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Patent Searching and Data


Title:
TRIAZINETHIOL-LOADED CARBIDE, METHOD FOR PRODUCING TRIAZINETHIOL-LOADED CARBIDE, METHOD FOR ADSORBING METAL ION, AND METHOD FOR RECOVERING METAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/099681
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a material which enables to efficiently recover metal ions such as silver ions. Also disclosed are a method for producing such a material, a method for adsorbing metal ions by using such a material, and a method for recovering a metal by using such a material. Specifically disclosed is a material wherein pores in the surface of a carbide obtained from a wood material are filled with triazinethiol represented by the following chemical formula 1.

Inventors:
NARITA EIICHI (JP)
HIRAHARA HIDETOSHI (JP)
AISAWA SUMIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051496
Publication Date:
August 21, 2008
Filing Date:
January 31, 2008
Export Citation:
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Assignee:
INC NAT UNIVERSITY IWATE UNIVE (JP)
NARITA EIICHI (JP)
HIRAHARA HIDETOSHI (JP)
AISAWA SUMIO (JP)
International Classes:
B01J20/20; B01D15/00; B01J20/22; C01B31/02; C01B31/08; C02F1/28; C22B3/24; G03C5/00; C22B7/00; C22B11/00
Foreign References:
JPS5376988A1978-07-07
JP2006512484A2006-04-13
Other References:
KOIZUMI R. ET AL.: "Triazinedithiol Tanji Tankabutsu o Mochiita Kikinzoku no Kaishu", KAGAKUKEIGAKU KYOKAI RENGO TOHOKU CHIHO TAIKAI PROGRAM OYOBI KOEN YOKOSHU, 2006, pages 163
KAMORI Y. ET AL.: "Triazinedithiol Tanji Tankabutsu no Chosei to Suiyoeki kara no Ag Ion no Jokyo", KAGAKUKEIGAKU KYOKAI RENGO TOHOKU CHIHO TAIKAI PROGRAM OYOBI KOEN YOKOSHU, 2005, pages 119
KOMAMINE S. ET AL.: "Triazinedithiol Tanji Tankabutsu ni yoru Yuka Kinzoku Ion no Kaishu", KAGAKUKEIGAKU KYOKAI RENGO TOHOKU CHIHO TAIKAI PROGRAM OYOBI KOEN YOKOSHU, 2004, pages 136
Attorney, Agent or Firm:
KATSURADA, Takeshi (Nogizaka Business Court 1-20-2,Minami-Aoyam, Minato-ku Tokyo 62, JP)
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Claims:
 木質原料から得られる炭化物表面の細孔内に化1で示されるトリアジンチオールを担持するトリアジンチオール担持炭化物。
 炭化物を水中に分散させ、炭化物を分散させた溶液のpHを酸性に維持しつつ、前記溶液へ化1で示されるトリアジンチオールのナトリウム塩溶液を滴下し、滴下終了後、トリアジンチオールを担持した炭化物を溶液から分離し、乾燥することからなるトリアジンチオール担持炭化物の製造方法。
 請求項1に記載のトリアジンチオール担持炭化物に金属イオン含有液を接触させ、金属イオンを吸着させる金属イオン吸着方法。
 請求項1に記載のトリアジンチオール担持炭化物に金属イオン含有液を接触させ、金属イオンを吸着させた後に、金属イオンを吸着させたトリアジンチオール担持炭化物を550~1000℃で燃焼灰化させ、金属を回収する金属回収方法。
Description:
トリアジンチオール担持炭化物 トリアジンチオール担持炭化物の製造方法 金属イオン吸着方法及び金属回収方法

 本発明は、トリアジンチオールを担持す 炭化物、トリアジンチオールを担持する炭 物を製造する方法、トリアジンチオールを 持する炭化物に金属イオンを吸着させる方 、及びトリアジンチオールを担持する炭化 を用いて金属を回収する方法に関する。

 近年、環境保全や資源リサイクルへの意識 高まる中、工場などから出る廃液中に含ま る金属の除去や金属の回収が重要になって ている。
 金属イオンの吸着・回収については、各種 業から排出される廃液(化学工業における廃 触媒、半導体産業における金属エッチング廃 液、医薬施設における写真廃液など)からの 属の回収が主対象であるが、そのほかに産 有害排水の無害化にも関連し、省資源・資 リサイクル・環境保全の立場から重要な技 となっている。金属イオンの捕集には、イ ン交換法、吸着法、共沈法、膜分離法、溶 抽出法などが知られている。しかし、いず も使用範囲に限度があり、使用薬剤・材料 価格や後処理・回収工程の必要性、あるい システムの経済性を考えると新たな高性能 料の創製と効率的なシステム技術の開発が まれている。

 例えば、金属のうち、銀金属を回収する技 として、メルカプト-s-トリアジン沈殿法に り銀回収コストを低減する技術が提案され いる(例えば、特許文献1参照)。

特開平11-1726号公報

 トリアジンチオール(以下、適宜「RTD」と 記す。)は、金属除去剤、金属表面処理剤、 リマー架橋剤として利用可能である。しか 、トリアジンチオールを金属除去剤として 用する場合、次のような課題がある。第1の 題は、トリアジンチオールの使用量が多い というものである。第2の課題は、金属イオ ンと反応するトリアジンチオールは微細な粒 子であるため、金属イオンと反応した後のト リアジンチオールを廃液から十分に分離でき ない、というものである。

 活性炭は、排水処理、貴金属回収、空気 化、触媒として利用可能である。しかし、 性炭処理は高度な技術を要するためコスト かかるという課題がある。また、木質炭化 も排水処理等に利用可能であるが、活性炭 比較して、金属捕集力が小さいという課題 ある。

 本発明の第1の特徴は、トリアジンチオール 担持炭化物であって、木質原料から得られる 炭化物表面の細孔内に化1で示されるトリア ンチオールを担持することにある。

 本発明の第2の特徴は、トリアジンチオー ル担持炭化物の製造方法であって、炭化物を 水中に分散させ、炭化物を分散させた溶液の pHを酸性に維持しつつ、前記溶液へ化1で示さ れるトリアジンチオールのナトリウム塩溶液 を滴下し、滴下終了後、トリアジンチオール を担持した炭化物を溶液から分離し、乾燥す ることにある。

 本発明の第3の特徴は、金属イオン吸着方 法であって、第1の特徴を具備するトリアジ チオール担持炭化物に金属イオン含有液を 触させることにある。

 本発明の第4の特徴は、金属回収方法であ って、第1の特徴を具備するトリアジンチオ ル担持炭化物に金属イオン含有液を接触さ て、金属イオンを吸着させた後に、金属イ ンを吸着させたトリアジンチオール担持炭 物を550~1000℃で燃焼灰化させることにある。

 本発明によれば、トリアジンチオール担 炭化物を製造することができ、このトリア ンチオール担持炭化物によって、低コスト 効率よく、工場などから出る廃液中に含ま る金属の除去や金属の回収が可能となる。

粉炭のSEM像を示す。 RTD担持炭化物の調製方法と、調製したR TD担持炭化物の評価方法を示す。 RTD担持処理前の炭化物分散溶液と担持 理後の分散溶液を示す。 乾燥後のRTD担持炭化物を示す。 MP法によるマイクロ孔分布解析を示す BJH法によるメソ孔分布解析を示す。 炭化物とRTD担持炭化物のSEM像を示す。 活性炭とRTD担持活性炭のSEM像を示す。 Freundlichの吸着等温線を示す。 Langmuirの吸着等温線を示す。 バッチ式による写真廃液からの銀の除 去結果を示す。 バッチ式によるPtモデル廃液からのPt 除去率を示す。 RTD担持率の異なるRTD担持炭化物を充填 したカラムを用いた場合の銀イオンの破過曲 線を示す。 流速の違いによる銀イオンの破過曲線 の変化を示す。 銀イオン吸着除去後の複合体のSEM像と EDX元素マッピングを示す。 加圧式カラム吸着装置による銀イオン の破過曲線を示す。 加圧カラム式による実際産業界で廃棄 処理される写真廃液中の銀イオンの破過曲線 を示す。 加圧式RTD担持炭化物カラム吸着装置の 例を示す。

符号の説明

 11,12,13,14 RTD担持炭化物カラム
 15 送液ポンプ
 16,17 ビーカー
 18 流出量調整器

 以下に本発明を実施するための最良の形 を説明する。なお、以下の説明は、単なる 示に過ぎず、本発明の技術的範囲は以下の 明に限定されるものではない。

[トリアジンチオール担持炭化物の調製]
 トリアジンチオール(1,3,5-トリアジン-2,4,6- リチオール:RTD)は塩基性溶液中ではそのナト リウム塩として溶解し、酸性溶液中ではRTDと して析出することから、RTDの塩基性溶液を、 炭化物が分散した酸性溶液中に滴下すること で、溶液中でRTDを炭化物表面に酸析させた。
 ここで、RTDのナトリウム塩は、一ナトリウ 塩、二ナトリウム塩、三ナトリウム塩又は れらの混合物であってもよいが、好ましく 、三ナトリウム塩を多く含んだ方がよい。

[実験試料]
 RTD担持炭化物の調製には、以下の1,3,5-トリ ジン-2,4,6-トリチオール・三ナトリウム塩水 溶液、炭化物、塩酸、水酸化ナトリウムを用 いた。
 化2で示される1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチ ール・三ナトリウム塩水溶液(18.16 wt%) (三 化成株式会社製) MW:243.3
 杉間伐材炭化物(グリーンリサイクル社製)  粒径(mesh) 12-14、20-32、60-80、100-115、200以下(12 -14 meshとは、12-14のmeshを通して得られた炭化 物を意味する。以下同じ。)
 塩酸 HCl 和光純薬工業株式会社製 特級 MW :36.47
 水酸化ナトリウム NaOH 和光純薬工業株式 社製 特級 MW:40.00

[RTD担持炭化物の調製方法]
<RTD溶液の調製>
 RTD溶液は1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール ・三ナトリウム塩水溶液(18.16 wt%)を調製して 用いた。調製方法はメスフラスコに1,3,5-トリ アジン-2,4,6-トリチオール・三ナトリウム塩 溶液を適量加え、蒸留水で50 mLに希釈して った。加えた1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオ ル・三ナトリウム塩水溶液の量は、数1で求 められるRTD担持率が炭化物1gのときにそれぞ 10、20、30、40、50、60、70および80wt%になる量 とした。
 調製したRTD溶液は、それぞれ理論担持率(10- 80 wt%)のRTD溶液と表記する。

<炭化物の調製>
 木材材料としては、岩手県で伐採された針 樹のスギを用いた。
(1)多孔性でかつ
(2)金属イオンを捕集する能力を持っているRTD と表面的になじみがよい
という炭化物を製造するための条件は、針葉 樹のスギを用い、炭化温度800℃であった。RTD 担持用炭化物は炭化温度を800℃で、粒径サイ ズを粗粒炭化物、粉炭(微粒子炭化物)の2種類 で製造した。粗粒炭化物、粉炭(微粒子炭化 )は105℃で24時間乾燥させた炭化物をミキサ で磨り潰し、金網ふるいを用いて各サイズ 粒径にふるい分けを行い、105℃で24時間乾燥 させて用いた。図1に粉炭(微粒子炭化物)のSEM 像を示す。

<RTD担持炭化物の調製>
 前記の炭化物(粒径12-14 mesh、20-32mesh、60-80  mesh、100-115mesh、200 mesh以下)、各1 gを蒸留水5 0 mL中に分散させた。炭化物を分散させた溶 のpHを測定しながらpH2になるように0.1M-HClを 滴下した。溶液のpHが2を示したら、前記の方 法で調製した各濃度のRTD溶液(50 mL)を2 mL/min. の速度で、炭化物を分散させた溶液中に滴下 を行った。RTD溶液滴下中はpHの上昇を防ぐた 0.1M-HClを滴下しpHが2を維持するように調整 行った。滴下終了後、炭化物と溶液の固液 離を行った。固液分離にはろ紙つきロート 用い、ろ紙には東洋濾紙株式会社製(直径15cm 、No.5A)を用いた。また、RTD溶液を滴下中に溶 液内でRTDが析出した場合は、RTDが析出した時 点で滴下を終了し、金網ふるい(12-14 mesh、20- 32 mesh、60-80 mesh、100-115 mesh、200 mesh)を用い て、炭化物と溶液・析出したRTDを分離した。 固液分離後、105℃で24時間乾燥を行うことでR TD担持炭化物の調製を行った。また上記の方 を用い、比較試料としてセラケム株式会社 の活性炭(活性炭富士 雪A:粒径 80-100 mesh) のRTDの担持を行った。

[RTD担持炭化物の評価]
<RTD担持率の測定>
 RTD担持率の測定方法は前記の<RTD担持炭化 物の調製>における固液分離後、液相中のRT D残留濃度を全有機炭素計(島津製作所製 TOC-5 000)により測定し、数2によりRTD残留濃度からR TD担持率を求めた。
 また、RTD溶液滴下中にRTDが析出した場合は 相にNaOHを加え、一度RTDを溶解し、再び酸性 化しTOC(全有機体炭素)測定値から残留RTD量を めた。

<RTD担持炭化物の物性評価方法>
 乾燥したRTD担持炭化物の物性評価は細孔分 測定により行い、比較として未担持の炭化 の細孔分布測定も行った。
 細孔分布測定はRTD担持炭化物と炭化物をそ ぞれ105℃で24時間乾燥させ、3時間減圧乾燥 た。RTD担持炭化物と炭化物をそれぞれ0.6 g り、窒素気流下120℃で3時間脱気し、室温ま で冷却後に自動比表面積を細孔分布測定装置 (日本ベル株式会社製 BELSORP-mini)により測定 た。各細孔の評価は、MP法によりマイクロ孔 分布を評価し、BJH法によりメソ孔分布の評価 を行った。また、RTD担持炭化物の表面を観測 するため、走査型電子顕微鏡(日立製作所製  S-2250NII型:SEM)を使用した。
 図2に、前記の<RTD担持炭化物の調製方法&g t;と、調製したRTD担持炭化物の評価方法を示 。

[結果]
<RTD担持率>
 表1に、各粒径の炭化物におけるRTD担持率を 示す。粒径12-14 mesh、20-32 mesh、60-80 meshでは 理論担持率10 wt%相当のRTD溶液を滴下中に黄 い析出物が見られたので、析出が見られた 点でRTD溶液の滴下を終了した。粒径100-115mesh の理論担持率10 wt%、及び200mesh以下の理論担 率10-80 wt%のRTD担持条件下においてはRTD溶液 50 mLを滴下した時点において溶液中へのRTDの 析出はみられなかった。

<RTD担持処理前後の炭化物分散溶液>
 図3に、RTD担持処理前の炭化物分散溶液と担 持処理後の分散溶液を示す。処理前では溶液 全体に炭化物が分散しているのに対し、RTD担 持処理後では炭化物が沈殿していることが分 かる。これは炭化物の多孔質にRTDが担持し、 浮力が低下したためだと考えられる。

<乾燥後のRTD担持炭化物>
 図4は、乾燥後のRTD担持炭化物を示す。RTD担 持率
6.0wt%から41.5 wt%においては表面上の変化は見 られなかったが、50.5 wt%から74.3wt%において 表面が灰色に変色している。これはRTDが多 質中に担持された後に、さらに木炭表面に 持しているためと示唆される。

<細孔分布の測定結果>
 図5は、MP法によるマイクロ孔分布解析を示 。横軸は細孔幅Dp(nm)を示し、縦軸は積算分 dVp/dDpを示す。
 RTDを担持していない0wt%では0.6 nm付近にdVp/d Dp=1205の大きなピークを示したが、RTD担持炭 物では全体的にマイクロ孔分布のピークは きく減少する傾向が見られた。これはRTDが イクロ孔に蓄積され、マイクロ孔が減少し いるためと示唆される。

 図6は、BJH法によるメソ孔分布解析を示す。 横軸は細孔半径Rp (nm)を示し、縦軸は細孔容 Vp (mm 3 /g) を示す。図6に示すように、RTDを担持して いない0wt%では細孔半径が3nm以下のメソ孔が 在し、RTD担持炭化物では全体的にメソ孔分 のピークは大きく減少する傾向が見られ、3n m~10nmのメソ孔分布が確認された。
 RTDを担持していない0wt%では細孔半径が3nm以 下のメソ孔が存在し、RTD担持炭化物では全体 的にメソ孔分布のピークは大きく減少する傾 向が見られ、3nm~10nmのメソ孔分布が確認され 。

<SEM像の観測結果>
 図7は、炭化物とRTD担持炭化物のSEM像を示す 。0wt%(未担持)やRTD担持率23.3 wt%以下の比較的 RTD担持率の低い範囲ではSEM写真において大き な変化は見られないが、RTD担持率33.2wt%では ずかに表面上に変化が見られ、炭化物表面 わずかに担持物が見られ、さらにRTD担持率 41.5wt%、50.5 wt%と増加するにつれて炭化物表 への担持物の増加が見て取れRTD担持率62.9 w t%以上では炭化物表面が完全に担持物で覆わ ていることが観測できる。

 図8は、活性炭とRTD担持活性炭のSEM像を示す 。図7と同様にRTD担持率が低い範囲では表面 変化は見られないが、RTD担持率47.8wt%以上で 表面への担持物が観察された。
 図7、8のSEM像に見られる担持物はRTDが析出 たものであると思われ、RTD担持率が増大す につれて炭化物表面へのRTDの担持が増加し いると考えられる。

[RTD担持炭化物の調製のまとめ]
1. 100 mesh以上の炭化物では6.8wt%以上の担持 のRTD担持炭化物は調製できなかった。
2. 200 mesh以下の炭化物ではRTDの量を調整す ことで、異なるRTD担持率のRTD担持炭化物の 製が可能であった。
3. 200 mesh以下のRTD担持炭化物では、RTDはマ クロ孔に担持され、さらにRTD担持率が高く ると炭化物表面へのRTDの担持が確認できた

[生成複合体による金属イオン吸着]
<バッチ式RTD担持炭化物の吸着特性>
 RTD担持炭化物による硝酸銀水溶液からの銀 去をRTD担持率、RTD担持炭化物の添加量およ 硝酸銀水溶液の初期pH等の影響について検 した。

 図9はFreundlichの吸着等温線を示し、図10はLan gmuirの吸着等温線を示す。Qeは平衡吸着量を Ceは平衡濃度を示す。
 図9及び図10のいずれについてもRTD担持炭化 等の大きさや添加量等は下記のとおりであ 。
 RTD担持炭化物(200 mesh以下):添加量3mg、RTD担 率23.3wt%
 炭化物(200mesh以下), 活性炭:添加量50mg
 硝酸銀水溶液:溶液量10mL、銀濃度100~500ppm、p H5
 反応時間:3日
 炭化物と活性炭ではFreundlich、Langmuirの吸着 温線それぞれにおいて直線性を示したが、R TD担持炭化物(RTD担持率 23.3 wt%)ではFreundlich 吸着等温線では直線性は得られず、Langmuirの 吸着等温線で直線性が得られた。このことか ら、銀の吸着は、炭化物と活性炭では細孔に よる物理吸着であるが、RTD担持炭化物では、 RTDによる化学吸着であると考えられる。また Freundlich、Langmuirの吸着等温線より200 mesh以下 の炭化物は活性炭よりも銀の吸着能に優れて いることが明らかとなった。

 図11は、バッチ式による写真廃液からの銀 除去結果を示す。
活性炭等の添加量等は下記のとおりである。
 活性炭、炭化物:添加量300 mg
 RTD溶液(18.16 %):添加量0.1mL
 RTD担持炭化物(200 mesh以下):添加量100, 150 mg 、RTD担持率23.3 wt%
 写真廃液:溶液量10 mL; 銀濃度3000 ppm
 反応時間:30 min.
 RTD担持炭化物(RTD担持率23.3wt%)では添加量100m gでは銀の残留濃度は170ppmであったが、添加 150 mgでは銀の残留濃度が3ppmまで減少した。 この結果から、RTD担持炭化物によって、実際 産業界で排出される写真廃液から銀を除去す ることができた。

 図12は、バッチ式によるPtモデル廃液から のPtの除去率を示す。図12は、バッチ式によ 原子吸光用白金標準液(和光純薬工業(株)製) 用いてPtモデル廃液(初期濃度:100ppm)を10mL調 し、RTD担持率0wt%、10wt%、20wt%、30wt%の炭化物 (200mesh以下)0.01g、0.02g、0.05gを添加して、Ptの 去率を測定した結果を示す。未坦持炭化物 0.01g、0.02gではPtの除去率は0%であり、0.05gを 用いてもPtの除去率は45%であつた。RTD担持率1 0wt%炭化物0.05gを添加した場合、Ptの除去率は1 00%であった。原子吸光用白金標準液 和光純 工業(株)製を用いてPtモデル廃液を調製した 溶液からもPtがRTD担持炭化物で吸着できるこ が明らかとなった。

<カラム式RTD担持炭化物の吸着特性>
 乾燥したRTD担持炭化物を内径1 cmのカラム に充填しポンプを用いて、銀濃度500ppmでpH5 硝酸銀水溶液を通液した。

 図13は、RTD担持率の異なるRTD担持炭化物を 填したカラムを用いた場合の銀イオンの破 曲線を示す。
 RTD担持炭化物の充填量等は下記のとおりで る。
 RTD担持炭化物:充填量0.5g、RTD担持率0-74.3wt%
 硝酸銀水溶液:銀濃度500ppm、pH5
 流速:1mL/min.
 接触時間:2min.
 カラム長:20mm
 炭化物等の吸着剤に銀イオンを吸着させた 合に、ある負荷量を超えると吸着剤出口の 度が次第に増大する。この現象を吸着剤の 過現象といい、破過が始まる時点を破過点 いう。実用上はこの時点で吸着操作は終了 なる。RTD未担持炭化物及び活性炭によるカ ム実験では硝酸銀水溶液の透過直後に破過 見られたが、RTD担持炭化物では破過が開始 るまでに銀の残留濃度1ppm以下を維持しつつ 処理できる溶液量は、RTD担持率の増大ととも に増加した。

 図14は、流速の違いによる銀イオンの破過 線の変化を示す。
 RTD担持炭化物の充填量等は下記のとおりで る。
 RTD担持炭化物:充填量0.5 g、RTD担持率23.3 wt%
 硝酸銀水溶液:銀濃度500ppm、pH5
 接触時間:2min.、 40sec
 カラム長:20mm
 流速1mL/min.(接触時間2min.)と流速3mL/min.(接触 間40sec.)では破過の開始がともに硝酸銀水溶 液が200 mL通液後であった。この結果より、 ラム式においては接触時間40秒で十分な銀の 除去が可能であり、接触時間を2分に延長し も銀の吸着除去効率は変わらないことから 迅速な銀の除去が可能であることが示され 。

 図15は、銀イオン吸着除去後の複合体のSE M像とEDX元素マッピングを示す。カラムに使 したRTD担持炭化物はSが分布しているところ のみAgの分布が見られる。この結果から炭 物の細孔に吸着することによって銀が除去 れたのではなく、RTDと反応することによっ 銀が除去されたことがわかる。

 表2に、EDX元素分析結果を示す。
 RTD坦持炭化物はSが100%であることからRTDが 化物に吸着していることがわかる。銀イオ 吸着除去後のカラム使用炭化物ではSが47.4at% 、Agが52.6at%からRTD1molに対して、Agが3mol吸着 ていることがわかる。そして、カラム流出 はカラム内の炭化物から脱離した粉末であ が、これは、RTDとAgが反応した化合物である ことがわかる。

<加圧カラム式RTD担持炭化物の吸着特性>
 図18に、加圧式RTD担持炭化物カラム吸着装 の例を示す。図18に示す装置は、上段の2本 横向きRTD担持炭化物カラム11,12、下段に2本 縦向きRTD担持炭化物カラム13,14、そして送液 ポンプ15、流出量調整器18を装備している。 ーカー16内の硝酸銀水溶液は送液ポンプによ って上段の横向きカラム11,12に送液され、下 に2本の縦向きRTD担持炭化物カラム13,14を通 して、カラム13,14内で銀イオンが吸着し、 イオンを除去した溶液がビーカー17に排出さ れる。
 加圧式カラム吸着装置に複合体を充填してA gならびにPtの代表的なモデル廃液ならびに実 廃液について試験を行った。

 図16は、加圧式カラム吸着装置による銀イ ンの破過曲線を示す。
 RTD担持炭化物の充填量等は下記のとおりで る。
 RTD担持炭化物(200 mesh以下):充填量5.0g、RTD担 持率23.3、41.5wt%
 トラップ用炭化物(200 mesh以下):充填量10.0g
 硝酸銀水溶液:銀濃度500 ppm、pH 5
 流速:10mL/min.
 接触時間:2 min.

 加圧式カラムにおいては担持率23.3 wt%及 41.5wt%のRTD担持炭化物では破過開始までに処 理可能な液量はともに500 mLであり、RTD担持 による違いは得られなかった。またRTD担持 41.5wt%においてはトラップをすることで破過 始までに処理できる液量は増加したが、23.3  wt%においては変わらなかった。

 図17は、加圧カラム式による実際産業界で 棄処理される写真廃液中の銀イオンの破過 線を示す。
 RTD担持炭化物の充填量等は下記のとおりで る。
 RTD担持炭化物(200 mesh以下):充填量5.0g、RTD担 持率23.3wt%
 トラップ用炭化物(200 mesh以下) :充填量10g
 写真廃液:銀濃度3000 ppm
 流速:10mL/min.
 接触時間:2 min.
 カラム長さ:RTD担持炭化物8 mm、トラップ用 化物12mm

 図17に示すように、破過開始までに処理 能な溶液量は500 mLであった。同図に示すよ に、「加圧式RTD担持炭化物カラム吸着装置 を用いて、写真廃液から銀を除去すること できた。

[吸着後複合体からの金属イオン回収]
 RTDと金属イオン(AgならびにPt)の塩を調製し これをアルカリ水溶液中に添加して変化を べたところ、溶解性が低いことが明らかと った。また、水溶性のアルコールやアセト ならびに水-アルコール混合系で同様の処理 を行ったが、ほぼ同様の結果であった。
 そこで、焼却法による金属回収について試 を行った。焼却温度550~1000℃、空気、窒素 囲気、燃焼時間0.5~2 hの条件では、焼却後と 焼却前の重量比は、銀吸着したRTD担持炭化物 では0.19~0.22、RTDでは0.63~0.70であった。この結 果から、RTDと木質炭化物は燃焼灰化するが、 AgならびにPtはともに焼却により粗金属状態 回収できることが明らかとなった。すなわ 、担体として用いた炭化物の炭素が金属イ ンの還元剤として作用し、直接粗金属とし 回収できる新たな方法を見出すことができ 。