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Title:
TIRE WEAR ESTIMATING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008502
Kind Code:
A1
Abstract:
The degree of the wear of a tire is stably and accurately estimated. An acceleration sensor (11) is installed on the inner surface of an inner liner part of a tire to detect the acceleration in a tire radial direction of the tread. The peak level of the ground touching end of the tread appearing in the differentiated waveform of the detected acceleration or of the ground leaving end is calculated and used as an index V of the deformation speed of the tread. The degree of the wear of the tire is estimated on the basis of the calculated index V and an M-V map (16B) showing the relationship between the predetermined degree of the tire wear M and the index V.

Inventors:
MORINAGA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062576
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
MORINAGA HIROSHI (JP)
International Classes:
G01M17/02; B60C11/24; B60C19/00
Domestic Patent References:
WO2006001255A12006-01-05
Foreign References:
JP2007153034A2007-06-21
JP2006290228A2006-10-26
JP2007168671A2007-07-05
JP2006145366A2006-06-08
JPH06278419A1994-10-04
JPH07164830A1995-06-27
JPH10307981A1998-11-17
JP2004205437A2004-07-22
US20020116992A12002-08-29
JP2003214808A2003-07-30
JP2005028950A2005-02-03
Other References:
See also references of EP 2172759A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZONO, Junichi (Fifth Tanaka Bldg. 4-4, Iidabashi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 72, JP)
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Claims:
 トレッドのタイヤ接地端部におけるタイヤ径方向の変形速度の情報、もしくは、タイヤ膨出点におけるタイヤ径方向の変形量の情報を用いて当該タイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とするタイヤ摩耗推定方法。
 タイヤのインナーライナー部に配置されたセンサからの入力情報に基づいて、トレッドのタイヤ接地端部におけるタイヤ径方向の変形速度の指標を算出し、この算出された指標の大きさをタイヤ接地端部における変形速度の情報とすることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記センサを加速度センサとするとともに、この加速度センサで検出されたタイヤトレッド部の径方向加速度の時系列波形を用いて、上記変形速度の指標を算出することを特徴とする請求項2に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記タイヤ径方向加速度の時系列波形を時間微分して得られる時間微分波形のピークの大きさである微分ピーク値、上記ピーク周辺の微分値の平均値、または、上記ピークの位置を上記タイヤトレッドの接地端としたときの、上記タイヤ径方向加速度の時系列波形における上記接地端もしくは接地端近傍の傾きを算出し、これらのいずれかを上記変形速度の指標とすることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 当該タイヤの摩耗の度合いを推定する変形速度の指標を、接地面の踏み込み端または踏み込み端の近傍における変形速度の指標と接地面の蹴り出し端または蹴り出し端の近傍における変形速度の指標との平均値としたことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記加速度センサで検出されたタイヤトレッド部の径方向加速度の時系列波形を用いて、タイヤトレッドの接地端または上記接地端の近傍のタイヤ径方向の変形速度の指標を計測し、この計測された変形速度の指標を、当該タイヤの回転時間の情報、もしくは、当該タイヤの回転速度の情報に基づいて基準化し、上記基準化された変形速度の指標の大きさから当該タイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項3~請求項5のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記計測された変形速度の指標に当該タイヤの回転時間の3乗値を乗算して上記変形速度の指標を基準化することを特徴とする請求項6に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記計測された変形速度の指標を当該タイヤの回転速度の3乗値で除算して上記変形速度の指標を基準化することを特徴とする請求項6に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記タイヤの回転時間または回転速度を、上記加速度センサから出力される信号を用いて算出することを特徴とする請求項6~請求項8のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記加速度センサから出力される加速度の時系列波形、または、上記加速度の時系列波形の時間微分波形または時間積分波形に出現するピークが発生した時間から、タイヤが1回転した後に同じ位置にピークが発生するまでの時間を計測し、この計測された時間を当該タイヤの回転時間とすることを特徴とする請求項9に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 回転長さ係数を上記回転時間で除算した値を当該タイヤの回転速度としたことを特徴とする請求項9に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記変形速度の指標とタイヤの摩耗の度合いとの関係を予め求めておき、この予め求めておいた変形速度の指標とタイヤの摩耗の度合いとの関係と、上記算出された変形速度の指標とを比較して当該タイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項2~請求項11のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 当該タイヤの接地長の指標を計測し、上記計測された接地長の指標と上記基準化した変形速度の指標とに基づいて当該タイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項6~請求項12のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 タイヤの摩耗の度合いに応じた基準化した変形速度の指標と接地長の指標との関係を予め求めておき、上記基準化した変形速度の指標と、上記計測された接地長の指標と、上記予め求めておいた上記基準化した変形速度の指標と接地長の指標との関係とを比較して、当該タイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項13に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記計測された接地長の指標と上記基準化した変形速度の指標との相関式を求め、この相関式の係数の大きさに基づいて当該タイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項13に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記接地長の指標がトレッドのある部分が路面と接触している時間である接地時間であることを特徴とする請求項13~請求項15のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記接地長の指標がトレッドのある部分が路面と接触している時間である接地時間を回転時間で除算した接地時間比であることを特徴とする請求項13~請求項15のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記接地長の指標が接地面のタイヤ周方向長さであることを特徴とする請求項13~請求項15のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 トレッドのある部分が路面と接触している時間である接地時間に回転速度を乗算した値を上記接地面のタイヤ周方向長さとしたことを特徴とする請求項18に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記加速度センサから出力される信号を用いて上記接地長の指標を算出することを特徴とする請求項13~請求項19のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記加速度センサによりタイヤ径方向加速度を検出するとともに、上記検出されたタイヤ径方向加速度の時系列波形を時間微分して得られる時間微分波形の2つのピーク間の時間を計測してこれを接地時間とし、このように計測された接地時間を用いて接地長の指標を算出することを特徴とする請求項20に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 タイヤトレッド部に配置されたセンサからの入力情報に基づいて、トレッドのタイヤ膨出点におけるタイヤ径方向の変形量の指標を算出し、この算出された指標の大きさをタイヤ膨出点における変形量の情報とすることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記センサを加速度センサとするとともに、この加速度センサで検出されたタイヤトレッド部の径方向加速度の時系列波形を用いて、上記変形量の指標を算出することを特徴とする請求項22に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記径方向加速度の時系列波形のピークレベルを算出し、この算出されたピークレベルを上記変形量の指標とすることを特徴とする請求項23に記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記変形量の指標とタイヤの摩耗の度合いとの関係を予め求めておき、この予め求めておいた変形量の指標とタイヤの摩耗の度合いとの関係と、上記算出された変形量の指標とを比較して当該タイヤの摩耗の度合いを推定することを特徴とする請求項22~請求項24のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 上記摩耗の度合いの推定を行うタイヤ速度の上限値を100km/hr以下としたことを特徴とする請求項1~請求項25のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法。
 
Description:
タイヤ摩耗推定方法

 本発明は、タイヤの摩耗の度合いを推定 る方法に関するものである。

 一般に、タイヤが摩耗すると排水性能が低 し、湿潤路面での制動距離が長くなる。ま 、スタッドレスタイヤでは、摩耗により氷 路面上のグリップ性能が大きく低下する。 に、過度の摩耗は、トレッドベルトへ水が 入しタイヤの破壊を引き起こすこともある で、非常に危険である。小型乗用車の場合 タイヤの残溝量が1.6mmになるとスリップサ ンと呼ばれるゴムの突起が溝部に現れるよ になっている。車両の走行安全性を考える 、上記スリップサインの出現より前にタイ は交換されるべきであるが、こういったメ テナンスに無関心な運転者も少なくないの 現状である。
 そこで、運転者への警告のため、タイヤの 耗を自動的に検出する技術が求められてい 。また、車両制御の面からも、摩耗による イヤ特性の変化を把握し、より安全な制御 実現することが期待されている。
 タイヤの摩耗を推定する方法としては、従 、GPSや光学センサなどにより車両の絶対速 を算出してこれを車輪回転速度と比較する とによりタイヤ動半径を算出し、このタイ 動半径と新品時のタイヤ半径の差からタイ 摩耗量を求める方法が知られている(例えば 、特許文献1,2参照)。
 しかし、完全に摩耗したタイヤであっても その回転数と新品タイヤの回転数との差は 々1%程度であるため、上記タイヤ半径の差 らタイヤ摩耗量を求めるためには、高い精 の計測が必要なだけでなく、実際の走行に いては、旋回時の内外輪誤差や、制駆動時 加速度スリップによる誤差、勾配に伴う誤 などを含むため、安定して精度の良い推定 実現することが困難であった。
 一方、タイヤトレッドにトランスポンダやI Cタグなどを埋め込んでおき、車体側に受信 を配置して、上記トランスポンダやICタグが 摩耗により破壊したり脱落したりして応答が なくなることにより、タイヤの摩耗を推定す る方法(例えば、特許文献3~5参照)や、タイヤ レッドに磁性材料や導電ゴムから成る検知 を埋め込んでおき、車体側にセンサを配置 て、タイヤの摩耗により上記検知体が摩耗 てセンサの検出信号が変化することを検知 てタイヤの摩耗を推定する方法が提案され いる(例えば、特許文献6,7参照)。

特開平6-278419号公報

特開平7-164830号公報

特開平10-307981号公報

特開2004-205437号公報

US2002/0116992A1

特開2003-214808号公報

特開2005-28950号公報

 しかしながら、タイヤトレッドにトラン ポンダやICタグ、あるいは、磁性材料や導 ゴムなどを埋め込む方法では、摩耗が進展 ると検知体やセンサが接地面に露出するた 、タイヤの耐久性への悪影響が懸念される けでなく、トレッドゴムとは異なる物性の ムがタイヤトレッド表面に露出した場合に 、タイヤのグリップ力が低下してしまうと った問題があった。

 本発明は、従来の問題点に鑑みてなされ もので、センサ及びタイヤの耐久性に優れ とともに、タイヤの摩耗度合を安定してか 精度よく推定することのできる方法を提供 ることを目的とする。

 図18は、タイヤに荷重を加えて撓ませたと のタイヤの外形を示す模式図である。タイ に荷重を加えると、タイヤが路面に接して る部分(接地面)がタイヤ中心方向に押し込め られ、その周辺は、同図の一点鎖線で示す初 期プロファイルから外側に膨れる変形をする 。ここで、接地面外においてタイヤ1が最も 側へ膨れる点を膨出点と定義し、タイヤ1の 地面の端部を接地端と定義する。また、接 端部は、上記接地端とその周辺(接地端の前 後)を指す。
 本発明者は新品のタイヤと摩耗したタイヤ 変形の違いを検討した結果、同じ撓み量を えた場合には、摩耗したタイヤでは踏み込 端や蹴り出し端などの接地端部の変形速度 大きく、また、上記膨出点の変形量が新品 タイヤよりも大きいことがわかった。この 由は、摩耗したタイヤはトレッドゴムが少 いため、トレッドの面外曲げ変形剛性が低 なっていることが影響していると考えられ 。そこで、本発明者らは、上記接地端部の 形速度の情報もしくは変形量の情報を用い また、解析方法を工夫することにより、タ ヤの使用条件やタイヤの摩耗形態が異なっ 場合でも、タイヤの摩耗を精度よく推定す ことができることを見出し、本発明に到っ ものである。
 すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、 タイヤの摩耗を推定する方法であって、トレ ッドのタイヤ接地端部におけるタイヤ径方向 の変形速度の情報、もしくは、タイヤ膨出点 におけるタイヤ径方向の変形量の情報を用い て当該タイヤの摩耗の度合いを推定すること を特徴とするものである。これにより、例え ば、センター部に対してショルダー部の方が 摩耗気味であるなど、タイヤの摩耗形態が異 なった場合や、荷重などのタイヤの使用条件 が変わる場合でも、タイヤの摩耗を精度よく 推定することができる。  

 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の イヤ摩耗推定方法において、タイヤのイン ーライナー部に配置されたセンサからの入 情報に基づいて、トレッドのタイヤ接地端 におけるタイヤ径方向の変形速度の指標を 出し、この算出された指標の大きさをタイ 接地端部における変形速度の情報とするこ を特徴とするものである。タイヤ接地端部 おける変形速度の情報を得るためのセンサ 配置する場所としては、タイヤトレッド部 サイド部、ホイール部が考えられるが、様 な条件下で安定的に変形速度の情報を検出 得るのはタイヤトレッド部に限定される。 なわち、トレッドの変形を直接的に計測し その信号からタイヤ径方向の変形速度の指 を算出することにより、タイヤの摩耗の度 いを精度よく推定することができる。なお 変形速度の指標とは、変形速度、あるいは 変形速度を代用する量を指す。また、上記 ンサの取付け位置としては、耐久性の観点 らは、タイヤのインナーライナー部が好ま く、また、データの安定性の観点からは、 イヤ断面幅方向中心に取り付けることが好 しい。センサをインナーライナー部に配置 ることにより、タイヤトレッドにトランス ンダやICタグなどを埋め込んだ従来例に比較 して、センサ及びタイヤの耐久性を大幅に向 上させることができる。なお、インナーライ ナー部とは、インナーライナーの表面(タイ 内面)、あるいは、インナーライナーゴムの 部、もしくは、インナーライナーのプライ リートとの境界面をいう。
 請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の イヤ摩耗推定方法において、上記センサを 速度センサとするとともに、この加速度セ サで検出されたタイヤトレッド部の径方向 速度の時系列波形を用いて、上記変形速度 指標を算出するようにしたものである。加 度センサは応答性が高いセンサであり、こ をタイヤトレッド部の径方向の加速度を検 するように配置することにより、トレッド 変形速度を時間遅れなく精度よく検出する とができるので、タイヤの摩耗の度合を精 よく推定することができる。

 請求項4に記載の発明は、請求項3に記載 タイヤ摩耗推定方法において、上記タイヤ 方向加速度の時系列波形を時間微分して得 れる時間微分波形のピークの大きさである 分ピーク値、上記ピーク周辺の微分値の平 値、または、上記ピークの位置を上記タイ トレッドの接地端としたときの、上記タイ 径方向加速度の時系列波形の上記接地端も くは接地端近傍の傾きを算出し、これらの ずれかを上記変形速度の指標としたもので る。すなわち、タイヤ径方向加速度の時系 波形は、歪波形やFEMの計算結果との対比か 、タイヤトレッドが径方向に受けている力 応じて発生しており、若干の位相差はある 、径方向の変形量を代用する値である。し がって、上記時系列波形の微分値が変形速 の指標を表わし、また、ピーク位置は接地 に対応するので、上記時間微分波形のピー の大きさである微分ピーク値、上記ピーク 辺の微分値の平均値、もしくは、上記ピー の位置を上記タイヤの接地端としたときの 上記タイヤ径方向加速度波形の上記接地端 しくは接地端近傍の傾きを上記変形速度の 標とすれば、上記変形速度の指標の計測精 を向上させることができる。

 請求項5に記載の発明は、請求項2~請求項4 のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法にお いて、当該タイヤの摩耗の度合いを推定する 変形速度の指標を、接地面の踏み込み端また は踏み込み端の近傍における変形速度の指標 と、接地面の蹴り出し端または蹴り出し端の 近傍における変形速度の指標との平均値とし たものである。これにより、タイヤに入力す る前後力やタイヤの姿勢角の影響を受けにく くなるので、摩耗の度合いをより安定して推 定することができる。なお、変形速度の符号 が踏み込み端側と蹴り出し端側で正負逆にな るので、上記平均値として単純平均を用いる 場合には、絶対値の平均をとる必要がある。 また、上記平均値を算出する方法としては上 記単純平均に限定されるものではなく、2乗 均根を用いるなど他の方法を用いてもよい

 請求項6に記載の発明は、請求項3~請求項5 のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法にお いて、上記加速度センサで検出されたタイヤ トレッド部の径方向加速度の時系列波形を用 いて、タイヤトレッドの接地端または上記接 地端の近傍のタイヤ径方向の変形速度の指標 を計測し、この計測された変形速度の指標を 、当該タイヤの回転時間の情報、もしくは、 当該タイヤの回転速度の情報に基づいて基準 化し、上記基準化された変形速度の指標の大 きさから当該タイヤの摩耗の度合いを推定す ることを特徴とするものである。加速度セン サを用いて計測した変形速度の指標はタイヤ の回転速度によって変動する。そこで、タイ ヤの摩耗状態の推定メジャーとして加速度セ ンサで計測したトレッド変形速度の指標を用 いるとともに、上記変形速度の指標を当該タ イヤの回転時間の情報、もしくは、当該タイ ヤの回転速度の情報に基づいて基準化して、 上記タイヤ回転速度の影響をとり除くように すれば、タイヤの摩耗状態を安定的に推定す ることができる。

 請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の イヤ摩耗推定方法において、上記計測され 変形速度の指標に当該タイヤの回転時間の3 値を乗算して上記変形速度の指標を基準化 るようにしたものである。
 また、請求項8に記載の発明は、請求項6に 載のタイヤ摩耗推定方法において、上記計 された変形速度の指標を当該タイヤの回転 度の3乗値で除算して上記変形速度の指標を 準化するようにしたものである。
 上記加速度センサに入力する加速度は遠心 、すなわち、回転速度の2乗に比例する。ま た、上記の請求項4の説明で述べたように、 レッド径方向の変形速度とは上記加速度を 間で除した値であり、接地端の変形に要す 時間は回転速度に反比例するので、変形速 は回転速度の3乗に比例する。したがって、 求項7に記載の発明のように、変形速度に回 転時間の3乗値を乗ずるか、あるいは、請求 8に記載の発明のように、変形速度を回転速 の3乗値で除するかして、上記変形速度の指 標を基準化してやれば、速度が変化した場合 でも上記基準化した変形速度は一定になるの で、タイヤの摩耗状態の推定精度を更に向上 させることができる。

 また、請求項9に記載の発明は、請求項6~請 項8のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法 において、上記タイヤの回転時間または回転 速度を、上記加速度センサから出力される信 号を用いて算出するようにしたものである。
 請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の イヤ摩耗推定方法において、上記加速度セ サから出力される加速度の時系列波形、ま は、上記加速度の時系列波形の時間微分波 または時間積分波形に出現するピークが発 した時間から、タイヤが1回転した後に同じ 位置にピークが発生するまでの時間を計測し 、この計測された時間を当該タイヤの回転時 間としたものである。
 請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の イヤ摩耗推定方法において、荷重負荷状態 タイヤが1回転する長さである回転長さ係数 を上記回転時間で除算した値を当該タイヤの 回転速度としたものである。
 このように、上記タイヤの回転時間または 転速度を、上記加速度センサから出力され 信号を用いて算出するようにすれば、車輪 センサなどの回転センサを用いる必要がな ので、装置を小型化することができる。ま 、2つのセンサの出力を同期させるなどの信 号処理も不要となるので、信号処理回路も簡 素化できる。
 請求項12に記載の発明は、請求項2~請求項11 いずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法にお て、上記変形速度の指標とタイヤの摩耗の 合いとの関係を予め求めておき、この予め めておいた変形速度の指標とタイヤの摩耗 度合いとの関係と、上記算出された変形速 の指標とを比較して当該タイヤの摩耗の度 いを推定することを特徴とするもので、こ により、タイヤの摩耗の度合いを更に精度 く推定することができる。ここで、上記変 速度の指標とタイヤの摩耗の度合いとの関 に用いられる変形速度の指標とは、指標の きさであってもよいし、指標の使用初期か の大きさの変化量であってもよい。タイヤ 製造要因やセンサの取付け要因により、新 時の指標の大きさは変化する可能性がある その場合、使用初期の指標値を計測し記憶 ておき、その初期値から変化量を算出し、 記関係と比較することにより、推定安定性 向上させることができる。

 請求項13に記載の発明は、荷重や摩耗形状 タイヤの摩耗度合いの推定精度に与える影 を少なくするため、請求項6~請求項12のいず かに記載のタイヤ摩耗推定方法において、 重と相関が高くかつタイヤの摩耗形状とも 係が深い、当該タイヤの接地長の指標を計 し、上記計測された接地長の指標と上記基 化した変形速度の指標とに基づいて当該タ ヤの摩耗の度合いを推定するようにしたの 、タイヤに作用する荷重が変化した場合や ショルダー落ちやセンター摩耗といった摩 形状が異なる場合でも、タイヤの摩耗の度 いを精度よく推定することができる。
 請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の タイヤ摩耗推定方法において、タイヤの摩耗 の度合いに応じた基準化した変形速度の指標 と接地長の指標との関係を予め求めておき、 上記基準化した変形速度の指標と、上記計測 された接地長の指標と、上記予め求めておい た上記基準化した変形速度の指標と接地長の 指標との関係とを比較して、当該タイヤの摩 耗の度合いを推定するようにしたものである 。すなわち、基準化した変形速度の指標と接 地長の指標との関係を、摩耗の度合いごとに グラフ化するなどして、タイヤの摩耗の度合 いに応じた基準化した変形速度の指標と接地 長の指標との関係を予め求めておき、上記基 準化した変形速度の指標と上記計測された接 地長の指標とが、上記グラフのどの摩耗度合 いのラインに乗るかを調べるなどして、上記 基準化した変形速度の指標と上記計測された 接地長の指標とを、予め求めておいた基準化 した変形速度の指標と接地長の指標との関係 と比較して当該タイヤの摩耗の度合いを推定 するようにすれば、当該タイヤの摩耗の度合 いを更に精度よく推定することができる。ま た、請求項12の説明にも記載したように、変 速度の指標は、その大きさ、あるいは、使 初期からの変化量を指す。
 また、請求項15に記載の発明は、請求項13に 記載のタイヤ摩耗推定方法において、上記計 測された接地長の指標と上記基準化した変形 速度の指標との相関式を求め、この相関式の 係数の大きさに基づいて当該タイヤの摩耗の 度合いを推定するようにしたものである。上 記相関式は、例えば、一次近似であれば、Y=a X+b(X;接地長の指標、Y;基準化した変形速度の 標、a,b;定数)とし、上記定数aの値を固定値 し、bの値の大きさで摩耗の度合いを推定す るなどすればよい。あるいは、bの値など、 数の大きさの使用初期からの変化量に基づ て摩耗の度合いを推定してもよい。なお、 関式は、上記のような一次近似である必要 ないので、予め基準化した変形速度の指標 接地長の指標との関係を求めておき、この 係を表すのに適していると考えられる近似 を選択すればよい。

 請求項16に記載の発明は、請求項13~請求項15 のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法にお いて、上記接地長の指標を、トレッドのある 部分が路面と接触している時間である接地時 間としたものである。
 請求項17に記載の発明は、請求項13~請求項15 のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法にお いて、上記接地長の指標を、トレッドのある 部分が路面と接触している時間である接地時 間を回転時間で除算した接地時間比としたも のである。この値は、接地長を1周長さで除 した比の値にほぼ等しい。
 請求項18に記載の発明は、請求項13~請求項15 のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法にお いて、上記接地長の指標を、接地面のタイヤ 周方向長さとしたものである。
 請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の タイヤ摩耗推定方法において、トレッドのあ る部分が路面と接触している時間である接地 時間に回転速度を乗算した値を上記接地面の タイヤ周方向長さとしたものである。
 このように、上記接地長の指標として、ト ッドのある部分が路面と接触している時間 ある接地時間、上記接地時間を回転時間で 算した接地時間比、あるいは、接地面のタ ヤ周方向長さを用いれば、荷重及びタイヤ 摩耗形状の推定に対する影響を少なくする とができ、タイヤの摩耗の度合いを確実に 定することができる。また、上記接地面の イヤ周方向長さをトレッドのある部分が路 と接触している時間である接地時間に回転 度を乗算した値とすれば、上記接地面のタ ヤ周方向長さを精度良く求めることができ 。  

 請求項20に記載の発明は、請求項13~請求項19 のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法にお いて、上記加速度センサから出力される信号 を用いて上記接地長の指標を算出するように したので装置を簡素化できる。
 請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の タイヤ摩耗推定方法において、上記加速度セ ンサによりタイヤ径方向加速度を検出すると ともに、上記検出されたタイヤ径方向加速度 の時系列波形を時間微分して得られる時間微 分波形の2つのピーク間の時間を計測してこ を接地時間とし、このように計測された接 時間を用いて接地長の指標を算出するよう したもので、これにより、上記接地時間を いて算出する接地長の指標の精度を更に向 させることができる。

 請求項22に記載の発明は、請求項1に記載の イヤ摩耗推定方法において、タイヤトレッ 部に配置されたセンサからの入力情報に基 いて、トレッドのタイヤ膨出点におけるタ ヤ径方向の変形量の指標を算出し、この算 された指標の大きさをタイヤ膨出点におけ 変形量の情報とすることを特徴とするもの 、例えば、後述するタイヤトレッドの径方 加速度のピークレベルの大きさのような、 形量の指標を算出して、この算出された変 量の指標をタイヤ接地面の端部側における 形量の情報として、当該タイヤの摩耗の度 いを推定するようにすれば、トレッドの変 を直接的に計測することになるので、タイ の摩耗の度合いを精度よく推定することが きる。
 請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の タイヤ摩耗推定方法において、上記センサを 加速度センサとするとともに、この加速度セ ンサで検出されたタイヤトレッド部の径方向 加速度の時系列波形を用いて、上記変形量の 指標を算出するようにしたものである。加速 度センサは、上記のように、応答性が高いセ ンサであり、これをタイヤトレッド部の径方 向の加速度を検出するように配置することに より、トレッドの変形量を精度よく検出する ことができるので、タイヤの摩耗の度合を精 度よく推定することができる。
 請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の タイヤ摩耗推定方法において、上記径方向加 速度の時系列波形のピークレベルを算出し、 この算出されたピークレベルを上記変形量の 指標としたものである。加速度波形がタイヤ 径方向加速度の場合には、加速度の時系列波 形そのものが変形量に対応するので、上記変 形量の指標を精度よく算出することができる 。

 請求項25に記載の発明は、請求項22~請求項24 のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方法にお いて、上記変形量の指標とタイヤの摩耗の度 合いとの関係を予め求めておき、この予め求 めておいた変形量の指標とタイヤの摩耗の度 合いとの関係と、上記算出された変形量の指 標とを比較して当該タイヤの摩耗の度合いを 推定することを特徴とするもので、これによ り、タイヤの摩耗の度合いを更に精度よく推 定することができる。ここで、上記変形量の 指標とタイヤの摩耗の度合いとの関係に用い られる変形量の指標は、指標の大きさであっ てもよいし、指標の使用初期からの大きさの 変化量であってもよい。タイヤの製造要因や センサの取付け要因により、新品時の指標の 大きさは変化する可能性がある。その場合、 使用初期の指標値を計測し記憶しておき、そ の初期値から変化量を算出し、上記関係と比 較することにより、推定安定性を向上させる ことができる。
 また、請求項26に記載の発明は、請求項1~請 求項25のいずれかに記載のタイヤ摩耗推定方 において、上記摩耗の度合いの推定を行う イヤ速度の上限値を100km/hr以下としたこと 特徴とするもので、これにより安定した摩 推定を行うことができる。すなわち、本手 ではトレッドの変形情報を捉えてタイヤ摩 を推定しているが、タイヤ速度が100km/hrを超 えると遠心力の影響が非常に大きくなるので 、大きな補正が必要になる。しかし、摩耗は 時間的に非常に遅い変化であるので、高速走 行時に推定を中断しても問題になることはな い。したがって、上記のように、摩耗の度合 いの推定を行うタイヤ速度に上限値を設けて 、推定範囲を設定する方が、推定の安定性が 高くなる。

本発明の最良の形態1に係るタイヤ摩耗 推定装置の構成を示す機能ブロック図である 。 加速度センサの取付け例を示す図であ 。 タイヤ径方向加速度波形を示す図であ 。 タイヤ径方向加速度の微分波形を示す である。 タイヤ径方向加速度の微分波形の踏み み端側のピークレベルと摩耗の度合との関 を示す図である。 タイヤ径方向加速度の微分波形の蹴り し端側のピークレベルと摩耗の度合との関 を示す図である。 タイヤ周方向加速度波形を示す図であ 。 タイヤ周方向加速度の微分波形の踏み み端側のピークレベルと摩耗の度合との関 及び蹴り出し端側のピークレベルと摩耗の 合との関係を示す図である。 タイヤ周方向歪波形及びこの歪波形の 分波形を示す図である。 新品タイヤ径方向加速度波形と摩耗品 タイヤのタイヤ径方向加速度波形とを比較し た図である。 本発明の最良の形態2に係るタイヤ摩 推定装置の構成を示す機能ブロック図であ 。 本発明の最良の形態3に係るタイヤ摩 推定装置の構成を示す機能ブロック図であ 。 加速度センサで検出したタイヤ径方向 加速度波形を示す図である。 タイヤ径方向加速度の微分波形を示す 図である。 タイヤ回転速度とトレッド変形速度と の関係を示す図である。 タイヤ回転速度と基準化変形速度指標 との関係を示す図である。 接地時間比と基準化変形速度指標との 関係を示す図である。 荷重負荷時におけるタイヤの外形変化 を示す模式図である。

符号の説明

 1 タイヤ、2 インナーライナー部、3 タイ トレッド、4 ホイール、
5 周方向溝、6 ショルダー部、7 センター部 、
10,20,30 タイヤ摩耗推定装置、11 加速度セン 、11F 送信器、
12 車輪速センサ、13 加速度波形抽出手段、1 4 微分波形演算手段、
15 変形速度算出手段、16 記憶手段、16A L-W ップ、
16B M-Vマップ、17 荷重推定手段、18 摩耗推 手段、19 演算部、
25 変形量算出手段、26 記憶手段、26B M-Yマ プ、28 摩耗推定手段、
30A センサ部、30B 演算部、32 加速度微分波 演算手段、
33 変形速度算出手段、34 回転時間算出手段 35 接地時間算出手段、
36 接地時間比算出手段、37 基準化変形速度 標算出手段、38 記憶手段、
38M V(M)-Lマップ、39 タイヤ摩耗推定手段。

 以下、本発明の最良の形態について、図面 基づき説明する。
最良の形態1.
 図1は、本最良の形態1に係るタイヤ摩耗推 装置10の構成を示す機能ブロック図で、同図 において、11はタイヤトレッド部の加速度を 出する加速度センサ、12は車輪の回転速度 検出する車輪速センサ、13は上記加速度セン サの出力からタイヤトレッド部の加速度の時 系列波形を抽出する加速度波形抽出手段、14 上記加速度を微分した値の時系列波形であ 加速度の微分波形を演算する微分波形演算 段、15は上記加速度の微分波形に現れる2つ ピークのうちの前側のピークである踏み込 端側ピークのレベルを算出し、この算出さ た踏み込み端側のピークのレベルを当該タ ヤの変形速度の指標Vとして出力する変形速 度算出手段、16は予め求めておいた接地長Lと 荷重Wの関係を示すL-Wマップ16A及びタイヤの 耗の度合Mと変形速度の指標Vとの関係を示す M-Vマップ16Bとを記憶する記憶手段、17は上記 速度の微分波形に現れるトレッドの接地端 おける変形に対応する2つのピーク間の時間 である接地時間を算出し、この算出された接 地時間にタイヤ速度を掛け合わせて当該タイ ヤの接地長Lを算出するとともに、上記記憶 段16に記憶された上記L-Wマップ16Aを用いて、 上記算出された接地長Lから当該タイヤの荷 Wを推定して出力する荷重推定手段、18は上 変形速度算出手段15で算出された変形速度の 指標Vと上記M-Vマップ16B及び荷重推定手段17で 推定された荷重Wとから、当該タイヤの摩耗 度合を推定する摩耗推定手段である。なお 本例では、上記タイヤ回転速度を、車輪速 ンサ12で検出された車輪の回転時間と当該タ イヤの回転長さ係数とを用いて算出するよう にしている。
 また、本例では、加速度センサ11を、図2に すように、タイヤ1のインナーライナー部2 タイヤの幅方向中心に、その検出方向がタ ヤ径方向になるように配置して、路面から イヤトレッド3の内面に作用するタイヤ径方 の加速度を検出する。
 車輪速センサ12は、ヨークとコイルとから るセンサ部を図示しないナックルに装着し 車軸の回転を検出する周知の電磁誘導型の 輪速センサを用いている。
 また、上記加速度波形抽出手段13から摩耗 定手段18までの各手段は車体側に設置されて 演算部19を構成する。
 上記加速度センサ11の出力信号を演算部19に 送る構成としては、例えば、図2に示すよう 、インナーライナー部2もしくはホイール4に 送信器11Fを設置して、上記出力信号を図示し ない増幅器で増幅した後、無線にて上記演算 部19に送信する構成とすることが好ましい。 お、演算部19をタイヤ側に設けて摩耗推定 段18の判定結果を車体側の図示しない車両制 御装置に送信する構成としてもよい。

 次に、本最良の形態1に係るタイヤ摩耗推定 方法について説明する。
 まず、加速度センサ11によりタイヤトレッ 3の変形に伴って変形するインナーライナー 2内面のタイヤ径方向の加速度を検出する。 加速度波形抽出手段13では、上記加速度セン の出力信号から、上記径方向加速度の時系 波形(以下、加速度波形という)を抽出する 図3は上記加速度波形の一例を示す図で、横 は時間[sec.]で、縦軸は径方向の加速度の大 さ[G]である。加速度がプラスの値の場合に タイヤ外側に加速度が発生しており、マイ スの値の場合にはタイヤ中心方向に加速度 発生している。この加速度は、タイヤトレ ドが径方向に受けている力に応じて発生し おり、若干の位相差はあるが、径方向の変 量を代用する値である。プラス側の2つのピ ーク近傍は接地面外であり、トレッドがタイ ヤ外側に変形するような力を受けていること から、上記2つのピークは膨出点であること 分かる。
 トレッド3のタイヤ接地面の端部における変 形速度は上記径方向の変形量の時間変化の大 きさに比例するので、微分波形演算手段14に 上記加速度を微分した値の時系列波形であ 微分波形を演算して求める。
 図4は上記微分波形の一例を示す図で、横軸 は時間[sec.]で、縦軸は径方向加速度の微分値 の大きさ[G/sec.]である。この微分波形のピー である2つのピーク(踏み込み端側のピーク 蹴り出し端側のピーク)はトレッドの受けて る径方向の力が最も変化している点であり そのピークの大きさは接地端部の変形速度 比例している。
 変形速度算出手段15では、上記2つのピーク うち、踏込み側ピークのレベル(絶対値)を 出して、これを変形速度の指標Vとし、この 形速度の指標Vを摩耗推定手段18に出力する
 なお、ピーク検出においては、加速度セン 11の感度にもよるが、適度なローパスフィ タを掛けてからピーク検出する方がデータ 安定する。すなわち、より安定した摩耗推 をすることができる。また、上記ピーク間 時間間隔はタイヤ速度によって大きく変化 るので、ローパスフィルタの周波数はタイ 速度に応じて変える方が、各速度における 形形状を同様にすることができるので、よ 安定した推定を行うことができる。

 また、上記微分波形の2つのピーク間の時間 間隔はトレッドの接地時間に相当する。荷重 推定手段17では、上記微分波形の2つのピーク 間の時間間隔から接地時間を算出し、この接 地時間に、タイヤ速度を掛け合せて接地長L 算出する。本例では、上記タイヤ速度を、 輪速センサ12で検出された車輪の回転時間と 当該タイヤの回転長さ係数とを用いて算出す るようにしている。
 摩耗推定手段18では、上記変形速度算出手 15で算出された変形速度の指標Vと予め記憶 段16に記憶しておいたタイヤ摩耗の度合Mと 形速度の指標Vとの関係を示すM-Vマップ16Bと 用いて当該タイヤの摩耗の度合を推定する
 なお、上記変形速度の指標Vとして用いるピ ークレベルは若干、荷重依存性があるので、 本例では、上記荷重推定手段17で推定した荷 Wに基づいて、上記タイヤ摩耗の度合Mを補 するようにしている。

 タイヤの摩耗の度合Mと変形速度の指標Vの である踏込み側ピークのレベルとの関係は 下の試験結果に基づいて求めた。
 摩耗量だけでなく、摩耗の形態の影響も含 て検討すべく、以下の4種の試験タイヤを準 備した。言うまでもなく、市場における摩耗 の形態にはバラツキがあり、摩耗形態が異な っても推定誤差が小さいことが重要である。
 試験タイヤ1は新品タイヤで、図2に示すセ ターに近い位置の周方向溝5の溝深さは約8mm ある。
 試験タイヤ2はセンターに近い位置の周方向 溝5の残溝深さが約4mmで、かつ、ショルダー 6が摩耗気味のタイヤである。
 試験タイヤ3はセンターに近い位置の周方向 溝5の残溝深さが約4mmで、センター部7が摩耗 味で、ショルダー部6は残っている形態のタ イヤである。
 試験タイヤ4はセンターに近い位置の周方向 溝5の残溝深さが約2mmで、スリップサインに いレベルまでほぼ均等に摩耗したタイヤで る。
 上記試験タイヤ1~4を、フラットベルト試験 上で時速40kmにて走行させ、タイヤ径方向の 加速度を計測し、上記加速度の微分波形を用 いて踏込み側ピークのレベルを算出した。用 いたタイヤはサイズが205/65R15のタイヤで、そ のときの内圧は230kPaである。また、荷重につ いては、3~7kNまで1kNおきに変化させた。
 図5のグラフは荷重(kN)を変化させたときの 上記各試験タイヤ1~4の踏込み側ピークのレ ル(G/sec.)をプロットしたものである。このグ ラフから、踏込み側ピークのレベルは、若干 の荷重依存性はあるものの、摩耗の度合Mが むほど踏込み側ピークのレベルの絶対値が きくなっていることが分かる。
 また、同図の□印で示す試験タイヤ2と△印 で示す試験タイヤ3とは摩耗の形態が異なっ いるが、摩耗の形態が異なっていてもその は少なく、試験タイヤ2と試験タイヤ3のライ ンは、同図の◆印で示す新品タイヤのライン と×印で示す残溝約2mmのタイヤのラインとの ぼ中間に位置している。また、センター摩 量は同じでショルダーがより摩耗している すなわち、トレッド全体としてはより摩耗 ている試験タイヤ2の変形速度の方が、試験 タイヤ3より大きくなっている。したがって トレッドのタイヤ径方向の加速度の微分波 を用いて算出した踏込み側ピークのレベル 算出し、これを変形速度の指標Vとしてタイ の摩耗を推定すれば、摩耗の形態が異なっ いても安定して摩耗レベルを推定できる。 た、上記図5のグラフを用いて荷重による補 正を行えば、摩耗レベルの推定精度を更に向 上させることができる。
 ところで、タイヤ速度が大きくなると変形 の遠心力の影響が大きくなり、その結果、 地長Lと荷重Wとの関係も変ってくる。そこ 、推定を行う際のタイヤ速度の上限値を定 、低速側で推定する方が安定した摩耗推定 実現できる。また、摩耗の進展は非常に遅 ため、高速走行時に推定できなくても実用 は何ら問題はない。タイヤの種類にもよる 、タイヤの動半径への遠心力の影響が大き なるのは100km/hr以上であるので、100km/h以下 測定することが好ましい。なお、上記試験 タイヤ速度を変えて行ったところ、時速100km までの範囲では各ラインは動かず安定してい ることが確認された。

 このように本最良の形態1では、タイヤ1の ンナーライナー部2の内面側に加速度センサ1 1を設けてタイヤトレッド3のタイヤ径方向の 速度を検出し、この検出した加速度の微分 形に現れるタイヤトレッド3の踏み込み端側 のピークレベルを算出してこれを当該タイヤ のトレッドの変形速度の指標Vとし、この算 された変形速度の指標Vからと、予め求めて いたタイヤ摩耗の度合Mと変形速度の指標V の関係を示すM-Vマップ16Bとに基づいて当該 イヤの摩耗の度合を推定するようにしたの 、タイヤの摩耗形態が異なった場合でも、 イヤの摩耗を精度よく推定することができ 。このとき、上記微分波形に現れる2つのピ クの間隔から当該タイヤの接地長Lを求めて 荷重Wを推定し、この推定された荷重Wにより 記タイヤの摩耗の度合を補正するようにす ば、タイヤの摩耗の度合を更に精度よく推 することができる。
 また、加速度センサ11はタイヤ接地面に露 しないので、耐久性に優れるとともに、グ ップ力などのタイヤ性能を損なうことなく タイヤの摩耗を推定することができる。

 なお、上記最良の形態1では、踏み込み端側 のピークレベルを算出してこれを当該タイヤ のトレッドの変形速度の指標Vとしたが、蹴 出し端側のピークレベルを算出してこれを 形速度の指標Vとしてもよい。図6のグラフは 荷重(kN)を変化させたときの、上記各試験タ ヤ1~4の蹴り出し端側ピークのレベルをプロ トしたもので、試験方法については、上記 と同様である。
 このグラフから、蹴り出し端側のピークレ ルは、若干の荷重依存性はあるものの、摩 の度合Mが進むほど踏込み側ピークのレベル が大きくなっていることが分かる。したがっ て、蹴り出し端側のピークレベルを算出して これを変形速度の指標Vとしても、タイヤの 耗の度合を精度よく推定することができる
 また、上記例では、タイヤトレッド3のタイ ヤ径方向の加速度を検出して変形速度の指標 Vを算出したが、加速度センサ11の検出方向を タイヤ周方向として、トレッドのタイヤ接地 面端部のタイヤ周方向加速度を検出するよう にしてもよい。
 図7はタイヤ周方向加速度の時系列波形を示 す図で、タイヤ周方向加速度を用いる場合に は、微分波形のピークではなく、周方向加速 度波形に現れる踏み込み端側のピークレベル もしくは蹴り出し端側のピークレベルをその まま用いればよい。この場合、加速度の方向 は周方向であるが、その大きさは、タイヤ径 方向の変形速度に連動して変化しているので 、上記タイヤ周方向加速度もタイヤ径方向の 変形速度の情報である。
 図8(a)のグラフは,荷重(kN)を変化させたとき 、上記各試験タイヤ1~4の踏み込み端側ピー のレベルをプロットしたもので、図8(b)のグ ラフは蹴り出し端側ピークのレベルをプロッ トしたものである。試験方法については、上 記例と同様である。
 これらのグラフから、踏み込み端側のピー レベルも蹴り出し端側のピークレベルも、 干の荷重依存性はあるものの、摩耗の度合 進むほどピークのレベルの絶対値が大きく っていることが分かる。したがって、タイ 周方向加速度の時系列波形からその踏み込 端側のピークレベル、もしくは、蹴り出し 側のピークレベルを算出してこれを変形速 の指標Vとしても、タイヤの摩耗の度合を精 度よく推定することができる。
 また、上記踏み込み端側のピークレベルと り出し端側のピークレベルの両方を算出し 踏み込み端側のピークレベルの絶対値と蹴 出し端側のピークレベルの絶対値の和、も くは、踏み込み端側のピークレベルの絶対 と蹴り出し端側のピークレベルの絶対値と 平均値を変形速度の指標Vとしてもよい。

 また、上記例では、加速度センサ11を、図2 示すように、タイヤ1のインナーライナー部 2の内面のタイヤの幅方向中心に配置したが インナーライナー部2のタイヤ径方向外側で つベルト層の内側や、ベルト層よりもタイ 径方向外側でかつトレッドゴムに形成され 溝部よりも内側に配置しても同様の効果を ることができる。しかし、耐久性や取付け 容易さを考慮すると、本例のように、イン ーライナー部2の内面側などに取付ける方が 有利である。
 また、上記例では、車輪速センサ12を用い 当該タイヤの速度を検出するようにしたが 車体側に速度センサもしくは加速度センサ 設けて車体速度を計測し、この車体速度か 接地長を求めるようにしてもよい。
 上記加速度波形のピークもしくは微分波形 ピークは、タイヤの1回転毎に繰り返し現れ るので、上記ピークの時間間隔と当該タイヤ の回転長さ係数とを用いてタイヤ速度を算出 するようにしてもよい。

 また、上記例では、加速度センサ11によ 検出したタイヤ径方向加速度の微分波形か タイヤの摩耗を推定したが、上記加速度セ サ11に変えて歪センサを設け、タイヤ周方向 歪波形を検出してタイヤの摩耗を推定するよ うにしてもよい。図9(a)はタイヤ周方向歪波 の一例を示す図で、図9(b)はその微分波形で る。トレッドのタイヤ接地端側では、タイ 径方向加速度がプラスであり、トレッドが イヤ外側に変形するが、その場合、タイヤ 面側はベルトを中立軸として圧縮されるよ に曲げられるので、タイヤ周方向歪はマイ スになる。タイヤ径方向の力が最も変化し いる点は、タイヤ周方向歪も最も変化する でもあるので、図9(b)に示すタイヤ周方向歪 の微分波形に現れるピークのレベルを算出し てこれを変形速度の指標Vとしてもよい。す わち、タイヤ周方向歪の微分波形に現れる ークのレベルも、接地端部におけるタイヤ 方向の変形速度の情報であるので、上記変 速度の指標Vを用いれば、タイヤの摩耗の度 を精度よく推定することができる。

最良の形態2.
 上記最良の形態1では、加速度センサ11によ 検出したタイヤ径方向加速度の微分波形か タイヤのトレッドの接地端部における変形 度の指標Vを算出し、タイヤの摩耗の度合を 推定したが、上記タイヤ径方向加速度波形か らトレッドの膨出点におけるタイヤ径方向の 変形量の指標Yを算出し、この変形量の指標Y らタイヤの摩耗の度合を推定することも可 である。
 図10は、タイヤのサイズが205/65R15の夏用タ ヤを、速度40km/hr、荷重5kN、内圧230kPaの条件 、フラットベルト試験機上で走行させたと のトレッドのタイヤ径方向加速度波形を比 した図である。横軸は時間[sec.]で、縦軸は 方向の加速度の大きさ[G]で、同図の実線が 記試験タイヤ1と同じ新品タイヤのデータで 、同図の破線が上記試験タイヤ4と同じ摩耗 タイヤである。
 プラス側の2つのピーク近傍は接地面外であ り、トレッドがタイヤ外側に変形するような 力を受けていることから、これら2つのピー は上記膨出点である。この膨出点のレベル トレッドが受ける力の大きさ、すなわち、 レッドのタイヤ接地端部側の変形量に比例 るので、上記トレッドのタイヤ径方向加速 波形の踏み込み端側のピークレベル、もし は、蹴り出し端側のピークレベルを算出し これをトレッドのタイヤ接地端部側の変形 の指標Yとすれば、上記指標Yは、図10に示す うに、タイヤの摩耗の度合が大きい程大き なるので、変形量の指標Yからタイヤの摩耗 の度合を推定することができる。

 図11は、最良の形態2に係るタイヤ摩耗推定 置20の構成を示す機能ブロック図で、本例 は、図1に示したタイヤ摩耗推定装置10の変 速度算出手段15に代えて、上記加速度波形に 現れる踏み込み端側の膨出点のピークレベル を算出し、この算出されたピークレベルを当 該タイヤの変形量の指標Yとして出力する変 量算出手段25を設け、上記記憶手段16に代え 、予め求めておいた接地長Lと荷重Wの関係 示すL-Wマップ16A及びタイヤの摩耗の度合Mと 形量の指標Yとの関係を示すM-Yマップ26Bとを 記憶する記憶手段26を設けるとともに、摩耗 定手段18に代えて摩耗推定手段28を設けて、 上記変形量算出手段25で算出された変形量の 標Yと上記M-Yマップ26Bとから、当該タイヤの 摩耗の度合を推定するようにしている。
 タイヤ摩耗推定装置20を上記のような構成 することにより、加速度センサ11により検出 したタイヤ径方向加速度波形を用いてタイヤ のトレッドの変形量の指標Yを算出して、タ ヤの摩耗の度合を推定することができる。
 上記M-Yマップ26Bを作製するための、タイヤ 摩耗の度合Mと変形速度の指標Yの値である イヤ径方向加速度波形の踏込み側ピークの ベルとの関係については、上記最良の形態1 同様に、上述した4種の試験タイヤ1~4を用い て求めることができる。

 なお、上記最良の形態2では、タイヤ径方向 加速度波形の踏み込み端側のピークレベルを 算出してこれを当該タイヤのトレッドの変形 量の指標Yとしたが、蹴り出し端側のピーク ベルを算出してこれを変形速度の指標Yとし もよい。
 また、加速度センサ11に代えて、歪センサ 設け、タイヤ周方向歪波形を検出してタイ の摩耗を推定するようにしてもよい。この 合には、図9(a)に示した周方向歪波形のピー のうちの負側のピークレベルを当該タイヤ 径方向変形量の指標Yとし、この変形量の指 標Yを用いてタイヤの摩耗の度合を推定する うにすればよい。

最良の形態3.
 図12は、本最良の形態3に係るタイヤ摩耗推 装置30の構成を示す機能ブロック図で、同 において、11は加速度センサ、32は加速度微 波形演算手段、33は変形速度算出手段、34は 回転時間算出手段、35は接地時間算出手段、3 6は接地時間比算出手段、37は基準化変形速度 指標算出手段、38は記憶手段、39はタイヤ摩 推定手段である。
 加速度センサ11は、上記最良の形態1,2と同 、タイヤトレッド内面の加速度を検出する ンサで、この加速度センサ11が本発明のタイ ヤ摩耗推定装置30のセンサ部30Aを構成し、上 加速度微分波形演算手段32から摩耗推定手 39までの各手段が演算部30Bを構成する。
 本例では、図2に示すように、上記加速度セ ンサ11を、タイヤ1のインナーライナー部2の イヤの幅方向中心に、その検出方向がタイ 径方向になるように配置し、タイヤトレッ (以下、トレッドという)3の内面に作用する イヤ径方向加速度を検出する。また、上記 算部30Bは図示しない車体側に配置されてい 。
 上記加速度センサ11の出力信号を上記演算 30Bに送る構成としては、例えば、図2に示す うに、インナーライナー部2もしくはホイー ル4に送信器11Fを設置して、上記加速度セン 11の出力信号を図示しない増幅器で増幅した 後、無線にて上記車体側に配置された演算部 30に送信する構成とすることが好ましい。な 、上記演算部30Bをタイヤ1側に設けてタイヤ 摩耗推定手段39の判定結果を車体側の図示し い車両制御装置に送信する構成としてもよ 。

 加速度微分波形演算手段32は、上記加速度 ンサ11で検出されたトレッド3に作用するタ ヤ径方向加速度(以下、径方向加速度という) の時系列波形を時間微分して径方向加速度の 微分波形を求める。
 変形速度算出手段33は、上記径方向加速度 微分波形に現れる2つのピーク(図14に示す、 み込み端側ピークP f と蹴り出し端側のピークP k )の値である微分ピーク値をそれぞれ算出す 。本例では、上記踏み込み端側ピークP f の微分ピーク値を踏み込み端側におけるトレ ッドの変形速度V tf とし、上記蹴り出し端側ピーク値P k の微分ピーク値を蹴り出し端側におけるトレ ッドの変形速度V tk とした。
 回転時間算出手段34は、上記2つのピークの ちの蹴り出し端側のピークが現れた時間T 1 とこの蹴り出し端側のピークがタイヤ1が1周 てから再び現れるまでの時間T 2 との時間差T r =T 2 -T 1 を算出する。この時間差T r が当該タイヤの一周に要する回転時間である 。以下、上記T r を回転時間という。
 接地時間算出手段35は、トレッド3の接地端 おける変形に対応する2つのピーク間の時間 である接地時間T t を算出する。
 接地時間比算出手段36は、上記接地時間T t を上記回転時間T r で除算して接地時間比を算出する。本例では 、上記接地時間比を接地長の指標L t としている。
 基準化変形速度指標算出手段37は、上記変 速度算出手段33で算出された踏み込み端側及 び蹴り出し端側の変形速度V tf ,V tk を上記回転時間算出手段34で算出した回転時 T r の情報を用いてそれぞれ基準化して、踏み込 み端側の基準化変形速度V n tf と蹴り出し側の基準化変形速度V n tk とを算出するとともに、上記踏み込み端側の 基準化変形速度V n tf と蹴り出し側の基準化変形速度V n tk とを平均化して、基準化した変形速度の指標 (基準化変形速度指標)V n t を算出する。
 記憶手段38は、予め求めた、タイヤの摩耗 度合いMごとの、基準化された変形速度の指 V n t (M)と接地長の指標L t (M)との関係を示すマップ(V(M)-Lマップ)38Mを記 する。
 タイヤ摩耗推定手段39は、上記基準化変形 度指標算出手段37で算出した基準化変形速度 指標V n t と上記接地時間比算出手段36で算出した接地 の指標L t と、上記マップ38Mとから、当該タイヤの摩耗 の度合いMを推定する。

 次に、本最良の形態3に係るタイヤ摩耗推定 方法について説明する。
 まず、加速度センサ11により、トレッド3の 形に伴って変形する上記インナーライナー 2の内面のタイヤ径方向の加速度を検出し、 図示しない増幅器で増幅した後、上記インナ ーライナー部2に設置された送信器11Fから車 側に配置された演算部30Bに送信する。演算 30Bの加速度微分波形演算手段32では、上記検 出された径方向加速度の時系列波形を時間微 分して径方向加速度の微分波形を求める。な お、この径方向加速度の微分波形も時系列波 形である。
 図13は、インナーライナー部のタイヤ幅方 中心に加速度センサが取り付けられた、サ ズが205/65R15の夏用タイヤを、速度40km/hr、荷 5kN、内圧230kPaの条件で、フラットベルト試 機上で走行させたときに上記加速度センサ 検出した径方向加速度波形の一例を示す図 、横軸は時間[sec.]、縦軸は径方向加速度の きさ[G]である。加速度の値がプラスの場合 はタイヤ外側に加速度が発生しており、マ ナスの場合にはタイヤ中心方向に加速度が 生している。この加速度は、タイヤトレッ が径方向に受けている力にほぼ比例して発 しており、径方向の変形量に比例している 上記径方向加速度波形のプラス側の2つのピ ークp f ,p k 近傍は接地面外であり、トレッド3がタイヤ 側に変形するような力を受けていることか 、上記2つのピークp f ,p k は膨出点であり、これら2つのピークp f ,p k のレベルは接地面外のトレッド変形量に対応 する指標である。
 また、図14は上記径方向加速度の微分波形 示す図で、横軸は時間[sec.]で、縦軸は径方 の加速度の微分値[G/sec.]である。この微分波 形の2つのピークP f ,P k は、トレッド3の受けている径方向の力が最 変化している点である。上記ピークP f ,P k のレベル(ピーク値)はそれぞれタイヤ1の踏み 込み端と蹴り出し端の変形速度に対応してい る。
 上記径方向加速度の微分波形のデータは、 形速度算出手段33、回転時間算出手段34、及 び、接地時間算出手段35にそれぞれ送られる
 変形速度算出手段33では、上記微分波形の2 のピークP f ,P k の値(以下、微分ピーク値という)V tf ,V tk をそれぞれ算出して、これらのデータを、踏 み込み端側及び蹴り出し端側におけるにおけ るトレッドの変形速度V tf ,V tk として基準化変形速度指標算出手段37に送る
 なお、ピーク検出においては、加速度セン 11の感度にもよるが、適度なローパスフィ タを掛けてからピーク検出する方がデータ 安定する。すなわち、より安定した摩耗推 をすることができる。また、上記ピークP f ,P k 間の時間間隔はタイヤの回転速度によって大 きく変化する。そこで、上記ローパスフィル タの周波数をタイヤの回転速度に応じて変え る方が、各速度における波形形状を同様にす ることができるので、より安定した推定を行 うことができる。また、変形速度としては、 上記ピーク値の代わりに、ピーク近傍の特定 範囲の微分値、特に、上記ピークを中心とし たピーク周辺の微分値を平均化したものを用 いてもよい。
 一方、回転時間算出手段34では、上記蹴り し端側のピークP k が現れた時間T 1 と、タイヤ1が1回転して、上記蹴り出し端側 ピークP k が再び現れるまでの時間T 2 との時間差T r を算出し、このデータを当該タイヤ1の回転 間T r として上記基準化変形速度指標算出手段37に る。なお、タイヤ1の回転時間T r は踏み込み端側のピークP f を用いても算出してもよい。
 また、接地時間算出手段35では、上記2つの ークP f ,P k の時間間隔T t を算出し、このデータを当該タイヤの接地時 間T t として、接地時間比算出手段16に送る。
 このように、本例では、上記加速度センサ1 1により検出したタイヤ径方向の加速度から トレッド3の変形速度V tf ,V tk と当該タイヤ1の回転時間T r と、当該タイヤの接地時間T t とを算出することができる。

 ところで、トレッドの変形速度V t は、摩耗の度合いMとタイヤ回転速度W r により変化する。そこで、摩耗量だけでなく 、摩耗形状の影響も含めて検討すべく、以下 の4種類の試験タイヤを準備した。
 試験タイヤ1は新品タイヤで、図2に示すセ ターに近い位置の周方向溝5の溝深さは約8mm ある。
 試験タイヤ2はセンターに近い位置の周方向 溝5の残溝深さが約4mmで、かつ、ショルダー 6が摩耗気味のタイヤである。
 試験タイヤ3はセンターに近い位置の周方向 溝5の残溝深さが約4mmで、センター部7が摩耗 味で、ショルダー部6は残っている形態のタ イヤである。
 試験タイヤ4はセンターに近い位置の周方向 溝5の残溝深さが約2mmで、スリップサインに いレベルまでほぼ均等に摩耗したタイヤで る。
 なお、これらの試験タイヤ1~4は上記最良の 態1で用いた試験タイヤと同様である。
 図15は、上記4種類の試験タイヤを用い、荷 5kNとし、タイヤ回転速度W r を40,80,120km/hrと変化させたときのタイヤ回転 度W r とトレッドの踏み込み端側の変形速度V tf との関係を摩耗の度合いMごとに調べた結果 示すグラフである。同図に示すように、ト ッドの変形速度V t はタイヤ回転速度W r により大きく変化している。
 本例では、上記踏み込み端側の変形速度V tf を上記回転時間算出手段34で算出した回転時 T r を用いて基準化して基準化変形速度V n tf を算出し、この基準化変形速度V n tf を用いてタイヤの摩耗度合いMを推定するよ にしている。上述したように、変形速度は タイヤの回転時間T r の3乗に反比例するので、本例では、下記の (1)を用いて上記踏み込み端側における基準 変形速度V n tf を算出する。
       V n tf =V tf ・T r 3  ……  (1)
 蹴り出し端側における基準化変形速度V n tk についても同様に算出する。
 タイヤの摩耗度合いMを推定するための基準 化変形速度指標としては、上記踏み込み端側 の基準化変形速度V n tf 、もしくは、蹴り出し端側の基準化変形速度 V n tk を用いてもよいが、本例では、下記の式(2)を 用いて平均基準化変形速度を算出し、これを 基準化変形速度指標V n t とした。
     V n t =(|V n tf |+|V n tk |)/2 …… (2)
 このように、基準化変形速度指標V n t として、踏み込み端側と蹴り出し端側の平均 値である平均基準化変形速度を用いれば、タ イヤ1に作用する前後力やタイヤ1の姿勢角の 響を受けにくくなるので、より安定した推 を行うことができる。なお、上記基準化変 速度指標V n t の算出にV n tf の絶対値とV n tk の絶対値とを用いたのは、トレッドの変形速 度V t の符号が踏み込み端側と蹴り出し端側とで正 負逆になるからである。
 図16は、タイヤ回転速度W r と上記算出された基準化変形速度指標V n t との関係を示す図である。基準化変形速度指 標V n t は、タイヤ回転速度W r が80km/hrまではほぼ一定の値となっており、 耗が進むほど変形速度の指標である基準化 形速度指標V n t の値は大きくなっている。タイヤ回転速度W r が120km/hrになると、基準化変形速度指標V n t の値はやや低下している。これは、遠心力の 影響が大きくなり、タイヤの動半径が変化し ていることが影響していると考えられる。但 し、摩耗は、時間的には非常に遅い変化であ るので、必ずしも常時モニタリングする必要 はないと考えられるので、摩耗を推定する速 度を低速側に限定しても問題はない。そこで 、摩耗の推定をタイヤ回転速度W r が100km/hr以下の領域、更に好ましくは、80km/hr 以下の領域で行うようにすれば、安定して摩 耗の推定を行うことができる。
 但し、図16からわかるように、残溝量が同 4mmでも摩耗形状が異なる試験タイヤ2と試験 イヤ3とでは、基準化変形速度指標V n t の値が異なっていることから、センサ装着部 、すなわち、センター部近辺の摩耗量を推定 するには、摩耗形状により誤差が発生する可 能性がある。また、図示はしないが、荷重が 変わると撓み量が変わるので、基準化変形速 度指標V n t の値も変化する。そこで、これらの影響を少 なくするため、接地長の指標L t の情報も推定に使用する。上記接地長の指標 L t は接地時間比算出手段36にて算出する。本例 は、上記接地時間T t を上記回転時間算出手段14で算出された回転 間T r で除算して得られる接地時間比R=(T t /T r )を接地長の指標L t とした。タイヤ摩耗推定手段19では、上記接 長の指標L t のデータと上記基準化変形速度指標V n t のデータとを用いてタイヤの摩耗を推定する 。

 図17は、タイヤ摩耗の推定に使用するマッ (V(M)-Lマップ)38Mの一例を示す図で、横軸は接 地長の指標L t である接地時間比R、縦軸は、基準化変形速 指標V n t である。このマップ38Mを作成するために用い たタイヤは、図15に示したタイヤの回転時間T r とトレッドの変形速度V tf との関係を求めた時と同じ4種類の試験タイ (試験タイヤ1~4)で、ここでは荷重を3~7kNまで 化させている。同図から、接地時間比Rと基 準化変形速度指標V n t との関係を示すラインが摩耗量ごとに分かれ ていることがわかる。したがって、接地時間 比Rと基準化変形速度指標V n t とを比較する、すなわち、グラフをマップと して準備しておくことにより、荷重の影響を 受けることなく、摩耗の度合いMを推定する とができる。また、上記のグラフでは、試 タイヤ2と試験タイヤ3のタイヤのように、摩 耗形状は異なっているがセンターに近い周方 向溝5の残溝の深さが同一(約4mm)である場合に は、接地時間比と基準化変形速度との関係を 示すラインが近い位置にあることから、摩耗 形状が異なっていても、摩耗の度合いMを安 して推定できることがわかる。このように 接地長の指標を用いることにより、例えば ショルダー落ちやセンター摩耗といった摩 形状が異なる場合でも、摩耗の度合いMを精 良く推定できる。
 すなわち、タイヤ摩耗推定手段39にて、上 基準化変形速度指標算出手段37で算出した基 準化変形速度指標をV n t 、上記接地時間比算出手段36で算出した接地 の指標をL t としたとき、(L t ,V n t )が、上記マップ38Mの、摩耗の度合いMにより なる複数のラインのうちのどのライン上に るか、あるいは、上記複数のラインのうち どのラインとどのラインとの間にあるか調 れば、当該タイヤの摩耗の度合いMを精度よ く推定することができる。

 このように本最良の形態3では、タイヤ1の ンナーライナー部2に加速度センサ11を設け トレッド3のタイヤ径方向の加速度を検出し この検出した径方向加速度の微分波形に現 るトレッド3の踏み込み端側と蹴り出し端側 のピークP f ,P k のレベルをそれぞれ算出してこれを当該タイ ヤのトレッドの変形速度V tf ,V tk とするとともに、上記蹴り出し端側ピークP k の周期からタイヤの回転時間T r を、踏み込み端側のピークP f と蹴り出し端側のピークP k との時間差から接地時間T t を求める。そして、上記踏み込み端側及び蹴 り出し端側の変形速度V tf ,V tk を上記回転時間算出手段34で算出した回転時 T r の情報を用いてそれぞれ基準化した踏み込み 端側基準化変形速度V n tf と蹴り出し端側基準化変形速度V n tk との絶対値の平均から基準化変形速度指標V n t を算出するとともに、上記接地時間T t を上記回転時間T r で除算した接地時間比Rを接地長の指標L t とし、上記基準化変形速度指標V n t と上記接地長の指標L t と、予め求めておいた基準化変形速度指標V n t と接地長の指標L t との関係を示すマップ38Mとから、当該タイヤ の摩耗の度合いMを推定するようにしたので タイヤの摩耗形状が異なった場合でも、タ ヤの摩耗を精度よく推定することができる
 また、トレッド3の変形速度V tj (j=f,k)は、タイヤの回転時間T r の3乗に反比例するので、基準化変形速度V n tj を式V n tj =V tj ・T r 3 を用いて算出すれば、タイヤ回転速度W r の影響の極めて少ない基準化変形速度V n tj を得ることができる。
 更に、本例では、加速度センサ11の出力か 上記変形速度V tj 、回転時間T r 、及び、接地時間T t を算出することができるので、装置を小型化 することができるとともに、信号処理回路も 簡素化できる。
 また、上記加速度センサ11はタイヤ接地面 露出しないので、耐久性に優れるとともに グリップ力などのタイヤ性能を損なうこと く、タイヤの摩耗を推定することができる

 なお、上記最良の形態3では、図14に示した 速度センサ11で検出した径方向加速度の微 波形のピークP f ,P k の位置を接地端とし、この接地端の加速度微 分値(微分ピーク値)をトレッド3の変形速度の 指標V tj (j=f,k)をとしたが、図13に示した径方向加速度 波形の上記接地端における傾きを算出し、こ れをトレッド3の変形速度V tj (j=f,k)としてもよい。
 また、上記例では、予め求めた、タイヤの 耗の度合いMごとの、基準化された変形速度 の指標V n t (M)と接地長の指標L t (M)との関係を示すV(M)-Lマップ38Mを用いて当該 タイヤの摩耗の度合いMを推定したが、上記 測された接地長の指標L t (M)と上記基準化した変形速度の指標V n t (M)との相関式を求め、この相関式の係数の大 きさ、あるいは、その使用初期からの変化量 に基づいて当該タイヤの摩耗の度合いMを推 するようにしてもよい。上記図17に示したタ イヤの摩耗の度合いMごとのラインは直線性 高いので、上記相関式としては1次近似でも 分である。例えば、1次近似の場合には、a,b を定数として、V n t (M)=a・L t (M)+bとする。そして、上記aの値を予め固定し 、bの値によって摩耗の度合いMを推定する。 お、場合によっては、多項式近似や指数近 などの推定精度の高い相関式を用いてもよ 。
 また、上記例では、トレッド3の変形速度を タイヤの回転時間T r を用いて基準化したが、タイヤ回転速度W r を用いて基準化してもよい。すなわち、トレ ッド3の変形速度の指標V tj (j=f,k)はタイヤ回転速度W r の3乗に比例するので、上記変形速度の指標V tj (j=f,k)を、上記タイヤ回転速度W r で除算してやればよい。上記タイヤ回転速度 W r は、例えば、荷重負荷状態でタイヤが1回転 る長さである回転長さ係数Sを上記回転時間T r で除算するなどして求めることができる。
 また、上記例では、接地時間算出手段35で 出した接地時間T t を回転時間算出手段34で算出された回転時間T r で除算して得られた接地時間比を接地長の指 標L t としたが、上記接地時間T t を接地長の指標L t としてもよい。あるいは、接地面のタイヤ周 方向の長さLを接地長の指標L t としてもよい。なお、上記接地面のタイヤ周 方向の長さ(接地長)Lは、上記接地時間T t に上記タイヤ回転速度W r を乗算して求めることができる。

 以上説明したように、本発明のタイヤ摩 推定方法を用いれば、センサ及びタイヤの 久性を向上させることができるとともに、 イヤの摩耗度合を安定してかつ精度よく推 することができるので、当該タイヤの摩耗 、例えば、警報手段等を用いてドライバー 認識させるなどすれば、車輌の走行安全性 向上させることができる。