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Patent Searching and Data


Title:
SUPPORT STRUCTURE FOR STABILIZER AND SUPPORT METHOD FOR STABILIZER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008425
Kind Code:
A1
Abstract:
A stabilizer bush (18) has a recess (18h) formed in an axial intermediate section of the outer peripheral surface (18b) of the bush (18), and because of this, contact pressure between the inner peripheral surface (18d) of the bush (18) and the outer peripheral surface of a torsion section (15) is low at those portions of the inner and outer peripheral surfaces which correspond to the portion where the recess (18h) is formed. When the torsion section (15) is deformed by twisting, a slip of the bush (18) against the torsion section (15) starts at the axial (L) intermediate section of the bush (18), spreading out to opposite ends in the direction of the axis (L) of the bush (18), and this improves ride quality of the vehicle. Opening ends of the bush (18) that are located at the opposite ends in the direction of the axis of the bush (18) and where no depressions (18h) are formed are made to be in intimate contact with the outer peripheral surface of the torsion section (15) to prevent entry of grains of sand and muddy water into the inside of the bush (18).

Inventors:
MIYAMOTO YASUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062334
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
MIYAMOTO YASUO (JP)
International Classes:
B60G21/055; F16F1/38; F16F15/08
Foreign References:
JPH11291736A1999-10-26
JPS5645636U1981-04-23
JPS6219408U1987-02-05
JPS5947138U1984-03-29
JPH11291736A1999-10-26
Other References:
See also references of EP 2168790A4
Attorney, Agent or Firm:
OCHIAI, Takeshi et al. (6-3 Taito 2-chom, Taito-ku Tokyo 16, JP)
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Claims:
 左右のサスペンション装置(S)を連結するスタビライザー(14)のトーション部(15)の外周面を筒状のスタビライザーブッシュ(18)の内周面(18d)で把持し、前記スタビライザーブッシュ(18)の外周面(18a,18b)を車体(19)の取付部(19a)と該車体(19)に固定される固定部材(21)との間に挟圧して固定するスタビライザーの支持構造において、
 前記スタビライザーブッシュ(18)の外周面(18b)の軸線(L)方向の両端部を除く中間部に、径方向内向きに延びる凹部(18h)を形成したことを特徴とするスタビライザーの支持構造。
 前記スタビライザーブッシュ(18)の軸線(L)方向断面を見たとき、前記凹部(18h)の底面は軸線(L)方向に対して略平行に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のスタビライザーの支持構造。
 前記スタビライザーブッシュ(18)は、外周面(18b)から内周面(18d)へと連通するスリット(18e)を有するとともに、前記スタビライザーブッシュ(18)の軸線(L)方向端面には、前記スリット(18e)を避けるように第2の凹部(18k)が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のスタビライザーの支持構造。
 前記第2の凹部(18k)は、前記スタビライザーブッシュ(18)の内周面よりも外側でC字状に形成されることを特徴とする、請求項3に記載のスタビライザーの支持構造。
 前記凹部(18h)を、前記トーション部(15)の車体前方側および車体後方側に形成したことを特徴とする、請求項1に記載のスタビライザーの支持構造。
 前記凹部(18h)の底と前記内周面(18d)との間に弾性膜部(18i)が形成され、前記弾性膜部(18i)の平均厚さ(α)は前記凹部(18h)の平均深さ(β)よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載のスタビライザーの支持構造。
 前記弾性膜部(18i)の平均厚さ(α)は、前記凹部(18h)の深さ方向および前記軸線(L)方向の両方に直交する該凹部(18h)の幅方向の長さ(γ)よりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載のスタビライザーの支持構造。
 前記凹部(18h)は前記内周面(18d)まで貫通しており、前記凹部(18h)が前記内周面(18d)に連通する部分の周方向の少なくとも一方には前記トーション部(15)の外周面に接触するリップ(18j)が形成され、前記リップ(18j)は先端側から基端側に向かって径方向の肉厚(w)が増加することを特徴とする、請求項1に記載のスタビライザーの支持構造。
 左右のサスペンション装置(S)を連結するスタビライザー(14)のトーション部(15)の外周面を筒状のスタビライザーブッシュ(18)の内周面(18d)で把持し、前記スタビライザーブッシュ(18)の外周面(18a,18b)を車体(19)の取付部(19a)と該車体(19)に固定される固定部材(21)との間に挟圧して固定するスタビライザーの支持方法において、
 前記スタビライザーブッシュ(18)の外周面(18b)の軸線(L)方向の両端部を除く中間部に、径方向内向きに延びる凹部(18h)を形成したことを特徴とするスタビライザーの支持方法。
 前記スタビライザーブッシュ(18)の軸線(L)方向断面を見たとき、前記凹部(18h)の底面は軸線(L)方向に対して略平行に形成されることを特徴とする、請求項9に記載のスタビライザーの支持方法。
 前記スタビライザーブッシュ(18)は、外周面(18b)から内周面(18d)へと連通するスリット(18e)を有するとともに、前記スタビライザーブッシュ(18)の軸線(L)方向端面には、前記スリット(18e)を避けるように第2の凹部(18k)が形成されることを特徴とする、請求項9に記載のスタビライザーの支持方法。
 前記第2の凹部(18k)は、前記スタビライザーブッシュ(18)の内周面よりも外側でC字状に形成されることを特徴とする、請求項11に記載のスタビライザーの支持方法。
 前記凹部(18h)を、前記トーション部(15)の車体前方側および車体後方側に形成したことを特徴とする、請求項9に記載のスタビライザーの支持方法。
 前記凹部(18h)の底と前記内周面(18d)との間に弾性膜部(18i)が形成され、前記弾性膜部(18i)の平均厚さ(α)は前記凹部(18h)の平均深さ(β)よりも小さいことを特徴とする、請求項13に記載のスタビライザーの支持方法。
 前記弾性膜部(18i)の平均厚さ(α)は、前記凹部(18h)の深さ方向および前記軸線(L)方向の両方に直交する該凹部(18h)の幅方向の長さ(γ)よりも小さいことを特徴とする、請求項14に記載のスタビライザーの支持方法。
 前記凹部(18h)は前記内周面(18d)まで貫通しており、前記凹部(18h)が前記内周面(18d)に連通する部分の周方向の少なくとも一方には前記トーション部(15)の外周面に接触するリップ(18j)が形成され、前記リップ(18j)は先端側から基端側に向かって径方向の肉厚(w)が増加することを特徴とする、請求項9に記載のスタビライザーの支持方法。
Description:
スタビライザーの支持構造およ スタビライザーの支持方法

 本発明は、左右のサスペンション装置を 結するスタビライザーのトーション部の外 面を筒状のスタビライザーブッシュの内周 で把持し、前記スタビライザーブッシュの 周面を車体の取付部と該車体に固定される 定部材との間に挟圧して固定するスタビラ ザーの支持構造およびスタビライザーの支 方法に関する。

 左右のサスペンション装置を連結するスタ ライザーのトーション部の外周にスタビラ ザーブッシュを嵌合し、このスタビライザ ブッシュをブラケットで挟んで径方向内向 に圧縮した状態で車体に支持するものにお て、スタビライザーブッシュの外周面に軸 向に延びる切欠き部を形成することでトー ョン部の外周面に対する接触面圧を低下さ 、スタビライザーブッシュに対してトーシ ン部が容易に回転できるようにして異音の 生を防止するものが、下記特許文献1により 公知である。

日本特開平11-291736号公報

 ところで上記従来のものは、スタビライ ーブッシュの軸線方向全長に亘って切欠き が形成されているため、左右の車輪が逆位 で上下動してスタビライザーが捩じれ変形 たときに、スタビライザーからスタビライ ーブッシュに径方向の荷重が加わると、ス ビライザーブッシュとトーション部との摺 面が開いてしまい、そこから摺動面に砂粒 泥水が侵入して異音の原因となったり、ス ビライザーの表面の摩耗が促進されたりす という問題があった。

 本発明は前述の事情に鑑みてなされたも で、スタビライザーブッシュとスタビライ ーとの摺動面の面圧を低下させて異音の発 や乗り心地の低下を防止しながら、前記摺 面に砂粒や泥水が侵入するのを阻止するこ を目的とする。

 上記目的を達成するために、本発明によ ば、左右のサスペンション装置を連結する タビライザーのトーション部の外周面を筒 のスタビライザーブッシュの内周面で把持 、前記スタビライザーブッシュの外周面を 体の取付部と該車体に固定される固定部材 の間に挟圧して固定するスタビライザーの 持構造において、前記スタビライザーブッ ュの外周面の軸線方向の両端部を除く中間 に、径方向内向きに延びる凹部を形成した とを第1の特徴とするスタビライザーの支持 構造が提案される。

 尚、前記凹部は、スタビライザーブッシ の内周面に達しない行き止まりのものと、 タビライザーブッシュの内周面まで貫通す ものとの両方を含むものとする。

 ま本発明によれば、前記第1の特徴に加え て、前記スタビライザーブッシュの軸線方向 断面を見たとき、前記凹部の底面は軸線方向 に対して略平行に形成されることを第2の特 とするスタビライザーの支持構造が提案さ る。

 また本発明によれば、前記第1の特徴に加 えて、前記スタビライザーブッシュは、外周 面から内周面へと連通するスリットを有する とともに、前記スタビライザーブッシュの軸 線方向端面には、前記スリットを避けるよう に第2の凹部が形成されることを第3の特徴と るスタビライザーの支持構造が提案される

 また本発明によれば、前記第3の特徴に加 えて、前記第2の凹部は、前記スタビライザ ブッシュの内周面よりも外側でC字状に形成 れることを第4の特徴とするスタビライザー の支持構造が提案される。

 また本発明によれば、前記第1の特徴に加 えて、前記凹部を、前記トーション部の車体 前方側および車体後方側に形成したことを第 5の特徴とするスタビライザーの支持構造が 案される。

 また本発明によれば、前記第5の特徴に加 えて、前記凹部の底と前記内周面との間に弾 性膜部が形成され、前記弾性膜部の平均厚さ は前記凹部の平均深さよりも小さいことを第 6の特徴とするスタビライザーの支持構造が 案される。

 また本発明によれば、前記第6の特徴に加 えて、前記弾性膜部の平均厚さは、前記凹部 の深さ方向および前記軸線方向の両方に直交 する該凹部の幅方向の長さよりも小さいこと を第7の特徴とするスタビライザーの支持構 が提案される。

 また本発明によれば、前記第1の特徴に加 えて、前記凹部は前記内周面まで貫通してお り、前記凹部が前記内周面に連通する部分の 周方向の少なくとも一方には前記トーション 部の外周面に接触するリップが形成され、前 記リップは先端側から基端側に向かって径方 向の肉厚が増加することを第8の特徴とする タビライザーの支持構造が提案される。

 また本発明によれば、左右のサスペンシ ン装置を連結するスタビライザーのトーシ ン部の外周面を筒状のスタビライザーブッ ュの内周面で把持し、前記スタビライザー ッシュの外周面を車体の取付部と該車体に 定される固定部材との間に挟圧して固定す スタビライザーの支持方法において、前記 タビライザーブッシュの外周面の軸線方向 両端部を除く中間部に、径方向内向きに延 る凹部を形成したことを第9の特徴とするス タビライザーの支持方法が提案される。

 尚、前記凹部は、スタビライザーブッシ の内周面に達しない行き止まりのものと、 タビライザーブッシュの内周面まで貫通す ものとの両方を含むものとする。

 また本発明によれば、前記第9の特徴に加 えて、前記スタビライザーブッシュの軸線方 向断面を見たとき、前記凹部の底面は軸線方 向に対して略平行に形成されることを第10の 徴とするスタビライザーの支持方法が提案 れる。

 また本発明によれば、前記第9の特徴に加 えて、前記スタビライザーブッシュは、外周 面から内周面へと連通するスリットを有する とともに、前記スタビライザーブッシュの軸 線方向端面には、前記スリットを避けるよう に第2の凹部が形成されることを第11の特徴と するスタビライザーの支持方法が提案される 。

 また本発明によれば、前記第11の特徴に えて、前記第2の凹部は、前記スタビライザ ブッシュの内周面よりも外側でC字状に形成 されることを第12の特徴とするスタビライザ の支持方法が提案される。

 また本発明によれば、前記第9の特徴に加 えて、前記凹部を、前記トーション部の車体 前方側および車体後方側に形成したことを第 13の特徴とするスタビライザーの支持方法が 案される。

 また本発明によれば、前記第13の特徴に えて、前記凹部の底と前記内周面との間に 性膜部が形成され、前記弾性膜部の平均厚 は前記凹部の平均深さよりも小さいことを 14の特徴とするスタビライザーの支持方法が 提案される。

 また本発明によれば、前記第14の特徴に えて、前記弾性膜部の平均厚さは、前記凹 の深さ方向および前記軸線方向の両方に直 する該凹部の幅方向の長さよりも小さいこ を第15の特徴とするスタビライザーの支持方 法が提案される。

 また本発明によれば、前記第9の特徴に加 えて、前記凹部は前記内周面まで貫通してお り、前記凹部が前記内周面に連通する部分の 周方向の少なくとも一方には前記トーション 部の外周面に接触するリップが形成され、前 記リップは先端側から基端側に向かって径方 向の肉厚が増加することを第16の特徴とする タビライザーの支持方法が提案される。

 本発明の第1または第9の特徴によれば、 タビライザーブッシュの外周面の軸線方向 両端部を除く中間部に径方向内向きに延び 凹部を形成したので、前記外周面を車体の 付部と固定部材との間に挟圧して固定した き、スタビライザーブッシュの内周面とス ビライザーのトーション部の外周面との間 接触面圧を前記凹部を形成した部分におい 低くすることができる。従って、左右の車 が同位相で上下動してスタビライザーのト ション部が回転するとき、前記接触面圧が いスタビライザーブッシュの軸線方向中間 からトーション部に対するスリップが開始 れ、そのスリップが軸線方向両端部に波及 ることで、トーション部がスタビライザー ッシュの全体に対して速やかにスリップす ことができ、トーション部の自由な捩じれ 形を可能にして車両の乗り心地を高めるこ ができる。しかも、スタビライザーブッシ の軸線方向両端部には凹部が形成されてい いので、スタビライザーブッシュの内周面 開口端をトーション部の外周面に密着させ そこから砂粒や泥水が侵入するのを阻止す ことができる。

 また本発明の第2または第10の特徴によれ 、スタビライザーブッシュの軸線方向断面 見たとき、凹部の底面は軸線方向に対して 平行に形成されるので、トーション部の外 面とスタビライザーブッシュの内周面との 触面圧を効果的に低減することができる。

 また本発明の第3または第11の特徴によれ 、スタビライザーブッシュにその外周面か 内周面へと連通するスリットを形成し、ス ビライザーブッシュの軸線方向端面に前記 リットを避けるように第2の凹部を形成した ので、スタビライザーブッシュの側面のスリ ットの近傍を除く部分の剛性を第2の凹部に り低下させ、スリットの近傍の剛性だけを の部分に比べて高めることで、スリットが 放するのを一層効果的に抑制することがで る。

 また本発明の第4または第12の特徴によれ 、第2の凹部をスタビライザーブッシュの内 周面よりも外側でC字状に形成したので、ス ットの近傍の剛性だけを他の部分に比べて 実に高めることができる。

 また本発明の第5または第13の特徴によれ 、左右の車輪が逆位相に上下動してスタビ イザーのトーション部が捩じれ変形すると そのトーション部の両端を支持するスタビ イザーブッシュに上下方向の荷重が入力す が、スタビライザーブッシュの凹部をトー ョン部の車体前方側および車体後方側に形 したので、前記上下方向の荷重に対するス ビライザーブッシュの剛性を確保して過剰 変形を防止し、スタビライザーブッシュに るスタビライザーの支持を安定させること できる。

 また本発明の第6または第14の特徴によれ 、スタビライザーブッシュの凹部の底と内 面との間に形成した弾性膜部の平均厚さを 凹部の平均深さよりも小さく設定したので スタビライザーブッシュの剛性を凹部によ て効果的に低下させ、弾性膜部とトーショ 部の外周面との間の接触面圧を充分に低下 せることができる。これにより、接触面圧 低下した部分からスリップを開始させ、そ スリップが全体に波及することで、トーシ ン部をスタビライザーブッシュに対してス ーズに回転させることができる。

 また本発明の第7または第15の特徴によれ 、弾性膜部の平均厚さを、凹部の深さ方向 よび軸線方向の両方に直交する該凹部の幅 向の長さよりも小さく設定したので、スタ ライザーブッシュの剛性を凹部によって一 効果的に低下させ、弾性膜部とトーション の外周面との間の接触面圧をより充分に低 させることができる。

 また本発明の第8または第16の特徴によれ 、スタビライザーブッシュの凹部を内周面 で貫通させたので、スタビライザーブッシ の凹部の底と内周面との間に弾性膜部を形 したものに比べて、摺動面の平均の接触面 を更に低下させることができる。しかも凹 が内周面に連通する連通部に形成されてト ション部の外周面に接触するリップは、そ 先端側から基端側に向かって径方向の肉厚 増加するので、リップの先端の接触面圧を どゼロにし、そこから開始されるスリップ 全体に波及させてトーション部をスタビラ ザーブッシュに対してスムーズに回転させ ことができる。

図1はスタビライザーの車両への取付状 態を示す斜視図である。(第1実施例) 図2は図1の2方向拡大矢視図である。(第 1実施例) 図3は図2の3-3線断面図である。(第1実施 例) 図4は図2の4-4線断面図である。(第1実施 例) 図5はスタビライザーブッシュの形状を 示す図である。(第1実施例) 図6はスタビライザーブッシュの面取部 の作用説明図である。(第1実施例) 図7はスタビライザーブッシュの摺動面 の圧力分布を示す図である。(第1実施例) 図8は効果を説明するグラフである。( 1実施例) 図9はスタビライザーブッシュの形状を 示す図である。(第2実施例)

符号の説明

14   スタビライザー
15   トーション部
18   スタビライザーブッシュ
18a  第1外周面(外周面)
18b  第2外周面(外周面)
18d  内周面
18e  スリット
18h  凹部
18i  弾性膜部
18j  リップ
18k  第2の凹部
S    サスペンション装置
W    車輪
w    リップの径方向の肉厚
α    弾性膜部の平均厚さ
β    凹部の平均深さ
γ    凹部の幅方向の長さ

 以下、本発明の実施例を添付の図面に基 いて説明する。

 図1~図8は本発明の第1実施例を示すもので ある。

 図1に示すように、左右の車輪W,Wを懸架す るストラット式のサスペンション装置S,Sは、 サスペンションアーム10,10を介して車体に上 動自在に支持された左右のナックル11,11と 各ナックル11,11の上部に結合されて上方に延 びるダンパー12,12と、各ダンパー12,12の上部 周に同軸に配置されたサスペンションスプ ング13,13と、左右のナックル11,11の上部間を 結するスタビライザー14とを備える。

 スタビライザー14は、車幅方向に直線状 延びるトーション部15と、トーション部15の 端から車体後方に直線状に延びる左右のア ム部16,16と、トーション部15およびアーム部 16,16を滑らかに接続する左右の湾曲部17,17と 備える。左右のアーム部16,16の先端は、それ ぞれリンク22,22を介してダンパー12,12に接続 れる。左右の湾曲部17,17に隣接するトーショ ン部15の両端に筒状のゴムよりなるスタビラ ザーブッシュ18,18が嵌合しており、それら スタビライザーブッシュ18,18は車体19のU字状 の取付部19a(図2参照)と、その取付部19aを覆う ように車体19にボルト20,20で固定される板状 取付ブラケット21との間に挟まれて支持され る。

 図2~図5から明らかなように、各スタビラ ザーブッシュ18は、平坦な第1外周面18aと、 線Lに直交する方向の断面がU字状で軸線Lに う方向の断面が波形の第2外周面18bと、一対 の側面18c,18cと、両側面18c,18cに開口してスタ ライザー14のトーション部15が嵌合する円形 断面の内周面18dとを備える。軸線L方向の両 における内周面18dの直径は、その他の部分 直径よりも僅かに小さくなっている。

 スタビライザーブッシュ18には、その軸 Lを含む平面内に配置されて第2外周面18bから 内周面18dに達する割り溝状のスリット18eが形 成される。また内周面18dがスタビライザーブ ッシュ18の側面18c,18cに開口する部分には、ス リット18eを円周方向両側から挟むように面取 部18f,18fが形成される。更に、スタビライザ ブッシュ18の平坦な第1外周面18aに中央に、 角形の位置決め突起18gが突設される。

 それぞれの面取部18fは、スリット18eを挟 両側部分だけに形成されており、軸線L方向 に見た形状は、スタビライザーブッシュ18の 周面18dから径方向外側に向かって湾曲する 日月状をなしている。そして、面取部18fの 線L方向の深さは、スリット18eがスタビライ ザーブッシュ18の内周面18dと交差する位置で も深く、そこから径方向外側に向かって次 に浅くなると同時に、円周方向両側に向か て次第に浅くなっている。

 またスタビライザーブッシュ18の第2外周 18bの前後面に、軸線L方向に延びる二つの細 長い凹部18h,18hが形成される。スタビライザ ブッシュ18の凹部18h,18hは前記第2外周面18bの 線L方向の中央部にのみ形成されており、軸 線L方向の両端部の手前位置で終わっている この凹部18h,18hは内周面18dまで貫通しておら 、その底と内周面18dとの間に弾性薄膜18i,18i が形成される。弾性薄膜18iの平均厚さαは、 部18hの平均深さβよりも小さく設定される( 5(D)参照)。

 上記構成に加えて、弾性膜部18iの平均厚 αを、凹部18hの深さ方向および軸線L方向の 方に直交する該凹部18hの幅方向の長さγよ も小さくすることが望ましく(図5(D)参照)、 れにより弾性膜部18iの面積を充分に確保し 接触面圧の更なる低下を可能にすることが きる。

 またスタビライザーブッシュ18の側面18c,1 8cには、スリット18eの位置を避け、内周面18d 外側をC字状に囲む凹部18k,18kが形成される

 上述のような形状を有するスタビライザ ブッシュ18は、そのスリット18eを弾性変形 せて広げることで、スタビライザー14のトー ション部15の外周面に嵌合することができる そしてスタビライザーブッシュ18のU字状の 2外周面18bを車体19のU字状の取付部19aに嵌合 し、その平坦な第1外周面18aを平坦な取付ブ ケット21に当接して保持される。

 このとき、スタビライザーブッシュ18の 置決め突起18gが取付ブラケット21の位置決め 孔21aに嵌合し、かつ軸線Lに沿う方向の断面 波形の第2外周面18bが同形状の車体19の取付 19aに密着することで、スタビライザーブッ ュ18は軸線L方向に移動不能に位置決めされ 。しかもスタビライザーブッシュ18は車体19 よび取付ブラケット21間に挟持されて径方 内向きに所定の締め代で圧縮され、その内 面18dがスタビライザー14のトーション部15の 周面に圧接され、かつスリット18eが閉じる うに圧接される。

 スタビライザーブッシュ18の自由状態で 内周面18dの直径は、その軸線L方向両端部を いて、スタビライザー14のトーション部15の 直径よりも僅かに(例えば、0.5mm)大きく形成 れており、取付ブラケット21で車体19の取付 19aに固定されるときに径方向内向きに圧縮 れたとき、スタビライザーブッシュ18の内 面18dとトーション部15の外周面との接触面圧 が必要以上に高くならないように考慮されて いる。これにより、スタビライザーブッシュ 18を径方向内向きに圧縮する荷重をスリット1 8eに有効に作用させ、スリット18eが開かない うに強く密着させることができる。

 更にスタビライザー14のトーション部15の 両端に連設された湾曲部17,17の一部が、左右 スタビライザーブッシュ18,18の内周面18d,18d 車幅方向外側端部に係合することにより、 タビライザー14に特別の位置決め部材を設 ることなく、スタビライザー14を車幅方向に 位置決めすることができる。

 このように構成されたスタビライザー14 、左右の車輪W,Wが同位相で上下動する場合 は、左右のアーム部16,16が同位相で上下動し てトーション部15が捩じれないためにロール ーメントを発生しないが、左右の車輪W,Wが 位相で上下動する場合には、左右のアーム 16,16が逆位相で上下動してトーション部15が 捩じれるために車体のローリングを抑制する ロールモーメントを発生し、車両の操縦安定 性を高めることができる。

 ところで、左右の車輪W,Wが逆位相で上下 してスタビライザー14のトーション部15が捩 じれ変形するとき、それぞれスタビライザー ブッシュ18,18で支持されたトーション部15の 右両端部が上下方向に移動しようとする荷 が発生するため、スタビライザーブッシュ18 ,18のスリット18e,18eが内周面18d,18dに連なる部 から開いてしまい、そこに発生する隙間か 砂粒や泥水が侵入して異音や摩耗が発生す 原因となる可能性がある。本実施例では、 タビライザーブッシュ18の内周面18dの軸線L 向両端部におけるスリット18eを挟む位置に 成した面取部18f,18fの作用で、スリット18eが 開くのを防止して砂粒や泥水が侵入を阻止す ることができる。

 即ち、スタビライザーブッシュ18の内周 18dの軸線L方向端部におけるスリット18eを挟 位置に面取部18fを設けたことで、図3におい て軸線Lに直交する方向の圧縮荷重Aが加わっ ときに軸線L方向内向きの荷重Bを発生させ スリット18eを挟む位置での内周面18dの開口 のa部がトーション部15に接触する面圧を増 させることができる。その結果、トーショ 部15に径方向の荷重が作用しても、その外周 面とスタビライザーブッシュ18の内周面18dと 間に隙間が発生するのを防止し、スリット1 8eの端部からの砂粒や泥水の侵入を阻止する とができる。しかもスタビライザーブッシ 18は薄肉のリップを持たないので耐久性が 上する。

 面取部18fが砂粒や泥水の侵入を阻止する 能は、スタビライザーブッシュ18の軸線Lと 取部18fとが成す鋭角θの大きさにより変化 る。図6に示すように、砂粒Sが荷重Fで軸線L 向に面取部18fに押し付けられたとき、その 重Fは面取部18fに直交する方向の成分F1と軸 Lに直交する方向の成分F2とに分解され、軸 Lに直交する方向の成分F2の反力F2″が面取 18fを押し開こうとする。

 図6(A)および図6(B)は、それぞれ前記鋭角θ が65°の場合および35°の場合を示している。 角θが大きい図6(A)の場合は面取部18fを押し こうとする反力F2″が小さくなるが、鋭角θ が小さい図6(B)の場合は面取部18fを押し開こ とする反力F2″が大きくなる。従って、鋭角 θを大きくした方が異物が面取部18fに食い込 難くなり、かつ一旦食い込んだ異物がそこ 留まらずに排出され易くなる。以上の理由 ら、鋭角θの下限値は45°が望ましい。

 一方、前述したように、鋭角θが直角に づくと、スタビライザーブッシュ18を径方向 内側に圧縮しようとする荷重で面取部18fが軸 線L方向外側に押し出されてめくれ上がるよ に開くため、鋭角θの上限値は75°が望まし 。従って鋭角θを45°~75°の範囲に設定すれば 、スタビライザーブッシュ18の内周面18dの開 端を開き難くしながら、面取部18fに異物が い込んだり、食い込んだ異物が排出され難 なったりするのを防止することができる。

 またスタビライザーブッシュ18の側面に 軸線Lを囲むように配置されたC字状の凹部18k をスリット18eの部分を避けるように形成した ので、スタビライザーブッシュ18の側面のス ット18eの近傍を除く部分の剛性を凹部18kに り低下させ、スリット18eの近傍の剛性だけ 他の部分に比べて高めることで、スリット1 8eが開放するのを一層効果的に抑制すること できる。

 また左右の車輪W,Wが同位相で上下動して タビライザー14のトーション部15が回転する とき、トーション部15の外周面とスタビライ ーブッシュ18の内周面dとが相対回転するが 両者の摺動面の接触面圧が高すぎると、前 相対回転がスムーズに行われず、車両の乗 心地が低下してしまう可能性がある。一方 前記摺動面の接触面圧が低すぎると、前記 対回転がスムーズに行われて車両の乗り心 が向上するものの、スタビライザーブッシ 18のスリット18e,18eが内周面18d,18dに連なる部 分から開いてしまい、そこに発生する隙間か ら砂粒や泥水が侵入して異音や摩耗が発生す る原因となる可能性がある。本実施例では、 スタビライザーブッシュ18およびトーション 15の相対回転が容易に行えるようにしなが 、スリット18eが開くのを防止して砂粒や泥 が侵入を阻止している。

 即ち、スタビライザーブッシュ18を車体19 および取付ブラケット21間に挟圧して径方向 側に圧縮したとき、スタビライザーブッシ 18の第2外周面18bの軸線L方向中間部に凹部18h ,18hが形成されているため、その凹部18h,18hの 傍の剛性が低下することで、トーション部1 5の外周面とスタビライザーブッシュ18の内周 面18dとの接触面圧が低下する。この接触面圧 を低下させる効果は、弾性薄膜18iの平均厚さ αを凹部18hの平均深さβおよび幅方向の長さγ よりも小さく設定することで、一層効果的に 発揮される。なぜならば、上記構成により、 弾性薄膜18iが薄くなり、かつ弾性薄膜18iの面 積が充分に確保されるからである。

 図7には、スタビライザーブッシュ18の第1 、第2外周面18a,18bに径方向内向きに均等に圧 を加えた場合に、内周面18dとトーション部1 5との接触面圧の分布を示しており、凹部18h,1 8hが存在する部分の接触面圧が低下している とが分かる。

 一方、スタビライザーブッシュ18の第2外 面18bの軸線L方向両端部には凹部18h,18hが形 されていないため、その両端部の剛性が確 されることで、スタビライザーブッシュ18の 内周面18dの側面18c,18cへの開口端をトーショ 部15の外周面に強く圧接し、かつスリット18e が側面18c,18cに開口する部分を強く密着させ 隙間の発生を確実に防止することができる

 このように、スタビライザーブッシュ18 内周面18dの軸線L方向中間部における摺動面 接触面圧を局所的に低下させるので、スタ ライザー14のトーション部15に捩じり荷重が 加わったときに、接触面圧が低い軸線L方向 間部から摺動面のスリップを開始させ、そ スリップを接触面圧が高い軸線L方向両端部 と波及させることで、摺動面の全域を速や に、かつスムーズにスリップ状態に移行さ 、車両の乗り心地を高めることができる。 かも、砂粒や泥水が侵入し易いスタビライ ーブッシュ18の内周面18dの軸線L方向両端部 、凹部18h,18hが存在しないことで摺動面の接 触面圧を充分に確保し、スリット18eが開くの を防止して砂粒や泥水の侵入を確実に阻止す ることができる。

 また左右の車輪W,Wが逆位相に上下動して タビライザー14のトーション部15が捩じれ変 形すると、そのトーション部15の両端を支持 るスタビライザーブッシュ18,18に上下方向 荷重が入力するが、スタビライザーブッシ 18の凹部18h,18hをトーション部15の車体前方側 および車体後方側に形成したので、前記上下 方向の荷重に対するスタビライザーブッシュ 18の剛性を確保して過剰な変形を防止し、ス ビライザーブッシュ18によるスタビライザ 14の支持を安定させることができる。

 図8は、スタビライザーブッシュ18に対す トーション部15の回転角度と、摺動面の摩 力が前記回転を阻止するトルクとの関係を すものである。破線で示す従来例の特性は 動面がスリップし難い場合であり、回転角 の増加に伴って回転を阻止するトルクも増 するために、トーション部15の相対回転が阻 害されて乗り心地が低下してしまう問題があ る。一方、実線で示す実施例の特性は摺動面 がスリップし易い状態であり、トーション部 15のスムーズな相対回転が許容されて乗り心 の向上が可能になる。

 次に、図9に基づいて本発明の第2実施例 説明する。

 第1実施例のスタビライザーブッシュ18の 部18h,18hは内周面18dに達していないが、第2 施例のスタビライザーブッシュ18の凹部18h,18 hは内周面18dに連通している。凹部18hが内周 18dに連通する部分の円周方向一方側に、ト ション部15の外周面に接触するリップ18jが形 成される。リップ18jの径方向の幅wは、その 端側(図中下側)において殆どゼロであり、そ こから基端側(図中上側)に向けて次第に増加 ている。

 本実施例によれば、スタビライザーブッ ュ18の凹部18h,18hが内周面18dまで貫通してい ので、第1実施例における弾性膜部18の摩擦 がなくなり、摺動面の平均接触面圧を更に 下させることができる。しかもトーション 15の外周面に接触するリップ18jは基端から 端に向かって厚さが減少しているので、そ 先端における接触面圧を殆どゼロまで低下 せ、スタビライザーブッシュ18の内周面18dと トーション部15の外周面とがスリップを開始 る起点として機能させることができ、これ よりトーション部15の一層スムーズな相対 転が許容されて乗り心地の更なる向上が可 になる。

 以上、本発明の実施例を説明したが、本 明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設 変更を行うことが可能である。

 例えば、実施例のスタビライザー14はト ション部15、アーム部16,16および湾曲部17,17 一体に備えているが、直線状のトーション 15の両端に別部材で構成したアーム部16,16を ルト等で固定するものであっても良い。

 また実施例ではストラット式のサスペン ョンSを例示したが、本発明のスタビライザ ー14は任意の型式のサスペンション装置に適 することができる。

 また実施例では車体19に形成したU字状の 付部19aと平坦な取付ブラケット21との間に タビライザーブッシュ18を挟んで支持してい るが、車体19の平坦面にU字状の取付ブラケッ トを用いてスタビライザーブッシュ18を支持 ても良い。

 また実施例ではダンパー12,12にスタビラ ザー14のアーム部16,16を接続しているが、ナ クル11,11あるいはサスペンションアーム10,10 にスタビライザー14のアーム部16,16を接続し も良い。

 また実施例のスタビライザーブッシュ18 側面18cに面取部18fや凹部18hを備えているが それらは省略可能である。

 また実施例のスタビライザーブッシュ18 第2外周面18bに2個の凹部18hを備えているが、 その数は任意である。また凹部18hを第1外周 18aに設けることも可能である。

 またスタビライザーブッシュ18が取り付 られる車体には、サブフレームも含まれる のとする。