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Patent Searching and Data


Title:
TREATMENT APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119236
Kind Code:
A1
Abstract:
A treatment apparatus by which a magnetic field of a proper magnitude can be applied to a specific place of a treatment object. The treatment apparatus is characterized by comprising a magnetic field generation part (10) which is provided with first and second core members (11, 12) having end faces arranged oppositely and radiating lines of magnetic force therebetween and coils (13) provided at the bases of the first and second core members (11, 12); a space adjustment part (20) which adjusts a space between the end face of the first core member (11) and that of the second core member (12); and a magnetic field control part (30) which controls energization of the coil (13) according to the space between the end face of the first core member (11) and that of the second core member (12), thereby adjusting the intensity of the magnetic field to be generated by the magnetic field generation part (10).

Inventors:
OKAMOTO KAZUO (JP)
ISHII TAKEO (JP)
ONODA MASAHIRO (JP)
KUBOTERA YUKINORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053443
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
February 25, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TERUMO CORP (JP)
OKAMOTO KAZUO (JP)
ISHII TAKEO (JP)
ONODA MASAHIRO (JP)
KUBOTERA YUKINORI (JP)
International Classes:
A61N2/00
Foreign References:
JPH07171220A1995-07-11
JPH03158176A1991-07-08
JP2005237687A2005-09-08
JPH0810163Y21996-03-27
JP3632073B22005-03-23
Attorney, Agent or Firm:
HATTA & ASSOCIATES (JP)
Hatta international patent business corporation (JP)
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Claims:
 相互間で磁力線を放射する端面が対向配置された第1および第2のコア部材と、当該第1および第2のコア部材の基部に設けられたコイルとを備える磁場発生部と、
 前記第1のコア部材の端面と前記第2のコア部材の端面との間隔を調整する間隔調整部と、
 前記第1および第2のコア部材の端面の間隔に応じて前記コイルへの通電を制御することにより、前記磁場発生部より発生される磁場の強度を調整する磁場制御部と、
 を有することを特徴とする治療装置。
 前記第1のコア部材の先端部の軸線と前記第2のコア部材の先端部の軸線とは、同一線上に位置することを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
 前記磁場制御部は、前記第1のコア部材の端面と前記第2のコア部材の端面との中間部における磁場の強度が、前記第1および第2のコア部材の端面の間隔とは無関係に所定強度となるように、前記コイルへの通電を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の治療装置。
 前記磁場制御部は、予め定められている前記第1および第2のコア部材の端面の間隔と前記コイルに通電する電流の大きさとの関係を示す関係式に基づいて、前記コイルへの通電を制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の治療装置。
 前記第1および第2のコア部材の端面の間隔を検出する間隔検出部をさらに有し、
 前記磁場制御部は、前記間隔検出部で検出される間隔に応じて、前記コイルへの通電を制御することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の治療装置。
 前記間隔調整部は、前記第1および第2のコア部材の少なくとも一方のコア部材の基部に設けられる可動部と、
 前記可動部を移動させて、前記第1のコア部材の端面と前記第2のコア部材の端面とを近接離間させる駆動部と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の治療装置。
 前記間隔検出部は、前記可動部の変位を検出する変位センサを含むことを特徴とする請求項6に記載の治療装置。
 前記第1および第2のコア部材の端面は、凹状に湾曲していることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の治療装置。
 前記第1および第2のコア部材の端面を覆う弾性部材をさらに有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の治療装置。
 前記第1および第2のコア部材の少なくとも一方のコア部材の端面に設けられ、当該端面に作用する圧力を検出する圧力検出部と、
 前記圧力検出部で検出される端面の圧力が所定圧力となるように、前記駆動部を制御する位置調整部と、をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の治療装置。
 前記第1および第2のコア部材の少なくとも一方のコア部材の端面に設けられ、当該端面と治療対象物との距離を検出する距離検出部と、
 前記距離検出部で検出される距離が所定距離となるように、前記駆動部を制御する距離調整部と、をさらに有すること特徴とする請求項6に記載の治療装置。
 前記間隔調整部は、前記第1および第2のコア部材の端面間に作用する磁力よりも大きな力で前記第1および第2のコア部材を保持することを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
 前記コイルは、電源に対して並列接続される複数のコイルを含むことを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
 前記第1および第2のコア部材の少なくとも一方のコア部材の温度を検出する第1の温度検出部と、
 前記第1の温度検出部で検出された温度が所定の温度を超える場合、前記コイルへの通電を遮断する遮断回路部と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
 前記第1および第2のコア部材の少なくとも一方のコア部材の温度を検出する第2の温度検出部と、
 前記第2の温度検出部で検出された温度に基づいて、前記コア部材を冷却する冷却装置と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
 前記磁場発生部で発生される磁場は、10~300Hzの周波数を有する変動磁場であり、前記第1および第2のコア部材の端面の中間部における磁場の強度は、30~1000mTの範囲内であることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の治療装置。
 前記第1および第2のコア部材の端面の間隔は、20~200mmの範囲内で調整されることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の治療装置。
Description:
治療装置

 本発明は、治療対象物の特定箇所に適切 強度の磁場を作用させる治療装置に関する

 近年、磁気の医療分野への応用に関する 究が盛んである。

 生体に磁気を作用させる技術としては、 開平7-171220号公報に示すような磁気刺激装 が知られている。特開平7-171220号公報に開示 されている磁気刺激装置は、C字型に形成さ た磁性材をほぼ中央で分割し、分割した磁 体を開閉自在に接合したものである。この うな構成によれば、治療対象物の大きさに じて磁極面間の距離を変更しつつ、一方の 極面から他方の磁極面に磁力線を放射させ ことにより、治療対象物に磁場を作用させ ことができる。

 しかしながら、上記磁気刺激装置では、 極面より発生される磁場の強度が常に一定 あるため、両磁極面の間に配置される治療 象物の特定箇所に適切な大きさの磁場を作 させることができないという問題がある。 体の正常な組織への余分な磁場の照射は、 経組織の過剰な興奮および神経の変性を引 起こすおそれがある。

 本発明は、上述した問題を解決するため なされたものである。したがって、本発明 目的は、治療対象物の特定箇所に適切な大 さの磁場を作用させることができる治療装 を提供することである。

 本発明の上記目的は、下記の(1)~(17)に記 の発明によって達成される。

 (1)相互間で磁力線を放射する端面が対向 置された第1および第2のコア部材と、当該 1および第2のコア部材の基部に設けられたコ イルとを備える磁場発生部と、前記第1のコ 部材の端面と前記第2のコア部材の端面との 隔を調整する間隔調整部と、前記第1および 第2のコア部材の端面の間隔に応じて前記コ ルへの通電を制御することにより、前記磁 発生部より発生される磁場の強度を調整す 磁場制御部と、を有することを特徴とする 療装置である。

 (2)前記第1のコア部材の先端部の軸線と前 記第2のコア部材の先端部の軸線とは、同一 上に位置することを特徴とする上記(1)に記 の治療装置である。

 (3)前記磁場制御部は、前記第1のコア部材 の端面と前記第2のコア部材の端面との中間 における磁場の強度が、前記第1および第2の コア部材の端面の間隔とは無関係に所定強度 となるように、前記コイルへの通電を制御す ることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の 治療装置である。

 (4)前記磁場制御部は、予め定められてい 前記第1および第2のコア部材の端面の間隔 前記コイルに通電する電流の大きさとの関 を示す関係式に基づいて、前記コイルへの 電を制御することを特徴とする上記(1)~(3)の ずれか一つに記載の治療装置である。

 (5)前記第1および第2のコア部材の端面の 隔を検出する間隔検出部をさらに有し、前 磁場制御部は、前記間隔検出部で検出され 間隔に応じて、前記コイルへの通電を制御 ることを特徴とする上記(1)~(4)のいずれか一 に記載の治療装置である。

 (6)前記間隔調整部は、前記第1および第2 コア部材の少なくとも一方のコア部材の基 に設けられる可動部と、前記可動部を移動 せて、前記第1のコア部材の端面と前記第2の コア部材の端面とを近接離間させる駆動部と 、を備えることを特徴とする上記(5)に記載の 治療装置である。

 (7)前記間隔検出部は、前記可動部の変位 検出する変位センサを含むことを特徴とす 上記(6)に記載の治療装置である。

 (8)前記第1および第2のコア部材の端面は 凹状に湾曲していることを特徴とする上記(1 )~(7)のいずれか一つに記載の治療装置である

 (9)前記第1および第2のコア部材の端面を う弾性部材をさらに有することを特徴とす 上記(1)~(8)のいずれか一つに記載の治療装置 ある。

 (10)前記第1および第2のコア部材の少なく も一方のコア部材の端面に設けられ、当該 面に作用する圧力を検出する圧力検出部と 前記圧力検出部で検出される端面の圧力が 定圧力となるように、前記駆動部を制御す 位置調整部と、をさらに有することを特徴 する上記(6)に記載の治療装置である。

 (11)前記第1および第2のコア部材の少なく も一方のコア部材の端面に設けられ、当該 面と治療対象物との距離を検出する距離検 部と、前記距離検出部で検出される距離が 定距離となるように、前記駆動部を制御す 距離調整部と、をさらに有すること特徴と る上記(6)に記載の治療装置である。

 (12)前記間隔調整部は、前記第1および第2 コア部材の端面間に作用する磁力よりも大 な力で前記第1および第2のコア部材を保持 ることを特徴とする上記(1)に記載の治療装 である。

 (13)前記コイルは、電源に対して並列接続 される複数のコイルを含むことを特徴とする 上記(1)に記載の治療装置である。

 (14)前記第1および第2のコア部材の少なく も一方のコア部材の温度を検出する第1の温 度検出部と、前記第1の温度検出部で検出さ た温度が所定の温度を超える場合、前記コ ルへの通電を遮断する遮断回路部と、をさ に有することを特徴とする上記(1)に記載の 療装置である。

 (15)前記第1および第2のコア部材の少なく も一方のコア部材の温度を検出する第2の温 度検出部と、前記第2の温度検出部で検出さ た温度に基づいて、前記コア部材を冷却す 冷却装置と、をさらに有することを特徴と る上記(1)に記載の治療装置である。

 (16)前記磁場発生部で発生される磁場は、 10~300Hzの周波数を有する変動磁場であり、前 第1および第2のコア部材の端面の中間部に ける磁場の強度は、30~1000mTの範囲内である とを特徴とする上記(1)~(15)のいずれか一つに 記載の治療装置である。

 (17)前記第1および第2のコア部材の端面の 隔は、20~200mmの範囲内で調整されることを 徴とする上記(1)~(15)のいずれか一つに記載の 治療装置である。

 上記(1)に記載の発明によれば、第1および 第2のコア部材の端面の間隔に応じて磁場の 度が調整されるため、第1および第2のコア部 材の端面の間に配置される治療対象物の特定 箇所に適切な強度の磁場を作用させることが できる。

 また、上記(2)に記載の発明によれば、よ 正確に治療対象物の特定箇所に適切な強度 磁場を作用させることができる。

 また、上記(3)に記載の発明によれば、治 対象物の大きさに関わらず、治療対象物の 央部に適切な強度の磁場を作用させること できる。

 また、上記(4)に記載の発明によれば、第1 および第2のコア部材の端面の間隔に対応す 電流の大きさを決定することができる。

 また、上記(5)に記載の発明によれば、第1 のコア部材の端面と第2のコア部材の端面の 隔を正確に検出することができる。

 また、上記(6)に記載の発明によれば、第1 のコア部材の端面と第2のコア部材の端面と 間隔を自動的に調整することができる。

 また、上記(7)に記載の発明によれば、第1 のコア部材の端面と第2のコア部材の端面の 隔を正確に検出することができる。

 また、上記(8)に記載の発明によれば、端 が平面状に形成される場合と比較して、第1 および第2のコア部材の端面より均一な磁場 発生させることができる。

 また、上記(9)に記載の発明によれば、第1 のコア部材の端面と第2のコア部材の端面と 治療対象物に圧迫や熱傷を与えることなく 療対象物を挟み込むことができる。また、 1および第2のコア部材の端面と治療対象物と を非接触に維持することができる。

 また、上記(10)に記載の発明によれば、コ ア部材の端面と治療対象物との接触を検知す ることができる。また、所定の圧力でコア部 材の端面が治療対象物に接触することができ る。

 また、上記(11)に記載の発明によれば、コ ア部材の端面と治療対象物とを非接触に維持 することができる。また、コア部材の端面と 治療対象物との距離を所定距離に維持するこ とができる。

 また、上記(12)に記載の発明によれば、第 1および第2のコア部材の端面間に作用する磁 によって第1および第2のコア部材の端面の 隔が変化することを防止することができる また、治療対象物が過剰な力でコア部材に り押圧されることを防止することができる

 また、上記(13)に記載の発明によれば、コ イルに印加する電圧を小さくすることができ る。

 また、上記(14)に記載の発明によれば、コ イルの異常発熱を検知して、治療装置を停止 することができる。

 また、上記(15)に記載の発明によれば、第 1および第2のコア部材の温度上昇を防止する とができる。

 また、上記(16)に記載の発明によれば、治 療対象物に交流磁場を作用させることができ る。また、患部に存在する神経に交流磁場を 作用させることができるため、患部の痛みを 抑制することができる。

 また、上記(17)に記載の発明によれば、第 1のコア部材の端面と第2のコア部材の端面と より種々の大きさの治療対象物を挟み込む とができる。

本発明の一実施の形態における治療装 の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す治療装置の概略構成を示すブ ロック図である。 図1に示す治療装置による治療処理を説 明するためのフローチャートである。 図1に示す治療装置で発生される磁場の シミュレーション結果を示す図である。 図5(A)は、第1および第2のコア部材の端 の間隔とコイルに通電する電流値との関係 示す図であり、図5(B)は、第1および第2のコ 部材の端面の間隔と磁場発生部で消費され 電力との関係を示す図である。 ラットの神経を電気的に刺激した場合 誘発活動電位のインパルス数の変化を示す である。 電気的に刺激されたラットの神経に交 磁場を照射した場合の誘発活動電位のイン ルス数の変化を示す図である。 カラゲニンによる足上げ反応閾値に及 す交流磁場の影響を説明するための図であ 。

 以下、図面を参照して、本発明の実施の 態を説明する。なお、図中、同様の部材に 、同一の符号を用いた。

 図1は、本発明の一実施の形態における治 療装置の概略構成を示す斜視図である。本実 施の形態の治療装置は、相互に磁力線を放射 する磁極面が対向配置される第1のコア部材 第2のコア部材とにより患者の治療対象部位( たとえば、腕)を挟み込み、治療対象部位の 心部に所定強度のパルス磁場または交流磁 を照射するものである。

 図1に示すとおり、本実施の形態の治療装 置100は、磁場発生部10、間隔調整部20、およ 制御部30を備える。

 (磁場発生部)
 磁場発生部10は、治療対象部位に照射され 磁場を発生させるものである。磁場発生部10 は、磁性体よりなる第1および第2のコア部材1 1,12と、第1および第2のコア部材11,12の基部に 線が巻回されてなるコイル13と、を有する

 第1および第2のコア部材11,12は、それぞれ L字状に形成されており、磁力線を放射する 端部の軸線が一致するように端面が対向配 されている。第1および第2のコア部材11,12は フェライト、軟鉄、鉄、ケイ素鋼、パーマ イ、およびアモルファス金属軟磁性体など 磁性体より形成される。第1のコア部材11の 部には、第1~第4のコイル13a,13b,13c,13dが設け れており、第2のコア部材12の基部には、第5 ~第8のコイル13e,13f,13g,13hが設けられている。 イル13の周囲には、コイル13を冷却するため の空気の流れを形成する流路41が設けられて る。

 本実施の形態の第1および第2のコア部材11 ,12の端面は、均一な磁場を発生させるために 、円弧状の凹面に形成されている。円弧状の 凹面に形成される端面は、弾性部材(たとえ 、ウレタン)14によって覆われている。また 本実施の形態では、第2のコア部材12の端面 弾性部材14との間に、圧力センサ(不図示)が けられている。

 なお、治療対象部位の特定箇所を局所的 治療する見地から、端面の幅は、10~50mmの範 囲にあることが好ましく、より均一な磁場を 発生させる見地から、円弧状の端面の曲率半 径は、端面の幅と同程度であることが好まし い。

 このように構成される磁場発生部10によ ば、コイル13への通電により、第1のコア部 11の端面と第2のコア部材12の端面との相互間 で磁力線が放射される。

 (間隔調整部)
 間隔調整部20は、第1のコア部材11の端面と 2のコア部材12の端面との間隔を調整するも である。本実施の形態の間隔調整部20は、第 1のコア部材11に対して、第2のコア部材12を近 接離間させることにより第1および第2のコア 材11,12の端面の間隔を調整する。間隔調整 20は、第2のコア部材12の基部に設けられた可 動部21と、可動部21を案内するガイド部22と、 ガイド部22に沿って可動部21を移動させる駆 部23と、を備える。ガイド部22の基部には、 1のコア部材11の基部が連結されている。駆 部23は、ボールネジおよびモータ(不図示)を 含む。また、駆動部23には、可動部21の変位 を検出するための変位センサ(たとえば、モ タのエンコーダ)が設けられている。

 このように構成される間隔調整部20によ ば、ガイド部22に沿って可動部21が移動する とにより、第1のコア部材11の端面に対して 第2のコア部材12の端面が近接離間される。 お、第1のコア部材11の端面と第2のコア部材 12の端面の間隔は、治療対象部位を挟み込む 地から、20~200mmの可動範囲を有することが ましい。また、本実施の形態の可動部21およ びガイド部22は磁性体より形成され、第1およ び第2のコア部材11,12とともに磁路を構成する 。

 (制御部)
 制御部30は、磁場制御部として、コイル13へ の通電を制御することにより、磁場発生部10 発生させる磁場の強度を調整するものであ 。制御部30は、第1のコア部材11の端面と第2 コア部材12の端面との中間点における磁場 強度が、第1のコア部材11の端面と第2のコア 材12の端面との間隔によらず所定強度にな ように、第1および第2のコア部材11,12の端面 間隔に応じてコイル13に流れる電流の大き (たとえば、パルス電流の振幅)を制御する。

 また、本実施の形態の制御部30は、位置 整部として、第2のコア部材12の端面が、弾 部材14を介して治療対象部位に所定圧力で接 触するように、駆動部23を制御して第2のコア 部材12の位置を調整する。

 次に、図2を参照して、本実施の形態の治 療装置100の概略構成についてより詳細に説明 する。

 図2は、図1に示す治療装置の概略構成を すブロック図である。上述したとおり、本 施の形態の治療装置100は、磁場発生部10、間 隔調整部20、および制御部30を有する。

 図2に示すとおり、第1および第2のコア部 11,12の基部に設けられる8つのコイル13a~13hは 、交流電源15に並列に接続されている。交流 源15は、商用電源50から電力の供給を受けて 、コイル13にパルス電流または交流電流を供 する。交流電源15は、制御部30によって制御 され、所定の大きさのパルス電流または交流 電流をコイル13に供給する。電流の大きさは トランジスタなどの能動素子による制御、 ンバータ制御方式、またはトランスを用い 制御方式などにより制御される。

 制御部30は、第2のコア部材12を移動させ 駆動部23に設けられた変位センサ(たとえば モータのエンコーダ)24と電気的に接続され いる。制御部30は、変位センサ24の出力信号 受信して第1のコア部材11の端面と第2のコア 部材12の端面との間隔を算出し、第1のコア部 材11の端面と第2のコア部材12の端面との中間 の磁場の強度が、端面の間隔に関わらず所 強度となるように、コイル13に供給する電 (または電圧)の大きさを制御する。

 また、制御部30は、第2のコア部材12の端 に設けられた圧力センサ25と電気的に接続さ れている。制御部30は、圧力センサ25の出力 一定になるように、駆動部23を制御して、第 2のコア部材12の端面と治療対象部位との位置 関係を調整する。

 なお、本実施の形態の治療装置100には、 1および第2のコア部材11,12の温度を検出する 第1の温度検出部としての過熱センサ16が設け られている。また、コイル13と交流電源15と 間には、過熱センサ16で検出される温度が許 容値(たとえば、40℃)以上になった場合に、 イル13への通電を停止する遮断回路部として のスイッチ17が設けられている。

 さらに、本実施の形態の治療装置100には 第1および第2のコア部材11,12の温度を検出す る第2の温度検出部としての温度センサ42と、 温度センサ42からの信号を受信してコイル13 周囲に設けられた流路41に空気を供給するこ とにより、第1および第2のコア部材11,12なら にコイル13を冷却する冷却装置(たとえば、 却ファン)43が設けられている。なお、本実 の形態とは異なり、冷却装置43として、水冷 方式またはコイル13をオイルに浸して冷却す 方式が用いられてもよい。あるいは、間欠 に磁気を発生させることによって温度上昇 防止してもよい。

 以上のとおり構成される本実施の形態の 療装置100によれば、まず、第1のコア部材11 第2のコア部材12とが弾性部材14を介して治 対象部位を挟み込む。次に、第1のコア部材1 1の端面と第2のコア部材12の端面との間隔と 無関係に中間点の磁場の強度が所定強度に るようにコイル13への通電が制御され、治療 対象部位に磁場が照射される。以下、図3を 照して、本実施の形態の治療装置100による 療処理について詳細に説明する。

 図3は、図1に示す治療装置による治療処 を説明するためのフローチャートである。 述したとおり、本実施の形態の治療装置100 、治療対象部位の中心部に所定強度の磁場 作用するように、第1のコア部材11の端面と 2のコア部材12の端面との間隔に応じて、コ ル13への通電を制御するものである。なお、 本実施の形態における所定強度の磁場とは、 患部に対して有効性が示されている強度の磁 場のことである。

 図3に示すとおり、本実施の形態の治療処 理では、まず、第1のコア部材11と第2のコア 材12との間に患者の治療対象部位が置かれ、 第2のコア部材12が治療対象物に向かって移動 される(ステップS101)。本実施の形態では、駆 動部23がガイド部22に沿って可動部21を移動さ せることにより、第2のコア部材12が第1のコ 部材11に向かって移動する。

 次に、第2のコア部材12の端面の圧力が所 圧力か否かが判断される(ステップS102)。本 施の形態では、第2のコア部材12の端面が所 の圧力で治療対象部位に接触するように、 2のコア部材12の端面に設けられた圧力セン 25により、第2のコア部材12の端面の圧力が 出される。第2のコア部材12の端面の圧力が 定圧力未満の場合(ステップS102:NO)、所定圧 になるまで第2のコア部材12が治療対象部位 向かって移動される。一方、第2のコア部材1 2の端面の圧力が所定圧力以上の場合(ステッ S102:YES)、第2のコア部材12の移動が停止され (ステップS103)。

 以上のとおり、ステップS101~S103に示す処 によれば、第1のコア部材11の端面と第2のコ ア部材12の端面とによって、患者の治療対象 位が挟み込まれる。このとき、第2のコア部 材12の端面に設けられた圧力センサ25により 過度の圧力で治療対象部位が挟み込まれる とが防止される。また、本実施の形態にお る第1および第2のコア部材11,12の端面は弾性 材14によって覆われているため、治療対象 位が第1および第2のコア部材11,12の端面によ て極度な圧迫および/または熱を受けること なく挟み込まれる。

 次に、第1のコア部材11の端面と第2のコア 部材12の端面との間隔が算出される(ステップ S104)。本実施の形態では、駆動部23に設けら た変位センサ24の出力から、制御部30が第1の コア部材11の端面と第2のコア部材12の端面と 間隔を算出する。

 次に、算出された間隔に対応する電流値 算出される(ステップS105)。本実施の形態で 、第1および第2のコア部材11,12の端面の間隔 に関わらず、端面の中間点における磁場の強 度が所定強度になるように、制御部30が、コ ル13に通電する電流の大きさを算出する。 り具体的には、予め定められている端面間 と電流の大きさとの関係を示す端面間隔-電 値関係式(変換テーブル)に基づいて、制御 30が、ステップS104に示す処理で算出された 面の間隔に対応する電流の大きさを算出す 。

 そして、算出された大きさの電流がコイ 13に供給されることにより、磁場が発生さ る(ステップS106)。本実施の形態では、ステ プS105に示す処理で算出された大きさの電流 コイル13に流れるように、制御部30が交流電 源15を制御することにより、第1および第2の ア部材11,12の端面から磁力線を放射させる。

 以上のとおり、ステップS104~S106に示す処 によれば、第1のコア部材11の端面と第2のコ ア部材12の端面との間隔に対応する大きさの 流がコイル13に供給される。その結果、第1 コア部材11の端面と第2のコア部材12の端面 の間隔に関わらず、第1および第2のコア部材 11,12の端面の中間点に所定強度の磁場が発生 れる。すなわち、治療対象部位の大きさに わらず、治療対象部位の中心部に所定強度 磁場が作用する。

 次に、所定時間が経過したか否かが判断 れる(ステップS107)。そして、所定時間が経 した時点でコイル13への通電が停止される とにより磁場の発生が停止され(ステップS108 )、処理が終了される。

 以上のとおり、図3に示すフローチャート の処理によれば、まず、第1および第2のコア 材11,12の端面により、患者の治療対象部位 挟み込まれる。次に、第1のコア部材11の端 と第2のコア部材12の端面との間隔が算出さ 、算出された間隔に対応する電流の大きさ 算出される。そして、算出された大きさの 流がコイル13に通電されることによって、第 1のコア部材11の端面と第2のコア部材12の端面 との間隔とは無関係に、所定強度の磁場が治 療対象部位の中心部に作用する。

 加えて、本実施の形態の治療装置100では 治療対象部位にパルス磁場または交流磁場 照射されることにより、痛みに関係する神 が抑制され、患部の痛みが抑制される。な 、磁場発生部で発生する磁場は、有効性が される強度の磁場を治療対象部位の特定箇 に作用させる見地から、第1および第2のコ 部材11,12の端面の中間点における磁場の強度 (中心磁束密度)が30~1000mTの範囲内にあること 好ましく、50~300mTの範囲内にあることがよ 好ましい。また、強度が周期的に変動する ルス磁場または交流磁場の周波数は、10~300Hz の範囲内にあることが好ましい。

 次に、図4および図5を参照して、本実施 形態の治療装置100の第1および第2のコア部材 11,12の端面より発生される磁場について説明 る。

 図4は、図1に示す治療装置で発生される 場のシミュレーション結果を示す図である シミュレーションでは、第1および第2のコア 部材11,12、可動部21、およびガイド部22より構 成される磁路の外形寸法として、高さ210mm× さ300mm、かつ、端面間隔20~200mとし、第1およ 第2のコア部材11,12の軸線方向に直角な断面 状を30mm×30mmの矩形状としている。また、可 動部21のガイド部22に対向する面の形状を90mm 30mmの矩形状とし、可動部21とガイド部22との 間隔を0.2mmとして、磁場の強度分布が計算さ ている。

 図4に示すとおり、本実施の形態の治療装 置100では、第1のコア部材11の端面と第2のコ 部材12の端面との相互間で磁力線が放射され る。また、第1のコア部材11および第2のコア 材12とともに、可動部21およびガイド部22が 路を形成している。

 本実施の形態の治療装置100では、第1のコ ア部材11の端面と第2のコア部材12の端面との 間点における磁場の強度(すなわち、磁力線 の密度)が端面の間隔に関わらず一定となる うに、端面間隔に応じてコイル13への通電が 制御される。第1のコア部材11の端面と第2の ア部材12の端面との間隔を種々に変更しつつ 、端面の間隔とは無関係に、第1および第2の ア部材11,12の端面の中間点における磁場の 度(中心磁場強度)が100mTとなるコイル13への 電量を計算した結果を表1に示す。また、表1 に示す結果をグラフ化したものを図5(A)およ 図5(B)に示す。

 図5(A)は、第1および第2のコア部材の端面 間隔とコイルに通電する電流値との関係を す図であり、図5(B)は、第1および第2のコア 材の端面の間隔と磁場発生部で消費される 力との関係を示す図である。

 図5(A)に示すとおり、第1および第2のコア 材11,12の端面の間隔(磁極間隔)と、磁場の強 度を一定にするためにコイル13に供給される 流の大きさ(コイル電流)とは、ほぼ比例関 を示す。言い換えれば、第1および第2のコア 部材11,12の端面の中間点における磁場の強度 一定にするためには、第1および第2のコア 材11,12の端面の間隔が大きいほど、コイル13 流す電流を大きくする必要があることが分 る。たとえば、端面の中間点において100mT 磁場強度を得るためには、端面の間隔が20mm 場合、0.66Aの電流をコイル13に流す必要があ り、端面の間隔が200mmの場合、6.6Aの電流をコ イル13に流す必要があることが分かる。

 また、図5(B)に示すとおり、本実施の形態 の治療装置100では、第1のコア部材11の端面と 第2のコア部材12の端面との間隔(磁極間隔)が2 00mmの場合において、最も大きい消費電力110.4 Wを示す。なお、この値は、一般的な家庭用 化製品と比べて大きな電力消費量ではない 、コイル13に供給されるほぼすべての電力が 熱に変わることを考慮すれば、かなりの発熱 をともなうことが予測される。したがって、 本実施の形態の治療装置100には、冷却装置43 設けることが好ましいことが分かる。

 また、シミュレーション結果より、本実 の形態の治療装置100では、第1のコア部材11 端面と第2のコア部材12の端面との間隔(磁極 間隔)が200mmの場合、磁極間力として13Nが作用 する。したがって、本実施の形態の治療装置 100における間隔調整部20は、たとえば、13Nの 力よりも大きな力で第1および第2のコア部 11,12を保持する強度を備える必要があること が分かる。

 以上のとおり、本実施の形態の治療装置1 00によれば、所定強度の磁場を患部に限局し 照射することにより、患部の痛みを効果的 緩和することができる。また、正常組織へ 磁場の余分な照射を最小限に抑えることが きるため、正常神経の興奮および神経の変 を抑制することができる。特に、関節など 可動部位の局部に限局して生じる様々な痛 、たとえば、手指、肘、膝などに生じる関 リウマチ、変形性関節炎、椎体の変形によ て生じる腰痛など、あるいは、皮膚深部に り局所的な神経変性によって生じる線維筋 症、有痛性糖尿病性神経症、複合性局所疼 症候群(CRPS)などに対して、痛みに関係する 経に効率よく磁気を照射することにより、 所的に発生する疼痛を緩和することができ 。

 以上のとおり、上述した実施の形態にお て、本発明の治療装置を説明した。しかし がら、本発明は、その技術思想の範囲内に いて当業者が適宜に追加、変形、および省 することができることはいうまでもない。

 たとえば、上述した実施の形態では、固 された状態の第1のコア部材に対して、第2 コア部材が近接離間するように構成された しかしながら、第1および第2のコア部材の両 方が移動可能に構成されてもよい。この場合 、圧力センサは、第1および第2のコア部材の 方に設けられることが好ましい。また、圧 センサに代わって、非接触式のセンサが距 検出部として設けられ、端面と治療対象部 との距離が所定距離になるように制御部が 動部を制御してもよい。

 また、上述した実施の形態では、コア部 の軸線に垂直な断面は矩形形状を有した。 かしながら、コア部材の断面形状は、矩形 状に限定されず、円形状または楕円形状で ってもよい。さらに、端面の形状は円弧状 凹面に限定されず、球状の凹面でもよい。

 以下、実施例を用いて本発明の実施の形 をより詳細に説明する。しかしながら、本 明は、本実施例によって何ら限定されるも ではない。

 (実験1)
 まず、交流磁場による痛みに関係する神経 抑制効果を検証するために、ラットの坐骨 経の痛覚神経(C線維、Aδ線維)活動に及ぼす 流磁場の影響を検証した。

 使用動物としては、6~8週齢のcrlj.WIラット (旧名crj:wistar)を日本チャールス・リバー株式 会社から購入した。そして、1週間の馴化期 を設けた後に実験に供した。実験時のラッ の体重は、270~370gであった。

 実験手順としては、まず、ドラフト内で ットをエーテルで軽く鎮静させた後、1.1~1.3 g/kg程度のウレタンを腹腔内に投与してラッ に麻酔をかけた。より具体的には、最初に20 %のウレタン溶液を1.1mg/kg腹腔内に投与してか ら、麻酔の効き具合に応じて2倍希釈した40% ウレタン溶液を0.05mg/kg単位で追加的に投与 た。これは、麻酔量が多すぎると坐骨神経 らの誘発活動電位が出にくくなり、少なす ると麻酔効果が弱くなりラットの呼吸が乱 、時間に応じた誘発活動電位のばらつきが きくなるからである。そして、ラットの呼 が安定し、麻酔薬が適度に効いたのを確認( 吸数が84~120/分)した後に、固定台に保持し 。

 次に、ラットの大腿部皮膚を外科バサミ 切開し、筋肉を露出させた後に、筋肉表面 外科バサミで浅く切り開いた。さらに、出 を最小限度にするために、以降は外科バサ を用いることなく鉗子で筋肉の切り口を押 広げるようにしながら筋肉を切り裂いた。 り口直下に坐骨神経が確認できたならば、 肉の切り口をピンセットで摘みながら小さ 鉗子を用いて、周囲の結合織から坐骨神経 丁寧に剥離した。

 ラットの坐骨神経の活動電位は、Harvard M edical SchoolのGokinらの方法(Anestesiology 95:1441-54 、2001)に準じて測定した。Gokinらの方法の特 は、測定部位を流動パラフィンのプールの に置くことである。筋肉の切り口の四隅に 糸を結び、4本の綿糸を軽く引っ張り上げな ら、綿糸を2本のアームの付いた保持台に縛 りつけた。このようにすると、引っ張り上げ た筋肉の切り口の真下に空間が形成されるの で、この空間を満たすように流動パラフィン (関東化学)を注入した。坐骨神経は、流動パ フィンの中に浮くような形で存在した。

 次に、先端がかぎ状の双極電極(電極間隔 5mm ユニークメディカル製)で坐骨神経をひっ かけ、神経を軽く引き上げるような状態で、 垂直方向に3次元微動可能な電極保持台に固 した。実験中、プールの温度が35℃以下にな らないように、熱電対温度計(CUSTOM CT-1307)で 度をモニタリングしつつ、必要があれば放 ランプ(TECHNOLIGHT KTS-150RSV Kenko)で保温した

 活動電位の記録は、かぎ状の双極電極を 録電極とし、胸部皮膚下にアース電極とし の皿電極を埋め込み、高感度生体電気増幅 (ER-1 Extracelular Amplifier、CYGNUS TECHNOLOGY)で2 倍に増幅した後に、活動電位波形をPowerLab 1 6/30(AD INSTRUMENTS)を介してMACBookパソコン(MacOSX バージョン10.4.9)の画面に表示した。なお、 位測定のノイズを最小限にするため、高感 生体電気増幅器のローパスフィルタおよび イパスフィルタは、それぞれ3kHzおよび300Hz 設定した。

 ウレタン麻酔下において、通常、坐骨神 から自発性の活動電位は認められない。今 は、坐骨神経に活動電位を誘発するために ラットの後足を電気的に刺激した。ラット 足片方(主として左足)の第2趾と第3趾との間 と、第4趾と第5趾との間の皮膚にステンレス ディスポ鍼(カナケン φ0.14mm×40mm)を貫通す ように挿入して刺激電極とした。電気刺激 置(Model 238 High CURRENT SOURCE MEASURE UNIT KEIT HLEY製)からIsolator(DSP-133B、DIA MEDICAL SYSTEM CO) 介して、ラットの後足を電気的に刺激した 電気的な刺激は、パルス刺激であって、一 のパルス刺激は、頻度1Hzかつパルス幅1msで 強度5~15mAの5発のパルスであった。このよう なパルス刺激を10分毎に繰り返し実施した。

 次に、神経への交流磁場の照射について 明する。

 テルモ株式会社で試作した交流磁場発生 置または市販の50Hz磁場発生装置(交流磁場 療器 株式会社ソーケンメディカル)を用い 、ラットに磁場を照射した。前者は、25mmの アギャップのあるドーナツ状のフェライト( 外径151mm、内径91.5mm、厚さ20mm)に、絶縁体被 銅線(直径0.8mm)を巻回したものであった。フ ンクションジェネレータ(WF1973 NF corporation) により正弦波を発生させ、PRECISION POWER AMPLIF IER 4502(NF corporation)により増幅した交流電流 、上記の磁場発生装置に供給することによ て、交流磁場を照射した。

 磁場照射部位は、ラットの後足の電気刺 部位周辺からかかと辺りであり、50Hz(1~17mT) 1kHz(1~10mT)、10kHz(3mT)の交流磁場を照射した。 市販の磁場発生装置の磁場強度は、約50mTで った。磁場照射時間は20分とした。選択した 周波数のバンドパスフィルタの効果で、交流 磁場が50Hz(1~17mT)の場合には、活動電位測定中 にノイズが発生しなかった。しかしながら、 交流電流が50Hz(50mT)、1kHz、および10kHzの場合 ノイズが発生したので、活動電位を測定す 間は、数十秒間磁場照射を中断した。なお 磁場照射部位での磁場は、5180 Gauss/Tesla Mete r(東陽テクニカ)で測定した。

 次に、交流磁場の神経への影響の評価手 について説明する。

 本実験では、誘発活動電位のインパルス を計測することにより、交流磁場の神経へ 影響を評価した。

 誘発活動電位のインパルス数は、実験終 後にインパルス測定ソフトChart ProSpike modul e(AD INSTRUMENTS)を用いて計測した。インパルス の数は、痛覚神経であるAδ線維とC線維群の2 に分けて計測した。誘発電位がAδ線維また C線維のどちらによるかは、神経伝導速度か ら判断した。Gokinらはラットの坐骨神経に含 れるAδ線維およびC線維の神経伝導速度は、 それぞれ2~10m/s、0.5~2m/sであると報告している 。よって、本実験では、刺激電極と記録電極 との間の距離を、刺激してから誘発電位が記 録される時間で除した値(神経伝導速度)が、G okinらが報告した値のどの範囲内に当たるか 判別した。具体的に言えば、刺激と記録の 極間距離が10cmの場合、刺激してから誘発電 が記録される時間が10~50msであれば、Aδ線維 によるものとした。一方、50~200msであれば、C 線維によるものとした。得られた結果は、5 刺激で得られたインパルス数の合計の平均 ±標準誤差で示した。統計学的有意差の評価 には、Studentのt検定(一対の標本による平均の 検定)を用いた。

 ラット足先に電気刺激(1Hz、1ms、5~10mA、5 )を与えると、ほぼ全ての標本において坐骨 経から誘発活動電位が記録された。活動電 は、1発刺激後には殆ど記録されないが、2 刺激から徐々にインパルス数が増え3~5発刺 後に最大となるようなワインドアップ(wind-up )現象を示した。最大になったところの活動 位を解析すると、Aδ線維からの発火と思わ る活動電位が1~2パルス記録され、続いてC線 の発火によると思われる活動電位が数パル 観察された。電気刺激を10分間隔で繰り返 と、図6に示すとおり、Aδ線維成分およびC線 維成分の両方ともインパルス数がわずかに減 少する比較的安定した反応を示した。

 10分間隔で足先を2回電気刺激した後に、5 0Hz(5mT、17mT、50mT)、1kHz(10mT)、または10kHz(3mT)の 交流磁場をそれぞれ20分間ずつ照射した。図7 (A)に示すとおり、磁場を照射すると、すべて の照射条件において、Aδ線維成分の活動電位 にほとんど影響は認められなかった。

 一方、図7(B)に示すとおり、C線維成分は 50Hzかつ50mTの20分間の磁場照射によって、活 電位のインパルス数が統計学的にも有意に 制された。この抑制は、磁場照射を終えた もしばらく持続した。また、50Hzかつ30mTの 場照射においても、活動電位の抑制傾向が められた。しかしながら、50Hzかつ5mTの磁場 射では、明確な効果は認められなかった。 らに、1kHz(10mT)または10kHz(3mT)の磁場照射で 、明確な効果は認められなかった。

 以上のとおり、痛みに関係する神経の交 磁場による抑制効果を検証した結果、50Hzか つ50mTおよび50Hzかつ30mTの磁場照射によって、 ラットの坐骨神経の痛覚神経(C線維)の活動電 位の抑制効果が確認された。

 (実験2)
 次に、痛みに関係する神経の交流磁場によ 抑制効果を検証するために、ラットの足浮 に及ぼす交流磁場の影響を検証した。

 具体的には、無麻酔下においてカラゲニ で足に炎症を惹起させた足浮腫ラットを用 、交流磁場(50Hzかつ5mT、50Hzかつ50mT、1kHzか 10mT)が、疼痛過敏に及ぼす影響を検証した。

 6~8週齢のcrlj.WIラット(旧名crj:wistar)を日本 チャールス・リバー株式会社から購入し、1 間の馴化期間を設けた後に実験に供した。 験時のラットの体重は、200~350gであった。

 次に、ラットの足蹠浮腫モデルを作製し 。ドラフト内でラットをエーテルで軽く鎮 させた後、片方の足蹠部(足の裏)に1%のλ― ラゲニン(carrageenan)水溶液を0.15ml皮下注射し て足蹠足浮腫を作製した。対足の足蹠部には 、生理食塩水を、同じく0.15ml皮下注射した。

 圧刺激による足上げ動作の反応閾値は、 ットを四角い木の枠組み(縦20cm×横30cm)の中 張られたネットの上に置いて測定した。ネ トとしては、ラケット用のガット(nylon mono- filament:0.78mm、ゴーセン株式会社)を用い、約1c m幅の網目のものを使用した。非金属製の網 したのは、磁場を照射するに当たり、装置 ラットとの間に金属がない方がよいと判断 たことによる。ラットがネット上から逃げ いように透明なプラスティック製ケージ(縦1 2cm×横20cm×高さ11cm)で蓋をしてから、フォン ライフィラメント(von Frey filament:Touch Test、  North Coast製)をネットの下からラットの後肢 の足蹠部(足底)に垂直に当てて連続的に3回刺 激した。1回当たりの刺激時間は、フィラメ トを足蹠部に押し当ててフィラメントが曲 るのを確認後約3秒とした。このとき、2回以 上足を上げる行動(足を引っ込める反応)を起 すフォンフライフィラメントの最小圧刺激 度を反応閾値(withdrawal pressure)とした。用い たフォンフライフィラメントの強度(すなわ 、ラットの後肢の足蹠部を押圧する力)は、6 0g(5.88)、26g(5.46)、15g(5.18)、10g(5.07)、8g(4.93)、6g (4.74)、4g(4.56)、2g(4.31)の8種であった(括弧内は 対数値)。

 磁気照射には、50Hzと1kHzの交流磁場を使 した。交流磁場の強度は、50Hzについては、5 mTまたは50mTであり、1kHzについては、10mTであ た。磁気照射部位は、ラットの後肢のカラ ニン注入部位とし、ネットの下から磁気照 装置で交流磁場を照射した。また、実験担 者は、ネットの枠組みの位置を動かすこと よって、ラットのカラゲニン注入部位が常 磁気照射装置のもっとも強い磁束密度を発 する場所の真上になるようにした。照射時 は、カラゲニン投与直前の20分間、カラゲ ン投与後は、各測定時間の直前の20分間とし た。カラゲニン投与後6時間測定する場合は 磁場照射時間は合計140分であり、3時間測定 る場合は、合計80分であった。

 実験は1日2匹とし、1匹を磁場照射に、も 1匹をコントロール(非磁場照射)とした(Time  matched control)。圧刺激による足上げ反応は、 則としてカラゲニン投与前に1回、カラゲニ ン投与後1時間、2時間、3時間、4時間、5時間 6時間で測定した(一部の実験においては、 ラゲニン投与後3時間まで測定した)。得られ た足上げ反応の測定結果は、フィラメントの 強度(g)を対数に換算して平均値±標準誤差で した。また、得られた足浮腫容積は、ml単 で表示し、平均値±標準誤差で示した。各時 間でのコントロール群と磁場照射群との差に 統計学的有意差があるかどうかを、Studentのt 定(一対の標本による平均の検定)で評価し 。

 図8に示すように、50Hzの交流磁場を50mTの 度でラットの足蹠部に照射した群では、カ ゲニン注入部位における圧刺激による足上 反応閾値の低下は、非照射群に比べ1時間、 2時間、3時間、4時間、5時間後で統計学的に 意に抑制された(p<0.05、n=7)。しかしながら 、50Hzかつ5mTおよび1kHzかつ10mTでは、抑制は認 められなかった(n=5)。

 以上のとおり、ラットの足浮腫を用いて 痛みに関係する神経の交流磁場による抑制 果を検証した結果、50Hzの交流磁場を50mTの 度で照射することにより、痛みに関係する 経を抑制することが確認された。

 なお、本出願は、2008年3月26日に出願され た日本国特許出願第2008-081533号に基づいてお 、その開示内容は、参照により全体として 用されている。

符号の説明

10 磁場発生部、
11 第1のコア部材、
12 第2のコア部材、
13 コイル、
14 弾性部材、
15 交流電源、
16 過熱センサ(第1の温度検出部)、
17 スイッチ(遮断回路部)、
20 間隔調整部、
21 可動部、
22 ガイド部、
23 駆動部、
24 変位センサ(間隔検出部)、
25 圧力センサ(圧力検出部)、
30 制御部(磁場制御部)、
42 温度センサ(第2の温度検出部)、
43 冷却装置。




 
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