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Title:
TRANSGENIC PLANT FACTORY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081772
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a plant factory wherein a transgenic plant enabling the production of a functional component such as a starting material for medicines can be cultured and harvested in an enclosed state. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A plant factory (1) having therein: a closed cultivation area (2) which is provided with a nutrient solution culture system (4) for cultivating a transgenic plant (P) and an air conditioner (5) having an exhaust filter and which is kept under negative pressure; an inactivation area (20) which is adjacent to the cultivation area (2) via an air-locked inlet port (22), kept under weaker negative pressure than the cultivation area (2) and provided with an inactivation unit (21) by which the harvested transgenic plant (P) is inactivated so as to prevent it from germination, growth, proliferation or crossing; and a production area (30) which is adjacent to the inactivation area (20) via an air-locked feed port (38), kept under positive pressure and provided with units (42, 43) by which the harvested transgenic plant (P) is processed so as to give a food or a drug, wherein the closed cultivation area (2) and the production area (30) are provided with air-locked workers' entrances (10, 14, 39, 35) respectively.

Inventors:
YASUNO RIE (JP)
ITO AKIRA (JP)
TANAKA TERUYOSHI (JP)
MATSUMURA TAKESHI (JP)
SOMA ICHIRO (JP)
FUJITA HISAYA (JP)
TAKASUNA HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074815
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 25, 2007
Export Citation:
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Assignee:
KAJIMA CORP (JP)
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
YASUNO RIE (JP)
ITO AKIRA (JP)
TANAKA TERUYOSHI (JP)
MATSUMURA TAKESHI (JP)
SOMA ICHIRO (JP)
FUJITA HISAYA (JP)
TAKASUNA HIROYUKI (JP)
International Classes:
A01G7/00; A01G9/24; E04H5/00
Foreign References:
JP2006094754A2006-04-13
JP2004353875A2004-12-16
JP2003047457A2003-02-18
JPS6229917A1987-02-07
JPS6229918A1987-02-07
JPH01171412A1989-07-06
JP2005341937A2005-12-15
Other References:
MATSUMURA K.: "Heisakei System no Mochiita Idenshi Kumikae Shokubutsu ni yoru Yuyo Busshitsu Seisan", SHITA REPORT, no. 23, 18 January 2006 (2006-01-18), pages 59 - 65, XP008142269
YASUNO R. AND MATSUMURA K.: "Idenshi Kumikae Shokubutsu Kojo", BIO INDUSTRY, vol. 24, no. 2, 12 February 2007 (2007-02-12), pages 92 - 99, XP008109554
"Summary of Development of transgenic crops and foodstuff", October 2006, JAPANESE SOCIETY FOR TECHNO-INNOVATION OF AGRICULTURE
KEN MATSUMURA: "Closed system for manufacturing useful materials using transgenic plants", 16TH SHITA SYMPOSIUM, SHATA REPORT NO.23, 18 January 2006 (2006-01-18), pages 59 - 65
"Ministry ordinance regarding nonproliferation measures in research and development of gene modified living matter", JAPANESE MINISTRY OF EDUCATION, CULTURE, SPORTS, SCIENCE AND TECHNOLOGY AND JAPANESE MINISTRY OF THE ENVIRONMENT, 29 January 2004 (2004-01-29)
TADASHI ITO ET AL.: "Olericulture", 20 May 1994, KAWASHIMA PUBLISHING, pages: 226 - 230
Attorney, Agent or Firm:
SHITO, Atsushi et al. (6-14-407 Nishi-nippori 3-chom, Arakawa-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
遺伝子組換え植物を栽培する養液栽培装置と排気フィルタ付き空調装置とが設けられ且つ陰圧に保たれた閉鎖型栽培エリア、前記栽培エリアにエアロック付き搬入口を介して隣接すると共に栽培エリアより弱い陰圧に保たれ且つ収穫後の遺伝子組換え植物を発芽・生長・繁殖又は交雑しないように不活化する植物不活化装置が設けられた不活化エリア、前記不活化エリアにエアロック付き搬送口を介して隣接すると共に陽圧に保たれ且つ不活化後の遺伝子組換え植物を食品又は薬品に調製する装置が設けられた製造エリア、前記栽培エリアからの排水を滅菌処理する排水滅菌器、及び前記栽培エリアと製造エリアとにそれぞれ設けたエアロック付き作業員出入口を備えてなる遺伝子組換え植物工場。
請求項1の植物工場において、前記植物不活化装置に凍結乾燥装置、摩砕装置、加熱装置及び/又は薬剤処理装置を含めてなる遺伝子組換え植物工場。
請求項1又は2の植物工場において、前記閉鎖型栽培エリアに、相互に離れたエアロック付き作業員入口及び出口と、そのエアロック付き作業員入口に通じる前室と、前記不活化エリアにエアロック付き搬入口を介して隣接すると共にエアロック付き作業員出口に通じる後室と、その前室及び後室に気密扉付き入口及び出口を介して通じる複数の栽培室とを設け、前記養液栽培装置を各栽培室にそれぞれ設けてなる遺伝子組換え植物工場。
請求項3の植物工場において、前記閉鎖型栽培エリアに、前記前室及び後室に気密扉付き入口及び出口を介して通じる廊下と、その廊下に気密扉付き出入口を介して通じる複数の栽培室とを設け、前記養液栽培装置を各栽培室にそれぞれ設けてなる遺伝子組換え植物工場。
請求項3又は4の植物工場において、前記栽培室の各々に、それぞれ独立の排気フィルタ付き空調装置と、その空調装置の排水をその栽培室の養液栽培装置へ導く導水路とを設けてなる遺伝子組換え植物工場。
請求項5の植物工場において、前記空調装置に、前記各栽培室の二酸化炭素濃度を個別に調節する二酸化炭素濃度制御装置を含めてなる遺伝子組換え植物工場。
請求項3から6の何れかの植物工場において、前記栽培室の各々に、透明な全面天井板と、その天井板上に画成した気密な照明ボックスと、その照明ボックスの排熱装置とを設けてなる遺伝子組換え植物工場。
請求項1から7の何れかの植物工場において、前記製造エリアに、前記不活化エリアにエアロック付き搬送口を介して隣接する食品又は薬品の製造室と、その製造室に通じると共に製造室より高い陽圧に保たれた前室と、その前室に通じると共に前室より高い陽圧に保たれた製剤室とを設け、前記エアロック付き作業員出入口を前室に設けてなる遺伝子組換え植物工場。
請求項8の植物工場において、前記製造エリアに、エアロック付き搬出口を介して前室に通じる準備室を設けてなる遺伝子組換え植物工場。
Description:
遺伝子組換え植物工場

 本発明は遺伝子組換え植物工場に関し、 くに蛋白質やワクチン等の機能性成分を生 する遺伝子組換え植物を栽培すると共に収 後の遺伝子組換え植物を不活化して医薬品 工業用試薬・食品等の有用物質(以下、これ らを纏めて「食品又は薬品」ということがあ る)を調製する遺伝子組換え植物工場に関す 。

 1980年代に開発された植物の遺伝子組換え 技術は、種の壁を越えて様々な有用な遺伝子 ・形質を選択的に植物へ付与することを可能 とし、植物の品種改良の可能性を大きく広げ てきた。例えば、農業における手間やコスト の削減を目的として、除草剤耐性や病害虫耐 性の遺伝子・形質を付与した大豆、トウモロ コシ、ナタネ、ワタ、ジャガイモ等の遺伝子 組換え農作物が開発され実用化されている。 また、ストレス耐性(例えば耐乾燥性や耐塩 )の遺伝子・形質を付与した不良環境に強い 作物、高栄養価(例えばオレイン酸やβカロ ンの高生産性)の遺伝子・形質を導入した健 康に役立つ農作物等も開発されている(非特 文献1参照)。

 最近では、遺伝子組換え技術を単に農作 の品種改良に用いるのではなく、医薬・検 薬の成分(医薬品原材料)を生産する手段と て遺伝子組換え植物を利用する研究開発も められている。例えば非特許文献2は、抗癌 等として用いるヒトインターフェロンα(IFN- α)の遺伝子を導入・発現させたタバコ、ジャ ガイモ、イチゴ等の遺伝子組換え植物を用い て、抗ウィルス活性のあるIFN-αが生産できる ことを報告している。例えば、そのような遺 伝子組換え植物(又はその特定の器官・組織) ら遺伝子産物であるIFN-αを抽出・精製する とにより、従来量産が難しかった医薬品原 料を大量にしかも安価に製造することが期 できる。

 また特許文献1は、免疫原性・機能性等を 有する目的ペプチドをコードする遺伝子とノ ーウォークウイルス(Norwalk virus)外被蛋白質 伝子とを融合させた遺伝子を導入・発現さ た遺伝子組換え植物体を、経口投与によっ その目的ペプチドを生体の目標部位に運搬 る経口キャリア手段(いわゆる経口ワクチン) として利用する技術を開示している。例えば 、住血胞子虫(原虫)であるロイコチトゾーン カウレリー(Leucocytozoon caulleryi)の感染に起 する鶏のロイコチトゾーン症を予防するた 、目的ペプチドとしてロイコチトゾーン・ ウレリー第2代シゾント由来の免疫原性ペプ ドLRE1の遺伝子(LRE1遺伝子)を導入・発現させ た遺伝子組換えジャガイモの葉を鶏用飼料と 混合して鶏に経口投与した結果、鶏の血中の 抗ロイコチトゾーン・カウレリー抗体価の上 昇が確認されている。

 非特許文献2及び特許文献1のように遺伝 組換え植物を用いて医薬品原材料等の機能 成分を生産する方法は、動物由来の培養細 や他の合成系を利用した従来のバイオプロ スに比して低コストで量産することができ 哺乳類の病原体等の混入リスクを低く抑え ことができ、低温でなくとも室温において 子として長期保存が可能である等の利点を している。また、経口ワクチンとすること 筋肉内注射のようなストレスのない投与が 能となり、注射器・針等の医療用廃棄物が 減できる等の利点も期待できる。更に遺伝 組換え植物の経口ワクチンは、抽出・精製 いった工程を経ることなく収穫後そのまま( は例えば粉末状に調製するだけで)投与でき る利点を有しており、その点でも非常に経済 的なワクチンといえる。なお、遺伝子組換え 植物を用いて生産する機能性成分には、導入 した遺伝子の産物である蛋白質やワクチンだ けでなく、例えば導入した酵素蛋白質遺伝子 の酵素反応による生成物(蛋白質とは限らな )等も含まれる。

特開2005-341937号公報 社団法人農林水産先端技術産業振興セン ター「遺伝子組換え農作物・食品の開発状況 」2006年10月、インターネット<http://www.biotec h-house.jp/qanda/> 松村健「閉鎖型システムを用いた遺伝子 組換え植物による有用物質生産」第16回SHITA ンポジウム、SHITA REPORT No.23、2006年1月18日 p.59-65 平成16年文部科学省・環境省令第1号「研 究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種 使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を 定める省令」平成16年1月29日公布 伊東正他「蔬菜園芸学」有限会社川島書 店、1994年5月20日第4刷発行、pp.226-230

 しかし、遺伝子組換え植物を用いて機能 成分を量産するためには、その植物を効率 に栽培する施設が必要である。従来の遺伝 組換え農作物は、閉鎖系実験室において開 したのち、屋外の開放系において環境に対 る影響を与えないように大量に栽培するこ が前提とされている。これに対し医薬品原 料のような機能性成分の生産を目的する遺 子組換え植物は、農作物のように膨大な収 量を必要としない場合も多く、適当な室内 培技術があれば比較的狭い閉鎖系温室等の 物工場で栽培することも可能である。例え 、上述したIFN-α遺伝子を導入した組換え植 は、1アール程度の栽培面積があれば十分な 生産量を得ることができる。また、閉鎖系で の栽培には、開放系での栽培に比して品質・ 収量の均一性が確保できる利点もある。

 ただし、遺伝子組換え植物を閉鎖型植物 場で栽培する場合は、花粉等が環境中へ漏 しないように植物を封じ込める対策が必要 ある。従来、実験施設レベルにおいて遺伝 組換え植物を封じ込める方法は知られてい が(非特許文献3参照)、収穫後の植物を運び さねばならない植物工場において植物を経 的・効果的に封じ込める実用的な方法は提 されていない。花粉の漏出を避けるために 性不稔の遺伝子組換え植物も開発されてい が、植物は花粉以外の器官・組織から再生 る場合もあるため、雄性不稔形質の導入の によって遺伝子組換え植物の環境中への漏 を確実に防止することは難しい。遺伝子組 え植物を用いた有用物質生産の実用化を図 ためには、遺伝組換え植物を確実に封じ込 つつ栽培・収穫し、その植物により生産さ た機能性成分を食品又は薬品として出荷で るような閉鎖型植物工場を開発することが 効である。

 そこで本発明の目的は、医薬品原材料等 機能性成分を生産する遺伝子組換え植物を じ込めつつ栽培・収穫できる植物工場を提 することにある。

 図1の実施例を参照するに、本発明による 遺伝子組換え植物工場は、遺伝子組換え植物 Pを栽培する養液栽培装置4と排気フィルタ71( 7参照)付き空調装置5とが設けられ且つ陰圧 保たれた閉鎖型栽培エリア2、その栽培エリ ア2にエアロック付き搬入口22を介して隣接す ると共に栽培エリア2より弱い陰圧に保たれ つ収穫後の遺伝子組換え植物Pを発芽・生長 繁殖又は交雑しないように不活化する植物 活化装置21が設けられた不活化エリア20、そ の不活化エリア20にエアロック付き搬送口38 介して隣接すると共に陽圧に保たれ且つ不 化後の遺伝子組換え植物Pを食品又は薬品に 製する装置42、43が設けられた製造エリア30 栽培エリア2からの排水を滅菌処理する排水 滅菌器60(図6参照)、及び栽培エリア2と製造エ リア30とにそれぞれ設けたエアロック付き作 員出入口10、14、39、35を備えてなるもので る。植物不活化装置21には凍結乾燥装置、摩 砕装置、加熱装置及び/又は薬剤処理装置を めることができる。

 好ましくは図示例のように、閉鎖型栽培 リア2に、相互に離れたエアロック付き作業 員入口10及び出口14と、エアロック付き作業 入口10に通じる前室6と、不活化エリア20にエ アロック付き搬入口22を介して隣接すると共 エアロック付き作業員出口14に通じる後室7 、その前室6及び後室7に気密扉付き入口17a び出口17bを介して通じる複数の栽培室3A、3B を設け、養液栽培装置4A、4Bを各栽培室3A、3 Bにそれぞれ設ける。また図示例のように、 鎖型栽培エリア2に、前室6及び後室7に気密 付き入口17a及び出口17bを介して通じる廊下8 、その廊下8に気密扉付き出入口17を介して じる複数の栽培室3C、3Dとを設け、養液栽培 装置4C、4Dを各栽培室3C、3Dにそれぞれ設ける ともできる。

 更に好ましくは、図5及び図6に示すよう 、栽培室3A、3B、3C、3Dの各々に、それぞれ独 立の排気フィルタ付き空調装置5A、5B、5C、5D 、その空調装置5A、5B、5C、5Dの排水をその 培室3A、3B、3C、3Dの養液栽培装置4A、4B、4C、 4Dへ導く導水路65A、65B、65C、65D(図6参照)とを ける。また、図7に示すように、各空調装置 5A、5B、5C、5Dに、各栽培室3A、3B、3C、3Dの二 化炭素濃度を個別に調節する二酸化炭素濃 制御装置74を含めることが望ましい。更に、 図4及び図7に示すように、栽培室3A、3B、3C、3 Dの各々に、透明な全面天井板27と、その天井 板27上に画成した気密な照明ボックス25と、 の照明ボックス25の排熱装置28とを設けるこ ができる。

 望ましくは図示例のように、製造エリア3 0内に、不活化エリア20にエアロック付き搬送 口38を介して隣接する食品又は薬品の製造室3 1と、その製造室31に通じると共に製造室31よ 高い陽圧に保たれた前室33と、その前室33に 通じると共に前室33より高い陽圧に保たれた 剤室32とを設け、エアロック付き作業員出 口39、35を前室33に設ける。また、製造エリ 30には、エアロック付き搬出口40を介して前 33に通じる準備室37を設けることができる。

 本発明による遺伝子組換え植物工場は、 圧に保たれた閉鎖型栽培エリア2と、その栽 培エリア2に隣接すると共に栽培エリア2より い陰圧に保たれた不活化エリア20と、その 活化エリア20に隣接すると共に陽圧に保たれ た製造エリア30とを有し、閉鎖型栽培エリア2 で栽培・収穫した遺伝子組換え植物Pを不活 エリア20に搬入して発芽・生長・繁殖又は交 雑しないように不活化したのち、その不活化 後の遺伝子組換え植物Pを不活化エリア20から 製造エリア30に搬送して食品又は薬品を調製 るので、次の顕著な効果を奏する。

(イ)閉鎖型栽培エリア2で収穫した遺伝子組換 え植物Pを不活化したうえで製造エリア30へ搬 送するので、栽培エリア2から運び出された 物Pが製造エリア30内又は自然環境下で発芽 生長・繁殖又は交雑するおそれがない。
(ロ)また、製造エリア30から閉鎖型栽培エリ 2へ向かう空気の流れをつくる室圧制御を施 ているので、空気の流れにより植物Pの花粉 等が栽培エリア2から漏出するおそれも少な 。
(ハ)更に、閉鎖型栽培エリア2と製造エリア30 に個別の作業員出入口10、14、39、35を設け 作業員の相互の出入りを禁止しているので 植物Pの花粉等が作業員に付着して栽培エリ 2から漏出することも有効に防止できる。
(ニ)閉鎖型栽培エリア2にそれぞれ独立の養液 栽培装置4A、4B、4C、4D及び空調装置5A、5B、5C 5Dを有する複数の栽培室3A、3B、3C、3Dを設け ることにより、栽培エリア2内で複数品種の 伝子組換え植物Pを汚染(クロス・コンタミネ ーション)させることなく同時に栽培するこ が可能である。
(ホ)また、製造エリア30内に高い陽圧に保た た高清浄度の製剤室32を設けることにより、 菌等の汚染を防止しつつ遺伝子組換え植物P ら医薬品や試薬を製剤することも可能であ 。
(ヘ)都市部等の小さな床面積でも建設できる ンパクトな工場とすることができ、遺伝子 換え植物を用いた食品又は薬品の生産の実 化に貢献できる。

 図1は、例えばイチゴ等の遺伝子組換え植 物Pを用いて医薬品原材料等の機能性成分が まれる食品又は薬品を製造する本発明の植 工場1の実施例を示す。図示例の植物工場1は 、植物Pを養液栽培する閉鎖型栽培エリア2と 栽培エリア2で収穫した植物Pから食品又は 品を調製する製造エリア30と、その栽培エリ ア2と製造エリア30との間で収穫した植物Pを 活化する不活化エリア20とを有する。栽培エ リア2と不活化エリア20とをエアロック付き搬 入口(例えばパスボックス等)22を介して連通 せ、不活化エリア20と製造エリア30とをエア ック付き搬送口(例えばパスボックス等)38を 介して連通させることにより、栽培エリア2 ら不活化エリア20を経て製造エリア30に至る 物Pの動線を確保する(図中の黒矢印参照)。 た、栽培エリア2に相互に離れたエアロック 付き作業員入口10及び出口14(例えばパスルー 等)を設けると共に、それと独立したエアロ ック付き作業員入口39及び出口35(例えばパス ーム等)を製造エリア30に設け、栽培エリア2 及び不活化エリア20と製造エリア30との間の 業員の出入を禁止している。なお、図示例 は栽培エリア2と不活化エリア20との間にエ ロック付き作業員出入口(例えばパスルーム )23を設けて両室2、20間の作業員の出入りを 容しているが、不活化エリア20に栽培エリ 2の作業員入口10、出口14と独立したエアロッ ク付き作業員出入口(図示せず)を設けて栽培 リア2と不活化エリア20との間の作業員の出 りを禁止してもよい。

 図示例の閉鎖型栽培エリア2は内部に4つ 栽培室3A、3B、3C、3Dを有し、各栽培室3A、3B 3C、3Dにそれぞれ独立した養液栽培装置4A、4B 、4C、4Dと空調装置5A、5B、5C、5Dとを設けてい る。栽培装置4及び空調装置5を介して遺伝子 換え植物Pの花粉等が漏出しないように、各 養液栽培装置4A、4B、4C、4Dに排水滅菌器60を 続し(図6参照)、各空調装置5A、5B、5C、5Dに排 気フィルタ71を含めている(図7参照)。養液栽 (hydroponics、nutriculture)とは土壌を用いずに養 分を無機塩類の水溶液(培養液)として与える とを特徴とする栽培法であり(非特許文献4 照)、養液栽培装置4の一例は流動法(NFT、DFT) 静置法(浮根法、毛管法、筒栽培法)の水耕 培装置又は噴霧耕装置である。また、養液 培装置4として礫耕、砂耕、ロックウール耕 の固形培地耕方式を採用することもできる この場合、植物Pの根域を透水遮根性素材で 囲むことにより、装置4の培養液への植物Pの 出を抑制し、滅菌対象の排水量の削減や排 滅菌器60の負荷の軽減が期待できる。

 図示例のように栽培エリア2内に複数の栽培 室3A、3B、3C、3Dを設けることで、栽培エリア2 内で複数品種の遺伝子組換え植物Pを相互に 染させることなく同時に栽培することが可 となる。様々な種類の植物Pに応じて適切な 環境を創出するため、図示例では各栽培室3 A、3B、3C、3Dを適当な発光スペクトル及び強 の照明装置26を用いて光条件を人工的に制御 する完全制御型としているが(図4参照)、太陽 光で効率的に栽培できる植物Pの場合は太陽 利用型としてもよい。また、太陽光・人工 併用型とすることもできる。望ましくは、 培する植物Pの種類に応じて、空調装置5A、5B 、5C、5Dにより、各栽培室3A、3B、3C、3Dの温度 、湿度、風量、二酸化炭素(CO 2 )濃度等を個別に調節する(図3参照)。ただし 栽培エリア2内に設ける栽培室3の数は図示例 に限定されず、単一品種の植物Pのみを栽培 る場合は、栽培エリア2の全体を1つの栽培室 3としてもよい。

 閉鎖型栽培エリア2に複数の栽培室3A、3B 設ける場合は、図示例のように栽培エリア2 に、エアロック付き作業員入口10に通じる 室6と、エアロック付き作業員出口(例えばパ スルーム等)14に通じる後室7とを設け、複数 栽培室3A、3Bにそれぞれ前室6及び後室7に通 る気密扉付き入口17a及び出口17bを設けるこ が望ましい。栽培室3A、3Bの作業員は、同図 白抜き矢印で示すように、更衣室9で作業服 を着用したのち、作業員入口10から前室6及び 気密扉付き入口17aを経て何れかの栽培室3A、3 Bに入室する。また栽培室3A、3Bでの作業が終 したのち、その栽培室3A、3Bの気密扉付き出 口17b及び後室7を経て作業員出口14から脱衣室 13へ退室し、作業服を着替える。各栽培室3A 3Bに対する作業員の入室動線と退室動線とを 明確に分けることにより、各栽培室3A、3Bで なる遺伝子組換え植物Pを栽培する場合でも 作業員の動線の交差による植物Pの汚染及び 漏出を確実に防止できる。また図示例のよう に、栽培室3A、3Bで用いる資材その他の物品 ついても、前室6及び後室7にそれぞれ物品の エアロック付き入口12及び出口16を設け、作 員の場合と同様に各栽培室3A、3Bに対する物 の搬入動線と搬出動線とを明確に分けるこ により、物品の動線の交差による植物Pの汚 染及び漏出を避けることができる(同図の斜 付き矢印参照)。なお、図示例では省略して るが、後室7には栽培エリア2から収穫した 物Pを一時保存する装置(例えば超低温フリー ザ)を備えている。また、収穫した植物Pの不 部分或いは栽培エリア2で発生した枯れ葉等 の植物残渣を廃棄処理する装置(例えばオー クレープ)を設けることが望ましく、廃棄処 済みの植物残渣はエアロック付き物品出口1 6及び搬出室15を介して工場1から運び出され 。

 或いは図示例の栽培室3C、3Dのように、閉 鎖型栽培エリア2内に気密扉付き入口17a及び 口17bを介して前室6及び後室7に通じる廊下8 設け、その廊下8に通じる気密扉付き出入口1 7を各栽培室3C、3Dに設けることも可能である 同図に白抜き矢印で示すように、栽培室3C 3Dの作業員は、前室6から気密扉付き入口17a び廊下8を経て何れかの栽培室3C、3Dへ入室し 、作業終了後に廊下8及び気密扉付き出口17b 経て後室7に退室する。このように入口10か 出口14へ一方通行の廊下8を介して各栽培室3C 、3Dに作業員が出入することにより、作業員 動線の交差による植物Pの汚染及び漏出を避 けながら、栽培エリア2内の狭いスペースを 効に利用して多数の栽培室3を配置すること できる。ただし、この場合は栽培室3Cから 退室動線と栽培室3Dへの入室動線とが交差し うるので、各栽培室3C、3Dで異なる遺伝子組 え植物Pを栽培する場合は、そのような動線 交差が生じないように注意する必要がある

 図示例の不活化エリア20は、閉鎖型栽培 リア2の後室7にエアロック付き搬入口22とエ ロック付き作業員出入口23とを介して隣接 、内部に植物不活化装置21が設けられている 。不活化エリア20の作業員は、同図に白抜き 印で示すように、栽培エリア2の後室7から 業員出入口23を経て不活化エリア20に入り、 物不活化作業の完了後、作業員出入口23を て栽培エリア2の後室7へ戻って作業員出口14 ら退出する。不活化装置21は、遺伝子組換 植物P内で生産された医薬品原材料等の機能 成分(遺伝子産物やその酵素反応による生成 物等)の活性を損なうことなく、その植物Pを 然環境下で発芽・生長・繁殖又は交雑しな ように処理するものである。不活化装置21 一例は凍結乾燥装置である。本発明者は、 伝子組換えイチゴを凍結乾燥することによ 、その遺伝子産物の活性を有したまま、そ 種子(痩果)の発芽能力を喪失させ得ることを 実験的に確認できた(実験例1及び2参照)。た し、不活化装置21は凍結乾燥装置に限定され るものではなく、摩砕装置、加熱装置及び/ は薬剤処理装置等を用いて植物Pの自然環境 での発芽・生長・繁殖又は交雑を不可能に ることができる。この場合、摩砕の大きさ 加熱の温度、薬剤処理で使用する薬剤等は 栽培する植物Pに応じて実験的に定めること ができる。

[実験例1]
 IFN-α遺伝子を導入した遺伝子組換えイチゴ( hIFN遺伝子導入系統:IFN62)の栽培株より採集し 果実を直ちに-80℃の冷凍庫に入れて一定量 確保できるまで保存し、冷凍庫に保存した 実を凍結乾燥装置RLEII-205(共和真空技術株式 会社製)を用いて凍結乾燥したのち、密閉容 に入れデシケータ内で保存した乾燥果実か 充実した種子をピンセットで取り出して発 実験を行った。本実験では、1%次亜塩素酸ナ トリウム液で15分間表面を滅菌したのち蒸留 で3回洗浄した乾燥種子を、湿らせた濾紙を 敷いたφ9cmシャーレ20枚に25粒ずつ播種し(合 500粒)、濾紙に適時湿り気を与えつつ24℃、16 時間日長に設定した培養室内で管理し、試験 開始12週後に種子の発芽状況を確認した。ま 、ラクトフェリン遺伝子を導入した2系統の 遺伝子組換えイチゴ(LF125、LF145)、及び非遺伝 子組換えイチゴ(エッチエス-138:Cont.)について も同様の実験を行った。この実験結果を表1 示す。表1から分かるように、何れの系統も 察した12週間での発芽は確認できなかった

 比較のため、遺伝子組換えイチゴ(LF145)及び 非遺伝子組換えイチゴ(エッチエス-138:Cont.)の 採取直後の果実から取り出した種子を濾紙上 に播種し、前記と同じ条件の培養室内で管理 し、試験開始12週後における種子の発芽状況 確認した。この実験結果を表2に示す。表2 実験結果から、Cont.とLF145の2系統のみの結果 ではあるが、果実採集後直ちに播種すれば発 芽する能力は持っていることが分かる。すな わち表1と表2との比較から、遺伝子組換えイ ゴの種子は凍結乾燥により発芽能力が失わ たと判断できる。

[実験例2]
 また、実験例1において遺伝子組換えイチゴ の遺伝子産物が凍結乾燥による不活化処理後 も活性を有していることを確認するため、ス トレス下において免疫誘導されたマウスに、 ラクトフェリン遺伝子を導入・発現させて凍 結乾燥させた遺伝子組換えイチゴ(LFイチゴ) は凍結乾燥させた非組換えイチゴ(Cイチゴ) それぞれ経口投与した後、サイトカイン類 一種であるインターロイキン6(IL6)の血中濃 を測定する実験を行った。実験では、LFイチ ゴ及びCイチゴの各々について、その凍結乾 させたイチゴ粉末(1g/日)をストレス状態のマ ウス5頭に1週間経口投与したのち採血を行い 血中のIL6の濃度をエライザ法で測定した。 験結果を図8のグラフに示す。同図には、対 照実験として、ストレスのないマウスに通常 の餌を給餌した場合の血中のIL6の濃度を併せ て示す。同図のグラフから分かるように、C チゴ投与に比してLFイチゴを投与したマウス の血中においてIL6の減少が確認された。また 、その他のサイトカイン類(IL2、IL4、IL12、IL1 、IFNγ、TNFα)についても同様の実験を行った 結果、LFイチゴを投与したマウスの血中で同 にサイトカイン類の濃度の減少が確認され 。これらの実験結果から、凍結乾燥処理に り遺伝子組換え植物Pの発芽能力は失われた が、凍結乾燥後においても遺伝子組換え植物 Pの遺伝子産物の活性(ラクトフェリン活性)は 維持されていることが確認できた。

 また図示例の製造エリア30には、不活化 リア20にエアロック付き搬送口38を介して隣 する食品又は薬品の製造室31と、その製造 31に気密扉付き出入口31aを介して通じる前室 33と、その前室33に気密扉付き出入口32aを介 て通じる製剤室32と、その前室33にエアロッ 付き搬出口40を介して通じる準備室37とが設 けられている。前室33にはエアロック付き作 員入口39及び出口35が設けられており、製造 室31又は製剤室32の作業員は、同図に白抜き 印で示すように、更衣前室36から更衣室34に って作業服(無塵服等)を着用し、作業員入 (例えばエアシャワー室)39から前室33を経て 造室31又は製剤室32に入室する。また製造室3 1又は製剤室32での作業が終了した作業員は、 前室33から作業員出口35を経て更衣前室36へ退 室する。図示例の作業員出口35は作業服の脱 室を兼ねている。このように作業員の更衣 34及び入口39と脱衣室及び出口35とを分ける とで作業服のコンタミ(菌等の付着)を効果 に防止できる。例えば更衣室34に手洗い場33a 等を設け(図5参照)、作業員は手洗い場33aで消 毒したのちエアシャワー室39で汚れを落とし 前室33に入室する。なお、製造エリア30内に スペースが確保できる場合は、図示例の製造 室31の気密扉付き出入口31a及び製剤室32の気 扉付き出入口32aをそれぞれエアロック付き 入口(パスルーム等)としてもよい。

 図示例の製造室31には製造装置42が設けら れ、製剤室32には製剤装置43が設けられてお 、遺伝子組換え植物Pを食品又は薬品に調製 る。製造装置42は、上述した経口ワクチン ように抽出・精製といった工程を経ること く植物Pをそのまま食品とすることができる 合に、その植物Pを経口可能な粉末状又は適 当な剤状に粉砕又は加工するもの(例えばミ サー)である。また、植物Pから遺伝子産物等 の機能性成分を抽出・精製する必要がある場 合は、製造装置42を、その成分の抽出・精製 理を行うもの(例えばクロマトシステム・超 遠心分離機)としてもよい。製剤装置43は、製 造装置42によって抽出・精製又は加工された 能性成分に対して、例えば安定剤等の添加 を混合してカプセル又はアンプル等の容器 封入し、医薬品・工業用試薬・食品等の有 物質として製品化するものである。ヒトや 物の医薬品を調製する場合は、医薬品の汚 を防止するため、後述するように室圧管理 び清浄度管理された製剤室32に無菌操作に 応可能なクリーンブースを備え、このブー において植物Pから抽出・精製又は加工済み 機能性成分を医薬品中間体として原薬や試 に調製する必要がある。

 図2は、植物工場1の閉鎖型栽培エリア2、 活化エリア20及び製造エリア30の室圧管理状 態の一例を示す。なお、図示例では栽培エリ ア2の各栽培室3A、3B、3C、3Dと不活化エリア20 製造エリア30とをそれぞれ別系統の空調装 により室圧を管理しているが、不活化エリ 20と製造エリア30とは同一系統の空調装置で 理してもよい。図示例では、栽培エリア2の 各栽培室3A、3B、3C、3Dは同じレベルの陰圧と 、更に各栽培室3A、3B、3C、3Dの気密扉付き 入口17(又は入口17a及び出口17b)から内側へ空 が流れるように給排気を管理している。不 化エリア20は栽培エリア2より弱い陰圧とし 不活化エリア20から搬入口22及び作業員出入 口23を介して栽培エリア2内に空気が流れるよ うに給排気を管理している。また、製造エリ ア30は、製造室31及び更衣室34をゲージ圧15Pa 陽圧とし、前室33をゲージ圧30Paの陽圧とし 製剤室32をゲージ圧45Paの陽圧とし、製剤室32 から前室33を経て製造室31及び更衣室34へ空気 が流れるように給排気を管理している。なお 、製造エリア30の準備室37をゲージ圧10Paの陽 とすると共に更衣前室36をゲージ圧5Paの陽 とし、前室33から準備室37へ空気が流れるよ に、また更衣室34及び脱衣室35から更衣前室 36へ空気が流れるように給排気を管理してい 。

 図3は、植物工場1の製造エリア30における清 浄度管理状況及び閉鎖型栽培エリア2におけ 二酸化炭素(CO 2 )濃度管理状況の一例を示す。図示例の製造 リア30は、製剤室32をクラス1,000(1ft 3 (立法フィート)空気中に含まれる所定粒径の 粒子数が10 3 以下の清浄度区分)、製造室31と前室33と更衣 34とをクラス10,000(1ft 3 の空気中に含まれる所定粒径の微粒子数が10 4 以下の清浄度区分)、準備室37及び更衣前室36 クラス100,000(1ft 3 の空気中に含まれる所定粒径の微粒子数が10 5 以下の清浄度区分)とし、最も高いクラス1,000 の高清浄度域の製剤室32をクラス10,000の中清 度域で囲み、更にその中清浄度域をクラス1 00,000の低清浄度域で囲むレイアウトとしてい る。このように清浄度の高い領域を清浄度が 1つ低い他の清浄度領域で囲むレイアウトと 、2段階の清浄度領域を超えて人や物の移動 禁止することにより、製剤室32及び製造室31 で製造される薬品及び食品の安全性(微生物 染等の防止)を確保する。なお、図示例では 略しているが、ヒトや動物の医薬品を調製 る場合、製剤室32には、無菌操作に対応で るように例えば、WHO・GMPによる清浄度クラ 分類でクラスAに相当するクリーンブースを けている。また、製剤室32に隣接する準備 37には、器具等の両面高圧蒸気滅菌器を備え 、滅菌済み器具等を専用のエアロック付き搬 入口を介して製剤室32に搬入することが望ま い。製剤室32で使用した器具等は前室33及び エアロック付き搬出口40を介して準備室37へ される。

 また図3の閉鎖型栽培エリア2は、空調装置5A 、5B、5C、5Dにより、栽培室3A、3C、3DがCO 2 濃度1,000ppm、湿度70%、昼温度25~30℃(夜温度20~2 5℃)となり、栽培室3BがCO 2 濃度800ppm、湿度70%、昼温度25~30℃(夜温度20~25 )となるように調節されている。各栽培室3 空調装置5の一例を図7に示す。図示例の空調 装置5は、外気を取り入れる吸気フィルタ70と 、取り入れた外気の温度・湿度・CO 2 濃度・風量を調節する温度制御装置72・湿度 御装置73・CO 2 濃度制御装置74・風量制御装置75と、HEPAフィ タ(HF、99.97%)及びプレフィルタ(PF)を含む排 フィルタ71とを有する。温度制御装置72及び 度制御装置73は、それぞれ対応する栽培室3 に設けた温度センサ72a及び湿度センサ73aを し、それらセンサの計測値に基づき栽培室3 の給気口76への給気温度及び湿度が設定値に 致するように空調装置5を制御する。またCO 2 濃度制御装置74は、栽培室3内に設けたCO 2 センサ74aとCO 2 発生装置78とを有し、給気中のCO 2 濃度が設定値から外れた場合にCO 2 発生装置78の二酸化炭素調節バルブ78aのON-OFF 制御する。風量制御装置75は風量調節器75a 有し、植物Pの種類に応じて適正な生育上の 速及び温度差(風量により変化する)が形成 れるように、調節器75aの入力に応じて、空 装置5を制御する。各栽培室3A、3B、3C、3Dの 度、湿度、風量及びCO 2 濃度の設定値を適当に調節することにより、 栽培エリア2の各栽培室3A、3B、3C、3Dに、多種 多様にわたる遺伝子組換え植物Pの栽培可能 環境を作り出すことができる。

 次に、植物工場1における遺伝子組換え植物 Pの流れ(黒矢印の動線)を示す図1を参照して 本発明による食品又は薬品の製造方法を説 する。先ず、植物工場1に持ち込んだ植物Pを 資材としてエアロック付き物品入口12から光 温度、湿度、風量及びCO 2 濃度条件を調節した栽培エリア2の各栽培室3A 、3B、3C、3Dに搬入して栽培する。各栽培室3A 3B、3C、3Dで栽培・収穫された植物Pは、後室 7及びエアロック付き搬入口22を介して不活化 エリア20の不活化装置21に搬送し、植物Pに応 て必要な不活化処理(例えば凍結乾燥処理) 施す。不活化植物Pをエアロック付き搬送口3 8から製造エリア30の製造室31に搬送し、その ま食品とすることができる場合はミキサー の製造装置42により不活化植物Pを粉末状又 適当な剤状に粉砕又は加工して食品とする また、遺伝子産物等の機能性成分を抽出・ 製する必要がある場合は、クロマトシステ ・超遠心分離機等の製造装置42により不活 植物Pから機能性成分を抽出・精製して薬品 調製する。製造室31で抽出・精製された機 性成分は、製造室31から前室33を経て製剤室3 2へ搬送され、製剤装置43により例えば安定剤 等の添加物を混合し、原薬や試薬としてカプ セル又はアンプル等の容器に封入される。同 様にして製造室31で粉砕又は加工した食品も 造室31から前室33を経て製剤室32へ搬送し、 の食品を製剤装置43により包装するか、或 はカプセル又はアンプル等の容器に封入し もよい。

 製造室31又は製剤室32で調製された食品又 は薬品は、前室33及びエアロック付き搬出口4 0を介して準備室37へ移動し、工場1の外へ搬 するための準備を行う。例えば、準備室37に おいて食品又は薬品を梱包したのちエアロッ ク付き出入口41から出荷室(図示せず)等へ搬 する。なお、梱包用資材はエアロック付き 入口41を介して予め準備室37へ持ち込んでお ことができる(同図の斜線付き矢印参照)。 た品質試験等を必要とする場合は、準備室37 から試験用食品又は薬品を試験室(図示せず) 搬入することができる。例えば試験結果の 格が確認されたのち、出荷室から梱包した 品又は薬品を植物工場1から出荷する。

 図1~図3から分かるように、本発明の植物工 1は閉鎖型栽培エリア2で栽培した遺伝子組 え植物Pを不活化したうえで製造エリア30に 送し、また製造エリア30から栽培エリア2へ かう空気の流れが形成されるように室圧制 を施し、更に栽培エリア2と製造エリア30と 間で作業員の出入りを禁止しているので、 物Pを栽培エリア2に実質上封じ込めたまま植 物Pを利用して食品又は薬品に調製すること 可能である。また、栽培エリア2内にそれぞ 光、温度、湿度、風量及びCO 2 濃度の条件を独立に調節可能な複数の栽培室 3A、3B、3C、3Dを設けることができるので、医 品原材料等の機能性成分を生産する多種多 な植物Pを利用して食品や薬品の生産の実用 化に貢献することが期待できる。

 こうして本発明の目的である「医薬品原 料等の機能性成分を生産する遺伝子組換え 物を封じ込めつつ栽培・収穫できる植物工 」の提供を達成できる。

 図4は、図1の植物工場1の線IV-IVにおける 面図を示す。図示例の閉鎖型栽培エリア2の 栽培室3A、3B、3C、3Dは光条件を人工的に制 する完全制御型とし、それぞれ透明な全面 井板27と、その天井板27上に画成した気密な 明ボックス25と、その照明ボックス25の排熱 装置28(図7参照)とが設けられている。照明ボ クス25には、例えばイネ等の高照度を必要 する遺伝子組換え植物Pの栽培を予定して植 生育に適した発光スペクトル及び強度のセ ミックメタルハライド等の照明装置26を設 することができる。また、透明天井板27で仕 切られた照明ボックス25を形成することによ 、照明ボックス25の発熱処理を各栽培室3A、 3B、3C、3Dの空調処理とは別に単独で行うこと が可能となる。図7に示す照明ボックス25の排 熱装置28は、排気フィルタ80と吸気フィルタ81 と温度制御装置82とを有し、吸気口84及び排 口85を介して外気を導入することにより照明 ボックス25内を冷却するものである。外気温 により必要な風量も変化するため、温度セ サ82aで照明ボックス25内の温度を計測し、 の計測値に基づき温度制御装置82が排気ファ ン83を制御して外気導入量を調節している。 お、光環境制御に影響を及ぼさないように 栽培室3A、3B、3C、3Dの壁には窓を設けない 、又は必要時にのみ内部が観察できる蓋付 窓を設置することが望ましい。

 また図5は、図1の植物工場1における給排 システムの流れ図を示す。図示例の給排水 ステムは、閉鎖型栽培エリア2の各栽培室3A 3B、3C、3D毎に独立の給水タンク54A、54B、54C 54Dを有し、例えば工場敷地内の井戸50から 井水を各給水タンク54A、54B、54C、54Dを介し 各栽培室3A、3B、3C、3Dの養液栽培装置4A、4B 4C、4Dへ導き、各養液栽培装置4A、4B、4C、4D らの排水を纏めて排水ピット57に集めて排水 滅菌器60において遺伝子組換え植物Pの不活化 に必要な滅菌処理(例えば滅菌温度(121℃)に滅 菌時間(例えば21分)保持する加熱滅菌処理)を した後、例えば排水枡等へ放流する。排水 菌器60による滅菌処理により、養液栽培装 4A、4B、4C、4Dから排水による植物Pの花粉や 物体片等を不活化する。排水滅菌器60は、養 液栽培装置4の近傍に設置して排水滅菌器60付 き養液栽培装置4としてもよいし、養液栽培 置4と離れた位置に設置してもよい。養液栽 装置4の培養液は、植物Pの種類に応じて適 な栄養物質や溶存酸素を含み、更に消毒等 病害対策を施すことが望ましい。例えば、 水タンク54A、54B、54C、54Dにおいて植物Pの種 に応じた培養液管理を行い、各養液栽培装 4A、4B、4C、4Dへ給液する。また、各養液栽 装置4には、その方式に応じて培養液を循環 て再利用する循環路を設けてもよい。

 なお図示例では、井水が遺伝子組換え植 Pの栽培に適さない場合を想定し、井戸50と 給水タンク54A、54B、54C、54Dとの間に軟水器5 2及び純水装置53を設けている。また図示例で は、各栽培室3A、3B、3C、3Dの空調装置5A、5B、 5C、5D、及び不活化エリア20及び製造エリア30 も井水を供給し、その排水も排水ピット57 集めて滅菌処理しているが、不活化エリア20 及び製造エリア30からの排水はそのまま排水 等へ放流することも可能である。

 図6は、各栽培室3A、3B、3C、3Dに、空調装 5A、5B、5C、5Dからの排水(ドレイン)をその栽 培室3A、3B、3C、3Dの養液栽培装置4A、4B、4C、4 Dに導く導水路65A、65B、65C、65Dを設け、空調 置5A、5B、5C、5Dの排水を養液栽培装置4A、4B 4C、4Dで再利用する給排水システムのブロッ 図を示す。植物工場1の封じ込め効果を高め ると共に経済性を得るためには、できるだけ 滅菌対象の排水量を減らすことが望ましい。 上述したように、各栽培室3A、3B、3C、3Dは例 ば湿度70%程度に管理されており、各空調装 5A、5B、5C、5Dの排水(ドレイン)や各栽培室3A 3B、3C、3D内で発生する結露水にも遺伝子組 え植物Pの花粉等が混入しているため、これ らの排水も放流前に滅菌する必要がある。図 示例のように空調装置5A、5B、5C、5Dの排水を 栽培室3A、3B、3C、3Dの給水タンク54A、54B、54 C、54Dへ戻して循環させることにより、植物P 花粉等を漏出させることなく排水量を減ら ことができる。また、図示は省略するが、 培室3A、3B、3C、3Dの結露水も同様に循環さ ることが好ましい。図5(B)は、純水装置53か の井水と空調装置5からの排水とを混合して 液栽培装置4へ送る給水タンク54の構造の一 を示し、給水タンク54からの溢流水のみが 水ピット57に排水されて滅菌処理されること を示す。

本発明の遺伝子組換え植物工場の一実 例の説明図である。 図1の実施例における室圧管理状態を示 す説明図である。 図1の実施例における清浄度及び二酸化 炭素濃度の分布を示す説明図である。 図1の実施例の線IV-IVにおける断面図で る。 図1の実施例における養液栽培装置その 他の給排水の流れ図である。 図1の実施例における空調装置の排水の 流れを示すブロック図である。 図1の実施例における空調装置の説明図 である。 凍結乾燥により不活化処理した遺伝子 換え植物の遺伝子産物が活性を有している とを示す実験結果の説明図である。

符号の説明

1…遺伝子組換え植物工場     1a…柱
1b…梁              1c…床板
1d…基礎             1e…床下配管スペ ース
2…閉鎖型栽培エリア       3…栽培室
4…養液栽培装置         5…空調装置
6…前室             7…後室
8…廊下             9…更衣室
10…エアロック付き作業員入口   11…開梱
12…エアロック付き物品入口    13…脱衣室
14…エアロック付き作業員出口   15…搬出
16…エアロック付き物品出口    17…気密扉 付き出入口
17a…気密扉付き入口       17b…気密扉付 出口
18…エアロック付き搬送口(パスボックス等)
20…不活化エリア         21…植物不活 装置
22…エアロック付き搬入口(パスボックス等)
23…エアロック付き作業員出入口(パスルーム 等)
25…照明ボックス         26…照明装置
27…透明天井板          28…排熱装置
30…製造エリア          31…製造室
31a…気密扉付き出入口      32…製剤室
32a…気密扉付き出入口      33…前室
33a…手洗い場          34…更衣室
35…エアロック付き作業員出口(兼脱衣室)
36…更衣前室
37…準備室            37a…洗浄装置
38…エアロック付き搬送口(パスボックス等)
39…エアロック付き作業員入口(エアシャワー 室等)
40…エアロック付き搬出口(パスボックス等)
41…エアロック付き出入口(パスルーム等)
42…製造装置           43…製剤装置
44…設備架台           45…監視制御室
46…気密扉付き出入口       47…工場入口
48…工場出口           49…外周廊下
50…井戸             51…殺菌装置
52…軟水器            53…純水装置
54…給水タンク          55…給水ポンプ
56…殺菌装置           57…排水ピット
58…排水ポンプ          59…排水タンク
60…排水滅菌器          61…給水管
62…給水ポンプ          63、64…排水管
65…導水路            66…排水管
70…吸気フィルタ         71…排気フィ タ
72…温度制御装置         72a…温度セン
73…湿度制御装置         73a…湿度セン
74…二酸化炭素濃度制御装置    74a…二酸 炭素濃度センサ
75…風量制御装置         75a…風量調節
76…給気口            77…排気口
78…二酸化炭素発生装置      78a…二酸化 素調節バルブ
80…排気フィルタ         81…吸気フィ タ
82…温度制御装置         82a…温度セン
83…排気ファン          84…吸気口
85…排気口
P…遺伝子組換え植物