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Patent Searching and Data


Title:
TITANIUM OXIDE STRUCTURE AND POROUS TITANIUM OXIDE COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154274
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a titanium oxide structure that, by virtue of a series of titanium oxide particles connected to one another, has a large surface area and can realize an efficient movement of ions and electrons.  Also disclosed are a material useful as an active material for a dye-sensitized solar cell, a process for producing the material, a porous titanium oxide composition, a process for producing the porous titanium oxide composition, and a photoelectric conversion element using the titanium oxide structure or the porous titanium oxide composition.

Inventors:
NISHINO HITOSHI (JP)
NISHIDA RYOICHI (JP)
MATSUYOSHI HIROAKI (JP)
SAKAMOTO HIROKI (JP)
TOMITA HARUO (JP)
HAYAMA HIDEKAZU (JP)
TABUCHI MINORU (JP)
ICHIMURA NOBUKO (JP)
DEGUCHI TOMOE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061220
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
OSAKA GAS CO LTD (JP)
NISHINO HITOSHI (JP)
NISHIDA RYOICHI (JP)
MATSUYOSHI HIROAKI (JP)
SAKAMOTO HIROKI (JP)
TOMITA HARUO (JP)
HAYAMA HIDEKAZU (JP)
TABUCHI MINORU (JP)
ICHIMURA NOBUKO (JP)
DEGUCHI TOMOE (JP)
International Classes:
C01G23/047; C01G23/053; H01L31/04; H01M14/00
Domestic Patent References:
WO2007028972A12007-03-15
WO2000040509A12000-07-13
Foreign References:
JP2004235240A2004-08-19
JPH0815097B21996-02-14
JP2004319661A2004-11-11
JP2003123860A2003-04-25
JP2002338220A2002-11-27
JP3355442B22002-12-09
JP3569806B22004-09-29
JP2546114B21996-10-23
Other References:
See also references of EP 2292560A4
ABSTRACTS OF THE MEETING OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY OF JAPAN, 2001, pages 112
ABSTRACTS OF THE AUTUMN MEETING OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY OF JAPAN, 2002, pages 138
Attorney, Agent or Firm:
SAEGUSA & PARTNERS (JP)
Patent business corporation 3 Edakuni [Hajime] patent firm (JP)
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Claims:
(1a)粒子状酸化チタンが連なってなる棒状、管状又は繊維状の酸化チタン構造体。
粒子状酸化チタン(1a)の平均粒子径が1~200nmである請求項1に記載の酸化チタン構造体。
長軸に直交する平均直径が5~500nm、長軸の平均長さが0.1~1000μmであり、平均アスペクト比が3~200000である請求項1又は2に記載の酸化チタン構造体。
10MPa圧力下での粉体抵抗が3×10 6 ω・m以下である請求項1~3のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
管状である請求項1~4のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
肉厚が2~500nmである請求項5に記載の酸化チタン構造体。
粒子状酸化チタン(1a)が、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1~6のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
粒子状酸化チタン(1a)が、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種に加えて、さらに、2価チタンの酸化物及び3価チタンの酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項7に記載の酸化チタン構造体。
粒子状酸化チタン(1a)が、マグネリ相構造の結晶形態を有する酸化チタンを含む、請求項1~8のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
比表面積が20m 2 /g以上である請求項1~9のいずれかに記載の酸化チタン構造体。
(A)棒状又は繊維状のナノスケールカーボンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応により、粒子状酸化チタン(1a)が連なってなる被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノスケールカーボンを作製する工程、
(B)酸化チタン被覆ナノスケールカーボン中に存在するナノスケールカーボンを消失させる工程
を含む請求項1~10のいずれかに記載の酸化チタン構造体の製造方法。
酸化チタン被覆ナノスケールカーボンが、電子顕微鏡観察により測定される、ナノスケールカーボンの表面の酸化チタンの被覆率が、70~100%である請求項11に記載の酸化チタン構造体の製造方法。
酸化チタン被覆ナノスケールカーボンが、X線光電子分光分析によるカーボン/チタンの表面元素比率が0/100~70/30(原子比)である請求項11又は12に記載の酸化チタン構造体の製造方法。
棒状又は繊維状のナノスケールカーボンの長軸に直交する平均直径が1~100nm、長軸の平均長さが0.1~1000μmであり、平均アスペクト比が5~1000000である請求項11~13のいずれかに記載の酸化チタン構造体の製造方法。
棒状又は繊維状のナノスケールカーボンが、ナノスケールカーボンチューブである請求項11~14のいずれかに記載の酸化チタン構造体の製造方法。
(1)請求項1~10のいずれかに記載の酸化チタン構造体、及び
(2)粒子状酸化チタン
を混合してなる多孔質酸化チタン組成物。
酸化チタン構造体(1)を0.1~90重量%、粒子状酸化チタン(2)を10~99.9重量%混合してなる請求項16に記載の多孔質酸化チタン組成物。
粒子状酸化チタン(2)の平均粒子径が1~500nmである請求項16又は17に記載の多孔質酸化チタン組成物。
粒子状酸化チタン(2)が、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項16~18のいずれかに記載の多孔質酸化チタン組成物。
比表面積が30m 2 /g以上である請求項16~19のいずれかに記載の多孔質酸化チタン組成物。
空孔径が5~50nmの空孔が、全空孔の40~100%存在する請求項16~20のいずれかに記載の多孔質酸化チタン組成物。
(A1)棒状又は繊維状のナノスケールカーボンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応により、粒子状酸化チタン(1a)が連なってなる被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノスケールカーボンを作製する工程、
(B1)工程(A1)で得られた酸化チタン被覆ナノスケールカーボン中に存在するナノスケールカーボンを消失させ、酸化チタン構造体(1)を作製する工程、及び
(C1)工程(B1)で得られた酸化チタン構造体(1)と粒子状酸化チタン(2)とを混合する工程
を含む請求項16~21のいずれかに記載の多孔質酸化チタン組成物の製造方法。
(A2)棒状又は繊維状のナノスケールカーボンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応により、粒子状酸化チタン(1a)が連なってなる被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノスケールカーボンを作製する工程、
(B2)工程(A2)で得られた酸化チタン被覆ナノスケールカーボンと粒子状酸化チタン(2)とを混合する工程、及び
(C2)工程(B2)で得られた混合物中の酸化チタン被覆ナノスケールカーボン中に存在するナノスケールカーボンを消失させる工程
を含む請求項16~21のいずれかに記載の多孔質酸化チタン組成物の製造方法。
請求項1~10のいずれかに記載の酸化チタン構造体又は請求項16~21のいずれかに記載の多孔質酸化チタン組成物を含む活性物質の表面に色素を担持することを特徴とする光電変換素子。
Description:
酸化チタン構造体及び多孔質酸 チタン組成物

 本発明は、色素増感太陽電池等の光電変 素子に用いられる酸化チタン複合体及びそ 製造方法、多孔質酸化チタン組成物及びそ 製造方法、並びに該酸化チタン複合体及び 多孔質酸化チタン組成物を用いた光電変換 子に関する。

 太陽電池は、環境にやさしい発電デバイ として注目されており、pn接合を利用した リコン系半導体が広く知られている。しか 、シリコン系太陽電池は製造に際して高真 ・高温が必要であり、低コスト化が難しく 普及が妨げられていた。

 より低コストの太陽電池の開発が待たれ 中、色素を修飾した二酸化チタン等を活性 極に用いた色素増感太陽電池がグレッツェ らによって報告された(特許文献1参照)。色 増感太陽電池は、安価で容易に製造できる 陽電池として注目を集めている。

 しかし、現状では、更なる性能の向上が められており、そのひとつに、活性電極と る酸化チタンの電子伝導の向上が挙げられ いる。

 一般的には、酸化チタンナノ粒子が活性 極として高性能を示すことが知られている ナノ粒子が用いられるのは、酸化チタン上 吸着させる色素を導く大面積とすることで 入射した光を効率よく吸収するためである しかし、球状のナノ粒子を成膜した場合は 粒子間に存在する界面のため、電荷分離し 電子の効率的な移動を阻害されたり、隣り う粒子間との間隔が互いに密となるため、 ノ粒子近傍の電解液中のイオンの移動が困 となり、それに伴う電子の移動が阻害され りするというトレードオフの関係があった

 したがって、色素増感太陽電池の活性電 としては、電子とイオンの効率的な移動を 立する酸化チタンが求められていた。

 このような問題点に鑑み、活性電極とし 、ナノワイヤー形状の酸化チタンを利用し 例も報告されている(非特許文献1~2参照)。 かし、表面が平滑な形状である酸化チタン みで構成されたナノワイヤーは、入射した を吸収するのに充分な色素が担持できず、 生する電流密度の向上が求められていた。

 一方、特許文献2では、酸化チタン中の電 子伝導の向上と、酸化チタンから電極への効 率的な電子移動を図るため、膜の積層方向に 流れる電流の導電性を改善すべく、長手方向 が基板の成膜面に対して略垂直に配向したチ ューブ状カーボンに酸化チタンを被覆した構 造の活性電極が検討されているが、均一な酸 化チタン被膜が困難なためか、リーク電流が 大きくなるという問題がある。

 また、特許文献3では、活性物質の酸化物 粒子とナノカーボンチューブとの混合が図ら れているが、活性物質の酸化物による充分な 被覆がなされていないとリーク電流が大きく なり、却って発電効率が低減するという問題 がある。

特公平8-15097号公報

特開2004-319661号公報

特開2003-123860号公報

電気化学大会講演要旨集、2001年、第68回 、112頁 電気化学秋季大会講演要旨集、2002年、13 8頁

 本発明は、表面積が大きく、イオンと電 の効率的な移動を可能にする酸化チタン構 体の実現をコンセプトに、色素増感太陽電 の活性物質として有効な材料及びその製造 法、多孔質酸化チタン組成物及びその製造 法、並びに該酸化チタン構造体又は多孔質 化チタン組成物を用いた光電変換素子を開 することを目的とする。

 上記目的を鑑み、鋭意検討した結果、粒 状酸化チタンが連なってなることで、表面 が大きく、イオンと電子の効率的な移動を 能にする酸化チタン構造体を提供でき、さ に、粒子状酸化チタンと混合することで、 電変換効率が向上するため、色素増感太陽 池の活性物質として好ましいことを見出し 本発明を完成させた。すなわち、本発明は 下の構成からなる。

 項1.(1a)粒子状酸化チタンが連なってなる 状、管状又は繊維状の酸化チタン構造体。

 項2.粒子状酸化チタン(1a)の平均粒子径が1 ~200nmである項1に記載の酸化チタン構造体。

 項3.長軸に直交する平均直径が5~500nm、長 の平均長さが0.1~1000μmであり、平均アスペ ト比が3~200000である項1又は2に記載の酸化チ ン構造体。

 項4.10MPa圧力下での粉体抵抗が3×10 6 ω・m以下である項1~3のいずれかに記載の酸化 チタン構造体。

 項5.管状である項1~4のいずれかに記載の 化チタン構造体。

 項6.肉厚が2~500nmである項5に記載の酸化チ タン構造体。

 項7.粒子状酸化チタン(1a)が、アナターゼ 酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブル カイト型酸化チタンよりなる群から選ばれ 少なくとも1種を含む項1~6のいずれかに記載 の酸化チタン構造体。

 項8.粒子状酸化チタン(1a)が、アナターゼ 酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブル カイト型酸化チタンよりなる群から選ばれ 少なくとも1種に加えて、さらに、2価チタ の酸化物及び3価チタンの酸化物よりなる群 ら選ばれる少なくとも1種を含む項7に記載 酸化チタン構造体。

 項9.粒子状酸化チタン(1a)が、マグネリ相 造の結晶形態を有する酸化チタンを含む、 1~8のいずれかに記載の酸化チタン構造体。

 項10.比表面積が20m 2 /g以上である項1~9のいずれかに記載の酸化チ ン構造体。

 項11.(A)棒状又は繊維状のナノスケールカー ンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析 反応により、粒子状酸化チタン(1a)が連なっ てなる被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノ スケールカーボンを作製する工程、
(B)酸化チタン被覆ナノスケールカーボン中に 存在するナノスケールカーボンを消失させる 工程
を含む項1~10のいずれかに記載の酸化チタン 造体の製造方法。

 項12.酸化チタン被覆ナノスケールカーボ が、電子顕微鏡観察により測定される、ナ スケールカーボンの表面の酸化チタンの被 率が、70~100%である項11に記載の酸化チタン 造体の製造方法。

 項13.酸化チタン被覆ナノスケールカーボ が、X線光電子分光分析によるカーボン/チ ンの表面元素比率が0/100~70/30(原子比)である 11又は12に記載の酸化チタン構造体の製造方 法。

 項14.棒状又は繊維状のナノスケールカー ンの長軸に直交する平均直径が1~100nm、長軸 の平均長さが0.1~1000μmであり、平均アスペク 比が5~1000000である項11~13のいずれかに記載 酸化チタン構造体の製造方法。

 項15.棒状又は繊維状のナノスケールカー ンが、ナノスケールカーボンチューブであ 項11~14のいずれかに記載の酸化チタン構造 の製造方法。

 項16.(1)項1~10のいずれかに記載の酸化チタン 構造体、及び
(2)粒子状酸化チタン
を混合してなる多孔質酸化チタン組成物。

 項17.酸化チタン構造体(1)を0.1~90重量%、粒 子状酸化チタン(2)を10~99.9重量%混合してなる 16に記載の多孔質酸化チタン組成物。

 項18.粒子状酸化チタン(2)の平均粒子径が1 ~500nmである項16又は17に記載の多孔質酸化チ ン組成物。

 項19.粒子状酸化チタン(2)が、アナターゼ 酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブル カイト型酸化チタンよりなる群から選ばれ 少なくとも1種を含む項16~18のいずれかに記 の多孔質酸化チタン組成物。

 項20.比表面積が30m 2 /g以上である項16~19のいずれかに記載の多孔 酸化チタン組成物。

 項21.空孔径が5~50nmの空孔が、全空孔の40~1 00%存在する項16~20のいずれかに記載の多孔質 化チタン組成物。

 項22.(A1)棒状又は繊維状のナノスケールカー ボンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析 出反応により、粒子状酸化チタン(1a)が連な てなる被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナ スケールカーボンを作製する工程、
(B1)工程(A1)で得られた酸化チタン被覆ナノス ールカーボン中に存在するナノスケールカ ボンを消失させ、酸化チタン構造体(1)を作 する工程、及び
(C1)工程(B1)で得られた酸化チタン構造体(1)と 子状酸化チタン(2)とを混合する工程
を含む項16~21のいずれかに記載の多孔質酸化 タン組成物の製造方法。

 項23.(A2)棒状又は繊維状のナノスケールカー ボンの表面に、チタンフルオロ錯体からの析 出反応により、粒子状酸化チタン(1a)が連な てなる被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナ スケールカーボンを作製する工程、
(B2)工程(A2)で得られた酸化チタン被覆ナノス ールカーボンと粒子状酸化チタン(2)とを混 する工程、及び
(C2)工程(B2)で得られた混合物中の酸化チタン 覆ナノスケールカーボン中に存在するナノ ケールカーボンを消失させる工程
を含む項16~21のいずれかに記載の多孔質酸化 タン組成物の製造方法。

 項24.請求項1~10のいずれかに記載の酸化チ タン構造体又は請求項16~21のいずれかに記載 多孔質酸化チタン組成物を含む活性物質の 面に色素を担持することを特徴とする光電 換素子。

 本発明によれば、表面積が大きく、イオ と電子の効率的な移動を可能とする酸化チ ン構造体及びその製造方法、多孔質酸化チ ン組成物及びその製造方法、並びに該酸化 タン構造体又は多孔質酸化チタン組成物を いた光電変換素子を提供することができる

粒子状酸化チタン(1a)が連なってなる、 本発明の酸化チタン構造体の表面形状を示す 電子顕微鏡(SEM)写真である。 粒子状酸化チタン(1a)が連なってなる、 本発明の酸化チタン構造体における電子の移 動を説明する模式図である。 粒子状酸化チタン(1a)を、棒状、管状又 は繊維状の形状に成形せず、酸化チタンのペ ーストを基板に塗布した場合における電子の 移動を説明する模式図である。 特開2002-338220号公報の実施例1で得られ 炭素質材料を構成する鉄-炭素複合体1本の 子顕微鏡(TEM)写真である。 特開2002-338220号公報の実施例1で得られ 炭素質材料における鉄-炭素複合体の存在状 態を示す電子顕微鏡(TEM)写真である。 特開2002-338220号公報の実施例1で得られ 鉄―炭素複合体1本を輪切り状にした電子顕 微鏡(TEM)写真である。なお、図6の写真中に示 されている黒三角(▲)は、組成分析のためのE DX測定ポイントを示している。 カーボンチューブのTEM像の模式図を示 、(a-1)は、円柱状のナノフレークカーボン ューブのTEM像の模式図であり、(a-2)は、入れ 子構造の多層カーボンナノチューブのTEM像の 模式図である。 本発明の酸化チタン組成物の表面形状 示す電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1の酸化チタン構造体の端部の電 子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例1の酸化チタン構造体の中央部 電子顕微鏡(TEM)写真である。

  1.酸化チタン構造体(1)
 本発明の棒状、管状又は繊維状の酸化チタ 構造体(1)は、粒子状酸化チタン(1a)が連なっ てなる。本発明の酸化チタン構造体(1)として は、棒状、管状、繊維状のもののなかでも、 表面積が大きい点から、管状のものが好まし い。また、本発明では、連なってなるとは、 微粒子状酸化チタン(1a)が、隣接する酸化チ ン(1a)と密接に接しており、ただ単に混合し 得られる状態のものではない。

 本発明では、粒子状酸化チタン(1a)が、棒 状、管状又は繊維状の形状を形成するように 連なって、酸化チタン構造体(1)を形成してい る。これにより、図1に示すように、本発明 棒状、管状又は繊維状の酸化チタン構造体(1 )の表面には、微細な凹凸が存在している。 面に微細な凹凸を有する酸化チタン構造体(1 )を色素増感太陽電池用として使用すること 、色素を多量に担持し、入射した光を効率 く吸収できる。そして、効率よく電子を発 させ、図2に示すように、隣接する酸化チタ (1a)同士が密接に接触しているため、隣接す る酸化チタン(1a)を通して、電子を効率よく 明電極に運ぶことができる。

 なお、粒子状酸化チタン(1a)を、棒状、管 状又は繊維状の形状に成形せず、酸化チタン のペーストを基板に塗布した場合は、図3に すように、粒界の抵抗が大きく、電子の流 が悪くなるうえに、メソポーラス構造での 解液の拡散が悪化する。

  1-1.粒子状酸化チタン(1a)
 粒子状酸化チタン(1a)の結晶構造としては、 とくに制限されるわけではないが、アナター ゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブ ルッカイト型酸化チタンよりなる群から選ば れる少なくとも1種を含むものが好ましく、 に対する活性が高い点から、アナターゼ型 化チタンを含むものがより好ましい。なお 粒子状酸化チタン(1a)の結晶構造は、例えば X線回折法、ラマン分光分析等により測定す ることができる。また、粒子状酸化チタン(1a )としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチ 型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタ に加えて、さらに、2価チタンの酸化物及び3 価チタンの酸化物よりなる群から選ばれる少 なくとも1種を含むことが好ましい。

 粒子状酸化チタン(1a)としては、他にも、マ グネリ相構造の結晶形態を有する酸化チタン を含むことが好ましい。このマグネリ相構造 の結晶形態を有する酸化チタンは、具体的な 構成は明らかではないが、組成式:Ti n O 2n-1 (n:4~10)で表され、金属と同程度の導電性を有 るものである。このマグネリ相構造の結晶 態を有する酸化チタンを含むことで、酸化 タン構造体の導電性を向上させることがで る。

 粒子状酸化チタン(1a)の平均粒子径は、よ り多くの色素を吸着し、光を吸収できる点か ら、1~200nmが好ましく、1~50nmがより好ましい ただし、電池内部への光閉じ込め効果の観 から、粒径が大きく光散乱の大きい酸化チ ン粒子が混ざっていてもよい。なお、平均 子径は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察 等により測定することができる。

  1-2.酸化チタン構造体(1)
 本発明の酸化チタン構造体(1)は、色素を多 に担持し、入射した光を効率よく吸収する から、比表面積が20m 2 /g以上であるものが好ましく、比表面積が70m 2 /g以上であるものがより好ましく、80m 2 /g以上であるものがさらに好ましい。比表面 は、大きいほうが好ましく、上限値は特に 限されないが、3000m 2 /g程度である。なお、比表面積は、BET法等に り測定できる。

 本発明の酸化チタン構造体(1)は、充分な 面積を有しつつ、効率よく電子を伝達する から、長軸に直交する平均直径が5~500nm、長 軸の平均長さが0.1~1000μm、平均アスペクト比( 長軸の平均長さ/長軸に直交する平均直径)が3 ~200000であるものが好ましく、長軸に直交す 平均直径が5~500nm、長軸の平均長さが0.1~1000μ m、平均アスペクト比(長軸の平均長さ/長軸に 直交する平均直径)が3~5000であるものがより ましく、長軸に直交する平均直径が7~300nm、 軸の平均長さが1~50μm、平均アスペクト比が 10~3000であるものがさらに好ましい。なお、 発明において、酸化チタン構造体(1)として 状のものを使用する場合、その直径とは、 径のことを言う。また、酸化チタン構造体(1 )の平均直径、平均長さ及び平均アスペクト は、例えば、電子顕微鏡(SEM)観察等により測 定することができる。

 本発明の酸化チタン構造体(1)は、より大き 電流が得られる点から、10MPa下での粉体抵 が3×10 6 ω・m以下であるものが好ましく、1×10 5 ω・m以下であるものがより好ましい。粉体抵 抗は、小さいほうが好ましく、下限値は特に 制限されないが、0.1ω・m程度である。なお、 酸化チタン構造体の粉体抵抗の測定方法は、 特に限定されないが、例えば、10MPaの圧力で さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電 1Vを印加して流れる電流値を測ることにより 測定することができる。

 本発明の酸化チタン構造体(1)が管状の場 、その肉厚は漏れ電流を防止する点から、2 ~500nm程度が好ましく、5~200nm程度がより好ま い。なお、肉厚とは、管状の酸化チタン構 体(1)における外径と内径の差のことを言う また、本発明の酸化チタン構造体(1)の肉厚 、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等によ り測定することができる。

  2.酸化チタン構造体(1)の製造方法
 本発明の酸化チタン構造体(1)は、
(A)棒状又は繊維状のナノスケールカーボンの 表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反応 により、粒子状酸化チタン(1a)が連なってな 被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノスケ ルカーボンを作製する工程、
(B)酸化チタン被覆ナノスケールカーボン中に 存在するナノスケールカーボンを消失させる 工程により得られる。

  2-1.工程(A)
 工程(A)では、棒状又は繊維状のナノスケー カーボンの表面に、チタンフルオロ錯体か の析出反応により、粒子状酸化チタン(1a)が 連なってなる被覆層を形成し、酸化チタン被 覆ナノスケールカーボンを作製する。

 チタンアルコキシドを原料とするゾルゲ 法や四塩化チタン等を原料とする湿式法で 、ナノスケールカーボンの表面に、粒子状 化チタン(1a)が連なってなる被覆層を形成さ せることができるが、チタンフルオロ錯体か らの析出反応により酸化チタンを析出させる 方法が好ましい。

 具体的には、例えば、棒状又は繊維状の ノスケールカーボンを、硝酸、硫酸、塩酸 の酸で処理した後、分散剤を含む溶媒中に 散させ、その後、チタンフルオロ錯体及び ウ酸、塩化アルミニウム等のフッ化物イオ 補足剤等を加えて酸化チタン(1a)を析出させ る方法である。

 ここで、チタンフルオロ錯体としては、 に制限されるわけではないが、例えば、ヘ サフルオロチタン酸アンモニウム、ヘキサ ルオロチタン酸、ヘキサフルオロチタン酸 リウム等が挙げられる。

 前記溶媒としては、特に制限されるもの はないが、例えば、水、水とアルコールと 混合溶媒等、チタンフルオロ錯体が溶解す 溶媒等が挙げられる。

 また、分散剤としては、ナフタレンスル ン酸ナトリウムホルマリン縮合物系分散剤 ポリカルボン酸塩系分散剤、マレイン酸α- レフィン共重合体塩系分散剤、アニオン性 面活性剤等の陰イオン性分散剤;四級アンモ ニウム塩系分散剤、アルキルアミン塩等の陽 イオン性分散剤;セルロース系分散剤、ポリ ニルアルコール系分散剤、ポリエーテル系 散剤等の非イオン性分散剤;両性界面活性剤 のその他の分散剤等が挙げられる。これら なかでも、非イオン性分散剤が好ましく、 リエーテル系分散剤がより好ましい。

 工程(A)で使用できるナノスケールカーボ について、以下に詳述する。

  ナノスケールカーボン
 本発明で使用する棒状又は繊維状のナノス ールカーボンとしては、特に制限はないが ナノスケールカーボンチューブを使用する とが好ましい。このナノスケールカーボン ューブは、導電性を有する物質で形成され いるのが好ましい。

 また、この棒状又は繊維状のナノスケー カーボンは、後にできるだけ微細で表面積 大きく、酸化チタン(1a)が長く連続した構造 体を製造できる点から、長軸に直交する平均 直径が1~100nm程度、長軸の平均長さが0.1~1000μm 程度、平均アスペクト比が5~1000000程度のもの が好ましく、長軸に直交する平均直径が1~100n m程度、長軸の平均長さが0.1~1000μm程度、平均 アスペクト比が5~10000程度のものがより好ま く、長軸に直交する平均直径が1~50nm程度、 軸の平均長さが1~50μm程度、平均アスペクト が10~10000程度のものがさらに好ましい。な 、長軸に直交する平均直径、長軸の平均長 及び平均アスペクト比は、例えば、電子顕 鏡(SEM又はTEM)観察により測定できる。

 [ナノスケールカーボンチューブ]
 本発明で使用できるナノスケールカーボン ューブとしては、ナノサイズの直径を有す カーボンチューブを指し、該カーボンチュ ブのチューブ内空間部には鉄等が内包され いてもよい。

 かかるナノスケールカーボンチューブとし は、
(I)単層カーボンナノチューブ又は多層カーボ ンナノチューブ、
(II)本出願人が開発したアモルファスナノス ールカーボンチューブ、
(III)ナノフレークカーボンチューブ、
(IV)(a)ナノフレークカーボンチューブ及び入 子構造の多層カーボンナノチューブよりな 群から選ばれるカーボンチューブと(b)炭化 又は鉄とからなり、該カーボンチューブ(a) チューブ内空間部の10~90%の範囲に(b)の炭化 又は鉄が充填されている鉄-炭素複合体、
(V)これらの2種以上の混合物
等を例示することができる。

 < カーボンナノチューブ >
 カーボンナノチューブ(I)は、黒鉛シート(即 ち、黒鉛構造の炭素原子面ないしグラフェン シート)がチューブ状に閉じた中空炭素物質 あり、その直径はナノメートルスケールで り、壁構造は黒鉛構造を有している。カー ンナノチューブ(I)のうち、壁構造が一枚の 鉛シートでチューブ状に閉じたものは単層 ーボンナノチューブと呼ばれ、複数枚の黒 シートがそれぞれチューブ状に閉じて、入 子状になっているものは入れ子構造の多層 ーボンナノチューブと呼ばれている。本発 では、これら単層カーボンナノチューブ及 入れ子構造の多層カーボンナノチューブが ずれも使用できる。

 本発明で使用できる単層カーボンナノチ ーブとしては、長軸に直交する平均直径が1 ~10nm程度、長軸の平均長さが0.1~500μm程度、平 均アスペクト比が10~500000程度のものが好まし く、長軸に直交する平均直径が1~10nm程度、長 軸の平均長さが0.1~500μm程度、平均アスペク 比が10~50000程度のものがより好ましく、長軸 に直交する平均直径が1~5nm程度、長軸の平均 さが1~100μm程度、平均アスペクト比が15~30000 程度のものがさらに好ましく、特に、長軸に 直交する平均直径が1~2nm程度、長軸の平均長 が1~20μm程度、平均アスペクト比が20~20000程 のものが好ましい。

 また、本発明で使用できる入れ子構造の 層カーボンナノチューブとしては、長軸に 交する平均直径が1~100nm程度、長軸の平均長 さが0.1~500μm程度、平均アスペクト比が1~500000 程度のものが好ましく、長軸に直交する平均 直径が1~100nm程度、長軸の平均長さが0.1~500μm 度、平均アスペクト比が5~10000程度のものが より好ましく、長軸に直交する平均直径が1~5 0nm程度、長軸の平均長さが1~100μm程度、平均 スペクト比が10~10000程度のものがさらに好 しく、特に、長軸に直交する平均直径が1~40n m程度、長軸の平均長さが1~20μm程度、平均ア ペクト比が10~10000程度のものが好ましい。

 < アモルファスナノスケールカーボ ンチューブ >
 また、アモルファスナノスケールカーボン ューブ(II)は、WO00/40509(日本国特許第3355442号 )に記載されており、カーボンからなる主骨 を有し、直径が0.1~1000nmであり、アモルファ 構造を有するナノスケールカーボンチュー であって、直線状の形態を有し、X線回折法 (入射X線:CuKα)において、ディフラクトメータ ー法により測定される炭素網平面(002)の平面 隔(d002)が3.54Å以上、特に3.7Å以上であり、 回折角度(2θ)が25.1度以下、特に24.1度以下で り、2θバンドの半値幅が3.2度以上、特に7.0 以上であることを特徴とするものである。

 該アモルファスナノスケールカーボンチ ーブ(II)は、マグネシウム、鉄、コバルト、 ニッケル等の金属の塩化物の少なくとも1種 らなる触媒の存在下で、分解温度が200~900℃ ある熱分解性樹脂、例えば、ポリテトラフ オロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ ッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール等 、励起処理することにより得られる。

 出発原料としての熱分解性樹脂の形状は フィルム状乃至シート状、粉末状、塊状等 任意の形状であって良い。例えば、基板上 薄膜化アモルファスナノスケールカーボン ューブを形成させた炭素材料を得る場合に 、基板上に熱分解性樹脂を塗布あるいは載 した状態で、適切な条件下に励起処理すれ よい。

 該励起処理としては、例えば、不活性雰 気中、好ましくは450~1800℃程度の温度域で つ原料の熱分解温度以上で加熱する、室温~3 000℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以 上でプラズマ処理する等の処理が例示できる 。

 本発明で使用できるアモルファスナノス ールカーボンチューブ(II)は、アモルファス 構造(非晶質構造)を有するナノスケールのカ ボンナノチューブで、中空直線状であり、 孔が高度に制御されている。その形状は、 に円柱、四角柱などであり、先端の少なく も一方が、キャップを有していない(開口し ている)場合が多い。先端が閉口している場 には、形状がフラット状である場合が多い

 該アモルファスナノスケールカーボンチ ーブ(II)としては、平均外径が1~100nm程度、 均長さが0.1~1000μm程度、平均アスペクト比が 1~1000000程度のものが好ましく、平均外径が1~1 00nm程度、平均長さが0.1~1000μm程度、平均アス ペクト比が5~10000程度のものがより好ましく 平均外径が1~50nm程度、平均長さが1~50μm程度 平均アスペクト比が10~10000程度のものがさ に好ましい。

 ここで、「アモルファス構造」とは、規 的に配列した炭素原子の連続的な炭素層か なる黒鉛質構造ではなく、不規則な炭素網 面からなる炭素質構造を意味し、多数の微 なグラフェンシートが不規則に配列してい 。代表的な分析手法である透過型電子顕微 による像からは、本発明で使用できる非晶 構造のナノスケールカーボンチューブは、 素網平面の平面方向の広がりがアモルファ ナノスケールカーボンチューブ(II)の直径の 1倍より小さい。このように、アモルファス ノスケールカーボンチューブ(II)は、その壁 が黒鉛構造ではなく多数の微細なグラフェ シート(炭素網面)が不規則に分布したアモ ファス構造を有しているため、最外層を構 する炭素網面は、チューブ長手方向の全長 わたって連続しておらず、不連続となって る。特に、最外層を構成する炭素網面の長 は、20nm未満、特に5nm未満である。

 非晶質炭素は一般的にはX線回折を示さない が、ブロードな反射を示す。黒鉛質構造では 、炭素網平面が規則的に積み重なっているの で、炭素網平面間隔(d 002 )が狭くなり、ブロードな反射は高角側(2θ)に 移行して、次第に鋭くなり(2θバンドの半値 が狭くなり)、d 002 回折線として観測できるようになる(黒鉛的 置関係で規則正しく積み重なっている場合 d 002 =3.354Åである)。

 これに対し、非晶質構造は、上記のように 般的にはX線による回折を示さないが、部分 的に非常に弱い干渉性散乱を示す。X線回折 (入射X線=CuKα)において、ディフラクトメー ー法により測定される本発明によるアモル ァスナノスケールカーボンチューブ(II)の理 的な結晶学的特性は、以下の様に規定され :炭素網平面間隔(d 002 )は、3.54Å以上であり、より好ましくは3.7Å 上である;回折角度(2θ)は、25.1度以下であり 、より好ましくは24.1度以下である;前記2θバ ドの半値幅は、3.2度以上であり、より好ま くは7.0度以上である。

 典型的には、本発明で使用できるアモルフ スナノスケールカーボンチューブ(II)は、X 回折による回折角度(2θ)が18.9~22.6度の範囲内 にあり、炭素網平面間隔(d 002 )は3.9~4.7Åの範囲内にあり、2θバンドの半値 は7.6~8.2度の範囲内にある。

 本発明で使用できるアモルファスナノスケ ルカーボンチューブ(II)の形状を表す一つの 用語である「直線状」なる語句は、次のよう に定義される。すなわち、透過型電子顕微鏡 によるアモルファスナノスケールカーボンチ ューブ(II)像の長さをLとし、そのアモルファ ナノスケールカーボンチューブ(II)を伸ばし た時の長さをL 0 とした場合に、L/L 0 が0.9以上となる形状特性を意味するものとす る。

 かかるアモルファスナノスケールカーボ チューブ(II)のチューブ壁部分は、あらゆる 方向に配向した複数の微細な炭素網平面(グ フェンシート)からなる非晶質構造であり、 れらの炭素網平面の炭素平面間隔により活 点を有するためか、樹脂との親和性に優れ いるという利点を有する。

 < 鉄-炭素複合体 >
 また、本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV )は、特開2002-338220号公報(特許第3569806号)に記 載されており、(a)ナノフレークカーボンチュ ーブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチュ ーブよりなる群から選ばれるカーボンチュー ブと(b)炭化鉄又は鉄とからなり、該カーボン チューブ(a)のチューブ内空間部の10~90%の範囲 に(b)の炭化鉄又は鉄が充填されている。即ち 、チューブ内空間部の100%の範囲に完全に充 されているものではなく、上記炭化鉄又は がそのチューブ内空間部の10~90%の範囲に充 されている(即ち、部分的に充填されている) ことを特徴とするものである。壁部は、パッ チワーク状ないし張り子状(いわゆるpaper mach e状)のナノフレークカーボンチューブである

 本明細書において、「ナノフレークカー ンチューブ」とは、フレーク状の黒鉛シー が複数枚(通常は多数)パッチワーク状ない 張り子状(paper mache状)に集合して構成されて いる、黒鉛シートの集合体からなる炭素製チ ューブを指す。

 かかる鉄-炭素複合体(IV)は、特開2002-338220号 公報に記載の方法に従って、
(1)不活性ガス雰囲気中、圧力を10 -5 Pa~200kPaに調整し、反応炉内の酸素濃度を、反 応炉容積をA(リットル)とし酸素量をB(Ncc)とし た場合の比B/Aが1×10 -10 ~1×10 -1 となる濃度に調整した反応炉内でハロゲン化 鉄を600~900℃まで加熱する工程、及び
(2)上記反応炉内に不活性ガスを導入し、圧力 10 -5 Pa~200kPaで熱分解性炭素源を導入して600~900℃ 加熱処理を行う工程
を包含する製造方法により製造される。

 ここで、酸素量Bの単位である「Ncc」は、 気体の25℃での標準状態に換算したときの体 (cc)という意味である。

 該鉄-炭素複合体(IV)は、(a)ナノフレーク ーボンチューブ及び入れ子構造の多層カー ンナノチューブよりなる群から選ばれるカ ボンチューブと(b)炭化鉄又は鉄とからなる のであって、該カーボンチューブ内空間部( ち、チューブ壁で囲まれた空間)の実質上全 てが充填されているのではなく、該空間部の 一部、より具体的には10~90%程度、特に30~80%程 度、好ましくは40~70%程度が炭化鉄又は鉄によ り充填されている。

 本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV)に いては、特開2002-338220号公報に記載されてい るように、炭素部分は、製造工程(1)及び(2)を 行った後、特定の速度で冷却するとナノフレ ークカーボンチューブとなり、製造工程(1)及 び(2)を行った後、不活性気体中で加熱処理を 行い、特定の冷却速度で冷却することにより 、入れ子構造の多層カーボンナノチューブと なる。

 <(a-1)ナノフレークカーボンチューブ>
 本発明で使用できるナノフレークカーボン ューブ(a-1)と炭化鉄又は鉄(b)からなる鉄-炭 複合体(IV)は、典型的には円柱状であるが、 そのような円柱状の鉄-炭素複合体(特開2002-33 8220号公報の実施例1で得られたもの)の長手方 向にほぼ垂直な断面の透過型電子顕微鏡(TEM) 真を図6に示し、側面のTEM写真を図4に示す

 また、図7の(a-1)にそのような円柱状のナ フレークカーボンチューブのTEM像の模式図 示す。図7の(a-1)において、100は、ナノフレ クカーボンチューブの長手方向のTEM像を模 的に示しており、200は、ナノフレークカー ンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のT EM像を模式的に示している。

 本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV)を 成するナノフレークカーボンチューブ(a-1)は 、代表的には、中空円筒状の形態を有し、そ の断面をTEM観察した場合、弧状グラフェンシ ート像が同心円状に集合しており、個々のグ ラフェンシート像は、不連続な環を形成して おり、その長手方向をTEMで観察した場合、略 直線状のグラフェンシート像が、長手方向に ほぼ並行に多層状に配列しており、個々のグ ラフェンシート像は、長手方向全長にわたっ て連続しておらず、不連続となっているとい う特徴を有している。

 より詳しくは、本発明で使用できる鉄-炭 素複合体(IV)を構成しているナノフレークカ ボンチューブ(a-1)は、図6及び図7の(a-1)の200 ら明らかなように、その長手方向に垂直な 面をTEM観察した場合、多数の弧状グラフェ シート像が同心円状(多層構造のチューブ状) に集合しているが、個々のグラフェンシート 像は、例えば210、214に示すように、完全に閉 じた連続的な環を形成しておらず、途中で途 切れた不連続な環を形成している。一部のグ ラフェンシート像は、211に示すように、分岐 している場合もある。不連続点においては、 一つの不連続環を構成する複数の弧状TEM像は 、図7の(a-1)の222に示すように、層構造が部分 的に乱れている場合もあれば、223に示すよう に隣接するグラフェンシート像との間に間隔 が存在している場合もあるが、TEMで観察され る多数の弧状グラフェンシート像は、全体と して、多層状のチューブ構造を形成している 。

 また、図4及び図7の(a-1)の100から明らかな ように、ナノフレークカーボンチューブ(a-1) 長手方向をTEMで観察した場合、多数の略直 状のグラフェンシート像が本発明で使用で る鉄-炭素複合体(IV)の長手方向にほぼ並行 多層状に配列しているが、個々のグラフェ シート像110は、鉄-炭素複合体(IV)の長手方向 全長にわたって連続しておらず、途中で不連 続となっている。一部のグラフェンシート像 は、図7の(a-1)の111に示すように、分岐してい る場合もある。また、不連続点においては、 層状に配列したTEM像のうち、一つの不連続層 のTEM像は、図7の(a-1)の112に示すように、隣接 するグラフェンシート像と少なくとも部分的 に重なり合っている場合もあれば、113に示す ように隣接するグラフェンシート像と少し離 れている場合もあるが、多数の略直線状のTEM 像が、全体として多層構造を形成している。

 かかる本発明で使用できるナノフレーク ーボンチューブ(a-1)の構造は、従来の多層 ーボンナノチューブと大きく異なっている 即ち、図7の(a-2)の400に示すように、入れ子 造の多層カーボンナノチューブ(a-2)は、その 長手方向に垂直な断面のTEM像が、410に示すよ うに、実質上完全な円形のTEM像となっている 同心円状のチューブであり、且つ、図7の(a-2) の300に示すように、その長手方向の全長にわ たって連続する直線状グラフェンシート像310 等が平行に配列している構造(同心円筒状な し入れ子状の構造)である。

 以上より、詳細は未だ完全には解明され いないが、本発明で使用できる鉄-炭素複合 体(IV)を構成するナノフレークカーボンチュ ブ(a-1)は、フレーク状のグラフェンシートが 多数パッチワーク状ないし張り子状に重なり 合って全体としてチューブを形成しているよ うにみえる。

 このような本発明で使用できるナノフレ クカーボンチューブ(a-1)とそのチューブ内 間部に内包された炭化鉄又は鉄(b)からなる -炭素複合体(IV)は、特許第2546114号に記載さ ているような入れ子構造の多層カーボンナ チューブ(a-2)のチューブ内空間部に金属が内 包された複合体に比し、カーボンチューブの 構造において大きく異なっている。

 本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV)を 成しているナノフレークカーボンチューブ(a -1)をTEM観察した場合において、その長手方向 に配向している多数の略直線状のグラフェン シート像に関し、個々のグラフェンシート像 の長さは、通常、2~500nm程度、特に10~100nm程度 である。即ち、図7の(a-1)の100に示されるよう に、110で示される略直線状のグラフェンシー トのTEM像が多数集まってナノフレークカーボ ンチューブ(a-1)の壁部のTEM像を構成しており 個々の略直線状のグラフェンシート像の長 は、通常、2~500nm程度、特に10~100nm程度であ 。

 このように、鉄-炭素複合体(IV)において 、その壁部を構成するナノフレークカーボ チューブ(a-1)の最外層は、チューブ長手方向 の全長にわたって連続していない不連続なグ ラフェンシートから形成されており、その最 外面の炭素網面の長さは、通常、2~500nm程度 特に10~100nm程度である。

 本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV)を構 するナノフレークカーボンチューブ(a-1)の壁 部の炭素部分は、上記のようにフレーク状の グラフェンシートが多数長手方向に配向して 全体としてチューブ状となっているが、X線 折法により測定した場合に、炭素網面間の 均距離(d 002 )が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するものであ 。

 また、本発明で使用できる鉄-炭素複合体 (IV)のナノフレークカーボンチューブ(a-1)から なる壁部の厚さは、49nm以下、特に0.1~20nm程度 、好ましくは1~10nm程度であって、全長に亘っ て実質的に均一である。

 <(a-2)入れ子構造の多層カーボンナノチュ ブ>
 前記のように、工程(1)及び(2)を行った後、 定の加熱工程を行うことにより、得られる -炭素複合体(IV)を構成するカーボンチュー は、入れ子構造の多層カーボンナノチュー (a-2)となる。

 こうして得られる入れ子構造の多層カー ンナノチューブ(a-2)は、図7の(a-2)の400に示 ように、その長手方向に垂直な断面のTEM像 実質的に完全な円を構成する同心円状のチ ーブであり、且つ、その長手方向の全長に たって連続したグラフェンシート像が平行 配列している構造(同心円筒状ないし入れ子 の構造)である。

 本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV)を構 する入れ子構造の多層カーボンナノチュー (a-2)の壁部の炭素部分は、X線回折法により 定した場合に、炭素網面間の平均距離(d 002 )が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するものであ 。

 また、本発明で使用できる鉄-炭素複合体 (IV)の入れ子構造の多層カーボンナノチュー (a-2)からなる壁部の厚さは、49nm以下、特に0. 1~20nm程度、好ましくは1~10nm程度であって、全 長に亘って実質的に均一である。

 <(b)内包されている炭化鉄又は鉄>
 本明細書において、上記ナノフレークカー ンチューブ(a-1)及び入れ子構造の多層カー ンナノチューブ(a-2)よりなる群から選ばれる カーボンチューブ内空間部の炭化鉄又は鉄(b) による充填率(10~90%)は、本発明で使用できる -炭素複合体(IV)を透過型電子顕微鏡で観察 、各カーボンチューブの空間部(即ち、カー ンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の 像の面積に対する、炭化鉄又は鉄(b)が充填さ れている部分の像の面積の割合である。

 炭化鉄又は鉄(b)の充填形態は、カーボン ューブ内空間部に連続的に充填されている 態、カーボンチューブ内空間部に断続的に 填されている形態等があるが、基本的には 続的に充填されている。従って、本発明で 用できる鉄-炭素複合体(IV)は、金属内包炭 複合体ないし鉄化合物内包炭素複合体、炭 鉄又は鉄内包炭素複合体とも言うべきもの ある。

 また、本発明で使用できる鉄-炭素複合体 (IV)に内包されている炭化鉄又は鉄(b)は、カ ボンチューブの長手方向に配向しており、 晶性が高く、炭化鉄又は鉄(b)が充填されて る範囲のTEM像の面積に対する、結晶性炭化 又は鉄(b)のTEM像の面積の割合(以下「結晶化 」という)は、一般に、90~100%程度、特に95~10 0%程度である。

 内包されている炭化鉄又は鉄(b)の結晶性 高いことは、本発明で使用できる鉄-炭素複 合体(IV)の側面からTEM観察した場合、内包物 TEM像が格子状に配列していることから明ら であり、電子線回折において明確な回折パ ーンが得られることからも明らかである。

 また、本発明で使用できる鉄-炭素複合体 (IV)に炭化鉄又は鉄(b)が内包されていること 、電子顕微鏡、EDX(エネルギー分散型X線検出 器)により容易に確認することができる。

 <鉄-炭素複合体の全体形状>
 本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV)は、 曲が少なく、直線状であり、壁部の厚さが 長に亘ってほぼ一定の均一厚さを有してい ので、全長に亘って均質な形状を有してい 。その形状は、柱状で、主に円柱状である

 該鉄-炭素複合体(IV)としては、平均外径 1~100nm程度、平均長さが0.1~1000μm程度、平均 スペクト比が1~1000000程度のものが好ましく 平均外径が1~100nm程度、平均長さが0.1~1000μm 度、平均アスペクト比が5~10000程度のものが り好ましく、平均外径が1~50nm程度、平均長 が1~400μm程度、平均アスペクト比が10~10000程 度のものがさらに好ましい。

 本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV)の 状を表す一つの用語である「直線状」なる 句は、次のように定義される。即ち、透過 電子顕微鏡により本発明で使用する鉄-炭素 合体(IV)を含む炭素質材料を200~2000nm四方の 囲で観察し、像の長さをWとし、該像を直線 に伸ばした時の長さをWoとした場合に、比W/ Woが、0.8以上、特に、0.9以上となる形状特性 意味するものとする。

 本発明で使用できる鉄-炭素複合体(IV)は バルク材料としてみた場合、次の性質を有 る。即ち、本発明では、上記のようなナノ レークカーボンチューブ(a-1)及び入れ子構造 の多層カーボンナノチューブ(a-2)から選ばれ カーボンチューブのチューブ内空間部の10~9 0%の範囲に鉄または炭化鉄(b)が充填されてい 鉄-炭素複合体(IV)は、顕微鏡観察によりか うじて観察できる程度の微量ではなく、多 の該鉄-炭素複合体(IV)を含むバルク材料であ って、鉄-炭素複合体(IV)を含む炭素質材料、 いは、炭化鉄又は鉄内包炭素質材料ともい べき材料の形態で大量に得られる。

 特開2002-338220号公報の実施例1で製造され ナノフレークカーボンチューブ(a-1)とその ューブ内空間部に充填された炭化鉄(b)から る本発明で使用できる炭素質材料の電子顕 鏡写真を、図5に示す。

 図5から判るように、本発明で使用する鉄 -炭素複合体(IV)を含む炭素質材料においては 基本的にはほとんど全ての(特に99%又はそれ 以上の)カーボンチューブにおいて、その空 部(即ち、カーボンチューブのチューブ壁で まれた空間)の10~90%の範囲に炭化鉄又は鉄(b) が充填されており、空間部が充填されていな いカーボンチューブは実質上存在しないのが 通常である。但し、場合によっては、炭化鉄 又は鉄(b)が充填されていないカーボンチュー ブも微量混在することがある。

 また、本発明で使用する炭素質材料にお ては、上記のようなカーボンチューブ内空 部の10~90%に鉄又は炭化鉄(b)が充填されてい 鉄-炭素複合体(IV)が主要構成成分であるが 本発明で使用できる鉄-炭素質複合体(IV)以外 に、スス等が含まれている場合がある。その ような場合は、本発明で使用できる鉄-炭素 複合体以外の成分を除去して、本発明の炭 質材料中の鉄-炭素質複合体(IV)の純度を向上 させ、実質上本発明で使用する鉄-炭素複合 (IV)のみからなる炭素質材料を得ることもで る。

 また、従来の顕微鏡観察で微量確認し得 に過ぎなかった材料とは異なり、本発明で 用する鉄-炭素複合体(IV)を含む炭素質材料 大量に合成できるので、その重量を容易に1m g以上とすることができる。

 本発明で使用できる炭素質材料は、該炭素 材料1mgに対して25mm 2 以上の照射面積で、CuKαのX線を照射した粉末 X線回折測定において、内包されている鉄又 炭化鉄(b)に帰属される40°<2θ<50°のピー の中で最も強い積分強度を示すピークの積 強度をIaとし、カーボンチューブの炭素網 間の平均距離(d 002 )に帰属される26°<2θ<27°のピークの積分 度Ibとした場合に、IaのIbに対する比R(=Ia/Ib) 、0.35~5程度、特に0.5~4程度であるのが好ま く、より好ましくは1~3程度である。

 本明細書において、上記Ia/Ibの比をR値と呼 。このR値は、本発明で使用できる鉄-炭素 合体(IV)を含む炭素質材料を、X線回折法にお いて25mm 2 以上のX線照射面積で観察した場合に、炭素 材料全体の平均値としてピーク強度が観察 れるために、TEM分析で測定できる1本の鉄-炭 素複合体(IV)における内包率ないし充填率で なく、鉄-炭素複合体(IV)の集合物である炭素 質材料全体としての、炭化鉄又は鉄(b)充填率 ないし内包率の平均値を示すものである。

 尚、多数の本発明で使用できる鉄-炭素複 合体(IV)を含む炭素質材料全体としての平均 填率は、TEMで複数の視野を観察し、各視野 観察される複数の鉄-炭素複合体(IV)における 炭化鉄又は鉄(b)の平均充填率を測定し、更に 複数の視野の平均充填率の平均値を算出する ことによっても求めることができる。かかる 方法で測定した場合、本発明で使用する鉄- 素複合体(IV)からなる炭素質材料全体として 炭化鉄又は鉄(b)の平均充填率は、10~90%程度 特に40~70%程度である。

 < ナノフレークカーボンチューブ >
 上記の鉄又は炭化鉄(b)がナノフレークカー ンチューブ(a-1)のチューブ内空間に部分内 されている鉄-炭素複合体(IV)を酸処理するこ とにより、内包されている鉄又は炭化鉄(b)が 溶解除去され、チューブ内空間部に鉄又は炭 化鉄(b)が存在しない中空のナノフレークカー ボンチューブ(III)を得ることができる。

 上記酸処理に使用する酸としては、塩酸 硫酸、硝酸、フッ酸等を例示でき、その濃 は0.1~2N程度のものが好ましい。酸処理方法 しては、種々の方法により行うことが可能 あるが、例えば、1Nの塩酸100mlに対して、1g 鉄内包ナノフレークカーボンチューブを分 し、室温で6時間撹拌処理し、ろ過分離した 後、さらに、2回1Nの塩酸100mlで同様の処理を なうことで、中空のナノフレークカーボン ューブ(III)を得ることができる。

 この酸処理によってもナノフレークカー ンチューブ(III)の基本的構成は特に変化を けない。よって、チューブ内空間部に鉄又 炭化鉄(b)が存在しない中空のナノフレーク ーボンチューブ(III)においても、その最外面 を構成する炭素網面の長さは、500nm以下であ 、特に2~500nm、特に10~100nmである。

  酸化チタン被覆ナノスケールカー ボン
 このようにして得られる酸化チタン被覆ナ スケールカーボンは、漏れ電流を防止する から、棒状又は繊維状のナノスケールカー ンの表面の酸化チタンの被覆率が、70~100%、 特には85~100%であることが好ましい。また、 ーボン/チタンの表面元素比率は、0/100~70/30( 子比)が好ましく、0/100~50/50(原子比)がより ましい。なお、表面被覆率(カーボンの表面 の、粒子状酸化チタンが連なってなる被覆 で覆われている箇所の割合)は、例えば、電 子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等により、また、カ ボン/チタンの表面元素比率は、例えば、X 光電子分光分析等により、測定することが きる。

  2-2.工程(B)
 工程(B)では、工程(A)で得られた酸化チタン 覆ナノスケールカーボン中に存在するナノ ケールカーボンを消失させ、酸化チタン構 体(1)を作製する。これにより、酸化チタン アナターゼ型結晶構造になるとともに密着 が増す利点がある。なお、工程(B)では、ナ スケールカーボンを消失させればよく、そ 手法は特に限定されるものではないが、酸 消失させるのが簡便である。例えば、空気 で加熱して酸化消失させる場合には、その 熱温度は、好ましくは450℃以上、より好ま くは550℃以上、さらに好ましくは600~750℃、 特に好ましくは600~700℃である。

  3.多孔質酸化チタン組成物
 本発明の多孔質酸化チタン組成物は、
(1)(1a)粒子状酸化チタンが連なってなる棒状 管状又は繊維状の酸化チタン構造体、及び
(2)粒子状酸化チタン
を混合してなる。

  3-1.酸化チタン構造体(1)
 酸化チタン構造体(1)は、粒子状酸化チタン( 1a)が連なってなる棒状、管状又は繊維状のも のであり、1.で説明したものと同じものであ 。

  3-2.粒子状酸化チタン(2)
 粒子状酸化チタン(2)としては、酸化チタン 造体(1)の作製に使用した粒子状酸化チタン( 1a)と同じものを用いてもよいし、違うものを 用いてもよい。具体的には、以下のものが使 用できる。

 粒子状酸化チタン(2)の結晶構造としては とくに制限されるわけではないが、アナタ ゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及び ルッカイト型酸化チタンよりなる群から選 れる少なくとも1種を含むものが好ましく、 光に対する活性が高い点から、アナターゼ型 酸化チタンを含むものがより好ましい。なお 、粒子状酸化チタン(2)の結晶構造は、例えば 、X線回折法やラマン分光分析等により測定 ることができる。

 粒子状酸化チタン(2)の平均粒子径は、よ 多くの色素を吸着し、光を吸収できる点か 、1~500nmが好ましく、5~100nmがより好ましい ただし、電池内部への光閉じ込め効果の観 から、粒径が大きく光散乱の大きい酸化チ ン粒子を併用してもよい。なお。平均粒子 は、例えば、電子顕微鏡(SEM又はTEM)観察等に より測定することができる。

  3-3.多孔質酸化チタン組成物
 本発明の多孔質酸化チタン組成物は、上記 酸化チタン構造体(1)及び粒子状酸化チタン( 2)を混合してなる。

 本発明では、酸化チタン構造体(1)単独で なく、粒子状酸化チタン(2)と混合して使用 ることで、図8に示すように、表面の微細な 凹凸をより増加させ、表面に色素を担持させ やすくすることができる。

 本発明の多孔質酸化チタン組成物は、分 時流動性を確保する点から、酸化チタン構 体(1)を0.1~90重量%(さらに0.2~80重量%(特に0.5~60 重量%))、粒子状酸化チタン(2)を10~99.9重量%(さ らに20~99.8重量%(特に40~99.5重量%))混合するこ が好ましい。なお、酸化チタン被覆炭素材 (1)の含有量を60重量%以下とすれば、組成物 塗布性が高く塗膜の強度にも優れるため、 らつきが少なく安定した導電性、光電変換 率が得られるという利点がある。また、よ 高い光電変換効率が得られ、かつ低コスト あるという利点もある。

 本発明の多孔質酸化チタン組成物におい は、表面積を大きくし、かつ、電解液のイ ン拡散性を保持する点から、空孔径が5~50nm 空孔が、全空孔の40~100%、特に60~100%存在す ことが好ましい。

 さらに、本発明の多孔質酸化チタン組成物 比表面積は、表面積を大きくし、色素を多 に担持し、入射した光を効率よく吸収する から、30~500m 2 /gが好ましく、50~500m 2 /gがより好ましく、60~500m 2 /gがさらに好ましい。ただし、電池内部への 閉じ込め効果の観点から光散乱の大きい、 まり比表面積の小さい酸化チタン粒子を併 してもよい。

  4.多孔質酸化チタン組成物の製造 法(1)
 本発明の多孔質酸化チタン組成物は、例え 、
(A1)棒状又は繊維状のナノスケールカーボン 表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反 により、粒子状酸化チタン(1a)が連なってな 被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノスケ ルカーボンを作製する工程、
(B1)工程(A1)で得られた酸化チタン被覆ナノス ールカーボン中に存在するナノスケールカ ボンを消失させ、酸化チタン構造体(1)を作 する工程、及び
(C1)工程(B1)で得られた酸化チタン構造体(1)と 子状酸化チタン(2)とを混合する工程
を含む方法により得られる。

  4-1.工程(A1)
 多孔質酸化チタン組成物の製造方法(1)にお る工程(A1)は、酸化チタン構造体(1)の製造方 法における工程(A)と同じである。つまり、工 程(A1)において使用するナノスケールカーボ 、チタンフルオロ錯体、粒子状酸化チタン(1 a)や条件等は工程(A)と同じである。

  4-2.工程(B1)
 多孔質酸化チタン組成物の製造方法(1)にお る工程(B1)は、酸化チタン構造体(1)の製造方 法における工程(B)と同じである。つまり、ナ ノスケールカーボンの消失方法、酸化消失さ せる場合の加熱温度等は工程(B)と同じである 。

  4-3.工程(C1)
 工程(C1)では、工程(B1)で得られた酸化チタ 構造体(1)と粒子状酸化チタン(2)とを混合す 。

 混合する手法としては、特に制限はなく ペイントシェーカー、乳鉢をはじめとして 各種ボールミル、サンドミル、ジェットミ 、ニーダー、ローラー公知の混合方法等が げられる。粘度の低い溶媒で希釈し、ペイ トシェーカー等で混合し、後に溶媒を減圧 留などにより除去してもよい。

  5.多孔質酸化チタン組成物の製造 法(2)
 本発明の多孔質酸化チタン組成物は、上記 製造方法(1)に限定されることはなく、
(A2)棒状又は繊維状のナノスケールカーボン 表面に、チタンフルオロ錯体からの析出反 により、粒子状酸化チタン(1a)が連なってな 被覆層を形成し、酸化チタン被覆ナノスケ ルカーボンを作製する工程、
(B2)工程(A2)で得られた酸化チタン被覆ナノス ールカーボンと粒子状酸化チタン(2)とを混 する工程、及び
(C2)工程(B2)で得られた混合物中の酸化チタン 覆ナノスケールカーボン中に存在するナノ ケールカーボンを消失させる工程
を含む方法によっても製造することができる 。

 この多孔質酸化チタン組成物の製造方法( 2)は、多孔質酸化チタン組成物の製造方法(1) おいて、工程(B1)と工程(C1)の順序を逆にし ものである。

  5-1.工程(A2)
 多孔質酸化チタン組成物の製造方法(2)にお る工程(A2)は、酸化チタン構造体(1)の製造方 法における工程(A)、及び多孔質酸化チタン組 成物の製造方法(1)における工程(A1)と同じで る。つまり、工程(A2)において使用するナノ ケールカーボン、チタンフルオロ錯体、粒 状酸化チタン(1a)や条件等は、工程(A)及び工 程(A1)と同じである。

  5-2.工程(B2)
 多孔質酸化チタン組成物の製造方法(2)にお る工程(B2)は、多孔質酸化チタン組成物の製 造方法(1)における工程(C1)に対応するもので る。つまり、工程(B2)における使用する粒子 酸化チタン(2)や混合手法等は、工程(C1)と同 様である。

  5-3.工程(C2)
 多孔質酸化チタン組成物の製造方法(2)にお る工程(C2)は、酸化チタン構造体(1)の製造方 法における工程(B)、及び多孔質酸化チタン組 成物の製造方法(1)における工程(B1)に対応す ものである。つまり、工程(C2)における温度 件等は、工程(B1)と同様である。

  6.光電変換素子
 本発明の光電変換素子は、導電性基板、半 体層、電荷輸送層及び対向電極から少なく も構成される。

 導電性基板は、通常、基板上に電極層を するものである。基板としては、特に限定 れず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に じて適宜選択することができ、例えば、金 、無色又は有色ガラス、網入りガラス、ガ スブロック等が用いられる他、無色又は有 の樹脂でも良い。かかる樹脂としては、ポ エチレンテレフタレート等のポリエステル ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル ルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ フェニレンサルファイド、ポリカーボネー 、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリ チルペンテン等が挙げられる。なお、本発 における基板とは、常温において平滑な面 有するものであり、その面は平面あるいは 面であってもよく、また応力によって変形 るものであってもよい。

 また、電極として作用する導電膜の材料は に限定されないが、例えば、金、銀、クロ 、銅、タングステン、チタン等の金属や金 薄膜、金属酸化物からなる導電膜等が挙げ れる。金属酸化物としては、例えば、錫や 鉛等の金属酸化物に、他の金属元素を微量 ープしたIndium Tin Oxide(ITO(In 2 O 3 :Sn))、Fluorine doped Tin Oxide(FTO(SnO 2 :F))、Aluminum doped Zinc Oxide(AZO(ZnO:Al))、Antimony doped Tin Oxide(ATO(SnO 2 :Sb))等が好適なものとして用いられる。

 導電膜の膜厚は、通常100~10000nm、好まし は500~3000nmである。また、表面抵抗(抵抗率) 適宜選択されるところであるが、通常0.5~500 /sq、好ましくは1~50ω/sqである。

 導電膜の形成法は特に限定されるもので なく、用いる金属や金属酸化物の種類によ 公知の方法を適宜採用することができる。 常、真空蒸着法、イオンプレーティング法 CVD法又はスパッタリング法等が用いられる いずれの場合も基板温度が20~700℃の範囲内 形成されるのが望ましい。

 本発明の光電変換素子における対向電極( 対極)は、導電性材料からなる単層構造でも いし、導電層と基板とから構成されていて よい。基板としては、特に限定されず、材 、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜 択することができ、例えば、金属、無色又 有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロッ 等が用いられる他、樹脂でも良い。かかる 脂としては、ポリエチレンテレフタレート のポリエステル、ポリアミド、ポリスルホ 、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエ テルケトン、ポリフェニレンサルファイド ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチ メタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸 ルロース、ポリメチルペンテン等が挙げら る。また、電荷輸送層上に直接導電性材料 塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)して対極を形 成しても良い。

 導電性材料としては、白金、金、ニッケ 、チタン、アルミニウム、銅、銀、タング テン等の金属や、炭素材料、導電性有機物 の比抵抗の小さな材料が用いられる。

 また、対極の抵抗を下げる目的で金属リ ドを用いても良い。金属リードは白金、金 ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀 タングステン等の金属からなるのが好まし 、アルミニウム又は銀からなるのが特に好 しい。

 半導体層としては、上述した本発明の酸 チタン構造体又は多孔質酸化チタン組成物 らなるものを使用する。ただし、本発明の 化チタン構造体の配向方向に関しては特に 限はなく、その長手方向が基板に対して必 しも略垂直等特定の方向に配向させる必要 ない。

 導電性基板上に半導体層を形成する方法 しては、特に制限はなく、例えば、本発明 酸化チタン構造体又は多孔質酸化チタン組 物を含むペーストを調製し、導電性基板上 塗布して焼成する方法等が挙げられる。こ 際、ペーストの溶媒としては、水、有機溶 などを用いることができる。

 有機溶媒としては、本発明の酸化チタン 造体又は多孔質酸化チタン組成物を分散で るものであれば、特に限定はない。例えば エタノール、メタノール、テルピネオール のアルコール類やエチレングリコール、ポ エチレングリコール、プロピレングリコー 、ポリプロピレングリコール等のグリコー 類等を用いることができる。これらの溶媒 、分散性と揮発性、粘度を考慮し、通常混 して用いられる。ペースト中の溶媒の割合 しては、塗布時に流動性を持たせる点と塗 後の厚みを保持する点、また多孔質の酸化 タンを形成する点から、50~90重量%が、特に7 0~85重量%が好ましい。

 分散液の成分として、上記の溶媒以外に 増粘剤等を含んでもよい。

 増粘剤としては、例えば、メチルセルロ ス、エチルセルロース等のアルキルセルロ ス等が挙げられる。なかでも、アルキルセ ロース、特にエチルセルロースを好適に用 ることができる。

 ペースト中の増粘剤の割合としては、塗 時の流動性と塗布後の厚みのバランスをと 点から、2~20重量%が、特に3~15重量%が好まし い。

 ペースト中の固形分の割合としては、上 と同様に塗布時の流動性と塗布後の厚みの ランスの点から、10~50重量%が、特に15~30重 %が好ましい。さらにその固形分に対して、 化チタン構造体(1)を0.1~90重量%(さらに0.2~80 量%(特に0.5~60重量%))含んでいることが好まし い。

 本発明の光電変換素子においては、半導 層の光吸収効率を向上すること等を目的と て、半導体層に色素を担持(吸着、含有など )させたものが用いられる。

 色素は、可視域や近赤外域に吸収特性を し、半導体層の光吸収効率を向上(増感)さ る色素であれば特に限定されないが、金属 体色素、有機色素、天然色素、半導体等が ましい。また、半導体層への吸着性を付与 るために、色素の分子中にカルボキシル基 ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニ 基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシ ルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホ ルアルキル基等の官能基を有するものが好 に用いられる。

 金属錯体色素としては、例えば、ルテニ ム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛、水 の錯体(例えば、メリクルクロム等)や、金 フタロシアニン、クロロフィル等を用いる とができる。また、有機色素としては、例 ば、シアニン系色素、ヘミシアニン系色素 メロシアニン系色素、キサンテン系色素、 リフェニルメタン系色素、金属フリーフタ シアニン系色素等が挙げられるが、これら 限定されるものではない。色素として用い ことができる半導体としては、i型の光吸収 数が大きなアモルファス半導体や直接遷移 半導体、量子サイズ効果を示し、可視光を 率よく吸収する微粒子半導体が好ましい。 常、各種の半導体や金属錯体色素や有機色 の一種、又は光電変換の波長域をできるだ 広くし、かつ変換効率を上げるため、二種 以上の色素を混合することができる。また 目的とする光源の波長域と強度分布に合わ るように、混合する色素とその割合を選ぶ とができる。

 色素を半導体層に吸着させる方法として 、例えば、溶媒に色素を溶解させた溶液を 半導体層上にスプレーコートやスピンコー 等により塗布した後、乾燥する方法により 成することができる。この場合、適当な温 に基板を加熱しても良い。また、半導体層 溶液に浸漬して吸着させる方法を用いるこ もできる。浸漬する時間は色素が充分に吸 すれば特に制限されることはないが、好ま くは10分~30時間、より好ましくは1~20時間で る。また、必要に応じて浸漬する際に溶媒 基板を加熱しても良い。溶液にする場合の 素の濃度としては、1~1000mmol/L、好ましくは1 0~500mmol/L程度である。

 用いる溶媒は特に制限されるものではな が、水及び有機溶媒が好ましく用いられる 有機溶媒としては、例えば、メタノール、 タノール、1-プロパノール、2-プロパノール 、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール 等のアルコール類;アセトニトリル、プロピ ニトリル、メトキシプロピオニトリル、グ タロニトリル等のニトリル類;ベンゼン、ト エン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘ プタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチル トン、ジエチルケトン、2-ブタノン等のケ ン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ 等のエーテル類;エチレンカーボネート、プ ロピレンカーボネート、ニトロメタン、ジメ チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、 ヘキサメチルホスホアミド、ジメトキシエタ ン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、 スルホラン、ジメトキシエタン、アジポニト リル、メトキシアセトニトリル、ジメチルア セトアミド、メチルピロリジノン、ジメチル スルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、 リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン 酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リ ン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン 酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン 酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸 トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメ ル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、 ン酸トリフェニルポリエチレングリコール ポリエチレングリコール等が挙げられる。

 色素間の凝集等の相互作用を低減するた に、界面活性剤としての性質を持つ無色の 合物を色素吸着液に添加し、半導体層に共 着させてもよい。このような無色の化合物 例としては、カルボキシル基やスルホ基を するコール酸、デオキシコール酸、ケノデ キシコール酸、タウロデオキシコール酸等 ステロイド化合物やスルホン酸塩類等が挙 られる。

 未吸着の色素は、吸着工程後、速やかに 浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿 洗浄槽中でアセトニトリル、アルコール系 媒等を用いて行うのが好ましい。

 色素を吸着させた後、アミン類、4級アン モニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を するウレイド化合物、少なくとも1つのシリ 基を有するシリル化合物、アルカリ金属塩 アルカリ土類金属塩等を用いて、半導体層 表面を処理してもよい。好ましいアミン類 例としては、ピリジン、4-t-ブチルピリジン 、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ま しい4級アンモニウム塩の例としては、テト ブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキ ルアンモニウムヨージド等が挙げられる。 れらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、 体の場合はそのまま用いてもよい。

 電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補 する機能を有する電荷輸送材料を含有する 本発明で用いる電荷輸送材料は、イオンが わる電荷輸送材料であり、酸化還元対イオ が溶解した溶液、酸化還元対の溶液をポリ ーマトリックスのゲルに含浸したゲル電解 組成物、固体電解質組成物等が挙げられる

 イオンがかかわる電荷輸送材料としての電 液は、電解質、溶媒及び添加物から構成さ ることが好ましい。電解液に用いる電解質 例としては、ヨウ素とヨウ化物(LiI、NaI、KI CsI、CaI 2 等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニ ウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、 イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニ ム化合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、臭素と 化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr、CaBr 2 等の金属臭化物、テトラアルキルアンモニウ ムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の 4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合わ 、フェロシアン酸塩-フェリシアン酸塩やフ ェロセン-フェリシニウムイオン等の金属錯 、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール- ルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビ ロゲン色素、ヒドロキノン-キノン等が挙げ られる。中でも、I 2 とLiI又はピリジニウムヨーダイド、イミダゾ リウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合 ヨウ素塩とを組み合わせた電解質が好まし 。電解質は混合して用いてもよい。

 溶媒としては、一般に電気化学セルや電 に用いられる溶媒であればいずれも使用す ことができる。具体的には、無水酢酸、メ ノール、エタノール、テトラヒドロフラン プロピレンカーボネート、ニトロメタン、 セトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジ チルスルホキシド、ヘキサメチルホスホア ド、エチレンカーボネート、ジメトキシエ ン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン スルホラン、ジメトキシエタン、プロピオ ニトリル、グルタロニトリル、アジポニト ル、メトキシアセトニトリル、ジメチルア トアミド、メチルピロリジノン、ジメチル ルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、 ン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リ 酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸 リデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチ ル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リ ン酸トリフェニルポリエチレングリコール、 ポリエチレングリコール等が使用可能である 。特に、プロピレンカーボネート、エチレン カーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメ トキシエタン、アセトニトリル、γ-ブチロラ クトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチ ルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラ ヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシア セトニトリル、メトキシプロピオニトリル、 ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン 、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、ス ルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエ チル等が好ましい。また、常温溶融塩類も用 いることができる。ここで、常温溶融塩とは 、常温において溶融している(即ち液状の)イ ン対からなる塩であり、通常、融点が20℃ 下であり、20℃を越える温度で液状であるイ オン対からなる塩を示すものである。溶媒は その1種を単独で使用しても良いし、また2種 上を混合して使用しても良い。

 また、4-t-ブチルピリジン、2-ピコリン、2 ,6-ルチジン等の塩基性化合物を前述の溶融塩 電解質組成物や電解液に添加することが好ま しい。塩基性化合物を電解液に添加する場合 の好ましい濃度範囲は0.05~2mol/Lである。溶融 電解質組成物に添加する場合、塩基性化合 はイオン性基を有することが好ましい。溶 塩電解質組成物全体に対する塩基性化合物 配合割合は、好ましくは1~40質量%であり、 り好ましくは5~30質量%である。

 ポリマーマトリックスとして使用できる 料としては、ポリマーマトリックス単体で あるいは可塑剤の添加や、支持電解質の添 、または可塑剤と支持電解質の添加によっ 固体状態またはゲル状態が形成されれば特 制限は無く、一般的に用いられるいわゆる 分子化合物を用いることができる。

 上記ポリマーマトリックスとしての特性 示す高分子化合物としては、ヘキサフルオ プロピレン、テトラフルオロエチレン、ト フルオロエチレン、エチレン、プロピレン アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アク ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マ イン酸、メチルアクリレート、エチルアク レート、メチルメタクリレート、スチレン フッ化ビニリデン等のモノマーを重合又は 重合して得られる高分子化合物を挙げるこ ができる。また、これらの高分子化合物は 独で用いても良く、また混合して用いても い。これらの中でも、特にポリフッ化ビニ デン系高分子化合物が好ましい。

 電荷輸送層は2通りの方法のいずれかによ り形成できる。1つ目の方法は半導体層と対 を貼り合わせておき、その間隙に液状の電 輸送層を挟み込む方法である。2つ目の方法 半導体層上に直接電荷輸送層を付与する方 で、対極はその後付与することになる。

 前者の方法の場合、電荷輸送層を挟み込 際には、浸漬等による毛管現象を利用する 圧プロセス、又は常圧より低い圧力にして 隙の気相を液相に置換する真空プロセスを 用できる。

 後者の方法において湿式の電荷輸送層を いる場合は、通常未乾燥のまま対極を付与 、エッジ部の液漏洩防止措置を施す。また ゲル電解質組成物を用いる場合には、これ 湿式で塗布した後で重合等の方法により固 化してもよい。固体化は対極を付与する前 行っても後に行ってもよい。

 実施例に基づいて、本発明を具体的に説 するが、本発明は、これらのみに限定され ものではない。

  比較例1
 粒径20nmの酸化チタン粒子を650℃で1時間焼 した粉末を10MPaの圧力で厚さ0.3mmの平板状に 工し、ペレット間に電圧1V印加して流れる 流値は0.065μAであった。このことから、粉体 抵抗は、3.8×10 6 ω・mであることがわかる。

  実施例1
 ナノスケールカーボンチューブ(平均直径:35 nm、平均長さ:5μm、平均アスペクト比:143)0.96g 69%硝酸150gを加え、90~95℃にて6時間保持した 。これをろ過し、蒸留水にてろ液がpH6~7にな まで洗浄した後、乾燥させた。

 これを、ポリエーテル系分散剤3.7gを含む 蒸留水100gに超音波ホモジナイザーを用いて 散させた。このナノスケールカーボン分散 に1.0Mに希釈したヘキサフルオロチタン酸ア モニウム及び1.0Mに希釈したホウ酸をそれぞ れの濃度が0.20M及び0.4Mとなるように加え、35 にて16時間放置した後、ろ過し、乾燥して ノスケールカーボンチューブの表面に酸化 タンが被覆した構造体(酸化チタン被覆ナノ ケールカーボンチューブ)を得た。

 この構造体をX線光電子分光分析で測定し たところ、カーボン/チタンの原子比は0.1で ずかのカーボンしか検出されなかった。ま 、電子顕微鏡(SEM)で観察を行ったところ、酸 化チタンの表面被覆率は98%程度であった。な お、1nm以上の凹凸がない平滑な部分(カーボ チューブの酸化チタンで被覆されていない 分)が5nm以上連続して存在する部分を、被覆 れずカーボンチューブが露出している部分 みなし、表面被覆率を測定した。

 X線回折法やラマン分光分析が数マイクロ メートルの深さまでの情報を反映するのに対 し、X線光電子分光分析は、表面の数ナノメ トルの部分の分析なのでナノスケールカー ンチューブが露出せず、酸化チタンが被覆 れていることがわかる。

 この酸化チタン被覆ナノスケールカーボ チューブを空気中で600℃にて1時間焼成し、 ナノスケールカーボンチューブを消失させる ことで、粒子状酸化チタンが連なってなる管 状の酸化チタン構造体を得た。

 焼成後の構造体についてX線回折法及びラ マン分光分析により結晶相を同定したところ 、アナターゼ型が主であった。

 また、ナノスケールカーボンチューブに 来するグラファイトのピークは観測されな った。

 また、電子顕微鏡(SEM及びTEM)にて構造を 察したところ、図1、図9及び図10のような結 になり、5~20nmの酸化チタン微粒子が集合し 肉厚が30~50nm程度、平均直径が80~150nm、平均 さが1000~10000nm程度、平均アスペクト比が10~1 00程度の管状であった。

 なお、図9(酸化チタン構造体の端部)のA~C 図10(酸化チタン構造体の中央部)のD~Fの各点 において、電子線回折測定をしたところ、以 下の表1のような構造が確認された。

 また、BET法により比表面積を測定したとこ 、95m 2 /gの大きな比表面積であった。

  実験例1
 実施例1にて作製した構造体を10MPaの圧力で さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電 1V印加したところ0.1μAの電流が流れることを 観測し、同様の方法で評価した酸化チタン粒 子を用いた比較例1に比べて高い導電性を示 ことを確認した。このことから、粉体抵抗 、1.9×10 6 ω・mであることがわかる。

  実施例2
 ナノスケールカーボンチューブ(平均直径:10 nm、平均長さ:10μm、平均アスペクト比:1000)0.48 gに69%硝酸150gを加え、90~95℃にて3時間保持し 。これをろ過し、蒸留水にてろ液がpH6~7に るまで洗浄した後、乾燥させた。

 これを、ポリエーテル系分散剤3.7gを含む 蒸留水100gに超音波ホモジナイザーを用いて 散させた。このナノスケールカーボン分散 に1.0Mに希釈したヘキサフルオロチタン酸ア モニウム及び1.0Mに希釈したホウ酸をそれぞ れの濃度が0.1M及び0.2Mとなるように加え、35 にて20時間放置した後、ろ過し、乾燥してナ ノスケールカーボンチューブの表面に酸化チ タン(酸化チタン被覆ナノスケールカーボン ューブ)が被覆した構造体を得た。

 この構造体をX線光電子分光分析で測定し たところ、カーボン/チタンの原子比は0.1で ずかのカーボンしか検出されなかった。ま 、電子顕微鏡(SEM)で観察を行ったところ、酸 化チタンの表面被覆率は89%程度であった。

 この酸化チタン被覆ナノスケールカーボ チューブを空気中で600℃にて1時間焼成し、 ナノスケールカーボンチューブを消失させる ことで、粒子状酸化チタンが連なってなる管 状の酸化チタン構造体を得た。

 焼成後の構造体についてX線回折法及びラ マン分光分析により結晶相を同定したところ 、アナターゼ型が主であった。

 また、ナノスケールカーボンチューブに 来するグラファイトのピークは観測されな った。

 また、電子顕微鏡(SEM及びTEM)にて構造を 察したところ、2~15nmの酸化チタン微粒子が 合して肉厚が10~30nm程度、平均直径が30~70nm、 平均長さが3000~10000nm程度、平均アスペクト比 が50~300程度の管状であった。

 また、BET法により比表面積を測定したとこ 、150m 2 /gの大きな比表面積であった。

  実験例2
 実施例2にて作製した構造体を10MPaの圧力で さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電 1V印加したところ粉体抵抗は、平均で1.50×10 6 ω・mであった。

  実施例3
 ナノスケールカーボンチューブ(平均直径:10 0nm、平均長さ:10μm、平均アスペクト比:100)0.96 gに69%硝酸150gを加え、90~95℃にて6時間保持し 。これをろ過し、蒸留水にてろ液がpH6~7に るまで洗浄した後、乾燥させた。

 これを、ポリエーテル系分散剤3.7gを含む 蒸留水100gに超音波ホモジナイザーを用いて 散させた。このナノスケールカーボン分散 に1.0Mに希釈したヘキサフルオロチタン酸ア モニウム及び1.0Mに希釈したホウ酸をそれぞ れの濃度が0.2M及び0.4Mとなるように加え、35 にて24時間放置した後、ろ過し、乾燥してナ ノスケールカーボンチューブの表面に酸化チ タンが被覆した構造体(酸化チタン被覆ナノ ケールカーボンチューブ)を得た。

 また、電子顕微鏡(SEM)で観察を行ったと ろ、酸化チタンの表面被覆は殆ど欠陥が見 たらなかった。

 この酸化チタン被覆ナノスケールカーボ チューブを空気中で700℃にて2時間焼成し、 ナノスケールカーボンチューブを消失させる ことで、粒子状酸化チタンが連なってなる管 状の酸化チタン構造体を得た。

 焼成後の構造体についてX線回折法及びラ マン分光分析により結晶相を同定したところ 、アナターゼ型が主であった。

 また、ナノスケールカーボンチューブに 来するグラファイトのピークは観測されな った。

 また、電子顕微鏡(SEM及びTEM)にて構造を 察したところ、10~20nmの酸化チタン微粒子が 合して肉厚が30~80nm程度、平均直径が160~260nm 、平均長さが1000~5000nm程度、平均アスペクト が4~30程度の管状であった。

 また、BET法により比表面積を測定したとこ 、50m 2 /gの比表面積であった。

  実験例3
 実施例3にて作製した構造体を10MPaの圧力で さ0.3mmの平板状に加工し、ペレット間に電 1V印加したところ粉体抵抗は、平均で1.10×10 6 ω・mであった。

  実施例4
 実施例1の焼成温度だけを750℃に変更し、そ れ以外は実施例1と同様の工程で酸化チタン 造体を得た。

  実験例4
 実施例4にて作製した構造体を実施例1と同 に10MPaの圧力で厚さ0.3mmの平板状に加工し、 レット間に電圧1V印加したところ0.242μAの電 流が流れることを観測し、同様の方法で評価 した酸化チタン粒子を用いた比較例1に比べ 高い導電性を示すことを確認した。このこ から、粉体抵抗は、1.08×10 6 ω・mであることがわかる。

  実施例5
 実施例4の焼成雰囲気だけを窒素に変更し、 それ以外は実施例4と同様の工程で(焼成温度 750℃)酸化チタン構造体を得た。

  実験例5
 実施例5にて作製した構造体(酸化チタン被 ナノスケールカーボンチューブ)を実施例4と 同様に10MPaの圧力で厚さ0.3mmの平板状に加工 、ペレット間に電圧1V印加したところ52.3μA 電流が流れることを観測し、同様の方法で 価した酸化チタン粒子を用いた比較例1に比 て高い導電性を示すことを確認した。この とから、粉体抵抗は、4.96×10 4 ω・mであることがわかる。

  実施例6~11及び比較例1
 製造例1により作製した酸化チタン構造体と 平均粒子径18nm(触媒化成工業(株)製:HPW-18NR)の 子状酸化チタン(結晶構造:アナターゼ型)と それぞれ表1に示す重量比(比較例1は粒子状 化チタン単独、比較例2は酸化チタン構造体 単独)で混合した。得られた混合物20重量部に エチルセルロースを10重量部、α-テルピネオ ルを70重量部加え、三本ロールにて混錬し ペーストを作製した。

 このペーストをスクリーン印刷機にて透 電極付ガラス基板に塗布し、500℃で1時間焼 成し、12μmの膜厚の電極膜を作製した。

 これを5×10 4 mol/lのルテニウム錯体(RuL 2 (NCS) 2 )色素(N3Dye)の無水エタノール溶液に室温にて1 8時間浸漬した後、乾燥し、酸化物多孔質電 を作製した。

 次に、透明電極付ガラス基板に白金めっ した対向電極をスペーサーを介して貼りあ せ、その間に電解液として、0.6mol/lのヨウ リチウムの無水アセトニトリル溶液と0.06mol/ lのヨウ素の無水アセトニトリル溶液を注入 、光電変換素子を作製した。

  実験例6
 作製した面積0.25cm 2 の光電変換素子に、山下電装(株)製のソーラ シミュレーターでAM1.5(JISC8912Aランク)の条件 下の100mW/cm 2 の強度の光を照射して、光電変換特性を評価 した。

 結果を表2に示す。

 本発明の酸化チタン構造体を用いた実施 6~11は、比較例1と比べて高い光電変換効率 得られた。また、本発明の多孔質酸化チタ 組成物を用いた実施例6~10では、本発明の酸 チタン構造体単独の実施例11と比べても、 り高い光電変換特性が得られた。なお、実 例6~10では、実施例11と比べても、組成物の 布性及び塗膜の強度に優れ、コストも低く えられるため、実施例6~10がより優れている とがわかった。

  実験例7
 比較例1で得られた電極膜の細孔分布を比表 面積細孔分布測定装置により測定したところ 、4nmを中心に、主に3~6nmの範囲に分布してい (5~50nmの細孔:12%)。

 一方、実施例9で得られた電極膜の細孔分 布を同様に測定したところ、30nmを中心に主 10~50nmに分布していた(5~50nmの細孔:91%)。

 比較例1では、電解液のイオンの拡散が抑 制されるのに対して、適度な細孔分布を有す る実施例9の場合、イオンの拡散がスムーズ なり、光電変換効率向上の要因になったと えられる。

 また、実施例11で得られた電極膜の細孔 布を同様に測定したところ、80nmを中心に主 20~100nmに分布していた(5~50nmの細孔:13%)。

 実施例9では、実施例11と比較しても、導 性と電解液のイオンの拡散を両立できてい ことがわかる。

 100 ナノフレークカーボンチューブの長手 向のTEM像
 110 略直線状のグラフェンシート像
 200 ナノフレークカーボンチューブの長手 向にほぼ垂直な断面のTEM像
 210 弧状グラフェンシート像
 300 入れ子構造の多層カーボンナノチュー の長手方向の全長にわたって連続する直線 グラフェンシート像
 400 入れ子構造の多層カーボンナノチュー の長手方向に垂直な断面のTEM像




 
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