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Title:
SWASH PLATE OF SWASH-PLATE TYPE COMPRESSOR AND SWASH-PLATE TYPE COMPRESSOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110378
Kind Code:
A1
Abstract:
Disposed is a swash plate of a swash-plate type compressor wherein the basic requirement characteristics of a swash plate, i.e. stabilized boundary lubrication conditions by lubricant, are achieved without forming a sprayed layer composed of a copper based or an aluminum based material as an intermediate layer on the surface of a substrate (3a) forming the swash plate (3) of a swash-plate type compressor. Since the substrate (3a) of the swash plate (3) consists of a disk-shaped steel plate obtained by pressing a rolled steel plate into a disk shape and polishing processing is performed on the both surfaces of the disk-shaped steel plate, adhesion of a resin coating layer (10) containing fluororesin exhibiting an excellent seizure resistance is ensured sufficiently even if a sprayed layer is not formed on the surface, and therefore the substrate can be used even in a swash-plate type compressor employing carbon dioxide gas as refrigerant.

Inventors:
TANIGAWA NAONARI (JP)
OKI YOSHIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053666
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
February 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
TANIGAWA NAONARI (JP)
OKI YOSHIO (JP)
International Classes:
F04B27/08
Foreign References:
JP2006008994A2006-01-12
JP2000079422A2000-03-21
JP2006007253A2006-01-12
JP2002210640A2002-07-30
JPS62251078A1987-10-31
JP2007169426A2007-07-05
JP2006045493A2006-02-16
JPH06329872A1994-11-29
JPH073149A1995-01-06
JPH10205437A1998-08-04
Attorney, Agent or Firm:
KAMADA, Bunji et al. (JP)
Bunji Kamata (JP)
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Claims:
 冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、直角および斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して前記斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサの斜板において、前記斜板の基板が、圧延された鋼板を円盤状にプレス加工した円盤状鋼板からなり、この円盤状鋼板の両表面を研磨加工して前記シューが摺動する摺動面とし、この摺動面に、フッ素樹脂が40~50重量%配合された低摩擦樹脂被覆層を形成したことを特徴とする斜板式コンプレッサの斜板。
 前記円盤状鋼板の両表面が、両頭研磨機によって研磨加工されていることを特徴とする請求項1に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 前記研磨加工は、円盤状鋼板の軸中心を保持したまま回転させ、摺動面となる上面、下面を同時に砥石にて研磨するドライブ式両頭研磨法であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 研磨加工された円盤状鋼板の両表面は、平面度8μm以下、平行度10μm以下であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 前記低摩擦樹脂被覆層の下地にショットブラスト処理が施されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 前記円盤状鋼板の素材がSAPH440Cであることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 前記低摩擦樹脂被覆層を形成する塗膜は、塗膜に対してフッ素樹脂40~50重量%およびマトリックス樹脂45~55重量%に、黒鉛1~10重量%を含むことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 前記低摩擦樹脂被覆層を形成する塗膜は、塗膜に対してフッ素樹脂40~50重量%および黒鉛1~10重量%、残部がマトリックス樹脂および不純物であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチレン樹脂であり、前記マトリックス樹脂がポリアミドイミド樹脂であり、前記黒鉛が固定炭素97.5%以上の黒鉛であることを特徴とする請求項7又は8に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 前記黒鉛が固定炭素98.5%以上の人造黒鉛であることを特徴とする請求項9に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
 請求項1~請求項10のいずれかに記載の斜板を備えた斜板式コンプレッサ。
 斜板と摺動するシューの表面に潤滑膜を形成していないことを特徴とする請求項11に記載の斜板式コンプレッサ。
Description:
斜板式コンプレッサの斜板およ 斜板式コンプレッサ

 本発明は、エアコンディショナ等に用い れる斜板式コンプレッサの斜板および斜板 コンプレッサに関する。

 冷媒が存在するハウジング内で、回転軸 直接固定するように、または連結部材を介 て間接的に、直角および斜めに取り付けた 板にシューを摺動させ、このシューを介し 斜板の回転運動をピストンの往復運動に変 して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コン レッサには、両頭形のピストンを用いて冷 を両側で圧縮、膨張させる両斜板タイプの のと、片頭形のピストンを用いて冷媒を片 のみで圧縮、膨張させる片斜板タイプのも とがある。また、シューは斜板の片側面の で摺動するものと、斜板の両側面で摺動す ものとがある。

 これらの斜板式コンプレッサでは、運転 期において、冷媒が存在するハウジング内 潤滑油が到達する前に金属製の斜板とシュ が摺動する場合があるので、これらの摺動 が潤滑油のないドライ潤滑状態となり、焼 きが発生しやすい。また、近年開発が行な れている炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コ プレッサでは、コンプレッサ内の圧力が10MP aにも達するため、斜板とシューとの摺動圧 もこれまでより高くなり、斜板の摺動部に さらに焼付きが発生しやすくなる。

 この焼付きを防止する手段としては、こ までに、シューが摺動する金属製斜板の摺 面に、銅系またはアルミニウム系の金属材 を溶射し、この金属溶射層に鉛系めっき、 系めっき、鉛-錫系めっき、ポリテトラフル オロエチレン(PTFE)系被覆、二硫化モリブデン 被覆または二硫化モリブデン・黒鉛混合被覆 を施したもの(例えば、特許文献1参照)や、斜 板の摺動面に、アルミニウムの溶射膜を介し て、二硫化モリブデンやポリテトラフルオロ エチレン等の固体潤滑剤と、土状黒鉛等の移 着量調整剤とポリアミドイミド等のバインダ からなる潤滑用皮膜を形成したもの(例えば 特許文献2参照)等が提案されている。

 斜板の金属基材と樹脂潤滑被膜の間に銅 、アルミニウム系の溶射層を形成する目的 、樹脂潤滑被膜が焼付いた場合においても 樹脂潤滑被膜が剥がれないようにするため ある。銅系、アルミニウム系の軟質金属を 用することで、樹脂潤滑被膜が摩耗したと てもシューと金属基材が直接摺動しないよ にして、取り返しの付かない焼付きの発生 防止している。

 しかし、溶射層の形成はコストアップや斜 の平面精度の低下に影響することから、溶 層を除く検討もされている。例えば、ポリ トラフルオロエチレンを含有する固体潤滑 を熱硬化樹脂であるポリアミドイミド樹脂 固めた摺動層を有する斜板に対し、その摺 相手であるシューの表面にニッケル系メッ を設けることで、斜板とシューとの潤滑性 さらに高くして焼付けを防止することも提 されている(特許文献3)。
 また、耐摩耗性を向上させた塗膜強度の高 斜板では、なじみ性が悪くなり摺動抵抗が くなり塗膜剥離が発生するため、流体潤滑 境界潤滑、ドライ潤滑での摩擦特性を高く る目的で、固体潤滑コーティング膜の摺動 面に、複数の同心状の周方向の溝と該溝間 山部を形成することも提案されている(特許 文献4)。

特開平8-199327号公報

特開2002-089437号公報

特開2003-138287号公報

国際公開WO2002/075172

 上記のように、潤滑膜のアンカー効果の めに、基板の表面に中間層として銅系また アルミニウム系材料からなる溶射層を形成 ることは、コストアップや斜板の平面精度 低下に影響するという問題がある。

 そこで、本発明は、基板の表面に中間層 して銅系またはアルミニウム系材料からな 溶射層を形成することなく、斜板の基本的 求特性である、潤滑油による安定した境界 滑状態を実現し、潤滑油が枯渇した際にも 境界潤滑状態で摩擦摩耗特性を安定化させ ことを課題とするものである。

 上記の課題を解決するために、本発明は 冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に 接固定するように、または連結部材を介し 間接的に、直角および斜めに取り付けた斜 にシューを摺動させ、このシューを介して 記斜板の回転運動をピストンの往復運動に 換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コ プレッサの斜板において、前記斜板の基板 、圧延された鋼板を円盤状にプレス加工し 円盤状鋼板からなり、この円盤状鋼板の両 面を研磨加工して前記シューが摺動する摺 面とし、この摺動面に、フッ素樹脂が40~50 量%配合された低摩擦樹脂被覆層を形成した 成を採用した。

 すなわち、本発明の斜板の基板は、圧延 れた鋼板を円盤状にプレス加工した円盤状 板からなり、この円盤状鋼板の両表面を研 加工したものであるから、表面の平面精度 良好であり、表面に溶射層を形成しなくて 、低摩擦樹脂被覆層を形成する塗膜の密着 が良好で、低摩擦樹脂被覆層の剥がれを防 することができる。

 また、斜板の基板表面の平面精度が良好 あるから、低摩擦樹脂被覆層の均膜性確保 より潤滑油による安定した境界潤滑状態を 現し、潤滑油が枯渇した際にも、境界潤滑 態で摩擦摩耗特性を安定化させることがで る。

 前記円盤状鋼板の両表面は、両頭研磨機に って研磨加工することができる。
 前記研磨加工は、円盤状鋼板の軸中心を保 したまま回転させ、摺動面となる上面、下 を同時に砥石にて研磨するドライブ式両頭 磨法を採用することができる。
 前記研磨加工された円盤状鋼板の両表面は 平面度8μm以下、平行度10μm以下であること 望ましい。
 この発明において、平面度および平行度と 、JIS B 0182で定義されるものである。

 前記低摩擦樹脂被覆層の下地として、ショ トブラスト処理を施すこともできる。
 前記円盤状鋼板の素材としては、SAPH440Cを 用することができる。

 前記低摩擦樹脂被覆層を形成する低摩擦樹 塗料としては、次のようなものを使用する とができる。
 低摩擦樹脂塗料は、塗膜に対してフッ素樹 が40~50重量%配合されている。該フッ素樹脂 、低摩擦で非粘着性を被覆層に付与でき、 つ摺動部材の使用温度雰囲気に耐える耐熱 を有するものであれば使用することができ 。

 具体的には、ポリテトラフルオロエチレン( 融点327℃、連続使用温度260℃、以下PTFEと言 )をあげることができる。PTFEは、-CF 2 CF 2 -の繰り返し単位より構成され、約340~380℃の 融粘度が約10 10 ~10 11 Pa・sと高く、融点を越えても流動し難く、フ ッ素樹脂の中では最も耐熱性に優れている。 また、低温下でも優れた性質を示し、摩擦摩 耗特性にも優れており、本発明に好適である 。PTFEは粉末であり特に限定するものではな が、塗膜の表面平滑性のために粒径30μm以下 の粉末が好ましい。

 低摩擦樹脂塗料においてマトリックス材 、斜板の使用時に熱劣化することのない耐 性と、フッ素樹脂粉末を結着させ、低摩擦 脂塗料を斜板基材に強固に密着させること できる耐熱性樹脂であれば使用することが きる。

 具体的には、ポリアミドイミド樹脂(PAI) あげることができる。PAIは、分子内にイミ 結合とアミド結合とを有する樹脂である。 た、芳香族系ポリアミドイミド樹脂のイミ 結合は、ポリアミド酸などの前駆体であっ も、また閉環したイミド環であってもよく さらにはそれらが混在している状態であっ もよい。

 このような芳香族系PAIは、芳香族第一級 アミン、たとえばジフェニルメタンジアミ と芳香族三塩基酸無水物、たとえばトリメ ット酸無水物のモノまたはジアシルハライ 誘導体から製造されるPAI、芳香族三塩基酸 水物と芳香族ジイソシアネート化合物、た えばジフェニルメタンジイソシアネートと ら製造されるPAIなどがあり、さらに、アミ 結合に比べてイミド結合の比率を大きくし PAIとして、芳香族、脂肪族または脂環族ジ ソシアネート化合物と芳香族四塩基酸二無 物および芳香族三塩基酸無水物とから製造 れるPAI等があり、いずれのPAIであっても使 することができる。

 本発明の低摩擦樹脂塗料には、さらに黒 を配合することが好ましい。黒鉛は固体潤 剤として優れた特性を有することは周知で り、斜板の固体潤滑剤としても使用されて る。

 黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛に大別され 人造黒鉛は製造工程中に出来るカーボラン ムのため潤滑性能を阻害されることと、黒 化の十分に進んだ黒鉛を造ることが難しい め潤滑剤には適していない。天然黒鉛は完 に黒鉛化されたものが産出されるため、非 に高い潤滑特性を有しており固体潤滑剤と て適している。しかし、不純物を多く含み この不純物が潤滑性を低下させるため、不 物を除去しなければならないが、完全に除 することは困難である。

 本発明の低摩擦樹脂塗料では、固定炭素9 7.5%以上の黒鉛の使用が好ましく、さらには 固定炭素98.5%以上の人造黒鉛が好ましい。上 記黒鉛では潤滑油とのなじみ性が高く表面に 潤滑油が付着していなくても黒鉛中に微量に 含浸された潤滑油によって潤滑性が維持され るので好ましい。

 本発明の低摩擦樹脂塗料の配合割合は、 膜に対してフッ素樹脂40~50重量%、マトリッ ス樹脂50~60重量%である。それぞれの成分を の範囲に配合することにより、基板との密 性、塗膜の耐摩耗性等の機能を発揮させる とができる。フッ素樹脂が40重量%未満であ と摩擦特性が劣化し、50重量%を超えると塗 の密着性を損ない、剥がれの原因となる。

 さらに摩擦摩耗特性を改質する目的で黒 を配合することが好ましい。この場合、塗 に対してフッ素樹脂40~50重量%、マトリック 樹脂45~55重量%、黒鉛1~10重量%とする。黒鉛 1重量%未満であると黒鉛を配合した場合の摩 擦摩耗特性の改質効果が認められず、10重量% を超えると塗膜の密着性を損ない、剥がれの 原因となる。マトリックス樹脂は、45重量%未 満であると塗膜の密着性を損ない、剥がれの 原因となり、55重量%を超えると摩擦特性が劣 化する。

 本発明に係る塗膜は上記低摩擦樹脂塗料 スプレーコーティングすることで行う。低 擦樹脂塗料は固形分であるフッ素樹脂とマ リックス樹脂および黒鉛を溶剤類に分散ま は溶解させることにより得られる。溶剤類 しては、アセトン、メチルエチルケトン等 ケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエ テル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭 水素類、メチルクロロホルム、トリクロロ チレン、トリクロロトリフルオロエタン等 有機ハロゲン化化合物類、N-メチル-2-ピロ ドン(NMP)、メチルイソピロリドン(MIP)、ジメ ルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミ (DMAC)等の非プロトン系極性溶剤類などを使 することができる。これらの溶剤類は、単 または混合物として使用することができる

 上記の低摩擦樹脂塗料を基板にスプレー ート法により塗布し焼成することで結着さ た塗膜は、焼成後の厚さで20~50μmの膜厚と る。基材の研磨加工にて述べた同一の両頭 磨法にて低摩擦樹脂塗料の膜厚を8~30μmに加 することで、最終の部品仕上げ精度、平面 10μm以下、平行度10μm以下とすることができ る。

 また、本発明は、斜板式コンプレッサを 述したいずれかの斜板を備えたものとした 成も採用した。

 前記斜板式コンプレッサは、炭酸ガスを 媒に用いたものに好適である。

 本発明の斜板式コンプレッサの斜板の基板 、圧延された鋼板を円盤状にプレス加工し 円盤状鋼板からなり、この円盤状鋼板の両 面を研磨加工したものであるから、表面の 面精度が良好であり、表面に溶射層を形成 なくても、低摩擦樹脂被覆層を形成する塗 の密着性が良好で、低摩擦樹脂被覆層の剥 れも少ない。
 また、斜板の基板表面の平面精度が良好で るから、低摩擦樹脂被覆層の均膜性が確保 れ、潤滑油による安定した境界潤滑状態を 現し、潤滑油が枯渇した際にも、境界潤滑 態で摩擦摩耗特性を安定化させることがで る。

 また、本発明の斜板式コンプレッサは、 述した斜板を備えたものとしたので、コン レッサ内の圧力が10MPaにも達する炭酸ガス 冷媒に用いる斜板式コンプレッサに使用し も、十分に耐用可能なものとすることがで る。

斜板式コンプレッサの実施形態を示す 断面図 図1の斜板を拡大して示す断面図 図1の斜板の部分切欠き側面図

符号の説明

1 ハウジング
2 回転軸
3 斜板
3a 基板
4 シュー
5 ピストン
5a 凹部
6 シリンダボア
7 針状ころ軸受
8 スラスト針状ころ軸受
9 球面座
10 樹脂被覆層

 以下、図面に基づき、この発明の実施形 を説明する。この斜板式コンプレッサは炭 ガスを冷媒に用いるものであり、図1に示す ように、冷媒が存在するハウジング1内で、 転軸2に直接固定するように斜めに取り付け 斜板3の回転運動を、斜板3の両側面で摺動 るシュー4を介して両頭形ピストン5の往復運 動に変換し、ハウジング1の周方向に等間隔 形成されたシリンダボア6内の各ピストン5の 両側で、冷媒を圧縮、膨張させる両斜板タイ プのものであり、高速で回転駆動される回転 軸2は、ラジアル方向を針状ころ軸受7で支持 れ、スラスト方向をスラスト針状ころ軸受8 で支持されている。

 前記各ピストン5には斜板3の外周部を跨 ように凹部5aが形成され、この凹部5aの軸方 対向面に形成された球面座9に、半球状のシ ュー4が着座されている。このシュー4は球状 ものもあり、ピストン5を斜板3の回転に対 て相対移動自在に支持する。これによって 斜板3の回転運動からピストン5の往復運動へ の変換が円滑に行われる。

 前記斜板3の基材3aのシュー4が摺動する基材 3aの両側面の表面には、図2に示すように、フ ッ素樹脂としてのPTFE、耐熱性樹脂としてのPA I、および黒鉛粉末から成る樹脂被覆層10が形 成されている。
 前記斜板3の基材3aは、圧延された鋼板を円 状にプレス加工した円盤状鋼板からなり、 の円盤状鋼板の両表面を研磨加工して前記 ューが摺動する摺動面にしている。この摺 面には、フッ素樹脂が40~50重量%配合された 摩擦樹脂被覆層10を形成している。

 前記樹脂被覆層10は、PAIを溶媒に溶解さ 、この溶解させた樹脂溶液にPTFEと黒鉛粉末 配合して希釈したコーティング剤を、基板3 aの表面にスプレーコート法で塗布して、240 で焼成したものであり、その配合割合は、PT FE100重量部に対して、PAIが150重量部、黒鉛粉 が10重量部とされている。なお、PTFEは再生P TFEの放射線照射材、PAIはN-メチルピロリドン 分散されたPAIワニス、黒鉛粉末は平均粒径 10μmの人造黒鉛とした。

(実施例)
 前記斜板3の基板3aを次のようにして製作し 。SAPH440C鋼板をプレス加工によって円盤状 成形した後、旋盤にて厚み6.5mm×φ90mmの粗加 を行った。その後、両頭研磨機(砥石:#80)で み6.36mmとなるように両面を研磨した。この の精度測定値を表1に示す。

 次に、円板基材の表面にショットブラス を行い表面粗度を高めた。

 次に、試験片について、固形分として配 Aを含む低摩擦樹脂塗料をスプレーコート法 でそれぞれの両面に焼成後30μmとなるように 布した。焼成後に両頭研磨機(砥石:樹脂用#4 00)にて研磨して最終仕上げ加工(厚み6.40mm)を った。この際の精度測定値を表1に併記した 。

配合A
(a)PTFE:平均粒径10μmのPTFE  40重量%
(b)PAI:ガラス転移温度245℃品    55重量%
(c)黒鉛粉末:平均粒径10μmの人造品   5重量%

(比較例)
 S45C鋼材を旋盤加工によって円盤状(t=6.5mm×φ 90mm)に切削した後、平面研磨機(砥石:#80)にて み6.36mmとなるように両面を研磨した。この の精度測定値を表1に示す。
 次に該試験片について、配合Aをスプレーコ ート法でそれぞれの両面に焼成後30μmとなる うに塗布した。焼成後に平面研磨機(砥石: 脂用#400)にて研磨して最終仕上げ加工(厚み6. 40mm)を行った。この際の精度測定値を表1に併 記した。

 基板3aの仕上げ加工をした後の精度を見 と実施例1は平面度8μm以下、平行度10μm以下 得られている。実施例2は、平行度(厚み不 )が15μm発生している。それが影響して、コ ティング後の最終仕上げ精度を見ると実施 1の膜厚ばらつきが3μm程度で安定しているの に対して、実施例2では12μmである。

 比較例1では、下地仕上げ加工をした後の 精度が平面度20μm、平行度35μmであり、コー ィング後の最終仕上げにおいて、下地が露 した部分があった。

 上記実施例と比較例の各試験片に対して3つ の鋼製シュー(SUJ2)を摺動させるスラスト型試 験機(3シュー・オン・タイプ)を用いた摩擦摩 耗試験を行い、試験初期と5分後の摺動部の 擦係数と、5分後の試験片摺動面の摩耗量を 定した。試験条件は以下の通りである。
 ・摺動面圧:10MPa
 ・摺動速度:210m/分
 ・潤滑条件:PAG系冷凍機油で摺動面を濡らし た状態
 ・試験時間:5分間
  上記摩擦摩耗試験の結果を表2に示す。

 実施例のものは、いずれも試験初期から5 分後までの摩擦係数が安定しており、摺動面 の摩耗量も非常に少ない。これに対して、比 較例のものは、いずれも樹脂塗膜が基板から 剥離した箇所が認められた。以上の結果より 、本発明に係る斜板は、耐焼付き性の優れた フッ素樹脂を含有する樹脂塗膜が剥がれにく く、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達する 酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサ 使用しても、十分に耐用可能であることが かった。

 以上説明したように、本発明の斜板は、圧 された鋼板を円盤状にプレス加工後、該プ ス加工で得られた円盤状鋼板の両表面を両 研磨機によって研磨加工し、塗膜に対して ッ素樹脂が40~50重量%配合された低摩擦樹脂 料をすべり面の表面に形成する構造を採用 たため、従来必須であった溶射層が不要と った。
 金属基板および低摩擦樹脂塗料を高精度に 工できるため、摩耗の偏りが生じず冷凍機 が枯渇した際にも金属基材が露出すること ない。

 金属基板が、機械加工にて平面度8μm以下 、平行度10μm以下にした後、フッ素樹脂系コ ティングを塗布し、さらに、塗布されたフ 素樹脂系コーティング膜について、機械加 にて部品最終仕上げ精度を、平面度10μm以 、平行度10μm以下にすることができた。

 これによって、本発明の斜板は、より経 的であるとともに、斜板式コンプレッサの 転において、冷凍機油が枯渇した際にも安 した境界潤滑状態を得る有効な対策である とも確認された。




 
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