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Patent Searching and Data


Title:
SURFACE ACOUSTIC WAVE DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081935
Kind Code:
A1
Abstract:
A surface acoustic wave device excellent in reliability and a method for manufacturing the same. The surface acoustic wave device comprises a piezoelectric substrate (1) for making a surface acoustic wave travel thereon, an IDT (2) formed on a first major surface of the piezoelectric substrate (1), and a protective cover (6) composed of a photocurable material and covering the region for forming the IDT(2), thereby forming a hollow containing space (7) together with the first major surface wherein an acid generating portion containing an acid generating material is provided in a region at the lower end of the protective cover. The surface acoustic wave device further comprises a connection line (3) formed on the first major surface and connected with the IDT(2) while being led out from the inside to the outside of the protective cover (6) to have an end on the outside of the protective cover (6), and a bonding film (8) composed of an insulating material and formed to be interposed at least between the acid generating portion of the protective cover (6) and the connection line (3).

Inventors:
FUKANO TORU (JP)
FUKUURA ATSUOMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/075289
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
FUKANO TORU (JP)
FUKUURA ATSUOMI (JP)
International Classes:
H03H9/25; H01L41/09; H01L41/18; H01L41/22; H01L41/23; H03H3/08; H03H9/145
Foreign References:
JP2002261582A2002-09-13
JP2006321984A2006-11-30
JP2000261284A2000-09-22
JP2005341162A2005-12-08
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE, Hidetoshi et al. (Sumitomo-seimei OBP Plaza Bldg. 4-70Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 弾性表面波を伝搬させる圧電基板と、
 前記圧電基板の第1主面の上に形成され、前記弾性表面波の伝搬方向と直交する方向に長手方向を有する複数の電極指からなる櫛歯状電極を少なくとも1つ備えるIDTと、
 光硬化性材料からなり、前記IDTの形成領域を覆うことによって前記第1主面とともに中空の収容空間を形成する保護カバーであって、前記保護カバーの下端の領域に酸発生材を含む酸発生部を有する保護カバーと、
 前記第1主面上に形成され、前記IDTに接続されるとともに前記保護カバーの外側に端部を有するように前記収容空間から前記保護カバーを隔てた前記収容空間の外側にかけて引き出される接続線と、
 絶縁材料からなり、少なくとも前記保護カバーの前記酸発生部と前記接続線との間に介在するようにして形成される接合膜と、
を備える弾性表面波装置。
 請求項1に記載の弾性表面波装置であって、
 前記保護カバーが、前記IDTを囲繞する枠体と、前記枠体の上に載置されたフィルム状の蓋体とを接合することによって形成されてなることを特徴とする弾性表面波装置。
 請求項1に記載の弾性表面波装置であって、
 前記IDTを埋入するように形成されてなり前記IDTを保護する保護膜、
をさらに備えることを特徴とする弾性表面波装置。
 請求項3に記載の弾性表面波装置であって、
 前記接合膜が前記IDTを埋入するように延在して形成されてなることで、前記接合膜が保護膜を兼ねることを特徴とする弾性表面波装置。
請求項1に記載の弾性表面波装置であって、
 前記接合膜の外周縁が、前記枠部の外周縁よりも外側に位置していることを特徴とする弾性表面波装置。
 請求項1に記載の弾性表面波装置であって、
 前記接続線の前記端部の上に略柱状の外部接続用電極を備えるとともに、前記外部接続用電極の上端部分を露出させつつ前記保護カバーと前記外部接続用電極とを樹脂封止してなることを特徴とする弾性表面波装置。
 弾性表面波装置の製造方法であって、
 圧電基板の第1主面の上に、前記圧電基板における弾性表面波の伝搬方向と直交する方向に長手方向を有する複数の電極指からなる櫛歯状電極を少なくとも1つ備えるIDTと、前記IDTに接続され前記IDTと外部回路とを電気的に接続する接続線とを形成するパターン形成工程と、
 少なくとも前記接続線の上に絶縁材料からなる接合膜を形成する接合膜形成工程と、
 光硬化性材料からなり、前記IDTの形成領域を覆い、且つ前記接合膜と接する下端の領域に酸発生材を含む酸発生部が形成された保護カバーを設けることによって、前記第1主面と前記保護カバーの内面とで囲まれた領域からなる中空の収容空間を形成する収容空間形成工程と、
を備える弾性表面波装置の製造方法。
 請求項7に記載の弾性表面波装置の製造方法であって、
 前記収容空間形成工程が、
  前記収容空間となるべき空間をみたす犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、
  前記犠牲層を覆うように前記保護カバーを形成する保護カバー形成工程と、
  前記保護カバーに貫通孔を形成し、前記貫通孔を通じて前記犠牲層を除去することによって前記収容空間を形成する犠牲層除去工程と、
を備えることを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
 請求項7に記載の弾性表面波装置の製造方法であって、
 前記収容空間形成工程が、
 前記第1主面の上に前記IDTを囲繞する枠体を載置することによって枠部を形成する枠部形成工程と、
 前記枠体の上にフィルム状の蓋体を載置することによって蓋部を形成する蓋部形成工程と、
 前記枠体と前記蓋体とを接合して前記保護カバーを形成する接合工程と、
を備えることを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
 請求項7に記載の弾性表面波装置の製造方法であって、
 前記接合膜形成工程においては、前記接合膜が前記IDTの保護膜を兼ねるように、前記接合膜を前記IDTを埋入するように形成する、
ことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
 請求項7に記載の弾性表面波装置の製造方法であって、
 前記接続線の前記端部の上に略柱状の外部接続用電極を備える電極形成工程と、
 前記外部接続用電極の上端部分を露出させつつ前記保護カバーと前記外部接続用電極とを樹脂封止する封止工程と、
をさらに備えることを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
Description:
弾性表面波装置およびその製造 法

 本発明は、移動体通信機器等の無線通信 路に主に用いられる弾性表面波装置および の製造方法に関する。

 近年、移動体通信に用いられる携帯端末 置は小型化、軽量化が進むとともに、複数 通信システムに対応するためのマルチバン 化及び多機能化のため、内蔵する回路が増 してきている。そのため、使用される電子 品に対して、実装密度向上のための表面実 可能化や小型化が強く要望されている。

 携帯端末装置のキーパーツとして弾性表 波装置がある。弾性表面波装置は、通常、 性表面波が励振される電極面近傍に、振動 間となる封止された中空部を確保した構成 有する。このような弾性表面波装置に対し も、表面実装可能かつ小型であることが要 されている。

 従来の弾性表面波装置においては、圧電 板の上にIDTを形成し、IDTの周囲を枠体で囲 、枠体上に蓋体を接合することによって保 カバーを形成するようにしている、(例えば 、特開平9-246905号公報、特開平10-270975号公報 および特開平10-112624号公報を参照)。枠体お よび蓋体の形成には、フォトレジスト等の光 硬化性の樹脂を用いることができる。

 また、従来の弾性表面波装置においては 圧電基板の面上に、IDTと外部回路との接続 行うための接続線を、保護カバーの内側か 外側へと延在するように設けている。換言 れば、接続線をまたぐように保護カバーが けられる構成でもある。

 しかしながら、従来の弾性表面波装置に いては、IDTと外部との接続線の上に直接、 護カバーを設けるという構成を有すること 起因して、次のような問題が生じる。

 保護カバーを形成する樹脂には、感光性 付与するために酸発生材が含まれる。係る 脂に対し露光を行うと、保護カバーにおい プロトンが発生する。これにより、化学増 が促進されるが、上述のように、このよう 酸発生材を含む保護カバーを接続線の上に 接に形成しようとする場合は、露光時に発 するプロトンが接続線を構成する金属中に り込まれてしまい、接続線と保護カバーと 接合界面付近で分子の架橋反応が十分に起 らない。そのため、接続線と接する部分で 護カバーの枠体が十分に硬化せず、接続線 保護カバーとの間では十分な密着性を得ら ないために、収容空間を気密封止すること できない。このため、製造工程中または装 完成後に収容空間に水分や腐食性のガス,薬 液等が入り、弾性表面波装置50の電気特性に 化が生じてしまうことになる。

 本発明は上記課題に鑑みてなされたもの あり、信頼性に優れた弾性表面波装置およ その製造方法を提供することを目的とする

 上記課題を解決するため、本発明の第1の 態様に係る弾性表面波装置は、弾性表面波を 伝搬させる圧電基板と、前記圧電基板の第1 面の上に形成され、前記弾性表面波の伝搬 向と直交する方向に長手方向を有する複数 電極指からなる櫛歯状電極を少なくとも1つ えるIDTと、光硬化性材料からなり、前記IDT 形成領域を覆うことによって前記第1主面と ともに中空の収容空間を形成する保護カバー であって、前記保護カバーの下端の領域に酸 発生材を含む酸発生部を有する保護カバーと 、前記第1主面上に形成され、前記IDTに接続 れるとともに前記保護カバーの外側に端部 有するように前記収容空間から前記保護カ ーを隔てた前記収容空間の外側にかけて引 出される接続線と、絶縁材料からなり、少 くとも前記保護カバーの前記酸発生部と前 接続線との間に介在するようにして形成さ る接合膜と、を備える。

 本発明によれば、長期信頼性に優れた弾 表面波装置が実現できる。

第1の実施の形態に係る弾性表面波装置 S1を概略的に示す模式図である。図1(a)は、弾 性表面波装置S1の断面図である。図1(b)は弾性 表面波装置S1の各部の平面的な配置関係を示 図である。 弾性表面波装置S1の製造工程の概略を 式的に示す図である。 第2の実施の形態に係る弾性表面波装置 S2を概略的に示す断面模式図である。 弾性表面波装置S2に封止樹脂層11を形成 するとともに、併せて外部電極を設けた構成 を模式的に示す図である。 弾性表面波装置S2の製造工程の概略を 式的に示す図である。 弾性表面波装置S2の製造工程の概略を 式的に示す図である。 第1、第2の実施形態に係る弾性表面波 置の変形例を示す図である。図7(a)は弾性表 波装置S3の断面図、図7(b)は弾性表面波装置S 3の各部の平面的な配置関係を示す図である

  <第1の実施の形態>
  <弾性表面波装置の構成>
 図1は、本発明の第1の実施の形態に係る弾 表面波装置S1を概略的に示す模式図である。 図1(b)のA-A断面が、概ね図1(a)で示す断面に相 する。ただし、各部の具体的な寸法や配置 隔等は必ずしも図1に示すものには限られな い。また、図1(b)は配置関係の理解を助ける めの図であって、弾性表面波装置S1を上面視 した場合に、必ずしも図1(b)のように視認さ るわけではない。

 本実施の形態に係る弾性表面波装置S1は 図1に示すように、圧電基板1と、IDT2と、接 線3と、保護カバー6と、接合膜8とを主とし 備える。

 圧電基板1は、例えばタンタル酸リチウム 単結晶,ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性 有する単結晶基板である。

 IDT2は、圧電基板1の第1主面(図1(a)に示す 面の場合であれば上側の面、以下、単に上 と称する)の上に形成されてなり、長手方向 圧電基板1の弾性表面波伝搬方向と直交する ように複数の電極指が設けられた、1対また 複数対の櫛歯状電極からなる。該櫛歯状電 は、それぞれの電極指が互いに噛み合うよ に形成されてなる。なお、図示の都合上、 1(a)と図1(b)とにおける櫛歯状電極の本数は異 なる。IDT2は、例えばAl-Cu合金等のAl合金によ て形成される。所望の特性を得るため、複 のIDT2を直列接続や並列接続等の方式で接続 することによってラダー型弾性表面波フィル タ等を構成する態様であってもよい。なお、 IDT2の両端には、IDT2と同じく、長手方向が圧 基板1の弾性表面波伝搬方向と直交するよう に複数の電極指が設けられた櫛歯状電極を有 する反射器が設けられる。ただし、係る詳細 構成そのものは本実施の形態の特徴部分に直 接には関係しないことから、本実施の形態に おいては、説明の簡単のため、この反射器も 含めてIDT2と称することとする。

 接続線3は、圧電基板1の上に形成されて る、IDT2を外部回路と接続するための信号線 ある。接続線3は、例えば、Al-Cu合金等のAl 金によって形成される。なお、図1(a)に示す 面図においては、IDT2の長手方向に垂直な断 面が示されるように(図面に垂直な方向が電 指の長手方向に一致するように)IDT2を図示す るとともに、接続線3についてもその断面が されるように図示しているが、弾性表面波 置S1におけるIDT2と接続線3との配置関係は、 る状態をみたす態様に限られるものではな 。また、図1においては接続線3が圧電基板1 側端部にまで達する態様にて設けられてい 場合を示しているが、必ずしも係る配置態 に限定されるわけではない。なお、接続線3 のIDT2に接続されていない側の端部を幅広に れば、外部回路との接続が容易となり好ま い。

 IDT2と接続線3とはいずれも、スパッタリ グ法、蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition) 法等の薄膜形成法により形成されたAl合金膜 、縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive  Ion Etching)装置とを用いたフォトリソグラフ 法等により所望の形状にパターニングする とによって形成することができる。

 保護カバー6は、IDTを囲繞する枠部と該枠 部の上に備わる平板状の蓋部とから構成され 、IDT2の形成領域を覆うことによって、圧電 板1とともにIDT2を収容する中空の収容空間7 形成されるように、圧電基板1の上に設けら てなる部材である。なお、図1(b)においては 、保護カバー6の(枠部の)下端に対応する部分 に斜線を付している。ここで、収容空間7は IDT2の電極指の振動空間として確保される空 である。当然ながら、保護カバー6の形成に は、圧電基板1との間で十分な接合が実現さ る材料が用いられる。例えば、エポキシ系 脂やポリイミド樹脂、BCB(ベンゾシクロブテ )、あるいはアクリル系樹脂などのネガ型の 光硬化性レジストを主たる材料として用いる ことができる。

 ただし、図1に示すように、本実施の形態に 係る弾性表面波装置S1においては接続線3の端 部が保護カバー6の外側まで延在するように ている。換言すれば、保護カバー6の一部分 接続線3の上をまたぐように形成している。 それゆえ、接続線3が形成されている箇所に いては、接続線3の上に、酸化珪素、窒化珪 、あるいはシリコンなどの絶縁材料からな 樹脂膜である接合膜8を形成し、さらにその 上に保護カバー6を形成するようにしている しかも、保護カバー6の(枠部の)下端のうち 少なくとも接合膜8と接する部分(配設面14と する)は、酸発生部となっている。酸発生部 とは、保護カバー6のうち、上述の感光性レ ストに酸発生材を混合させることによって 成された部分である。ここで、酸発生材と 、光照射または加熱に感応してプロトン(H + )を発生させる物質である。例えば、トリア ールスルホニウムヘキサフルオロアンチモ ートを用いるのが好適な一例である。その 、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシ ート、ピロガロールトリトシレート、ピロ ロールトリメシレート、トリ(ニトロベンジ )フォスフェート、トリアニソインフォスフ ェート、ジアリールヨードニウム塩、または トリアリールスルホニウム塩なども適用可能 である。なお、上述のような酸発生材は、保 護カバー6の配設面14のみではなく、保護カバ ー6の構成材料である感光性レジスト全体に 与してもよい。

 上述のように、接続線3の上に接合膜8を 成し、さらにこれと接する保護カバー6の配 面14に酸発生材を含むようにすることによ て、弾性表面波装置S1においては、保護カバ ー6と接続線3との間においても、収容空間7の 気密性が確保されるだけの十分に良好な接合 が実現されてなる。従って、保護カバー6の 部への水分や、腐食性の薬液等の侵入を少 くすることができる。また、保護カバー6の 面側においても硬化が進んでいるため、収 空間7は安定して維持されてなる。

 係る良好な接合の実現は、接合膜8の表面の 原子と酸発生材から発生したプロトンとの間 で共有結合が生じることによって実現される ものと推察される。例えば、接合膜8としてSi O 2 を用いる場合であれば、保護カバー6の配設 14の酸発生材から発生するプロトンが、保護 カバー6を構成する樹脂材料のO原子の結合手 切断して開環させ、SiO 2 表面のSi-OH基とのO原子との間で共有結合が形 成されることで、実現されているものと考え られる。また、プロトンがSiO 2 表面においてOH基の形成を促進する可能性も えられる。

 別の見方をすれば、接合膜8は、配設面14 直接に接続線3と接触するのを防ぐ役割も有 するものでもある。

 また図1(b)に点線で示したように、接合膜 8の外周縁8aは、保護カバー6の(枠部の)外周縁 よりも外側に位置していることが好ましい。 このように接合膜8の外周縁8aが保護カバー6 外周縁より外側に位置するようにして接合 8を形成することによって、保護カバー6の配 設面14が接続線3と接触するのをより有効に防 ぐことができる。また接合膜8と封止樹脂層11 との接触面積が増加することによって、接合 膜8と封止樹脂層11との接着力が向上し、収容 空間7の気密性をより向上させることができ という利点もある。

 保護カバー6には、後述する弾性表面波装 置S1の製造工程上の必要から、貫通孔6aが設 られるが、これは封止樹脂層11によって封止 されているので、収容空間7における気密性 確保されている。

 なお、図1においては、接合膜8を接続線3 保護カバー6との間にのみ存在する態様で設 けるのではなく、IDT2が形成された領域にま 延在させてIDT2を覆うように(IDT2を埋入させ ように)接合膜8を設ける態様を示している。 これは、IDT2を保護する保護膜として接合膜8 作用させる態様である。

 接合膜8を接続線3と保護カバー6との間に み存在する態様で設けた構成であっても、 続線3の部分でも保護カバー6の気密性を確 する効果がある。加えて、図1のような態様 採る場合、収容空間7における気密性はより 向上する。また、弾性表面波装置S1の周波数 度特性の変化を抑制する効果も得られる。 お、接合膜8の厚みを適宜に調整することで 、弾性表面波装置S1の周波数特性を適宜に調 することが可能である。

 また、弾性表面波装置S1には、保護カバ 6を覆うように、かつ、貫通孔6aを密閉する うに、封止樹脂層11が形成される。封止樹脂 層11は、フィラーを混入させることにより熱 張係数を圧電基板1とほぼ等しくなるように 調整でき、耐薬品性にも優れたエポキシ系樹 脂や、あるいはその他の弾性率が低い材料を 用いて形成するのが好適である。これは、圧 電基板1に加わる応力をできるだけ抑制する めである。

 ただし、封止樹脂層11は、後述するよう 、接続線3の上に外部接続用電極を形成した に形成される態様であってよい。

 さらに、弾性表面波装置S1には、圧電基 1のIDT2が形成されている主面と反対側の主面 (図1に示す断面の場合であれば下側の面、以 、単に下面と称する)の全面に、裏面電極12 設けられる。裏面電極12は、例えばAl-Cu合金 等のAl合金からなる。裏面電極12を備えるこ により、温度変化に起因して圧電基板1の表 にチャージした電荷を接地することできる で、スパーク等によって圧電基板1に割れが 生じることや、IDT2の電極指間においてスパ クが生じることなどを防ぐことができる。 面電極12は、スパッタリング法、蒸着法また はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法 より形成される。

 以上、説明したように、本実施の形態に る弾性表面波装置においては、保護カバー 内部のIDTの収容空間に水分が浸入すること 起因する電気特性の劣化を抑制することが きる。すなわち、本実施の形態においては 長期信頼性に優れた弾性表面波装置が実現 れてなる。

  <弾性表面波装置の製造方法>
 次に、本実施の形態に係る弾性表面波装置S 1の製造工程について図2を用いて説明する。 お、ここでは、図1に示すように、接合膜8 IDT2が形成された領域にまで延在させてIDT2を 覆うように設ける場合について説明する。

 まず、図2(a)に示すように、圧電基板1の 面にIDT2と接続線3とを形成する。具体的には 、タンタル酸リチウム単結晶,ニオブ酸リチ ム単結晶等の圧電性を有する単結晶基板を 電基板1とし、その一主面上に、例えばAl-Cu 金等のAl合金によって、IDT2と接続線3とを形 する。IDT2,接続線3の形成は、スパッタリン 法、蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition) 等の薄膜形成法により形成されたAl合金薄膜 を、縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置とを用いたフォトリソグラフ 法等により所望の形状にパターニングする パターン形成工程を実行することによって う。なお、圧電基板1上のIDT2が形成された 域を弾性表面波素子領域とすることとする

 続いて、スパッタリング法、蒸着法また CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法 より、圧電基板1の裏面にAl-Cu合金等のAl合金 からなる裏面電極12を形成する。

 次に、図2(b)に示すように、酸化珪素,窒 珪素,あるいはシリコンからなる接合膜8を形 成する接合膜形成工程を行う。具体的には、 少なくともIDT2および接続線3の上を覆うよう 酸化珪素,窒化珪素,あるいはシリコンから る薄膜をCVD法または蒸着法等の薄膜形成法 より形成した上で、接続線3のうち外部回路 接続部となる部分が露出するようにフォト ソグラフィ法によってその一部を除去する とで、接合膜8を形成する。

 次に図2(c)に示すように、接合膜8の上面 あって、弾性表面波素子領域の上方の部分 、犠牲層7aを形成する、犠牲層形成工程を行 う。犠牲層7aは、いったんは形成するものの 段の工程においてエッチングあるいは溶解 の処理によって除去される層である。犠牲 7aは、例えば二酸化珪素等の酸化珪素,アモ ファスシリコン,フォトレジスト,あるいは の他ポリマー材料等によって形成すること できる。ここでは、二酸化珪素にて犠牲層7a を形成する場合について説明する。

 係る場合、犠牲層7aは、TEOS(テトラエチル オルトシリケート),TEB(テトラエチルボートレ ート),TMOP(テトラメチルオキシフォスレート) の原料ガスを用いてプラズマCVD法により形 する方法や、スパッタリング法等の真空プ セスを用いる等の方法で形成することがで る。

 あるいは、ポリシランの感光性を利用し 犠牲層7aを形成することも可能である。ポ シランは珪素(Si)原子が鎖状につながった珪 系高分子であり、これに紫外光を照射する とにより-Si-Si-結合が光分解し、珪素結合間 に酸素原子が配置されたシロキサン結合部位 や、酸サイトとして作用するシラノール基が 生成される。これをアルカリ性現像液に浸漬 すると、シラノール基が生成された部位は現 像液に溶解する。すなわち紫外線露光部分を 選択的に形成することにより該露光部分のみ を溶解除去することができ、任意の平面形状 が加工可能である。現像後、再び十分な強度 の紫外線を照射して全面を露光した後に、再 び酸素雰囲気中で加熱することで、紫外線に 反応して珪素間の結合が切れた部位に酸素原 子が入り込むことによって酸化珪素膜が形成 される。なお、ポリシランの側鎖に修飾され る修飾基としては、プロピル基,ヘキシル基, ェニルメチル基,トリフルオロプロピル基, ナフルオロヘキシル基,トリル基,ビフェニル 基,フェニル基,シクロヘキシル基等の種々の のが適宜選択可能である。

 また、アモルファスシリコンにて犠牲層7a 形成する場合であれば、H 2 やSiH 4 等の原料ガスを用いてプラズマCVD法により形 成する方法や、スパッタリング法等の真空プ ロセスを用いる等の方法で形成することがで きる。

 犠牲層7aを形成した後、エポキシ系樹脂 ポリイミド樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)、 あるいはアクリル系樹脂等のネガ型の感光性 レジストによってスピンコート法などの手法 で図2(d)に示すように該犠牲層7aを覆い、露光 および現像を行うことによって、保護カバー 6を形成する、保護カバー形成工程を行う。 の際、少なくとも接合膜8と接する配設面14 部分に酸発生材が含まれるようにする。保 カバー6全体を酸発生材を含む感光性レジス で形成する態様であってもよい。接合膜8を 酸化珪素によって形成する場合であれば、感 光性レジストが露光によって光硬化する際に 架橋反応が生じることによって、酸発生材か ら発生するプロトンが、保護カバー6を構成 る樹脂材料のO原子の結合手を切断して開環 せ、接合膜8のSi-OH基との間に共有結合が形 される。これによって、圧電基板1と保護カ バー6の配設面14との間でのみならず、接合膜 8と該配設面14との間においても、良好な接合 が実現される。

 さらに、この保護カバー6に貫通孔6aを形 し、貫通孔6aを介して犠牲層7aを除去する犠 牲層除去工程を行うことによって、図2(e)に すように、保護カバー6と圧電基板1との間に IDTの振動空間としての収容空間7を形成する 本実施の形態においては、犠牲層7aの形成を 行う犠牲層形成工程と、保護カバー6の形成 行う保護カバー形成工程と、犠牲層7aの除去 を行う犠牲層除去工程とが、収容空間形成工 程に相当する。

 貫通孔6aを介して犠牲層7aを除去する方法と しては、犠牲層7aをアモルファスシリコンで 成した場合であれば、ドライエッチングあ いはウェットエッチングによる選択的エッ ングの手法を適用することが出来る。例え 、XeF 2 (フッ化キセノンガス)を用いたドライエッチ グやフッ硝酸を用いたウェットエッチング によって犠牲層を除去することが出来る。 た、犠牲層7aを二酸化珪素で形成した場合 あれば、フッ酸蒸気によるドライエッチン やバッファフッ酸内に浸漬することによる ェットエッチングなどの手法が利用できる

 犠牲層7aを除去することによって収容空 7を形成した後、エポキシ系樹脂などによっ 封止樹脂層11を形成する。

 以上の工程を経ることにより、図1に示す ような、長期信頼性に優れた弾性表面波装置 S1を作製することが出来る。

  <第2の実施の形態>
  <弾性表面波装置の構成>
 図3は、本発明の第2の実施の形態に係る弾 表面波装置S2を概略的に示す断面模式図であ る。なお、本実施の形態に係る弾性表面波装 置S2が備える構成要素のうち、第1の実施の形 態に係る弾性表面波装置S1と同一の作用効果 奏する構成要素については、同一の符号を してその説明を省略する。

 本実施の形態に係る弾性表面波装置S2に いても、保護カバー6によって収容空間7が確 保されるとともに、接続線3が保護カバー6の 側まで延在するようにされてなる。換言す ば、保護カバー6の一部分が接続線3の上を たぐように形成されてなる。しかしながら 弾性表面波装置S2は、保護カバー6が枠体4と 体5とが個別に形成されてなる点で第1の実 の形態に係る弾性表面波装置S1と相違する。 すなわち、本実施の形態においては、保護カ バー6は、圧電基板1上に、IDT2が形成された領 域を囲む枠体4を形成したうえで、枠体4の上 に蓋体5を設け、これらを加熱接合すること によって形成されたものである。係る態様は 、収容空間7において高い気密性が実現する えで好適なものであり、長期信頼性に優れ 弾性表面波装置の実現に資するものである

 枠体4は、第1の実施の形態に係る弾性表 波装置S1の保護カバー6と同様に、エポキシ 樹脂やポリイミド樹脂、BCB(ベンゾシクロブ ン)、あるいはアクリル系樹脂などのネガ型 の感光性レジストに酸発生材を混合させたも のによって形成される。本実施の形態におい ては、枠体4の下端部分が配設面14となる。本 実施の形態においても、保護カバー6と接続 3との間において収容空間7の気密性が確保さ れるだけの十分に良好な接合が実現されるよ うに、配設面14のうち少なくとも接合膜8と接 する箇所は、上述の感光性レジストに酸発生 材を混合させたものによって形成するように している。

 蓋体5は、例えばエポキシ系樹脂やポリイ ミド樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)、あるい アクリル系樹脂等のレジストによって形成 れる。好ましくは、蓋体5は、これらのレジ ストをフィルム状にした部材(フィルム部材) よって形成される。係る場合、フィルムを り付けるだけで、均一な厚みの蓋体5を形成 することができる。

 あるいは、枠体4もフィルム部材によって 形成される態様であってもよい。係る場合、 枠体4の厚みが均一になるので、蓋体5を枠体4 上に隙間なく形成することができる。なお、 枠体4としてフィルム部材によって形成する 合には、自重を確保しつつ小型低背化する いう観点からは、約30μm程度の厚みとするの が好ましい。

 より好ましくは、枠体4と蓋体5は同一材 で形成されてなる。係る場合、保護カバー6 おいて加熱接合後に両者の接合界面は存在 ず、実質的には両者が一体化した構造の保 カバー6が形成されてなる。この場合、枠体 4と蓋体5の密着強度が十分に確保されること ら、気密性の優れた保護カバー6が実現され る。

 なお、図3においては図示を省略している が、弾性表面波装置S2においても保護カバー6 を覆うように封止樹脂層11を設けても良い。

 図4は、弾性表面波装置S2に封止樹脂層11 形成するとともに、併せて外部電極を設け 構成を模式的に示す図である。

 図4に示すように、弾性表面波装置S2には 図3では外部に露出する態様で示されていた 接続線3の部分の上に、電極形成下地層9を設 た上で柱状部10と電極端子部13とからなる外 部接続用電極が設けられる。また、保護カバ ー6および柱状部10を埋め込むように封止樹脂 層11が形成される。

 柱状部10は、所定の金属材料を電気メッ あるいは化学メッキすることによって形成 れる。電極形成下地層9は、係るメッキ形成 に、柱状部10の構成材料となる金属をその に析出・堆積させるための下地層として設 られる。そのため、電極形成下地層9は柱状 10と同一の材料を使用して形成することが ましい。柱状部10と電極形成下地層9は、Cuで 形成されるのが好適な一例である。なお、接 続線3を形成するAl-Cu合金との密着性を考慮す ると、CrやTiなどからなる図示しない密着層 接続線3と電極形成下地層9との間にさらに介 在させることがより好ましい。なお、柱状部 10を電気メッキ法で形成する場合は、電極形 下地層9は100nm以上の厚みに形成することが ましい。係る厚みを有する場合、柱状部10 形成時に安定して電流を流すことができる らである。ただし、その上に柱状部10を形成 することから、電極形成下地層9自体は必要 上に厚く形成せずともよく、せいぜい数百nm 程度の厚みでよい。

 なお、外部接続用電極をIDT2における発熱 箇所の近傍に配置することで、弾性表面波装 置の放熱性を向上させることができる。例え ば、本実施の形態に係る弾性表面波装置S2と て分波器を作製した場合、外部接続用電極 柱状部10は放熱用電極としても好適に機能 る。なお、IDT2における発熱箇所は、使用周 数や、IDT2が複数個ある場合にはその接続方 法によっても異なるが、共振子の場合にはIDT 2の中心部分付近となる。柱状部10の配置、本 数、径を、弾性表面波装置S2の構成に合わせ 工夫することで、放熱性を向上させること できる。

 電極端子部13は、弾性表面波装置S2を表面 実装する際の、外部回路との接続端子となる 。電極端子部13は、柱状部10の端部(図4の場合 は上端部)に設けられる。すなわち、IDT2と電 端子部13は、接続線3、および柱状部10によ て互いに接続されていることになる。電極 子部13は、PbSnはんだ,鉛フリーはんだ,AuSnは だ,AuGeはんだ等による、はんだバンプの形成 によって実現されてもよいし、導電性材料の 薄膜によるフラットなパッドの形成によって 実現されてもよい。なお、本実施の形態にお いては、電極端子部13を形成する材料を、弾 表面波装置を実装する実装基板に応じて選 することが可能である。これにより、実装 板との接合信頼性が高い弾性表面波装置を 現することが出来る。

 封止樹脂層11は、第1の実施の形態と同様 、エポキシ系樹脂や、あるいはその他の弾 率が低い材料を用いて形成される。封止樹 層11を備えることで、収容空間7が確実に封 されてなる。またこの封止樹脂層11は、柱 部10を保護し柱状部10が破損するのを防止す 役割も果たしている。なお、本実施の形態 おいては、後述するように、柱状部10を形 した後に封止樹脂層11が形成され、その後、 電極端子部13が形成される。

 なお、第1の実施の形態に係る弾性表面波 装置S1においても、このように、柱状部10を けた上で封止樹脂層11を形成し、その後、電 極端子部13を形成するようにしてもよい。

 以上、説明したように、本実施の形態に る弾性表面波装置においても、上述のよう 構成を有することにより、保護カバーの内 のIDTの収容空間に水分等が浸入することに 因する電気特性の劣化を抑制することがで る。すなわち、本実施の形態においては、 期信頼性に優れた弾性表面波装置が実現さ てなる。

  <弾性表面波装置の製造方法>
 次に、本実施の形態に係る弾性表面波装置S 2の製造工程について図5および図6を用いて説 明する。なお、ここでは、図3に示すように 接合膜8をIDT2が形成された領域にまで延在さ せてIDT2を覆うように設ける場合について説 する。

 まず、図5(a)に示すように、第1の実施形 と同様に、圧電基板1の上面にIDT2と接続線3 を形成する。具体的には、例えばタンタル リチウム単結晶,ニオブ酸リチウム単結晶等 圧電性を有する単結晶基板を圧電基板1とし 、その一主面上に、例えばAl-Cu合金等のAl合 によって、IDT2と接続線3とを形成する。IDT2, 続線3の形成は、スパッタリング法、蒸着法 またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形 法により形成されたAl合金薄膜を、縮小投 露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装 置とを用いたフォトリソグラフィ法等により 所望の形状にパターニングするパターン形成 工程を実行することによって行う。なお、圧 電基板1上のIDT2が形成された領域を弾性表面 素子領域とすることとする。

 続いて、スパッタリング法、蒸着法また CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法 より、圧電基板1の裏面にAl-Cu合金等のAl合金 からなる裏面電極12を形成する。

 次に、図5(b)に示すように、酸化珪素,窒 珪素,あるいはシリコンからなる接合膜8を形 成する、接合膜形成工程を行う。具体的には 、少なくともIDT2および接続線3の上を覆うよ に酸化珪素,窒化珪素,あるいはシリコンか なる薄膜をCVD法または蒸着法等の薄膜形成 により形成した上で、接続線3のうち外部回 と接続部となる部分が露出するようにフォ リソグラフィ法によってその一部を除去す ことで、接合膜8を形成する。

 次に、図5(c)に示すように、圧電基板1上 、印刷法などの手法によって、IDT2が形成さ た領域を囲むようにネガ型感光性レジスト 塗布し、露光・現像を行うことによって、 体4を形成する、枠部形成工程を行う。また 、フィルム部材を押圧しながら貼り付け機を 用いて圧電基板1上に貼り付けたうえで、露 ・現像を行って枠体4を形成してもよい。そ 際、少なくとも接合膜8と接する配設面14の 分に酸発生材が含まれるようにする。枠体4 全体を酸発生材を含む感光性レジストで形成 する態様であってもよい。ネガ型感光性レジ ストとしては、第1の実施の形態において保 カバー6の形成に用いたものと同様のものを いることが出来る。

 次に、図5(d)に示すように、蓋体5を形成 るためのフィルム部材5aを貼り付け機を用い て枠体4の上面に貼り付ける蓋部形成工程を ったうえで、加熱することによって両者を 合させる接合工程を行う。加熱の条件は、 者の材料などに応じて適宜に定められる。 お、枠体4と蓋体5の材料としてエポキシ系樹 脂を用いる場合であれば、100℃から200℃の範 囲で加熱接合を行うのが、エポキシ樹脂の重 合が促進され、密着強度、気密性がより向上 するので好ましい。

 その後、フィルム部材5aの不要部分(枠体4 の外側にはみ出た部分)を除去することによ て、図5(e)に示すように、蓋体5と枠体4とが 合された構造の保護カバー6が形成されたこ になる。本実施の形態においては、枠体4の 形成を行う枠部形成工程と、蓋体5の形成を う蓋体形成工程と、両者の接合を行う接合 程とが、収容空間形成工程に相当する。

 また、係る保護カバー6の形成によって、 保護カバー6と圧電基板1との間には、IDT2の振 動空間としての収容空間7が形成される。す わち、本実施の形態においては、枠体4と蓋 5とを順次に形成することで、保護カバー6 形成するという態様にて弾性表面波装置を 成することから、第1の実施の形態に係る製 方法のように、収容空間7を得るためにいっ たん犠牲層7aを形成し、後に貫通孔6aを設け これを除去する、というプロセスは必要で ない。本実施の形態に係る製造方法におい は、収容空間7に残留物が生じることが少な ので、弾性表面波装置の電気特性が係る残 物の存在によって劣化するのを抑制するこ ができる。従って、上述のようなプロセス 保護カバー6および収容空間7を形成する本 施の形態の製造方法の方は、より信頼性の い弾性表面波装置を製造できるという点で れている。

 保護カバー6の形成によって収容空間7が 成されると、引き続き、外部接続用電極を 成する電極形成工程と、樹脂封止を行う封 工程とが行われる。

 まず、図6(a)に示すように、圧電基板1の 面全体を覆うメッキ用下地層9aを形成する。 メッキ用下地層9aは、その一部が後段の工程 電極形成下地層9として用いられる金属層で ある。メッキ用下地層9aは、例えばフラッシ メッキ法により、Ti-Cu合金等で形成するの 好適な一例である。フラッシュメッキ法に りメッキ用下地層9aを形成する場合、メッキ 形成部位に電流を流すための配線パターンを 形成する必要がない。このことは、弾性表面 波装置の小型化に資するものである。

 なお、保護カバー6を含む圧電基板1の上 全体にメッキ用下地層9aを形成する場合、少 なくとも電極形成下地層9となる部分におい 、その上に外部接続用電極の柱状部10を確実 に形成することができる程度にメッキ用下地 層9aが形成されていればよい。従って、例え 保護カバー6の側面部などに大きな段差があ り、当該部分にメッキ用下地層9aの非形成部 生じ、保護カバー6の(蓋体5の)上面と電極形 成下地層9となる部分との導通がとれていな ても、実用上はあまり問題はないが、全て 導通の取れた状態とするには、具体的には そのような段差の高さが形成しようとする ッキ用下地層9aの厚みに対して半分以下であ れば問題はない。例えば段差が0.35μm以下の 合、メッキ用下地層9aの厚みを0.7μmとすれば よい。

 メッキ用下地層9aが得られると、メッキ 下地層9aの上に、メッキ用レジスト層15を形 する。ただし、メッキ用レジスト層15は図6( b)に示すように、保護カバー6よりも外側に位 置する接続線3の上方の部分(電極形成下地層9 となる部分)に、メッキ用下地層9aが露出した 開口部16を有するように形成する。係る露出 分が後段の工程において電極形成下地層9と して用いられることになる。

 メッキ用レジスト層15は、例えば、スピ コート等の手法でメッキ用下地層9a上に形成 する。なお、使用するレジスト材料の粘度や スピンコートによる塗布回数を調整すること によって、メッキ用レジスト層15の厚さは、 μmから数百μmの範囲で適宜に定めることが きる。メッキ用レジスト層15の厚さは、後 の工程で形成しようとする柱状部10の高さに 応じて定めればよい。

 なお、メッキ用レジスト層15の形成にあ っては、保護カバー6の上面とほぼ同じ高さ までいったんレジスト材料を塗布しこれを 化させることによって保護カバー6による大 きな段差を埋めて平坦面を得た後に、さらに レジスト材料の塗布・硬化を繰り返すように することが好ましい。そのようにした場合、 上面が平坦なメッキ用レジスト層15をえるこ ができるからである。

 開口部16は、一般的なフォトリソグラフィ により好適に形成することができる。
開口部16が形成されると、図6(c)に示すように 、開口部16内において、電極形成下地層9の上 に柱状部10を形成する。

 柱状部10は、電気メッキ法,無電解メッキ ,スタッドバンプ法等により形成することが できるが、なかでも電気メッキ法で形成する のが好適である。電気メッキ法は、成長速度 が速く厚膜形成が容易な手法であることから 、柱状部10の高さの自由度を高めることがで る。また、形成した柱状部10とメッキ用下 層9aとの密着性も良好なものとなる。特に、 メッキの厚さはメッキ処理時間に依存するこ とから、30μmを超える厚みを形成する場合に 、成長速度が速い電気メッキ法が好ましい 柱状部10の形成材料としては、例えば、は だ,Cu,Au,Niなどを用いることができる。特に Cuやはんだを用いる場合、材料コストを抑制 できるため好ましい。

 柱状部10は、その上面が保護カバー6の上 よりも高い位置にくるように形成する。こ は、後段の工程で樹脂層11aの上部を除去す 際に、保護カバー6が封止樹脂層11に覆われ 状態で柱状部10の上面を露出させるためで る。ここで、柱状部10と保護カバー6の高さ は、圧電基板1の上面からの高さをいうもの する。係る関係をみたす場合、後述のよう 樹脂層11aを研削しても保護カバー6の上面( 体5)が露出したり、研削されたりすることが ないので、保護カバー6の気密性が確実に確 される。

 柱状部10が形成されると、図6(d)に示すよ に、メッキ用レジスト層15と、メッキ用下 層9aのうち、メッキ用レジスト層15の下方に 成されている部分(電極形成下地層9以外の 分)とを除去することによって、柱状部10を 出させる。

 メッキ用レジスト層15は、アセトンやIPA等 有機溶剤や、ジメチルスルフォキシド等の ルカリ性有機溶剤により除去する。メッキ 下地層9aは、Cuにてこれを形成した場合には 塩化第2鉄や燐酸と過酸化水素水の混合液に より除去する。メッキ用下地層9aをTiにて形 した場合には、希フッ酸やアンモニアと過 化水素水の混合液で除去する。ただし、メ キ用下地層9aの下に形成されている、SiO 2 などで形成されている接合膜8やAl-Cu合金など で形成されている接続線3へのダメージを少 くするという観点からは、アンモニアと過 化水素水の混合液の使用が好ましい。

 なお、上述のようにメッキ用レジスト層1 5を除去して柱状部10を露出させた後に、メッ キ用下地層9aを除去する際、柱状部10の下面 位置する電極形成下地層9は外縁部が一部除 されるものの、それ以外は残存する。すな ち、メッキ用下地層9aの除去に際して柱状 10が除去されることはない。

 柱状部10を露出させた後、図6(e)に示すよ に、保護カバー6および柱状部10を含めた圧 基板1の上面全体を覆う、樹脂層11aを形成す る。樹脂層11aは、その一部が封止樹脂層11と て用いられることになる層である。従って 樹脂層11aは、封止樹脂層11を構成する材料 形成される。すなわち、エポキシ系樹脂や の他の弾性率が低い材料を使用して形成さ る。なお、封止樹脂層11内に気泡が混入する と安定して保護カバー6を含む構造体を封止 ることができないので、樹脂層11aは、真空 刷法により印刷することも好適である。

 樹脂層11aが得られると、その上面部分を 削し、図6(f)に示すように、柱状部10を露出 せる。係る工程で研削されずに残った部分 、封止樹脂層11となる。

 具体的には、グラインダーを用い、柱状 10が露出するまで樹脂層11aの上面を研磨刃 研磨する。さらにその後、後述する電極端 部13と柱状部10との接続を良好なものとする めに、バフ研磨等による仕上げ加工を行っ もよい。

 好ましくは、このように封止樹脂層11が られた時点で、引き続き、図6(g)に示すよう 保護層17を形成する。

 保護層17は、製造時および製造後におけ 弾性表面波装置S1の耐衝撃性を向上させる目 的で設けられる。すなわち、保護層17を備え ことで、弾性表面波装置における割れ、カ 等の不良の発生が抑制され、製造歩留まり 向上や、信頼性の向上が実現される。

 この保護層17を圧電基板1の下面から側面 かけて形成した場合には、圧電基板1の下面 のみならず側面もが保護された構造となる。 係る場合、圧電基板1と封止樹脂層11との界面 から水分が浸入することが抑制されるので、 気密性,耐湿性がさらに向上した弾性表面波 置が実現される。

 保護層17は、封止樹脂層11と熱膨張係数が略 同一の材料で形成することが好ましい。係る 場合、封止樹脂層11のみが設けられた場合に じる封止樹脂層11による応力が緩和される とから、該応力に起因する圧電基板1の反り 発生を抑えることができる。すなわち、よ 信頼性の高い弾性表面波装置を実現するこ ができる。特に、エポキシ系樹脂材料を用 れば、SiO 2 等のフィラーを添加させることにより熱膨張 係数をコントロールできるとともに、透湿性 が低く、且つ吸水性が高いため、圧電基板1 かかる応力を上下面で相殺することができ とともに、弾性表面波装置への水分の浸入 抑制することができるので好適である。

 また、係る保護層17の形成は、裏面電極12 の形成後であればどのタイミングにおいて行 うことも可能であるが、上述のように、圧電 基板1の上面に封止樹脂層11を形成した後に行 えば、圧電基板1と封止樹脂層11との間の熱膨 張係数の違いにより圧電基板1に加わる応力 打ち消すことができ、より信頼性の高い弾 表面波装置を実現することができるので好 しい。

 次に、露出した柱状部10の上面に、電極 子部13を形成する。電極端子部13は、図6(h)に 示すようなはんだバンプとして設ける態様で あってもよいし、導電性材料の薄膜を形成す ることによりフラットなパッドとして設ける 態様であってもよい。前者の場合であれば、 例えば、PbSnはんだ,鉛フリーはんだ,AuSnはん ,あるいはAuGeはんだ等からなるクリームはん だを柱状部10の上部にスクリーン印刷しリフ ーすることにより、電極端子部13を形成す ことができる。

 以上のような工程で、本実施の形態に係 弾性表面波装置を製造することが出来る。 かも、これらの工程は、いわゆるウェハプ セスにおいて実現できるものであり、分割 よって圧電基板1となる母基板を対象に、上 述の工程を、多数個分の弾性表面波装置につ いて同時に行うことが出来るものである。す なわち、後工程における複雑な処理を経るこ となく弾性表面波装置を提供することができ る。

 また、犠牲層を用いることなく、IDTの振 空間となる収容空間を形成することができ ので、犠牲層の形成・除去のために必要だ た工程が不要となり、振動空間を形成する めの工数を少なくすることができ、生産性 高いものとすることができる。また、保護 バーを圧電基板1上に設けることより、弾性 表面波装置を収容するセラミックパッケージ 等が不要となり、小型な弾性表面波装置を提 供することができる。

  <第1、第2の実施形態の変形例>
 次に上述した第1、第2の実施形態の変形例 ついて図7を用いて説明する。図7(b)のB-B断面 が、概ね図8(a)に示す断面に相当する。なお 7では、弾性表面波装置S3を第1の実施形態に る弾性表面波装置S1の変形例として示して るが、この変形例は第2の実施形態に係る弾 表面波装置S2にも適用可能である。

 上述した第1、第2の実施形態では、接続 3の端部が保護カバー6の外側に位置する場合 (具体的には、その一例として、接続線3が圧 基板1の側端部にまで達する場合)について 明したが、この変形例では、図7に示すよう 、接続線3の端部が平面視矩形状であり、か つ保護カバー6の枠部の下方に位置するよう している。また、接合膜8は、接続線3の近傍 においては、該接続線3の端部の上面および 周部のみを被覆する態様にて形成されてな 。すなわち、接合膜8は、接続線3の中央領域 に開口部8bを有するように形成されてなる。 た、保護カバー6の枠部には、前記開口部と 連通する貫通孔6aが設けられてなる。これら 口部8bおよび貫通孔6aに金属材料が充填され ることで、接続線3の端部と接続される外部 続用電極の柱状部10が形成されてなる。なお 、柱状部10の上端部には電極端子部13が設け れている。また保護カバー6を覆い且つ貫通 6aを密閉するように封止樹脂層11が設けられ ている。

 図4に示した弾性表面波装置S2では、封止 脂層11が柱状部10を支える役割を果たしてい たが、図7に示す変形例の場合、柱状部10は保 護カバー6の枠部で支えられた状態となるた 、封止樹脂層11を貫通孔6aを塞ぐ部分にのみ けるようにしてもよい。