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Title:
SUPERCONDUCTOR COMPRISING LAMELLAR COMPOUND AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119216
Kind Code:
A1
Abstract:
A superconductor which comprises a new compound composition substituting for perovskite copper oxides. The superconductor is characterized by comprising a compound which is represented by the chemical formula A(TM)2Pn2 [wherein A is at least one member selected from the elements in Group 1, the elements in Group 2, or the elements in Group 3 (Sc, Y, and the rare-earth metal elements); TM is at least one member selected from the transition metal elements Fe, Ru, Os, Ni, Pd, or Pt; and Pn is at least one member selected from the elements in Group 15 (pnicogen elements)] and which has an infinite-layer crystal structure comprising (TM)Pn layers alternating with metal layers of the element (A).

Inventors:
HOSONO HIDEO (JP)
YANAGI HIROSHI (JP)
KAMIYA TOSHIO (JP)
MATSUISHI SATORU (JP)
KIM SUNGWNG (JP)
YOON SEOK GYU (JP)
HIRAMATSU HIDENORI (JP)
HIRANO MASAHIRO (JP)
KAMIHARA YOICHI (JP)
NOMURA TAKATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053062
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
February 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN SCIENCE & TECH AGENCY (JP)
HOSONO HIDEO (JP)
YANAGI HIROSHI (JP)
KAMIYA TOSHIO (JP)
MATSUISHI SATORU (JP)
KIM SUNGWNG (JP)
YOON SEOK GYU (JP)
HIRAMATSU HIDENORI (JP)
HIRANO MASAHIRO (JP)
KAMIHARA YOICHI (JP)
NOMURA TAKATOSHI (JP)
International Classes:
C01B25/08; C01G1/00; H01B12/00; H01B13/00; H01L39/24
Foreign References:
JP2007320829A2007-12-13
Other References:
JEITSCHKO, W. ET AL.: "Superconducting LaRu2P2 and other alkaline earth and rare earth metal ruthenium and osmium phosphides and arsenides with ThCr2Si2 structure", J. SOLID STATE CHEM., vol. 69, no. 1, 1987, pages 93 - 100
HIROSHI YANAGI ET AL.: "P-6-7 Mugenso Kozo o Yusuru Shinki Cho Dendotai BaNi2P2", 23 February 2008 (2008-02-23), Retrieved from the Internet [retrieved on 20090511]
HIROSHI YANAGI ET AL.: "ThCr2Si2-gata Ni-kei Cho Dendotai BaNi2P2 no Denki · Jiki Tokusei", 2008 NEN (HEISEI 20 NEN) SHUNKI 55 KAI EXTENDED ABSTRACTS, JAPAN SOCIETY OF APPLIED PHYSICS AND RELATED SOCIETIES, vol. 1, 27 March 2008 (2008-03-27), pages 288
Attorney, Agent or Firm:
NISHI, YOSHIYUKI (JP)
West Yoshiyuki (JP)
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Claims:
 化学式A(TM) 2 Pn 2 [ただし、Aは、長周期型周期表の1族、2族又は3族(Sc,Y、及び希土類金属)元素の少なくとも1種、TMは、Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Ptの遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種、Pnは、15族元素(プニコゲン元素)から選ばれる少なくとも1種である。]で表され、(TM)Pn層とA元素からなる金属層とが交互に重なる無限層結晶構造を有する化合物からなることを特徴とする超伝導体。
 化学式A(TM) 2 Pn 2 において、Aは、長周期型周期表の1族、2族又は3族のいずれか一族の元素の少なくとも1種と、該一族と異なる族の元素の少なくとも1種の組み合わせであり、該組み合わせによって電子又はホールを無限層結晶構造の伝導層である(TM)Pnにドープしたことを特徴とする請求項1に記載の超伝導体。
 化学式A(TM) 2 Pn 2 において、Aは、長周期型周期表の1族、2族又は3族のいずれか一族の元素の少なくとも2種の組み合わせであり、該組み合わせによって電子又はホールを無限層結晶構造の伝導層である(TM)Pnに、ドープしたことを特徴とする請求項1に記載の超伝導体。
 化学式A(TM) 2 Pn 2 において、Aは、Ba、TMは、Fe又はNi、Pnは、P又はAsであることを特徴とする請求項1に記載の超伝導体。 
 化学式A(TM) 2 Pn 2 で表される化合物相を重量分率で85%以上含有する焼結体からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の超伝導体。
 原料混合粉末を真空中又は不活性ガス雰囲気中で、700~1200℃で焼結することを特徴とする請求項5に記載の超伝導体の製造方法。
Description:
層状化合物からなる超伝導体及 その製造方法

 本発明は、遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Ptの なくとも1種)を骨格構造に有する層状化合 からなる超伝導体及びその製造方法に関す 。

 高温超電導体(ペロブスカイト型銅酸化物) 発見されて以来、室温超伝導体を目指した 料の研究開発が活発に行われ、超伝導転移 度(Tc)が100Kを超える超伝導化合物が見出され た。

 ペロブスカイト型銅酸化物の超伝導発現機 についても理解が進んでいる(例えば、非特 許文献1、2)。また、銅以外の遷移金属イオン を含む化合物、又は新規化合物として、Sr 2 RuO 4 (Tc=0.93K)(非特許文献3)、二ホウ化マグネシウ (Tc=39K)(非特許文献4、特許文献1)、Na 0.3 CoO 2 ・1.3H 2 O(Tc=5K)(非特許文献5、特許文献2,3)などが新た 見出された。

 伝導帯バンド幅に比べて、伝導電子間の 互作用が大きな強相関電子系化合物は、d電 子の数が特定の値の場合に、高い超伝導転移 温度を有する超伝導体となる可能性が高いこ とが知られている。強相関電子系は、遷移金 属イオンを骨格構造に有する層状化合物で実 現されている。こうした層状化合物の多くは 、電気伝導性はモット絶縁体で、電子のスピ ン同士には、反平行に配列しようとする反強 磁性相互作用が作用している。

 しかし、例えば、ペロブスカイト型銅酸化 であるLa 2 CuO 4 では、La 3+ イオンサイトにSr 2+ イオンを添加したLa 2-x Sr x CuO 4 において、xの値が0.05から0.28の範囲では、金 属伝導を示す遍歴電子状態となり、低温で超 伝導体状態が観測され、x=0.15で最高のTc=40Kが 得られている(非特許文献6)。

 超伝導転移温度Tc=110Kの(Sr 1-x Ca x ) 1-y CuO 2+z 超伝導体が1992年に発見された(非特許文献7) この超伝導体は、Cu-O 2 面と(Sr/Ca)層から成るいわゆる『無限層構造 と呼ばれる単純な結晶構造を有している。 の超伝導体は超高圧ではじめて合成された 、現在では、常圧でも合成することができ 。しかし、酸素欠損を制御するために、高 合成が有利である。

 最近、本発明者らは、Feを主成分とする新 い強電子相関化合物、LaOFeP及びLaOFeAsが超電 体であることを見出し、特許出願した(特許 文献4)。強電子相関系では、d電子の数が特定 の値のとき、金属伝導を示す遍歴電子状態と なり、温度を低温にすると、ある特定温度( 伝導転移温度:Tc)以下で、超伝導状態へ転移 る。さらに、この超伝導体の転移温度は伝 キャリアの数によって5Kから40Kまで変化す 。また、Hg、Ge 3 Nbなどの旧来の超電導体が、結晶格子の熱揺 ぎ(格子振動)に基づく電子対(クーパー対)が 、超伝導発生機構(BCS機構)とされているのに して、強電子相関系での超伝導は、電子ス ンの熱揺らぎに基づく電子対が、超伝導発 機構とされている。 

津田惟雄、那須奎一郎、藤森敦、白鳥紀 一 改訂版「電気伝導性酸化物」,pp.350~452,裳 房,(1993) 前川禎通,応用物理,Vol.75,No.1,pp.17-25,(2006) Y.Maeno,H.Hashimoto,K.Yoshida,S.Nishizaki,T.Fujita,J.G .Bednorz,F.Lichenberg,Nature,372,pp.532-534,(1994) J.Nagamatsu,N.Nakagawa,T.Muranaka,Y.Zenitani,J.Akimits u,Nature,410,pp.63-64,(2001) K.Takada,H.Sakurai,E.Takayama-Muromachi,F.Izumi,R.A.Di lanian,T.Sasaki,Nature,422,pp.53-55,(2003) J.B.Torrance et al.,Phys.Rev.,B40,pp.8872-8877,(1989 ) M.Azuma et al.,Nature,356,(1992),775

特開2002-211916号公報

特開2004-262675号公報

特開2005-350331号公報

特開2007-320829号公報

 超伝導技術の応用を飛躍的に広げるため 、室温超伝導体の発見が強く望まれている 層状ペロブスカイト型銅酸化物において、T cが100Kを超える高温超伝導体が見出されてい が、まだ、室温超伝導体は見出されていな 。室温超伝導体を開発するための一つの方 は、ペロブスカイト型銅酸化物に代わる遷 金属元素を骨格構造に有する新しい層状化 物群を見出し、電子濃度、格子定数などの 質パラメータを、Tcの高温化に対して最適 し、それを実現する化合物組成を発見する とである。また、近年では、He循環方式での 冷凍技術が進歩してきているため、大きな超 伝導電流が得られる、臨界磁場が大きい、線 材化が容易であるなどの特徴を有する材料で あれば、小型の磁石、モーターなどで超伝導 体を実用することができる。

 本発明者らは、先に、強電子相関化合物 あるLn(TM)OPn化合物[Lnは、Y及び希土類金属元 素(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm、Yb,Lu)の少なく とも一種であり、TMは,遷移金属元素(Fe,Ru,Os,Ni ,Pd,Pt)の少なくとも一種であり、Pnは、プニコ ゲン元素(N,P,As,Sb)の少なくとも一種である。] からなる超伝導体を見出し、特許出願した( 願2008-35977)。 

 本発明者らは、さらに、化学式A(TM) 2 Pn 2 で示される層状化合物において、超伝導体を 実現した。A元素は、電荷の制約がなく、長 期型周期表の1族、2族又は3族(Sc,Y、及び希土 類金属)元素の少なくとも1種から選ばれる。T Mは、Fe,Ru,Os,Ni,Pd,Ptの遷移金属元素から選ばれ る少なくとも1種、Pnは、長周期型周期表の15 元素(プニコゲン元素)の少なくとも1種であ 。

 本発明の超伝導体を構成する化合物は、( TM)Pn層とA元素からなる金属結合からなる層が 、交互に積層された構造を有している。(TM)Pn 層では、TM元素とPn元素が共有結合しており 電子は自由に元素間を動きまわり、金属的 電気伝導性を有する。また、電気伝導又は 伝導に寄与する電子は、(TM)Pn層内に2次元的 閉じ込められている。Cu酸化物超伝導体で 、こうした構造を有する化合物は、「無限 結晶構造化合物」と呼ばれている。

 化学式A(TM) 2 Pn 2 において、Aを、長周期型周期表の1族、2族又 は3族のいずれか一族の元素の少なくとも1種 、該一族と異なる族の少なくとも1種の元素 の組み合わせとすることにより電子又はホー ルを伝導層の(TM)Pnにドープすることができる 。

 さらに、化学式A(TM) 2 Pn 2 において、Aを、長周期型周期表の1族、2族又 は3族のいずれか一族の元素の少なくとも2種 組み合わせとすることにより、電気陰性度 違いにより、A層内に、余分の電子又はホー ルが発生し、該電子又はホールは、(TM)Pn層に 移動し、その結果、伝導層の(TM)Pnに、電子又 はホールをドープすることができる。

 A(TM) 2 Pn 2 の結晶中には、Ln(TM)OPnの結晶構造にも含まれ 、超伝導発現に重要な寄与をする金属的な電 気伝導を示す(TM)Pn層を有している。該(TM)Pn層 はTMにPnが四配位し歪んだ四面体構造を有し おり、該TM-Pn 4 四面体が稜を共有して連なることにより(TM)Pn 層が構成されている。A元素の種類又は2種以 の元素の組み合わせを適切に選択すること より、該(TM)Pn層の電荷や層間の距離、層内 TM-TM距離、TM-Pn 4 四面体の歪みを制御することができる。これ らの変化は、(TM)Pn層の電子状態に影響を及ぼ し、結果として超伝導状態に影響を及ぼす。              

 超伝導状態は、(TM)Pn層のd電子間の磁気相 互作用が適度の大きさのときに実現する。該 磁気相互作用が大きすぎると、磁気整列状態 が実現し、超伝導状態は実現しない。また、 該磁気相互作用が小さすぎると、低温まで常 伝導状態が維持され、超伝導状態は実現しな い。該磁気相互作用は、TM元素の磁気モーメ ト、電子の数、TM元素とPn元素間の共有結合 度の度合い、TM元素間の磁気相互作用の大き と符合、該元素間の距離などで、決められ 。

 本発明の超伝導体は、原料混合粉末を真空 又は不活性ガス雰囲気中で、700~1200℃で焼 し、化学式A(TM) 2 Pn 2 で表される化合物相を重量分率で85%以上含有 する焼結体を製造する等の方法で製造するこ とができる。

 本発明は、公知の超伝導体と異なり、遷 金属元素を含むプニクタイドからなる新し 系の超伝導体を提供する。この超伝導体は A元素からなる層が金属から構成されるため に、金属的な機械特性を有し、線材化が容易 である。

本発明の超伝導体を構成する化合物(b) Ln(TM)OPn化合物(a)の結晶構造のモデル図であ 。 実施例1で得られた焼結体のX線回折パ ーンである。 実施例1で得られた焼結体の電気抵抗の 温度変化を示すグラフである。 実施例1で得られた焼結体の帯磁率の温 度変化及び磁気モーメントの磁場依存性を示 すグラフである。

 図1(b)に、本発明の超伝導体のA(TM) 2 Pn 2 で示される層状化合物の結晶構造モデルを示 す。図1(a)に、LnTMOPn化合物の結晶構造モデル 対比して示す。A(TM) 2 Pn 2 で示される化合物は、ThCr 2 Si 2 型結晶構造を有し、(TM)Pn層とA元素からなる 属層とが交互に重なる構造であり、絶縁層 存在しない。この金属層は、A元素サイトの 分しかA元素で占められていないために、化 学式が、A1/2(TM)Pn=A(TM) 2 Pn 2 となる。Cu酸化物超伝導体では、こうした構 の化合物は、無限層結晶構造を有するので 無限層化合物」と呼ばれていることから、 明細書でも、「無限層化合物」と名づける

 無限層構造のA(TM) 2 Pn 2 化合物には、正方結晶構造とオルソロンビッ ク結晶構造のものがあるが、該化合物を線材 化する場合は、粒界での超伝導相を連続的に する点で、(TM)Pn層内の2つの結晶軸が等価な 方晶が好ましい。

 化学式A(TM) 2 Pn 2 で示される化合物中のA元素は、1族元素とし 、Na,K,Rb,Cs,が挙げられ、2族元素として、Be,M g,Ca,Sr,Ba,が挙げられ、3族元素として、Sr,Y,希 類金属(原子番号57~71)が挙げられる。原子番 号の大きな元素では、化学結合に関与する電 子(6s、6p電子)の軌道半径が大きく、お互いの 電子軌道の重なりが大きくなり、電子の移動 度が大きくなり、A元素からなる金属層の電 伝導度が良くなり、超伝導出現に適してい 。この観点からは、Cs,Ba,Laが望ましいが、Cs 結合に関与する電子が、元素当たり一個で 結合が弱く、Laは、該電子が3個で、結合が すぎるため、その中間にあるBaが基も望ま い。

 また、1族のNa,K,Rb,Csや2族のMg,Ca,Sr,Ba,3族のSr, Y,La,Lu及びそれらの混晶でもよい。混晶にす ことは、(TM) 2 Pn 2 層に電子又はホールをドープするため、さら に、格子定数を最適化する点で好ましい。A 素が磁性電子を有すると、Tcの高温化を阻害 するので、不完全f殻を有する希土類金属元 は好ましくない。

 超伝導相を実現するためには、元素の磁 モーメントを磁気整列状態が出現しない程 に小さく、また、磁気揺らぎができるだけ きくなるような大きな値に最適化する必要 ある。このために、少なくとも、TMのd電子 は、電子の持つスピン磁気モーメントが相 できるように、偶数であることが必要であ 。すなわち、本発明の超伝導体を実現する 合物の無限層結晶構造では、TMは、Fe,Ru,Os,Ni ,Pd,Ptの遷移金属から選ばれる少なくとも1種 元素であることが必要である。Fe,Niは、3d電 の軌道が適度に局在性の点で好ましい。4d び5d電子を有するRu,Os,Pd,Ptは、電子の有効質 が大きくなり、いわゆるヘビーフェルミオ となり、Tcの高温化を阻害する。

 Pnは、N,P,As,Sb,Biから選ばれる少なくとも1種 長周期型周期表の15族元素であり、これら 元素はプニコゲン元素と言われる。Nは、(TM) n層での伝導電子が局在化しやすく、超伝導 移温度の高温化がむずかしい。Sb,Biは、A(TM) 2 Pn 2 を得るために高温での化学反応が必要であり 、合成するのが困難である。この点から、プ ニコゲン元素としては、P又はAsが望ましい。 化学式A(TM) 2 Pn 2 で示される化合物の具体例としては、例えば 、BaNi 2 P 2 ,BaFe 2 As 2 ,SrNi 2 P 2 ,SrNi 2 As 2 ,SrCu 2 As 2 等が挙げられる。

 金属結合からなる層のA元素は、電荷の制 約が少なく、長周期型周期表の1族元素、2族 素又は3族元素(Sc,Y、及び希土類金属元素)の 少なくとも1種から選び、族の異なる少なく も1種の元素と組み合わせることができる。 えば、Aの主構成元素として、1族元素を選 、その一部を2族元素で置換し、2族元素を、 50原子%未満ドープした場合は、余分な電子が 発生し、該電子は、(TM)Pn層に流れ込むために 、該置換は(TM)Pn層に電子をドープしたことに なる。すなわち、A元素を、異なる族の元素 組み合わせで構成することにより、(TM)Pn層 電子又はホールを間接的にドープすること できる。

 Aの主構成元素として、1族元素、2族元素 は3族元素の1種から選び、同一族の元素を み合わせ混合することにより、電気陰性度 違いにより、A元素からなる金属層内に、余 の電子又はホールが発生し、該電子又はホ ルは、(TM)Pn層に流れ込むため、該混合によ て、伝導層の(TM)Pnに、電子又はホールをド プすることができる。例えば、A元素の主構 成元素として、2族元素のCaとSrを原子比で1:1 混合した場合には、余分な電子が発生し、 電子の一部は、(TM)Pn層に流れ込むために、( TM)Pn層に電子を間接的にドープすることがで る。

 直接、(TM)Pn層に電荷の異なる元素を添加し 、電子及びホールを該(TM)Pn層にドープする とも可能であるが、超伝導は(TM)Pn層に由来 ているため、こうした直接的ドープ方法は 伝導特性を著しく劣化させるので、Tcの高 化の観点からは、好ましくない。

 化学式A(TM) 2 Pn 2 で示される化合物は、A元素単体、TM元素単体 、プニコゲン元素単体、及びTM 3 Pn 2 化合物を、A、TM、Pnの原子比が、1:2:2になる うに混合した原料粉末を真空中又は不活性 ス雰囲気中で、加熱反応により生成するA(TM) 2 Pn 2 相の重量分率が85%程度以上となるように高温 、好ましくは、700~1200℃程度で十分な時間焼 する工程により合成できる。得られた焼結 は、直径10ミクロンメーター程度の粒子か 構成されるが、それらの粒子は、単結晶で る場合がある。したがって、単結晶粒子を 焼成体から選別して取り出すことで、単結 試料を得ることができる。

 例えば、A(TM) 2 Pn 2 化合物の構成元素の金属単体、プニコゲン元 素を化学当量比に混合した粉体を、石英管中 に真空封入し、原料の融点から充分に低い300 ~500℃で10~30時間保ち、予備反応を生じさせて 仮焼結し、引き続き700~1200℃、より好ましく 900~1000℃の温度で10~20時間保持して焼結体を 作成する。

 粒子径が大きく、さらに、粒子内で結晶化 進んだ焼結体を得るために、より好ましく 、焼結体を一度室温に冷却して、真空中又 不活性雰囲気で粉砕して粉末にした後、粉 をプレス機を用いてペレット化し、該ペレ トを、再度真空中又は不活性ガス雰囲気中 、700~1200℃の温度で10~20時間保持して焼結す ればよい。700℃未満では原料間の反応が進ま ず、A(TM) 2 Pn 2 相が得られない。1200℃を超えると、A(TM) 2 Pn 2 相以外の異相化合物の生成量が増加するので 好ましくない。  

 次に、実施例により、本発明を詳細に説明 る。
(BaNi 2 P 2 焼結多結晶体の合成)
 Ba(ジョンソン・マッセ社純度99.9%)、P(レア タリック社9.9999%)、Ni(ニラコ社99.9%)を、ドラ イな不活性ガス雰囲気中で、それぞれ微粉末 化し、さらに、化学当量比に混合後プレスし て、ペレットを作製した。該ペレットを石英 管に真空封入し、(1)400℃で12時間焼成、さら (2)1000℃に昇温し、12時間保持し焼結体を製 した。該焼結体を、室温に冷却し、粉砕し プレスして、ペレットを作成し、真空中で 1000℃、12時間保持し焼結体を製造した。

 得られた焼結体は、図2に示すX線回折(XRD)パ ターンから、少量のBaNi 9 P 5 ,Ba(PO 3 ) 2 ,BaNi 2 (PO 4 ) 2 を含むものの、主にBaNi 2 P 2 多結晶であることが示された。リートベルト 解析から見積もられたBaNi 9 P 5 ,Ba(PO 3 ) 2 ,BaNi 2 (PO 4 ) 2 の重量分立はそれぞれ9%、2%、1%であった。

 上記で得られたBaNi 2 P 2 焼結多結晶体の電気抵抗を、スパッタリング で製膜した金薄膜と銀ペーストで電極を形成 し、四端子法により、1.9Kから300Kの範囲で測 した。また、試料振動型磁化測定装置(VSM装 置)を用いて、磁気モーメントを1.9~10Kの温度 囲で測定した。これらの測定には、Quantum D esign Physical社のPPMS装置を用いた。

 図3の内挿図に電気抵抗の磁場依存性を示 すように、2~3T(K)で電気抵抗は ゼロとなった 。また、図4に示すように、帯磁率の温度変 、磁気モーメントの磁場依存性(内挿図)から Tcが約3T(K)であることが分かる。

 本発明の超伝導体は、銅系高温超伝導体 ど従来の超伝導体に比較して、線材化し易 、小型モーター、磁石などの線材として用 ることができる。   




 
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