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Title:
PROPHYLACTIC/AMELIORATING OR THERAPEUTIC AGENT FOR NON-ALCOHOLIC STEATOHEPATITIS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154230
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a safe and highly effective prophylactic/ameliorating or therapeutic agent for NASH; and use of the agent.  The prophylactic/ameliorating or therapeutic agent for NASH comprises a combination of at least one component selected from the group consisting of ω3PUFAs, a pharmaceutically acceptable salt thereof and an ester thereof and a PDE4 inhibitor as active ingredients.

Inventors:
ISHIKAWA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061031
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MOCHIDA PHARM CO LTD (JP)
ISHIKAWA HIROSHI (JP)
International Classes:
A61K31/5025; A61K31/202; A61K31/437; A61P1/04; A61P1/16; A61P1/18; A61P3/10; A61P7/02; A61P7/04; A61P7/06; A61P11/00; A61P11/06; A61P13/12; A61P17/00; A61P19/02; A61P19/08; A61P19/10; A61P21/00; A61P21/04; A61P25/00; A61P25/16; A61P25/24; A61P25/28; A61P27/16; A61P29/00; A61P31/04; A61P31/10; A61P31/12; A61P35/00; A61P37/02; A61P37/06; A61P37/08; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2006016357A12006-02-16
WO2005023021A12005-03-17
WO2005023253A12005-03-17
WO2001035979A22001-05-25
WO1999014239A11999-03-25
WO2008001614A12008-01-03
WO2006029349A12006-03-16
WO2006044391A12006-04-27
WO2007075702A22007-07-05
WO2004063197A12004-07-29
WO2006004188A12006-01-12
Foreign References:
JPH0710875A1995-01-13
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE Mochitoshi et al. (JP)
Mochitoshi Watanabe (JP)
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Claims:
 ω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つ、並びに、ホスホジエステラーゼ4阻害薬を有効成分として併用する、非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善または治療薬。
 ホスホジエステラーゼ4阻害薬が、式(I)で表されるピロロピリダジン誘導体、式(II)で表されるピラゾロピリジン誘導体、製薬学上許容しうるそれらの塩およびそれらのプロドラッグからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を有効成分として併用する、請求項1記載の予防/改善または治療薬:

 式(I)中、
R 1 は、
(1)カルボキシまたは保護カルボキシ;
(2)-CONR 5 R 6 ;
(3)ヒドロキシまたは低級アルコキシ;
(4)アミノ、シクロ(低級)アルキルアミノまたは低級アルコキシが任意に置換するモノ-もしくはジ(低級)アルキルアミノ;
(5)トリハロ(低級)アルキル;
(6)トリハロ(低級)アルキルスルホニルオキシまたはアリールスルホニルアミノ;
(7)置換または非置換低級アルキル;
(8)置換または非置換アリール;または
(9)置換または非置換へテロ環状基であり、
R 2 は、R 7 または-(A 1 ) p -X-A 2 -R 7 であり[ここで、pは0または1であり、A 1 は、(C 1 ~C 2 )アルキレンまたは-CH=CH-であり、A 2 は、-(CH 2 ) n -(ここでのnは1ないし6の整数)または-(CH=CH) m -(ここでのmは1ないし3の整数)であり、Xは、単結合、-O-、-NR 8 -(R 8 は水素または低級アルキル)、-C(=O)-、-C(=NR 9 )-(R 9 は置換または非置換のN-含有へテロ環状基)またはヒドロキシ(C 1 ~C 2 )アルキレンであり、R 7 は、水素;置換または非置換アリール;置換または非置換へテロ環状基;カルボキシ、保護カルボキシまたはCONR 10 R 11 ;アシルまたはハロカルボニル;シアノ;アミノ、保護アミノ、またはモノ-もしくはジ(低級)アルキルアミノ;ヒドロキシ、アリールオキシ、アシルオキシまたはヒドロキシもしくはアシルオキシが任意に置換する低級アルキル;低級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニルまたは低級アルキルスルホニル;または-O-R 12 である。]、
 または、上記R 1 およびR 2 は、一緒になって低級アルキレンまたは低級アルケニレン基を形成し、該基はアミノまたはスルホニルが任意に中断しており、またベンゼン環と任意に縮合しており、また低級アルキル、ヒドロキシ、オキソおよび低級アルコキシからなる基が任意に置換している;
R 3 は、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換へテロ環状基であり、
R 4 は、水素、ハロゲン、シアノ、カルバモイル、アシル、チオシアナート、低級アルキルチオ、低級アルケニル、ヒドロキシル(低級)アルキル、トリハロ(低級)アルキルまたは低級アルキルである;
 また、R 5 、R 6 、R 10 およびR 11 は、それぞれ独立して水素、低級アルキルスルホニル、へテロ環状基、またはヒドロキシ、アルコキシ、スルホ、カルボキシ、保護カルボキシもしくは-R 17 が任意に置換する低級アルキル;あるいは、R 5 とR 6 またはR 10 とR 11 はそれらが結合する窒素原子と一緒になって、N-含有ヘテロ環状基であり、R 12 およびR 17 は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基の除去により保護もしくは非保護糖から誘導される基である;

 式(II)中、
R 1 は、
(1)ハロゲン、シクロ(低級)アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリールオキシ、ヒドロキシイミノ、低級アルキルにより必要に応じて置換されているカルバモイルオキシ、または置換もしくは非置換のヘテロシクリル(ここで、該低級アルコキシは、シクロ(低級)アルキル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換のヘテロアリールにより必要に応じて置換されている。)、により必要に応じて置換されている低級アルキル;
(2)シアノ、または、ハロゲンを有していてもよいアリールにより必要に応じて置換されているカルバモイル、により必要に応じて置換されている低級アルケニル;
(3)シクロ(低級)アルキル;
(4)アシル;
(5)シアノ;
(6)置換もしくは非置換のアリール;または
(7)置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、
R 2 は、R 5 または-(A 1 ) p -X-A 2 -R 5 であり[ここで、pは、0または1であり、A 1 は、(C 1 ~C 2 )アルキレンまたは-CH=CH-であり、A 2 は、二価の複素環式基、または-(CH 2 ) n -(nは1ないし6の整数)もしくは-(CH=CH) m -(mは1ないし3の整数)であり、Xは、単結合、-CH 2 -または-O-であり、R 5 は、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、シアノ、アシル、カルボキシ、保護されたカルボキシ、ヒドロキシイミノ(低級)アルキル、または-CONR 6 R 7 [ここでのR 6 は、水素または低級アルキルであり、R 7 は、水素または-(CH 2 ) q -Y-R 8 (ここでのqは、0、1、2または3であり、Yは、結合、-O-、または-CH(R 9 )-CH 2 -(ここでのR 9 は、低級アルキル、カルボキシまたは保護されたカルボキシである。)であり、R 8 は、低級アルキル;置換もしくは非置換のアリール;置換もしくは非置換のヘテロアリール;置換もしくは非置換のヘテロシクリル;または置換もしくは非置換のシクロ(低級)アルキルである。)であるか、または、R 6 及びR 7 は、これらが結合する窒素原子とともに、置換もしくは非置換のアザヘテロシクリル基を示す。]である。]、
R 3 は、
(1)置換もしくは非置換のアリール;
(2)置換もしくは非置換のヘテロアリール;
(3)置換もしくは非置換のヘテロシクリル;
(4)シクロ(低級)アルキル;または
(5)(a)シクロ(低級)アルキル、(b)置換もしくは非置換のヘテロシクリル、(c)置換もしくは非置換のアリール、または(d)置換もしくは非置換のヘテロアリール、により必要に応じて置換されている低級アルキルであり、
R 4 は、低級アルキルである。
 ω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルが、イコサペント酸、ドコサヘキサエン酸、α-リノレン酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項1または2に記載の予防/改善または治療薬。
 式(I)で表されるピロロピリダジン誘導体、式(II)で表されるピラゾロピリジン誘導体、製薬学上許容しうるそれらの塩およびそれらのプロドラッグからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物が、6-{4-[4-(アミノカルボニル)フェニル]-7-エチル-2-メチルピロロ[1,2-b]ピリダジン-3-イル}ヘキサン酸、4-(5-ブロモ-3-ピリジル)-1-エチル-6-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-カルボニトリル、2E)-3-[1-エチル-4-(5-メチル-3-ピリジル)-6-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル]アクリル酸、(2E)-3-[4-(5-ブロモ-3-ピリジル)-1-エチル-6-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル]アクリル酸、(2E)-3-[6-[(シクロヘキシルメトキシ)メチル]-1-エチル-4-(5-メチル-3-ピリジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル]アクリル酸、製薬学上許容しうるそれらの塩およびそれらのプロドラッグからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の予防/改善または治療薬。
 ω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩およびエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物と、式(I)で表されるピロロピリダジン誘導体、式(II)で表されるピラゾロピリジン誘導体、製薬学上許容しうるそれらの塩およびそれらのプロドラッグからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物との配合剤である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の予防/改善または治療薬。
Description:
非アルコール性脂肪肝炎の予防/ 改善・治療薬

 本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患 特に非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善ま たは治療薬およびその使用方法を提供する。

 ウイルス性肝疾患、自己免疫疾患性肝疾 、ヘマクロトーシスやWilson病等の代謝性肝 患などを除外して、飲酒歴のない人に発生 る単純脂肪肝から脂肪性肝炎、線維症、肝 変までの肝障害を含む疾患群は、一括して アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver desease:以下、NAFLDと記す)と定義される NAFLDは、さらに、肝生検(病理所見)により、 般に予後良好と考えられている単純性脂肪 と、予後不良な非アルコール性脂肪肝炎(non -alcoholic steatohepatitis:以下、NASHと記す)とに分 類され、NASHは、NAFLDの重症型と考えられてい る。肝生検によりNASHと判定される炎症、脂 化、線維化ないし肝硬変、肝がんの病態は 他因と同じであり、アルコール性肝障害、 イルス性肝炎や薬剤性肝障害の否定できる 炎の多くがNASHの病態であろうと推定される( 非特許文献1参照)。

 米国では、人口の20%がNAFLD、3%がNASHであ とされる。日本でも一般診療においても比 的頻繁に遭遇する疾患であり、検診受診者 おけるNAFLDの頻度は8%であり、NASHの頻度は少 なくとも成人の0.5~1%と推定される。日本では 、BMI≧25の成人肥満者が、男性で1300万人、女 性で1000万人いることから、国内のNAFLDは500~60 0万人、NASHは約30~50万人と推定される。また NAFLDでのメタボリックシンドローム(以下、Me tSと記す)診断基準に基づく、脂質代謝異状の 合併頻度は約50%、高血圧の合併頻度は約30%、 高血糖の合併頻度は約30%、MetSの合併頻度は 40%であり(非特許文献1参照)、生活習慣病の 加に伴い、今後、NASHの症例数の増加ならび 低年層への拡大が予想される。さらに肝炎 経て一部は星状細胞活性化による肝硬変、 るいは肝がんへの進行が臨床的な問題であ 。

 日本肝臓学会の「NASH・NAFLDの診察ガイド (非特許文献1)には、種々の病態改善を目指 たNASHの治療方法が試みられ、その有効性が 報告されているが、確立した治療法がないの が現状であることが記載されている。具体的 には、ビグアナイド薬(メトホルミン)、PPAR-γ アゴニストのチアゾリジン誘導体(ピオグリ ゾン、ロシグリタゾン)などのインスリン抵 性改善薬;ビタミン、ベタイン(コリン誘導 )、N-アセチルシステインなどの抗酸化剤;フ ブラート系薬剤(PPAR-αアゴニスト)、HMG-CoA還 元酵素阻害薬(スタチン)、プロブコールなど 高脂血症治療薬;ウルソデオキシコール酸、 ポリエンホスファチジルコリン(EPL)などの肝 護剤;ロサルタンなどのアンジオテンシンII 容体拮抗薬などが記載される。

 イコサペント酸(以下、EPA)ないし魚油のNA SH・NAFLDに対する投与の報告例がある。たと ば、ω3多価不飽和脂肪酸(以下、PUFAsと記す) 具体的にはEPAエチル(以下、EPA-Eと記す)とド コサヘキサエン酸エチル(以下、DHA-Eと記す) の2種混合系によるNAFLD患者における肝炎の 善(非特許文献2参照)がある。また、Tanakaら 最新の報告では、高純度EPA-Eを2700mg/日、12ヶ 月間投与し、アスパルテートアミノトランス フェレース(以下、ASTと記す)、アラニンアミ トランスフェレース(以下、ALTと記す)酵素 察、炎症性サイトカイン、酸化ストレスマ カー評価ならびに投与観察期間後の肝生検 より、NASHを改善することが示される(非特許 文献3参照)。

 ホスホジエステラーゼ4(以下、PDE4と記す) 阻害薬は、細胞内の環状アデノシン一リン酸 (以下、cAMPと記す)を特異的に分解するPDE4を 害することでcAMP濃度を上昇させ、免疫細胞 炎症性サイトカインの産生誘導を抑制する 種々のPDE4阻害薬が気管支喘息、潰瘍性大腸 炎、アレルギー性皮膚炎や認知症等の治療剤 として開発されている。PDE4にはPDE4A~Dの4種類 のアイソザイムが知られている。PDE4Bはリポ リサッカライド(以下、LPSと記す)により誘 される白血球、単球およびマクロファージ 腫瘍壊死因子α(以下、TNFαと記す)産生に関 しており、PDE4Bノックアウトマウス由来の白 血球ではLPS誘発TNFαの産生が低下している。 方、PDE4Dノックアウトマウス由来の白血球 はLPS誘発TNFαの産生は野生型マウスと差がな いことが明らかになっている。また、PDE4Dは 枢神経において嘔吐に関わる部位に多く発 しており、PDE4Dノックアウトマウスでは嘔 の指標となる行動抑制が認められており、PD E4阻害薬の副作用として嘔吐や嘔吐感が懸念 れている。従って、嘔吐や嘔吐感の副作用 少ない抗炎症薬として、PDE4Bに特異性が高 阻害薬が望まれている(非特許文献4参照)。

 後述の式(I)で表されるピロロピリダジン 導体、式(II)で表されるピラゾロピリジン誘 導体、製薬学上許容しうるそれらの塩および それらのプロドラッグは、in vitroにおいてPDE 4阻害活性およびTNFα産生抑制活性を有するこ とから、PDE4またはTNFαが介在するとされる多 種類の疾患名が羅列記載され(慢性炎症性疾 (例えば、関節リウマチ、変形性関節症、気 、慢性細気管支炎、アレルギー性鼻炎など) 、骨粗鬆症、移植による拒絶反応、喘息、慢 性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球増加症、線維性 疾患(例えば、嚢胞性線維症、肺線維症、肝 維症、腎線維症など)、(ウイルス性アルコー ル性、薬物誘発)急性及び劇症肝炎、脂肪肝( ルコール性及び非アルコール性脂肪肝炎)、 慢性(ウイルス性及び非ウイルス性)肝炎、肝 変、自己免疫性肝炎、膵炎、腎炎、内毒素 ショック、特定の自己免疫性疾患[例えば、 強直性脊椎炎、自己免疫性脳脊髄炎、自己免 疫性血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不 性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少症な )、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性軟 炎、強皮症、ヴェグナー肉芽腫症、皮膚筋 、慢性活動性肝炎(ウィルソン病など)、重症 筋無力症、特発性スプルー、自己免疫性炎症 性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン など)、内分泌性眼障害、グレーヴズ病、サ コイドーシス、多発性硬化症、原発性胆汁 肝硬変、若年性糖尿病(I型糖尿病)、ライタ 症候群、非感染ブドウ膜炎、自己免疫性角 炎(例えば、乾性角結膜炎、春季カタルなど )、間質性肺線維症、乾癬性関節炎など]、PDE4 酵素と関係している皮膚障害(例えば、乾癬 び他の良性または悪性の増殖性皮膚疾患、 トピー性皮膚炎、及びじんま疹)、神経変性 害(例えば、パーキンソン病及びアルツハイ マー病)、急性及び慢性多発性硬化症、ガン 液質、ウイルス感染、AIDS悪液質、血栓症、 つ病)、これらの疾患に対し有効性があるの ではないかとの推測が記載されている。しか しながら、実際のNASH患者あるいはNASHモデル 物での有効性の証明や具体的な使用態様に いての記載はされていない(特許文献1およ 2参照)。

 薬剤併用系としては、NASHなどの脂肪肝の 治療に、フィブラートまたはチアゾリジン誘 導体と、ω3PUFAsとの併用をする提案がある(特 許文献3参照)。この併用系では、フィブラー 併用系におけるPPAR-αの過剰活性、チアゾリ ジン誘導体併用系における肝毒性および基礎 試験においてPPAR-γは脂肪肝を悪化させる問 点を有する。NAFLD・NASH治療目的におけるω3PU FAsと他の薬剤との併用は上記特許文献1以外 知られていない。

国際公開第2004/063197号パンフレット

国際公開第2006/004188号パンフレット

国際公開第2007/081773号パンフレット

日本肝臓学会編「NASH・NAFLDの診察ガイド 」文光堂出版、2006年8月22日 Aliment Pharmacol Ther.,2006年4月15日,23(8):1143- 51 J Clin Gastroenterol,2008年.,42(4):413-418 日本薬理学雑誌(Folia Pharmacol. Jpn.)、2005 、126(2):121-127

 本発明は、NAFLD、特にNASHの予防/改善・治 療ならびにさらに重篤な肝硬変/肝癌への進 を抑制するための、安全性が高く、有効性 優れ、使いやすい、NASHの予防/改善または治 療薬およびその使用方法を提供することを目 的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意 究を行った結果、ω3PUFAsとPDE4阻害薬とを併 すると、それぞれの単独投与時には見られ かった安全性や格別に顕著な効果を見出し 本発明を完成した。すなわち、本発明で提 するNAFLD・NASHの予防/改善または治療薬は、 有効成分としてω3PUFAsとPDE4阻害薬、好ましく はPDE4特異性の高い阻害薬、さらに好ましく PDE4B特異性の高い阻害薬、特に下記式(I)で表 されるピロロピリダジン誘導体、下記式(II) 表されるピラゾロピリジン誘導体、製薬学 許容しうるそれらの塩およびそれらのプロ ラッグからなる群から選ばれる少なくとも1 の化合物とを含む。本発明の態様例を以下 示す。
(1)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および ステルからなる群から選ばれる少なくとも1 つ、並びに、PDE4阻害薬を有効成分として併 するNASHの予防/改善または治療薬。
(2)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および ステルがEPA、DHA、α-リノレン酸、その製薬 上許容しうる塩およびエステルからなる群 ら選ばれる少なくとも1つの化合物である上 記(1)に記載の予防/改善または治療薬。
(3)前記ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩お びエステルとして、EPA-Eおよび/またはDHA-E 含有する上記(1)に記載の予防/改善または治 薬。
(4)前記ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩お びエステルとして、EPA-Eを含有する上記(1) 記載の予防/改善または治療薬。

(5)PDE4阻害薬が、下記式(I)で表されるピロロ リダジン誘導体、下記式(II)で表されるピラ ロピリジン誘導体、製薬学上許容しうるそ らの塩およびそれらのプロドラッグからな 群から選ばれる少なくとも1つの化合物であ る上記(1)に記載の予防/改善または治療薬。

 式(I)中、
 R 1 は、(1)カルボキシまたは保護カルボキシ;(2)-C ONR 5 R 6 ;(3)ヒドロキシまたは低級アルコキシ;(4)アミ 、シクロ(低級)アルキルアミノまたは低級 ルコキシが任意に置換するモノ-もしくはジ( 低級)アルキルアミノ;(5)トリハロ(低級)アル ル;(6)トリハロ(低級)アルキルスルホニルオ シまたはアリールスルホニルアミノ;(7)置換 たは非置換低級アルキル;(8)置換または非置 換アリール;または(9)置換または非置換へテ 環状基であり、
 R 2 は、R 7 または-(A 1 ) p -X-A 2 -R 7 であり[ここで、pは0または1であり、A 1 は、(C 1 ~C 2 )アルキレンまたは-CH=CH-であり、A 2 は、-(CH 2 ) n -(ここでのnは1ないし6の整数)または-(CH=CH) m -(ここでのmは1ないし3の整数)であり、Xは、 結合、-O-、-NR 8 -(R 8 は水素または低級アルキル)、-C(=O)-、-C(=NR 9 )-(R 9 は置換または非置換のN-含有へテロ環状基)ま たはヒドロキシ(C 1 ~C 2 )アルキレンであり、R 7 は、水素;置換または非置換アリール;置換ま は非置換へテロ環状基;カルボキシ、保護カ ルボキシまたはCONR 10 R 11 ;アシルまたはハロカルボニル;シアノ;アミノ 、保護アミノ、またはモノ-もしくはジ(低級) アルキルアミノ;ヒドロキシ、アリールオキ 、アシルオキシまたはヒドロキシもしくは シルオキシが任意に置換する低級アルキル; 級アルキルチオ、低級アルキルスルフィニ または低級アルキルスルホニル;または-O-R 12 である。]、
 または、上記R 1 およびR 2 は、一緒になって低級アルキレンまたは低級 アルケニレン基を形成し、該基はアミノまた はスルホニルが任意に中断しており、またベ ンゼン環と任意に縮合しており、また低級ア ルキル、ヒドロキシ、オキソおよび低級アル コキシからなる基が任意に置換している。

 R 3 は、置換もしくは非置換アリール、または置 換もしくは非置換へテロ環状基であり、R 4 は、水素、ハロゲン、シアノ、カルバモイル 、アシル、チオシアナート、低級アルキルチ オ、低級アルケニル、ヒドロキシル(低級)ア キル、トリハロ(低級)アルキルまたは低級 ルキルである。
 また、R 5 、R 6 、R 10 およびR 11 は、それぞれ独立して水素、低級アルキルス ルホニル、へテロ環状基、またはヒドロキシ 、アルコキシ、スルホ、カルボキシ、保護カ ルボキシもしくは-R 17 が任意に置換する低級アルキル;あるいは、R 5 とR 6 またはR 10 とR 11 はそれらが結合する窒素原子と一緒になって 、N-含有ヘテロ環状基であり、R 12 およびR 17 は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基の除去 により保護もしくは非保護糖から誘導される 基である。

 式(II)中、
 R 1 は、(1)ハロゲン、シクロ(低級)アルキル、低 アルコキシ、ヒドロキシ、保護されたヒド キシ、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリ ルオキシ、ヒドロキシイミノ、低級アルキ により必要に応じて置換されているカルバ イルオキシ、または置換もしくは非置換の テロシクリル(ここで、該低級アルコキシは シクロ(低級)アルキル、置換もしくは非置 のアリール、または置換もしくは非置換の テロアリールにより必要に応じて置換され いる。)、により必要に応じて置換されてい 低級アルキル;(2)シアノ、または、ハロゲン を有していてもよいアリールにより必要に応 じて置換されているカルバモイル、により必 要に応じて置換されている低級アルケニル;(3 )シクロ(低級)アルキル;(4)アシル;(5)シアノ;(6) 置換もしくは非置換のアリール;または(7)置 もしくは非置換のヘテロアリールであり、
 R 2 は、R 5 または-(A 1 ) p -X-A 2 -R 5 であり[ここで、pは、0または1であり、A 1 は、(C 1 ~C 2 )アルキレンまたは-CH=CH-であり、A 2 は、二価の複素環式基、または-(CH 2 ) n -(nは1ないし6の整数)もしくは-(CH=CH) m -(mは1ないし3の整数)であり、Xは、単結合、-C H 2 -または-O-であり、R 5 は、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、シ アノ、アシル、カルボキシ、保護されたカル ボキシ、ヒドロキシイミノ(低級)アルキル、 たは-CONR 6 R 7 [ここでのR 6 は、水素または低級アルキルであり、R 7 は、水素または-(CH 2 ) q -Y-R 8 (ここでのqは、0、1、2または3であり、Yは、 合、-O-、または-CH(R 9 )-CH 2 -(ここでのR 9 は、低級アルキル、カルボキシまたは保護さ れたカルボキシである。)であり、R 8 は、低級アルキル;置換もしくは非置換のア ール;置換もしくは非置換のヘテロアリール; 置換もしくは非置換のヘテロシクリル;また 置換もしくは非置換のシクロ(低級)アルキル である。)であるか、または、R 6 及びR 7 は、これらが結合する窒素原子とともに、置 換もしくは非置換のアザヘテロシクリル基を 示す。]である。]、
 R 3 は、(1)置換もしくは非置換のアリール;(2)置 もしくは非置換のヘテロアリール;(3)置換も くは非置換のヘテロシクリル;(4)シクロ(低 )アルキル;または(5)(a)シクロ(低級)アルキル (b)置換もしくは非置換のヘテロシクリル、( c)置換もしくは非置換のアリール、または(d) 換もしくは非置換のヘテロアリール、によ 必要に応じて置換されている低級アルキル あり、
 R 4 は、低級アルキルである。

 式(I)で表されるピロロピリダジン誘導体 よび式(II)で表されるピラゾロピリジン誘導 体に包含することを意図する化合物について の様々な定義、およびその適切な例及び例示 、および好適な態様、例えば置換基、製薬学 上許容しうるその塩、プロドラッグ、鏡像異 性体またはジアステレオ異性体、溶媒和物、 放射性標識誘導体、投与方法・量・経路、剤 形、添加剤などの態様は、国際公開第2004/0631 97号パンフレットあるいは国際公開第2006/00418 8号パンフレットの記載を参照することがで る。式(I)で表されるピロロピリダジン誘導 、製薬学上許容しうるそれらの塩およびそ らのプロドラッグについての上記具体的態 は、国際公開第2004/063197号パンフレットに記 載された説明を引用することにより、本願明 細書に記載されているものとし、また、式(II )で表されるピラゾロピリジン誘導体、製薬 上許容しうるそれらの塩およびそれらのプ ドラッグについての上記具体的態様は、国 公開第2006/004188号パンフレットに記載された 説明を引用することにより、本願明細書に記 載されているものとし、各々についてここで の詳細な説明を省略する。

(6)PDE4阻害薬が、6-{4-[4-(アミノカルボニル) ェニル]-7-エチル-2-メチルピロロ[1,2-b]ピリ ジン-3-イル}ヘキサン酸(以下、化合物1と記 )、4-(5-ブロモ-3-ピリジル)-1-エチル-6-メチル- 1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-カルボニトリル( 下、化合物2と記す)、((2E)-3-[1-エチル-4-(5-メ チル-3-ピリジル)-6-フェニル-1H-ピラゾロ[3,4-b] ピリジン-5-イル]アクリル酸(以下、化合物3と 記す)、2E)-3-[4-(5-ブロモ-3-ピリジル)-1-エチル- 6-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル]ア リル酸(以下、化合物4と記す)、(2E)-3-[6-[(シ ロヘキシルメトキシ)メチル]-1-エチル-4-(5- チル-3-ピリジル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5 -イル]アクリル酸(以下、化合物5と記す)、製 学上許容しうるそれらの塩およびそれらの ロドラッグからなる群から選ばれる少なく も1つの化合物である上記(1)に記載の予防/ 善または治療薬。

(7)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および ステルがEPA-Eおよび/またはDHA-Eであり、か 、PDE4阻害薬が化合物1ないし5、製薬学上許 しうるそれらの塩およびそれらのプロドラ グからなる群から選ばれる少なくとも1つの 合物である上記(1)に記載の予防/改善または 治療薬。
(8)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および ステルがEPA-Eであり、かつ、PDE4阻害薬が化 物1ないし3、製薬学上許容しうるそれらの およびそれらのプロドラッグからなる群か 選ばれる少なくとも1つの化合物である上記( 1)に記載の予防/改善または治療薬。

(9)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩およ エステルからなる群から選ばれる少なくと 1つおよび式(I)で表されるピロロピリダジン 誘導体、式(II)で表されるピラゾロピリジン 導体、製薬学上許容しうるそれらの塩およ それらのプロドラッグからなる群から選ば る少なくとも1つの化合物を併用した治療効 が併用の場合と同じ用量のω3PUFAsおよび式(I )で表されるピロロピリダジン誘導体、式(II) 表されるピラゾロピリジン誘導体または製 学上許容しうるそれらの塩およびそれらの ロドラッグからなる群から選ばれる少なく も1つの化合物を単独で用いて得られる治療 効果の和よりも大きい上記(1)ないし(8)のいず れかに記載の予防/改善または治療薬。

(10)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および エステルからなる群から選ばれる少なくとも 1つの化合物およびPDE4阻害薬から選ばれる少 くとも1つの化合物の配合剤である上記(1)な いし(9)のいずれかに記載の予防/改善または 療薬。
(11)3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および ステルからなる群から選ばれる少なくとも1 の化合物を有効成分として含有する上記(1) いし(9)のいずれかに記載の予防/改善または 治療薬であって、PDE4阻害薬を投与される患 のNASHの予防/改善または治療薬。
(12)PDE4阻害薬から選ばれる少なくとも1つを有 効成分として含有する上記(1)ないし(9)のいず れかに記載の予防/改善または治療薬であっ 、ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および エステルからなる群から選ばれる少なくとも 1つを投与される患者のNASHの予防/改善または 治療薬。

(13)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および エステルからなる群から選ばれる少なくとも 1つの化合物を、PDE4阻害薬を投与される患者 投与することで、ω3PUFAs、その製薬学上許 しうる塩およびエステルからなる群から選 れる少なくとも1つ、並びに、PDE4阻害薬から 選ばれる少なくとも1つを併用する上記(1)な し(11)のいずれかに記載の予防/改善または治 療薬。
(14)PDE4阻害薬から選ばれる少なくとも1つを、 ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩およびエ テルからなる群から選ばれる少なくとも1つ の化合物を投与される患者に投与することで 、ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および ステルからなる群から選ばれる少なくとも1 つ、並びに、PDE4阻害薬から選ばれる少なく も1つを併用する上記(1)ないし(10)および(12) いずれかに記載の予防/改善または治療薬。

(15)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および エステルからなる群から選ばれる少なくとも 1つの化合物およびPDE4阻害薬から選ばれる少 くとも1つの別個の製剤からなるキットであ る上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の予防/ 善または治療薬。
(16)有効成分として、肝庇護剤、血糖降下剤 高脂血症治療薬、降圧剤、抗酸化剤、抗炎 剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの 合物をさらに併用する上記(1)ないし(15)のい ずれかに記載の予防/改善または治療薬。

(17)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および エステルからなる群から選ばれる少なくとも 1つを投与する工程、およびPDE4阻害薬を投与 る工程を含む、NASHを予防/改善または治療 るための方法。
(18)前記2つの投与工程を同時に行う上記(17)に 記載の方法。
(19)前記2つの投与工程を別々の時期に行う上 (17)に記載の方法。
(20)画像検査(超音波、CT、MRIなど)、肝生検あ いは血漿中の繊維化マーカー(IV型コラーゲ 、ヒアルロン酸、Tissue Inhibitor of Metalloprot einases-1(以下、TIMP-1と記す)等)により測定した 肝繊維化の程度、血清ASTやALT、AST/ALT比、ア ィポネクチン、TNFα、インターロイキン(以 、ILと記す)、高感度C反応性蛋白(以下、CRPと 記す)、好中球数や血中酸化ストレスマーカ (フェリチン、チオレドキシン)からなる群か ら選ばれる少なくとも1つの値を測定してそ 値が正常範囲内になるまで、投与を継続す 上記(17)に記載の方法。

(21)PDE4阻害薬が、式(I)で表されるピロロピリ ジン誘導体、式(II)で表されるピラゾロピリ ジン誘導体、製薬学上許容しうるそれらの塩 およびそれらのプロドラッグからなる群から 選ばれる少なくとも1つの化合物である上記(1 7)ないし(20)のいずれかに記載の方法。
(22)ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および エステルからなる群から選ばれる少なくとも 1つを投与する工程、および式(I)で表される ロロピリダジン誘導体、式(II)で表されるピ ゾロピリジン誘導体、製薬学上許容しうる れらの塩およびそれらのプロドラッグから る群から選ばれる少なくとも1つの化合物を 投与する工程を含む、式(I)で表されるピロロ ピリダジン誘導体、式(II)で表されるピラゾ ピリジン誘導体、製薬学上許容しうるそれ の塩およびそれらのプロドラッグからなる から選ばれる少なくとも1つの化合物による 作用を軽減するための方法。
(23)前記2つの投与工程を同時に行う上記(22)に 記載の方法。
(24)前記2つの投与工程を別々の時期に行う上 (22)に記載の方法。
(25)嘔吐あるいは嘔吐感が現れた場合に、嘔 あるいは嘔吐感が消失するまでPDE4阻害薬の 与量を減少させる、PDE4阻害薬を休薬させる 、およびω3PUFAsの投与量を増加させるからな 群から選ばれる少なくとも1つを行う上記(22 )に記載の予防/改善または治療するための方 。
(26)PDE4阻害薬が、式(I)で表されるピロロピリ ジン誘導体、式(II)で表されるピラゾロピリ ジン誘導体、製薬学上許容しうるそれらの塩 およびそれらのプロドラッグからなる群から 選ばれる少なくとも1つの化合物である上記(2 2)ないし(25)のいずれかに記載の方法。

 ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩および ステルからなる群から選ばれる少なくとも1 、並びに、PDE4阻害薬、好ましくはPDE4特異 の高い阻害薬、さらに好ましくはPDE4B特異性 の高い阻害薬、特に式(I)で表されるピロロピ リダジン誘導体、式(II)で表されるピラゾロ リジン誘導体、製薬学上許容しうるそれら 塩およびそれらのプロドラッグからなる群 ら選ばれる少なくとも1つの化合物の併用に り、安全で効果の高いNASHの予防/改善また 治療薬およびその使用方法を提供すること できる。
 具体的には、各々単独で使用した場合に比 て相乗的なNASHの予防/改善または治療効果 示すことが期待される。特に、TNFα、ILなど アディポサイトカインや高感度CRPの改善、 中球数の減少、繊維化マーカー(IV型コラー ン、ヒアルロン酸、TIMP-1等)や血中酸化スト レスマーカー(フェリチン、チオレドキシン) 善において相乗的なNASHの予防/改善または 療効果を示すことが期待される。
 PDE4阻害薬の副作用として懸念される嘔吐や 嘔吐感、食欲不振あるいは頭痛は、患者にと って耐え難い副作用であり、また、食欲不振 による栄養不良を引き起こして病態改善に悪 影響を及ぼすものである。本発明により嘔吐 や嘔吐感の副作用発現が少ないことが期待さ れるPDE4B特異性の高い阻害薬を用いることが き、また、各々の薬剤、特にPDE4阻害薬の服 薬量を低減することができ、嘔吐や嘔吐感、 食欲不振あるいは頭痛などの副作用を軽減す ることができる。また、副作用のためにPDE4 害薬投与を行えなかった患者や中断せざる 得なかった患者において治療を継続するこ ができる。
 また、配合剤やキット剤とすることで患者 服薬の負担を軽減し、服薬コンプライアン を高めることで更に予防/改善または治療効 果を高めることができる。

 以下に本発明を詳細に説明する。
 本発明は、ω3PUFAs、その製薬学上許容しう 塩およびエステルからなる群から選ばれる なくとも1つ、並びに、PDE4阻害薬、好ましく はPDE4特異性の高い阻害薬、さらに好ましく PDE4B特異性の高い阻害薬、特に式(I)で表され るピロロピリダジン誘導体、式(II)で表され ピラゾロピリジン誘導体、製薬学上許容し るそれらの塩およびそれらのプロドラッグ らなる群から選ばれる少なくとも1つの化合 を有効成分として併用する、NASHの予防/改 または治療薬およびその使用方法である。 発明の予防/改善または治療薬は、有効成分 、ω3PUFAs、その製薬学上許容しうる塩およ エステルからなる群から選ばれる少なくと 1つ、並びに、PDE4阻害薬、特に式(I)で表され るピロロピリダジン誘導体、式(II)で表され ピラゾロピリジン誘導体、製薬学上許容し るそれらの塩およびそれらのプロドラッグ らなる群から選ばれる少なくとも1つの化合 を、組み合わせて用いる組み合わせ薬およ その使用方法である。
 本発明において予防とは、疾患の発症を予 することのみでなく、発症時期を遅延させ ことおよび発症率を低下させることも含む
 本発明において改善とは、疾患の何らかの ラメーターを改善することのみでなく、患 の自覚症状や生活の質(Quality of life)を改善 することを含む。また、本発明において治療 とは、既に疾患を発症した患者に薬物を投与 することのみでなく、疾患を発症するリスク の高い患者に薬物を投与する予防的治療も含 む。

 多価不飽和脂肪酸(PUFAs)は、分子内に複数 の炭素-炭素二重結合を有する脂肪酸と定義 れ、二重結合の位置により、ω3、ω6などに 類される。ω3PUFAsとしては、α-リノレン酸、 EPA、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと記す)な が例示される。本発明で用いられる「PUFAs の語は、特に断らない限りは、多価不飽和 肪酸だけでなく、その製薬上許容される塩 あるいはエステル、アミド、リン脂質、グ セリドなどの多価不飽和脂肪酸誘導体も含 意味で用いられる。

 本発明で用いられるω3PUFAsは、合成品、 合成品または天然品のいずれでもよく、こ らを含有する天然油の形態でもよい。ここ 、天然品とは、ω3PUFAsを含有する天然油から 公知の方法によって抽出されたもの、粗精製 されたもの、あるいはそれらを更に高度に精 製したものを意味する。半合成品は、微生物 などにより産生された多価不飽和脂肪酸を含 み、また該多価不飽和脂肪酸あるいは天然の 多価不飽和脂肪酸にエステル化、エステル交 換等の化学処理を施したものも含まれる。本 発明では、ω3PUFAsとして、これらのうちの1種 を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて いることができる。

 本発明では、ω3PUFAsとして、具体的には EPA、DHA、α-リノレン酸およびこれらの製薬 上許容しうる塩およびエステルが例示され 。製薬学上許容しうる塩およびエステルは ナトリウム塩、カリウム塩などの無機塩基 ベンジルアミン塩、ジエチルアミン塩など 有機塩基、アルギニン塩、リジン塩などの 基性アミノ酸との塩およびエチルエステル のアルキルエステルやモノ-、ジ-およびトリ -グリセリド等のエステルが例示される。好 しくはエチルエステルであり、特にEPA-Eおよ び/またはDHA-Eが好ましい。

 ω3PUFAsの純度は特に限定されないが、通 、本剤組成物の全脂肪酸中のω3PUFAsの含量と して、好ましくは25質量%以上、さらに好まし くは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以 上、より好ましくは85質量%以上であり、とり わけ好ましくは本剤組成物がω3PUFAs以外の他 脂肪酸成分を実質的に含まない態様である 例えば、EPA-EおよびDHA-Eを用いる場合、EPA-E/ DHA-Eの組成比および全脂肪酸中のEPA-E+DHA-Eの 量比は特に問わないが、好ましい組成比と て、EPA-E/DHA-Eは、0.8以上であることが好まし く、更に好ましくは、1.0以上、より好ましく は、1.2以上である。EPA-E+DHA-Eは高純度のもの 例えば、全脂肪酸およびその誘導体中のEPA- E+DHA-E含量比が40質量%以上のものが好ましく 55質量%以上のものがさらに好ましく、84質量 %以上のものがさらに好ましく、96.5質量%以上 のものが更に好ましい。他の長鎖飽和脂肪酸 含量は少ないことが好ましく、長鎖不飽和脂 肪酸でもω6系、特にアラキドン酸含量は少な いことが望まれ、2質量%未満が好ましく、1質 量%未満がさらに好ましい。

 本発明の予防/改善または治療薬に用いら れるEPA-Eおよび/またはDHA-Eは、魚油あるいは 油の濃縮物に比べ、飽和脂肪酸やアラキド 酸等の心血管イベントに対して好ましくな 不純物が少なく、栄養過多やビタミンA過剰 摂取の問題もなく作用効果を発揮することが 可能である。また、エステル体のため主にト リグリセリド体である魚油等に比べて酸化安 定性が高く、通常の酸化防止剤添加により十 分安定な組成物を得ることが可能である。

 このEPA-Eは、日本において、閉塞性動脈硬 症(ASO)および高脂血症治療薬として入手可能 な高純度EPA-E(96.5質量%以上)含有軟カプセル剤 (商品名エパデール:持田製薬社製)を用いるこ とができる。また、EPA-EとDHA-Eの混合物は、 とえば、米国で高TG血症治療薬として市販さ れているロバザ(Lovaza:グラクソ・スミス・ク イン:EPA-E約46.5質量%、DHA-E約37.5質量%含有す 軟カプセル剤)を使用することもできる。
 ω3PUFAsとして、精製魚油も使用できる。ま 、ω3PUFAsのモノグリセリド、ジグリセリド、 トリグリセリドまたはこれらの組合せなども 好ましい態様の一つである。例えばインクロ メガ(lncromega)F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG 2779、TG2928、TG3525およびE5015(クローダ・イン ーナショナル・ピーエルシー(Croda Internationa l PLC, Yorkshire, England))、および EPAX6000FA、EPA X5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、EPAX7010EE、K85TG、K85 EEおよびK80EE (プロノバ・バイオファーマ(Pron ova Biopharma, Lysaker, Norway) )などの種々のω3PU FAs、その塩およびエステルを含有する製品が 市販されており、これらを入手して使用する こともできる。

 本発明において、PDE4阻害薬は、PDE4阻害活 を有していれば良く、PDE4特異的阻害活性を していることが好ましい。また、PDE4のアイ ソザイムの中で、PDE4Bに特異性の高い阻害薬 特に、PDE4B阻害活性強度/PDE4D阻害活性強度 比率が大きなPDE4阻害薬が、嘔吐や嘔吐感の 作用発現を低減させるために好ましい。例 ば、PDE4Bに対する50%阻害活性濃度/PDE4Dに対 る50%阻害活性濃度の比率が1以下、好ましく 0.1以下、さらに好ましくは0.05以下、より好 ましくは0.01以下である。
 PDE4阻害薬としては、式(I)で表されるピロロ ピリダジン誘導体、式(II)で表されるピラゾ ピリジン誘導体、国際公開第2006/004191号パン フレットに式(I)として記載されたピロロピリ ダジン誘導体、製薬学上許容しうるそれらの 塩およびそれらのプロドラッグからなる群か ら選ばれる少なくとも1つの化合物、ドクソ ィリン(Doxofylline、Instituto Biologico Chemioterapic o)、ロフルミラスト(roflumilast、 Altana Pharma) テトミラスト(tetomilast、大塚製薬)、シロミ スト(cilomilast)、デンブフィリン(Denbufylline)、 AWD12-281、GSK1271836およびGSK256066(GlaxoSmithklein ) アプレミラスト(Apremilast, Celgene Corp)、オグ レミラスト(Oglemilast, Glenmark Pharmaceuticals)、 クラミラスト(Piclamilast Sanofi-Aventis)、リリミ ラスト(Lilimilast)およびダクサリプラム(daxalipr am)(Bayer)、ASP9831(アステラス製薬)、OX-914(Inflazy me Pharmaceuticals)、EHT-0202(ExonHit Therapeutics)、HT- 0712(Inflazyme Pharmaceuticals)、MEM-1414(Memory Pharmace uticals)、アロフィリン(arofyline, Almirall Lab)、A N-2728およびAN-2898(Anacor Pharmaceuticals)、HT-0712お よびOX-914(Inflazyme Pharmaceuticals)、SelCIDs、CC-1088 およびCC11050(Celgene Corp)、ONO-6126およびDE103(小 野薬品工業)、GPD1116(あすか製薬)、ELB353(Elbion) 、GRC3886およびGRC4039(Glenmark Pharmaceuticals)、AVE- 8112(Sanofi-Aventis)、4AZA-PDE4(4AZA Bioscience)、CR-3465 (Rottapharm SpA)、ロリプラム(Rolipram Schering AG) UCB-101333-3、CDP-840、L-791943、L-826141およびSCH35 1591(UCB)、RO 20-1724およびRS-25344-000(Roche)、KF1951 4およびKW4490(協和発酵)、PLX-369、PLX-377およびP LX-456(Plexikon Inc)、CD-160130(Curacyte AG)、GP-0203(Ce ntre National de la Recherche Scientifique)、INDUS-820 10(Indus Biotech Pvt)、ND-1251およびND1510(Neuro3d SA )、RBX-10017876(Ranbaxy Laboratories)およびCHF5480(Chie si Farmaceutici)などが例示される。また、特にP DE4B阻害活性強度/PDE4D阻害活性強度の比率が きな阻害薬としては、Bioorg.Med.Chem.Lett.2009年, 19:3174-3176に記載されているピリミジン誘導体 である化合物1~35が例示される。
 好ましくは、式(I)で表されるピロロピリダ ン誘導体、式(II)で表されるピラゾロピリジ ン誘導体、国際公開第2006/004191号パンフレッ に式(I)として記載されたピロロピリダジン 導体、製薬学上許容しうるそれらの塩およ それらのプロドラッグからなる群から選ば る少なくとも1つの化合物、ドクソフィリン 、ロフルミラスト、テトミラスト、シロミラ スト、GSK256066、オグレミラスト、ピクラミラ スト、リリミラスト、ASP9831、OX-914、EHT-0202、 HT-0712、MEM-1414、AN-2728、AN-2898、CC11050、DE103、E LB353、GRC4039が例示され、さらに好ましくは、 ASP9831、式(I)で表されるピロロピリダジン誘 体、式(II)で表されるピラゾロピリジン誘導 、製薬学上許容しうるそれらの塩およびそ らのプロドラッグからなる群から選ばれる なくとも1つの化合物が例示される。より好 ましくは、ASP9831、化合物1ないし5、製薬学上 許容しうるそれらの塩およびそれらのプロド ラッグからなる群から選ばれる少なくとも1 の化合物が例示され、最も好ましくは、化 物1ないし3、製薬学上許容しうるそれらの塩 およびそれらのプロドラッグからなる群から 選ばれる少なくとも1つの化合物が例示され 。本発明において式(I)および式(II)で表され 化合物とは、特に断らない限りは、上記の うな塩またはプロドラッグも含む意味で用 られる。

 式(I)あるいは式(II)で表される化合物は、 公知の方法、例えば国際公開第2004/063197号パ フレットあるいは国際公開第2006/004188号パ フレットに記載された方法により製造する とができる。

 上記のようなω3PUFAsおよびPDE4阻害薬併用 本発明薬剤において、好ましい態様は、EPA- Eおよび/またはDHA-Eと式(I)あるいは式(II)で表 れる化合物との組合せである。

 本発明において、有効成分の「併用」と 、有効成分を組合せて用いることであり、 3PUFAsおよびPDE4阻害薬を共に含む配合剤とし 投与すること、および、ω3PUFAsとPDE4阻害薬 がそれぞれ別個の製剤として同時期にもし は時間差をおいて別々に投与されることを む。「別個の製剤として同時期にもしくは 間差をおいて別々に投与される」態様には (1)ω3PUFAsを投与される患者に、PDE4阻害薬を 効成分として含有する組成物を投与する態 、および、(2)PDE4阻害薬を投与される患者に 、ω3PUFAs有効成分として含有する組成物を投 する態様が含まれる。また、「併用」とは ずしも患者の体内、例えば血中において同 に存在する場合に限られないが、本発明に いて「併用」とは、いずれか一方の薬剤の 用・効果が患者の体内に発現している状態 他方の薬剤を投与する使用態様をいう。本 明の予防/改善または治療薬を用いてNAFLDも くはNASHに関連する疾患の予防/改善または 療効果が得られるような使用態様である。 ましくは、患者の体内、例えば血中におい 同時に存在する使用態様が望ましく、また ましくは、患者に対して、一方の薬剤を投 してから24時間以内に他方の薬剤を投与する 使用態様が好ましい。

 本発明の予防/改善または治療薬における 併用の形態は、特に限定されず、有効成分が 組み合わされていればよい。このような薬剤 の形態としては、例えば(1)有効成分を同時製 剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)有効 成分を別々に製剤化して得られる2種類の製 を組合せてキットとし、または組み合わせ いで別々に用意し、同一投与経路での同時 与に使用する。(3)有効成分を別々に製剤化 て得られる2種類の製剤を組合せてキットと 、または組み合わせないで別々に用意し、 一投与経路で時間差をおいて投与する。(4) 効成分を別々に製剤化して得られる2種類の 製剤を組合せてキットとし、または組み合わ せないで別々に用意し、異なる投与経路(同 患者の異なる部位から投与する)で同時に投 する。(5)有効成分を別々に製剤化して得ら る2種類の製剤を組合せてキットとし、また は組み合わせないで別々に用意し、異なる投 与経路(同一患者の異なる部位から投与する) 時間差をおいて投与する。

 これらの時間差をおいて投与する場合は 例えば、ω3PUFAsとPDE4阻害薬の順序での投与 または逆の順序での投与がある。同時に投 する場合、投与経路が同一であれば投与直 に両薬剤を混合してもよく、別々に投与し も良い、また種々の目的で計画的に投与時 をずらして用いることができる。具体的な としては、一方の薬剤を投与し、その効果 発現し始める時期もしくは十分に発現して る間に、他方の薬剤を投与して作用させる 法がある。また、一方の薬剤、特にPDE4阻害 薬を徐放化して1日1回投与とし、他方の薬剤 特にω3PUFAsを1日複数回、例えば2ないし3回 与としてもよいし、同様に1日1回投与として もよい。両薬ともに1日1回投与、さらには1日 1回同時投与あるいは配合剤とすれば、患者 服薬の負担を軽減し、服薬コンプライアン が向上して予防/改善・治療効果および副作 軽減効果も増すことが期待され、好ましい また、例えば、両薬剤を投与し、その効果 発現し始める時期もしくは十分発現してい 時期に、一方の薬剤の投薬を中止する方法 ある。薬剤の投薬を中止する場合には、段 的に薬剤の用量を減量してもよい。また、 えば、一方の薬剤の休薬期間に他方の薬剤 投与する方法が挙げられる。

 本発明のNASHの予防/改善または治療薬に 、有効成分として少なくともω3PUFAsおよびPDE 4阻害薬の1種ずつを併用した治療効果が得ら る態様で使用すれば、その使用態様は制限 れない。たとえば、ω3PUFAsおよびPDE4阻害薬 みを使用することを特徴とするもの、すな ち、ω3PUFAsと、PDE4阻害薬とを組み合わせて るNASHの予防/改善または治療薬のほか、さ に他の有効成分を組み合わせて使用するNASH 予防/改善または治療薬も含まれる。

 望ましくは、ω3PUFAsおよびPDE4阻害薬を併 した治療効果が、併用の場合と同じ用量の 3PUFAsおよびPDE4阻害薬を個々に用いて得られ 治療効果の和よりも大きな効果を得られる 様が好ましい。ここでの治療効果とは、NAFL DもしくはNASHに関連する疾患の予防/改善また は治療効果あるいは肝硬変や肝癌への進行抑 制であれば、特に限定されないが、例えば、 画像検査(超音波、CT、MRIなど)、肝生検ある は血漿中の繊維化マーカー(IV型コラーゲン ヒアルロン酸、TIMP-1等)により測定した肝繊 化の程度、血清ASTやALT値の減少、AST/ALT比の 減少、アディポネクチンの増加、TNFαやILの 少、高感度CRPの減少、好中球数の減少や血 酸化ストレスマーカー(フェリチン、チオレ キシン)の減少、HOMA-IR改善などが例示され 好ましくはTNFα、ILなどのアディポサイトカ ンや高感度CRPの改善、繊維化マーカー(IV型 ラーゲン、ヒアルロン酸、TIMP-1等)や血中酸 化ストレスマーカー(フェリチン、チオレド シン)改善が例示される。その他のNAFLDもし はNASHに関連する生化学的・病理学的あるい 病態パラメーターにより予防/改善または治 療効果をモニタリングしてもよい。

 本発明の予防/改善または治療薬に用いら れるω3PUFAsおよびPDE4阻害薬の投与量および投 与期間は対象となる作用を現すのに十分な量 および期間とされるが、その剤形、投与方法 、1日当たりの投与回数、症状の程度、体重 年齢等によって適宜増減することができる

 経口投与する場合は、例えばEPA-Eおよび/ たはDHA-Eとして0.1~10g/日、好ましくは0.3~6g/ 、よりに好ましくは0.6~4g/日、さらに好まし は0.9~2.7g/日を1ないし3回に分けて投与する 、必要に応じて全量を1回あるいは数回に分 て投与してもよい。また、PDE4阻害薬の投与 量に応じて減量することも可能である。投与 時間は食中ないし食後が好ましく、食直後(30 分以内)投与が更に好ましい。上記投与量を 口投与する場合、投与期間は1年以上、好ま くは2年以上、より好ましくは3.5年以上、更 に好ましくは5年以上であるが、NASHに関連す 病態あるいは生化学的指標などが継続して る間、NASHの発症および/または再発の危険 が高い状態が続いている間は投与を継続す ことが望ましい。また、例えば1日おきに投 する、1週間に2~3日投与する態様や、場合に より1日~3ヵ月程度、好ましくは1週間~1ヵ月程 度の休薬期間を設けることもできる。

 本発明の予防/改善または治療薬に用いら れるPDE4阻害薬の投与量は、その薬剤単独で 用法・用量の範囲内で使用されることが好 しいが、その種類、剤形、投与方法、1日当 りの投与回数は、症状の程度、体重、性別 年齢等によって適宜増減することができる 経口投与する場合は、例えば化合物1として 0.002~200mg/日、好ましくは0.02~20mg/日、さらに ましくは0.2~2mg/日を、化合物2あるいは3とし 0.001~100mg/日、好ましくは0.01~10mg/日、さらに 好ましくは0.1~1mg/日を、シロミラストとして0 .1~10000mg/日、好ましくは1~1000mg/日、さらに好 しくは10~100mg/日を、ロフルミラストとして0 .002~200mg/日、好ましくは0.02~20mg/日、さらに好 ましくは0.2~2mg/日を、1回ないし2回に分けて 与するが、必要に応じて全量を数回に分け 投与してもよい。医師の指示によっては、 与開始日に、1日の推奨用量よりも低い用量 経口投与し、その後、維持量として、1日の 最高投与量まで漸増して経口投与してもよい 。また、ω3PUFAsの投与量に応じて減量するこ も可能である。嘔吐などの副作用軽減の観 で1日投与量をできるだけ減量することや、 徐放剤化して1日1回投与にすることがより好 しい。上記投与量を経口投与する場合、投 期間は1年以上、好ましくは2年以上、より ましくは3.5年以上、更に好ましくは5年以上 あるが、NASHに関連する病態あるいは生化学 的指標などが継続している間、NASHの発症お び/または再発の危険度が高い状態が続いて る間は投与を継続することが望ましい。ま 、例えば1日おきに投与する、1週間に2~3日 与する態様や、場合により1日~3ヵ月程度、 ましくは1週間~1ヵ月程度の休薬期間を設け こともできる。

 ω3PUFAsおよびPDE4阻害薬の併用による本発 では、ω3PUFAsおよび/またはPDE4阻害薬の用量 を一般的に使用される通常の用量より低く設 定することも可能である。例えば、個々の薬 剤を単独で治療効果を得るには不十分な用量 を用いることも可能である。これにより、薬 剤、特にPDE4阻害薬による嘔吐などの副作用 軽減することができる利点を有する。

 ω3PUFAsおよび/またはPDE4阻害薬単独の用量が 、治療効果を得るには不十分な用量であって 、ω3PUFAsおよびPDE4阻害薬を併用した治療効果 が、併用の場合と同じ用量のω3PUFAsおよびPDE4 阻害薬を個々に用いて得られる治療効果の和 よりも大きな効果を得られるような使用態様 も望ましい。
 また、ω3PUFAsおよび/またはPDE4阻害薬単独の 用量が、治療効果を得るには不十分な用量で あって、ω3PUFAsおよびPDE4阻害薬を併用した際 の副作用が、併用の場合と同じ用量のω3PUFAs よびPDE4阻害薬を個々に用いて発現する副作 用の和よりも小さいような使用態様も望まし い。

 ω3PUFAs単独の用量が、治療効果を得るには 十分な用量とは、患者の個々の状態や体型 より変動し、限定されるものではないが、 えば、EPA-Eおよび/またはDHA-Eの場合、1日あ りの投与量が、0.1g以上2g未満、好ましくは0. 2g以上1.8g以下、さらに好ましくは0.3g以上~0.9g 以下、また好ましくは、0.3g以上~0.6g以下であ る。
 PDE4阻害薬単独の用量が、治療効果を得るに は不十分な用量とは、患者の個々の状態や体 型により変動し、限定されるものではないが 、例えば、化合物1の1日あたりの投与量が0.2m g未満であり、好ましくは0.002mg以上0.15mg以下 より好ましくは0.005mg以上0.1mg以下、さらに ましくは0.01mg以上0.05mg以下、化合物2あるい は3の1日あたりの投与量が0.1mg未満であり、 ましくは0.001mg以上0.08mg以下、より好ましく 0.002mg以上0.05mg以下、さらに好ましくは0.005m g以上0.02mg以下、シロミラストの1日あたりの 与量が10mg未満であり、好ましくは0.1mg以上8 mg以下、より好ましくは0.2mg以上5mg以下、さ に好ましくは0.5mg以上2mg以下、ロフルミラス トの1日あたりの投与量が0.2mg未満であり、好 ましくは0.002mg以上0.15mg以下、より好ましく 0.005mg以上0.1mg以下、さらに好ましくは0.01mg 上0.05mg以下が例示される。
 本発明の効果は、PDE4阻害薬単独で抗炎症作 用を示す用量より少ない低用量で現れること が期待される。

 ω3PUFAsおよびPDE4阻害薬の投与量の比率は 特に限定されないが、好ましいω3PUFAsとPDE4 害薬の投与量の比率は、ω3PUFAs:化合物1=200~9 0000:1、好ましくは300~30000:1、さらに好ましく 、500~10000:1、最も好ましくは1000~6000:1、ω3PUF As:化合物2あるいは3=400~180000:1、好ましくは600 ~60000:1、さらに好ましくは、1000~20000:1、最も ましくは2000~12000:1、ω3PUFAs:シロミラスト=4~1 800:1、好ましくは6~600:1、さらに好ましくは、 10~200:1、最も好ましくは20~120:1、ω3PUFAs:ロフ ミラスト=200~90000:1、好ましくは300~30000:1、さ らに好ましくは、500~10000:1、最も好ましくは1 000~6000:1、が例示され、PDE4阻害薬による副作 軽減の観点ではPDE4阻害薬の量をさらに1/2~1/ 10量とすることもできる。配合剤とする場合 も、この比率で配合されることが望ましい

 PDE4阻害薬およびω3PUFAsの1日投与量、投与 回数あるいは投与比率は、肝繊維化の程度、 血清ASTやALTの減少、AST/ALT比の減少、アディ ネクチンの増加、TNFαやILの減少や好中球数 減少や血中酸化ストレスマーカーの減少、H OMA-IR改善などの検査値あるいは患者の嘔吐や 嘔吐感の有無を確認しながら適宜増減できる 。例えば、PDE4阻害薬を単独で投与したとき 血清ALT値を測定し、この測定値を指標にし 、その後、PDE4阻害薬の投与量を減少してω3P UFAsの投与を開始し、本発明の治療効果を得 こともできる。本発明の予防/改善または治 薬を用いた場合の各種副作用発現は、本発 と同じ治療効果を得るためにPDE4阻害薬単独 投与で必要とする用量で発現する副作用、例 えば嘔吐や嘔吐感の発現頻度、を超えないこ とが望ましい。

 本発明のNASHの予防/改善または治療薬は 有効成分を化合物(精製の際に不可避的に含 れる他の成分を含む場合もある)をそのまま 投与するか、或いは一般的に用いられる適当 な担体または媒体、賦形剤、結合剤、滑沢剤 、着色剤、香味剤、必要に応じて滅菌水や植 物油、更には無害性有機溶媒あるいは無害性 溶解補助剤(たとえばグリセリン、プロピレ グリコール)、乳化剤、懸濁化剤(例えばツイ ーン80、アラビアゴム溶液)、等張化剤、pH調 剤、安定化剤、無痛化剤、嬌味剤、着香剤 保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、着色剤などの 加剤と適宜選択組み合わせて適当な医薬用 剤に調製することができる。添加剤として たとえば乳糖、部分α化デンプン、ヒドロ シプロピルセルロース、マクロゴール、ト フェロール、硬化油、ショ糖脂肪酸エステ 、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 化チタン、タルク、ジメチルポリシロキサ 、二酸化ケイ素、カルナウバロウなどを含 しうる。

 特に、ω3PUFAsは高度に不飽和であるため 抗酸化剤たとえばブチレート化ヒドロキシ ルエン、ブレチート化ヒドロキシアニソー 、プロピルガレート、没食子酸、医薬とし 許容されうるキノンおよびα-トコフェロー から選ばれる少なくとも1種を抗酸化剤とし 有効量含有させることが望ましい。

 製剤の剤形は、本発明の有効成分の併用 態によっても異なり、特に限定されないが 経口製剤としては、例えば、錠剤、フィル コーティング錠、カプセル剤、マイクロカ セル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、経口用液 製剤、シロップ剤、ゼリー剤、吸入剤の形 、非経口製剤としては、例えば、軟膏、坐 、注射剤(乳濁性、懸濁性、非水性)あるい 用時乳濁または懸濁して用いる固形注射剤 輸液製剤、経皮吸収剤などの外用剤で、経 および静脈内あるいは動脈内、吸入、直腸 、膣内あるいは外用を問わず患者に投与さ るが、経口服用できる患者に対しては、簡 な経口製剤が望ましく、とりわけカプセル とえば、軟質カプセルやマイクロカプセル 封入して、あるいは錠剤、フィルムコーテ ング錠での経口投与が好ましい。また、腸 製剤や徐放化製剤として経口投与してもよ 、透析患者や嚥下困難な患者などにはゼリ 剤として経口投与することも好ましい。

 本発明の予防/改善または治療薬は、両薬 剤を別々に製剤して得られる2種類の製剤を み合わせて使用する場合には、それぞれ公 の方法により製剤化する。また、本発明の 防/改善または治療薬は、ω3PUFAsとPDE4阻害薬 を有効成分とする配合剤とすることができ 。

 配合剤の有効成分として、第三の薬剤を含 することも可能である。第三の薬剤は特に 定されないが、本発明の効果を減弱しない とが好ましく、例えば、肝庇護剤、血糖降 剤、高脂血症治療薬、降圧剤、抗酸化剤、 炎症剤などが例示される。
 ここで肝庇護剤としては、例えば、ウルソ オキシコール酸やベタインが挙げられる。 、血糖降下剤としては、例えば、インスリ やインスリン誘導体、トルブタミド、グリ ラジド、グリベンクラミド、グリメピリド ようなスルホニルウレア剤、ナテグリニド レパグリニド、ミチグリニドのような速効 インスリン分泌促進剤、アカルボース、ボ リボース、ミグリトールのようなαグルコ ダーゼ阻害剤、ピオグリタゾン、ロジグリ ゾン、トログリタゾンのようなチアゾリジ 類、メトホルミン、ブホルミンのようなビ アナイド系血糖効果薬等が挙げられる。又 高脂血症治療薬としては、例えば、プラバ タチン、シンバスタチン、アトルバスタチ 、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロス スタチン、セリバスタチンのようなHMG-CoA還 酵素阻害剤やシンフィブラート、クロフィ ラート、クリノフィブラート、ベザフィブ ート、フェノフィブラートのようなフィブ ート系薬剤、あるいはオルリスタットのよ な脂肪分解酵素阻害剤、エゼチミブが挙げ れる。又、降圧剤としては、例えば、カプ プリル、アラセプリル、イミダプリル、エ ラプリル、シラザプリル、テモカプリル、 ラプリル、リシノプリル、ベナゼプリルの うなアンジオテンシン変換酵素阻害剤、ロ ルタン、バルサルタン、カンデサルタン、 ルミサルタン、オルメサルタン、イルベサ タン、エプロサルタンのようなアンジオテ シン受容体拮抗剤、アリスキレンのような ニン阻害剤、アムロジピン、ニフェジピン ベニジピン、ニカルジピン、ニルバジピン シルニジピン、アゼルニジピン、マニジピ 、ニトレンジピン、パルニジピン、ニソル ピン、エホニジピン、フェロジピン、アラ ジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、ベプ ジルのようなカルシウム拮抗剤等が挙げら る。又、抗酸化剤としては、例えば、ビタ ンCやビタミンE等のビタミン類、Nアセチル ステイン、プロブコールなどが挙げられる 又、抗炎症剤としては、例えば、ペントキ フィリン等のサイトカイン産生抑制剤、ロ コトリエン受容体拮抗剤、ロイコトリエン 合成阻害剤、アスピリンのようなNSAIDs、COX- 2選択的阻害剤、M2/M3拮抗剤、コルチコステロ イド、ファルネシル酸プレドニゾロンなどの ステロイド、Hi(ヒスタミン)受容体拮抗剤、 ラゾスルファピリジン、メサラジンなどの ミノサリチル酸、等が挙げられる。又、免 抑制剤としては、例えば、アザチオプリン 6-メルカプトプリン、タクロリムスなどが挙 げられる。又、C型肝炎ウイルス(HCV)用の抗ウ イルス薬としては、例えば、インターフェロ ン、プロテアーゼ阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤 、ポリメラーゼ阻害剤などが挙げられる。

 配合剤の剤形は、特に限定されず、経口製 としては、例えば、錠剤、フィルムコーテ ング錠、カプセル剤、マイクロカプセル剤 顆粒剤、細粒剤、散剤、経口用液体製剤、 ロップ剤、ゼリー剤の形で、非経口製剤と ては、例えば、注射剤、輸液製剤、経皮吸 剤などの外用剤で患者に投与される。例え 、徐放化した製剤、あるいは、2剤を時間差 で放出する製剤なども含む。
 本発明の配合剤は、有効成分に加え、薬学 に許容され得る賦形剤を含むことができる 適宜、公知の抗酸化剤、コーティング剤、 ル化剤、嬌味剤、着香剤、保存剤、抗酸化 、乳化剤、pH調整剤、緩衝剤、着色剤など 含有させてもよい。

 本発明の配合剤は、常法に従って製剤化 ることが可能である。ω3PUFAsの粉末は、例 ば、(A)EPA-E、(B)食物繊維、(C)デンプン加水分 解物及び/または低糖化還元デンプン分解物 及び(D)水溶性抗酸化剤を含有する水中油型 化液を、高真空下で乾燥させ、粉砕処理す (特開平10-99046)など公知の方法により得られ 。得られたEPA-Eの粉体と、PDE4阻害薬の粉体 を用いて、常法に従い、顆粒剤、細粒剤、 剤、錠剤、フィルムコーティング錠、チュ ブル錠、徐放錠、口腔内崩壊錠(OD錠)などを 得ることができる。チュアブル錠であれば、 例えば、EPA-Eをヒドロキシプロピルメチルセ ロースなどの水溶性高分子溶液中に乳化し 得られた乳化液を乳糖などの添加剤に噴霧 て粉粒体を得(特開平8-157362)、PDE4阻害薬の 体と混合して打錠することなど公知の方法 より得ることができる。徐放錠であれば、 えば(1)EPA-EおよびPDE4阻害薬のいずれかを内 に、他方を外層に形成する、(2)各成分を含 する円盤状のマトリックスを2層に重ねる、( 3)一成分を含有する粒状カプセルを他方の成 を含有するマトリックス中に埋め込む、(4) 剤を予め混合した後に何らかの徐放のため 工夫が施される、などが挙げられる。各有 成分は放出速度を調整されていることが望 しく、両剤同時に放出されてもよいし、別 に時間差で放出されてもよい。口腔内崩壊 であれば、例えば特開平8-333243など、口腔 フィルム製剤であれば、例えば特開2005-21124 ど、公知の方法に準じて製造することがで る。PDE4阻害薬の多くは単純にはω3PUFAsに溶 しないため、例えば、軟カプセル剤、液剤 どにする場合には実施例に記載の工夫が必 である。本発明の配合剤は、このようにω3P UFAsとPDE4阻害薬とを1剤に配合するための工夫 をしている製剤を含む。

 本発明の配合剤は、有効成分の薬理作用 発現できるように、放出、吸収されること 望ましい。本発明の配合剤は、有効成分の 出性に優れる、有効成分の吸収性に優れる 有効成分の分散性に優れる、配合剤の保存 定性に優れる、患者の服用利便性、あるい コンプライアンスに優れる製剤の少なくと いずれか1以上の効果を持つことが望ましい 。

 本発明の予防/改善または治療薬は、動物と りわけ哺乳動物のNAFLD、特にNASHの予防/改善 たは治療、再発予防あるいは肝硬変や肝癌 の進行抑制に有効である。哺乳動物とは、 えば、ヒトやウシ、ウマ、ブタなどの家畜 物やイヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス どの家庭用動物等があげられ、好ましくは トである。特に、TNFα、ILなどのアディポサ トカインや高感度CRP、好中球数、繊維化マ カー(IV型コラーゲン、ヒアルロン酸、TIMP-1 )や血中酸化ストレスマーカー(フェリチン チオレドキシン)が増加しているNASH患者にお いて相乗的なNASHの予防/改善または治療効果 示すことが期待される。また、PDE4阻害薬に よる嘔吐などの副作用を軽減することができ 、また、これらの副作用のためにPDE4阻害薬 与を行えなかった患者や中断せざるを得な った患者において治療を継続することがで る。
 また、配合剤やキット剤とすることで患者 服薬の負担を軽減し、服薬コンプライアン を高めることで更に予防/改善または治療効 果を高めることができる。

 次に本発明を実施例により具体的に説明す が、本発明はこれら実施例に限定されるも ではない。
(実験例1)
メチオニン・コリン欠乏食ラットにおける有 効性
 NASH様の肝病変をきたすことが知られている メチオニン・コリン欠乏食(以下、MCD食と記 )負荷ラットを用いてEPA-Eおよび/または化合 3の肝障害および線維化に対する薬理作用を 確認する。
 7週令の雄性ウイスターラットを通常食(F-1 船橋農場)あるいはMCD食(Dyets社)を20週間自由 取させて12時間明暗周期、23℃で飼育する。 正常群(通常食負荷)、対照群(MCD食負荷)、EPA-E 群(MCD食負荷+EPA-E投与)、化合物3群(MCD食負荷+ 合物3投与)および併用群(MCD食負荷+EPA-E投与+ 化合物3投与)の5群(各群20匹)を設定する。飼 期間中、EPA-E群にはEPA-Eを1000mg/kg、化合物3群 には化合物3を0.3mg/kgおよび併用群にはEPA-E1000 mg/kgおよび化合物3を0.3mg/kgを5%アラビアゴム 溶液に懸濁して1日1回経口投与する。正常群 および対照群には5%アラビアゴム水溶液を1日 1回経口投与する。20週間飼育後、採血して血 漿中の生化学検査および肝臓の病理学的検査 を行う。

 対照群は正常群に比べて、血漿中のAST、ALT 総ビリルビン、アルブミン、総蛋白質、コ ンエステラーゼ、IV型コラーゲン、ヒアル ン酸、TIMP-1量が有意に増加し、また、肝臓 マッソントリクローム染色による線維化面 、ハイドロキシプロリン含量が有意に増加 てNASH様肝病変を呈する。
 EPA-E群は対照群に比べて、血漿中のAST、ALT 総ビリルビン、アルブミン、総蛋白質、コ ンエステラーゼ、IV型コラーゲン、ヒアルロ ン酸、TIMP-1量の増加および肝臓の線維化面積 、ハイドロキシプロリン含量の増加を抑制す る。
 また、化合物3群もEPA-E群と同様の効果が認 られる。上記パラメーターの増加抑制効果 おいて、併用群はEPA-E群および化合物3群個 で得られる治療効果の和よりも大きい効果 認められる。よって本発明の予防/改善また は治療薬はNASHの予防/改善または治療等に有 である。

(実験例2)
メチオニン・コリン欠乏食糖尿病モデルマウ スにおける有効性
 NASH様の肝病変をきたすことが知られている メチオニン・コリン欠乏食(以下、MCD食と記 )負荷食糖尿病モデルラットを用いてEPA-Eお び/または化合物1の肝障害および線維化に対 する薬理作用を確認する。
 7週令の雄性db/dbマウス(日本チャールズ・リ バー株式会社)を通常食(F-1、船橋農場)あるい はMCD食(Dyets社)を2週間自由摂取させて12時間 暗周期、23℃で飼育する。正常群(通常食負 )、対照群(MCD食負荷)、EPA-E群(MCD食負荷+EPA-E 与)、化合物1群(MCD食負荷+化合物1投与)およ 併用群(MCD食負荷+EPA-E投与+化合物1投与)の5群 (各群20匹)を設定する。飼育期間中、EPA-E群に はEPA-Eを1000mg/kg、化合物1群には化合物1を1mg/k gおよび併用群にはEPA-E1000mg/kgおよび化合物1 1mg/kgを5%アラビアゴム水溶液に懸濁して1日1 経口投与する。正常群および対照群には5% ラビアゴム水溶液を1日1回経口投与する。2 間飼育後、HOMA-IR測定および採血して血漿中 生化学検査を行う。

 対照群は正常群に比べて、HOMA-IRの増悪、血 漿中のAST、ALT、IV型コラーゲン、ヒアルロン 、TIMP-1量が有意に増加する。
EPA-E群は対照群に比べて、血漿中のAST、ALT量 増加を抑制し、IV型コラーゲン、ヒアルロ 酸、TIMP-1量の増加を抑制する。
 また、化合物1群もEPA-E群と同様の効果を示 。上記パラメーターの改善効果において、 用群はEPA-E群およびPDE4阻害薬群個々で得ら る治療効果の和よりも大きい効果が認めら る。よって本発明の予防/改善または治療薬 はNASHの予防/改善または治療等に有用である

(実験例3)
高脂肪高ショ糖食摂取ラットにおける有効性
 4週齢の雄性SD系ラットを通常食(F-1、船橋農 場)あるいは高脂肪高ショ糖食(TD88137、Harlan T eklad社、以下、HF食と記す)を4週間自由摂取さ せて12時間明暗周期、23℃で飼育する。正常 (通常食負荷)、対照群(HF食負荷)、EPA-E群(HF食 負荷+EPA-E投与)、化合物2群(HF食負荷+化合物2 与)および併用群(HF食負荷+EPA-E投与+化合物2 与)の5群(各群10匹)を設定する。飼育期間中 EPA-E群にはEPA-Eを1000mg/kg、化合物2群には化合 物2を1mg/kgおよび併用群にはEPA-E1000mg/kgおよび 化合物2を1mg/kgを5%アラビアゴム水溶液に懸濁 して1日1回経口投与する。正常群および対照 には5%アラビアゴム水溶液を1日1回経口投与 する。4週間飼育後、採血して好中球数測定 よび血漿中の生化学検査を行う。

 対照群は正常群に比べて、血漿中のAST、ALT が有意に増加し、また、好中球数、TNFα、IL -6、高感度CRPが増加する。また、フェリチン チオレドキシン、IV型コラーゲンが増加す 。
 EPA-E群および化合物2群は対照群に比べて、 漿中のAST、ALT量の増加を抑制し、好中球数 TNFα、IL-6、高感度CRP、フェリチン、チオレ キシン、IV型コラーゲンの増加を抑制する
 上記パラメーターの改善効果において、併 群はEPA-E群および化合物2群個々で得られる 療効果の和よりも大きい効果が認められる よって本発明の予防/改善または治療薬はNAS Hの予防/改善または治療等に有用である。

(実験例4)
 NASHと確定診断された患者を3群(各群20名)に けて、EPA-E群にはエパデールS(登録商標)900(E PA-E900mg含有)を1日2回、化合物3群には化合物3 0.2mg含有するカプセルを1日2回、併用群には エパデールS(登録商標)900および化合物3を0.2mg 含有するカプセルをそれぞれ1日2回服用させ 。化合物3は1日に1回0.2mg投与で開始し、投 開始後5週目以降は1日2回合計0.4mg服用まで、 患者の状況に応じて投与量を適宜増減する。 患者のクライテリア、モニタリング、組織検 査、統計学的解析等はAm. J. Gastroenterol. 2001;  96: 2711-2717の方法に準じ、1年間の投与期間 経時的にALT、AST等の血液生化学検査を行う 共に、投与終了後に肝生検を行い、組織学 評価を行う。

 いずれの群のNASH患者の血中ALT、AST等の血 液生化学パラメーターは治療前に比べ低下す る。又肝組織の病理学的検査像は、投与前に 比べ、Bruntの方法による脂肪蓄積のグレード 炎症グレード、線維化ステージの総合的評 で改善する。各々の指標は併用群において 乗的に改善される。また、併用群では化合 3群に比べて化合物3の投与量増加が少なく 嘔吐などの副作用発現が抑制される。よっ 本発明の予防/改善または治療薬はNASHの予防 /改善または治療に有用であり、かつ化合物3 よる嘔吐などの副作用軽減に有用である。

 常法に従い、化合物1ないし3およびEPA-Eの配 合剤を製造する。
(製剤例1)軟カプセル剤

 上記表1の組成の濃グリセリン、化合物1お び精製水を加えて撹拌し、水酸化ナトリウ を用いてpHを7付近に調整する。この液にゼ チンおよびD-ソルビトールを添加し60℃に加 ・攪拌して溶解させる。この溶解液を減圧 泡した後、精製水で粘度を調整して軟カプ ル剤皮用液を得る。この軟カプセル剤皮用 と、EPA-Eを用いて、1カプセルあたりEPA-Eと て300mg、化合物1として50μg含有する軟カプセ ルを得る。
 同様にして、化合物1に換えて化合物2を30μg 、化合物3を20μg、シロミラストを2.5mgあるい ロフルミラストを50μgを用いて、軟カプセ を得る。

(製剤例2)軟カプセル剤

 上記表2のBの組成の濃グリセリンに水を加 、さらに、ゼラチンおよびD-ソルビトールを 添加し60℃に加温・攪拌して溶解させる。こ 溶解液を減圧脱泡した後、精製水で粘度を 整して軟カプセル剤皮用液を得る。上記Aの 組成のEPA-Eに微粉砕した化合物3を混合して均 一に分散し、軟カプセル内容液を得る。これ らの軟カプセル剤皮用液および軟カプセル内 容液を用いて、1カプセルあたりEPA-Eとして300 mg、化合物1として100μgを含有する軟カプセル を得る。
 同様にして、化合物1に換えて化合物2を50μg 、化合物3を50μg、シロミラストを5mgあるいは ロフルミラストを100μgを用いて、軟カプセル を得る。

(製剤例3)液剤

 上記表3のBの組成の各成分に精製水を加え 溶解し、水酸化ナトリウムでpHを7付近に調 する。この液にAの各成分を加え、減圧下、 速で撹拌して得られる乳化液を、アルミラ ネートフィルム製スティック包装に9gずつ 注し、包装内部を窒素置換して密封し、1包 たりEPA-Eとして1800mg、化合物1として500μgを 有する液剤を得る。
 同様にして、化合物1に換えて化合物2を200μ gあるいは化合物3を100μg用いて液剤を得る。

(製剤例4)ゼリー剤

 上記表4のBの組成の各成分に精製水を加え 溶解し、水酸化ナトリウムでpHを7付近に調 する。この液に組成Aの各成分を加え、減圧 、高速で撹拌して乳化液を得る。この乳化 を85℃に加温し、組成Cの各成分を混合撹拌 て均一分散した液を加え、均一に練合する この調製液を、アルミラミネートフィルム スティック包装に9gずつ分注し、包装内部 窒素置換して密封した後、冷却固化し、1包 たりEPA-Eとして1800mg、化合物1として200μgを 有するゼリー剤を得る。
 同様にして、化合物1に換えて化合物2を100μ gあるいは化合物3を50μg用いてゼリー剤を得 。

 本発明の、ω3PUFAs、その製薬学上許容しう 塩およびエステルからなる群から選ばれる なくとも1つ、並びに、PDE4阻害薬を有効成分 として併用する、NASHの予防/改善または治療 は、各々単独で使用した場合に比べて相乗 なNASHの予防/改善または治療効果を示すこ が期待される。特に、炎症の亢進している 者など、TNFα、ILなどのアディポサイトカイ や高感度CRP、好中球数、繊維化マーカー(IV コラーゲン、ヒアルロン酸、TIMP-1等)や血中 酸化ストレスマーカー(フェリチン、チオレ キシン)が増加しているNASH患者において相乗 的なNASHの予防/改善または治療効果を示すこ が期待される。炎症の亢進していないNASH患 者においても、少量のHMG-CoA還元酵素阻害薬 の併用により、顕著な病態改善が期待され 。本発明により嘔吐や嘔吐感の副作用発現 少ないことが期待されるPDE4B特異性の高いPDE 4阻害薬を用いることができ、また、各有効 分を単独で使用する場合の投与量を減少さ ることが可能であり、特にPDE4阻害薬による 吐などの副作用を軽減することができ、ま 、これらの副作用のためにPDE4阻害薬投与を 行えなかった患者や中断せざるを得なかった 患者において治療を継続することができる。
 また、配合剤やキット剤とすることで患者 服薬の負担を軽減し、服薬コンプライアン を高めることで更に予防/改善または治療効 果を高めることができる。




 
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