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Patent Searching and Data


Title:
TAP COVERED WITH HARD COATING, AND PROCESS FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149465
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] With respect to a tap covered with hard coating, to even in tapping machining of mild steel, etc., facilitate curling of chips while inhibiting any fusion adhesion to thereby inhibit any entanglement thereof and to stably realize the abrasion resistance by the hard coating, thereby attaining not only enhancement of tool life duration but also continuous operation of tapping machining. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] At the portion of twist groove (20) functioning as a rake surface, hard coating (28) is provided on oxide film (26). Accordingly, the hard coating (28) is easily detached to thereby bring about surface exposure of the oxide film (26) to thereby inhibit any fusion adhesion to mild steel, etc. Further, curling of chips is facilitated to thereby inhibit any breakage by entanglement. Moreover, at portions other than twist groove (20) of screw part (16), the hard coating (28) is directly superimposed on the surface of tool base material (24), so that not only is the configuration of interfacial portion with detached hard coating (28), namely, hard coating (28) at cutting edge portion stabilized but also there are attained maintenance of high adhesion and stabilization of coating performance and cutting performance of cutting blade (22).

Inventors:
SUGANO, Hiroto (149 Miyama, Ichinomiya-choToyokawa-shi Aichi 31, 4411231, JP)
菅野 浩人 (〒31 愛知県豊川市一宮町宮前149 オーエスジー株式会社内 Aichi, 4411231, JP)
Application Number:
JP2007/061673
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
June 08, 2007
Export Citation:
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Assignee:
OSG CORPORATION (22 Honnogahara 3-chome, Toyokawa-shi Aichi, 05, 4420005, JP)
オーエスジー株式会社 (〒05 愛知県豊川市本野ヶ原三丁目22番地 Aichi, 4420005, JP)
SUGANO, Hiroto (149 Miyama, Ichinomiya-choToyokawa-shi Aichi 31, 4411231, JP)
International Classes:
B23G5/06
Attorney, Agent or Firm:
IKEDA, Haruyuki (Ikeda Patent Office, Nagoya-Dia. Bldg. No.2 15-1Meieki 3-chome, Nakamura-k, Nagoya-shi Aichi 02, 4500002, JP)
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Claims:
 おねじを分断するように設けられた溝に沿って切れ刃が形成されているねじ部を有するタップの製造方法であって、
 素材ブランクに前記溝を加工する溝加工工程と、
 該溝が設けられた前記素材ブランクに酸化処理を施して表面に酸化膜を形成する酸化処理工程と、
 該酸化膜が設けられた前記素材ブランクに前記ねじ部を研削加工するねじ部研削加工工程と、
 前記溝を含めて前記ねじ部の全域に前記硬質被膜をコーティングするコーティング工程と、
 を有することを特徴とする硬質被膜被覆タップの製造方法。
 前記硬質被膜はTiNまたはTiCNである
 ことを特徴とする請求項1に記載の硬質被膜被覆タップ。
 おねじを分断するように設けられた溝に沿って切れ刃が形成されているねじ部を有するタップにおいて、
 前記溝の表面には酸化処理によって酸化膜が設けられている一方、
 前記ねじ部には、前記溝を除いて工具母材の表面に直接硬質被膜がコーティングされている
 ことを特徴とする硬質被膜被覆タップ。
 おねじを分断するように設けられた溝に沿って切れ刃が形成されているねじ部を有するタップにおいて、
 前記溝の表面には酸化処理によって酸化膜が設けられている一方、
 前記ねじ部の中、前記酸化膜が設けられた前記溝には該酸化膜の上に硬質被膜がコーティングされ、該溝以外の部分には工具母材の表面に直接硬質被膜がコーティングされている
 ことを特徴とする硬質被膜被覆タップ。
Description:
硬質被膜被覆タップ、および硬 被膜被覆タップの製造方法

 本発明は硬質被膜被覆タップおよびその 造方法に係り、特に、軟鋼等に対するタッ 立て加工において、切り屑がカールしない 伸びてタップやホルダに絡み付くことを防 する技術に関するものである。

 おねじを分断するように設けられた溝に って切れ刃が形成されているねじ部を有す とともに、そのねじ部の表面には前記溝を めて硬質被膜がコーティングされている硬 被膜被覆タップが知られている(特許文献1 照)。このような硬質被膜被覆タップは、例 ば図8に示すように、シャンク102、首部104、 およびねじ形成部106を一体に有する素材ブラ ンク100を外周切削加工等によって用意し、ガ ス窒化、浸炭等の熱処理を行なって硬化させ た後、上記ねじ形成部106から首部104に掛けて 溝として例えばねじれ溝108を研削加工し、そ のねじれ溝108が設けられたねじ形成部106にお ねじを研削加工するとともに先端部分をテー パ形状に研削することにより、完全山部110a よび食付き部110bを有するねじ部110を形成す 。その後、ねじ部110から首部104に跨がる部 の表面に、ねじれ溝108を含めて硬質被膜を ーティングすることにより、所望の硬質被 被覆タップ120が得られる。

 ところで、このような硬質被膜は一般に摩 係数が小さいため、切り屑が滑り易くてカ ルし難くなり、例えばJISの規定によるSS400 の軟鋼に対するタップ立て加工では、切り が長く伸びてタップやホルダなどに絡み付 、タップが早期に折損したり連続加工が不 になったりする。これに対し、硬質被膜を ーティングした後に、溝表面については研 加工等によってその硬質被膜を除去し、工 母材を露出させることにより摩擦係数を大 くして切り屑がカールし易くなるようにす ことが考えられている(特許文献2参照)。

特開2003-145353号公報

特開2004-174698号公報

 しかしながら、上記SS400等の軟鋼或いは テンレス鋼等にタップ立て加工を行なう場 、特許文献2のようにすくい面に工具母材が 出していると、そのすくい面に溶着が発生 易くなり、十分な工具寿命が得られない。 た、溝表面の硬質被膜が溝研削加工によっ 除去されると、その境界の刃先部分で硬質 膜が不規則に剥離して先端形状がギザギザ なるとともに密着性が損なわれ、その境界 分を起点として摩耗(剥離)が進行し、早期 剥離して十分な耐久性が得られない場合が るなど、被膜性能や切削性能の安定性が損 われる。

 これに対し、溝表面に研削加工を行なっ 硬質被膜を除去した後に、その溝部を含め 酸化処理(水蒸気処理)を施して酸化膜を形 することが考えられ、これによれば上記溶 が抑制されるとともに、硬質被膜に比較し 摩擦係数が大きいため切り屑がカールし易 なり、絡み付きが抑制される。しかしなが 、刃先部分で硬質被膜が不規則に剥離して ザギザになるとともに密着性が損なわれ、 久性等の性能の安定性が損なわれる点は、 化処理を行なわない場合と同じであり、ま 、酸化処理により硬質被膜の表面が変質し 耐摩耗性が損なわれる場合がある。

 本発明は以上の事情を背景として為され もので、その目的とするところは、硬質被 がコーティングされる硬質被膜被覆タップ おいて、軟鋼等に対してタップ立て加工を なう場合でも、溶着を抑制しつつ切り屑が ールし易くして絡み付きを抑制し、且つ硬 被膜による耐摩耗性が安定して得られるよ にして、工具寿命を向上させるとともにタ プ立ての連続加工を可能とすることにある

 かかる目的を達成するために、第1発明は 、おねじを分断するように設けられた溝に沿 って切れ刃が形成されているねじ部を有する タップの製造方法であって、(a) 素材ブラン に前記溝を加工する溝加工工程と、(b) そ 溝が設けられた前記素材ブランクに酸化処 を施して表面に酸化膜を形成する酸化処理 程と、(c) その酸化膜が設けられた前記素材 ブランクに前記ねじ部を研削加工するねじ部 研削加工工程と、(d) 前記溝を含めて前記ね 部の全域に前記硬質被膜をコーティングす コーティング工程と、を有することを特徴 する。

 第2発明は、第1発明の硬質被膜被覆タッ において、前記硬質被膜はTiNまたはTiCNであ ことを特徴とする。

 第3発明は、おねじを分断するように設け られた溝に沿って切れ刃が形成されているね じ部を有するタップにおいて、(a) 前記溝の 面には酸化処理によって酸化膜が設けられ いる一方、(b) 前記ねじ部には、前記溝を いて工具母材の表面に直接硬質被膜がコー ィングされていることを特徴とする。

 第4発明は、おねじを分断するように設け られた溝に沿って切れ刃が形成されているね じ部を有するタップにおいて、(a) 前記溝の 面には酸化処理によって酸化膜が設けられ いる一方、(b) 前記ねじ部の中、前記酸化 が設けられた前記溝にはその酸化膜の上に 質被膜がコーティングされ、その溝以外の 分には工具母材の表面に直接硬質被膜がコ ティングされていることを特徴とする。

 第1発明の製造方法によれば、素材ブラン クに溝を加工した後に酸化処理を施して表面 に酸化膜を形成し、その後にねじ部を研削加 工するため、その研削加工された部分すなわ ちねじ部におけるおねじの山頂、フランク、 および谷底では酸化膜が除去され、その状態 でねじ部の全域に硬質被膜がコーティングさ れるため、ねじ部の溝以外の部分では工具母 材の表面に硬質被膜が直接コーティングされ る一方、溝部分では酸化膜の上に硬質被膜が コーティングされることになる。その場合に 、酸化膜は化学的に安定しているとともに表 面が比較的荒いため、硬質被膜の付着力が弱 くて剥離し易く、例えば1~数回程度のタップ て加工やその他の除去処理で簡単に剥離し 酸化膜が露出するため、軟鋼やステンレス 等に対してタップ立て加工を行なう場合で 、その酸化膜によって溶着が抑制されると もに、切り屑が溝に案内されて排出される にカールし易くなってタップやホルダに絡 付くことが抑制される。また、溝表面の硬 被膜は付着力が弱くて簡単に剥離する一方 それ以外の部分(おねじの山頂、フランク、 および谷底)では工具母材の表面に硬質被膜 直接コーティングされているため、その付 力が大きく、剥離領域との境界部分すなわ 刃先部分の硬質被膜の形状が安定するとと に高い密着性が維持され、耐摩耗性等の被 性能や切れ刃の切削性能が安定する。

 このように、第1発明の製造方法に従って 製造された硬質被膜被覆タップによれば、軟 鋼やステンレス鋼等に対してタップ立て加工 を行なう場合でも、溶着を抑制しつつ切り屑 がカールし易くなって絡み付きによるタップ 折損が抑制される一方、耐摩耗性等の被膜性 能や切れ刃の切削性能が安定することから、 全体として工具寿命が向上するとともに、切 り屑除去を行なうことなくタップ立ての連続 加工が可能となり、多数のタップ立て加工の 完全自動化を図ることができる。

 第2発明では、硬質被膜としてTiNまたはTiC Nが用いられており、そのコーティング処理 度は400~500℃程度で、500~550℃程度の酸化処理 温度よりも低いため、酸化膜上への硬質被膜 のコーティング処理に拘らず酸化膜の膜品質 が良好に維持され、硬質被膜が剥離した後の 酸化膜による耐溶着性能等が適切に得られる 。

 第3発明の硬質被膜被覆タップは、溝の表 面には酸化処理によって酸化膜が設けられて いる一方、ねじ部には、その溝を除いた工具 母材の表面に直接硬質被膜がコーティングさ れているため、実質的に第1発明の製造方法 従って製造された硬質被膜被覆タップにお て、溝表面の硬質被膜が除去された状態と じであり、第1発明と同様の効果が得られる

 第4発明の硬質被膜被覆タップは、溝の表 面には酸化処理によって酸化膜が設けられて いる一方、ねじ部の中、酸化膜が設けられた 溝部分にはその酸化膜の上に硬質被膜がコー ティングされ、その溝以外の部分には工具母 材の表面に直接硬質被膜がコーティングされ ているため、実質的に第1発明の製造方法に って製造された硬質被膜被覆タップと同じ あり、溝の酸化膜の上に設けられた硬質被 は1~数回程度のタップ立て加工やその他の除 去処理で簡単に除去されて酸化膜が露出させ られるため、第1発明や上記第3発明と同様の 果が得られる。

本発明が適用されたスパイラルタップ 示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) におけ IA-IA断面の拡大図、(c) は切れ刃の拡大断面 図、(d) は1~数回程度のタップ立て加工など 溝部分の硬質被膜が除去された状態の切れ の拡大断面図である。 図1のスパイラルタップの製造工程を説 明する図である。 耐久性試験のために用意した本発明品 よび3種類の比較品1~3の仕様および製造工程 を説明する図である。 図3の3種類の比較品1~3の刃先の構成を 明する断面図である。 図3の本発明品および比較品2の刃先部 の電子顕微鏡写真を比較して示す図である 図3の本発明品および比較品1~3をそれぞ れ3本ずつ用いて、SS400に対してタップ立て加 工を行なった場合の耐久性試験を説明する図 で、(a) は試験条件、(b) は試験結果である 図3の本発明品および比較品1~3をそれぞ れ3本ずつ用いて、SUS304に対してタップ立て 工を行なった場合の耐久性試験を説明する で、(a) は試験条件、(b) は試験結果である 従来の硬質被膜被覆タップの製造工程 一例を説明する図である。

符号の説明

 10:スパイラルタップ(硬質被膜被覆タップ )  16:ねじ部  18:おねじ  20:ねじれ溝(溝)  22:切れ刃  24:工具母材  26:酸化膜  28:硬 被膜  30:素材ブランク

 本発明の硬質被膜被覆タップは、軟鋼や テンレス鋼等の被削材に対してタップ立て 工を行う場合に好適に用いられるが、他の 削材に対してタップ立て加工を行う場合に いることもできる。また、塩素を含まない 素フリー型水溶性切削油剤を用いてタップ て加工を行なうことが望ましいが、塩素を 有する不水溶性切削油剤を用いることもで るし、加工条件によっては切削油剤を殆ど 用しないドライ加工やセミドライ加工(ミス ト噴霧など)でタップ立て加工を行うことも 能である。

 おねじを分断するように設けられる溝は 軸心と平行なストレート溝であっても良い 、軸心まわりにねじれたねじれ溝であって 良いなど、種々のタップに本発明は適用さ 得る。溝の数は、2本~4本が一般的であるが 径寸法によっては1本或いは5本以上であっ も良い。

 素材ブランクを構成する工具母材として 、高速度工具鋼または超硬合金が好適に用 られるが、他の超硬質工具材料やその他の 具材料を用いることもできる。

 硬質被膜としては、TiNまたはTiCNが好適に 用いられるが、例えば元素の周期表の IIIb族 、IVa族、Va族、またはVIa族の金属の炭化物、 化物、炭窒化物、或いはそれらの相互固溶 から成る他の化合物被膜などを用いること 可能である。これ等の硬質被膜は、例えば ークイオンプレーティング法やスパッタリ グ法等のPVD法によって好適に設けられるが プラズマCVD法等の他の成膜法で設けられて 良い。硬質被膜の膜厚は、被膜の種類など よって適宜定められるが、例えば1~5μm程度 適当である。2種類以上の硬質被膜が交互に 積層されている多層の積層被膜を用いたり、 2層或いは3層等の硬質被膜を用いたりするこ も可能である。

 素材ブランクに溝を加工する溝加工工程 、例えばガス窒化等の熱処理(表面硬化処理 )を行なった後に砥石による研削加工で実施 ることが望ましいが、熱処理の前にフライ 加工等の切削加工で溝を設けることも可能 ある。切削加工で溝を加工する場合、必要 応じて熱処理後に研削仕上げするようにし も良い。ねじ部研削加工工程についても、 処理後で且つ酸化膜が設けられた後に例え 砥石によりおねじを研削加工するとともに 先端部をテーパ状に研削加工して食付き部 形成するように行なわれるが、熱処理前に ねじ等の粗切削加工を行い、熱処理後に研 仕上げを行なうようにしても良い。酸化処 工程は、熱処理が施された後に行なわれ、 じ部研削加工工程では、酸化処理によって 成された酸化膜(層)が溝部分を除いて研削除 去される。

 溝部分には酸化膜が残っており、コーテ ング工程ではその酸化膜の上に硬質被膜が ーティングされるが、その酸化膜の上の硬 被膜は1~数回程度のタップ立て加工で簡単 剥離するため、第4発明のように酸化膜の上 硬質被膜が付着したままの状態で市場に出 することもできる。また、予め1~数回のタ プ立て加工を行なうか、或いは軽いショッ ブラストや研磨処理等を施すなどして、第3 明のように溝部分の硬質被膜を除去した状 で市場に出荷するようにしても良い。

 以下、本発明の実施例を、図面を参照しつ 詳細に説明する。
 図1は、本発明の硬質被膜被覆タップの一実 施例である3枚刃のスパイラルタップ10を示す 図で、(a) は軸心と直角方向から見た正面図 (b) は(a) におけるIA-IA断面の拡大図でであ 。このスパイラルタップ10は、シャンク12、 首部14、およびねじ部16を、その順番で同一 軸線上に一体に備えており、ねじ部16には加 工すべきめねじに対応するねじ溝形状のおね じ18が設けられているとともに、そのおねじ1 8を分断するように3本のねじれ溝20が軸心ま りに等間隔で設けられている。ねじ部16は、 ねじ山がテーパ状に除去された先端側の食付 き部16bと、その食付き部16bに連続して設けら れた完全なねじ山の完全山部16aとを備えてお り、上記ねじれ溝20に沿って切れ刃22が設け れている。3本のねじれ溝20は、何れも一定 リードのつる巻き線に沿ってねじ部16から首 部14の途中まで一繋がりで連続して設けられ いる。図1(a) の一点鎖線は、ねじれ溝20の 心線に相当する。

 図1(c) は、切れ刃22の拡大断面図で、工 母材24のすくい面側すなわちねじれ溝20側に 、酸化膜26が設けられているとともに、そ 酸化膜26の上に硬質被膜28がコーティングさ ている。工具母材24は高速度工具鋼にて構 されており、酸化膜26は、ねじれ溝20の他に 部14の全域に設けられている。すなわち、 部14およびねじ部16のうち、ねじ部16に設け れたおねじ18の山頂、フランク、および谷底 を除いた部分には、工具母材24の表面に酸化 26が設けられている。また、硬質被膜28は、 ねじれ溝20を含めて首部14およびねじ部16の全 域に設けられており、酸化膜26が存在しない じ部16におけるおねじ18の山頂、フランク、 および谷底、すなわちねじれ溝20以外の部分 は、工具母材24の表面に硬質被膜28が直接コ ーティングされている。この硬質被膜28は、T iNまたはTiCNで、本実施例ではTiCNの単層にて 成されており、例えばアークイオンプレー ィング法やスパッタリング法等のPVD法によ て形成され、その膜厚は1~5μmの範囲内で、 実施例では約3μmである。なお、図1(a) のク スハッチ部分は、酸化膜26の上に硬質被膜28 が設けられた領域で、斜線部は、工具部材24 に硬質被膜28が直接設けられた領域を表し いる。但し、一点鎖線で示すねじれ溝20につ いては、その全長に亘って酸化膜26の上に硬 被膜28が設けられている。

 本実施例のスパイラルタップ10の諸元に いて具体的に例示すると、呼びはM8×1.25で、 谷径が8mm、ピッチが1.25mmの右ねじのめねじを 切削加工するためのものである。ねじれ溝20 右ねじれであるとともに、ねじ部16におけ ねじれ溝20のねじれ角βは45°である。また、 ねじ部16の長さ(ねじ長)は10mmで、そのうちの 付き部16bの長さは2.5ピッチ(=3.125mm)である。 なお、図1は、硬質被膜28の膜厚を含めてスパ イラルタップ10の各部の寸法の比率や角度を 確に示したものではない。

 図2は、上記スパイラルタップ10の製造方 を具体的に説明する図で、(a) の素材ブラ ク加工工程では、シャンク12、首部14、およ ねじ形成部32を一体に有する素材ブランク30 を外周切削加工、研削加工等によって加工す る。(b) の熱処理工程では、ガス窒化、ガス 炭窒化等の熱処理により表面硬化処理を行 、(c) の溝研削加工工程では、砥石により じ形成部32から首部14に跨がって前記ねじれ 20を研削加工する。この溝研削加工工程は 溝加工工程に相当する。また、(d) の酸化処 理工程では、ねじ形成部32および首部14の全 にねじれ溝20を含めて酸化処理(水蒸気処理) 施し、表面に酸化膜26を形成する。この酸 処理の処理温度は、例えば500~550℃程度で行 われる。

 (e) のねじ部研削加工工程では、ねじ形 部32に前記おねじ18を砥石により研削加工す とともに、食付き部16bをテーパ形状に研削 工することにより、完全山部16aおよび食付 部16bを有するねじ部16を形成する。この時 おねじ18の山頂、フランク、および谷底部分 、すなわちねじれ溝20以外の部分では、前記( d) の酸化処理工程で設けられた酸化膜26が除 去される。その後、(f) のコーティング工程 、ねじ部16から首部14に跨がる部分の表面に 、ねじれ溝20を含めて硬質被膜28をコーティ グすることにより、目的とする硬質被膜被 タップ10が得られる。この時のコーティング 処理温度は、本実施例では硬質被膜28としてT iNまたはTiCNが設けられることから、400~500℃ 度である。

 そして、このようなスパイラルタップ10 、例えば塩素フリー型水溶性切削油剤を用 て軟鋼やステンレス鋼等の被削材にタップ て加工を行う場合に好適に使用され、予め けられた下穴内にねじ部16がねじ込まれるこ とにより、切れ刃22によってその下穴の内周 にめねじが切削加工されるとともに、切り はねじれ溝20を通ってシャンク12側へ排出さ れる。その場合に、本実施例のスパイラルタ ップ10はねじ部16が短いため、1回転でねじ部1 6のおねじ18の1リードずつ前進するようにシ クロ送り(リード送り)される。

 ここで、すくい面として機能するねじれ 20部分では酸化膜26の上に硬質被膜28がコー ィングされているため、例えば1~数回程度 タップ立て加工で切り屑がねじれ溝20に擦り 付けられることによって硬質被膜28が簡単に 離し、図1(d) に示すように酸化膜26がねじ 溝20の表面に露出する。すなわち、酸化膜26 化学的に安定しているとともに表面が比較 荒いため、硬質被膜28の付着力が弱くて剥 し易いのである。そして、このようにねじ 溝20の表面に酸化膜26が露出すると、軟鋼や テンレス鋼等に対してタップ立て加工を行 う場合でも、その酸化膜26によって溶着が 制されるとともに、切り屑がねじれ溝20に案 内されて排出される際にカールし易くなり、 タップ10やホルダに絡み付くことが抑制され 。

 また、上記のようにねじれ溝20部分の硬 被膜28は付着力が弱くて簡単に剥離する一方 、ねじ部16におけるおねじ18の山頂、フラン 、および谷底部分、すなわちねじれ溝20以外 の部分で切れ刃22の逃げ面として機能する部 には、工具母材24の表面に硬質被膜28が直接 コーティングされているため、その付着力が 大きく、ねじれ溝20から剥離した硬質被膜28 の境界部分、すなわち刃先部分の硬質被膜28 の形状が安定するとともに高い密着性が維持 され、耐摩耗性等の被膜性能や切れ刃22の切 性能が安定する。

 このように、本実施例の硬質被膜被覆タ プ10によれば、1~数回程度のタップ立て加工 でねじれ溝20部分の硬質被膜28が剥離し、図1( d) に示すように酸化膜26がねじれ溝20の表面 露出するため、軟鋼やステンレス鋼等に対 てタップ立て加工を行なう場合でも、溶着 抑制しつつ切り屑がカールし易くなって絡 付きによるタップ折損が抑制される一方、 摩耗性等の被膜性能や切れ刃22の切削性能 安定することから、全体として工具寿命が 上するとともに、切り屑除去を行なうこと くタップ立ての連続加工が可能となり、多 のタップ立て加工の完全自動化を図ること できる。

 また、本実施例では硬質被膜28としてTiN たはTiCNが用いられており、そのコーティン 処理温度は400~500℃程度で、500~550℃程度の 化処理温度よりも低いため、酸化膜26上への 硬質被膜28のコーティング処理に拘らず、ね れ溝20部分の酸化膜26の膜品質が良好に維持 され、硬質被膜28が剥離した後の酸化膜26に る耐溶着性能等が適切に得られる。

 なお、本実施例では、図1(c) に示すよう ねじれ溝20の酸化膜26上に硬質被膜28が付着 た状態で市場に出荷される場合について説 したが、予め1~数回のタップ立て加工を行 うか、或いは軽いショットブラストや研磨 理等を施すなどして、図1の(d) に示すよう ねじれ溝20部分の硬質被膜28が除去され、酸 膜26がねじれ溝20の表面に露出した状態で市 場に出荷するようにしても良い。

 次に、図3に示すように、本発明品(前記 施例のスパイラルタップ10)および3種類の比 品1~3を用いて、耐久性試験を行なった結果 説明する。比較品1~3の基本形状は本発明品 同じで、3枚刃のスパイラルタップであると ともに、サイズはM8×1.25、硬質被膜はTiCNであ る。そして、比較品1は、酸化膜26が無くて硬 質被膜28のみをねじ部16および首部14の全域に コーティングした従来品で、図4の(a) はこの 比較品1の切れ刃40の被膜構造を示す断面図で ある。比較品2は、比較品1においてねじれ溝2 0を再研削し、ねじれ溝20部分の硬質被膜28を 去して工具母材24をねじれ溝20の表面に露出 させた従来品で、図4の(b) はこの比較品2の れ刃42の被膜構造を示す断面図である。比較 品3は、比較品2に対して更に酸化処理を施し ねじれ溝20を含めてねじ部16および首部14の 域に酸化膜46を設けた場合で、図4の(c) は の比較品3の切れ刃44の被膜構造を示す断面 である。

 図5は、本発明品および比較品2の切れ刃22 、42の刃先部分を示す電子顕微鏡写真で、(b) の比較品2では、切れ刃42の先端すなわち白 で囲ったエッジ部分において、硬質被膜28が 研削除去されたすくい面(ねじれ溝20)側と、 質被膜28が残っているおねじ18の山頂側との 界部分で、その硬質被膜28が不規則に剥離 て先端形状がギザギザになっており、その 界部分を起点として摩耗(剥離)が進行し易い ものと考えられる。なお、(a) の本発明品は 未だタップ立て加工を行なう前の状態、す わち図2(f) のコーティング処理により硬質 膜28をコーティングしたままの状態で、お じ18の山頂側だけでなくすくい面(ねじれ溝20 )側にも硬質被膜28が残っている。

 図6は、図3の本発明品および3種類の比較 1~3をそれぞれ3本ずつ用意し、SS400(軟鋼)に してタップ立て加工を行なって耐久性を調 た結果を説明する図で、(a) は試験条件、(b)  は試験結果を示す図である。図6(b) の試験 果から明らかなように、本発明品では切り の除去を行なうことなく736穴~764穴のタップ 立ての連続加工が可能で、何れも摩耗により 加工不可となったのに対し、比較品1は、何 も10穴以下で切り屑の絡み付きによりタップ が折損した。比較品2では、603穴のタップ立 の連続加工が可能なものもあれば、30穴で切 り屑の絡み付きによりタップが折損したもの もあり、耐久性のばらつきが大きいとともに 寿命原因も相違しているなど性能が不安定で ある。また、比較品3では、301穴~543穴のタッ 立ての連続加工が可能であるが、比較品2と 同様に耐久性のばらつきが大きく、寿命原因 も相違しているなど性能が不安定であるとと もに、本発明品に比べて耐久性は1/2程度であ る。

 また、図7は、図3の本発明品および3種類 比較品1~3をそれぞれ3本ずつ用意し、SUS304( テンレス鋼)に対してタップ立て加工を行な て耐久性を調べた結果を説明する図で、(a) は試験条件、(b) は試験結果を示す図である 。図7(b) の試験結果から明らかなように、本 発明品では切り屑の除去を行なうことなく487 穴~560穴のタップ立ての連続加工が可能で、 れも摩耗により加工不可となったのに対し 比較品1では、221穴のタップ立ての連続加工 可能なものもあれば、83穴で切り屑の絡み きによりタップが折損したものもあり、耐 性のばらつきが大きいとともに寿命原因も 違しているなど性能が不安定である。比較 2は、何れも11穴以下で切り屑の絡み付きに りタップが折損した。また、比較品3では、2 24穴~307穴のタップ立ての連続加工が可能であ るが、寿命原因が相違しているなど性能が不 安定であるとともに、本発明品に比べて耐久 性は1/2程度である。

 以上、本発明の実施例を図面に基づいて 細に説明したが、これはあくまでも一実施 態であり、本発明は当業者の知識に基づい 種々の変更,改良を加えた態様で実施するこ とができる。

 本発明の硬質被膜被覆タップは、酸化膜 上に設けられたねじれ溝部分の硬質被膜が 単に剥離し、酸化膜が表面に露出するため 軟鋼やステンレス鋼等に対してタップ立て 工を行なう場合でも、溶着を抑制しつつ切 屑がカールし易くなって絡み付きによるタ プ折損が抑制される。また、ねじ部におけ ねじれ溝以外の部分では、工具母材の表面 直接硬質被膜がコーティングされているた 、剥離した硬質被膜との境界部分、すなわ 刃先部分の硬質被膜の形状が安定するとと に高い密着性が維持され、被膜性能や切削 能が安定する。これにより、工具寿命が向 するとともに、切り屑除去を行なうことな タップ立ての連続加工が可能になるなど、 鋼等を含めて種々の被削材に対してタップ て加工を行なう際に好適に用いられる。