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Title:
SUPERCONDUCTING POWER CONVERTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157532
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a power converter which is more highly efficient than conventional.  A superconducting power converter comprises two half elements each having a switching means for making switching so that at least one of a plurality of superconducting elements arranged parallel is in a superconducting state and at least one of the other superconducting elements is in a non-superconducting state.  A load is connected between the first and second half elements, and a power supply voltage is applied between the common terminals of the first and second half elements.  The resistance value of each of the plurality of superconducting elements in the non-superconducting state is set larger than that of the load.  Switching is made by the switching means at a timing determined by the combination of the type of the power supply voltage and the type of the current to be drawn out at the load, and thereby power conversion between the power supply voltage and the load is carried out.

Inventors:
OSAMURA KOZO (JP)
NAKAMURA TAKETSUNE (JP)
OKA TETSUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061689
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV KYOTO (JP)
OSAMURA KOZO (JP)
UNIV NIIGATA (JP)
NAKAMURA TAKETSUNE (JP)
OKA TETSUO (JP)
International Classes:
H02M7/48; H01L39/16; H02M5/297; H02M7/12
Foreign References:
JP2002136144A2002-05-10
JP2005116921A2005-04-28
JP2006179872A2006-07-06
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE Hidetoshi et al. (JP)
Hidetoshi Yoshitake (JP)
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Claims:
 複数の超電導素子が並列に配置されてなるとともに、前記複数の超電導素子の一方側の端子が共通化されてなり、
 前記複数の超電導素子の少なくとも1つが超電導状態となるとともに残りの前記超電導素子の少なくとも1つが非超電導状態となるように前記複数の超電導素子のそれぞれを超電導状態と非超電導状態との間でスイッチングするスイッチング手段、
を備える半素子、
を2つ備え、
 一方の半素子を第1の半素子とし、他方の半素子を第2の半素子とするときに、
 前記第1と第2の半素子の間に負荷を接続するとともに前記第1と第2の半素子のそれぞれの共通化された前記端子の間に電源電圧を印加するようになっており、
 前記複数の超電導素子のそれぞれの非超電導状態における抵抗値は、前記負荷の抵抗値より大きく、
 前記電源電圧の種別と前記負荷において取り出そうとする電流の種別との組み合わせに応じて定まるタイミングにて前記スイッチング手段によるスイッチングを行うことにより、前記電源電圧と前記負荷との間における電力変換を行う、
ことを特徴とする超電導電力変換器。
 請求項1に記載の超電導電力変換器であって、
 前記スイッチング手段は、前記負荷の同一の接続端子に接続される、前記第1の半素子に備わる前記超電導素子と前記第2の半素子に備わる前記超電導素子との少なくとも一方が非超電導状態となるように、スイッチングを行う、
ことを特徴とする超電導電力変換器。
 請求項1または請求項2に記載の超電導電力変換器であって、
 前記スイッチング手段が、磁場、磁場印加角度、電圧、温度、電流、光の少なくとも1つの変動に応じて前記超電導素子を超電導状態と非超電導状態との間でスイッチングさせる、
ことを特徴とする超電導電力変換器。
Description:
超電導電力変換器

 本発明は、超電導素子を利用して電力変 を行う超電導電力変換器に関する。

 電気機器は、静止器と非静止器に分類さ る。静止器の代表例としては変圧器が挙げ れる。非静止器の代表例としては回転機が げられる。これらの電気機器は、通常は直 あるいは交流で駆動される。また近年発達 た永久磁石回転機は、非正弦波駆動がなさ る。

 電気機器には、定格とよばれる使用条件 定められており、目的に応じて電気機器に える電圧や周波数が定まっている。例えば 産業用や民生用の回転機では、総合エネル ー効率を上げるため、電圧や周波数を負荷 応じて変える可変速制御が行われている。

 電圧や周波数を変化させる手段としては 半導体素子を使用した電力変換装置が汎用 れている。例えば、直流から直流に変換す 場合にはチョッパ装置が用いられる。交流 ら交流に変換する場合にはサイクロコンバ タやマトリックスコンバータなどが用いら る。交流から直流に変換する場合には整流 (コンバータ)が用いられる。直流から交流 変換する場合にはインバータが用いられる

 これらの半導体電力変換装置では、本質 に回路のオン、オフ状態の切り換え、すな ち半導体素子のスイッチングによって電力 換を行う。しかしながら、オン状態(導通状 態)にある素子においても有限の抵抗(オン抵 )があるため、そのジュール発熱によって変 換効率が低下する。電力変換装置では、この ジュール熱損失をいかに少なくするかが、重 要な解決課題である。また、素子を冷却する ために電力を消費することも問題である。

 高効率な電力変換の実現を意図したイン ータとして、LC共振回路において共振周波 と同じ周波数のタイミングで超電導スイッ ング素子(クライオトロン)の抵抗を変化させ ることによって、持続的な振動電流を発生さ せ、該振動電流を交流出力として得る超電導 式インバータが、すでに公知である(例えば 特許文献1参照)。

 一方、薄板状の超電導体(例えばニオブ) 一方または両方の面に、フォトリソグラフ ー法などの微細加工技術を用いて複数の溝 たは穴からなる凹部を形成することによっ 、通電方向と垂直な断面に、一方の側が実 的に垂直な壁を有し、他方の側が緩い傾斜 を有する非対称形状を繰り返し形成するこ により、量子化磁束に作用するローレンツ に対するピンニング作用が、電流の順逆方 に対して非対称になるようにされた超電導 流素子、およびこれを用いた整流回路がす に公知である(例えば、特許文献2参照)。

特開2005-116921号公報

特開2006-179872号公報

 特許文献1に開示されたインバータは、回 路構成が複雑であり、汎用的に使用すること は難しいという問題がある。

 また、特許文献2に開示された整流回路は 、微細加工技術を用いるという作製プロセス の限界から大電流化は不可能と考えられる。 また、該整流回路においては、電流値を外部 から制御することは不可能であるため、電力 変換器への適用は極めて困難と考えられる。

 本発明は上記課題に鑑みてなされたもの あり、従来よりも高い効率での電力変換を 現する電力変換器を提供することを目的と る。

 上記課題を解決するため、請求項1の発明 は、複数の超電導素子が並列に配置されてな るとともに、前記複数の超電導素子の一方側 の端子が共通化されてなり、前記複数の超電 導素子の少なくとも1つ超電導状態となると もに残りの前記超電導素子の少なくとも1つ 非超電導状態となるように前記複数の超電 素子のそれぞれを超電導状態と非超電導状 との間でスイッチングするスイッチング手 、を備える半素子、を2つ備え、一方の半素 子を第1の半素子とし、他方の半素子を第2の 素子とするときに、前記第1と第2の半素子 間に負荷を接続するとともに前記第1と第2の 半素子のそれぞれの共通化された前記端子の 間に電源電圧を印加するようになっており、 前記複数の超電導素子のそれぞれの非超電導 状態における抵抗値は、前記負荷の抵抗値よ り大きく、前記電源電圧の種別と前記負荷に おいて取り出そうとする電流の種別との組み 合わせに応じて定まるタイミングにて前記ス イッチング手段によるスイッチングを行うこ とにより、前記電源電圧と前記負荷との間に おける電力変換を行う、ことを特徴とする。

 請求項2の発明は、請求項1に記載の超電 電力変換器であって、前記負荷の同一の接 端子に接続される、前記第1の半素子に備わ 前記超電導素子と前記第2の半素子に備わる 前記超電導素子との少なくとも一方が非超電 導状態となるように、スイッチングを行う、 ことを特徴とする。

 請求項3の発明は、請求項1または請求項2 記載の超電導電力変換器であって、前記ス ッチング手段が、磁場、磁場印加角度、電 、温度、電流、光の少なくとも1つの変動に 応じて前記超電導素子を超電導状態と非超電 導状態との間でスイッチングさせる、ことを 特徴とする。

 請求項1ないし請求項3の発明によれば、 数の超電導素子の非超電導状態における抵 値が、負荷の抵抗値より十分大きくなるよ にすることで、超電導状態と非超電導状態 が選択的に実現される複数の超電導素子が 列接続された2つの半素子を接続してなる超 導電力変換器を用いて、電力損失をほとん 生じさせることなく、電力変換を行うこと できる。

本発明に係る超電導電力変換器の基本 成単位となる半素子1を示す図である。 半素子1において実現される第1の状態 第2の状態とを示す図である。 半素子1を用いて構成される超電導電力 変換器10の構成を模式的に示す図である。 直流電源V1を接続した超電導電力変換 10において直流→交流変換を行う場合のスイ ッチングの様子を示す図である。 直流→交流変換を行う場合の超電導電 変換器10における諸特性の変化を例示する である。 交流電源V2を接続した超電導電力変換 10において交流→直流変換を行う場合のスイ ッチングの様子を示す図である。 交流→直流変換を行う場合の超電導電 変換器10における諸特性の変化を例示する である。 交流電源V2を接続した超電導電力変換 10において交流電流の位相変換を行う場合の スイッチングの様子を示す図である。 位相変換を行う場合の超電導電力変換 10における諸特性の変化を例示する図であ 。 交流電源V2を接続した超電導電力変換 10において交流電流の周波数変換を行う場 のスイッチングの様子を示す図である。 周波数変換を行う場合の超電導電力変 換器10における諸特性の変化を例示する図で る。 それぞれに3個の超電導素子2を並列さ た2つの半素子101を負荷3に接続した状態を す概念図である。 超電導電力変換器110の構成を模式的に 示す図である。 直流→三相交流変換を行う場合の諸特 性の変化を例示する図である。 変形例に係る超電導電力変換器20を示 図である。 変形例に係る超電導電力変換器120を示 す図である。 変形例に係る電気回路網30を示す図で る。

  <基本概念>
 図1は、本発明に係る超電導電力変換器の基 本構成単位となる半素子1を示す図である。 2は、半素子1において実現される第1の状態( 態1)と第2の状態(状態2)とを示す図である。

 図1に示すように、半素子1は、2個の超電 素子2(一方を第1超電導素子2A、他方を第2超 導素子2Bとする)を並列させ、それぞれの超 導素子2の一方側を共通端子Tとし、第1超電 素子2Aの他方端を端子Ta、第2超電導素子2Bの 他方端を端子Tbとした回路素子である。なお 第1超電導素子2Aおよび第2超電導素子2Bをそ ぞれ記号A、Bにて表す場合がある。また、 1超電導素子2Aおよび第2超電導素子2Bの臨界 場をそれぞれHca、Hcbとする。

 超電導素子2は、半素子1の使用態様・使用 境などに応じて、あるいは半素子1自体の設 上の要請などに応じて、バルク、線材、薄 素子といった種々の形態を採ることができ 。また、超電導素子2の構成材料としては、 BSCCO-2223、BSCCO-2212、YBCO、MgB 2 のような高温超電導材料を用いるのが好適な 一例であるが、Nb-Ti合金やNb 3 Sn金属間化合物のような低温超電導材料を用 ることも可能である。ただし、後述する非 電導状態の抵抗に関する要件をクリアする とが必要とされる。

 また、半素子1には、2つの超電導素子2の れぞれに対応させて、2つのスイッチSSが備 る。スイッチSSは、超電導素子2を臨界温度 下に冷却した状態で、オン・オフを切り換 ることによって、対応する超電導素子2を超 電導状態と非超電導状態との間で遷移させる (スイッチングさせる)機能を有する。なお、 明細書においては、超電導素子2が非超電導 状態になる場合をオン状態と称し、超電導状 態が保たれる場合をオフ状態と称することと する。なお、スイッチSSと超電導素子2とは一 体に構成される態様であってもよいし、別体 のものとして設けられる態様であってもよい 。

 係るスイッチングは、対応する超電導素 2の臨界磁場を超える磁場をパルス的に与え ることで行われるのが好適な一例である。こ の場合の超電導素子2の超電導・非超電導状 間の遷移速度は非常に速く、後述するよう 、交流電源の周波数に同期したスイッチン を十分に実現することができる。また、パ ス磁場の印加によって非超電導状態となっ 超電導素子2においては大きなインダクタン が生じて位相が遅れ、電流が流れにくくな 。このことは、後述する超電導電力変換器 おいて、負荷への電流投入がより有効にな れることに寄与する。あるいは、スイッチ グは、臨界磁場を越えるピーク値を有する 場を時間的に周期的に印加することによっ 行われてもよい。

 図1に示す構成を有する半素子1について、 れぞれの超電導素子2を臨界温度以下に冷却 た状態で、図2に示す第1の状態と第2の状態 を周期的に切り替える場合を考える。なお 第1の状態とは、第1超電導素子2Aについては 超電導状態(抵抗ゼロ)を保ちつつも、第2超電 導素子2Bに対しては臨界磁場Hcb以上の磁場を 加して非超電導状態(抵抗R B )とするものであり、第2の状態とは、第2超電 導素子2Bについては超電導状態(抵抗ゼロ)を ちつつも、第1超電導素子2Aに対しては臨界 場Hca以上の磁場を印加して非超電導状態(抵 R A )とするものである。これは、半素子1に備わ 2つのスイッチSSの一方がオン状態にあると には他方がオフ状態となるように、すなわ 2つのスイッチSSのオン状態が排他的とされ ことで実現される。係る周期的な切り替え 行った場合、状態1および状態2のいずれに いても、超電導状態にある超電導素子2には ぼ100%に近い電流が流れ、他方の非超電導状 態の超電導素子2には非常に小さい電流のみ 流れる。

 また、この半素子1に直流電圧を印加し、 一方の超電導素子2(例えば第2超電導素子2B)を 常に超電導状態に保つ一方、他方の超電導素 子2(例えば第1超電導素子2A)には、ピーク値が 臨界磁場を超えるような磁場を時間的に周期 的に印加した場合には、後者の超電導素子2 通過する電力波形は交流となる。このこと 、直流電力の一部分を交流電力に変換して り出せることを示唆している。

  <電力変換器の構成>
 図3は、上述のような半素子1を用いて構成 れる超電導電力変換器10の構成を模式的に示 す図である。

 超電導電力変換器10は、2つの半素子1(こ らをそれぞれ第1の半素子1Xおよび第2の半素 1Yとする)を用いて構成される。なお、説明 便宜上、第2の半素子1Yの2つの超電導素子2 、第1超電導素子2A’および第2超電導素子2B とする。すなわち、第1超電導素子2A’およ 第2超電導素子2B’はそれぞれ、第1の半素子1 Xの第1超電導素子2Aおよび第2超電導素子2Bと 価である。さらにいえば、第2の半素子1Yは それぞれの超電導素子2の一方側を共通端子T ’とし、第1超電導素子2A’の他方端を端子Ta 、第2超電導素子2B’の他方端を端子Tb’と た回路素子である。また、第1の半素子1Xに わる2つのスイッチSSのうち、第1超電導素子2 Aに対応するものをスイッチSS1とし、第2超電 素子2Bに対応するものをスイッチSS2とする 第2の半素子1Yに備わる2つのスイッチSSのう 、第1超電導素子2A’対応するものをスイッ SS4とし、第2超電導素子2B’に対応するもの スイッチSS3とする。

 超電導電力変換器10は、2つの半素子1を反 対称に接続することにより構成されてなる。 具体的に言えば、図3に示すように、第1の半 子1Xの第1超電導素子2Aの側の接続端Taと第2 半素子1Yの第2超電導素子2B’の側の接続端Tb とが接続されるとともに、第1の半素子1Xの 2超電導素子2Bの側の接続端Tbと第2の半素子1 Yの第2超電導素子2A’の側の接続端Ta’とが接 続された構成を有する。前者の接続がなされ る箇所を第1の接続部と称し、後者の接続が される箇所を第2の接続部と称することとす 。

 係る構成の超電導電力変換器10において 、2つの共通端子T、T’の間に、電源電圧を 加するようになっている。さらには、第1の 続部の接続点Pと第2の接続部の接続点Qとの に、負荷(記号Zで表す場合がある)3を接続す るようになっている。

 以上のような構成を有する超電導電力変 器10においては、共通端子T、T’の間に印加 される電源電圧の種類およびスイッチSSにお るスイッチングの仕方によって、種々の態 での電力変換が実現される。以下、順にこ を説明する。

  <第1の実施の形態:直流→交流変換>
 本実施の形態においては、超電導電力変換 10において実現される直流→交流変換、す わち直流電流を入力し、負荷3において交流 流を取り出す態様について説明する。

 図4は、直流電源V1を接続した超電導電力変 器10において直流→交流変換を行う場合の イッチングの様子を示す図である。なお、 示の簡単のため、スイッチSSは省略している 。また、電源電流(全電流)をI 0 、超電導素子2A、2B、2A’、2B’を流れる部分 流をそれぞれi A 、i B 、i A ’、i B ’、負荷3を接続点Pから接続点Qに向けて流れ る部分電流をi Z とし、負荷3の抵抗をR Z とする。図4(a)が、2つの半素子1(1X、1Y)が第1 状態にある場合を示しており、図4(b)が、2つ の半素子1(1X、1Y)が第2の状態にある場合を示 ている。

 半素子1X、1Yが図4(a)に示す第1の状態をと とき、全電流と部分電流との間には次の関 が成り立つ。

  I 0 =i A +i B =i A ’+i B ’=i B +i B ’+i Z     (1)
 また、超電導状態にある第1超電導素子2A、2 A’における電圧降下はゼロであるので、第2 電導素子2B、2B’と、負荷3とにおける電圧 下は等しくなり、次の関係が成り立つ。

  i Z R Z =i B R B =i B ’R B               (2)
 また、第2超電導素子2B、2B’、および負荷3 おける消費電力をそれぞれ、W B 、W B ’、W Z とすると、以下の各式が得られる。

   W B =i B 2 R B                    (3)
   W B ’=i B 2 R B                  (4)
   W z =i z 2 R z                    (5)
 従って、第2超電導素子2Bと負荷3との消費電 力比は、(2)(3)(5)式より、次式のようになる。

   W B /W z =i B 2 R B /i z 2 R z =i B /i z =R z /R B   (6)
 同様に、第2超電導素子2B’と負荷3との消費 電力比は、次式のようになる。

   W B ’/W z =i B ’/i z =R z /R B          (7)
 また、半素子1X、1Yが図4(b)に示す第2の状態 とるときは、次の関係が成り立つ。

  I 0 =i A +i B =i A ’+i B ’=i A +i A ’-i Z     (8)
  -i Z R Z =i A R A =i A ’R A              (9)
さらに、非超電導状態にある第2超電導素子2A 、2A’、および負荷3における消費電力をそれ ぞれ、W A 、W A ’とすると、次式が得られる。

   W A /W z =W A ’/W z =R z /R A           (10)
 ここで、(9)式が成り立つためにはi Z ≦0がみたされることが必要である。これは 第1の状態においては負荷3では接続点Qから 続点Pに向けて電流が流れるのに対して、第2 の状態においては、負荷3では接続点Qから接 点Pに向けて電流が流れることを意味してい る。

 また、(6)(7)(10)式は、R z ≪R A 、R B がみたされれば第2超電導素子2における電力 費が負荷3における電力消費よりも著しく小 さくなることを指し示している。なお、第1 状態および第2の状態ともに、常に並列する2 つの第2超電導素子2が非超電導状態にあるこ になるので、より詳細に言えば、R z ≪R A /2、R B /2がみたされる必要があるが、R A 、R B がR z に対して十分に大きければ、係る要件を実質 的に満たすものといえる。

 例えば、R z /R A =R z /R B =1/1000であれば、第2超電導素子2における電力 消費は、負荷3における電力消費の1/1000とな 。換言すれば、R z ≪R A 、R B がみたされれば、第1の状態および第2の状態 いずれにおいても、超電導状態にある超電 素子2および負荷3に全電流I 0 にほぼ匹敵する電流が流れ、非超電導状態に ある超電導素子2にはほとんど電流が流れな ことになる。

 従って、R z ≪R A 、R B という条件の下で、4つのスイッチSS1~SS4をオ /オフ動作させ、図4(a)に示した状態と図4(b) 示した状態との間の遷移を周期的に行うよ にすることで、負荷3を流れる部分電流i Z は、係るスイッチングの周期と等しい周期を 有し、かつ振幅がI 0 にほぼ等しい交流電流となる。なお、パルス 磁場を印加した場合、非超電導状態となった 超電導素子2においては大きなインダクタン が生じて位相が遅れるので、非超電導状態 なった超電導素子2にはより電流が流れにく なる。

 図5は、係るスイッチングを行った場合の、 超電導電力変換器10における諸特性の変化を 示する図である。具体的には、図5(a)は電源 電流の時間変化を、図5(b)はスイッチSS1、SS4 オン/オフに対応する第1超電導素子2A、2A’ おける抵抗の時間変化を、図5(c)はスイッチS S2、SS3のオン/オフに対応する第2超電導素子2B 、2B’における抵抗の時間変化を、図5(d)は負 荷3に流れる部分電流の時間変化を、それぞ 例示している。ただし、I≒I 0 である。なお、図5においては、時刻0におい スイッチSS1およびSS4がオン状態とされる一 でスイッチSS2、SS3がオフ状態とされること 、第2の状態が実現され、その後、一定周期 で第1の状態と第2の状態とが交互に実現され 場合を例示している。なお、簡単のため、 超電導素子2における抵抗の時間変化は方形 的であるとしている。

 すなわち、上述のようなスイッチングを うことで、電力損失を十分に抑制しつつ、 荷3において所望の周波数の交流電流を与え ることができる。すなわち、高い変換効率に て直流から交流への電力変換が実現される。

 次に、R z ≪R A 、R B という要件をみたす超電導素子2について説 する。超電導素子2の断面積をS、長さをL、 超電導状態における比抵抗をρ、抵抗をRと ると、次式が成り立つ。

   R=(L/S)ρ                 (11)
 すなわち、原理的には、超電導素子2の断面 積Sを小さくし、長さLを長くすれば、いわゆ 形状効果にて、抵抗Rはそれらの関数として いくらでも大きな値を取り得る。従って、超 電導電力変換器10に接続しようとする負荷3に 応じて、R z ≪R A 、R B という要件をみたす超電導素子2を用意する とが可能である。例えば、BSCCO-2223、BSCCO-2212 、YBCO、MgB 2 のような高温超電導材料は、半導体的、絶縁 体的であり比抵抗が大きいことが知られてい るので、これらの材料にて超電導素子2を構 することが好ましい。もちろん、超電導特 の向上その他の目的で、これらの超電導材 に銀、金、銅、アルミニウム、あるいはそ らの合金、またはステンレスなどの常電導 属が付与されていてもよい。

 現実的には、例えば、YBCO coated conductorの うな実用素子を用いた場合に、ρ=30mωcm、S=0. 01cm 2 とすれば、L=1000cmの素子を用いることでR=3kω なるので、十分に大きな抵抗を確保するこ ができる。もちろん、Nb-Ti合金やNb 3 Sn金属間化合物のような低温超電導材料につ ても、(11)式から導かれるいわゆる形状効果 により抵抗を大きくできるので、負荷3の種 や動作環境などによってはこれらの材料を いて超電導素子2を構成する態様であっても い。

 また、負荷3として接続する電力機器とし ては、該負荷3がインピーダンスとなること ら、直流抵抗が低いものが好ましい。なか も、大電流型の制御が必要となる超電導機 が、これにふさわしいといえる。例えば、 電導コイルによる電機子やローターバーに って構成される機器の場合、直流抵抗は現 的には1ω程度である。こうした超電導機器 負荷3として用いた場合、非超電導状態とな た超電導素子2への電流流入および該超電導 素子2における電力消費がより好適に抑制さ る。

 以上、説明したように、本実施の形態に れば、排他的に超電導状態と非超電導状態 が実現される2つの超電導素子が並列接続さ れた2つの半素子を、反対称に接続してなる 電導電力変換器を用いて、電力損失を十分 抑制しつつ、直流から交流への電力変換を 現することができる。

  <第2の実施の形態:交流→直流変換>
 本実施の形態においては、超電導電力変換 10を用いて実現される交流→直流変換、す わち交流電流を入力し、負荷3において直流 流を取り出す態様について説明する。

 図6は、交流電源V2を接続した超電導電力 換器10において交流→直流変換を行う場合 スイッチングの様子を示す図である。図6(a) 、2つの半素子1(1X、1Y)が第1の状態にあり、 つ交流電源V2を印加した際の極性が、共通 子Tの側がプラスで共通端子T’の側がマイナ スである場合を示しており、図6(b)が、2つの 素子1(1X、1Y)が第2の状態にあり、かつ交流 源V2を印加した際の極性が、共通端子Tの側 マイナスで共通端子T’の側がプラスである 合を示している。なお、図示の簡単のため 電力消費に寄与することのない、超電導状 にある超電導素子2(図6(a)の場合は第1超電導 素子2A、2A’、図6(b)の場合は第2超電導素子2B 2B’)とスイッチSSとについては省略してい 。

 図6(a)に示す場合においては、共通端子Tお び共通端子T’における極性が、直流電源V1 印加した第1の実施の形態と同じであり、し も、半素子1X、1Yが第1の状態となっている で、図4(a)に示したときと同様に、R z ≪R A 、R B という条件をみたせば、共通端子Tから共通 子T’に向けて電流が流れる途中で、負荷3に は、接続点Pから接続点Qに向かう電流が流れ 。

 これに対し、共通端子TおよびT’におけ 極性が、図6(a)に示す場合と反転している場 においては、共通端子T’から共通端子Tに けて電流が流れることになるが、このとき 、図6(b)に示すように半素子1X、1Yを第2の状 とすれば、図6(a)に示す場合と同様に、負荷3 には接続点Pから接続点Qに向かう電流が流れ ことになる。

 以上のことを利用すると、R z ≪R A 、R B という条件のもとで、交流電源V2の極性変化 合わせて4つのスイッチSS1~SS4をオン/オフ動 させ、図6(a)に示した状態と図6(b)に示した 態との間のスイッチングを周期的に行うよ にすることで、負荷3を流れる部分電流i Z は、常に一定の方向に流れ、大きさが電源電 流の振幅にほぼ等しい直流電流となる。なお 、この場合において、非超電導状態にある超 電導素子2における電力消費が負荷3における 力消費に比して十分に小さいことは、第1の 実施の形態と同様であることは明らかである 。

 図7は、係るスイッチングを行った場合の、 超電導電力変換器10における諸特性の変化を 示する図である。具体的には、図7(a)は電源 電流の時間変化を、図7(b)はスイッチSS1、SS4 オン/オフに対応する第1超電導素子2A、2A’ おける抵抗の時間変化を、図7(c)スイッチSS2 SS3のオン/オフに対応する第2超電導素子2B、 2B’における抵抗の時間変化を、図7(d)は負荷 3に流れる部分電流の時間変化を、それぞれ 示している。ただし、簡単のため、電源電 は振幅I 0 の方形波であるとする。また、I≒I 0 である。なお、図7においては、時刻0におい スイッチSS1およびSS4がオン状態とされる一 でスイッチSS2、SS3がオフ状態とされること 、第2の状態が実現され、その後、一定周期 で第1の状態と第2の状態とが交互に実現され 場合を例示している。

 上述のようなスイッチングを行うことで 電力損失を十分に抑制しつつ、負荷3におい て所望の周波数の直流電流を取り出すことが できる。すなわち、高い変換効率にて交流か ら直流への電力変換が実現される。

 以上、説明したように、本実施の形態に れば、排他的に超電導状態と非超電導状態 が実現される2つの超電導素子が並列接続さ れた2つの半素子を、反対称に接続してなる 電導電力変換器を用いて、電力損失を十分 抑制しつつ、交流から直流への電力変換を 現することができる。

  <第3の実施の形態:位相変換>
 本実施の形態においては、超電導電力変換 10を用いて実現される位相変換、すなわち 流電流を入力し、負荷3において異なる位相 交流電流を取り出す態様について説明する

 図8は、交流電源V2を接続した超電導電力 換器10において交流電流の位相変換を行う 合のスイッチングの様子を示す図である。 8(a)は、半素子1X、1Yが第1の状態にあり、か 交流電源V2を印加した際の極性が、共通端子 Tの側がプラスで共通端子T’の側がマイナス ある場合を示している。図8(b)は、半素子1X 1Yが第2の状態にあり、かつ交流電源V2を印 した際の極性が、共通端子Tの側がプラスで 通端子T’の側がマイナスである場合を示し ている。図8(c)は、半素子1X、1Yが第1の状態に あり、かつ交流電源V2を印加した際の極性が 共通端子Tの側がマイナスで共通端子T’の がプラスである場合を示している。図8(d)は 半素子1X、1Yが第2の状態にあり、かつ交流 源V2を印加した際の極性が、共通端子Tの側 マイナスで共通端子T’の側がプラスである 合を示している。なお、図示の簡単のため 図8においても、電力消費に寄与することの ない、超電導状態にある超電導素子2と、ス ッチSSとについては省略している。

 R z ≪R A 、R B という条件をみたすとき、図8(a)に示す場合 よび図8(d)に示す場合においては、負荷3には 接続点Pから接続点Qに向かう電流が流れる。 8(b)に示す場合および図8(c)に示す場合にお ては、負荷3には接続点Qから接続点Pに向か 電流が流れる。この場合において、図8(a)、 8(b)、図8(c)、および図8(d)に示す状態をこの に繰り返すと、超電導素子2の超電導状態と 非超電導状態との間のスイッチングは次の状 態に遷移するたびに行われるが、電源電流の 向きが変わるのは図8(b)から図8(c)へ状態が遷 する場合と図8(d)から図8(a)へ状態が遷移す 場合に限られ、負荷3に流れる電流の向きが わるのは、図8(a)から図8(b)へ状態が遷移す 場合と図8(c)から図8(d)へ状態が遷移する場合 に限られる。

 以上のことを利用すると、R z ≪R A 、R B という条件のもとで、交流電源V2の周波数の2 倍の周波数にて第1の状態と第2の状態とが切 替わるように、4つのスイッチSS1~SS4をオン/ フ動作させ、図8(a)~(d)に示す各状態間の遷 を行うようにすることで、負荷3には、電源 流と同じ周波数で振幅もほぼ同じであるも の、位相がπ/2だけずれた部分電流が流れる ようになる。なお、この場合においても、非 超電導状態にある超電導素子2における電力 費が負荷3における電力消費に比して十分に さいことは明らかである。

 図9は、係るスイッチングを行った場合の、 超電導電力変換器10における諸特性の変化を 示する図である。具体的には、図9(a)は電源 電流の時間変化を、図9(b)はスイッチSS1、SS4 オン/オフに対応する第1超電導素子2A、2A’ おける抵抗の時間変化を、図9(c)スイッチSS2 SS3のオン/オフに対応する第2超電導素子2B、 2B’における抵抗の時間変化を、図9(d)は負荷 3に流れる部分電流の時間変化を、それぞれ 示する図である。ただし、簡単のため、電 電流は振幅I 0 の方形波であるとする。また、I≒I 0 である。なお、図9においては、時刻0におい スイッチSS1およびSS4がオン状態とされる一 でスイッチSS2、SS3がオフ状態とされること 、第2の状態が実現され、その後、一定周期 で第1の状態と第2の状態とが交互に実現され 場合を例示している。

 なお、上述のように各超電導素子2のオン /オフの時間が交流電流の周期のちょうど1/2 つである場合には、位相がπ/2だけずれるこ になるが、第1超電導素子2A、2A’と第2超電 素子2B、2B’の一方のオン状態の時間が交流 電流の周期のちょうど1/n(nは2のべき乗)ずつ ある場合には、π/nだけ位相がずれることに る。

 上述のようなスイッチングを行うことで 電力損失を十分に抑制しつつ、負荷3におい て電源電流とほぼ位相のみが異なる電流を取 り出すことができる。すなわち、高い変換効 率にて交流電流の位相変換が実現される。

 以上、説明したように、本実施の形態に れば、排他的に超電導状態と非超電導状態 が実現される2つの超電導素子が並列接続さ れた2つの半素子を、反対称に接続してなる 電導電力変換器を用いて、電力損失を十分 抑制しつつ、交流電流の位相変換を実現す ことができる。

  <第4の実施の形態:周波数変換>
 本実施の形態においては、超電導電力変換 10を用いて実現される周波数変換、すなわ 交流電流を入力し、負荷3において異なる周 数の交流電流を取り出す態様について説明 る。

 図10は、交流電源V2を接続した超電導電力 変換器10において交流電流の周波数変換を行 場合のスイッチングの様子を示す図である 図10(a)は、半素子1X、1Yが第1の状態にあり、 かつ交流電源V2を印加した際の極性が、共通 子Tの側がプラスで共通端子T’の側がマイ スである場合を示している。図10(b)は、半素 子1X、1Yが第1の状態にあり、かつ交流電源V2 印加した際の極性が、共通端子Tの側がマイ スで共通端子T’の側がプラスである場合を 示している。図10(c)は、半素子1X、1Yが第2の 態にあり、かつ交流電源V2を印加した際の極 性が、共通端子Tの側がプラスで共通端子T’ 側がマイナスである場合を示している。図1 0(d)は、半素子1X、1Yが第2の状態にあり、かつ 交流電源V2を印加した際の極性が、共通端子T の側がマイナスで共通端子T’の側がプラス ある場合を示している。なお、図示の簡単 ため、図10においても、電力消費に寄与する ことのない、超電導状態にある超電導素子2 、スイッチSSとについては省略している。

 R z ≪R A 、R B という条件をみたすとき、図10(a)に示す場合 よび図10(d)に示す場合においては、負荷3に 接続点Pから接続点Qに向かう電流が流れる 図10(b)に示す場合および図10(c)に示す場合に いては、負荷3には接続点Qから接続点Pに向 う電流が流れる。この場合において、図10(a )、図10(b)、図10(c)、および図10(d)に示す状態 この順に繰り返すと、電源電流の向きは次 状態に遷移するたびに変化するが、超電導 子2の超電導状態と非超電導状態との間のス ッチングは図10(b)から図10(c)へ状態が遷移す る場合と図10(d)から図10(a)へ状態が遷移する 合に限られ、負荷3に流れる電流の向きが変 るのは、図10(a)から図10(b)へ状態が遷移する 場合と図10(c)から図10(d)へ状態が遷移する場 に限られる。

 以上のことを利用すると、R z ≪R A 、R B という条件のもとで、交流電源V2の周波数の2 倍の周期(1/2の周波数)にて第1の状態と第2の 態とが切り替わるように、4つのスイッチSS1~ SS4をオン/オフ動作させ、図10(a)~(d)に示す各 態間の遷移を行うようにすることで、負荷3 は、電源電流と振幅はほぼ同じであるが、 波数が電源電流の1/2の(周期が2倍の)部分電 が流れるようになる。なお、この場合にお ても、非超電導状態にある超電導素子2にお ける電力消費が負荷3における電力消費に比 て十分に小さいことは明らかである。

 図11は、係るスイッチングを行った場合の 超電導電力変換器10における諸特性の変化を 例示する図である。具体的には、図11(a)は電 電流の時間変化を、図11(b)はスイッチSS1、SS 4のオン/オフに対応する第1超電導素子2A、2A における抵抗の時間変化を、図11(c)スイッチ SS2、SS3のオン/オフに対応する第2超電導素子2 B、2B’における抵抗の時間変化を、図11(d)は 荷3に流れる部分電流の時間変化を、それぞ れ例示する図である。ただし、簡単のため、 電源電流は振幅I 0 の方形波であるとする。また、I≒I 0 である。なお、図11においては、時刻0におい てスイッチSS1およびSS4がオン状態とされる一 方でスイッチSS2、SS3がオフ状態とされること で、第2の状態が実現され、その後、一定周 で第1の状態と第2の状態とのいずれかが実現 される場合を例示している。

 なお、上述のように負荷3に流れる電流の 周期が電源電流の2倍となるスイッチングの 様は、電源電流の極性の反転に応じて各超 導素子2のオン/オフのセットおよびオフ/オ のセットが交互に繰り返される(オン→オフ オフ→オンと変化する)ものと捉えることも できる。オン/オフのセットおよびオフ/オン セットがn回(nは自然数)ずつ繰り返される場 合には、負荷3を流れる電流の周波数は電源 流の2n倍だけ周期が大きくなることになる。

  ゆえに、上述のようなスイッチングを うことで、電力損失を十分に抑制しつつ、 荷3において、電源電流と振幅はほぼ同じで るものの周波数が異なる電流を取り出すこ ができる。すなわち、高い変換効率にて交 電流の周波数変換が実現される。

 以上、説明したように、本実施の形態に れば、排他的に超電導状態と非超電導状態 が実現される2つの超電導素子が並列接続さ れた2つの半素子を、反対称に接続してなる 電導電力変換器を用いて、電力損失を十分 抑制しつつ、交流電流の周波数変換を実現 ることができる。

  <半素子の概念の拡張>
 上述の各実施の形態においては、2個の超電 導素子2を並列させた半素子1を用いて超電導 力変換器10を構成する場合について説明し が、さらに多くの超電導素子を並列させて 素子を構成し、係る半素子を用いて構成さ た装置により、さらに高度な電力変換を実 する態様であってもよい。

 図12は、それぞれに3個の超電導素子2を並 列させた2つの半素子101(第1の半素子101X、第2 半素子101Y)を負荷3に接続した状態を示す概 図である。なお、半素子101もそれぞれの超 導素子2に対応させて該超電導素子2を超電 状態と非超電導状態との間で遷移させるス ッチSSを備えるが、図12においては図示を省 している。

 より詳細には、図12は、負荷3が3つの接続 端子u、v、wを備えており、接続端子uに第1の 素子101Xの超電導素子2Aと第2の半素子101Yの 電導素子2Eとが接続され、接続端子vに第1の 素子101Xの超電導素子2Bと第2の半素子101Yの 電導素子2Fとが接続され、接続端子wに第1の 素子101Xの超電導素子2Cと第2の半素子101Yの 電導素子2Gとが接続されることを意味してい る。

 このようにして2つの半素子101と負荷3と 接続される場合には、第1の半素子101Xに備わ る3つの超電導素子2(2A、2B、2C)のうち、少な とも1つが超電導状態となり、残りの超電導 子2のうち少なくとも1つが非超電導状態と るように、かつ、第2の半素子101Yに備わる3 の超電導素子2(2E、2F、2G)のうち、少なくと 1つが超電導状態となり、残りの超電導素子2 のうち少なくとも1つが非超電導状態となる うに、さらには、短絡を防止するため、負 3の同一の接続端子に接続される超電導素子2 の少なくとも一方が非超電導状態となるよう に、換言すれば同時に超電導状態とならない ように、という要件をみたす限りにおいて、 各スイッチSSによるスイッチングのタイミン を適宜に定めることで、負荷3を通る電流経 路を自由に制御することができる。すなわち 、共通端子T、T’の間に印加される電源電圧 種類およびスイッチSSにおけるスイッチン の仕方によって、種々の態様での電力変換 実現される。

 なお、図示は省略するが、さらに多くの 電導素子2を並列に接続させた半素子を用い ても、同様のことが成り立つ。

  <第5の実施の形態:直流→三相交流変換&g t;
 本実施の形態においては、上述のような半 子101を備える装置によって実現される直流 三相交流変換、すなわち直流電流を入力し 負荷3において互いに位相が2π/3ずつ異なる 相交流電流を取り出す態様について説明す 。

 図13は、係る電力変換を実現する超電導 力変換器110の構成を模式的に示す図である 超電導電力変換器110は、第1の半素子101Xと第 2の半素子101Yとから構成される。第1の半素子 101Xは、2つの超電導素子2(21、22、23)を並列に 続してなる構成を有するとともに、それぞ の超電導素子21、22、23に対応させて、スイ チSS11、SS12、SS13を備える。第2の半素子101Y 、2つの超電導素子2(24、25、26)を並列に接続 てなる構成を有するとともに、それぞれの 電導素子24、25、26に対応させて、スイッチS S14、SS15、SS16を備える。なお、それぞれの超 導素子2を記号Sで表す場合がある。

 より詳細には、超電導素子21と超電導素 24とが接続されるとともに、該接続の途中の 接続点Kにおいて負荷3の接続端子uが接続され ている。また、超電導素子22と超電導素子25 が接続されるとともに、該接続の途中の接 点Lにおいて負荷3の接続端子vが接続されて る。さらに、超電導素子23と超電導素子26と 接続されるとともに、該接続の途中の接続 Mにおいて負荷3の接続端子wが接続されてい 。また、2つの共通端子T、T’の間に、電源 圧を印加するようになっている。

 また、説明の簡単のため、6個の超電導素子 2の非超電導状態における有限抵抗値が全てR あるとすると、本実施の形態に係る超電導 力変換器110においても、第1の実施の形態に 係る超電導電力変換器10と同様に、R z ≪Rが成り立つように、負荷3が接続される。

 図14は、R z ≪Rという条件の下で、超電導電力変換器110 直流電源V1を印加し、負荷3において三相交 を取り出す場合の諸特性の変化を例示する である。具体的には、図14(a)は電源電流の時 間変化を、図14(b-1)~(b-3)はそれぞれ、第1の半 子101XにおけるスイッチSS11~SS13のオン/オフ 対応する超電導素子21~23の抵抗の時間変化を 、図14(c-1)~(c-3)はそれぞれ、第1の半素子101Yに おけるスイッチSS14~SS16のオン/オフに対応す 超電導素子24~26の抵抗の時間変化を、図14(d-1 )~(d-3)はそれぞれ、負荷3の接続端子uから接続 端子vに流れる電流I uv 、接続端子vから接続端子wに流れる電流I vw 、接続端子wから接続端子uに流れる電流I wu の時間変化を例示する図である。簡単のため 、各超電導素子2における抵抗の時間変化は 形的であるとしている。また、R z ≪Rであるので、図14(d-1)~(d-3)においてI≒I 0 /2である。

 図14(b-1)~(b-3)および図14(c-1)~(c-3)は、2つの半 子101において、その一方に備わる3つの超電 導素子2のうちの1つが超電導状態であって他 2つが超電導素子2が非超電導状態であり、 方に備わる3つの超電導素子2のうちの2つが 電導状態であって他の1つが超電導素子2が非 超電導状態である、という場合が、交互に繰 り返されるように、超電導・非超電導遷移が 行われることを示している。また、図14(d-1)~( d-3)は、このようにスイッチSS11~SS16のスイッ ングを行うことで、負荷3の各接続端子間を れる電流I uv 、電流I vw 、電流I wu が、互いに位相が2π/3ずつずれた交流電流と ることを示している。これは、直流電圧が 加された超電導電力変換器110に接続された 荷3において、三相交流電流を取り出せるこ とを意味している。この場合、R z ≪Rであることから非超電導状態にある超電 素子2にはほとんど電流が流れないので、係 超電導素子2における電力消費もほとんど生 じない。従って、負荷3においては電源から 入された電力のほとんどを取り出すことが 能となる。

 ゆえに、上述のようなスイッチングを行 ことで、電力損失を十分に抑制しつつ、負 3において所望の周波数の三相交流電流を取 り出すことができる。すなわち、高い変換効 率にて直流から三相交流への電力変換が実現 される。なお、この場合の交流電流の周波数 は、各超電導素子2におけるスイッチングの イミングを調整することで、任意に設定す ことができる。

 以上、説明したように、本実施の形態に れば、それぞれに3つの超電導素子が並列接 続された2つの半素子を接続してなる超電導 力変換器を用いて、電力損失を十分に抑制 つつ、直流から三相交流への電力変換を実 することができる。

  <変形例>
 スイッチSSによる超電導素子2における超電 状態から非超電導状態への遷移、あるいは 向きの遷移を実現させるための態様として 、上述した外部から磁場を印加を行うほか 、いくつかの物理現象を応用することが可 である。その一つとして、不可逆磁界を境 量子化磁束が等速運動を行うことで電圧が 生する現象を利用することが可能である。 た、粒界弱結合の磁場による超電導・非超 導遷移を利用する態様であってもよい。

 あるいは、所望される電力変換の種類に じた遷移応答性が確保される限りにおいて 磁場印加角度、電圧、温度、電流、光など 外部条件を変えることにより、超電導状態 ら非超電導状態への遷移、あるいは逆向き 遷移を実現させる態様であってもよい。な 、温度によるスイッチは、例えば、熱転写 ータなどの技術を転用することで実現可能 ある。具体的には、超電導素子2を所定の基 板上に薄膜素子として形成するとともに、該 基板の裏面に例えば銀などの熱伝導性の優れ た伝熱部材を接触させ、該伝熱部材を通じて 薄膜素子の温度を制御するといった対応で、 所望される周波数での超電導・非超電導遷移 が十分に可能である。

 非超電導状態における超電導素子の有限 抗は、超電導素子の構成材料に添加された 電導金属の抵抗に由来するものであっても い。あるいは、複数の抵抗発現メカニズム 組み合わせによって、非超電導状態におけ 超電導素子の有限抵抗が実現される態様で ってもよい。

 非超電導状態における超電導素子の有限 抗が負荷の抵抗よりも十分に大きい(負荷の インダクタンスが大きくなる)ことを利用し 負荷として接続された電力機器への電力供 の位相を変換する(ずらせる)態様であっても よい。係る態様は、複数相の位相をずらせる 必要がある場合にメリットがある。

 なお、上述の実施の形態においては、半素 1Xと半素子1Yとが等価である場合を前提とし て説明しているが、対応する超電導素子2同 の非超電導状態における抵抗が異なる場合 具体的には、R A ≠R A ’あるいはR B ≠R B ’である場合であっても、R Z ≪R A 、R A ’、R B 、R B ’が満たされる限りにおいては、超電導電力 変換器10はその作用効果を奏する。半素子101X と半素子101Yとを構成する各超電導素子2の抵 が異なる場合についても同様である。

 第2の実施の形態で示した交流→直流変換 と第1の実施の形態にて示した直流→交流変 とを組み合わせることで、任意の周波数の 流電力を任意の周波数の交流電力へと変換 ることが可能である。具体的には、超電導 力変換器10に、別の超電導電力変換器10を負 として接続し、前者において第2の実施の形 態に従って交流→直流変換を行い、後者にお いて第1の実施の形態に従い所望する周波数 の直流→交流変換を行うようにすればよい

 また、超電導電力変換器の構成は、上述 ものに限られず、原理的特性の維持・向上 種々の機能付加といった目的のために、さ なる回路要素が付加される態様であっても い。例えば、図15は、上述の実施の形態に る超電導電力変換器10に4つの半導体ダイオ ド(帰還ダイオード)4を組み込んだ超電導電 変換器20を例示する図である。超電導・非超 電導間の遷移には時間遅れが生じるので、理 論通りの変換に擾乱が起こり得る。超電導電 力変換器20は、半導体ダイオード4を備えるこ とにより、この過渡現象を解決するようにし たものである。また、負荷3が誘導性の負荷 ある場合、インダクタンスのために出力電 の応答に遅延が生じる。半導体ダイオード4 、係る場合の出力電流の流れを確保し、電 に帰還させるという機能も有する。また、 16は、超電導電力変換器110に同様の目的で6 の半導体ダイオード(帰還ダイオード)4を組 込んだ超電導電力変換器120を例示する図で る。

 さらに、図17は、より多くの半素子1を用 て構成される電気回路網30を例示する図で る。電気回路網30は、それぞれに負荷3が接 されてなるとともに互いに並列に接続され 2つの超電導電力変換器10と、両者の間に接 されたさらにもう1つの負荷3とが、全体とし て、電気回路網30の両端の半素子1X、1Yから構 成される超電導電力変換器10の負荷となった のと捉えることができる。換言すれば、複 の超電導電力変換器10が入れ子構造になっ ものということができる。この場合も、個 の半素子1は必ず反対称に配置されている。 なわち、半素子を反対称に配置し、両者の に負荷を接続するという構成を取る限りに いては、図18に示すような、あるいはさら 複雑な電気回路網において、多段階に電力 換を行うことができる。

 1、1X、1Y、101、101X、101Y 半素子
 2、2A、2B、2A’、2B’、2C、2E、2F、2G21~26 超 導素子
 3 負荷
 4 半導体ダイオード
 10、20 超電導電力変換器
 30 電気回路網
 P 接続点
 Q 接続点
 SS、SS1~SS4、SS11~SS16 スイッチ
 T、T’ 共通端子
 V1 直流電源
 V2 交流電源