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Title:
TAPE-SHAPED OXIDE SUPERCONDUCTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/152768
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a tape-shaped oxide superconductor which can prevent the diffusion of elements constituting a metallic substrate into a superconducting layer and cracking of an intermediate layer and can improve the alignment of the superconducting layer. A 15 to 100 nm-thick Ce-Gd-O-based oxide layer (2)(Ce : Gd = 40 : 60 to 70 : 30 molar ratio) as a first intermediate layer and a 100 nm-thick Ce-Zr-O-based oxide layer (3) (Ce : Zr = 50 : 50 molar ratio) as a second intermediate layer are formed by an MOD method on an Ni-base alloy substrate (1) having a half value width (FWHM: ΔØ) of 6.5 degrees. A 150 nm-thick CeO2 oxide layer (4) as a third intermediate layer is further formed on the second intermediate layer by an RF sputtering method. A 1 µm-thick YBCO superconducting layer (5) is formed by a TFA-MOD method on the intermediate layer having a three-layer structure. In the tape-shaped oxide superconductor, the ΔØ values of the first to third intermediate layers are (6.0 to 6.5) degrees, (6.0 to 6.6) degrees, and (6.0 to 6.6) degrees, respectively, and the Jc value of the YBCO superconducting layer (5) in liquid nitrogen is 1.8 to 2.2 MA/cm2.

Inventors:
TAKAHASHI YASUO (JP)
KOIZUMI TSUTOMU (JP)
AOKI YUJI (JP)
KANEKO ATSUSHI (JP)
HASEGAWA TAKAYO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001149
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
May 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
INT SUPERCONDUCTIVITY TECH (JP)
SWCC SHOWA CABLE SYS CO LTD (JP)
TAKAHASHI YASUO (JP)
KOIZUMI TSUTOMU (JP)
AOKI YUJI (JP)
KANEKO ATSUSHI (JP)
HASEGAWA TAKAYO (JP)
International Classes:
H01B12/06; C01G1/00; C01G3/00; H01B13/00; H01F6/06
Foreign References:
JP2005113220A2005-04-28
JP2006027958A2006-02-02
JP2007115561A2007-05-10
Attorney, Agent or Firm:
MORIYA, Kazuo (1-13Nihonbashi-Honcho 3-chome,Chuo-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 2軸配向した金属基板上に、中間層及び酸化物超電導層を順次設けたテープ状酸化物超電導体において、前記中間層が、前記金属基板上に形成されたテンプレート機能を有する酸化物からなる第1中間層、前記第1中間層の上に形成された前記金属基板を構成する元素の前記酸化物超電導層への拡散を防止する機能を有する酸化物からなる第2中間層及び前記第2中間層の上に形成された前記酸化物超電導層の配向性を制御する機能を有する酸化物からなる第3中間層からなる3層構造により形成されていることを特徴とするテープ状酸化物超電導体。
 第1中間層乃至第3中間層の面内配向性は、2軸配向した金属基板のX線回折によるδφ(半値幅)に対して±1.0度の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のテープ状酸化物超電導体。
 第1中間層及び第3中間層は、CeO 2 又はCe-RE 1 -O(ここでRE 1 は、Gd、Sm、Eu、Dy、Ho、Erから選択されたいずれか1種又は2種以上の元素を示す。以下同じ。)により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のテープ状酸化物超電導体。
 第1中間層及び第3中間層のCe:RE 1 のモル比は、Ce:RE 1 =30:70~(100-α):α(α>0)の範囲内であることを特徴とする請求項3記載のテープ状酸化物超電導体。
 第1中間層及び第3中間層のCe:RE 1 のモル比は、Ce:RE 1 =40:60~70:30の範囲内であることを特徴とする請求項4記載のテープ状酸化物超電導体。
 第1中間層の厚さは、10~100nmの範囲内であることを特徴とする請求項3乃至5いずれか1項記載のテープ状酸化物超電導体。
 第3中間層の厚さは、30nm以上の範囲内であることを特徴とする請求項3乃至5いずれか1項記載のテープ状酸化物超電導体。
 第2中間層は、RE 2 -Zr-O(ここでRE 2 は、Ce、Gd、Sm、Eu、Dy、Ho、Er、Yから選択されたいずれか1種又は2種以上の元素を示す。以下同じ。)により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のテープ状酸化物超電導体。
 第2中間層のRE 2 :Zrのモル比は、RE 2 :Zr=30:70~70:30の範囲内であることを特徴とする請求項8記載のテープ状酸化物超電導体。
 第2中間層の厚さは、30nm以上の範囲内であることを特徴とする請求項8又は9記載のテープ状酸化物超電導体。
 第1及び第2中間層並びに酸化物超電導層は、有機金属塩塗布熱分解(MOD)法により形成されていることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載のテープ状酸化物超電導体。
 第1及び第2中間層並びに酸化物超電導層は、中間層又は酸化物超電導層を構成する元素を含むオクチル酸塩、ナフテン酸塩、ネオデカン酸塩または三弗化酢酸塩の混合溶液を塗布後、熱処理を施すことにより形成されることを特徴とする請求項11記載のテープ状酸化物超電導体。
 2軸配向した金属基板は、少なくとも第1中間層に接触する側において、2軸配向した表面層を備えることを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載のテープ状酸化物超電導体。
 2軸配向した金属基板は、Ni、Ni基合金、Cu又はCu基合金を冷間圧延後、熱処理を施すことにより、少なくとも第1中間層に接触する側において、2軸配向した表面層を備えることを特徴とする請求項13記載のテープ状酸化物超電導体。
 2軸配向した金属基板は、Niに(W、Mo、Ta、V、Cr)から選択されたいずれか1種又は2種以上の元素を0.1~15at%含むNi基合金からなることを特徴とする請求項14記載のテープ状酸化物超電導体。
 酸化物超電導層は、RE 3 Ba 2 Cu 3 O 7-y (ここでRE 3 は、Y、Gd、Sm、Nd、Ho、Dy、Eu、Tb、Er、Ybから選択されたいずれか1種又は2種以上の元素を示す。)構造を有することを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載のテープ状酸化物超電導体。
 Niに(W、Mo、Ta、V、Cr)から選択されたいずれか1種又は2種以上の元素を含み、少なくとも1側の面に2軸配向した表面層を備えたNi基合金の前記表面層の上に、第1中間層、第2中間層及び第3中間層を順次形成した3層構造からなる中間層を設け、前記第1中間層を有機金属塗布熱分解(MOD)法により形成した厚さ10~100nmのCeO 2 又はモル比がCe:Gd=40:60~70:30の範囲内のCe-Gd-O酸化物、前記第2中間層を有機金属塩塗布熱分解(MOD)法により形成した厚さ30nm以上のモル比がCe:Zr=30:70~70:30の範囲内のCe-Zr-O酸化物及び前記第3中間層を厚さ30nm以上のCeO 2 又はモル比がCe:Gd=40:60~70:30の範囲内のCe-Gd-O酸化物により形成し、前記第1中間層乃至第3中間層の面内配向性を2軸配向した金属基板のX線回折によるδφ(半値幅)に対して±1.0度の範囲内に維持するとともに、この中間層の上にYBa2 Cu 3 O 7-y 酸化物超電導体を有機金属塩塗布熱分解(MOD)法により形成したことを特徴とするテープ状酸化物超電導体。
Description:
テープ状酸化物超電導体

 本発明は、送電ケーブルや電力貯蔵シス ムのような電力機器及びモーター、変圧器 どの電力応用製品への使用に適した酸化物 電導体に係り、特に前駆体膜を加熱、焼成 ることによって金属基板上にセラミックス 層を形成する成膜方法、即ち、有機金属塩 布熱分解(MOD)法に適したテープ状酸化物超 導体に関する。

 酸化物超電導体は、従来のNb 3 Sn系等の金属系超電導体と比較して臨界温度( Tc)が高く、送電ケーブルや変圧器、モータ、 電力貯蔵システムといった応用機器を液体窒 素温度で運用できることから、その線材化の 研究が精力的に行われている。なかでもRE 3 Ba 2 Cu 3 O 7-y (ここでRE 3 は、Y、Gd、Sm、Nd、Ho、Dy、Eu、Tb、Er、Ybから 択されたいずれか1種又は2種以上の元素を示 す。以下RE 3 BCOと称する。)酸化物超電導体は、高磁場領 における通電電流の減衰が小さく、即ち、 体窒素温度における磁場特性が、Bi系超電導 体に比べて優れているため、実用的な高い臨 界電流密度(Jc)を維持することが可能であり 高温領域での優れた特性に加えて、貴金属 ある銀を使用しない製法が可能であること び冷媒に液体窒素を使用できることから冷 効率が著しく向上するため、経済的に極め 有利であり、次世代の超電導材料としてそ 線材化が期待されている。

 RE 3 BCO酸化物超電導線材は、一般に金属基板上に 2軸配向した酸化物層を少なくとも1層、若し は複数層形成し、その上に酸化物超電導層 、更に超電導層の表面保護と電気的接触の 上及び過通電時の保護回路としての役割を う安定化層を積層した構造を有する。この 合、RE 3 BCO線材の臨界電流特性は超電導層の面内配向 性に依存し、下地となる中間層及び配向金属 基板の面内配向性と表面平滑性の影響を大き く受けることが知られている。

 RE 3 BCO酸化物超電導体の結晶系は斜方晶であり、 x軸、y軸、z軸の3辺の長さが異なり、単位胞 三辺間の角度もそれぞれ微妙に異なるため 双晶を形成し易く、僅かな方位のずれが双 粒界を発生させ通電特性を低下させるため 通電状態において材料の特性を発揮させる めには、結晶内のCuO面を揃えるだけでなく 面内の結晶方位をも揃えることが要求され ことからBi系酸化物超電導体と比較してその 線材化に困難が伴う。

 RE 3 BCO酸化物超電導体の結晶の面内配向性を高め 、かつ面内の方位を揃えながら線材化する製 法は、薄膜の製法と規を同一にしている。即 ち、テープ状金属基板の上に面内配向度と方 位を向上させた中間層を形成し、この中間層 の結晶格子をテンプレートとして用いること によって、RE 3 BCO酸化物超電導層の結晶の面内配向度と方位 を向上させるものである。

 RE 3 BCO酸化物超電導体は、現在、さまざまな製造 プロセスで検討が行われており、テープ状金 属基板の上に面内配向した中間層を形成した 種々の2軸配向複合基板が知られている。

 この内、現在、最も高い臨界電流特性を示 プロセスは、IBAD(Ion Beam Assisted Deposition)基 板を用いた方法である。この方法は、多結晶 の非磁性で高強度のテープ状Ni系基板(ハステ ロイ等)上に、このNi系基板の法線に対して一 定の角度方向からイオンを照射しながら、タ ーゲットから発生した粒子をレーザー蒸着(PL D)法で堆積させて、結晶粒径が細かく高配向 を有し、超電導体を構成する元素との反応 抑制する中間層(CeO 2 、Y 2 O 3 、YSZ等)
または2層構造の中間層(YSZまたはRxZr 2 O 7 /CeO 2 またはY 2 O 3 等:Rxは、Y、Nd、Sm、Gd、Eu、Yb、Ho、Tm、Dy、Ce La又はErを示す。)を形成し、その上にCeO 2 をPLD法で成膜した後、さらにYBa 2 Cu 3 O 7-y (以下、YBCOと称する。)層をPLD法又はCVD法で成 膜した超電導線材である(例えば、特許文献1 至3参照。)。

 しかし、このプロセスは、全ての中間層 気相法による真空プロセスで形成されるた 、緻密で平滑な中間層膜を得ることができ という利点を有するが、製造速度が遅く、 た製造コストが上昇する等の問題点があり このIBAD法の他にもいくつかの気相法を用い た成膜プロセスが検討されているが、製造速 度及び製造コストの問題を解決する有効な手 段は報告されていない。

 低コストを実現するために最も有効なプ セスは、有機酸塩あるいは有機金属化合物 原料として用い、この溶液を基板表面に塗 後、熱分解及び結晶化熱処理を施すことに って酸化物層を形成するMODプロセスである このプロセスは簡便であるが、高温で長時 の熱処理を必要とするため、熱分解時の膜 体積収縮に起因するクラックの発生、粒成 の不完全さによる反応不均一性、基板を構 する金属元素の結晶粒界を介した拡散等に る結晶性の低下により、中間層としての機 を十分に有する膜を得ることには困難が伴 。

 一般に超電導体の中間層として、特にYBCOの 場合、上記のようにPVD法により形成されたCeO 2 が用いられているが、これは、CeO 2 中間層がYBCO層との格子整合性及び耐酸化性 優れ、かつYBCO層との反応性が小さいため最 優れた中間層の一つとして知られているこ による。このCeO 2 中間層をMOD法により形成すると、基板金属と の熱膨張率との大きな差に起因してクラック が発生し、中間層としての機能を果たすこと が不可能となる。CeO 2 にGdを添加した固溶体をMOD法でNi基板上に成 すると、熱膨張率の差を緩和することがで ることにより、クラックの発生は抑えられ が、NiあるいはNi合金基板からの元素拡散を 間層内部で止めることができず、超電導特 を低下させるという問題があった。

 この基板を構成する元素の拡散を防止する めに、CeO 2 の一部をZrに置換した中間層材料(Ce 2 Zr 2 O 7 )の検討が行われており、例えば、基板上に 2軸配向した無機材料の中間層を1層または複 数層形成し、この上に酸化物超電導層を設け た酸化物超電導体において、前記基板上に、 Ce、Gd又はSmから選択された1種類の元素とZrを 含む中間層を設けることにより、基板を構成 する金属元素の超電導層への拡散を防止する 効果が認められ、Jc>1MA/cm 2 の特性が得られている(特願2005-306696号及び特 願2005-360788号参照)。

特開平4-329867号公報

特開平4-331795号公報

特開2002-203439号公報

 以上述べたように、CeO 2 の一部をZrに置換した材料(Ce 2 Zr 2 O 7 )により中間層を形成した場合には、金属基 を構成する元素の超電導層への拡散を防止 る効果が認められるが、Zrを含む酸化物層を 金属基板の上に直接設けると、金属基板より もその配向性が1~3度低下し、従って、超電導 層の配向性もこれに依存して低下するため、 超電導特性の向上が期待できないという問題 があった。即ち、この系ではJcを向上させる に重要な因子である中間層及び酸化物超電 層の面内配向性を基板と同等にすることが 難であり、それによって超電導層のJc向上 阻害される結果となっていた。

 本発明は、上記の問題を解決するために されたもので、金属基板を構成する元素の 電導層への拡散や基板金属との熱膨張率と 差に起因するクラックの発生を防止し、か 超電導層の配向性を向上させることにより 電導特性に優れたテープ状酸化物超電導体 提供することをその目的としている。

 本発明のテープ状酸化物超電導体は、以 の問題を解決するためになされたもので、2 軸配向した金属基板上に、中間層及び酸化物 超電導層を順次設けたテープ状酸化物超電導 体において、中間層を、金属基板上に形成さ れたテンプレート機能を有する酸化物からな る第1中間層、第1中間層の上に形成された金 基板を構成する元素の酸化物超電導層への 散を防止する機能を有する酸化物からなる 2中間層及び第2中間層の上に形成された酸 物超電導層の配向性を制御する機能を有す 酸化物からなる第3中間層からなる3層構造に より形成するようにしたものである。

 以上の場合において、2軸配向した金属基 板表面の結晶の面内配向性を受け継ぎ、酸化 物超電導層の面内配向性を向上させるために 、第1中間層乃至第3中間層の面内配向性を、2 軸配向した金属基板のδφ(FWHM:半値幅)に対し ±1.0度の範囲内に維持することが好ましい

 上記の第1中間層及び第3中間層は、CeO 2 又はCe-RE 1 -O(ここでRE 1 は、Gd、Sm、Eu、Dy、Ho、Erから選択されたいず れか1種又は2種以上の元素を示す。以下同じ )により形成することができる。

 また、第2中間層は、RE 2 -Zr-O(ここでRE 2 は、Ce、Gd、Sm、Eu、Dy、Ho、Er、Yから選択され たいずれか1種又は2種以上の元素を示す。以 同じ。)により形成することができる。

 第1及び第2中間層並びに酸化物超電導層 、有機金属塩塗布熱分解(MOD)法により形成す ることが好ましい。

 この場合、これらの中間層及び酸化物超 導層は、当該中間層又は酸化物超電導層を 成する各元素を所定のモル比で含むオクチ 酸塩、ナフテン酸塩、ネオデカン酸塩また 三弗化酢酸塩の混合溶液を塗布後、熱処理 施すことにより形成することができる。

 また、本発明においては、2軸配向した金 属基板が用いられるが、この金属基板は、少 なくとも第1中間層に接触する側において、2 配向した表面層を備えることが必要とされ このような金属基板としては、Ni、Ni基合金 、Cu又はCu基合金を冷間圧延後、所定の熱処 を施すことにより得ることができる。

 本発明によれば、2軸配向した金属基板上 に、それぞれ特有の機能を有する3層構造の 間層を設けたことにより、第1中間層が金属 板のテンプレートとして金属基板の面内配 性を引き継ぎ、その上に積層される第2中間 層により金属基板を構成する元素の酸化物超 電導層への拡散を防止するとともに、第3中 層がその上に積層される酸化物超電導層の 向性を制御するため、金属基板を構成する 素の拡散や中間層におけるクラックの発生 防止することができる上、酸化物超電導層 面内配向性を金属基板と同等に維持するこ が可能となり、超電導特性に優れたテープ 酸化物超電導体を得ることができる。

本発明のテープ状酸化物超電導体の一 施例を示すテープの軸方向に垂直な概略断 図である。 本発明のテープ状酸化物超電導体の他 実施例を示すテープの軸方向に垂直な概略 面図である。 本発明のテープ状酸化物超電導体の構 の一実施例を示すテープの軸方向に垂直な 略断面図である。

 本発明のテープ状酸化物超電導体は、図3 に示すように、2軸配向性を有する配向金属 板10の上に金属基板と同等の配向性を有する 、第1中間層(テンプレート層)11、配向金属基 10を構成する金属元素の酸化物超電導層へ 拡散を防止する第2中間層(拡散防止層)12及び 酸化物超電導層の配向性を制御し反応性を防 止する第3中間層(配向制御層)13を積層した後 この上に酸化物超電導層14を設けた構造を する。酸化物超電導層14の上には、更に銀等 からなる表面保護等の役割を果たす安定化層 (図示せず。)を設けることができる。

 上記の各中間層11、12、13は、酸化物超電 層14の面内配向性を向上させるために、2軸 向した配向金属基板10の結晶配向を引き継 必要があり、このため金属基板10は、少なく とも第1中間層に接触する側において2軸配向 た表面層を備えることが必要である。この うな配向金属基板としては、冷間圧延後、 定の熱処理を施したNi、Ni基合金やCu又はCu 合金、例えば、Niに(W、Mo、Ta、V、Cr)から選 されたいずれか1種又は2種以上の元素を0.1~15 at%含むNi基合金を用いることができる他、こ らの配向金属基板と耐熱性及び耐酸化性を する金属基板(ハステロイ、インコネル、ス テンレス等)とNiまたはNi基合金あるいはCuま はCu基合金とを冷間加工により貼り合わせ、 900~1300℃の温度で配向化熱処理を施した積層 造からなる複合金属基板を用いることもで る。図2は、図3の2軸配向性を有する配向金 基板1に代えて、耐熱性及び耐酸化性を有す る金属基板10bと2軸配向性を有する配向金属 板10aとを貼り合わせた複合金属基板を用い 例を示している。

 第1中間層11及び第3中間層13は、CeO 2 又はCe-RE 1 -Oにより形成することが好ましく、この場合 Ce:RE 1 のモル比は、Ce:RE 1 =30:70~(100-α):α(α>0)、より好ましくは、Ce:RE 1 =40:60~70:30の範囲内である。この理由は、Ce/RE 1 比が3/7より少ないと2軸配向性が低下するこ による。

 第1中間層11の厚さは、10~100nmの範囲内で ることが好ましく、この理由は、膜厚が10nm 満では金属基板を完全に被覆しきれずに配 性向上の効果が認められず、一方、膜厚が1 00nmを超えると表面粗さが増大して第2中間層 び第3中間層の配向性や超電導層の超電導特 性を著しく低下させる結果を導くことによる 。

 また、第3中間層13の厚さは、30nm以上の範 囲であることが好ましく、膜厚が30nm未満で 、超電導層の成膜時に超電導層と第3中間層1 3が反応して消失することにより超電導特性 著しく低下させる結果を導く。

 一方、第2中間層12は、RE 2 -Zr-Oにより形成することができ、この場合、R E 2 :Zrのモル比は、RE 2 :Zr=30:70~70:30の範囲内であることが好ましい。 第2中間層12の厚さは、30nm以上の範囲である とが好ましく、膜厚が30nm未満では、超電導 の成膜時に金属基板10を構成する合金元素 超電導層の相互拡散が生じるため超電導特 が著しく劣化する結果となる。

 以上の第1乃至第3中間層及び酸化物超電 層は、有機金属塩塗布熱分解(MOD)法、RFスパ タ法、パルスレーザーデポジション法、EB 、CVD法等の上記の酸化物を形成できる方法 あればいずれの方法も用いることが可能で るが、前述の理由により、第1及び第2中間層 並びに酸化物超電導層は、有機金属塩塗布熱 分解(MOD)法により形成することが好ましい。 の場合、これらの中間層及び酸化物超電導 は、当該中間層又は酸化物超電導層を構成 る元素を所定のモル比で含むオクチル酸塩 ナフテン酸塩、ネオデカン酸塩または三弗 酢酸塩の混合溶液の塗布後、熱処理を施す とにより形成することができ、1種類あるい は2種類以上の有機溶媒に均一に溶解し、基 上に塗布できるものであれば、この例によ て制約されない。

 この場合、酸化物超電導層の形成に対し はTFA-MOD法が好適する。この方法は、非真空 プロセスで製造する方法として知られており 、酸化物超電導体を構成する各金属元素を所 定のモル比で含むトリフルオロ酢酸塩(TFA塩) 始めとする金属有機酸塩の溶液を基板上に 布し、それに仮焼熱処理を施してアモルフ ス状の前駆体を形成し、その後、結晶化熱 理を施して、前駆体を結晶化させて酸化物 電導体を形成するものである。

 金属基板への塗布方法は、スピンコート 、ディップコート法、インクジェット法等 挙げられるが、基板に均一な膜が形成でき ものであれば、この例によって制約されな 。

 MOD法による第1中間層11の面内配向性は、2 軸配向性を有する配向金属基板10のX線回折に よるδφ(半値幅)に対して-2度~+5度程度の範囲 形成されるが、好ましくは、第1中間層乃至 第3中間層の面内配向性を2軸配向した配向金 基板10のδφ(半値幅)に対して±1.0度の範囲内 に維持する。

 第3中間層の上に形成される酸化物超電導層 は、RE 3 Ba 2 Cu 3 O 7-y (ここでRE 3 は、Y、Gd、Sm、Nd、Ho、Dy、Eu、Tb、Er、Ybから 択されたいずれか1種又は2種以上の元素を示 す。)構造を有するもの、特に
YBa 2 Cu 3 O 7-y (以下YBCOと称する。)超電導体により形成する ことが好適する。

 以上のことから、本発明のテープ状酸化物 電導体のより好ましい実施態様として、Ni (W、Mo、Ta、V、Cr)から選択されたいずれか1種 又は2種以上の元素を含み、少なくとも1側の に2軸配向した表面層を備えたNi基合金の表 層の上に、第1中間層、第2中間層及び第3中 層を順次形成した3層構造からなる中間層を 設け、第1中間層を有機金属塩塗布熱分解(MOD) 法により形成した厚さ10~100nmのCeO 2 又はモル比がCe:Gd=40:60~70:30の範囲内のCe-Gd-O酸 化物、第2中間層を有機金属塗布熱分解(MOD)法 により形成した厚さ30nm以上のモル比がCe:Zr=30 :70~70;30の範囲内のCe-Zr-O酸化物及び第3中間層 厚さ30nm以上のCeO 2 又はモル比がCe:Gd=40:60~70:30の範囲内のCe-Gd-O酸 化物により形成し、第1中間層乃至第3中間層 面内配向性を2軸配向した金属基板のX線回 によるδφ(半値幅)に対して±1.0度の範囲内に 維持するとともに、この中間層の上にYBCO酸 物超電導体を有機金属塩塗布熱分解(MOD)法に より形成することができる。

 以下、本発明の実施例及び比較例につい 説明する。

 実施例1~8
 図1に示すように、幅5mm、厚さ70μmのNi基合 基板1上に、第1中間層としてCe-Gd-O系酸化物 2及び第2中間層としてCe-Zr-O系酸化物層3をMOD により形成した。Ni基合金基板1の結晶の配 性は、X線回折で測定した結果、そのδφ(半 幅)は6.5度であった。

 Ce-Gd-O系酸化物層2は、Ce及びGdをそれぞれ 定のモル比で含むオクチル酸、ナフテン酸 ネオデカン酸等の有機金属塩の混合溶液をD ipコーティングを用いて塗布した後、100~400℃ の温度範囲で仮焼し、次いで900~1200℃の温度 囲で焼成を施すことにより膜を結晶化させ 形成した。

 また、Ce-Zr-O系酸化物層3は、Ce及びZrをCe:Z r=50:50のモル比で含むオクチル酸、ナフテン 、ネオデカン酸等の有機金属塩の混合溶液 用い、上記と同様の方法により、Ce-Gd-O系酸 物層2の上に成膜した。このときの膜厚は100 nmであった。

 上記のCe-Zr-O系酸化物層3の上に、RFスパッタ 法により、CeO 2 ターゲットを用い、Ni基合金基板1を400~750℃ 温度範囲で制御して第3中間層としてCeO 2 酸化物層4を膜厚150nmに成膜した。

 以上のようにして形成した3層構造の中間層 の上に、YBCO超電導層5をTFA-MOD法により成膜し た。このときの成膜条件は、トリフルオロ酢 酸塩(TFA塩)を含む金属有機酸塩の混合原料溶 をCeO 2 酸化物層4の上に塗布後、仮焼成して形成し 仮焼成膜を710~780℃の温度範囲で本焼成して 膜した。焼成時の全圧は5~800Torr、酸素分圧 100~5000ppm、水蒸気分圧は2~30%の範囲とした。 このようにして成膜したYBCO超電導層5の膜厚 1μmであった。

 以上のようにして形成したテープ状酸化物 電導体の液体窒素中におけるJcを、第1中間 であるCe-Gd-O系酸化物層2の組成、膜厚及びδ φ、第2中間層であるCe-Zr-O系酸化物層3のδφ並 びに第3中間層であるCeO 2 酸化物層4のδφとともに表1に示した。

 実施例9~12
 第1中間層としてCeO 2 酸化物層(実施例9)、Ce-Sm-O酸化物層(実施例10) Ce-Eu-O酸化物層(実施例11)及びCe-Ho-O酸化物層( 実施例12)を形成した他は、実施例1~8と同様の 方法によりテープ状酸化物超電導体を形成し た。

 このようにして形成したテープ状酸化物超 導体の液体窒素中におけるJcを、第1中間層 組成、膜厚及びδφ、第2中間層であるCe-Zr-O 酸化物層3のδφ並びに第3中間層であるCeO 2 酸化物層4のδφとともに表2に示した。

 比較例1~4
 第1中間層として、その組成及び膜厚を変え たCe-Gd-O系酸化物層(比較例1から3)を形成し、 らにNi基合金基板1上に第1中間層を形成しな かった場合(比較例4)を除いて、実施例1~8と同 様の方法によりテープ状酸化物超電導体を形 成した。

 このようにして形成したテープ状酸化物超 導体の液体窒素中におけるJcを、第1中間層 組成、膜厚及びδφ、第2中間層であるCe-Zr-O 酸化物層3のδφ並びに第3中間層であるCeO 2 酸化物層4のδφとともに表3に示した。

 本発明によるテープ状酸化物超電導体は 送電ケーブルや電力貯蔵システムのような 力機器及びモーターなどの動力機器への使 に適した酸化物超電導体への利用が可能で る。




 
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