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Title:
TWO-COMPONENT FLUORINE-CONTAINING COATING COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044595
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a two-component fluorine-containing coating composition, which is composed of a base material containing a fluorine-containing polyol and a curing agent containing a polyisocyanate. The base material and/or the curing agent contains an organic solvent having an aniline point of not more than 70˚C or an organic solvent having a mixed aniline point of 5-50˚C. The fluorine-containing polyol is soluble in the organic solvents, and the polyisocyanate contains an aliphatic polyisocyanate which is obtained by reacting an aliphatic diisocyanate with a monoalcohol having 1-20 carbon atoms. The molar ratio between allophanate groups and isocyanurate groups in the polyisocyanate is within the range from 100:0 to 90:10.

Inventors:
KISHIMOTO RYUSUKE (JP)
MORIKAWA YUKIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065313
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
August 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON POLYURETHANE KOGYO KK (JP)
KISHIMOTO RYUSUKE (JP)
MORIKAWA YUKIHIRO (JP)
International Classes:
C09D175/04; C08G18/79
Foreign References:
JP2005048179A2005-02-24
JP2003055433A2003-02-26
JP3244297B22002-01-07
JPH07330860A1995-12-19
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg.10-6, Ginza 1-chom, Chuo-ku Tokyo 61, JP)
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Claims:
 含フッ素ポリオールを含む主剤と、ポリイソシアネートを含む硬化剤と、から構成される二液型含フッ素コーティング組成物であって、
 前記主剤及び/又は前記硬化剤は、アニリン点が70℃以下である有機溶剤、又は混合アニリン点が5~50℃である有機溶剤を含有し、
 前記含フッ素ポリオールは、前記有機溶剤に可溶であり、
 前記ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートと炭素数1~20のモノアルコールとを反応してなる脂肪族ポリイソシアネートを含有し、前記ポリイソシアネートにおけるアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比が100:0~90:10である、
二液型含フッ素コーティング組成物。
 前記脂肪族ポリイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネートと炭素数3~20のモノアルコールとを反応してなる脂肪族ポリイソシアネートである、請求項1記載の二液型含フッ素コーティング組成物。
 前記ポリイソシアネートの25℃での粘度が、2000mPa・s以下である、請求項1又は2記載の二液型含フッ素コーティング組成物。
Description:
二液型含フッ素コーティング組 物

 本発明は、二液型含フッ素コーティング 成物に関する。

 脂肪族又は脂環族ジイソシアネートから 導されるポリイソシアネートを用いてなる レタン系塗料は、耐候性、耐摩耗性に優れ おり、建築物、土木構築物等の屋外基材の 装、自動車の補修、プラスチックの塗装等 使用されている。

 しかしながら、近年、これら塗装分野にお る要求特性は、一層厳しくなっており、耐 性の更なる向上が求められている。そこで 耐候性に優れる含フッ素ポリオールを使用 ることが検討されている。例えば、特許文 1では、含フッ素ポリオールとポリイソシア ネートとを含む二液型含フッ素塗料組成物が 開示されている。

特許第3244297号公報

 引用文献1で開示されている二液型含フッ 素塗料組成物では、耐候性は向上するものの 、形成される塗膜はムラが多く不均一となり 塗膜外観が悪くなる傾向があり、そのため塗 膜の機械強度も低下することがある。

 そこで、本発明の目的は、塗膜外観が十 に良好であり、かつ、耐候性に十分優れる 膜を形成することが可能な二液型含フッ素 ーティング組成物を提供することにある。

 本発明は、含フッ素ポリオールを含む主 と、ポリイソシアネートを含む硬化剤とか 構成される二液型含フッ素コーティング組 物であって、主剤及び/又は硬化剤は、アニ リン点が70℃以下である有機溶剤、又は混合 ニリン点が5~50℃である有機溶剤を含有し、 含フッ素ポリオールは、上記有機溶剤に可溶 であり、ポリイソシアネートは、脂肪族ジイ ソシアネートと炭素数1~20のモノアルコール を反応してなる脂肪族ポリイソシアネート 含有し、上記ポリイソシアネートにおける ロファネート基とイソシアヌレート基との ル比が100:0~90:10である、二液型含フッ素コー ティング組成物を提供する。

 上記構成を備える二液型含フッ素コーテ ング組成物を用いることにより、塗膜外観 十分に良好であり、かつ、耐候性に十分優 る塗膜を形成することができる。ここで、 発明者らは、特定の理論に拘束されるもの はないが、上記効果が得られる理由につい 、以下のように推察している。

 すなわち、本発明の二液型含フッ素コー ィング組成物は、耐候性に優れる含フッ素 リオールと、アロファネート基とイソシア レート基とのモル比が上記範囲にあるポリ ソシアネートとを組み合わせたこと、また 用いる含フッ素ポリオールを所定のものと たこと、により、両者の相溶性が向上する さらに、主剤又は硬化剤の少なくとも一方 アニリン点が70℃以下である有機溶剤、又 混合アニリン点が5~50℃である有機溶剤を含 することで、ポリイソシアネートと含フッ ポリオールとが均一に溶解した溶液となる そのため、形成される塗膜は、外観にムラ がなく均一なものとなり塗膜外観が十分に 好となり、耐候性がさらに向上したものと 推測している。また、アニリン点が70℃以 である有機溶剤、又は混合アニリン点が5~50 である有機溶剤は、臭気が低く、環境に優 い溶剤であることから、本発明の二液型含 ッ素コーティング剤は、耐環境性の点でも 用なものである。

 上記ポリイソシアネートは、脂肪族ジイ シアネートと炭素数3~20のモノアルコールと を反応してなる脂肪族ポリイソシアネートを 含有することが好ましい。このようなポリイ ソシアネートは、低極性有機溶剤への溶解性 が向上することから、これを含む二液型含フ ッ素コーティング組成物は、塗膜外観及び耐 候性により一層優れる塗膜を形成できる。

 上記ポリイソシアネートは、25℃での粘 が2000mPa・s以下であることが好ましい。これ により、二液型含フッ素コーティング組成物 は、取り扱いが容易となり、塗膜外観及び耐 候性がさらに優れる塗膜を形成できる。

 本発明によれば、塗膜外観が十分に良好 あり、かつ、耐候性に十分優れる塗膜を形 することが可能な二液型含フッ素コーティ グ組成物を提供することができる。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。

 本発明の二液型含フッ素コーティング組 物は、含フッ素ポリオールを含む主剤と、 リイソシアネートを含む硬化剤とから構成 れる。

 まず、主剤に含まれる含フッ素ポリオー について説明する。本発明の二液型含フッ コーティング組成物において、含フッ素ポ オールは、後述するアニリン点が70℃以下 ある有機溶剤に可溶である必要がある。

 ここで、含フッ素ポリオールが上記有機溶 に可溶であるかどうかを、トレランスで判 することができる。すなわち、含フッ素ポ オール5gを量り取り、ここへ上記有機溶剤 加えていき、濁ったところを終点とし、そ 時の有機溶剤の所要量(mL)を求め、下記式(1) らトレランスを算出する。トレランスが大 いほど上記有機溶剤に対する溶解性が優れ いることを意味する。含フッ素ポリオール トレランスが0.1mL/g未満では、含フッ素ポリ オールは上記有機溶剤に可溶ではないことを 意味する。なお、上記トレランスは、0.1mL/g 上であり、1.0mL/g以上であることが好ましく 5.0mL/g以上であることがより好ましい。
 トレランス=有機溶剤の所要量(mL)/サンプル (5g) …(1)

 上記含フッ素ポリオールは、含フッ素モ マーとヒドロキシル基を有するモノマーと 必須成分として共重合したものである。含 ッ素モノマーは、フルオロオレフィンであ ことが好ましく、例えば、テトラフルオロ チレン、クロロトリフルオロエチレン、ト クロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロ ロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニ 、トリフルオロメチルトリフルオロエチレ を挙げることができる。

 また、ヒドロキシル基を有するモノマー しては、例えば、ヒドロキシエチルビニル ーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテ 、シクロヘキサンジオールモノビニルエー ル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;2 -ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒド キシアルキルアリルエーテル;ヒドロキシア キルクロトン酸ビニル等のヒドロキシル基 有カルボン酸ビニル又はアリルエステル等 ヒドロキシル基を有するモノマーが挙げら る。

 含フッ素ポリオールは、上記含フッ素モ マー及びヒドロキシル基を有するモノマー 加えて、その他のモノマーを共重合しても い。その他のモノマーとしては、ビニル系 ノマーを用いることができる。

 ビニル系モノマーとしては、例えば、ビ ルエーテル、アリルエーテル、カルボン酸 ニルエステル、カルボン酸アリルエステル オレフィン等が挙げられる。この中でも、 ニル系モノマーとしては、ビニルエーテル カルボン酸ビニルエステルが好ましい。

 ビニルエーテルとしては、例えば、シク ヘキシルビニルエーテル等の、シクロアル ルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル 2-エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシ ビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、 tert-ブチルビニルエーテル等のアルキルビニ エーテルが挙げられる。また、アリルエー ルとしては、エチルアリルエーテル、ヘキ ルアリルエーテル等のアルキルアリルエー ルが挙げられる。

 カルボン酸ビニルエステル、カルボン酸 リルエステルとしては、例えば、酢酸、酪 、ピバリン酸、クロトン酸、安息香酸、マ イン酸等のカルボン酸のビニル又はアリル ステルが挙げられる。また、オレフィン類 しては、エチレン、イソブチレン等が挙げ れる。

 含フッ素ポリオールは、上記有機溶剤に する溶解性をより一層向上する観点から、 リクロロフルオロエチレン系の含フッ素ポ オールであることが好ましい。このような フッ素ポリオールは、市販品としても入手 能であり、例えば、ルミフロンLF800(旭硝子 製、商品名)を用いることができる。

 また、上記有機溶剤に対する溶解性を向 する観点から、含フッ素ポリオールは、水 基価が1~300mgKOH/gであることが好ましく、1~25 0mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価 1mgKOH/g未満では、塗膜の架橋が不十分とな 、塗膜強度等の物性が低下する傾向があり 300mgKOH/gを超えると塗膜の架橋密度が高くな 過ぎて硬くなり、追従性及び柔軟性が低下 る傾向がある。

 次に、硬化剤に含まれるポリイソシアネ トについて説明する。ポリイソシアネート 、脂肪族ジイソシアネートと炭素数1~20のモ ノアルコールとを反応してなる脂肪族ポリイ ソシアネートを必須成分として含有する。

 脂肪族ジイソシアネートとしては、例え 、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキ メチレンジイソシアネート、デカメチレン イソシアネート、リジンジイソシアネート 挙げられる。これらは1種を単独で又は2種 上を混合して使用することができる。

 上記脂肪族ジイソシアネートと反応する ノオールは、炭素数1~20であることが好まし く、3~20であることがより好ましく、3~18であ ことがさらに好ましい。このようなモノオ ルとしては、例えば、n-プロパノール、iso- ロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール n-ペンタノール、iso-ペンタノール、n-ヘキ ノール、n-へプタノール、n-オクタノール、2 -エチルヘキサノール、エチルジメチル-1-ヘ サノール、メチル-1-ノナノール、ジメチル-1 -オクタノール、テトラメチル-1-ヘキサノー 、3-エチル-4,5,6-トリメチルオクタノール、4, 5,6,7-テトラメチルノナノール、4,5,8-トリメチ ルデカノール、4,7,8-トリメチルデカノール、 トリデカノール、テトラデカノール、2-ヘキ ルドデカノール、2-オクチルドデカノール 2-ドデシルデカノール、2-ヘキサデシルオク デカノールが挙げられる。これらは、1種を 単独で又は2種以上を混合して使用すること できる。

 脂肪族ポリイソシアネートは、アロファ ート化触媒存在下、上記脂肪族ジイソシア ートと上記モノオールとの反応により合成 ることができる。合成方法としては、例え 、特許第3511622号公報に記載の方法を用いる ことができる。

 アロファネート化触媒としては、例えば カルボン酸のジルコニウム塩を用いること できる。上記カルボン酸としては、例えば 酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、 クチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ ミチン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサ 酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキ ンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸 の飽和単環カルボン酸、ビシクロ(4.4.0)デカ -2-カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナ テン酸等の上述したカルボン酸の混合物、 レイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆 脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族 ルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族 ルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香 カルボン酸等のモノカルボン酸類、フタル 、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレ ジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ 、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ リン酸、スベリン酸、クルタコン酸、アゼ イン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン 、セバシン酸、アゼライン酸、1,4-シクロヘ キシルジカルボン酸、α-ハイドロムコン酸、 β-ハイドロムコン酸、α-ブチル-α-エチルグ タル酸、α,β-ジエチルサクシン酸、マレイ 酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリ ト酸等のポリカルボン酸類が挙げられる。 れらのカルボン酸ジルコニウム塩は、1種を 独で又は2種以上を併用することでき、炭素 数10以下のモノカルボン酸ジルコニウム塩を いることがより好ましい。

 なお、このようにして、得られる脂肪族 リイソシアネートは、アロファネート基を として有するものであるが、反応条件を調 することにより、イソシヌレート基を有す こともできる。脂肪族ポリイソシアネート おけるアロファネート基とイソシアヌレー 基とのモル比は、100:0~70:30の範囲で調製可 である。

 本発明の二液型含フッ素コーティング組成 では、硬化剤として含まれるポリイソシア ートにおけるアロファネート基とイソシア レート基とのモル比は、100:0~90:10であり、99 .9:0.1~90:10であることがより好ましい。このモ ル比が90:10を超えると、上記有機溶剤への溶 性が低下する傾向がある。なお、上記モル は、ポリイソシアネートの 1 H-NMRを測定することで算出することができる

 なお、上記モル比は、イソシアヌレート を有するポリイソシアネートを別途合成し 脂肪族ポリイソシアネートと共にポリイソ アネート中に含有することで好適な範囲に 製することもできる。

 上記イソシアヌレート基を有するポリイ シアネートは、例えば、イソシアヌレート 触媒存在下、ジイソシアネートを変性(三量 体化等)することにより合成することができ 。このような変性方法としては、例えば、 許第3371480号公報、特開2002-241458号公報に記 の方法を用いることができる。

 ジイソシアネートしては、耐候性の観点 ら、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族 イソシアネートを用いることが好ましく、 えば、テトラメチレンジイソシアネート、 キサメチレンジイソシアネート、デカメチ ンジイソシアネート、リジンジイソシアネ ト等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロ ジイソシアネート、水添ジフェニルメタン イソシアネート、水添トリレンジイソシア ート、水添キシリレンジイソシアネート、 添テトラメチルキシリレンジイソシアネー 、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂 族ジイソシアネートを用いることできる。 れらは1種を単独で又は2種以上を混合して 用することができる。

 イソシアヌレート化触媒としては、例え 、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩、カ ウムフェノラート等のフェノラート、2,4,6- リス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2, 4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2, 6-ジ-t-ブチル-4-ジメチルアミノトリメチルシ ンフェノール、トリエチルアミン、N,N’,N ’-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサ ドロ-S-トリアジン、ジアザビシクロウンデ ン等のアミン系化合物を用いることができ 。中でも、脂肪族カルボン酸のアルカリ金 塩が好ましく、例えば、酢酸、プロピオン 、ウンデシル酸、カプリン酸、オクチル酸 ミリスチル酸等のカルボン酸のナトリウム 、カリウム塩が挙げられる。

 ポリイソシアネートは、アロファネート を含むことにより、アニリン点が70℃以下 ある有機溶剤に対する溶解性が向上すると に、二液型含フッ素コーティング組成物の 度を低くすることができ、粘度の調製が容 となる。一方、ポリイソシアネートは、イ シアヌレート基を含むことにより、得られ 塗膜の耐熱性、耐薬品性及び硬度を向上す ことができる。

 また、ポリイソシアネートの粘度として 、25℃で2000mPa・s以下であることが好ましく 、1500mPa・s以下であることがより好ましく、1 000mPa・s以下であることがさらに好ましい。 リイソシアネートの粘度が、2000mPa・sを超え ると、二液型含フッ素コーティング組成物の 粘度が高くなり、取り扱い難くなる傾向があ る。上記粘度の下限値は特に制限されないが 、取り扱いの観点から、50mPa・s以上であるこ とが好ましい。

 また、本発明の二液型含フッ素コーティ グ組成物において、硬化剤として含まれる リイソシアネートの含有量は、主剤として まれる含フッ素ポリオール100質量部に対し 1~150質量部であることが好ましく、1~130質量 部であることがより好ましく、1~100質量部で ることがさらに好ましい。

 本発明の二液型含フッ素コーティング組 物において、主剤及び/又は硬化剤が、アニ リン点が70℃以下である有機溶剤、又は混合 ニリン点が5~50℃である有機溶剤を含有する 。上記有機溶剤は、主剤及び/又は硬化剤の 製時にそれぞれ添加してもよく、主剤及び 化剤の混合時、粘度調製用に後から添加し もよい。本発明においては、主剤が含フッ ポリオールと上記有機溶剤とを含んでいる とがより好ましい。

 ここで、「アニリン点」とは、等容量の ニリンと試料(有機溶剤)とが均一な混合溶 として存在する最低温度のことである。ま 、「混合アニリン点」とは、アニリン2容量 試料1容量及び1-ヘプタン1容量が均一な混合 溶液として存在する最低温度のことである。 アニリン点及び混合アニリン点はJIS K 2256に 記載のアニリン点及び混合アニリン点試験方 法に準じて測定することができる。なお、ア ニリンは凝固点が-6℃であるため、それ以下 温度ではアニリン点は測定できない。そこ 、アニリンにヘプタンを混合することで、 機溶剤の溶解力をより広域に測定するため 、混合アニリン点が用いられる。

 上記アニリン点は、10~70℃であることが ましく、10~60℃であることがより好ましく、 10~50℃であることが更に好ましい。混合アニ ン点の場合は、5~50℃であることが好ましい 。アニリン点が10℃未満又は混合アニリン点 5℃未満では下地を侵し易くなり、アニリン 点が70℃を越える又は混合アニリン点が50℃ 越えるとポリイソシアネートを溶解し難く る。

 このような有機溶剤としては、例えば、 レビン油(アニリン点:20℃)、メチルシクロ キサン(アニリン点:40℃)、エチルシクロヘキ サン(アニリン点:44℃)、ミネラルスピリット( アニリン点:56℃)が挙げられ、また、石油系 化水素として市販されている商品名で、High Aromatic White Spirit(以下、「HAWS」と表記する) (シェルケミカルズジャパン製、アニリン点:1 7℃)、Low Aromatic White Spirit(以下、「LAWS」と 記する)(シェルケミカルズジャパン製、ア リン点:44℃)、エッソナフサNo.6(エクソンモ ビル社製、アニリン点:43℃)、ペガゾール3040 (エクソンモービル社製、アニリン点:55℃)、A ソルベント(新日本石油社製、アニリン点:45 )、クレンゾル(新日本石油社製、アニリン点 :64℃)、ミネラルスピリットA(新日本石油社製 、アニリン点:43℃)、ハイアロム2S(新日本石 社製、アニリン点:44℃)、スワゾール310(丸善 石油化学社製、アニリン点:16℃)、ソルベッ 100(エクソンモービル社製、混合アニリン点: 14℃)、ソルベッソ150(エクソンモービル社製 混合アニリン点:18.3℃)、スワゾール100(丸善 油化学社製、混合アニリン点:24.6℃)、スワ ール200(丸善石油化学社製、混合アニリン点 :23.8℃)、スワゾール1000(丸善石油化学社製、 合アニリン点:12.7℃)、スワゾール1500(丸善 油化学社製、混合アニリン点:16.5℃)、スワ ール1800(丸善石油化学社製、混合アニリン点 :15.7℃)、出光イプゾール100(出光興産社製、 合アニリン点:13.5℃)、出光イプゾール150(出 興産社製、混合アニリン点:15.2℃)、ペガゾ ルARO-80(エクソンモービル社製、混合アニリ ン点:25℃)、ペガゾールR-100(エクソンモービ 社製、混合アニリン点:14℃)、昭石特ハイゾ ル(シェルケミカルズジャパン製、混合アニ リン点:12.6℃)、日石ハイゾール(新日本石油 製、混合アニリン点:17℃以下)、ハイアロム2 S(新日本石油社製、混合アニリン点:47℃以下) が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を 独で又は2種以上を混合して用いることがで る。

 アニリン点が70℃以下又は混合アニリン が50℃以下である有機溶剤は、各種樹脂等の 溶解力に制限があり、臭気が少ないという特 徴がある。そのため、本発明の二液型含フッ 素コーティング組成物は、耐環境性の観点か らも優れるものとなる。また、上記有機溶剤 は、溶解力が低く下地を侵し難いため、二液 型含フッ素コーティング組成物の重ね塗りが 可能となり、補修用の塗料としても有用であ る。

 上記二液型含フッ素コーティング組成物 、一般の塗料に使用可能な各種添加剤を含 でいてもよい。添加剤としては、例えば、 塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、 ベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、た 防止剤、触媒、硬化促進剤、脱水剤、艶消 剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、界 活性剤が挙げられる。

 また、本発明の二液型含フッ素コーティ グ組成物の塗布方法としては、例えば、ハ 塗り、ローラー塗り、吹きつけ塗装等の方 を用いることができる。また、乾式建材に 装を行う場合は、フローコーター又はロー コーターにより工場等でプレコートするこ も可能である。

 塗布される基材としては、例えば、コン リート、モルタル、サイディングボード、 出成形板、磁器タイル、金属、ガラス、木 、プラスチックが挙げられる。

 上記二液型含フッ素コーティング組成物 、基材に直接塗布してもよく、目止め、電 や下塗り(プライマー塗布)、中塗り(着色等) 、基材が金属の場合はリン酸鉄処理又はリン 酸亜鉛処理等の表面処理が施された基材上に 塗布してもよい。

 以上、本発明の好適な実施形態について 明したが、本発明はこれに制限されるもの はない。

 以下に、本発明を実施例に基づいて具体 に説明するが、本発明はこれに限定される のではない。

[ポリイソシアネートの合成]
(合成例1)
 攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入 を備えた1Lの四つ口フラスコにヘキサメチ ンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業 製、商品名「HDI」、イソシアネート含量:49. 9%)950g及びイソプロパノール50gを入れ、攪拌 ながら85℃に加熱し3時間ウレタン化反応を った。次いで、この反応液中にアロファネ ト化触媒としてオクチル酸ジルコニール(第 稀元素化学工業社製)0.1gを加え、110℃で3時 反応後、反応停止剤であるリン酸エステル JP-508」(城北化学社製、商品名)0.1gを加え、5 0℃で1時間撹拌し反応を停止させた。反応終 後、得られた反応液を140℃、0.04kPaにて薄膜 蒸留を行い、イソシアネート含量19.3%、25℃ の粘度100mPa・s、未反応の遊離のヘキサメチ ンジイソシアネート(以下、「F-HDI」と表記 る)含量0.1%であるポリイソシアネートを得 。これを「S-1」とした。

(合成例2)
 攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入 を備えた1Lの四つ口フラスコにHDI997g、1,3-ブ タンジオール2g、フェノール1gを入れ、イソ アヌレート化触媒としてカプリン酸カリウ 0.2gを加え、50℃で1.5時間反応後、直ちに65℃ に昇温し1時間反応を行った。イソシアネー 含量が44.8%に到達した時点で、反応停止剤で あるリン酸0.1gを加え、1時間撹拌し、反応を 止させた。反応終了後、得られた反応液を1 30℃、0.04kPaにて薄膜蒸留を行い、イソシアネ ート含量23.2%、25℃での粘度1180mPa・s、F-HDI含 量0.2%であるポリイソシアネートを得た。こ れを「S-2」とした。

(合成例3)
 攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入 を備えた1Lの四つ口フラスコに、上記「S-1 900g及び上記「S-2」100gを入れ、25℃で2時間撹 拌混合し、イソシアネート含量19.4%、25℃で 粘度150mPa・sであるポリイソシアネートを得 。これを「S-3」とした。

(合成例4)
 攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入 を備えた1Lの四つ口フラスコにHDI910g及び2- チルヘキサノール90gを入れ、攪拌しながら85 ℃に加熱し3時間ウレタン化反応を行った。 いで、この反応液中にオクチル酸ジルコニ ル0.2gを加え、110℃で3時間反応後、「JP-508」 0.2gを加え、50℃で1時間撹拌し反応を停止さ た。反応終了後、得られた反応液を130℃、0. 04kPaにて薄膜蒸留を行い、イソシアネート含 16.8%、25℃での粘度120mPa・s、F-HDI含量0.1%で るポリイソシアネートを得た。これを「S-4 とした。

(合成例5)
 攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入 を備えた1Lの四つ口フラスコに、上記「S-1 1000gを入れ、オクチル酸カリウム1gをジプロ レングリコール4.5gとテトラヒドロフラン45g との混合溶媒に溶解した溶液2gを加え、80℃ 5時間撹拌し、イソシアヌレート化反応を行 た。次いで、触媒添加時より、イソシアネ ト含量が2%減少した時点で、リン酸エステ 0.2gを加え、50℃で1時間撹拌し、反応を停止 せた。イソシアネート含量17.3%、25℃での粘 度300mPa・sであるポリイソシアネートを得た これを「S-5」とした。

(合成例6)
 攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入 を備えた1Lの四つ口フラスコに、上記「S-2 73g、上記「S-1」657g及びポリエーテルポリオ ルである「PP-1000」(三洋化成工業社製、商 名)270gを入れ、85℃で3時間ウレタン化反応を 行い、イソシアネート含量12.0%、25℃での粘 800mPa・sであるポリイソシアネートを得た。 れを「S-6」とした。

(合成例7)
 攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入 を備えた1Lの四つ口フラスコに、上記「S-2 240g及び2-エチルヘキサノール10gを入れ、85℃ で3時間ウレタン化反応を行った。次いで、 記「S-1」750gを加え、2時間撹拌して、イソシ アネート含量19.4%、25℃での粘度180mPa・sであ ポリイソシアネートを得た。これを「S-7」 した。

<NMR測定>
 合成例1~7で得られたポリイソシアネートの 1 H-NMRを日本電子社製、商品名「ECX400M」を用い 、下記条件で測定した。ポリイソシアネート におけるアロファネート基とイソシヌレート 基とのモル比は、8.55ppm付近のアロファネー 基の窒素原子に隣接した水素のシグナルと 3.85ppm付近のイソシアヌレート基の窒素原子 隣接したメチレン基に結合した水素のシグ ルとの面積比から算出した。結果を表1に示 す。
(測定条件)
測定溶媒:重水素クロロホルム、
試料濃度:0.1g/1mL
測定温度:25℃
積算回数:16回
緩和時間:5秒
化学シフト基準:重水素クロロホルムの水素 グナルを7.24ppmとする。

[実施例1~5及び比較例1]
<二液型含フッ素コーティング組成物の調 >
 表1に示す組成(質量部)で、含フッ素ポリオ ルである「ルミフロン LF800」(旭硝子社製 商品名)と、白色顔料である酸化チタン「CR-9 0」(石原産業社製、商品名)と、アニリン点43 の有機溶剤「ミネラルスピリットA」とを混 合し、主剤をそれぞれ調製した。そして、調 製した主剤に硬化剤として上記ポリイソシア ネートを表2に示す割合(単位:質量部)で混合 、二液型含フッ素コーティング組成物を調 した。

<塗膜の形成>
 得られた二液型含フッ素コーティング組成 をメチルエチルケトンで脱脂した厚さ0.8mm 鋼板(JIS G3141、日本テストパネル工業社製、 商品名「SPCC-SB」、PF-1077処理)にアプリケータ ーを用い100μmの厚みで塗布した。塗布後、20 、65%RHの環境で7日間養生し、乾燥膜厚40~50μ mの塗膜を形成した。

<各種性能の評価>
 上述のようにして作製した塗膜を以下の方 で評価した。

(相溶性)
 含フッ素ポリオール及びポリイソシアネー が低極性有機溶剤である「ミネラルスピリ トA」中で均一に溶解しているかを判断する ために、二液型含フッ素コーティング組成物 における相溶性は、酸化チタン「CR-90」を添 しないで調製したもので確認した。

(塗膜外観)
 形成した塗膜の外観を目視で判断し、表面 スジ、ムラ等がなく、均一な塗膜を形成し いるものをOKとし、スジ、ムラ等が発生し いるものをNGとした。

(耐屈曲性)
 円筒形マンドレルにより折り曲げられた場 の塗膜の割れ及び/又は鋼板からの剥がれの 有無を、直径2mmの円筒形マンドレルを使用し 、JIS K-5600-5-1の耐屈曲性試験に準拠して評価 した。塗膜の割れ、剥がれが生じないものを 合格とした。

(耐カッピング性)
 押し込みによって、部分変形を受けた場合 塗膜の割れ及び/又は鋼板からの剥がれの有 無を、押し込み器を使用し、JIS K-5600-5-2の耐 カッピング試験に準拠して評価した。押し込 み器によって、塗膜の割れ、剥がれが生じる 押し込み深さ(mm)を耐カッピング性とした。 カッピング性は、塗膜の基材追従性及び柔 性を示す値であり、上記押し込み深さの数 が大きいほど追従性及び柔軟性が高いとい る。その結果を表3に示す。

(耐おもり落下性)
 おもり落下によって、変形を受けた場合の 膜の割れ及び/又は鋼板からの剥がれの有無 を、直径10.3mm、質量1.0kgのおもりを使用し、J IS K-5600-5-3の耐おもり落下試験に準拠して評 した。塗膜の割れ、剥がれが生じる最低の 下高さを耐おもり落下性とした。その結果 表3に示す。

(碁盤目テープ剥離試験)
 塗膜の密着性をJIS K-5600-8-5-2の碁盤目テー 剥離試験に準拠して評価した。その結果を 3に示す。表中の数値は、100マス中、剥がれ いで残っていたマスの個数を意味する。

(塗膜硬度の測定)
 塗膜表面の硬度は、JIS K-5600-5-4の引っかき 度試験(鉛筆法)に準拠して測定し、塗膜表 にキズ跡が生じなかった最も硬い鉛筆の硬 を塗膜硬度とした。その結果を表3に示す。

(耐候性)
 塗膜の耐候性は、耐候性試験装置QUV(Q-Panel 製)を使用し、JIS K-5600-7-8の促進耐候性試験( 紫外線蛍光ランプ法)に準拠して評価した。 イクル条件は、1サイクル:UV照射を70℃で8時 、水蒸気結露を50℃で4時間であり、このサ クルを繰り返し行った。試験前後の表面光 度(入射角60°で測定)をヘイズ・グロスリフ クトメーター(ビック ガードナー社製)で測 定し、試験後の光沢度と試験前の光沢度とを 比較し、光沢残存率として評価した。その結 果を表3に示す。

 表3の結果から、実施例1~5で得られた塗膜 は、十分に高い機械強度を有しており、かつ 、比較例1で得られた塗膜に比べ、塗膜外観 良好であり、鉛筆硬度も高く、耐候性に優 ていることがわかった。このことから、本 明の二液型含フッ素コーティング組成物は アニリン点が70℃以下である有機溶剤に対す る溶解性に優れており、これを用い形成した 塗膜は、塗膜外観が良好であり、耐候性が十 分に高いことが確認された。

 本発明によれば、塗膜外観が十分に良好 あり、かつ、耐候性に十分優れる塗膜を形 することが可能な二液型含フッ素コーティ グ組成物を提供することができる。




 
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