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Title:
SURFACE-TREATING AGENT, SURFACE TREATMENT METHOD, AND MECHANICAL COMPONENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/022629
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide: a surface-treating agent for preparing a thin film having an excellent lubricating property, excellent workability and an excellent anti-rust property on the surface of a processed material, a sliding member or the like; a method for treating a surface by using the surface-treating agent; and a mechanical component comprising a thin film having an excellent lubricating property, excellent workability and an excellent anti-rust property on the surface of a member. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] Disclosed are: a surface-treating agent comprising 30 to 95 mass% of a volatile liquid having a boiling point of 300˚C or lower, 1 to 50 mass% of a lubricant base oil and/or an anti-rust agent and 0.1 to 50 mass% of a compound having an amide group; a method for treating a surface, which comprises adhering the surface-treating agent on a member to cause the volatilization of the volatile liquid contained in the surface-treating agent; and a mechanical component having a gel-like thin film on its surface, wherein the gel-like thin film comprises 2.0 to 99.8 mass% of a lubricant base oil and/or an anti-rust agent and 0.2 to 98.0 mass% of a compound having an amide group and has a thickness of 0.1 to 50 μm.

Inventors:
SHITARA YUJI (JP)
KAIMAI TAKASHI (JP)
YOSHIDA KOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064238
Publication Date:
February 19, 2009
Filing Date:
August 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN ENERGY CORP (JP)
SHITARA YUJI (JP)
KAIMAI TAKASHI (JP)
YOSHIDA KOICHI (JP)
International Classes:
C10M133/16; C10M101/02; C10M105/18; C10M105/32; C10M107/02; C10M107/50; C10M127/02; C10M129/04; C10M129/26; C10M133/04; C10M135/10; C10M137/02; C23F11/00; C10N30/06; C10N30/12; C10N50/02
Foreign References:
JP2005320363A2005-11-17
JP2001240889A2001-09-04
JPH0797588A1995-04-11
JPS5540750A1980-03-22
JPS5289751A1977-07-27
Attorney, Agent or Firm:
MOEGI PATENT OFFICE (Minato-ku, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 沸点が300℃以下の揮発性液体を30~95質量%、鉱油系あるいは合成系の潤滑油基油および/または防錆剤を1~50質量%、およびアミド基を有する化合物を0.1~50質量%含有することを特徴とする表面処理剤。
 揮発性液体が、沸点60~300℃の炭化水素、エステル、アルコール及びエーテルの少なくとも一つを含む請求項1に記載の表面処理剤。
 揮発性液体が、炭素数6~16の飽和脂肪族炭化水素である請求項1に記載の表面処理剤。
 潤滑油基油が、鉱油、合成炭化水素油、エステル、ポリエ-テル及びシリコ-ンの少なくとも一つである請求項1に記載の表面処理剤。
 防錆剤として、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸、リン酸塩、エステル、アルコ-ル及びアミンの少なくとも一つを含み、防錆液として用いられる請求項1に記載の表面処理剤。
 アミド基を有する化合物が、融点20℃~200℃の脂肪酸アミドである請求項1~5のいずれかに記載の表面処理剤。
 脂肪酸アミドが、次の一般式(1)で表されるモノアミドである請求項6に記載の表面処理剤。
(式中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して、炭素数5~25の飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基であり、さらに、R 2 は水素であってもよい。)
 請求項1~7のいずれかに記載の表面処理剤を、部材に付着させ、揮発性液体を揮発させることを特徴とする表面処理方法。
 鉱油系あるいは合成系の潤滑油基油および/または防錆剤を2.0~99.8質量%、およびアミド基を有する化合物を0.2~98.0質量%含有する厚さ0.1~50μmのゲル状薄膜を表面に有することを特徴とする機械部品。
Description:
表面処理剤、表面処理方法およ 機械部品

 本発明は、加工素材や潤滑摺動部品を常 で液状の組成物に浸せきした後に、あるい 該組成物を塗布ないし噴霧した後に乾燥さ るだけで、耐摩耗性、潤滑性、加工性や防 性に優れる薄膜を素材や部品の表面に容易 作成することができる組成物(表面処理剤) 関する。本発明はさらに該組成物を、部材 付着させ、揮発性液体を揮発させる表面処 方法、さらに、潤滑油基油および/または防 剤、およびアミド基を有する化合物からな 、耐摩耗性、潤滑性や防錆性などの特性に れる厚さ0.1~50μmの薄膜を表面に有する機械 品に関する。

 近年、各種産業においては生産性のさら る効率化、コストダウンが求められている 金属、樹脂、セラミックス、及びゴムなど 加工素材は、目的となる形状とするために 々な加工方法を用いて加工される。一般的 加工方法として、例えばプレス、鍛造、切 、研削、研磨、及び射出成型などが知られ いる。これらの加工方法では、加工素材の 工を円滑に行うため、さらには加工治具を 傷させないために様々な加工液を吹き付け り、流して、あるいはゲル状(グリース状) 質を塗布して加工されている。一方、これ 加工液などは、従来の方法では加工素材に して大量に使用する必要があり、コスト面 考慮して再生循環使用することもあり、生 効率、コスト、及び作業環境の面で課題が った。

 また、産業界においては多種多様な機械 ステム、例えば精密機械、産業機械、輸送 械、及び測定機器が使われており、それら 摺動部は、絶えず摩擦・摩耗を繰り返す環 となっており、これらの摺動部の潤滑不良 よって機械システムは所望の働きができな なってしまう。そのため、摺動部には、各 の潤滑油剤が用いられ、または摺動部材自 が優れた潤滑性を有する材料で構成され、 るいは摺動部の表面に潤滑性を付与する表 処理が施されている。しかし、システム上 潤滑油剤の漏洩汚染を避けなければならな 場合、コスト高等の理由により、摺動部材 潤滑性を改善できないケースがあった。ま 、金属の加工素材や部材は、錆の発生を防 するために様々な防錆方法がとられている 例えば、防錆剤の塗布や、防錆紙による包 などが挙げられる。しかし、生産効率、作 環境、コストに加えて、脱脂処理や、使用 み防錆紙の処理などの環境対策で課題があ た。

 本発明は、加工される金属、樹脂(プラス チック)、セラミック、およびゴムなどの加 素材、部材又は加工具の表面に潤滑性、加 性や防錆性に優れた薄膜を容易に作成し、 産効率を高め、コストダウンや作業環境の 善を図り、さらに、加工後も加工素材、摺 部品などの表面に潤滑性、防錆性に優れた 膜を保持する表面処理剤を提供することを 題とする。また、本発明は、かかる表面処 剤を用いる表面処理方法を、さらには潤滑 や防錆性に優れた薄膜を金属、樹脂(プラス ック)及びセラミックスなどで作られた機械 部品の表面に有する当該機械部品を提供する ことを課題とする。

 本発明者らは、金属、樹脂(プラスチック )、セラミックスおよびゴムなどの加工や摺 に際して用いられる加工油、潤滑油、ゲル 物質、各種添加剤等について鋭意研究を進 た。その結果、ある特定の揮発性を有する 体に、薄膜の素となる成分を溶解させ、こ 液状組成物に加工素材や潤滑摺動部品、あ いは加工具を浸せき、塗布、吹きかけなど 行い、その後に乾燥させて揮発性成分を除 することによって、加工素材等の表面に潤 性、加工性や防錆性に優れた薄膜を容易に 成できることを見出した。そして、この知 に基づいて本発明を完成した。

 すなわち、本発明は、次のとおりの表面処 剤、表面処理方法および機械部品である。
(1)沸点が300℃以下の揮発性液体を30~95質量%、 鉱油系あるいは合成系の潤滑油基油および/ たは防錆剤を1~50質量%、およびアミド基を有 する化合物を0.1~50質量%含有することを特徴 する表面処理剤。

(2)揮発性液体が、沸点60~300℃の炭化水素、 エステル、アルコール及びエーテルの少なく とも一つを含む上記(1)に記載の表面処理剤。

(3)揮発性液体が、炭素数6~16の飽和脂肪族 化水素である上記(1)に記載の表面処理剤。

(4)潤滑油基油が、鉱油、合成炭化水素油、 エステル、ポリエ-テル及びシリコ-ンの少な とも一つである上記(1)に記載の表面処理剤

(5)防錆剤として、カルボン酸、カルボン酸 塩、スルホン酸塩、リン酸、リン酸塩、エス テル、アルコ-ル及びアミンの少なくとも一 を含み、防錆液として用いられる上記(1)に 載の表面処理剤。

(6)アミド基を有する化合物が、融点20~200℃ の脂肪酸アミドである上記(1)~(5)のいずれか 記載の表面処理剤。

(7)脂肪酸アミドが、次の一般式(1)で表される モノアミドである上記(6)に記載の表面処理剤 。
ただし、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して、炭素数5~25の飽和又 不飽和の鎖状炭化水素基であり、さらに、R 2 は水素であってもよい。

(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載の表面処理 を、部材に付着させ、揮発性液体を揮発さ ることを特徴とする表面処理方法。

(9)鉱油系あるいは合成系の潤滑油基油およ び/または防錆剤を2.0~99.8質量%、およびアミ 基を有する化合物を0.2~98.0質量%含有する厚 0.1~50μmのゲル状薄膜を表面に有することを 徴とする機械部品。

 本発明の表面処理剤によれば、揮発性液 、潤滑油基油および/または防錆剤、及びア ミド基化合物からなるため、浸漬、塗布、吹 きかけなどの方法で加工素材や機械部材の表 面全体を前記表面処理剤で被覆した後、乾燥 し、揮発性成分を除去すると、素材、機械部 材表面に防錆性、加工性や潤滑性に優れた不 揮発性の薄膜が形成される。

 また、本発明の表面にゲル状薄膜を有す 機械部品を用いれば、錆の発生を抑えられ また摺動機械部品に用いた場合、潤滑油を いずとも定期的な塗布を行うことにより長 にわたり良好な摺動を継続させることがで る。特に負荷が高くない摺動機械部品に適 すると、少ない塗布頻度で良く効果的であ 。

 このように簡単な操作で防錆性、加工性 潤滑性を付与できることから、生産効率を め、コストダウンや作業環境の改善に効果 奏する。つまり、部品表面は不揮発性薄膜 覆われているため、作業工程中や加工後、 品等の移動に際して錆の発生を防ぐために 窒素シールや防錆シートで包むなどの特別 取り扱いを要せず、さらに、潤滑性、防錆 に優れた薄膜は揮散されることなく部材表 に保持されるため、特に摺動機械部品は機 システムに組み込まれて円滑に稼働すると う格別の効果を奏す。

〔揮発性液体〕
 本発明の表面処理剤に用いる揮発性液体は 沸点が300℃以下、好ましくは120~250℃である 。沸点がこの範囲であると、薄膜を形成する 際の乾燥において、特別に加温したり、真空 下で乾燥する必要がないので、低コストかつ 効率的である。揮発性液体の沸点が低すぎる 場合には、常温で揮発が過度となり、危険で あると同時に作業環境が悪化するため実用的 に使用することが難しい。揮発性液体の30℃ おける動粘度は0.5~3.0mm 2 /s、特には1.0~2.5mm 2 /sが好ましい。動粘度が低すぎる場合には、 膜の厚さが薄くなり、また、取り扱いが難 くなるとともに、作業環境上好ましくなく 逆に、動粘度が高すぎる場合には、揮発性 体の乾燥除去が難しくなって効率が損なわ る。また、揮発性液体は、引火点が40℃以 であることが、第2石油類に分類され、特に 、引火点が70℃以上であることが、第3石油 に分類され取り扱いが容易になることから ましい。より高い揮発性が求められる場合 も、混合後の表面処理剤の引火点は70℃以 であることが好ましい。

 揮発性液体として具体的には、有機化合 、特には、鉱油系及び合成系の炭化水素、 ステル、アルコール及びエーテルなどが挙 られ、これらのいずれか1種を、あるいはこ れらの2種以上を適宜の割合で混合して用い ことができる。特には炭化水素、エステル アルコール、エーテルなどの、いわゆる汎 溶剤が好ましく、潤滑油及びアミド基を有 る化合物を均一溶解する。

 鉱油系炭化水素の溶剤としては、原油か 精製蒸留などの工程で得られる揮発性の高 留分があげられ、ベンジン、石油エーテル 灯油、軽油、及び精製パラフィンなどがそ 一例として挙げられる。特には、炭素数が4 ~20の炭化水素、さらに好ましくは炭素数8~16 炭化水素が、安価であり、揮発性成分の作 環境上の負荷が小さい点で望ましい。直鎖 は分岐の飽和鎖状炭化水素のいずれも使用 きるが、特には直鎖の飽和鎖状炭化水素が ましい。

 合成系炭化水素としては、エチレンなど オレフィンの重合物などが適する液体とし 用いることができる。化学合成で得られる れら炭化水素のうち、炭素数が4~20、さらに 好ましくは炭素数8~16の炭化水素が上記鉱油 の場合と同様に望ましい。また芳香族系溶 も使用することができ、トルエン、キシレ などの汎用溶剤を一例として挙げることが きる。

 アルコールとしては、アルコール系溶剤と て知られる汎用溶剤を好適に宜用いること でき、炭素数2~18、特には、6~12の一価アル ールが好ましく、エタノール、プロパノー 、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノー 、ヘプタノール、及びオクタノールなどを の一例として挙げることができる。
 エーテルとしては、エーテル系溶剤として 、炭素数2~18、特には、6~12のジアルキルエ テルが好ましく用いることができ、ジメチ エーテル、ジエチルエーテル、ジプロピル ーテル、ジブチルエーテルなどが一例とし 挙げることができる。

 表面処理剤における揮発性液体の含有量 、30~95質量%、好ましくは35~85質量%、さらに ましくは40~80質量%である。

〔潤滑油基油〕
 潤滑油基油としては、後で詳しく説明する ミド基を有する化合物の融点より20℃高い 度において、実質的に揮発することなく、 定な液体であることが好ましい。潤滑油基 の物性は、特に限定するものではないが、40 ℃における動粘度は5~5000mm 2 /sが好ましく、より好ましくは10~1000mm 2 /sであり、さらに好ましくは20~700mm 2 /sである。粘度指数は90以上が好ましく、よ 好ましくは95~250であり、流動点は-10℃以下 より好ましくは-15~-70℃であり、引火点は130 以上が好ましく、より好ましくは150℃以上 ある。また、ガスクロ蒸留(ASTM D-7213-05)に ける50%留出温度が320℃以上であるものが好 しい。

 潤滑油基油として上記の物性を満たすも であれば、鉱油(鉱物油ともいう)、合成油 るいはこれらの混合油を好ましく用いるこ ができる。鉱油系の潤滑油基油としては、 油を常圧蒸留して、さらには減圧蒸留して られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽 、水素化分解、溶剤脱蝋、水素化脱蝋、水 化精製、硫酸洗浄、白土処理等の潤滑油精 手段を適宜組み合わせて処理して得られた 製潤滑油留分を好適に用いることができる 各種の原料と各種の精製手段を組み合わせ 性状の異なる様々な物性の精製潤滑油留分 得ることができるが、上記物性を満たせば そのまま単独で用いることができる。また 上記物性を満たしていなくても、2種以上を み合わせて上記物性を満たせば、潤滑油基 として用いることもできる。

 また、合成油系の潤滑油基油としては、 リ-α-オレフィン(PAO)、エチレン-α-オレフィ ンオリゴマーなどのポリ-α-オレフィンオリ マー、アルキルナフテン、アルキルナフタ ン、グリコール、脂肪酸エステル、シリコ ン油、フッ素化油などを挙げることができ 。なかでも、ポリ-α-オレフィン、脂肪酸エ テルが、粘度特性、酸化安定性、材料適合 、コストの面で優れており、好ましく用い ことができる。

 ポリ-α-オレフィンは、1-デセンや1-ドデ ン、あるいは1-テトラデセンなどのオレフィ ンオリゴマーを重合し、重合度2~10の範囲で これら重合物を粘度調整のために適宜配合 たものを好ましく使用することができる。 肪酸エステルも様々な分子構造の化合物が 販されており、それぞれ特有の粘度特性(高 度指数、低流動点)を有し、同一粘度である 炭化水素系基油と比べると引火点が高い特徴 がある基油である。

 脂肪酸エステルは、アルコールと脂肪酸 脱水縮合反応して得ることができるが、本 明においては、化学的な安定性の面で、ジ ステル、ポリオールエステル、またはコン レックスエステルを好適な潤滑油基油成分 して挙げることができる。

 ジエステルとしては、炭素数4~14の二塩基 酸と、炭素数5~18のアルコールとのエステル 好ましく用いられる。ここで、二塩基酸と ては、具体的には、アジピン酸、アゼライ 酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカ 二酸等が挙げられ、アジピン酸、アゼライ 酸、セバシン酸が好ましい。アルコールと ては、炭素数が6~12の1価アルコール、特には 8~10の炭化水素基に分岐を有する1価アルコー が好ましい。具体的には、2-エチルヘキサ ール、3,5,5-トリメチルヘキサノール、デシ アルコール、ラウリルアルコール、オレイ アルコール等が挙げられる。

 また、ポリオールエステルとしては、ネ ペンチルグリコール、トリメチロールエタ 、トリメチロールプロパン、トリメチロー ブタン、ジ-(トリメチロールプロパン)、ト -(トリメチロールプロパン)、ペンタエリス トール、ジ-(ペンタエリスリトール)、トリ- (ペンタエリスリトール)等のヒンダードアル ールと炭素数2~24の脂肪酸とのエステルが好 ましい。この脂肪酸として、その炭素数は特 に制限されるものではないが、炭素数2~24の 肪酸の中でも、潤滑性の点から炭素数3以上 ものが好ましく、炭素数4以上のものがより 好ましく、炭素数5以上のものが更に好まし 、炭素数7以上のものが特に好ましい。具体 には、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン 、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウン カン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テト デカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン 、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナ カン酸、イコサン酸、オレイン酸等が挙げ れ、これらの脂肪酸は直鎖状脂肪酸、分枝 脂肪酸のいずれであってもよく、更にはα 素原子が4級炭素原子である脂肪酸(ネオ酸) あってもよい。これらの中でも、吉草酸(n- ンタン酸)、カプロン酸(n-ヘキサン酸)、エナ ント酸(n-ヘプタン酸)、カプリル酸(n-オクタ 酸)、ペラルゴン酸(n-ノナン酸)、カプリン酸 (n-デカン酸)、オレイン酸(cis-9-オクタデセン )、イソペンタン酸(3-メチルブタン酸)、2-メ チルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エ ルヘキサン酸及び3,5,5-トリメチルヘキサン が好ましく用いられる。

 また、二塩基酸と多価アルコールと一価 ルボン酸または一価アルコールから合成さ るコンプレックスエステルも好ましく用い れる。

 上記各種の合成油系の潤滑油基油は、上 の物性を満足するのであれば、単独で用い こともできるし、上記の物性を満足するよ に2種以上をブレンドして用いることもでき る。さらに、上記の鉱油と合成油を任意な混 合割合で混合して使用することもできる。こ のとき、鉱油と合成油はそれぞれ複数用いて もかまわない。鉱物油は、より汎用な基油で 、コスト面、粘度特性、酸化安定性などのバ ランスが取れている。ポリ-α-オレフィンは 化学的に不活性で安定し、性能面、特に粘 特性に優れ、幅広い粘度を有するものが市 されており、コスト面で最も優れた基油と て使用することができる。

 表面処理剤における潤滑油基油の含有量は 1~50質量%、好ましくは3~35質量%である。潤滑 油基油の含有量が少なすぎると油剤としての 特性が薄れ、一方、多すぎるとアミド基を有 する化合物の付着効果が弱くなる。
 また、機械部品表面のゲル状薄膜中の潤滑 基油の含有量は、2.0~99.8質量%、好ましくは2 0~95質量%、さらに好ましくは20~80質量%である

〔防錆剤〕
 本発明の表面処理剤に防錆剤を添加、配合 ることにより、防錆特性が発揮され、本発 の表面処理液を防錆液として用いることが きる。防錆剤としては、カルボン酸、カル ン酸塩、スルホン酸塩、リン酸、リン酸塩 エステル、アルコ-ル及びアミンの少なくと も一つの化合物を含むものであり、ステアリ ン酸等のモノカルボン酸、アルキル又はアル ケニルコハク酸及びその誘導体等のジカルボ ン酸系、アルケニルコハク酸部分エステルの ような脂肪酸の部分エステル、脂肪酸、ナフ テン酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク 酸、アミノ酸誘導体などと金属(Ca,Ba,Mg等)と カルボン酸塩、石油スルホン酸、ジノニル フタレンスルホン酸、アルキルベンゼンス ホン酸などのスルホン酸と金属(Na,Ca,Ba,Zn等) のスルホン酸塩、リン酸エステル、亜リン エステル、ジアルキルジチオリン酸、酸性 ン酸エステルのアミン塩などのリン化合物 ソルビタンモノオレ-ト、ペンタエリスリッ ト・モノオレ-トなどの多価アルコ-ルのカル ン酸部分エステル、高級脂肪酸アルコ-ル、 シクロヘキシルアミン系化合物、モルホリン 、ジエタノ-ルアミン誘導体などのアミンが げられる。さらにはカルシウムフェネート やチアジアゾール誘導体、ベンゾトリアゾ ル及びこの誘導体などの金属不活性剤が挙 られる。

 本発明の表面処理剤は防錆剤を1~50質量%含 する。防錆剤の含有量が少なすぎると防錆 果が薄れ、一方、多すぎるとアミド基を有 る化合物の付着効果が弱くなる。
 また、機械部品表面のゲル状薄膜中の防錆 の含有量は、2.0~99.8質量%、好ましくは20~95 量%、さらに好ましくは20~80質量%である。

 本発明においては、上記潤滑油基油と防 剤とは、目的に応じて、それぞれ単独で用 、また両者を併用する。表面処理剤中の揮 性液体が除去された後、アミド化合物と防 剤のみで形成されるミセル様被膜よりも潤 油基油が共存したミセル様被膜のほうが強 となり防錆性が高まるケ-スもある。アミド 化合物は室温では固体であり、防錆剤も固体 の場合はゲル状被膜を形成するために潤滑油 基油は重要な役割をはたす。但し、潤滑油基 油の量は防錆剤を溶解できる分は必要である が、量が多すぎると防錆剤の防錆効果が低減 されるので、併用する場合は注意を要する。

〔アミド基を有する化合物〕
 本発明に用いるアミド基を有する化合物(以 下、アミド化合物ともいう)は、アミド基(-NH- CO-)を1つ以上有するものである。アミド化合 は、分子量が100~1000のものが好ましく、よ 好ましくは150~800である。融点は20~200℃好ま く、より好ましくは20~120℃である。アミド 合物としては、脂肪酸アミドが好ましく、 ミド基を1個有するモノアミド、2個有する スアミド、3個有するトリアミドを挙げるこ ができ、モノアミドが最も好ましく、次い ビスアミドである。モノアミド、ビスアミ 、及びトリアミドは、下記の一般式(1)、一 式(2)及び(3)、及び一般式(4)でそれぞれ表さ る。

式中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して、炭素数5~25の飽和又 不飽和の鎖状炭化水素基であり、さらに、R 2 は水素であってもよい。

式(2)及び(3)において、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、それぞれ独立して、炭素数5~25の飽和又 不飽和の鎖状炭化水素基であり、A 1 及びA 2 は、炭素数1~10のアルキレン基、フェニレン 又は炭素数7~10のアルキルフェニレン基から 択される炭素数1~10の2価の炭化水素基であ 。なお、アルキルフェニレン基の場合、フ ニレン基とアルキル基及び/又はアルキレン の2個以上とが結合したかたちの2価の炭化 素基であってもよい。

式中、R 7 、R 8 、R 9 は、それぞれ独立して、炭素数2~25の飽和又 不飽和の鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素 又は芳香族炭化水素基であり、Mはアミド基( -CO-NH-)、A 3 、A 4 、A 5 は、それぞれ独立して、単結合又は炭素数5 下のアルキレン基である。

 モノアミド化合物は、上記式(1)で表される 、R 1 及びR 2 を構成する水素の一部は水酸基で置換されて いてもよい。このようなモノアミド化合物と して、具体的には、ラウリン酸アミド、パル ミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘ ン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド 等の飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、 エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド、 及びステアリルステアリン酸アミド、オレイ ルオレイン酸アミド、オレイルステアリン酸 アミド、ステアリルオレイン酸アミド等の飽 和又は不飽和の長鎖脂肪酸と長鎖アミンによ る置換アミド類などが挙げられる。

 これらのモノアミド化合物の中でも、式(1) R 1 及びR 2 がそれぞれ独立して炭素数11~20の飽和鎖状炭 水素基のアミド化合物及び/又はR 1 とR 2 の少なくともいずれか一方が炭素数11~20の不 和鎖状炭化水素基のアミド化合物であるこ が好ましく、両アミド化合物の混合物がよ 好ましい。さらに不飽和鎖状炭化水素基が 素数18の不飽和結合を有するオレイル基で るモノアミド化合物及び飽和鎖状炭化水素 が炭素数18のステアリル基であるモノアミド 化合物が好ましい。具体的にはオレイン酸ア ミド、オレイルオレイン酸アミド、ステアリ ン酸アミドが好ましく、摺動部に薄膜を形成 し、保持し、焼付トラブルの解消に効果的な 薄膜保持性を確保する。

 ビスアミド化合物としては、ジアミンの酸 ミド又はジ酸の酸アミドのかたちをした上 一般式(2)又は(3)でそれぞれ表される化合物 ある。なお、式(2)及び(3)でR 3 、R 4 、R 5 及びR 6 、さらにA 1 及びA 2 で表される炭化水素基において、一部の水素 が水酸基(-OH)で置換されていてもよい。
 式(2)で表されるアミド化合物として、具体 には、エチレンビスステアリン酸アミド、 チレンビスイソステアリン酸アミド、エチ ンビスオレイン酸アミド、メチレンビスラ リン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイ 酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシ テアリン酸アミド、m-キシリレンビスステ リン酸アミド等が挙げられる。式(3)で表さ るアミド化合物として、具体的には、N,N’- スステアリルセバシン酸アミド等が挙げら る。

 これらビスアミド化合物の中でも、モノア ド化合物の場合と同様に、式(2)のR 3 とR 4 及び式(3)のR 5 とR 6 がそれぞれ独立して炭素数12~20の飽和鎖状炭 水素基のアミド化合物及び/又はR 3 とR 4 及びR 5 とR 6 の少なくともいずれか一方が炭素数12~20の不 和鎖状炭化水素基のアミド化合物であるこ が好ましく、両アミド化合物の混合物がよ 好ましい。さらに不飽和鎖状炭化水素基が 素数18の不飽和結合を有するオレイル基で るビスアミド化合物が薄膜保持性を確保す 上で好ましい。このような化合物として、 チレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチ ンビスオレイン酸アミドなどが挙げられる

 一般式(4)で表されるトリアミド化合物は 数あるが、本発明に好適に用いることがで る化合物として具体的にはN-アシルアミノ ジアミド化合物が挙げられる。この化合物 N-アシル基は、炭素数1~30の直鎖又は分枝の 和又は不飽和の脂肪族アシル基又は芳香族 シル基、特にはカプロイル基、カプリロイ 基、ラウロイル基、ミリストイル基、ステ ロイル基からなるものが好ましく、またア ノ酸としてはアスパラギン酸、グルタミン からなるものが好ましく、また、アミド基 アミンは炭素数1~30の直鎖又は分枝の飽和又 不飽和の脂肪族アミン、芳香族アミン又は 環式アミン、特にはブチルアミン、オクチ アミン、ラウリルアミン、イソステアリル ミン、ステアリルアミン、シクロヘキシル ミン、ベンジルアミン等が好ましい。特に 、具体的な化合物としてN-ラウロイル-L-グ タミン酸-α,γ-ジ-n-ブチルアミドが好ましい

 上記のアミド化合物をそれぞれ単独で用 ても、2種以上の割合で組み合わせて用いて もよい。また、表面処理剤に対するアミド化 合物の含有量は、0.1~50質量%、好ましくは3~35 量%である。さらに、機械部品表面のゲル状 薄膜中のアミド化合物の含有量は、0.2~98.0質 %、好ましくは5~80質量%、さらに好ましくは2 0~80質量%である。

〔その他添加剤〕
 表面処理剤およびゲル状薄膜には、潤滑油 加工油に使用される添加剤を加えることに り、さらに薄膜の性能を向上させることが きる。添加剤としては、酸化防止剤、摩耗 止剤、消泡剤、流動点降下剤、粘度指数向 剤、加水分解安定剤などが挙げられる。機 部品表面のゲル状薄膜の元となる組成物を 製するに際して、添加剤は、潤滑油基油及 アミド化合物と混合して均一な組成物(表面 処理剤)が得られれば、どのような順番で混 してもかまわない。予め潤滑油基油と添加 とをそれぞれ所定量混合して潤滑油組成物 つくった後、アミド化合物をブレンドして 製することもできる。

 本発明で用いることができる添加剤で、好 しい酸化防止剤としては、フェノール系で 2,6-ジ-tert-ブチル-P-クレゾール(DBPC)、4,4-メ レン-ビス-(2,6-ジ-tert-ブチル-P-クレゾール)ア ミン系化合物では、P,P″-ジ-オクチル-ジ-フ ニルアミン等が挙げられる。
 摩耗防止剤としては、トリクレジルホスフ ート(TCP)、トリフェニルホスフェート、ジ ルキルジチオリン酸亜鉛、ジベンジルジス フィド等のリン系及びいおう系化合物の極 剤ないし摩耗防止剤やグリセリンモノオレ ート、グリセリンモノオレイルエーテルな の油性剤が挙げられる。

 これらの添加剤の他に、基油がエステル 場合、加水分解安定剤としてはアルキルグ シジルエステル、カルオジイミド等を使用 て加水分解を抑制することができる。さら 、消泡剤としてのシリコーン系化合物など 流動点降下剤、粘度指数向上剤としてのPMA リマーなどを加えることも効果を奏するこ があるので、使用材料、用途等に合わせて 宜選択配合する。また、前記添加剤は、数 が予め混合されたいわゆる添加剤パッケー の形で用いることもできる。

 添加剤の合計の添加量は、表面処理剤あ いは潤滑油基油100質量部に対して、0.1~10質 部、特には0.2~5質量部が好ましい。少なす ると添加剤効果が発揮できず、多すぎると 解度の問題、適正量を超えることによる特 の悪化がある。

〔表面処理剤の調製〕
 表面処理剤の調製方法は、特に限定されな 。例えば、必要により他の添加剤を加えた 滑油基油および/または防錆剤とアミド化合 物をアミド化合物の融点以上に加熱して均一 の混合し、その後、冷却により得られたゲル 状組成物に、揮発性液体を混合、撹拌して表 面処理剤を調製することができる。さらに潤 滑油基油と防錆剤の両方を用いる場合には、 必要により他の添加剤を加えた潤滑油基油と 防錆剤、およびアミド化合物をアミド化合物 の融点以上に加熱して均一に混合した後、冷 却し、得られたゲル状組成物に揮発性液体を 混合して表面処理剤を調製することができる 。他の方法としては、揮発性液体、潤滑油基 油、防錆剤、アミド化合物、さらにその他の 添加剤など調合する全ての基材を混合し、撹 拌して調製することもできる。

 本発明の表面処理剤は、常温で液体であ が、調製中、揮発性液体の蒸散によって環 の安全や作業性が阻害されない程度に温度 上げてやると均一混合の速度を速くするこ ができ、効率的である。

 表面処理剤の物性は、特に限定するもので ないが、40℃における動粘度が0.1~50mm 2 /sのものが好ましく、0.1~10mm 2 /sのものがより好ましく、さらに好ましくは0 .2~5mm 2 /sである。又、引火点が70℃以上であること 安全面から好ましい。

〔表面処理の対象〕
 表面処理の対象となる部材としては、潤滑 が要求される摺動部材や発錆を嫌う機械部 などの構成要素、機械部材を加工するため 材料となる加工素材、この加工途中の部材 または加工のために用いるジグ、工具など 加工具などが挙げられる。

 加工素材としては、金属、樹脂(プラスチッ ク)、セラミックス、ゴムなど特に限定され いが、特には、金属、樹脂に適用しやすい 具体的には、ギヤ、運動ねじ、ピストン、 ム、ベルト、チェーン、ワイヤー、ロープ どの機械部材が挙げられる。
 加工具としては、バイト、ダイス、金型な が挙げられ、これらに適用して長寿命化を ることできる。

〔表面処理の方法〕
 本発明の表面処理剤をハケ、ブラシなどを いて部材表面に塗布したり、噴霧状、ある は液体状に吹きかけたり、あるいは、表面 理剤の中に部材を浸せきすることによって 部材表面全体に表面処理剤を付着させる。 いで、静置あるいは送風、必要に応じて加 して、部材表面に付着している表面処理剤 の揮発性成分を除去する。部材を表面処理 に浸せきさせ、その後、揮発性成分を蒸発 去する方法が、薄膜の欠落がなく、操作が 易であり、簡便であるが、信頼性の高い好 しい方法である。この結果、潤滑油基油、 ミド化合物、及び添加剤でなる均一な薄膜 表面が全面的に被覆された部材が得られる

〔薄膜〕
 一方、薄膜の形成方法も、特に限定されな 。例えば、必要により添加剤を配合した潤 油基油および/または防錆剤、とアミド化合 物を混合して、アミド化合物の融点以上に加 熱して、均一に混合して、あるいは、その後 、冷却により得られたゲル状組成物を接着剤 や塗装の業界で一般的な公知の各種のコータ ーやデベロッパーなどを用いて機械部品の素 材表面に塗布して薄膜を形成することができ る。
 また、アミド化合物の融点以上の温度で液 状を保ち、その中に機械部品を浸漬し、引 上げた後余分な液をきりつつ自然冷却しゲ 化させ薄膜を形成することもできる。

 しかしながら、上記で調整した表面処理 を用いることが、簡便で最も好ましい。す わち、この表面処理剤をコーターやデベロ パーを用いて機械部品表面に塗布したり、 ケ、ブラシなどを用いて機械部品表面に塗 したり、スプレーで噴霧状あるいは液体状 吹きかけたり、あるいは処理液の中に部品 浸漬することによって、部品表面に処理液 付着させ、ついで、静置あるいは送風、必 に応じて加熱して溶剤を除去して薄膜を形 することもできる。特にこの浸漬、溶剤除 の方法は、設備がシンプルで、操作が容易 あり、複雑な形状の機械部品であっても塗 の欠落がなく信頼性の高い好ましい方法で る。なお、吹きかけ、あるいは浸漬後、通 付着した表面処理剤は自然落下して均一な 膜を形成するが、遠心力を利用して余分な 面処理剤を除去して、膜厚の調整をするこ もできる。

 薄膜の厚さは0.1~50μmであり、好ましくは1 ~30μmである。薄膜が薄いとその効果の持続性 が小さく、厚すぎるとベタベタしまわりを汚 す可能性がある。しかし、荷重などの負荷が 大きい用途の場合には効果の持続性を長時間 維持するために、厚めにしても良い。

 部材表面には、一様な薄膜が素早く形成 れるので、様々な機械システムの部品に薄 を形成させ、機械システムに組み込むこと 摩耗を防止し、発錆を抑えて機械システム 円滑に長期間稼働させることができる。特 摺動部材に適用すると、優れた潤滑性、耐 耗性を付与することができる。加工される 材や、加工具にこの薄膜を形成することで 加工時の摩耗などを低減できるばかりでな 、加工直後の発錆しやすい部品表面をこの 膜が保護し、特別の防錆シートやその他の 錆対策を施す必要がなく作業効率が向上す 。

 薄膜の厚さは、コーターなどのコーティ グ器具を用いる場合は溶剤の種類、濃度や ーターの膜厚制御機構などを適宜選択、調 することによって、また、浸漬、吹き付け どの方法で薄膜形成する場合は揮発性溶剤 種類や濃度を調整することによって制御す ことができる。薄膜の厚さは、重量変化、 干渉法などの方法で測定することができる なお、ここでの薄膜の厚さは、薄膜形成前 の重量増加から、単位表面積あたりの薄膜 量を測定し、薄膜組成物の密度から算出し ものである。

 以下に、実施例を用いて本発明をより詳 く説明するが、本発明はこれに限定される のではない。

〔実施例1~10、比較例1~4〕
 以下に示す揮発性液体、潤滑油(潤滑油基油 と添加剤の混合物)、及びアミド化合物を表2 部に示す割合(質量%)で配合して実施例1~10及 び比較例1~4の供試油(表面処理剤)を調製した

1.揮発性液体
 次の2種類の揮発性液体を使用した。
A:n-パラフィン(n-デカン:沸点170℃、融点-30℃ 引火点53℃)
B:n-オクタノール(沸点195℃、融点-15℃、引火 81℃)

2.潤滑油
 次の潤滑油基油(ア~ウ)と添加剤(エ及びオ) 表1に示す割合(質量%)で混合して潤滑油C~Hを 製した。
(1)潤滑油基油
 潤滑油基油として次の3種類の油を使用した 。
ア:鉱油(40℃における動粘度26mm 2 /s、100℃における動粘度4.8mm 2 /s、粘度指数105、流動点-15℃、引火点230℃、 酸価0.01mKOH/g)
イ:ポリ-α-オレフィン(PAO)(40℃における動粘 31mm 2 /s、100℃における動粘度5.8mm 2 /s、粘度指数132、流動点-50℃以下、引火点244 、全酸価0.01mgKOH/g)
ウ:ペンタエリスリトールと、2-ヘチルヘキサ ン酸(50モル%)/3,5,5-トリメチルヘキサン酸(50モ ル%)とのエステル(40℃における動粘度65mm 2 /s、100℃における動粘度8.3mm 2 /s、粘度指数95、流動点-40℃、引火点250℃、 酸価0.01mgKOH/g)

(2)添加剤
 次の2種類の添加剤を使用した。
エ:酸化防止剤、ジ-tert-ブチル-P-クレゾール(D BPC)
オ:耐摩耗剤、トリクレジルホスフェート(TCP)

3.アミド化合物
 アミド基を有する化合物として次のモノア ドとビスアミドを用いた。
I:モノアミド(オレイルオレイン酸アミド:ニ カアマイドO、融点35℃)
J:ビスアミド(エチレンビスオレイン酸アミド :スリパックスO、融点120℃)

4.供試油(表面処理剤)の調製
 ガラス製ビーカーに、潤滑油及びアミド化 物を表2上部に示す仕上がり供試油(表面処 剤)に対する基材の配合割合(質量%)で、それ れ約100mlの供試油が得られるように所定量 り取り、卓上電磁ヒーターを用い、アミド 合物の融点以上(融点+20℃)に加温しながら撹 拌した。均一に溶解したことを外観の観察で 判断した後、揮発性液体を所定量加え、再び 撹拌して均一な供試油(表面処理剤)を得た。

5.評価試験
(1)潤滑性
〔試験片の調製〕
 供試油にφ24mmのディスク(円盤)状試験片(材 SUJ-2)を10分間浸せきさせた後、引き上げた ィスク状試験片を室温下で30分間放置し乾燥 した。試験片表面に付着した供試油を乾燥し て形成された薄膜の量は1~20×10 -4 g/cm 2 で一定となり短時間で付着し薄膜が形成する ことがわかった。

〔焼付荷重、摩擦係数の測定〕
 実施例1~10及び比較例1~4の各組成物を用いて それぞれディスク表面に形成された薄膜の潤 滑特性(焼付荷重)を以下に記した条件に従っ ボールオンディスク試験機(SRV摩擦試験機) より試験して評価し、同時に摩擦係数を測 した。その結果を表2下部に示す。表2下部に おいて「焼付」は焼付が生じたものを示し、 「良好」は焼付が生じなかったものを示す。 「良好」なケースについては、そのときの摩 擦係数も併せて示した。
<条件>
ボール:SUJ-2(φ10mm)、ディスク:SUJ-2(φ24mm)
荷重:20N、50N、100N、200N
振幅数:20Hz、振幅:1.5mm、
温度:40℃、時間:30分

(2)防錆性
〔試験片の調製〕
 湿潤試験(JIS K2246)に準拠して防錆性を評価 るための試験片を次のようにして調製した 上記のように調製した供試油(防錆液;500ml) にステンレス鋼板(SUS304、60mm×80mm×1mm)を室温 (23℃)で1分間浸せきした。供試油から取り出 た後、室温、空気中で30分間放置し、ステ レス鋼板を乾燥し揮発性液体を蒸発除去し 、防錆剤、アミド化合物、潤滑油基油、防 剤以外の添加剤などからなる均一な薄膜を 面全体に被覆した試験片を作成した。

〔さび発生度(%)の測定〕
 JIS K2246に準拠し、上記のようにして防錆処 理を施して作成した試験片を用いた湿潤試験 を実施した。すなわち、温度49℃、相対湿度9 5%以上に設定した恒温恒湿槽内に試験片を吊 下げて発錆を強制的に促進する試験を実施 た。なお試験片は、毎分1/3回転で槽内を周 する。恒温恒湿槽内に24時間、及び72時間吊 り下げた後、試験片を取り出し、試験片に測 定板(1辺5mmの正方形の碁盤目100個を刻んだも )を重ね合わせて、肉眼でさびがある碁盤目 の数を数えた。さびの発生度(%)は次の基準で 判定した。
A:0%、B:1~10%、C:11~25%、D:26~50%、E:51~100%

6.評価
 表2の焼付荷重の試験結果から、比較例では 全てが最小荷重の20Nにて焼付を生じたが、実 施例では実施例5が100Nにて、及び実施例9と10 200Nにて焼付が生じたのみで本発明の表面処 理剤で処理することにより潤滑性(焼付荷重) 大幅に改善されることがわかる。

〔実施例11~19、比較例5~9〕
1.供試油(防錆液)の調製
 以下に示す揮発性液体、防錆剤、アミド化 物、潤滑油基油とその他添加剤などの基材 表1上部に示す割合(質量%)で配合して実施例 11~19及び比較例5~9の供試油(防錆液)を調製し 。

〔揮発性液体〕
 次の2種類の揮発性液体を使用した。
A:n-トリデカン(沸点234℃、融点-5.5℃、引火点 102℃)
B:n-オクタノール(沸点195℃、融点-15℃、引火 81℃)

〔防錆剤〕
 次の4種類の防錆剤を使用した。
C:ジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム (King Industries社製、NA-SUL CA-HT3)
D:ジノニルナフタレンスルホン酸バリウム塩( King Industries社製、NA-SUL BSN)
E:アルケニルコハク酸部分エステル(チバ・ス ペシャリティー・ケミカルズ社製、IRGACOR L12 )
F:アルケニルコハク酸アミド、イミドの混合 (エチル社製、HiTEC E536)

〔アミド化合物〕
 アミド基を有する化合物として次のモノア ドとビスアミドを用いた。
G:モノアミド(オレイルオレイン酸アミド:日 化成株式会社製、ニッカアマイドO、融点35 )
H:ビスアミド(エチレンビスオレイン酸アミド :日本化成株式会社製、スリパックスO、融点1 19℃)

〔潤滑油基油〕
 潤滑油基油として次の3種類を使用した。
I:鉱油(40℃における動粘度26mm 2 /s、100℃における動粘度4.8mm 2 /s、粘度指数105、流動点-15℃、引火点230℃、 酸価0.01mKOH/g)
J:ポリ-α-オレフィン(PAO)(40℃における動粘度3 1mm 2 /s、100℃における動粘度5.8mm 2 /s、粘度指数132、流動点-50℃以下、引火点244 、全酸価0.01mgKOH/g)
K:ペンタエリスリトールと、2-エチルヘキサ 酸(50モル%)/3,5,5-トリメチルヘキサン酸(50モ %)とのエステル(40℃における動粘度65mm 2 /s、100℃における動粘度8.3mm 2 /s、粘度指数95、流動点-40℃、引火点250℃、 酸価0.01mgKOH/g)

〔添加剤(防錆剤以外)〕
 防錆剤以外の添加剤として次の2種類の添加 剤を使用した。
L:酸化防止剤、ジ-tert-ブチル-P-クレゾール(DBP C)
M:摩耗防止剤、トリクレジルホスフェート(TCP )

〔供試油の調製〕
 アミド化合物を用いた実施例11~19の場合、 ラス製ビーカーに、防錆剤、アミド化合物 潤滑油基油、及び防錆剤以外の添加剤を、 3上部に示す仕上がり供試油に対する基材の 合割合(質量%)で、約500mlの供試油が得られ ように所定量計り取り、卓上電磁ヒーター 用い、アミド化合物の融点以上(融点+20℃)に 加温しながら撹拌した。均一に溶解したこと を外観の観察で判断した後、室温(23℃)に冷 して、液状ないしゲル状の混合物に揮発性 体を所定量加え、再び撹拌して均一な供試 を得た。
 アミド化合物を用いなかった比較例5~9の場 、表3上部に示す配合割合(質量%)で、揮発性 液体と潤滑油基油をガラス製ビーカーに計り 取り、室温(23℃)で撹拌しながらそこに防錆 及び防錆剤以外の添加剤を所定量徐々に添 して均一な供試油を得た。

2.評価試験片の調製(金属表面の防錆処理)
 JIS K2246に準拠して防錆性を評価するための 試験片を次のようにして調製した。上記のよ うに調製した供試油中に試験用炭素鋼板(JIS  G3141で規定)を室温(23℃)で1分間浸漬した。供 油から取り出した後、室温、空気中で30分 放置し、試験片を乾燥し揮発性液体を蒸発 去して、防錆剤、アミド化合物、潤滑油基 、防錆剤以外の添加剤などからなる均一な 膜を表面全体に保持する被覆試験片を作成 た。試験片表面に付着した供試油を乾燥し 形成された薄膜の量は1~20×10 -4 g/cm 2 となり短時間で付着し薄膜が形成された。

3.評価試験
 JIS K2246に基づく次の2種類の試験方法で実 例11~19及び比較例5~8の供試油の防錆性を評価 した。
(1)湿潤試験
 JIS K2246に準拠し、上記のようにして防錆処 理を施して作成した試験片を用いた湿潤試験 を実施した。すなわち、温度49℃、相対湿度9 5%以上に設定した恒温恒湿槽内に試験片を吊 下げて発錆を強制的に促進する試験を実施 た。なお試験片は、毎分1/3回転で槽内を周 する。恒温恒湿槽内に24時間、及び72時間吊 り下げた後、試験片を取り出し、試験片に測 定板(1辺5mmの正方形の碁盤目100個を刻んだも )を重ね合わせて、肉眼でさびがある碁盤目 の数を数えた。さびの発生度(%)は次の基準で 判定した。
A:0%、B:1~10%、C:11~25%、D:26~50%、E:51~100%

(2)塩水噴霧試験
 JIS K2246に準拠し、上記のようにして防錆処 理を施して作成した試験片を用いた塩水噴霧 試験を実施した。試験片への試料の塗布方法 は上記湿潤試験と同じ手順で行って塩水噴霧 試験用の被覆試験片を作成した。温度35℃の 温槽において、測定面を上にして試験片を 温槽内の保持器に置き、JIS Z2371に規定され た試験用塩溶液を噴霧し、24時間及び72時間 、試験片を取り出し、さびの発生度(%)を上 湿潤試験と同じ方法で測定し、同じ基準で 定した。

4.評価
 浸漬後の鋼板の重量測定から実施例11~19及 比較例5~8で被覆処理した試験片には数μm~10 μmの被膜ができていることがわかった(比較 9については油が付着しているため、測定し なかった)。上記の湿潤試験及び塩水噴霧試 を実施して防錆性(さび発生度)を試験し、そ の評価結果を表3下部にまとめた。
 ゲル化剤であるアミドを配合した実施例11~1 9は、その強化された付着力により、防錆性 比較例5~8より大幅に向上している。また、 剤の入っていない比較例9の場合、防錆剤の 油への溶解度との関係で、濃度を高められ いことから、より劣る結果になっている。

〔実施例20~27、比較例10~13〕
 以下に示す潤滑油基油と添加剤の混合物で る潤滑油、及びアミド化合物を表5上部に示 す割合(質量%)で配合して実施例20~25及び比較 10~12の供試油を調製した。また、潤滑油と ミド化合物にさらに揮発性溶剤を配合して 施例26、27の供試油を調製し、さらに潤滑油 揮発性溶剤を含むが、アミド化合物を含ま い比較例13の供試油を調製した。

1.潤滑油
 次の潤滑油基油(ア~ウ)、防錆剤(エ)と添加 (オ~カ)を表4に示す割合(質量%)で混合して潤 油A~Fを調製した。
(1)潤滑油基油
 潤滑油基油として次の3種類の油を使用した 。
ア:鉱油(40℃における動粘度26mm 2 /s、100℃における動粘度4.8mm 2 /s、粘度指数105、流動点-15℃、引火点230℃、 酸価0.01mKOH/g)
イ:ポリ-α-オレフィン(PAO)(40℃における動粘 31mm 2 /s、100℃における動粘度5.8mm 2 /s、粘度指数132、流動点-50℃以下、引火点244 、全酸価0.01mgKOH/g)
ウ:ペンタエリスリトールと、2-ヘチルヘキサ ン酸(50モル%)/3,5,5-トリメチルヘキサン酸(50モ ル%)とのエステル(40℃における動粘度65mm 2 /s、100℃における動粘度8.3mm 2 /s、粘度指数95、流動点-40℃、引火点250℃、 酸価0.01mgKOH/g)

(2)防錆剤
 エ:Baジノニルナフタレンスルホネート(BNNS)

(3)その他の添加剤
 次の2種類の添加剤を使用した。
オ:酸化防止剤、ジ-tert-ブチル-P-クレゾール(D BPC)
カ:耐摩耗剤、トリクレジルホスフェート(TCP)

2.アミド化合物
 アミド基を有する化合物として次のモノア ドとビスアミドを用いた。
G:モノアミド(オレイルオレイン酸アミド:日 化成株式会社製、ニッカアマイドO、融点35 )
H:ビスアミド(エチレンビスオレイン酸アミド :日本化成株式会社製、スリパックスO、融点1 20℃)

3.揮発性溶剤
 次の2種類の揮発性溶剤を使用した。
I:n-パラフィン(n-デカン:沸点170℃、融点-30℃ 引火点53℃)
J:n-オクタノール(沸点195℃、融点-15℃、引火 81℃)

4.供試油の調製
 実施例20~25及び比較例10~12については、ガラ ス製ビーカーに、潤滑油及びアミド化合物を 表5上部に示す仕上がり供試油に対する基材 配合割合(質量%)で、それぞれ約100mlの供試油 が得られるように所定量計り取り、卓上電磁 ヒーターを用い、アミド化合物の融点以上( 点+20℃)に加温しながら撹拌し、供試油を得 。実施例26、27については、同様にして潤滑 油及びアミド化合物を混合、撹拌し、均一に 溶解したことを外観の観察で判断した後、揮 発性溶剤を所定量加え、再び撹拌して均一な 供試油を得た。
 比較例13の供試油は、潤滑油Fと揮発性溶剤I (n-デカン)を表5に示す割合で配合し均一に撹 し調製した。

5.評価試験
(1)潤滑性
〔試験片の調製〕
 実施例20~25及び比較例10~12の場合、供試油を ヘラで付着量が、約1×10 -3 g/cm 2 になるようにφ24mmのディスク(円盤)状試験片( 材質SUJ-2)に塗りつけ、約10μmの厚さのゲル状 膜を形成させた。また実施例26、27と比較例 13の場合は、供試油にディスク(円盤)状試験 を10分間浸漬させた後、引き上げたディスク 状試験片を室温下で30分間放置し乾燥した。 験片表面に付着した供試油を乾燥して形成 れた薄膜の量は1~5×10 -4 g/cm 2 (厚さは約1~5μm)で一定となり短時間で付着し 膜が形成されることがわかった。

〔焼付荷重、摩擦係数の測定〕
 実施例20~27及び比較例10~13の試験片(ディス )を用いてそれぞれディスク表面に形成され 薄膜の潤滑特性(焼付荷重)を以下に記した 件に従ってボールオンディスク試験機(SRV摩 試験機)により試験して評価し、同時に摩擦 係数を測定した。その結果を表5下部に示す 表5下部において「焼付」は焼付が生じたも を示し、「良好」は焼付が生じなかったも を示す。「良好」なケースについては、そ ときの摩擦係数も併せて示した。
<条件>
ボール:SUJ-2(φ10mm)、ディスク:SUJ-2(φ24mm)
荷重:20N、50N、100N、200N
振幅数:20Hz、振幅:1.5mm、
温度:40℃、時間:30分

(2)防錆性
〔試験片の調製〕
 湿潤試験(JIS K2246)に準拠して防錆性を評価 るための試験片はステンレス鋼板(SUS304、60m m×80mm×1mm)を用いた。実施例20~25及び比較例10~ 12の場合、それぞれの供試油をステンレス鋼 にハケで塗り、厚さ約10μmの薄膜を形成さ た。実施例26、27と比較例13の場合は、ステ レス鋼板を供試油に10分間浸漬した後、供試 油から取り出し、室温下、空気中で30分間放 し、ステンレス鋼板を乾燥し揮発性溶剤を 発除去して、潤滑油とアミド化合物からな 均一な薄膜を表面全体に被覆した試験片を 成した。薄膜の厚さは、1~5μmであった。

〔さび発生度(%)の測定〕
 JIS K2246に準拠し、上記のようにして被覆処 理を施して作成した試験片を用いた湿潤試験 を実施した。すなわち、温度49℃、相対湿度9 5%以上に設定した恒温恒湿槽内に試験片を吊 下げて発錆を強制的に促進する試験を実施 た。なお試験片は、毎分1/3回転で槽内を周 する。恒温恒湿槽内に24時間、及び72時間吊 り下げた後、試験片を取り出し、試験片に測 定板(1辺5mmの正方形の碁盤目100個を刻んだも )を重ね合わせて、肉眼でさびがある碁盤目 の数を数えた。さびの発生度(%)は次の基準で 判定した。
A:0%、B:1~10%、C:11~25%、D:26~50%、E:51~100%

6.評価
 表5の焼付荷重の試験結果から、比較例では 全てが最小荷重の20Nにて焼付を生じたが、実 施例では実施例26が100Nにて、及び実施例23が2 00Nにて焼付が生じたのみで、本発明の表面薄 膜を形成させることにより潤滑性(焼付荷重) 大幅に改善されることがわかる。また、防 性の試験結果から、実施例の供試油で被覆 理を施された試験片は、比較例のものと比 て防錆能も大幅に向上していることがわか 。

 本発明の表面処理剤は、加工素材や機械部 の表面に容易に、耐摩耗性、潤滑性、加工 や防錆性に優れる薄膜を形成する。この薄 は、金属、樹脂、セラミックス、ゴムなど 加工素材を加工するさまざまな加工工程に ける効率を向上するために、あるいは機械 ステムの潤滑摺動部品の耐摩耗性や潤滑性 向上するため、さらには材料保存時、材料 工後あるいは機械システム稼動時の防錆性 向上するために好適に使用することができ 。
 さらに、本発明のゲル状薄膜を表面に有す 機械部品は、耐摩耗性、潤滑性、加工性や 錆性に優れる。この薄膜は、金属、樹脂、 ラミックスなどの機械部品を加工する様々 加工工程における作業効率を向上するため 、あるいは保管時の防錆性を高めるために 効である。