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Patent Searching and Data


Title:
SYSTEM FOR FORMING AND MAINTAINING BIOLOGICAL TISSUE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/051074
Kind Code:
A1
Abstract:
A system (10) for forming and maintaining a biological tissue by which a biological tissue can be artificially formed by culturing cells, which comprises a pulse pump (12), a circulation pathway (13) having such a circuit structure as allowing a liquid cell culture medium discharged from the pulse pump (12) to return into the pulse pump (12), and a cell culture section (14A) and a gas exchange section (14B) provided along the circulation pathway (13). The cell culture section (14A) holds a cell holder (H) in such a manner to form a first channel wherein the liquid cell culture medium flowing in the circulation pathway (13) passes through thecell holder (H) and returns into the circulation pathway (13) and a second channel wherein the liquid cell culture medium flowing in the circulation pathway (13) passes outside the cell holder (H) and returns into the circulation pathway (13), thereby bringing about a difference in pressure between the liquid cell culture media passing through the respective channels. The gas exchange section (14B) supplies a mixed gas containing oxygen and carbon oxide to the liquid cell culture medium circulating within the circulation pathway (13) and thus controls the pH value of the liquid cell culture medium at a definite level.

Inventors:
IWASAKI KIYOTAKA (JP)
UMEZU MITSUO (JP)
KOJIMA KOJI (JP)
VACANTI ALFRED CHARLES (US)
Application Number:
PCT/JP2008/068450
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV WASEDA (JP)
IWASAKI KIYOTAKA (JP)
UMEZU MITSUO (JP)
KOJIMA KOJI (JP)
VACANTI ALFRED CHARLES (US)
International Classes:
C12M3/00; A61F2/06; A61L27/00
Domestic Patent References:
WO2002090490A12002-11-14
WO1997049799A11997-12-31
Foreign References:
JP2006109707A2006-04-27
JPH09313166A1997-12-09
JP2004049185A2004-02-19
JP2006000105A2006-01-05
JP2003284767A2003-10-07
Other References:
See also references of EP 2199381A4
Attorney, Agent or Firm:
ENOMOTO, Hidetoshi (Tokyo, 71, JP)
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Claims:
 空間部分が形成されるとともに所定の基材に生体組織の細胞を付着してなる細胞保持体を細胞培養液に浸漬し、前記細胞を培養することで前記生体組織を形成維持する生体組織形成維持装置であって、
 前記細胞培養液に拍動流を与える拍動ポンプと、当該拍動ポンプから吐出した前記細胞培養液が拍動ポンプに戻るように回路構成された循環路と、当該循環路の途中に設けられた細胞培養部及びガス交換部とを備え、
 前記循環路は、前記細胞培養液の圧力の振幅調整をするコンプライアンス手段と、当該コンプライアンス手段よりも下流側に配置され、前記細胞培養液の流れに抵抗を付与することで当該細胞培養液の平均脈圧を調整する抵抗付与手段とを備え、
 前記細胞培養部は、前記循環路を流れる前記細胞培養液が前記細胞保持体の空間部分を通って前記循環路に戻る第1の流路と、前記循環路を流れる前記細胞培養液が前記細胞保持体の外側を通って前記循環路に戻る第2の流路とが形成されるように、前記細胞保持体を保持するとともに、第1及び第2の流路を通る各細胞培養液間で圧力差を発生させ、
 前記ガス交換部は、前記循環路内を循環する前記細胞培養液に酸素及び二酸化炭素を含む混合ガスを供給することで、前記細胞培養液のpHを所定値に調整することを特徴とする生体組織形成維持装置。
 前記細胞培養部は、内部空間が形成された容器本体と、前記内部空間から外部にそれぞれ開放する第1、第2、第3及び第4の開放路とを備え、
 前記第1及び第2の開放路は、前記細胞保持体の空間部分に連通して前記第1の流路を形成し、
 前記第3及び第4の開放路は、前記細胞保持体の外側における前記内部空間に連通して前記第2の流路を形成するとともに、前記第1の流路よりも下流側となる前記循環路の部位間をバイパスするバイパス路に繋がり、前記循環路内の圧力変化を利用して、第1及び第2の流路を通る各細胞培養液間で圧力差を発生させることを特徴とする請求項1記載の生体組織形成維持装置。
 前記ガス交換部は、前記循環路内の前記細胞培養液をも交換可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の生体組織形成維持装置。
Description:
生体組織形成維持装置

 本発明は、生体組織を構成する細胞を培 することで、当該生体組織を人工的に形成 ることができる他、生体組織の機能を体外 維持可能な生体組織形成維持装置に関する

 従来、熱可塑性樹脂からなる多孔性のスキ ホールド材を足場とし、平滑筋細胞を培養 ることで得られた人工血管が提案されてい (特許文献1参照)。この人工血管は、前記ス ャホールド材を厚さ2mm程度の管状に形成し 当該スキャホールド材の内部を平滑筋細胞 含まれたコラーゲン溶液で満たし、37℃の ンキュベータ内で3日間程度培養することで られる。この人工血管は、スキャホールド が多孔性となっているため、その管壁内ま 平滑筋細胞が壊死せずに分布することにな 。

特開2003-284767号公報

 しかしながら、前記引用文献1の人工血管 にあっては、スキャホールド材が心材として 残るため、人体の血管と同様に、内皮細胞、 平滑筋細胞及び線維芽細胞が層状に構成され た人工血管が作成される訳ではない。

 そこで、仮に、体内で加水分解により溶 可能なポリグリコール酸やポリεカプロラ トン等の体内分解吸収性高分子を足場(基材) として、血管を構成する細胞をインキュベー タ内で培養したとしても、数μm程度の厚さの ものしかできず、mmオーダーの厚さを有する 脈血管等と同等な血管組織を人工的に作成 ることは、従来不可能であった。

 また、このように人工的に形成された組 或いは移植用等の生の組織の機能を維持し がら体外で保存する装置は、従来存在しな った。

 本発明は、このような課題に着目して案 されたものであり、その目的は、細胞培養 より、血管組織等の生体組織を人工的に形 可能にする他、体外で生体組織の機能を維 できる生体組織形成維持装置を提供するこ にある。

 前記目的を達成するため、本発明は、空間 分が形成されるとともに所定の基材に生体 織の細胞を付着してなる細胞保持体を細胞 養液に浸漬し、前記細胞を培養することで 記生体組織を形成維持する生体組織形成維 装置であって、
 前記細胞培養液に拍動流を与える拍動ポン と、当該拍動ポンプから吐出した前記細胞 養液が拍動ポンプに戻るように回路構成さ た循環路と、当該循環路の途中に設けられ 細胞培養部及びガス交換部とを備え、
 前記循環路は、前記細胞培養液の圧力の振 調整をするコンプライアンス手段と、当該 ンプライアンス手段よりも下流側に配置さ 、前記細胞培養液の流れに抵抗を付与する とで当該細胞培養液の平均脈圧を調整する 抗付与手段とを備え、
 前記細胞培養部は、前記循環路を流れる前 細胞培養液が前記細胞保持体の空間部分を って前記循環路に戻る第1の流路と、前記循 環路を流れる前記細胞培養液が前記細胞保持 体の外側を通って前記循環路に戻る第2の流 とが形成されるように、前記細胞保持体を 持するとともに、第1及び第2の流路を通る各 細胞培養液間で圧力差を発生させ、
 前記ガス交換部は、前記循環路内を循環す 前記細胞培養液に酸素及び二酸化炭素を含 混合ガスを供給することで、前記細胞培養 のpHを所定値に調整する、という構成を採 ている。

 ここで、前記細胞培養部は、内部空間が形 された容器本体と、前記内部空間から外部 それぞれ開放する第1、第2、第3及び第4の開 放路とを備え、
 前記第1及び第2の開放路は、前記細胞保持 の空間部分に連通して前記第1の流路を形成 、
 前記第3及び第4の開放路は、前記細胞保持 の外側における前記内部空間に連通して前 第2の流路を形成するとともに、前記第1の流 路よりも下流側となる前記循環路の部位間を バイパスするバイパス路に繋がり、前記循環 路内の圧力変化を利用して、第1及び第2の流 を通る各細胞培養液間で圧力差を発生させ 、という構成を採っている。

 以上において、前記ガス交換部は、前記 環路内の前記細胞培養液をも交換可能に設 られるとよい。

 本発明によれば、形成対象となる所望の 体組織を構成する細胞を培養する際に、細 培養液に対し、人体の血流と同様の拍動流 付与するとともに前記生体組織が通過する 液と同様のpHに設定することができる。ま 、細胞培養部は、細胞保持体の内側となる 空部分と外側とをそれぞれ通る各細胞培養 間に圧力差を生じさせるようになっている め、生体組織の中で実際に血液が流れる血 部分とそうでない部分とでの血圧差を考慮 て細胞培養を行うことができる。この結果 あたかも人体の内部で自己再生的に培養さ るような環境下で、前記細胞が培養される とになり、本発明者らの実験によれば、従 不可能であった厚さの生体組織を形成する とが可能になった。

 また、本発明の装置では、人体内の血流 態を再現することができるため、当該装置 に、人工的に形成した生体組織や移植用の の生体組織を保持させることで、それら生 組織の機能を体外で維持することができる

本実施形態に係る生体組織形成維持装 の概略構成図。 拍動ポンプの概略拡大縦断面図。 ガス交換部の概略拡大縦断面図。

 以下、本発明の実施形態について図面を 照しながら説明する。

 図1には、本実施形態に係る生体組織形成 維持装置の概略構成図が示されている。この 図において、生体組織形成維持装置10は、生 組織を構成する細胞を所定の細胞培養液を って培養することで、当該生体組織を自己 成するための装置である。なお、以下にお て、生体組織形成維持装置10は、血管を構 する各種細胞(平滑筋細胞、線維芽細胞及び 皮細胞)を培養することで、人体内の動脈血 管を自己形成するための装置として説明する 。ここで、前記細胞培養液は、血管を構成す る前記各種細胞を培養可能な公知の溶液が用 いられる。

 前記生体組織形成維持装置10は、公知の 送気装置11と、この吸送気装置11に繋がると もに、前記細胞培養液に拍動流を与えるポ ウレタン製の拍動ポンプ12と、この拍動ポ プ12から吐出した細胞培養液が拍動ポンプ12 戻るように回路構成された循環路13と、当 循環路13の途中に設けられた細胞培養部14A及 びガス交換部14Bとを備えて構成されている。

 前記吸送気装置11は、拍動ポンプ12に対し て吸送気可能に設けられた公知の構造を備え たものであり、ここでは、詳細な説明を省略 する。

 前記拍動ポンプ12は、その内部に旋回渦 を発生させ、吐出時に拍動流を生成可能な ンプである。すなわち、この拍動ポンプ12は 、図2に示されるように、流入ポート15及び流 出ポート16が形成されたほぼ円錐状の外形を す中空の上部構成体17と、この上部構成体17 の下方に位置するとともに、ほぼドーム状の 外形をなす中空の下部構成体18と、これら各 成体17,18の内部空間S1,S2を仕切る可撓性のダ イアフラム20とを備えて構成されている。こ で、前記流入ポート15は、上部構成体17の周 壁に連なる図2中右端側位置に設けられ、流 ポート16は、上部構成体17の頂部側となる図2 中上端側位置に設けられている。

 前記下部構成体18には、吸送気装置11に繋 がる通気口22が設けられており、下側の内部 間S2内には、圧縮空気が所定のタイミング 交互に吸送気されるようになっている。こ ように、内部空間S2内に圧縮空気が吸送気さ れると、ダイアフラム20の変位によって、上 の内部空間S1内の容積が増減し、これによ て、流出ポート16から吐出される細胞培養液 に拍動流を生じさせる。この際、上側の内部 空間S1内では、図2中破線で示されるように、 流れの停滞域が発生し難い旋回渦流が発生す るようになっている。なお、特に限定される ものではないが、本実施例においては、内部 空間S2内に供給される空気の圧力(陽圧)は、14 0mmHg~260mmHg程度に設定される一方、内部空間S2 内から吸引される空気の圧力(陰圧)は、-30mmHg ~-50mmHg程度に設定される。

 前記循環路13は、図1に示されるように、 動ポンプ12により吐出された細胞培養液を 動ポンプ12に戻すことで細胞培養液を循環可 能な流路構成となっている。すなわち、循環 路13は、拍動ポンプ12の流出ポート16と細胞培 養部14Aとの間に繋がるコンプライアンスチュ ーブ24と、細胞培養部14Aの下流側に繋がる第1 の接続チューブ25と、第1の接続チューブ25の 流側に繋がる第1の接続ポンプ26と、第1の接 続ポンプ26とガス交換部14Bとの間に繋がる第2 の接続チューブ27と、第2の接続チューブ27の 中に設けられ、細胞培養液に流れ抵抗を付 する抵抗付与手段28と、ガス交換部14Bの下 側に繋がる第3の接続チューブ29と、第3の接 チューブ29の下流側に繋がる第2の接続ポン 31と、第2の接続ポンプ31と拍動ポンプ12の流 入ポート15との間に繋がる第4の接続チューブ 33とを備えて構成されている。以上の各チュ ブ及びポンプ24~33間の接続には公知のコネ タCが用いられている。

 前記コンプライアンスチューブ24は、拍 ポンプ12の流出ポート16から吐出した細胞培 液の脈圧の振幅調整を行うコンプライアン 手段として機能する。このコンプライアン チューブ24は、ガス透過性のある樹脂材料 よって形成されており、その肉厚を変える とで細胞培養部14Aに供給される細胞培養液 脈圧の振幅調整を行える軟質材料、例えば セグメント化ポリウレタンやシリコン等に り形成されている。本実施形態では、細胞 養部14Aに供給される細胞培養液の脈圧の振 として、成人に近似するように、例えば、 均脈圧(100mmHg)の±20mmHgに設定される。なお、 平均脈圧は、この成人の状態から胎児の状態 (40mmHg)の程度まで任意に調整可能である。

 前記第1~第4の接続チューブ25,27,29,33は、 に限定されるものではないが、塩化ビニル よって形成されている。また、拍動ポンプ12 の出口側と入口側には、図示省略した逆止弁 が設けられ、細胞培養液を逆流させずに図1 実線の矢印方向に確実に循環させるように っている。

 前記第1及び第2の接続ポンプ26,31は、前記 拍動ポンプ12と同一の構成を備えたポンプが いられており、拍動ポンプ12に対して同一 しくは同等の構成部分については同一符号 用いて説明を省略する。なお、各接続ポン 26,31においても、流入ポート15から細胞培養 が流入して当該細胞培養液が流出ポート16 ら排出される向きで取り付けられる。また 各接続ポンプ26,31の各通気口22は外部に開放 ており、細胞培養液の流れに応じて前記ダ アフラム20(図2参照)が変位するようになっ いる。ここで、循環路13内に充填される細胞 培養液は、当該循環路13が許容する最大充填 よりもやや少ない量となっており、これに って、各接続ポンプ26,31のダイアフラム20の 変位で細胞培養液に圧力損失を生じさせるダ ンパー効果が付与される。従って、接続ポン プ26,31は、細胞培養液が下流側に向って次第 液圧を減衰させる圧力減衰手段として機能 る。本実施形態では、第2の接続ポンプ31を 過して第4の接続チューブ33を流れる細胞培 液の液圧が、人体の左心房圧に相当する略1 0mmHgになるように設定されている。

 前記抵抗付与手段28は、人体の末梢抵抗 想定して第2の接続チューブ27の途中一箇所 設けられたものであって、簡略的に図示し いるが、第2の接続チューブ27を締め付ける ンチ状部材により構成されている。つまり 抵抗付与手段28による第2の接続チューブ27の 締め付けにより、拍動ポンプ12が拍動しても 2の接続チューブ27より上流側の細胞培養液 最低圧力が0mmHgとならず、人体の動脈内の 液の流れに擬似させるようになっている。 こで、第2の接続チューブ27に対する締め付 具合により、第2の接続チューブ27より上流 の細胞培養液の平均脈圧を所定値に調整す ことができ、本実施形態では、当該平均脈 として、人体の平均圧力に略相当する100mmHg 度に調整されている。なお、抵抗付与手段2 8としては、前述したピンチ状部材の他に、 述した作用を奏する限りにおいて、可変絞 等他の部材を採用することもできる。

 前記細胞培養部14Aは、内部空間Sが形成さ れた中空の容器本体36と、内部空間Sから容器 本体36の外部にそれぞれ開放する第1、第2、 3及び第4の開放路38,39,40,41とを備えて構成さ ている。

 前記容器本体36は、各開放路38~41を除いて 、内部空間Sが外側から閉塞される構造とな ており、当該内部空間Sには、細胞培養液が 填され、当該細胞培養液に培養対象なる前 細胞を保持する中空管状の細胞保持体Hが浸 漬した状態で配置される。この細胞保持体H 、前記細胞の足場となる管状の基材の内外 側に細胞を付着させることで形成される。

 前記第1の開放路38は、コンプライアンス ューブ24に繋がっており、第2の開放路39は 第1の接続チューブ25に繋がっている。これ 第1及び第2の開放路38,39には、細胞保持体Hが 接続されるようになっており、当該接続状態 では、第1及び第2の開放路38,39の内部と細胞 持体Hの中空部分(空間部分)である内部とが 部に漏れなく連通することになる。従って コンプライアンスチューブ24から第1の開放 38に流入した拍動状態の細胞培養液は、細胞 保持体Hの内部を通って、第2の開放路39から 2の接続チューブ25に流出することになる。 のため、第1及び第2の開放路38,39は、循環路1 3を流れる細胞培養液が細胞保持体Hの内部を って循環路13に戻る第1の流路を構成する。

 前記第3及び第4の開放路40,41には、第3及 第4の接続チューブ29,33の所定部位間をバイ スさせるバイパス路43に繋がっている。この バイパス路43は、これら開放路40,41のうちの 1中左側の第3の開放路40及び第3の接続チュー ブ29の途中部分の間に接続された第1のバイパ スチューブ45と、同右側の第4の開放路41及び 4の接続チューブ33の途中部分の間に接続さ た第2のバイパスチューブ46とからなる。第2 のバイパスチューブ46の途中には、バイパス ポンプ48が設けられており、当該バイパス ポンプ48の駆動により、図1中破線矢印方向 も細胞培養液が流れるようになっている。 なわち、第3の接続チューブ29を流れる細胞 養液の一部が第1のバイパスチューブ45を通 て、第3の開放路40から容器本体36の内部空間 Sに供給され、第4の開放路41から第2のバイパ チューブ46を通って、第4の接続チューブ33 途中で流出するようになっている。従って 第3及び第4の開放路40,41は、循環路13を流れ 細胞培養液が細胞保持体Hの外側を通って循 路13に戻る第2の流路を構成する。なお、こ で述べた各チューブ29,33,45,46の接続につい も、前記コネクタCが用いられている。

 このような構成により、細胞保持体Hの内 側には、圧力の高い上流側のコンプライアン スチューブ24からの細胞培養液が流れる一方 、当該部位を流れる細胞培養液よりも減圧 れた細胞培養液が、下流側の第3の接続チュ ーブ29から細胞保持体Hの外側に流れることに なる。つまり、前記細胞培養部14Aに保持され た細胞保持体Hは、その内部と外部との間で れぞれ流れる細胞培養液に、圧力差が発生 ることになる。

 前記ガス交換部14Bは、図3に示されるよう に、細胞培養液Fが収容される内部の収容空 Aを備えた箱型の容器状に設けられている。 ス交換部14Bの側面側には、内部空間Aにそれ ぞれ連通して第2及び第3の接続チューブ27,29 接続される液流入ポート50及び液流出ポート 51が設けられている。これらポート50,51を通 て、細胞培養液Fが、第2の接続チューブ27か ガス交換部14Bの収容空間A内に取り込まれて 第3の接続チューブ29に流出する。なお、収容 空間A内では、その上部に隙間を確保した状 で細胞培養液Fが収容されるようになってい 。また、ガス交換部14Bの上面側には、外部 らガスを収容空間A内に取り込むための給気 用ポート53と、ガスを収容空間Aから外部に排 出するための排気用ポート54と、細胞培養液F の交換時に当該細胞培養液Fを収容空間A内に 出入させるための液交換用ポート55,55とが けられている。

 前記給気用ポート53には、図示省略した スボンベ等が繋がっており、当該ガスボン から、濃度制御された酸素、二酸化炭素、 素等を含む混合ガスがガス交換部14Bの収容 間Aに供給され、細胞培養液FのpH値(例えば、 pH7.0~8.0)を所望の値に調整するようになって る。このpH値は、作成する血管や組織に応じ て調整することができる。なお、前記液交換 用ポート55は、細胞培養液Fの交換時以外は、 ガス交換部14Bの外側から収容空間A内に空気 入らないように閉塞されている。

 次に、前記生体組織形成維持装置10を使 た血管の形成の手順について、当該生体組 形成維持装置10の作用とともに説明する。

 細胞培養部14Aにセットされる細胞保持体H としては、前記細胞の足場となる基材が多層 に巻かれて形成された管壁の内層部分に平滑 筋細胞が付けられ、当該管壁の外層部分に線 維芽細胞が付けられ、管壁の内周面に内皮細 胞が付けられたものが用いられる。ここで、 基材としては、ポリグリコール酸やポリεカ ロラクトン等、加水分解可能な体内分解吸 性高分子が用いられる。

 細胞保持体Hが細胞培養部14Aにセットされ た状態で、循環路13内を細胞培養液で満たし 拍動ポンプ12を駆動させて生体組織形成維 装置10を作動させる。この作動状態において 、拍動ポンプ12から吐出された細胞培養液は 人体の大動脈内での血液の流れに相当する 動流が付与され、コンプライアンスチュー 24を通過し、細胞培養部14Aの第1の開放路38 ら細胞保持体Hの内部を通って、第2の開放路 39から第1の接続チューブ25に流れ出る。そし 、以降、細胞培養液は、次第に減圧しなが 、第2~第4の接続チューブ27,29,33を流れ、最 的に人体の静脈に近い流れ状態となって拍 ポンプ12に戻る。ここで、バイパス用ポンプ 48が同時に駆動し、第3の接続チューブ29を流 る細胞培養液の一部がバイパス路43内を流 る。つまり、第3の接続チューブ29を流れる 胞培養液の一部は、第1のバイパスチューブ4 5を通って細胞培養部14A内における細胞培養 Hの外側となる内部空間Sに流れ、第2のバイ スチューブ46を通って第4の接続チューブ33に 流れる。ここで、バイパス路43を流れる細胞 養液の圧力は、特に限定されるものではな が、5mmHg~10mmHg程度となるように、抵抗付与 段28の締め付け具合や第1及び第2のバイパス チューブ45,46の形状、材質等により調整され いる。従って、平滑筋細胞、線維芽細胞及 内皮細胞からなる血管細胞が付着している 胞保持体Hは、その内部と外部とで流れ状態 の異なる細胞培養液にさらされながら、血管 細胞が培養されることになる。具体的に、細 胞保持体Hの内側は、人体の動脈流に近い拍 流状態で細胞培養液が流れることになり、 胞保持体Hの外側は、人体の血管の外側の胸 内圧力に近い圧力で細胞培養液が流れるこ になる。また、ガス交換部14Bでは、例えば 二酸化炭素の濃度が5%程度、酸素の濃度が0. 1%程度の混合ガスが所定のタイミングで供給 れ、細胞培養液のpHが、循環過程で、動脈 の血液のpHに相当する7.3~7.5に維持されるよ になっている。これにより、人体内に存在 る動脈血管とほぼ同じような状態で、細胞 養液を使って血管細胞を培養することがで 、あたかも人体内で組織を再生させたかの うな状態を作り出すことができる。

 以上、本発明者らの実験によれば、前述 た条件で、約2週間、途中、細胞培養液を適 宜新しいものに交換しながら、当該細胞培養 液の流量を成人の血流量に相当する0.5l/minま 次第に増加させて前記生体組織形成維持装 10を動作させると、基材が加水分解されな ら血管細胞から組織が形成されていき、長 5cm、内径6mm、厚さ2mmの血管様組織が得られ 。このようにして得られた血管様組織は、 脈血管に相当する内径、厚みを備えており 従来不可能であった人工物をほぼ含まない 粋な動脈血管を人工的に形成することがで た。

 従って、このような実施形態によれば、 来不可能であった厚さmmオーダーの血管様 織を細胞培養によって作り出すことが可能 なった。

 なお、前記実施形態では、血管を構成す 細胞を培養することで、動脈血管を自己形 する装置として本発明を適用しているが、 発明の装置はこのような用途に限定される のではない。つまり、例えば、静脈血管を 己形成する場合には、静脈血管を流れる血 状態に相当する循環路13の部分つまり第3の 続チューブ29の途中に細胞培養部14Aを配置 、細胞保持体H内を流れる細胞培養液の流れ 態を実際の血流状態と同じにした上で、ガ 交換部14Bで、注入される混合ガスの成分を 整することにより、細胞培養液のpH値を、 際の静脈内を流れる血液のpH値に合わせれば よい。その他、本装置を使って、血管のみな らず、他の臓器等の生体組織の作成に適用す ることも可能である。この場合、管状、袋状 、弁状等、細胞培養液が通過できる空間部分 を備えた基材に、所望の生体組織の細胞を付 着させることで中空の細胞保持体Hを形成し 当該細胞保持体Hの内外の細胞培養液のpHや れ状態を、前記生体組織が通る血管内の血 の状態やその周囲に状態に基づいて適宜調 することで、生体組織の人工的な作成が期 できる。

 また、前記実施形態において、ガス交換 14Bは、第2及び第3の接続チューブ27,29の間に 配置しているが、細胞培養液のpHが調整でき 限りにおいて、循環路13のどこに配置して よい。

 更に、最初は、細胞保持体Hと第1及び第2 開放路38,39との接続部分の接続状態を緩く 、当該接続部分を通じて細胞保持体Hの内部 ら細胞培養液が漏れるようにしておき、一 時間後、当該漏れがないように、前記接続 態を強固にしてもよい。このようにすると 細胞保持体Hの前記接続部分にも細胞培養液 を行き渡らせることができ、細胞保持体Hに ける細胞培養状態のムラを少なくすること できる。

 また、人工的に形成された生体組織或い 移植用等の生の生体組織を細胞保持体Hに保 持し、細胞培養液や人工血液等を使って生体 組織形成装置10を前述のように動作させると 体外で生体組織の機能を維持した状態で当 生体組織を保存することができる。

 その他、本発明における装置各部の構成 図示構成例に限定されるものではなく、実 的に同様の作用を奏する限りにおいて、種 の変更が可能である。

 本発明の装置では、細胞培養によって生 内の実際の組織と同様な構成の生体組織を 工的に形成することができ、生体適合性の い人工的な生体組織を製造することができ 他、体外で機能を維持した状態で生体組織 保存する維持装置、或いは、幹細胞を各臓 特有の細胞に分化誘導するための装置や生 組織に関する各種の評価装置としても利用 能である。