中村 直宏 (〒16 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友電工ハ-ドメタル株式会社内 Hyogo, 〒6640016, JP)
住友電工ハ-ドメタル株式会社 (〒16 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 Hyogo, 〒6640016, JP)
NAKAMURA Naohiro (1-1 Koyakita 1-chome, Itami-sh, Hyogo 16, 〒6640016, JP)
| 切れ刃を、回転中心から径方向外側に向けて途中まで延びだす一次切れ刃(4a)と、その一次切れ刃(4a)の外端から本体部(2)の外周に至る二次切れ刃(4b)とで構成し、前記二次切れ刃(4b)の先端角(α2)と一次切れ刃(4a)の先端角(α1)を異ならせたダブルアングル型のツイストドリルであって、 前記二次切れ刃(4b)がドリルの回転軸(O)とほぼ平行であり、少なくともその二次切れ刃(4b)のすくい面をねじれ溝(6)の溝面で構成したツイストドリル。 |
| 前記二次切れ刃(4b)のドリル側面視における回転軸(O)とのずれ角(γ)が、-5°~+5°の範囲にある請求項1に記載のツイストドリル。 |
| 前記ねじれ溝(6)のねじれ角(θ)を10°~40°の範囲に設定してそのねじれ溝(6)の溝面で前記二次切れ刃(4b)のすくい面を構成した請求項1又は2に記載のツイストドリル。 |
| 前記二次切れ刃(4b)の先端角(α2)を一次切れ刃(4a)の先端角(α1)よりも小さくし、その先端角(α2)を90°~20°の範囲に設定した請求項1~3のいずれかに記載のツイストドリル。 |
| 前記一次切れ刃(4a)の外端部の直径(d)をドリル径(D)の70%以上にした請求項1~4のいずれかに記載のツイストドリル。 |
| 前記ねじれ溝(6)を、その溝の溝面が本体部(2)の外周のマージン面(11)に対して鋭角に交わる溝にした請求項1~5のいずれかに記載のツイストドリル。 |
この発明は、切れ刃を、回転中心側に配 される一次切れ刃と、その一次切れ刃の外 に連ならせた二次切れ刃(外周側切れ刃)と 構成して両切れ刃の先端角を異ならせたダ ルアングル型のツイストドリルに関する。
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)をはじめ した繊維強化複合材の穴あけ加工に用いる リルは、先端角が小さいほど被削材の補強 維の毛羽立ちが抑制されて少なくなる傾向 ある。しかしながら、先端角を小さくした リルは切れ刃の長さが長くなっていわゆる ビリが発生しやすくなり、また、貫通穴の 工では特に、ドリルを深く突っ込む必要が じて加工時間を多く要することになる。
首記のダブルアングル型のツイストドリ は、一次切れ刃と二次切れ刃の先端角に角 差をつけることで切れ刃の長さが長くなる とを抑え、また、二次切れ刃の先端角を一 切れ刃の先端角よりも小さくすることで先 角を小さくしたドリルと比較して遜色のな 加工品位を実現するドリルであり、繊維強 複合材などの穴あけに利用されている。こ ダブルアングル型ツイストドリル(以下では 単にドリルという)については、下記特許文 1や特許文献2、3に開示されたものが知られ いる。
特許文献1に記載されたドリルは、図8に すように、ねじれ溝6の溝面と先端の一番逃 の逃げ面7とが交差した位置の稜線で一次切 れ刃4aを、前記ねじれ溝6の溝面と二番逃げの 逃げ面8とが交差した位置の稜線で二次切れ 4bをそれぞれ構成しており、二次切れ刃4bに ドリルの側面視で回転軸Oに対してねじれ溝 6のねじれ角に近い角度のずれ角γがつく。
一方、特許文献2に記載されたドリルは、図 9に示すように、ねじれ溝6内にドリルの軸心 平行な平面のすくい面10 -1 を設け、そのすくい面10 -1 と先端の二番逃げの逃げ面8とが交差した位 の稜線で二次切れ刃4bを形成しており、二次 切れ刃の回転軸とのずれ角は0°になっている 。特許文献3のドリルも、特許文献2のドリル 類似の構造を有しており、二次切れ刃の回 軸Oとのずれ角は小さい。
上記特許文献1のドリルは、二次切れ刃が ドリルの側面視において回転軸に対してγの れ角を生じてねじれ溝のねじれ方向に大き 傾き、そのために、二次切れ刃の長さが長 なると同時に、加工時に被削材に対してこ を引き上げる力が働き、強固な固定が行な ない薄板状の被削材では加工中のいわゆる ビリが発生して加工穴の内面にビビリ痕が いたり、繊維強化複合材の加工ではバリが 生したりする。
一方、特許文献2、3が開示しているドリル 、二次切れ刃の回転軸とのずれ角を小さく る平面のすくい面10 -1 を設けてねじれ溝6の溝面を削っており、そ ことによって二次切れ刃4bのすくい角が二次 切れ刃のすくい面をねじれ溝の溝面で構成す るドリルよりも小さくなるため、二次切れ刃 の切れ味が低下し、繊維強化複合材の加工で は加工穴の出入り口部にバリが生じたり、補 強繊維の毛羽立ちが発生したりして加工品位 の低下を招く。また、平面のすくい面10 -1 を別途加工するための手間や時間が必要にな る。
この発明は、製造の手間などを増加させ に加工品位を高めたダブルアングル型ツイ トドリルを提供することを課題としている
上記の課題を解決するため、この発明にお ては、上述したダブルアングル型のツイス ドリルを改善の対象にして、前記二次切れ を、ドリルの回転軸とほぼ平行にし、少な ともその二次切れ刃のすくい面をねじれ溝 溝面で構成した。なお、ここで言うほぼ平 とは、二次切れ刃のドリル側面視における 転軸とのずれ角が±5°程度までは許容され 範囲を指す。ここで、「ねじれ溝の溝面で 成する」とは、特許文献2のようにすくい面1 0 -1 を別に形成するのではなく、一次切れ刃を形 成するねじれ溝と同一の曲面で構成したこと をいう。また、ドリル側面視とは、図3の状 において、二次切れ刃の外端(最外周に位置 る点)E2とドリルの回転軸Oとの間の距離(芯 量H)が芯厚(図5のW参照)の半分の長さに等し なった状態を指す。ねじれ溝のリーディン エッジに沿う位置の溝面をドリルの正転方 に対して凹形に湾曲させることで、その溝 と二番逃げの逃げ面とが交差した位置の稜 でドリル側面視における回転軸とのずれ角 、-5°~+5°程度になった二次切れ刃を構成す ことができる。
このドリルは、ねじれ溝のねじれ角を10° ~40°の範囲に設定してそのねじれ溝の溝面で 次切れ刃のすくい面を構成したものや、二 切れ刃の先端角α2を一次切れ刃の先端角α1 りも小さくし、その先端角α2を90°~20°の範 に設定したものが好ましい。
また、一次切れ刃の外端部の直径dをドリ ル径Dの70%以上にしたものも好ましく、さら 、前記ねじれ溝を、その溝の溝面が本体部 外周のマージン面に対して鋭角に交わる溝 するのも好ましい。
この発明のドリルは、二次切れ刃の回転 とのずれ角が±5°以内であるので、二次切 刃の長さが短く、また、加工時に被削材に く引き上げ力が小さく、被削材が強固な固 を行なえない薄板などである場合にも、ビ リを伴わない高品位の穴加工が可能である
また、このドリルは、二次切れ刃のすく 面がねじれ溝の溝面で構成されたものにな て二次切れ刃のすくい角が小さくなること ない。ねじれ溝の形状次第では、二次切れ のすくい角が図8の従来ドリルよりもむしろ 大きくなって良好な切れ味が確保される。こ れにより、繊維強化複合材の加工での毛羽立 ちが抑制され、切削抵抗も小さくなる。
さらに、平面のすくい面を加工する必要 ないので、製造の手間や時間が増加しない
以下、この発明のドリルの実施の形態を 付図面の図1~図6に基づいて説明する。図1~ 4に示すドリル(ダブルアングル型ツイストド リル)1は、2枚刃のツイストドリルにこの発明 を適用したものである。図示のドリル1は、 体部2の後部にシャンク3を一体に連設したソ リッドであるが、先ムクドリルや刃先部に硬 質の被膜が形成された被覆ドリル、刃先部を 硬質焼結体で形成したドリルなどもこの発明 の適用対象に含まれる。また、刃数も2枚に 定されず、3枚刃や4枚刃のツイストドリルに も適用することができる。
本体部2の先端には、回転中心(回転軸O)を 基準にして点対称形状をなす切れ刃4、4と、 切れ刃に付属するシンニング溝5が設けられ 、さらに、本体部2の外周に2条のねじれ溝6が 設けられている。
切れ刃4は、回転中心(回転軸O)から径方向 外側に向けて途中まで延びだす一次切れ刃4a 、その一次切れ刃4aの外端から本体部2の外 に至る二次切れ刃4bの2者によって構成され いる。二次切れ刃4bの先端角α2は、一次切 刃4aの先端角α1よりも小さい。その二次切れ 刃4bの先端角α2は、加工品位の面では小さい どよいが、その先端角α2が小さくなるにつ て刃先摩耗が起こり易くなり、切れ刃の長 も長くなるので、先端角α2の上限は加工品 を確保するために90°、下限は刃先保護のた めに20°程度にするのがよい。
また、二次切れ刃4bのドリル側面視にお る回転軸Oとのずれ角γ(図3参照)を-5°~+5°に 、さらに、少なくとも二次切れ刃4bのすくい 面10がねじれ溝6の溝面で構成されるようにし ている。図2~図4の7は一番逃げの逃げ面、8は 番逃げの逃げ面であり、前者の逃げ面7とね じれ溝6の溝面とが交差した位置の稜線によ て一次切れ刃4aが、後者の逃げ面8とねじれ 6の溝面とが交差した位置の稜線によって二 切れ刃4bがそれぞれ形成されている。
ねじれ溝6は、図5に示すように、リーデ ングエッジ9に沿う部分の溝面がドリルの正 方向に対して凹形に湾曲して本体部2の外周 のマージン面11に対して鋭角に交わる形状の にしてあり、そのために、ねじれ溝6の溝面 に平面のすくい面を設けずに二次切れ刃4bの 転軸Oとのずれ角γを-5°~+5°にすることが可 になっている。この点に関して、従来ドリ との相違をさらに説明する。
図7(a)に、図9のドリルにおいて平面のすく 面10 -1 を設けたことによる二次切れ刃4bの径方向内 (一次切れ刃との接点)の変位状況を示す。 じれ溝6の溝面に平面のすくい面10 -1 を設けると、二次切れ刃4bの内端が、図7(a)及 び図9(b)のIの位置(平面のすくい面を設ける前 の位置)からIIの位置に移動する。これによっ て二次切れ刃4bの上述した回転軸Oとのずれ角 γを0°にすることが可能になるが、平面のす い面10 -1 を設けると二次切れ刃4bのすくい角が必然的 小さくなるため、その切れ刃の切れ味が低 する。図9のドリルは、一次切れ刃4aの一部 、平面のすくい面10 -1 が設けられた部分ですくい角が小さくなって 切れ味が低下する。
これに対し、この発明のドリルは、図7(b) に示すように、二次切れ刃4bの回転軸とのず 角γを例えば5°にし、この状態で二次切れ 4bの全域がねじれ溝6の溝面と交差して二次 れ刃4bのすくい面10がねじれ溝6の溝面で構成 されるようにしており{図7(b)のδθは、二次切 れ刃4bの内端E1から外端E2に至る間のねじれ溝 6のねじれ量(回転角)を表す}、平面のすくい は設置されていない。そのために、平面の くい面を設けることによる二次切れ刃4bのす くい角の減少が起こらない。図6は二次切れ 4bの刃物角βを表している。その刃物角βは ねじれ溝6の凹形に湾曲した溝面ですくい面1 0を構成したことによって鋭くなり、二次切 刃4bのすくい角が図8の従来ドリルよりも大 くなる。
なお、ねじれ溝6のねじれ角θ(図2参照)が さ過ぎると切れ刃のすくい角を大きく設定 ることが難しくなり、また、そのねじれ角 が大き過ぎると真のすくい角が大きくなっ 切れ刃の切れ味が高まる反面、刃先強度の 下が起こるので、ねじれ角θは、10°~40°程度 にするのがよい。
また、二次切れ刃4bの先端角α2は、繊維 化複合材の加工では、その角度が小さいほ 補強繊維の毛羽立ちが少なくなる傾向があ 、90°以下の角度であれば穴品位面で問題の い加工が行える。その一方で、この角度が さ過ぎると切れ刃の外端側の摩耗が激しく るので、先端角α2は、20°以上、90°以下に るのがよい。
このほか、一次切れ刃4aの外端部の直径d ドリル径Dの70%以上にすると、二次切れ刃4b よる加工品位向上の効果を得ながら切れ刃 さが必要以上に長くなることを抑制するこ ができる。
-実施例1-
ダブルアングル型ドリルにおいて二次切れ
の回転軸とのずれ角γが穴加工に及ぼす影
を調べた。この試験は、ドリル径D=φ10mm、一
次切れ刃先端角120°、二次切れ刃先端角60°、
一次切れ刃外端部の直径d=0.9Dで、二次切れ刃
の前記ずれ角γを表1の通りに変化させたドリ
ルを使用して行なった。
被削材は板厚3mmのCFRPプレートである。切削
条件は、切削速度Vc=100m/min、送りf=0.05mm/revと
た。その結果を表1に併記する。
なお、表1のビビリの欄の○はビビリ無し、
△はビビリ若干あり、×はビビリ有りを表す
また、毛羽立ちの欄の○は、毛羽立ちが無
て加工穴の内面の品位良好、△は毛羽立ち
少なくて加工穴の内面の品位がやや良好、
は毛羽立ちがあって加工穴の内面の品位が
いことを表す。
この試験では、二次切れ刃の前記ずれ角 が10°以上では加工時のビビリが確認され、- 5°から+5°ではビビリの無い安定した加工が された。また、-10°では若干のビビリと毛羽 立ちが確認された。
-実施例2-
次に、ダブルアングル型ドリルにおける二
切れ刃の先端角α2の違いが加工品位と刃先
耗に与える影響を調べた。この試験は、ド
ル径D=φ6mm、一次切れ刃の先端角α1=140°、一
次切れ刃外端部の直径d=0.83Dのドリルを使用
て行なった。
被削材は板厚10mmのCFRPプレートである。切
条件は、切削速度Vc=100m/min、送りf=0.05mm/revと
した。その結果を表2に示す。
表2の毛羽立ちの欄の○は、毛羽立ちが無く
て加工穴の内面の品位良好、×は毛羽立ちが
って加工穴の内面の品位が悪いことを表す
また、刃先摩耗は、500穴加工時での評価で
り、評価の欄の刃先摩耗量は最大逃げ面摩
量(mm)を表す。
二次切れ刃の先端角α2は、90°以下で毛羽 立ちが防止されている。この先端角α2は、試 験では10°でも刃先摩耗が抑えられていたが 摩耗抑制の面では20°が下限の適正値と考え 。
なお、刃先摩耗を生じやすいCFRPなどの被 削材の加工に利用するドリルでは、ダイヤモ ンド被膜などの硬質被膜を刃先部の表面に設 けることや刃先部を硬質焼結体で形成するこ とが、寿命向上の面で有効になる。
1 ドリル
2 本体部
3 シャンク
4 切れ刃
4a 一次切れ刃
4b 二次切れ刃
5 シンニング溝
6 ねじれ溝
7 一番逃げの逃げ面
8 二番逃げの逃げ面
9 リーディングエッジ
10,10 -1
すくい面
11 マージン面
O 回転軸
E1 二次切れ刃の内端
E2 二次切れ刃の外端
γ 二次切れ刃のドリル側面視におけ
回転軸とのずれ角
α1 一次切れ刃の先端角
α2 二次切れ刃の先端角
β 刃物角
θ ねじれ溝のねじれ角
δθ 二次切れ刃の内端から外端に至る
のねじれ溝のねじれ量
H 芯高量
W 芯厚
Next Patent: WO/2009/139430
