Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
TASTE-IMPROVING COMPOSITION, FOOD AND DRINK CONTAINING THE SAME AND METHODS OF PRODUCING THEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050905
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a taste-improving composition by which the taste of a food or a drink can be effectively improved; a food and a drink containing the same; and methods of producing them. Namely, a taste-improving composition which contains a cold water-extract of hop as the active ingredient; a food and a drink containing this taste-improving composition; a method of producing the taste-improving composition which comprises the step (11) of extracting hop with cold water to give a first extract and the step (12) of heating the first extract to give a second extract; a method of producing a food or a drink in which the taste-improving composition as described above is employed as a part of the starting materials; and a method of producing a food or a drink in which a cold water-extract of hop is employed as the active ingredient for improving the taste.

Inventors:
SATO MASAHIDE (JP)
WAKITA YOSHIHISA (JP)
KINO HIROYASU (JP)
SAKASHITA SOICHI (JP)
MARUYAMA KAZUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053624
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
February 29, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SAPPORO BREWERIES (JP)
SATO MASAHIDE (JP)
WAKITA YOSHIHISA (JP)
KINO HIROYASU (JP)
SAKASHITA SOICHI (JP)
MARUYAMA KAZUKI (JP)
International Classes:
A23L27/10; A23L2/52; C12C7/00; A23F3/14; A23F5/14; C12G1/00
Foreign References:
JPH07194351A1995-08-01
JPH09227A1997-01-07
Other References:
WAKITA Y.: "Hop-sui Chushutsubutsu 'CZ-01' no Kafunsho Keigen Koka", JOURNAL OF JAPANESE COUNCIL FOR ADVANCED FOOD INGREDIENTS RESEARCH, vol. 10, no. 2, December 2007 (2007-12-01), pages 57 - 58
Attorney, Agent or Firm:
HARUKA PATENT & TRADEMARK ATTORNEYS (28-4 Yotsuya 4-chome,Shinjuku-k, Tokyo 04, JP)
Download PDF:
Claims:
 ホップ冷水抽出物を有効成分として含有する
 ことを特徴とする呈味改善用組成物。
 前記ホップ冷水抽出物は、ホップから冷水で抽出された後に加熱処理が施された抽出物である
 ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載された呈味改善用組成物。
 5,5-ジメチル-2(5H)-フラノンを400ppb以上、80000ppb以下の濃度で含有する
 ことを特徴とする請求の範囲第2項に記載された呈味改善用組成物。
 苦味価(BU)に対する5,5-ジメチル-2(5H)-フラノンの濃度(ppb)の比率(ppb/BU)が10以上、6500以下である
 ことを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項に記載された呈味改善用組成物。
 請求の範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載の呈味改善用組成物が添加された
 ことを特徴とする飲食物。
 前記呈味改善用組成物が添加された飲料である
 ことを特徴とする請求の範囲第5項に記載された飲食物。
 前記呈味改善用組成物が添加された発泡性アルコール飲料である
 ことを特徴とする請求の範囲第6項に記載された飲食物。
 原料の一部としてホップを用いることなく製造された発泡性アルコール飲料に前記呈味改善用組成物が添加された発泡性アルコール飲料である
 ことを特徴とする請求の範囲第7項に記載された飲食物。
 前記呈味改善用組成物が添加された低糖飲料である
 ことを特徴とする請求の範囲第6項乃至第8項のいずれかに記載された飲食物。
 ホップを冷水で抽出して第一の抽出物を得る工程と、
 前記第一の抽出物に加熱処理を施して第二の抽出物を得る工程と、
 を含む
 ことを特徴とする呈味改善用組成物の製造方法。
 原料の一部として請求の範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載の呈味改善用組成物を用いる
 ことを特徴とする飲食物の製造方法。
 前記呈味改善用組成物の添加後に加熱処理を行う
 ことを特徴とする請求の範囲第11項に記載された飲食物の製造方法。
 前記呈味改善用組成物の添加後に、前記原料に含まれる5,5-ジメチル-2(5H)-フラノンの量を測定し、
 測定された前記量に基づいて前記加熱処理の条件を決定し、
 決定された前記条件に基づいて前記加熱処理を行うことにより呈味を調整する
 ことを特徴とする請求の範囲第12項に記載された飲食物の製造方法。
 ホップ冷水抽出物を呈味改善の有効成分として使用する
 ことを特徴とする飲食物の製造方法。
 前記ホップ冷水抽出物は、ホップから冷水で抽出された後に加熱処理が施された抽出物である
 ことを特徴とする請求の範囲第14項に記載された飲食物の製造方法。
Description:
呈味改善用組成物、これを添加 た飲食物、及びこれらの製造方法

 本発明は、呈味改善用組成物、これを添 した飲食物、及びこれらの製造方法に関し 特に、ホップ冷水抽出物を含有する呈味改 用組成物、これを添加した飲食物、及びこ らの製造方法に関する。

 ビールの製造に欠かすことのできない原 であるホップには、特有の苦味成分や芳香 分が含まれている。これらの成分は、ビー の製造工程において、ホップを含む原料液 煮沸することによって当該ホップから効率 く抽出されることが知られている。また、 ップの苦味成分は、ビールの泡持ち特性を 上させることが知られている。

 一方、従来、例えば、特許文献1に記載され ているように、ホップを水で抽出して得られ る抽出物を発泡麦芽飲料の泡安定化剤として 用いる試みがあった。

特開平9-163969号公報

 しかしながら、上記特許文献1に記載の技 術においては、苦味成分等の泡安定化に寄与 する成分を抽出する必要があるため、ホップ の抽出は、煮沸温度に近い比較的高い温度で 行われていた。そして、こうして得られたホ ップ水抽出物を発泡麦芽飲料に添加すること によって、当該発泡麦芽飲料の苦味もまた必 然的に増加することとなっていた。

 一方、本発明の発明者らは、鋭意研究を ねた結果、ホップを冷水で抽出して得られ 抽出物を用いることによって、発泡性アル ール飲料等の飲料や食品に対して、苦味の 著な増加を伴うことなく、ホップに特有の クを効果的に付与でき、当該飲料や食品の 味を改善できることを独自に見出した。

 本発明は、このような発明者らによる独 の知見に基づいて為されたものであって、 食物の呈味を効果的に改善できる呈味改善 組成物、これを添加した飲食物、及びこれ の製造方法を提供することをその目的の一 とする。

 上記課題を解決するための本発明の一実 形態に係る呈味改善用組成物は、ホップ冷 抽出物を有効成分として含有することを特 とする。本発明によれば、飲食物に添加さ ることによって、当該飲食物の呈味を効果 に改善できる呈味改善用組成物を提供する とができる。すなわち、この呈味改善用組 物は、例えば、飲食物に、ホップに由来す 特有のコクを効果的に付与することができ 。

 また、前記ホップ冷水抽出物は、ホップ ら冷水で抽出された後に加熱処理が施され 抽出物とすることができる。この場合、飲 物の呈味をより効果的に改善できる呈味改 用組成物を提供することができる。すなわ 、この呈味改善用組成物は、例えば、飲食 に、コクをより効果的に付与することがで る。また、さらに、前記呈味改善用組成物 、5,5-ジメチル-2(5H)-フラノンを400ppb以上、80 000ppb以下の濃度で含有することができる。こ の場合、飲食物の呈味をより確実に改善でき る呈味改善用組成物を提供することができる 。また、これらの呈味改善用組成物は、苦味 価(BU)に対する5,5-ジメチル-2(5H)-フラノンの濃 度(ppb)の比率(ppb/BU)が10以上、6500以下である のとすることができる。この場合、過剰な 味の付与を確実に回避しつつ、飲食物の呈 を効果的に改善できる呈味改善用組成物を 供することができる。なお、苦味価は、EBC(E uropean Brewery Convention:欧州醸造協会)の標準法 により決定される、苦味の程度を表す値であ り、その単位は「BU」(Bitterness Unit)で表され 。

 上記課題を解決するための本発明の一実 形態に係る飲食物は、前記いずれかの呈味 善用組成物が添加されたことを特徴とする 本発明によれば、呈味が効果的に改善され 飲食物を提供することができる。また、前 飲食物は、前記いずれかの呈味改善用組成 が添加された飲料であるとすることができ 。この場合、呈味が効果的に改善された飲 を提供することができる。

 また、前記飲料は、発泡性アルコール飲 であるとすることができる。この場合、呈 が効果的に改善された発泡性アルコール飲 を提供することができる。なお、本発明で うアルコール飲料とは、例えば、エタノー を1体積%以上の濃度で含有する飲料である また、本発明でいう発泡性アルコール飲料 は、ビールや発泡酒等、炭酸ガスを含有す アルコール飲料であって、例えば、グラス の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形 される泡立ち特性と、その形成された泡が 定時間以上保たれる泡もち特性と、を有す アルコール飲料であり、具体的には、EBCの 準法により決定されるNIBEM値(泡もち特性を す単位)で50以上を示すアルコール飲料であ 。また、前記発泡性アルコール飲料は、原 の一部としてホップを用いることなく製造 れた発泡性アルコール飲料に前記呈味改善 組成物が添加された発泡性アルコール飲料 あるとすることができる。この場合、呈味 効果的に改善され、且つ、いわゆる日光臭 発生が効果的に抑制された発泡性アルコー 飲料を提供することができる。また、前記 ずれかの飲料は、前記いずれかの呈味改善 組成物が添加された低糖飲料であるとする とができる。この場合、低糖でありながら 味が効果的に改善された飲料を提供するこ ができる。

 上記課題を解決するための本発明の一実 形態に係る呈味改善用組成物の製造方法は ホップを冷水で抽出して第一の抽出物を得 工程と、前記第一の抽出物に加熱処理を施 て第二の抽出物を得る工程と、を含むこと 特徴とする。本発明によれば、飲食物の呈 を効果的に改善できる呈味改善用組成物の 造方法を提供することができる。

 上記課題を解決するための本発明の一実 形態に係る飲食物の製造方法は、原料の一 として前記いずれかの呈味改善用組成物を いることを特徴とする。本発明によれば、 味が効果的に改善された飲食物の製造方法 提供することができる。

 また、前記製造方法においては、前記呈 改善用組成物の添加後に加熱処理を行うこ ができる。この場合、呈味がより効果的に 善された飲食物の製造方法を提供すること できる。また、さらに、前記呈味改善用組 物の添加後に、前記原料に含まれる5,5-ジメ チル-2(5H)-フラノンの量を測定し、測定され 前記量に基づいて前記加熱処理の条件を決 し、決定された前記条件に基づいて前記加 処理を行うことができる。この場合、5,5-ジ チル-2(5H)-フラノンを呈味改善の程度を表す 指標として用いることにより、所望の呈味を 備えた飲食物を確実に製造することができる 。すなわち、例えば、所望のコクが付与され た飲食物を確実に製造することができる。

 上記課題を解決するための本発明の一実 形態に係る飲食物の製造方法は、ホップ冷 抽出物を呈味改善の有効成分として使用す ことを特徴とする。本発明によれば、呈味 効果的に改善された飲食物の製造方法を提 することができる。また、前記製造方法に いて、前記ホップ冷水抽出物は、ホップか 冷水で抽出された後に加熱処理が施された 出物とすることができる。この場合、呈味 より効果的に改善された飲食物の製造方法 提供することができる。

本発明の一実施形態に係る呈味改善用 成物の製造方法の一例に含まれる主な工程 示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る飲食物の製 方法の一例に含まれる主な工程を示すフロ 図である。 本発明の一実施形態に係る飲食物の製 方法においてMFNを指標として呈味の調整を う場合の一例に含まれる主な工程を示すフ ー図である。 本発明の一実施形態に係る発泡性アル ール飲料の製造方法の一例に含まれる主な 程を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る呈味改善用 成物についてコクに関する官能検査結果の 例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る呈味改善用 成物について呈味の総合評価に関する官能 査結果の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る低糖ビール ついてコクセンサーによる測定結果の一例 示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る加熱された ップ冷水抽出物を含有する呈味改善用組成 についてコクに関する官能検査結果の一例 示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る加熱された ップ冷水抽出物を含有するコク付与用組成 についてMFNの濃度、苦味価、及びMFN/BU比の 例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る低糖ビール についてコクに関する官能検査結果の一例を 示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る低糖ビール について呈味の総合評価に関する官能検査結 果の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る低糖ビール についてMFNの濃度の一例を示す説明図である 。 本発明の一実施形態に係る緑茶につい てコクに関する官能検査結果の一例を示す説 明図である。 本発明の一実施形態に係る緑茶につい て呈味の総合評価に関する官能検査結果の一 例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るコーヒーに ついてコクに関する官能検査結果の一例を示 す説明図である。 本発明の一実施形態に係るコーヒーに ついて呈味の総合評価に関する官能検査結果 の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る加熱された ホップ冷水抽出物を含有する呈味改善用組成 物についてコクに関する官能検査結果の他の 例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る加熱された ホップ冷水抽出物を含有する呈味改善用組成 物について呈味の総合評価に関する官能検査 結果の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るワインにつ いてコクに関する官能検査結果の一例を示す 説明図である。 本発明の一実施形態に係るワインにつ いて呈味の総合評価に関する官能検査結果の 一例を示す説明図である。

 以下に、本発明の一実施形態について説 する。なお、本発明は、本実施形態に限定 れるものではない。

 まず、本実施形態に係る呈味改善用組成 (以下、「本組成物」という。)について説 する。本組成物は、ホップ冷水抽出物を有 成分として含有する。

 ホップ冷水抽出物は、ホップを冷水で抽 して得られる抽出物である。このホップ冷 抽出物は、ホップから冷水で抽出された後 加熱処理が施された抽出物(加熱されたホッ プ冷水抽出物)とすることができる。また、 ップ冷水抽出物は、ホップを冷水で抽出し 得られたままの加熱処理を施されていない 出物(未加熱のホップ冷水抽出物)とすること もできる。また、ホップ冷水抽出物は、その コク付与等の呈味改善の効果が損なわれない 限度で、所定の色素や成分を除去する処理等 の精製処理が施されたものとすることもでき る。

 以下、ホップ冷水抽出物を、抽出後に加 処理が施されたものか否かに基づいて区別 る場合には、加熱されたホップ冷水抽出物 「加熱抽出物」といい、加熱されていない ップ冷水抽出物を「未加熱抽出物」という また、加熱抽出物と未加熱抽出物とを特に 別しない場合には、これらを総称して「本 出物」という。また、加熱抽出物を含有す 本組成物と、未加熱抽出物を含有する本組 物と、を特に区別しない場合には、これら 本組成物は単に「本組成物」という。

 本組成物は、加熱抽出物又は未加熱抽出 の少なくとも一方を、飲食物に対してコク 付与する効果等、飲食物の呈味を改善する 果を発揮する有効成分として含有する。

 すなわち、本組成物は、本抽出物そのも とすることができる。この場合、本組成物 、加熱抽出物又は未加熱抽出物そのものと ることができる。また、本組成物は、加熱 出物と未加熱抽出物とを任意の比率で混合 たものとすることができる。

 また、本組成物は、本抽出物に加えて、 のコク付与効果等の呈味改善効果が損なわ ない限度で、他の成分や溶媒を含有するこ ができる。すなわち、本組成物は、例えば 本抽出物を所定の溶媒により希釈して調製 ることができる。また、本組成物は、例え 、そのコク付与効果等の呈味改善効果が損 われない限度で、pH調整剤、酸化防止剤、 色料、香料等を含有することができる。

 本組成物は、目的に応じて様々な形態の 品とすることができる。すなわち、本組成 は、例えば、溶液、ペースト、粉末、タブ ットやカプセル等の錠剤とすることができ 。

 ここで、冷水を抽出溶媒として用いるこ により、ホップに含有されているコクの付 に寄与する成分(以下、「コク付与成分」と いう。)等、飲食物の呈味改善に寄与する成 (以下、「呈味改善成分」という。)を効果的 に抽出できるという知見は、本発明の発明者 らが鋭意研究を重ねた結果、独自に見出した ものである。

 すなわち、この独自の知見によれば、冷 を用いることにより、例えば、ホップに含 されている苦味成分が抽出されることを抑 しつつ、コク付与成分を効率よく抽出する とができる。このため、本抽出物はホップ 来のコク付与成分を苦味成分に対して優先 に含有することができる。

 したがって、本抽出物を有効成分として 有する本組成物を飲食物に添加すると、当 飲食物の苦味を増加させることなく、当該 食物に対して、ホップに特有のコクを効果 に付与することができる。また、本組成物 飲食物に添加すると、当該飲食物の総合的 呈味のバランスを向上させることもできる

 このように、本抽出物は、飲料や食品の 味を改善する添加用組成物の有効成分とし の使用に適したものである。そして、特に 本抽出物は、飲料や食品にコクを付与する 加用組成物の有効成分としての使用に適し ものである。なお、例えば、ホップを煮沸 温水により抽出して得られる抽出物を飲食 に添加すると、当該飲食物には必然的に顕 な苦味が付与されてしまう。

 また、ホップを冷水で抽出して得られた 加熱抽出物に加熱処理を施すことにより、 クを付与する効果等、呈味を改善する効果 当該未加熱抽出物に比して顕著に増大され 加熱抽出物を得ることができるとの知見も た、本発明の発明者らが鋭意研究を重ねた 果、独自に見出したものである。

 すなわち、この知見によれば、いったん 水抽出により未加熱抽出物を得た後、さら 、当該未加熱抽出物を加熱することより得 れた加熱抽出物を用いることにより、当該 加熱抽出物を用いる場合に比べて、飲食物 呈味をより効果的に改善できる本組成物を ることができる。すなわち、例えば、加熱 出物を用いることにより、未加熱抽出物を いる場合に比べてより顕著なコク付与効果 奏する本組成物を得ることができる。この め、加熱抽出物を用いる場合には、例えば 未加熱抽出物を用いる場合に比べて、その 加量を低減することができ、コストの低減 図ることができる。

 ここで、加熱処理によって本抽出物のコ 付与効果等の呈味改善効果が増大する原因 一つとしては、当該加熱処理によって本抽 物に含有されるコク付与成分等の呈味改善 分の含有量が増大することが考えられる。 ク付与成分の一つとしては、例えば、加熱 理に伴うメイラード反応によって生成され ピラジン(pyrazine)類を挙げることができるが 、コク付与成分等の呈味改善成分は、他にも 様々な化合物を含み、その組成は複雑なもの と考えられる。

 この点、本発明の発明者らは、鋭意検討を ねた結果、本組成物に含有されている5,5-ジ メチル-2(5H)-フラノン(以下、「MFN」という。) の量と、本組成物による呈味改善効果、特に コク付与効果、との間に相関関係があること を独自に見出した。なお、MFNは、下記の式(I) で示される化合物である。

 すなわち、加熱抽出物を製造する際の加 温度が高いほど、また、加熱時間が長いほ 、当該加熱抽出物に含有されるMFNの濃度は くなる。そして、加熱抽出物に含有されて るMFNの濃度が高いほど、当該加熱抽出物を 効成分として含有する本抽出物のコク付与 果が大きくなる。また、加熱抽出物に含有 れているMFNの濃度が高いほど、当該加熱抽 物を有効成分として含有する本抽出物の呈 改善効果が大きくなる傾向がある。

 具体的に、本組成物に含有されるMFNの濃度 、例えば、400ppb以上、80000ppb以下であるこ が好ましく、400ppb以上、46000ppb以下であるこ とがより好ましく、2000ppb以上、46000ppb以下で あることが特に好ましい。なお、1ppbは、1gの 組成物中に1×10 -9 gの本化合物が含有される場合の濃度である 本組成物がMFNを400ppb以上、80000ppb以下の濃度 で含有することにより、当該本組成物は、飲 食物に対するコク付与効果を確実に発揮でき るとともに、飲食物の呈味のバランスを好ま しく改善することができる等の呈味改善効果 を確実に発揮することができる。そして、本 組成物に含有されるMFNの濃度を400ppb以上、460 00ppb以下とすることによって、本組成物は、 食物の呈味のバランスをより好ましく改善 ることができる。さらに、本組成物に含有 れるMFNの濃度を2000ppb以上、46000ppb以下とす ことによって、本組成物は、飲食物に対す コク付与効果をより確実に発揮できるとと に、飲食物の呈味のバランスを特に好まし 改善することができる。

 上述のような加熱によるMFN量の増加は、 熱前の本抽出物中にMFNの前駆化合物が含ま ており、加熱によって本抽出物中において 該前駆化合物からMFNを生成する化学反応が 行することによるものと考えられる。

 また、本発明の発明者らは、鋭意検討を ねた結果、本抽出物を加熱することにより 当該本抽出物の苦味価を増加させることな 、当該本抽出物に含有されるMFNの濃度を増 させることができることを見出した。

 すなわち、加熱抽出物を製造する際の加 温度が高いほど、また、加熱時間が長いほ 、当該加熱抽出物の苦味価に対するMFNの濃 の比率(以下、「MFN/BU比」という。)は高く る。そして、加熱抽出物のMFN/BU比が高いほ 、当該加熱抽出物を有効成分として含有す 本抽出物のコク付与効果が大きくなる。ま 、加熱抽出物のMFN/BU比が高いほど、当該加 抽出物を有効成分として含有する本抽出物 呈味改善効果が大きくなる傾向がある。

 具体的に、苦味価(BU)に対するMFNの濃度(pp b)の比率として算出される本組成物のMFN/BU比 、例えば、10以上、6500以下であることが好 しく、10以上、2400以下であることがより好 しく、80以上、2400以下であることが特に好 しい。本組成物のMFN/BU比を10以上、6500以下 することにより、本組成物は、飲食物に対 る過剰な苦味の付与を確実に回避しつつ、 食物に対するコク付与効果を確実に発揮で るとともに、飲食物の呈味のバランスを好 しく改善することができる。そして、本組 物のMFN/BU比を10以上、2400以下とすることに って、本組成物は、飲食物の呈味のバラン をより好ましく改善することができる。さ に、本組成物のMFN/BU比を80以上、2400以下と ることによって、本組成物は、飲食物に対 るコク付与効果をより確実に発揮できると もに、飲食物の呈味のバランスを特に好ま く改善することができる。なお、MFN/BU比は 例えば、溶液状の本組成物の一部を採取し MFNの濃度を測定するとともに、当該本組成 の他の一部を採取して苦味価を測定し、測 された当該MFN濃度と苦味価とに基づいて算 することができる。

 本組成物のMFN濃度及びMFN/BU比が高いほど 本組成物のコク付与効果は増大する。一方 本組成物のMFN濃度及びMFN/BU比が高すぎると 本組成物の呈味改善効果がかえって低下す 場合がある。この場合、本組成物のMFN濃度 びMFN/BU比は、例えば、添加の対象となる飲 物の種類に応じて、本組成物が所望の呈味 善効果を奏することのできる所定の範囲内 することが好ましい。

 次に、本組成物の製造方法について説明 る。図1は、本組成物の製造方法の一例に含 まれる主な工程を示すフロー図である。図1 示すように、この製造方法は、準備工程10と 、抽出工程11と、加熱工程12と、を含んでい 。

 準備工程10においては、抽出の対象とな ホップと、抽出溶媒として用いられる冷水 、を準備する。

 このホップとしては、目的に応じて適切 品種のものを任意に選択して用いることが きる。すなわち、例えば、チェコ産ザーツ ホップ、ドイツ産ハラタウ・トラディショ 種ホップ、ドイツ産ハラタウ・マグナム種 ップ、ドイツ産ペルレ種ホップ、ドイツ産 ルツブルッカー種ホップ、アメリカ産ナゲ ト種ホップ、ニュージーランド産パシフィ ク・ハラタウ種ホップ、日本国産フラノ18 ホップを用いることができる。

 また、ホップとしては、ホップの毬花の 体又は一部を用いることができる。すなわ 、例えば、ホップの毬花そのもの、毬花の 部であるルプリン部分、毬花の他の一部で る苞部分をそれぞれ単独で又はこれらを混 して用いることができる。

 また、ホップとしては、保存や輸送等の 的に応じて適切に加工された任意の形態の のを用いることができる。すなわち、例え 、乾燥させたホップの毬花を圧縮して得ら るプレスホップ、乾燥させたホップの毬花 粉砕して得られるホップパウダー、当該ホ プパウダーをペレット状に圧縮成形して得 れるホップペレット、ホップの苞部分から るスペントホップを用いることができる。

 冷水としては、温度が0~30℃の範囲内の水 を用いることができる。冷水の温度は、10~25 の範囲内とすることが好ましく、15~25℃の 囲内とすることがより好ましく、17~23℃の範 囲内とすることがさらに好ましい。また、こ の冷水は、抽出効率を向上させることを目的 として、水以外に少量のアルコール系溶媒( えば、エタノール)を含有することができる この場合、抽出に用いる冷水は、好ましく 10質量%以下の濃度でアルコール系溶媒を含 することができる。

 抽出工程11においては、ホップを冷水に り抽出して第一の抽出物、すなわち未加熱 出物を得る。この抽出工程11で実施する抽出 の方法は特に限定されず、目的に応じて適切 な方法を任意に選択して実施することができ る。

 すなわち、例えば、まず、所定の容器内 ホップと冷水とを入れて、適度に撹拌しな ら、所定の時間だけ放置することにより、 該冷水中に当該ホップに含有される成分を 出させる。次いで、この容器からホップ及 ホップ由来成分を含有する溶液を回収して 過し、ホップの残渣が除去されたろ液を未 熱抽出物として回収することができる。

 加熱工程12においては、抽出工程11で得ら れた未加熱抽出物に加熱処理を施して、第二 の抽出物、すなわち加熱抽出物を得る。この 加熱工程12において実施される加熱処理の方 は特に限定されず、目的に応じて適切な方 を任意に選択して実施することができる。

 すなわち、例えば、温度制御可能なヒー を備えた所定の容器内に未加熱抽出物を入 て、当該ヒータを発熱させて当該容器の温 を所定の加熱温度まで上昇させ、所定の時 だけ放置することにより、当該容器内の当 未加熱抽出物を加熱して、当該未加熱抽出 を加熱抽出物に変化させることができる。

 この加熱処理における加熱の温度や時間 の条件は特に限られず、目的に応じて適切 条件を任意に選択して用いることができる 具体的に、加熱の温度を高くし、又は加熱 時間を長くすることにより、加熱抽出物の クを付与する効果等の呈味改善効果を高め ことができる。

 また、加熱処理における温度及び時間を れぞれ所定範囲とすることによって、コク 与成分等の呈味改善成分と他の成分とのバ ンスに優れた加熱抽出物を得ることができ 。すなわち、例えば、加熱温度は85~155℃の 囲内、より好ましくは10秒~40分の範囲内と ることができる。そして、特に、85~135℃の 囲内の温度で、且つ10秒~40分の範囲内の時間 だけ未加熱抽出物を加熱することが好ましい 。このような条件で未加熱抽出物を加熱する ことにより、コクを付与する効果等の呈味改 善効果が際立った加熱抽出物を得ることがで きる。

 また、加熱工程12においては、加熱抽出 に含有されるMFNの濃度が予め定められた目 範囲内となるように、当該加熱抽出物に加 処理を施すことができる。この目標範囲は 例えば、400ppb以上、80000ppb以下とすることが 好ましく、400ppb以上、46000ppb以下とすること より好ましく、2000ppb以上、46000ppb以下とす ことが特に好ましい。加熱抽出物に含有さ るMFNの濃度が400ppb以上、80000ppb以下となる うに、当該加熱抽出物を加熱することによ 、当該加熱抽出物を有効成分として含有す 本組成物は、コク付与効果を確実に発揮で るとともに、飲食物の呈味のバランスを好 しく改善することができる。

 また、加熱工程12においては、加熱抽出 のMFN/BU比が予め定められた目標範囲内とな ように、当該加熱抽出物に加熱処理を施す とができる。この目標範囲は、例えば、10以 上、6500以下とすることが好ましく、10以上、 2400以下とすることがより好ましく、80以上、 2400以下とすることが特に好ましい。加熱抽 物のMFN/BU比が10以上となるように、当該加熱 抽出物を加熱することにより、当該加熱抽出 物を有効成分として含有する本組成物は、飲 食物に対する過剰な苦味の付与を確実に回避 しつつ、飲食物に対するコク付与効果を確実 に発揮できるとともに、飲食物の呈味のバラ ンスを好ましく改善することができる。

 このような製造方法によって、本組成物 、加熱工程12で得られた加熱抽出物そのも として製造することができる。また、本組 物は、加熱工程12で得られた加熱抽出物に加 えて、上述のように他の成分や溶媒をさらに 含有した組成物として製造することもできる 。

 また、本組成物は、上述の抽出工程11で られた未加熱抽出物そのものとして製造す ことができる。また、本組成物は、抽出工 11で得られた未加熱抽出物に加えて、上述の ように他の成分や溶媒をさらに含有した組成 物として製造することもできる。

 また、本組成物は、上述の抽出工程11で られた未加熱抽出物と、加熱工程12で得られ た加熱抽出物と、を任意の比率で混合した組 成物として製造することができる。また、本 組成物は、これら加熱抽出物と未加熱抽出物 との混合物に加えて、上述のように他の成分 や溶媒をさらに含有した組成物として製造す ることもできる。

 次に、本実施形態に係る飲食物(以下、「 本飲食物」という。)について説明する。本 食物は、上述したような本組成物が添加さ た飲料又は食品である。すなわち、飲料又 食品の製造過程において本組成物を添加す ことにより、本飲食物を得ることができる また、製造された飲料や食品に対して本組 物を添加することによっても、本飲食物を ることができる。

 本飲食物は、例えば、本組成物が添加さ た飲料(以下、「本飲料」という。)とする とができる。本飲料は、飲用に供されるも であれば特に限られず、アルコール飲料や アルコール飲料等、任意の種類の飲料とす ことができる。

 すなわち、本飲料は、例えば、発泡性ア コール飲料とすることができる。具体的に 例えば、本飲料は、その原料中に占める麦 の割合が50重量%以上である発泡性アルコー 飲料(いわゆるビール)、その原料中に占め 麦芽の割合が50重量%未満である発泡性アル ール飲料又は原料の一部として麦芽を用い ことなく製造される発泡性アルコール飲料( えば、いわゆる発泡酒等)とすることができ る。

 本組成物が添加される発泡性アルコール 料が、原料の一部としてホップを用いて製 されたものである場合には、本飲料は、当 ホップにより付与されたコクや苦味に加え 、本組成物により付与されたコクを重畳的 備えた発泡性アルコール飲料とすることが きる。すなわち、この場合、本飲料は、ホ プに特有の苦味を有しつつ、ホップに特有 コクが選択的に高められた発泡性アルコー 飲料とすることができる。さらに、本飲料 、本組成物が添加されていない発泡性アル ール飲料に比べて、呈味のバランスがより れた発泡性アルコール飲料とすることがで る。

 また、本組成物が添加される上述のいず かの発泡性アルコール飲料が、原料の一部 してホップを用いることなく製造されたも である場合には、本飲料は、ホップに特有 苦味を有することなく、本組成物により付 されたホップに特有のコクを有する発泡性 ルコール飲料とすることができる。さらに 本飲料は、本組成物が添加されていない発 性アルコール飲料に比べて、呈味のバラン がより優れた発泡性アルコール飲料とする とができる。

 さらに、本飲料が、原料の一部としてホ プを用いることなく製造された発泡性アル ール飲料に本組成物が添加された発泡性ア コール飲料である場合、本飲料は、いわゆ 日光臭の発生が効果的に抑制された発泡性 ルコール飲料とすることもできる。すなわ 、原料の一部としてホップを用いて製造さ た発泡性アルコール飲料が、例えば、保存 輸送の過程において日光に暴露された場合 、当該発泡性アルコール飲料においては、 該ホップに由来するイソアルファ酸(苦味成 分のうち主要な成分)の当該日光による変性 よって好ましくない異臭(日光臭)が顕著に発 生する。

 これに対し、本組成物は、日光臭の原因 なるホップ由来のイソアルファ酸の含有量 極めて微量であるため、当該本組成物が添 された発泡性アルコール飲料は、ホップに 有のコクを有しながら、日光に暴露された 合であっても日光臭の発生が著しく抑制さ 、保存性にも優れた発泡性アルコール飲料 することができる。すなわち、本飲料は、 組成物の添加によって改善された呈味を安 して確実に維持できる発泡性アルコール飲 とすることができる。

 また、本飲料は、非発泡性飲料とするこ ができる。すなわち、この場合、本飲料は 例えば、緑茶、コーヒー、果汁飲料等の非 泡性の非アルコール飲料とすることができ 。また、本飲料は、非発泡性のアルコール 料とすることができる。すなわち、本飲料 、ワイン、焼酎、ブランデー等の炭酸ガス 含有しないアルコール飲料とすることがで る。また、本飲料は、スパークリングワイ 等、炭酸ガスを含有するアルコール飲料で って、発泡性アルコール飲料が有するほど 高い泡立ち特性や泡もち特性を有しないア コール飲料とすることができる。

 また、本飲料は、本組成物が添加された 糖飲料とすることができる。ここで、低糖 料とは、含有される糖質の濃度が2.5g/100mL以 下の飲料をいい、いわゆる無糖の飲料もこれ に含まれる。なお、飲料に含有される糖質の 量は、当該飲料に含まれる水分を除去して得 られる固形分の総重量から、当該固形分に含 まれる灰分、タンパク質、脂質、及び食物繊 維の重量の合計を減じた重量として算出する ことができる。

 すなわち、本飲料は、例えば、低糖発泡 アルコール飲料等の低糖アルコール飲料と ることができる。また、本飲料は、例えば 低糖コーヒー、低糖茶等の低糖非アルコー 飲料とすることができる。これらの場合、 飲料は、低糖でありながら、ホップに由来 るコクが効果的に付与された飲料とするこ ができる。

 ここで、低糖発泡性アルコール飲料は、 えば、その製造の発酵工程において、発酵 中の糖質濃度が十分に低下するまで酵母に るアルコール発酵を進行させることにより ることができる。このため、従来、低糖発 性アルコール飲料は、コクに乏しく、呈味 バランスが必ずしも良好でないものとなら るを得なかった。

 これに対し、本組成物が添加された低糖 泡性アルコール飲料は、当該本組成物に含 されるコク付与成分等の呈味改善成分によ て、低糖でありながら、十分なコクを備え 呈味のバランスにも優れたものとすること できる。特に、加熱抽出物を有効成分とし 含有する本組成物が添加された場合には、 飲料は、苦味の過剰な増加を伴うことなく コクが選択的に且つ顕著に高められ、総合 な呈味のバランスにも優れた低糖発泡性ア コール飲料とすることができる。なお、本 成物を添加することにより、低糖発泡性ア コール飲料以外の低糖飲料についても、同 の効果が得られる。

 本飲料に対する本組成物の添加濃度は特 限られず、添加の対象とする飲料が予め備 る特性に応じて、本飲料が所望の呈味を備 ることのできる任意の濃度とすることがで る。すなわち、本組成物の添加濃度は、例 ば、当該本組成物を添加することによって 飲料が好ましいコクを有することとなる濃 として決定することができる。

 具体的に、本飲料が発泡性アルコール飲 である場合は、本飲料は、例えば、本組成 が所定の範囲内の濃度で添加された発泡性 ルコール飲料とすることができる。すなわ 、本組成物の添加濃度の範囲は、例えば、0 .02~0.30質量%とすることができ、好ましくは0.0 2~0.20質量%とすることができ、より好ましく 0.05~0.20質量%とすることができ、特に好まし は0.10~0.20質量%とすることができる。本組成 物の添加濃度が0.30質量%を上回るとコクに加 てエグ味の増加する傾向もまた強くなるこ があり、本組成物の添加濃度が0.02質量%を 回るとコクを十分に付与することができな ことがある。これに対して、本組成物の添 濃度が上述の各範囲内である場合には、ホ プに特有のコクが特に際立った、呈味のバ ンスに優れた発泡性アルコール飲料とする とができる。

 また、本飲食物は、例えば、本組成物が 加された食品(以下、「本食品」という。) することができる。本食品は、食用に供さ るものであれば特に限られず、任意の種類 食品とすることができる。

 すなわち、本食品は、例えば、ゼラチン 寒天を用いて製造されるゼリーとすること できる。具体的に、例えば、本食品は、上 したような発泡性アルコール飲料をゼラチ や寒天で固形化したゼリーとすることがで る。この場合、発泡性アルコール飲料に特 の香味を有することに加え、ホップに特有 コクが際立ったゼリーとすることができる

 次に、本飲食物の製造方法について説明 る。本飲食物の製造方法においては、原料 一部として上述したような本組成物を用い 。すなわち、本飲食物の製造方法において 、本抽出物を呈味改善の有効成分として使 する。具体的には、未加熱抽出物又は加熱 出物のいずれかを単独で使用し、又は未加 抽出物と加熱抽出物とを併用することがで る。特に、加熱抽出物を使用する場合には 所定の加熱処理により、予め所望の呈味改 能を備えた加熱抽出物を確実に準備するこ ができるため、所望のコク等、所望の呈味 備えた飲食物を確実に製造することができ 。

 本飲食物の製造方法においては、本組成 の添加後に加熱処理を行うこともできる。 2は、この加熱処理が行われる場合の製造方 法の一例に含まれる主な工程を示すフロー図 である。図2に示すように、この製造方法は 添加工程20と加熱工程21とを含んでいる。

 添加工程20においては、飲食物の原料の 部として本組成物を添加する。そして、続 加熱工程21においては、本組成物を含む原料 に対して加熱処理を施す。この加熱工程21に いて実施される加熱処理の方法は特に限定 れず、目的に応じて適切な方法を任意に選 して実施することができる。すなわち、こ 加熱処理は、例えば、上述した本組成物の 造方法における加熱工程12における加熱処 と同様に実施することができる。具体的に 例えば、加熱処理は煮沸処理とすることが きる。また、本組成物の添加は、加熱処理 前に行うことができ、又は加熱処理の途中 行うこともできる。

 この加熱処理によって、添加された本組 物に含有されるコク付与成分の量を増大さ ることができる。この結果、ホップに特有 コクが効果的に付与された飲食物を製造す ことができる。また、この加熱処理によっ 、添加された本組成物に含有される呈味改 成分のバランスを整えることができる。こ 結果、呈味が効果的に改善された飲食物を 造することができる。

 また、このような加熱工程21を含む製造 法においては、呈味改善用組成物の添加後 、原料に含まれるMFNの量を測定し、測定さ た当該量に基づいて当該加熱工程21における 加熱処理の条件を決定し、決定された当該条 件に基づいて当該加熱処理を行うことにより 呈味を調整することもできる。すなわち、MFN をコク付与等の呈味改善の程度を表す指標と して用いる。

 図3には、このMFNを指標として呈味調整処 理を行う場合に、加熱工程12で行われる主な 理の流れを示す。図3に示すように、まず、 加熱処理が未だ施されていない、又はある程 度の加熱処理が施された原料の一部をサンプ ルとして採取して、当該サンプル中のMFNの濃 度を測定する(S100)。そして、測定された濃度 が、予め定められた目標範囲内に到達したか 否かを判断する(S101)。この目標範囲は、例え ば、予備的な検討により、所望の呈味を備え た飲食物に含有されるMFNの濃度として決定す ることができる。

 MFNの濃度が目標範囲内に到達していない 合(S101においてNoの場合)には、原料に対し 所定の加熱処理を行う(S102)。すなわち、例 ば、測定されたMFNの濃度と目標範囲の下限 との差分を算出し、当該差分に基づいて加 温度や加熱時間等の加熱条件を決定し、当 加熱条件下で原料を加熱する。

 その後、所定の加熱処理が施された原料 一部をサンプルとして採取して、当該サン ル中のMFNの濃度を測定する(S100)。そして、 定された濃度が目標範囲内に到達したか否 を再び判断する(S101)。このように、原料中 MFNの濃度が目標範囲内に到達するまで、必 に応じて加熱処理(S102)を繰り返す。

 そして、原料中のMFNの濃度が目標範囲内 到達している場合(S101においてYesの場合)に 、加熱処理を終了する。なお、MFNの濃度が 標範囲内に到達した場合であっても、必要 応じて、さらに加熱処理を施すこともでき 。

 なお、原料に含まれるMFNの濃度に代えて 又は当該濃度に加えて、上述のMFN/BU比を指 として加熱処理を行うこともできる。この 合も同様に、所望の呈味を備えた飲食物を 実に製造することができる。また、例えば 目標範囲に代えて、MFNの濃度又はMFN/BU比が 所定の目標値に到達したか否かに基づいて 熱処理を調整することもできる。また、加 条件の決定に用いるMFNの量は、MFNの濃度に られず、例えば、ガスクロマトグラフィー 検出されるピーク面積であってもよい。こ 場合、MFN/BU比は苦味価に対するMFNのピーク 積の比率とすることもできる。

 このように、MFNの濃度やMFN/BU比等、原料 含まれるMFNの量を呈味改善の指標として用 ることにより、飲食物の呈味を効果的に調 し、所望の呈味を備えた飲食物を確実に製 することができる。

 また、加熱抽出物を有効成分として含有 る本組成物の製造方法においても、MFNを指 として用いた当該本組成物の呈味調整を行 ことができる。すなわち、例えば、上述の 熱工程12において、未加熱抽出物又は所定 加熱処理が施された加熱抽出物に含まれるMF Nの量を測定する(図3のS100)。そして、測定さ たMFNの量に基づいて決定された条件下で、 該MFNの量が目標値に到達するまで加熱処理 行う(S101、S102)。

 具体的に、例えば、MFN濃度、MFN/BU比が目 範囲内に到達するまで加熱処理を行う。MFN 度の目標範囲は、例えば、上述した400ppb以 、80000ppb以下とすることが好ましく、400ppb 上、46000ppb以下とすることがより好ましく、 2000ppb以上、46000ppb以下とすることが特に好ま しい。MFN/BU比の目標範囲は、例えば、上述し た10以上、6500以下とすることが好ましく、10 上、2400以下とすることがより好ましく、80 上、2400以下とすることが特に好ましい。

 これによって、飲食物に対して所望の呈 改善効果を奏する本組成物を確実に製造す ことができる。そして、このようにコク付 成分の量や呈味改善成分のバランスが適切 調整された本組成物を原料の一部として添 することにより、所望の呈味を備えた飲食 を確実に製造することができる。

 図4は、本飲食物が発泡性アルコール飲料 である場合において、その製造方法の一例に 含まれる主な工程を示すフロー図である。図 4に示すように、この製造方法は、発酵前工 30、発酵工程31、発酵後工程32を含んでいる

 発酵前工程30においては、原料の一部と て酵母が資化できる炭素源及び窒素源を含 する発酵前液を調製する。すなわち、例え 、原料の一部として麦芽を用いる場合には 発酵前工程30において、まず、麦芽と温水と を混合した原料液に糖化処理を施し、次いで 、当該原料液に煮沸処理を施す。そして、さ らに、煮沸後の原料液(マイシェ)をろ過して 皮等の不溶性物質を除去することにより、 酵前液(麦汁)を得る。また、原料の一部と て麦芽を用いない場合においても、同様に 炭素源及び窒素源を温水と混合した原料液 調製し、当該原料液に煮沸処理を施すこと できる。

 発酵工程31においては、発酵前工程30で調 製された発酵前液に酵母を添加してアルコー ル発酵を行う。すなわち、この発酵工程31に いては、発酵前液に酵母(例えば、下面発酵 ビール酵母や上面発酵ビール酵母等のビール 酵母)を添加して、所定温度で所定期間、ア コール発酵を行わせる前発酵を行う。そし 、その後さらに、より低温でより長期間、 成させる後発酵(貯酒)を行う。

 発酵後工程32においては、発酵工程31を経 た発酵後液に所定の処理を施して発泡性アル コール飲料を得る。すなわち、発酵後工程32 おいては、発酵後液を60℃以上の温度で1分 上保持する低温殺菌や、発酵後液をより高 で短時間保持する高温殺菌等の殺菌処理(パ ストリゼーション)を行うことができる。

 このような発泡性アルコール飲料の製造 法において、加熱抽出物又は未加熱抽出物 有効成分として含有する本組成物は、任意 タイミングで添加することができ、例えば 加熱処理の前又は加熱処理の途中に添加す ことができる。

 すなわち、例えば、発酵前工程30におい 、煮沸処理に先立って、本組成物が添加さ た原料液を調製し、その後、当該本組成物 添加された原料液を煮沸して発酵前液を調 することができる。また、例えば、発酵前 程30において、原料液の煮沸を開始した後、 当該煮沸の途中で、当該煮沸中の原料液に本 組成物を添加することもできる。

 また、例えば、発酵後工程32において、 温殺菌又は高温殺菌に先立って本組成物の 加を行い、その後、発酵後液に対して低温 菌又は高温殺菌を行うことにより、加熱処 を行うことができる。

 このように、発泡性アルコール飲料の製 方法において、本組成物の添加後に加熱処 を行うことによって、当該本組成物に含有 れるコク付与成分の量を増加させ、呈味改 成分のバランスを整えることによって、当 本組成物によるコク付与効果等の呈味改善 果を高めることができる。

 また、発泡性アルコール飲料の製造方法 おいても、上述のように、MFNを呈味改善の 度を表す指標として用いることができる。 なわち、例えば、発酵前工程30において、 料の一部として本組成物が添加された原料 に加熱処理を施す場合には、まず、当該原 液に含まれるMFNの濃度を測定する(図3のS100) そして、測定されたMFNの濃度が、発泡性ア コール飲料(例えば、低糖の発泡性アルコー ル飲料)が所望の呈味(例えば、所望のコク)を 備えるために必要なMFNの濃度として予め決定 された目標値に到達しているか否かを判断す る(S101)。

 測定されたMFNの濃度が目標値に到達して い場合(S101においてNoの場合)には、例えば 当該濃度と当該目標値との差分に基づいて 原料液中のMFNの濃度を当該目標値に到達さ るために必要な加熱処理の条件を決定する そして、決定された条件に基づいて原料液 加熱処理を施す(S102)。このように、原料液 のMFNの濃度が目標値に到達するまで、必要 応じて加熱処理を繰り返す。原料液の加熱 理は、例えば、発酵に先立って行われる当 原料液を煮沸する処理とすることができる また、この加熱処理は、煮沸処理に代えて 又は煮沸処理に加えて行われる、当該原料 が煮沸しない程度の温度で加熱する処理と ることもできる。

 なお、発酵前工程30で本組成物の添加後 煮沸処理を行った場合には、発酵後工程32に おいて、必ずしも加熱殺菌処理を行う必要は なく、例えば、精密ろ過による殺菌処理を行 うこともできる。また、本組成物が加熱抽出 物を有効成分として含有する場合には、本飲 料の製造方法において、必ずしも当該本組成 物の添加後に加熱処理を行う必要はない。

 また、本組成物が加熱抽出物を有効成分 して含有する場合には、所望の呈味を備え 発泡性アルコール飲料を確実に製造するこ ができる。すなわち、例えば、本組成物を 料の一部として用いて低糖発泡性アルコー 飲料を製造する場合には、まず、予備的検 によって、低糖発泡性アルコール飲料に所 のコク等、所望の呈味を付与できる本組成 を製造するための加熱条件を予め決定する そして、この決定された加熱条件で製造さ た本組成物を原料の一部として用いること より、所望のコク等、所望の呈味を備えた 糖発泡性アルコール飲料を確実に製造する とができる。なお、このように所望のコク 与効果等、所望の呈味改善効果を奏する本 成物を製造するための条件は、官能試験の 、MFNの濃度やMFN/BU比に基づいて決定するこ ができる。

 次に、本抽出物を有効成分として含有す 本組成物、本組成物が添加された本飲料、 組成物及び本飲料の製造方法について、具 的な例を示す。

[実施例1]
 100gのホップペレットを2Lの冷水(20℃)に浸漬 し、適宜撹拌しながら一晩静置した。その後 、このホップペレットを含む水溶液を15分遠 分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃 縮し、未加熱抽出物として回収した。この上 清の濃縮は減圧濃縮により行い、Brix値は糖 計(PAL-1、株式会社アタゴ製)を用いて測定し 。なお、これらの遠心分離や濃縮は、以下 示す他の実施例において未加熱抽出物を得 場合にも同様に行った。得られた未加熱抽 物を水(20℃)で質量比にして1000倍、500倍、25 0倍、又は125倍に希釈して、当該未加熱抽出 を有効成分として0.1%、0.2%、0.4%、又は0.8%の 度でそれぞれ含有する4種類の本組成物を調 製した。また、未加熱抽出物が添加されてい ない、希釈に用いられた水そのものを対照と なる組成物として用いた。なお、本実施例及 び以下に示す他の実施例において「質量%」 単に「%」と示す。

 そして、これら5種類の組成物の各々につ いて、熟練した7人のパネリストによる官能 査を行った。官能検査においては、「コク について、各パネリストが0点、1点、2点、3 のいずれか(3点が最も好ましい。)の点数を け、点数と当該点数を付けたパネリストの 数との積の合計を合計点数として算出し、 価する検査(以下、「コク検査」という。) 行った。また、官能検査においては、呈味 「総合評価」について、各パネリストが0点 1点、2点のいずれか(2点が最も好ましい。) 点数を付け、点数と当該点数を付けたパネ ストの人数との積の合計を合計点数として 出し、評価する検査(以下、「総合評価」と う。)を行った。なお、官能検査におけるコ ク検査及び総合評価は、以下に示す他の実施 例においても同様に行った。

 図5には、コク検査の結果を示し、図6に 、総合評価の結果を示す。図5及び図6におい て、横軸は検査の対象となった組成物に含有 される未加熱抽出物の濃度(「無添加」は未 熱抽出物が添加されていない対照を示す。 下に示す他の実施例においても同様とする )を示し、縦軸は合計点数を示す。

 図5に示すように、コク検査において、添 加濃度が0%である水についてはパネリスト全 が0点を付けたのに対し、未加熱抽出物を含 有する本組成物については顕著なコクがある との評価が得られた。すなわち、未加熱抽出 物の含有濃度が増加するにつれて、合計点数 は増加し、添加濃度が0.8%である本組成物に いては、5人のパネリストが3点を付けた。こ のように、本組成物においては、未加熱抽出 物の含有量の増加に伴って、そのコク付与効 果が増加することが確認された。

 一方、図6に示すように、総合評価におい ては、添加濃度が0.8%である本組成物につい のみ、エグ味の増加に伴い、他の組成物に して合計点数が低くなった。

[実施例2]
 100gのスペントホップを2Lの冷水(20℃)に浸漬 し、適宜撹拌しながら一晩静置した。その後 、このスペントホップを含む水溶液を15分遠 分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃 縮し、未加熱抽出物として回収した。そして 、この未加熱抽出物を、125℃で15秒間加熱し 加熱抽出物を得た。この加熱抽出物を、そ まま本組成物として用いた。

 次に、本飲料として、本組成物が添加さ た低糖ビールを製造した。すなわち、まず 麦芽及び温水を含有する原料液を調製し、 該原料液の煮沸時に本組成物とホップペレ トとを添加した。そして、この本組成物が 加された原料液をさらに所定時間煮沸して 発酵前液を得た。この発酵前液に下面発酵 ール酵母を添加して前発酵及び貯酒を行い 最終的に、1.45g/100mLの濃度で糖質を含有す 低糖ビールを得た。このような製造方法に り、本組成物が0.1%、0.2%、0.4%、又は0.8%の濃 で添加された4種類の低糖ビールを製造した 。なお、原料液に対する本組成物の添加量は 、煮沸による水分の蒸発量等の条件を考慮し て、最終的に得られる低糖ビールにおける当 該本組成物の添加濃度が0.1%、0.2%、0.4%、又は 0.8%となるように決定された。また、本組成 を添加することなく同様の方法で製造され 低糖ビールを対照として用いた。

 これら5種類の低糖ビールの各々の「コク 」をコクセンサーを用いて評価した。ここで 、このコクセンサーは、例えば、特開2001-2151 83号公報に記載されているように、水晶発振 を収容した測定セルと、当該測定セル内に 液を流通させるための送液装置と、当該水 発振子の振動数の変化を数値化して表示す 測定装置と、を備えている。

 この測定セル内に水を流通させた場合の 晶発振子の振動数と、当該測定セル内にビ ルを流通させた場合の当該水晶発振子の振 数と、の差分(変化量)は、当該ビールに含 される成分の当該水晶発振子の表面に対す 吸着量と相関がある。

 そこで、コクセンサーによれば、水晶発 子の表面に対するビール中の成分の吸着量 、舌の表面に対する当該成分の吸着量、す わち「コク」の程度とみなし、水を測定し 場合に比べた当該水晶発振子の振動数の増 量が大きいほど、当該ビールの「コク」が きいと評価することができる。

 具体的に、本実施例においては、ジメチ オクタデシルジメチルアンモニウムポリス レンスルホン酸で被覆された水晶発振子(相 互薬工株式会社製)を内部に備えた、長さ18mm 幅16mm、高さ5mmのシリコーン製の測定セル( 積0.1mL)と、当該測定セルとシリコーン製チ ーブを介して接続されたポンプを有する送 装置と、当該水晶発振子の振動数の変化を ニタリングし、当該振動数を数値化してデ スプレイに表示するコンピュータを有する 定装置と、を備えたコクセンサーを用いた

 そして、上記5種類の低糖ビールの各々を 脱気後に水で4倍に希釈して、3.0mL/分の流量 測定セル内に流通させ、当該流通の開始か 240秒経過した時点における水晶発振子の振 数を測定した。

 図7には、コクセンサーによる測定結果を 示す。図7において、横軸は検査の対象とな た低糖ビールに添加された本組成物の濃度 示し、縦軸は振動数(Hz)を示す。なお、図7の 縦軸に示す各低糖ビールの振動数は、水を同 様に流通させた場合の振動数を基準値のゼロ (Hz)として補正した値である。図7に示すよう 、本組成物が添加されていない低糖ビール ついても、所定値の振動数が測定されたが 本組成物の添加量が増加するにつれて、測 される振動数は増加した。すなわち、低糖 ールに対する本組成物の添加量の増加に伴 て、低糖ビールのコクが増加することが確 された。すなわち、本組成物を添加するこ によって、低糖でありながら、ホップに特 の豊かなコクを有するビールを製造するこ ができた。

[実施例3]
 100gのスペントホップを2Lの冷水(20℃)に浸漬 し、適宜撹拌しながら一晩静置した。その後 、このスペントホップを含む水溶液を15分遠 分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃 縮し、未加熱抽出物として回収した。そして 、この未加熱抽出物の互いに異なる一部を、 85℃で30分、105℃で30分、121℃で30分、121℃で1 20分のいずれかの条件で加熱して4種類の加熱 抽出物を得た。さらに、各加熱抽出物をそれ ぞれ水(20℃)で500倍に希釈して、当該加熱抽 物を0.2%の濃度で含有する4種類の本組成物を 調製した。そして、これら4種類の本組成物 各々について、熟練した8人のパネリストに るコク検査を行った。

 また、未加熱抽出物及び上記4種類の加熱 抽出物に含まれるMFNの濃度、及びこれらの各 抽出物の苦味価をそれぞれ測定した。MFNの濃 度は、ガスクロマトグラフィーにより測定し た。具体的に、まず、公知の合成方法(例え 、”A new, convenjent synthesis of 5,5-dialkyl-2(5H) -furanones”, Synthesis (1979),(8).607-9を参照)に従 てMFNを化学的に合成した。次いで、合成さ たMFNを種々の濃度で含有する水溶液の各々 ガスクロマトグラフ・質量分析計(6980N GC/59 75 MSD、アジレントテクノロジー社)により分 し、得られたMFNのピーク面積と、当該各濃 と、の直線関係を示す検量線を作成した。 して、この検量線と、各抽出物をガスクロ トグラフ・質量分析計により分析して得ら たMFNのピーク面積と、に基づいて当該各抽 物に含有されているMFNの濃度を決定した。 体的に、カラム(HP-1MS 30m×0.25mm 膜厚1.0μm) 用い、注入口の温度は270℃とし、サンプル 注入はスプリットレス法により行い、流量 1mL/分とした。オーブンの温度は、40℃で3分 持し、5℃/分の速度で加温して200℃とし、 らに10℃/分の速度で加温して320℃とした。 して、MS検出器によって、質量/電荷比(m/z)が 97、69、及び112におけるピークを検出した。

 また、苦味価は、EBCの標準法に従って測 した。具体的に、まず、各抽出物を水で質 比にして250倍に希釈し、希釈された10mLの各 抽出物、0.5mLの塩酸及び20mLのイソオクタンを 混合した。次いで、この混合溶液を15分間振 うし、さらに3000rpmで3分間遠心分離を行う とにより、抽出処理を行った。そして、イ オクタン相を回収し、当該オクタン相の波 275nmにおける吸光度を分光光度計(U-3010、日 製作所)により測定した。苦味価は、この吸 度に係数50を乗じることにより算出した。 お、この苦味価は、各抽出物に含まれる苦 成分(例えば、イソアルファ酸)の濃度を反映 しており、当該各抽出物の苦味が強いほど、 当該各抽出物の苦味価は大きくなる。

 図8には、コク検査の結果を示す。図8に いて、横軸は検査の対象となった本組成物 含有される加熱抽出物について行われた加 処理の条件を示し、縦軸は合計点数を示す 図8に示すように、85℃から121℃まで加熱温 を上昇させることにより、合計点数が増加 、コクが高まっているとの評価が得られた 一方、121℃で120分で加熱を行った場合には 121℃で30分で加熱した場合に比べて合計点数 が減少し、過度の加熱によりコクが低下する と考えられた。105℃で30分又は121℃で30分の 件では、他の条件に比して高い評価が得ら 、特に、121℃で30分の条件で加熱した加熱抽 出物を含有する本組成物は顕著なコクを有す るものと評価された。このように、加熱抽出 物の加熱条件によって、当該加熱抽出物を有 効成分として含有する本組成物のコク付与効 果を制御し、高めることができることが確認 された。

 図9には、未加熱抽出物及び4種類の加熱 出物の各々について測定されたMFNの濃度、 味価、及び当該MFN濃度及び苦味価から算出 れたMFN/BU比を示す。図9において、最も左の は各抽出物の製造に用いられた加熱条件(「 未加熱」は加熱が行われなかった対照を示す 。)を示し、右側の3つの欄には、MFNの濃度(ppb )、苦味価(BU)、及びMFN/BU比(ppb/BU)をそれぞれ している。

 図9に示すように、加熱抽出物に含まれる MFNの濃度は、未加熱抽出物のそれに比べて顕 著に高く、加熱温度が高くなるにつれて、又 は加熱時間が長くなるにつれて増加した。一 方、加熱抽出物の苦味価は、未加熱抽出物の それ以下であり、加熱温度が高くなるにつれ て、又は加熱時間が長くなるにつれて低下し た。この結果、加熱抽出物のMFN/BU比は、未加 熱抽出物のそれに比べて顕著に高く、加熱温 度が高くなるにつれて、又は加熱時間が長く なるにつれて増加した。すなわち、未加熱抽 出物に加熱処理を施すことにより、苦味成分 の濃度を増加させることなく、MFNの濃度を選 択的に且つ顕著に増加させることができた。 これらの測定結果と上述のコク検査の結果と により、本組成物のMFN濃度及びMFN/BU比が増大 するにつれて、当該本組成物のコク付与効果 も増大することが確認された。

[実施例4]
 100gのスペントホップを2Lの冷水(20℃)に浸漬 し、適宜撹拌しながら一晩静置した。その後 、このスペントホップを含む水溶液を15分遠 分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃 縮し、未加熱抽出物として回収した。そして 、この未加熱抽出物を、125℃で15秒間加熱し 加熱抽出物を得た。この加熱抽出物を、そ まま本組成物として用いた。また、上述の 施例2と同様の方法により、本組成物が0.02% 0.1%、0.2%、0.4%、又は0.8%の濃度で添加された 5種類の低糖ビールを製造した。また、本組 物を添加することなく同様の方法で製造さ た低糖ビールを対照として用いた。そして これら6種類の低糖ビールの各々について、 練した9人のパネリストによるコク検査及び 総合評価を行った。また、これら6種類の低 ビールの各々に含まれるMFNの濃度を、上記 実施例3と同様に測定した。

 図10には、コク検査の結果を示し、図11に は、総合評価の結果を示す。図10及び図11に いて、横軸は検査の対象となった低糖ビー に添加された本組成物の濃度を示し、縦軸 合計点数を示す。図10に示すように、コク検 査において、本組成物の添加濃度が増加する につれて、合計点数は増加し、低糖ビールの コクが増加することが確認された。すなわち 、本組成物を添加することによって、低糖で ありながら、ホップに特有の豊かなコクを有 するビールを製造することができた。

 一方、図11に示すように、総合評価にお ては、本組成物の添加濃度が0.1%までは合計 数が増加する傾向があり、当該添加濃度が0 .2%を超えると合計点数が減少する傾向があっ た。すなわち、低糖ビールに対する本組成物 の添加濃度としては、例えば、0.1%以上、0.2% 下の範囲が好ましく、当該範囲内の濃度で 組成物を添加することにより、低糖ビール コクを顕著に増加させるとともに、味のバ ンスも優れたものとすることができた。こ ように、本組成物を適切な濃度で添加する とにより、顕著なコクと、バランスの良い 味を備えた低糖ビールを製造できることが 認された。

 図12には、各低糖ビールについて測定さ たMFNの濃度を示す。図12において、最も左の 欄は各低糖ビールに対する本抽出物の添加濃 度(%)(「0%」は本抽出物が添加されなかった対 照を示す。)を示し、右側の2つの欄にはMFNの 度(ppb)を示している。

 図12に示すように、低糖ビールに添加さ た本組成物の濃度が増加するにつれて、低 ビールに含まれるMFNの濃度も増大した。こ MFN濃度の測定結果と上記のコク検査の結果 を考え合わせると、MFNはコク寄与成分の一 であると考えられる。一方、MFN濃度の測定 果と上記の総合評価の結果とを考えわせる 、総合的な呈味のバランスは、MFNのみなら 、複雑なホップ由来成分のバランスに依存 ると考えられた。

[実施例5]
 100gのホップペレットを2Lの冷水(20℃)に浸漬 し、適宜撹拌しながら一晩静置した。その後 、このホップペレットを含む水溶液を15分遠 分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃 縮し、未加熱抽出物として回収した。この未 加熱抽出物を、そのまま本組成物として用い た。そして、本飲料として、本組成物が添加 された緑茶を得た。すなわち、本組成物を、 無糖の緑茶により、質量比にして1000倍、500 、250倍、又は125倍に希釈することにより、 該本組成物が0.1%、0.2%、0.4%、又は0.8%の濃度 添加された4種類の緑茶を調製した。また、 この緑茶をそのまま対照として用いた。そし て、これら5種類のお茶の各々について、熟 した7人のパネリストによるコク検査及び総 評価を行った。

 図13には、コク検査の結果を示し、図14に は、総合評価の結果を示す。図13及び図14に いて、横軸は検査の対象となった緑茶に添 された本組成物の濃度を示し、縦軸は合計 数を示す。図13に示すように、コク検査にお いて、本組成物の添加濃度が増加するにつれ て、合計点数は増加し、緑茶のコクが増加す ることが確認された。

 一方、図14に示すように、総合評価にお ては、本組成物の添加濃度が0%から0.2%まで 大きな差異はなく合計点数は高かったのに し、当該添加濃度が0.2%を超えると合計点数 減少する傾向があった。

[実施例6]
 100gのホップペレットを2Lの冷水(20℃)に浸漬 し、適宜撹拌しながら一晩静置した。その後 、このホップペレットを含む水溶液を15分遠 分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃 縮し、未加熱抽出物として回収した。この未 加熱抽出物を、そのまま本組成物として用い た。そして、本飲料として、本組成物が添加 されたコーヒーを得た。すなわち、本組成物 を、無糖のコーヒーにより、質量比にして100 0倍、500倍、250倍、又は125倍に希釈すること より、当該本組成物が0.1%、0.2%、0.4%、又は0. 8%の濃度で添加された4種類のコーヒーを調製 した。また、このコーヒーをそのまま対照と して用いた。そして、これら5種類のコーヒ の各々について、熟練した7人のパネリスト よるコク検査及び総合評価を行った。

 図15には、コク検査の結果を示し、図16に は、総合評価の結果を示す。図15及び図16に いて、横軸は検査の対象となったコーヒー 添加された本組成物の濃度を示し、縦軸は 計点数を示す。図15に示すように、コク検査 において、本組成物の添加濃度が増加するに つれて、合計点数は増加し、コーヒーのコク が増加することが確認された。

 一方、図16に示すように、総合評価にお ては、本組成物の添加濃度が0.1%から0.4%まで の範囲では、添加濃度が0%の場合に比べて合 点数が高く、当該添加濃度が0.8%の場合には 合計点数が減少した。

[実施例7]
 100gのスペントホップを2Lの冷水(20℃)に浸漬 し、適宜撹拌しながら一晩静置した。その後 、このスペントホップを含む水溶液を15分遠 分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃 縮し、未加熱抽出物として回収した。そして 、この未加熱抽出物の互いに異なる一部を、 85℃で30分、105℃で30分、121℃で30分、121℃で1 20分のいずれかの条件で加熱して4種類の加熱 抽出物を得た。そして、未加熱抽出物及び4 類の加熱抽出物の各々をそれぞれ水(20℃)で5 00倍に希釈して、当該未加熱抽出物又は当該 熱抽出物のいずれかを0.2%の濃度で含有する 5種類の本組成物を調製した。また、本組成 を添加していない、希釈に用いられた水そ ものを対照として用いた。そして、これら6 類の本組成物の各々について、熟練した6人 のパネリストによるコク検査及び総合評価を 行った。

 図17には、コク検査の結果を示し、図18に は、総合評価の結果を示す。図17及び図18に いて、横軸は検査の対象となった本組成物 含有される抽出物に施された加熱処理の条 (「未加熱」は未加熱抽出物を含有する本組 物を示し、「対照」は本抽出物を含有しな 水を示す。)を示し、縦軸は合計点数を示す 。図17に示すように、未加熱抽出物を有効成 として含有する本組成物のコクは、本組成 が添加されていない水のそれに比べて高い 評価された。さらに、加熱抽出物を有効成 として含有する本組成物のコクは、未加熱 出物を有効成分として含有する本組成物の れに比べて顕著に高いと評価された。

 すなわち、コク検査においては、用いら た加熱抽出物の加熱温度が85℃から121℃ま 増加するにつれて、合計点数も増加し、コ が高まっているとの評価が得られた。また 121℃、120分で加熱された加熱抽出物を用い 場合の合計点数も、121℃、30分で加熱した場 合のそれと同等であった。このように、加熱 抽出物の加熱条件によって、当該加熱抽出物 を有効成分として含有する本組成物のコク付 与効果を制御し、高めることができることが 確認された。なお、121℃、120分で加熱した場 合の結果が実施例3の結果と異なった原因は 明であるが、加熱処理を比較的高温で比較 長時間行った場合には、本組成物の呈味改 成分のバランスを確実に制御することが難 くなる可能性が示唆された。

 一方、図18に示すように、総合評価にお ては、121℃で120分の加熱処理で得られた加 抽出物を用いた場合、及び未加熱抽出物を いた場合の合計点数は対照を下回ったのに し、85℃で30分、105℃で30分、又は121℃で30分 の加熱処理で得られた加熱抽出物を用いた場 合の合計点数は、対照のそれ以上であった。 すなわち、加熱抽出物を製造する際の加熱条 件を適切に選定することにより、コク付与効 果のみならず、総合的な呈味改善効果をも奏 する本組成物を得られることが確認された。 また、加熱抽出物を有効成分として含有する 本組成物は、未加熱抽出物を有効成分として 含有する本組成物に比べて、コク付与に加え て、総合的な呈味改善においてもより優れた 効果を奏することが確認された。

[実施例8]
 100gのスペントホップを2Lの冷水(20℃)に浸漬 し、適宜撹拌しながら一晩静置した。その後 、このスペントホップを含む水溶液を15分遠 分離して、その上清をBrixが20%となるまで濃 縮し、未加熱抽出物として回収した。そして 、この未加熱抽出物を、85℃で15分の条件で 熱して加熱抽出物を得た。この加熱抽出物 、そのまま本組成物として用いた。そして 本飲料として、本組成物が添加されたワイ を得た。すなわち、本組成物を、ワインに り、質量比にして1000倍に希釈することによ 、当該本組成物が0.1%の濃度で添加されたワ インを調製した。また、本組成物が添加され ていないワインをそのまま対照として用いた 。そして、これら2種類のワインの各々につ て、熟練した8人のパネリストによるコク検 及び総合評価を行った。

 図19には、コク検査の結果を示し、図20に は、総合評価の結果を示す。図19及び図20に いて、横軸は検査の対象となったワインに 加された本組成物の濃度(「0%」は本組成物 添加されていない対照を示す。)を示し、縦 は合計点数を示す。図19及び図20に示すよう に、加熱抽出物を有効成分として含有する本 組成物が添加されることにより、ワインのコ クが顕著に増加し、ワインの総合的な呈味も 顕著に向上することが確認された。




 
Previous Patent: SIMULATION DEVICE

Next Patent: OBJECT DETECTION SYSTEM