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Title:
TURBINE BLADE AND STEAM TURBINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175533
Kind Code:
A1
Abstract:
A turbine blade (21) has a ventral surface (21P) that extends in the radial direction, which intersects a vapor flow direction, and faces the upstream side of the flow direction. A slit (5) is formed on the downstream side in the ventral surface (21P) and captures droplets generated as a result of the liquefaction of vapor. A region of micro recesses/protrusions (6), which guides droplets adhered to the ventral surface (21P) in the radial direction toward the slit (5) from the upstream side to the downstream side, is formed further upstream than the slit (5). In the region of micro recesses/protrusions (6), resistance to the flow of droplets gradually increases from the inside to the outside in the radial direction.

Inventors:
MIZUMI SHUNSUKE (JP)
DUAN CHONGFEI (JP)
SASAO YASUHIRO (JP)
TABATA SOICHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007666
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 26, 2020
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI HITACHI POWER SYS (JP)
International Classes:
F01D9/02; F01D25/32
Foreign References:
JP2017106451A2017-06-15
JPH02267301A1990-11-01
JP2007120478A2007-05-17
JP2007309235A2007-11-29
JP2017020443A2017-01-26
JPH03131316A1991-06-04
Attorney, Agent or Firm:
MATSUNUMA Yasushi et al. (JP)
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Claims:
〇 2020/175533 21 卩(:171? 2020 /007666

請求の範囲

[請求項 1 ] 蒸気の流れ方向に交差する径方向に延びるとともに、 該流れ方向の 上流側を向く腹面を有し、

前記腹面における下流側には、 前記蒸気が液化して生じた液滴を捕 捉するスリッ トが形成され、

該スリッ トよりも上流側には、 前記腹面に付着した液滴を、 上流側 から下流側に向かうに従って、 前記スリッ トに向かうように径方向に 導く微細凹凸領域が形成され、

該微細凹凸領域では、 前記径方向内側から外側に向かうに従って、 前記液滴に対する流動抵抗が次第に大きくなっている夕ービン静翼。

[請求項 2] 前記微細凹凸領域は、 前記径方向に互いに隣接して設けられた親水 性を有する複数の領域を有し、 前記複数の領域間では前記液滴に対す る流動抵抗が互いに異なるとともに、 前記径方向外側の前記領域にな るほど流動抵抗が大きい請求項 1 に記載のタービン静翼。

[請求項 3] 前記微細凹凸領域は、 上流側から下流側に向かうに従って、 前記流 れ方向から前記径方向に向かうように次第に湾曲している請求項 1又 は 2に記載のタービン静翼。

[請求項 4] 前記微細凹凸領域は、 前記径方向に交互に配列された親水性を有す る領域、 及び撥水性を有する領域を有する請求項 1から 3のいずれか _項に記載の夕ービン静翼。

[請求項 5] 前記スリッ トは、 前記タービン静翼の下流側の端縁である後縁から 前記流れ方向に間隔をあけて設けられ、 前記間隔には、 前記腹面より も高い撥水性を有する超撥水性領域が形成されている請求項 1から 4 のいずれか一項に記載のタービン静翼。

[請求項 6] 前記腹面における前記微細凹凸領域の前記径方向内側には、 前記腹 面に付着した液滴を、 上流側から下流側に向かうに従って前記径方向 に導く内側微細凹凸領域がさらに形成され、

該内側微細凹凸領域では、 前記径方向内側に向かうに従って、 前記 〇 2020/175533 22 卩(:171? 2020 /007666

液滴に対する流動抵抗が次第に大きくなっている請求項 1から 5のい ずれか一項に記載のタービン静翼。

[請求項 7] 前記微細凹凸領域は、 前記径方向に配列された親水性を有する領域

、 及び撥水性を有する領域と、 これら領域の間に形成された未加工面 と、 を有する請求項 1から 6のいずれか一項に記載のタービン静翼。

[請求項 8] 前記微細凹凸領域は、 前記径方向に配列された親水性を有する領域

、 及び撥水性を有する領域と、 これら領域の間に形成された未加工面 と、 を有し、 前記親水性を有する領域、 前記撥水性を有する領域、 及 び前記未加工面がこの順で周期的に配置されている請求項 1から 7の いずれか一項に記載のタービン静翼。

[請求項 9] 軸線回りに回転可能な回転軸と、

該回転軸の外周面に前記軸線方向に対する周方向に配列された複数 の夕ービン動翼と、

前記回転軸、 及び前記タービン動翼を外周側から覆うケーシングと 該ケーシングの内周面に前記軸線に対する周方向に配列されるとと もに、 前記夕ービン動翼と前記軸線方向に隣接して設けられた複数の 請求項 1から 8のいずれか一項に記載のタービン静翼と、

を備える蒸気夕ービン。

Description:
\¥0 2020/175533 1 卩(:17 2020 /007666 明 細 書

発明の名称 : タービン静翼、 及び蒸気タービン

技術分野

[0001 ] 本発明は、 タービン静翼、 及び蒸気タービンに関する。

本願は、 2 0 1 9年 2月 2 7日に、 日本に出願された特願 2 0 1 9— 0 3 3 5 4 0号に基づき優先権を主張し、 その内容をここに援用する。

背景技術

[0002] 蒸気タービンは、 軸線回りに回転可能な回転軸と、 当該回転軸の外周面上 で軸線方向に間隔をあけて配列された複数の タービン動翼段と、 回転軸、 及 び夕ービン動翼段を外周側から覆うケーシン グと、 ケーシングの内周面上で タービン動翼段と交互に配列された複数のタ ービン静翼段と、 を備えている 。 ケーシングの上流側には外部から蒸気を取り 込む吸入口が形成され、 下流 側には排気口が形成されている。 吸入口から取り込まれた高温高圧の蒸気は 、 タービン静翼段で流れの方向と速度を調整さ れた後、 タービン動翼段で回 転軸の回転力に変換される。

[0003] タービン内を通過する蒸気は、 上流側から下流側に向かうにつれてエネル ギーを失い、 温度 (と圧力) が低下する。 したがって、 最も下流側の夕ービ ン静翼段では、 蒸気の一部が液化して微細な水滴として気流 中に存在してい る。 その水滴の一部はタービン静翼の表面に付着 する。 この水滴は、 翼面上 ですぐに成長して液膜となる。 液膜は、 その周囲を常に高速の蒸気流にさら されているが、 この液膜がさらに成長して厚みが増すと、 その一部が蒸気流 によってちぎれて粗大液滴の状態で飛散する 。 飛散した液滴は蒸気流により 徐々に加速しながらの主流に乗って下流側に 流れる。 大きな液滴ほど自身に 働く慣性力が大きいことから、 主流蒸気に乗ってタービン動翼の間を通過す ることができずに、 夕ービン動翼に衝突する。 夕ービン動翼の周速は音速を 超える場合があることから、 飛散した液滴が夕ービン動翼に衝突した場合 、 その表面を侵食し、 エロージョンを発生させることがある。 また、 液滴の衝 〇 2020/175533 2 卩(:171? 2020 /007666

突によって夕ービン動翼の回転が阻害され 、 制動損失が生じることもある。

[0004] このような液滴の付着と成長を防ぐために、 これまでに種々の技術が提唱 されている。 例えば下記特許文献 1 に記載された装置では、 タービン静翼の 表面に液膜を吸い込むための抽出口が形成さ れているとともに、 この抽出口 に向かってタービン静翼の前縁側から広がる 親水性の除去面が形成されてい る。 除去面を伝って液膜が移動した後、 抽出口によってこれを吸い取ること ができるとされている。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :特開 2 0 1 7 _ 1 0 6 4 5 1号公報 発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] しかしながら、 上記特許文献 1 に記載された装置では、 抽出口に向かって 除去面が一様に形成されているに留まる。 つまり、 除去面内では親水性が一 定である。 また、 処理面上の液膜に対する流動抵抗に関する記 述が無く、 流 動抵抗の違いによる液膜制御に関しては考慮 されていない。 このため、 当該 除去面に到達した液滴には、 必ずしもスリッ トに向かう力が働かない。 その 結果、 液滴が除去面から外部にはみ出してしまう可 能性がある。 即ち、 上記 特許文献 1 に記載された装置には依然として改良の余地 がある。

[0007] 本発明は上記課題を解決するためになされた ものであって、 液滴をより効 率的に回収することが可能なタービン静翼、 及びこれを備える蒸気タービン を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008] 本発明の一態様に係るタービン静翼は、 蒸気の流れ方向に交差する径方向 に延びるとともに、 該流れ方向の上流側を向く腹面を有し、 前記腹面におけ る下流側には、 前記蒸気が液化して生じた液滴を捕捉するス リッ トが形成さ れ、 該スリッ トよりも上流側には、 前記腹面に付着した液滴を、 上流側から 〇 2020/175533 3 卩(:171? 2020 /007666

下流側に向かうに従って、 前記スリッ トに向かうように径方向に導く微細凹 凸領域が形成され、 該微細凹凸領域では、 前記径方向内側から外側に向かう に従って、 前記液滴に対する流動抵抗が次第に大きくな っている。

[0009] 上記構成によれば、 微細凹凸領域では、 径方向内側から外側に向かうに従 って、 液滴に対する流動抵抗が次第に大きくなって いる。 液滴に対する流動 抵抗が大きくなるほど、 液滴の流速は遅くなる。 つまり、 流動抵抗の異なる 2つの領域にまたがっている液滴には、 流動抵抗の小さい領域から大きい領 域に向かう速度成分が生じる。 したがって、 上記のように径方向内側から外 側に向かって流動抵抗が大きくなっている場 合、 液滴は蒸気の流れと、 上記 流動抵抗の差に基づいて、 当該スリッ トに向かって導かれるように流れる。 その結果、 径方向における腹面の中央部に位置していた 液滴は、 微細凹凸領 域に案内されることで径方向に流れた後、 スリッ トによって捕捉される。 こ れにより、 ちぎれた液滴がタービン静翼の下流側に飛散 して、 タービン動翼 に衝突する可能性を低減することができる。

[0010] 上記タービン静翼では、 前記微細凹凸領域は、 前記径方向に互いに隣接し て設けられた親水性を有する複数の領域を有 し、 前記複数の領域間では前記 液滴に対する流動抵抗が互いに異なるととも に、 前記径方向外側の前記領域 になるほど流動抵抗が大きくてもよい。

[001 1 ] 上記構成によれば、 微細凹凸領域が、 径方向に隣接して設けられた親水性 を有する複数の領域を有している。 したがって、 液滴や液膜は、 壁面の親水 性に基づいてより薄く広がる。 これにより、 液滴や液膜が上記複数の領域間 をまたぎやすくなる。 したがって、 流動抵抗の異なる 2つの領域にまたがっ ている液滴や液膜には、 流動抵抗の小さい領域から大きい領域に向か う速度 成分が生じる。 その結果、 径方向における腹面の中央部に位置していた 液滴 や液膜は、 微細凹凸領域に案内されることでスリッ ト側に向かって流れる。 これにより、 液滴や液膜がちぎれて下流側に飛散する可能 性をさらに低減す ることができる。

[0012] 上記夕ービン静翼では、 前記微細凹凸領域は、 上流側から下流側に向かう 〇 2020/175533 4 卩(:171? 2020 /007666

に従って、 前記流れ方向から前記径方向に向かうように 次第に湾曲していて もよい。

[0013] 上記構成によれば、 微細凹凸領域が上流側から下流側に向かうに 従って、 流れ方向から径方向に向かうように次第に湾 曲している。 したがって、 流れ 方向から径方向に向かうように、 液滴をより積極的に導くことができる。 こ れにより、 ちぎれた液滴が流れ方向の下流側に飛散して しまう可能性をさら に低減することができる。

[0014] 上記タービン静翼では、 前記微細凹凸領域は、 前記径方向に交互に配列さ れた親水性を有する領域、 及び撥水性を有する領域を有してもよい。

[0015] 上記構成によれば、 親水性を有する領域と撥水性を有する領域と の間では 、 液滴に対する流動抵抗に差が生じる。 液滴に対する流動抵抗が大きくなる ほど、 液滴の流速は遅くなる。 つまり、 流動抵抗の異なる 2つの領域にまた がっている液滴には、 流動抵抗の小さい領域から大きい領域に向か う速度成 分が生じる。 したがって、 液滴はスリッ トに向かって導かれるように流れる 。 その結果、 径方向における腹面の中央部に位置していた 液滴は、 微細凹凸 領域に案内されることで径方向に流れた後、 スリッ トによって捕捉される。 これにより、 ちぎれた液滴がタービン静翼の下流側に飛散 して、 タービン動 翼に衝突する可能性を低減することができる 。

[0016] 上記タービン静翼では、 前記微細凹凸領域は、 前記径方向に配列された親 水性を有する領域、 及び撥水性を有する領域と、 これら領域の間に形成され た未加工面と、 を有してもよい。

[0017] 上記構成によれば、 親水性を有する領域と未加工面の領域と撥水 性を有す る領域の間では、 液滴や液膜に対する流動抵抗に、 この順で差が生じ、 一般 的に親水側に傾くほど水と壁面との親和性が 良い、 つまり引っ張り合う力が 強くなり、 結果的に流動抵抗が大きくなる。 液滴や液膜に対する流動抵抗が 大きくなるほど、 液滴の流速は遅くなる。 つまり、 流動抵抗の異なる 2つの 領域にまたがっている液滴には、 流動抵抗の小さい領域から大きい領域に向 かう速度成分が生じる。 したがって、 液滴はスリッ トに向かって導かれるよ 〇 2020/175533 5 卩(:171? 2020 /007666

うに流れる。 その結果、 径方向における腹面の中央部に位置していた 液滴は 、 微細凹凸領域に案内されることで径方向に流 れた後、 スリッ トによって捕 捉される。 これにより、 ちぎれた液滴がタービン静翼の下流側に飛散 して、 タービン動翼に衝突する可能性を低減するこ とができる。

[0018] 上記タービン静翼では、 前記微細凹凸領域は、 前記径方向に配列された親 水性を有する領域、 及び撥水性を有する領域と、 これら領域の間に形成され た未加工面と、 を有し、 前記親水性を有する領域、 前記撥水性を有する領域 、 及び前記未加工面がこの順で周期的に配置さ れていてもよい。

[0019] 上記構成によれば、 撥水性からを親水性有する領域に向かって流 動抵抗が 大きくなる。 液膜は基本的に周囲の気流の流れに沿って流 れるが、 壁面側の 流動抵抗が異なるとる流動抵抗の大きい方に 曲がる。 つまり流動抵抗の大き い方向への速度成分が生じる。 液膜は液体ゆえに大きな慣性力を持つため、 上記構成で周期的に繰り返す加工面の最大流 動抵抗箇所を乗り越え、 次の低 流動抵抗箇所に移動し、 これを繰り返す。 したがって、 液滴はスリッ トに向 かって導かれるように流れる。 その結果、 径方向における腹面の中央部に位 置していた液滴は、 微細凹凸領域に案内されることで径方向に流 れた後、 ス リッ トによって捕捉される。 これにより、 ちぎれた液滴がタービン静翼の下 流側に飛散して、 タービン動翼に衝突する可能性を低減するこ とができる。

[0020] 上記タービン静翼では、 前記スリッ トは、 前記タービン静翼の下流側の端 縁である後縁から前記流れ方向に間隔をあけ て設けられ、 前記間隔には、 前 記腹面よりも高い撥水性を有する超撥水性領 域が形成されていてもよい。

[0021 ] 上記構成によれば、 スリッ トと後縁との間の間隔に、 超撥水性領域が形成 されている。 これにより、 例えば液滴の一部がスリッ トによって捕捉しきれ ずに下流側に流れ去った場合であっても、 当該超撥水性領域によってはじか れる。 したがって、 液滴がスリッ トの下流側に滞留する可能性を低減するこ とができる。 その結果、 滞留した液滴が集合してより大きな液膜を形 成する ことを抑制することができる。

[0022] 上記タービン静翼では、 前記腹面における前記微細凹凸領域の前記径 方向 〇 2020/175533 6 卩(:171? 2020 /007666

内側には、 前記腹面に付着した液滴を、 上流側から下流側に向かうに従って 径方向に導く内側微細凹凸領域がさらに形成 され、 該内側微細凹凸領域では 、 径方向内側に向かうに従って、 前記液滴に対する流動抵抗が次第に大きく なっていてもよい。

[0023] 上記構成によれば、 内側微細凹凸領域では、 径方向内側に向かうに従って 、 液滴に対する流動抵抗が次第に大きくなって いる。 液滴に対する流動抵抗 が大きくなるほど、 液滴の流速は遅くなる。 つまり、 流動抵抗の異なる 2つ の領域にまたがっている液滴には、 流動抵抗の小さい領域から大きい領域に 向かう速度成分が生じる。 したがって、 上記のように径方向に向かって流動 抵抗が大きくなっている場合、 液滴は径方向外側から内側に向かって導かれ るように流れる。 その結果、 径方向における腹面の中央部に位置していた 液 滴は、 内側微細凹凸領域に案内されることで径方向 内側に流れる。 タービン 静翼の下流側に位置するタービン動翼の周速 は径方向内側になるほど小さい ことから、 周速が相対的に高い径方向外側の部分に液滴 が衝突した場合に比 ベて、 エロージョンや制動損失を生じる可能性を低 減することができる。

[0024] 本発明の一態様に係る蒸気タービンは、 軸線回りに回転可能な回転軸と、 該回転軸の外周面に前記軸線方向に対する周 方向に配列された複数の夕ービ ン動翼と、 前記回転軸、 及び前記タービン動翼を外周側から覆うケー シング と、 該ケーシングの内周面に前記軸線に対する周 方向に配列されるとともに 、 前記タービン動翼と前記軸線方向に隣接して 設けられた上記いずれか一の 態様に係る複数のタービン静翼と、 を備える。

[0025] 上記構成によれば、 液滴をより効率的に回収することが可能なタ ービン静 翼を備える蒸気タービンを提供することがで きる。

発明の効果

[0026] 本発明によれば、 液滴をより効率的に回収することが可能な夕 ービン静翼 、 及びこれを備える蒸気タービンを提供するこ とができる。

図面の簡単な説明

[0027] [図 1 ]本発明の第一実施形態に係る蒸気タービン 構成を示す模式図である。 〇 2020/175533 7 卩(:171? 2020 /007666

[図 2]本発明の第一実施形態に係るタービン静 の構成を示す斜視図である。 [図 3]本発明の第一実施形態に係る微細凹凸領 の構成を示す拡大図である。 [図 4]本発明の第一実施形態に係る微細凹凸領 での液滴の挙動を示す説明図 である。

[図 5]本発明の第二実施形態に係るタービン静 の構成を示す側面図である。 [図 6]本発明の第三実施形態に係るタービン静 の構成を示す側面図である。 発明を実施するための形態

[0028] [第一実施形態]

本発明の第一実施形態について、 図 1から図 4を参照して説明する。 本実 施形態に係る蒸気タービン 1 〇〇は、 軸線〇方向に沿って延びる蒸気夕ービ ンロータ 3と、 蒸気夕ービンロータ 3を外周側から覆う蒸気夕ービンケーシ ング 2と、 蒸気タービンロータ 3の軸端 1 1 を軸線〇回りに回転可能に支持 するジャーナル軸受 4八、 及びスラスト軸受 4巳と、 を備えている。

[0029] 蒸気タービンロータ 3は、 軸線〇に沿って延びる回転軸 1 と、 回転軸 1の 外周面に設けられた複数の動翼 3 0を有している。 動翼 3 0は、 回転軸 1の 周方向に一定の間隔をもって複数配列されて いる。 軸線〇方向においても、 一定の間隔を持って複数の動翼 3 0の列が配列されている。 動翼 3 0は、 動 翼本体 3 1 (タービン動翼) と、 動翼シュラウド 3 4と、 を有している。 動 翼本体 3 1は、 蒸気タービンロータ 3の外周面から径方向外側に向かって突 出している。 動翼本体 3 1は、 径方向から見て翼型の断面を有する。 動翼本 体 3 1の先端部 (径方向外側の端部) には、 動翼シュラウド 3 4が設けられ ている。

[0030] 蒸気夕ービンケーシング 2は、 蒸気夕ービンロータ 3を外周側から覆う略 筒状をなしている。 蒸気タービンケーシング 2の軸線〇方向一方側には、 蒸 気 3を取り込む蒸気供給管 1 2が設けられている。 蒸気タービンケーシング 2の軸線〇方向他方側には、 蒸気 3を排出する蒸気排出管 1 3が設けられて いる。 蒸気は、 蒸気タービンケーシング 2の内部で、 軸線〇方向一方側から 他方側に向かって流れる。 以降の説明では、 蒸気の流れる方向を単に 「流れ 〇 2020/175533 8 卩(:171? 2020 /007666

方向」 と呼ぶ。 さらに、 蒸気排出管 1 3から見て蒸気供給管 1 2が位置する 側を流れ方向の上流側と呼び、 蒸気供給管 1 2から見て蒸気排出管 1 3が位 置する側を流れ方向の下流側と呼ぶ。

[0031 ] 蒸気夕ービンケーシング 2の内周面には、 複数の静翼 2 0の列が設けられ ている。 静翼 2 0は、 静翼本体 2 1 (タービン静翼) と、 静翼シュラウド 2 2と、 静翼台座 2 4と、 を有している。 静翼本体 2 1は、 静翼台座 2 4を介 して蒸気夕ービンケーシング 2の内周面に接続される羽根状の部材である さらに、 静翼本体 2 1の先端部 (径方向内側の端部) には、 静翼シュラウド

2 2が設けられている。 動翼 3 0と同様に、 静翼 2 0は内周面上で周方向及 び軸線〇方向に沿って複数配列される。 動翼 3 0は、 隣り合う複数の静翼 2 0の間の領域に入り込むようにして配置され 。 つまり、 静翼 2 0、 及び動 翼 3 0は、 蒸気の流れ方向に交差する方向 (軸線〇に対する径方向) に延び ている。

[0032] 蒸気 3は、 上流側の蒸気供給管 1 2を介して、 上述のように構成された蒸 気タービンケーシング 2の内部に供給される。 蒸気夕ービンケーシング 2の 内部を通過する中途で、 蒸気 3は静翼 2 0と動翼 3 0を交互に通過する。 静 翼 2 0は蒸気 3の流れを整流し、 整流された流体としての蒸気 3の塊が動翼

3 0を押すことによって蒸気夕ービンロータ 3に回転力を与える。 蒸気夕一 ビンロータ 3の回転力は、 軸端 1 1から取り出されて外部の機器 (発電機等 ) の駆動に用いられる。 蒸気夕ービンロータ 3の回転に伴って、 蒸気 3は下 流側の蒸気排出管 1 3を通じて後続の装置 (復水器等) に向かって排出され る。

[0033] ジャーナル軸受 4八は、 軸線〇に対する径方向への荷重を支持する。 ジャ —ナル軸受 4八は、 蒸気夕ービンロータ 3の両端に 1つずつ設けられている 。 スラスト軸受 4巳は、 軸線〇方向への荷重を支持する。 スラスト軸受 4巳 は、 蒸気タービンロータ 3の上流側の端部にのみ設けられている。

[0034] 次いで、 図 2を参照して、 静翼本体 2 1の構成について説明する。 静翼本 体 2 1は、 流れ方向に交差する方向である径方向 (軸線〇に対する径方向) 〇 2020/175533 9 卩(:171? 2020 /007666

に延びている。 径方向から見た静翼本体 2 1の断面は翼型をなしている。 よ り詳細には、 流れ方向の上流側の端縁である前縁 2 1 は曲面状をなしてい る。 下流側の端縁である後縁 2 1 は径方向から見て周方向の寸法が次第に 小さくなることでテーパ形状をなしている。 前縁 2 1 から後縁 2 1 にか けて、 静翼本体 2 1は、 軸線〇に対する周方向一方側から他方側に向 かって 緩やかに湾曲している。

[0035] 静翼本体 2 1 における周方向一方側の面は、 流れ方向における下流側を向 く背面 2 1 〇とされている。 背面 2 1 〇は、 周方向一方側に向かって凸とな る曲面状をなしている。 一方で、 静翼本体 2 1 における周方向他方側の面は 、 流れ方向における上流側を向く腹面 2 1 とされている。 腹面 2 1 は、 周方向一方側に向かって凹となる曲面状をな している。 蒸気が流れている状 態では、 腹面 2 1 における圧力が、 背面 2 1 〇における圧力よりも高くな る。

[0036] 静翼本体 2 1の径方向内側を向く端面は内周側端面 2 1 とされ、 径方向 外側を向く端面は外周側端面 2 1 巳とされている。 内周側端面 2 1 は上述 の軸線〇に沿って広がっている。 一方で、 外周側端面 2 1 巳は、 軸線〇に対 して傾斜している。 詳細には、 軸線〇を含む断面視で、 外周側端面 2 1 巳は 、 軸線〇に沿って上流側から下流側に向かうに 従って、 径方向外側に向かっ て延びている。

[0037] 腹面 2 1 上で、 外周側端面 2 1 巳側に偏った部分 (即ち、 内周側端面 2

1 八よりも外周側端面 2 1 巳に近い部分) には、 スリッ ト 5、 外側微細凹凸 領域 6 1 (微細凹凸領域 6) 、 及び内側微細凹凸領域 6 2が形成されている 。 スリッ ト 5は、 腹面 2 1 上で径方向成分を含む方向に延びる長方形の 孔 である。 より詳細には、 スリッ ト 5は、 後縁 2 1 に沿って延びている。 ス リッ ト 5は、 腹面 2 1 に沿って前縁 2 1 側から後縁 2 1 側にかけて流 れてくる蒸気のうちの液化した成分 (液滴) を捕捉するために形成されてい る。 スリッ ト 5は、 静翼本体 2 1の内部に形成された流路 (不図示) に接続 されており、 捕捉した液滴はこの流路を通じて静翼本体 2 1の外部に送られ \¥0 2020/175533 10 卩(:17 2020 /007666

る。

[0038] 外側微細凹凸領域 6 1は、 腹面 2 1 に付着した液滴をスリッ ト 5に向か うように径方向に導くために設けられている 。 外側微細凹凸領域 6 1は、 腹 面 2 1 における径方向外側に設けられている。 具体的には、 外側微細凹凸 領域 6 1は、 外周側端面 2 1 巳に近接した位置に設けられている。 外側微細 凹凸領域 6 1は、 腹面 2 1 に付着した液滴を、 流れ方向から次第に径方向 外側を向くように導く。

[0039] 外側微細凹凸領域 6 1は、 径方向に複数 (4つ) の領域 (外側領域 7) に 区画されている。 径方向における最も内側の外側領域 7は、 第一外側領域 7 1 とされている。 第一外側領域 7 1の径方向外側には、 第二外側境界線 !_ 1 2を介して第二外側領域 7 2が隣接している。 第二外側領域 7 2の径方向外 側には、 第三外側境界線 1- 1 3を介して第三外側領域 7 3が隣接している。 第三外側領域 7 3の径方向外側には、 第四外側境界線 !_ 1 4を介して第四外 側領域 7 4が隣接している。 第一外側領域 7 1の径方向内側の端縁は第一外 側境界線 1- 1 1 とされている。 第一外側境界線 !_ 1 1 よりも径方向内側には 中央領域 〇が形成されている。

[0040] 第一外側領域 7 1、 第二外側領域 7 2、 第三外側領域 7 3、 及び第四外側 領域 7 4の下流側の端縁はスリッ ト 5に隣接している。 径方向におけるスリ ッ ト 5の寸法は、 外側微細凹凸領域 6 1 よりも小さい。 したがって、 第一外 側領域 7 1、 第二外側領域 7 2、 第三外側領域 7 3、 及び第四外側領域 7 4 は、 いずれも流れ方向の上流側から下流側に向か うに従って次第に径方向外 側を向くように湾曲することでスリッ ト 5につながっている。 第二外側領域 7 2は、 第一外側領域 7 1 よりも大きく湾曲している。 第三外側領域 7 3は 、 第二外側領域 7 2よりも大きく湾曲している。 第四外側領域 7 4は、 第三 外側領域 7 3よりも大きく湾曲している。 即ち、 径方向内側の外側領域 7に なるほど湾曲が大きい。

[0041 ] 内側微細凹凸領域 6 2は、 腹面 2 1 の中央部 (中央領域 〇) を挟んで 外側微細凹凸領域 6 1の径方向内側に設けられている。 内側微細凹凸領域 6 〇 2020/175533 1 1 卩(:171? 2020 /007666

2は、 腹面 2 1 に付着した液滴を、 流れ方向から次第に径方向内側を向く ように導く。 内側微細凹凸領域 6 2は、 径方向に複数 (4つ) の領域 (内側 領域 8) に区画されている。 径方向における最も外側の内側領域 8は、 第一 内側領域 8 1 とされている。 第一内側領域 8 1の径方向外側には、 第二内側 境界線!- 2 2を介して第二内側領域 8 2が隣接している。 第二内側領域 8 2 の径方向内側には、 第三内側境界線!- 2 3を介して第三内側領域 8 3が隣接 している。 第三内側領域 8 3の径方向内側には、 第四内側境界線 1- 2 4を介 して第四内側領域 8 4が隣接している。 第一内側領域 8 1の径方向内側の端 縁は第一内側境界線 !_ 2 1 とされている。 第一内側境界線!- 2 1 よりも径方 向外側には上述の中央領域 〇が形成されている。

[0042] 第一内側領域 8 1、 第二内側領域 8 2、 第三内側領域 8 3、 及び第四内側 領域 8 4の下流側の端縁は、 後縁 2 1 に対して流れ方向に間隔 Vを空けて 隣接している。 第一内側領域 8 1、 第二内側領域 8 2、 第三内側領域 8 3、 及び第四内側領域 8 4は、 いずれも流れ方向の上流側から下流側に向か うに 従って次第に径方向内側を向くように湾曲し ている。 第二内側領域 8 2は、 第一内側領域 8 1 よりも大きく湾曲している。 第三内側領域 8 3は、 第二内 側領域 8 2よりも大きく湾曲している。 第四内側領域 8 4は、 第三内側領域 8 3よりも大きく湾曲している。 即ち、 径方向外側の内側領域 8になるほど 湾曲が大きい。

[0043] 上記の外側微細凹凸領域 6 1、 及び内側微細凹凸領域 6 2は、 いずれも親 水性を有している。 なお、 ここで言う 「親水性を有する」 状態とは、 液滴が 付着面に対してなす接触角が 9 0 ° より小さい状態を指し、 特に接触角が 5 ° 未満となる状態を超親水性と呼ぶ。 また、 各外側領域 7同士の間、 及び各 内側領域 8同士の間では、 液滴に対する流動抵抗の大きさが互いに異な って いる。 より具体的には、 第一外側領域 7 1から第四外側領域 7 4に向かうに 従って、 液滴に対する流動抵抗の大きさが次第に大き くなっている。 同様に 、 第一内側領域 8 1から第四内側領域 8 4に向かうに従って、 液滴に対する 流動抵抗の大きさが次第に大きくなっている 。 ここで材質が同じ場合、 壁面 〇 2020/175533 12 卩(:171? 2020 /007666

の液膜に対する流動抵抗は、 面上の凹凸の形状、 サイズ、 配置で決まり、 基 本的に液面に触れる面積が大きいほど、 また、 流れの方向を直接遮るように 配置されているほど大きくなる。 (さらに、 微細構造の配置が同じなら、 一 般的に微細構造が密に配置されている方が親 水性も高く、 液体との接触面積 も増えるので流動抵抗も大きくなる。 ) このような流動抵抗の差異は、 図 3 又は図 4に示す構成によって実現されている。 なお、 図 3と図 4では、 第一 外側領域 7 1 と第二外側領域 7 2とを代表的に図示している。 しかしながら 、 第二外側領域 7 2と第三外側領域 7 3との関係、 及び第三外側領域 7 3と 第四外側領域 7 4との関係も図 3、 又は図 4の例と同様である。 また、 内側 微細凹凸領域 6 2も同様の構成を有している。

[0044] 図 3では、 外側微細凹凸領域 6 1のうち、 代表的に第一外側領域 7 1 と第 二外側領域 7 2との境界線 (第二外側境界線 !_ 1 2) 付近を拡大して示して いる。 同図に示すように、 第一外側領域 7 1 と第二外側領域 7 2には、 それ それ腹面 2 1 から周方向に突出する複数の凸部丁が互いに 等間隔をあけて (等ピッチで) 配列されている。 各凸部丁は周方向から見て円形の断面を有 している。 第二外側領域 7 2に形成された凸部丁 (第二凸部丁 2) のピッチ は、 第一外側領域 7 1 に形成された凸部丁 (第一凸部丁 1) のピッチよりも 大きい。 また、 第二凸部丁 2の径は、 第一凸部の径よりも大きい。 したがっ て、 第一外側領域 7 1では、 凸部丁 (第一凸部丁 1) が相対的に 「密」 に配 置されていることから、 液滴に対する流動抵抗が、 第二外側領域 7 2よりも 大きくなる。

[0045] ここで、 図 4に示すように、 外側微細凹凸領域 6 1 に 1つの液滴 が第 二外側境界線 1- 1 2をまたいで付着している場合を考える。 この場合、 液滴 における第二外側領域 7 2側の部分では、 第一外側領域 7 1側の部分に 比べて流動抵抗が相対的に大きい。 これにより、 第一外側領域 7 1側の部分 の移動速度 V 1 に比べて、 第二外側領域 7 2側の部分の移動速度 V 2は小さ くなる。 その結果、 図 4中の二点鎖線、 及び矢印 で示すように、 液滴 は当初の位置から、 第二外側領域 7 2側に向かって回転しながら移動する。 〇 2020/175533 13 卩(:171? 2020 /007666

このような液滴の移動は、 蒸気の流体力等の外力によらず、 2つの領域間に おける流動抵抗の差異のみに起因して生じる ものである。

[0046] このような流動抵抗の差異に基づく駆動力に よって、 外側微細凹凸領域 6

1 に付着した液滴は、 流れ方向の上流側から下流側に向かって流れ るにつれ て、 次第に径方向外側に向かって導かれる。 その後、 下流側の端縁を経て、 液滴はスリッ ト 5に流れ込む。 同様に、 内側微細凹凸領域 6 2に付着した液 滴は、 流れ方向の上流側から下流側に向かって流れ るにつれて、 次第に径方 向内側に向かって導かれる。 その後、 間隔 Vを経て静翼本体 2 1の下流側に 流れ去る。

[0047] 以上、 説明したように、 上記構成によれば、 外側微細凹凸領域 6 1では、 スリッ ト 5に向かうに従って、 液滴に対する流動抵抗が次第に大きくなって いる。 液滴に対する流動抵抗が大きくなるほど、 液滴の流速は遅くなる。 つ まり、 流動抵抗の異なる 2つの領域にまたがっている液滴には、 流動抵抗の 小さい領域から大きい領域に向かう速度成分 が生じる。 したがって、 上記の ようにスリッ ト 5に向かって流動抵抗が大きくなっている場 、 液滴は当該 スリッ ト 5に向かって導かれるように流れる。 その結果、 径方向における腹 面 2 1 の中央部に位置していた液滴は、 外側微細凹凸領域 6 1 に案内され ることで径方向に流れた後、 スリッ ト 5によって捕捉される。 これにより、 ちぎれた液滴が静翼本体 2 1の下流側に飛散する可能性を低減すること で きる。

[0048] さらに、 上記構成によれば、 外側微細凹凸領域 6 1が、 径方向に隣接して 設けられた親水性を有する複数の外側領域 7を有している。 したがって、 液 滴は、 親水性に基づいてより薄く広がる。 これにより、 液滴が上記複数の外 側領域 7間をまたぎやすくなる。 したがって、 流動抵抗の異なる 2つの外側 領域 7にまたがっている液滴には、 流動抵抗の小さい領域から大きい領域に 向かう速度成分が生じる。 その結果、 径方向における腹面 2 1 の中央部 ( 中央領域 〇) に位置していた液滴は、 外側微細凹凸領域 6 1 に案内される ことでスリッ ト 5側に向かって流れる。 これにより、 液滴がちぎれて下流側 〇 2020/175533 14 卩(:171? 2020 /007666

に飛散する可能性をさらに低減することが できる。

[0049] 加えて、 上記構成によれば、 外側微細凹凸領域 6 1が上流側から下流側に 向かうに従って、 流れ方向から径方向に向かうように次第に湾 曲している。 したがって、 流れ方向から径方向に向かうように、 液滴をより積極的に導く ことができる。 これにより、 ちぎれた液滴が流れ方向の下流側に飛散して し まう可能性をさらに低減することができる。

[0050] さらに加えて、 上記構成によれば、 内側微細凹凸領域 6 2では、 径方向内 側に向かうに従って、 液滴に対する流動抵抗が次第に大きくなって いる。 液 滴に対する流動抵抗が大きくなるほど、 液滴の流速は遅くなる。 つまり、 流 動抵抗の異なる 2つの領域にまたがっている液滴には、 流動抵抗の小さい領 域から大きい領域に向かう速度成分が生じる 。 したがって、 上記のように径 方向に向かって流動抵抗が大きくなっている 場合、 液滴は径方向外側から内 側に向かって導かれるように流れる。 その結果、 径方向における腹面 2 1 の中央部 (中央領域 〇) に位置していた液滴は、 内側微細凹凸領域 6 2に 案内されることで径方向内側に流れる。 動翼 3 0の周速は径方向内側になる ほど小さいことから、 周速が相対的に高い径方向外側の部分に液滴 が衝突し た場合に比べて、 エロージョンや制動損失を生じる可能性を低 減することが できる。

[0051 ] 以上、 本発明の第一実施形態について説明した。 なお、 本発明の要旨を逸 脱しない限りにおいて、 上記の構成に種々の変更や改修を施すことが 可能で ある。 例えば、 上記第一実施形態では、 外側微細凹凸領域 6 1、 及び内側微 細凹凸領域 6 2が、 それぞれ 4つずつの流動抵抗が異なる領域 (外側領域 7 、 内側領域 8) に区画されている例について説明した。 しかしながら、 これ ら外側微細凹凸領域 6 1、 及び内側微細凹凸領域 6 2は、 流動抵抗の差異に 基づいて 3つ以下に分割されていてもよいし、 5つ以上に分割されていても よい。

[0052] また、 複数の分割された領域を一つのまとまりとし て、 それらが周期的に 繰り返すような配置であってもよい。 この構成によれば、 親水性を有する領 〇 2020/175533 15 卩(:171? 2020 /007666

域と未加工面の領域と撥水性を有する領域 の間では、 液滴や液膜に対する流 動抵抗に、 この順で差が生じ、 一般的に親水側に傾くほど水と壁面との親和 性が良い、 つまり引っ張り合う力が強くなり、 結果的に流動抵抗が大きくな る。 液滴や液膜に対する流動抵抗が大きくなるほ ど、 液滴の流速は遅くなる 。 つまり、 流動抵抗の異なる 2つの領域にまたがっている液滴には、 流動抵 抗の小さい領域から大きい領域に向かう速度 成分が生じる。 したがって、 液 滴はスリッ トに向かって導かれるように流れる。 その結果、 径方向における 腹面の中央部に位置していた液滴は、 微細凹凸領域に案内されることで径方 向に流れた後、 スリッ トによって捕捉される。 これにより、 ちぎれた液滴が タービン静翼の下流側に飛散して、 タービン動翼に衝突する可能性を低減す ることができる。

[0053] さらに、 各領域同士の間に未加工面が形成されていて もよい。 ここで言う 「未加工面」 とは、 上述の微細凹凸が形成されていない状態の面 を指す。 こ の構成によれば、 撥水性からを親水性有する領域に向かって流 動抵抗が大き くなる。 液膜は基本的に周囲の気流の流れに沿って流 れるが、 壁面側の流動 抵抗が異なるとる流動抵抗の大きい方に曲が る。 つまり流動抵抗の大きい方 向への速度成分が生じる。 液膜は液体ゆえに大きな慣性力を持つため、 上記 構成で周期的に繰り返す加工面の最大流動抵 抗箇所を乗り越え、 次の低流動 抵抗箇所に移動し、 これを繰り返す。 したがって、 液滴はスリッ トに向かっ て導かれるように流れる。 その結果、 径方向における腹面の中央部に位置し ていた液滴は、 微細凹凸領域に案内されることで径方向に流 れた後、 スリッ 卜によって捕捉される。 これにより、 ちぎれた液滴がタービン静翼の下流側 に飛散して、 タービン動翼に衝突する可能性を低減するこ とができる。

[0054] さらに、 上記第一実施形態では、 外側微細凹凸領域 6 1のみがスリッ ト 5 に隣接している例について説明した。 しかしながら、 外側微細凹凸領域 6 1 に加えて、 内側微細凹凸領域 6 2もスリッ ト 5に隣接している構成を採るこ とが可能である。 より具体的には、 スリッ ト 5を腹面 2 1 における中央領 域八〇の下流側に配置し、 当該スリッ ト 5に向かって外側微細凹凸領域 6 1 〇 2020/175533 16 卩(:171? 2020 /007666

、 及び内側微細凹凸領域 6 2がそれぞれ湾曲して広がっている攻勢を採 こ とが可能である。 スリッ ト 5に近い領域 (外側領域 7、 内側領域 8) になる ほど、 液滴に対する流動抵抗が大きくなるように構 成することで、 外側微細 凹凸領域 6 1 に加えて、 内側微細凹凸領域 6 2からもスリッ ト 5に液滴を導 くことができる。

[0055] [第二実施形態]

次に、 本発明の第二実施形態について、 図 5を参照して説明する。 なお、 上記第一実施形態と同様の構成については同 一の符号を付し、 詳細な説明を 省略する。 図 5に示すように、 本実施形態では、 外側微細凹凸領域 6 1 、 及び内側微細凹凸領域 6 2 の構成が第一実施形態とは異なっている。

[0056] 外側微細凹凸領域 6 1 では、 第一外側領域 7 1、 及び第三外側領域 7 3 が第一実施形態と同様に親水性を有している 。 一方で、 第二外側領域 7 2

、 及び第四外側領域 7 4 は撥水性を有する撥水性領域 9とされている。 内 側微細凹凸領域 6 2 では、 第一内側領域 8 1、 及び第三内側領域 8 3が第 —実施形態と同様に親水性を有している。 一方で、 第二内側領域 8 2 、 及 び第四内側領域 8 4 は撥水性を有する撥水性領域 9とされている。 なお、 ここで言う 「撥水性を有する」 とは、 当該撥水性領域 9に付着した液滴のな す接触角が、 9 0 ° 以上である状態を示し、 特に 1 5 0 ° 以上の場合は超撥 水状態と呼ぶ。 つまり、 外側微細凹凸領域 6 1 ' 及び内側微細凹凸領域 6 2 では、 親水性を有する領域と撥水性を有する領域と が径方向に交互に配 列されている。

[0057] 上記構成によれば、 親水性を有する領域と撥水性を有する領域と の間では 、 液滴に対する流動抵抗に差が生じる。 液滴に対する流動抵抗が大きくなる ほど、 液滴の流速は遅くなる。 つまり、 流動抵抗の異なる 2つの領域にまた がっている液滴には、 流動抵抗の小さい領域から大きい領域に向か う速度成 分が生じる。 したがって、 液滴はスリッ ト 5、 又は上述の間隔 に向かって 導かれるように流れる。 その結果、 径方向における腹面 2 1 の中央部 (中 央領域 〇) に位置していた液滴は、 外側微細凹凸領域 6 1 ' 及び内側微 〇 2020/175533 17 卩(:171? 2020 /007666 細凹凸領域 6 2 に案内されることで径方向に流れる。 これにより、 ちぎれ た液滴が静翼本体 2 1の下流側に飛散する可能性を低減すること できる。

[0058] 以上、 本発明の第二実施形態について説明した。 なお、 本発明の要旨を逸 脱しない限りにおいて、 上記の構成に種々の変更や改修を施すことが 可能で ある。 例えば、 上記第一実施形態の変形例として説明した構 成を本実施形態 に適用することも可能である。

[0059] [第三実施形態]

続いて、 本発明の第三実施形態について、 図 6を参照して説明する。 なお 、 上記の各実施形態と同様の構成については同 一の符号を付し、 詳細な説明 を省略する。 図 6に示すように、 本実施形態では、 スリッ

との間の間隔 Vに、 腹面 2 1 よりも高い撥水性 (超撥水性) を有する超撥 水性領域 1 〇が形成されている。 なお、 ここで言う 「超撥水性を有する」 と は、 当該超撥水性領域 1 〇に付着した液滴のなす接触角が、 1 5 0 ° 以上で ある状態を示す。 超撥水性領域 1 〇は、 スリッ ト 5の下流側の端縁に隣接し て、 下流側 (後縁 2 1 側) に広がっている。

[0060] 上記構成によれば、 スリッ ト 5と後縁 2 1 との間の間隔 Vに、 超撥水性 領域 1 〇が形成されている。 これにより、 例えば液滴の一部がスリッ ト 5に よって捕捉しきれずに下流側に流れ去った場 合であっても、 当該超撥水性領 域 1 0によってはじかれる。 したがって、 液滴がスリッ ト 5の下流側 (間隔 V) に滞留する可能性を低減することができる。 その結果、 滞留した液滴が 集合してより大きな液膜を形成することを抑 制することができる。

[0061 ] 以上、 本発明の第三実施形態について説明した。 なお、 本発明の要旨を逸 脱しない限りにおいて、 上記の構成に種々の変更や改修を施すことが 可能で ある。 例えば、 上述の各実施形態に共通する事項として、 微細凹凸領域 6の 凸部丁の配置 ·構成を以下のように変更することが可能で る。 微細凹凸領 域 6では径方向内側から外側に向かうに従って 凸部丁のピッチ (間隔) を 同一としつつ、 凸部丁自体の大きさを変えることで流動抵抗 を変えてもよい 。 また、 一方の領域で凸部丁を格子状に配置するとと もに、 他方の領域で凸 〇 2020/175533 18 卩(:171? 2020 /007666

部丁を千鳥状に配置することで流動抵抗を 変えてもよい。 さらに、 一方の領 域で所定の方向に延びる線状の溝を形成し、 他方の領域で当該所定の方向に 直交する方向に延びる線状の溝を形成するこ とで流動抵抗を変えてもよい。 加えて、 一方の領域と他方の領域とで、 凸部丁の密度を変えることで流動抵 抗の違いを持たせてもよい。

産業上の利用可能性

[0062] 本発明は、 タービン静翼、 及び蒸気タービンに適用可能である。

符号の説明

[0063] 1 0 0 蒸気タービン

1 回転軸

2 蒸気夕ービンケーシング

3 蒸気夕ービンロータ

4八 ジャーナル軸受

4巳 スラスト軸受

5 スリッ ト

6 微細凹凸領域

7 外側領域

8 内側領域

9 撥水性領域

1 0 超撥水性領域

1 1 軸端

1 2 蒸気供給管

1 3 蒸気排出管

2 0 静翼

2 1 静翼本体

2 1 内周側端面

2 1 巳 外周側端面

2 1 前縁 175533 19 卩(:171? 2020 /007666

2 1 腹面

2 1 0 背面

22 静翼シュラウド

30 動翼

3 1 動翼本体

34 動翼シュラウド

6 1 外側微細凹凸領域

62 内側微細凹凸領域

7 1 第一外側領域

72, 72 ^ 第二外側領域

73 第三外側領域

74, 1 , 第四外側領域

81 第一内側領域

82, 82 第二内側領域

83 第三内側領域

84, 84 第四内側領域

1- 1 1 第一外側境界線

!_ 1 2 第二外側境界線

1_ 1 3 第三外側境界線

1- 1 4 第四外側境界線

1- 2 1 第一内側境界線

!_ 22 第二内側境界線

!_ 23 第三内側境界線

1- 24 第四内側境界線

0 軸線

3 蒸気

丁 凸部 \¥0 2020/175533 20 卩(:17 2020 /007666

丁 1 第一凸部

丁 2 第二凸部

液滴