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Patent Searching and Data


Title:
TEA EXTRACT, TEA DRINK AND METHOD OF PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041555
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a tea extract, which contains flavor and full body taste components at a high concentration and has a reduced content of bitter and astringent components, and a method of producing the same. It is also intended to provide a packaged tea drink having a rich full body taste with little astringency. A tea extract, which contains flavor and full body taste components at a high concentration and has a reduced content of bitter and astringent components, can be produced by removing catechins from tea leaves and then enzymatically extracting these tea leaves.

Inventors:
NAGAO KOJI (JP)
MAKI HIDEKI (JP)
SUZUKI KEN (JP)
YOKOO YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067385
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUNTORY LTD (JP)
NAGAO KOJI (JP)
MAKI HIDEKI (JP)
SUZUKI KEN (JP)
YOKOO YOSHIAKI (JP)
International Classes:
A23F3/16
Domestic Patent References:
WO2005077384A12005-08-25
Foreign References:
JP2005124500A2005-05-19
JP2004010545A2004-01-15
JPH09220055A1997-08-26
JP2006246714A2006-09-21
JP2006042625A2006-02-16
JPH1156242A1999-03-02
JPH06303904A1994-11-01
JP3590027B22004-11-17
JP2000050799A2000-02-22
JPH06343389A1994-12-20
JPS49110900A1974-10-22
JP2005124500A2005-05-19
JPH01300848A1989-12-05
JP3782718B22006-06-07
JP3820372B22006-09-13
JP2000197449A2000-07-18
JP2006042728A2006-02-16
Other References:
KANNO N. ET AL.: "Catechin o Zoryo shita Ryokucha Inryo ni Kansuru Chosa Kenkyu-sono 1 Catechin Gan'yuryo no Tokusei", BULLETIN OF SHIZUOKA INSTITUTE OF ENVIRONMENT AND HYGIENE, vol. 47, 2004, pages 41 - 45, XP008142325
KANNO N. ET AL.: "Catechin o Zoryo shita Ryokucha Inryo ni Kansuru Chosa Kenkyu- sono 2 Catechin Igai no Kagaku Seibun ni Tsuite", BULLETIN OF SHIZUOKA INSTITUTE OF ENVIRONMENT AND HYGIENE, vol. 47, 2004, pages 47 - 50, XP008142329
KEIICHIRO MURAMATSU HENSHU,: "4. Cha no Kagaku 4. 1 Cha no Kagaku Seibun to sono Gan'yuryo, Series ", CHA NO KAGAKU, 1ST EDITION, 8TH PRINT, 1997, pages 85 - 93, XP008142330
See also references of EP 2193721A4
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Shinjiro et al. (Section 206 New Ohtemachi Bldg., 2-1, Ohtemachi 2-chome, Chiyoda-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 茶葉に溶媒を接触させて得られる茶抽出物であって、該茶抽出物中の茶葉由来固形分に対し、アミノ酸の総量の割合が2.5重量%以上であり、カテキン類の総量の割合が15.0重量%以下である、茶抽出物。
 前記アミノ酸に占めるテアニンの割合が0.1重量%以上である、請求項1に記載の茶抽出物。
 テアニンが、茶葉を40℃以下の溶媒で抽出して得られる茶葉の低温抽出物として添加されたものである、請求項2に記載の茶抽出物。
 茶葉の酵素抽出液を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の茶抽出物。
 酵素が、プロテアーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼから選択される1種以上である、請求項4に記載の茶抽出物。
 酵素抽出液が、茶葉からカテキン類の少なくとも一部を除去し、この茶葉を酵素抽出して得られた酵素抽出液である、請求項4または5に記載の茶抽出物。
 茶抽出物のBrixが、0.1~20%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の茶抽出物。
 茶抽出物が、粉体状である、請求項1~3のいずれか1項に記載の茶抽出物。
 請求項1~8のいずれかに記載の茶抽出物を含有する、容器詰茶飲料。
 次の工程、
 1.茶葉のカテキン類の少なくとも一部を除去する工程;及び
 2.上記カテキンが除去された茶葉を酵素抽出して酵素抽出液を得る工程;
を含む、茶抽出物の製造方法。
 カテキン類を除去する工程が、茶葉を60℃以上の水性溶媒で抽出することによって行なわれる、請求項10に記載の茶抽出物の製造方法。
 カテキン類を除去する工程が、茶葉を酸処理することによって行なわれる、請求項10に記載の茶抽出物の製造方法。
 さらに、次の工程、
 3.前記酵素抽出液にテアニンを混合してテアニン高含有茶抽出物を得る工程;
を含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の茶抽出物の製造方法。
 テアニンが、茶葉を40℃以下の溶媒で抽出して得られる茶葉の低温抽出物として添加されたものである、請求項13に記載の茶抽出物の製造方法。
 カテキン類を除去する茶葉が、前記低温抽出液を抽出した後の抽出残渣である、請求項14に記載の茶抽出物の製造方法。
 茶葉の酵素抽出により得られる茶抽出物において、酵素抽出の前に茶葉に含まれるカテキン類の少なくとも一部を除去することにより、茶抽出物中のアミノ酸含量を高める方法。
Description:
茶抽出物、茶飲料及びそれらの 造方法

 本発明は、茶抽出物、茶飲料及びそれら 製造方法に関し、特に茶の旨味成分である ミノ酸を高濃度に含有し苦味・渋味成分で るカテキン類が除去された、嗜好性に優れ 茶抽出物の製造方法に関する。

 元来、緑茶は玉露のように茶葉から浸出 れるアミノ酸の味が多いほど、良質の茶あ いは上手な抽出法として評価される。例え 、玉露を60℃程度の温度で抽出したり、ま 、通常の煎茶を氷水で抽出したりするのは 味の多いカテキン類を抽出せずに旨味の成 だけを取り出すことに基づいている。即ち 香味の優れた緑茶とはカテキン含量が少な 、旨味が強いものであると、言われる事が い。

 近年、缶やペットボトル等の容器に充填 れた容器詰茶飲料が多く開発されており、 飲料のなかでも、特に緑茶飲料の市場が拡 している。このような茶飲料に対する消費 の嗜好は高まっており、急須で入れたよう 、旨味やコク味が強く、渋味や苦味が抑え れた容器詰茶飲料の開発が望まれている。

 そこで、香味の豊かな茶抽出物または茶 料の製造方法として、次のような方法が報 されている。特許文献1には、茶類から低温 抽出水と高温抽出水の少なくとも2種類の抽 水にて有用成分を抽出することを特徴とす 茶類の抽出方法が記載されている。緑茶の 合には、40~60℃の低温抽出水で抽出するとア ミノ酸、カテキン、カフェイン等の主に旨み あるいは渋み等の成分や比較的沸点の低いヘ キサナール等の香気成分を抽出することがで き、高温抽出水で抽出するとカテキン等の渋 み成分を主に抽出することができることが記 載されている。

 特許文献2には、茶葉を80~100℃の高温水中 で抽出後、30~50℃の低温で抽出するという2段 階抽出法による、高温抽出茶飲料と同程度の 高い香りをもち、低温抽出茶飲料と同程度の 深い旨味と強いコク、弱い渋みを有する茶飲 料が開示されている。

 特許文献3には、緑茶葉を-5~9℃の水で抽 した抽出液と、この抽出残渣を50~100℃の温 で抽出した抽出液とを混合して得られる、 テキン類を高濃度に含有し強すぎる苦味や 味を抑えた茶飲料が開示されている。

 特許文献4には、溶存酸素が除去され且つ 0~36℃に保持されてなる静水中に茶葉を浸漬 て抽出することで旨味を有するとともに渋 が少ない茶抽出液が得られることが開示さ ている。

 特許文献5には、20℃以上60℃未満(好まし は50℃以下)で、溶存酸素濃度1ppm以下の脱気 水を用い、総カテキン類濃度及び没食子酸エ ステル型カテキン類濃度を特定範囲になるよ うに抽出を行うことで、常温以下に冷却され た状態で販売され飲用される場合の渋味や収 歛味を抑えた茶飲料が製造できることが開示 されている。

 また、酵素を利用して抽出することによ 、茶抽出物の風味を高める方法も開示され いる。例えば、特許文献6には、普通の緑茶 にタンニン分解酵素を添加混合し、熱水抽出 することが記載されており、この効果として 茶特有の風味が増強されることが記載されて いる。

 特許文献7には、茶抽出液に除タンニン処 理を施した後、グルタミナーゼを作用させて 、茶抽出液中のグルタミン酸量を増加させる ことが開示されている。

 特許文献8には、煎茶(緑茶)にプロトペク ナーゼ及びプロテアーゼを添加混合し、こ を抽出処理し得られた抽出液が風味に優れ ものであることが記載され、さらに、プロ アーゼが茶葉中の蛋白質を分解して、アミ 酸を生成させ、アミノ酸の風味により、抽 液の苦味、渋みなどを低減させる働きをす ことも記載されている。

 特許文献9には、茶類原料にプロテアーゼ およびタンナーゼの2種の酵素を添加して抽 することにより、両酵素が相互に作用し合 て、それぞれの酵素の単独使用からは予測 得ない相乗的な効果を発揮し、旨味やコク が強く、渋味の少ない高級感のある緑茶エ スを製造することができることが記載され いる。

 特許文献10には、セルラーゼ、ヘミセル ーゼ、ペクチナーゼ、およびプロトペクチ ーゼを有する酵素群を用い、茶葉を酵素分 抽出処理することにより得られた高旨味茶 抽出液と、高温抽出法で得た高温抽出茶葉 出液とを用いた緑茶飲料の製造方法が開示 れている。

 さらに、アミノ酸を添加することにより、 味や渋味を低減させた茶飲料も報告されて る。例えば、特許文献11には、テアニン添 により苦味と渋味を低減させた半発酵茶が 示されている。本出願人らも、カテキンの 有量が40~100mg/100mLである茶飲料に、グルタミ ン酸を6~20mg/100mL添加してカテキンの渋味を抑 制した茶飲料を開示している(特許文献12)。

特開平11-56242号公報

特開平6-303904号公報

特許第3590027号公報

特開2000-50799号公報

特開平6-343389号公報

特開昭49-110900号公報

特開2005-124500号公報

特開平1-300848号公報

特許第3782718号公報

特許第3820372号公報

特開2000-197449号公報

特開2006-42728号公報

 上記のとおり、茶抽出物中の風味を高め 方法が種々知られており、酵素を利用して 出する方法では、酵素が茶葉及び/又は茶抽 出液中のタンパク質や繊維質に作用すること により、抽出液中の旨味成分であるアミノ酸 濃度を高めることが知られている。しかし、 これらの方法で得られる茶抽出物の風味は必 ずしも十分に満足しうるものではなく、より 旨味・コク味成分であるアミノ酸を高濃度に 含有し、苦味・渋味成分であるカテキン類を 低減させた茶抽出物の開発が望まれていた。

 すなわち、本発明は、旨味・コク味成分 高濃度に含有し、苦味・渋味成分を低減さ た茶抽出物およびその製造方法を提供する とを目的とする。また、本発明は、豊かな 味を有し渋味の少ない量販可能な容器詰茶 料を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意検討した結果、酵素を利用して抽出を う(本明細書中、「酵素抽出」と表記するこ ともある)際に、酵素のアミノ酸濃度を高め 作用がカテキン類の存在によって十分に発 されない、又は阻害される、ことがあると 考えに至った。この考えに基づき、茶葉か カテキン類の少なくとも一部を除去した後 この茶葉の酵素抽出を行うと、得られる茶 出物のアミノ酸含量が飛躍的に高くなり、 つカテキン類含量が低減されることを見出 た。そして、この茶抽出物が、従来にない 成を有すること、すなわち茶抽出物中の茶 由来固形分に対し、アミノ酸の総量の割合 2.5重量%以上(好ましくは5.0重量%以上、より ましくは7.0重量%以上)であり、カテキン類の 総量の割合が15.0重量%以下(好ましくは13.5重 %以下、より好ましくは10.0重量%以下、特に ましくは8.0重量%以下)であること、さらにこ の茶抽出物が旨味・コク味を有し苦渋味を有 さないことから、茶飲料の風味増強剤として 利用可能であることを確認した。

 また、本発明者らは、さらに検討を進め 結果、上記の茶抽出物にテアニンを一定量 割合で混合すると、フレッシュな旨味を付 することができることを見出した。そして このテアニンとして茶葉の低温抽出液を用 ると、フレッシュな旨みと厚みのあるコク 備え、苦味や渋味が低減された茶抽出物と ること、特に、低温抽出液の抽出残渣を用 、この残渣からカテキン類を除去して酵素 出を行うことで、従来にない香味豊かな茶 出物が得られることを見出し、本発明を完 させた。

 すなわち、本発明は下記の内容に関する。
1. 茶葉に溶媒を接触させて得られる茶抽出 であって、該茶抽出物中の茶葉由来固形分 対し、アミノ酸の総量の割合が2.5重量%以上( 好ましくは5.0重量%以上、より好ましくは7.0 量%以上)であり、カテキン類の総量の割合が 15.0重量%以下(好ましくは13.5重量%以下、より ましくは10.0重量%以下、特に好ましくは8.0 量%以下)である、茶抽出物。
2. 前記アミノ酸に占めるテアニンの割合が0. 1重量%以上(好ましくは0.15重量%以上)である、 上記1に記載の茶抽出物。
3. テアニンが、茶葉を40℃以下の溶媒で抽出 して得られる茶葉の低温抽出物として添加さ れたものである、上記2に記載の茶抽出物。
4. 茶葉の酵素抽出液を含む、上記1~3のいず か一つに記載の茶抽出物。
5. 酵素が、プロテアーゼ、セルラーゼ、ペ チナーゼから選択される1種以上である、上 4に記載の茶抽出物。
6. 酵素抽出液が、茶葉からカテキン類の少 くとも一部を除去し、この茶葉を酵素抽出 て得られた酵素抽出液である、上記4または5 に記載の茶抽出物。
7. 茶抽出物のBrixが、0.1~20%である、上記1~6の いずれか一つに記載の茶抽出物。
8. 茶抽出物が粉体状である、上記1~3のいず か一つに記載の茶抽出物。
9. 上記1~8のいずれかに記載の茶抽出物を含 する、容器詰茶飲料。
10. 次の工程、
 1.茶葉のカテキン類の少なくとも一部を除 する工程;及び
 2.上記カテキンが除去された茶葉を酵素抽 して酵素抽出液を得る工程;
を含む、茶抽出物の製造方法。
11. カテキン類を除去する工程が、茶葉を60 以上の水性溶媒で抽出することによって行 われる、上記10に記載の茶抽出物の製造方法 。
12. カテキン類を除去する工程が、茶葉を酸 理することによって行なわれる、上記10に 載の茶抽出物の製造方法。
13. さらに、次の工程、
 3.前記酵素抽出液にテアニンを混合してテ ニン高含有茶抽出物を得る工程;
を含む、上記10~12のいずれか一つに記載の茶 出物の製造方法。
14. テアニンが、茶葉を40℃以下の溶媒で抽 して得られる茶葉の低温抽出物として添加 れたものである、上記13に記載の茶抽出物の 製造方法。
15. カテキン類を除去する茶葉が、前記低温 出液を抽出した後の抽出残渣である、上記1 4に記載の茶抽出物の製造方法。
16. 茶葉の酵素抽出により得られる茶抽出物 おいて、酵素抽出の前に茶葉に含まれるカ キン類の少なくとも一部を除去することに り、茶抽出物中のアミノ酸含量を高める方 。

 本発明の茶抽出物は、旨み・コク味成分 あるアミノ酸を高濃度に含有し、苦味・渋 成分であるカテキン類が低減されているの 、飲食品に添加して、風味の増強、旨みや ク味の付与を図ることができる。特に、本 明の茶抽出物を茶飲料に添加することによ 、フレッシュな旨みと、厚みのあるコクを する複雑な旨みとを備え、かつ苦渋みを抑 した容器詰茶飲料を提供することができる

参考例の条件により25℃のイオン交換 によって緑茶葉を抽出した際のカテキン類 アミノ酸の抽出傾向を示すグラフである(図 、「カテキン」は「カテキン類」をいう)。

(茶抽出物)
 本発明の茶抽出物は、旨味・コク味成分で るアミノ酸を高濃度に含有し、苦味・渋味 分であるカテキン類を低減させた茶抽出物 ある。本明細書でいう「茶抽出物」とは、 葉に溶媒、特に水性溶媒を接触させて得ら る茶葉の溶媒抽出物のことである。本発明 茶抽出物は、そのままで茶飲料として利用 てもよいが、通常、茶飲料よりも濃く、す わち可溶性固形分が多い抽出物(本明細書中 、茶エキスとも表記する)として製造される のであり、水又は茶飲料等の飲食物に添加 て風味増強剤として用いられるものである ここで、本発明の茶抽出物が液体の場合、 のBrixは、通常0.1~20%程度である。本発明の茶 抽出物は、上記液体状の茶抽出物を常法によ りパウダー化して粉体状としてもよい。

 本明細書でいう「アミノ酸」とは、アル ニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラ ン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、 チオニン、バリン、アラニン、グリシン、 ロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニ 、アスパラギン酸、トリプトファン、シス ンおよびテアニンという19種の化合物の総 であり、アミノ酸の総量は前記19種の化合物 の総重量である。

 本発明の茶抽出物(茶エキス)は、通常、 葉の酵素抽出により得られる。本明細書で う、酵素抽出とは、酵素を添加混合した茶 を水性溶媒にて抽出すること又は酵素を添 した水性溶媒で茶葉の抽出を行うことを意 する。

 本発明の茶抽出物は、上記したとおり、 ミノ酸を高濃度に含有し、苦味・渋味成分 少ないことを特徴とするものである。具体 には、茶抽出物中、茶葉由来固形分に対し カテキン類の総量の割合が15.0重量%以下、 ましくは13.5重量%以下、より好ましくは10.0 量%以下、特に好ましくは8.0重量%以下である と、苦渋味を感じない。そして、このカテキ ン類含量の茶抽出物において、アミノ酸の総 量の割合が、茶葉由来固形分に対して2.5重量 %以上、好ましくは5.0重量%以上、より好まし は7.0重量%以上であると、旨味・コク味を有 する茶抽出物となる。本発明の茶抽出物は、 従来の茶抽出物と比べ、アミノ酸含量が高い ばかりか、カテキン類に対するアミノ酸の含 量が高いため、飲料(特に茶飲料)に添加した 合に、苦渋味を与えずに旨味・コク味のみ 増強することができる。

 さらに、本発明の茶抽出物にテアニンを 定量の割合で混合したテアニン高含有茶抽 物は、旨味・コク味に加えてフレッシュな 味をも増強できる。テアニンの含量は、茶 出物中のアミノ酸のうち、テアニンの割合 0.1重量%以上、好ましくは0.15重量%となるよ に添加するのが好ましい。または、テアニ 高含有茶抽出物中の茶葉由来固形分に対し テアニンの割合が0.3重量%以上、好ましくは 0.6重量%以上、より好ましくは0.8重量%以上、 らにより好ましくは1.0重量%以上、特に好ま しくは1.5重量%以上となるように、テアニン 添加するのが好ましい。テアニンは、茶葉 り精製されたものとして市販されているも 等を用いてもよいが、茶葉の低温抽出物と て添加すると、ヘキサナール等の香気成分 混合されるので、よりフレッシュな旨味と みのあるコク味とを付与することができる ここで、茶葉の低温抽出物とは、茶葉を40℃ 以下の水性溶媒で抽出して得られるものをい い、緑茶葉を40℃以下の水で浸漬、濾過して られる緑茶抽出物(低温抽出液)を例示する とができる。

 上記のとおり、本発明の茶抽出物は、茶 料、菓子等の飲食品原料として用いること できる。本発明の茶抽出物は、従来の茶抽 物にない、フレッシュな風味とコク・厚み ある旨味を有し苦味・渋味の少ないもので るから、茶飲料として好適に提供される。

 本発明の茶抽出物は、そのままで、また 必要に応じて適宜希釈等を行って茶飲料と ることができる。この茶飲料を容器に充填 ると、急須で入れた高級茶のような豊かな ク・旨味を有し、苦味・渋味の少ない茶飲 として、日常的に摂取できるものとなる。 こでいう容器とは、特に限定されるもので なく、例えばペットボトル、缶、瓶、紙パ ク等の容器が挙げられる。

 茶飲料のpHは、5.9~6.3程度に調整すると、本 明の特徴とする香味を長期間に渡り保持で 、さらに褐変防止にも有利である。また、 素抽出液を調製する際にプロテアーゼを用 た場合には、保存安定性(沈殿防止)に優れ 茶飲料とすることができる。
(茶抽出物の製造方法)
 本発明のアミノ酸を高濃度に含有しカテキ 類が除去された茶抽出物の製造方法は、上 の特定範囲のアミノ酸及びカテキン類を含 しうる方法であれば、特に制限されない。 えば、ア)アミノ酸が高濃度に抽出される茶 葉の低温抽出液から、公知の方法(例えば樹 吸着)によりカテキン類を除去する方法、イ) 緑茶葉に5~50%、好ましくは10~30%程度の塩酸を え、高温(約80℃)で浸漬することにより、茶 葉中のタンパク質を加水分解してアミノ酸を 生成させるとともに、カテキン類を沈殿除去 させることにより、アミノ酸を高濃度に含有 し、カテキン類が低減された茶抽出物を得る 方法(酸処理法)等が挙げられる。しかし、ア) の方法では効率が悪く、イ)の酸処理法で得 れる茶抽出物は、多量の酸が含まれるため 和剤の添加が必要であり、その結果、多量 塩が生成されるために香味的に好ましくな という問題がある。本発明者らは、上記本 明の茶抽出物を得る方法として、茶葉から テキン類の少なくとも一部を除去した後、 の茶葉を酵素抽出することにより、本発明 アミノ酸を高濃度に含有しカテキン類が除 された茶抽出物(酵素抽出液)で、塩などの本 来茶葉に含まれていない成分を含有しない香 味的に優れた茶抽出物を、簡便に得ることが できることを見出した。この製造方法では、 茶葉からカテキン類の少なくとも一部を除去 することで、この茶葉を酵素処理する際に、 酵素の作用を高めることができ、その結果、 よりアミノ酸を高濃度に含有しカテキン類を 低減させることができると考えられる。

 また、本発明者らは、上記の酵素抽出液 別途調製したテアニン、特に茶葉の低温抽 液とを混合することにより、コク・厚みの る旨味を有し、苦味・渋味が少なく、かつ フレッシュな旨味を有する茶抽出物が得ら ることも見出している。

 本発明においては、茶葉からカテキン類を 去する工程、この茶葉から酵素抽出液を得 工程、および必要に応じて低温抽出液を得 工程を、同一抽出機内で連続的に行うこと できるが、各行程についてその詳細を以下 説明する。
(第1工程:カテキン類を除去する工程)
 上記したとおり、本発明の茶抽出物の製造 法では、まず茶葉からカテキン類を除去す ことを特徴とする。ここで、本明細書にお るカテキン類とは、カテキン、エピカテキ 、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテ ンガレート、エピカテキンガレート、ガロ テキンガレートおよびエピガロカテキンガ ートの総称を表す。

 茶葉からカテキン類を除去する方法は、 テキン類の少なくとも一部を除去しうる方 であれば何ら制限されるものではなく、例 ば、茶葉に水性溶媒を接触させて茶葉抽出 を得、この抽出液を除去(廃棄)する方法を 示できる。特に、カテキン類は高温で抽出 れやすいという性質があるから、茶葉に高 (好ましくは60℃以上)の溶媒(好ましくは水) 接触させて高温抽出液を得、この抽出液を 去(廃棄)する方法が好適である。

 また、効率よくカテキン類のみを除去す 方法として、吸着樹脂を用いる方法、例え 、WO2005/077384号公報に記載の高温(好ましく 60℃以上)で吸着樹脂と接触させる方法等が げられる。この抽出液は、選択的にカテキ 類が除去されており、旨味成分等の茶由来 成分を含んでいるので、次の酵素抽出の工 の抽出溶媒として利用することができる。 の他、公知の酸やアルカリ溶液、有機溶媒 用いる方法によっても茶葉中のカテキン類 選択的に除去することが可能である。具体 には、茶葉に濃度が0.05~5重量%、好ましくは0 .1~2重量%程度の塩酸(酸溶液)を添加(pH1~4程度) て浸漬し、高温(約80℃)で保持してカテキン 類を沈殿除去させて酸処理溶液を得る方法が 例示される。

 作業性の観点から、また茶葉本来の成分 そのまま維持できるという風味の観点から 、高温抽出液を得てこれを除去する方法が い。

 上記の高温抽出液を得る際の溶媒は、水 溶媒であればよく、蒸留水、イオン交換水 含水アルコール等を用いることができるが アルコールの沸点を考慮すると蒸留水やイ ン交換水を用いるのが好ましい。

 茶葉からカテキン類の少なくとも一部が 去されたかどうかの判断は、カテキン類を 去する工程、例えば上記の高温抽出液や酸 理溶液のカテキン類濃度を測定することで 茶葉からカテキン類が抽出除去されたかど かを評価することができる。

 カテキン類は、公知の方法(例えば、フィ ルター(0.45μm)で濾過した液を高速液体クロマ トグラム(HPLC)による分離分析する方法)によ 定量することができる。

 なお、原料となる茶葉には、煎茶、番茶 ほうじ茶、玉露、かぶせ茶、甜茶等の蒸し の不発酵茶(緑茶);嬉野茶、青柳茶、各種中 茶等の釜炒茶等の不発酵茶;包種茶、鉄観音 茶、ウーロン茶等の半発酵茶;紅茶、阿波番 、プアール茶などの発酵茶等、いずれのも も用いることができる。なかでも、特に旨 やコク味が重要視される不発酵茶(緑茶)およ び半発酵茶が好適に用いられる。

 さらに、この原料となる茶葉としては、 しい茶葉を用いることもできるが、経済性 を考慮すれば、後述するように低温抽出液 抽出した後の抽出残渣を用いることが好ま い。本発明のカテキン類を除去する工程に いて、カテキン類だけでなくアミノ酸も除 される可能性があるためである。予め抽出 れやすいアミノ酸を確保しておくことが、 ミノ酸収率の観点から好ましい。

 後述するが、本発明者らの検討によると 緑茶葉を低温抽出すると、その抽出液中の 形分にはカテキン類が15~25重量%程度含まれ おり、アミノ酸が1.0~7.0重量%(うちテアニン 0.4~3.5重量%)含まれていた。アミノ酸中のテ ニンの割合は、0.4~0.5程度であった(比較例A1 、A1’、実施例D1、D1’、E1参照)。また、緑茶 葉を高温抽出すると、その抽出液中の固形分 にはカテキン類が15重量%程度含まれており、 アミノ酸が2.5重量%(うちテアニンが1.5重量%) まれていた。アミノ酸中のテアニンの割合 、0.5程度であった(実施例B1参照)。さらに、 茶葉を低温抽出した抽出残渣に高温抽出を すと、その抽出液中の固形分にはカテキン が30~35重量%程度含まれており、アミノ酸が0 .4~2.0重量%(うちテアニンが0~1.5重量%)含まれて いた。アミノ酸中のテアニンの割合は、0~0.6 度であった(実施例D2、D2’、E2参照)。さら また、酸処理によるカテキン除去では、そ 酸処理溶液中の固形分にはカテキン類が10重 量%程度含まれており、アミノ酸が3.5重量%程 (うちテアニンが1.5重量%)含まれていた。ア ノ酸中のテアニンの割合は、0.4程度であっ (実施例C1参照)。

 この結果から、カテキン類を効率的にかつ 便に除去するのは、緑茶葉を低温抽出した 出残渣を高温抽出して、この高温抽出液を 去(廃棄)する方法であることがわかる。ま 、緑茶葉の低温抽出液中には、アミノ酸、 にテアニンが多く含まれることから、この 温抽出液を後述の酵素抽出液に添加するテ ニンとして利用するのが良いこともわかる
(第2工程:酵素抽出液を得る工程)
 本発明では、第1工程でカテキン類が除去さ れた茶葉に酵素抽出を行う。本明細書におけ る酵素抽出とは、酵素を添加混合した茶葉を 水性溶媒にて抽出すること又は酵素を添加し た水性溶媒で茶葉の抽出を行うことを意味す る。

 ここで使用される酵素は、抽出液中のア ノ酸を増加させることができる酵素であれ よく、例えばプロテアーゼ、α-アミラーゼ セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナー 、プロトペクチナーゼ等を1種又は複数種類 併用して用いることができる。なかでも、茶 葉中の不溶性タンパク質を分解して低分子ペ プチド、アミノ酸に可溶化しうるプロテアー ゼと、茶葉中の繊維質を分解して茶葉中に存 在するタンパク質を遊離させてアミノ酸の抽 出効率を高めるセルラーゼ又はペクチナーゼ 等との併用が、アミノ酸の抽出効率の観点か ら好適である。

 上記のセルラーゼとは、セルロースのβ-1 ,4-グリコシド結合を加水分解してセルビオー スを生成する反応を行う酵素である。食品で 利用可能なセルラーゼであればその由来や、 精製度等に限定されることなく用いることが できる。市販されているセルラーゼとしては 、セルロシンT2、AC40、AL(阪急共栄物産株式会 社)、セルラーゼ「オノズカ」3S(ヤクルト薬 工業株式会社)、セルラーゼT「アマノ」4、A アマノ」3(天野エンザイム株式会社)等が例 できる。

 上記のペクチナーゼ(ペクチンデポリメラ ーゼ又はポリガラクトウロニダーゼとも称さ れる)とは、ポリガラクツロン酸(ペクチン酸) のα-1,4’-グリコシド結合を加水分解する反 を行う酵素である。食品で利用可能なペク ナーゼであればその由来や、精製度等に限 されることなく用いることができ、果汁の 澄化、搾汁の歩留まり向上等の利用を目的 して市販されているペクチナーゼ等を用い ことができる。このようなペクチナーゼと ては、セルロシンPC5、PE60、PEL(阪急共栄物産 株式会社)、ペクチナーゼ3S、HL(ヤクルト薬品 工業株式会社)、ペクチナーゼ「アマノ」PL、 G「アマノ」(天野エンザイム株式会社)等が例 示できる。

 上記のプロテアーゼとは、タンパク質、 プチドに作用してペプチド結合の加水分解 触媒する酵素である。プロテアーゼは、タ パク質、ペプチドに作用して低分子ペプチ を生成するエンドペプチダーゼ(プロテイナ ーゼ)と、ペプチドに作用してアミノ酸を生 するエキソペプチダーゼ(ペプチダーゼ)の2 類に大別される。これらいずれのプロテア ゼを用いてもよいが、特にアミノ酸を生成 うるエキソペプチダーゼが好適である。こ ようなプロテアーゼは食品で利用可能なも であればその由来や、精製度等に限定され ことなく用いることができ、作用至適pH等を 考慮して選択すればよい。市販されているプ ロテアーゼとしては、オリエンターゼ22BF、90 N、ONS、20A、ヌクレイシン、(阪急共栄物産株 会社)、パンチダーゼNP-2、パパインソルブ 、プロテアーゼYP-SS(ヤクルト薬品工業株式 社)、デナチームAP、デナプシン、食品用精 パパイン(ナガセケムテック株式会社)、プロ テアーゼM「アマノ」、A「アマノ」G、P「ア ノ」3G、N「アマノ」、グルタミナーゼF「ア ノ」100、ニューラーゼF、パンクレアチンF パパインW-40、プロメラインF(天野エンザイ 株式会社)等が例示できる。

 酵素抽出の条件は、用いる酵素の種類や 葉の種類、所望される嗜好性等により異な が、通常、その配合量は1重量部の茶葉に対 して、0.0001~0.1、好ましくは0.001~0.05重量部程 である。0.0001重量部未満であると、抽出液 のアミノ酸を増加させるのに十分な効果が られない。また、0.1重量部より多く配合し もアミノ酸の抽出効率のさらなる向上が期 できないので経済的に不利であり、また酵 の種類によってはその呈味が抽出物に影響 及ぼすことがある。

 酵素抽出の温度は、用いる酵素の至適条 を鑑みて適宜選択すればよいが、通常、20~5 0℃、好ましくは35~45℃程度である。20℃より 温では抽出効率が悪く、50℃より高温で酵 抽出を行うと抽出液に異味が生じる場合が る。

 酵素抽出の時間も適宜選択すればよいが 通常、0.5~20時間、好ましくは5~18時間程度で ある。0.5時間より短いと酵素反応が十分に行 われないことがある。また、20時間以上行っ もアミノ酸の抽出効率のさらなる向上が期 できないので経済的に不利であり、また酵 の種類によってはその呈味が抽出物に影響 及ぼすことがある。

 なお、酵素抽出時のpHは、用いる酵素の 適pHを鑑みて設定するのがよく、必要に応じ て、pH調整剤を添加することができる。

 酵素反応(酵素抽出)は、攪拌下または循 通液により行うのが好ましい。

 酵素反応後、約60~121℃で2秒~20分間程度加 熱することにより、酵素を失活させる。その 後、茶抽出物(酵素抽出液)の風味劣化を防ぐ め、直ちに冷却するのが好ましい。得られ 茶抽出物は、必要に応じて、遠心分離、濾 等の分離操作を行って、清澄度を高めるこ もできる。また、濃縮操作を行って濃縮液 形態とすることもできる。さらに、乾燥操 を行って乾燥物の形態(粉末形態)とするこ もできる。

 このようにして得られる茶抽出物(酵素抽 出液)は、高濃度のアミノ酸と低濃度のカテ ン類を含有する。後述するが、本発明者ら 検討によると、緑茶葉を低温抽出してカテ ン類の一部を除去した抽出残渣(茶葉)を用い て酵素抽出を行った場合、その酵素抽出液中 の固形分にはアミノ酸が4.0~6.0重量%程度(うち テアニンが0.05~0.3重量%)含まれており、カテ ン類が7.0~8.5重量%程度含まれていた。アミノ 酸(a)とカテキン類(b)との比率(a/b)を算出する 、0.6~0.7であった(比較例A2、A2’参照)。また 、緑茶葉を高温抽出してカテキン類の一部を 除去した抽出残渣(茶葉)を用いて酵素抽出を った場合、その酵素抽出液中の固形分には ミノ酸が11重量%程度(うちテアニンが0.2重量 %)含まれており、カテキン類が0.7重量%含まれ ていた。アミノ酸(a)とカテキン類(b)との比率 (a/b)を算出すると、15.8であった(実施例B2参照 )。さらに、緑茶葉を低温抽出した抽出残渣 高温抽出を施したその抽出残渣(茶葉)に酵素 抽出を行った場合、その酵素抽出液中の固形 分にはアミノ酸が7.5~11.5重量%程度(うちテア ンが0.03~0.7重量%)含まれており、カテキン類 0.5~6.0重量%含まれていた。アミノ酸(a)とカ キン類(b)との比率(a/b)を算出すると、1.0~16.0 あった(実施例D3、D3’、E3参照)。さらにま 、酸処理によるカテキン除去を行った茶葉 酵素抽出を行った場合、その酵素抽出液中 固形分にはアミノ酸が12.5重量%程度(うちテ ニンが0.3重量%)含まれており、カテキン類が 8.0重量%程度含まれていた。アミノ酸(a)とカ キン類(b)との比率(a/b)を算出すると、1.6であ った(実施例C2参照)。

 この結果から、緑茶葉を高温抽出してカ キン類を除去した後または酸処理によるカ キン類を除去した後に、酵素抽出すること より、高濃度のアミノ酸と低濃度のカテキ 類を含有する酵素抽出液が得られることが かる。第1工程の結果と合わせると、カテキ ン類が効率的に除去された茶葉を用いて酵素 抽出を行うことによって、よりアミノ酸を高 濃度に含有し、カテキン類を低濃度に含有す る茶抽出物(酵素抽出液)が得られることがわ る。これは、茶葉中のカテキン類を除去す ことによって、酵素の反応が高められ、酵 の作用が十分発揮されたためと考えられる

 なお、第2工程で得られる酵素抽出液中のア ミノ酸含量、カテキン含量は、所望する茶抽 出物の仕様により適宜設定すればよいが、通 常、固形分あたりのアミノ酸の総量の割合が 2.5重量%、好ましくは7.0重量%以上となるよう すると、旨味・コク味を有する茶抽出物と る。また、固形分あたりのカテキン類の総 の割合が15.0重量%以下、好ましくは10.0重量% 以下となるようにすると、苦渋味がほとんど 感じられない。この酵素抽出液中のアミノ酸 (a)とカテキン類(b)との比率(a/b)が1以上、好ま しくは5以上、より好ましくは10以上、特に好 ましくは15以上となる茶抽出物(酵素抽出液) 、コク・厚みのある豊かな旨味を有し苦味 渋味がほとんどなく、茶飲料等の風味増強 として有用であることを確認している。
(第3工程:テアニン高含有茶抽出物を得る工程 )
 本発明は、上記の酵素抽出により得られる 抽出物(酵素抽出液)にテアニンを混合する とにより、コク・厚みのある豊かな旨味に えて、フレッシュな旨味をも増強した茶抽 物が得られる。このテアニン高含有茶抽出 中のテアニン量は、アミノ酸の総量に対し テアニンの割合が0.1重量%以上、好ましくは0 .15重量%以上となるように添加するのが好ま い。または、テアニン高含有茶抽出物中の 葉由来固形分に対し、テアニンの割合が0.3 量%以上、好ましくは0.6重量%以上、より好ま しくは0.8重量%以上、さらにより好ましくは1. 0重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上とな るように、テアニンを添加するのが好ましい 。テアニンは、茶葉から分離精製された精製 品や濃縮品等、市販されている粉末状、液体 状もの等いずれのものを用いてもよいが、第 1工程で記載したとおり、茶葉の低温抽出液 はテアニンが高濃度で含まれているので、 の茶葉の低温抽出液をテアニンとして添加 ることもできる。この茶葉の低温抽出液を いると、ヘキサナール等の香気成分も混合 れるので、よりフレッシュな旨味と厚みの るコク味とを付与することができる。以下 、茶葉の低温抽出液について、より詳細に 明する。

 茶葉の低温抽出液の原料となる茶葉とし は、煎茶、番茶、ほうじ茶、玉露、かぶせ 、甜茶等の蒸し製の不発酵茶(緑茶);嬉野茶 青柳茶、各種中国茶等の釜炒茶等の不発酵 ;包種茶、鉄観音茶、ウーロン茶等の半発酵 茶;紅茶、阿波番茶、プアール茶などの発酵 等、いずれのものも用いることができる。 かでも、特に旨味やコク味が重要視される 発酵茶および半発酵茶が好適に用いられる また、嗜好性にもよるが、上述の酵素抽出 と同じ種類の原料茶葉を用いることが、風 の観点から好ましい。

 低温抽出液は、上記茶葉を低温の溶媒に 抽出することにより得られる。ここで、低 とは、0~40℃、好ましくは10~30℃程度をいう 低温での抽出は、原料茶葉のフレッシュな 味成分(ヘキサナール等の香気成分を含む) 選択的かつ効率よく取り出すことができる 上述のとおり、このフレッシュな旨味成分 はテアニンが該当し、このテアニンは、低 で抽出される成分である。

 抽出溶媒は、食品として利用可能なもの あれば特に限定されず、蒸留水、脱塩水、 道水、アルカリイオン水、海洋深層水、イ ン交換水、脱酸素水や、含水アルコール(10~ 90v/v%アルコール)、無機塩類を含有する水な を用いることができるが、特に純水やイオ 交換水を用いることが好ましい。これは、 中にカルシウムイオンや鉄イオン等が溶解 ている場合、茶葉抽出液中のタンニンと結 を生じ、不溶解物を生じたり、色の変化が じたりすることがあるからである。

 抽出溶媒の使用量は、用いる茶葉の種類 抽出溶媒の種類、抽出温度、所望される嗜 性等により異なるが、通常、1重量部の茶葉 に対して、5~50重量部程度である。

 また、抽出時間も適宜設定すればよく、 常、5~30分程度、より好ましくは10~20分程度 ある。本発明者らの検討によると、低温抽 を行った場合、カテキン類よりもアミノ酸 早く浸出し、茶葉の10倍量のイオン交換水(2 5℃)で抽出した際には、約10分程度でアミノ の全量を抽出できること、アミノ酸が全量 出された後は、カテキン類の浸出する割合 高くなることを確認している。したがって アミノ酸の全量が抽出された時点で抽出を 了するのが、最も好ましい。アミノ酸の全 が抽出されたかどうかは、HPLC等を用いて抽 液のアミノ酸含量を経時的に測定し、アミ 酸の溶出がみられなくなった時点により判 できる(参考例1参照)。

 本発明の低温抽出における抽出方法も何 限定されるものではなく、公知の方法を用 ることができる。例えば、茶葉と溶媒とを ンクに入れて抽出し、次いで篩により茶葉 ら抽出液を液切りし、必要に応じて遠心分 、濾過等を行い抽出液を得る方法(ニーダー 抽出とも呼ばれる)や、茶葉に溶媒を通液し 原料中を通過させて抽出する通液式抽出が げられる。抽出効率の観点から、上記の通 式抽出が好適に用いられる。この通液式抽 における抽出方法は特に限定されず、シャ ー流下するいわゆるドリップ式抽出や、カ ム抽出等いずれの方式もとることが可能で るが、カラム抽出の場合は、例えば下から へ通液するアップフロー方式が、抽出効率 抽出時のメッシュ詰まりが生じ難いという 点から好ましい。なお、この際、茶葉は、 常、金属製のメッシュの上に置かれるが、 属製メッシュでなく、布やペーパーなど、 葉層を支え、茶葉から抽出液が分離できる のであればよい。なお、抽出の際は、抽出 内を密閉にして圧力をかける抽出を行って よく、また、酸化防止剤等の添加剤を混合 てもよい。

 得られた低温抽出液は、必要に応じて、 心分離、濾過等の分離操作を行って、清澄 を高めることもできる。また、濃縮操作を って濃縮液の形態とすることもできる。

 このようにして得られる低温抽出液には アミノ酸のなかでもフレッシュな旨味成分 あるテアニンを豊富に含有する。テアニン 含量は多いほど好ましいが、一般に、茶葉1 0gあたりの抽出量が10mg以上、好ましくは15mg 上、より好ましくは20mg以上となるように抽 するとよく、茶葉由来の可溶性固形分([g]= 出液総量[g]×Brix[%]/100)全体に対する割合とし て、0.8重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、 り好ましくは1.5重量%以上、さらに好ましく は2.0重量%以上、特に好ましくは2.5重量%以上 なるように抽出する。

 本発明では、上述のとおり、酵素抽出液 低温抽出液を混合することで、より香味に れた茶抽出物とすることができる。具体的 は、アミノ酸を高濃度で含有しコク及び厚 のある旨味の酵素抽出液と、フレッシュな 味成分であるテアニンを豊富に含有する低 抽出液とを混合することで、フレッシュか コク・厚みを有する豊かな旨味の茶抽出物 得られる。

 この配合割合は、得られるテアニン高含 茶抽出物中のテアニン含量が、アミノ酸の 量に対して0.1重量%以上、好ましくは0.15重 %以上となるようになるのであれば、または アニン高含有茶抽出物中の茶葉由来固形分 対し、テアニンの割合が0.3重量%以上、好ま しくは0.6重量%以上、より好ましくは0.8重量% 上、さらにより好ましくは1.0重量%以上、特 に好ましくは1.5重量%以上となるようになる であれば、特に制限されず、所望する嗜好 応じて適宜選択すればよいが、茶葉の有効 成分を確保するために、酵素抽出液および 温抽出液の全量を用いるのが好ましい。こ 際、酵素抽出液と低温抽出液の容量割合は 通常、1:0.1~15、好ましくは1:2~10程度である。

 混合された茶抽出物におけるアミノ酸含 は、茶葉10gからの抽出物あたり160mg以上、 ましくは180mg以上、より好ましくは200mg以上 あり、茶葉由来の可溶性固形分([g]=抽出液 量[g]×Brix[%]/100)全体に対する割合として、2.5 重量%以上、好ましくは5.0重量%以上、より好 しくは7.0重量%である。また、テアニンの含 量は、茶葉10gからの抽出物あたり10mg以上、 ましくは15mg以上、より好ましくは20mg以上で あり、茶葉由来の可溶性固形分([g]=抽出液総 [g]×Brix[%]/100)全体に対する割合として、0.3 量%以上、好ましくは0.6重量%以上、より好ま しくは0.8重量%以上、さらに好ましくは1.0重 %以上、特に好ましくは1.5重量%以上である。

 一方、茶抽出物におけるカテキン類の含 は、茶葉10gからの抽出物あたり800mg以下、 ましくは700mg以下であり、茶葉由来の可溶性 固形分([g]=抽出液総量[g]×Brix[%]/100)全体に対 る割合として、15.0重量%以下、好ましくは13. 5重量%以下、より好ましくは10.0重量%以下、 に好ましくは8.0重量%以下である。後述する 、本発明者らの検討によると、酵素抽出液 茶葉の低温抽出液を混合して調製した茶抽 物について、茶葉由来の固形分あたりのア ノ酸の総量が2.5重量%以上の茶抽出物に、コ ク・厚みのある旨みがあることを確認してい る。そして、このアミノ酸を高濃度で含有す る茶抽出物のうち、カテキン含量(カテキン 総量)が15.0重量%を超えるものにはやや苦渋 が感じられた(比較例A1参照)が、15.0重量%以 のものでアミノ酸含量(アミノ酸の総量)が5.0 重量%を超えるものには苦渋味がなく(比較例A 1’、実施例C3参照)、特にアミノ酸含量が7.0 量%以上のものには豊かな旨みがあること(実 施例D4’、E4参照)、カテキン含量が15.0重量% 下であってもアミノ酸含量が5.0重量%以下の のはやや苦渋みが感じられること(実施例B3 D4参照)を確認している。

 得られた茶抽出物は、必要に応じて、添 物を添加してもよい。添加物としては、ア コルビン酸またはその塩、pH調整剤、香料 および着色料等を挙げることができる。

 また、上記茶抽出物は、遠心分離、濾過 の分離操作を行って、清澄度を高めること できる。また、濃縮操作や乾燥操作を行っ 濃縮液の形態や乾燥物の形態(粉末)とする ともできる。本発明者らは、酵素抽出液に 葉の低温抽出液を混合して調製したテアニ 高含有茶抽出物を濃縮して調製した濃縮液 及びこの濃縮液を凍結乾燥してパウダー状 した後、再度水に溶解して調製した茶抽出 (還元)について、風味が良好であることを確 認している。

 以下実施例により、本発明をより具体的に 明するが、本発明はこれらに限定されるも ではない。以下の実施例(参考例、比較例も 含む)では、火入れ度の違う2種類の茶葉(火入 れ度「中」又は「弱」と表記する。)を使用 た。
参考例1
 カラム型抽出機に10gの緑茶葉(火入れ度:中) 封入し、抽出機上部から25℃のイオン交換 を100mL加え、緑茶葉を浸漬させた。そこに25 のイオン交換水を50mL/minの流量にて連続的 20分通液し、その間、下部より連続的に排出 される液を2分毎にサンプリングした。その 、サンプリング液のカテキン、アミノ酸を 定した。

 カテキンの測定方法にはHPLCを用いた。具体 的測定方法は、以下のとおり。
(HPLC条件)
  HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 modelII
  カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
  カラム温度:40℃
  移動相A:水-アセトニトリル-トリフルオロ 酸(90:10:0.05)
  移動相B:水-アセトニトリル-トリフルオロ 酸(20:80:0.05)
  検出:UV275nm
  注入量:20μL
  流速:1mL/min.
  グラジエントプログラム:
     時間(分)     %A      %B
      0         100       0
      5          92       8
      11         90      10
      21         90      10
      22          0     100
      29          0     100
      30        100       0
  標準物質:カテキン、エピカテキン、ガロ テキン、エピガロカテキン、カテキンガレ ト、エピカテキンガレート、ガロカテキン レートおよびエピガロカテキンガレート(ク リタ高純度試薬)
 アミノ酸の測定方法にもHPLCを用いた。具体 的測定方法は、以下のとおり。
(HPLC条件)
  HPLC装置:Waters アミノ酸分析装置2695
  カラム:AccQ-Tagカラム(3.9mm×150mm)
  カラム温度:40℃
  移動相A:AccQ-TagA(pH5.8)
  移動相B:アセトニトリル
  移動層C:水/メタノール=9/1
  検出:EX250nm EM395nm  Gain100
  注入量:5μL
  グラジエントプログラム:
   時間(分)  流速(ml/min)  %A    %B    % C
    0        1          100     0       0
    1        1           99      1      0
   16        1           97     3       0
   25        1           94     6       0
   35        1           86    14      0
   40        1           86    14      0
   50        1           82    18      0
   51        1            0    60      40
   54        1          100     0      0
   75        1            0    60      40
  110        0            0    60     40
  標準物質:アミノ酸18種(アルギニン、リジ 、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシ 、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、 リン、アラニン、グリシン、プロリン、グ タミン酸、セリン、スレオニン、アスパラ ン酸、トリプトファン、シスチン)およびテ アニン
 結果を図1に示す。図1より、アミノ酸はカ キン類(図中、カテキンと表記)よりも早いタ イミングで緑茶葉より抽出され、10分頃には ぼ全量が抽出されることがわかった。一方 カテキン類は20分経過しても一部残存する とがわかった。低温抽出で抽出時間を選択 ることにより、カテキン類(渋み成分)の抽出 を抑制し、アミノ酸(旨味成分)を選択的に抽 できることが確認された。
参考例2
 茶葉を緑茶葉(火入れ度:弱)にする以外は、 考例1と同様にして低温抽出液を得、アミノ 酸及びカテキンの分析を行った。緑茶葉を変 更しても、アミノ酸がカテキン類よりも早く 抽出されることが確認され、参考例1と同様 、10分頃にはアミノ酸のほぼ全量が抽出され た。このときの抽出液中のアミノ酸量は、167 mgであった。
比較例1
 まず、第一工程としてカラム型抽出機に10g 緑茶葉(火入れ度:中)を封入し、抽出機上部 ら25℃のイオン交換水を100mL加え、緑茶葉を 浸漬させた。そこに25℃のイオン交換水を50mL /minの流量にて連続的に20分通液し、低温抽出 液を得た(試料A1)。次に試料A1を抽出した後の 抽出残渣に、プロテアーゼ及びペクチナーゼ を各0.2gずつ添加し、40℃のイオン交換水を加 え総重量160gに調整し、40℃に保持したまま50m L/minにて16時間循環通液を行い、酵素反応を った。得られた酵素処理液を90℃10分加熱し 素を失活させ、酵素反応液を得た(試料A2)。 さらに、上記試料A1全量及びA2全量を混合し 茶抽出物を得た(試料A3)。

 試料A1~試料A3におけるアミノ酸及びカテ ン類の含量を参考例1と同様に分析した。ま 、各試料の香味について、専門パネラー3名 で評価した。

 結果を表1に示す。回収液量(収量)は、試 A1が972g、試料A2が130gであった。また、アミ 酸の含量は、試料A1が57mg、試料A2が103mgであ った。この結果と参考例とを合わせて考察す ると、第一工程でアミノ酸がほぼ全量抽出さ れていたが、第二工程の酵素処理におけるタ ンパクの分解によってさらにアミノ酸の生成 量が増加したと考えられる。

 一方、カテキン類の含量は、試料A1が671mg 、試料A2が171mgであった。参考例と合わせて 察すると、第一工程で抽出されなかったカ キン類が第二工程によって更に抽出された 考えられる。また、試料A2のアミノ酸(a)とカ テキン類(b)の比率(a/b)を算出すると、0.60であ った。

 また、香味評価の結果、試料A1と試料A2で は旨みの特徴が異なり、試料A1はフレッシュ のある旨みであるのに対し、試料A2はコク 厚みのある旨みであった。また、試料A2では カテキン類由来と思われる苦渋味がやや感じ られた。さらに、試料A1と試料A2を混合した (試料A3)は、二つの液の香味の特徴を有する すなわちフレッシュかつコク・厚みのある みを有するものであることがわかった。し し、やや苦渋味が感じられた。

比較例2
 茶葉を緑茶葉(火入れ度:弱)にする以外は、 較例1と同様にして低温抽出液(試料A1’)を 、次にこの抽出残渣から酵素反応液を得(試 A2’)、試料A1’と試料A2’の全量を混合して 茶抽出物(試料A3’)を得た。比較例1と同様に 試料におけるアミノ酸及びカテキン量を分 し、官能評価を行った。

 結果を表2に示す。回収液量(収量)は、試 A1’が462g、試料A2’が129gであった。また、 ミノ酸の含量は、試料A1’が120mg、試料A2’ 187mgであった。この結果と参考例とを合わ て考察すると、比較例1と同様に、第一工程 アミノ酸がほぼ全量抽出されていたが、第 工程の酵素処理におけるタンパクの分解に ってさらにアミノ酸の生成量が増加したと えられる。

 一方、カテキン類の含量は、試料A1’が33 7mg、試料A2’が282mgであった。参考例と合わ て考察すると、比較例1と同様に、第一工程 抽出されなかったカテキン類が第二工程に って更に抽出されたと考えられる。また、 料A2’のアミノ酸(a)とカテキン類(b)の比率(a /b)を算出すると、0.66であった。

 また、香味評価の結果、第二工程で得ら た酵素抽出液(試料A2’)は、カテキン類の含 有量が少なく、アミノ酸を高濃度で含有する ものであり、香味的にもコクと厚みのある豊 かな旨味を有し、苦味・渋味の比較的少ない 嗜好性の優れたものであった。さらに、試料 A1’と試料A2’を混合した試料A3’は、フレッ シュかつコク・厚みのある旨みを有し、かつ 渋味が抑制された、従来のものとは全く違っ た香味を有する緑茶抽出物であった。

実施例1.茶抽出物の製造(1)
 まず、第一工程としてカラム型抽出機に10g 緑茶葉(火入れ度:弱)を封入し、抽出機上部 ら75℃のイオン交換水を100mL加え、緑茶葉を 浸漬させた。そこに75℃のイオン交換水を50mL /minの流量にて連続的に70分通液し、高温抽出 液を得た(試料B1)。次に試料B1を抽出した後の 抽出残渣に、プロテアーゼ及びペクチナーゼ を各0.2gずつ添加し、40℃のイオン交換水を加 え総重量160gに調整し、40℃に保持したまま50m L/minにて16時間循環通液を行い、酵素反応を った。得られた酵素処理液を90℃10分加熱し 素を失活させ、酵素反応液を得た(試料B2)。 さらに、上記試料B1全量及びB2全量を混合し 茶抽出物を得た(試料B3)。

 試料B1~試料B3におけるアミノ酸及びカテ ン類の含量を参考例1と同様に分析した。ま 、各試料の香味について、専門パネラー3名 で評価した。

 結果を表3に示す。回収液量(収量)は、試 B1が3406g、試料B2が139gであった。また、アミ ノ酸の含量は、試料B1が175mg、試料B2が256mgで り、カテキン類の含量は、試料B1が1083mg、 料B2が16mgであった。この結果から、第一工 (高温抽出)により、カテキン類がほぼ全量抽 出されたこと、第一工程(高温抽出)で遊離の ミノ酸が抽出されるが第二工程の酵素処理 おけるタンパクの分解によってさらにアミ 酸の生成量が増加したことが考察される。

 比較例2における試料A2’と実施例1におけ る試料B2では、低温抽出後の抽出残渣から酵 反応液を得たか、高温抽出後の抽出残渣か 酵素反応液を得たかの違いがある。試料A1 のカテキン抽出量と試料B1のカテキン抽出量 を比較すると、試料B1のカテキン抽出量が試 A1’のカテキン抽出量の約3.2倍となってい 。また、試料A2’のアミノ酸量と試料B2のア ノ酸量を比較すると、試料B2のアミノ酸量 試料A2’のアミノ酸量の約1.4倍となっている 。これより、酵素抽出の前に高温抽出を行う 、すなわちカテキン類を除去することで、効 率的に酵素反応が行われ、アミノ酸を多量に 抽出できることがわかる。これは、カテキン 類を除去することによって、酵素の反応が高 められ、酵素の作用が十分発揮されたと考え ることができる。

 なお、試料B2におけるアミノ酸(a)とカテ ン類(b)の比率(a/b)を算出すると、15.79であっ 。

実施例2.茶抽出物の製造(2)
 まず、第一工程としてビーカーに10gの緑茶 (火入れ度:弱)を封入し、80℃の0.2%塩酸を150m L加え(pH2.0)、80℃を保った状態で5時間浸漬し 後、顆粒状の水酸化ナトリウムを0.32g加え pHを6.6に調整した(試料C1)。次に試料C1を抽出 した後の抽出残渣に、プロテアーゼ及びペク チナーゼを各0.2gずつ添加し、40℃のイオン交 換水を加え総重量160gに調整し、40℃に保持し たまま50mL/minにて16時間循環通液を行い、酵 反応を行った。得られた酵素処理液を90℃10 加熱し酵素を失活させ、酵素反応液を得た( 試料C2)。さらに、上記試料C1全量及びC2全量 混合し、茶抽出物を得た(試料C3)。

 試料C1~試料C3におけるアミノ酸及びカテ ン類の含量を参考例1と同様に分析した。ま 、各試料の香味について、専門パネラー3名 で評価した。

 結果を表4に示す。回収液量(収量)は、試 C1が252g、試料C2が129gであった。また、アミ 酸の含量は、試料C1が172mg、試料C2が325mgで り、カテキン類の含量は、試料C1が442mg、試 C2が203mgであった。この結果から、第一工程 (酸液処理)によりカテキン類が多量に抽出さ たこと、第一工程(酸処理)で遊離のアミノ が抽出されるが第二工程の酵素処理におけ タンパクの分解によってさらにアミノ酸の 成量が増加したことが考察される。

 比較例2における試料A1’と実施例2におけ る試料C1のカテキン類の抽出量を比較すると 試料C1のカテキン抽出量が試料A1’のカテキ ン抽出量の約1.3倍となっている。また、比較 例2における試料A2’のアミノ酸量を比較する と、試料C2のアミノ酸量が試料A2’のアミノ 量の約1.7倍となっている。比較例2における 料A2’と実施例2における試料C2とでは、酵 抽出の前にカテキン類を除去する工程(弱酸 処理)があるかないかの違いがある。実施例 2からも、酵素抽出の前にカテキン類を除去 ることで、効率的に酵素反応が行われ、ア ノ酸を多量に抽出できることがわかる。

 なお、試料C2のアミノ酸(a)とカテキン類(b )の比率(a/b)を算出すると、1.60であった。

実施例3.茶抽出物の製造(3)
 まず、第一工程としてカラム型抽出機に10g 緑茶葉(火入れ度:中)を封入し、抽出機上部 ら25℃のイオン交換水を100mL加え、緑茶葉を 浸漬させた。そこに25℃のイオン交換水を50mL /minの流量にて連続的に20分通液し、低温抽出 液を得た(試料D1)。次に第二工程として、試 D1抽出後の抽出残渣に75℃のイオン交換水を1 00mL加えた上で、75℃のイオン交換水を50mL/min 流量にて連続的に40分通液し、高温抽出液 得た(試料D2)。次に第三工程として、試料D2 出後の抽出残渣に、酵素としてプロテアー 及びペクチナーゼを各0.2gずつ添加し、40℃ イオン交換水を加え総重量160gに調整し、40 に保持したまま50mL/minにて16時間循環通液を い、酵素処理(反応)を行った。その後、得 れた酵素処理液を90℃で10分加熱して酵素を 活させ、酵素抽出液を得た(試料D3)。第四工 程として、上記試料D1及びD3全量を混合し、 抽出物を得た(試料D4)。

 試料D1~D4について、参考例1と同様にして アミノ酸及びカテキン類の含量を分析した また、専門パネラー3名により香味評価を実 施した。

 結果を表5に示す。第二工程で得られた高 温抽出液(試料D2)は、本発明では廃棄する抽 液であり、アミノ酸をほとんど含有せず、 テキン類のみを含有するものであり、香味 価の結果も苦渋みを有し出涸らし様の不快 を感じるものであった。一方、第三工程で られた酵素抽出液(試料D3)は、カテキン類を とんど含まず、アミノ酸を高濃度で含有す ものであり、香味的にもコクと厚みのある かな旨味を有し、苦味・渋味のほとんどな 嗜好性の優れたものであった。また、試料D 3のアミノ酸(a)とカテキン類(b)の比率(a/b)を算 出すると、15.13であった。この結果から、第 工程でカテキン類を除去することにより、 三工程で得られる酵素抽出液(試料D3)のカテ キン類の含量が抑えられたと考えられる。

 さらに、試料D1と試料D3を混合した試料D4 、複雑な旨味を有し、かつ渋味が抑制され 、従来のものとは全く違った香味を有する 茶抽出物であった。

 比較例1における酵素反応液である試料A2と 施例3における酵素反応である試料D3とでは 酵素抽出の前にカテキン類を除去する工程 あるかないかの違いがある。試料A2と試料D3 のアミノ酸含量を比較すると、試料D3のアミ 酸含量が試料A2の約1.5倍となっていること ら、酵素抽出の前にカテキン類を除去する とで、効率的に酵素反応が行われ、アミノ を多量に抽出できることがわかる。これは カテキン類を除去することによって、酵素 反応が高められ、酵素の作用が十分発揮さ たと考えることができる。
実施例4.茶抽出物の製造(4)
 茶葉を緑茶葉(火入れ度:弱)にする以外は、 施例3と同様にして低温抽出液(試料D1’)を 、次にこの抽出残渣から高温抽出液(試料D2 )を得、この抽出残渣から酵素反応液を得(試 料D3’)、試料D1’及び試料D3’の全量を混合 て茶抽出物(試料D4’)を得た。実施例3と同様 に各試料におけるアミノ酸及びカテキン量を 分析し、専門パネラー3面により官能評価を 施した。

 結果を表6に示す。回収液量(収量)は、試 D1’が461g、試料D2’が2945g、試料D3’が139gで あった。また、アミノ酸の含量は、試料D1’ 167mg、試料D2’が8mg、試料D3’が256mgであっ 。この結果と参考例とを合わせて考察する 、第一工程でアミノ酸がほぼ全量抽出され いたが、第三工程の酵素処理におけるタン クの分解によってさらにアミノ酸の生成量 増加したと考えられる。

 一方、カテキン類の含量は、試料D1’が50 7mg、試料D2’が576mg、試料D3’が16mgであった 参考例と合わせて考察すると、第一工程で ったカテキン類が、第二工程でほぼ全量抽 されたと考えられる。また、試料D3’のアミ ノ酸(a)とカテキン類(b)の比率(a/b)を算出する 、15.79であった。

実施例5.茶抽出物の製造(5:スケー アップ)
 本発明の茶抽出物の生産性を検討した。

 まず、第一工程としてカラム型抽出機に2 .00kgの緑茶葉(火入れ度:弱)を封入し、抽出機 部から25℃のイオン交換水を26.4kg加え、緑 葉を浸漬させた。そこに25℃のイオン交換水 を3.3L/minの流量にて連続的に30分通液し、低 抽出液を得た(試料E1)。次に、第二工程とし 、通液するイオン交換水温度を85℃に切り え、3.3L/minの流量にて連続的に60分通液し、 温抽出液得た(試料E2)。その後、第三工程と して、試料E2抽出後の抽出残渣に酵素として ロテアーゼ及びペクチナーゼを各40gずつ添 し、酸化防止剤としてL-アスコルビン酸を6. 00g添加し、40℃のイオン交換水を加え総重量3 2kgに調整し、40℃に保持したまま5.0L/minにて16 時間循環通液を行い、酵素反応を行った。得 られた酵素処理液を90℃10分加熱し酵素を失 させ、酵素抽出液を得た(試料E3)。さらに第4 工程として、上記試料E1と試料E3とを混合し 茶抽出物を得た(試料E4)。

 試料E1~E4について、参考例1と同様にアミ 酸及びカテキン類の含量を分析した。

 結果を表7に示す。アミノ酸の含量は、試 料E1が18.8g、試料E2が4.5g、試料E3が41.8gであっ 。一方、カテキン類の含量は、試料E1が67.3g 、試料E2が80.0g、試料E3が31.4gであった。

 この結果と実施例4とを合わせて考察する と、実施例4と同様、低温抽出液(試料E1)と酵 抽出液(試料E3)でアミノ酸含量が高く、高温 抽出液(試料E2)にカテキン類が多く含まれて ることが確認され、本発明の製造方法が実 産レベルにおいても問題無く製造可能であ ことが確認できた。

実施例6.茶抽出物(パウダー)の製
 まず、第一工程として、実施例4で得られた 混合液(試料D4’)をエバポレーターによりBrix1 5となるよう濃縮し、濃縮エキスを得た(試料F 1)。次に第二工程として、試料F1を凍結乾燥 にてパウダー状にし、緑茶パウダーを得た( 料F2)。次に第三工程として、試料F2にBrix15 なるようにイオン交換水を適量加え、還元 縮エキスを得た(試料F3)。

 試料F1および試料F3について、参考例1と 様に、アミノ酸及びカテキン類含量を分析 た。また、専門パネラー3名によりその香味 価を実施した。

 香味評価の結果、試料F1および試料F3ともに 、コクと厚みのある豊かな旨味を有し、苦味 ・渋味のない嗜好性に優れたものであった。 このことより、濃縮エキスを凍結乾燥等の方 法によりパウダー化し、さらにそれを再溶解 することでも、濃縮エキスの香味が損なわれ ないことが分かった。
実施例7.茶飲料の製造
 実施例3で製造した茶抽出物(試料D4)を用い 茶飲料を製造した。すなわち、緑茶葉45gを ーダーで抽出(80℃、10分)し、遠心分離機な びにフィルターにて茶葉を分離して緑茶液 得、調合タンクにてこの緑茶液に酸化防止 (L-アスコルビン酸)2g及び重曹(炭酸水素ナト ウム)2gを添加し、さらに、試料D4を、試料D4 由来のアミノ酸量が最終飲料中に20ppmとなる うに添加し、最後に純水を加え7Lに調整し 合液とした。そしてこの調合液を、UHT殺菌(1 30℃、1分)後、500mLのペットボトル容器に充填 して容器詰緑茶飲料を得た。また、対照とし て試料D4を添加しないこと以外は、同様にし 、緑茶飲料を得た。この緑茶飲料の香味を 価したところ、試料D4を添加していない緑 飲料(対照)と比較し、試料D4を添加した緑茶 料は、複雑な旨みを有し、かつ渋みが抑制 れた新規な香味特徴を有する緑茶飲料であ た。

 さらに実施例4で製造した茶抽出物(試料D4 ’)を用いて同様にして茶飲料を製造した。 の茶飲料も、対照と比較して、複雑な旨み 有し、かつ渋みが抑制された新規な香味特 を有する緑茶飲料であった。