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Title:
SUPERCONDUCTING OXIDE MATERIAL, PROCESS FOR PRODUCING THE SAME, AND SUPERCONDUCTING WIRE AND SUPERCONDUCTION APPARATUS BOTH EMPLOYING THE SUPERCONDUCTING MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084579
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a (Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Oz superconducting oxide material which comprises a step in which raw materials are mixed and two or more heat treatment steps in which the mixed materials are heat-treated. The heat treatment steps comprise a first heat treatment step in which (Bi,Pb)-2223 crystals are formed and a second heat treatment step in which after the formation of the (Bi,Pb)-2223 crystals, the strontium content in the (Bi,Pb)-2223 crystals is heightened. The second heat treatment step is conducted at a lower temperature than the first heat treatment step. Thus, a (Bi,Pb)-2223 type superconducting oxide material having a high critical temperature is obtained.

Inventors:
SHIMOYAMA JUN-ICHI (JP)
KATO TAKESHI (JP)
YAMAZAKI KOUHEI (JP)
KOBAYASHI SHIN-ICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/070073
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
October 15, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
SHIMOYAMA JUN-ICHI (JP)
KATO TAKESHI (JP)
YAMAZAKI KOUHEI (JP)
KOBAYASHI SHIN-ICHI (JP)
International Classes:
C01G1/00; H01B13/00; H01B12/10
Domestic Patent References:
WO2005022563A12005-03-10
Foreign References:
JPH0757568A1995-03-03
JP2007149416A2007-06-14
Other References:
TAKEDE Y. ET AL.: "Annealing effects on the Pb-doped 2223 phase under various temperatures and oxygen pressures", PHYSICA C, NETHERLAND, vol. 159, no. 6, 1 August 1989 (1989-08-01), pages 789 - 793
WANG J. ET AL.: "Enhancement of Tc in (Bi,Pb)-2223 superconductor by vacum encapsulation and post-annealing", PHYSICA C, NETHERLAND, vol. 208, no. 3-4, 1993, pages 323 - 327
IKEDA Y. ET AL.: "The High-Tc Phase with a New Modulation Mode in the Bi, Pb-Sr-Ca-Cu-O System", JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, vol. 27, no. 11, 1988, pages L2067 - L2070
Attorney, Agent or Firm:
NAKANO, Minoru et al. (1-3 Shimaya 1-chome, Konohana-k, Osaka-shi Osaka 24, JP)
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Claims:
 (Bi,Pb) 2 Sr 2 Ca 2 Cu 3 O z 系酸化物超電導材料の製造方法であって、原料を混合する工程と、前記混合された原料を熱処理する少なくとも2回以上の熱処理工程を含み、前記熱処理工程は、(Bi,Pb)2223結晶を形成する第1の熱処理工程と、(Bi,Pb)2223結晶が形成された後に、(Bi,Pb)2223結晶中のSr含有量を増加させる第2の熱処理工程を含み、前記第2の熱処理工程は、前記第1の熱処理工程より低い温度で行うことを特徴とする酸化物超電導材料の製造方法。
 前記第2の熱処理工程前の(Bi,Pb)2223結晶中に含有されるSr量を1と基準にした場合、第2の熱処理工程による前記Sr含有量の増加量は、0.02以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導材料の製造方法。
 前記第1の熱処理工程は、加圧熱処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導材料の製造方法。
 前記第2の熱処理工程は、加圧熱処理であることを特徴とする請求項1から3に記載の酸化物超電導材料の製造方法。
 請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の製造方法によって製造され、前記第2の熱処理工程後において、Cuの含有量を3と基準にした場合の、Srの含有量が1.89以上、2.0以下であることを特徴とする酸化物超電導材料。
 請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の製造方法によって製造され、前記第2の熱処理工程後における、(Bi,Pb)2223結晶の単位格子のc軸長さが3.713nm以上であることを特徴とする酸化物超電導材料。
 請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の製造方法により製造された酸化物超電導材料を含む超電導線材。
 請求項7に記載の超電導線材を導体として含む超電導機器。
Description:
酸化物超電導材料およびその製 方法ならびにこの超電導材料を用いた超電 線材および超電導機器

 本発明は、(Bi,Pb) 2 Sr 2 Ca 2 Cu 3 O z (zは、10に近い数:以下(Bi,Pb)2223と呼ぶ)系酸化 超電導材料およびその製造方法ならびにこ 超電導材料を用いた(Bi,Pb)2223系酸化物超電 材料を主相とする超電導線材および超電導 器に関する。

 金属シース法で作製された(Bi,Pb)2223相を 成分とする酸化物超電導線材は、高い臨界 度を持ち、かつ液体窒素等の比較的簡単な 却下でも高い臨界電流値を示す有用な線材 ある(たとえば、非特許文献1を参照)。だが なる性能の向上が実現すれば、より実用さ る範囲が広がる。そのため、その主相であ (Bi,Pb)2223超電導材料そのものの性能向上が望 まれる。

 また、上記(Bi,Pb)2223超電導材線材を使用 ることによって、従来の常伝導導体を用い より、はるかにエネルギー損失を低減する とが可能であると考えられている。そのた (Bi,Pb)2223超電導材線材を導体として用いた超 電導ケーブル、超電導コイル、超電導変圧器 、超電導電力貯蔵装置等の超電導応用機器開 発も同時に進められている。

 性能のひとつとして臨界温度(Tc)がある。 臨界温度をあげることによって、使用温度か らの温度マージンを拡大させることができ、 超電導線材として使用する場合には、それが 臨界電流値(Ic)に反映され、Icも向上する。臨 界温度を上昇させる技術として、(Bi,Pb)2223系 電導材料において、(Bi,Pb)2223結晶が生成し いるバルク状ペレット材を真空状態に封止 、700℃近傍の温度で、100時間程度熱処理す 方法が知られている(非特許文献2を参照)。 れにより、臨界温度は、110Kから115Kに上昇す ると記載されている。

SEIテクニカルレビュー、2004年3月 第164  p36-42 Jei Wang, 他4名,  ”Enhancement of Tc in (B i,Pb)-2223 super conductor by vacuumencapsulation and  post-annealing”,  Physica C, vol. 208, (1993), p323 -327

 上記の技術では、Tc向上は、見られてい ものの、出発原料組成、焼鈍温度、焼鈍時 の製造パラメータが開示されているにすぎ 、Tc向上の原理的な点は、不明であった。そ のため製造装置等が変わった場合、Tc=115Kの 高性能を得るのは困難であった。このよう 技術では、工業的製造上に応用する場合は 好ましくない。

 そこで本発明は、再現性よく高い臨界温 を発揮する(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料お びそれを用いた超電導線材ならびに超電導 器を提供することを目的とする。本発明者 は、(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料において、 熱処理により(Bi,Pb)2223系酸化物超電導材料に まれているSr含有量を調整すること、およ その調整条件の最適化に着目し、高い臨界 度を再現性よく製造する方法を見出し、本 明を完成させた。

 本発明は、(Bi,Pb) 2 Sr 2 Ca 2 Cu 3 O z 系酸化物超電導材料の製造方法であって、原 料を混合する工程と、前記混合された原料を 熱処理する少なくとも2回以上の熱処理工程 含み、前記熱処理工程は、(Bi,Pb)2223結晶を形 成する第1の熱処理工程と、(Bi,Pb)2223結晶が形 成された後に、(Bi,Pb)2223結晶中のSr含有量を 加させる第2の熱処理工程を含み、前記第2の 熱処理工程は、前記第1の熱処理工程より低 温度で行うことを特徴とする酸化物超電導 料の製造方法である。

 本発明において、前記第2の熱処理工程前 の(Bi,Pb)2223結晶中に含有されるSr量を1と基準 した場合、第2の熱処理工程による前記Sr含 量の相対的な増加量は、0.02以上とすること が好ましい。

 本発明においては、前記第1の熱処理工程 は、加圧熱処理とすることが好ましい。

 本発明においては、前記第2の熱処理工程 は、加圧熱処理とすることが好ましい。

 本発明にかかる酸化物超電導材料は、前 に記載のいずれかの製造方法によって製造 れ、前記第2の熱処理工程後、Cuの含有量を3 と基準にした場合の、Srの含有量が相対的に1 .89以上、2.0以下であることを特徴とする酸化 物超電導材料である。

 また、本発明にかかる別な酸化物超電導 料は、前記に記載のいずれかの製造方法に って製造され、前記第2の熱処理工程後、(Bi ,Pb)2223結晶の単位格子のc軸長さが3.713nm以上 あることを特徴とする酸化物超電導材料で る。

 また、本発明にかかる超電導線材は、上 の製造方法により製造された超電導材料を む超電導線材である。

 さらに本発明にかかる超電導機器は、上 の超電導線材を導体として含む超電導機器 ある。

 本発明によれば、高い臨界温度を持つ(Bi, Pb)2223系酸化物超電導材料を再現性よくかつ 効率的に製造できる。その超電導材料を含 ことによって臨界温度の高い超電導線材を ることができ、またその線材を導体として いることで、高性能な超電導ケーブル、超 導コイル、超電導変圧器、超電導電力貯蔵 置等の超電導機器を得ることができる。

図1は、本発明の実施の一つの形態にお ける酸化物超電導線材の製造工程を示すフロ ー図である。 図2は、一例としての超電導ケーブルの 内部構造を示す斜視図である。 図3は、代表的な超電導マグネットの一 例を示す模式図である。 図4は、代表的な超電導変圧器の一例を 示す模式図である。

符号の説明

21 フォーマー
22 導体層
23 絶縁層
24 磁気シールド層
25 断熱層
26 外管
27 酸化物超電導線材
31 コイル
32 電極
33 永久電流スイッチ
41 一次側超電導コイル
42 二次側超電導コイル
43 一次側電極
44 二次側電極
45 コア

 (実施形態)
 一般的に超電導材料に含まれる陽イオン成 (Bi、Pb、Sr、Ca、Cu)の比率調整は、原料混合 階で行われる。例えば、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:2. 0:2.0:3.0のような比率を最終目的超電導相の組 成とすれば各成分の酸化物、炭酸化物を上記 に近い比率で混合し、熱処理を繰り返し、出 発原料比に近い組成比をもつ最終超電導材料 を得る。

 上記のような製法では、目的とする組成 をもつ(Bi,Pb)2223相を得にくいこともある。 えばBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:2.0:2.0:3.0を最終目的組 物としても、従来の単純な混合、熱処理と ったプロセスを用いると最も安定に存在し すい比率の超電導相、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:1.85: 2.0~2.1:3.0のようなSrが欠損した相が主として 成する。あまったSrは、Sr-O、Sr-Ca-Pb-O等の非 電導化合物で析出している。ところで、Tc 上の観点から超電導相中の元素比は、(Bi、Pb ):Sr:Ca:Cu=2:2:2:3のような整数比に近い方がよい と考えられている。

 そこで発明者らは、安定に生成しやすい 率で一旦超電導相を形成させ、その形成さ た状態から特定の原子を固溶させていく手 によって目的とする組成比率(整数比に近い )を持つ多くの結晶粒からなる多結晶の超電 材料を得る製造方法を見出した。

 具体的には、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:2.0:2.0:3.0の ように出発原料を調整し、それらが充分反応 する温度で熱処理、粉砕プロセスを繰り返し 、組成比Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:1.85:2.0~2.1:3.0をもつ ほぼ単一の(Bi,Pb)2223相からなる多結晶の超電 材料を得る。ここまでに行われる熱処理を 応熱処理(第1の熱処理)という。その後この 成された各(Bi,Pb)2223結晶が分解しない程度 温度、例えば600~750℃で、100時間以上熱処理 ることにより、Srイオンを(Bi,Pb)2223結晶に固 溶させる。この熱処理を第2の熱処理という

 このようにすれば、反応熱処理(第1の熱 理工程)で形成された(Bi,Pb)2223相の各結晶粒 結晶構造を維持したまま、その各結晶粒のSr イオン含有量を増加させることができる。

 またSr量の増加量は、第2の熱処理工程前 (Bi,Pb)2223結晶中に含有されるSr量を1と基準 した場合、0.02以上であることが好ましい。

 ここで規定されるSr含有量増加量とは、 2の熱処理前のSr含有量が例えば1.85とした場 、これを1と基準にして表す。それが第2の 処理によってSr含有量が1.92となった場合は (1.92/1.85-1)=0.038のように計算されるものであ 。

 増加量が0.02未満であると、組成の変動分 として少なすぎ、第2の熱処理前と差異が小 く、顕著な効果が得られにくい。一方、増 量の上限は、規定できないが、Srの絶対含有 量が2.0(整数組成比)となる増加が、最もTcの くなる増加量である。

 さらに、本発明者らは、第1および第2の 処理工程は、加圧熱処理であることが効果 であることも見出した。

 これは、Srイオンを(Bi,Pb)2223結晶に固溶さ せる際に、非超電導相であるSr化合物と(Bi,Pb) 2223結晶が密接に接触しているほうがSrイオン の拡散(例えば、非超電導結晶から超電導結 への拡散、また超電導結晶間の拡散)がスム ズに起こる。そのため超電導体内の各結晶 、できるだけ強固に結合していていること 好ましい。そのような状態を形成すること および維持しておくために、結晶間の密着 が強くなる加圧熱処理を用いる。

 図1は、本発明の超電導材料を含む超電導 線材製造工程の一例を示す図である。図1を 照して本発明の具体的な工程を説明する。

 まず、原料粉末(Bi 2 O 3 、PbO、SrCO 3 、CaCO 3 、CuO)を所望の比率で混合し、熱処理し、粉 を繰り返し、前駆体粉末を作製する(ステッ S1)。この前駆体粉末を金属管に充填する(ス テップS2)。この前駆体は、たとえば(Bi,Pb) 2 Sr 2 Ca 1 Cu 2 O 8±δ (δは、0.1に近い数:以下(Bi,Pb)2212と呼ぶ)相やBi 2 Sr 2 Ca 1 Cu 2 O 8±δ (δは、0.1に近い数:以下Bi2212と呼ぶ)相、(Bi,Pb) 2223相等を含む。なお、金属管としては、前 体と化合物を形成しにくい、銀や銀合金を いることが好ましい。

 次に、所望の直径まで上記線材を伸線加 し、前駆体を芯材として銀などの金属に被 された単芯線を作製する(ステップS3)。次に 、この単芯線を多数束ねて、例えば銀等から なる金属管内に嵌合する(多芯嵌合:ステップS 4)。これにより、原料粉末を芯材として多数 する多芯構造材が得られる。

 次に、所望の直径にまで多芯構造材を伸線 工し、原料粉末が、例えば銀等のシース部 埋め込まれ、断面形状が円状あるいは多角 状の等方的多芯母線を作製する(ステップS5) 。これにより、酸化物超電導線材の原料粉末 を金属で被覆した形態を有する等方的多芯母 線が得られる。次に、この等方的多芯母線を 圧延する(1次圧延:ステップS6)。
これによりテープ状の酸化物超電導線材が得 られる。

 次に、テープ状線材を熱処理する(1次熱 理:ステップS7)。この熱処理は、たとえば酸 分圧1~20kPaの雰囲気において約800℃~850℃の 度で行われ、熱処理によって原料粉末から 的とする酸化物超電導相が生成される。こ 熱処理により、前駆体は、目的とする(Bi,Pb)2 223結晶に変態する。

 その後、再び線材を圧延する(2次圧延:ス ップS8)。このように、2次圧延を行うことに より、1次熱処理で生じたボイドが除去され 。続いて、例えば酸素分圧1~20kPaの雰囲気に いて約820~840℃の温度で線材を熱処理する(2 熱処理:ステップS9)。このとき、加圧雰囲気 で熱処理することが好ましい。この熱処理に より、一部ステップS7で反応しきらず残った 分の(Bi,Pb)2223相への変態と、各(Bi,Pb)2223結晶 どうし、あるいは(Bi,Pb)2223結晶と非超電導相 強固に結合する。ステップS7とステップS9が 第1の熱処理工程に相当する。

 最後に、2次熱処理後の線材を全圧が大気 圧から50MPaの間、酸素分圧が1~30kPaの雰囲気に おいて、約600~750℃の温度で再度熱処理する(3 次熱処理:ステップS10)。この熱処理により(Bi, Pb)2223結晶へSrイオンの固溶がおこり、(Bi,Pb)22 23結晶中のSr含有量が増加する。ステップS10 第2の熱処理工程に相当する。

 本発明により製造される超電導線材は、 い臨界温度を有するため液体窒素冷却時の 用温度からの温度マージンを拡大させるこ ができかつ、結晶粒間の結合も強いため高 臨界電流値が実現できる。

 また、本発明にかかる超電導機器は、臨 温度および臨界電流値の高い超電導線材か 構成されるため、優れた超電導特性を有す 。ここで、超電導機器は、上記超電導線材 含むものであれば特に制限なく、超電導ケ ブル、超電導コイル、超電導マグネット、 電導変圧器、超電導電力貯蔵装置などが挙 られる。例えば、交流用途で使用される超 導ケーブルや、超電導変圧器では、臨界電 値の向上により、運転電流値における損失 減少する。一方、超電導マグネットや超電 電力貯蔵装置のような直流使用が主な機器 、最大発生磁場や最大蓄積エネルギーが大 に増大する。

 図2は、一例としての超電導ケーブルの内 部構造を示す斜視図である。フォーマー21の りに本発明にかかる酸化物超電導線材27が 旋状に巻きつけられ、導体層22を形成してい る。その外には絶縁層23を配し、その外周に 化物超電導線材27が螺旋状に巻きつけられ 気シールド層24を形成する。それらは断熱層 25で覆われ、外管26に収容される。

 図3は、代表的な超電導マグネットの例を 示す模式図である。本発明にかかる酸化物超 電導線材をパンケーキ状に巻き、コイル31を 成する。そのコイル31を目的に応じて複数 、電気的に接続する。これらに電極32から電 流を通電するとコイル31内に磁場が発生する また、電極32間を酸化物超電導線材で作製 れた永久電流スイッチ33で結合し、目的の磁 場まで励磁したのち永久電流スイッチ33をON すれば、コイル31-永久電流スイッチ33のルー プ内に永久電流が流れる。この電流は、減衰 することがほとんどなく磁場としてエネルギ ーを貯蔵できる。必要に応じて、永久電流ス イッチ33をOFFにして、電極32側へ電流が流れ ようにすれば、電流が取り出せる。このよ に使用すれば超電導電力貯蔵装置として利 できる。

 図4は、代表的な超電導変圧器の例を示す 模式図である。鉄等でできたコア45を介して 次側超電導コイル41、二次側超電導コイル42 が磁気的に結合されている。一次側超電導コ イル41には、一次側電極43から交流電流が与 られる。その交流電流によって一次側超電 コイル41に交流磁場が発生し、コア45を通じ 二次側超電導コイル42内にも磁場が誘起さ る。その誘起した交流磁場に誘導され二次 超電導コイル42に交流電圧が発生し、それを 二次側電極44で取り出す。一次側超電導コイ 41と二次側超電導コイル44のターン数を変え ておくことで、一次側と異なる電圧を二次側 で発生させることが可能である。

 以下、実施例に基づき、本発明をさらに具 的に説明する。
 (実施例)
 原料粉末(Bi 2 O 3 、PbO、SrCO 3 、CaCO 3 、CuO)をBi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.8:0.3:2.0:2.0:3.0の比率で混 し、大気中で700℃×8時間、粉砕、800℃×10時 間、粉砕、840℃×4時間、粉砕の処理を施し前 駆体粉末を得る。また前駆体粉末を、5種類 原料粉末が溶解した硝酸水溶液を、加熱さ た炉内に噴射することにより、金属硝酸塩 溶液の粒子の水分が蒸発し、硝酸塩の熱分 、そして金属酸化物同士の反応、合成が瞬 に起こさせる噴霧熱分解法で作製すること できる。こうして作製された前駆体粉末は (Bi,Pb)2212相あるいはBi2212相が主体となった粉 末である。

 上記により作製された前駆体粉末を外径2 5mm、内径22mmの銀パイプに充填し、銀パイプ 直径2.4mmまで伸線して単芯線を作製する。こ の単芯線を55本に束ねて外径25mm、内径22mmの パイプに挿入し、この銀パイプを直径1.5mmま で伸線し、多芯(55芯)線材を得る。この多芯 を圧延し、厚み0.25mmのテープ状線材に加工 る。得られたテープ状線材を8kPa酸素雰囲気 で820℃~840℃、30時間~50時間の一次熱処理を す。

 一次熱処理後のテープ状線材を厚み0.23mm なるように再圧延する。再圧延後のテープ 線材に酸素分圧8kPaを含む、全圧30MPa加圧雰 気下にて820℃~840℃、50時間~100時間の二次熱 処理を施す。ここで得られた線材の一部を切 り出し(試料番号1:比較例)、臨界温度測定、 界電流値測定、組成分析、構造解析の評価 行った。

 残り部位は、大気圧(0.1MPa)または30MPaの加 圧雰囲気で400℃~725℃、100時間~1000時間、酸素 分圧1kPaと21kPaの各種条件下で再度の熱処理(3 熱処理:ステップS10)を施した(試料番号2:比 例、試料番号3~11:実施例)。その熱処理条件 表1に示す。それらについても上記と同様の 価を行った。

 評価については、次のとおりである。臨 温度(Tc)は、以下のように測定し、定義する 。得られた超電導線材を液体窒素温度から昇 温させながら、その磁化率をSQUID(超電導量子 干渉計)型磁束計(Quantum Design社製MPMS-XL5S)を用 いて、超電導線材のテープ面に垂直な方向に 0.2Oe(15.8A/m)の磁界を印加し、各温度の磁化率 測定する。そして各温度の磁化率を95Kの磁 率で規格化し、その大きさが-0.001となる温 を臨界温度とした。

 また臨界電流値は、温度77K、ゼロ磁場中、 端子法で電流―電圧曲線を測定し、その曲 から線材1cmあたり1×10 -6 Vの電圧を発生させる電流を臨界電流値と定 した。

 構造解析は、粉末X線回折により、構成相 評価と単位格子のc軸長算出を行った。組成 析は、EDX法により行った。組成算出手段は 各試料5箇所の組成を分析し、その平均値を 試料の組成値とした。それらの結果を表1に 示す。

 試料番号1(比較例)は、2次熱処理で工程が 終了しているため、本発明のSrを増加させる 処理(3次熱処理)を施していない。また、試 番号2(比較例)は、3次熱処理が施されている がSr量が試料番号1から増加していない。これ らと3次熱処理が施され、それによってSr含有 量が増加した試料番号3~11(実施例)について比 較して説明する。

 まず、Sr増加熱処理(3次熱処理)を施して ない試料番号1は、臨界温度、臨界電流値が れぞれ110.2K、110Aである。Sr含有量は、分析 果からCu(銅)の含有比を3として、それに対 る割合を導出している。その導出方法によ とSr含有量(組成比)は、1.85となる。

 3次熱処理を施した、試料番号3~11におい は、臨界温度、臨界電流値いずれも試料番 1に比べ、向上している。一方、3次熱処理を 施された試料番号2では、両特性の向上が見 れない。これは、3次熱処理を施したものの その条件が不十分で(Bi,Pb)2223結晶中へのSrイ オン固溶によるSr含有量増加がおこっていな からである。

 また、実施例である試料番号3~11のSr含有 を、Cu(銅)の含有比を3と基準にして、それ 対する割合で算出すると1.89以上である。こ から1.89以上のSr含有量を有していることが ましいといえる。また表1から、臨界温度が 高くなると同時に、単位格子のc軸長も長く る傾向にあることが見出せる。c軸長は、3.71 3nm以上であれば好ましいことも判る。

 今回開示された実施の形態および実施例 、全ての点で例示であって制限的なもので ないと考えられるべきである。本発明の範 は、上記した説明でなくて特許請求の範囲 よって示され、特許請求の範囲と均等の意 および範囲内のすべての変更が含まれるこ が意図される。




 
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