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Title:
THICKNESS DIRECTION THREAD INSERTION NEEDLE, AND METHOD FOR PRODUCING THREE-DIMENSIONAL FIBROUS STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096890
Kind Code:
A1
Abstract:
A thickness direction thread insertion needle (11) has a proximal end portion (12), and an inserting portion (13) formed thinner than the proximal end portion (12) and can be inserted into a laminated fiber layer (23). The inserting portion (13) has a distal end and a needle hole (14) formed closely to the distal end. A coating (16) is formed on the inserting portion (13). The coating (16) has surface roughness of center line average roughness Ra of 0.1-0.7 μm, and enhances wear resistance at the inserting portion (13). The thickness direction thread insertion needle (11) is used for producing a three-dimensional fibrous structure. The three-dimensional fibrous structure has the laminated fiber layer (23) formed to have at least biaxial orientation by laminating a plurality of fiber layers, and a thickness direction thread (P) inserted in the direction of intersecting each fiber layer in order to bond the laminated fiber layer (23).

Inventors:
TAKEUCHI JUNJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052249
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA JIDOSHOKKI KK (JP)
TAKEUCHI JUNJI (JP)
International Classes:
D03D41/00
Foreign References:
JPH08218249A1996-08-27
JP2003326069A2003-11-18
JPH11241256A1999-09-07
JPS309753Y1
JPS51146340A1976-12-15
JPH08218249A1996-08-27
Attorney, Agent or Firm:
ONDA, Hironori et al. (Ohmiya-cho 2-chome Gifu-sh, Gifu 31, JP)
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Claims:
 三次元繊維組織の製造に使用される厚さ方向糸挿入針であって、前記三次元繊維組織は、複数の繊維層を積層することによって少なくとも2軸配向となるように形成された積層繊維層と、前記積層繊維層を結合すべく各々の前記繊維層と交差する方向に挿入された厚さ方向糸とを有し、前記厚さ方向糸挿入針は、
 基端部と、
 前記基端部よりも細く形成され、前記積層繊維層に挿入可能な挿入部であって、前記挿入部は先端と、前記先端寄りに形成された針孔とを有することと、
 前記挿入部に形成される被膜であって、前記被膜は、中心線平均粗さRa0.1μm以上0.7μm以下の表面粗さを有し、且つ前記挿入部の耐摩耗性向上を図ることと
を備えることを特徴とする、厚さ方向糸挿入針。
 前記積層繊維層と前記厚さ方向糸は、それぞれ炭素繊維束によって構成される、請求項1に記載の厚さ方向糸挿入針。
 前記被膜は、前記厚さ方向糸挿入針の針素材の表面を荒らした後、前記表面にメッキを行うことによって形成される、請求項1又は2に記載の厚さ方向糸挿入針。
 前記針素材の表面を荒らす処理は、ショットブラストによって行われる、請求項3に記載の厚さ方向糸挿入針。
 前記被膜は、複合メッキ処理によって形成される、請求項1又は2に記載の厚さ方向糸挿入針。
 基端部と、
 前記基端部よりも細く形成され、積層繊維層に挿入可能な挿入部であって、前記挿入部は先端と、前記先端寄りに形成された針孔とを有し、前記挿入部の表面は、前記挿入部の軸方向に延びる複数の溝を有し、前記挿入部の前記表面には耐摩耗性のメッキが施されることと
を備える厚さ方向糸挿入針。
 三次元繊維組織の製造方法であって、前記三次元繊維組織は、複数の繊維層を積層することによって少なくとも2軸配向となるように形成された積層繊維層と、各々の前記繊維層と交差するように前記積層繊維層に挿入されることによって前記積層繊維層を結合する厚さ方向糸とを含み、前記積層繊維層は前記厚さ方向糸が挿入される挿入領域を有し、前記製造方法は、
 複数の厚さ方向糸挿入針を一列に配置する工程であって、各々の前記厚さ方向糸挿入針は基端部と、前記基端部よりも細く形成され前記積層繊維層に挿入可能な挿入部であって前記挿入部は先端と前記先端寄りに形成された針孔とを有することと、前記挿入部に形成される被膜であって前記被膜は中心線平均粗さRa0.1μm以上0.7μm以下の表面粗さを有し且つ前記挿入部の耐摩耗性向上を図ることとを有することと、
 前記積層繊維層を枠体に保持した状態で、一列に配置された複数の前記厚さ方向糸挿入針をそれぞれ前記厚さ方向糸と共に前記積層繊維層に一斉に突き刺し、前記厚さ方向糸挿入針の前記針孔は前記積層繊維層の外側に出され、そして前記積層繊維層に対して前記厚さ方向糸挿入針の突出側に各々の前記厚さ方向糸によってループを形成するループ形成工程と、
 各々の前記ループに抜け止め糸を、前記厚さ方向糸挿入針の配列方向に沿って挿通する抜け止め糸挿通工程と、
 各々の前記ループに前記抜け止め糸が挿通された後、前記厚さ方向糸挿入針を前記積層繊維層から引き戻すことによって前記積層繊維層を締め付ける積層繊維層締付け工程と、
 前記ループ形成工程、前記抜け止め糸挿通工程、および前記積層繊維層締付け工程を繰り返すことによって前記厚さ方向糸を前記積層繊維層の前記挿入領域に挿入し、その後、前記積層繊維層を前記枠体から取り外す工程と
を含む、三次元繊維組織の製造方法。
 三次元繊維組織の製造方法であって、前記三次元繊維組織は、複数の繊維層を積層することによって少なくとも2軸配向となるように形成された積層繊維層と、各々の繊維層と交差するように前記積層繊維層に挿入されることによって前記積層繊維層を結合する厚さ方向糸とを含み、前記積層繊維層は前記厚さ方向糸が挿入される挿入領域を有し、前記製造方法は、
 複数の厚さ方向糸挿入針を一列に配置する工程であって、各々の前記厚さ方向糸挿入針は基端部と、前記基端部よりも細く形成され前記積層繊維層に挿入可能な挿入部とを有し、前記挿入部は先端と前記先端寄りに形成された針孔とを有し、前記挿入部の表面は前記挿入部の軸方向に延びる複数の溝を有し、前記挿入部の前記表面には耐摩耗性のメッキが施されることと、
 前記積層繊維層を枠体に保持した状態で、一列に配置された複数の前記厚さ方向糸挿入針をそれぞれ前記厚さ方向糸と共に前記積層繊維層に一斉に突き刺し、前記厚さ方向糸挿入針の前記針孔は前記積層繊維層の外側に出され、そして前記積層繊維層に対して前記厚さ方向糸挿入針の突出側に各々の前記厚さ方向糸によってループを形成するループ形成工程と、
 各々の前記ループに抜け止め糸を、前記厚さ方向糸挿入針の配列方向に沿って挿通する抜け止め糸挿通工程と、
 各々の前記ループに前記抜け止め糸が挿通された後、前記厚さ方向糸挿入針を前記積層繊維層から引き戻すことによって前記積層繊維層を締め付ける積層繊維層締付け工程と、
 前記ループ形成工程、前記抜け止め糸挿通工程、および前記積層繊維層締付け工程を繰り返すことによって前記厚さ方向糸を前記積層繊維層の前記挿入領域に挿入し、その後、前記積層繊維層を前記枠体から取り外す工程と
を備える、三次元繊維組織の製造方法。
Description:
厚さ方向糸挿入針、及び三次元 維組織の製造方法

 本発明は厚さ方向糸挿入針と、三次元繊 組織の製造方法とに係る。詳しくは本発明 、糸(繊維束)を折り返しながら配列するこ によって形成した繊維層が複数積層される とによって得られた積層繊維層を結合する めに、厚さ方向糸を積層繊維層に挿入する に使用される厚さ方向糸挿入針に関する。 に本発明は、このような厚さ方向糸挿入針 使用する、三次元繊維組織の製造方法に関 る。

 繊維強化複合材の補強基材として、三次 繊維組織すなわち三次元織物がある。特許 献1が開示する三次元繊維組織の製造方法は 、複数の糸層(複数の繊維層)を積層すること よって少なくとも2軸配向になるように積層 糸群(積層繊維層)を形成することと、各々の 層と交差するように挿入した厚さ方向糸に って積層繊維層を結合することとを含む。 数のピンが所定ピッチで配置された枠体上 は、厚さ方向糸の挿入区域に対応する領域 囲むように、かつそれぞれピン同士の間に り返すように複数の糸層が配列され、これ 糸層が積層されることによって積層糸群が 成される。その後、一列に配置した複数の さ方向糸挿入針を使用して、枠体に保持し 状態の積層糸群に複数の厚さ方向糸を挿入 る。

 三次元繊維組織を骨格材とした複合材の 度は、三次元繊維組織の影響を大きく受け 。よって、強度の大きな複合材を得るには 厚さ方向糸によって積層糸群を締め付ける 要がある。本願の図6に示すように、一列に 配列された複数の厚さ方向糸挿入針51を、そ ぞれ厚さ方向糸zとともに積層糸群Fに突き した状態において、厚さ方向糸挿入針51の突 出側に、それぞれ厚さ方向糸zのループLを形 する。詳しくは、厚さ方向糸挿入針51の針 が積層糸群Fの反対側に達するまで、厚さ方 糸zと共に厚さ方向糸挿入針51を積層糸群Fに 貫通させた後、厚さ方向糸挿入針51を所定量 き戻すことによって、それぞれループLが形 成される。次に、抜け止め糸挿通用針52によ て抜け止め糸PをループLに挿通させ、その 、厚さ方向糸挿入針51と共に厚さ方向糸zを 層糸群Fから引き戻すことによって、抜け止 糸Pを介して厚さ方向糸zによって積層糸群F 締め付ける。抜け止め糸挿通用針52は、積 糸群Fを貫通した厚さ方向糸挿入針51に繋が 厚さ方向糸zによって形成された多数のルー Lを、図6の矢印方向である前進時には抜け め糸Pを保持せずに通過する。抜け止め糸挿 用針52は、後退時には抜け止め糸Pを保持し 、多数のループLを通過するように往復動さ せられる。抜け止め糸挿通用針52にはベラ針 使用される。図6はベラの図示を省略する。

 複数の糸層を積層することによって少なく も2軸配向となるように形成された積層糸群 を厚さ方向糸によって結合する構成の三次元 繊維組織において、厚さ方向糸zのループLに け止め糸Pを挿通し、そして厚さ方向糸zを き戻すことによって積層糸群を結合する場 、次のことが必要である。すなわち、一列 配列された複数の厚さ方向糸挿入針51毎に形 成される複数のループLを、それぞれ一定以 の大きさに形成する必要がある。しかし、 さ方向糸zとして使用される炭素繊維束には サイジング剤が塗布される。このため、ル プLを形成するために厚さ方向糸挿入針51を 層糸群Fから引き戻す際、厚さ方向糸zが厚 方向糸挿入針51の表面に貼り付いてしまい、 厚さ方向糸zが厚さ方向糸挿入針51と共に戻る ことによってループLが小さくなる場合が起 り易い。一列分の厚さ方向糸zのうちの一本 もループLが小さくなると、抜け止め糸挿通 用針52が一列分のループLを円滑に通過できな い状態となる。そうすると、その都度、作業 者が手作業でループLを修正する必要があり 三次元繊維組織の製造に時間がかかる。

特開平8-218249号公報

 本発明の目的は、積層繊維層すなわち積 糸群への厚さ方向糸の挿入作業時に、厚さ 向糸が厚さ方向糸挿入針の表面に貼り付く とを抑制できる厚さ方向糸挿入針を提供す ことにある。更に本発明の目的は、このよ な厚さ方向糸挿入針を用いる、三次元繊維 織の製造方法を提供することにある。

 本発明の一観点によれば、三次元繊維組 の製造に使用される厚さ方向糸挿入針が提 される。三次元繊維組織は、複数の繊維層 積層することによって少なくとも2軸配向と なるように形成された積層繊維層と、積層繊 維層を結合すべく各々の繊維層と交差する方 向に挿入された厚さ方向糸とを有する。厚さ 方向糸挿入針は、基端部と、基端部よりも細 く形成され、積層繊維層に挿入可能な挿入部 とを有する。挿入部は先端と、先端寄りに形 成された針孔とを有する。被膜は挿入部に形 成される。被膜は、中心線平均粗さRa0.1μm以 0.7μm以下の表面粗さを有し、且つ挿入部の 摩耗性向上を図る。

 更に、本発明の別の一観点によれば、基 部と、基端部よりも細く形成され積層繊維 に挿入可能な挿入部とを有する厚さ方向糸 入針が提供される。挿入部は先端と、先端 りに形成された針孔とを有する。挿入部の 面は、挿入部の軸方向に延びる複数の溝を する。挿入部の表面には耐摩耗性のメッキ 施される。

 更に、本発明の別の一観点によれば、三 元繊維組織の製造方法が提供される。三次 繊維組織は、複数の繊維層を積層すること よって少なくとも2軸配向となるように形成 された積層繊維層と、各々の繊維層と交差す るように積層繊維層に挿入されることによっ て積層繊維層を結合する厚さ方向糸とを含む 。積層繊維層は厚さ方向糸が挿入される挿入 領域を有する。製造方法は、複数の厚さ方向 糸挿入針を一列に配置する工程を含む。各々 の厚さ方向糸挿入針は基端部と、基端部より も細く形成され積層繊維層に挿入可能な挿入 部であって挿入部は先端と先端寄りに形成さ れた針孔とを有することと、挿入部に形成さ れる被膜であって被膜は中心線平均粗さRa0.1 m以上0.7μm以下の表面粗さを有し且つ挿入部 耐摩耗性向上を図ることとを有する。ルー 形成工程は、積層繊維層を枠体に保持した 態で、一列に配置された複数の厚さ方向糸 入針をそれぞれ厚さ方向糸と共に積層繊維 に一斉に突き刺す。針孔が積層繊維層の外 に出るまで、厚さ方向糸挿入針は積層繊維 に突き刺される。積層繊維層に対して厚さ 向糸挿入針の突出側に、各々の厚さ方向糸 よってループが形成される。抜け止め糸挿 工程は、各々のループに抜け止め糸を、厚 方向糸挿入針の配列方向に沿って挿通する 積層繊維層締付け工程は、各々のループに け止め糸が挿通された後、厚さ方向糸挿入 を積層繊維層から引き戻すことによって積 繊維層を締め付ける。ループ形成工程、抜 止め糸挿通工程、および積層繊維層締付け 程を繰り返すことによって、厚さ方向糸を 層繊維層の挿入領域に挿入する。その後、 層繊維層を枠体から取り外す。

 更に、本発明の別の一観点によれば、別 厚さ方向糸挿入針を用いる三次元繊維組織 製造方法が提供される。各々の厚さ方向糸 入針は基端部と、基端部よりも細く形成さ 積層繊維層に挿入可能な挿入部とを有する 挿入部は先端と、先端寄りに形成された針 とを有する。挿入部の表面は挿入部の軸方 に延びる複数の溝を有する。挿入部の表面 は耐摩耗性のメッキが施される。

図1(a)は本発明の一実施形態に係る厚さ 方向糸挿入針の正面図、図1(b)は図1(a)の1b-1b 断面図、図1(c)は図1(a)の1c-1c線拡大断面図、 1(d)は図1(a)の1d-1d線拡大断面図。 図1(a)の厚さ方向糸挿入針を積層繊維層 に挿入する手順を示す模式断面図。 図1(a)の厚さ方向糸挿入針を備える三次 元繊維組織製造装置の概略斜視図。 図4(a)は図2の部分拡大図、図4(b)は図4(a) の厚さ方向糸挿入針が積層繊維層を貫通して 厚さ方向糸のループを形成した状態を示す模 式断面図。 図5(a)は別の実施形態の厚さ方向糸挿入 針の正面図、図5(b)は図5(a)の5b-5b線拡大断面 、図5(c)は更に別の実施形態の厚さ方向糸挿 針を示し、図5(b)とは溝の間隔を変えた場合 を示す断面図。 複数の厚さ方向糸のループに抜け止め を挿通する状態を示す模式図。

 図1~図4は、本発明を具体化した一実施形態 説明する。
 先ず図1(a)~図1(d)に示すように、厚さ方向糸 入針11の構成を説明する。図1(a)と図1(b)に示 すように、炭素鋼又は合金鋼からなる厚さ方 向糸挿入針11は、基端部12と挿入部13を有する 。挿入部13は基端部12よりも細く形成され、 層繊維層に挿入可能である。挿入部13の先端 寄りには、針孔14が形成される。針孔14は、 入部13を、挿入部13の軸線CLに対して垂直な 向に貫通する。本実施形態では、挿入部13の 軸線CLは、厚さ方向糸挿入針11の軸線を示し 挿入部13の軸線CLの方向は、厚さ方向糸挿入 11の軸方向を示す。

 図1(d)に示すように、基端部12の断面はD字 状であり、円柱の周面の一部を平面部12aによ って切り欠いた形状を有する。図1(a)と図1(b) 示すように、挿入部13は大径部13aと小径部13 bとを備える。軸線CLに沿って基端部12から大 部13aへ、そして大径部13aから小径部13bへと 厚さ方向糸挿入針11の太さは略二段階に変 する。厚さ方向糸挿入針11は、挿入部13の先 から基端部12にわたって延びる糸溝15を有す る。図1(b)に示すように、糸溝15は挿入部13の 線CLに対して、平面部12aとは反対側に位置 る。

 厚さ方向糸挿入針11は、焼き入れや焼き し等の熱処理が施されることによって、必 な硬度に形成される。図1(c)に示すように、 入部13の表面には梨地メッキ層16が形成され る。図1(a)と図1(b)は梨地メッキ層16の図示を 略する。梨地メッキ層16は、サイジング剤が 塗布された厚さ方向糸などが、挿入部13の表 に貼り付くのを抑制あるいは防止する。つ り梨地メッキ層16は、厚さ方向糸などに対 る非付着性を挿入部13に付与するための被膜 として機能する。梨地メッキ層16の表面粗さ 、中心線平均粗さRa0.1μm以上0.7μm以下とな ように形成される。

 梨地メッキ層16は、ショットブラストに って厚さ方向糸挿入針11の針素材の表面を荒 らした後、針素材の表面にメッキ処理を行う ことによって形成される。ショットブラスト による針素材の表面の荒らし具合は、メッキ 処理後の表面粗さが目的の粗さになるように 設定(調製)される。本実施形態の梨地メッキ 16は、硬質クロムメッキによって、メッキ が20μmになるように形成される。硬質クロム メッキは優れた耐摩耗性を有するため、梨地 メッキ層16は耐摩耗性向上を図る被膜として 機能する。

 次に、前記構成の厚さ方向糸挿入針11を 用した三次元繊維組織の製造方法を説明す 。本実施形態で用いる三次元繊維組織の製 装置は、厚さ方向糸挿入針11を除いて、特許 文献1に記載の製造装置と基本的に同じ構成 ものであり、同様な方法で三次元繊維組織 製造する。よって、詳しい製造装置の構成 製造手順の説明を適宜省略する。

 図3に示すように、三次元繊維組織の製造 装置20は、多数のピン21が所定ピッチで取り し可能に立設された枠体22を使用する。製造 装置20は、枠体22上に形成された積層繊維層23 を、積層繊維層23の厚さ方向が水平方向に延 るように配置する。積層繊維層23のX軸方向 Y軸方向は、積層繊維層23の2次元平面を規定 し、X軸方向は水平方向に延び、Y軸方向は垂 方向に延びる。Z軸方向は積層繊維層23の厚 方向に延びる。製造装置20は、複数の厚さ 向糸zを、積層繊維層23のY軸方向に沿って1列 ずつ同時に挿入する。つまり積層繊維層23は 厚さ方向糸zが挿入される挿入領域を有する と言える。厚さ方向糸zの“糸”とは、繊維 撚りが掛けられたものに限らず、連続繊維 なわちフィラメントを無撚りの状態で束ね ものも含み得る。

 図3に示すように、製造装置20は、レール( 図示略)に沿って移動可能に装備されたテー ル24を有する。テーブル24上には、枠体22を 持するための一対の支持ブラケット(図示略) が突設される。枠体22のコーナー部はそれぞ ボルト挿通孔22aを有し、これらボルト挿通 22aを貫通するボルトによって枠体22は支持 ラケットに固定される。積層繊維層23は、支 持ブラケットに固定された枠体22上に形成さ る。

 図2と図3に示すように、製造装置20は、複 数の厚さ方向糸挿入針11を1列に固定した状態 で支持する針支持体25を備える。つまり複数 厚さ方向糸挿入針11の配列方向は、本実施 態ではY軸方向である。これら厚さ方向糸挿 針11は、枠体22上の積層繊維層23に、厚さ方 糸zを挿入する。駆動装置(図示略)は、針支 体25を待機位置と作用位置とに移動可能で る。図2、図3、および図4(a)に示すように、 支持体25が待機位置の場合、厚さ方向糸挿入 針11は枠体22上の積層繊維層23に係合不能であ る。図4(b)に示すように、針支持体25が作用位 置の場合、厚さ方向糸挿入針11は積層繊維層2 3を貫通し、針孔14は、積層繊維層23に対して 支持体25とは反対側に達する。

 図3に示すように、製造装置20は、厚さ方 糸挿入針11と同じ本数の穿孔針26を備える。 これら穿孔針26は、厚さ方向糸挿入針11を積 繊維層23に突き刺す前に、予め積層繊維層23 所定位置に孔23a(図4(b)に示す)を形成する。 まり穿孔針26は、厚さ方向糸挿入針11が積層 繊維層23を突き刺しやすくするための孔23aを 予め積層繊維層23に形成する。穿孔針支持 27は、複数の穿孔針26を、厚さ方向糸挿入針1 1と対応した所定ピッチで、1列に固定した状 で保持する。駆動装置(図示略)は、穿孔針26 の列が厚さ方向糸挿入針11の列と平行な状態 保ちつつ、穿孔針支持体27を待機位置と作 位置とに移動させる。図2、図3、図4(a)、お び図4(b)に示すように、穿孔針支持体27が待 位置の場合、穿孔針26は、枠体22上の積層繊 層23に係合不能である。穿孔針支持体27が作 用位置の場合、それぞれの穿孔針26は積層繊 層23を貫通して孔23aを形成する。

 図2と図3に示すように、製造装置20は、枠 体22上の積層繊維層23を押圧するためのプレ プレート28を備える。プレスプレート28は、 さ方向糸挿入針11の挿入側から、積層繊維 23を押圧する。プレスプレート28は支持部28a 、支持部28aに一体的に形成された複数の櫛 部28bとを備える。支持部28aは、厚さ方向糸 入針11列の配列方向つまりY軸方向に延びる 支持部28aは、Y軸方向に対して垂直な断面に おいてL字状である。

 厚さ方向糸挿入針11と同数の櫛歯部28bは Y軸方向に並ぶ。各々の櫛歯部28bは、厚さ方 糸挿入針11あるいは穿孔針26をそれぞれガイ ド可能な面を有する凹部28cを有する。図4(b) 示すように、プレスプレート28は、これら櫛 歯部28b同士の間にそれぞれ厚さ方向糸挿入針 11あるいは穿孔針26を挟んだ状態で、積層繊 層23を押圧可能である。プレスプレート28のY 軸方向寸法は、枠体22の内側の幅よりも若干 く形成されており、プレスプレート28は、 体22に係合せずに積層繊維層23を押圧可能で る。

 図2と図3に示すように、製造装置20は、対 を成すプレスブロック29,30を備える。プレス ロック29,30は、枠体22に対して、プレスプレ ート28とは反対側に位置する。プレスブロッ 29,30は、Y軸方向に対して垂直な断面がそれ れL字状であり、Y軸方向寸法がプレスプレ ト28と同じである。プレスブロック29,30は、 れぞれ積層繊維層23との接触部を有し、こ ら接触部同士の間の間隔は、ピン21のピッチ よりも大きく形成される。

 両プレスブロック29,30は、プレスプレー 28に対向するように配置される。さらに、両 プレスブロック29,30は、凹部28cの配列位置と 応する位置に、厚さ方向糸挿入針11又は穿 針26の進入を許容する隙間を生じさせるよう に、互いに近接する。エアシリンダ(図示略) 、プレスブロック29,30をそれぞれ、待機位 と作用位置とに移動できる。図3に示すよう 、待機位置のプレスブロック29,30は、積層 維層23に係合不能である。図2と図4(a)に示す うに、作用位置のプレスブロック29,30は、 層繊維層23を、厚さ方向糸挿入針11または穿 針26の後退方向に向かって押圧する。つま プレスプレート28とプレスブロック29,30は、 層繊維層23を挟むようにして圧縮可能であ 。

 図3に示すように、テーブル24は孔24aを有 、孔24aは、支持ブラケットに保持された枠 22上の積層繊維層23の下端に対応するように 位置する。製造装置20は、厚さ方向糸挿入針1 1列の配列方向すなわちY軸方向に移動可能な け止め糸挿通用針31を有する。抜け止め糸 通用針31は、積層繊維層23を貫通する状態の さ方向糸挿入針11列に対応するように位置 る。抜け止め糸挿通用針31の先端は、ベラ( 示略)を有する。駆動装置(図示略)は、抜け め糸挿通用針31を作用位置と待機位置とに往 復動する。作用位置の抜け止め糸挿通用針31 、厚さ方向糸挿入針11列に連なる状態の厚 方向糸zが形成するループを、貫通可能であ 。待機位置の抜け止め糸挿通用針31は、積 繊維層23に対応する位置から退避する。

 次に、前記のように構成された製造装置2 0を使用して、平板状の三次元繊維組織を製 する方法を説明する。先ず、図3に示すよう 、多数のピン21が所定ピッチで取り外し可 に立設された長方形状の枠体22を使用して、 積層繊維層23を形成する。繊維束としての炭 繊維束を、ピン21に係合する状態で折り返 ながら、枠体22の長手方向であるX軸方向に 列することによって、繊維層としてのx糸層 形成される。さらに、枠体22の幅方向であ Y軸方向に炭素繊維束を配列することによっ 、別の繊維層としてのy糸層が形成される。 必要に応じて炭素繊維束をバイアス方向に配 列することによって、更に別の繊維層として のバイアス糸層が形成される。バイアス方向 は、X軸方向とY軸方向にそれぞれ交差する。 体22上に各々の糸層(繊維層)が所定数積層さ れることによって、積層繊維層23が形成され 。“繊維層”とは、無撚りの繊維束が配列 れることによって形成されたものと、糸(撚 りが掛かった繊維束)が配列されることによ て形成されたものとを含み得る。

 次に、積層繊維層23を保持する状態の枠 22がテーブル24上の支持ブラケットにボルト よって固定された状態で、積層繊維層23へ 厚さ方向糸zの挿入作業が行われる。図2と図 4(a)は、厚さ方向糸zの挿入と抜け止め糸Pの挿 通とが2サイクル完了し、3回目の厚さ方向糸z の挿入作業の途中状態を示す。図4(a)は図2の 分拡大図である。図4(a)は、厚さ方向糸zを 入すべき積層繊維層23の箇所に、穿孔針26に って孔23aを形成した後、厚さ方向糸挿入針1 1を孔23aに対向する位置に配置した状態を示 。

 穿孔針26によって孔23aを形成するために プレスプレート28と両プレスブロック29,30に って、穿孔針26列に対応する積層繊維層23の 箇所を、圧縮するように保持する。このよう な保持状態において、穿孔針26を待機位置か 作用位置まで前進させることによって、積 繊維層23を貫通し、孔23aを形成する。その 、穿孔針26を作用位置から待機位置まで後退 させる。穿孔針26は、櫛歯部28bの凹部28cによ てガイドされることによって、積層繊維層2 3に対して垂直に挿通される。積層繊維層23は 、プレスプレート28と両プレスブロック29,30 よる圧縮作用によって、ある程度、密に配 された状態にあるため、穿孔針26の抜き跡に 孔23aが形成される。

 図2と図4(a)の状態から、図4(b)に示すよう プレスブロック29が待機位置に配置された 、針支持体25が作用位置まで前進させられる ことによって、複数の厚さ方向糸挿入針11が 層繊維層23を一斉に突き刺す。つまり、Y軸 向に一列に配置された複数の厚さ方向糸挿 針11は、それぞれ厚さ方向糸zと共に、積層 維層23を一斉を突き刺す。厚さ方向糸挿入 11は、針孔14が積層繊維層23の外側に出るま 、積層繊維層23を挿通する。具体的には針孔 14は、プレスブロック30が当接する積層繊維 23の面から飛び出して、プレスブロック29に 寄るようになるまで前進させられる。

 厚さ方向糸挿入針11が前進端に達した後 厚さ方向糸挿入針11はわずかに後退させられ る。その結果、図4(b)に示すように、厚さ方 糸zがループLを形成した状態となる。つまり ループ形成工程が行われる。ループLは、積 繊維層23から針孔14に連なる厚さ方向糸zの部 分によって形成される。ループLは、抜け止 糸挿通用針31の通過を許容する。つまり各々 のループLは、積層繊維層23に対して厚さ方向 糸挿入針11の突出側において、それぞれ厚さ 向糸zによって形成される。積層繊維層23に して厚さ方向糸挿入針11の突出側とは、積 繊維層23に対して針支持体25とは反対側を示 ていると言えるし、積層繊維層23に対して レスブロック29,30が位置する側を示すとも言 える。

 厚さ方向糸挿入針11が積層繊維層23を挿通 するとき、プレスブロック29は待機位置に配 されるため、製造装置20が積層繊維層23を押 圧する力は若干弱くなる。しかし、厚さ方向 糸挿入針11は、予め穿孔針26によって形成さ た孔23aを挿通するため、厚さ方向糸挿入針11 が積層繊維層23を挿通する時の抵抗は小さく っているため、積層繊維層23の糸の配列の れを引き起こさない。

 次に、図4(b)の状態において、抜け止め糸 挿通用針31が作動される。抜け止め糸挿通用 31は、前回挿通した抜け止め糸Pのループ部( 図示略)を通って、厚さ方向糸挿入針11の配列 方向すなわちY軸方向に前進する。つまり、 け止め糸挿通工程が行われる。抜け止め糸 通用針31の先端が、各々の厚さ方向糸挿入針 11によってそれぞれ保持される厚さ方向糸zの ループL内を次々に通過し、積層繊維層23の端 部まで到達した時点で、抜け止め糸挿通用針 31は停止させられる。このとき、抜け止め糸 給部(図示略)に連なる抜け止め糸Pが、抜け め糸挿通用針31の先端に掛止される。抜け め糸挿通用針31の先端にあるベラが閉じられ ると、抜け止め糸挿通用針31は、ループLを引 き込まないようにして引き戻される。その結 果、抜け止め糸Pは、厚さ方向糸zのそれぞれ ループL内に、折り返し状に挿通される。つ まり、抜け止め糸挿通用針31に掛止された抜 止め糸Pのループ部は、前回挿入した抜け止 め糸Pのループ部を挿通した状態になるよう 配置される。

 その後、図4(b)の状態から厚さ方向糸挿入 針11が後退して、積層繊維層23から離脱し、 機位置に配置される。プレスブロック29は、 再び作用位置に配置される。この状態で、張 力調整部(図示略)が厚さ方向糸zを積層繊維層 23から引き戻すと、積層繊維層23内に挿入さ た状態の厚さ方向糸zは、抜け止め糸Pによっ て抜け止めされた状態で、締め付けられる。 つまり、積層繊維層締付け工程が行われる。 次に、穿孔針26列と厚さ方向糸挿入針11列が れぞれ初期位置(待機位置)に戻される。プレ スプレート28とプレスブロック29,30もそれぞ 待機位置に配置される。以上によって、厚 方向糸zの1回の挿入サイクルが完了する。

 次に、テーブル24が厚さ方向糸zの挿入ピ チ分だけ移動することによって、穿孔針26 、積層繊維層23への次回の厚さ方向糸zの挿 位置に対向させられる。以下、前記と同様 して順次、厚さ方向糸zの挿入サイクルが実 され、厚さ方向糸zが積層繊維層23の所定の 入領域に挿入される。つまりループ形成工 、抜け止め糸挿通工程、および積層繊維層 付け工程を繰り返すことによって、厚さ方 糸zが積層繊維層23の挿入領域に挿入される その結果、積層繊維層23を構成する各々の 層が、厚さ方向糸zによって結合され、よっ 、三次元繊維組織が製造される。積層繊維 23の厚さ方向糸挿入区域の全域に、厚さ方 糸zの挿入が終了した後、各々のピン21が枠 22から取り外され、三次元繊維組織が枠体22 ら取り外されることによって、三次元繊維 織の製造が完了する。

 厚さ方向糸zとして使用される炭素繊維束 には、サイジング剤が塗布される。このため 、積層繊維層23に挿入した状態の厚さ方向糸 入針をわずか引き戻してループLを形成する 際、従来は、厚さ方向糸zが厚さ方向糸挿入 の表面に貼り付いてしまい、厚さ方向糸zが さ方向糸挿入針と共に戻ることによって、 ープLが小さくなる場合が起こり易かった。 一列分の複数の厚さ方向糸zのうちの一本で ループLが小さくなると、抜け止め糸挿通用 が一列分のループL全体を円滑に通過できず 、その都度、作業者が手作業でループLを修 する必要がある。

 しかし、本実施形態(本発明)では、厚さ 向糸挿入針11の挿入部13の表面に、繊維束の 着を防止する非付着処理が施される。具体 には、中心線平均粗さRa0.1μm以上0.7μm以下 表面粗さを有する梨地メッキ層16が、硬質ク ロムメッキによって挿入部13の表面に形成さ る。その結果、厚さ方向糸挿入針11をわず 引き戻してループLを形成する際、繊維束が さ方向糸挿入針11に貼り付くことが抑制さ る。よって、一定以上の大きさのループLが 安定して形成される。そのため、ループLに 、抜け止め糸挿通用針31を使用して抜け止め Pを円滑に挿通できる。さらに、厚さ方向糸 挿入針11と共に厚さ方向糸zを積層繊維層23か 引き戻すことによって、抜け止め糸Pを介し て厚さ方向糸zによって積層繊維層23を締め付 けできる。

 試験として、挿入部13の表面粗さを変更 て、ループ形成率を測定した。ループ形成 の測定に使用した厚さ方向糸挿入針11の小径 部13bの直径は1mmであり、厚さ方向糸zの直径 0.5mmである。ループ形成率は、厚さ方向糸z 挿入を100サイクル実施した場合において、 ープLの形成が成功となった回数の割合を、 分率で表す。ループLと厚さ方向糸挿入針11 間の距離の最も大きな部分の値が、3mm以上 なった場合に、ループ形成が成功と判断す 。試験の結果、Ra0.1μm未満の場合、つまり さ方向糸挿入針の表面粗さを従来から未変 の場合、ループ形成率は10%以下であった。 かし、厚さ方向糸挿入針の表面粗さを変更 て、中心線平均粗さRa0.5μmとした場合、ルー プ形成率は100%であった。また、中心線平均 さがRa0.1μmやRa0.7μmの場合でも、ループ形成 は80%以上であった。

 本実施形態は、以下の利点を有する。
 (1)積層繊維層23に挿入可能な厚さ方向糸挿 針11の挿入部13には、被膜として梨地メッキ 16が形成される。梨地メッキ層16の表面粗さ は、中心線平均粗さRa0.1μm以上0.7μm以下にな ように形成される。したがって、積層繊維 23を突き刺した状態の厚さ方向糸挿入針11を 積層繊維層23からわずか引き戻す際に、厚さ 向糸zが挿入部13の表面に貼り付くことが抑 される。よって、一列に並んだ複数の厚さ 向糸挿入針11毎に、厚さ方向糸zのループLを 、それぞれ一定以上の大きさで安定して形成 できる。したがって、三次元繊維組織を円滑 に製造できる。

 (2)梨地メッキ層16は、厚さ方向糸挿入針11 の針素材の表面にショットブラストによって 所望の粗さの凹凸を形成した後、針素材の表 面にメッキを行うことによって形成される。 したがって、ショットブラストの条件を変更 することによって、所望の表面粗さの梨地メ ッキ層16を形成できる。

 (3)梨地メッキ層16は、良好な耐摩耗性を有 る硬質クロムメッキによって形成される。 のため、厚さ方向糸挿入針11の耐摩耗性向上 を図ることができる。
 (4)積層繊維層23と厚さ方向糸zは、それぞれ 素繊維束で構成される。積層繊維層23と厚 方向糸zをそれぞれ炭素繊維束によって構成 る場合、細い繊維が数百~数万本束ねられる ことによって1本の炭素繊維束が構成される このため、例えば炭素繊維束にサイジング が塗布されていないような場合、繊維束の 列や、積層繊維層23への厚さ方向糸zの挿入 円滑に行われない。一方、従来の厚さ方向 挿入針は、サイジング剤が塗布された厚さ 向糸zを使用する場合、厚さ方向糸zのループ Lを一定以上の大きさで安定して形成できな 。しかし、本実施形態の厚さ方向糸挿入針11 は、積層繊維層23と厚さ方向糸zが炭素繊維束 で構成されている場合でも、厚さ方向糸zの ープLを一定以上の大きさで安定して形成で る。

 上記実施形態は、以下のように変更しても い。
 積層繊維層23と厚さ方向糸zをそれぞれ構成 る繊維は、炭素繊維に限らず、例えばアラ ド繊維、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキ ゾール(PBO)繊維、超高分子量ポリエチレン 維、ポリアリレート繊維、ポリアセタール 維、高強度ポリビニルアルコール(PVA)繊維等 を使用してもよい。

 梨地メッキ層16を形成するための下地処 は、ショットブラストによって厚さ方向糸 入針11の針素材の表面に所望の凹凸を形成す ることに限らず、針素材の表面にホーニング を行ってもよい。

 梨地メッキ層16を形成するためのメッキ 種類は、硬質クロムメッキのようなクロム ッキに限らず、他の湿式メッキや乾式メッ であってもよい。他の湿式メッキとしては ニッケルメッキや無電解ニッケルメッキが げられる。乾式メッキとしては、イオンプ ーティングによる窒化チタン膜の形成が挙 られる。

 挿入部13の表面に梨地メッキ層16を形成す る方法は、針素材の表面をショットブラスト やホーニングで荒らす下地処理を行った後に メッキを行うことに限らない。針素材の表面 を荒らす下地処理を行わずに、針素材の表面 を複合メッキすることによって梨地メッキ層 16を形成してもよい。複合メッキは、メッキ 中に粒子を懸濁させた状態で、対象物すな ち本実施形態では挿入部13の表面にメッキ 行うことによって、粒子を被膜中に取り込 メッキ方法である。懸濁させる粒子の径を 整することによって、梨地メッキ層16の表面 粗さを調整できる。複合メッキを行うことに よって梨地メッキ層16を形成する場合は、シ ットブラストやホーニングを行う必要がな ため、工数を少なくできる。複合メッキは 無電解ニッケルメッキにポリテトラフルオ エチレン(PTFE)の粒子を懸濁させたものが好 しい。

 複合メッキに用いる粒子は、PTFEの粒子に 限らず、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸 化チタン、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、 炭化ホウ素、窒化ホウ素等の粒子を用いても よい。

 厚さ方向糸挿入針11の挿入部13の表面に、 厚さ方向糸zに対する非付着性を付与する構 は、挿入部13の表面粗さを中心線平均粗さRa0 .1μm以上0.7μm以下にする被膜処理に限らない 図5(a)と図5(b)は、別の実施形態の厚さ方向 挿入針11を示す。図5(b)に示すように、挿入 13の表面に、厚さ方向糸挿入針11の軸方向(軸 線CL方向)に延びる複数の溝17を、互いに平行 延びるように形成してもよい。これら溝17 、挿入部13の表面に、厚さ方向糸zに対する 付着性を付与する。これら溝17は、糸溝15が 成された挿入部13の部分を除いて、挿入部13 の表面に形成される。各々の溝17の幅は糸溝1 5の幅よりも小さく、各々の溝17の深さは糸溝 15の深さよりも小さい。各々の溝17の幅は、 さ方向糸zの径よりも小さく設定され、0.5mm 下が好ましい。互いに隣接する溝17同士の間 のピッチは、各々の溝17の幅とほぼ同じであ 。厚さ方向糸挿入針11の表面にはメッキが されるが、図5(b)はメッキ層の図示を省略す 。なお、図5(a)は溝17の図示を省略する。

 また、図5(c)に示すように、互いに隣接する 溝17同士の間のピッチを、各々の溝17の幅よ も大きくてもよい。
 図5(b)と図5(c)に示す各々の溝17は、厚さ方向 糸挿入針11の軸方向と平行に延びることに限 ず、厚さ方向糸挿入針11の軸方向に対して 少傾いて延びるように形成してもよい。

 図1(c)、図5(b)、および図5(c)それぞれの厚さ 向糸挿入針11から、挿入部13に設けた糸溝15 省略してもよい。
 厚さ方向糸挿入針11を用いて製造される三 元繊維組織は、平板以外の形状であっても い。例えばアングル形状、角筒形状、円筒 状、あるいは曲板形状の三次元繊維組織の 造方法に、厚さ方向糸挿入針11を用いてもよ い。

 穿孔針26と厚さ方向糸挿入針11をそれぞれ 積層繊維層23に挿入する時、プレスプレート2 8を待機位置に配置して、プレスブロック29,30 のみを作用位置に配置してもよい。この場合 、繊維層が密に圧縮されていない状態で穿孔 針26と厚さ方向糸挿入針11が積層繊維層23に挿 通されるため、穿孔針26と厚さ方向糸挿入針1 1の積層繊維層23への挿通時の抵抗が小さくな って、円滑に挿通できる。

 積層繊維層23に対して厚さ方向糸挿入針11の 突出側に配置されるプレスブロック29,30は2個 一組に限らず、いずれか1個でもよい。
 プレスプレート28の櫛歯部28bの隙間を、厚 方向糸挿入針11と穿孔針26それぞれの外径よ も若干大きくすることによって、凹部28cを 略してもよい。プレスプレート28は、櫛歯 28bが無く、厚さ方向糸挿入針11列に沿って延 びる単なる直線状の押圧部を備えたものを使 用してもよい。

 積層繊維層23の厚さや繊維の種類によって 、積層繊維層23を穿孔針26によって予め孔開 せずに、厚さ方向糸挿入針11を積層繊維層23 に直接挿入してもよい。
 積層繊維層23の厚さや繊維の種類によって 、プレスプレート28やプレスブロック29,30を 略して、厚さ方向糸挿入針11を積層繊維層23 に直接挿入してもよい。

 抜け止め糸Pのループ部を、前回挿通した 抜け止め糸Pのループ部に順次挿通させるこ によってループ部の抜け止めを行うことに らない。単に厚さ方向糸zを締付けることに って、抜け止め糸Pの抜け止めを行ってもよ い。

 図3に示す積層繊維層23は、少なくとも面 2軸配向であればよい。例えばバイアス糸を 無くすことによって積層繊維層23を面内2軸配 向としたり、繊維束を互いに60°の角度をな ように配列することによって面内3軸配向と たりしてもよい。また、織布を積層するこ によって積層繊維層23を構成してもよい。