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Title:
TRANSMISSION AND MOBILE ROBOT WITH THE TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105292
Kind Code:
A1
Abstract:
A transmission that, with an input maintained constant, produces an output by automatically changing the transmission ratio depending on load conditions on the output side. The transmission has a transmission mechanism (130) for converting input rotation in the normal direction into high-speed rotation and low-speed rotation, a first transmission route for transmitting the high-speed rotation in the normal direction, which is obtained by the conversion by the transmission mechanism, to an inner ring (122b) of a one-way clutch (122) for transmitting rotation in the normal direction, and a second transmission route for transmitting the low-speed rotation in the normal direction, which is obtained by the conversion by the transmission mechanism, to an outer ring (122a) of the one-way clutch (122) for transmitting rotation in the normal direction. Depending on load conditions on an output shaft (120), the first transmission route and the second transmission route are automatically switched between each other by a slip effect of a dry clutch (10) and by an on-off action of the one-way clutch (122). Thus, with an input in the normal direction maintained constant, the transmission can produce an output by automatically switching the transmission ratio depending on load conditions on the output shaft (120).

Inventors:
HIROSE SHIGEO (JP)
TERANISHI YUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052852
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOKYO INST TECH (JP)
HIROSE SHIGEO (JP)
TERANISHI YUICHI (JP)
International Classes:
F16H3/10; B60K7/00
Foreign References:
JPS57134046A1982-08-19
JP2001287556A2001-10-16
JPS59151670U1984-10-11
JPH09226638A1997-09-02
JPS54150243U1979-10-19
JP3081427U2001-11-02
Attorney, Agent or Firm:
ISOYAMA, Hironobu (Nagasaki 2-chome Toshima-ku Tokyo, 51, JP)
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Claims:
正方向の入力回転を高速回転と低速回転に変速し、出力軸の負荷に応じて自動的に高速回転と低速回転を切り替えて出力できる変速装置であって、
 正方向の入力回転を高速回転と低速回転に変速する変速機構と、
 前記変速機構により変速された正方向の高速回転を、第1のクラッチ機構を介して、正回転を伝達する1ウエイの第2のクラッチ機構の出力軸に伝達する第1の伝達経路と、
 前記変速機構により変速された正方向の低速回転を、正回転を伝達する1ウエイの第2のクラッチ機構の入力軸に伝達する第2の伝達経路とを備え、
 出力軸の負荷状態に応じて第1のクラッチ機構と1ウエイの第2のクラッチ機構の作用により、第1の伝達経路と第2の伝達経路とを自動的に切り替えることを特徴とする変速装置。
正方向又は逆方向の入力回転を高速回転と低速回転に変速し、出力軸の負荷に応じて自動的に高速回転と低速回転を切り替えて出力できる変速装置であって、
 正方向の入力回転を高速回転と低速回転に変速する変速機構と、
 前記変速機構により変速された正方向の高速回転を、第1のクラッチ機構とバックラッシュ機構を介して、正回転を伝達する1ウエイの第2のクラッチ機構の出力軸に伝達する第1の伝達経路と、
 前記変速機構により変速された正方向の低速回転を、正回転を伝達する1ウエイの第2のクラッチ機構の入力軸に伝達する第2の伝達経路とを備え、
 出力軸の負荷状態に応じて第1のクラッチ機構と1ウエイの第2のクラッチ機構の作用により、第1の伝達経路と第2の伝達経路とを自動的に切り替えることを特徴とする変速装置。
正方向又は逆方向の入力回転を高速回転と低速回転に変速し、出力軸の負荷に応じて自動的に高速回転と低速回転を切り替えて出力できる変速装置であって、
 正方向又は逆方向の入力回転を高速回転と低速回転に変速する変速機構と、
 前記変速機構により変速された正方向の高速回転を、第1のクラッチ機構を介して、正回転を伝達する状態にある2ウエイの第2のクラッチ機構の出力軸に伝達し、又は前記変速機構により変速された逆方向の高速回転を、第1のクラッチ機構を介して、逆回転を伝達する状態にある2ウエイの第2のクラッチ機構の出力軸に伝達する第1の伝達経路と、
 前記変速機構により変速された正方向の低速回転を、正回転を伝達する状態にある2ウエイの第2のクラッチ機構の入力軸に伝達し、又は前記変速機構により変速された逆方向の低速回転を、逆回転を伝達する状態にある2ウエイの第2のクラッチ機構の入力軸に伝達する第2の伝達経路とを備え、
 出力軸の負荷状態に応じて第1のクラッチ機構と2ウエイの第2のクラッチ機構の作用により、第1の伝達経路と第2の伝達経路とを自動的に切り替えることを特徴とする変速装置。
第1のクラッチ機構は、滑りを生じる機構であることを特徴とする請求項1に記載の変速装置。
第1のクラッチ機構は、出力軸の負荷状態に感応して断続する機構であることを特徴とする請求項1に記載の変速装置。
被搭載装置に搭載され、正方向又は逆方向の入力回転を高速回転と低速回転に変速し、出力軸の負荷に応じて自動的に高速回転と低速回転を切り替えて出力できる変速装置であって、
 被搭載装置に固定可能な固定シャフトと、
 固定シャフトに回転自在に取り付けられた出力軸となる回転ドラムと、
 回転ドラムに内蔵されて固定シャフトに回転自在に取り付けられたモータと、
 回転ドラムに内蔵されて固定シャフトに回転自在に取り付けられ、モータからの正方向又は逆方向の入力回転を高速回転と低速回転に変速する変速機構と、
 回転ドラムに内蔵されて固定シャフトに回転自在に取り付けられ、回転ドラムの負荷状態に感応して正方向又は逆方向の高速入力回転の伝達を断続する負荷トルク感応クラッチと、
 回転ドラムに内蔵されて固定シャフトに回転自在に取り付けられ、負荷トルク感応クラッチが切断状態にあるときは正方向又は逆方向の低速入力回転を回転ドラムに伝達し、負荷トルク感応クラッチが接続状態にあるときは正方向又は逆方向の高速入力回転を回転ドラムに伝達する2ウエイクラッチとを備えたことを特徴とする変速装置。
変速機構は歯車列を備え、モータから負荷トルク感応クラッチ及び2ウエイクラッチに至る間の歯車列は同一構成のものが2組以上軸対称に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の変速装置。
負荷トルク感応クラッチは、滑りを生じる機構であることを特徴とする請求項6に記載の変速装置。
クローラを備えた移動ロボットであって、
 クローラの一端部に請求項6に記載の変速装置が配置され、クローラの他端部にクローラプーリが配置され、変速装置の回転ドラムとクローラプーリとの間にクローラベルトが架け渡されていることを特徴とする移動ロボット。
Description:
変速装置及びその変速装置を備 た移動ロボット

 本発明は、入力の変速比を自動的に切り えて出力とする変速装置及びその変速装置 備えた移動ロボットに関し、特に出力側の 荷状態に応じて変速比を自動的に切り替え 変速装置及びその変速装置を備えた移動ロ ットに関する。

 自動車に適用される変速装置として、ク ッチ機構を2つ持つ所謂ツインクラッチ変速 装置が提案されている(特許文献1参照)。この ツインクラッチ変速装置は、変速機構が備え る第一入力軸とエンジンとを結合する第一ク ラッチと、変速機構が備える第二入力軸とエ ンジンとを結合する第二クラッチとを持ち、 第一及び第二入力軸はそれぞれ変速比の異な る複数の駆動歯車を有し、何れか一つが出力 軸の被動歯車と噛合して動力を伝達するよう になっている。そして、加速切替操作では、 例えば低速側の第一入力軸の変速歯車対が噛 合し第一クラッチが結合して走行している状 態から高速側の第二入力軸の変速歯車対に切 り替える場合には、一時的に二つのクラッチ で分担して動力を伝達することにより切替操 作している。

 即ち、第一クラッチが完全に結合し第二 ラッチが開離した状態から、第二クラッチ 結合割合を徐々に大きくすると同時に第一 ラッチの結合割合を徐々に小さくして、動 の伝達経路を第一クラッチから第二クラッ に移しながら、最終的に第二クラッチで全 力を伝達するようにしている。このように ツインクラッチ変速装置では、動力の伝達 遮ることなく円滑に切替操作を行っている このような加速切替操作はほぼ一定の車両 行速度で行われるため、高速側の第二入力 の回転数は、低速側の第一入力軸の回転数 りも小さい。したがって、加速切替操作時 は駆動源の回転数を減少させることが必要 あり、電子制御により対応している。と同 に、第二クラッチはすべりを生じており、 動源の回転数を減少させるブレーキとして 作用を果たしている。そして、操作終了時 は第二クラッチは完全に結合し、第二入力 は駆動源に同期して回転し、アクセル操作 より駆動源の回転数を再度増加させて加速 ることができる。

特開2003-120764号公報

 近年、ロボットの開発が進んでおり、物 把持するためのグリッパや地上を移動する めのクローラ等に変速装置を搭載するよう なってきている。ところが、上述した変速 置では、加減速切替操作時に駆動源の回転 を変動させる必要があり、その制御系が複 で大型化するおそれがある。

 本発明は、上記のような課題に鑑みなさ たものであり、その目的は、入力は一定の まで出力側の負荷状態に応じて変速比を自 的に切り替えて出力とする変速装置及びそ 変速装置を備えた移動ロボットを提供する とにある。

 上記目的達成のため、本発明の変速装置 は、正方向の入力回転を高速回転と低速回 に変速し、出力軸の負荷に応じて自動的に 速回転と低速回転を切り替えて出力できる 速装置であって、正方向の入力回転を高速 転と低速回転に変速する変速機構と、前記 速機構により変速された正方向の高速回転 、第1のクラッチ機構を介して、正回転を伝 達する1ウエイの第2のクラッチ機構の出力軸 伝達する第1の伝達経路と、前記変速機構に より変速された正方向の低速回転を、正回転 を伝達する1ウエイの第2のクラッチ機構の入 軸に伝達する第2の伝達経路とを備え、出力 軸の負荷状態に応じて第1のクラッチ機構と1 エイの第2のクラッチ機構の作用により、第 1の伝達経路と第2の伝達経路とを自動的に切 替えることを特徴としている。これにより 出力軸の負荷が小さいときは第2のクラッチ 機構を作用させず、第1のクラッチ機構を作 させて高速回転の出力とし、一方、出力軸 負荷が大きいときは第1のクラッチ機構を作 させず、第2のクラッチ機構を作用させて低 速回転の出力とするように構成することがで きるので、正方向の入力は一定のままで出力 軸の負荷状態に応じて変速比を自動的に切り 替えて出力とすることができる。

 また、正方向又は逆方向の入力回転を高 回転と低速回転に変速し、出力軸の負荷に じて自動的に高速回転と低速回転を切り替 て出力できる変速装置であって、正方向の 力回転を高速回転と低速回転に変速する変 機構と、前記変速機構により変速された正 向の高速回転を、第1のクラッチ機構とバッ クラッシュ機構を介して、正回転を伝達する 1ウエイの第2のクラッチ機構の出力軸に伝達 る第1の伝達経路と、前記変速機構により変 速された正方向の低速回転を、正回転を伝達 する1ウエイの第2のクラッチ機構の入力軸に 達する第2の伝達経路とを備え、出力軸の負 荷状態に応じて第1のクラッチ機構と1ウエイ 第2のクラッチ機構の作用により、第1の伝 経路と第2の伝達経路とを自動的に切り替え ことを特徴としている。これにより、1ウエ イの第2のクラッチ機構を用いて、正方向の 力は一定のままで出力軸の負荷状態に応じ 変速比を自動的に切り替えて出力とするこ ができ、また、逆方向の入力は高速回転の を出力とすることができる。

 また、正方向又は逆方向の入力回転を高 回転と低速回転に変速し、出力軸の負荷に じて自動的に高速回転と低速回転を切り替 て出力できる変速装置であって、正方向又 逆方向の入力回転を高速回転と低速回転に 速する変速機構と、前記変速機構により変 された正方向の高速回転を、第1のクラッチ 機構を介して、正回転を伝達する状態にある 2ウエイの第2のクラッチ機構の出力軸に伝達 、又は前記変速機構により変速された逆方 の高速回転を、第1のクラッチ機構を介して 、逆回転を伝達する状態にある2ウエイの第2 クラッチ機構の出力軸に伝達する第1の伝達 経路と、前記変速機構により変速された正方 向の低速回転を、正回転を伝達する状態にあ る2ウエイの第2のクラッチ機構の入力軸に伝 し、又は前記変速機構により変速された逆 向の低速回転を、逆回転を伝達する状態に る2ウエイの第2のクラッチ機構の入力軸に 達する第2の伝達経路とを備え、出力軸の負 状態に応じて第1のクラッチ機構と2ウエイ 第2のクラッチ機構の作用により、第1の伝達 経路と第2の伝達経路とを自動的に切り替え ことを特徴としている。これにより、正方 又は逆方向の入力は一定のままで出力軸の 荷状態に応じて変速比を自動的に切り替え 出力とすることができる。

 また、第1のクラッチ機構は、滑りを生じ る機構であることを特徴としている。これに より、出力軸の負荷が増大すると第1のクラ チ機構に滑りが生じて動力の伝達を減衰さ ることができるので、第2のクラッチ機構に り変速比を自動的に切り替えて出力とする とができる。また、第1のクラッチ機構は、 出力軸の負荷状態に感応して断続する機構で あることを特徴としている。これにより、出 力軸の負荷が増大したときに第1のクラッチ 構を完全に切断して動力の伝達ロスを低減 ることができる。

 上記目的達成のため、本発明の変速装置 は、被搭載装置に搭載され、正方向又は逆 向の入力回転を高速回転と低速回転に変速 、出力軸の負荷に応じて自動的に高速回転 低速回転を切り替えて出力できる変速装置 あって、被搭載装置に固定可能な固定シャ トと、固定シャフトに回転自在に取り付け れた出力軸となる回転ドラムと、回転ドラ に内蔵されて固定シャフトに回転自在に取 付けられたモータと、回転ドラムに内蔵さ て固定シャフトに回転自在に取り付けられ モータからの正方向又は逆方向の入力回転 高速回転と低速回転に変速する変速機構と 回転ドラムに内蔵されて固定シャフトに回 自在に取り付けられ、回転ドラムの負荷状 に感応して正方向又は逆方向の高速入力回 の伝達を断続する負荷トルク感応クラッチ 、回転ドラムに内蔵されて固定シャフトに 転自在に取り付けられ、負荷トルク感応ク ッチが切断状態にあるときは正方向又は逆 向の低速入力回転を回転ドラムに伝達し、 荷トルク感応クラッチが接続状態にあると は正方向又は逆方向の高速入力回転を回転 ラムに伝達する2ウエイクラッチとを備えた ことを特徴としている。これにより、正方向 又は逆方向の入力は一定のままで出力軸の負 荷状態に応じて変速比を自動的に切り替えて 出力とすることができる小型軽量で簡易な機 構の変速装置を構成することができる。

 また、変速機構は歯車列を備え、モータ ら負荷トルク感応クラッチ及び2ウエイクラ ッチに至る間の歯車列は同一構成のものが2 対向配置されていることを特徴としている これにより、変速機構をコンパクトに纏め ことができると共に、伝達トルクを大きく ることができる。また、負荷トルク感応ク ッチは、滑りを生じる機構であることを特 としている。これにより、回転ドラムの負 が増大すると負荷トルク感応クラッチに滑 が生じて動力の伝達を減衰させることがで るので、2ウエイクラッチにより変速比を自 的に切り替えて出力とすることができる。

 上記目的達成のため、本発明のクローラ 備えた移動ロボットでは、クローラの一端 に上記各変速装置が配置され、クローラの 端部にクローラプーリが配置され、変速装 の回転ドラムとクローラプーリとの間にク ーラベルトが架け渡されていることを特徴 している。これにより、上記作用・効果を する移動ロボットを提供することができる

本発明の第1の実施の形態に係る変速装 置を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る変速装 置を示す斜視図である。 図2の負荷トルク感応クラッチの概念図 である。 図3の負荷トルク感応クラッチの動作を 説明するための斜視図である。 移動ロボットに搭載可能な変速装置の 観を示す斜視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第1の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第2の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第3の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第4の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第5の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第6の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第7の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第8の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第9の 視図である。 図5の変速装置の組立工程を示す第10の 斜視図である。 図5の変速装置を備えた移動ロボット 示す斜視図である。

符号の説明

 1 移動ロボット、2 クローラ、3 ロボッ ハンド、4 クローラプーリ、5 クローラベ ト、10 乾式クラッチ、20 負荷トルク感応 ラッチ、100、200、300 変速装置、110、210 入 軸、111、211 摩擦クラッチ板、120 出力軸、 121、221 被摩擦クラッチ板、122 1ウエイクラ チ、130、230 減速機構、131、231 第1プーリ 132 伝達軸、133、233 第2プーリ、134、234 第3 プーリ、135、136、235、236 ベルト、220 クラ チ軸、222 出力カム、223 圧縮バネ、237 2ウ イクラッチ、301 固定シャフト、303 回転ド ラム、310 モータ、320 減速機構、340 2ウエ クラッチ、350 負荷トルク感応クラッチ

 本発明の実施形態について、図面を参照 て説明する。尚、以下に説明する実施形態 特許請求の範囲に係る発明を限定するもの はなく、また実施形態の中で説明されてい 特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段 必須であるとは限らない。

 図1は、本発明の第1の実施の形態に係る 速装置を示す斜視図である。この変速装置10 0は、図示しないモータの回転軸に一端が連 された入力軸110と、図示しないクローラの 軸に一端が連結された出力軸120と、入力軸11 0と出力軸120を連結する減速機構(変速機構)130 を備えている。入力軸110は、他端に摩擦クラ ッチ板(第1のクラッチ機構)111が固定され、中 間に減速機構130を構成する第1プーリ131が嵌 されている。出力軸120は、他端に被摩擦ク ッチ板(第1のクラッチ機構)121が固定され、 間に1ウエイクラッチ(第2のクラッチ機構)122 嵌入されている。減速機構130は、伝達軸132 両側に第2プーリ133及び第3プーリ134がそれ れ嵌入されており、第2プーリ133は第1プーリ 131とベルト135を介して連結され、第3プーリ13 4は1ウエイクラッチ122の外輪122aとベルト136を 介して連結されている。尚、1ウエイクラッ 122の外輪122aは、減速機構130も構成している また、1ウエイクラッチ122のころ122cを支持 る保持器122dは、図示しない一端を静止系に 定した摩擦板を押し付けて回転方向とは逆 抵抗を与える。

 このような構成の変速装置100は、正回転 の入力の変速比を出力側の負荷状態に応じ 、低減速比又は高減速比に自動的に切り替 て出力とすることができる2つの伝達経路を 備えている。低減速比の伝達経路(第1の伝達 路)は、モータから入力軸110に入力した回転 動力を、摩擦クラッチ板111と当接している被 摩擦クラッチ板121を介して出力軸120から低減 速比の回転動力としてクローラへ出力する経 路である。また、高減速比の伝達経路(第2の 達経路)は、モータから入力軸110に入力した 回転動力を、第1プーリ131からベルト135を介 て第2プーリ133に伝達して減速し、更に第3プ ーリ134からベルト136を介して1ウエイクラッ 122の外輪122aに伝達して更に減速し、1ウエイ クラッチ122の内輪122bを介して出力軸120から 減速比の回転動力としてクローラへ出力す 経路である。

 次に、2つの伝達経路の自動切替動作につい て説明する。この変速装置100は、外輪122a、 輪122b、ころ122c、そしてころ122cを外輪のラ プ部に押し付けるための保持器122dを有する1 ウエイクラッチ122と、摩擦クラッチ板111及び 被摩擦クラッチ板121を有する乾式クラッチ10 機能を利用している。
 ここで、1ウエイクラッチ122とは、ころ122c 外輪122aの内面に形成された三角柱状の突起 傾斜したカム面122aaと噛み合うことによっ 一方向のみ回転動力を伝達することができ クラッチである。また、乾式クラッチ10とは 、入力軸110と出力軸120のそれぞれに接続され た摩擦クラッチ板111と被摩擦クラッチ板121を 接触させることで生じる摩擦力により回転動 力を伝達することができるクラッチである。

 出力軸120が低負荷のときは、外輪122aの回 転速度よりも出力軸120の回転速度が速いため 、ころ122cは外輪122aのカム面122aaと噛み合わ 、外輪122aの回転動力は出力軸120に伝達され い。従って、低減速比の伝達経路で回転動 が伝達され、出力軸120を低減速比で回転す ことができる。一方、出力軸120に高負荷が じると、摩擦クラッチ板111と被摩擦クラッ 板121との間で滑りが生じて低減速比の伝達 路の回転動力は低下していく。そのため、 力軸120の回転速度は遅くなっていくが、外 122aは回転運動を続けているため、出力軸120 の回転速度が外輪122aより遅くなると、ころ12 2cが外輪122aのカム面122aaと噛み合い、出力軸1 20は外輪122aと一体となって高減速比で回転さ れる。

 このように正回転時の低減速比から高減 比への切り替えは、出力軸120に掛かる負荷 よって1ウエイクラッチ122の内輪122bの回転 度が低下し、内輪122bの回転速度が外輪122aの 回転速度を下回ったときに起こる。しかし、 同一の入力軸110から低減速比の回転動力と高 減速比の回転動力を出力軸120と外輪122aにそ ぞれ伝達しているため、一定以上の負荷が 力軸120に生じた場合に、低減速比の回転動 を遮断する機構がないと出力軸120の負荷に ってベルト135を介して入力軸110の回転数が 下し、外輪122aの回転速度も低下する。従っ 、内輪122bと外輪122aの回転速度の比率は縮 らず、出力軸120に大きな負荷が掛かったと ても低減速比から高減速比への切り替えは きない。そこで、一定以上の負荷が内輪122b 生じた場合に、低減速比の回転動力を遮断 る機構として乾式クラッチ10が設けられて る。この乾式クラッチ10は、図示しないスプ リングを用いて摩擦クラッチ板111を被摩擦ク ラッチ板121に押し付けて入力軸110の回転動力 を出力軸120に伝達している。従って、出力軸 120に大きな負荷が掛かると摩擦クラッチ板111 と被摩擦クラッチ板121との間で滑りが生じて 乾式クラッチ10が切れた状態となり、入力軸1 10は空転して低減速比の回転動力を遮断する とができる。

 なおこの機構で逆回転をしようとすると低 速比の伝達経路と高減速比の伝達経路が両 とも1ウエイクラッチ122を介して出力軸120に 繋がるため出力はロックしてしまう。そこで 図1に示すように、バックラッシュ機構141を ーリ131と摩擦クラッチ板111の間に配置する バックラッシュ機構141は、入力軸110に嵌入 定された円板141aと、この円板141aの端面に軸 方向に突設されたピン141bと、出力軸120の周 に径方向に突設され、ピン141bと当接可能な ン141cを備えている。このような構成によれ ば、略1回転分のバックラッシュを取ること できる。この機構140で入力軸110が正回転か 逆転すると、減速機構130を介して1ウエイク ッチ122の外輪122aはすぐ逆転しようとするが 、内輪122bはしばらく回転せず、ころ122cは保 器122dの摩擦板の効果でその場に止まろうと する。そのため外輪122aはころ122cとの噛み合 位置から離れる。ころ122cが外輪122aのカム 122aaから離れた後に内輪122bも回転し始める 、この時に保持器122dは摩擦板によって逆方 の抵抗を与えられているため、ころ122cは保 持器122dによってその位置を維持しようとす 。従って、ころ122cは外輪122aのカム面122aaと 噛み合い位置に進むことはなく、入力軸110 ロックされない。このように動作するため 図1の変速装置100は、正回転では負荷に応じ て2段変速を行い、逆回転時には高速回転を う。
 上述した実施形態では、モータから入力軸1 10の図示右端部に入力する場合を説明したが モータから伝達軸132の図示右端部に入力す ようにしても良い。

 図2は、本発明の第2の実施の形態に係る 速装置を示す斜視図である。この変速装置20 0は、図示しないモータの回転軸に一端が連 された入力軸210と、クラッチ軸(第1のクラッ チ機構)220と、図示しないクローラの車軸に 端が連結された出力カム(第1のクラッチ機構 )222と、2ウエイクラッチ237と、入力軸210と2ウ エイクラッチ237の内輪237bを連結する減速機 (変速機構)230を備えている。入力軸210は、他 端に摩擦クラッチ板(第1のクラッチ機構)211が 固定され、中間に減速機構230を構成する第1 ーリ231が嵌入されている。クラッチ軸220は 一端に被摩擦クラッチ板(第1のクラッチ機構 )221が固定され、他端に圧縮バネ223が被摩擦 ラッチ板221を摩擦クラッチ板211に圧接して り、中間に出力カム222と一体をなし減速機 230を構成する第2プーリ233が回転自在に嵌入 れている。減速機構230は、伝達軸232の両側 第3プーリ234及び2ウエイクラッチ(第2のクラ ッチ機構)237がそれぞれ嵌入されており、第3 ーリ234は第1プーリ231とベルト235を介して連 結され、2ウエイクラッチ237の外輪237aは第2プ ーリ233とベルト236を介して連結されている。

 このような構成の変速装置200は、正回転 又は逆回転時の入力の変速比を出力側の負 状態に応じて、低減速比又は高減速比に自 的に切り替えて出力とすることができる2つ の伝達経路を備えている。低減速比の伝達経 路(第1の伝達経路)は、モータから入力軸210に 入力した回転動力を、摩擦クラッチ板211と当 接している被摩擦クラッチ板221を介してクラ ッチ軸220に取り付けられて突起部220aからカ 面222aを伝達して出力カム222に回転を伝達す 経路である。また、高減速比の伝達経路(第 2の伝達経路)は、モータから入力軸210に入力 た回転動力を、第1プーリ231からベルト235を 介して第3プーリ234に伝達して減速し、更に2 エイクラッチ237の内輪237bからころ237cを介 て外輪237aに回転を伝達し、更にベルト236を して第2プーリ233に伝達し、これに固定され た出力カム222に回転を伝達する経路である。

 次に、2つの伝達経路の自動切替動作につ いて説明する。この変速装置200は、外輪237a 多角形板237b及びころ237cを有する2ウエイク ッチ237と、摩擦クラッチ板211、被摩擦クラ チ板221、クラッチ軸220、出力カム222及び圧 バネ223を有する負荷トルク感応クラッチ20の 機能を利用している。

 ここで、2ウエイクラッチ237は、ころ237cを 持している保持器が静止系に摩擦板で接触 ているため、多角形板237bが時計回りに回転 ると保持器は相対的に回転が遅れ、時計回 の方向に1ウエイクラッチとして動作する。 即ち、ころ237cが多角形板237bと外輪237aとの間 の反時計回り方向に位置した状態で、多角形 板237bに時計回りに回転動力を与えると、多 形板237bと外輪237aとの間にころ237cが楔のよ に挟まり、外輪237aに時計回りの回転動力が 達され、一方、外輪237aに時計回りに内輪の 多角形板237bより早い速度で回転動力を与え と、ころ237cは楔のように挟まることなく空 し、多角形板237bには回転動力は伝達しない 。また、上記と同じ原理で、多角形板237bが 時計回りの方向に回転すると、反時計回り 方向に1ウエイクラッチとして動作する。
 上述した実施形態では、モータから入力軸2 10の図示右端部に入力する場合を説明したが モータから伝達軸232の図示右端部に入力す ようにしても良い。

 図3は、負荷トルク感応クラッチ20の概念 、図4は、負荷トルク感応クラッチ20の動作 説明するための斜視図である。この負荷ト ク感応クラッチ20は、図3に示すように、中 円筒状の出力カム222が中実円柱状のクラッ 軸220に挿入され、出力カム222の一側面に設 られている谷状のカム面222aがクラッチ軸220 の周面に突設されている突起部220aに当接さ ている。そして、クラッチ軸220が圧縮バネ22 3により軸方向に付勢されて、被摩擦クラッ 221が摩擦クラッチ板211に押し付けられてい 。そして、クラッチ軸220は、回転及び軸方 の移動は自在とされているが、出力カム222 、回転は自在とされているが軸方向の移動 拘束されている。

 このような構成の負荷トルク感応クラッ 20の動作について説明する。出力カム222に 定以下の負荷トルクしか掛かっていないと は、図4(A)に示すように、クラッチ軸220の突 部220aは出力カム222のカム面222a谷底に位置 て、被摩擦クラッチ221は摩擦クラッチ211と 接している。従って、入力軸210に入力され 回転動力は摩擦クラッチ211及び被摩擦クラ チ221を介してダイレクトに出力カム222に伝 されている。一方、出力カム222に所定以上 負荷トルクTが掛かると、図4(B)に示すように 、出力カム222が負荷トルクTを軸力Fへと変換 、圧縮バネ223による被摩擦クラッチ221の摩 クラッチ211への押し付け力を相殺し始める そして、当該押し付け力がある値まで小さ なると被摩擦クラッチ221と摩擦クラッチ211 の間が滑り始めて回転動力の伝達が途切れ 。

 ここで、図3に示す各符号を用いて更に説明 する。尚、各符号の内容は以下の通りである 。
Fo:圧縮バネ223の押し付け力
F´:出力カム222による軸力
F:被摩擦クラッチ221の押し付け力
Tin:入力トルク
Tout:負荷トルク
r:クラッチ軸220の軸中心から出力カム222の作 点までの距離
θ:出力カム222の接触角

 被摩擦クラッチ221の最大許容トルクFは押し 付け力に比例することから次式(1)~(3)が成立 る。尚、Tslip:被摩擦クラッチ221と摩擦クラ チ211とが滑り始めるトルク、α:比例定数で る。
F=Fo-F´…(1)
F´=Tout/r・tanθ…(2)
Tslip=αF…(3)

 被摩擦クラッチ221と摩擦クラッチ211とが滑 始めるときのトルクTslipは、式(1)~(3)にTout=Ts lipを代入することにより次式(4)で求まる。
Tslip=αr・tanθ・Fo/(r・tanθ-α)…(4)

 式(4)より被摩擦クラッチ221と摩擦クラッチ2 11とが滑り始める限界の負荷トルクToutは、圧 縮バネ223の押し付け力Foに正比例し、出力カ 222の接触角θにも影響を受けることが分か 。また、2ウエイクラッチ237との組み合わせ より、負荷トルクToutが増大し被摩擦クラッ チ221と摩擦クラッチ211とが滑って伝達が途切 れた時にも、出力カム222に負荷トルクToutが 用し続けるようになっている。そのため、 荷トルクToutの増大によって被摩擦クラッチ2 21と摩擦クラッチ211の切り離しが起こる。被 擦クラッチ221の押し付け力Fは次式(5)で表さ れる。
F=Fo-Tout/r・tanθ…(5)

 F=0の点を取ることで、切り離しが起こる負 トルクToutを次式(6)で求める。
Tout=For・tanθ…(6)

 以上のように、本実施形態の変速装置200 、負荷トルクToutによって動作状態が変化す る。出力トルクと負荷トルクToutは定常状態 は等しいので、出力トルクToutの範囲によっ 場合分けして以下にそれぞれ説明する。

 0<Tout<Tslip:高速低トルクモード
出力トルクToutが被摩擦クラッチ221と摩擦ク ッチ211とが滑り始めるトルクTslipより小さい 場合、変速装置200は高速低トルクモードで動 作する。負荷感応クラッチ20が接続されてい ため、モータの回転動力は直接に出力カム2 22に伝達される。また、2ウエイクラッチ237は 多角形板237bが低速で回転し、外輪237aが同方 に高速で回転するため空転状態となり、高 回転と低速回転の干渉を防いでいる。

 Tslip≦Tout<Tcut:低速高トルクモード
出力トルクToutが、被摩擦クラッチ221と摩擦 ラッチ211とが滑り始めるトルクTslipより大き く、被摩擦クラッチ221と摩擦クラッチ211とが 切断するトルクTcutよりも小さい場合、変速 置200は低速高トルクモードで動作する。負 感応クラッチ20は滑りを生じてモータの回転 動力の伝達は大きく減少する。出力カム222は 回転動力の伝達が減少したことにより回転速 度が落ちる。出力カム222は2ウエイクラッチ23 7の外輪237aと接続されているため、多角形板2 37bの回転速度まで出力カム222の回転速度が落 ちた時点で外輪237aと多角形板237bが噛み合い 低速高トルクで回転し始める。

 Tcut≦Tout:低速高トルクモード
出力トルクToutが被摩擦クラッチ221と摩擦ク ッチ211とが切断するトルクTcutより大きい場 、変速装置200は低速高トルクモードで動作 る。負荷感応クラッチ20は押し付け力Fが0に なるため、完全に切り離されて回転動力の伝 達が無くなる。そのため、出力カム222は2ウ イクラッチ237の噛み合いによって低速高ト クで回転する。

 以上のように、第1の実施形態の変速装置 100によれば、正方向の入力回転を高速回転と 低速回転に変速する変速機構130と、正方向の 高速入力回転を、乾式クラッチ10を介して、 回転を伝達する1ウエイクラッチ122の内輪( 力軸)122bに伝達する第1の伝達経路と、正方 の低速入力回転を、正回転を伝達する1ウエ クラッチ122の外輪(入力軸)122aに伝達する第2 の伝達経路とを備えている。このため、出力 軸120の負荷状態に応じて乾式クラッチ10の滑 作用と1ウエイクラッチ122の断続作用により 、第1の伝達経路と第2の伝達経路とを自動的 切り替えることができる。即ち、出力軸120 負荷が小さいときは1ウエイクラッチ122を作 用させず、乾式クラッチ10を作用させて高速 転の出力とし、一方、出力軸120の負荷が大 いときは第1のクラッチ機構を作用させず、 1ウエイクラッチ122を作用させて低速回転の 力とするように構成することができるので 正方向の入力は一定のままで出力軸120の負 状態に応じて変速比を自動的に切り替えて 力とすることができる。そして、この切り えの中間点では動作の不安定さが生じず、 しく安定にかつ自動的に変速動作させるこ ができる。

 また、第2の実施形態の変速装置200によれ ば、正方向又は逆方向の入力回転を高速回転 と低速回転に変速する変速機構230と、正方向 の高速入力回転を、負荷トルク感応クラッチ 20を介して、正回転を伝達する状態にある2ウ エイクラッチ237の外輪(出力軸)237aに伝達し、 又は逆方向の高速入力回転を、第1のクラッ 機構を介して、逆回転を伝達する状態にあ 2ウエイクラッチ237の外輪(出力軸)237aに伝達 る第1の伝達経路と、正方向の低速入力回転 を、正回転を伝達する状態にある2ウエイク ッチ237の内輪(入力軸)237bに伝達し、又は逆 向の低速入力回転を、逆回転を伝達する状 にある2ウエイクラッチ237の内輪(入力軸)237b 伝達する第2の伝達経路とを備えている。こ のため、出力カム222の負荷状態に応じて負荷 トルク感応クラッチ20の断続作用と2ウエイク ラッチ237の断続作用により、第1の伝達経路 第2の伝達経路とを自動的に切り替えること でき、正方向又は逆方向の入力は一定のま で出力軸222の負荷状態に応じて変速比を自 的に切り替えて出力とすることができる。 して、この切り替えの中間点では動作の不 定さが生じず、著しく安定にかつ自動的に 速動作させることができる。

 尚、上述した第1の実施形態の変速装置100 の1ウエイクラッチ122の代わりに2ウエイクラ チを用いても良く、更に乾式クラッチ10の わりに負荷トルク感応クラッチを用いても い。また、上述した第2の実施形態の変速装 200の2ウエイクラッチ237の代わりに1ウエイ ラッチを用いても良く、更に負荷トルク感 クラッチ20の代わりに乾式クラッチを用いて も良い。また、上述した各実施形態では、減 速機構130、230としてベルト・プーリ機構を用 いたが、ギア機構等であっても同様に適用す ることができる。また、乾式クラッチ10や負 トルク感応クラッチ20においては摩擦板を いたクラッチとしたが、流体を用いたクラ チとしても良い。また、1ウエイクラッチ122 ころ122cを用いたローラ方式を使用したが、 内輪もしくは外輪に爪を備え、外輪もしくは 内輪に爪が引っ掛かる突起を備えたラチェッ ト方式の1ウエイクラッチであっても同様に 用することができる。

 ところで機械システムにおいてアクチュ ータを減速して使用する場合、その減速比 要求速度や想定される負荷に応じて決定さ る。しかし、負荷状態が大きく変動するよ な機械システムでは固定された減速比では 率よく駆動することができず、対応できる 荷の範囲も狭い。この課題に対応するため 負荷状態が変化する機械システムではアク ュエータと負荷との間の減速比を変えるた に変速装置が導入されるのが一般的である 変速装置を導入することによって、アクチ エータを最も効率の良い運転状態、または も高出力の運転状態に保ったまま、高速低 ルクの出力や低速高トルクの出力を生成す ことができる。

 負荷条件が予測不可能に変化する代表的 例として、移動機械の駆動系が挙げられる 発進時に必要な低速で高トルクの出力と定 走行時に必要な高速で低トルクの出力は変 装置を使用することで、小さなアクチュエ タで両立することができる。移動機械の駆 系においては変速装置の導入が非常に効果 であるため、自動車等の大型機械では必ず いっていいほど変速装置が搭載されている しかしながら、現在盛んに研究されている 動ロボットの分野ではその移動の形態によ ず駆動系に変速装置が搭載されたロボット 、重量増加、機構の複雑化、大型化などの 題が発生するために非常に少ない。本出願 は、上述した第2の実施形態の変速装置200の 原理を利用した小型軽量で簡易な機構の移動 ロボットに搭載可能な変速装置を開発したの で以下説明する。

 図5は、移動ロボットに搭載可能な変速装 置の外観を示す斜視図、図6~図15は、図5の変 装置の組立工程を示す斜視図である。この 速装置300は、例えば移動ロボットのクロー に固定される固定用フランジ(図5等参照)302 両端に取り付けられた円柱棒状の固定シャ ト(図6等参照)301と、当該クローラプーリを 成する中空円筒状の回転ドラム(図5等参照)3 03と、当該クローラ駆動源を構成するモータ( 図6等参照)310、減速機構(変速機構)(図11等参 )320、2ウエイクラッチ(第2のクラッチ機構)( 13等参照)340及び負荷トルク感応クラッチ(第1 のクラッチ機構)(図15等参照)350を備えている モータ310、減速機構320、2ウエイクラッチ340 及び負荷トルク感応クラッチ350は、回転ドラ ム303に内蔵されて当該ドラム303と共に固定シ ャフト301周りを回転自在となるように、図示 しない軸受を介して固定シャフト301に取り付 けられている。即ち、最外殻の回転ドラム303 が出力軸となっており、この回転ドラム303に クローラベルトを巻き付けることによりクロ ーラを駆動することができる。このような構 成の変速装置300の詳細について組立順に以下 説明する。

 図6に示すように、モータ310は、固定シャ フト301の略中央に嵌め込まれている。このモ ータ310は、固定シャフト301に図示しないコイ ルが固定され、外周に図示しない永久磁石が 配置された円筒状の回転ヨーク311が配置され た構造となっている。この回転ヨーク311の図 示右端面311aには減速機構320を構成する第1歯 321が取り付けられており、回転ヨーク311の 力回転がこの第1歯車321から回転ドラム303へ 伝達されるようになっている。

 図7に示すように、第1歯車321の径方向両 には、この第1歯車321と噛み合う減速機構320 構成する2つの第2歯車322(図では一方のみ示 )と、各第2歯車322と同軸で一体化された減 機構320を構成する第3歯車323がそれぞれ配置 れている。モータ310のシャフト方向両側に 、減速機構320を構成する矩形板状の2枚の歯 車取付板324がそれぞれ嵌め込まれている。そ して、各第2、第3歯車322、323は、2枚の歯車取 付板324の4つの角部間に架け渡されている減 機構320を構成する4本の歯車取付シャフト325 326のうち、一方の対角の2本の歯車取付シャ フト325(図では一方のみ示す)にそれぞれ嵌め まれている。

 図8に示すように、他方の対角の2本の歯 取付シャフト326には、各第3歯車323と噛み合 減速機構320を構成する第4歯車327がそれぞれ 嵌め込まれている。更に、当該2本の歯車取 シャフト326には、中央に減速機構320を構成 る第5歯車328がそれぞれ嵌め込まれ、図示左 の歯車取付板324から突出した端部に減速機 320を構成する第6歯車329がそれぞれ嵌め込ま れている。

 図9に示すように、モータ310の回転ヨーク 311の外側には、各第5歯車328と噛み合う減速 構320を構成する内周歯330aを有するロータリ グ330が配置されている。このロータリング3 30は、軸方向断面が凹形状、即ち外周面中央 角溝330bが形成されている。そして、この角 溝330b内には、回転ドラム303の内周面と当接 て回転摺動する4つのローラ330c(図では1つの 示す)が等間隔(90°間隔)で図示しない軸受を 介して軸支されている。更に、ロータリング 330は、両端面に負荷トルク感応クラッチ350を 構成する略円環状の摩擦板355が取り付けられ ている。回転ヨーク311の入力回転は、第1~第5 歯車321~328及び内周歯330aを介して高速低トル 回転とされ、ロータリング330から負荷トル 感応クラッチ350を介して回転ドラム303へ伝 されるようになっている。

 図10に示すように、一方の対角の2本の歯 取付シャフト325(図では一方のみ示す)にお る図示左側の歯車取付板324から突出した端 には、各第6歯車329と噛み合う減速機構320を 成する第7歯車331(図では一方のみ示す)と、 速機構320を構成する第8歯車332(図では一方 み示す)がそれぞれ嵌め込まれている。

 図11に示すように、2ウエイクラッチ340を 成する六角形状の多角形カム341が、固定シ フト301の図示左端に嵌め込まれている。こ 多角形カム341の図示右端面には各第8歯車332 (図では一方のみ示す)と噛み合う減速機構320 構成する第9歯車333が取り付けられている。 回転ヨーク311の入力回転は、第1~第9歯車321~33 3を介して低速高トルク回転とされ、2ウエイ ラッチ340から負荷トルク感応クラッチ350を して回転ドラム303へ伝達されるようになっ いる。尚、第2~第8歯車322~332は上下二段に配 置されているが、これにより伝達トルクを大 きくすることができる。

 図12に示すように、2ウエイクラッチ340を 成する円板状のローラ保持板342が、固定シ フト301の図示左端であって多角形カム341と 定用フランジ302の間に嵌め込まれている。 のローラ保持板342の図示右端面には、多角 カム341の各カム面341aと対応するように2ウ イクラッチ340を構成する6つの2ウエイクラッ チローラ343(図では4つのみ示す)が回転自在に 軸支されている。

 図13に示すように、ローラ保持板342の外 には、2ウエイクラッチ340を構成する略円筒 のリング344が配置されている。このリング3 44は、内周面344aで各2ウエイクラッチローラ34 3と接触・離間する。ローラ保持板342は、固 シャフト301とオイルシールを介して接触し いる。ここで発生する摩擦によって、多角 カム341やリング344に対して2ウエイクラッチ ーラ343は遅れて回転する。また、2ウエイク ラッチローラ343は2つの軸受343aで軸343bに支持 されているが、当該軸343bの寸法を軸受343aの 径よりもわずかに小さくすることでがたを たせ、多角形カム341の各カム面341aの位相の 誤差を吸収して噛み込み易くしている。リン グ344の図示右端面には、負荷トルク感応クラ ッチ350を構成する略円筒状の第1リング351(図1 4参照)を軸方向(図示右方向)に付勢する負荷 ルク感応クラッチ350を構成する4つのコイル プリング352(図では3つのみ示す)が等間隔(90 間隔)で軸方向を向いて支持されていると共 、第1リング351を係止するための4つのピン34 4bがコイルスプリング352と45°の間隔をおいて 軸方向を向いて突設されている。

 図14に示すように、第1リング351は、ロー リング330とリング344の間に配置されている この第1リング351の図示左外周面には、8本 ピン351a(図では4つのみ示す)が等間隔(45°間 )で径方向に突設されている。また、ロータ ング330の図示右端面側には、ロータリング3 30を定位置に位置決めするための負荷トルク 応クラッチ350を構成するストッパリング353 配置されている。このストッパリング353は コイルスプリング352で軸方向(図示右方向) 付勢されている第1リング351がロータリング3 30の摩擦板355と圧接できるように回転ドラム3 03の内周面に固定されている。

 図15に示すように、第1リング351の図示左 周面の外側から図では隠れているリング344 外周面の外側にかけて、負荷トルク感応ク ッチ350を構成する略円筒状の第2リング354が 配置されている。この第2リング354には、第1 ング351の8本のピン351aが挿入可能な円形状 8個のピン穴354a(図では4つのみ示す)が穿設さ れている。第2リング354は、第1リング351がコ ルスプリング352の付勢力に抗して軸方向(図 示左方向)に移動してロータリング330の摩擦 355から離間できるように回転ドラム303の内 面に固定されている。最後に回転ドラム303 被せてボルトで締結固定することにより、 5に示す変速装置300が完成する。

 以上のような構成において、その動作に いて説明する。回転ドラム303に所定以下の 荷トルクしか掛かっていないときは、モー 310からの入力回転は第1歯車321、第2歯車322 第3歯車323、第4歯車327、第5歯車328、内周歯33 0aを介して高速低トルク回転とされてロータ ング330に伝達される。このとき、ロータリ グ330の摩擦板355には負荷トルク感応クラッ 350の第1リング351がコイルスプリング352に付 勢されて当接しているので、ロータリング330 と共に第1リング351は高速低トルク回転する

 同時に、図15に示す負荷トルク感応クラ チ350の第2リング354のピン穴354aの右端に位置 している第1リング351のピン351aが当該ピン穴3 54aを押圧するので、第1リング351と共に第2リ グ354も高速低トルク回転する。よって、こ 第2リング354に固定されている回転ドラム303 が高速低トルク回転する。このとき、2ウエ クラッチ340のリング344も高速低トルク回転 るので、2ウエイクラッチローラ343はリング3 44の内周面344aと多角形カム341の各カム面341a の間で楔のように挟まることなく空転する このため、第6歯車329、第7歯車331、第8歯車33 2、第9歯車333を介して伝達される低速高トル 回転により多角形カム341は空転する。

 一方、回転ドラム303に所定以上の負荷ト クが掛かったときは、第2リング354が負荷ト ルクを軸力へと変換し、コイルスプリング352 による第1リング351の、ロータリング330の摩 板355への押し付け力を相殺し始める。そし 、当該押し付け力がある値まで小さくなる 、図15に示す負荷トルク感応クラッチ350の第 2リング354のピン穴354aの右端に位置していた 1リング351のピン351aが、ピン穴354aの内周壁 押されて左方向に移動するので、第1リング 351とロータリング330の摩擦板355との間が滑り 始めて高速低トルク回転の伝達が途切れる。

 よって、モータ310からの入力回転は第1歯 車321、第2歯車322、第3歯車323、第4歯車327、第 6歯車329、第7歯車331、第8歯車332、第9歯車333 介して低速高トルク回転とされて2ウエイク ッチ340の多角形カム341に伝達される。これ より、2ウエイクラッチローラ343は多角形カ ム341の各カム面341aとリング344の内周面344aと 間で楔のように挟まるので、リング344も負 トルク感応クラッチ350の第1リング351と共に 低速高トルク回転する。同時に、第1リング35 1のピン351aが第2リング354のピン穴354aを押圧 るので、第1リング351と共に第2リング354も低 速高トルク回転する。よって、この第2リン 354に固定されている回転ドラム303が低速高 ルク回転する。

 以上のように、正方向又は逆方向の入力 一定のままで回転ドラム303の負荷状態に応 て変速比を自動的に切り替えて出力とする とができる小型軽量で簡易な機構の変速装 300を構成することができる。そして、減速 構320は歯車列を備え、モータ310から負荷ト ク感応クラッチ350及び2ウエイクラッチ340に 至る間の第2~第8歯車322~332の歯車列は同一構 のものが2組対向配置されているので、減速 構320をコンパクトに纏めることができると に、伝達トルクを大きくすることができる また、負荷トルク感応クラッチ350は、摩擦 355と第1リング351との間で滑りを生じる機構 であるため、回転ドラム303の負荷が増大する と負荷トルク感応クラッチ350に滑りが生じて 動力の伝達を減衰させることができ、2ウエ クラッチ340により変速比を自動的に切り替 て出力とすることができる。

 図16は、上記変速装置300を備えた移動ロ ットを示す斜視図である。この移動ロボッ 1は、平行に配置された一対のクローラ2の上 部にロボットハンド3が搭載された構成とな ている。クローラ2は、図示前部に上記変速 置300が配置され、図示後部にクローラプー 4が配置され、それらの間にクローラベルト 5が掛け渡されている。そして、クローラ2は 変速装置300のモータ310の駆動力が減速機構3 20、2ウエイクラッチ340及び負荷トルク感応ク ラッチ350を介して回転ドラム303に伝達される ことにより、クローラベルト5が図示矢印a方 に回転駆動されて前後移動及び旋回すると に変速する。このように移動ロボット1は、 変速装置300を有するクローラ2を備えている で、傾斜面、凹凸面、段差等がある比較的 整地な場所や階段等においても容易に移動 ることができる。

 尚、上述した実施形態の変速装置300では 減速機構320に歯車列を使用したが、ベルト プーリ機構も使用可能である。また、2ウエ イクラッチ340の代わりに1ウエイクラッチを 用すると共に、負荷トルク感応クラッチ350 代わりに摩擦クラッチを使用することも可 である。また、第2~第8歯車322~332は上下二段 即ち2組を軸対称に配置したが、3組以上を 対称に配置しても良く、これにより伝達ト クを更に大きくすることができる。また、 動ロボット1のクローラ2のみならず、一般的 なロボットの可動部分に変速装置300を適用す ることができる。