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Patent Searching and Data


Title:
THREAD FORMING TAP
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116178
Kind Code:
A1
Abstract:
A complete thread (26) is divided into a front thread (26a) with five or less thread pitches (P) for the thread of the pitch (P) and the remaining rear thread (26b). A predetermined back taper having a radial size gradually decreasing with a relatively small gradient of change is provided on the front thread (26a), while, on the other hand, a back taper having a radial size gradually decreasing with a larger gradient of change than that of the front thread (26a) is provided on the rear thread (26b). Therefore, load in shaving is dispersed to a plurality of protrusions (20) of the front thread (26a), and in addition, a percentage of completion of an internal thread is improved to have springback reduced. As the inverse load working to the protrusion (20) decreases when a tool is reversely rotated and drawn out, development of wear of the protrusion (20) due to fatigue or the like is reduced, thereby improving a service life of the tool.

Inventors:
YAMAMOTO HIRONORI (JP)
MATSUSHITA TAKAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055335
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OSG CORP (JP)
YAMAMOTO HIRONORI (JP)
MATSUSHITA TAKAYUKI (JP)
International Classes:
B23G5/06
Foreign References:
JP2004174607A2004-06-24
JP2005205557A2005-08-04
Attorney, Agent or Firm:
IKEDA, HARUYUKI (JP)
Haruyuki Ikeda (JP)
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Claims:
 完全山部と、該完全山部に連続して設けられ且つ先端に向かう程小径となる食付き部とを有するとともに、それ等の完全山部および食付き部には突出部と逃げ部とが交互に形成されたおねじが設けられている盛上げタップにおいて、
 前記完全山部は、前記食付き部に連続する前側山部と、残りの後側山部とから成り、該前側山部の軸方向長さはねじ山のピッチPの5倍以下である一方、
 前記前側山部では、前記食付き部の後端と同じ一定の径寸法で軸方向における変化勾配が0か、または該食付き部の後端から前記後側山部に向かうに従って所定の変化勾配で径寸法が漸減するバックテーパが設けられており、
 前記後側山部には、前記前側山部の後端からシャンク側へ向かうに従って該前側山部よりも大きな変化勾配で径寸法が漸減するバックテーパが設けられている
 ことを特徴とする盛上げタップ。
 前記おねじの外径および有効径が、何れも前記前側山部と前記後側山部とに分けて構成されて径寸法が定められている
 ことを特徴とする請求項1に記載の盛上げタップ。
 前記おねじの外径および有効径のうち少なくとも外径が、前記前側山部と前記後側山部とに分けて構成されて径寸法が定められている
 ことを特徴とする請求項1に記載の盛上げタップ。
 前記おねじの外径および有効径の何れか一方は、前記前側山部と前記後側山部とに分けて構成されて径寸法が定められているが、該おねじの外径および有効径の他方は、前記完全山部の全域で前記後側山部と同じ変化勾配でバックテーパが設けられている
 ことを特徴とする請求項1に記載の盛上げタップ。
 前記前側山部の軸方向長さは、前記突出部を2つ以上含むように設定されている
 ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の盛上げタップ。
 前記前側山部では、前記変化勾配が0か、またはねじ山の1P(ピッチ)当り3μm以下の一定の変化勾配で半径寸法が漸減するバックテーパが設けられており、
 前記後側山部には、ねじ山の1P(ピッチ)当り3~7μmの範囲内の一定の変化勾配で半径寸法が漸減するバックテーパが設けられている
 ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の盛上げタップ。
 前記前側山部に前記後側山部よりも小さな変化勾配で径寸法が漸減するバックテーパが設けられている
 ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の盛上げタップ。
Description:
盛上げタップ

 本発明は盛上げタップに係り、特に、完 山部の最前端に位置する突出部の摩耗を抑 して工具寿命を改善する技術に関するもの ある。

 完全山部と、その完全山部に連続して設け れ且つ先端に向かう程小径となる食付き部 を有するとともに、それ等の完全山部およ 食付き部には突出部と逃げ部とが交互に形 されたおねじが設けられ、被加工物に設け れた下穴内にその食付き部側からねじ込ま ることにより、前記突出部がその下穴の内 表層部に食い込んで塑性変形させることに りめねじを形成する盛上げタップが知られ いる。特許文献1、2に記載の工具はその一 であり、切りくずを排出しないため清掃作 が簡略化される。

特開平1-289615号公報

特開2005-205557号公報

 ところで、このような盛上げタップにお ては、タッピング加工時に大きな回転トル (抵抗)が発生するため、これを低減するた に完全山部に所定のバックテーパが設けら るが、完全山部の最も大径の部分、すなわ 最前端に位置する突出部(第1完全突出部)に きな負荷が作用して摩耗が促進され、加工 件によっては十分な工具寿命が得られない いう問題があった。特に盛上げタップの場 、タッピング加工後に工具を逆回転させて ねじから抜き取る際にも、めねじのスプリ グバックにより逆向きの負荷が掛かるため 疲労等によって摩耗が一層促進される。

 なお、前記特許文献2には、例えば図6に すように完全山部に大径ねじ部を設けるこ が提案されており、その場合には大径ねじ の多数のねじ山(突出部)によって繰り返し成 形圧力が加えられてめねじが形成されるため 負荷が分散されるが、その大径ねじ部が実質 的に完全山部として機能してバックテーパ無 しでめねじの成形加工が行なわれることと同 じであるため、タッピング加工時の回転トル クが大きくなって好ましくない。図6は、径 法の変化を明確にするため、横軸に対して 軸の寸法を拡大して示したものであるが、 くまでも例示で正確な寸法割合ではなく、 つ直径寸法の変化パターンであるため、実 のタップ形状とは相違する。

 本発明は以上の事情を背景として為され もので、その目的とするところは、タッピ グ加工時の回転トルクを低減するために、 全山部に所定のバックテーパが設けられる 上げタップにおいて、その完全山部の最前 の第1完全突出部に掛かる負荷を軽減して摩 耗等による工具寿命の低下を抑制することに ある。

 かかる目的を達成するため、第1発明は、 完全山部と、その完全山部に連続して設けら れ且つ先端に向かう程小径となる食付き部と を有するとともに、それ等の完全山部および 食付き部には突出部と逃げ部とが交互に形成 されたおねじが設けられている盛上げタップ において、(a) 前記完全山部は、前記食付き に連続する前側山部と、残りの後側山部と ら成り、その前側山部の軸方向長さはねじ のピッチPの5倍以下である一方、(b) 前記前 側山部では、前記食付き部の後端と同じ一定 の径寸法で軸方向における変化勾配が0か、 たはその食付き部の後端から前記後側山部 向かうに従って所定の変化勾配で径寸法が 減するバックテーパが設けられており、(c)  前記後側山部には、前記前側山部の後端から シャンク側へ向かうに従ってその前側山部よ りも大きな変化勾配で径寸法が漸減するバッ クテーパが設けられていることを特徴とする 。

 第2発明は、第1発明の盛上げタップにお て、前記おねじの外径および有効径が、何 も前記前側山部と前記後側山部とに分けて 成されて径寸法が定められていることを特 とする。

 第3発明は、第1発明の盛上げタップにお て、前記おねじの外径および有効径のうち なくとも外径が、前記前側山部と前記後側 部とに分けて構成されて径寸法が定められ いることを特徴とする。

 第4発明は、第1発明の盛上げタップにお て、前記おねじの外径および有効径の何れ 一方は、前記前側山部と前記後側山部とに けて構成されて径寸法が定められているが そのおねじの外径および有効径の他方は、 記完全山部の全域で前記後側山部と同じ変 勾配でバックテーパが設けられていること 特徴とする。

 第5発明は、第1発明~第4発明の何れかの盛 上げタップにおいて、前記前側山部の軸方向 長さは、前記突出部を2つ以上含むように設 されていることを特徴とする。

 第6発明は、第1発明~第5発明の何れかの盛 上げタップにおいて、(a) 前記前側山部では 前記変化勾配が0か、またはねじ山の1P(ピッ チ)当り3μm以下の一定の変化勾配で半径寸法 漸減するバックテーパが設けられており、( b) 前記後側山部には、ねじ山の1P(ピッチ)当 3~7μmの範囲内の一定の変化勾配で半径寸法 漸減するバックテーパが設けられているこ を特徴とする。

 第7発明は、第1発明~第6発明の何れかの盛 上げタップにおいて、前記前側山部に前記後 側山部よりも小さな変化勾配で径寸法が漸減 するバックテーパが設けられていることを特 徴とする。

 このような盛上げタップにおいては、完 山部がねじ山のピッチPに対して5P(ピッチ) 下の前側山部と残りの後側山部とに分けら 、その前側山部では変化勾配が0か、または 定の変化勾配で径寸法が漸減するバックテ パが設けられている一方、後側山部には前 山部よりも大きな変化勾配で径寸法が漸減 るバックテーパが設けられているため、例 ばタッピング加工に伴って前側山部の最前 の突出部が摩耗すると次の突出部によって の摩耗部分の加工が行なわれるなど、タッ ング加工時の負荷が前側山部の複数の突出 に分散されるため、前側山部における突出 の摩耗の進行が抑制されて工具寿命が向上 る。盛上げタップによってタッピング加工 れるめねじの素材(被加工物)は、一般に所 の弾性を備えていてスプリングバックによ 縮径するため、前側山部で径寸法が漸減す 場合でも、その変化勾配が小さければめね の成形加工が行なわれ、負荷が分散される である。

 また、食付き部および前側山部の最前端 突出部により略完全な形状に成形されため じに、更に前側山部に存在する突出部によ 成形圧力が加えられることにより、めねじ 完成度が高くなってスプリングバックが低 され、逆回転させて工具を抜き取る際にそ 前側山部に作用する逆向きの負荷が小さく り、摩擦力による疲労等の摩耗が抑制され 、この点でも工具寿命が向上する。なお、 ねじの完成度とは、目的寸法に対する塑性 形の程度で、繰り返し成形圧力が加えられ ことにより塑性変形が進行して目的寸法に くなる度合であり、完成度が高くなる程弾 によるスプリングバックが小さくなる。

 一方、前側山部の軸方向長さはねじ山の ッチPに対して5P(ピッチ)以下で比較的短い め、タッピング加工時の回転トルクの増大 抑制され、前記特許文献2に比較して、全体 してタッピング加工時の回転トルクの増加 抑制しつつ、負荷を分散するとともにめね の完成度を向上させて突出部の摩耗の進行 抑制し、工具寿命を向上させることができ 。

 第2発明は、おねじの外径および有効径が 何れも前側山部と後側山部とに分けて構成さ れ、それ等の外径および有効径の変化勾配が 小さい(0を含む)前側山部が設けられるため、 めねじの谷底およびフランクを成形加工する 突出部全体の負荷が分散されるとともにめね じの完成度が向上させられることにより、突 出部の摩耗の進行が抑制される。

 第3発明は、おねじの外径および有効径の うち少なくとも外径が前側山部と後側山部と に分けて構成され、その外径の変化勾配が小 さい(0を含む)前側山部が設けられるが、盛上 げタップにおいては突出部の外径部分すなわ ちねじ山の山頂付近がめねじ素材(被加工物) 食い込んで塑性変形させる際の成形抵抗が も大きくなり、摩耗が進行し易いため、少 くとも外径の変化勾配が小さい前側山部が けられることにより、前側山部における複 の突出部の外径部分(おねじの山頂部分)の 荷が分散されるとともにめねじの完成度が 上させられ、その外径部分の摩耗の進行が 果的に抑制される。

 第4発明は、おねじの外径および有効径の 何れか一方は、前側山部と後側山部とに分け て構成されて径寸法の変化勾配が小さい(0を む)前側山部が設けられるが、そのおねじの 外径および有効径の他方は、完全山部の全域 で上記後側山部と同じ変化勾配でバックテー パが設けられている場合で、前側山部の複数 の突出部により負荷が分散されるなどして摩 耗の進行が抑制されるとともに、おねじの外 径および有効径の何れかは完全山部の全域で 比較的大きなバックテーパが設けられている ため、前側山部の存在に拘らずタッピング加 工時の回転トルクの増大が一層抑制される。

 第5発明は、前側山部の軸方向長さが突出 部を2つ以上含むように設定されているため その前側山部に存在する複数の突出部に負 が分散されるとともにめねじの完成度が向 させられることにより、その突出部の摩耗 進行が抑制される。

 第6発明では、前側山部の変化勾配が0か またはねじ山の1P(ピッチ)当り3μm以下の一定 の変化勾配で半径寸法が漸減するバックテー パが設けられているため、負荷が分散される とともにめねじの完成度が向上させられて摩 耗の進行が抑制されるとともに、後側山部に は、ねじ山の1P(ピッチ)当り3~7μmの範囲内の 定の変化勾配で半径寸法が漸減するバック ーパが設けられているため、タッピング加 時の回転トルクが低減される。

 第7発明は、前側山部に後側山部よりも小 さな変化勾配で径寸法が漸減するバックテー パが設けられている場合で、前側山部の径寸 法が一定で変化勾配が0の場合に比較して、 ッピング加工時の回転トルクの増大を抑制 つつ、負荷が分散されるとともにめねじの 成度が向上させられて摩耗の進行が抑制さ る。

本発明の一実施例である盛上げタップ 説明する図で、(a) は正面図、(b) は(a) に けるIB-IB断面の拡大図、(c) は軸方向におけ るねじ部の径寸法の変化パターンを示す図で ある。 図1の実施例のねじ部における外径、有 効径、および谷径の軸方向における変化パタ ーンの3種類の実施態様を説明する図である 本発明品および従来品を用いてタッピ グ加工を行なって回転トルクを調べた時の 工条件および回転トルクの測定結果を示す である。 本発明品および従来品を用いてタッピ グ加工を行なって耐久性を調べた時の加工 件および寿命までの加工穴数を示す図であ 。 完全山部の前側山部の径寸法を一定と た場合の実施例を説明する図で、図2に対応 する図である。 完全山部に大径ねじ部を設けた従来技 を説明する図で、外径、有効径、および谷 の軸方向における変化パターンを示す図で る。

符号の説明

 10:盛上げタップ  16:ねじ部(おねじ)  20: 突出部  22:逃げ部  24:食付き部  26:完全山 部  26a:前側山部  26b:後側山部

 本発明の盛上げタップは、被加工物に設 られた下穴内に食付き部側からねじ込まれ ことにより、前記突出部がその下穴の内壁 層部に食い込んで塑性変形させることによ めねじを形成するように用いられる。下穴 加工するドリルやリーマ等をタップの先端 に一体的に設けることもできるし、めねじ 内径を仕上げるための内径仕上げ刃を一体 設けることも可能である。

 盛上げタップは、複数の突出部が軸心と 行に連続するように、軸心まわりに等間隔 3列以上設けられることが望ましいが、各列 の突出部を軸心まわりにねじれた螺旋状に連 続するように設けることもできるし、軸心ま わりに不等間隔で設けることもできるなど、 種々の態様が可能である。必要に応じて、切 削油剤を供給する油溝等がおねじを分断する ように軸方向に設けられても良い。

 また、1条ねじを加工する盛上げタップだ けでなく2条以上の多条ねじを加工する盛上 タップにも適用され得る。多条ねじの場合 、前側山部の軸方向長さはねじ山のピッチP 5倍以下で良い。

 盛上げタップは切りくずを発生しないた 、止り穴に対しても通り穴に対しても良好 タッピング加工を行なってめねじを形成す ことができる。

 前側山部の軸方向長さが5P(ピッチ)よりも 長くなると、タッピング加工時の回転トルク が大きくなるため、5P(ピッチ)以下とする必 がある。また、従来は完全山部の最前端に 置する1つの突出部だけ、加工すべきめねじ 対応する正規の寸法とされており、直ちに 較的大きなバックテーパで径寸法が漸減さ られていたが、本発明では1つを超えるよう に前側山部の軸方向長さが定められれば良く 、2つ以上の突出部を含むように設定するこ が望ましい。ねじ山のピッチPで規定すると 例えば負荷を分散するとともにめねじの完 度を向上させて摩耗を抑制するため1P(ピッ )以上とすることが望ましく、2P(ピッチ)以 が適当である。なお、軸心まわりに3列の突 部を有する3枚刃の盛上げタップの場合、前 側山部の軸方向長さを(1/3)P(ピッチ)以上とす ば2つ以上の突出部を含ませることができる 。

 上記前側山部では、めねじの成形加工時 負荷を確実に分散するとともにめねじの完 度を向上させる上で、径寸法が一定で軸方 の変化勾配を0とすることが望ましいが、タ ッピング加工時の回転トルクの増大を抑制す る上では、後側山部よりも小さな変化勾配の バックテーパを設けることが望ましい。その バックテーパは、半径寸法において1P(ピッチ )当り3μmより大きい変化勾配だと、従来のバ クテーパや後側山部のバックテーパとの差 が小さくなって、負荷を分散したりめねじ 完成度を向上させたりする作用が十分に得 れなくなるため、1P(ピッチ)当り3μm以下の 化勾配で半径寸法が漸減するように設ける とが望ましい。

 後側山部のバックテーパは、タッピング 工時の回転トルクを低減する上で、1P(ピッ )当り3~7μmの範囲内の変化勾配で半径寸法が 漸減するように設けることが望ましいが、め ねじの加工条件等によってはこの範囲を逸脱 していても差し支えない。なお、後側山部の 全域で突出部がめねじに接触して成形圧力を 加える必要はなく、前側山部に近い位置の一 部の突出部がめねじに接触するだけでも良い 。

 上記前側山部および後側山部のバックテ パは、例えば軸方向において径寸法が一定 変化勾配で直線的に漸減するように設けら るが、径寸法の変化勾配(変化率)を連続的 滑らかに変化させたり、径寸法を折れ線状 変化させたりすることも可能で、種々の態 が可能である。その場合に、バックテーパ 変化勾配が半径寸法において例えば1P(ピッ )当り3μm以下の領域を前側山部と見做し、1P( ピッチ)当り3μmを越える領域を後側山部と見 すようにしても良い。

 第2発明では、おねじの外径および有効径 が何れも前側山部と後側山部とに分けて構成 されて径寸法が定められており、第3発明で 、おねじの外径および有効径のうち少なく も外径が、前側山部と後側山部とに分けて 成されて径寸法が定められているが、おね の外径および有効径のうち少なくとも有効 が、前側山部と後側山部とに分けて構成さ て径寸法が定められるようにしても良い。

 第2発明のようにおねじの外径および有効 径が何れも前側山部と後側山部とに分けて構 成されている場合、例えば軸方向における外 径および有効径の変化パターンが等しくなる ように、径寸法の変化勾配等が同じ大きさに 設定されるが、両者が異なる変化パターンと なるように径寸法の変化勾配等を異なる大き さに設定することも可能である。

 第4発明では、おねじの外径および有効径 の何れか一方は、前側山部と後側山部とに分 けて構成されて径寸法が定められ、そのおね じの外径および有効径の他方は、完全山部の 全域で上記後側山部と同じ変化勾配でバック テーパが設けられるが、他の発明の実施に際 しては、上記おねじの外径および有効径の他 方のバックテーパを、後側山部の変化勾配と 異なる変化勾配で径寸法が漸減するように設 けることもできる。

 以下、本発明の実施例を、図面を参照しつ 詳細に説明する。
 図1は、本発明の一実施例である盛上げタッ プ10を示す図で、(a) は軸心Oと直角方向から た正面図、(b) は(a) におけるIB-IB断面の拡 図、(c) は軸方向におけるねじ部16の径寸法 の変化パターンを示す図である。この盛上げ タップ10は、図示しないチャックを介して主 に取り付けられるシャンク12と、シャンク12 よりもやや小径の首部14と、めねじを盛上げ 工(転造加工)するためのねじ部16とを、その 順番で軸方向に連なるように同心に一体に備 えている。ねじ部16は、外側へ湾曲した辺か なる多角形状、本実施例では略正六角形状 断面を成しているとともに、その外周面に 、被加工物(めねじ素材)の下穴の表層部に い込んで塑性変形させることによりめねじ 盛上げ加工するおねじが設けられている。 実施例の盛上げタップ10は1条ねじを加工す ためのもので、おねじも1条ねじである。

 上記おねじのねじ山18は、形成すべきめ じの谷の形状に対応した断面形状を成して て、そのめねじに対応するリード角のつる き線に沿って設けられているとともに、そ ねじ山18が径方向の外側へ突き出す6つの突 部20と、その突出部20に続いて小径となる逃 部22とが、ねじの進み方向に沿って交互に つ軸心Oまわりにおいて60°の等角度間隔で設 けられている。すなわち、正六角形の各頂点 部分がそれぞれ突出部20であり、軸心Oと平行 に多数の突出部20が連続して設けられるとと に、そのように軸方向に連続する多数の突 部20の列が軸心Oまわりに等角度間隔で6列設 けられているのである。なお、図1の(b) は、 ねじ山18の谷部においてつる巻き線に沿って 断した断面図である。

 ねじ部16はまた、軸方向において径寸法 略一定の完全山部26と、先端側へ向かうに従 って小径となる食付き部24とを備えている。 付き部24では、おねじの外径、有効径、お び谷径が互いに等しい一定の変化勾配で小 となるように径寸法が変化している。食付 部24においても、図1の(b) と同様に略正六角 形状を成していて、突出部20および逃げ部22 周方向において交互に備えており、図1の(c) に示すように食付き部24を含めたねじ部16に ける軸方向の径寸法の変化パターンは、め じの加工に関与する突出部20の径寸法に関 るものであるが、逃げ部22の径寸法も突出部 20と同じ変化パターンで変化している。また ねじ部16の外周面であって軸心Oまわりの6列 の突出部20の中間位置には、それぞれ潤滑油 を供給するための油溝28が軸心Oと平行に設 られている。

 ここで、このような盛上げタップ10は、 加工物に設けられた下穴内に食付き部24側か らねじ込まれることにより、突出部20がその 穴の内壁表層部に食い込んで塑性変形させ ことによりめねじを形成する。このような 上げタップ10によるタッピング加工におい は、大きな回転トルクが必要であるため折 等を生じ易く、これを防止するために従来 図1の(c) に破線で示すように、完全山部26に 所定のバックテーパが設けられていた。しか しながら、完全山部26の最も大径の部分、す わち最前端に位置する突出部(第1完全突出 )20に大きな負荷が作用して摩耗が促進され 加工条件によっては十分な工具寿命が得ら ないという問題があった。特に盛上げタッ の場合、タッピング加工後に工具を逆回転 せてめねじから抜き取る際にも、めねじの プリングバックにより逆向きの負荷が掛か ため、疲労等によって摩耗が一層促進され 。

 これに対し、本実施例では、図1の(c) に 線で示すように、完全山部26が更に前側山 26aと後側山部26bとに分けて構成されている 前側山部26aは前記食付き部14に連続する前側 の部分で、その軸方向長さは、ねじ部16にお るねじ山のピッチPに対して1P(ピッチ)~5P(ピ チ)の範囲内で、本実施例では6列の突出部20 においてそれぞれ軸方向に連なる2つの突出 20が含まれるように2P(ピッチ)程度に設定さ ており、完全山部26の残りの部分が後側山部 26bとされている。また、前側山部26aには、食 付き部24の後端から後側山部26bに向かうに従 て比較的小さな変化勾配、具体的には半径 法が1P(ピッチ)当り3μm以下の一定の変化勾 (本実施例では2μm程度)で漸減するバックテ パが設けられており、後側山部26bには、前 山部26aの後端から首部14側へ向かうに従って 前側山部26aよりも大きな変化勾配、具体的に は半径寸法が1P(ピッチ)当り3~7μmの範囲内の 定の変化勾配で漸減するバックテーパが後 山部26bの全域に設けられている。

 上記のような完全山部26における径寸法 軸方向の変化パターンは、例えば図2の(a)  示すように、おねじのねじ山18の外径、有効 径、および谷径が何れも前側山部26aと後側山 部26bとに分けて構成され、径寸法の変化勾配 等が互いに等しい同じ変化パターンで径寸法 が変化するように構成されるが、(b) に示す うに外径のみが前側山部26aと後側山部26bと 分けて構成されるようにしたり、(c) に示 ように有効径および谷径のみが前側山部26a 後側山部26bとに分けて構成されるようにし りしても良い。その場合に、他の径寸法、 なわち(b) における有効径および谷径や、(c)  における外径は、従来と同様に完全山部26 全域で一定の変化勾配で径寸法が漸減する ックテーパが設けられれば良く、(b) では例 えば外径の後側山部26bにおける変化勾配と同 じ変化勾配で有効径および谷径のバックテー パが設けられ、(c) では例えば有効径の後側 部26bにおける変化勾配と同じ変化勾配で外 のバックテーパが設けられる。上記図2の(a)  ~(c) の何れの場合も、完全山部26の前端部 なわち食付き部24との境界部分では、外径、 有効径、および内径が何れも加工すべきめね じに対応する正規の寸法とされている。なお 、図1の(c) は、図2の(a) の場合の外径の変化 パターンを示したものである。また、図1の(c ) および図2は、何れも径寸法の変化を明確 するため、横軸に対して縦軸の寸法を拡大 て示したものであるが、あくまでも例示で 確な寸法割合ではなく、且つ直径寸法の変 パターンであるため、実際のタップ形状と 相違する。他の実施例を示す図5も同様であ 。

 なお、本実施例の盛上げタップ10は超硬 金にて構成されているとともに、ねじ部16の 表面には所定の硬質被膜(実施例ではTiCN)がコ ーティングされている。

 このような盛上げタップ10においては、 全山部26がねじ山のピッチPに対して5P(ピッ )以下の前側山部26aと残りの後側山部26bとに けられ、その前側山部26aには比較的小さな 化勾配で径寸法が漸減するバックテーパが けられている一方、後側山部26bには前側山 26aよりも大きな変化勾配で径寸法が漸減す バックテーパが設けられているため、例え タッピング加工に伴って最前端の突出部20 摩耗すると次の突出部20によってその摩耗部 分の加工が行なわれるなど、タッピング加工 時の負荷が前側山部26aの複数の突出部20に分 されるため、前側山部26aにおける突出部20 摩耗の進行が抑制されて工具寿命が向上す 。盛上げタップ10によってタッピング加工さ れるめねじの素材(被加工物)は、一般に所定 弾性を備えていてスプリングバックにより 径するため、前側山部26aで径寸法が漸減す 場合でも、その変化勾配が小さければめね の成形加工が行なわれ、負荷が分散される である。

 また、食付き部24および前側山部26aの最 端の突出部20により略完全な形状に成形され ためねじに、更に前側山部26aに存在する突出 部20により成形圧力が加えられることにより めねじの完成度が高くなってスプリングバ クが低減されるため、逆回転させて工具を き取る際にその前側山部26aに作用する逆向 の負荷が小さくなり、摩擦力による疲労等 摩耗が抑制されて、この点でも工具寿命が 上する。

 一方、前側山部26aの軸方向長さは5P(ピッ )以下で比較的短いため、タッピング加工時 の回転トルクの増大が抑制され、前記特許文 献2に比較して、全体としてタッピング加工 の回転トルクの増加を抑制しつつ、負荷を 散するとともにめねじの完成度を向上させ 突出部20の摩耗の進行を抑制し、工具寿命を 向上させることができる。

 また、図2の(a) の場合には、おねじの外 、有効径、および谷径が何れも前側山部26a 後側山部26bとに分けて構成され、それ等の 径、有効径、および谷径の変化勾配が小さ 前側山部26aが設けられることにより、めね の谷底およびフランクを成形加工する突出 20の全体の負荷が分散されるとともにめね の完成度が向上させられ、突出部20の摩耗の 進行が抑制される。

 また、盛上げタップ10は、突出部20の外径 部分すなわちねじ山18の山頂付近がめねじ素 (被加工物)に食い込んで塑性変形させる際 成形抵抗が最も大きくて摩耗が生じ易いた 、図2の(a) や(b) のように少なくともおねじ の外径が前側山部26aと後側山部26bとに分けて 構成され、径寸法の変化勾配が小さい前側山 部26aが設けられることにより、その前側山部 26aにおける複数の突出部20の外径部分(おねじ の山頂部分)の負荷が分散されるとともにめ じの完成度が向上させられ、その外径部分 摩耗の進行が効果的に抑制される。

 また、図2の(b) や(c) では、おねじの外 および有効径の何れか一方は、前側山部26a 後側山部26bとに分けて構成されて径寸法の 化勾配が小さい前側山部26aが設けられるが そのねじ山18の外径および有効径の他方は、 完全山部26の全域で上記後側山部26bと同じ変 勾配でバックテーパが設けられているため 前側山部26aの複数の突出部20により負荷が 散されるなどして摩耗の進行が抑制される ともに、おねじの外径および有効径の何れ は完全山部26の全域で比較的大きな変化勾配 でバックテーパが設けられているため、前側 山部26aの存在に拘らずタッピング加工時の回 転トルクの増大が一層抑制される。                   

 また、本実施例では前側山部26aの軸方向 さが1P(ピッチ)以上であるため、突出部20を6 つ以上含むことになり、その前側山部26aに存 在する複数の突出部20に負荷が分散されると もにめねじの完成度が向上させられること より、突出部20の摩耗の進行が抑制される

 また、本実施例では、前側山部26aには1P( ッチ)当り3μm以下の一定の変化勾配で半径 法が漸減するバックテーパが設けられてい ため、負荷が分散されるとともにめねじの 成度が向上させられて摩耗の進行が抑制さ るとともに、後側山部26bには1P(ピッチ)当り3 ~7μmの範囲内の一定の変化勾配で半径寸法が 減するバックテーパが設けられているため タッピング加工時の回転トルクが低減され 。

 また、本実施例では、前側山部26aに後側 部26bよりも小さな変化勾配で径寸法が漸減 るバックテーパが設けられているため、前 山部26aの径寸法が一定で変化勾配が0の場合 に比較して、タッピング加工時の回転トルク の増大を抑制しつつ、負荷が分散されるとと もにめねじの完成度が向上させられて摩耗の 進行が抑制される。

 因みに、図2の(a) に示す本実施例の盛上 タップ10(本発明品)と、図1(c) に破線で示す ように完全山部26の全域に本発明品の後側山 26bと同じ変化勾配のバックテーパが設けら た従来品とを用意し、図3の(a) に示す加工 件でタッピング加工を行って回転トルクを 定したところ、図3の(b) 、(c) に示す結果 得られた。図3の(a) の加工条件において、 被加工物」の項目のSCM440は、JIS規格による 材記号でクロムモリブデン鋼を表しており HRCはロックウェルC硬さである。図3の(b) は 下穴に対して1回目のタッピング加工を行な った時の回転トルクで、図3の(c) は、加工精 度を高めるために1回目のタッピング加工で 成されためねじに対して2回目のタッピング 工を行なった時の回転トルクである。

 図3の(b) の結果から、本発明品では、径 法の変化勾配が小さい前側山部26aが設けら ているにも拘らず、タッピング加工時の回 トルク(正側のトルク)が従来品と略同じで 回転トルクの増加は殆ど認められなかった 方、逆回転させてめねじから抜き取る際に 、従来品に比べて数Nmだけ回転トルクが減少 した。すなわち、タッピング加工時に前側山 部26aにおいてめねじに繰り返し成形圧力が加 えられることにより、めねじの完成度が高く なってスプリングバックが低減され、逆回転 させて工具を抜き取る際にその前側山部26aに 掛かる負荷が低下することが分かる。

 また、図3の(c) 、すなわち2回目のタッピ ング加工時の回転トルクは、本発明品と従来 品とで殆ど差がないが、2回目のタッピング 工で必要な約5Nmの回転トルクは完全山部26と めねじとの接触によるものと考えられる。し たがって、図3の(b) に示す1回目のタッピン 加工で必要な約25Nmの回転トルクのうち約5Nm( 20%)は完全山部26によるもので、残りの約20Nm(8 0%)は食付き部24によるものと推定される。

 図4は、同じく図2の(a) に示す本実施例の 盛上げタップ10(本発明品)と、図1(c) に破線 示すように完全山部26の全域に本発明品の後 側山部26bと同じ変化勾配のバックテーパが設 けられた従来品とを2本ずつ用意し、図4の(a) に示す加工条件でタッピング加工を行って 命に達するまでの加工穴数(タッピング個数) を調べた結果を説明する図である。寿命か否 かは、形成されためねじに対して通りねじプ ラグゲージ(GP)が通るか否かで判断した。す わち、ねじ部16の摩耗でめねじの寸法が小さ くなり、通りねじプラグゲージ(GP)が通らな なったら工具寿命と判断するのである。

 図4の(b) の結果から明らかなように、従 品では600~700個しかタッピング加工できなか ったものが、本発明品によれば1000~1200個タッ ピング加工することが可能となり、工具寿命 が約1.4~2倍になった。

 なお、上記実施例では完全山部26の前側 部26aに所定のバックテーパが設けられてい が、図5に示すように、前側山部26aの径寸法 一定として軸方向の変化勾配を0としても良 い。その場合には、めねじの成形加工時の負 荷が確実に前側山部26aの複数の突出部20に分 される一方、めねじに対して高い成形圧力 繰り返し加えられることにより、めねじの 成度が一層高くなってスプリングバックが 減され、逆回転させて工具を抜き取る際に 側山部26aに掛かる負荷が低下し、突出部20 摩耗の進行が一層抑制されて工具寿命が向 する。

 図5の(a) ~(c) は、それぞれ前記図2の(a) ~ (c) に対応するもので、(a) は、おねじのね 山18の外径および有効径が何れも前側山部26a と後側山部26bとに分けて構成され、それ等の 外径および有効径が同じ変化パターンで変化 している場合である。(b) は、外径のみが前 山部26aと後側山部26bとに分けて構成されて り、有効径および谷径は完全山部26の全域 一定の変化勾配(外径の後側山部26bと同じ変 勾配)で径寸法が漸減するバックテーパが設 けられている場合である。また、(c) は、有 径および谷径のみが前側山部26aと後側山部2 6bとに分けて構成されており、外径は完全山 26の全域で一定の変化勾配(有効径および谷 の後側山部26bと同じ変化勾配)で径寸法が漸 減するバックテーパが設けられている場合で ある。

 以上、本発明の実施例を図面に基づいて 細に説明したが、これ等はあくまでも一実 形態であり、本発明は当業者の知識に基づ て種々の変更、改良を加えた態様で実施す ことができる。

 本発明の盛上げタップは、完全山部がね 山のピッチPに対して5P(ピッチ)以下の前側 部と残りの後側山部とに分けられ、前側山 では変化勾配が0か、または比較的小さな所 の変化勾配で径寸法が漸減するバックテー が設けられている一方、後側山部には前側 部よりも大きな変化勾配でバックテーパが けられているため、タッピング加工時の負 が前側山部の複数の突出部に分散されると もに、めねじの完成度が高くなってスプリ グバックが低減され、工具を逆回転させて き取る際に突出部に作用する逆向きの負荷 小さくなるため、その突出部の摩耗の進行 抑制されて優れた工具寿命が得られるよう なり、切りくずを排出することなくめねじ 形成できる工具として好適に用いられる。