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Title:
TRANSPARENT PRESSURE-SENSITIVE ADHESIVE SHEET AND FLAT PANEL DISPLAY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133193
Kind Code:
A1
Abstract:
A transparent pressure-sensitive adhesive sheet for flat panel displays which has such excellent adhesive properties that after application to a display module (display panel) and a protective transparent plate, the adhesive sheet can be easily removed in the beginning and, despite this, comes to stick thereto at high peel force with the lapse of time. It is excellent especially in low-temperature adhesion stability and excellent in punchability and the property of diminishing level differences. The transparent pressure-sensitive adhesive sheet is made mainly from a polyoxyalkylene polymer. It is preferably one made of a material obtained by curing a composition which comprises a polyoxyalkylene polymer having at least one alkenyl group per molecule (ingredient A), a compound having two or more hydrosilyl groups per molecule on the average (ingredient B), and a hydrosilylation catalyst (ingredient C).

Inventors:
SUZUKI HIDENORI (JP)
BUZOUJIMA YASUSHI (JP)
SUZUKI TATSUYA (JP)
BANBA TOMOHIDE (JP)
KUME KATSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057567
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NITTO DENKO CORP (JP)
SUZUKI HIDENORI (JP)
BUZOUJIMA YASUSHI (JP)
SUZUKI TATSUYA (JP)
BANBA TOMOHIDE (JP)
KUME KATSUYA (JP)
International Classes:
G09F9/00; C09J7/00; C09J7/02; C09J11/04; C09J171/02; C09J183/04; G02F1/1335
Domestic Patent References:
WO2006109841A12006-10-19
WO2005081210A12005-09-01
Foreign References:
JP2005179481A2005-07-07
JPH09274536A1997-10-21
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (1-1 Fushimimachi 4-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 44, JP)
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Claims:
 ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする透明粘着シートであって、
 表示モジュールと保護透明板間の接着に使用される、フラットパネルディスプレイ用透明粘着シート。
 下記A~C成分を含む組成物の硬化物よりなる、請求項1記載の透明粘着シート。
 A:1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体
 B:1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
 C:ヒドロシリル化触媒
 ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする透明粘着シートであって、
 表示モジュールと保護透明板との間に該保護透明板以外の少なくとも一層の機能層を設けた前面多層構造部の層間の接着に使用される、フラットパネルディスプレイ用透明粘着シート。
 下記A~C成分を含む組成物の硬化物よりなる、請求項3記載の透明粘着シート。
 A:1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体
 B:1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
 C:ヒドロシリル化触媒
 前面多層構造部の、(a)保護透明板と機能層の間、(b)2つの機能層の間、及び(c)機能層と表示モジュールの間のうちの少なくとも1つの層間に介在させる、請求項3又は4記載の透明粘着シート。
 機能層がタッチパネルの構成部材である、請求項5記載の透明粘着シート。
 第1の支持体(ベースセパレーター)/粘着シート/第2の支持体(カバーセパレーター)の順に積層し、ロールに調製してなる、請求項1~6のいずれか1項記載の透明粘着シート。
 第1及び第2の支持体が、カチオン重合型のシリコーンとオニウム塩系光開始剤を含むカチオン重合性の紫外線硬化型シリコーン系離型処理剤で剥離処理されている、請求項7記載の透明粘着シート。
 表示モジュールと保護透明板との間に請求項1又2に記載の透明粘着シートを介在させて、表示モジュールと保護透明板を密着一体化させてなることを特徴とする、フラットパネルディスプレイ。
 表示モジュールと保護透明板との間に該保護透明板以外の少なくとも1層の機能層を設けた前面多層構造部を有し、該多層構造部内の少なくとも1つの層間に請求項3又は4記載の透明粘着シートが介在してなることを特徴とする、フラットパネルディスプレイ。
 前面多層構造部の、(a)保護透明板と機能層の間、(b)2つの機能層の間、及び(c)機能層と表示モジュールの間のうちの少なく1つの層間に請求項3又は4記載の透明粘着シートが介在してなる、請求項10記載のフラットパネルディスプレイ。
 前面多層構造部が、表示モジュールと保護透明板との間にタッチパネルを設けたものであり、表示モジュールとタッチパネルの間、及び/又は、タッチパネルと保護透明板間に、請求項3又は請求項4記載の透明粘着シートが介在してなる、請求項10記載のフラットパネルディスプレイ。
Description:
透明粘着シート及びフラットパ ルディスプレイ

 本発明はフラットパネルディスプレイ用 明粘着シートに関し、詳しくは表示モジュ ルに保護透明板を密着一体化させるための 明粘着シート及び該透明粘着シートを用い 表示モジュールに対して保護透明板を密着 体化させたフラットパネルディスプレイに する。

 従来から、液晶表示装置等のフラットパ ルディスプレイでは、何らかの衝撃が加わ た場合に、その衝撃が表示パネルに伝わら いように、表示パネルと、この表示パネル 保護するアクリル板やガラス板等の透明板 含む保護パネルとは、一定の間隙を介して けられている。

 しかしながら、通常、この間隙は、空気 であるため、上記の表示パネルや保護パネ を構成する材料とこの空気層との屈折率の に起因する光の反射損失が大きく、良好な 認性が得られないという問題点を有してい 。

 そこで、例えば、液晶表示装置において、 晶パネルと保護パネルの隙間(空気層)を無 すために、特定の可塑度を有するポリオル ノシロキサン組成物からなる粘着剤(シリコ ン系粘着剤)を液晶パネルと保護パネルの間 に充填した液晶表示装置が提案されている( 許文献1)。また、同様の目的で、アクリル系 粘着剤からなる透明粘着シート(例えば、ア リル酸エステル共重合体をエポキシ系、イ シアネート系、メラミン系あるいは金属化 物系の架橋剤で架橋させたものや紫外線硬 型のアクリル系粘着剤等をシート状に加工 たもの)を介して液晶パネルに保護用の透明 を貼り合せて、液晶パネルと透明板を密着 体化する技術が知られている(例えば、特許 文献2等)。

特開2004-212521号公報

特開2002-348546号公報

 ところで、上記特許文献1、2のように、 晶表示装置等のフラットパネルディスプレ に、保護透明板を透明粘着シートを介して り合わせる場合、表示モジュール(表示パネ )と保護透明板とはズレがないように貼り合 わせる必要があるが、貼り合わせミスを完全 に無くすことはできず、貼り合わせミスがあ った場合、前記のシリコーン系やアクリル系 の透明粘着シートは透明板や液晶パネルに一 旦接着すると剥離することが困難であるため 、高価な表示モジュール(表示パネル)を廃棄 なければならないという問題がある。

 従って、透明粘着シートには、上記のよ な貼り合わせミスをしたときに、貼り合わ のやり直しができるように、初期の易剥離 が要求される一方、ミスなく貼り合わせを た後は、表示モジュール(表示パネル)及び 護透明板に対して十分に高い剥離力で粘着 得る接着信頼性が必要である。しかしなが 、前記のシリコーン系やアクリル系の透明 着シートはこのような初期の易剥離性と貼 合わせ後の接着信頼性の両立という要求に えることができない。

 また、近年、急速に普及している携帯電 機、携帯ゲーム機、カーナビゲーションシ テム等の小型の機器に搭載する液晶パネル 、テレビやパソコンモニター等の液晶ディ プレイのそれに比べて、面積が小さく、自 と、液晶パネルと保護透明板の間に介在さ る透明粘着シートも面積が小さくなる。従 て、量産性を考えた場合、このような透明 着シートはその製造工程の最終段階で打抜 加工等によって所定サイズに裁断すること 必要になるが、前記のアクリル系の透明粘 シートに打抜き加工を施すと、切断端部に 着剤のはみ出し(ダレ)が生じたり、切断時 力によるベースセパレーター(剥離シート)か らの粘着剤の浮きが発生する等、打抜き加工 性が悪く、小サイズの透明粘着シートの量産 化には不向きであることがわかった。

 また、携帯電話機や携帯ゲーム機等の形 機器は、屋内だけでなく、屋外で使用され ことが多いが、寒冷地や山岳部では、氷点 の温度下で使用されることもあり、このよ な極寒の環境下では、前記のアクリル系の 明粘着層(粘着シート)は、フラットパネル ィスプレイの表示モジュール(表示パネル)や 保護用透明板に対して高い粘着力を維持でき ないことが分かった。

 また、携帯電話機や携帯ゲーム機では、 晶画面を見やすくするために、保護用透明 の外周の周縁に黒色印刷層が形成される場 が多く、そのような透明板の表面は印刷層 厚みによる段差を有する。従って、表示モ ュール(表示パネル)に透明粘着シートを介 て印刷層が形成された保護透明板を貼り合 る場合、透明粘着シートはかかる段差を吸 できないと、印刷層の端部周辺で透明粘着 ートの浮き(空隙)が発生し、この浮き(空隙) よる光の反射損失が生じて、視認性が低下 るおそれがある。そこで、前記のシリコー 系やアクリル系の透明粘着シートの段差吸 性を調べたところ、十分な段差吸収性を有 ていないことがわかった。

 また、例えば、携帯ゲーム機、デジタル デオカメラ、カーナビゲーションシステム 小型音楽再生機、小型ビデオ再生機、携帯 話機等における液晶ディスプレイにおいて 液晶モジュール(液晶パネル)の前面に液晶 面上の表示画像を押さえることで機器を操 する、所謂、タッチパネルを設ける場合、 護透明板と液晶パネルの間に透明導電層(例 ば、ITO(インジウム錫酸化物)層等)を含むタ チパネル用の積層構造部を形成することか 、透明粘着シートには、前記の再剥離性、 抜き加工性、低温接着安定性、段差吸収性 以外に、ITO(インジウム錫酸化物)層等の透 導電材料層と接触しても、透明導電材料を 蝕させず、透明導電材料層の導電性(電気抵 )を変化させない性質(非透明導電材料腐食 )が必要になる。

 本発明は、上記のような事情に鑑みなさ たものであり、その解決しようとする課題 、初期は再剥離が容易でありながら、貼り け後は表示モジュール(表示パネル)および 護透明板に対して高い剥離力で接着して優 た接着安定性が得られ、しかも、低温下で 優れた接着安定性が維持される、フラット ネルディスプレイ用透明粘着シートを提供 ることである。

 また、他の課題は、初期は再剥離が容易 ありながら、貼付後は表示モジュール(表示 パネル)、保護透明板等に対して高い剥離力 接着して優れた接着安定性が得られ、しか 、優れた打抜き加工性を有する、フラット ネルディスプレイ用透明粘着シートを提供 ることである。

 また、他の課題は、初期は再剥離が容易 ありながら、貼付後は表示モジュール(表示 パネル)、保護透明板等に対して高い剥離力 接着して優れた接着安定性が得られ、しか 、優れた段差吸収性を有する、フラットパ ルディスプレイ用透明粘着シートを提供す ことである。

 また、他の課題は、初期は再剥離が容易 ありながら、貼付後は表示モジュール(表示 パネル)及び保護透明板、並びに、タッチパ ルの構成部材等の保護透明板以外の機能層 対して高い剥離力で接着して優れた接着安 性が得られ、しかも、非透明導電材料腐食 に優れる、フラットパネルディスプレイ用 明粘着シートを提供することである。

 また、他の課題は、初期は再剥離が容易 ありながら、貼付後は表示モジュール(表示 パネル)及び保護透明板、並びに、タッチパ ルの構成部材等の保護透明板以外の機能層 対して高い剥離力で接着して優れた接着安 性が得られ、しかも、特に低温下での接着 定性に優れるとともに、打抜き加工性、段 吸収性および非透明導電材料腐食性に優れ 、フラットパネルディスプレイ用透明粘着 ートを提供することである。

 また、他の課題は、表示モジュール(表示 パネル)に保護透明板が、直接、或いは、こ らの間に他の機能層を介在させて、密着一 化したフラットパネルディスプレイを提供 ることである。

 本発明者等は、上記課題を解決するため 鋭意研究した結果、ポリオキシアルキレン 重合体をヒドロシリル基と反応させて得ら る硬化物のシートは、透明性が高く、しか 、表示モジュール(表示パネル)、保護透明 、タッチパネルの透明電極層等に対して、 期は良好な再剥離性を有しつつ、貼付後は 時により(好適には加熱促進することにより) 高い剥離力で接着し得るとともに、極低温で も自体が剛直化せず、その優れた接着性が極 低温でも維持されること、また、当該粘着シ ートは柔軟で優れた段差吸収性を有すること 、また、当該粘着シートは優れた打抜き加工 性を有すること、また、当該粘着シートはITO 等の透明導電性材料を腐食させない、非透明 導電性材料腐蝕性を有することを見出し、本 発明を完成するに到った。

 すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ポリオキシアルキレン系重合体を主成分と する透明粘着シートであって、
 表示モジュールと保護透明板間の接着に使 される、フラットパネルディスプレイ用透 粘着シート。
(2)下記A~C成分を含む組成物の硬化物よりなる 、上記(1)記載の透明粘着シート。
 A:1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を 有するポリオキシアルキレン系重合体
 B:1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を 有する化合物
 C:ヒドロシリル化触媒
(3)ポリオキシアルキレン系重合体を主成分と する透明粘着シートであって、
 表示モジュールと保護透明板との間に該保 透明板以外の少なくとも一層の機能層を設 た前面多層構造部の層間の接着に使用され 、フラットパネルディスプレイ用透明粘着 ート。
(4)下記A~C成分を含む組成物の硬化物よりなる 、上記(3)記載の透明粘着シート。
 A:1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を 有するポリオキシアルキレン系重合体
 B:1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を 有する化合物
 C:ヒドロシリル化触媒
(5)前面多層構造部の、(a)保護透明板と機能層 の間、(b)2つの機能層の間、及び(c)機能層と 示モジュールの間のうちの少なくとも1つの 間に介在させる、上記(3)又は(4)記載の透明 着シート。
(6)機能層がタッチパネルの構成部材である、 上記(5)記載の透明粘着シート。
(7)第1の支持体(ベースセパレーター)/粘着シ ト/第2の支持体(カバーセパレーター)の順に 層し、ロールに調製してなる、上記(1)~(6)の いずれかに記載の透明粘着シート。
(8)第1及び第2の支持体が、カチオン重合型の リコーンとオニウム塩系光開始剤を含むカ オン重合性の紫外線硬化型シリコーン系離 処理剤で剥離処理されている、上記(7)記載 透明粘着シート。
(9)表示モジュールと保護透明板との間に上記 (1)又(2)に記載の透明粘着シートを介在させて 、表示モジュールと保護透明板を密着一体化 させてなることを特徴とする、フラットパネ ルディスプレイ。
(10)表示モジュールと保護透明板との間に該 護透明板以外の少なくとも1層の機能層を設 た前面多層構造部を有し、該多層構造部内 少なくとも1つの層間に請求項3又は4記載の 明粘着シートが介在してなることを特徴と る、フラットパネルディスプレイ。
(11)前面多層構造部の、(a)保護透明板と機能 の間、(b)2つの機能層の間、及び(c)機能層と 示モジュールの間のうちの少なく1つの層間 に請求項3又は4記載の透明粘着シートが介在 てなる、上記(10)記載のフラットパネルディ スプレイ。
(12)前面多層構造部が、表示モジュールと保 透明板との間にタッチパネルを設けたもの あり、表示モジュールとタッチパネルの間 及び/又は、タッチパネルと保護透明板間に 請求項3又は請求項4記載の透明粘着シート 介在してなる、上記(10)記載のフラットパネ ディスプレイ。

 本発明のフラットパネルディスプレイ用 明粘着シートによれば、表示モジュール(表 示パネル)、保護透明板(例えば、ガラス板、 クリル板等)及びタッチパネルの構成部材( えば、透明電極層等)等に対して優れた再剥 性を有するので、例えば、表示モジュール( 表示パネル)及び保護透明板への貼付作業に いて、貼付位置がずれて、貼付作業のやり しが必要になった場合も、簡単に粘着シー を剥がして、貼付作業をやり直すことがで るため、粘着シートの貼付作業のミスによ て高価な表示モジュール(表示パネル)を廃棄 しなければならなくなるような問題は生じな い。

 また、本発明の透明粘着シートは、柔軟 あり、しかも、表示モジュール(表示パネル )、保護透明板(ガラス板、アクリル板等)及び タッチパネルの構成部材(例えば、透明電極 等)等に対して、貼付後、経時で剥離力が向 し、特に加熱により剥離力が著しく向上す ことから、十分な接着信頼性を示す。従っ 、本発明の透明粘着シートを使用すること 、表示モジュール(表示パネル)に対して保 透明板をこれらの間に空隙を残すことなく 着一体化することができ、保護透明板によ 保護が成され、かつ、優れた視認性のフラ トパネルディスプレイを実現できる。

 また、本発明の透明粘着シートは氷点下 環境下でも剛直化しないため、氷点下の環 下で使用されても、保護透明板による保護 果及び視認性が低下しない、高性能のフラ トパネルディスプレイを得ることができる

 また、本発明の透明粘着シートは、優れ 段差吸収性を有するため、保護透明板が印 層による段差を有する場合、その段差を吸 でき、印刷層周囲でのシートの浮きや気泡 発生を防止することができる。従って、印 層を有する保護透明板を使用する場合も、 示モジュール(表示パネル)と保護透明板と これらの間に空隙を残すことなく密着一体 することができる。

 また、本発明の透明粘着シートによれば 優れた打抜き加工性を有するため、携帯電 機や携帯ゲーム機等の小型機器に搭載する ラットパネルディスプレイに対応した小面 の粘着シートを打抜き加工によって生産性 く製造することができる。

 また、本発明の透明粘着シートによれば 優れた非透明導電材料腐食性を有するので 表示モジュールと保護透明板の間にタッチ ネルを設けたタッチパネル付フラットパネ ディスプレイを構成する場合も、タッチパ ルの構成部材である種々の機能層に直接貼 (接着)でき、タッチパネル付フラットパネ ディスプレイにおける保護透明板の貼り合 せにも適用することができる。

 また、本発明のフラットパネルディスプ イによれば、保護透明板と表示モジュール の間に本発明の透明粘着シートが介在する とで、空隙を残すことなく、保護透明板が 示モジュールに密着一体化した構造となり 耐衝撃性及び表示画像の視認性に優れた、 ラットパネルディスプレイを実現できる。 かも、極低温環境下においても、保護透明 と表示モジュールの一体化構造が安定に維 されることから、極低温環境下でも、優れ 耐衝撃性及び表示画像の視認性を示すフラ トパネルディスプレイとなる。

本発明の透明粘着シートにより保護透 板を液晶モジュールに接着一体化した液晶 示装置の模式断面図である。 本発明の透明粘着シートにより液晶表 モジュールに対してタッチパネル及び保護 明板を密着一体化させた液晶表示装置の模 断面図である。 定加重時剥離距離試験の説明図である 低温衝撃試験に使用する第1試験体の模 式図であり、図(a)は第1側面図、図(b)は第2側 図である。 低温衝撃試験に使用する第2試験体の模 式側面図である。 低温衝撃試験装置を模式的に示した斜 図である。 低温衝撃試験装置の試験体の装着部を す一部に断面を有する側面図である。 図(a)は低温衝撃試験の試験操作の説明 であり、図(b)は試験体に作用する力(慣性力 )の説明図である。 ITO層形成フィルムの抵抗変化率測定試 の説明図である。

符号の説明

 1 透明粘着シート
 2 液晶モジュール
 3 保護透明板
 4 タッチパネル
 100、200 フラットパネルディスプレイ

 以下、本発明を好適な実施形態に即して説 する。
 本発明でいう「フラットパネルディスプレ 」とは、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ ィスプレイ(PDP)、有機又は無機エレクトロル ミネッセンスディスプレイ(ELD)、表面電解デ スプレイ(SED)等を含む概念である。
 また、「表示モジュール」とは、例えば、 晶ディスプレイ(LCD)における液晶材料を含 パネル体(以下、「液晶パネル」ともいう。) 等の各種フラットパネルディスプレイにおけ る、表示材料を含むパネル体(以下、「表示 ネル」ともいう。)に駆動用のドライバIC等 実装したものを意味する。
 また、「保護透明板」とは、ガラス板、ア リル板、ポリカーボネート板等である。

 本発明の透明粘着シートは、ポリオキシア キレン系重合体を主成分とするシートであ 、好適には、下記A~C成分を含む組成物を硬 せしめた硬化物よりなる。
 A:1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を 有するポリオキシアルキレン系重合体
 B:1分子中に平均2個以上のヒドロシリル基を 含有する化合物
 C:ヒドロシリル化触媒

 図1は、本発明の透明粘着シートを使用し て、表示モジュールに対して保護透明板を密 着一体化させた本発明のフラットパネルディ スプレイの第1具体例による液晶ディスプレ の模式断面図である。当該液晶ディスプレ 100では、液晶表示モジュール2と保護透明板3 の間に本発明の透明粘着シート1が介在して 本発明の透明粘着シート1が液晶表示モジュ ル2及び保護透明板3に粘着することで、両 間が接着し、液晶表示モジュール2に対して 護透明板3が密着一体化している。

 なお、ここでいう「液晶モジュール」と 、前述の通り、液晶材料を含む液晶パネル 駆動用のドライバIC等を実装したものであ 。

 液晶表示モジュールにおける表示パネル 、一般に、偏光板(偏光フィルタ)/透明板(ガ ラス板、プラスチック板)/透明電極に挟まれ 液晶材料/透明板(ガラス板、プラスチック )/偏光板(偏光フィルタ)の順に積層された積 構造を少なくとも有するパネル体であり、 発明の透明粘着シートは、保護透明板に対 て高い粘着力が得られるとともに、かかる ネル体の前面板である偏光板(偏光フィルタ )に対しても高い粘着力を示す。すなわち、 光板(偏光フィルタ)は、通常、ヨウ素で染色 されたポリビニルアルコールフィルム(PVA)を トリアセチルセルロース(TAC)2枚で挟みこむ で構成され、TAC表面は無処理、ハードコー 処理、アンチグレア処理、アンチリフレク ョン処理、帯電防止処理などがされている 、本発明の透明粘着シート1は、これらの材 料に対しても高い接着性を示す。上記の一例 の液晶ディスプレイ(図1)において、本発明の 透明粘着シート1は、偏光板(偏光フィルタ)に 貼付されている。

 ところで、液晶ディスプレイに代表され フラットパネルディスプレイでは、表示モ ュール(表示パネル)と保護透明板との間に 保護透明板が外部からの衝撃を受けたとき 衝撃を緩和する衝撃緩和フィルム(例えば、 リエチレンテレフタレートフィルム、ポリ チレンナフタレートフィルム、ポリカーボ ートフィルム、ポリプロピレンフィルム、 リエチレンフィルム等)や、保護透明板が割 れたときの飛散を防する保護透明板割れ飛散 防止フィルム(例えば、ポリエチレンテレフ レートフィルム、ポリエチレンナフタレー フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポ プロピレンフィルム、ポリエチレンフィル 等)を挿入したり、表示画面の視野角向上や ントラスト比の向上の点から、光学補償フ ルム(例えば、ポリカーボネートフィルム、 シクロオレフィン樹脂フィルム、アクリル樹 脂フィルム、また表面に液晶材料を塗布、配 向させた上記および上記以外の透明フィルム 等)やガラスを挿入することがある。さらに 表示モジュール(表示パネル)と保護透明板と の間に、タッチパネル(透明電極(検出電極層) を有するガラス板/接着層/透明電極(駆動電極 層)を有するガラス板からなるパネル体)等の 属機構を設けることがある。

 このような、フラットパネルディスプレ の表示面となる前面側に、表示モジュール 保護透明板との間に保護透明板以外の機能 を1層或いは2層以上設けた多層構造部(以下 「前面多層構造部」という。)を形成する場 合、本発明の透明粘着シートは、有機材料、 無機材料を問わず、種々の材料に優れた粘着 性を示すため、前面多層構造部内での層間の 接着にも使用することができる。

 すなわち、前面多層構造部内の任意の層 (例えば、(a)保護透明板と機能層の間、(b)2 の機能層の間、(c)機能層と表示モジュール 間等)に本発明の透明粘着シートを挿入する とで、それら2つの層に粘着し、2つの層を 着させることができる。

 図2は、本発明のフラットパネルディスプ レイの第2の具体例による液晶ディスプレイ 模式断面図である。当該液晶ディスプレイ20 0は、液晶表示モジュール2と保護透明板3の間 にタッチパネル(透明電極(検出電極層)を有す るガラス板/接着層/透明電極(駆動電極層)を するガラス板からなる積層体)4を設けたもの で、液晶表示モジュール2とタッチパネル4の と、タッチパネル4と保護透明板3の間に、 発明の透明粘着シート1を挿入して、液晶表 モジュール2に対してタッチパネル4及び保 透明板3を密着一体化させている。なお、タ チパネル4内の2枚の透明電極を有するガラ 板を接着する接着層にも本発明の透明粘着 ート1を用いることができる。すなわち、本 明の透明粘着シート1は、タッチパネル4の 成部材と液晶表示モジュール2との接着、タ チパネル4の構成部材と保護透明板3との接 、タッチパネル4の構成部材間の接着にも使 することができる。

 本発明の透明粘着シートは、上記の液晶 ィスプレイ(LCD)への適用だけでなく、プラ マディスプレイ(PDP)、有機又は無機エレクト ロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、表面電 ディスプレイ(SED)等の液晶ディスプレイ(LCD) 以外のフラットパネルディスプレイにも適用 することができる。よって、本発明の透明粘 着シートを使用することで、表示モジュール (表示パネル)に保護透明板が、直接、或いは これらの間に他の機能層を介在させて、密 一体化したフラットパネルディスプレイを ることができ、耐衝撃性、表示画像の視認 等に優れるフラットパネルディスプレイを 現することができる。

 すなわち、本発明によれば、表示モジュ ルと保護透明板の間にポリオキシアルキレ 系重合体を主成分とする透明粘着シートを 在させて、表示モジュールと保護透明板間 密着一体化させた、耐衝撃性、表示画像の 認性等に優れる、フラットパネルディスプ イが提供される。

 また、表示モジュールと保護透明板との に保護透明板以外の少なくとも1層の機能層 を設けた前面多層構造部を有し、該前面多層 構造部内の少なくとも1つの層間にポリオキ アルキレン系重合体を主成分とする透明粘 シートが介在してなる、耐衝撃性、表示画 の視認性等に優れる、フラットパネルディ プレイが提供される。

 また、表示モジュールと保護透明板の間 タッチパネルを有し、表示モジュールとタ チパネル間、及び/又は、タッチパネルと保 護透明板間に、ポリオキシアルキレン系重合 体を主成分とする透明粘着シートが介在して なる、耐衝撃性、表示画像の視認性等に優れ る、フラットパネルディスプレイが提供され る。

 本発明の透明粘着シートは、高い透明性 有し、例えば、後述の試験方法で測定され シートのヘイズ値が好ましくは1.2%以下、よ り好ましくは0.9%以下を示す。従って、本発 の透明粘着シートが保護透明板と表示モジ ール(表示パネル)の間に介在することで、デ ィスプレイの表示画像の視認性が向上する。

 本発明の透明粘着シートにおいて、主成 であるA成分の「1分子中に少なくとも1個の ルケニル基を有するポリオキシアルキレン 重合体」は、特に制限はなく、各種のもの 用いることができるが、中でも、重合体の 鎖が、下記の一般式(1)で示される繰り返し 位を有するものが好適である。

 一般式(1):-R 1 -O-
(式中、R 1 はアルキレン基である)

 R 1 は、炭素数1~14の、さらには2~4の、直鎖状又 分岐状のアルキレン基が好ましい。

 一般式(1)で示される繰り返し単位の具体例 しては、-CH 2 O-、-CH 2 CH 2 O-、-CH 2 CH(CH 3 )O-、-CH 2 CH(C 2 H 5 )O-、-CH 2 C(CH 3 ) 2 O-、-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 O-等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系 合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単 位からなってもよいし、2種類以上の繰り返 単位からなってもよい。特に、入手性、作 性の点から、-CH 2 CH(CH 3 )O-を主たる繰り返し単位とする重合体が好ま しい。また、重合体の主鎖にはオキシアルキ レン基以外の繰り返し単位が含まれていても よい。この場合、重合体中のオキシアルキレ ン単位の総和は、80重量%以上が好ましく、特 に好ましくは90重量%以上である。

 A成分の重合体は、直鎖状の重合体でも分 岐を有する重合体でもよく、それらの混合物 であってもよいが、良好な粘着性を得るため に、直鎖状の重合体を50重量%以上含有してい ることが好ましい。

 A成分の重合体の分子量としては、数平均 分子量で500~50,000が好ましく、5,000~30,000がさ に好ましい。数平均分子量が500未満のもの は、得られる硬化物が脆くなりすぎる傾向 あり、逆に数平均分子量が50,000を超えるも は、高粘度になりすぎて作業性が著しく低 する傾向となるために好ましくない。ここ いう数平均分子量とは、ゲル浸透クロマト ラフィー(GPC)法により求められる値のことで ある。

 また、A成分の重合体は、重量平均分子量 と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.6以下である 子量の分布が比較的狭いものが好ましく、Mw /Mnが1.6以下である重合体は、組成物の粘度が 低くなり、作業性が向上する。よって、Mw/Mn 、より好ましくは1.5以下であり、さらに好 しくは1.4以下である。なお、ここでいう、M w/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法に より求められる値のことである。

 ここで、GPC法による分子量の測定は、東ソ 株式会社製GPC装置(HLC-8120GPC)を用いて測定さ れる、ポリスチレン換算値であり、測定条件 は以下のとおりである。
 サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
 サンプル注入量:10μl
 溶離液:THF
 流速:0.6ml/min
 測定温度:40℃
 カラム:サンプルカラム TSKgel GMH-H(S)
 検出器:示唆屈折計

 A成分の重合体(1分子中に少なくとも1個の アルケニル基を有するポリオキシアルキレン 系重合体)において、アルケニル基は特に制 はないが、下記の一般式(2)で示されるアル ニル基が好適である。

 一般式(2):H 2 C=C(R 2 )
(式中、R 2 は水素又はメチル基である)

 アルケニル基のポリオキシアルキレン系 合体への結合様式は、特に制限はないが、 えば、アルケニル基の直接結合、エーテル 合、エステル結合、カーボネート結合、ウ タン結合、ウレア結合等が挙げられる。

 当該A成分の重合体の具体例としては、
 一般式(3):{H 2 C=C(R 3a )-R 4a -O}a 1 R 5a
(式中、R 3a は水素又はメチル基、R 4a は炭素数1~20の2価の炭化水素基であって、1個 以上のエーテル基が含まれていてもよい、R 5a はポリオキシアルキレン系重合体残基であり 、a 1 は正の整数である。)
で示される重合体が挙げられる。式中のR 4a は、具体的には、-CH 2 -、-CH 2 C
H 2 -、-CH 2 CH 2 CH 2 -、-CH 2 CH(CH 3 )CH 2 -、-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 -,-CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 -、または-CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 -などを挙げることができるが、合成の容易 からは-CH 2 -が好ましい。

 また、一般式(4):{H 2 C=C(R 3b )-R 4b -OCO}a 2 R 5b
(式中、R 3b 、R 4b 、R 5b 及びa 2 は、それぞれR 3a 、R 4a 、R 5a 、a 1 と同義である。)
で示されるエステル結合を有する重合体が挙 げられる。

 また、一般式(5):{H 2 C=C(R 3c )}a 3 R 5c
(式中、R 3c 、R 5c 及びa 3 は、それぞれR 3a 、R 5a 、a 1 と同義である。)
で示される重合体も挙げられる。

 さらに、一般式(6):{H 2 C=C(R 3d )-R 4d -O(CO)O}a 4 R 5d (式中、R 3d 、R 4d 、R 5d 及びa 4 は、それぞれR 3a 、R 4a 、R 5a 及びa 1 と同義である。)
で示されるカーボネート結合を有する重合体 も挙げられる。

 アルケニル基は、A成分の重合体1分子中 少なくとも1個、好ましくは1~5個、より好ま くは、1.5~3個存在するのがよい。A成分の重 体1分子中に含まれるアルケニル基の数が1 未満になると、硬化性が不充分になり、ま 5個より多くなると網目構造があまりに密と るため、良好な粘着特性を示さなくなる場 がある。なお、A成分の重合体は、特開2003-2 92926号に記載の方法に従って、合成すること でき、また、市販されているものについて 、市販品をそのまま使用することができる

 B成分である「1分子中に平均2個以上のヒ ロシリル基を含有する化合物」は、ヒドロ リル基(Si-H結合を有する基)を有するもので れば特に制限無く使用できるが、原材料の 手の容易さやA成分への相溶性の面から、特 に有機成分で変性されたポリオルガノハイド ロジェンシロキサンが好ましい。上記有機成 分で変性されたポリオルガノハイドロジェン シロキサンは、1分子中に平均して2~8個のヒ ロシリル基を有するものがより好ましい。 リオルガノハイドロジェンシロキサンの構 を具体的に示すと、例えば、

(式中、2≦m 1 +n 1 ≦50、2≦m 1 、0≦n 1 である。R 6a は、主鎖の炭素数が2~20の炭化水素基で1個以 のフェニル基を含有してもよい)、

(式中、0≦m 2 +n 2 ≦50、0≦m 2 、0≦n 2 である。R 6b は、主鎖の炭素数が2~20の炭化水素基で1個以 のフェニル基を含有してもよい)、
又は、

(式中、3≦m 3 +n 3 ≦20、2≦m 3 ≦19、0≦n 3 <18である。R 6c は、主鎖の炭素数が2~20の炭化水素基で1個以 のフェニル基を含有してもよい)等で示され る鎖状又は環状のものや、これらのユニット を2個以上有する、以下の

(式中、1≦m 4 +n 4 ≦50、1≦m 4 、0≦n 4 である。R 6d は、主鎖の炭素数が2~20の炭化水素基で1個以 のフェニル基を含有してもよい。2≦b 1 である。R 8a は2~4価の有機基であり、R 7a は2価の有機基である。ただし、R 7a は、R 8a の構造によってはなくても構わない。)、

(式中、0≦m 5 +n 5 ≦50、0≦m 5 、0≦n 5 である。R 6e は、主鎖の炭素数が2~20の炭化水素基で1個以 のフェニル基を含有してもよい。2≦b 2 である。R 8b は2~4価の有機基であり、R 7b は2価の有機基である。ただし、R 7b は、R 8b の構造によってはなくても構わない。)、又

(式中、3≦m 6 +n 6 ≦50、1≦m 6 、0≦n 6 である。R 6f は、主鎖の炭素数が2~20の炭化水素基で1個以 のフェニル基を含有してもよい。2≦b 3 である。R 8c は2~4価の有機基であり、R 7c は2価の有機基である。ただし、R 7c は、R 8c の構造によってはなくても構わない。)
等で示されるものが挙げられる。

 B成分は、A成分及びC成分との相溶性、又 、系中での分散安定性が良好なものが好ま い。特に系全体の粘度が低い場合には、B成 分として上記各成分との相溶性の低いものを 使用すると、相分離が起こり硬化不良を引き 起こすことがある。

 A成分及びC成分との相溶性、又は、分散 定性が比較的良好なB成分を具体的に示すと 以下のものが挙げられる。

(式中、n 7 は4以上10以下の整数である、)

(式中、2≦m 8 ≦10、0≦n 8 ≦5であり、R 6g は炭素数8以上の炭化水素基である。)
 当該B成分の好ましい具体例としては、ポリ メチルハイドロジェンシロキサンが挙げられ 、また、A成分との相溶性確保と、SiH量の調 のために、α-オレフィン、スチレン、α-メ ルスチレン、アリルアルキルエーテル、ア ルアルキルエステル、アリルフェニルエー ル、アリルフェニルエステル等により変性 た化合物が例示され、一例として、以下の 造があげられる。

(式中、2≦m 9 ≦20、1≦n 9 ≦20である。)

 B成分は、公知の方法により合成すること ができ、市販されているものについては、市 販品をそのまま使用することができる。

 本発明において、C成分の「ヒドロシリル化 触媒」は特に限定されず、任意のものを使用 できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸; 金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラ ク等の担体に固体白金を担持させたもの;白 金-ビニルシロキサン錯体{例えば、Pt n (ViMe 2 SiOSiMe 2 Vi) m 、Pt〔(MeViSiO) 4 m 等};白金-ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh 3 ) 4 、Pt(PBu 3 ) 4 等};白金-ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh) 3 4 、Pt〔P(OBu) 3 4 等};Pt(acac) 2 ;Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号に記載 れた白金-炭化水素複合体;Lamoreauxらの米国 許第3220972号に記載された白金アルコラート 媒等が挙げられる。なお、上記の式中、Me メチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Ph フェニル基、acacはアセチルアセトナトを表 、n、mは整数を表す。

 また、白金化合物以外の触媒の例としては RhCl(PPh 3 ) 3 、RhCl 3 、Rh/Al 2 O 3 、RuCl 3 、IrCl 3 、FeCl 3 、AlCl 3 、PdCl 2 ・2H 2 O、NiCl 2 、TiCl 4 等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用 してもよく、2種以上併用しても構わない。 媒活性の点から、塩化白金酸、白金-ホスフ ン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体、Pt(aca c) 2 等が好ましい。

 C成分の配合量は、特に制限はないが、組成 物のポットライフの確保及びシートの透明性 の観点から、A成分中のアルケニル基1molに対 て一般に1×10 -1 mol以下、好ましくは5.3×10 -2 mol以下であるが、特にシートの透明性の観点 から、より好ましくは3.5×10 -2 mol以下、とりわけ好ましくは1.4×10 -3 mol以下である。A成分中のアルケニル基1molに して1×10 -1 molを超えると、最終的に得られるシートが黄 変しやすく、シートの透明性が損なわれる傾 向となる。なお、C成分の配合量が少なすぎ 場合、組成物の硬化速度が遅く、また硬化 が不安定になる傾向となるため、C成分の配 量は8.9×10 -5 mol以上が好ましく、1.8×10 -4 mol以上がより好ましい。

 以上説明のA~C成分を含む組成物は、粘着 与樹脂を無添加または少量添加であっても 粘着特性(他の物体への接着機能)を発現で るという特徴を有する。

 当該組成物においては、B成分(化合物B)の ヒドロシリル基が、A成分(化合物A)のアルケ ル基に対して官能基比が0.3以上、2未満とな ように配合されることが好ましく、より好 しくは当該官能基比が0.4以上、1.8未満の範 であり、さらに一層好ましくは0.5以上、1.5 満の範囲である。該官能基比が2を超えるよ うにB成分とA成分が配合されると、架橋密度 高くなり、粘着付与樹脂を無添加または少 添加において粘着特性を得ることができな なる場合がある。また、該官能基比が0.3未 になると、架橋が緩くなりすぎて、再剥離 の糊残りの発生や高温で特性保持が低下す 場合がある。このようにA成分とB成分の配 比率を特定の範囲で選択することで、粘着 与樹脂を配合しなくとも良好な粘着特性が 現し得、しかも、実用上充分に速いライン 度にて硬化させることができる。

 なお、かかる組成物には保存安定性を改 する目的で、保存安定性改良剤を配合して よい。この保存安定性改良剤としては、上 B成分の保存安定剤として知られている公知 の化合物を制限なく使用できる。例えば、脂 肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン 化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、 スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用い ることができる。具体的には、2-ベンゾチア リルサルファイド、ベンゾチアゾール、チ ゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキ レート、ジエチルアセチレンダイカルボキ レート、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール 、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE 2-(4-モルフォリニルジチオ)ベンゾチアゾー 、3-メチル-1-ブテン-3-オール、2-メチル-3-ブ ン-2-オール、アセチレン性不飽和基含有オ ガノシロキサン、アセチレンアルコール、3 -メチル-1-ブチル-3-オール、ジアリルフマレ ト、ジアリルマレエート、ジエチルフマレ ト、ジエチルマレエート、ジメチルマレエ ト、2-ペンテンニトリル、2,3-ジクロロプロ ン等が挙げられるが、これらに限定されな 。

 また、必要に応じて、液晶パネル及び/又は 保護透明板への粘着性(接着性)を向上させる めの接着付与剤を添加することができる。 着付与剤の例としては、各種シランカップ ング剤やエポキシ樹脂等が挙げられる。中 も、エポキシ基、メタクリロイル基、ビニ 基等の官能基を有するシランカップリング は、硬化性に及ぼす影響も小さく、接着性 発現にも効果が大きいため、好ましいもの ある。また、シランカップリング剤やエポ シ樹脂と併用して、シリル基やエポキシ基 反応させるための触媒を添加することがで る。なお、これらの使用にあたっては、ヒ ロシリル化反応に対する影響を考慮しなけ ばならない。また、各種充填剤、酸化防止 、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤 シリコン化合物を適宜添加してもよい。充 剤の具体例としては、シリカ微粉末、炭酸 ルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、 鉛華、ケイソウ土、硫酸バリウム等が挙げ れる。これらの充填剤の中では、特にシリ 微粉末、とりわけ粒子径が50~70nm(BET比表面 が50~380m 2 /g)程度の微粉末シリカが好ましく、その中で も表面処理を施した疎水性シリカが、強度を 好ましい方向に改善する働きが大きいので特 に好ましい。さらに、タック等の特性を上げ るため、必要に応じて粘着付与樹脂を添加し てもよく、粘着付与樹脂としては、例えば、 テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石 油樹脂、ロジンエステル等が例示され、用途 に合わせて自由に選択することができる。

 また、特性改善の面から、フェノール樹 、アクリル樹脂、スチレン樹脂、キシレン 脂等の樹脂類を添加することが可能である また、アクリル系粘着剤、スチレンブロッ 系粘着剤、オレフィン系粘着剤等の粘着剤 分を同様の目的から添加することが可能で る。

 本発明の透明粘着シートは、優れた再剥 性を有し、フラットパネルディスプレイに ける、液晶パネル等の表示パネルと保護透 板に貼り付け後に、これらから比較的容易 剥離することができる。すなわち、本発明 透明粘着シートは、後述の試験方法で測定 れる初期ガラス剥離力が10N/25mm以下、好ま くは8N/25mm以下を示す。また、後述の試験方 で測定される初期偏光板剥離力が10N/25mm以 、好ましくは8N/25mm以下を示す。従って、例 ば、透明粘着シートを介して液晶パネルと 護透明板を貼り合せる作業において、液晶 ネル又は/及び保護透明板の貼り付け位置が 所定位置からずれてしまった場合に、透明粘 着シートを剥離して、貼り合せ作業をやり直 すことができるので、高価な液晶パネルを廃 棄しなければならないという問題がない。

 一方、本発明の透明粘着シートは、経時 剥離力が向上し、特に加熱により剥離力が しく向上して、十分な接着信頼性を示す。 なわち、本発明の透明粘着シートは、後述 試験方法で測定される80℃環境下に70時間放 置後の80℃促進後ガラス剥離力が10N/25mm以上 好ましくは11N/25mm以上となる、ガラスに対す る良好な接着信頼性を示す。また、後述の試 験方法で測定される80℃環境下に70時間放置 の80℃促進後偏光板剥離力が10N/25mm以上、好 しくは11N/25mm以上となる、偏光板に対する 好な接着信頼性を示す。従って、例えば、 明粘着シートを介して液晶パネルと保護透 板を貼り合せる作業において、貼り付けた 置が所定の位置からズレてしまった場合、 明粘着シートを剥離して、貼り合せ作業を り直すことができる一方、正確に貼り合わ た場合は、経時で剥離力が上昇するため、 使用に耐える接着の信頼性を示す。

 また、本発明の透明粘着シートは、特に低 での接着安定性に優れ、氷点下の温度下で 、表示パネル及び保護透明板に対して高い 着力を持続し得る。すなわち、本発明の透 粘着シートは、-30℃でのせん断貯蔵弾性率( G’)が6.0×10 5 (Pa)以下、好ましくは5.5×10 5 (Pa)以下を示す。せん断貯蔵弾性率(G’)は粘 性体の硬さの指標として知られるが、本発 の透明粘着シートは、-30℃でのせん断貯蔵 性率(G’)が6.0×10 5 (Pa)以下であり、低温で剛直化しないため、 点下の温度下でも高い粘着力を維持すると えられる。また、温度-時間換算則を考慮す と、ある温度における高速の変形に対して 、より低温での粘弾性体の特性が影響する そのため、-30℃における接着安定性を議論 る際には、より低温での粘弾性挙動を考慮 る必要がある。本発明の透明粘着シートは -50℃におけるせん断貯蔵弾性率も6.0×10 5 (Pa)以下である。そのため、低温での接着安 性が非常に優れていると考えられる。

 なお、後述の比較例1~3から分かるように、 クリル系の透明粘着シートやシリコーン系 透明粘着シートの-30℃でのせん断貯蔵弾性 (G’)は、低いものでも6.8×10 5 (Pa)(比較例2)であり、-50℃でのせん断貯蔵弾 率(G’)は、低いものでも1.4×10 7 (Pa)(比較例3)であり、本発明の透明粘着シー が極めて良好な低温での接着安定性(粘着力 持続性)を有することが分かる。

 また、例えば、携帯ゲーム機、デジタル デオカメラ、カーナビゲーションシステム 小型音楽再生機、小型ビデオ再生機、携帯 話機等における、液晶ディスプレイ(LCD)に いて、液晶パネルの前面に液晶画面上の表 を押さえることで機器を操作する、所謂、 ッチパネル機構を設ける場合、透明電極層 形成したガラスやプラスチックフィルムに 発明の透明粘着シートを粘着するが、本発 の透明粘着シートはITO、TO(酸化錫)、ZnO(酸化 亜鉛)、CTO(酸化錫カドミウム)等の透明導電性 材料と接触しても該透明導電性材料を腐食さ せない、優れた非透明導電性材料腐食性(特 非ITO腐食性)を有するので、保護透明板と表 モジュールとの間にタッチパネルを介在さ る場合に有利に作用する。

 また、本発明の透明粘着シートは後述の 験例から分かるように、優れた段差吸収性 有する。従って、例えば、保護透明板の周 に黒色等の濃色の印刷層(通常、厚みは0.1~20 μm程度の印刷層)を形成した場合も、該印刷 の端部での段差を十分に吸収でき、印刷層 端部で透明粘着シートの浮き(空隙)が発生す るという問題も生じない。

 本発明の透明粘着シートの厚みは、表示 置(フラットパネルディスプレイ)の種類等 よっても異なるが、表示装置(フラットパネ ディスプレイ)の薄型化の点から、通常、100 0μm以下の厚み、好ましくは500μm以下の厚み 使用される。ただし、厚みが薄すぎると、 護パネル上に形成された印刷部の段差吸収 の点で好ましくないため、厚みの下限は好 しくは10μm以上である。より好ましい厚みは 15~300μmであり、とりわけ好ましくは25~250μmで ある。

 なお、本発明の透明粘着シートは、基本 に無溶剤での作製が可能であり、低分子量 揮発性の高いオリゴマー成分やモノマー成 が少ないという特徴を有している。そのた 、近年、日常的に使用されるようになって たフラットパネルディスプレイ搭載機器に 用しても、人体に与える悪影響が少ないと う利点もある。

 本発明の透明粘着シートは、例えば、以下 方法で製造される。
 ポリオキシアルキレン系重合体を主体成分 する組成物(上記A~C成分を含む組成物)を、 要に応じて有機溶剤とともに、真空機能を えた攪拌装置に仕込み、真空状態(真空下)で 攪拌することで脱泡を行い、該真空脱泡後の 流動物を各種の支持体上に塗布(流延)し、熱 理してシート化する。熱処理によって組成 は加熱硬化され、硬化物によるシートが得 れる。支持体上への塗布は、例えば、グラ ア、キス、コンマ等のロールコーター、ス ット、ファンテン等のダイコーター、スク ズコーター、カーテンコーター等の公知の 布装置によって行うことができる。この際 熱処理条件としては50~200℃(好ましくは100~16 0℃)で、0.01~24時間(好ましくは0.05~4時間)程度 熱するのが好ましい。なお、上記の真空機 を備えた攪拌装置としては、公知の真空装 付攪拌装置を使用すればよく、具体的には 遊星式(公転/自転方式)攪拌脱泡装置やディ パー付脱泡装置等が挙げられる。また、真 脱泡を行う際の減圧の程度としては、10kPa 下が好ましく、3kPa以下がより好ましい。ま 、攪拌時間は攪拌装置や流動物の処理量に っても異なるが、概ね、0.5~2時間程度が好 しい。脱泡処理により、シート内には実質 に気泡(ボイド)が存在せず、優れた光学的特 性(透明性)を示す。例えば、後述の試験方法 測定されるシートのヘイズ値が好ましくは1 .2%以下、より好ましくは0.9%以下を示す。

 本発明の透明粘着シートを、特に、携帯 話機、携帯ゲーム機、カーナビゲーション ステム等の小型機器に搭載するフラットパ ルディスプレイの表示パネルと保護透明板 貼り合せに使用する場合、小面積サイズの ートに加工する必要があるが、量産性(生産 効率)を考慮した場合、例えば、第1の支持体( ベースセパレーター)/上記A~C成分を含む組成 の硬化物層(透明粘着シート)/第2の支持体( バーセパレーター)の積層構成からなるロー を調製し、該ロールを展開しつつ、打抜き 工を施して製造するのが好ましい。

 上記ロールは、例えば、第1の支持体に離 型処理剤を塗布して離型処理を行う一方、上 記A~C成分を含む組成物の攪拌、真空脱泡を行 い、該真空脱泡後の流動物を第1の支持体上 塗布(流延)し、熱処理してシート化し、その 上に離型処理を施した第2の支持体を貼り合 た後、ロール状に巻き取ることで作製され 。

 第1及び第2の支持体の具体例としては、例 ば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポ リエステル、エチレン-メタクリル酸コポリ ーの分子間を金属イオン(Na + 、Zn 2+ 等)で架橋したアイオノマー樹脂、EVA(エチレ ・酢酸ビニルコポリマー)、PVC(ポリ塩化ビ ル)、EEA(エチレン・エチルアクリレートコポ リマー)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレ )、ポリアミド、ポリブチラール、ポリスチ レンなどの熱可塑性樹脂;ポリスチレン系、 リオレフィン系、ポリジエン系、塩ビ系、 リウレタン系、ポリエステル系、ポリアミ 系、フッ素系、塩素化ポリエチレン系、ポ ノルボルネン系、ポリスチレン・ポリオレ ィン共重合体系、(水添)ポリスチレン・ブタ ジエン共重合体系、ポリスチレン・ビニルポ リイソプレン共重合体系などのゴム弾性を示 す種々の熱可塑性エラストマー;ポリエチレ 、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに 可塑性エラストマーをブレンドしたもの等 らなる単層のフィルム(シート)や、ポリオレ フィン(ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン( PE)等)/熱可塑性樹脂(例えば、EVA)/ポリオレフ ン、ポリオレフィン(PP又はPE)+熱可塑性エラ ストマー/ポリオレフィン(PP又はPE)、PP/PE/PPな どの多層(積層)、ポリオレフィン+熱可塑性エ ラストマーのブレンド比を変えた複合系の多 層(積層)等の多層のフィルム(シート)等が挙 られる。また、含浸紙、コート紙、上質紙 クラフト紙、布、アセテート布、不織布、 ラス布等が挙げられる。

 第1及び第2の支持体に使用する離型処理 としては、例えば、シリコーン系離型処理 、フッ素系離型処理剤、長鎖アルキル系離 処理剤等を挙げることができ、中でも、シ コーン系離型処理剤が好ましく、硬化方法 しては、紫外線照射や電子線照射等の硬化 法を用いるのが好ましい。さらに、シリコ ン系離型処理剤の中でもカチオン重合性の 外線硬化型シリコーン系離型処理剤が好ま い。カチオン重合性の紫外線硬化型シリコ ン系離型処理剤は、カチオン重合型のシリ ーン(分子内にエポキシ官能基を有するポリ ルガノシロキサン)とオニウム塩系光開始剤 を含む混合物であるが、オニウム塩系光開始 剤がホウ素系光開始剤からなるものが特に好 ましく、このようなオニウム塩系光開始剤が ホウ素系光開始剤からなるカチオン重合性の 紫外線硬化型シリコーン系離型処理剤を使用 することで特に良好な剥離性(離型性)が得ら る。カチオン重合型のシリコーン(分子内に エポキシ官能基を有するポリオルガノシロキ サン)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ 官能基を有するものであって、直鎖状のもの 、分岐鎖状のものまたはこれらの混合物であ ってもよい。ポリオルガノシロキサンに含有 されるエポキシ官能基の種類は特に制限され ないが、オニウム塩系光開始剤によって開環 カチオン重合が進行するものであればよい。 具体的には、γ-グリシジルオキシプロピル基 、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、 β-(4-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシル)プロ ピル基などが例示できる。かかるカチオン重 合型のシリコーン(分子内にエポキシ官能基 有するポリオルガノシロキサン)は上市され おり、市販品を使用することができる。例 ば、東芝シリコーン社製のUV9315、UV9430、UV93 00、TPR6500、TPR6501等、信越化学工業社製のX-62- 7622、X-62-7629、X-62-7655、X-62-7660,X-62-7634A等、荒 川化学社製のPoly200、Poly201、RCA200、RCA250、RCA2 51等を挙げることができる。

 カチオン重合性のシリコーンの中でも下 の構造単位(A)~(C)からなるポリオルガノシロ キサンが特に好ましい。


 

 また、かかる構造単位(A)~(C)からなるポリ オルガノシロキサンにおいては、構造単位(A) ~(C)の組成比((A):(B):(C))が50~95:2~30:1~30(mol%)であ ものが特に好ましく、50~90:2~20:2~20(mol%)であ ものがとりわけ好ましい。なお、かかる構 単位(A)~(C)からなるポリオルガノシロキサン はPoly200、Poly201、RCA200、X-62-7622、X-62-7629、X-62 -7660として入手できる。

 一方、オニウム塩系光開始剤としては、公 のものを特に制限無く使用できる。具体例 しては、例えば、(R 1 ) 2 I + X - 、ArN 2 + X - 、又は(R 1 ) 3 S + X - 、(これらの式中、R 1 はアルキル基および/またはアリール基を、Ar はアリール基を、X - は[B(C 6 H 5 ) 4 ] - 、[B(C 6 F 5 ) 4 ] - 、[B(C 6 H 4 CF 3 ) 4 ] - 、[(C 6 F 5 ) 2 BF 2 ] - 、[C 6 F 5 BF 3 ] - 、[B(C 6 H 3 F 2 ) 4 ] - 、BF 4 - 、PF 6 - 、AsF 6 - 、HSO 4 - 、またはClO 4 - 等を示す。)で表される化合物が挙げられる 、これの中でも、式中のX - が[B(C 6 H 5 ) 4 ] - 、[B(C 6 F 5 ) 4 ] - 、[B(C 6 H 4 CF 3 ) 4 ] - 、[(C 6 F 5 ) 2 BF 2 ] - 、[C 6 F 5 BF 3 ] - 、[B(C 6 H 3 F 2 ) 4 ] - 又はBF 4 - である化合物(ホウ素系光開始剤)が好ましく 特に好ましくは(R 1 ) 2 I + [B(C 6 F 5 ) 4 ](式中、R 1 は置換又は非置換のフェニル基を示す)で表 される化合物(アルキルヨードニウム,テトラ キス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)であ る。なお、オニウム塩系光開始剤として、従 来からアンチモン(Sb)系開始剤が知られてい が、アンチモン(Sb)系開始剤を使用した場合 重剥離化が起こり、透明粘着シートをセパ ーターから剥離しにくい傾向となる。

 オニウム塩系光開始剤の使用量は特に制 されるものではないが、カチオン重合型の リコーン(ポリオルガノシロキサン)100重量 に対して、0.1~10重量部程度とするのが望ま い。使用量が0.1重量部より少ないと、シリ ーン剥離層の硬化が不十分となるおそれが る。また使用量が10重量部より多いと、コス ト面において実用的ではない。なお、カチオ ン重合型のシリコーン(ポリオルガノシロキ ン)とオニウム塩系光開始剤を混合する際、 ニウム塩系開始剤を有機溶剤に溶解または 散させてポリオルガノシロキサンに混合し もよい。有機溶剤の具体例としては、イソ ロピルアルコール、n-ブタノール等のアル ール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン のケトン系溶剤;酢酸エチル等のエステル系 溶剤などが挙げられる。

 離型処理剤の塗布は、例えば、ロールコー ー法、リバースコーター法、ドクターブレ ド法等の一般的な塗工装置を用いて行うこ ができる。離型処理剤の塗布量(固形分量) 特に限定はされないが、一般に0.05~6mg/cm 2 程度である。

 以下、実施例および比較例を示して、本 明をより具体的に説明する。なお、実施例 び比較例の粘着シートの物性評価(試験)は の方法で行った。

[せん断貯蔵弾性率(G’)]
 粘着剤層の厚みが10~250μmの粘着シートを貼 合せ、約0.5~1mmに積層する。積層されたシー トをφ7.9mmの円形に打抜いたものを測定試料 し、以下の方法で測定した。
 測定装置:Rheometric Scientific社製 ARES
 測定条件:測定温度 -30℃、及び-50℃
 測定周波数 1Hz(6.28rad/sec)

[ヘイズ値]
 粘着剤層の厚さ200μmの粘着シートを50mm×25mm の大きさに切り取って試料片とし、これをガ ラス基板(松浪硝子社製 S-1111(商品名))に貼り 合わせ、測定試料とした。ヘイズ値の測定は 、ヘイズメーター(村上色彩研究所製 HM-150( 品名))を用い、装置の受光面側にサンプルが 位置するように設置し、試料片のセパレータ ー(支持体)を剥離して、JIS K 7136に準拠して 定を行った。

[揮発性有機物質量測定]
 粘着剤(粘着組成物)重量がおおよそ0.2gにな ようにシートを任意の大きさに切断したの 、セパレーターを剥離して粘着剤のみとし 容量21.5mlのバイアル瓶に入れて秤量し、そ 後密栓した。その後試料を入れた瓶をヘッ スペースサンプラー(モデル名 7694、Hewlett  Packard社製)により140℃、30分間加熱した。ヘ ドスペースサンプラーの条件は、加熱時間12 分間、ループ充填時間12分間、ループ平衡時 5分間、注入時間3分間、試料ループ温度160 、トランスファーライン温度200℃とした。 の後加熱状態のガス1.0mlをガスクロマトグラ ム(モデル名 6890 Hewlett Packard社製)に注入し 測定を行った。この時のガスクロマトグラ の条件は、カラムがDB-FFAP1.0μm(直径0.532mm、 さ30m)、キャリアーガスがヘリウム、キャリ アーガス流量が5.0ml/min、検出器がFID、検出器 温度が250℃だった。得られたガスクロマトグ ラムのチャートから、発生ガス量をトルエン 換算して試料1gあたりの揮発性有機物質量(μg )とした。

[再剥離性評価試験]
 1.定加重時剥離距離
 図3に示すように、幅20mm、全長70mmの粘着シ ト(試料片)S1を一端側から、ガラス21に長さ5 0mm貼り合わせ、他端に10gの錘24をつけ、粘着 ートS1がガラス21から剥離するまで(錘が落 するまで)の時間(剥離時間)及びスタート位 からの経時によるズレ距離(剥離距離)を測定 した。図中、符号22は粘着層、符号23はセパ ーター(支持体)である。
 ガラスへの粘着シートS1の貼付けは、1kgロ ラー1往復の荷重で行った。
 剥離時間は、貼付け後、直ちに室温で計測 開始した。
 ズレ距離は、測定開始5分後及び21時間後を 定し、これを定加重時剥離距離(mm)とした。

 2.初期再剥離性試験(初期ガラス剥離力、初 偏光板剥離力)
 粘着剤(粘着組成物)層の片側に離型処理を していないポリエステルフィルム(厚さ100μm) を貼り合せ、幅25mm、長さ100mmの試料片を切り 取った。試料片のセパレーター(支持体)を剥 して、ガラス板(旭硝子社製PD200)に2kgローラ ーで1往復の貼り合せ条件にて圧着した後、24 時間室温にて放置した。これを引張試験機に 装着し、引張速度300mm/分で90°方向に剥がし 試料片の引き剥がし粘着力を測定し、これ 初期ガラス剥離力とした。

 市販の偏光板(日東電工社製 SEG1425DUHC)を 表面側にハードコート処理面が配置される うに、ガラス板(旭硝子製PD200)に貼り合せた ものを、ガラス板に変えて使用した以外は上 記と同様の操作を行い、試料片の引き剥がし 粘着力を測定し、これを初期偏光板剥離力と した。

[接着信頼性評価試験(80℃促進後ガラス剥離 、80℃促進後偏光板剥離力)]
 試料片のガラス板または偏光板への圧着後 24時間室温放置を、80℃の環境下での70時間 置に変更した以外は、上記の初期再剥離性 験と同様の操作を行って、試料片の引き剥 し粘着力を測定し、それらを、80℃促進後 ラス剥離力と、80℃促進後偏光板剥離力とし た。

[低温衝撃試験]
 図4(a)、(b)に示すように、第1幅:50mm、第2幅:1 20mm、厚み2.8mmのサイズのガラス板(旭硝子製PD 200)31と、第1幅:50mm、第2幅:70mm、厚み2.0mmのサ ズのアクリル板(三菱レイヨン社製アクリラ イト)32Aの片面に同一サイズの偏光板(日東電 社製 SEG1425DUHC)32Bを積層した積層板32とを用 意し、互いの長手方向一端側の終端部(幅10mm) を厚み200μmの透明粘着シート(試料)33を介し 接着して、第1試験体34を作製した。また、 1試験体34における1枚のガラス板31を、厚み12 5μmの透明粘着シート35を用いて3枚のガラス (旭硝子製PD200)31を接着・一体化した多重ガ ス板36に代えた第2試験体37(図5)を作製した。

 次に、図6に示す、板厚が6mmで、L字断面(L 字の一辺と他辺がそれぞれ50mm)のステンレス プレートで作製された矩形枠体(長辺が610mm 短辺が322mm)からなる第1アングル41に、板厚 3mmで、L字断面(L字の一辺と他辺がそれぞれ2 5mm)のステンレス製プレートで作製された矩 枠体(長辺が1010mm、短辺が322mm)からなる第2ア ングル42を垂直に起立させ、該第2アングル42 上端枠42Aに、板厚が3mmで、L字断面(L字の一 と他辺がそれぞれ25mm)のステンレス製プレ トで作製された矩形枠体(長辺が915mm、短辺 310mm)からなる第3アングル(総重量3.3kg)43の上 枠43Aを蝶番で繋いて、第3アングル43が第2ア ングル42に対して回動するようにした装置を い、-30℃の環境下、図7に示すように、第3 ングル43の下端枠43Bの断面をコ字状にして試 験体保持部に試験体34(37)を保持し(積層板32の 下端から20mmの長さ部分を保持)、次に、図8(a) に示すように、第3アングル43を第2アングル42 に対して所定角度(α)をなす位置まで持ち上 た後、手を離して、第2アングル42に衝突さ る(矢印aのように移動させる)。この操作を 度(α)を変更して行う。

 上記の衝突によって、図8(b)に示されるよ うに、ガラス板31(36)には、図中の矢印bの方 へ力(慣性力)が加わるが、この力により、ガ ラス板31(36)が積層板32から透明粘着シート(試 料)33ごと剥がれる角度を測定し、これを剥が れ角度とした。

[打ち抜き加工性評価]
 任意の台座の上に、厚さ2mmのポリスチレン を設置し、その上に幅10mm、長さ50mmのシー を配置した。該シートは下側からベースセ レーター(支持体)、粘着剤、カバーセパレー ター(剥離ライナー)の構成であった。このシ トを刃先43°、表面をミラー処理したトムソ ン刃で上部から圧着し、シートを切断した。 切断されたシートの断面をマイクロスコープ で観察した。観察結果からダレ(粘着剤が切 時応力で変形し、はみだして垂れたもの)の 生率(%)、浮き(切断時応力で粘着剤がベース セパレーターから浮いたもの)の発生率(%)を れぞれ下記式により算出した(それぞれn=10回 の切断、観察の平均値)。
 ダレ発生率(%)=(ダレの長さ(mm)/サンプル幅(10 mm))×100
 浮き発生率(%)=(浮きの長さ(mm)/サンプル幅(10 mm))×100
 なお、ダレの長さ、浮きの長さは、いずれ 、画像処理ソフト(三谷商事社製 WinROOF)に り測定した。

[段差吸収性試験]
 厚み2.8mmの透明ガラス基板(旭硝子社製 PD200 )の片面に高さ3μmのライン電極(高さ:3μm、電 幅:80μm、ライン間距離:450μm)を形成した透 ガラス電極基板を用意し、この透明ガラス 極基板の電極形成面に、カバーセパレータ (剥離ライナー)を剥離した粘着シート(第1幅5 0mm×第2幅25mm×厚み100μm)を1kgローラーで1往復 貼り合せ条件にて圧着した。この試料を透 ガラス電極基板の裏側からマイクロスコー で観察し、電極の脇に段差吸収不足による きや気泡の発生がないかを、以下の基準で 価した。
 〇:浮き及び気泡なし
 △:ライン電極脇にのみ浮き及び/又は気泡 り
 ×:ランダムに浮き及び/又は気泡あり

[ITO層形成フィルムの抵抗変化率測定]
 図9に示すように、表面にITO層が形成された フィルム(日東電工社製、エレクリスタ(商品 ))を幅2.5cm、長さ7cmに切断した。このフィル ム51の長さ方向の両端1.5cmに銀ペースト(藤倉 成社製、ドータイト(商品名))を塗布後、加 乾燥して銀層52を形成した。その後、幅2cm 長さ5cmに切断した粘着シートのカバーセパ ーター(剥離ライナー)を剥離し、粘着シート (試料)53をハンドローラーで上記の銀層52を形 成したITOフィルム51に貼り付け、試験体を作 した。テスター54で銀層52間の抵抗値を測定 してこれを初期抵抗値とした。その後、試験 体を温度60℃、湿度90%の環境に投入し、45、72 、140時間後に銀層52間の抵抗値を測定した。 のときの抵抗値を初期抵抗値で割った値を 抗変化率(%)とした。また、同時に粘着テー を貼り付けていない試験体をブランク試料 して測定した。

(実施例1)
 (A)成分であるポリオキシアルキレン系重合 (数平均分子量:約20,000)に、(B)成分であるヒ ロシリル化合物(そのヒドロシリル基量が(A) 成分のポリオキシアルキレン系重合体のアル ケニル基量に対して官能基比で0.75となる量) よび(C)成分であるヒドロシリル化触媒を含 組成物(株式会社カネカ製)(A成分中のアルケ ニル基に対して0.75mol)を真空装置付攪拌装置( シーテック社製ミニダッポー)に投入し、真 状態(100Pa)で1時間攪拌して脱泡をおこなった 。次いで、真空脱泡された組成物を室温下で ロールコーターを用い、離型処理が施された ポリエステルフィルム(厚さ100μm)からなるベ スセパレーター(支持体)上に、組成物の厚 が200μmになるように塗布(流延)した。加熱オ ーブンで130℃で10分間加熱することで硬化さ 、こうして得られた硬化シートに、同様に 型処理が施されたポリエステルフィルム(厚 さ100μm)からなるカバーセパレーター(剥離ラ ナー)を貼り合せることによって透明粘着シ ート(厚み:200μm)を得た。

 得られた透明粘着シートは透明性が高く(ヘ イズ値:0.5%)、気泡の混入は見られなかった。 透明粘着シートの-30℃におけるせん断貯蔵弾 性率(G’)は2.5×10 5 (Pa)、-50℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)は4. 3×10 5 (Pa)であった。そして、この透明粘着シート 、揮発性有機物質量、初期及び80℃促進ガラ ス剥離力、初期及び80℃促進偏光板剥離力、 加重時剥離距離、低温衝撃試験(低温接着安 定性)、並びに打抜き加工性を評価した。表1 その結果を示す。

(比較例1)
 アクリル酸ブチル97重量部(以下、「部」と 称する)、アクリル酸3部、アゾビスイソブ ロニトリル0.4部を酢酸エチル100部に溶解さ て攪拌下に約60℃で反応させて得たアクリル 系ポリマーの溶液に、イソシアネート系架橋 剤3部を配合し、これを厚さ25μmのポリエステ ル系のベースセパレーター(支持体)上に塗布 、加熱乾燥し、粘着剤(塗布乾燥物)の厚み 20μmになるようにポリエステル系のカバーセ パレーター(剥離ライナー)を貼り合わせ、粘 剤厚み20μmの粘着シートを得た。この粘着 厚みが20μmの粘着シートを貼り合わせて粘着 剤厚み200μmの粘着シートを作製し、該粘着シ ートのせん断貯蔵弾性率(G’)を測定したとこ ろ、-30℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)は6.2 ×10 7 (Pa)、-50℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)は9. 7×10 7 (Pa)であった。また、この粘着シートを用い 、揮発性有機物質量、初期及び80℃促進ガラ ス剥離力、初期及び80℃促進偏光板剥離力、 加重時剥離距離、低温衝撃試験(低温接着安 定性)、並びに打抜き加工性を評価した。表1 その結果を示す。

(比較例2)
 冷却管、窒素導入管、温度計、紫外線照射 置及び拡販装置を備えた反応容器に、アク ル酸2-エチルへキシル(東亞合成社製)100重量 部(以下、「部」と略称する)、アクリル酸2- ドロキシエチル(東亞合成社製 アクリック  HEA(商品名))15部、光重合開始剤(チバ・スペ シャリティケミカルズ社製 イルガキュア184( 商品名))0.15部、光重合開始剤(チバ・スペシ リティケミカルズ社製 イルガキュア651(商 名))0.05部を入れ、紫外線照射により重合処 して、重合率約10重量%の重合体、単量体組 物からなる粘性液体を得た。次に、この粘 液体に、トリメチロールプロパンアクリレ ト(大阪有機化学社製 V♯295)0.15部、光重合 始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製 イルガキュア184 商品名)0.15部、光重合開始 (チバ・スペシャリティケミカルズ社製 イ ガキュア651(商品名))0.05部を配合して、光重 合組成物を調製した。この光重合組成物を、 剥離処理が施されたポリエステルフィルム( さ75μm)上に、組成物の厚みが200μmになるよ に塗布(流延)し、さらにこの上にカバー用の ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を被せた後 紫外線ランプにて、2000mJ/cm 2 の紫外線を照射して、光重合させることによ り、紫外線硬化型アクリル系粘着剤シートを 形成した。得られた粘着シートの-30℃におけ るせん断貯蔵弾性率(G’)は6.8×10 5 (Pa)、-50℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)は3. 8×10 7 (Pa)であった。この粘着シートを用いて、揮 性有機物質量、初期及び80℃促進ガラス剥離 力、初期及び80℃促進偏光板剥離力、定加重 剥離距離、低温衝撃試験(低温接着安定性) 並びに打抜き加工性を評価した。表1にその 果を示す。

(比較例3)
 ポリジメチルシロキサンを主骨格としたシ コーン系重合体(東レ・ダウ・コーニング製 SD4592PSA)100重量部(以下、「部」と略称する)、 架橋剤(東レ・ダウ・コーニング製BY24-741)0.6 、硬化剤(東レ・ダウ・コーニング製SRX-212)0. 54部を混合・攪拌して得られた配合物を厚さ3 8μmのポリエステル系セパレーター上に塗布 、加熱乾燥し、さらに粘着剤(塗布乾燥物)の 厚みが50μmになるようにポリエステル系のカ ーセパレーター(剥離ライナー)を貼り合わ 、粘着剤厚みが50μmの粘着シートを得た。こ の粘着剤厚みが50μmの粘着シートを貼り合わ て粘着剤厚み200μmの粘着シートを作製し、 粘着シートのせん断貯蔵弾性率(G’)を測定 たところ、-30℃におけるせん断貯蔵弾性率( G’)は4.3×10 6 (Pa)、-50℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)は1. 4×10 7 (Pa)であった。この透明粘着シートの揮発性 機物質量、初期ガラス剥離力、初期偏光板 離力、定加重時剥離距離及び低温衝撃試験( 温接着安定性)を評価した。表1にその結果 示す。

 表1から、本発明の透明粘着シートは貼り 合わせ初期は再剥離性に優れ、貼り合わせ後 加熱促進することで、ガラス板及び偏光板( 示パネル)に対して高い粘着力にて接着し、 ラス板及び偏光板(表示パネル)に対して高 接着信頼性が得られ、しかも、氷点下以下 極低温においても剛直化せず、高い接着信 性が維持されることが分かる。また、打抜 加工性、すなわち、小面積サイズシートの 産性に優れ、小型機器に搭載される小型デ スプレイに好適に対応できることが分かる また、揮発性有機物質量が少なく、人体に える悪影響が少なく、特に携帯機器のディ プレイに好適に対応できることが分かる。

 一方、従来のアクリル系の粘着シートや リコーン系の粘着シートは、貼り合わせ初 からある程度高い粘着力にてガラス板及び 光板(表示パネル)に対して接着するため、 り合わせミスをしたときに、貼り合わせの り直しが困難なものであることが分かる。 た、打抜き加工に対応できず、小型機器に 載される小型ディスプレイに対応しにくい のであることが分かる。また、揮発性有機 質量が少ないとはいえず、人体に与える悪 響が懸念されるため、安全性の点で、携帯 器等のディスプレイに使用するのは余り好 しくないといえる。

 また、アクリル系の粘着シートは、極低 での接着信頼性に欠け、寒冷地や山岳部で 用されるフラットパネルディスプレイへの 用は余り好ましくなくいといえる。一方、 リコーン系の粘着シートは低温衝撃試験(-30 ℃)では良好な結果が得られているが、本発 の粘着シートに比べて、-30℃でのせん断貯 弾性率が大きく、-50℃でのせん断貯蔵弾性 ではその差が一層拡大しており、本発明の 着シートが極低温でも極めて剛直化しにく 、極低温での使用に極めて好適なものであ ことが分かる。

(実施例2)
 組成物の塗布厚みを100μmに変更した以外は 施例1と同様にして透明粘着シートを作製し 、得られた透明粘着シートを用いて段差吸収 性試験を行った。結果を表2に示す。

(比較例4)
 厚みを100μmとなるように貼り合わせた以外 比較例1と同様にして透明粘着シートを作製 し、得られたシートを用いて段差吸収性試験 を行った。結果を表2に示す。

(比較例5)
 厚みを100μmとなるように貼り合わせた以外 比較例3と同様にして透明粘着シートを作製 し、得られたシートを用いて段差吸収性試験 を行った。結果を表2に示す。

 表2から、本発明の透明粘着シートは従来の アクリル系やシリコーン系の粘着シートに比 べ、優れた段差吸収性を有しており、例えば 、保護透明板の被着面に印刷層が形成されて 、被着面が段差を有する場合であっても、そ の段差を吸収でき、シートの浮きや気泡の発 生を防止できることが分かる。
(実施例3)
 組成物の塗布厚みを250μmに変更した以外は 施例1と同様にして透明粘着シートを作製し 、得られた透明粘着シートを用いてITO層形成 フィルム抵抗値測定を行った。結果を表3に す。

(比較例6)
 粘着剤(塗布乾燥物)の厚みを25μmに変更した 以外は比較例1と同様にしてシートを作製し 得られたシートを用いてITO層形成フィルム 抗値測定を行った。結果を表3に示す。

(比較例7)
 比較例2と同様にして厚さ200μmのシートを作 製し、得られたシートを用いてITO層形成フィ ルム抵抗値測定を行った。結果を表3に示す

(比較例8)
 比較例2中におけるアクリル酸2-エチルヘキ ルの代わりに、アクリル酸イソオクチル(大 阪有機化学社製、IOAA(商品名))を、アクリル 2-ヒドロキシエチル15重量部の代わりにアク ル酸(大阪有機化学社製)11重量部を使用した 以外は、比較例2と同様の方法で光重合組成 を調製し、粘着剤の厚さが175μmになるよう 紫外線硬化型アクリル系粘着シートを作製 た。粘着シートのせん断貯蔵弾性率(G’)を 定したところ、-30℃におけるせん断貯蔵弾 率(G’)は2.5×10 8 (Pa)、-50℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)は5. 7×10 8 (Pa)であった。このシートを用いてITO層形成 ィルム抵抗値測定を行った。結果を表3に示 。

 表3から、本発明(実施例3)の透明粘着シー トは、ブランクと略同じ抵抗変化を示し、経 時によっても、ITO層を腐蝕させず、従来のア クリル系粘着シートに比べて、ITO層の抵抗上 昇を極めて小さく押さえることができること が分かる。

産業上の利用の可能性

 本発明はフラットパネルディスプレイの保 透明板による保護効果及び視認性向上に寄 する。また、小型のフラットパネルディス レイやタッチパネル付フラットパネルディ プレイにも対応でき、小型のフラットパネ ディスプレイやタッチパネル付フラットパ ルディスプレイにおける保護透明板による 護効果及び視認性向上に有利に作用する。
 本出願は日本で出願された特願2007-112194を 礎としており、それらの内容は本明細書に て包含される。