Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
SYSTEM FOR MEASURING CARBON DIOXIDE CONCENTRATION IN WATER AND METHOD THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093401
Kind Code:
A1
Abstract:
The purpose of this object is to provide a system for measuring carbon dioxide concentration in water by which a decrease in the measurement accuracy caused by the deterioration of a pH indicator can be corrected. A system for measuring carbon dioxide concentration (1) which comprises a deterioration determining unit (31) whereby a change rate ΔA0 in the isosbestic point absorbance A0 is measured and, when the change rate ΔA0 becomes equal to or lower than a predetermined decrease rate, it is determined that the pH indicator solution is deteriorated. After the determination of the deterioration of the pH indicator solution by the deterioration determining unit (31), a pH value calculating unit (27) calculates the pH value of the pH indicator solution in accordance with a correction pH operational expression by which the deterioration is corrected with the use of the change rate ΔA0 in the isosbestic absorbance A0.

Inventors:
NAKANO YOSHIYUKI
Application Number:
PCT/JP2008/073333
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
December 22, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
JAPAN AGENCY MARINE EARTH SCI (JP)
NAKANO YOSHIYUKI
International Classes:
G01N21/80; G01N21/77; G01N31/00; G01N31/22
Foreign References:
JPH01165938A1989-06-29
JPH055736A1993-01-14
JPH08505218A1996-06-04
JP2002514758A2002-05-21
Other References:
NAKANO Y. ET AL.: "Simultaneous Vertical Measurements of In Situ pH andC02 in the Sea Using Spectrophotometric Profilers", JOURNAL OF OCEANOGRAPHY, vol. 62, 2006, pages 71 - 81, XP008132062
JOURNAL OF OCEANOGRAPHY, vol. 62, 2006, pages 71 - 81
"Simultaneous Vertical Measurements of In Situ pH and C02in the Sea Using Spectrophotometric Profilers", JOURNAL OF OCEANOGRAPHY, vol. 62, 2006, pages 71 - 81
Attorney, Agent or Firm:
NISHIURA, Tsuguharu (Sankaido Building 8F9-13, Akasaka 1-chom, Minato-ku Tokyo 52, JP)
Download PDF:
Claims:
 水中に浸漬されたときに二酸化炭素は透過するが水は通さない二酸化炭素透過部を備えた測定セルと、
 前記測定セル内に充填され、pHが変わると色が変わり、最終的に二酸化炭素濃度が前記水中の二酸化炭素濃度と等しくなり、且つH 2 Lと表されたときに、
の平衡が成立するpH指示薬溶液と、
 前記pH指示薬溶液に吸収される光の吸収スペクトルを測定するスペクトル測定装置と、
 前記吸収スペクトルから、前記pH指示薬溶液中の前記HL - の濃度に相当する第1の最大吸収波長λ 1 における第1の吸光度A 1 と、前記pH指示薬溶液中の前記L 2- の濃度に相当する第2の最大吸収波長λ 2 における第2の吸光度A 2 と、前記pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸光度が変化しない等吸収点の波長における等吸収点吸光度A 0 と、光の吸収を持たない波長λ b の非吸収吸光度A b を求める吸光度演算部と、
 前記第1の吸光度A 1 と前記非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、前記第2の吸光度A 2 と前記非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、前記pH指示薬溶液のpH値を演算する基本pH演算式により前記pH指示薬溶液のpH値を演算するpH値演算部と、
 前記pH値から前記水中の二酸化炭素濃度を求める二酸化炭素濃度決定部とからなる水中における二酸化炭素濃度の測定装置であって、
 前記等吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 を演算し、前記変化率δA 0 が予め定めた低下率以上低下すると、前記pH指示薬溶液が劣化したものと判定する劣化判定部をさらに備え、
 前記pH値演算部は、前記劣化判定部が前記pH指示薬溶液の劣化を判定した後は、前記変化率δA 0 に基づいて劣化分を補正する補正pH演算式を用いて前記pH指示薬溶液のpH値を演算することを特徴とする水中における二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記基本pH演算式は、下記の通りであり、
 上記式において、pKaは前記pH指示薬の乖離定数であり、ε 1112 は第1の最大吸収波長λ 1 におけるHL - とL 2- のモル吸光係数であり、ε 2122 は第2の最大吸収波長λ 2 におけるHL - とL 2- のモル吸光係数であり、
 前記補正pH演算式は、下記の通りであり、               
 上記式において、δA 0 は前記等吸収点吸光度の変化率であり、B 1 及びB 2 は最大吸収波長λ 1 及びλ 2 における、指示薬分解物質の吸光度である請求項1に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた低下率以上低下しているときには、異常が発生していると判断してアラームを発生する第1のアラーム信号発生部をさらに備えている請求項1または2に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記スペクトル測定装置は、前記測定セルに測定光を放射する光源と、前記測定セルの内部を通過した前記測定光を受光する受光素子と、前記受光素子の出力に基づいて前記吸収スペクトルを測定する測定部とを備えている請求項1,2または3に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記光源の出力または前記受光素子の出力が初期値を基準にして予め定めた低下率以上低下しているときに、前記光源または前記受光素子に異常が発生していることを示すアラーム信号を発生する第2のアラーム信号発生部をさらに備えている請求項4に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動していることを前提に動作するときに、前記光源の出力または前記受光素子の出力が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動していないときには、前記測定セル中の前記pH指示薬溶液に異常が発生していると判断してアラーム信号を発生する第3のアラーム信号発生部をさらに備えている請求項4に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 前記測定セル中の前記pH指示薬溶液を交換する交換指令を発生する交換指令発生部と、
 前記交換指令が入力されると前記測定セル内のpH指示薬溶液を交換する指示薬溶液交換装置とをさらに備えている前記請求項1または6に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記スペクトル測定装置は、前記測定セルに測定光を放射する光源と、前記測定セル内の光透過部を通過した前記測定光を受光する受光素子と、前記受光素子の出力に基づいて前記吸収スペクトルを測定する測定部とを備え、
 前記非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動しているときには、異常が発生していると判断してアラームを発生する第1のアラーム信号発生部と、
 前記光源の出力または前記受光素子の出力が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動しているときに、前記光源または前記受光素子に異常が発生していることを示すアラーム信号を発生する第2のアラーム信号発生部とをさらに備え、
 前記劣化判定部は、前記第1のアラーム信号発生部及び第2のアラーム信号発生部から共に前記アラーム信号が入力されていないときに、前記pH指示薬溶液の劣化と判定する請求項1に記載の二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記光源は波長の異なる複数種類の発光ダイオードが組み合わされて構成され、且つ前記複数種類の発光ダイオードは4種類の前記波長λ 1 、λ 20 及びλ b を測定できるようにそれぞれの波長が定められている請求項4に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記測定セル及び前記指示薬溶液交換装置は、前記スペクトル測定装置により測定を行っている際には、前記二酸炭素透過部を通って前記pH指示薬溶液を循環させるpH指示薬循環路を形成し、前記交換指令が入力されると、前記pH指示薬循環路内の前記pH指示薬溶液を前記pH指示薬循環路から排出して、前記pH指示薬循環路を新たなpH指示薬溶液で満たすように構成されている請求項7に記載の二酸化炭素濃度の測定装置。
 前記測定セルは、前記pH指示薬循環路内に配置された前記二酸化炭素透過部と、前記光が透過する光透過部と、前記循環ポンプとを備えており、
前記指示薬溶液交換装置は、pH指示薬溶液補給路と前記pH指示薬循環路との接続部に配置された第1の切換バルブと、pH指示薬溶液排出路と前記pH指示薬循環路との接続部に配置された第2の切換バルブとを備え、測定時に前記pH指示薬溶液補給路及び前記pH指示薬溶液排出路を前記pH指示薬循環路から切り離して前記pH指示薬循環路を閉状態とし、前記交換指令が入力されると、前記pH指示薬溶液補給路及び前記pH指示薬溶液排出路を前記pH指示薬循環路に接続して前記pH指示薬循環路を一時的に開状態にした後閉状態に戻すように前記第1及び第2の切換バルブを切り換えることを特徴とする請求項10に記載の二酸化炭素濃度の測定装置。
 少なくとも前記第1及び第2の切換バルブ並びに前記循環ポンプが一枚の絶縁樹脂基板上に実装され、前記絶縁樹脂基板内には前記pH指示薬溶液補給路、前記pH指示薬溶液排出路及び前記pH指示薬循環路の少なくとも一部が穿孔により形成されていることを特徴とする請求項11に記載の二酸化炭素濃度の測定装置。
 二酸化炭素は透過するが水は通さない二酸化炭素透過部を備えた測定セルを水中に浸漬し、前記測定セルにはpHが変わると色が変わり、最終的に二酸化炭素濃度が前記水中の二酸化炭素濃度と等しくなり、且つH 2 Lと表されたときに、
の平衡が成立するpH指示薬溶液を入れ、
 前記pH指示薬溶液に吸収される光の吸収スペクトルを測定し、
 前記吸収スペクトルから、前記pH指示薬溶液中のHL - の濃度に相当する第1の最大吸収波長λ 1 における第1の吸光度A 1 と、前記pH指示薬溶液中の前記L 2- に相当する第2の最大吸収波長λ 2 における第2の吸光度A 2 と、前記pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸光度が変化しない等吸収点の波長における等吸収点吸光度A 0 と、光の吸収を持たない波長λ b の非吸収吸光度A b を求め、
 前記第1の吸光度A 1 と前記非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、前記第2の吸光度A 2 と前記非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、前記pH指示薬溶液のpH値を演算する基本pH演算式により前記pH指示薬溶液のpH値を演算し、
 前記pH値から前記水中の二酸化炭素濃度を求める水中における二酸化炭素濃度の測定方法であって、
 前記等吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 を演算し、前記変化率δA 0 が予め定めた低下率以上低下すると、前記pH指示薬溶液が劣化したものと判定し、前記pH指示薬溶液の劣化を判定した後は、前記等吸収点吸光度A 0 の前記変化率δA 0 を用いて劣化分を補正する補正pH演算式を用いて前記pH指示薬溶液のpH値を演算することを特徴とする水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 前記基本pH演算式は、下記の通りであり、
 上記式において、前記pH指示薬をH 2 Lとしたときに、
の平衡が成立する場合において、pKaは前記pH指示薬の乖離定数であり、ε 1112 は第1の最大吸収波長λ 1 におけるHL - とL 2- のモル吸光係数であり、ε 2122 は第2の最大吸収波長λ 2 におけるHL - とL 2- のモル吸光係数であり、
 前記補正pH演算式は、下記の通りであり、
 上記式において、δA 0 は等吸収点における吸光度の変化率であり、B 1 及びB 2 は最大吸収波長λ 1 及びλ 2 における、指示薬分解物質の吸光度である請求項13に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 前記非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動しているときには、異常が発生していると判断してアラーム信号を発生する請求項13または14に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 前記測定セルの光透過部に光を照射する光源と、前記光透過部内を透過した前記光を受光する受光素子を備え、
 前記光源の出力または前記受光素子の出力が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動しているときに、前記光源または前記受光素子に異常が発生していることを示すアラーム信号を発生する請求項13に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 前記測定セルに光を照射する光源と、前記測定セル内と透過した前記光を受光する受光素子を備え、
 前記非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動しているときに、前記光源の出力または前記受光素子の出力が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動していないときには、前記測定セル中の前記pH指示薬溶液に異常が発生していると判断してアラーム信号を発生する請求項13に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 前記アラーム信号が発生すると、前記測定セル中の前記pH指示薬溶液を交換する指令を発生する請求項17に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 前記アラーム信号が発生すると、二酸化炭素濃度の測定を中止する請求項16または17に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 前記測定セルの前記光透過部に光を照射する光源と、前記光透過部を透過した前記光を受光する受光素子を備え、
 前記非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動しておらず、しかも前記光源の出力または前記受光素子の出力が初期値を基準にして予め定めた変動率以上変動していないときに、前記等吸収点吸光度A 0 が初期値を基準として変動率以上変動すると、前記pH指示薬溶液が劣化したものと判定する請求項13に記載の水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
 二酸化炭素は透過するが水は通さない二酸化炭素透過部を備えた測定セルを水中に浸漬し、前記測定セルにはpHが変わると色が変わり、最終的に二酸化炭素濃度が前記水中の二酸化炭素濃度と等しくなり、且つH 2 Lと表されたときに、
の平衡が成立するpH指示薬溶液を入れ、
 前記pH指示薬溶液に吸収される光の吸収スペクトルを測定し、
 前記吸収スペクトルから、前記pH指示薬溶液中の前記HL - の濃度に相当する第1の最大吸収波長λ 1 における第1の吸光度A 1 と、前記pH指示薬溶液中の前記L 2- 濃度に相当する第2の最大吸収波長λ 2 における第2の吸光度A 2 と、前記pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸光度が変化しない等吸収点の波長における等吸収点吸光度A 0 と、光の吸収を持たない波長λ b の非吸収吸光度A b を求め、
 前記第1の吸光度A 1 と前記非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、前記第2の吸光度A 2 と前記非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、前記pH指示薬溶液のpH値を演算する基本演算式により前記pH指示薬溶液のpH値を演算し、
 演算により求めた前記pH値から前記水中の二酸化炭素濃度を求める水中における二酸化炭素濃度の測定方法であって、
 前記等吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 を演算し、前記変化率δA 0 が予め定めた低下率以上低下すると、前記pH指示薬溶液が劣化したものと判定することを特徴とする水中における二酸化炭素濃度の測定方法。
Description:
水中における二酸化炭素濃度の 定装置及び方法

 本発明は、測定セル内に充填されたpH指 薬溶液の吸光度に基づいて水中の二酸化炭 濃度を測定する装置及び方法に関するもの ある。

 特表平08-505218号「海水中に溶解した二酸化 素濃度の測定方法および測定装置」(特許文 献1)には、吸光スペクトル中から吸収ピーク 波長λ M 、染料が吸収しない波長λ B 、染料の等吸収点に近い波長λ I の3つを測定し、二酸化炭素濃度を吸収ピー の波長λ M の1波長のみで測定し、染料が吸収しないλ B で補正を行い、そして等吸収点に近い波長λ I における測定を元に、指示薬の安定性の評価 を行う技術が開示されている。

 また特表2002-514758号「光学的化学検出のた のシステム及び方法」(特許文献2)は、第1及 第2出力光の強度を測定して分析対象物(二 化炭素:CO 2 )の濃度を決定している。

 さらに本願発明者等が発表したJournal of Oce anography, Vol.62,pp71 to 81,2006に「Simultaneous Vert ical Measurements of In Situ pH and CO 2  in the Sea Using Spectrophotometric Profilers」と する論文(非特許文献1)に示された海中の二 化炭素濃度の測定方法では、次のようにし 濃度を測定する。ここでpH指示薬溶液は、pH 変わると色が変わり、最終的に二酸化炭素 度が水中の二酸化炭素濃度と等しくなり、 つH 2 Lと表されたときに、

の平衡が成立するものである。まずpH指示薬 液に吸収される光の吸収スペクトルを測定 る。次に、吸収スペクトルから、pH指示薬 液中のHL - の濃度に相当する第1の最大吸収波長λ 1 における第1の吸光度A 1 と、pHを決定するL 2- の濃度に相当する第2の最大吸収波長λ 2 における第2の吸光度A 2 と、pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸光度 変化しない等吸収点の波長における等吸収 吸光度A 0 と、光の吸収を持たない波長λ b の非吸収吸光度A b を求める。そして第1の吸光度A 1 と非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、第2の吸光度A 2 と非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、pH指示薬溶液のpH値を演算する 本pH演算式によりpH指示薬溶液のpH値を演算 る。最後に、pH値から水中の二酸化炭素濃 を求める。

特表平08-505218号

特表2002-514758号 Journal of Oceanography, Vol.62,pp71 to 81,2006 「Simultaneous Vertical Measurements of In Situ pH  and CO2 in the Sea Using Spectrophotometric Profilers 」

 特許文献1に示された技術のように、染料が 吸収しないλ B で補正を行ったとしても、検出器ノイズの影 響を受けやすい問題がある。またこの技術は 、測定に、必ず標準物質が必要となる相対測 定である。また染料であるpH指示薬のチモー ブルーは、λ M における酸性形態の吸光度が無視し得るほど わずかであるとの説明から、ピーク波長λ M の1波長のみでの測定可能となっているもの 認められる。しかし、pH指示薬の塩基性型と 酸性型のスペクトルが重なる指示薬において は、測定が不可能であり、この技術では使用 する指示薬が限定される。さらに、この技術 では、等吸収点に近い波長における測定を元 に、指示薬の安定性の評価を行っている。し かしながら劣化した指示薬が吸収ピークの波 長における吸光度に及ぼす影響までは考慮し ていない。指示薬が分解して新たにできた物 質が吸収ピークの波長λ M において光の吸収を持ち、無視できない状況 になった場合は、λ M だけでの測定では補正することが難しい。ま た、電圧降下によって光が弱くなった場合に は、吸収ピークの大きい波長λ M の1波長のみで測定すると、光の減衰が大き なるので測定値が不安定になる。さらに特 文献1中には、「較正カーブの実験点の分布 1%」と記載されており、繰り返し測定する の精度が悪いという問題もある。

 また特許文献2に記載の技術では、第1及 第2の出力光の強度を測定して分析対象物の 度を決定している。しかし測定する光は、 起光であり、理論的に吸光度を測定する場 の測定精度よりも精度が1桁程度悪くなる。

 これら従来の問題を解消するために、非特 文献1に記載の二酸化炭素濃度の測定技術で は、前述の第1の吸光度A 1 と非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、前述の第2の吸光度A 2 と非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、pH指示薬溶液のpH値を演算する 本pH演算式によりpH指示薬溶液のpH値を演算 ることとした。

 しかしながら非特許文献1に記載の技術で は、特に、pH指示薬溶液の劣化を考慮してい かった。そのため紫外線が測定セル内のpH 示薬溶液内に入射してpH指示薬が劣化し、測 定精度が落ちる問題があった。

 本発明の目的は、pH指示薬の劣化に基づ 測定精度の低下を補正することができる水 の二酸化炭素濃度測定装置及び方法を提供 ることにある。

 上記目的に加えて、本発明の他の目的は 劣化以外の原因で測定精度が悪くなる場合 アラーム信号を発生する水中の二酸化炭素 度測定装置及び方法を提供することにある

 本発明の他の目的は、pH指示薬の劣化を 実に検出することができる水中の二酸化炭 濃度測定装置及び方法を提供することにあ 。

 上記目的に加えて、本発明の他の目的は pH指示薬の使用量を低減することができる 酸化炭酸濃度測定装置を提供することにあ 。

 上記目的に加えて、本発明の他の目的は 構造が簡単な二酸化炭酸濃度測定装置を提 することにある。

 本発明における水中の二酸化炭素濃度測定 置及び方法では、水中に浸漬されたときに 酸化炭素は透過するが水は通さない二酸化 素透過部を備えた測定セルを用いる。この 定セル内には、pHが変わると色が変わり、 終的に二酸化炭素濃度が水中の二酸化炭素 度と等しくなるpH指示薬溶液を充填する。こ こでpH指示薬溶液とは、pH指示薬と溶媒とを 合したものである。またpH指示薬溶液は、H 2 Lと表されたときに、

の平衡が成立するものである。

 本発明の装置では、pH指示薬溶液に吸収 れる光の吸収スペクトルを測定するスペク ル測定装置と、吸光度演算部と、pH値演算部 と、二酸化炭素濃度決定部とを備えている。

 吸光度演算部は、吸収スペクトルから、pH 示薬溶液中のHL - の濃度に相当する第1の最大吸収波長λ 1 における第1の吸光度A 1 と、pH指示薬溶液中のL 2- の濃度に相当する第2の最大吸収波長λ 2 における第2の吸光度A 2 と、pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸光度 変化しない等吸収点の波長における等吸収 吸光度A 0 と、光の吸収を持たない波長λ b の非吸収吸光度A b を演算する。またpH値演算部は、第1の吸光度 A 1 と非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、第2の吸光度A 2 と非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、pH指示薬溶液のpH値を演算する 本pH演算式によりpH指示薬溶液のpH値を演算 る。そして二酸化炭素濃度決定部は、pH値 ら水中の二酸化炭素濃度を求める。

 本発明においては、さらに等吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 を演算し、変化率δA 0 が予め定めた低下率以上低下すると、pH指示 溶液が劣化したものと判定する劣化判定部 備えている。そしてpH値演算部は、劣化判 部がpH指示薬溶液の劣化を判定した後は、等 吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 を用いて劣化分を補正する補正pH演算式を用 てpH指示薬溶液のpH値を演算する。

 本発明によれば、3つの波長(λ 1 、λ 2 、λ b )における吸光度A 1 ,A 2 ,A b を用いて、第1の吸光度A 1 と非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、第2の吸光度A 2 と非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との吸光度比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )を用いるため、温度等による測定値の変動( リフト)が相殺される上、pH指示薬の濃度が 少変化しても濃度変化を補正する必要がな 。理論的には、標準物質を必要としない絶 測定となる。また、本発明によれば、pH指 薬の塩基性型と酸性型のスペクトルが2つの ーク波長で重なる指示薬においても測定が 能である。

 本発明で用いることができる基本pH演算式 一例は、下記の通りであり、

 上記式において、pH指示薬をH 2 Lとしたときに、

の平衡が成立する場合において、pKaはpH指示 の乖離定数である。またε 11 12 は第1の最大吸収波長λ 1 におけるHL - とL 2- のモル吸光係数である。またε 21 22 は第2の最大吸収波長λ 2 におけるHL - とL 2- のモル吸光係数である。

 また上記pH演算式に対する補正pH演算式とし ては、下記の式を用いることができる。

 上記式において、δA 0 は等吸収点吸光度の変化率である。またB 1 及びB 2 は最大吸収波長λ 1 及びλ 2 における、指示薬分解物質の吸光度(指示薬 全て分解してできた物質の最大吸収波長λ 1 及びλ 2 における吸光度)である。この指示薬分解物 の吸光度B 1 及びB 2 は、pH指示薬溶液に紫外線を長時間当て、指 薬が分解していく過程で事前に測定するこ ができる。

 上記式を用いて補正をすると、pH指示薬が 化して分解して新たにできた指示薬分解物 が、第1及び第2の吸収ピークにおける2つの 長λ 1 、λ 2 において光の吸収を持った場合でも、事前に 測定して得た指示薬分解物質の吸光度B 1 及びB 2 と等吸収点吸光度の変化率δA 0 を用いてpH測定値の補正をするので、従来よ も測定精度を高めることができる。

 また非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上 変動しているときには、測定セル、光源また は受光素子等で異常が発生していると判断し てアラーム信号を発生する第1のアラーム信 発生部をさらに備えているのが好ましい。 もそも非吸収吸光度A b は、変化するものではない。したがって非吸 収吸光度A b が変化した場合には、測定セル、光源または 受光素子等で異常が発生している可能性が高 い。しかし温度の影響で、非吸収吸光度A b が変化することは現実にある。そこで非吸収 吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上 変動しているときに、アラーム信号を発生す れば、アラーム信号の誤発生を防止できる。 測定セルの異常とは、例えば測定セル内に気 泡が入った場合である。また光源の異常とは 、光源の光強度が低下した場合であり、受光 素子の異常とは受光素子の感度が大幅に低下 した場合等である。

 またスペクトル測定装置は、測定セルの 透過部に測定光を放射する光源と、光透過 の内部を通過した測定光を受光する受光素 と、受光素子の出力に基づいて吸収スペク ルを測定する測定部とを備えている。この 合において、光源の出力または受光素子の 力が初期値を基準にして予め定めた変動率 上変動しているときには、光源または受光 子に異常が発生していることを示すアラー 信号を発生する第2のアラーム信号発生部を さらに設けてもよい。すなわち光源の出力ま たは受光素子の出力が初期値を基準にして予 め定めた変動率以上変動しているときには、 その他の機能が正常であっても、測定結果の 精度は大幅に低下する。そこでこのような第 2のアラーム信号発生部を設ければ、異常の 因を特定してアラームを発生させることが きるので、異常発生に対する対処が容易に る。

 なお前述の劣化判定部を、第1のアラーム 信号発生部及び第2のアラーム信号発生部か 共にアラーム信号が入力されていないとき 、pH指示薬溶液の劣化と判定するように構成 すると、測定精度をさらに高めることができ る。

 さらに非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上 変動しているときに、光源の出力または受光 素子の出力が初期値を基準にして予め定めた 変動率以上変動していないときには、測定セ ル中のpH指示薬溶液に異常が発生していると 断してアラーム信号を発生する第3のアラー ム信号発生部をさらに備えているのが好まし い。このような第3のアラーム信号発生部を けると、異常の発生原因が測定セル中のpH指 示薬溶液にあることを特定するアラームを発 生することができるので、異常発生に対する 対処が容易になる。

 発生したアラーム信号でどのような処理 実行するかは任意である。例えば、第3のア ラーム信号発生部がpH指示薬溶液の異常をア ームした場合には、測定セル内のpH指示薬 液を交換するようにすればよい。これを実 するためには、アラーム信号が発生したと に、測定セル中のpH指示薬溶液を交換する交 換指令を発生する交換指令発生部と、交換指 令が入力されると測定セル内のpH指示薬溶液 交換する指示薬溶液交換装置とをさらに備 ればよい。なお交換指令発生部は、アラー 信号が発生したときだけでなく、pH指示薬 液を交換する必要性があるときには、交換 令を出力する。

 光源については任意であるが、長期間にわ ってバッテリだけで動作する測定装置の場 には、光源における消費電力をできるだけ 減するのが好ましい。そのため光源として 消費電力が少ない発光ダイオードを用いる が好ましい。しかしながら1個の発光ダイオ ードは波長が限定されているため、測定用の 光源を発光ダイオードにより構成する場合に は、光源は波長の異なる複数種類の発光ダイ オードが組み合わされて構成する。そして複 数種類の発光ダイオードとしては、4種類の 長λ 1 、λ 2 0 及びλ b を測定できるようにそれぞれの波長を選択す ればよい。このようにすれば、消費電力の少 ない発光ダイオードを用いて、必要な波長を 含む光源を実現することができる。

 前述の指示薬溶液交換装置が用いられる 合には、測定セル及び指示薬溶液交換装置 、スペクトル測定装置により測定を行って る際には、二酸化炭素透過部を通ってpH指 薬溶液を循環させるpH指示薬循環路を形成し 、交換指令が入力されると、pH指示薬循環路 のpH指示薬溶液をpH指示薬循環路から排出し て、pH指示薬循環路を新たなpH指示薬溶液で たすように構成することができる。このよ にpH指示薬循環路を設けると、測定セル内の 二酸化炭素透過部にpH指示薬溶液を繰り返し 過させることができるので、二酸化炭素透 部の長さを短くすることができて、しかも 定のために必要なpH指示薬溶液の量を少な することができる。

 測定セルは、pH指示薬循環路内に配置さ た二酸化炭素透過部と、光が透過する光透 部と、循環ポンプとを備えたものを用いる とができる。また指示薬溶液交換装置は、pH 指示薬溶液補給路とpH指示薬循環路との接続 に配置された第1の切換バルブと、pH指示薬 液排出路とpH指示薬循環路との接続部に配 された第2の切換バルブとを備えたものを用 ることができる。この場合、指示薬溶液交 装置は、測定時にpH指示薬溶液補給路及びpH 指示薬溶液排出路をpH指示薬循環路から切り してpH指示薬循環路を閉状態とし、交換指 が入力されると、pH指示薬溶液補給路及びpH 示薬溶液排出路をpH指示薬循環路に接続し pH指示薬循環路を一時的に開状態にした後閉 状態に戻すように、第1及び第2の切換バルブ 切り換えるように構成する。ここで「閉状 」とは、pH指示薬循環路が閉じた循環路を 成して、指示薬がpH指示薬循環路内を循環で きる状態を意味する。また「開状態」とは、 pH指示薬循環路がpH指示薬溶液補給路及びpH指 示薬溶液排出路に接続されて、pH指示薬循環 内にある指示薬がpH指示薬溶液排出路から 出されて、pH指示薬循環路内にpH指示薬溶液 給路から新しい指示薬を充填できる状態を 味する。上記構造の指示薬溶液交換装置は 第1及び第2の切換バルブだけで、pH指示薬循 環路を「閉状態」と「開状態」にすることが できるので、指示薬の循環及び交換を簡単な 構造で実現できる。

 また少なくとも第1及び第2の切換バルブ びに循環ポンプを一枚の絶縁樹脂基板上に 装し、絶縁樹脂基板内にpH指示薬溶液補給路 、pH指示薬溶液排出路及びpH指示薬循環路の なくとも一部を穿孔により形成するのが好 しい。このような構造を採用すると、pH指示 薬溶液補給路、pH指示薬溶液排出路及びpH指 薬循環路を形成する場合に必要となる配管 本数を減らすことができるだけでなく、測 装置の構造を簡単にすることができる。

 本発明の二酸化炭素濃度の測定方法では、H 2 Lと表されたときに、

の平衡が成立するpH指示薬溶液に吸収される の吸収スペクトルを測定する。そして吸収 ペクトルから、pH指示薬溶液中のHL - の濃度に相当する第1の最大吸収波長λ 1 における第1の吸光度A 1 と、pH指示薬溶液中のL 2- の濃度に相当する第2の最大吸収波長λ 2 における第2の吸光度A 2 と、pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸光度 変化しない等吸収点の波長における等吸収 吸光度A 0 と、光の吸収を持たない波長λ b の非吸収吸光度A b を求める。そして第1の吸光度A 1 と非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、第2の吸光度A 2 と非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、pH指示薬溶液のpH値を演算する 本pH演算式によりpH指示薬溶液のpH値を演算 る。そしてpH値から水中の二酸化炭素濃度 求める。この場合において、本発明の水中 おける二酸化炭素濃度の測定方法において 、等吸収点吸光度A 0 の変化量を測定し、等吸収点吸光度A 0 が初期値を基準として予め定めた低下率以上 低下すると、pH指示薬溶液が劣化したものと 定する。そしてpH指示薬溶液の劣化を判定 た後は、等吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 を用いて劣化分を補正する補正pH演算式を用 てpH指示薬溶液のpH値を演算する。

本発明の方法を実施する二酸化炭素濃 測定装置の実施の形態の一例の構成を示す ロック図である。 光源の一例の発光ダイオードの配置を す図である。 pH指示薬の吸収スペクトルの例を示す である。 指示薬分解物質の吸光度と他の吸光度 関係の一例を示す図である。 本発明の方法を図1の測定装置において 実施する場合にコンピュータを用いるときに 使用するプログラムの一回の測定における劣 化の判定とアラーム信号の発生に関する部分 のアルゴリズムを示すフローチャートである 。 温度が変わった場合における二酸化炭 濃度の測定結果の変化を示す図である。 pH指示薬溶液の使用量を少なくする場 に用いる指示薬溶液の交換システムの要部 構成を示す図である。 (A)及び(B)は、第1及び第2の切換バルブ 循環ポンプ並びにスペクトル測定装置の主 部分を一枚の絶縁樹脂基板上に実装したユ ット(アクリルマニホールド)の一例の平面図 及び右側面図である。

 以下図面を参照して、本発明の水中の二酸 炭素濃度測定装置及び方法の実施の形態の 例を説明する。図1は、本発明の方法を実施 する二酸化炭素濃度測定装置1の実施の形態 一例の構成を示すブロックである。この装 1は、バッテリBを電源として動作するもので あり、水中(海水及び淡水の両方を含む)に浸 されたときに二酸化炭素は透過するが水は さない二酸化単相透過部3Aを備えた測定セ 3を備えている。測定セル3は、さらに測定光 が通過する光透過部3Bを備えている。二酸化 素透過部3Aとしては、ガス交換膜としての 能を有する、例えばAFテフロンチューブ(商 )を用いることができる。二酸化炭素透過部3 Aと光透過部3Bとは、pH指示薬循環路3C内に配 されている。この測定セル内3には、pHが変 ると色が変わり、最終的に二酸化炭素濃度 水中の二酸化炭素濃度と等しくなるpH指示薬 溶液が充填されている。ここでpH指示薬溶液 は、pH指示薬と溶媒とを混合したものであ 。本発明で用いるpH指示薬溶液は、チモール ブルーやブロモクレゾールパープルのように 、H 2 Lと表されたときに、

の平衡が成立するものである。pH指示薬循 路3C中には循環ポンプPと指示薬溶液交換装 5とが配置されている。循環ポンプPは、図 しないポンプ制御装置によって駆動され、 えば6時間間隔で動作して、水中から二酸化 素透過部3Aを通ってpH指示薬溶液中に入った 二酸化炭素を含んだpH指示薬溶液を光透過部3 Bへと運んでいる。指示薬溶液交換装置5は、 換指令発生部7から後述する交換指令が入力 されると、pH指示薬循環路3C内のpH指示薬溶液 をpH指示薬溶液タンク9内の未使用のpH指示薬 液と交換する。なお交換指令発生部7は、測 定回数が予め定めた回数に達すると、定期的 に交換指令を出力するように構成してもよい 。

 また二酸化炭素測定装置1は、pH指示薬溶液 吸収される光の吸収スペクトルを測定する ペクトル測定装置11を備えている。スペク ル測定装置11は、光源13と、光ファイバから る第1及び第2の光通路15及び17と、分光光度 を構成する受光素子19と、測定部21とを備え ている。光源13の種類は任意である。しかし がら、長期間にわたってバッテリBだけで動 作する本実施の形態の二酸化炭素測定装置1 場合には、光源13における消費電力をできる だけ低減する必要がある。そこで本実施の形 態では、光源13として、消費電力が少ない発 ダイオードを用いている。しかしながら1個 の発光ダイオードは波長が限定される。その ため測定用の光源13は波長の異なる複数種類 発光ダイオードが組み合わされて構成され いる。図2は、光源の一例の発光ダイオード の配置を示している。図2に示した光源13では 、パラボラ型の反射板DFに7個の発光ダイオー ドD1~D7が設けられている。反射板DFは、発光 イオードD1~D7から放射された光を収束させる ように反射面の形状が定められている。7つ 発光ダイオードD1~D7のうち、3つの発光ダイ ードD1~D3は、白色の発光ダイオードであり、 2つの発光ダイオードD4及びD5は、赤色の発光 イオードであり、発光ダイオードD6は緑色 発光ダイオードであり、発光ダイオードD7は 青色の発光ダイオードである。これらの発光 ダイオードは、400nm~700nmの範囲における対応 る波長の光を放射する。これらの発光ダイ ードD1~D7の波長は、後述する4つの波長λ 1 、λ 2 0 及びλ b を測定できるようにそれぞれの波長が選択さ れている。図示していないが、反射板DFの前 (光の放射方向)には、曇りガラスの板が置 れ、発光ダイオードD1~D7から放射された光は 、曇りガラスで混合されて光ファイバからな る光通路15(図1)へと入射される。光通路15に った光は、測定セル3の光透過部3Bに入射さ 、光透過部3B内のpH指示薬溶液内を通って光 ァイバからなる光通路17に入射し、CCD等か なる受光素子19へと導かれる。測定セル3の 透過部3Bに入射された光の一部は、pH指示薬 液内の物質により吸光される。その結果、 光光度計を構成する受光素子19で受光され 光の吸収スペクトルを測定部21で分析するこ とにより、吸光する物質の吸光度を求めるこ とができる。そこで二酸化炭素測定装置1は スペクトル測定装置11の測定結果を処理する 測定結果処理部23を備えている。測定結果処 部23は、吸光度演算部25と、pH値演算部27と 二酸化炭素濃度決定部29と、劣化判定部31と 第1乃至第3のアラーム信号発生部33,35及び37 を備えている。

 ここで測定結果処理部23において行う水中 二酸化炭素を測定する原理について説明す 。図3は、以下の説明で使用するpH指示薬の 収スペクトルの例を示す図である。図3の横 は波長であり、縦軸は吸光度を示している 図3においては曲線C1乃至C4は、pHが異なるpH 示薬溶液の吸収スペクトルをそれぞれ示し いる。二酸化炭素が水に溶けると酸性にな ことを利用して二酸化炭素濃度を測定する 測定セル3の二酸化炭素透過部3Aを透過して 環路3C内に入った二酸化炭素は、pH指示薬溶 液中に溶けて酸性となる。そこで二酸化炭素 が溶けたpH指示薬溶液の色を測定することに り、そのpHが分かり、そのpHから二酸化炭酸 濃度を求める。pHを求めるときは、pH指示薬 色、すなわちpH指示薬が持つ光の吸収スペク トルの中から2つの最大吸収波長すなわち第1 び第2の最大吸収波長(図3におけるλ 1 及びλ 2 )における吸光度(どれくらい、その波長の光 吸収しているか)を測定する。一般的にpH指 薬が持つ2つの最大吸収波長は、440nm~580nm付 にある。この2波長における吸光度の比から 、後に詳しく説明する計算式を用いてpHを計 する。なお本実施の形態では、第1及び第2 最大吸収波長λ 1 及びλ 2 の他に、pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸 度が変化しない等吸収点の波長λ 0 と、光の吸収を持たない波長λ b とを利用する。そのために本実施の形態で用 いる光源13は、光の吸光が無くなる(吸光度が 0になる)670nmよりも長い波長まで照射できる 要がある。

 吸光度は、光を吸収しない状態(pH指示薬の い状態)の光の強さを基準として、光がpH指 薬を通ったときにどのくらい光が減衰した を示す値である。光源から出る光の第1及び 第2の最大吸収波長λ 1 及びλ 2 付近の光量が少ない場合には、光がpH指示薬 吸収されて減衰したときに、さらにその付 の波長の光量が少なくなり、相対的に光の 力に対する測定機器のノイズが大きくなっ 測定精度が落ちることになる。また光の強 が急激に変化している波長領域では、分光 度計を構成する受光素子19の1つの受光素子 が受け持つ波長幅δxの中で光量の差δfがあ ため、振動や温度変化によるわずかなδxの 化によってδf/δxが変化しやすくなって測定 精度が落ちる原因となる。そこで前述の光源 13では、複数種類の発光ダイオードを用いて 必要な波長の範囲の光を含み且つ、第1及び 第2の最大吸収波長付近に必要十分な光量を 保できる光源を用意している。

 図1に戻って、吸光度演算部25は、スペクト 測定装置11の測定部21で測定した吸収スペク トルから、pH指示薬溶液中のHL - の濃度に相当する第1の最大吸収波長λ 1 における第1の吸光度A 1 と、pH指示薬溶液中のL 2- 濃度に相当する第2の最大吸収波長λ 2 における第2の吸光度A 2 と、pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸光度 変化しない等吸収点の波長λ 0 における等吸収点吸光度A 0 と、光の吸収を持たない波長λ b の非吸収吸光度A b を演算する。そしてpH値演算部27は、第1の吸 度A 1 と非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、第2の吸光度A 2 と非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、pH指示薬溶液のpH値を演算する 記の基本pH演算式によりpH指示薬溶液のpH値 演算する。

 基本pH演算式の一例は、下記の通りである

 上記式は、pH指示薬をH 2 Lとしたときに、

の平衡が成立することを前提とする。Hはプ トンで、Lは塩基イオンである。この場合に いて、pKaはpH指示薬の乖離定数である。ま ε 11 12 は第1の最大吸収波長λ 1 におけるHL - とL 2- のモル吸光係数である。そしてε 21 22 は第2の最大吸収波長λ 2 におけるHL - とL 2- のモル吸光係数である。pH演算部27には、使 するpH指示薬に応じて、予めpKaの定数、ε 11 12 21 及びε 22 の係数が記憶されている。また上記式を用い た演算は、マイクロコンピュータを用いて実 行される。そして二酸化炭素濃度決定部29は 予め使用するpH指示薬溶液と溶解されてい 二酸化炭素濃度との関係を測定して求めた ータテーブルを参照して、pH値から水中の二 酸化炭素濃度を求める。二酸化炭素濃度決定 部29が決定した二酸化炭素濃度は、内蔵する モリ内に保存される。そして定期的に、メ リに記憶した二酸化炭素濃度のデータは、 信装置39から監視センターに送信される。

 本実施の形態では、劣化判定部31が、さら 等吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 を測定する。そして劣化判定部31は、吸収点 光度A 0 が初期値を基準として予め定めた変化率以上 低下すると、pH指示薬溶液が劣化したものと 定する。吸収点吸光度A 0 は、pH指示薬の濃度が変わると変化するので 変化率δA 0 を見ることにより、劣化状態が判断できる。 前述の初期値は測定を開始した初期の等吸収 点吸光度A 0 の値をメモリに記憶しておく。そして所定時 間間隔(例えば6時間間隔)で周期的に測定を繰 り返していく過程で、初期値に対する吸収点 吸光度A 0 の変化率δA 0 を演算する。具体例では、初期値に対して1% 上吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 が低下した場合には、pH指示薬溶液が劣化し ものと判定することができる。なおこの基 は、使用するpH指示薬によって異なり、ま 使用環境の温度によっても異なる。本実施 形態では、さらに判定精度を高めるために 後述する第1のアラーム信号発生部33及び第2 アラーム信号発生部35の両方からアラーム 号が出されていない場合のみ、劣化判定部31 はpH指示薬溶液が劣化したと判定する。

 pH値演算部27は、劣化判定部31がpH指示薬溶 の劣化を判定した後は、等吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 を用いて劣化分を補正する下記の補正pH演算 を用いてpH指示薬溶液のpH値を演算する。

 上記式において、B 1 及びB 2 は最大吸収波長λ 1 及びλ 2 における、指示薬分解物質の吸光度(指示薬 全て分解したときの値)である。このB 1 及びB 2 は、事前に指示薬に紫外線を長時間当て、指 示薬が分解していく過程で求めておくことに なる。第1の吸光度A 1 及び第2の吸光度A 2 が、指示薬の劣化によりA 1 ´及びA 2 ´に変化したとすると、A 1 ´=A 1 -B 1、 A 2 ´=A 2 -B 2 の関係が成立する。この関係は図4に示す通 である。上記式に中において、(1-δA 0 )B 2 と(1-δA 0 )B 1 とが指示薬分解物質の分解分に相当する。上 記式を用いると、pH指示薬が劣化して分解し 新たにできた物質が、第1及び第2の吸収ピ クにおける2つの波長λ 1 、λ 2 において光の吸収を持った場合でも、等吸収 点吸光度の変化率δA 0 を用いてpH測定値の補正をすることができる で、従来よりも測定精度を高めることがで る。

 下記の表1は、上記式を用いて補正を行うこ とが有効であることを確認するために行った 計算結果を示している。下記の計算結果では 、上記式補正pH演算式中のB 1 を0.03とし、B 2 を0.01とし、pKa及びεはpH指示薬(チモールブル ー)の値を使用している。

 上記例では、pH指示薬溶液中の二酸化炭素 度が一定(pHが一定)であるとの条件を前提と ている。補正がない吸光度A 1 、A 2 (実測値)は、指示薬分解物質が吸収波長λ 1 、λ 2 において光の吸収を持つので、pH指示薬の吸 度に指示薬分解物質の吸光度が加えられた 測値となる。そのため、指示薬の分解が進 につれ(δA 0 の値が小さくなるにつれ)、A 1 /A 2 の値は、分解前の値よりも小さくなる。補正 式では、指示薬分解物質の吸光度B 1 ,B 2 に基づく分解分を差し引くので、指示薬が分 解してもA 1 、A 2 双方が同じ割合で減少するため、たとえ指示 薬が50%分解しても(δA 0 の値が0.5になっても)pHの値は変わらなかった 。実測値(補正がない値)と補正値がどれくら 異なるかを、上記表の1番右のカラムの「差 」の欄に示す。試験に用いた二酸化炭素測定 装置は、0.001pHの分解能を持つので、10%の分 から(δA 0 の値が0.1になったとき)すでに検知可能なほ の差が存在する。例えば30%分解時のpH差は0.0 12となり、この値は二酸化炭素に換算すると1 0μatm以上の差となり、装置の測定精度の5倍 上となる。したがって上記式を用いて補正 することが、装置の測定精度の維持に有効 あることが分かる。上記演算式及び補正式 用いると、pH指示薬の塩基性L 2- とHL - のスペクトルが2つのピーク波長で重なる(同 になる)指示薬においても測定が可能である 。

 下記の表2は、pH指示薬の塩基性L 2- とHL - のスペクトルが2つのピーク波長で重なる(同 になる)指示薬においても、上記式を用いて 補正を行うことが有効であることを確認する ために行った計算結果を示している。下記表 2の計算結果では、補正pH演算式中のB 1 を0.08とし、B 2 を0.05とし、pKa及びεはpH指示薬(ブロモクレゾ ールパープル)の値を使用している。

 上記表2の例でも、表1の場合と同様に、pH指 示薬溶液中の二酸化炭素濃度が一定(pHが一定 )であるとの条件を前提としている。補正が い吸光度A 1 、A 2 (実測値)は、指示薬分解物質が吸収波長λ 1 、λ 2 において光の吸収を持つので、pH指示薬の吸 度に指示薬分解物質の吸光度が加えられた 測値となる。そのため、指示薬の分解が進 につれ(δA 0 の値が小さくなるにつれ)、A 1 /A 2 の値は、分解前の値よりも小さくなる。補正 式では、指示薬分解物質の吸光度B 1 ,B 2 に基づく分解分を差し引くので、指示薬が分 解してもA 1 、A 2 双方が同じ割合で減少するため、たとえ指示 薬が50%分解しても(δA 0 の値が0.5になっても)pHの値は変わらなかった 。実測値(補正がない値)と補正値がどれくら 異なるかを、上記表2の1番右のカラムの「 」の欄に示す。

 図1に示すように、本実施の形態では、非吸 収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上 変動しているときには、測定セル3、光源13ま たは受光素子19等で異常が発生していると判 してアラーム信号を発生する第1のアラーム 信号発生部33をさらに備えている。そもそも 吸収吸光度A b は、変化するものではない。したがって非吸 収吸光度A b が変化した場合には、測定セル3、光源13また は受光素子19等で異常が発生している可能性 高い。しかし温度の影響で、非吸収吸光度A b が変化することは現実にある。そこで非吸収 吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率以上 (具体的には、例えば1%以上)低下していると に、アラーム信号を発生すれば、アラーム 号の誤発生を防止できる。ここで測定セル3 異常とは、例えば測定セル3内の光透過部3B 気泡が入っている場合や、また水が混入す 場合である。また光源13の異常とは、光源13 の電源の故障により電圧が低下する場合や、 断線が発生して、光強度(光量)が低下した場 である。受光素子19の異常とは受光素子の 度が大幅に低下した場合等である。

 また本実施の形態では、光源13の出力ま は受光素子19の出力が初期値(使用開始前に 定装置を検査している段階で測定した値)を 準にして予め定めた変動率(数%:例えば1~3%) 上変動(低下)しているときには、光源13また 受光素子19に異常が発生していることを示 アラーム信号を発生する第2のアラーム信号 生部35をさらに備えている。すなわち光源13 の出力または受光素子19の出力が初期値を基 にして予め定めた変動率以上変動している きには、その他の機能が正常であっても、 定結果の精度は大幅に低下する。そこでこ ような第2のアラーム信号発生部35を設けれ 、異常の原因を特定してアラームを発生さ ることができるので、異常発生に対する対 が容易になる。

 さらに非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率(例 ば1%)以上変動しているときに、光源13の出力 または受光素子19の出力が初期値を基準にし 予め定めた変動率(数%:例えば1~3%)以上低下 ていないときには、測定セル中のpH指示薬溶 液に異常が発生していると判断してアラーム 信号を発生する第3のアラーム信号発生部37を さらに備えている。このような第3のアラー 信号発生部37を設けると、異常の発生原因が 測定セル3中のpH指示薬溶液にあることを特定 するアラーム信号を発生することができるの で、異常発生に対する対処が容易になる。

 発生したアラーム信号でどのような処理 実行するかは任意である。例えば、第3のア ラーム信号発生部37がpH指示薬溶液の異常を ラームした場合には、測定セル3内のpH指示 溶液を交換するようにすればよい。これを 現するためには、第3のアラーム信号発生部3 7が発生したアラーム信号を交換指令発生部7 入力する。このようにすると交換指令発生 7は、測定セル3中のpH指示薬溶液を交換する 交換指令を指示薬溶液交換装置5に出力し、 示薬溶液交換装置5は交換指令が入力される 、測定セル3内のpH指示薬溶液を交換する動 を行う。なお交換作業が開始されたときま は終了したときに、第1乃至第3のアラーム 号発生部33,35及び37をリセットする。また劣 判定部31をリセットして、pH値演算部27で使 する演算式を基本pH演算式に戻すことが行 れる。

 第1及び第2のアラーム信号発生部33及び35 、単独でアラーム信号を発生した場合には 送信装置39にアラーム信号が送られる。送 装置39は、アラーム信号を受信すると、アラ ームの内容を含めた情報を遠隔地にある監視 センターへと送信する。監視センターでは、 アラームの内容を見て、送信されてくるデー タの使用中止を決定したり、修理のための手 配を行う。

 図5は、本発明の方法を図1の測定装置にお て実施する場合にコンピュータを用いると に使用するプログラムの一回の測定におけ 劣化の判定とアラーム信号の発生に関する 分のアルゴリズムを示すフローチャートで る。ステップST1では、pH指示薬溶液に吸収さ れる光の吸収スペクトルを測定する。そして 吸収スペクトルから、pH指示薬溶液中のHL - の濃度に相当する第1の最大吸収波長λ 1 における第1の吸光度A 1 と、pH指示薬溶液中のL 2- の濃度に相当する第2の最大吸収波長λ 2 における第2の吸光度A 2 と、pH指示薬溶液中のpHが変化しても吸光度 変化しない等吸収点の波長における等吸収 吸光度A 0 と、光の吸収を持たない波長λ b の非吸収吸光度A b を求める。そして第1の吸光度A 1 と非吸収吸光度A b との差(A 1 -A b )と、第2の吸光度A 2 と非吸収吸光度A b との差(A 2 -A b )との比(A 1 -A b )/(A 2 -A b )に基づいて、pH指示薬溶液のpH値を演算する 本pH演算式によりpH指示薬溶液のpH値を演算 る。

 そしてステップST2では、等吸収点吸光度A 0 が増加しているか否かを判定する。等吸収点 吸光度A 0 が増加することは、光源異常や気泡の混入等 が発生しない限り生じることはないので、Yes の場合には、ステップST3へと進んで異常アラ ームを発生する。等吸収点吸光度A 0 が増加していない場合にはステップST4へと進 む。ステップST4では、初期値に対する等吸収 点吸光度A 0 の変動率を演算する。具体例では、初期値に 対して1%以上等吸収点吸光度A 0 が低下していない場合には、ステップST5へと 進んで、基本pH演算式でpHを決定した後、そ pHに基づいて二酸化炭素濃度を演算する。そ してその結果をメモリに保存して終了する。 ステップST4で、初期値に対して1%以上等吸収 吸光度A 0 が低下していることを判定すると、ステップ ST6へと進んで、非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率(1%) 上変動(変動)しているか否かが判定される。 変動している場合には、ステップST7へと進ん で光源13の光量が大幅に変化(数%以上変化)し いるか否かが判定される。なお光源13の出 の大幅な変化は、受光素子19の出力の変化に よって判断してもよい。ステップST7で、受光 素子の光源13の光量が大幅に変化(数%以上変 )していない場合には、ステップST8においてp H指示薬溶液中に気泡が入っているとか、pH指 示薬溶液の劣化が使用するのに不適切なほど に進行している等の異常が発生していると判 断する。この判断がなされると、交換指令発 生部7へアラーム信号が出力される。その結 、測定セル3内のpH指示薬溶液が交換される ステップST7で、光源13の異常(または受光素 の異常)が判定されるとステップST9に進んで 光源異常の報告をするアラーム信号が発生 る。

 ステップST6において、非吸収吸光度A b が初期値を基準にして予め定めた変動率(1%) 上変動(低下)していないことが判定された場 合には、ステップST10へと進む。ステップST10 は、ステップST7と同様に、光源13の光量が 幅に変化(数%以上変化)しているか否かが判 される。そしてその判定結果がYesであれば ステップST9へと進み、NoであればステップST1 1へと進む。ステップST11では、pH指示薬溶液 劣化が、pH演算において補正が必要な程度ま で進んでいると判断する。そしてステップST1 2へと進んで、以後は補正用演算式を用いてpH の演算が実行される。そしてステップST12か ステップST5へと進んで、ステップST5中の濃 決定ステップを利用して二酸化炭素濃度の 定がなされて測定が終了する。以後、この 定が所定時間間隔ごとに実行される。

 図1の実施の形態と図5に示したフローチャ トでは、pH指示薬溶液の劣化を最終的に判断 する前に、劣化以外の原因で等吸収点吸光度 A 0 が変化していることを判定するので、測定精 度はかなり高いものとなる。しかしながら原 理的には、等吸収点吸光度A 0 の変化率δA 0 が予め定めた低下率以上低下すると、pH指示 溶液が劣化したものと判定してもよい。そ 場合には、第1乃至第3のアラーム信号発生 33,35及び37は不要である。また交換指令発生 7は、定期的に交換指令を発生するように構 成すればよい。

 また上記実施の形態で用いた二種類の演 式と異なる演算式を用いる場合であっても 本発明を適用することができるのは勿論で る。

 上記実施の形態によれば、様々な温度に いても安定に測定できる。このことは、図6 に示す測定データからも分かる。図6は、温 が変わった場合における二酸化炭素濃度の 定結果の変化を示している。温度が変わっ 場合においても、測定結果の変化の直線性 変わることがない。したがって相対的に見 ば、様々な温度においても安定に測定でき ことが分かる。

 図7は、pH指示薬溶液の使用量を少なくす 場合に用いる指示薬溶液の交換システムの 部の構成を示している。このシステムでは 定セル103及び指示薬溶液交換装置105を、前 のスペクトル測定装置により測定を行って る際には、二酸化炭素透過部103A、光透過部 103B及び循環ポンプPを通ってpH指示薬溶液を 環させるpH指示薬循環路103Cを形成するよう 構成する。指示薬溶液交換装置105は、pH指示 薬溶液補給路FP0とpH指示薬循環路103Cとの接続 部に配置された第1の切換バルブV1と、pH指示 溶液排出路FP6とpH指示薬循環路103Cとの接続 に配置された第2の切換バルブV2とを備えて る。第1及び第2の切換バルブV1及びV2は、そ ぞれ三方向バルブによって構成されている pH指示薬循環路103Cは、第1の切換バルブV1と 2の切換バルブBV2との間に位置する流路FP1と 、第1の切換バルブV1と循環ポンプPとの間に 置する流路FP2、循環ポンプPと二酸化炭素透 部103Aとの間に位置する流路FP3と、二酸化炭 素透過部103Aと光透過部103Bとの間に位置する 路FP4と、光透過部103Bと第2の切換バルブV2と の間に位置する流路FP5とから構成されている 。この例では、二酸化炭素透過部103Aを、AFテ フロンチューブ(商標)によって構成する。

 指示薬溶液交換装置105は、測定時には、 1及び第2の切換バルブV1及びV2を第1の状態に 切り換えて、pH指示薬溶液補給路FP0及びpH指 薬溶液排出路FP6をpH指示薬循環路103Cから切 離し、pH指示薬循環路103Cを閉状態とする。 して交換指令が入力されると、第1及び第2の 切換バルブV1及びV2を第2の状態に切り換えて pH指示薬溶液補給路FP0及びpH指示薬溶液排出 路FP6をpH指示薬循環路103Cに接続してpH指示薬 環路103Cを一時的に開状態にした後、第1及 第2の切換バルブV1及びV2を第1の状態に戻し pH指示薬循環路103Cを再び閉状態とする。

 指示薬溶液交換装置105は、第1及び第2の 換バルブV1及びV2だけで、pH指示薬循環路を 閉状態」と「開状態」にすることができる で、指示薬の循環及び交換を簡単な構造で 現できる。また交換指令が入力されている 、pH指示薬循環路103C内のpH指示薬溶液をpH指 薬循環路から排出して、pH指示薬循環路を たなpH指示薬溶液で満たすように構成するこ とができる。このようなpH指示薬循環路103Cを 設けると、測定セル103C内の二酸化炭素透過 103AにpH指示薬溶液を繰り返し通過させるこ ができるので、二酸化炭素透過部103Aの長さ 短くすることができて、しかも測定のため 必要なpH指示薬溶液の量を少なくすること できる。

 図8(A)及び(B)は、第1及び第2の切換バルブV 1及びV2、循環ポンプP並びに塩分及び温度測 センサー111の主要部分を一枚の絶縁樹脂基 SB上に実装したユニット(アクリルマニホー ド)の一例の平面図及び右側面図を示してい 。絶縁樹脂基板SBは、透明な絶縁樹脂基板 より形成されている。このような絶縁樹脂 板として、本例では、アクリル基板を用い いる。絶縁樹脂基板SB内にpH指示薬溶液補給 FP0、pH指示薬溶液排出路FP6及びpH指示薬循環 路103Cの少なくとも一部(FP1、FP2、FP3、FP5)を穿 孔により形成している。このようなユニット (アクリルマニホールド)構造を採用すると、p H指示薬溶液補給路FP0、pH指示薬溶液排出路FP6 及びpH指示薬循環路103Cを形成する場合に必要 となる配管の本数及びコネクタの数を減らす ことができ、漏洩が発生する箇所を減らすこ とができて、測定装置の構造を簡単にするこ とができる。

 本発明によれば、pH指示薬が劣化して分解 、新たにできた物質が、第1及び第2の吸収ピ ークにおける2つの波長λ 1 、λ 2 において光の吸収を持った場合でも、等吸収 点吸光度の変化率δA 0 を用いてpH測定値の補正をすることができる で、従来よりも測定精度を高めることがで る。また、本発明によれば、pH指示薬の塩 性型と酸性型のスペクトルが2つのピーク波 で重なる指示薬においても測定が可能にな 効果が得られる。