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Patent Searching and Data


Title:
THERAPEUTIC AGENT FOR CANCER WITH RESISTANCE TO PROTEASE INHIBITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028387
Kind Code:
A1
Abstract:
A therapeutic agent for cancers having resistance to protease inhibitors which contains, as a heat shock protein 90 (Hsp90) family protein inhibitor, either a benzoyl compound represented by the formula (I) [wherein n is an integer of 1-5; R1 represents (un)substituted lower alkyl, CONR7R8 (wherein R7 and R8 are the same or different and each represents hydrogen, (un)substituted lower alkyl, etc.), etc.; R2 represents (un)substituted aryl, etc.; R3 and R5 are the same or different and each represents hydrogen, (un)substituted lower alkyl, etc.; R4 represents hydrogen, etc.; and R6 represents hydrogen, halogeno, (un)substituted lower alkyl, etc.] or a pharmaceutically acceptable salt of the compound.

Inventors:
NAKASHIMA TAKAYUKI
SHIOTSU YUKIMASA
Application Number:
PCT/JP2008/064887
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KYOWA HAKKO KIRIN CO LTD (JP)
NAKASHIMA TAKAYUKI
SHIOTSU YUKIMASA
International Classes:
A61K45/00; A61K31/047; A61K31/12; A61K31/165; A61K31/216; A61K31/4402; A61K31/4406; A61K31/445; A61K31/472; A61K31/495; A61K31/5375; A61P35/00; A61P35/02; A61P43/00; C07D213/30; C07D213/40; C07D217/06; C07D295/08; C07D295/16
Domestic Patent References:
WO2005000778A12005-01-06
WO2005063222A12005-07-14
Other References:
MITSIADES C.S. ET AL.: "Antimyeloma activity of heat shock protein-90 inhibition", BLOOD, vol. 107, no. 3, 2006, pages 1029 - 1100, XP008130012
SHRINGARPURE R. ET AL.: "Gene expression analysis of B-lymphoma cells resistant and sensitive to bortezomib", BRITISH JOURNAL OF HAEMATOLOGY, vol. 134, no. 2, 2006, pages 145 - 156, XP009129391
MITSIADES N. ET AL.: "Molecular sequelae of proteasome inhibition in human multiple myeloma cells", PROC.NATL.ACAD.SCI. U.S.A., vol. 99, no. 22, 2002, pages 14374 - 14379, XP008130013
CURRENT MEDICINAL CHEMISTRY, vol. 14, 2007, pages 223 - 232
NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE, vol. 344, 2001, pages 1084 - 1086
NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE, vol. 344, 2001, pages 1031 - 1037
BLOOD, vol. 99, 2002, pages 3472 - 3475
LEUKEMIA, vol. 17, 2003, pages 829 - 838
BLOOD, vol. 96, 2000, pages 2284 - 2291
BLOOD, vol. 100, 2002, pages 3041 - 3044
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INT. J. CANCER, vol. 49, pages 650 - 655
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NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE, vol. 344, 2001, pages 783 - 792
IMMUNOLOGY LETTERS, vol. 104, 2006, pages 146 - 155
NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE, vol. 352, 2005, pages 786 - 792
CLINICAL CANCER RESEARCH, vol. 12, 2007, pages 6494 - 6501
CANCER RESEARCH, vol. 65, 2005, pages 6401 - 6408
JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY, vol. 21, 2003, pages 4342 - 4349
JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY, vol. 24, 2006, pages 4764 - 4774
CLINICAL CANCER RESEARCH, vol. 12, 2003, pages 2622 - 2627
CANCER RESEARCH, vol. 66, 2006, pages 9153 - 9161
NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE, vol. 348, 2003, pages 2609 - 2617
BLOOD, vol. 106, 2005
BLOOD, vol. 108, 2006
"Blood", vol. 108, 2006
CANCER RESEARCH, vol. 62, 2002, pages 4996 - 5000
See also references of EP 2184073A4
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Claims:
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤を有効成分として含有する、プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌の治療薬。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が式(I)
[式中、nは1~5の整数を表し、
R 1 は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の複素環アルキル、置換もしくは非置換のアリール、CONR 7 R 8 (式中、R 7 及びR 8 は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換の複素環アルキルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表すか、またはR 7 とR 8 が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)またはNR 9 R 10 (式中、R 9 及びR 10 はそれぞれ前記R 7 及びR 8 と同義である)を表し、
R 2 は置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R 3 及びR 5 は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表し、
R 4 は水素原子、ヒドロキシまたはハロゲンを表し、
R 6 は水素原子、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリールオキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換の複素環アルキルを表す]で表されるベンゾイル化合物またはその薬学的に許容される塩である請求項1記載の治療薬。
R 2 が1~3の置換基で置換されたアリールまたはアリールである請求項2記載の治療薬。
R 2 が1~3の置換基で置換されたフェニルまたはフェニルである請求項2記載の治療薬。
R 2 が低級アルコキシ及び/または複素環アルキルオキシで置換されたフェニルである請求項2記載の治療薬。
R 2 が置換もしくは非置換の芳香族複素環基である請求項2記載の治療薬。
R 3 及びR 5 が同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアロイルまたは置換もしくは非置換の低級アルケニルである請求項2~6のいずれかに記載の治療薬。
R 3 、R 4 及びR 5 が水素原子である請求項2~6のいずれかに記載の治療薬。
R 1 がCONR 7 R 8 (式中、R 7 及びR 8 はそれぞれ前記と同義である)である請求項2~8のいずれかに記載の治療薬。
R 1 がCONR 7a R 8a (式中、R 7a 及びR 8a は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルまたは置換もしくは非置換の複素環アルキルを表す)である請求項2~8のいずれかに記載の治療薬。
R 1 がCONR 7b R 8b (式中、R 7b 及びR 8b は隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)である請求項2~8のいずれかに記載の治療薬。
R 1 がCONR 7c R 8c (式中、R 7c 及びR 8c は同一または異なって、2-ヒドロキシエチルまたは2-メトキシエチルを表す)である請求項2~8のいずれかに記載の治療薬。
R 1 が置換もしくは非置換の低級アルコキシである請求項2~8のいずれかに記載の治療薬。
nが1である請求項2~13のいずれかに記載の治療薬。
R 6 が水素原子、低級アルキル、ハロゲンまたはアリールである請求項2~14のいずれかに記載の治療薬。
R 6 が低級アルキルである請求項2~14のいずれかに記載の治療薬。
R 6 がエチルである請求項2~14のいずれかに記載の治療薬。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が式(IA)
[式中、nAは0~10の整数を表し、
R 1A は水素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換の複素環アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換の複素環基、CONR 7 R 8 (式中、R 7 及びR 8 はそれぞれ前記と同義である)またはNR 9 R 10 (式中、R 9 及びR 10 はそれぞれ前記と同義である)を表し、
R 2A は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R 3A 及びR 5A は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表し、
R 4A 及びR 6A は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリールオキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換の複素環アルキルを表す]で表されるベンゾイル化合物またはその薬学的に許容される塩である請求項1記載の治療薬。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が式(II)
{式中、n1は0~10の整数を表し、
R 11 は水素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の複素環アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換の複素環基、CONR 17 R 18 (式中、R 17 及びR 18 は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換の複素環アルキルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表すか、またはR 17 とR 18 が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)、NR 19 R 20 [式中、R 19 及びR 20 は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換の複素環アルキル、置換もしくは非置換のアロイルまたはCONR 21 R 22 (式中、R 21 及びR 22 はそれぞれ前記R 17 及びR 18 と同義である)を表すか、またはR 19 とR 20 が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する]またはOR 23 (式中、R 23 は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換の複素環アルキルを表す)を表し、
R 12 は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、
R 13 及びR 15 は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、カルバモイル、スルファモイル、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニル、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の複素環カルボニル、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表し、
R 14 及びR 16 は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換のアリールオキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換の複素環アルキルを表す}で表されるベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩である請求項1記載の治療薬。
R 11 が水素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換の複素環アルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、CONR 17 R 18 (式中、R 17 及びR 18 はそれぞれ前記と同義である)またはNR 19 R 20 (式中、R 19 及びR 20 はそれぞれ前記と同義である)である請求項19記載の治療薬。
R 11 が置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の複素環アルキル、置換もしくは非置換のアリール、CONR 17 R 18 (式中、R 17 及びR 18 はそれぞれ前記と同義である)またはNR 19 R 20 (式中、R 19 及びR 20 はそれぞれ前記と同義である)である請求項19記載の治療薬。
R 12 が置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環基である請求項19~21のいずれかに記載の治療薬。
R 12 が置換もしくは非置換のアリールである請求項19~21のいずれかに記載の治療薬。
R 12 が置換もしくは非置換のフェニルである請求項19~21のいずれかに記載の治療薬。
R 12 が置換もしくは非置換のフリルである請求項19~21のいずれかに記載の治療薬。
R 14 が水素原子、ヒドロキシまたはハロゲンである請求項19~25のいずれかに記載の治療薬。
R 13 及びR 15 が同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニル、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルまたは置換もしくは非置換の複素環カルボニルである請求項19~26のいずれかに記載の治療薬。
R 13 、R 14 及びR 15 が水素原子である請求項19~25のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が、プロテアーゼ阻害剤耐性を有する造血器腫瘍による癌、乳癌、子宮体癌、子宮頚癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、胃癌、食道癌、肝癌、胆道癌、大腸癌、直腸癌、膵癌、肺癌、頭頚部癌、骨肉腫、メラノーマまたは脳腫瘍による癌である請求項1~28のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が、プロテアーゼ阻害剤耐性を有する白血病、骨髄腫またはリンパ腫である請求項1~28のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が、プロテアーゼ阻害剤耐性を有する多発性骨髄腫である請求項1~28のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が、Hsp70, Hsp27またはBcl-2の発現が上昇している癌である請求項1~28のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤が、プロテアーゼ阻害活性を有する抗体である請求項1~32のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤が、プロテアーゼ阻害活性を有する低分子化合物である請求項1~32のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤が、マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalloprotease)阻害剤である請求項1~34のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤が、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(Urokinase Plasminogen Activator)阻害剤である請求項1~34のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤が、カテプシン(Cathepsin)阻害剤である請求項1~34のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤が、プロテアソーム(Proteasome)阻害剤である請求項1~34のいずれかに記載の治療薬。
プロテアーゼ阻害剤が、アミノペプチダーゼ(Aminopeptidase)阻害剤である請求項1~34のいずれかに記載の治療薬。
プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブである請求項38記載の治療薬。
プロテアソーム阻害剤がMG-132である請求項38記載の治療薬。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌の治療方法。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が請求項2~17のいずれかに記載のベンゾイル化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項42に記載の治療方法。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が請求項18に記載のベンゾイル化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項42に記載の治療方法。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が請求項19~28のいずれかに記載のベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩である、請求項42に記載の治療方法。
プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が請求項29~32のいずれかに記載の癌である、請求項42~45に記載の治療方法。
プロテアーゼ阻害剤が請求項33~41のいずれかである、請求項42~46に記載の治療方法。
プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌の治療剤の製造のための、ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤の使用。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が請求項2~17のいずれかに記載のベンゾイル化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項48に記載の使用。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が請求項18に記載のベンゾイル化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項48に記載の使用。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤が請求項19~28のいずれかに記載のベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩である、請求項48に記載の使用。
プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が請求項29~32のいずれかに記載の癌である、請求項48~51に記載の使用。
プロテアーゼ阻害剤が請求項33~41のいずれかである、請求項48~52に記載の使用。
ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤として、請求項2~28のいずれかに記載のベンゾイル化合物もしくはベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、Hsp70, Hsp27またはBcl-2の発現が上昇している癌の治療薬。
請求項2~28のいずれかに記載のベンゾイル化合物もしくはベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、Hsp70, Hsp27またはBcl-2の発現が上昇している癌の治療方法。
Hsp70, Hsp27またはBcl-2の発現が上昇している癌の治療剤の製造のための、請求項2~28のいずれかに記載のベンゾイル化合物もしくはベンゼン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤の使用。
Description:
プロテアーゼ阻害剤耐性を有す 癌の治療薬

 本発明は、ヒートショック蛋白質90(Hsp90) ァミリー蛋白質阻害剤を有効成分として含 する、プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌 治療薬等に関する。

 Hspは、細胞が熱ショック等のストレス環境 さらされたときに細胞内で発現する一連の 白質群であり、その分子量によってHsp90、Hs p70、Hsp60等のファミリーに分類される。これ の蛋白質は、分子シャペロン(chaperone)とも ばれ、一般的には蛋白質のフォールディン 、膜透過、会合、凝集の抑制等がその主な 能と考えられている。
 Hsp90は分子量約90 kDaのHspの総称であり、真 生物のHsp90ファミリーとして、Hsp90α、Hsp90β 、Grp94、Hsp75/TRAP1等が同定されている。以下 これらHsp90ファミリーに属するHspを総称して Hsp90と呼ぶ。

 近年、Hsp90が細胞増殖や癌化に関わる分 と特異的に複合体を形成し、細胞周期や増 、細胞生存、細胞不死化、血管新生、転移 潤等に関与していることが明らかにされて る。Hsp90と特異的に複合体を形成する蛋白質 は、Hsp90クライアント(client)蛋白質と呼ばれ Hsp90クライアント蛋白質の細胞内での機能や 安定性の保持には、Hsp90との結合が必要であ と考えられている。

 近年、様々な癌の発生や悪性化に関与す 分子機構や薬剤耐性のメカニズムが明らか されるのに伴い、癌細胞及び腫瘍環境で発 する特異的な蛋白質の機能を直接制御する とによって、癌の治療に結びつける分子標 療法の研究が盛んに行われている。幾つか 分子標的薬剤は既に臨床で応用され、高い 効性や既存の化学療法剤に比べたときの比 的軽微な副作用等から注目されている。し し、分子標的薬剤も化学療法剤と同様に、 性癌が出現することが明らかになっている[ Current Medicinal Chemistry、第14巻、223-232頁(2007 )]。実際に、重要な分子標的である受容体型 チロシンキナーゼ(EGF受容体、ErbB-2、KIT等)や 伝子転座に由来する融合蛋白質(Bcr-Abl等)に いても、これらの分子標的薬剤の耐性化が 床のヒト腫瘍で認められ、問題になってい 。一方、上記のような受容体型チロシンキ ーゼや融合蛋白質はHsp90のクライアント蛋 質であり、Hsp90阻害剤によって、これら受容 体型チロシンキナーゼや融合蛋白質の分解が 誘発され、機能が阻害されうる。

 慢性骨髄性白血病は、フィラデルフィア 色体と呼ばれる染色体転座 t(9;22)によって 症する白血病である。この遺伝子転座によ て形成されるBcr-Ablの恒常的活性化が過剰な 増殖作用や抗アポトーシス作用を示すため、 慢性骨髄性白血病の原因と考えられている。 イマチニブ(グリベック)は、このBcr-Ablの阻害 剤であり、インターフェロン不応答の慢性骨 髄性白血病患者に劇的な効果を示し、臨床で 応用されている[New England Journal of Medicine、 第344巻、1084-1086頁(2001年);New England Journal of Medicine、第344巻、1031-1037頁(2001年)]。しかし がら、慢性期の患者に対して効果は持続す ものの、blast crisisの患者に対する効果は一 的であり、かつ、何れの場合も次第に耐性 は出現する。耐性化の原因としては、Bcr-Abl の遺伝子増幅、キナーゼドメインの変異(T315I またはE255K等の点変異)等によるイマチニブの 感受性低下が報告されている[Blood、第99巻、3 472-3475頁(2002年);Leukemia、第17巻、829-838頁(2003 )]。一方、Bcr-Ablは、Hsp90のクライアント蛋白 質であることから、Hsp90阻害剤の処理で分解 れることが報告されている[Blood、第96巻、22 84-2291頁(2000年)]。また、ゲルダナマイシンや の誘導体である17-allylamino-17-demethoxygeldanamyci n(17-AAG)は、変異型Bcr-Abl(T315IまたはE255Kの点変 異)を発現させて自立増殖能を付与したBa/F3細 胞株に対して、変異型Bcr-Ablの分解を誘導し 増殖阻害を示すことが報告されている[Blood 第100巻、3041-3044頁(2002年)]。そのため、イマ ニブ耐性の慢性骨髄性白血病患者に対して1 7-AAGが有効であることが示唆されている。

 乳癌において、癌遺伝子であるher2/neu遺 子の増幅が認められ、受容体型チロシンキ ーゼHer2の過剰発現が誘導されている。その め、Her2の過剰発現している乳癌において、 細胞増殖、足場非依存性増殖及び造腫瘍能の 亢進が起こっている。乳癌全体の25~30%でHer2 高発現が報告され、Her2の発現は予後不良因 である[Science、第235巻、177-182頁(1987);Int. J. Cancer、第49巻、650-655頁]。このようなHer2の細 胞外ドメインに特異的に結合するヒト型抗体 のトラスツズマブ(ハーセプチン)は、Her2を発 現する乳癌患者に臨床応用され、高い抗腫瘍 効果を示すことが報告されている。しかし、 単剤では30~40%の患者にのみ有効であり、かつ 、化学療法剤との併用で効果が高くなるもの の、何れの場合も持続的な処方によって耐性 癌が出現することが報告されている[Journal of  Clinical Oncology、第17巻、2639-2648頁(1999);New En gland Journal of Medicine、第344巻、783-792頁(2001 )]。トラスツズマブ耐性の機序については、 PI3キナーゼの亢進、Insulin-like growth factor-1(IG F-1)受容体の発現上昇等が挙げられるが詳細 不明である。臨床でトラスツズマブ耐性の 者から樹立された細胞株JIMT-1に対して、ト スツズマブは生物学的な効果(Her2のダイマー 形成、細胞内在化)を示さないが、17-AAGはト スツズマブ感受性株SK-BR3と同等の効果を示 ことが報告されている[Immunology Letters、第104 巻、146-155頁(2006)]。

 Epidermal growth factor(EGF)受容体のチロシン ナーゼ阻害剤として、低分子化合物のゲフ チニブ(イレッサ)やエルロチニブ(タルセバ) が臨床応用されている。これらの薬剤は、非 小細胞肺癌のうちEGF受容体に活性型変異(exon1 9欠失、点変異L858R等)のある患者に効果を示 ものの、持続的な処方によってEGF受容体に2 的な変異(T790M点変異等)が出現し、耐性化す ることが報告されている。非小細胞肺癌でゲ フィチニブやエルロチニブに効果を示してい たが、持続的な処方で無効となった患者16人 7人において、2次的なT790M点変異が認められ た[New England Journal of Medicine、第352巻、786-79 2頁(2005年);Clinical Cancer Research、第12巻、6494-6 501頁(2007)]。一方、ゲルダナマイシンは、T790M 点変異のEGF受容体を発現する非小細胞肺癌由 来の細胞株NCI-H1975に対して、EGF受容体の分解 を誘導することで細胞増殖阻害を示すことが 報告されている[Cancer Research、第65巻、6401-640 8頁(2005)]。Hsp90阻害剤は、EGF受容体チロシン ナーゼ阻害剤に耐性を示す非小細胞肺癌に 効であることが示唆されている。

 イマチニブは、Bcr-AblのみならずKIT(c-kit遺 伝子産物)やplatelet-derived growth factor(PDGF)受容 体を阻害することから、消化管間質腫瘍(Gastr ointestinal stromal tumor:GIST)の治療薬として臨床 応用されている。GISTは、KITまたはPDGF受容体 変異が入り、これらが恒常的に活性化する とで発症する癌種である。イマチニブを処 されたGIST患者の約80%が効果を得るが、KITの エクソン11(傍細胞膜領域)に変異(V560D点変異 欠失等)のある患者は、エクソン9に変異があ る患者よりも高いレスポンスを示すことが報 告されている[Journal of Clinical Oncology、第21 、4342-4349頁(2003)]。また、持続的な処方によ て、イマチニブが無効になる2次的な変異が 出現し、イマチニブ耐性が臨床上問題になっ ている。イマチニブ耐性に関わる変異は、KIT のATP結合ポケット(V654A、T670I点変異等)または キナーゼ活性化ループ(C809G、D816H、D820A/E/G、N 822K/Y、Y823D点変異等)に高頻度に認められる[Jo urnal of Clinical Oncology、第24巻、4764-4774頁(2006 )]。また、イマチニブ無効の変異型KIT(V654A、T 670I等)を発現する患者に対して、PDGF受容体と KIT阻害活性を有するスニチニブ(スーテント) 有効であり、臨床応用されている。しかし がら、スニチニブも、イマチニブ耐性に関 るPDGF受容体の変異体(D842V)には無効である とが報告されている[Clinical Cancer Research、 12巻、2622-2627頁(2003)]。一方、17-AAGは、KITが ライアント蛋白質であることから蛋白質分 を介してKITを阻害する。そのため、イマチ ブ耐性の変異型KITを発現する細胞株のGIST430( KIT V654A点変異)及びGSIT48(KIT V560E、D820D点変異 )]に対しても、17-AAGが有効であることが報告 れている[Cancer Research、第66巻、9153-9161頁(20 06)]。

 プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミ (ベルケード)が多発性骨髄腫治療剤として 認され、臨床応用されている。ボルテゾミ は、不応・再発多発性骨髄腫の約35%に有効 あるが、約40%には無効である。また、効果 あった例でも約1年で耐性が出現し、ボルテ ミブ耐性は臨床上課題になっている[New Engl and Journal of Medicine、第348巻、2609-2617頁(2003)] 。17-AAGのPhase 1試験が、不応・再発多発性骨 腫を対象に実施され、一部の患者に有効性 示すことが報告された。22名中9名でstable di sease(SD、進行停止)以上の効果が認められた[Bl ood、第106巻、要旨361(2005)]。また、Hsp90阻害剤 IPI-504のPhase 1試験が、不応・再発多発性骨髄 腫を対象に実施されている。抗腫瘍効果につ いては、17例中3例でSDが認められるのみであ [Blood、第108巻、要旨3579(2006)]。上記のHsp90阻 害剤単剤での臨床試験では、患者のボルテゾ ミブ治療歴が明確ではない(ボルテゾミブ耐 の患者を集めたわけではない)ので、Hsp90阻 剤とボルテゾミブ耐性の因果関係は不明で る。また、不応・再発多発性骨髄腫の患者 おいて、17-AAGとボルテゾミブ併用でのPhase 2 試験が米国で実施されている。抗腫瘍効果に ついては、23例中8例でpartial response(部分寛解 )以上の効果が認められている。この試験が ボルテゾミブ耐性の患者を集めた臨床試験 はないこと、ボルテゾミブ単独の抗腫瘍効 を見ている可能性もあるため、17-AAGの効果 正確に評価できていない[Blood、第108巻、要 406(2006)]。

 Hsp90阻害剤に耐性を示す分子機序につい も論文で報告されている。アポトーシスを 制する機能を持つBcl-2またはBcl-xLを遺伝子導 入により高発現したヒト白血病細胞株は、遺 伝子非導入株に比べ、Hsp90阻害剤である17-AAG よって誘導させるアポトーシスに耐性を示 (非特許文献1)。分子シャペロンHsp70の遺伝 導入により、Hsp70が高発現したヒト白血病細 胞株は、遺伝子非導入株に比べ、17-AAGによっ て誘導されるアポトーシスに耐性を示す(非 許文献2)。分子シャペロンHsp27の遺伝子導入 より、Hsp27が高発現したヒト固形癌細胞株 、コロニー形成アッセイにおいて、遺伝子 導入株に比べて、17-AAGによって誘導される 殖抑制作用に抵抗性を示す(非特許文献3)。 れらの報告からは、癌細胞におけるHsp70、Hsp 27およびBcl-2の発現上昇は、17-AAGに対する耐 に繋がることが示唆される。一方で、小細 肺癌の細胞株に対するHsp90拮抗薬PU24FClなど アポトーシス誘導作用は、Hsp70の発現量に依 存しないこと、また、同細胞株に対するHsp90 抗薬のアポトーシス誘導作用はBcl-2の発現 に影響を受けないことも報告されている(非 許文献4)。そのため、癌細胞におけるHsp70お よびBcl-2の発現上昇は、Hsp90拮抗剤の耐性に がると結論付けることはできていない。

 本発明で用いられる化合物を有効成分とし 含有するHsp90ファミリー蛋白質阻害剤及び 腫瘍剤が知られている(特許文献1~3参照)。

国際公開第2005/000778号パンフレット

国際公開第2005/063222号パンフレット

国際公開第2006/088193号パンフレット ブラッド(Blood)、2003年、102巻、1号、p.269- 275 キャンサー・リサーチ(Cancer Reserch)、2005 年、65巻、22号、p.10536-10544 キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、200 6年、66巻、22号、p.10967-10975 ネイチャー・ケミカル・バイオロジー(Na ture Chemical  Biology)、2007年、3巻、p.498-507

 本発明の目的は、Hsp90ファミリー蛋白質 害剤を有効成分として含有する、プロテア ゼ阻害剤耐性を有する癌の治療薬等を提供 ることにある。

 本発明は以下の(1)~(56)に関する。
(1)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋 白質阻害剤を有効成分として含有する、プロ テアーゼ阻害剤耐性を有する癌の治療薬。
(2)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋 白質阻害剤が式(I)

[式中、nは1~5の整数を表し、
R 1 は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換 もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もし くは非置換のシクロアルキル、置換もしくは 非置換の低級アルコキシカルボニル、置換も しくは非置換の複素環アルキル、置換もしく は非置換のアリール、CONR 7 R 8 (式中、R 7 及びR 8 は同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキル、置換もしくは非 置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換 の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の アリール、置換もしくは非置換の複素環基、 置換もしくは非置換のアラルキル、置換もし くは非置換の複素環アルキルまたは置換もし くは非置換のアロイルを表すか、またはR 7 とR 8 が隣接する窒素原子と一緒になって置換もし くは非置換の複素環基を形成する)またはNR 9 R 10 (式中、R 9 及びR 10 はそれぞれ前記R 7 及びR 8 と同義である)を表し、
R 2 は置換もしくは非置換のアリールまたは置換 もしくは非置換の芳香族複素環基を表し、
R 3 及びR 5 は同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキル、置換もしくは非 置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換 の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の シクロアルキル、置換もしくは非置換のアラ ルキルまたは置換もしくは非置換のアロイル を表し、
R 4 は水素原子、ヒドロキシまたはハロゲンを表 し、
R 6 は水素原子、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置 換もしくは非置換の低級アルキル、置換もし くは非置換の低級アルケニル、置換もしくは 非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置 換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の シクロアルキル、アミノ、低級アルキルアミ ノ、ジ低級アルキルアミノ、カルボキシ、置 換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニ ル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル 、置換もしくは非置換のアリールオキシ、置 換もしくは非置換のアリール、置換もしくは 非置換の複素環基、置換もしくは非置換のア ラルキルまたは置換もしくは非置換の複素環 アルキルを表す]で表されるベンゾイル化合 またはその薬学的に許容される塩である(1) 載の治療薬。

(3)R 2 が1~3の置換基で置換されたアリールまたはア リールである(2)記載の治療薬。
(4)R 2 が1~3の置換基で置換されたフェニルまたはフ ェニルである(2)記載の治療薬。
(5)R 2 が低級アルコキシ及び/または複素環アルキ オキシで置換されたフェニルである(2)記載 治療薬。
(6)R 2 が置換もしくは非置換の芳香族複素環基であ る(2)記載の治療薬。
(7)R 3 及びR 5 が同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキル、置換もしくは非 置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置 換のアロイルまたは置換もしくは非置換の低 級アルケニルである(2)~(6)のいずれかに記載 治療薬。
(8)R 3 、R 4 及びR 5 が水素原子である(2)~(6)のいずれかに記載の 療薬。

(9)R 1 がCONR 7 R 8 (式中、R 7 及びR 8 はそれぞれ前記と同義である)である(2)~(8)の ずれかに記載の治療薬。
(10)R 1 がCONR 7a R 8a (式中、R 7a 及びR 8a は同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキルまたは置換もしく は非置換の複素環アルキルを表す)である(2)~( 8)のいずれかに記載の治療薬。
(11)R 1 がCONR 7b R 8b (式中、R 7b 及びR 8b は隣接する窒素原子と一緒になって置換もし くは非置換の複素環基を形成する)である(2)~( 8)のいずれかに記載の治療薬。
(12)R 1 がCONR 7c R 8c (式中、R 7c 及びR 8c は同一または異なって、2-ヒドロキシエチル たは2-メトキシエチルを表す)である(2)~(8)の いずれかに記載の治療薬。
(13)R 1 が置換もしくは非置換の低級アルコキシであ る(2)~(8)のいずれかに記載の治療薬。
(14)nが1である(2)~(13)のいずれかに記載の治療 。
(15)R 6 が水素原子、低級アルキル、ハロゲンまたは アリールである(2)~(14)のいずれかに記載の治 薬。
(16)R 6 が低級アルキルである(2)~(14)のいずれかに記 の治療薬。
(17)R 6 がエチルである(2)~(14)のいずれかに記載の治 薬。
(18)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤が式(IA)

[式中、nAは0~10の整数を表し、
R 1A は水素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキ シ、ニトロ、ハロゲン、置換もしくは非置換 の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級 アルケニル、置換もしくは非置換の低級アル キニル、置換もしくは非置換の低級アルコキ シ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、 置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボ ニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイ ルオキシ、置換もしくは非置換の複素環アル キル、置換もしくは非置換のアリール、置換 もしくは非置換のアリールスルホニル、置換 もしくは非置換の複素環基、CONR 7 R 8 (式中、R 7 及びR 8 はそれぞれ前記と同義である)またはNR 9 R 10 (式中、R 9 及びR 10 はそれぞれ前記と同義である)を表し、
R 2A は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換 もしくは非置換の低級アルケニル、置換もし くは非置換の低級アルキニル、置換もしくは 非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置 換のアリールまたは置換もしくは非置換の複 素環基を表し、
R 3A 及びR 5A は同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキル、置換もしくは非 置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換 の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の シクロアルキル、置換もしくは非置換のアラ ルキルまたは置換もしくは非置換のアロイル を表し、
R 4A 及びR 6A は同一または異なって、水素原子、ヒドロキ シ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしく は非置換の低級アルキル、置換もしくは非置 換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の 低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級 アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロア ルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低 級アルキルアミノ、カルボキシ、置換もしく は非置換の低級アルコキシカルボニル、置換 もしくは非置換の低級アルカノイル、置換も しくは非置換のアリールオキシ、置換もしく は非置換のアリール、置換もしくは非置換の 複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル または置換もしくは非置換の複素環アルキル を表す]で表されるベンゾイル化合物または の薬学的に許容される塩である(1)記載の治 薬。
(19)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤が式(II)

{式中、n1は0~10の整数を表し、
R 11 は水素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキ シ、ニトロ、ハロゲン、置換もしくは非置換 の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級 アルケニル、置換もしくは非置換の低級アル キニル、置換もしくは非置換のシクロアルキ ル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカ ルボニル、置換もしくは非置換のアロイル、 置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置 換もしくは非置換の複素環アルキル、置換も しくは非置換のアリール、置換もしくは非置 換のアラルキル、置換もしくは非置換のアリ ールスルホニル、置換もしくは非置換の複素 環基、CONR 17 R 18 (式中、R 17 及びR 18 は同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキル、置換もしくは非 置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換 の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の アリール、置換もしくは非置換の複素環基、 置換もしくは非置換のアラルキル、置換もし くは非置換の複素環アルキルまたは置換もし くは非置換のアロイルを表すか、またはR 17 とR 18 が隣接する窒素原子と一緒になって置換もし くは非置換の複素環基を形成する)、NR 19 R 20 [式中、R 19 及びR 20 は同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキルスルホニル、置換 もしくは非置換の低級アルキル、置換もしく は非置換のシクロアルキル、置換もしくは非 置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置 換のアリール、置換もしくは非置換の複素環 基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換 もしくは非置換の複素環アルキル、置換もし くは非置換のアロイルまたはCONR 21 R 22 (式中、R 21 及びR 22 はそれぞれ前記R 17 及びR 18 と同義である)を表すか、またはR 19 とR 20 が隣接する窒素原子と一緒になって置換もし くは非置換の複素環基を形成する]またはOR 23 (式中、R 23 は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換 もしくは非置換の低級アルケニル、置換もし くは非置換の低級アルカノイル、置換もしく は非置換のアリール、置換もしくは非置換の 複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル または置換もしくは非置換の複素環アルキル を表す)を表し、
R 12 は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換 もしくは非置換の低級アルケニル、置換もし くは非置換の低級アルキニル、置換もしくは 非置換のアリールまたは置換もしくは非置換 の複素環基を表し、
R 13 及びR 15 は同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキル、置換もしくは非 置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換 の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の シクロアルキル、置換もしくは非置換の低級 アルキルスルホニル、置換もしくは非置換の アリールスルホニル、カルバモイル、スルフ ァモイル、置換もしくは非置換の低級アルキ ルアミノカルボニル、置換もしくは非置換の ジ低級アルキルアミノカルボニル、置換もし くは非置換の低級アルコキシカルボニル、置 換もしくは非置換の複素環カルボニル、置換 もしくは非置換のアラルキルまたは置換もし くは非置換のアロイルを表し、
R 14 及びR 16 は同一または異なって、水素原子、ヒドロキ シ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換もしく は非置換の低級アルキル、置換もしくは非置 換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の 低級アルキニル、置換もしくは非置換の低級 アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロア ルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低 級アルキルアミノ、カルボキシ、置換もしく は非置換の低級アルコキシカルボニル、置換 もしくは非置換のアリールオキシ、置換もし くは非置換のアリール、置換もしくは非置換 の複素環基、置換もしくは非置換の低級アル カノイル、置換もしくは非置換のアラルキル または置換もしくは非置換の複素環アルキル を表す}で表されるベンゼン誘導体またはそ 薬学的に許容される塩である(1)記載の治療 。

(20)R 11 が水素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキ シ、ニトロ、ハロゲン、置換もしくは非置換 の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級 アルキニル、置換もしくは非置換の低級アル コキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキ ル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカ ルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカ ノイルオキシ、置換もしくは非置換の複素環 アルキル、置換もしくは非置換のアリール、 置換もしくは非置換のアリールスルホニル、 CONR 17 R 18 (式中、R 17 及びR 18 はそれぞれ前記と同義である)またはNR 19 R 20 (式中、R 19 及びR 20 はそれぞれ前記と同義である)である(19)記載 治療薬。
(21)R 11 が置換もしくは非置換の低級アルキル、置換 もしくは非置換の低級アルキニル、置換もし くは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは 非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置 換の低級アルコキシカルボニル、置換もしく は非置換の複素環アルキル、置換もしくは非 置換のアリール、CONR 17 R 18 (式中、R 17 及びR 18 はそれぞれ前記と同義である)またはNR 19 R 20 (式中、R 19 及びR 20 はそれぞれ前記と同義である)である(19)記載 治療薬。
(22)R 12 が置換もしくは非置換のアリールまたは置換 もしくは非置換の芳香族複素環基である(19)~( 21)のいずれかに記載の治療薬。
(23)R 12 が置換もしくは非置換のアリールである(19)~( 21)のいずれかに記載の治療薬。
(24)R 12 が置換もしくは非置換のフェニルである(19)~( 21)のいずれかに記載の治療薬。
(25)R 12 が置換もしくは非置換のフリルである(19)~(21) のいずれかに記載の治療薬。
(26)R 14 が水素原子、ヒドロキシまたはハロゲンであ る(19)~(25)のいずれかに記載の治療薬。
(27)R 13 及びR 15 が同一または異なって、水素原子、置換もし くは非置換の低級アルキル、置換もしくは非 置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換 の低級アルカノイル、置換もしくは非置換の アロイル、置換もしくは非置換の低級アルキ ルアミノカルボニル、置換もしくは非置換の ジ低級アルキルアミノカルボニル、置換もし くは非置換の低級アルコキシカルボニルまた は置換もしくは非置換の複素環カルボニルで ある(19)~(26)のいずれかに記載の治療薬。
(28)R 13 、R 14 及びR 15 が水素原子である(19)~(25)のいずれかに記載の 治療薬。

(29)プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が、 ロテアーゼ阻害剤耐性を有する造血器腫瘍 よる癌、乳癌、子宮体癌、子宮頚癌、前立 癌、膀胱癌、腎癌、胃癌、食道癌、肝癌、 道癌、大腸癌、直腸癌、膵癌、肺癌、頭頚 癌、骨肉腫、メラノーマまたは脳腫瘍によ 癌である(1)~(28)のいずれかに記載の治療薬。
(30)プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が、 ロテアーゼ阻害剤耐性を有する白血病、骨 腫またはリンパ腫である(1)~(28)のいずれかに 記載の治療薬。
(31)プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が、 ロテアーゼ阻害剤耐性を有する多発性骨髄 である(1)~(28)のいずれかに記載の治療薬。
(32)プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が、Hs p70, Hsp27またはBcl-2の発現が上昇している癌 ある(1)~(28)のいずれかに記載の治療薬。
(33)プロテアーゼ阻害剤が、プロテアーゼ阻 活性を有する抗体である(1)~(32)のいずれかに 記載の治療薬。
(34)プロテアーゼ阻害剤が、プロテアーゼ阻 活性を有する低分子化合物である(1)~(32)のい ずれかに記載の治療薬。
(35)プロテアーゼ阻害剤が、マトリックスメ ロプロテアーゼ(Matrix metalloprotease)阻害剤で る(1)~(34)のいずれかに記載の治療薬。
(36)プロテアーゼ阻害剤が、ウロキナーゼプ スミノーゲン活性化因子(Urokinase Plasminogen A ctivator)阻害剤である(1)~(34)のいずれかに記載 治療薬。
(37)プロテアーゼ阻害剤が、カテプシン(Catheps in)阻害剤である(1)~(34)のいずれかに記載の治 薬。
(38)プロテアーゼ阻害剤が、プロテアソーム(P roteasome)阻害剤である(1)~(34)のいずれかに記載 の治療薬。
(39)プロテアーゼ阻害剤が、アミノペプチダ ゼ(Aminopeptidase)阻害剤である(1)~(34)のいずれ に記載の治療薬。
(40)プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブで る(38)記載の治療薬。
(41)プロテアソーム阻害剤がMG-132である(38)記 の治療薬。

(42)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤を、それを必要とする患者に投 する工程を含む、プロテアーゼ阻害剤耐性 有する癌の治療方法。
(43)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤が(2)~(17)のいずれかに記載のベン ゾイル化合物またはその薬学的に許容される 塩である、(42)に記載の治療方法。
(44)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤が(18)に記載のベンゾイル化合物 たはその薬学的に許容される塩である、(42) に記載の治療方法。
(45)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤が(19)~(28)のいずれかに記載のベ ゼン誘導体またはその薬学的に許容される である、(42)に記載の治療方法。
(46)プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が(29)~ (32)のいずれかに記載の癌である、(42)~(45)に 載の治療方法。
(47)プロテアーゼ阻害剤が(33)~(41)のいずれか ある、(42)~(46)に記載の治療方法。

(48)プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌の治 剤の製造のための、ヒートショック蛋白質90 (Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤の使用。
(49)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤が(2)~(17)のいずれかに記載のベン ゾイル化合物またはその薬学的に許容される 塩である、(48)に記載の使用。
(50)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤が(18)に記載のベンゾイル化合物 たはその薬学的に許容される塩である、(48) に記載の使用。
(51)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤が(19)~(28)のいずれかに記載のベ ゼン誘導体またはその薬学的に許容される である、(48)に記載の使用。
(52)プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌が(29)~ (32)のいずれかに記載の癌である、(48)~(51)に 載の使用。
(53)プロテアーゼ阻害剤が(33)~(41)のいずれか ある、(48)~(52)に記載の使用。

(54)ヒートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー 白質阻害剤として、(2)~(28)のいずれかに記載 のベンゾイル化合物もしくはベンゼン誘導体 またはその薬学的に許容される塩を有効成分 として含有する、Hsp70, Hsp27またはBcl-2の発現 が上昇している癌の治療薬。
(55)(2)~(28)のいずれかに記載のベンゾイル化合 物もしくはベンゼン誘導体またはその薬学的 に許容される塩を有効成分として含有するヒ ートショック蛋白質90(Hsp90)ファミリー蛋白質 阻害剤を、それを必要とする患者に投与する 工程を含む、Hsp70, Hsp27またはBcl-2の発現が上 昇している癌の治療方法。
(56)Hsp70, Hsp27またはBcl-2の発現が上昇してい 癌の治療剤の製造のための、(2)~(28)のいずれ かに記載のベンゾイル化合物もしくはベンゼ ン誘導体またはその薬学的に許容される塩を 有効成分として含有するヒートショック蛋白 質90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤の使用。

 本発明により、Hsp90ファミリー蛋白質阻 剤を有効成分として含有する、プロテアー 阻害剤耐性を有する癌の治療薬等が提供さ る。

図1は、KMS-11及びKMS-11/Borに対するMG-132 増殖阻害効果を示す。縦軸は生細胞の% contr olを示す。横軸は化合物濃度を示す。○はKMS- 11細胞に対する増殖阻害効果を、●はKMS-11/Bor に対する増殖阻害効果を示す。 図2は、KMS-11及びKMS-11/Borに対するボル ゾミブの増殖阻害効果を示す。縦軸は生細 の% controlを示す。横軸は化合物濃度を示す ○はKMS-11細胞に対する増殖阻害効果を、● KMS-11/Borに対する増殖阻害効果を示す。 図3は、KMS-11及びKMS-11/Borに対する17-AAG 増殖阻害効果を示す。縦軸は生細胞の% contr olを示す。横軸は化合物濃度を示す。○はKMS- 11細胞に対する増殖阻害効果を、●はKMS-11/Bor に対する増殖阻害効果を示す。 図4は、KMS-11及びKMS-11/Borに対する化合 22の増殖阻害効果を示す。縦軸は生細胞の%  controlを示す。横軸は化合物濃度を示す。○ KMS-11細胞に対する増殖阻害効果を、●はKMS-1 1/Borに対する増殖阻害効果を示す。 図5は、OPM-2及びOPM-2/Borに対するMG-132の 殖阻害効果を示す。縦軸は生細胞の% control を示す。横軸は化合物濃度を示す。○はOPM-2 胞に対する各化合物の増殖阻害効果を、● OPM-2/Borに対する増殖阻害効果を示す。 図6は、OPM-2及びOPM-2/Borに対するボルテ ミブの増殖阻害効果を示す。縦軸は生細胞 % controlを示す。横軸は化合物濃度を示す。 ○はOPM-2細胞に対する各化合物の増殖阻害効 を、●はOPM-2/Borに対する増殖阻害効果を示 。 図7は、OPM-2及びOPM-2/Borに対する17-AAGの 殖阻害効果を示す。縦軸は生細胞の% control を示す。横軸は化合物濃度を示す。○はOPM-2 胞に対する各化合物の増殖阻害効果を、● OPM-2/Borに対する増殖阻害効果を示す。 図8は、OPM-2及びOPM-2/Borに対する化合物2 2の増殖阻害効果を示す。縦軸は生細胞の% co ntrolを示す。横軸は化合物濃度を示す。○はO PM-2細胞に対する各化合物の増殖阻害効果を ●はOPM-2/Borに対する増殖阻害効果を示す。 図9は、OPM-2/Bor細胞移植マウスモデルに おける化合物22とボルテゾミブの抗腫瘍効果 示す。縦軸は0日目の腫瘍体積をV0としたと の腫瘍体積変化の比(V/V0)を示す。横軸は日 を示す。●は試験化合物非投与、▲はボル ゾミブ1 mg/kg投与、△はボルテゾミブ0.5 mg/ kg投与、◆は化合物22 100 mg/kg投与、◇は化 物22 50 mg/kg投与における増殖阻害効果を示 。 図10は、OPM-2及びOPM-2/BorにおけるHsp70、 Hsp27、Bcl-2及びβ-Actinの発現量を示す。

 以下、式(I)、(IA)及び(II)で表される化合物 化合物(I)、(IA)及び(II)という。他の式番号の 化合物についても同様である。
 式(I)、(IA)及び(II)の各基の定義において、
 低級アルキル、低級アルコキシ、低級アル キシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ 級アルキルアミノ、低級アルキルアミノカ ボニル、ジ低級アルキルアミノカルボニル び低級アルキルスルホニルの低級アルキル 分としては、例えば直鎖または分枝状の炭 数1~8のアルキルが挙げられ、具体的にはメ ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブ ル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イ ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプ ル、オクチル等が挙げられる。ジ低級アル ルアミノ及びジ低級アルキルアミノカルボ ルにおける2個の低級アルキル部分は同一で も異なっていてもよい。

 低級アルケニルとしては、例えば直鎖また 分枝状の炭素数2~8のアルケニルが挙げられ 具体的にはビニル、アリル、1-プロペニル メタクリル、クロチル、1-ブテニル、3-ブテ ル、2-ペンテニル、4-ペンテニル、2-ヘキセ ル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテ ル等が挙げられる。
 低級アルキニルとしては、例えば直鎖また 分枝状の炭素数2~8のアルキニルが挙げられ 具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニ 、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、 クチニル等が挙げられる。

 低級アルカノイル及び低級アルカノイルオ シの低級アルカノイル部分としては、例え 直鎖または分枝状の炭素数1~7のアルカノイ が挙げられ、具体的にはホルミル、アセチ 、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘ サノイル、ヘプタノイル等が挙げられる。
 シクロアルキルとしては、例えば炭素数3~8 シクロアルキルが挙げられ、具体的にはシ ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ 、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シク オクチル等が挙げられる。

 アリール、アリールスルホニル、アリール キシ及びアロイルのアリール部分としては 例えば炭素数6~14の単環式、二環式または三 環式のアリールが挙げられ、具体的にはフェ ニル、インデニル、ナフチル、アントリル等 が挙げられる。
 アラルキルとしては、例えば炭素数7~15のア ラルキルが挙げられ、具体的にはベンジル、 フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチ ル等が挙げられる。

 芳香族複素環基としては、例えば窒素原 、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる少な とも1個の原子を含む5員または6員の単環性 香族複素環基、3~8員の環が縮合した二環ま は三環性で窒素原子、酸素原子及び硫黄原 から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮 環性芳香族複素環基等が挙げられ、具体的に はピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピ リダジニル、キノリニル、イソキノリニル、 フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニ ル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリ ル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリ ル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チア ゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダ ゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリア ゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾ リル、プリニル、ベンゾジオキソラニル等が 挙げられる。

 複素環基、複素環アルキル、複素環アル ルオキシ及び複素環カルボニルの複素環基 分としては、例えば前記芳香族複素環基の 義で挙げた基に加え、脂環式複素環基が挙 られる。脂環式複素環基としては、例えば 素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれ 少なくとも1個の原子を含む5員または6員の 環性脂環式複素環基、3~8員の環が縮合した 環または三環性で窒素原子、酸素原子及び 黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を 含む縮環性脂環式複素環基等が挙げられ、具 体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラ ジニル、ピペラジニル、モルホリノ、モルホ リニル、チオモルホリノ、チオモルホリニル 、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、ホモ ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テ トラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキ ノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒ ドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニル、オ キソピペラジニル、2-オキソピロリジニル、 キソラニル、ジオキソラニル等が挙げられ 。

 隣接する窒素原子と一緒になって形成さ る複素環基としては、例えば少なくとも1個 の窒素原子を含む5員または6員の単環性複素 基(該単環性複素環基は、他の窒素原子、酸 素原子または硫黄原子を含んでいてもよい) 3~8員の環が縮合した二環または三環性で少 くとも1個の窒素原子を含む縮環性複素環基( 該縮環性複素環基は、他の窒素原子、酸素原 子または硫黄原子を含んでいてもよい)等が げられ、具体的にはピロリジニル、ピペリ ノ、ピペラジニル、モルホリノ、チオモル リノ、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキ リニル、テトラヒドロイソキノリニル、オ ソピペラジニル、2-オキソピロリジニル等が 挙げられる。

 複素環アルキル及び複素環アルキルオキシ アルキレン部分は、前記低級アルキルの定 から水素原子を1つ除いたものと同義である 。
 ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素 各原子を意味する。
 置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、 換低級アルコキシカルボニル、置換低級ア キルアミノカルボニル、低級アルキル(置換 低級アルキル)アミノカルボニル、ジ置換低 アルキルアミノカルボニル、置換低級アル ルスルホニル、置換低級アルケニル及び置 低級アルキニルにおける置換基(A)としては 同一または異なって、例えば置換数1~3のヒ ロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボ シ、アミノ、ハロゲン、置換もしくは非置 の低級アルコキシ、シクロアルキル、低級 ルカノイル、低級アルコキシカルボニル、 級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ ヒドロキシ低級アルキルアミノカルボニル が挙げられる。置換基の置換位置は、特に 定されない。ここでハロゲン、低級アルコ シ、シクロアルキル、低級アルカノイル、 級アルコキシカルボニル、低級アルキルア ノ及びジ低級アルキルアミノは、それぞれ 記と同義である。ヒドロキシ低級アルキル ミノカルボニルのアルキレン部分は、前記 級アルキルの定義から水素原子を1つ除いた のと同義である。置換低級アルコキシにお る置換基としては、同一または異なって、 えば置換数1~3のヒドロキシ、ハロゲン等が げられ、該ハロゲンは前記と同義である。 低級アルキルアミノにおける2個の低級アル キル部分は同一でも異なっていてもよい。

 置換低級アルカノイル、置換低級アルカ イルオキシ、置換シクロアルキル、置換ア ール、置換アリールスルホニル、置換アリ ルオキシ、置換アラルキル、置換アロイル 置換フェニル、置換複素環基、置換複素環 ルキル、置換フリル、置換複素環カルボニ 、置換芳香族複素環基及び隣接する窒素原 と一緒になって形成される置換複素環基に ける置換基(B)としては、同一または異なっ 、例えば置換数1~3のヒドロキシ、ハロゲン ニトロ、シアノ、アミノ、カルボキシ、カ バモイル、置換もしくは非置換の低級アル ル、置換もしくは非置換の低級アルケニル 低級アルキルアミノカルボニル、ジ低級ア キルアミノカルボニル、置換もしくは非置 の低級アルコキシ、アラルキルオキシ、低 アルキルスルホニル、低級アルキルスルフ ニル、低級アルキルチオ、アリールオキシ シクロアルキル、低級アルコキシカルボニ 、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルア ノ、低級アルカノイル、複素環基、置換も くは非置換のアリール、置換もしくは非置 の複素環アルキルオキシ、置換もしくは非 換の複素環カルボニルアルキルオキシ等が げられる。置換基の置換位置は、特に限定 れない。ここでハロゲン、低級アルキル、 級アルケニル、低級アルキルアミノカルボ ル、ジ低級アルキルアミノカルボニル、低 アルコキシ、アリールオキシ、シクロアル ル、低級アルコキシカルボニル、低級アル ルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級ア カノイル、複素環基及びアリールは、それ れ前記と同義であり、低級アルキルスルホ ル、低級アルキルスルファニル及び低級ア キルチオの低級アルキル部分は前記低級ア キルと同義であり、アラルキルオキシのア ルキル部分は前記アラルキルと同義であり 複素環アルキルオキシ及び複素環カルボニ アルキルオキシの複素環基部分ならびにア キレン部分はそれぞれ前記複素環基ならび 前記低級アルキルの定義から水素原子を1つ 除いたものと同義である。置換低級アルキル 、置換低級アルケニル、置換低級アルコキシ 及び置換アリールにおける置換基としては、 同一または異なって、例えば置換数1~3のヒド ロキシ、カルボキシ、低級アルカノイル、ハ ロゲン、低級アルコキシ、シアノ、低級アル キルアミノ、ジ低級アルキルアミノ(ジ低級 ルキルアミノにおける2個の低級アルキル部 は同一でも異なっていてもよい)等が挙げら れ、該ハロゲン、低級アルカノイル、低級ア ルコキシ、低級アルキルアミノ及びジ低級ア ルキルアミノはそれぞれ前記と同義である。 置換複素環アルキルオキシ及び置換複素環カ ルボニルアルキルオキシにおける置換基とし ては、同一または異なって、例えば置換数1~3 のヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低 級アルコキシ、複素環基等が挙げられ、ここ で示したハロゲン、低級アルキル、低級アル コキシ及び複素環基はそれぞれ前記と同義で ある。

 化合物(I)、(IA)及び(II)の薬学的に許容され 塩は、例えば薬学的に許容される酸付加塩 金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加 、アミノ酸付加塩等を包含する。
 化合物(I)、(IA)及び(II)の薬学的に許容され 酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩 硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、 レイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩等の 機酸塩が挙げられ、薬学的に許容される金 塩としては、例えばナトリウム塩、カリウ 塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、 ルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アル ニウム塩、亜鉛塩等が挙げられ、薬学的に 容されるアンモニウム塩としては、例えば ンモニウム、テトラメチルアンモニウム等 塩が挙げられ、薬学的に許容される有機ア ン付加塩としては、例えばモルホリン、ピ リジン等の付加塩が挙げられ、薬学的に許 されるアミノ酸付加塩としては、例えばグ シン、フェニルアラニン、リジン、アスパ ギン酸、グルタミン酸等の付加塩が挙げら る。

 化合物(I)、(IA)及び(II)の塩を取得したい場 には、化合物(I)、(IA)及び(II)が塩の形で得ら れるときはそのまま精製すればよく、また遊 離の形で得られるときは適当な溶媒に化合物 (I)、(IA)及び(II)を溶解または懸濁し、酸また 塩基等を加え塩を形成させればよい。
 化合物(I)、(IA)及び(II)には、位置異性体、 何異性体または光学異性体等の異性体が存 し得るが、可能な異性体及び該異性体のい なる比率における混合物も本発明の治療薬 して用いることができる。

 また、化合物(I)、(IA)、(II)、ならびにそれ の薬学的に許容される塩は、水または各種 媒との付加物の形で存在することもあるが それら付加物も本発明の治療薬として用い ことができる。
 Hsp90ファミリー蛋白質阻害とは、Hsp90ファミ リー蛋白質とHsp90ファミリー蛋白質が結合す 蛋白質(Hsp90 client protein)との結合を阻害す ことを意味する。

 Hsp90ファミリー蛋白質としては、例えばHsp90 α蛋白質、Hsp90β蛋白質、grp94、Hsp75/TRAP1等が げられる。
 Hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質は Hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質であ ればいずれでもよいが、例えばEGF受容体、Erb -B2、Bcr-Abl、src、raf-1、AKT、Flt-3、PLK、Wee1、FAK 、cMET、hTERT、HIF1-α、変異p53、エストロゲン 容体、アンドロゲン受容体等が挙げられる[E xpert Opinion on Biological Therapy、第2巻、3-24頁( 2002)]。

 Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤としては、例 ばラディシコール(Radicicol)、ゲルダナマイシ ン(Geldanamycin)、17-AAG、ハービマイシン(Herbimyci n)A、ノボビオシン(Novobiocin)、化合物(I)、(IA) (II)等が挙げられる。
 Hsp70ファミリー蛋白質は、分子量約70 kDaのH spの総称であり、例えばHsp70、Hsc70、Bip/Grp78、 mtHsp70等が挙げられる。

 Hsp27ファミリー蛋白質は、分子量27 kDa付近 Hspの総称であり、Hsp27蛋白質は、低分子のHs pの一つである。
 Bcl-2ファミリー蛋白質は、アポトーシスの 御に主要な役割を果たす蛋白質群である。
 多くの癌治療剤において、長期の投薬によ 癌細胞が、その癌治療剤に対して耐性を獲 することが知られている。治療初期に認め れた効果が持続的な投薬によって低下する また、再発した場合に効果が認められなく る、といった現象がしばしば観察される。 って、例えばプロテアーゼ阻害剤耐性の多 性骨髄腫を始め、抗腫瘍剤耐性の癌に効果 示す治療薬が必要とされている。

 プロテアーゼ(蛋白質分解酵素)は、蛋白質 ペプチドのペプチド結合を加水分解する酵 のことで、様々な生理作用を有することが られている。
 プロテアーゼ阻害剤には、例えばマトリッ スメタロプロテアーゼ阻害剤、ウロキナー プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、カテ シン阻害剤、プロテアソーム阻害剤、アミ ペプチダーゼ阻害剤等が含まれる。

 マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 しては、例えばBatimastat(BB-94)、Ilomastat(GM-6001 )、Marimastat(BB-2516)、Tanomastat(BAY-12-9566)、Prinomas tat(AG-3340)、Metastat(COL-3)、Neovastat(AE-941)、BMS-275 291、MMI-270B(CGS-27023A)、Trocade(Ro-32-3555)、MMI-166 が挙げられる[Nature Reviews Cancer、6巻、227頁( 2006年)]。

 ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子 害剤としては、例えばWX-771(WO2007/025718)、WX-6 71[Expert Opinion on Biological Therapy、6巻、257頁( 2006年)]、WX-UK-1[Neoplasma、52巻、185頁(2005年)]、B -428[Neoplasma、52巻、185頁(2005年)]等が挙げられ 。
 カテプシン阻害剤としては、例えばAFG-495[AA CR Annual Meeting、要旨2910(2005)]、E-64、CA030、CA0 74、NS-134、CLIK148[E-64、CA030、CA074、NS-134及びCLI K148の参考文献:Biochemical Journal、381巻、511頁(2 004年)]等が挙げられる。

 プロテアソーム阻害剤[European Journal of C ancer、42巻、1623頁(2006年)]としては、例えばボ ルテゾミブ、MG-132、carfilzomib(PR-171、US2005/02454 35)、NPI-0052[British Journal of Cancer、95巻、961頁 (2006年)]、SC-68896(WO2007/017284)、tyropeptin A、TP-11 0、TP-104(WO2005/105826)、belactosin誘導体[Biochemical Pharmacology、67巻、227頁(2004年)]等が挙げられ 。

 アミノペプチダーゼ阻害剤としては、例え ubenimex(Bestatin)、TNP-470[Angiogenesis、7巻、91頁(2 004年)]、PPI-2458[Clinical Cancer Research、12巻、258 3頁(2006年)]、CHR-2797[Proceedings of the American So ciety for Clinical Oncology、25巻、要旨3053(2006年) ]等が挙げられる。
 本発明で用いられる化合物(I)及び(IA)または それらの薬学的に許容される塩は、例えばWO2 005/000778記載の方法により合成することがで る。

 本発明で用いられる化合物(II)またはその薬 学的に許容される塩は、例えばWO2005/063222記 の方法により合成することができる。
 以下の表1及び表2に本発明で用いられる化 物の具体例を示すが、本発明はそれらに限 されるものではない。なお、以下の表にお て、Phはフェニルを表す。
 表1記載の化合物1~22はWO2005/000778記載の方法 より合成することができる。一方、表2記載 の化合物23~37はWO2005/063222記載の方法により合 成することができる。

 本発明の治療薬は、プロテアーゼ阻害剤 性を有する癌の治療に対して用いることが き、例えばプロテアーゼ阻害剤耐性を有す 、造血器腫瘍による癌(例えば急性骨髄性白 血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血 病、慢性リンパ性白血病等の白血病、多発性 骨髄腫等の骨髄腫、リンパ腫等)、乳癌、子 体癌、子宮頚癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌 胃癌、食道癌、肝癌、胆道癌、大腸癌、直 癌、膵癌、肺癌、頭頚部癌、骨肉腫、メラ ーマまたは脳腫瘍による癌の治療に用いる とができる。中でも、プロテアーゼ阻害剤 性を有する白血病、骨髄腫、リンパ種等の 療に用いるのが好ましい。

 一方、本発明の治療薬は、Hsp70、Hsp27また はBcl-2の発現が上昇している癌の治療に対し 用いることができ、好ましくは、プロテア ゼ阻害剤耐性を有する癌で、且つHsp70、Hsp27 またはBcl-2の発現が上昇している癌の治療に いることができる。さらに、好ましくは、H sp70、Hsp27またはBcl-2の発現が上昇している多 性骨髄腫等の治療に用いることができる。

 本発明において、培養細胞株を用いてプロ アーゼ阻害耐性を有する癌に有効な医薬組 物を評価することができる。または、培養 胞株を用いてHsp70、Hsp27またはBcl-2の発現が 昇している癌に有効な医薬組成物を評価す ことができる。
 本発明における培養細胞株は、例えば、KMS- 11細胞及びOPM-2細胞に、プロテアーゼ阻害剤 性を獲得させた細胞等が挙げられる。KMS-11 胞、OPM-2細胞はヒト多発性骨髄腫の患者由来 の細胞であり、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures等の公的セルバンク、各種研 機関等から、または市販品として入手でき 。KMS-11細胞及びOPM-2細胞の培養液に、プロ アーゼ阻害剤であるボルテゾミブを添加し 、持続的に培養することによりプロテアー 阻害剤耐性を獲得させた、KMS-11/Bor及びOPM-2/B orの細胞株が得られた。プロテアーゼ阻害剤 性を獲得したKMS-11/Bor細胞、OPM-2/Bor細胞は、 プロテアーゼ阻害剤耐性癌のモデルになりう るものであり、さらに好ましくは、プロテア ーゼ阻害剤耐性の多発性骨髄腫のモデルにな りうるものである。

 本発明の医薬組成物の効果は、in vitro細 増殖阻害活性を測定することによって、ま は動物モデルを用いたin vivo抗腫瘍活性を 定することによって調べることができる。in  vitro細胞増殖阻害活性の測定方法としては 抗腫瘍剤耐性の癌細胞株を用いた、例えば ロテアーゼ阻害剤耐性の癌細胞を用いた実 を挙げることができる。動物モデルを用い in vivo抗腫瘍活性を測定する試験としては、 ヌードマウス等の免疫不全マウスに抗腫瘍剤 耐性の癌細胞株を移植した、例えばプロテア ーゼ阻害剤耐性を有する癌細胞を移植したモ デルが挙げられる。

 本発明において、プロテアーゼ阻害剤耐 を有する、癌組織由来の培養細胞株を用い 、Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤のin vitro細 増殖阻害活性を評価することで、または、 物モデルを用いてHsp90ファミリー蛋白質阻害 剤を投与して評価することで、プロテアーゼ 阻害耐性を有する癌に有用なHsp90ファミリー 白質阻害剤の医薬組成物をスクリーニング て、選択することができる。

 本発明において、Hsp70、Hsp27またはBcl-2の 現が上昇している、癌組織由来の培養細胞 を用いて、Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤のin  vitro細胞増殖阻害活性を評価することで、 たは、動物モデルを用いてHsp90ファミリー蛋 白質阻害剤を投与して評価することで、Hsp70 Hsp27またはBcl-2の発現が上昇している癌に有 用なHsp90ファミリー蛋白質阻害剤の医薬組成 をスクリーニングして、選択することがで る。

 化合物(I)、(IA)、(II)またはそれらの薬学的 許容される塩は、そのまま単独で投与する とも可能であるが、通常各種の医薬製剤と て提供するのが望ましい。
 本発明の治療薬は、活性成分として化合物( I)、(IA)、(II)またはそれらの薬学的に許容さ る塩を単独で、あるいは任意の他の治療の めの有効成分との混合物として含有するこ ができる。また、それら医薬製剤は、活性 分を薬学的に許容される一種もしくはそれ 上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分 においてよく知られている任意の方法によ 製造される。

 投与経路としては、治療に際し最も効果的 ものを使用するのが望ましく、経口または 例えば静脈内等の非経口を挙げることがで る。
 これら製剤は、それぞれ有効成分の他に製 学的に許容される希釈剤、賦形剤、崩壊剤 滑沢剤、結合剤、界面活性剤、水、生理食 水、植物油、可溶化剤、等張化剤、保存剤 抗酸化剤等を用いて常法により作成するこ ができる。

 錠剤の調製にあたっては、例えば乳糖等の 形剤、澱粉等の崩壊剤、ステアリン酸マグ シウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセ ロース等の結合剤、脂肪酸エステル等の界 活性剤、グリセリン等の可塑剤等を常法に って用いればよい。
 注射剤の調製にあたっては、水、生理食塩 、植物油、溶剤、可溶化剤、等張化剤、保 剤、抗酸化剤等を常法により用いればよい

 化合物(I)、(IA)及び(II)またはそれらの薬学 に許容される塩は、上記の目的で用いる場 、通常、経口的、または注射剤等として非 口的に投与可能であり、その有効容量及び 与回数は投与形態、患者の年齢、体重、症 等により異なるが、通常一日当たり、0.01~20 mg/kgを投与するのが好ましい。
 続いて、本発明の治療薬の効果について以 の試験例により具体的に説明する。なお、 下の試験例において、試験化合物としては プロテアーゼ阻害剤であるボルテゾミブとM G-132を、Hsp90阻害剤の17-AAGと化合物22を用いた 。化合物22のHsp90阻害活性は、WO2005/000778に記 されている。

試験例1:ボルテゾミブ耐性を獲得 たKMS-11細胞、OPM-2細胞の作製
 KMS-11細胞を、10%牛胎児血清(FCS)を含むRPMI1640 培地中で5×10 4 細胞/mLの濃度に懸濁して、5%炭酸ガスインキ ベーター内で37 ℃にて培養した。ボルテゾ ミブを最終濃度5 nmol/Lになるように添加して 培養を継続した。細胞の生存が確認され、順 調に増殖している細胞が確認できたなら、5× 10 4 細胞/mLの濃度に細胞を懸濁して、ボルテゾミ ブを10 nmol/Lになるように添加して培養を継 した。その後、細胞の生存が確認され、順 に増殖している細胞が確認できたなら、段 的にボルテゾミブの濃度を濃くしながら培 ・継代を繰り返し、100 nmol/Lの濃度で増殖可 能なボルテゾミブ耐性のKMS-11細胞を造成した 。以下、作製された細胞を「KMS-11/Bor」と呼 。

 OPM-2細胞を、10%牛胎児血清(FCS)を含むRPMI1640 地中で5×10 4 細胞/mLの濃度に懸濁して、5%炭酸ガスインキ ベーター内で37 ℃にて培養した。ボルテゾ ミブを最終濃度2.5 nmol/Lになるように添加し 培養を継続した。細胞の生存が確認され、 調に増殖している細胞が確認できたなら、 ルテゾミブを3.75 nmol/Lになるように添加し 培養を継続した。その後、細胞の生存が確 され、順調に増殖している細胞が確認でき なら、段階的にボルテゾミブの濃度を濃く ながら培養・継代を繰り返し、15 nmol/Lの濃 度で増殖可能なボルテゾミブ耐性のOPM-2細胞 造成した。以下、作製された細胞を「OPM-2/B or」と呼ぶ。

試験例2:KMS-11及びKMS-11/Borに対する 増殖阻害試験
 96穴マイクロプレート(ヌンク社製)中に、10% FCSを含むRPMI1640培地(以下、培地)で5×10 4 個/mLに懸濁したKMS-11またはKMS-11/Borの細胞溶 を90 μL/wellずつ播種し、また、ブランクと て培地を100 μL/wellずつ添加し、5%炭酸ガス ンキュベーター内で5時間培養した。

 試験化合物を段階的に希釈し、最終処理 度の10倍濃度の薬剤希釈液を調製し、10 μL/ wellずつ添加した(1濃度につきn=3)。コントロ ルについては、薬剤を含まない培地を10 μL/ wellずつ添加した。コントロール及びブラン についてn=8で実験を行った。薬剤を添加し から72時間培養後、生存細胞数をCell Prolifera tion Reagent WST-1(WST-1試薬、Roche Diagnostics)を用 いて測定した。WST-1試薬を、各プレートに10  μL/wellずつ添加した。炭酸ガスインキュベー ー内で、2時間培養後、プレートミキサーで 攪拌し、マイクロプレート分光光度計(モレ ュラーデバイス社製、SPECTRAmax340PC-384)を用い 、450 nmと655 nmの吸光度を測定し、各ウェル つき450 nmの吸光度から655 nmの吸光度を減 た値(差吸光度)を算出した。さらに差吸光度 からブランクの差吸光度を減じて、生細胞数 に相当する吸光度を算出した。

 IC 50 の算出方法を以下に記す。試験化合物未処理 のウェルで得られた生細胞数に相当する吸光 度を100%とし、試験化合物を処理したウェル 得られた吸光度を相対値(% control)で表した これらの数値を用いて、生細胞数のIC 50 (生細胞数をコントロールの50%にまで減少さ る濃度)を算出した。また、試験化合物を処 して得られた各薬剤濃度の% controlを図1~4に 示した。各試験化合物のIC 50 を表3に示した。さらに、各試験化合物のボ テゾミブ耐性度として、KMS-11/Borに対するIC 50 を、KMS-11のIC 50 で除した値(IC 50 ratio)を表3に示した。

 ボルテゾミブ及びMG-132のIC 50  ratioは21及び7.7であり、明らかにKMS-11/Borに して増殖阻害効果の低下が認められた。一 、17-AAG及び化合物22のIC 50 ratioは0.76及び0.96であり、KMS-11/Borに対して増 阻害効果の低下が認められなかった。
 以上より、Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤は プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌の治療 有用であることが明らかとなった。

試験例3:OPM-2及びOPM-2/Borに対する 殖阻害試験
 96穴マイクロプレート(ヌンク社製)中に、10% FCSを含むRPMI1640培地(以下、培地)で5×10 4 個/mLに懸濁したOPM-2またはOPM-2/Borの細胞溶液 90 μL/wellずつ播種し、また、ブランクとし 培地を100 μL/wellずつ添加し、5%炭酸ガスイ キュベーター内で5時間培養した。

 試験化合物を段階的に希釈し、最終処理 度の10倍濃度の薬剤希釈液を調製し、10 μL/ wellずつ添加した(1濃度につきn=3)。コントロ ルについては、薬剤を含まない培地を10 μL/ wellずつ添加した。コントロール及びブラン についてn=8で実験を行った。薬剤を添加し から72時間培養後、生存細胞数をCell Prolifera tion Reagent WST-1(WST-1試薬、Roche Diagnostics)を用 いて測定した。WST-1試薬を、各プレートに10  μL/wellずつ添加した。炭酸ガスインキュベー ー内で、2時間培養後、プレートミキサーで 攪拌し、マイクロプレート分光光度計(モレ ュラーデバイス社製、SPECTRAmax340PC-384)を用い 、450 nmと655 nmの吸光度を測定し、各ウェル つき450 nmの吸光度から655 nmの吸光度を減 た値(差吸光度)を算出した。さらに差吸光度 からブランクの差吸光度を減じて、生細胞数 に相当する吸光度を算出した。

 IC 50 の算出方法を以下に記す。試験化合物未処理 のウェルで得られた生細胞数に相当する吸光 度を100%とし、試験化合物を処理したウェル 得られた吸光度を相対値(% control)で表した これらの数値を用いて、生細胞数のIC 50 (生細胞数をコントロールの50%にまで減少さ る濃度)を算出した。また、試験化合物を処 して得られた各薬剤濃度の% controlを図5~8に 示した。各試験化合物のIC 50 を表4に示した。さらに、各試験化合物のボ テゾミブ耐性度として、OPM-2/Borに対するIC 50 を、OPM-2のIC 50 で除した値(IC 50 ratio)を表4に示した。

 ボルテゾミブ及びMG-132のIC 50  ratioは28及び16であり、明らかにOPM-2/Borに対 て増殖阻害効果の感受性の低下が認められ 。一方、17-AAG及び化合物22のIC 50 ratioは1.1及び1.4であり、OPM-2/Borに対して感受 の低下が認められなかった。
 以上より、Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤は プロテアーゼ阻害剤耐性を有する癌の治療 有用であることが明らかとなった。

試験例4:OPM-2/Bor細胞移植マウスモ ルにおける抗腫瘍効果
 癌細胞移植前日にFox C.B-17/Icr-scidJclマウス( 本クレア)に抗アシアロGM1抗体を0.3 mg/マウ ずつ腹腔内投与した。OPM-2/Bor細胞は、10%FCS 含むRPMI1640培地中、5%炭酸ガスインキュベー ター内で37 ℃にて培養し増殖させ、マウス1 あたり1×10 7 細胞にて腹側皮下に移植した。移植18日後に ギスにて皮下で増殖した腫瘍の長径・短径 測定し、以下の式に従って腫瘍体積を求め 。

 同時に各マウスの体重も測定し、平均腫瘍 積と平均体重が均一になるように1群5匹ず 以下のような投与群に分け、この日を投与 験開始0日として投与を開始した。
 化合物22は生理食塩水(大塚製薬社製)に10及 5 mg/mLの濃度で溶解させ、投与開始0から4日 目まで連日1日2回、マウス体重1 gあたりそれ ぞれ0.01 mL(100及び50 mg/kgに相当)の用量で、 静脈より静脈内投与した。

 ボルテゾミブは生理食塩水に0.1及び0.05 mg/m Lの濃度で溶解させ、投与開始0、3、7及び10日 目にそれぞれ1日1回、マウス体重1 gあたりそ れぞれ0.01 mL(1及び0.5 mg/kgに相当)の用量で、 尾静脈より静脈内投与した。ボルテゾミブの 用量と投与スケジュールは、マウスモデルで ボルテゾミブの抗腫瘍効果について報告され ている論文情報を参考に、ボルテゾミブが著 効を示した用量とスケジュールを選択した[Ca ncer Research、第62巻、4996-5000頁(2002)]
A. 陰性対照群(Control):試験化合物非投与
B. ボルテゾミブ投与群:1 mg/kg(1日1回/0、3、7 10日目に投与)
C. ボルテゾミブ投与群:0.5 mg/kg(1日1回/0、3、 7、10日目に投与)
D. 化合物22投与群:100 mg/kg(1日2回×5日間)
E. 化合物22投与群:50 mg/kg(1日2回×5日間)
 0日目以降、週に2回腫瘍体積の測定を行っ 。抗腫瘍効果の判定は各群の腫瘍体積の平 値を算出し、0日目の腫瘍体積をV0としたと の腫瘍体積変化(V/V0)の比較で行った。経日 定した各群のV/V0を図9に示す。

 図9に示したように、化合物22は、用量依存 に強い増殖抑制効果を示すと共に、腫瘍縮 効果も示した。一方、ボルテゾミブは明ら な増殖抑制効果を示さなかった。すなわち Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤である化合物22 は、ボルテゾミブが無効である細胞移植マウ スモデルにおいて高い抗腫瘍効果を有してい た。
 14日目の各群のV/V0を陰性対照群のV/V0で除し た値(T/C)を表5に示す。化合物22投与群のT/Cは D群で0.092、E群で0.24であり、腫瘍増殖を有 に抑制した。ボルテゾミブ投与群のT/Cは、B で0.85、C群で1.0であり、陰性対照群と同等 あった。

 以上より、Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤 、プロテアーゼ耐性を有する癌の治療に有 であることが明らかとなった。

試験例5:OPM-2およびOPM-2/Borにおけ Hsp70、Hsp27、Bcl-2及びβ-Actinの発現量の比較試 験
 6穴マイクロプレート(コーニングインター ショナル社製)中に、10%FCSを含むRPMI1640培地( 下、培地)で2×10 5 個/mLに懸濁したOPM-2またはOPM-2/Borの細胞溶液 2 mL/wellずつ播種し、5%炭酸ガスインキュベ ター内で24時間培養した。細胞を沈殿物と て回収したあと、1%protease inhibitor cocktail(シ グマアルドリッチ社製)及び1 mmol/Lフッ化フ ニルメチルスルホニル(PMSF)を含むNP40 cell ly sis buffer(インビトロージェン社製)を用い、 上において細胞を30分間溶解させた後、15000G で10分間遠心した。得られた上清の蛋白質濃 を測定し、各レーンあたり同一蛋白質量に るよう試料を調製した後、SDS-PAGEにより蛋 質の分離を行なった。分離された蛋白質試 は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜(ミリポア )に移した後、1次抗体として、抗Hsp70抗体(SP A-810、アッセイデザイン社製)、抗Hsp27抗体 (# 2402、セルシグナリングテクノロジー社製)、 Bcl-2抗体(sc-509、サンタクルズバイオテクノ ジー社製)または抗β-Actin抗体(AC-15、シグマ ルドリッチ社製)を加え、膜上の蛋白質と反 応させた。その後、2次抗体として、それぞ の1次抗体と反応する西洋ワサビペルオキシ ーゼ(Horseradish Peroxidase)標識2次抗体(抗ウサ Ig抗体、または抗マウスIg抗体、GEヘルスケ バイオサイエンス社製)を反応させた。検出 はECL試薬(No. 34080、ピアスバイオテクノロジ 社製)を用いて行ない、X線フィルム上で得 れたバンドを検分し、OPM-2およびOPM-2/Borで発 現しているHsp70、Hsp27、Bcl-2及びβ-Actinの蛋白 量を比較した。結果を図10に示す。図10によ れば、両細胞株間でβ-Actinの発現量に差はな が、OPM-2に比べ、OPM-2/Borにおいて、Hsp70、Hsp 27及びBcl-2の発現量が上昇していることが明 かとなった。これら蛋白質の発現上昇が、 ルテゾミブ耐性に寄与していると考えられ 。

 以上の結果より、本発明の治療薬は、Hsp7 0、Hsp27及びBcl-2の発現が上昇した癌の治療に 効であることが明らかとなった。さらに、H sp90ファミリー蛋白質阻害剤はプロテアーゼ 害剤耐性を有し、Hsp70、Hsp27及びBcl-2の発現 上昇した癌の治療に有効であることが明ら となった。

製剤例1(錠剤)
 常法により、次の組成からなる錠剤を調製 る。
化合物1          5 mg
乳糖            60 mg
馬鈴薯澱粉         30 mg
ポリビニルアルコール    2 mg
ステアリン酸マグネシウム  1 mg
タール色素         微量

製剤例2(注射剤)
 常法により、次の組成からなる注射剤を調 する。
化合物17          2 mg
D-マンニトール       10 mg
塩酸水溶液         適量
水酸化ナトリウム水溶液   適量
注射用蒸留水        適量

 本発明により、Hsp90ファミリー蛋白質阻 剤を有効成分として含有する、プロテアー 阻害剤耐性を有する癌の治療薬等が提供さ る。