複数配置されていることを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項1記載の超伝導磁石装置において、
 前記強磁性体には少なくとも1つの温度センサが配置され、
 前記温度制御手段は、前記温度センサによって測定された前記強磁性体の温度情報が入力されて、該温度情報に基づいて、前記強磁性体の温度を制御することを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項6記載の超伝導磁石装置において、
 前記伝熱部材を介して前記強磁性体に熱を供給するヒータを備え、
 前記温度制御装置は、前記ヒータの発熱を制御することを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項9記載の超伝導磁石装置において、
 前記ヒータは、前記複数の強磁性体の内の少なくとも一つに直接取り付けられていることを特徴とする超伝導磁石
 請求項1記載の超伝導磁石装置において、
 前記温度変化量算出装置は、前記温度変化量を、測定された磁場分布の最大値と最小値との差分に比例する量として算出することを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項1記載の超伝導磁石装置において、
 前記温度変化量算出装置は、前記温度変化量を、磁場分布の直交展開の係数の大きさに比例する量として算出することを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項1記載の超伝導磁石装置において、
 前記温度制御装置は、前記強磁性体の温度を略一様な温度に保持するように制御することを特徴とする請求項1に記載の磁場均一度調整装置。
 請求項6記載の超伝導磁石装置において、
 前記温度制御装置は、前記複数の強磁性体の温度変化量が一様となるように温度制御することを特徴とする超伝導磁石装置。
 所定の空間を間に挟んで一対の超伝導コイルと一対の強磁性体とを互いに対向させて配置して成り、前記空間内に略均一な磁場空間を形成する磁場発生装置と、
 前記磁場空間の磁場不均一を補償するのに必要な前記強磁性体の温度変化量を算出する温度変化量算出装置と、
 前記温度変化量算出装置により算出された温度変化量に基づいて、前記一対の強磁性体の温度を制御する温度制御装置と、
 を具備したことを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項15記載の超伝導磁石装置において、
 一つの前記温度制御装置で、前記一対の強磁性体の各々の温度を制御することを特徴とする超伝導磁石装置。
 請求項1乃至16のいずれか一項に記載の超伝導磁石装置を備えた磁気共鳴撮像装置。
 超伝導コイルと強磁性体とを有して成る磁場発生装置を備えた超伝導磁石装置又は磁気共鳴撮像装置において、磁場空間の磁場不均一を補償する方法であって、
 前記磁場空間の磁場不均一を計測する工程と、
 前記磁場不均一を補償するための、前記強磁性体の温度変化量を、算出する工程と、
 前記算出された温度変化量に基づいて、前記強磁性体の温度を制御する工程と、
 を備えていることを特徴とする磁場不均一補償方法。
Description:
超伝導磁石装置、磁気共鳴撮像 置、及び、磁場不均一補償方法

 本発明は、超伝導磁石装置、磁気共鳴イ ージング装置、及び、磁場不均一補償方法 関するものである。

 従来、超伝導磁石装置を用いて静磁場を 成する磁気共鳴撮像(Magnetic Resonance Imaging) 置は、特に、医療診断の分野で広く利用さ ている。磁気共鳴撮像装置は、均一な静磁 空間に置かれた被検体(検査体)に高周波パ スを照射したときに生じる核磁気共鳴現象 利用して被検体の物理的、化学的性質を表 画像を得ることができる。磁気共鳴撮像装 は、主に、被検体が搬入される撮像領域内 均一な静磁場を印加するための磁場発生源 しての磁石装置、撮像領域に向けて高周波 ルスを照射するRFコイル、撮像領域からの応 答を受信する受信コイル、および撮像領域内 に共鳴現象の位置情報を与えるための勾配磁 場を印加する傾斜磁場コイルを備えて構成さ れている。

 磁気共鳴撮像装置において、画質向上の めの要件のひとつに、静磁場均一度の向上 挙げられる。このため、磁気共鳴撮像装置 用いられる磁石装置の設計、製造に際して 、磁場発生源によって撮像領域内に発生す 静磁場を均一にするために、設計、組み立 、および据付の各段階において、磁場調整 行われている。

 このうち、据付段階における磁場調整と ては、多くの場合、製作誤差や周囲の環境 どによって生じる磁場不均一成分を、磁石 置に磁性材からなる磁場均一度調整体を追 的に配置したり、あるいは取り除いたりす ことで行うことが知られている(例えば、特 許文献1参照)。この磁場均一度調整体は、対 する磁場発生源と、その内側(撮像領域側) 配置される傾斜磁場コイルとで挟まれる空 に、磁場均一度調整機構(手段)等を用いて配 置される構成が一般的である。

 一方、磁石装置は、外気温の変動のよう 周囲環境の変動によって、磁場均一度が長 的または短期的に変動することが知られて る。ここで、このような磁場均一度の変動 再修正するために、前記のような磁場均一 調整体を用いた磁場調整を行うことも可能 はあるが、この調整作業には、通常、多く 時間を要するために、毎回実施するのは適 でない。そこで、このような磁場均一度の 動を吸収するための手法が種々考えられて る。

 その一つは、磁石装置または傾斜磁場コ ルのいずれか一方または両方に複数の磁場 整用のコイルを予め内蔵しておき、磁場均 度の変動を補償する電流値を算出して、当 コイルに通電する手法である。例えば、特 文献2には、磁石装置の磁気回路を構成する 磁性材の温度を測定し、この温度に基づき磁 場調整用のコイルの通電電流値を算出して、 当該通電電流値に基づきコイルに通電するこ とで均一磁場を得るようにした技術が記載さ れている。

 また、これとは逆に、磁性材の温度変化 体を抑制する手法も考えられている。例え 、特許文献3には、静磁場発生源を断熱材、 伝熱材、およびヒータで覆い、ヒータによる 加熱で静磁場発生源の温度を一定に保つ方法 が記載されている。また、特許文献4には、 熱に加えて冷却装置を配置し、これらの装 を駆使して温度制御の精度を上げる手法が 載されている。

 さらに、磁性材の温度分布により生じる磁 の分布を積極的に利用して均一磁場を実現 る手法も考えられている。例えば、特許文 5には、永久磁石の温度分布を調節すること で均一磁場を得る技術が記載されており、ま た、特許文献6には、磁石装置全体の温度分 を調節することで均一磁場を得る技術が記 されている。
なお、特許文献7には、ポールピースを備え 超伝導磁石が記載されているが、ポールピ スの温度分布調節については記載されてい い。

特許第3733441号公報

特許第3781166号公報

特公平3-28931号公報

特開平3-109043号公報

特開2003-116807号公報

特許第3559364号公報

特許第3559364号公報

 ところで、磁気回路の一部に少なくとも 対の強磁性体を含む超伝導磁石の場合、前 したような磁性材の温度変動だけでなく、 伝導コイルの通電電流値も磁場均一度の変 要因となる。例えば、超伝導磁石の定期的 メンテナンスに伴い超伝導磁石の消磁、励 を行うような場合、消磁前の通電電流値と 励磁後の通電電流値とが一致しなければ、 流値の誤差に相当する不均一磁場が生じて まう。

 このことを図9を用いて説明すると次のよ うになる。図9において、横軸は、均一磁場 間の方位角(度)を示しており、縦軸は、その 方位における磁場強度(均一成分を除く)を示 ている。少なくとも一対の超伝導コイルと 少なくとも一対の強磁性体とをそれぞれ対 させて均一磁場を得る方式の超伝導磁石で 、超伝導コイルが作る磁場分布J1と、強磁 体が作る磁場分布J2との和によって均一磁場 J3を形成している。

 ここで、超伝導コイルの通電電流値が前 したように消磁前と再励磁後とで変化して まうと、超伝導コイルは、電流変化量に比 する磁場変化C1を起こし、超伝導コイルが る磁場分布J1は、この磁場変化C1を含んだ磁 分布J1'となる。一方、強磁性体が作る磁場 布J2は、一般に、外部の磁場強度(主として 伝導コイルが作る磁場)に対して非線形とな る特性を示し、特に、飽和領域付近ではほと んど変化することがない。したがって、超伝 導コイルへの通電電流値が変化した後は、均 一磁場J3に対して超伝導コイルが起こす磁場 化C1がそのまま反映されることとなり、均 磁場J3は、不均一な磁場分布J3'となってしま う。

 このような、通電電流値の誤差に起因す 磁場均一度の変動は、消磁前の通電電流値 再励磁後の通電電流値とを厳密に一致させ ことで回避することが可能ではあるが、そ 精度は、励磁用電源の精度に依存するため 精度な励磁用電源が必要となる。しかし、 精度な励磁用電源は、高価であるという難 を有している。

 ところで、前記した特許文献1に記載され たような、磁場均一度調整体の再配置を行う ことで均一磁場を生成する手法では、このよ うな磁場均一度の変動も修正可能であるが、 前記したように調整作業に多くの時間を要す るため、作業時間の観点から適切であるとは 言えない。また、特許文献5、6に記載された うな、磁性体の温度分布を制御することに り均一磁場を生成する手法では、対象とし 超伝導磁石が記載されていないことからも かるように、主たる磁気回路が永久磁石や の他の磁性体で構成されている場合でない 有効でないし、コイル電流値の誤差に起因 る微小な不均一を補償する様に温度分布を 成することが困難であり、できたとしても の構成が複雑かつ高価となる。また、特許 献2~4に記載された技術は、超伝導コイルの 流誤差の補償に使用することができない。 た、特許文献6には、超伝導コイルの電流誤 差の補償についての考慮が無い。

 そこで、本発明は、超伝導コイルの励磁 流の誤差に起因する不均一磁場を安価に効 良く補償して均一磁場を得ることのできる 伝導磁石装置、及び、磁気共鳴撮像装置を 供することを課題とする。

 本願発明者らは、前記課題を解決するた 鋭意検討した結果、超伝導コイルの通電電 値の誤差に起因する磁場均一度の変動が強 性体の温度を変化させることで十分に補正 能であることを見出し、本発明を完成した

 すなわち、本発明の超伝導磁石及び磁気 鳴撮像装置は、超伝導コイルと強磁性体と 有して成る磁場発生装置と、磁場空間の磁 不均一を補償するための、強磁性体の温度 化量を、算出する温度変化量算出装置と、 度変化量算出装置により算出された温度変 量に基づいて、強磁性体の温度を制御する 度制御装置と、を備えていることを特徴と る。

 また、本発明の上記超伝導磁石及び磁気 鳴撮像装置における磁場不均一補償方法は 磁場空間の磁場不均一を計測する工程と、 場不均一を補償するための、強磁性体の温 変化量を、算出する工程と、算出された温 変化量に基づいて、強磁性体の温度を制御 る工程と、を備えていることを特徴とする

 かかる構成を採用することによって、温 変化量算出装置により、磁場分布測定装置 測定された磁場分布に基づき、磁場空間の 一性を向上させるために必要な強磁性体の 度変化量が算出され、この算出された温度 化量に基づいて温度制御装置が強磁性体の 度制御値を設定する。つまり、超伝導コイ の通電電流値の誤差により生じる不均一な 場を、強磁性体の温度を制御する温度制御 置を用いて補償し、均一磁場を得ることが きるから、超伝導磁石装置の磁場均一度調 を従来よりも効率良くかつ安価に行うこと できる。したがって、この様な磁場均一度 整を備えた超伝導磁石装置や磁気共鳴撮像 置を安価に提供することができ、かつ、磁 調整を効率良く行うことができる。

 本発明によれば、超伝導コイルの励磁電 の誤差に起因する不均一磁場を安価に効率 く補償して均一磁場を得ることのできる超 導磁石装置、及び、磁気共鳴撮像装置が得 れる。

本発明の超伝導磁石装置を備えた磁気 鳴撮像装置を示す説明図。 超伝導磁石装置の構造を示す模式断面 。 超伝導磁石装置の要部の模式断面図。 磁場均一度調整装置を示すブロック図 超伝導コイルの電流値の誤差に起因す 不均一磁場が、鉄の温度で補償可能である 理を示した図。 超伝導磁石装置の変形例を示す模式断 図。 超伝導磁石装置の変形例を示す模式断 図。 超伝導磁石装置の変形例を示す模式断 図。 超伝導コイルの通電電流値に誤差が生 ると磁場均一度が変化する原理を示した図

符号の説明

 1 超伝導磁石装置、1A,1B コイル容器、2A, 3A 超伝導コイル、2B,3B 超伝導コイル、4A,5A  鉄、4B,5B 鉄、8 伝熱管、9 伝熱管、10 電気 ータ、12 温度制御装置、20 磁場均一度調 装置、21 磁場分布測定装置、22 温度変化量 算出装置、26 温度センサ、30 解析手段、BD  ベッド、Bmax,Bmin 磁場変化、C1,C1' 磁場変化 F 均一磁場空間、J1,J1' 磁場分布、J2,J2' 磁 分布、J3 均一磁場

 次に、本発明の磁場均一度調整装置を備 た超伝導磁石装置による磁気共鳴撮像装置( 以下、MRI装置という)の一実施形態を図面を 照して詳細に説明する。MRI装置は、図1に示 ように、超伝導磁石装置1と、被検体(不図 、以下同様)を乗せるベッドBDと、このベッ BDに乗せられた被検体を磁場空間において均 一磁場空間となる撮像領域Fへ搬送する、図 しない駆動機構が設けられた搬送手段BD1と この搬送手段BD1によって撮像領域Fに搬送さ た被検体からの核磁気共鳴信号を解析する ンピュータ等の機器からなる解析手段30と ら構成され、ベッドBDに乗った被検体を通し て断層撮影を行うものである。超伝導磁石装 置1には、本発明の特徴的構成である磁場均 度調整装置20(図3,図4参照)が設けられている

 超伝導磁石装置1は、磁場発生源として、 内部を真空に保持された一対のコイル容器1A, 1Bが磁場空間を形成するように連結柱1C,1Cを して上下に対向配置されて構成されている 図2に示すように、上側のコイル容器1Aには 円環状に形成された超伝導コイル2A,3Aが設け られ、また、超伝導コイル2A,3Aの経方向内側 は円環状あるいは円柱状に形成された強磁 体としての鉄4A,5Aが設けられている。下側 コイル容器1Bには、上側のコイル容器1Aの超 導コイル2A,3Aと対をなす、超伝導コイル2B,3B が設けられ、さらに、上側のコイル容器1Aの 4A,5Aと対をなす、強磁性体としての鉄4B,5Bが 設けられている。なお、各超伝導コイル2A,3A 2B,3Bのコイル線材としては、例えば、NbTi線 が用いられている。

 本実施形態では、上側のコイル容器1Aお び下側のコイル容器1Bは、同様の構成として あるので、以下では上側のコイル容器1Aにつ て説明する。

 上側のコイル容器1Aは、略円筒状を呈す 真空容器(第2の容器)であり、容器内には輻 シールド6を介設してヘリウム容器(第1の容 )7が収納されている。ヘリウム容器7内には 超伝導コイル2A,3Aが、超伝導用冷媒としての 液体ヘリウム(図示しない)と共に収納されて る。 上側のコイル容器1Aの径方向内側に配 置される超伝導コイル2Aは主コイルであり、 た、径方向外側に配置される超伝導コイル3 Aは遮へいコイルである。

 鉄4A,5Aは、ヘリウム容器7の径方向の内側 あってコイル容器1A内の真空領域に配置さ ている。鉄4A,5A間には、複数の伝熱管8が配 されており(つまり、各鉄は伝熱管で熱的に 続されている)、この伝熱管8を介して鉄4A,5A の温度が略一様に保持されるようになってい る。本実施形態では、伝熱管8が、鉄4A,5Aの周 方向に略所定の間隔を置いて平面視で略放射 状に複数設けられており、鉄4A,5Aの温度が略 様となるように、その材質や径寸法等が適 選択されて設定されている。伝熱管8として は、熱伝導率の良い材料、例えば、銅が用い られている。なお、伝熱管8を例えばメッシ 状の素材で形成することによって、超伝導 石装置1の振動等にも柔軟に対応することが 能となる。

 上側のコイル容器1Aの外部上面には、電 ヒータ10が配置されており、この電気ヒータ 10と鉄4A,5Aとの間が複数の伝熱管9で接続され いる。また、この電気ヒータ10と下側のコ ル容器1Bの鉄4B,5Bとの間も図示しない伝熱管9 (連結柱1C,1C内を挿通して配索されている)で 続されている。したがって、電気ヒータ10が 通電されて熱を発すると、その熱は、伝熱管 9を通じて鉄4A,5A(鉄4B,5B)に伝わり、これらの 4A,5A(鉄4B,5B)が加熱されるように構成されて る。また、鉄4A,5A(鉄4B,5B)は、ともに、複数 伝熱管8によって、温度が略一様となるよう 加熱されるようになっている。

 ここで、「温度が略一様」には、鉄4A,5A( 4B,5B)の全体が略同じ温度にされることを含 ほか、鉄4A,5A(鉄4B,5B)の温度変化量が一様と るように、即ち、各鉄がある程度の温度差 当初から有しつつ、同じ温度だけ上昇され ような場合(鉄4A,5A(鉄4B,5B)がある程度の温度 差を有している状態で磁場均一度が得られて いるような場合)を含む。

 このような電気ヒータ10による加熱制御 、連絡線11を介して接続された後記する温度 制御装置12によって行われるようになってい 。

 ところで、鉄4A,5A(鉄4B,5B)は、電気ヒータ1 0によって加熱される一方、その側方に配置 れた輻射シールド6への輻射によって冷却さ ることとなるため、鉄4A,5A(鉄4B,5B)の温度は 電気ヒータ10による加熱と輻射シールド6に る冷却とのバランスによって決定されるこ となる。

 鉄4A,5Aには、温度センサ26が取り付けられ ており、鉄4A,5Aの温度が測定可能となってい 。温度センサ26によって測定された温度は 後記する温度制御装置12にフィードバックさ れるようになっている。なお、温度センサ26 、鉄4A,5Aに対してそれぞれ複数個設置して 各設置位置における温度を測定するように てもよい。

 本実施形態では、ひとつの温度制御装置1 2で、上側のコイル容器1Aの鉄4A,5Aと下側のコ ル容器1Bの鉄4B,5Bとの両方の温度が制御され るように構成されている。つまり、温度制御 装置12は上側のコイル容器1Aの鉄4A,5Aと下側の コイル容器1Bの鉄4B,5Bとで共用されるように っており、この例では、上側のコイル容器1A の鉄4A,5Aの温度制御に基づいて、下側のコイ 容器1Bの鉄4B,5Bが温度制御されるように構成 されている。

 磁場均一度調整装置20は、図4に示すよう 、磁場分布測定装置21と、温度変化量算出 置22と、温度制御装置12とを備えて構成され いる。

 磁場分布測定装置21は、磁場空間におけ 磁場分布を測定するための装置であり、超 導磁石装置1の励磁後に磁場空間に配置され (図2参照)。

 磁場分布測定装置21としては、均一磁場 間F(図2参照、以下同じ)の磁場分布を測定で るものであれば良く、例えば、均一磁場空 F上の各点に図示しない磁気センサを逐一配 置して測定するようなものでもよいし、半円 弧上に複数の磁気センサを取り付け、同時に 複数点の磁場強度を測定できるようなもので あってもよい。このような磁場分布測定装置 21は、均一磁場を得るための磁場調整が完了 た後は撤去される。なお、このような磁気 ンサによる直接測定を用いずに、水ファン ムなどの磁気共鳴スペクトルから磁場分布 測定するような手法を用いて磁場分布を測 しても差し支えない。

 磁場分布測定装置21により得られた磁場 布データは、温度変化量算出装置22へ入力さ れる。

 温度変化量算出装置22は、磁場分布測定 置21により測定された磁場分布データに基づ き、磁場空間の磁場不均一を補償して均一性 を向上させるために必要な上側のコイル容器 1Aの鉄4A,5Aおよび下側のコイル容器1Bの鉄4B,5B 温度変化量δTを算出するようになっている

 温度制御装置12は、温度変化量算出装置22 により算出された温度変化量δTに基づいて、 鉄4A,5A(鉄4B,5B)の温度制御値を設定し、この設 定した温度制御値に基づいて鉄4A,5A(鉄4B,5B)の 温度を制御するようになっている。なお、温 度制御装置12には、温度センサ26により測定 れた温度データが入力されるようになって る。

 次に、超伝導コイル2A,3Aの通電電流値の 差に起因する磁場不均一が、鉄4A,5A(4B,5B)の 様な温度変化により十分に補償されること ついて、数式および図5を参照して説明する

 図5において、横軸は、均一磁場空間の方位 角(度)を示しており、縦軸は、その方位にお る磁場強度(均一成分を除く)を示している 前記したように、超伝導コイル2A,3A(2B,3B)が る磁場分布J1と、鉄4A,5A(4B,5B)が作る磁場分
布J2との和によって均一磁場J3を形成してい 。

 超伝導コイル2A,3A(2B,3B)の通電電流値の誤 δI(不図示)により、超伝導コイル2A,3A(2B,3B) 作る磁場分布は、磁場分布J1'となり、磁場 布J1から磁場分布J1'への磁場変化C1が生じる 磁場分布J1および磁場分布J1'は、超伝導コ ル2A,3A(2B,3B)の通電電流値に比例するのだか 、磁場変化C1もまた、超伝導コイル2A,3A(2B,3B) の通電電流値に比例する。ここで、磁場分布 J1および磁場変化C1をそれぞれ、

 というようなベクトル表記で表すと、超伝 コイル2A,3A(2B,3B)の作る磁場分布は、超伝導 イル2A,3A(2B,3B)の通電電流値に比例すること ら、次式(1)で表すことができる。

 ここで、αは比例定数である。

 一方、鉄4A,5A(4B,5B)は、温度の上昇ととも 飽和磁化の大きさが減少する温度依存性を っている。この磁化変化は、通常、磁気共 撮像装置が運用される常温近傍の温度範囲 つまり、鉄4A,5A(4B,5B)の温度範囲に比べて微 となる温度範囲では、温度変化に対して線 に近似できる。したがって、磁場分布J2を っている鉄4A,5A(4B,5B)の温度を一様にδTだけ 昇させると、鉄4A,5A(4B,5B)は、δTに比例する だけ一様に磁化を失い、鉄4A,5A(4B,5B)の作る 場分布は、磁場変化C1'を生じて磁場分布J2' なる。ここで、磁場分布J2と磁場変化C1'をそ れぞれ

 というようなベクトル表記で表すと、鉄4A,5 A(4B,5B)の作る磁場分布は鉄4A,5A(4B,5B)の磁化に 例する、すなわち、温度変化に比例するか 、次式(2)で表すことができる。

 ここで、βは比例定数である。

 ところで、超伝導コイル2A,3A(2B,3B)が作る 場分布J1と鉄4A,5A(4B,5B)が作る磁場分布J2との 和は均一磁場J3を形成するように構成されて るから、磁場分布J1と磁場分布J2とは、均一 磁場成分を除けば、向きが逆で大きさが同じ 磁場分布になっている。すなわち、これらの 関係は、次式(3)となる。

 これにより、前記式(1)、式(2)および式(3)か 、次式(4)を得ることができる。

 この式(4)は、適切な温度変化量δTを選ぶこ により、コイル通電電流値の誤差に起因す 磁場変化C1と、鉄4A,5A(4B,5B)の温度変化によ 生じる磁場変化C1'とを、向きが逆で大きさ 同じ分布にすることが可能であることを示 ている。すなわち、δTにより発生する磁場 化C1'によって、δIに起因する磁場変化C1を打 ち消し、磁場分布J3'を得ることが可能である ことを示している。

 この演算に際しては、前記式(4)をそのま 用いても良いが、磁場変化C1や磁場変化C1' 表現方法を工夫することで計算を単純にす ことができる。例えば、磁場変化C1のうちで 最大の磁場変化Bmaxと、最小の磁場変化Bminと ら、次式(5)として算出されるBuを用いれば

 温度変化量δTは、比例定数γを用いて、次 (6)と表現することができる。

 また、直交展開の展開係数を用いることも えられる。磁場変化C1を、前記のようなベ トル形式ではなく、

 というような極座標を用いた関数表現とし 場合、一例として、次式(7)のような直交展 が可能である。

ただし、

 はルジャンドル陪関数である。このような 交展開の係数A(l,m)およびB(l,m)によって磁場 化C1を表現することにすれば、磁場変化C1は 超伝導コイル2A,3A(2B,3B)の通電電流値に比例し た分だけ変化するのであるから、ひとつの展 開係数を参照しさえすれば、残りの展開係数 は全て確定するようになる。したがって、例 えば、A(2,0)で表される展開係数を参照するこ とにより、比例係数γ'(温度と磁界の変化は 例する。すなわち前記式(4)が成り立ってい ことを前提として)を用いて、δTを次式(8)で すように算出することができる。

 本実施形態ではδTの算出方法として前記式( 4)、式(6)、式(8)による方法を例示したが、こ に限られることはなく、測定された磁場変 C1から、適切な温度変化量δTが算出される のであれば、温度変化量算出装置22はどのよ うなものであってもよい。算出されたδTは、 温度制御装置12の入力データとなる。

 温度制御装置12は、温度変化量算出装置22 で算出されたδTと鉄4A,5Aに設置された温度セ サ26により測定された温度データとを入力 して受け取り、鉄4A,5Aの温度をδTだけ変化さ せるために必要な電気ヒータ10の駆動電流値 決定し、出力する。この駆動電流値の決定 法は、例えば、比例制御、積分制御、微分 御など良く知られた制御法あるいはその組 合わせを用いることができる。もちろん、 れらの方法に限る必要はなく、温度センサ2 6を不要とするセンサレス制御を用いてもよ 。

 以下では、本実施形態において得られる効 を説明する。
(1)本実施形態の磁場均一度調整装置20は、磁 分布を測定するための磁場分布測定装置21 、磁場分布測定装置21により得られた磁場分 布から必要な温度変化量δT算出する温度変化 量算出装置22と、温度変化量算出装置22が算 した温度変化量δTを入力として鉄4A,5A(4B,5B) 温度を制御する温度制御装置12と、を備えて いるので、超伝導コイル2A,3A(2B,3B)の通電電流 値に誤差が生じた場合でも、磁場変化C1に対 する適切な温度に鉄4A,5A(4B,5B)を制御するこ ができ、効率良く磁場均一度調整を行うこ ができる。また、鉄4A,5A(4B,5B)の温度に分布 持たせる必要が無いので、電気ヒータ10の や温度制御装置12の台数を最小限に減らした 構成とすることができ、簡素で安価な磁場均 一度調整装置20を得ることができる。

(2)温度変化量算出装置22における温度変化 δTの算出を、測定された磁場分布の最大値 最小値との差分に比例する量として算出す 構成としたときには、計算を単純にするこ ができ、簡素で安価な磁場均一度調整装置2 0を得ることができる。

(3)温度変化量算出装置22における温度変化 δTの算出を、磁場分布の直交展開の係数の きさに比例する量として算出する構成とし ときには、磁場変化C1が、超伝導コイル2A,3A (2B,3B)の通電電流値に比例した分だけ変化す のであるから、高々ひとつの展開係数を参 しさえすれば、残りの展開係数は全て確定 るようになり、計算が簡単になって、簡素 安価な磁場均一度調整装置20を得ることがで きる。

(4)温度制御装置12は、超伝導コイル2A,3A(2B,3 B)の通電電流値の誤差により生じる不均一な 場を、鉄4A,5A(4B,5B)の略一様な温度分布を実 するためだけの(すなわち、鉄4A,5A(4B,5B)に温 度分布を与える必要がない)簡素な温度制御 よって補償し、均一磁場を得るものである で、超伝導磁石装置1の磁場均一度調整装置2 0を従来よりも効率良くかつ安価な構成で得 ことができる。

(5)温度制御装置12は、鉄4A,5A用および鉄4B,5B 用の共用であるので、簡素で安価な磁場均一 度調整装置20を得ることができる。

(6)電気ヒータ10が上側のコイル容器1Aの外 上面に配置されているので、電気ヒータ10の 点検整備や不具合による交換が簡単であり、 メンテナンス性に優れているという利点が得 られる。

(7)簡素で安価な磁場均一度調整装置20を得 ことができるので、この磁場均一度調整装 20を備えた超伝導磁石装置1や磁気共鳴撮像 置を安価に提供することができ、かつ、磁 調整を効率良く行うことができる。

 図6は超伝導磁石装置1の変形例であり、 の例では、電気ヒータ10が、鉄4A,5A(4B,5B、不 示、以下同じ)に直接取り付けられている。 このような構成とすることによって、鉄4A,5A( 4B,5B)を電気ヒータ10で直接加熱することがで 、電気ヒータ10の熱損失を低減して、電気 ータ10における必要な発熱量を低減させるこ とができる。なお、電気ヒータ10は、少なく も一つの鉄に直接取り付けられていれば良 。

 図7は超伝導磁石装置1のその他の変形例 あり、この例では、電気ヒータ10が、上側の コイル容器1Aの内部に設けられている。コイ 容器1Aの内部は、真空断熱されているので 電気ヒータ10をコイル容器1Aの内部に設ける とによって、電気ヒータ10の熱を逃げ難く ることができる。その分、電気ヒータ10にお ける必要な発熱量を低減させることができる 。

 図8は超伝導磁石装置1のその他の変形例 あり、この例では、鉄4A,5A(4B,5B)が輻射シー ド6の内側に配置されており、また、電気ヒ タ10が鉄4A,5A(4B,5B)に直接取り付けられてい 。このような構成とすることによって、鉄4A ,5A(4B,5B)の温度は輻射シールド6の温度近傍ま 下がることとなるが、温度制御装置12によ て温度変化量δTの温度変化が可能な構成と ることにより、鉄4A,5A(4B,5B)の略一様な温度 布を実現することができる。

 なお、鉄4A,5A(4B,5B)の配置や電気ヒータ10 設置位置は、これらの例に限られることは く、適宜の位置に設定することができる。

 また、前記実施形態では、温度制御装置1 2が上側のコイル容器1Aと下側のコイル容器1B で共用される構成としたが、これに限られ ことはなく、上側のコイル容器1Aと下側の イル容器1Bとでそれぞれ個別に設けて制御を 行うように構成してもよい。超伝導磁石装置 1を設置する環境によっては、上側のコイル 器1Aの近傍の温度と下側のコイル容器1Bの近 の温度とが異なり、かつ、温度が時間の経 とともに変化する場合があるため、温度制 装置12を個別に設けることによって、この うな影響を排除することができ、磁場均一 の高精度化に寄与する。なお、下側のコイ 容器1Bに対応する電気ヒータ10(不図示)は、 側のコイル容器1Bの外部側面等を利用して設 置してもよいし、下側のコイル容器1Bの下部 電気ヒータ10の設置用のスペースを設けて れに収納するように設けてもよい。




 
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