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Patent Searching and Data


Title:
THERMOPLASTIC ELASTOMER COMPOSITION HAVING HIERARCHICAL STRUCTURE AND PROCESS FOR THE PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026509
Kind Code:
A1
Abstract:
A novel composition consisting of a thermoplastic elastomer and a thermotropic liquid crystal polymer which is characterized in that: (1) the composition is flexible and has excellent rubber elasticity, elongation and breaking strength and (2) the composition contains unidirectionally oriented fibrous bundles composed of arranged molecular chains of the thermotropic liquid crystal polymer, and has a hierarchical structure with molecular orientation in the direction of orientation of the fibrous bundles; flexibility; and such anisotropy that the breaking strength, modulus of elasticity, rubber elasticity, elongation and thermal expansion coefficient in the direction of orientation of the bundles are different respectively from those in the direction perpendicular thereto. The composition can be obtained by melt-kneading a thermoplastic elastomer composition comprising (a) 98 to 60wt% of a thermoplastic elastomer and (b) 2 to 40wt% of a thermotropic liquid crystal polymer at a temperature equal to or higher than the melting point of the elastomer and either (1) at a temperature equal to or higher than the melting point of the thermotropic liquid crystal polymer or (2) while applying shearing strain.

Inventors:
LI YONGJIN (JP)
NAKAYAMA KAZUO (JP)
IWAKURA YUUKO (JP)
SHIMIZU HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066407
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 24, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
LI YONGJIN (JP)
NAKAYAMA KAZUO (JP)
IWAKURA YUUKO (JP)
SHIMIZU HIROSHI (JP)
International Classes:
C08L101/12; B29B7/10; B29B7/46; B29C43/24; B29C45/00; B29C48/05; B29C48/06; B29C48/08; B29C48/09; C08J5/00; C08L23/00; C08L53/02; C08L75/04; B29K23/00; B29K25/00; B29K75/00
Foreign References:
JP2002348487A2002-12-04
JPH09263701A1997-10-07
JPH02247679A1990-10-03
JP2001247785A2001-09-11
JP2000053849A2000-02-22
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Claims:
 (a)熱可塑性エラストマー98~60重量%及び(b)サーモトロピック液晶性高分子2~40重量%からなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
 前記熱可塑性エラストマー組成物を、熱可塑性エラストマーの融点以上で、かつ、サーモトロピック液晶性高分子の融点以上で溶融混練して得られることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性があり、優れたゴム弾性、伸び、及び破断強さを有することを特徴とする請求項2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記熱可塑性エラストマー組成物を、熱可塑性エラストマーの融点以上で、かつ、サーモトロピック液晶性高分子の融点以上の温度でせん断変形を付加しながら溶融混練して得られることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性があり、優れたゴム弾性、伸び、及び破断強さを有すると共に、サーモトロピック液晶高分子の分子鎖が配列した繊維状束が一方向に配向しており、サーモトロピック液晶性高分子の繊維状束の配向方向に分子配向した階層構造を有し、柔軟性があり、破壊強さ、弾性率、ゴム弾性、伸び、及び熱膨張係数の物性値が繊維束の配向方向とそれに直角方向で相違する異方性を有することを特徴とする請求項4記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 熱可塑性エラストマーが、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1個とからなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1個とからなるブロック共重合体で、SBS、SEBS、SIS、SBBSなどから選ばれた共重合体であることを特徴とする請求項6記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 熱可塑性エラストマーが、ポリウレタンであることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記溶融混練を、バッチ式混練機を用いて行うことを特徴とする請求項2又は3記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記溶融混練を、二軸式押出機を用いて行うことを特徴とする請求項2又は3記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記溶融混練を、バッチ式混練機又は二軸押出機から選ばれた溶融混練機を用いて行うことを特徴とする請求項2又は3記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記せん断変形を付加しながら溶融混練することが、バッチ式混練機又は二軸押出機から選ばれた溶融混練機を用いて混練した後、ダイから押出すことを特徴とする請求項4又は5記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 前記せん断変形を付加しながら溶融混練することが、バッチ式混練機又は二軸押出機から選ばれた溶融混練機を用いて混練した後、射出成形して得られることを特徴とする請求項4又は5記載の熱可塑性エラストマー組成物。
 請求項1から請求項13いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物を押出成形又はプレス成形により成形加工して得られることを特徴とするフィルム。
 請求項1から請求項13いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形又は押出成形、プレス成形により成形加工して得られることを特徴とするシート。
 請求項1から請求項13いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物を押出成形により成形加工して得られることを特徴とするストランド。
 請求項1から請求項13いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形又は押出成形により成形加工して得られることを特徴とする棒状体。
 請求項1から請求項13いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形又は押出成形により成形加工して得られることを特徴とするチューブ。
 請求項1から請求項13いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形又は押出成形により成形加工して得られることを特徴とする型成形品。
Description:
階層構造をもつ熱可塑性エラス マー組成物とその製造方法

 本発明は、熱可塑性エラストマーとサー トロピック液晶性高分子からなる新規な熱 塑性エラストマー組成物に関するものであ 。

 熱可塑性エラストマーは、加熱すれば流動 て通常の熱可塑性プラスチック同様の成形 工ができ、常温ではゴム弾性を示す材料を う。構造はゴム分子或いはポリエーテルの うなソフトセグメントと、常温付近では加 ゴムと同じく、塑性変形を防止するハード グメントからなっている。
 その特徴としては、自己補強性を有するこ 、架橋工程が不要、配合が簡素化できる、 橋ゴムとプラスチックの中間の物性をもっ いる、リサイクルが可能であることがあげ れている(非特許文献1)。

 熱可塑性エラストマーは、自動車、建築、 び医療分野などの各種産業分野で広く使用 れている。使用用途に応じてエラストマー しての特性に加えて他の特性を付与するこ が行われる。
 その特性は以下のとおりである。
 (1)熱可塑性エラストマー自身の力学的性質 しては、耐久性や耐熱性を向上させる必要 ある場合及び伸縮性や弾性率を高めること 要求される場合がある。このような場合に 、従来、フィラーを添加することや、強化 維を充てんすることが行われる。この解決 段は均一系で解決するものではなく、これ 均一系の組成物の状態で解決することが求 られている。
 (2)前記の場合には成形加工性という点でも 分には改善されていない。具体的には、成 時の溶融粘度が改善されていないので、流 性が十分でなく、容易に成形ができること 求められている。
 (3)従来エラストマーは三次元エラストマー 形品の形状として用いられる。このエラス マー成形品は全ての方向に等方性の特性を すことが一般的とされるが、高度の材料が 求される現状にあっては、異方性をもつエ ストマーが必要とされている。
 異方性をもつエラストマーとは、方向に応 て異なる物理的特性を示すものを言う。例 ば、1方向に沿っては、プラスチックとして の特性(高い弾性率、低い破断伸びなど)を示 、他の方向に沿っては、ゴムとしての特性( 低い弾性率、高い破断伸び、優れたゴム弾性 )を示すことが要求される。
 従来、異方性のエラストマー材料を製造す うえで、いくつかの方法が提案されている 例えば、ナイロン繊維やポリエステル繊維 一方向に並べて、エラストマーと複合する とが行われる(特許文献1)。織物で強化した ラストマーを積層した複合シートでは、3- 向で異方性を示す材料が得られる(特許文献2 )。また、有機繊維や無機繊維で強化し、エ ストマーの力学的性質を改善する方法も開 されている(例えば、特許文献3から5)。
 このような充てん物の配列、短繊維の配列 は、種々な技術的な困難、例えば、混合物 の粘性の増加、機械の磨耗の問題があり、 の点を根本的に解決しなければ、異方性を 与しようとすることができないという背景 あり、従来法とは相違する解決が求められ いる。繊維状のものをもちいるのではなく 均一系のプラスチック材料を用いた解決手 が求められている。

 プラスチック成形加工に際し、サーモトロ ック液晶性高分子では、成形時に剛直な分 鎖を繊維状に配列すると、液晶性高分子の 来もっている性質が発揮することが知られ いる(非特許文献2)。また、液晶性高分子は 融時に低粘度を示すことが知られている。 のことから、液晶性高分子と熱可塑性プラ チックをブレンドして、プラスチックの力 的性質(特に、剛性の改善)と寸法安定性を 善することが行われている。しかしながら 用いる原料物質は熱可塑性プラスチックに 定され、この異方性のエラストマー材料に では技術的な完成を見ていない。

特表2002-510729号公報

特開2001-62946号公報

特開平4-166328号公報

特開2000-143875号公報

USP4835047号明細書 プラスチック Vol.54、No.3、p1から11 高分子加工 Vol.42、No.2、p33から38

 本発明が解決しようとする課題は以下の通 である。
 (1)従来知られている熱可塑性エラストマー 成物に他の熱可塑性樹脂を添加して得られ 新規な熱可塑性エラストマーを提供するこ である。
 (2)前記(1)の新規な熱可塑性エラストマーに いて、従来知られている熱可塑性エラスト ー組成物に比較して改良された物理的特性 有する新規な熱可塑性エラストマーを提供 ることである。
 (3)前記(1)の新規な熱可塑性エラストマーに いて、従来知られている熱可塑性エラスト ー組成物に比較して物理的特性が改良され 特性に加えて、従来知られている熱可塑性 ラストマー組成物が有していない新しい物 的な特性を有する新規な熱可塑性エラスト ーを提供することである。

 本発明者らは、前記課題について研究を進 、以下のことを見出して、本発明を完成さ た。
 (1)従来知られている熱可塑性エラストマー 成物に、他の熱可塑性樹脂として、サーモ ロピック液晶性高分子を添加することによ 、「(a)熱可塑性エラストマー98~60重量%、及 (b)サーモトロピック液晶性高分子2~40重量% らなる」新規な熱可塑性エラストマーを得 ことができる。
 (2)従来知られている熱可塑性エラストマー 成物に、他の熱可塑性樹脂として、サーモ ロピック液晶性高分子を添加して得られる 規な熱可塑性エラストマーである、「(a)熱 塑性エラストマー98~60重量%、及び(b)サーモ ロピック液晶性高分子2~40重量%からなる」 可塑性エラストマーを、「熱可塑性エラス マーの融点以上で、かつ、サーモトロピッ 液晶性高分子の融点以上で溶融混練する」 とにより、「サーモトロピック液晶性高分 が、液晶性高分子の分子鎖が互いに配列し ドメインを形成し、マトリックスの熱可塑 エラストマー中に均一に分散した熱可塑性 ラストマー組成物」を得ることができる。
 このために、熱可塑性エラストマーのみか なる組成物と比較して、「液晶性高分子の つ剛直な性質が反映し、耐久性や耐熱性を 上し、伸縮性や弾性率を高めた組成物であ 、成形時の溶融粘度が改善し、流動性を十 とし、容易に成形ができる」物理的特性を する熱可塑性エラストマーとしての特性を 与することができる。
 (3)従来知られている熱可塑性エラストマー 成物に、他の熱可塑性樹脂として、サーモ ロピック液晶性高分子を添加して得られる 規な熱可塑性エラストマーである、「(a)熱 塑性エラストマー98~60重量%、及び(b)サーモ ロピック液晶性高分子2~40重量%からなる」 、「熱可塑性エラストマーの融点以上で、 つ、サーモトロピック液晶性高分子の融点 上で溶融混練して」、「せん断変形を付加 ながら、溶融混練する」ことにより、「サ モトロピック液晶性高分子が、液晶性高分 の分子鎖が互いに配列したドメインを形成 、マトリックスの熱可塑性エラストマー中 均一に分散した構造とし」、従来知られて る「熱可塑性エラストマー組成物に比較し 、耐久性や耐熱性を向上し、伸縮性や強度 高めた物理的特性を付与でき」、更に、「 ーモトロピック液晶高分子の分子鎖が配列 た繊維状束が一方向に配向しており、サー トロピック液晶性高分子の繊維状束の配向 向に分子配向した階層構造を有し、柔軟性 あり、破壊強さ、弾性率、ゴム弾性、伸び 及び熱膨張係数の物性値が繊維束の配向方 とそれに直角方向で相違する異方性を有す 」新規な物理的特性を有する熱可塑性エラ トマーを得ることができる。
 (4)上記の熱可塑性エラストマーより得られ フィルム、シート、ストランド、棒状物、 ューブ、型成形品などの成形物を、射出成 、押出成形、プレス成形から選ばれた成形 法により成形する製造方法である。
 射出成形を利用することで、構造が安定し 品質の整った成形物を、また、押出成形を 用することで、長尺の成形物を安定的に製 することができるという長所を有する。さ に加えて、これらの成形法により得られる 形物は、リサイクルが可能であり、成形後 あるいは使用後に、再度、前記の特徴を有 る成形物に成形することができる。

 (1)本発明によれば、熱可塑性エラストマー 成物に関し、サーモトロピック液晶性高分 が、液晶性高分子の分子鎖が互いに配列し ドメインを形成し、マトリックスの熱可塑 エラストマー中に均一に分散した構造をも 。このために、熱可塑性エラストマーのみ らなる組成物と比較して、液晶性高分子の つ剛直な性質が反映し、耐久性や耐熱性を 上し、伸縮性や弾性率を高めた組成物であ 、成形時の溶融粘度が改善し、流動性を十 とし、容易に成形が可能である組成物を得 ことができる。
 (2)本発明によれば、熱可塑性エラストマー 成物に関し、サーモトロピック液晶性高分 が、液晶性高分子の分子鎖が互いに配列し ドメインを形成し、マトリックスの熱可塑 エラストマー中に均一に分散した構造をも 組成物とすることができる。このために、 可塑性エラストマーのみからなる組成物と 較して、液晶性高分子のもつ剛直な性質が 映し、耐久性や耐熱性を向上し、伸縮性や 性率を高めた組成物であり、成形時の溶融 度が改善し、流動性を十分とし、容易に成 が可能であることとするほか、さらに熱可 性エラストマーが、液晶性高分子の繊維状 の配向方向に分子配向した階層構造をもち 柔軟性があり、かつ、破壊強さ、弾性率、 ム弾性、伸び、熱膨張係数などの物性値が 維束の配向方向とそれに直角方向で異方性 示す組成物を得ることができる。
 (3)熱可塑性エラストマー組成物を成形する とにより、ある方向では、プラスチックの うな性質を現して、変形に耐え、他の方向 は、優れたエラストマーとしての、柔軟性 ゴム弾性、変形回復などの性質を現す成形 とすることができる。これらの成形体とし は、フィルム、シート、ストランド、棒状 、チューブ、型成形品などがある。
 (4)この成形体を利用して自動車用部品、電 電子部品、パッキン、O-リング、摺動部品 振動吸収部材、免振部材など、各種の製品 製造することができる。

(a)フラッシュゲートをもつ射出成形金 を用いて本発明によるエラストマーを成形 た場合の金型内の溶融流動過程を表す概念 ; (b)階層的な構造で、配列した異方性の熱 塑性エラストマーの構造の概略図(短いロッ ドは成形中に生成した液晶性高分子相を示す 、長いロッドは配列したPSシリンダー構造を す) 射出成形での流動方向に平行な方向と 角方向に沿ったエラストマーの応力-ひずみ 曲線 エラストマーの流動方向に直角方向の ひずみ回復曲線(平行方向の伸びは、100%以 である。) 平行方向と直角方向のエラストマーの 機械特性(DMA)による動的貯蔵弾性率の温度 存性曲線(parallel:流動方向の動的貯蔵弾性率 perpendicular:直角方向の動的貯蔵弾性率) エラストマーの走査型電子顕微鏡(SEM) 真 エラストマーの透過型電子顕微鏡(TEM) 真 Y方向にX線を入射したときの広角X線回 (WAXS)パターン 小角X線散乱(SAXS)パターン (a)Z方向にX を入射したときのSAXSパターン、 (b)Y方向にX 線を入射したときのSAXSパターン ポリウレタン(PU)70部と液晶性高分子30 から得たエラストマーの応力-ひずみ曲線、P arallel:射出方向、Perpendicular:射出方向に直角 向 PU70部と液晶性高分子30部から得たエラ ストマーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真

 [I]本発明は、(a)熱可塑性エラストマー98~60 量%及び(b)サーモトロピック液晶性高分子の2 ~40重量%からなる熱可塑性エラストマー組成 である。
 この熱可塑性エラストマー組成物は、従来 知られている特定量の熱可塑性エラストマ に、従来知られている特定量のサーモトロ ック液晶性高分子樹脂を添加して得られる 規な組成物である。

 前記[I]の(a)熱可塑性エラストマーは、大き 伸び(低い弾性率)を示す柔軟な性質を有し いる。
 押出成形、射出成形などの溶融成形方法に り成形加工処理することができる。
 熱可塑性エラストマーは、物理的な架橋点 ある硬いブロックと、柔らかいブロックで るブロック共重合体により構成される。こ 熱可塑性エラストマーの硬いブロックは非 性でも、結晶性でもよい。
 熱可塑性エラストマーは、単に、柔らかい けでなく、硬いブロックが物理的な架橋点 は、変形を受けるときの固定点となり、主 、柔らかいブロックが大きく変形し、かつ 応力から解放されたときに、ゴム状に変形 回復する必要がある。
 前記(a)熱可塑性エラストマーとしては、(1) 香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロ クの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を 主体とする重合体ブロックの少なくとも1個 からなるブロック共重合体、(2)熱可塑性ポ オレフィンエラストマー、(3)ポリウレタン (4)熱可塑性加硫物を挙げることができる。

 (1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体 ロックの少なくとも2個と、共役ジエン化合 物を主体とする重合体ブロックの少なくとも 1個とからなるブロック共重合体である硬い ロックと柔らかいブロックがそれぞれの役 を十分に果たし、優れたゴム弾性を発揮す 。
 芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブ ックの少なくとも2個と、共役ジエン化合物 を主体とする重合体ブロックの少なくとも1 とからなるブロック共重合体では、熱可塑 エラストマーとしては、具体的には、(イ)ス チレン系(SBC)を用いることができる。スチレ 系(SBC)エラストマーでは、硬いブロックが チレンであり、ソフトセグメントがポリブ ジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、及びこれら を水添したエチレン-ブチレン共重合体(EB)、 チレン-プロピレン共重合体(EP)である。具 的には、SBS、SIS、SEBS、SBBSが最適に使うこと ができる。
 (ロ)この他に、200℃以上、300℃未満の温度 、流動性を示し、成形が可能なオレフィン (TPO)、塩化ビニル系(TPO)、ポリエステル系(TPE E)、ポリアミド系(TPAE)、ポリブタジエン系の のを用いることができる。
 好ましいブロック共重合体は、市販のエラ トマー、例えばSBS、SIS、SEBS、SBBS、さらに 水マレイン酸で化学修飾されたブロック共 合体や、アミノ基、カルボキシ基、エポキ 基などの官能基を有するブロック共重合体 ある。これらのブロック共重合体は、ミク 相分離した構造をもっている。モルホロジ としては、ブロック共重合体の成分によっ 、シリンダー又は、ラメラ状構造である。

 (2)熱可塑性ポリオレフィンエラストマーと ては、以下の通りである。
 熱可塑性ポリオレフィンエラストマーとし は、エチレンとαオレフィンのブロック共 合体を用いることができる。このαオレフィ ンの種類としては、プロピレン、ブテン、オ クテン、ノルボルネンがあり、ジブロックあ るいは、トリブロックの共重合体である。具 体的には、エチレン-プロピレン共重合体や 非共役ジエンモノマーを第3成分にもつEPDMが 最適に使うことができる。
 (3)ポリウレタン・エラストマーとしては、 下の通りである。
 熱可塑性ポリウレタンエラストマーとして 、イソシアネート化合物と鎖延長剤の反応 よるハードセグメントと、イソシアネート 合物とポリオールによるソフトセグメント らなるブロック共重合体である。ソフトセ メントとして、ポリエーテルポリオールを いたポリエーテルポリウレタンと、ソフト グメントとして、ポリエステルポリオール 用いたポリエステルポリウレタンが最適に うことができる。
 (4)熱可塑性加硫物として、(イ)架橋ポリオ フィン、(ロ)架橋ポリアミド、(ハ)架橋ポリ ステルを挙げることができる。全てのこれ のマトリックスとして使われるエラストマ は、好ましくは、300℃未満で成形できる熱 塑性エラストマーが使用できる。

 サーモトロピック液晶性高分子は、溶融成 が可能で、溶融状態で異方性を示す高分子 ある。サーモトロピック液晶性高分子は、 ソゲンと呼ばれる硬直な構造と、スペーサ と呼ばれる構造からなっている。
 一般には、ポリエステル系が多く、硬直鎖 しては、p-ヒドロキシ安息香酸が使用され テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸 2-ヒドロキシ6-ナフトエ酸、ポリエチレンテ レフタレートなどが使われる。
 200℃以上で、溶融成形が可能なサーモトロ ック液晶性高分子としては、原材料がパラ ドロキシ安息香酸(PHB)とポリエチレンテレ タレート(PET)からなる芳香族ポリエステル共 重合体がある。パラヒドロキシ安息香酸とポ リエチレンテレフタレートの割合は、80:20か 、60:40である。

 [II]本発明では、前記[I]の熱可塑性エラスト マー組成物を、熱可塑性エラストマーの融点 以上で、かつ、サーモトロピック液晶性高分 子の融点以上で溶融混練することにより良好 な特性を付与することができる。
 溶融混練の温度は、熱可塑性エラストマー 融点以上で、かつ、サーモトロピック液晶 高分子の融点以上の温度である。
 溶融混練は、前記熱可塑性エラストマー組 物を、熱可塑性エラストマーの融点以上で かつ、サーモトロピック液晶性高分子の融 以上で行う。溶融混練温度の上限は、熱可 性エラストマー及びサーモトロピック液晶 高分子の熱分解温度未満の温度であること 必要であるが、双方の融点以上であれば、 とさら、高い温度に設定する必要はない。 の温度は、一般には、200℃から300℃である
 サーモトロピック液晶性高分子は、剛直な 造もち、分子間力も大きいことから、固体 態から温度を上げていくと溶融し、固体状 からサーモトロピック液晶状態となる。こ 液晶状態では、分子鎖が剛直にもかかわら 、非常に流動しやすくなる。通常のプラス ックと異なり、サーモトロピック液晶性高 子では、融点以上で、易流動性となり、こ 性質を使うことで、熱可塑性エラストマー の溶融混練が可能となる。
 液晶性高分子として、さらに要求される性 としては、その溶融成形が可能な温度領域 すなわち、融点以上で、熱分解温度以下の 度が、ベースのマトリックスエラストマー 成形加工温度範囲にある必要がある。
 p-ヒドロキシ安息香酸(PHB)とポリエチレンテ レフタレート(PET)からなるサーモトロピック 晶性高分子を用いる場合には、PHBとPETの比 により、融点、すなわち、固相からサーモ ロピック液晶に転移する温度が異なり、一 に、200℃から300℃の範囲にある。
 実施例では以下のものを用いている。
LCP1:PHB/PET共重合体で、PHB/PETの比率:80/20、融 すなわち、固相-液晶転移温度が約270℃。
LCP2:PHB/PET共重合体で、PHB/PETの比率:60/40、相 粘度:1.42dL/g。融点すなわち、固相-液晶転移 度が約210℃。
 一般に、ほとんどのサーモトロピック液晶 高分子は、剛直鎖の分子間力が大きく、他 プラスチックや、熱可塑性エラストマーと 、相溶性ではない。しかし、相容化剤を用 ることによりサーモトロピック液晶性高分 とマトリックスを形成するエラストマーの の反応は界面で進行し、液晶性高分子相と 可塑性エラストマーとの間の親和性を増し 構造を安定化することができる。

 前記溶融混練は、バッチ式混練機、二軸 押出機、バッチ式混練機又は二軸押出機か 選ばれた溶融混練機を用いて行うことがで る。一般的な混練装置、例えば、ゴムミル ブラベンダーミキサー、バンバリーミキサ や、混練押出機、例えば、混練機能を有す 単軸押出機、二軸スクリュー押出機などを いることができる。

 熱可塑性エラストマー組成物としては、[1] 場合と同じく、「(a)熱可塑性エラストマー9 8~60重量%、及び(b)サーモトロピック液晶性高 子2~40重量%からなる」と規定している。
 (イ)熱可塑性エラストマーが98重量%を超え サーモトロピック液晶性高分子が2%未満では 、サーモトロピック液晶性高分子を組成物に 加えた効果を得ることができない。又、熱可 塑性エラストマー60重量%未満となり、サーモ トロピック液晶性高分子が40重量%を超えると 、熱可塑性エラストマーのゴム弾性としての 特性が失われるので、熱可塑性エラストマー の本来の特性を有するものでなくなり、満足 する結果を得ることができない。

 その結果、前記熱可塑性エラストマー組 物の特性は、柔軟性があり、優れたゴム弾 、伸び、及び破断強さを有するものとする とができる。

 前記サーモトロピック液晶性高分子の成分 は、熱可塑性エラストマーとサーモトロピ ク液晶性高分子の総量をベースとして、前 のとおり2重量%から40重量%である。
 ところで、ベースの熱可塑性エラストマー 優れたゴム弾性的性質を保持したまま、均 な分散と強度、耐熱性を向上させるために 、サーモトロピック液晶性高分子の成分量 、熱可塑性エラストマーとサーモトロピッ 液晶性高分子の総量をベースとして、好ま くは、5から30重量%とすることが有効である 。
 また、この成分量は、次の[III]で述べるサ モトロピック液晶高分子の分子鎖の配列し 繊維状束が一方向に配列し、サーモトロピ ク液晶性高分子の繊維状束の配向方向に分 配向した階層構造を発現するために、好適 あり、柔軟性があり、破壊強さ、弾性率、 ム弾性、伸び、及び熱膨張係数の物性値が 維束の配向方向とそれに直角方向で相違す 異方性を有することを特徴とする熱可塑性 ラストマー組成物を得る場合に有効と成る

 熱可塑性エラストマー組成物に添加する の添加物としては、通常の成形物を製造す 際に使用する、例えば、顔料、充てん剤、 橋剤、難燃剤、潤滑剤、離型剤、滑剤など 用いることができる。また、相容化剤は、 トリックスの熱可塑性エラストマーと液晶 高分子の界面の相互作用を増加し、安定で 耐久性のある構造を形成するのに、有効で るから、必要に応じて使用することができ 。

 [III]本発明では、前記[I]の熱可塑性エラス マー組成物を、熱可塑性エラストマーの融 以上で、かつ、サーモトロピック液晶性高 子の融点以上の温度条件下で、せん断変形 付加しながら溶融混練して得られることに り良好な特性を付与することができる。
 その結果、前記熱可塑性エラストマー組成 の特性として、柔軟性があり、優れたゴム 性、伸び、及び破断強さを有すると共に、 ーモトロピック液晶高分子の分子鎖が配列 た繊維状束が一方向に配向しており、サー トロピック液晶性高分子の繊維状束の配向 向に分子配向した階層構造を有し、柔軟性 あり、破壊強さ、弾性率、ゴム弾性、伸び 及び熱膨張係数の物性値が繊維束の配向方 とそれに直角方向で相違する異方性を有す 熱可塑性エラストマー組成物を得ることが きる。

 前記サーモトロピック液晶性高分子の成分 は、熱可塑性エラストマーとサーモトロピ ク液晶性高分子の総量をベースとして、前 のとおり2重量%から40重量%である。
 この成分量のときに、サーモトロピック液 高分子の分子鎖の配列した繊維状束が一方 に配列し、サーモトロピック液晶性高分子 繊維状束の配向方向に分子配向した階層構 を発現するために、好適であり、柔軟性が り、破壊強さ、弾性率、ゴム弾性、伸び、 び熱膨張係数の物性値が繊維束の配向方向 それに直角方向で相違する異方性を有する 性を得ることができる。
 サーモトロピック液晶性高分子の成分量は 熱可塑性エラストマーとサーモトロピック 晶性高分子の総量をベースとして、好まし は、5から30重量%とすることにより更に上記 の特性として良好なものを得ることができる 。

 熱可塑性エラストマーの融点以上で、かつ サーモトロピック液晶性高分子の融点以上 温度でせん断変形を付加しながら溶融混練 ることは、前記と同じように、はじめに前 溶融混練温度で溶融混練し、次に、せん断 形を付加しながら溶融混練を行う。
 溶融混練は、前記熱可塑性エラストマー組 物を、熱可塑性エラストマーの融点以上で かつ、サーモトロピック液晶性高分子の融 以上で行う。溶融混練温度の上限は、熱可 性エラストマー及びサーモトロピック液晶 高分子の熱分解温度未満の温度であること 必要であるが、双方の融点以上であれば、 とさら、高い温度に設定する必要はない。 の温度は、一般には、200℃から300℃である

 熱可塑性エラストマー組成物に添加する の添加物としては、通常の成形物を製造す 際に使用する、例えば、顔料、充てん剤、 橋剤、難燃剤、潤滑剤、離型剤、滑剤など 用いることができる。また、相容化剤は、 トリックスの熱可塑性エラストマーと液晶 高分子の界面の相互作用を増加し、安定で 耐久性のある構造を形成するのに、有効で るから、必要に応じて使用することができ 。

 せん断変形を付加しながら溶融混練を行う とは、初めにバッチ式混練機又は二軸押出 から選ばれた溶融混練機を用いて溶融混練 た後、具体的には、例えば、ゴムミル、ブ ベンダーミキサー、バンバリーミキサーや 混練押出機、例えば、混練機能を有する単 押出機、二軸スクリュー押出機などで処理 た後に、ダイから押出すこと、又は、射出 形することにより行う。
 せん断変形を付加しながら溶融混練するこ により、マトリックスのエラストマーの中 、液晶性高分子がサーモトロピック液晶状 で分散し、冷却過程で、液晶の配列を保ち がら、構造が形成される。その際に、柔軟 があり、優れたゴム弾性、伸び、及び破断 さを有すると共に、さらに、サーモトロピ ク液晶高分子の分子鎖が配列した繊維状束 一方向に配向しており、サーモトロピック 晶性高分子の繊維状束の配向方向に分子配 した階層構造を有し、柔軟性があり、破壊 さ、弾性率、ゴム弾性、伸び、及び熱膨張 数の物性値が繊維束の配向方向とそれに直 方向で相違する異方性を有する熱可塑性エ ストマー組成物を得ることができる。

 上記溶融混練法は、引き続く成形工程を む、二段階の工程とする。マトリックスを 成する熱可塑性エラストマーと繊維状束の 造を形成するサーモトロピック液晶性高分 、他の添加成分は、最初に、通常の混練機 用いて溶融混練される。得られたブレンド は、粉砕又は、切断されて、ペレットにな 。この組成物であるペレットは、液晶性高 子が、10μm未満の直径で繊維状になるよう 、設計された金型によって、溶融成形され 。この金型は、射出成形では、フラッシュ ートを有する金型が好ましく、押出成形で 、リップ、又は、ダイ部の前に、マニホー ド部を有するTダイや、ラウンドダイが好ま い。

 成形された熱可塑性エラストマー複合体 、冷却過程で、成形時に形成された液晶性 分子の繊維状束構造が凍結される。さらに 、この繊維状束構造の配向に誘起され、ブ ック共重合体である熱可塑性エラストマー シリンダー状又は、ラメラ状のミクロ相が 列することで、さらに、大きな異方性を発 する。

 この組成物を、押出機を用いて、シート に押出成形する。このとき、押出成形の温 は、上記の溶融混練時の温度と同様な温度 を選ぶことができる。また、上記組成物を 射出成形によって、シートや型成形品に成 する。

 混練及び成形の加工温度は、マトリック となる熱可塑性エラストマーの融点以上で かつ、サーモトロピック液晶性高分子の融 以上である必要がある。この溶融ブレンド 得られた組成物は、射出成形や、押出成形 よって、最終製品の形、例えば、フィルム シート、ストランド、棒状成形品、チュー 、その他の型成形品に成形できる。必要に じて、他の材料との接着や、積層により、 終製品に賦形される。

 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説 する。
 熱可塑性エラストマー組成物及び複合体の 造、物性測定は、以下の方法で行った。
(1)引張特性について
 熱可塑性エラストマー組成物及び複合体を 形したシートの流動方向とそれに直角方向 、カッターで打ち抜いて、ダンベル状試験 とした。引張特性の試験は、ASTM D638に規定 された方法に準拠して行った。応力-ひずみ 線は、オリエンテック社製引張試験機(テン ロンUTM-300)を用いて測定した。本試験は、20 ℃、相対湿度50%の雰囲気で、クロスヘッド速 度500mm/minで行った。
(2)弾性回復について
 弾性回復率の試験は、上記の引張試験機を いて、20℃で、クロスヘッド速度10mm/minで行 った。本試験では、100%ひずみまで到達させ 後、応力がゼロになるまでひずみを戻すこ によって行った。弾性回復率は、該ひずみ 復実験から得られ、応力がゼロになる時の 留伸びから定義される。
(3)熱機械特性(DMA)測定について
 熱機械特性(DMA)は、オリエンテック社製粘 性測定装置(レオバイブロン DDV-25FP)を用い 、JIS K7244-4 に規定された方法に準拠して、 非共振強制振動法の引張モードで行った。本 試験では、動的貯蔵弾性率、動的損失弾性率 、損失係数tanδを、周波数1Hz、昇温速度3℃/mi nの条件で、-150℃から120℃の温度範囲で測定 た。
(4)走査型電子顕微鏡(SEM)による階層構造評価 ついて
 試験片を10分間、液体窒素中に浸せきした 、流動方向に沿って、破断した。破断面を 蒸着した後に、フィリップス社製走査型電 顕微鏡SEM(XL-20SEM)を用いて、10kVの加速電圧で 観察した。
(5)小角X線散乱(SAXS)について
 小角X線散乱(SAXS)図形は、リガク社製X線回 計(リガク ウルトラックス4153A 172B)による クロ焦点コリメータで、微小焦点化したCu-K 線を試料に照射(45kV、60mA)し、イメージング レート検出器を用いて得られた。図1(b)に示 したY方向とZ方向にX線を照射して散乱強度を 測定した。
(6)広角X線回折(WAXD)について
 広角X線回折(WAXD)図形は、リガク社製X線回 計(リガク ウルトラックス8000)によるCu-Kα線 の照射(40kV、120mA)で、イメージングプレート 出器を用いて得られた。図1(b)に示したY軸 向にX線を照射した。

 実施例及び比較例には、原材料は、以下の のを用いた。
 熱可塑性エラストマーとしてSBBSを用いた。
・ スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン 重合体(SBBS)、分子量(Mw)~54000、MFR:8g/10min (90 )、S含有量:30%
・ アミノ修飾スチレン/ブタジエン/ブチレ /スチレン共重合体(SBBS-NH2)、分子量(Mw)~54000 MFR:8g/min(90℃)、S含有量:30%
・ カルボキシ基修飾スチレン/ブタジエン/ チレン/スチレン共重合体(SBBS-COOH)、分子量(M w)~40000、S含有量:30%
・ マイレン酸修飾スチレン/ブタジエン/ブ レン/スチレン共重合体(SBBS-MAH)、分子量(Mw)~4 0000、S含有量:30%
 ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとし 、
・ 日本ポリウレタン工業株式会社製のエー ルタイプのポリオールをもつ、ポリエーテ ウレタン、E385。
 ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーと て、
・ プロピレン含有量が、30モル%で、融点が1 05℃のポリエチレン-ポリプロピレンブロック 共重合体。
 サーモトロピック液晶性高分子について
・ LCP1:PHB/PET共重合体で、PHB/PETの比率:80/20、 固体-液晶転移温度が約270℃。
・ LCP2:PHB/PET共重合体で、PHB/PETの比率:60/40、 相対粘度:1.42dL/g固体-液晶転移温度が約210℃

 溶融混練に先立って、熱可塑性エラスト ーSBBSとサーモトロピック液晶性高分子LCP-1 、80℃(真空下)で、少なくとも12時間乾燥し 。SBBSのペレット80重量部とLCP-1のペレット20 重量部を、東洋精機製作所製のラボプラスト ミル混練機に投入し、280℃、回転速度100rpmで 、10分の間、溶融混練した。得られたブレン 物を粉砕した後、280℃で、熱プレス成形し 、シートを得た。得られたブレンド組成物 は、SBBSをマトリックスとして、LCP-1のドメ ンが、均一に分散している。得られたシー は、優れたゴム弾性的性質を示し、高い引 強さを示した。さらに、得られたシートの 面は、光沢のある、優れた表面を呈してい 。表1に、ここで得られた試料の物理的特性 の測定結果を示す。

 エラストマーSBBSとサーモトロピック液晶 性高分子LCP-2を、80℃(真空下)で、少なくとも 12時間乾燥した後、SBBSのペレット80重量部とL CP-2のペレット20重量部を、実施例1と同様に 東洋精機製作所製のラボプラストミル混練 に投入し、温度230℃、回転速度100rpmで、10分 の間、溶融混練した。得られたブレンド物を 粉砕した後、230℃で、熱プレス成形して、シ ートを得た。得られたブレンド組成物には、 SBBSをマトリックスとして、LCP-2のドメインが 、均一に分散している。得られたシートは、 優れたゴム弾性的性質を示し、高い引張強さ を示した。さらに、シートの表面は、光沢の ある、優れた表面を呈している。表1に、こ で得られた試料の物理的特性の測定結果を す。

 エラストマーSBBS-NH2とサーモトロピック 晶性高分子LCP-2を実施例1と同様に、混練機 用いて、230℃で10分間混練した。得られたブ レンド物を、粉砕した後、230℃で、およそ1mm の厚さのシートに溶融プレス成形した。得ら れたブレンド組成物には、SBBS-NH2をマトリッ スとして、LCP-2が均一に分散している。得 れたシートは、優れたゴム弾性的性質を示 、高い引張強さを示し、ほとんど配向のな 等方的なシートになった。表1に、この試料 物理特性の測定結果を示す。

 混練、成形に先立って、ポリウレタン(PU) (日本ポリウレタン工業製E385)のペレットとLCP -2を、80℃の真空下で、少なくとも12時間乾燥 した。PUのペレット80重量部と液晶性高分子 ペレット20重量部をドライブレンドした後、 東洋精機製作所製の二軸押出機を用いて、成 形した。スクリュー回転数として、30rpm、混 後、Tダイから長尺のシート状に押出成形し た。このとき、ホッパー下の温度、バレル部 (混練部、圧縮部)、Tダイ部の温度を、それぞ れ、180-220-230℃とした。押出し物は、チルロ ルを介して、2m/minの速度で引き取った。得 れたブレンド物を粉砕して、熱プレスして シート状試料に成形した。得られたシート 、優れたゴム弾性的性質を示し、ほとんど 向のない等方的なシートになった。表1に、 この試料の物理特性の測定結果を示す。

 実施例1と同様の装置、手順で、ポリエチ レン-ポリプロピレンブロック共重合体を用 、80重量部のポリエチレン-ポリプロピレン ロック共重合体とLCP-2 20重量部の混練を行 た。表面状態も良好なシートが得られた。

 SBBSとサーモトロピック液晶性高分子LCP-2 、80℃(真空下)で、少なくとも12時間乾燥し 後、SBBSのペレット70重量部とLCP-2のペレッ 30重量部を、実施例1と同様に、東洋精機製 所製のラボプラストミル混練機に投入し、 度230℃、回転速度100rpmで、10分の間、溶融混 練した。得られたブレンド物を粉砕して射出 成形機(井元社製)を用いて、230℃で、金型(フ ラッシュゲート付き金型、金型キャビティ寸 法:70mmx50mmx1mm)でシート状試料に成形した。こ の時に、金型は、温度を120℃に保った。溶融 フローの様式を、図1(a)で図式的に図解した 表2に、試料の主な物理的特性を示す。得ら たシートは、高い引張強さを示し、流動方 では、弾性率が1047MPaであり、流動方向に直 角方向の弾性率(22.3MPa)に比較して、47倍高い とが分かった。このシートは平行方向では プラスチックとしての特性があるが、直角 向では、低い弾性率、高い伸び、高い弾性 復率を示し、優れたエラストマーとしての 質を示す。

 SBBSのペレット70重量部とLCP-2のペレット30 重量部の混合割合で、実施例6と同じ、混練 成形工程で組成物を得た。得られた組成物 粉砕した後、フラッシュゲート付き金型(金 キャビティ寸法:70mmx50mmx2mm)で、2mm厚さのシ ト状試料に成形した。表2に、試料の物理特 性の代表的な測定結果を示す。

 実施例6と同様の装置、手順で、SBBS 80重 部とLCP-2 20重量部を含んだ試料を作成した 表1に、物理的特性の代表例を示す。得られ たシートは、高い引張強さを示し、流動方向 では、弾性率が563MPaであり、流動方向に直角 方向の弾性率(23.8MPa)に比較して、23.6倍高い とが分かった。このシートは平行方向では プラスチックとしての特性があるが、直角 向では、低い弾性率、高い伸び、高い弾性 復率を示し、優れたエラストマーとしての 質を示す。

 実施例6と同様の装置、手順で、アミノ修 飾したSBBS(SBBS-NH2)を用い、70重量部のSBBS-NH2と 30重量部の混練を行った。SBBS-NH2とLCP-2とので 反応が起こると予想される。表2に、ここで られた試料の物理的特性の測定結果を示す 得られたシートは、高い引張強さを示し、 動方向では、弾性率が727MPaであり、流動方 に直角方向の弾性率(23.0MPa)に比較して、31.6 高いことが分かった。このシートは平行方 では、プラスチックとしての特性があるが 直角方向では、低い弾性率、高い伸び、高 弾性回復を示し、優れたエラストマーとし の性質を示す。

 実施例6と同様の装置、手順で、実施例9 同じアミノ修飾したSBBS-NH2 80重量部とLCP-2 2 0重量部を用いて、試料を作成した。表2に、 こで得られた試料の物理的特性の測定結果 示す。得られたシートは、高い引張強さを し、流動方向では、弾性率が200.6MPaであり 流動方向に直角方向の弾性率(10.1MPa)に比較 て、10.1倍高いことが分かった。このシート 平行方向では、プラスチックとしての特性 あるが、直角方向では、低い弾性率、高い び、高い弾性回復を示し、優れたエラスト ーとしての性質を示す。

 実施例6と同様の装置、手順で、無水マレ イン酸処理したSBBS(SBBS-MAH)を用い、70重量部 SBBS-MAHとLCP-2 30重量部の混練を行った。SBBS-M AHとLCP-2とので反応が起こると予想される。LC P-2 は、マトリックス中に均一に分散した、 面状態も良好な光沢のある組成物が得られ 。実施例6と同様な方法で射出成形により得 られたシートは、表面状態もよく、物理特性 に異方性を示した。表3に、ここで得られた 料の物理的特性の測定結果を示す。

 実施例6と同様の装置、手順で、無水マレ イン酸処理したSBBS(SBBS-MAH)を用い、70重量部 SBBS-MAHとLCP-2 30重量部の混練を行った。SBBS-M AHとLCP-2とので反応が起こると予想される。LC P-2 は、マトリックス中に均一に分散した、 面状態も良好な光沢のある組成物が得られ 。実施例6と同様な方法で射出成形により得 られたシートは、表面状態もよく、物理特性 に異方性を示した。表3に、ここで得られた 料の物理的特性の測定結果を示す。

 実施例6と同様の装置、手順で、カルボキ シ基で修飾したSBBS(SBBS-COOH)を用い、70重量部 SBBS-COOHとLCP-2 30重量部の混練を行った。実 例6と同様な方法で射出成形により得られた シートは、表面状態もよく、物理特性に異方 性を示した。表3に、ここで得られた試料の 理的特性の測定結果を示す。

 混練、成形に先立って、SBBSとLCP-2を、80 の真空下で、少なくとも12時間乾燥した。SBB Sのペレット80重量部と液晶性高分子のペレッ ト20重量部をドライブレンドした後、東洋精 製作所製の二軸押出機を用いて、成形した スクリュー回転数として、30rpmで、混練後 Tダイから長尺のシート状に押出成形した。 のとき、ホッパー下の温度、バレル部(混練 部、圧縮部)、Tダイ部の温度を、それぞれ、1 80-225-230℃とした。押出し物は、チルロール 介して、3m/minの速度で引き取った。得られ シートの厚みは、およそ0.8mmである。特性評 価のために使われる試料は、押出方向と、押 出方向に垂直方向に打ち抜いた。表3に、こ で得られた試料の物理的特性の測定結果を す。

 混練、成形に先立って、ポリウレタン(PU) (日本ポリウレタン工業製E385)とLCP-2を、80℃ 真空下で、少なくとも12時間乾燥した。PUの レット70重量部と液晶性高分子のペレット30 重量部をドライブレンドした後、東洋精機製 作所製の二軸押出機を用いて、成形した。ス クリュー回転数として、30rpm、混練後、Tダイ から長尺のシート状に押出成形した。このと き、ホッパー下の温度、バレル部(混練部、 縮部)、Tダイ部の温度を、それぞれ、180-220-2 30℃とした。押出し物は、チルロールを介し 、2m/minの速度で引き取った。得られたブレ ド物を粉砕して射出成形機(井元社製)を用 て、230℃で、金型(フラッシュゲート付き金 、金型キャビティ寸法:70mmx50mmx1mm)でシート 試料に成形した。この時に、金型は、温度 120℃に保った。図9は、流動方向とそれに直 角方向の応力-ひずみ線図を表している。表3 、ここで得られた試料の物理的特性の測定 果を示す。流動方向の動的弾性率は、131MPa あり、直角方向の動的弾性率は、22.5MPaであ り、流動方向と直角方向では、大きな異方性 を示している。図10は、得られた熱可塑性エ ストマーのSEM写真である。液晶性高分子が リウレタンのドメインを貫いて、流動方向 配列している。

比較例
 ベースの熱可塑性エラストマーのシートは 施例1で用いたと同じ方法(射出成形)によっ 準備した。表3に、ここで得られた試料の物 理的特性の測定結果を示す。流動方向とそれ に直角方向で若干の特性値に差があるが、流 動方向に沿った弾性率は、直角方向に沿った それより、わずかに、1.48倍高い。また、流 方向の引張強さは、6.28MPaである。

 実施例6~14と比較例で例示した結果を比較す ると、本発明で射出成形あるいは、押出成形 で得られたエラストマー組成物は、流動方向 とそれに直角方向で、物理的特性は大きく異 なっていることが分かる。この物理特性の異 方性の特徴は、実施例3と実施例4を比べるこ で分かるように、シートの厚さが増すと、 方性がやや低くなる。これは、液晶性高分 のやや配向が低下することによる。
 図2~5は、実施例6の特性とモルホロジー(形 学的)特徴を表している。図2は、流動方向に 平行な方向と直角方向に沿ったs-s曲線(応力- ずみ曲線)を示している。直角方向に沿った 物理的性質は、エラストマーに特徴的な性質 であり、大きな破断伸びを示し、低い弾性率 を有している。平行方向では、プラスチック に特徴的な性質を示しており、かなり高い弾 性率と高い破断強さを有する。流動方向に直 角方向に沿ったエラストマーとしての特徴は 、図3に明確に現れている。この直角方向で 、大変形の状態からも優れたゴム弾性を示 。図4は、-150から170℃Cまで温度範囲で、2方 に沿って、試料の動的貯蔵弾性率の温度変 を示す。この動的貯蔵弾性率の大きい差が 全温度範囲で観察された。
 本発明により製造された試料のモルホロジ (形態学)的な特徴は、SEM、WAXDとSAXSで測定で きる。図5は、得られたエラストマーのため SEMイメージを示す。液晶性高分子が射出成 の方向に沿って非常に良く配向しているこ が分かる。試料中で液晶性高分子は、繊維 束を形成し、およそ1μm以下の直径を与える 成形中に形成された繊維のアスペクト比(長 さと直径の比)は、およそ10-20である。
 図6は、得られた異方性エラストマーの電子 顕微鏡(TEM)写真である。この写真から分かる うに、液晶性高分子のみならず、ベースの ラストマーがシリンダー構造を呈して、射 成形での射出方向に高度に配向している。 のように、階層構造をもち、配向した構造 もつ新規な熱可塑性エラストマーが本発明 得られた。図7に示すように、液晶性高分子 の分子鎖は、WAXDパターンでアーチ型の回折 よって明示される。実施例3に用いたベース エラストマーは、30%PSを含有するブロック 重合体である。PBマトリックス中に、シリン ダー構造をもつポリスチレン(PS)相が分散し 、シリンダーミクロ相分離構造をしている とが明らかになった。図8のSAXSパターンで示 すように、射出成形によって、PSシリンダー 、流れ方向にも沿って配列している。PB相 比較して、PS相が非常に高弾性率を有するた めに、PSシリンダーの配列は、2つの方向(流 方向とそれに直角方向)に沿っての物理特性 差をより強調する結果となる。
 図9は、実施例14に示したPUをベースの熱可 性エラストマーとしたときの、流動方向と れに直角方向の応力-ひずみ線図を表してい 。流動方向と直角方向では、大きな異方性 示している。図10は、得られた熱可塑性エ ストマーのSEM写真である。サーモトロピッ 液晶性高分子がポリウレタンのドメインを いて、流動方向に配列している。

産業上の利用の可能性

 本発明で得られる新規な熱可塑性エラスト ー組成物と、その組成物から得られる成形 は、塑性エラストマーの優れた引張強さ、 ム弾性、伸びが改善される。さらに、これ 加えて異なる方向に沿って非常に大きい物 特性の異方性を示す新規な異方性熱可塑性 ラストマーを得ることができる。
 フィルム、シート、チューブ状で、部材や 品としてもちいることができる。リング、 ール材として使われる。さらに、自動車部 や、電機電子分野を含む様々な分野で、機 部品として、また、振動吸収材、免振材料 して用いることができる。産業上の利用可 性が高いものである。