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Patent Searching and Data


Title:
TAP WITH PILOT HOLE DRILLING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102445
Kind Code:
A1
Abstract:
A tap in which, as shown in Fig. 2, the diameter Dd of a drilling edge (13) of a drill (12) is smaller than the root diameter d1 of a male thread (20) of a tap part (14), and the inner diameter D1 of a female thread (30) is determined by the root diameter d1 of the male thread (20). Because of the arrangement above, a predetermined gap is formed between the female thread (30), which is made by the tap part (14), and the drill (12). After the forming of the female thread (30), the tap (10) is pulled out of the female thread (30) by reversely rotating the tap (10), and it may happen at this time that, upon departure of the male thread (20) of the tap part (14) from the female thread (30), the tap (10) is released from restraint to wobble and be displaced. Even in such a case, however, the drill (12) is less possible to be in contact with the female thread (30), so that occurrence of defective products resulting from the contact is minimized.

Inventors:
OSAWA JIRO (JP)
YAMAMOTO TAKEHIRO (JP)
NAKAJIMA TAKAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/053220
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 21, 2007
Export Citation:
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Assignee:
OSG CORP (JP)
OSAWA JIRO (JP)
YAMAMOTO TAKEHIRO (JP)
NAKAJIMA TAKAYUKI (JP)
International Classes:
B23G5/20
Foreign References:
JPH03100022U1991-10-18
JPS5750177Y21982-11-02
JPH01148229U1989-10-13
Attorney, Agent or Firm:
IKEDA, Haruyuki (Nagoya-Dia. Bldg. No.215-1 Meieki 3-chome,Nakamura-k, Nagoya-shi Aichi 02, JP)
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Claims:
 穴明け刃によって下穴を切削加工する下穴加工具と、
 形成すべきめねじに対応するおねじが設けられるとともに、該おねじを分断するように設けられた切り屑排出溝に沿ってねじ切り刃が形成され、前記下穴加工具によって形成された下穴に該ねじ切り刃によりめねじを切削加工するタップ部と、
 を同軸上に一体的に備えている下穴加工具付きタップにおいて、
 前記下穴加工具の穴明け刃の径寸法Ddは前記タップ部のおねじの谷径d よりも小さく、めねじの内径D は該おねじの谷径d によって定められる
 ことを特徴とする下穴加工具付きタップ。
 前記下穴加工具の穴明け刃の径寸法Ddは、前記タップ部から該下穴加工具の先端までの突出寸法が大きい程、該タップ部のおねじの谷径d に対する寸法差が大きくされる
 ことを特徴とする請求項1に記載の下穴加工具付きタップ。
 前記タップ部のおねじの谷径d は、形成すべきめねじの内径について予め設定された許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内とされている
 ことを特徴とする請求項1または2に記載の下穴加工具付きタップ。
 前記下穴加工具の穴明け刃の径寸法Ddは、前記許容寸法D 1 min~D 1 maxの下限値D 1 minよりも小さい
 ことを特徴とする請求項3に記載の下穴加工具付きタップ。
 前記下穴加工具はドリルである
 ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の下穴加工具付きタップ。
 前記下穴加工具はエンドミルである
 ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の下穴加工具付きタップ。
 前記下穴加工具により貫通した下穴を切削加工した後に、前記タップ部のおねじのリードに合わせて螺入するシンクロ送りに切り換えて、該タップ部により該下穴にめねじを切削加工するめねじ加工方法に用いられる
 ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の下穴加工具付きタップ。
 前記タップ部のおねじのリードに合わせて螺入するシンクロ送りで、前記下穴加工具により下穴を切削加工しながら、該タップ部により該下穴にめねじを切削加工するめねじ加工方法に用いられる
 ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の下穴加工具付きタップ。
Description:
下穴加工具付きタップ

 本発明は下穴加工具付きタップに係り、 に、めねじを切削加工した後にタップを逆 転させて引き抜く際に、タップ部がめねじ ら抜け出した時に下穴加工具がめねじに接 し、めねじのねじ山が変形することを防止 る技術に関するものである。

 (a) 穴明け刃によって下穴を切削加工す 下穴加工具と、(b) 形成すべきめねじに対応 するおねじが設けられるとともに、そのおね じを分断するように設けられた切り屑排出溝 に沿ってねじ切り刃が形成され、前記下穴加 工具によって形成された下穴にそのねじ切り 刃によりめねじを切削加工するタップ部と、 を同軸上に一体的に備えている下穴加工具付 きタップが知られている。特許文献1に記載 ドリル付きタップや、特許文献2に記載のエ ドミル付きタップはその一例であり、ドリ 付きタップは下穴が全く無いむくの被加工 に対してめねじを切削加工する場合に好適 用いられる一方、エンドミル付きタップは 鋳抜き穴など形成すべきめねじの内径より さな粗穴が予め設けられた被加工物に対し めねじを切削加工する場合に好適に用いら る。

 図6の(a) に示すドリル付きタップ80につい 具体的に説明すると、1条のおねじ82が設け れたタップ部84と、下穴加工具としてのドリ ル86とを同軸上に一体に備えているとともに それらのドリル86およびタップ部84には、図 示しない切り屑排出溝(ねじれ溝)が一定のリ ドで連続して形成され、その切り屑排出溝 ドリル86の先端に開口する部分に穴明け刃87 が設けられている一方、タップ部84には、そ 切り屑排出溝に沿ってねじ切り刃83が設け れている。そして、図6の(b) に示すように 先行するドリル86により被加工物88に対して 穴90を切削加工した後、タップ部84によりそ の下穴90にめねじ92を切削加工する。その場 に、ドリル86の穴明け刃87の径寸法(ドリル径 )Ddは、タップ部84のおねじ82の谷径d よりも大きく、ドリル86によって形成される 穴90の径寸法Dh(≒Dd)がそのままめねじ92の内 径D となる。また、めねじ92の谷径Dおよび有効径 D は、それぞれタップ部84のおねじ82の外径dお び有効径d に対応する。なお、図6のドリル付きタップ80 は、中心線Oの上半分を示す概略図で、主と て切れ刃各部の径寸法を説明する図であり 切り屑排出溝は省略されているとともに、 6(a) の穴明け刃87およびねじ切り刃83は、1本 の切り屑排出溝の開口部に形成されたそれ等 の刃87、83の回転軌跡形状を表している。

 ここで、通り穴のめねじ92を切削加工する 合、一般にドリル86の長さ寸法をめねじ92よ も長くし、先ず、穴明け加工に適した高速 転でドリル付きタップ80を回転駆動して、 リル86により貫通した下穴90を切削加工した 、タップ部84のおねじ82のリードに合わせて 螺入するシンクロ送りに切り換えて、そのタ ップ部84のねじ切り刃83によりめねじ92を切削 加工するようになっているのが普通である。 図6の(b) は、タップ部84により下穴90にめね 92を切削加工している途中の状態である。一 方、図6の(c) に示すような止り穴のめねじ94 切削加工する場合には、ドリル86の長さ寸 を短くし、始めからタップ部84のおねじ82の ードに合わせて螺入するシンクロ送りとし 、ドリル86により下穴90を切削加工しながら 、タップ部84のねじ切り刃83によりめねじ94を 切削加工することになる。

特開平10-100020号公報

特開平10-86019号公報

 ところで、このような下穴加工具付きタ プを用いてめねじを切削加工した場合、加 後にタップを逆回転させてめねじから引き く必要があるが、タップ部のおねじがめね から抜け出した時に下穴加工具がめねじの 元付近に接触し、めねじのねじ山形状が崩 たりバリが発生したりして、不良品(ゲージ アウト)になることがあった。すなわち、下 加工具が被加工物に食い付いて下穴を形成 る際に芯ずれが生じた場合など、本来のタ プの中心線と下穴、更にはその下穴に形成 れためねじとが芯ずれしていると、タップ のおねじがめねじから抜け出した時に、タ プの拘束が解除されて径方向へ振れ変位し 先端の下穴加工具がめねじのねじ山に接触 ることがあるのである。そして、例えばア ミ鋳物等の軟質材料にめねじを切削加工す 場合には、下穴加工具がめねじに僅かに接 しただけで、めねじのねじ山が潰れたり変 したりして不良品となる。また、前記図6の( c) のように止り穴のめねじ94を切削加工する 場合に、始めから下穴加工具付きタップをシ ンクロ送りすると、下穴加工具が低回転で被 加工物に食い付くことになるため、その時の 抵抗で芯ずれが生じ易くなり、上記問題が顕 著となる。

 本発明は以上の事情を背景として為され もので、その目的とするところは、めねじ 切削加工した後にタップを逆回転させて引 抜く際に、下穴加工具がめねじに接触して 良品が発生することを防止することにある

 かかる目的を達成するために、第1発明は、 (a) 穴明け刃によって下穴を切削加工する下 加工具と、(b) 形成すべきめねじに対応す おねじが設けられるとともに、そのおねじ 分断するように設けられた切り屑排出溝に ってねじ切り刃が形成され、前記下穴加工 によって形成された下穴にそのねじ切り刃 よりめねじを切削加工するタップ部と、を 軸上に一体的に備えている下穴加工具付き ップにおいて、(c) 前記下穴加工具の穴明け 刃の径寸法Ddは前記タップ部のおねじの谷径d よりも小さく、めねじの内径D はそのおねじの谷径d によって定められることを特徴とする。

 第2発明は、第1発明の下穴加工具付きタッ において、前記下穴加工具の穴明け刃の径 法Ddは、前記タップ部からその下穴加工具の 先端までの突出寸法が大きい程、そのタップ 部のおねじの谷径d に対する寸法差が大きくされることを特徴と する。

 第3発明は、第1発明または第2発明の下穴加 具付きタップにおいて、前記タップ部のお じの谷径d は、形成すべきめねじの内径について予め設 定された許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内とされていることを特徴とする。

 第4発明は、第3発明の下穴加工具付きタッ において、前記下穴加工具の穴明け刃の径 法Ddは、前記許容寸法D 1 min~D 1 maxの下限値D 1 minよりも小さいことを特徴とする。

 第5発明は、第1発明~第4発明の何れかの下 穴加工具付きタップにおいて、前記下穴加工 具はドリルであることを特徴とする。

 第6発明は、第1発明~第4発明の何れかの下 穴加工具付きタップにおいて、前記下穴加工 具はエンドミルであることを特徴とする。

 第7発明は、第1発明~第6発明の何れかの下 穴加工具付きタップにおいて、前記下穴加工 具により貫通した下穴を切削加工した後に、 前記タップ部のおねじのリードに合わせて螺 入するシンクロ送りに切り換えて、そのタッ プ部によりその下穴にめねじを切削加工する めねじ加工方法に用いられることを特徴とす る。

 第8発明は、第1発明~第6発明の何れかの下 穴加工具付きタップにおいて、前記タップ部 のおねじのリードに合わせて螺入するシンク ロ送りで、前記下穴加工具により下穴を切削 加工しながら、そのタップ部によりその下穴 にめねじを切削加工するめねじ加工方法に用 いられることを特徴とする。

 このような下穴加工具付きタップにおいて 、下穴加工具の穴明け刃の径寸法Ddがタッ 部のおねじの谷径d よりも小さく、めねじの内径D はそのおねじの谷径d によって定められるため、タップ部によって 形成されためねじと下穴加工具との間には所 定の隙間が形成される。このため、加工後に タップを逆回転させてめねじから引き抜く際 に、タップ部のおねじがめねじから抜け出し た時にタップの拘束が解除されて径方向へ振 れ変位しても、下穴加工具がめねじに接触し 難くなり、その接触に起因する不良品の発生 が抑制される。

 第2発明では、下穴加工具の穴明け刃の径寸 法Ddが、タップ部からその下穴加工具の先端 での突出寸法が大きい程、そのタップ部の ねじの谷径d に対する寸法差が大きくされるため、突出寸 法が大きくて下穴加工具の先端部分の径方向 の変位量が大きくなっても、下穴加工具とめ ねじとの接触が良好に抑制される一方、突出 寸法が小さい場合には穴明け刃の径寸法Ddと ップ部のおねじの谷径d との寸法差が小さくなるため、タップ部によ る切削加工量が少なくなり、切削抵抗が低減 されてタップ部の耐久性が向上する。

 第3発明では、めねじの内径D を規定するタップ部のおねじの谷径d が、形成すべきめねじの内径について要求精 度等に応じて予め設定された許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内とされるため、所望の寸法精度で めねじの内径が切削加工される。また、第4 明では、上記下穴加工具の穴明け刃の径寸 Ddが許容寸法D 1 min~D 1 maxの下限値D 1 minよりも小さいため、おねじの谷径d を許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内において適宜設定しつつ、下穴加 工具の穴明け刃の径寸法Ddがその谷径d よりも確実に小さな寸法とされ、形成された めねじの内径(≒d )との間に隙間が形成される。

 第5発明は、下穴加工具としてドリルが設 けられている場合で、下穴が全く無いむくの 被加工物に対してめねじを切削加工する場合 に好適に用いられる。第6発明は、下穴加工 としてエンドミルが設けられている場合で 鋳抜き穴など形成すべきめねじの内径より さな粗穴が設けられた被加工物に対してめ じを切削加工する場合に好適に用いられる

 第7発明は、下穴加工具により貫通した下 穴を切削加工した後に、タップ部のおねじの リードに合わせて螺入するシンクロ送りに切 り換えて、そのタップ部によりめねじを切削 加工する場合で、シンクロ送りに拘束される ことなく高速回転で下穴の切削加工を行うこ とができるため、例えばドリルで下穴を加工 する際の食付き時の芯ずれが抑制される。こ のため、加工後にタップを逆回転させてめね じから引き抜く際に、タップ部のおねじがめ ねじから抜け出した時の振れ変位が抑制され 、下穴加工具とめねじとの接触に起因する不 良品の発生が一層効果的に抑制される。

 第8発明は、タップ部のおねじのリードに合 わせて螺入するシンクロ送りで、下穴加工具 により下穴を切削加工しながらタップ部によ りその下穴にめねじを切削加工する場合で、 止り穴のめねじを加工する場合に好適に適用 される。また、このようなシンクロ送りでド リル等の下穴加工具により下穴を切削加工す る場合、回転速度が遅いため食付き時に芯ず れが生じ易く、めねじの加工後にタップを逆 回転させてめねじから引き抜く際に、タップ 部のおねじがめねじから抜け出した時に径方 向へ大きく振れ変位する可能性があるため、 下穴加工具の穴明け刃の径寸法Ddをタップ部 おねじの谷径d よりも小さくすることにより、その振れ変位 に起因して下穴加工具がめねじに接触するこ とを抑制するという効果を一層顕著に享受で きる。

本発明の一実施例であるドリル付きタ プを示す図で、(a) は概略正面図、(b) はシ ャンク側から見た端面図である。 (a) は図1のドリル付きタップの各部の 寸法を説明する図であり、(b) は図1のドリ 付きタップによって形成される通り穴のね 穴の各部の径寸法を説明する図で、タップ により下穴にめねじを切削加工している途 の状態である。 本発明のドリル付きタップの別の例を 明する図で、(a) は図1の(a) に相当する概 正面図、(b) は(a) のドリル付きタップによ て切削加工される止り穴のねじ穴を、ドリ 付きタップと共に示す図である。 図1の本発明品と図6の従来品を用いて った耐久性試験の(a) 試験仕様、(b) 試験品 法、および(c) 試験結果を示す図である。 本発明が適用されたエンドミル付きタ プを示す概略正面図である。 従来のドリル付きタップの一例を説明 る図である。

符号の説明

 10、40:ドリル付きタップ(下穴加工具付きタ プ)  12、42:ドリル(下穴加工具)  13、43、53 :穴明け刃  14:タップ部  20:おねじ  21:ね 切り刃  22:切り屑排出溝  30:めねじ(通り )  34、44:下穴  36:めねじ(止り穴)  50:エン ドミル付きタップ(下穴加工具付きタップ)   52:エンドミル(下穴加工具)  Dd:穴明け刃の径 寸法  d :タップ部の谷径  D :めねじの内径

 前記下穴加工具およびタップ部には、そ 等の全長に亘って切り屑排出溝を連続して けることが望ましく、例えばその切り屑排 溝が下穴加工具の先端に開口する部分に穴 け刃が設けられる。切り屑排出溝としては シャンク側へ切り屑を排出する方向にねじ たねじれ溝が望ましいが、軸心と平行な直 を採用することもできるし、下穴加工具は じれ溝で、タップ部では直溝とするなど種 の態様が可能である。また、下穴加工具に ける切り屑排出溝の数とタップ部における り屑排出溝の数は、必ずしも同じである必 はなく、例えば下穴加工具は2本で、タップ 部では、下穴加工具から連続する2本の切り 排出溝に加えて、更にその中間に1本ずつ設 て計4本(ねじ切り刃も4枚)とするなど、種々 の態様が可能である。

 本発明は、右ねじ用および左ねじ用の何 の下穴加工具付きタップにも適用され得る 下穴加工具およびタップ部は、例えば単一 工具粗材を用いて一体に設けられるが、下 加工具をタップ部と別体に構成して溶接や き嵌めなどにより一体的に連結するように ても良い。

 第2発明では、下穴加工具の穴明け刃の径寸 法Ddが、タップ部からその下穴加工具の先端 での突出寸法が大きい程、そのタップ部の ねじの谷径d に対する寸法差が大きくされ、径寸法Ddが小 くなるが、他の発明の実施に際しては、突 寸法の相違に拘らず径寸法Ddと谷径d との寸法差が一定であっても良い。

 第3発明では、タップ部のおねじの谷径d が、形成すべきめねじの内径について予め設 定された許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内とされるが、この許容寸法D 1 min~D 1 maxは、例えばめねじの要求精度に応じてJISや ISO等の規格(等級など)により適宜定められる 下限値(最小許容寸法)D 1 minは、一般にめねじの基準山形の内径寸法( 径基準寸法)で一定であり、最大許容寸法D 1 maxが要求精度に応じて変更される。タップ部 のおねじの谷径d は、少なくとも上記許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内であれば良いが、振れ等の加工誤 差を考慮して、例えばその公差の半分以下の 範囲で設定することが望ましい。具体的には 、最小許容寸法D 1 min以上で、その最小許容寸法D 1 minに公差の半分〔(D 1 max-D 1 min)/2〕を加算した値〔D 1 min+(D 1 max-D 1 min)/2〕以下の範囲内が望ましい。

 第8発明は、タップ部のおねじのリードに 合わせて螺入するシンクロ送りで、下穴加工 具により下穴を切削加工しながらタップ部の ねじ切り刃によりその下穴にめねじを切削加 工するもので、止り穴のめねじを切削加工す る場合に好適に適用されるが、通り穴のめね じを切削加工する場合にも適用できる。

 また、第8発明では、始めからシンクロ送 りで下穴を切削加工するが、他の発明の実施 に際しては、例えば始めは穴明け加工に適し た高速回転で回転駆動しながら下穴加工具に より下穴を切削加工し、タップ部が被加工物 に達する前にシンクロ送りに切り換えて、下 穴加工具により下穴を切削加工しながらタッ プ部によりその下穴にめねじを切削加工する ようにしても良いなど、種々の態様が可能で ある。

 以下、本発明の実施例を、図面を参照しつ 詳細に説明する。
 図1の(a) は、本発明の一実施例であるドリ 付きタップ10の概略正面図で、(b) は(a) の 側に位置するシャンク18側から見た端面図 ある。このドリル付きタップ10は、下穴加工 具としてドリル12を備えている下穴加工具付 タップで、軸方向の先端側からドリル12、 ップ部14、首部16、およびシャンク18を同軸 に連続して備えており、超硬合金にて一体 構成されている。このドリル付きタップ10は 右ねじ加工用のもので、タップ部14には、形 すべきめねじに対応する右ねじのおねじ20 設けられているとともに、同じく右まわり ねじれた3本の切り屑排出溝22がおねじ20を分 断するように設けられており、その切り屑排 出溝22に沿ってねじ切り刃21(図2(a) 参照)が形 成されている。これにより、シャンク18側か 見て右まわりに回転駆動されつつ、おねじ2 0のリードに合わせて下穴内に螺入するよう シンクロ送りされることにより、そのねじ り刃21によって下穴にめねじが切削加工され るとともに、切り屑排出溝22に沿って切り屑 シャンク18側へ排出される。おねじ20の工具 先端側すなわちドリル12側には、ねじ山が徐 に低くなる食付き部20aが例えば1.5山程度の 囲に設けられており、その食付き部20aでめ じが切削加工される。

 上記3本の切り屑排出溝22は、軸心まわり 等角度間隔(120°間隔)で互いに同じリードで ドリル12の先端からシャンク18の手前まで設 られており、それ等の切り屑排出溝22がドリ ル12の先端に開口する部分には、シャンク18 から見て右まわりに回転駆動されることに り下穴を切削加工する穴明け刃(ドリル刃)13( 図2(a) 参照)が形成されている。切り屑排出 22は、タップ部14の完全山部においてねじれ が例えば28°程度となるように、一定のリー ドで設けられている。また、ドリル付きタッ プ10には、切り屑排出溝22のねじれに沿って じれた3本のオイルホール24が、シャンク18側 の端面からドリル12の先端まで設けられ、穴 け刃13の逃げ面に開口させられており、必 に応じて潤滑油剤や冷却エア等を供給でき ようになっている。

 図2の(a) は、上記ドリル付きタップ10の リル12およびタップ部14を具体的に説明する で、中心線Oの上半分を示す概略図であり、 主として切れ刃各部の径寸法を説明する図で 、切り屑排出溝22は省略されている。また、 2(a) の穴明け刃13およびねじ切り刃21は、1 の切り屑排出溝22の開口部に形成されたそれ 等の刃13、21の回転軌跡形状を表している。

 この図2の(a) において、タップ部14のおね 20の谷径d は、形成すべきめねじ30(図2(b) 参照)の内径D について予め設定された許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内で定められる。許容寸法D 1 min~D 1 maxは、めねじ30の要求精度に応じてJISやISO等 規格(等級など)により適宜定められ、タッ 部14の谷径d は、少なくとも許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内であれば良いが、本実施例では振 れ等の加工誤差を考慮して、その公差の半分 以下の範囲、すなわち最小許容寸法D 1 min以上で、その最小許容寸法D 1 minに公差の半分〔(D 1 max-D 1 min)/2〕を加算した値〔D 1 min+(D 1 max-D 1 min)/2〕以下の範囲内で設定される。例えば、 M8×1.25のタップで、はめあい長さが並み(公差 域クラス6H)の場合、最小許容寸法D 1 min=6.647mm、最大許容寸法D 1 max=6.912mmであり、公差(D 1 max-D 1 min)は0.265mmで、その1/2は約0.133mmとなり、最小 許容寸法D 1 min=6.647mm以上で、〔D 1 min+(D 1 max-D 1 min)/2〕≒6.647+0.133=6.78mm以下の範囲内で谷径d が設定される。なお、おねじ20の外径dおよび 有効径d は、めねじ30の要求精度に応じてJISやISO等の 格(等級など)により設定される許容寸法の 囲内で適宜定められる。

 また、ドリル12の穴明け刃13の径寸法(ドリ 径)Ddは、上記おねじ20の谷径d よりも小さく、本実施例では許容寸法D 1 min~D 1 maxの下限値(最小許容寸法)D 1 minよりも小さい。この下限値D 1 minは、めねじの基準山形の内径寸法(内径基 寸法)で、等級等の精度に拘らず一定であり M8×1.25のねじの場合D 1 min=6.647mmであり、ドリル径Ddは例えば6.6mm程度 に設定される。また、本実施例では、ドリル 12の長さ寸法、すなわちタップ部14からドリ 12の先端までの突出寸法に応じて、その突出 寸法が大きい程谷径d に対する寸法差が大きくされ、ドリル径Ddが さくなる。

 そして、このようなドリル付きタップ10は 例えばNC工作機械の主軸にリジット式ホルダ を介して取り付けられ、図2の(b) に示すよう に、先行するドリル12により被加工物32に対 て下穴34を切削加工した後、タップ部14によ その下穴34にめねじ30を切削加工する。その 場合に、ドリル12の穴明け刃13の径寸法(ドリ 径)Ddは、タップ部14のおねじ20の谷径d よりも小さいため、そのドリル12によって形 される下穴34の径寸法Dh(≒Dd)はめねじ30の内 径D よりも小さく、下穴34の内周面に更にタップ 14のおねじ20の谷部が食い込んで切削加工が 行われる。これにより、めねじ30の内径D は、おねじ20の谷径d によって規定されることになる。なお、めね じ30の谷径Dおよび有効径D は、それぞれタップ部14のおねじ20の外径dお び有効径d に対応する。

 ここで、本実施例は、図2の(b) から明ら なように被加工物32に対して通り穴のめね 30を切削加工する場合で、ドリル12の軸方向 さがそのめねじ30の軸方向長さよりも大き されており、先ず、穴明け加工に適した高 回転でドリル付きタップ10を回転駆動して、 ドリル12により貫通した下穴34を切削加工し 後、タップ部14のおねじ20のリードに合わせ 螺入するシンクロ送りに切り換えて、その ップ部14のねじ切り刃21によりめねじ30を切 加工すれば良い。また、めねじ30の切削加 が終了した後は、ドリル付きタップ10をタッ プ部14のおねじ20のリードに合わせて逆回転 せて引き抜き、タップ部14がめねじ30から完 に抜け出した後は、例えば高速送りで軸方 へ引き抜けば良い。なお、図2の(b) は、タ プ部14により下穴34にめねじ30を切削加工し いる途中の状態である。

 一方、図3の(b) に示すように止り穴のめね 36を切削加工する場合には、図3の(a) に示 ように、前記ドリル付きタップ10に比較して ドリル42の長さ寸法が短いドリル付きタップ4 0が好適に用いられ、始めからタップ部14のお ねじ20のリードに合わせて螺入するシンクロ りとして、ドリル42の穴明け刃43により下穴 44を切削加工しながら、タップ部14のねじ切 刃21によりめねじ36を切削加工すれば良い。 た、めねじ36の切削加工が終了した後は、 リル付きタップ40をタップ部14のおねじ20の ードに合わせて逆回転させて引き抜き、タ プ部14がめねじ36から完全に抜け出した後は 例えば高速送りで軸方向へ引き抜けば良い なお、ドリル42の穴明け刃43の径寸法Ddは、 のドリル42の長さ寸法が短い分だけ谷径d に対する寸法差が小さく、最小許容寸法D 1 minよりも小さい範囲で前記ドリル12の径寸法D dよりも大きい。

 このようなドリル付きタップ10、或いは40に おいては、ドリル12、42の穴明け刃13、43の径 法Ddがタップ部14のおねじ20の谷径d よりも小さく、めねじ30、36の内径D はそのおねじ20の谷径d によって定められるため、タップ部14によっ 形成されためねじ30、36とドリル12、42との には所定の隙間が形成される。このため、 工後にドリル付きタップ10、40を逆回転させ めねじ30、36から引き抜く際に、タップ部14 おねじ20がめねじ30、36から抜け出した時に リル付きタップ10、40の拘束が解除されて径 方向へ振れ変位しても、ドリル12、42がめね 30、36に接触し難くなり、その接触に起因す 不良品の発生が抑制される。

 また、ドリル12、42の穴明け刃13、43の径寸 Ddが、タップ部14からドリル12、42の先端まで の突出寸法が大きい程、そのタップ部14の谷 d に対する寸法差が大きくされるため、ドリル 付きタップ10のようにドリル12の突出寸法が きくて先端部分における径方向の変位量が きくなっても、ドリル12とめねじ30との接触 良好に抑制される。一方、ドリル付きタッ 40のようにドリル42の突出寸法が小さい場合 には、穴明け刃43の径寸法Ddとタップ部14の谷 径d との寸法差が小さくなるため、タップ部14に る切削加工量が少なくなり、切削抵抗が低 されてタップ部14の耐久性が向上する。

 また、めねじ30、36の内径D を規定するタップ部14の谷径d が、形成すべきめねじ30、36の内径D について要求精度等に応じて予め設定された 許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内とされるため、所望の寸法精度で めねじ30、36の内径D が切削加工される。

 また、ドリル12、42の穴明け刃13、43の径寸 Ddは、上記許容寸法D 1 min~D 1 maxの下限値D 1 minよりも小さいため、おねじ20の谷径d を許容寸法D 1 min~D 1 maxの範囲内において適宜設定しつつ、ドリル 12、42の穴明け刃13、43の径寸法Ddがその谷径d よりも確実に小さな寸法とされ、形成された めねじ30、36の内径D (≒d )との間に隙間が形成される。

 また、本実施例では下穴加工具としてド ル12、42が設けられているため、下穴が全く 無いむくの被加工物32に対してめねじ30、36を 切削加工する場合にも好適に用いられる。

 また、通り穴のめねじ30を加工する場合 、ドリル12の長さ寸法がそのめねじ30の軸方 長さよりも長くされたドリル付きタップ10 おいては、ドリル12により貫通した下穴34を 削加工した後に、タップ部14のおねじ20のリ ードに合わせて螺入するシンクロ送りに切り 換えて、そのタップ部14によりめねじ30を切 加工すれば良く、シンクロ送りに拘束され ことなく高速回転でドリル12による下穴34の 削加工を行うことができるため、ドリル12 下穴34を加工する際の食付き時の芯ずれが抑 制される。このため、加工後にドリル付きタ ップ10を逆回転させてめねじ30から引き抜く に、タップ部14のおねじ20がめねじ30から抜 出した時の振れ変位が抑制され、ドリル12と めねじ30との接触に起因する不良品の発生が 層効果的に抑制される。

 また、ドリル42の長さ寸法が比較的短いド ル付きタップ40の場合、タップ部14のおねじ2 0のリードに合わせて螺入するシンクロ送り 、ドリル42により下穴44を切削加工しながら ップ部14のねじ切り刃21によりその下穴44に ねじ36を切削加工できるため、止り穴のめ じ36を好適に加工できる。このようなシンク ロ送りでドリル42により下穴44を切削加工す 場合、回転速度が遅いため食付き時に芯ず が生じ易く、めねじ36の加工後にドリル付き タップ40を逆回転させてめねじ36から引き抜 際に、タップ部14のおねじ20がめねじ36から け出した時に径方向へ大きく振れ変位する 能性があるため、ドリル42の径寸法Ddをタッ 部14の谷径d よりも小さくすることにより、その振れ変位 に起因してドリル42がめねじ36に接触するこ を抑制するという効果を一層顕著に享受で る。なお、ドリル12の長さ寸法が比較的長い ドリル付きタップ10においても、止り穴のめ じ36に対して被加工物32の肉厚が十分に大き い場合には、上記ドリル付きタップ40と同様 始めからシンクロ送りで切削加工を行うこ により、止り穴のめねじ36を切削加工する とができる。

 図4は、上記本発明のドリル付きタップ10、 よび前記図6に示す従来のドリル付きタップ 80を用いて、耐久性試験を行った結果を説明 る図である。この場合は、ねじ長さが16mmの 通り穴のめねじ30、92を切削加工する場合で 試験品のドリル12、86の長さ寸法は何れも16mm よりも長く、穴明け加工に適した回転速度で 回転駆動してドリル12、86により貫通した下 34、90を切削加工した後に、シンクロ送りで ップ部14、84によりめねじ30、92を加工した また、従来品のドリル径Ddは6.845mmで、予め 定された許容寸法D 1 min~D 1 max、すなわち6.647~6.912mmの範囲内であり、タ プ部84の谷径d は6.497mmで、ドリル径Dd=6.845mmよりも十分に小 く、めねじ92の内径D はドリル径Ddによって規定される。一方、本 明品のタップ部14の谷径d は6.767mmで、予め設定された許容寸法D 1 min~D 1 max、すなわち6.647~6.912mmの範囲内、具体的に 公差の1/2である〔D 1 min+(D 1 max-D 1 min)/2〕=6.647+0.133=6.78mm以下であり、ドリル径Dd は6.594mmで、タップ部14の谷径d =6.767mmよりも十分に小さく、めねじ30の内径D はタップ部14の谷径d によって規定される。

 そして、図4の「(c) 試験結果」から明ら なように、従来品(ドリル付きタップ80)は、 めねじ92の加工後に逆回転させて引き抜く際 ドリル86がめねじ92に接触し、ねじ山が潰れ たりバリが生じたりして通り側ゲージがゲー ジアウトとなり、1穴も切削加工することが きなかった。これに対し、本発明品(ドリル きタップ10)においては、切削速度が25、50、 75(m/min)の何れの場合も200穴以上の切削加工が 可能であり、ドリル付きタップ10を逆回転さ て引き抜く際にドリル12がめねじ30に接触し てねじ山を損傷することが抑制され、めねじ 30を高い精度で安定して切削加工できること 分かる。

 なお、上記実施例では本発明がドリル付 タップ10、40に適用された場合について説明 したが、図5に示すエンドミル付きタップ50に も本発明は適用され得る。このエンドミル付 きタップ50は、前記図1のドリル付きタップ10 比較して、ドリル12の代りにエンドミル52が 設けられた場合で、そのエンドミル52の穴明 刃(底刃)53の径寸法Ddは、前記ドリル12の径 法Ddと同様に設定される。エンドミル52がテ パエンドミルの場合は、外周刃の最大径を リル12の径寸法Ddと同様に設定すれば良い。

 このようなエンドミル付きタップ50は、 抜き穴など形成すべきめねじ30の内径より小 さな粗穴が予め設けられた被加工物32に対し めねじ30を切削加工する場合に好適に用い れる。

 以上、本発明の実施例を図面に基づいて 細に説明したが、これはあくまでも一実施 態であり、本発明は当業者の知識に基づい 種々の変更,改良を加えた態様で実施するこ とができる。

 本発明の下穴加工具付きタップは、下穴加 具の穴明け刃の径寸法Ddがタップ部のおね の谷径d よりも小さく、めねじの内径D はそのおねじの谷径d によって定められるため、タップ部によって 形成されためねじと下穴加工具との間に所定 の隙間が形成され、加工後に下穴加工具付き タップを逆回転させてめねじから引き抜く際 に、タップ部のおねじがめねじから抜け出し た時に下穴加工具付きタップの拘束が解除さ れて径方向へ振れ変位しても、下穴加工具が めねじに接触し難くなり、その接触に起因す る不良品の発生が抑制されることから、下穴 加工に連続してめねじを切削加工する技術分 野で好適に用いられる。