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Patent Searching and Data


Title:
SUPPORT HAVING PROTEIN IMMOBILIZED THEREON AND METHOD OF PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117638
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of producing a support having a protein immobilized thereon which comprises immobilizing a protein having a tag sequence containing a sequence consisting of three or more consecutive basic amino acids on a support.

Inventors:
KATAYOSE SATOSHI (JP)
FUKUTA TETSUO (JP)
MURATA MITSUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053850
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JSR CORP (JP)
KATAYOSE SATOSHI (JP)
FUKUTA TETSUO (JP)
MURATA MITSUHIRO (JP)
International Classes:
G01N33/543; G01N33/553; C07K17/00
Domestic Patent References:
WO2005089933A12005-09-29
Foreign References:
JP2004170195A2004-06-17
JPH09208788A1997-08-12
JP2004205481A2004-07-22
Other References:
BENGT GUSS ET AL., EMBO JOURNAL, vol. 5, no. 7, 1986, pages 1567 - 1575
See also references of EP 2128616A4
Attorney, Agent or Firm:
OFUCHI, Michie et al. (Ogikubo TM Bldg. 26-13, Ogikubo 5-chome, Suginami-k, Tokyo 51, JP)
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Claims:
 塩基性アミノ酸が3個以上連続した配列を含むタグ配列を有するタンパク質を担体に固定化する工程を含む、タンパク質固定化担体の製造方法。
 請求項1において、
 前記塩基性アミノ酸は、リジン、アルギニン、およびヒスチジンのいずれか1種である、タンパク質固定化担体の製造方法。
 請求項1または2において、
 前記タグ配列はヒスチジンタグである、タンパク質固定化担体の製造方法。
 請求項1~3のいずれかにおいて、
 前記固定化用担体は磁性粒子である、タンパク質固定化担体の製造方法。
 請求項1~4のいずれかにおいて、
 前記固定化用担体はカルボキシル基、エポキシ基、およびトシル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、タンパク質固定化担体の製造方法。
 請求項1~5のいずれかに記載のタンパク質固定化担体の製造方法により得られたタンパク質固定化担体。
Description:
タンパク質固定化担体およびそ 製造方法

 本発明は、固定化用担体にタンパク質が 率良く固定化することができるタンパク質 定化担体の製造方法、ならびに、タンパク が固定化されたタンパク質固定化担体に関 る。

 タンパク質が固定化された担体は、その ンパク質をプローブとして生体物質や化学 質を精製したり検出したりする目的で使用 れている。例えば、抗体分子と親和性を有 るタンパク質であるプロテインAやプロテイ ンGを固定した担体は、抗体のアフィニティ 精製用に使用されている。また、抗体が固 化された担体は、抗原抗体反応を利用して その抗原を検出・定量するための診断薬と て用いられている。

 そのような精製や検出にタンパク質を固 化した担体を用いる場合、一般に、その担 の性能の指標である精製容量や検出感度を 上させるためには、タンパク質の固定化量 増やすことが必要である。

 タンパク質を固定化用担体に結合する方 としては、カルボキシル基あるいはトシル などの活性官能基を有する固定化用担体と タンパク質分子中のアミノ基とをカップリ グすることが一般的である。しかし、タン ク質の分子種によっては、アミノ基を有す アミノ酸の含有率が少ない、あるいは、担 と接触し易いタンパク質の立体構造の表面 存在するアミノ基の数が少ないといった理 により、十分な量のタンパク質が固定化で ない場合がある。また、担体に固定化され タンパク質においても、タンパク質の機能 活性発現において重要な役割を果たしてい アミノ基が担体との結合に消費されること よって、機能・活性が失われてしまう場合 ある。

 さらに近年、タンパク質固定化担体の用 として、各種のタンパク質や抗体が網羅的 固定化されたタンパク質チップや抗体チッ を使って、検査対象である患者由来の生体 料や医薬品候補の低分子化合物と相互作用 る分子種とその強度を評価する手法が開発 れている。タンパク質チップ・抗体チップ 製造においては、得られるシグナルの解析 容易するために、各種タンパク質の間で固 化量のバラツキを少なくすることが求めら ている。

 本発明の目的は、従来、固定化用担体に 分な量を固定化することが困難であったタ パク質であっても、担体に効率良く固定化 せることにより、固定化量を増加させるこ ができるタンパク質固定化担体の製造方法 ならびに、上記製造方法により得られるタ パク質固定化担体を提供することである。

 上記目的を達成するため、本発明者らは 意研究を重ねた結果、塩基性アミノ酸分子 含むタグ配列を有するタンパク質を用いる とにより、例えば、従来、固定化反応の効 が悪く、固定化量が十分でなかったタンパ 質であっても、タンパク質固定化量を増大 きることを見出し、この研究を完成させる 至った。

 本発明の一態様に係るタンパク質固定化担 の製造方法は、
 塩基性アミノ酸が3個以上連続した配列を含 むタグ配列を有するタンパク質を担体に固定 化する工程を含む。

 上記タンパク質固定化担体の製造方法に いて、前記塩基性アミノ酸は、リジン、ア ギニン、およびヒスチジンのいずれか1種で あることができる。

 上記タンパク質固定化担体の製造方法に いて、前記タグ配列はヒスチジンタグであ ことができる。

 上記タンパク質固定化担体の製造方法に いて、前記固定化用担体はカルボキシル基 エポキシ基、およびトシル基から選ばれる なくとも1種の官能基を有することができる 。

 上記タンパク質固定化担体の製造方法に いて、前記固定化用担体は磁性粒子である とができる。

 本発明の一態様に係るタンパク質固定化 体は、上記タンパク質固定化担体の製造方 により得られる。

 上記タンパク質固定化担体の製造方法に れば、例えば、従来、固定化反応の効率が く、固定化量が十分得られなかったタンパ 質であっても、タンパク質固定化量を増や ことができる。したがって、上記タンパク 固定化担体の製造方法により得られる上記 ンパク質固定化担体は、タンパク質の固定 量が大きい。

 以下、本発明の一実施形態に係るタンパ 質固定化担体およびその製造方法について 明する。

 1.タンパク質固定化担体およびその製造方
 本発明の一実施形態に係るタンパク質固定 担体の製造方法は、塩基性アミノ酸が3個以 上連続した配列を含むタグ配列を有するタン パク質(以下、「タグタンパク質」ともいう )を担体に固定化する工程を含む。

 本発明の一実施形態に係るタンパク質固 化担体は、タグタンパク質と固定化担体と 、タグ配列に結合する官能基(例えば、イミ ノ基、アミド結合)を介して化学結合されて る。

 1.1.タグタンパク質
 本実施形態に係るタンパク質固定化担体の 造方法において、固定化用担体に固定化さ るタグタンパク質は、塩基性アミノ酸が3個 以上連続した配列を含むタグ配列を含む。

 タグ配列のアミノ酸の数は3個以上であり 、長さの上限に制限は無いが、タンパク質の 性質への影響を抑えるために、通常5~30個が 適である。

 タグ配列は、その一部または全部が塩基 アミノ酸からなるのが好ましく、リジン、 ルギニン、およびヒスチジンから選択され 塩基性アミノ酸が3個以上連続した配列から なるのがより好ましく、リジン、アルギニン 、およびヒスチジンのうちいずれか1種のア ノ酸が3個以上連続する配列を含むことがさ に好ましく、上記いずれか1種のアミノ酸が 3~10個連続する配列のみからなるのが特に好 しい。

 タグ配列がリジン、アルギニン、および スチジンのいずれか1種類のアミノ酸のみか らなる場合、これらのタグ配列はそれぞれオ リゴリジン、オリゴアルギニン、オリゴヒス チジンである。また、5量体または6量体から るオリゴヒスチジンは、一般に、ヒスチジ タグ(Hisタグ)と呼ばれるタグである。タグ 列としてヒスチジンタグを用いるのは、市 の発現ベクターを使用でき、容易に組み換 タンパク質を構築できる点で好ましい。

 タンパク質にタグ配列を付加する方法と ては、例えば、タンパク質の一次配列にタ 配列を組み込む方法や、タンパク質のアミ 酸残基にタグ配列をグラフト状に付加させ 方法が挙げられる。

 タンパク質の一次配列にタグ配列を組み む場合、タンパク質の性質に与える影響を 小限にするために、タンパク質分子の末端 あるN末端あるいはC末端にタグ配列を付加 るのが好ましいが、タンパク質の内部配列 タグ配列を組み込んでもよい。この場合、 グタンパク質は、例えば、タンパク質をコ ドする遺伝子およびタグ配列をコードする 伝子を、読み取り枠を一致させた状態で融 した配列を組み込んだ発現ベクターを調製 、その発現ベクターで形質転換した大腸菌 を培養し、発現したタグタンパク質を該大 菌から分離精製することで調製することが きる。

 タンパク質のアミノ酸残基にタグ配列をグ フト状に付加させる場合、例えば、ポリペ チドの固層合成法等を用いて調製したタグ 列を、精製されたタンパク質とカップリン することで調製することができる。タンパ 質とタグ配列とのカップリング方法として 、例えば、タンパク質とタグ配列とを混合 た状態で、N-ethyl-N’-(dimethilaminopropyl) carbodi imide(EDC)などのカルボジイミド試薬を用いて 理することによ
り、タンパク質のアミノ基および/またはイ ノ基とタグ配列の末端カルボキシル基との 、タンパク質のカルボキシル基とタグ配列 アミノ基および/またはイミノ基との間、あ いはその両方で、タンパク質とタグ配列と カップリングすることができる。

 1.2.固定化用担体
 タグタンパク質を固定化させる固定化用担 は、タグタンパク質と化学結合する官能基 有することが好ましい。そのような官能基 、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、 よびトシル基から選ばれる少なくとも1種で あるのが好ましい。タグ配列には塩基性アミ ノ酸が含まれるため、固定化用担体が有する 官能基がこれらの官能基からなることにより 、タグ配列中の塩基性アミノ酸に含まれるア ミノ基および/またはイミノ基と上記官能基 が効率良く反応する結果、タグ配列を介し タンパク質と固定化担体とが化学結合する とにより、タグタンパク質を固定化用担体 効率良く固定化することができることが、 定化量の増大に寄与していると考えられる

 また、タグ配列は、塩基性アミノ酸が3分 子連続した配列を含む。塩基性アミノ酸はア ミノ基およびイミノ基もしくはいずれか一方 を有するため、タグ配列では、塩基性アミノ 酸に含まれるアミノ基および/またはイミノ の密度が高く、後述するように、該アミノ および/またはイミノ基の反応性が高い。こ により、タグタンパク質のうちタグ配列以 の部位に存在するアミノ基等よりも、タグ 列中の塩基性アミノ酸に含まれるアミノ基 よび/またはイミノ基を優先的に固定化担体 の官能基と反応させることができるため、タ ンパク質自体の性質に与える影響を少なくす ることができることが、固定化したタンパク 質の性質の維持に寄与していると考えられる 。上記方法により、タグタンパク質と固定化 担体にタグタンパク質が高効率で化学結合し たタンパク質固定化担体を得ることが出来る 。

 固定化用担体に含まれる官能基は、固定 用担体を作成する際に、例えば、共重合、 ラフト重合、カップリング、プラズマ処理 の操作によって、化学的に導入することが きるほか、固定化用担体に対して練り込み コーティング等の操作によって物理的に導 することもできる。官能基の導入効率を考 れば、官能基は化学的に導入することが好 しい。

 1.3.タグタンパク質と固定化用担体との固定 化
 タグタンパク質と固定化用担体との結合方 としては、例えば、固定化用担体中の官能 と、タグタンパク質中のアミノ基および/ま たはイミノ基とを反応させることにより、タ グタンパク質と固定化用担体とを化学結合さ せる方法が挙げられる。

 例えば、固定化用担体にカルボキシル基 存在する場合、該カルボキシル基とタグタ パク質中のアミノ基および/またはイミノ基 とを、EDCなどのカルボジイミド試薬を用いて アミンカップリング法により結合することが できる。

 本実施形態に係るタンパク質固定化担体 製造方法において、固定化させるタンパク として、塩基性アミノ酸が3個以上連続した 配列を含むタグ配列を含むタグタンパク質を 用いる場合、固体化用担体中の官能基とのカ ップリング効率を飛躍的に増大させることが できるため、固定化用担体へのタンパク質の 固定化量を大幅に増やすことができる。その 結果、従来、固定化用担体へ十分な量を固定 化することが困難であったタンパク質(例え 、Protein GやProtein A)であっても、固定化用 体に効率良く固定化することができる。

 さらに、本実施形態に係るタンパク質固 化担体の製造方法において、タグ配列とし 、リジン、アルギニン、およびヒスチジン いずれか1種のアミノ酸が3個以上連続する 列を用いることにより、固定化用担体中の 能基とのカップリング効率をさらに増大さ ることができる。その原因としては、同一 アミノ酸が連続してクラスター状に存在す と、これらのアミノ酸残基の反応性が増大 ることが考えられる。この現象の発現の要 は定かでないが、リジン、アルギニン、お びヒスチジンのいずれか1種のアミノ酸が3個 以上連続するタグ配列を用いることにより、 反応に関与するアミノ基やイミノ基の密度が 局所的に高くなるため、反応相手である固定 化用担体の官能基との相互作用が増大するこ と、ならびに、タグ配列のアミノ酸の立体的 配座が反応に適した位置になることなどが考 えられる。

 また、本実施形態に係るタンパク質固定 担体の製造方法において、固定用担体が、 ルボキシル基、エポキシ基、およびトシル から選ばれる少なくとも1種の官能基を有す る場合(特に、エポキシ基およびトシル基ま はいずれか一方である官能基を有する場合) 固定化用担体へのタンパク質の固定化量を 大させることができる。この場合、タグタ パク質と固定化用担体との結合は、両者を 当な溶媒に分散したのち、一定時間混合す ことにより達成することができる。

 固定化用担体の材質は特に限定するもの はなく、例えば、有機、無機、ガラス、金 、またはこれらの複合体であってもよい。

 固定化用担体の形態としては、例えば、 子状、膜状、スライド状、ディスク状、プ ート状、繊維状、チューブ状が挙げられる

 固定化用担体が粒子状である場合、固定 用担体は磁性粒子であることが好ましい。 の場合、固定化用担体は粒子の内部または 面に磁性体を含有することができる。固定 用担体が磁性粒子である場合、磁性体は該 子の内部のみに含有され、表面に露出して ないことが好ましい。固定化用担体が磁性 子であることにより、磁気作用を用いて粒 を固液分離することができる。

 磁性粒子の内部組成は均質であってもよ 、あるいは不均質であってもよいが、残留 化が少ない、超常磁性の磁性体微粒子を含 不均質な粒子であるのが好ましい。また、 性粒子は、低比重にすることにより水中で 沈降を遅らせ、水への分散が容易になるた 、有機物が含まれていることが好ましい。

 不均質な内部組成を有する磁性粒子の内 構造としては、(I)有機ポリマーなどの非磁 の有機物からなる連続相中に磁性体微粒子 分散している粒子、(II)磁性体微粒子の2次 集体をコアとし、有機ポリマーなどの非磁 の有機物をシェルとする粒子、(III)有機ポリ マーなどの非磁性体からなる核粒子と、該核 粒子の表面に設けられた超常磁性微粒子の2 凝集体層(磁性体層)と、磁性体層の外層であ る有機ポリマー層とを有する粒子などが挙げ られる。これらの中では、(III)超常磁性微粒 の2次凝集体層を含む核粒子(以下、「超常 性体微粒子の2次凝集体層を含む核粒子」を 母粒子」と表す)の外層に、有機ポリマー層 を有する粒子が好ましい。有機ポリマー層は 2層以上のポリマー層から構成されていても い。

 なお、各種粒子に用いられる有機ポリマ は、コア・シェル型粒子のコア部分を除い 、粒子最表面を形成するポリマーがカルボ シル基、エポキシ基、およびトシル基から ばれる少なくとも1種の官能基を有している のが好ましい。また、核粒子とその外層(磁 体層)との界面、ならびに磁性体層とその外 (有機ポリマー層)との界面は、両層の成分 混在した状態であっても構わない。

 上記(I)の粒子の好ましい製造方法として 、例えば、特開平9-208788号公報で開示され 方法が挙げられる。また、上記(III)の粒子の 好ましい製造方法としては、例えば、特開200 4-205481号公報で開示された方法が挙げられる

 磁性体としては、例えば、四三酸化鉄(Fe 3 O 4 )、γ-重三二酸化鉄(γ-Fe 2 O 3 )等の各種フェライト、鉄、マンガン、コバ ト、クロムなどの金属またはこれら金属の 金などを用いることができる。平均粒子径 30nm以下の磁性体を用いることにより、実質 に超常磁性である固定化用担体を得ること できる。

 磁性体の含有量は、粒子全体の重量に占 る割合が10重量%以上であるのが好ましく、2 0~80重量%であることがより好ましい。ここで 粒子全体の重量に占める割合が10重量%以下 あると、良好な磁気分離性が得られず、分 するために相当に長い時間を要するので好 しくない。一方、粒子全体の重量に占める 合が80重量%以上であると、粒子表面に露出 る磁性体が多くなるので好ましくない。

 固定化用担体が粒子状である場合、粒子( 固定化用担体粒子)の粒子径は、特に制限さ るものではなく、通常10nm~10mmである。粒子 は、レーザ回折・散乱法により求める。ま 、上記粒子の形状は球状である必要はなく 針状等の異形粒子であってもよい。

 本実施形態に係るタンパク質固定化担体 一例として、セファロース製ゲルなどの固 化用担体に、抗体分子と親和性を有するタ パク質であるプロテインAやプロテインGを 定化させた担体が挙げられる。この担体は 従来の担体に比較してプロテインAやプロテ ンGの固定化量が多いため、抗体の精製容量 を増大することができる。

 また、本実施形態に係るタンパク質固定 担体の製造方法において、固定化させるタ パク質が抗体であって、ポリマーラテック 等の微粒子を固定化用担体として用い、該 粒子に抗体を結合させて得られた固定化担 をサンドイッチエライザ法等の免疫診断用 体として用いる場合、抗体の固定化量を増 させることができる。これにより、分析対 の抗原の測定限界濃度が低濃度側および高 度側ともに広がるため、測定対象の濃度の イナミックレンジが広く、かつ、短時間で 査が可能な診断薬を作製することができる

 さらに、各種のタンパク質や抗体を網羅 にチップ上に固定化させて、タンパク質チ プや抗体チップを作成する場合、各種タン ク質間において固定化量のバラツキが少な 、精度の高い評価が可能なチップを作製す ことができる。

 2.実施例
 以下、本発明の実施例について説明するが 本発明はこれら実施例に限定されるもので ない。

 2.1.合成例1(カルボキシル基を有する固定化 担体(磁性粒子)の合成)
 75%ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオ サイド溶液(日本油脂製「パーロイル355-75(S) 2質量部を1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液2 0質量部に混合し、超音波分散機にて微細乳 した。これを粒子径0.77μmのポリスチレン粒 13質量部および水41質量部の入ったリアクタ ーに入れ、25℃で12時間攪拌した。別の容器 て、スチレン96質量部およびジビニルベンゼ ン4質量部を0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶 400質量部で乳化させた液を前記リアクター 入れ、40℃で2時間攪拌した後、75℃に昇温 て8時間重合した。室温まで冷却した後、遠 分離により粒子のみ取り出したものをさら 水洗し、乾燥および粉砕してコア粒子を得 。コア粒子の数平均粒子径は1.5μmであった

 次に、油性磁性流体(商品名:「EXPシリー 」,(株)フェローテック製)にアセトンを加え 粒子を析出沈殿させた後、これを乾燥する とにより、疎水化処理された表面を有する ェライト系の磁性体微粒子(平均一次粒子径 :0.01μm)を得た。

 次いで、上記コア粒子15gおよび上記磁性 微粒子15gをミキサーでよく混合し、この混 物をハイブリダイゼーションシステムNHS-0 (奈良機械製作所(株)製)を使用して、羽根(撹 拌翼)の周速度100m/秒(16200rpm)で5分間処理し、 性体微粒子からなる磁性体層を表面に有す 数平均粒子径が2.0μmの母粒子を得た。

 次に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト ウム0.25重量%およびノニオン性乳化剤(商品 :「エマルゲン150」,花王(株)製)0.25重量%を含 む水溶液(以下、「分散剤水溶液」という)375g を1Lセパラブルフラスコに投入し、次いで、 記磁性体層を有する母粒子15gを投入し、ホ ジナイザーで分散した後、60℃に加熱した 分散剤水溶液150gに、メチルメタクリレート2 7g、トリメチロールプロパントリメタクリレ ト(以下、「TMP」という。)3g、およびジ(3,5,5 -トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日 本油脂社製;パーロイル355)0.6gを入れて分散さ せたプレエマルジョンを60℃にコントロール た前記1Lセパラブルフラスコに1時間30分か て滴下した。

 滴下終了後、60℃に保持し1時間攪拌した 、分散剤水溶液75gに、シクロヘキシルメタ リレート13.5g、メタクリル酸1.5g、およびジ( 3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイ (日本油脂社製;パーロイル355)0.3gを入れて分 させたプレエマルジョンを、60℃にコント ールした上記1Lセパラブルフラスコに1時間30 分かけて滴下した。その後75℃に昇温した後 らに2時間重合を続けて、反応を完了させた 。

 次いで、前記セパラブルフラスコ中の粒 を、磁気を用いて分離した後、蒸留水を用 て繰り返し洗浄した。以上により、カルボ シル基を有する磁性粒子を得た(以下、「A 子」とする)。

 2.2.合成例2(エポキシ基を有する固定化用担 (磁性粒子)の合成)
 合成例1で、シクロヘキシルメタクリレート 13.5gおよびメタクリル酸1.5gの代わりにGMA13.5g よびTMP1.5gを用いた以外は合成例1と同様の 順を行なうことにより、エポキシ基を有す 粒子(以下、「粒子B」とする)を得た。

 2.3.合成例3(トシル基を有する固定化用担体( 磁性粒子)の合成)
 凍結乾燥により得た粒子B 5gを1Lセパラブル フラスコに取り、1mol/L 硫酸60mlを入れ、60℃ 6時間撹拌した。次いで、前記セパラブルフ ラスコ中の粒子を、磁気を用いて分離した後 、蒸留水を用いて繰り返し洗浄した。

 以上により、2,3-ジヒドロキシプロピル基 を有する磁性粒子を得た。この粒子を凍結乾 燥して得られた乾燥粒子1.0gを8mlのピリジン 分散させた後、p-トシルクロライド0.2gを加 て室温で2時間撹拌した。反応後、磁気を用 て粒子を分離し、アセトンで4回、続いて蒸 留水で4回洗浄して、2,3-ジヒドロキシプロピ 基がトシル化された磁性粒子(以下、「粒子 C」とする)を得た。この磁性粒子(粒子C)の数 均粒子径は2.9μmであった。

 2.4.実施例1
 以下の4種類のタンパク質につき、カルボキ シル基を有する粒子Aへの固定化量を評価し 。4種類のタンパク質は、(i)N末端にヒスチジ ン分子が6個連続した6ヒスチジンタグを有す グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(His6-GST アップステ
イト・バイオテクノロジー(Upstate Biotechnology) 社製、カタログNo.12-35
0、分子量27kDa)、(ii)同じくN末端に6ヒスチジ タグを有するAkt1(
His6-Akt1、アップステイト・バイオテクノロジ ー(Upstate Biotechnology)
社製、カタログNo.14-279、分子量59kDa)、(iii)同 くN末端に6ヒスチジンタグを有するユビキ ン(His6-Ubiquitin、アフィニティー・
リサーチ・プロダクツ・リミテッド(AFFINITI R esearch Products Ltd)社製、カタログNo.UW8610、分 量9.4kDa)、(iv)N末端にヒスチジン分子が10個
連続した10ヒスチジンタグを有するユビキチ (His10-Ubiquitin、R
&Dシステムズ・インク(R&D Systems, Inc)社 製、カタログNo.701-UB、分子量10kDa)であった。

 まず、それぞれのタンパク質の溶媒を限 濾過によりリン酸ナトリウム緩衝溶液(10mM pH7.0)に置換し、吸光度により濃度を1.0mg/mLに 調製した。これらタンパク質の粒子Aへの固 化量を以下のように評価した。

 粒子A分散液からの粒子1mg分をテストチュ ーブに取り、テストチューブ用の磁気スタン ドを用いて粒子を分離した後、上清を除去し 、次に100μLの0.1M MES緩衝溶液(pH5.0)に分散し 。そこにEDCのMES溶液(濃度10mg/mL)5μLを加え、2 5℃で30分反応させた。磁気スタンドを用いて 粒子を分離し溶媒を捨て、新たにMES緩衝溶液 100μL加えた。そこに、タンパク質溶液を20μL え、25℃で3時間振とう反応した。最後に粒 を0.5mLの洗浄液(0.05% Tween20界面活性剤含有PB S緩衝液)で4回洗浄して、タンパク質固定化磁 性粒子を得た。

 このタンパク質固定化量を、タンパク質 量法であるBCAアッセイ法を用いて定量した 濃度は測定対象であるタンパク質溶液を標 物質として算出した。その結果を表1に示す 。

 2.5.比較例1
 実施例1の比較例として、以下の4種類のタ パク質につき、粒子Aへの固定化量を、実施 1で用いた方法と同様の方法により測定した 。4種類のタンパク質は、(i)グルタチオン-S- ランスフェラーゼ(GST、シグマ社製、プロダ トNo.G5663
、分子量26kDa)、(ii)GSTタグを有するAkt1(GST-Akt1 アボヴァ・コーポレーション(Abnova corporatio n)製、カタログNo.H00000207-P01、分子量
79kDa)、(iii)ユビキチン(ユビキチン、ノバス・ バイオロジカル・インク(Novus Biologicals,Inc)社 製、カタログNo.NB800-PC40、分子量8.5kDa)、(iv)N 端にGSTタグを有するユビキチン(GST-ユビキチ ン、ノバス・バイオロジカル・インク(N ovus Biologicals,Inc)社製、カタログNo.NB800-PC42、分子 量35kDa
)である。

 各タンパク質は、限外濾過により溶媒を ン酸ナトリウム緩衝溶液(10mM、pH7.0)に置換 、吸光度により濃度を1.0mg/mLに調製して使用 した。得られた結果を表1に示す。

 2.6.実施例2
 本実施例では、実施例1で使用した4種のタ パク質につき、エポキシ基を有する粒子Bへ 固定化量を評価した。粒子B分散液から粒子 1mg分をテストチューブに取り、テストチュー ブ用の磁気スタンドを用いて粒子を分離した 後、上清を除去し、次にLys6-プロテインGの0.1 Mホウ酸緩衝溶液(pH9.5)に分散した。そこに、 ンパク質溶液を20μL加え、37℃で24時間振と 反応した。最後に粒子を0.5mLの洗浄液(0.05%  Tween20界面活性剤含有PBS緩衝液)で4回洗浄して タンパク質固定化磁性粒子を得た。このタン パク質固定化量を、実施例1で用いた方法と 様の方法で測定した。その結果を表2に示す

 2.7.比較例2
 本比較例では、実施例2の比較例として、比 較例1で使用した4種のタンパク質につき、エ キシ基を有する粒子Bへの固定化量を、実施 例2で用いた方法と同様の方法で測定した。 の結果を表2に示す。

 2.8.実施例3
 本実施例では、粒子として粒子Bの代わりに トシル基を有する粒子Cを使用した他は、実 例2と同様の材料および方法にて、各タンパ 質を粒子に固定化する処理を行なった後、 ンパク質の固定化量を測定した。その結果 表3に示す。

 2.9.比較例3
 本比較例では、実施例3の比較例として、粒 子として粒子Bの代わりにトシル基を有する 子Cを使用した他は、比較例2と同様の材料お よび方法にて、各タンパク質を粒子に固定化 する処理を行なった後、タンパク質の固定化 量を測定した。その結果を表3に示す。

 2.10.実施例4
 本実施例では、タンパク質としてプロテイ Gを用いて、固定化用担体への固定化量にお けるタグ配列の効果を検討した。プロテイン Gは文献、Bengt Guss et al. (1986) The
EMBO Journal. 5(7) 1567-1575に記載の分子を改変 て使用した。

 文献中のプロテインGのアミノ酸番号190番 から384番の配列に対して、そのN末端にリジ 分子が6個連続した6リジンタグ(以下「Lys6」 表記)を融合したリジンタグ融合タンパク質 を作成した。文献に記載の方法に従い、アミ ノ酸番号190番から384番の配列をコードする遺 伝子を取得し、そのアミノ末端側の6アミノ 配列をコードするDNA配列とリジン分子6分子 をコードするDNA分子とが結合したDNAを化学 成し、これとC末端の12アミノ酸をコードす DNAとをPCRプライマーとして用い、PCR法で増 することにより、6リジンタグをコードする DNAを融合させた、プロテインGをコードする 伝子を作成し、これを発現ベクターに導入 、大腸菌で発現させた後、該大腸菌を分離 製することにより、目的のタグ配列(リジン グ)を有するタグタンパク質(Lys6-プロテイン G)を調製した。

 実施例1で用いた方法と同様の方法により 、このLys6-プロテインGを、カルボキシル基を 有する粒子Aに固定化し、その固定化量を測 した。その結果を表4に示す。

 また、このLys6-プロテインG固定化粒子の ムノグロブリンG(IgG)固定化量を測定した。L ys6-プロテインG固定化粒子の分散液から、粒 1mg分をテストチューブに取り、テストチュ ブ用の磁気スタンドを用いて粒子を分離し 後、上清を除去し、次に50μLの0.1Mクエン酸- リン酸緩衝溶液(pH5.0)に分散した。そこに、 トIgG(シグマ社製、商品番号I4506)の0.1Mクエン 酸-リン酸緩衝溶液(1mg/mL、pH5.0)を10μL加え、25 ℃で1時間振とう反応した。未反応のヒトIgG 0.1Mクエン酸-リン酸緩衝溶液(pH5.0)で数回洗 した後、粒子に捕捉されたヒトIgGを50μLの0.1 Mクエン酸緩衝溶液(pH2.0)で溶出し、回収され IgG量を吸光度により計算した。得られた粒 1mg当たりのIgG結合容量を表4に示す。

 2.11.比較例4
 実施例4で挙げた文献中のプロテインGのア ノ酸番号190番から384番の配列に相当するプ テインG分子を作成した。文献に記載の方法 従い、プロテインGのアミノ酸番号190番から 384番の配列をコードする遺伝子を取得し、そ れを発現ベクターに導入して大腸菌で発現さ せた後、分離精製することにより目的のプロ テインGを調製した。

 実施例1で用いた方法と同様の方法により 、このプロテインGを、カルボキシル基を有 る粒子Aに固定化し、その固定化量を測定し 。その結果を表4に示す。

 また、実施例4で用いた方法と同様の方法 によりヒトIgGの結合容量を測定した。その値 を表4に示す。

 表1~4に示されるように、塩基性アミノ酸 3個以上連続した配列を含むタグ配列をタン パク質してタグタンパク質を調製し、このタ グタンパク質を固定化用担体に固定化するこ とにより、固定化用担体へのタンパク質の固 定化量を増大することができることが確認さ れた。

 表1は、カルボキシル基含有粒子Aの1mgあ りのタンパク質の固定化量を示している。 1によれば、何れのタンパク質を用いた場合 おいても、固定化用担体(カルボキシル基含 有粒子)への固定化量は、タグ配列(Hisタグ)を 有しないタンパク質よりも、タグ配列(Hisタ )を有するタンパク質のほうが多かった。

 表2は、エポキシ基含有粒子Bの1mgあたり タンパク質の固定化量を示している。表2に れば、何れのタンパク質を用いた場合にお ても、タグ配列(Hisタグ)を有しないタンパ 質よりも、タグ配列(Hisタグ)を有するタンパ ク質のほうが多かった。

 表3は、トシル基含有粒子Cの1mgあたりの ンパク質の固定化量を示している。表3によ ば、何れのタンパク質を用いた場合におい も、固定化用担体(トシル基含有粒子)への 定化量は、タグ配列(Hisタグ)を有しないタン パク質よりも、タグ配列(Hisタグ)を有するタ パク質のほうが多かった。

 表4は、カルボキシル基含有粒子1mgあたり のプロテインGおよびLys6-プロテインG固定化 ならびにヒトIgG結合容量を示している。表4 よれば、固定化用担体(カルボキシル基含有 粒子)へのプロテインGの固定化量は、プロテ ンGにLys6タグを融合させたタグタンパク質 用いることによって向上した。また、タグ ンパク質(Lys6-プロテインG)を固定化させた粒 子のIgG結合容量は、Lys6タグを有さないタン ク質(プロテインG)を固定化させた粒子のIgG 合容量と比較して大きいことから、タンパ 質(プロテインG)にタグ配列(Lys6タグ)を融合 せて得られたタグタンパク質(Lys6-プロテイ G)を用いることにより、タンパク質固定化担 体の性能を向上できることが明らかになった 。

 また、表4に示されるように、タンパク質 としてプロテインGを用いた場合、固定化量 増大する結果、IgG結合容量で示されるタン ク質固定化担体の性能を向上させることが きることが確認された。