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Patent Searching and Data


Title:
USE OF THERMOSTABLE BIOTIN-BINDING PROTEIN AND SOLID SUPPORT HAVING THE PROTEIN BOUND THERETO
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081938
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a solid support having a thermostable biotin-binding protein attached thereto. Also disclosed is use of the solid support. Further disclosed is a technical field such as the purification, concentration, detection or capture of a substance bound to biotin by using a thermostable biotin-binding protein. The biotin-binding protein used in the solid support is thermostable, and is therefore useful for use in an assay system which is exposed to a temperature of 70°C of higher.

Inventors:
TAKAKURA YOSHIMITSU (JP)
USAMI SATORU (JP)
ICHIKAWA MASAKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/075298
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN TOBACCO INC (JP)
TAKAKURA YOSHIMITSU (JP)
USAMI SATORU (JP)
ICHIKAWA MASAKO (JP)
International Classes:
C07K17/00; C07K14/375; C07K16/14; C12N15/09; C12P21/02; C12Q1/68; G01N33/53
Domestic Patent References:
WO2002072817A12002-09-19
WO1999060400A11999-11-25
WO2002072817A12002-09-19
WO2004005553A12004-01-15
WO1998004745A11998-02-05
Foreign References:
EP0456304A11991-11-13
JP2003125800A2003-05-07
Other References:
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See also references of EP 2112168A4
Attorney, Agent or Firm:
SHAMOTO, Ichio et al. (Section 206 New Ohtemachi Bldg.,2-1, Ohtemachi 2-chom, Chiyoda-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
 固体担体であって、以下:
 a)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質;
 b)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列において、1またはそれより多くのアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列を含んでなるタンパク質;
 c)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列と、少なくとも60%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるタンパク質;および
 d)配列番号1または3の塩基配列の相補鎖に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質;
からなる群より選択される耐熱性ビオチン結合性タンパク質を連結させた、前記固体担体。
 70℃ないし90℃の加熱処理後もビオチン結合能を保持する、請求項1に記載の固体担体。
 70℃ないし90℃の加熱条件下においてもビオチン結合能を有する、請求項1に記載の固体担体。
 固体担体が、セルロース、テフロン TM 、ニトロセルロース、アガロース、デキストラン、キトサン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ナイロン、ポリジビニリデンジフルオライド、ラテックス、シリカ、ガラス、ガラス繊維、金、白金、銀、銅、鉄、ステンレススチール、フェライト、シリコンウエハ、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリ乳酸、樹脂、多糖類、タンパク(アルブミン等)、炭素およびそれらの組合せ、からなる群より選択される材料で主に構成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体担体。
 固体担体が、ビーズ、磁性ビーズ、薄膜、微細管、フィルター、プレート、マイクロプレート、カーボンナノチューブおよびセンサーチップからなる群より選択される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体担体。
 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の固体担体の使用であって、70℃ないし90℃の加熱条件下に暴露することを特徴とする、前記使用。
 ビオチンと連結した物質の分離、濃縮、捕捉、精製、および/または検出方法であって、以下の工程:
 1)請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固体担体とビオチンと連結した物質を接触させて、当該固体担体にビオチンと連結した物質を結合させ;
 2)当該固体担体に結合しなかった夾雑物を洗浄し;そして
 3)当該固体担体に結合したビオチンと連結した物質を回収することにより当該物質を分離、濃縮、捕捉もしくは精製し、および/または、当該物質を検出する;
を含んでなり、ここで、前記工程の少なくとも1つは70℃~90℃の加熱条件下で行う、前記方法。
 加熱条件が、75℃~85℃である、請求項7に記載の方法。
 ビオチンと連結した物質が、ビオチンと連結した核酸である、請求項7に記載の方法。
Description:
耐熱性ビオチン結合性タンパク の利用法、および当該タンパク質が結合し 固体担体

 本発明は、耐熱性ビオチン結合性タンパ 質を連結させた固体担体に関する。本発明 また、本発明の固体担体の使用に関する。 発明はさらに、耐熱性ビオチン結合性タン ク質を用いる、ビオチンと連結した物質の 製、濃縮、検出、捕捉などの技術分野に関 る。

 アビジンとビオチン、あるいはストレプト ビジンとビオチンの間の親和性は非常に高 (Kd=10 -15 ~ -14  M)、生体二分子間の相互作用としては、最 強い相互作用の一つである。現在、アビジ /ストレプトアビジン-ビオチン相互作用は、 生化学、分子生物学、あるいは医学の分野で 広く応用されている(Green, (1975), Adv. Protein  Chem., 29: 85-133;Green, (1990), Methods Enzymol., 184 : 51-67)。アビジンは卵白由来の塩基性糖タン パクで、等電点は10を越える。アビジンは、 の高い塩基性、あるいは糖鎖の影響で、DNA に対する非特異的結合が問題となり、これ アビジン使用の限定要因となっている。一 、ストレプトアビジンは放線菌(Streptomyces a vidinii)由来で、等電点は中性付近で糖鎖を含 ない。両タンパク質とも、4量体を形成し、 1つのサブユニット当たり1分子のビオチンと 合する。分子量は60kDa程度である。

 タマビジン(タマビジン1:配列番号2)は、 ネいもち病菌M.griseaに対して抗菌性を示すタ ンパク質として、食用キノコタモギタケから 精製された第3のビオチン結合タンパク質で り、その遺伝子構造も明らかにされた(WO 02/ 072817)。またそのホモローグ(タマビジン2:配 番号4)も同キノコから同定され、組換えタン パク質の生産にも成功した(WO 02/072817)。タマ ビジンホモローグは、大腸菌発現とイミノビ オチンカラムを用いた精製により容易に生産 でき、これはアビジンやストレプトアビジン の生産系と比較して大きな利点である。

 アビジンを大腸菌で発現させた場合、可 性タンパク質の収量は50ml当たり50 μg程度 少ない(Airenne et al., 1994, Gene, 144: 75-80)。 のため現在ではバキュロウィルスを使った 虫細胞の系が使われている(Airenne et al., 19 97, Protein exp. Purif., 9: 100-108)。また、スト プトアビジンを大腸菌で発現させた場合、 換えタンパク質は不溶性の封入体を形成す 。この封入体を高濃度のグアニジン塩酸で 溶化した後、透析による段階的なグアニジ 塩酸の除去によってタンパク質のリフォー ディングがおき、可溶性で活性のある組換 ストレプトアビジンが得られる(Sano and Cant or, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: 142-146) このように、アビジンやストレプトアビジ の生産には多くの労力と時間を要する。一 、タマビジンホモローグを大腸菌で発現さ た場合、50mlの培養当たり1mgの組換えタンパ 質が得られた。これはビオチン結合タンパ 質の生産効率としては高い値であり、タマ ジンホモローグタンパクの潜在的有用性を している。

 これまでに試薬や診断薬の分野においては アビジン、もしくはストレプトアビジンが 合した固体担体、例えば磁性ビーズや、マ クロプレート、あるいはセンサーチップ等 開発されているが、非特異的結合が低く、 つ高温域における安定性を有するものは未 報告されていない。

国際公開第WO 02/072817号パンフレット Green, 1975, Adv. Protein Chem., 29: 85-133 Green, 1990, Methods Enzymol., 184: 51-67 Airenne et al., 1994, Gene, 144: 75-80 Airenne et al., 1997, Protein exp. Purif., 9:  100-108 Sano and Cantor, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci.  USA, 87: 142-146

 本発明は、耐熱性ビオチン結合性タンパ 質を連結させた固体担体を提供することを 的とする。本発明はさらに、耐熱性ビオチ 結合性タンパク質を用いる、ビオチンと連 した物質の精製、濃縮、検出、捕捉などの 法を提供することを目的とする。その際、 発明の固体担体の使用を提供する。また、 発明は、70℃以上の高温に暴露することを うアッセイ系に用いることが可能なビオチ 結合性タンパク質を連結した固体担体を提 することを目的とする。

 「タマビジン」は、担子菌タモギタケ由 のビオチン結合性タンパク質であり、タマ ジン1およびタマビジン2の2種類がある(WO 02 /072817を参照)。本発明者らは、鋭意研究の結 、タマビジン2は、ビオチンに対して、従来 のアビジン、ストレプトアビジンと同様に、 非常に高い親和性を有していることを明らか にした。即ち、タマビジン2とビオチンは、 くの抗原抗体反応のおよそ1000倍の強さの親 性を有していることを明らかにした。また 従来のアビジンにおいて問題となっている 非特異結合性(DNAに対する)が、殆どないこ を実証した。さらに、タマビジン2は、スト プトアビジンよりも10℃以上耐熱性が強い とを見出し、この性質はタマビジン2を固体 体に結合させた後も、維持されることを発 した。さらに本発明者らは、鋭意研究の結 、タマビジン1はビオチンに強く結合し、さ らにストレプトアビジンよりも5℃耐熱性が いことを見出した。これらの研究の結果、 発明者らは高温条件においてもビオチン結 活性を保持する、耐熱性ビオチン結合性タ パク質を連結させた固体担体を提供するこ が可能であることを見いだし、本発明に想 した。よって、本発明は、耐熱性ビオチン 合性タンパク質を連結させた固体担体、お びその使用、ならびに、耐熱性ビオチン結 性タンパク質を用いる、ビオチンと連結し 物質の精製、濃縮、検出、および捕捉方法 提供する。

 以下、本発明を詳細に説明する。

  耐熱性ビオチン結合性タンパク質 を連結させた固体担体
 本発明は、耐熱性ビオチン結合性タンパク を連結させた固体担体を提供する。

 本明細書において、耐熱性ビオチン結合 タンパク質は、タマビジン1、タマビジン2 またはそれらの変異体を意味する。具体的 は、本発明の固体担体に連結させる耐熱性 オチン結合性タンパク質は、配列番号2もし は配列番号4のアミノ酸配列を含んでなるタ ンパク質、または、配列番号1もしくは配列 号3の塩基配列を含んでなる核酸によってコ ドされるタンパク質、であってよい。ある は、本発明の固体担体に連結させる耐熱性 オチン結合性タンパク質は、配列番号2もし くは配列番号4のアミノ酸配列を含んでなる ンパク質、または、配列番号1もしくは配列 号3の塩基配列を含んでなる核酸によってコ ードされるタンパク質、の変異体であって、 タマビジン1または2と同様のビオチン結合活 および耐熱性を有するタンパク質であって い。本明細書において、タマビジン1、タマ ビジン2、およびそれらの変異体を総称して 単にタマビジンと呼ぶことがある。

 タマビジン1または2の変異体は、配列番 2または4のアミノ酸配列において、1または 数のアミノ酸の欠失、置換、挿入および/ま は付加を含むアミノ酸配列を含んでなるタ パク質であって、タマビジン1または2と同 のビオチン結合活性および耐熱性を有する ンパク質であってもよい。置換は、保存的 換であってもよく、これは、特定のアミノ 残基を類似の物理化学的特徴を有する残基 置き換えることである。保存的置換の非限 的な例には、Ile、Val、LeuまたはAla相互の置 のような脂肪族基含有アミノ酸残基の間の 換、LysおよびArg、GluおよびAsp、GlnおよびAsn 互の置換のような極性残基の間での置換な が含まれる。

 アミノ酸の欠失、置換、挿入および/また は付加による変異体は、野生型タンパク質を コードするDNAに、例えば周知技術である部位 特異的変異誘発(例えば、Nucleic Acid Research,  Vol.10, No. 20, p.6487-6500, 1982参照、引用によ その全体を本明細書に援用する)を施すこと より作成することができる。本明細書にお て、「1または複数のアミノ酸」とは、部位 特異的変異誘発法により欠失、置換、挿入お よび/または付加できる程度のアミノ酸を意 する。また、本明細書において「1または複 のアミノ酸」とは、場合により、1または数 個のアミノ酸を意味してもよい。

 部位特異的変異誘発法は、例えば、所望 変異である特定の不一致の他は、変異を受 るべき一本鎖ファージDNAに相補的な合成オ ゴヌクレオチドプライマーを用いて次のよ に行うことができる。即ち、プライマーと て上記合成オリゴヌクレオチドを用いてフ ージに相補的な鎖を合成させ、得られた二 鎖DNAで宿主細胞を形質転換する。形質転換 れた細菌の培養物を寒天にプレーティング 、ファージを含有する単一細胞からプラー を形成させる。そうすると、理論的には50% 新コロニーが一本鎖として変異を有するフ ージを含有し、残りの50%が元の配列を有す 。上記所望の変異を有するDNAと完全に一致 るものとはハイブリダイズするが、元の鎖 有するものとはハイブリダイズしない温度 おいて、得られたプラークをキナーゼ処理 より標識した合成プローブとハイブリダイ させる。次に該プローブとハイブリダイズ るプラークを拾い、培養してDNAを回収する

 なお、生物活性ペプチドのアミノ酸配列 その活性を保持しつつ1または複数のアミノ 酸の欠失、置換、挿入および/または付加を す方法としては、上記の部位特異的変異誘 の他にも、遺伝子を変異源で処理する方法 および遺伝子を選択的に開裂し、次に選択 れたヌクレオチドを除去、置換、挿入また 付加し、次いで連結する方法もある。

 タマビジン1または2の変異体はさらに、 列番号2または4のアミノ酸配列と少なくとも 60%以上、好ましくは65%以上、70%以上、75%以上 、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上 または99%以上、より好ましくは99.3%以上のア ノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含んで るタンパク質であって、タマビジン1または 2と同様のビオチン結合活性および耐熱性を するタンパク質であってもよい。

 2つのアミノ酸配列の同一性%は、視覚的 査および数学的計算によって決定してもよ 。あるいは、2つのタンパク質配列の同一性 ーセントは、Needleman, S. B. 及びWunsch, C. D . (J. Mol. Biol., 48: 443-453, 1970)のアルゴリズ ムに基づき、そしてウィスコンシン大学遺伝 学コンピューターグループ(UWGCG)より入手可 なGAPコンピュータープログラムを用い配列 報を比較することにより、決定してもよい GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメ ターには:(1)Henikoff, S. 及びHenikoff, J. G. (Pr oc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 10915-10919, 1992)に 載されるような、スコアリング・マトリッ ス、blosum62;(2)12のギャップ加重;(3)4のギャッ 長加重;及び(4)末端ギャップに対するペナル ティなし、が含まれる。

 当業者に用いられる、配列比較の他のプ グラムもまた、用いてもよい。同一性のパ セントは、例えばAltschulら(Nucl. Acids. Res.,  25, p.3389-3402, 1997)に記載されているBLASTプロ ラムを用いて配列情報と比較し決定するこ が可能である。当該プログラムは、インタ ネット上でNational Center for Biotechnology Infor mation(NCBI)、あるいはDNA Data Bank of Japan(DDBJ) ウェブサイトから利用することが可能であ 。BLASTプログラムによる同一性検索の各種 件(パラメーター)は同サイトに詳しく記載さ れており、一部の設定を適宜変更することが 可能であるが、検索は通常デフォルト値を用 いて行う。または、2つのアミノ酸配列の同 性%は、遺伝情報処理ソフトウエアGENETYX Ver. 7(ゼネティックス製)などのプログラム、また は、FASTAアルゴリズムなどを用いて決定して よい。その際、検索はデフォルト値を用い よい。

 2つの核酸配列の同一性%は、視覚的検査 数学的計算により決定可能であるか、また より好ましくは、この比較はコンピュータ プログラムを使用して配列情報を比較する とによってなされる。代表的な、好ましい ンピュータ・プログラムは、遺伝学コンピ ータ・グループ(GCG;ウィスコンシン州マディ ソン)のウィスコンシン・パッケージ、バー ョン10.0プログラム「GAP」である(Devereux, et  al., 1984, Nucl. Acids Res., 12: 387)。この「GAP プログラムの使用により、2つの核酸配列の 較の他に、2つのアミノ酸配列の比較、核酸 配列とアミノ酸配列との比較を行うことがで きる。ここで、「GAP」プログラムの好ましい デフォルトパラメーターには:(1)ヌクレオチ についての(同一物について1、および非同一 物について0の値を含む)一元(unary)比較マトリ ックスのGCG実行と、SchwartzおよびDayhoff監修「 ポリペプチドの配列および構造のアトラス(At las of Polypeptide Sequence and Structure)」国立バ オ医学研究財団、353-358頁、1979により記載 れるような、GribskovおよびBurgess, Nucl. Acids  Res., 14: 6745, 1986の加重アミノ酸比較マトリ クス;または他の比較可能な比較マトリック ス;(2)アミノ酸の各ギャップについて30のペナ ルティと各ギャップ中の各記号について追加 の1のペナルティ;またはヌクレオチド配列の ギャップについて50のペナルティと各ギャ プ中の各記号について追加の3のペナルティ; (3)エンドギャップへのノーペナルティ:およ (4)長いギャップへは最大ペナルティなし、 含まれる。当業者により使用される他の配 比較プログラムでは、例えば、米国国立医 ライブラリーのウェブサイト:http://www.ncbi.nlm .nih.gov/blast/bl2seq/bls.htmlにより使用が利用可能 なBLASTNプログラム、バージョン2.2.7、またはU W-BLAST2.0アルゴリズムが使用可能である。UW-BL AST2.0についての標準的なデフォルトパラメー ターの設定は、以下のインターネットサイト :http://blast.wustl.eduに記載されている。さらに BLASTアルゴリズムは、BLOSUM62アミノ酸スコア 付けマトリックスを使用し、使用可能である 選択パラメーターは以下の通りである:(A)低 組成複雑性を有するクエリー配列のセグメ ト(WoottonおよびFederhenのSEGプログラム(Computers  and Chemistry, 1993)により決定される;Woottonお びFederhen, 1996「配列データベースにおける 成編重領域の解析(Analysis of compositionally bi ased regions in sequence databases)」Methods Enzymol.,  266: 544-71も参照されたい)、または、短周期 性の内部リピートからなるセグメント(Claverie およびStates(Computers and Chemistry, 1993)のXNUプ グラムにより決定される)をマスクするため フィルターを含むこと、および(B)データベ ス配列に対する適合を報告するための統計 的有意性の閾値、またはE-スコア(Karlinおよ Altschul, 1990)の統計学的モデルにしたがって 、単に偶然により見出される適合の期待確率 ;ある適合に起因する統計学的有意差がE-スコ ア閾値より大きい場合、この適合は報告され ない);好ましいE-スコア閾値の数値は0.5であ か、または好ましさが増える順に、0.25、0.1 0.05、0.01、0.001、0.0001、1e-5、1e-10、1e-15、1e-2 0、1e-25、1e-30、1e-40、1e-50、1e-75、または1e-100 ある。

 タマビジン1または2の変異体はまた、配 番号1または3の塩基配列の相補鎖にストリン ジェントな条件でハイブリダイズする塩基配 列を含んでなる核酸によってコードされるタ ンパク質であって、タマビジン1または2と同 のビオチン結合活性および耐熱性を有する ンパク質であってもよい。

 ここで、「ストリンジェントな条件下」 は、中程度または高程度にストリンジェン な条件においてハイブリダイズすることを 味する。具体的には、中程度にストリンジ ントな条件は、例えば、DNAの長さに基づき 一般の技術を有する当業者によって、容易 決定することが可能である。基本的な条件 、Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版,第6-7章,Cold Spring Harbor Laboratory Press,  2001に示され、そしてニトロセルロースフィ ターに関し、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0) 前洗浄溶液、約40-50℃での、約50%ホルムアミ ド、2×SSC-6×SSC(または約42℃での約50%ホルム ミド中の、スターク溶液(Stark's solution)など 他の同様のハイブリダイゼーション溶液)の ハイブリダイゼーション条件、および例えば 、約40℃-60℃、0.5-6×SSC、0.1% SDSの洗浄条件の 使用が含まれる。好ましくは中程度にストリ ンジェントな条件は、約50℃、6×SSCのハイブ ダイゼーション条件(及び洗浄条件)を含む 高ストリンジェントな条件もまた、例えばDN Aの長さに基づき、当業者によって、容易に 定することが可能である。

 一般に、こうした条件は、中程度にストリ ジェントな条件よりも高い温度および/また は低い塩濃度でのハイブリダイゼーション( えば、約65℃、6×SSCないし0.2×SSC、好ましく 6×SSC、より好ましくは2×SSC、最も好ましく 0.2×SSCのハイブリダイゼーション)および/ま たは洗浄を含み、例えば上記のようなハイブ リダイゼーション条件、およびおよそ65℃-68 、0.2×SSC、0.1% SDSの洗浄を伴うと定義され 。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の緩 液では、SSC(1×SSCは、0.15M NaClおよび15mM ク ン酸ナトリウムである)にSSPE(1×SSPEは、0.15M  NaCl、10mM NaH 2 PO 4 、および1.25mM EDTA、pH7.4である)を代用するこ とが可能であり、洗浄はハイブリダイゼーシ ョンが完了した後で15分間行う。

 また、プローブに放射性物質を使用しな 市販のハイブリダイゼーションキットを使 することもできる。具体的には、ECL direct  labeling & detection system(Amersham社製)を使用 たハイブリダイゼーション等が挙げられる ストリンジェントなハイブリダイゼーショ としては、例えば、キット中のhybridization b ufferにBlocking試薬を5%(w/v)、NaClを0.5Mになるよ に加え、42℃で4時間行い、洗浄は、0.4% SDS 0.5xSSC中で、55℃で20分を二回、2xSSC中で室温 5分を一回行う、という条件が挙げられる。

 タマビジン1または2の変異体のビオチン 合活性および耐熱性は、公知の手法のいず かにより測定することが可能である。例え 、Kadaら(Biochim. Biophys. Acta., 1427: 44-48 (1999) )に記載されるように蛍光ビオチンを用いる 法により測定してもよい。この方法は、ビ チン結合タンパク質のビオチン結合サイト 蛍光ビオチンが結合すると、蛍光ビオチン 蛍光強度が消失する性質を利用したアッセ 系である。あるいは、表面プラズモン共鳴 原理としたバイオセンサーなど、タンパク とビオチンの結合を測定することが可能な ンサーを用いて、変異体タンパク質のビオ ン結合活性を評価することもできる。耐熱 は、上記のビオチン結合活性を評価する際 、測定温度を変化させて測定することで評 することができる。

 本発明の固体担体に連結させる耐熱性ビオ ン結合性タンパク質は、ビオチンに対して い親和性を有しており、その解離定数K d は10 -8  Mのオーダー以下、好ましくは10 -9  Mのオーダー以下、10 -10  Mのオーダー以下、10 -11  Mのオーダー以下、10 -12  Mのオーダー以下、10 -13  Mのオーダー以下である。典型的には、その 解離定数K d は10 -13 ~10 -9  Mのオーダーであってよい。

 本発明の固体担体に連結させる耐熱性ビ チン結合性タンパク質は、公知の卵白由来 アビジンやストレプトアビジンと比較して い耐熱性を有する。ここで、耐熱性とは、 温域でのタンパク質安定性および高温域に けるビオチン結合活性の双方をいう。

 高温域でのタンパク質安定性は、SDS-PAGE 析においてタンパク質バンドの発色が室温 場合と比較して50%消失する温度として評価 ることができる。本発明の固体担体に連結 せる耐熱性ビオチン結合性タンパク質につ て、SDS-PAGE分析においてタンパク質バンドの 発色が室温の場合と比較して50%消失する温度 は、71℃より高く、好ましくは75℃以上、77.5 以上、80℃以上、82.5℃以上、85℃以上、87℃ 以上、であってよい。

 高温域におけるビオチン結合活性は、ビ チンの結合が室温の場合と比較して50%減少 る温度として評価することができる。本発 の固体担体に連結させる耐熱性タンパク質 ついて、ビオチンの結合が室温の場合と比 して50%減少する温度は、73℃より高く、好 しくは75℃以上、78℃以上、80℃以上、82.5℃ 上、85℃以上、であってよい。

 本発明の固体担体に連結させる耐熱性ビ チン結合性タンパク質は、担子菌由来のタ パク質を精製することにより、または組換 タンパク質として得ることができる。

 本発明において、耐熱性ビオチン結合性 ンパク質を連結させる固体担体は、固体ま は不溶性材料(例えば、濾過、沈殿、磁性分 離などにより反応混合物から分離することが できる材料)である担体であれば特に限定さ ない。

 固体担体を構成する材料は、セルロース、 フロン TM 、ニトロセルロース、アガロース、デキスト ラン、キトサン、ポリスチレン、ポリアクリ ルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート 、ポリアミド、ポリプロピレン、ナイロン、 ポリジビニリデンジフルオライド、ラテック ス、シリカ、ガラス、ガラス繊維、金、白金 、銀、銅、鉄、ステンレススチール、フェラ イト、シリコンウエハ、ポリエチレン、ポリ エチレンイミン、ポリ乳酸、樹脂、多糖類、 タンパク(アルブミン等)、炭素またはそれら 組合せ、などを含むがこれらに限定されな 。

 固体担体の形状は、ビーズ、磁性ビーズ 薄膜、微細管、フィルター、プレート、マ クロプレート、カーボンナノチューブ、セ サーチップなどを含むがこれらに限定され い。薄膜やプレートなどの平坦な固体担体 、当該技術分野で知られているように、ピ ト、溝、フィルター底部などを設けてもよ 。

 本発明の一態様において、磁性ビーズは 約25nm~約1mmの範囲の球体直径を有しうる。 ましい態様では、磁性ビーズは約50nm~約10μm 範囲の直径を有する。磁性ビーズのサイズ 特定の適用に応じて選択されうる。いくら の細菌スポアは約1μmのオーダーのサイズを 有するので、かかるスポアを捕捉するための 好ましいビーズは1μmよりも大きい直径を有 る。

 本発明の一態様において、セファロース どの高架橋球形アガロースからなるビーズ 、約24μm~約165μmの範囲の直径を有しうる。 ましい態様では、高架橋球形アガロースビ ズは約24μm~約44μmの範囲の直径を有する。 架橋球形アガロースビーズのサイズは特定 適用に応じて選択されうる。

 疎水性表面を有する固体担体の例には、P olysciences, Warrington, PA または Spherotech, Liber ville, IL から市販されているものなどのポリ スチレンラテックスビーズが挙げられる。

 シリカ(SiO 2 )-処理またはシリカ(SiO 2 )ベースの固体担体の例には、Polysciences, Warri ngton, PAから入手可能な、超常磁性シリカビ ズ等が挙げられ、これは、核酸(例えばDNA)を 捕捉するために使用されうる。あるいは、Dyn al Biotechから市販されているM-280等も使用さ うる。

 親水性表面を有する磁性ビーズは、増殖 の細菌細胞、核酸および他の成分を捕捉す ために使用されうる。かかる磁性ビーズの としては、Biomag(登録商標)カルボキシルの 称でPolysciences, Warrington, PAから市販されて るビーズまたはBangs Laboratory, Inc., Fishers, I N の名称MC02N/2928を有するビーズが挙げられ 。あるいは、Dynal Biotechから市販されている M-270等が使用されうる。

 耐熱性ビオチン結合性タンパク質と固体 体の連結は、当業者に公知のタンパク質と 体担体のカップリング法を用いて行うこと できる。例えば、固体担体表面をカルボキ ル基が露出するよう修飾し、当該カルボキ ル基とタンパク質のアミノ基を、架橋試薬 ある1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル) ルボジイミド(EDC)の存在下でカップリング 応させることにより、タンパク質と固体担 を連結することができる。または、例えば 固体担体表面のカルボキシル基がN-ヒドロキ シスクシンイミド(NHS)により活性エステル化 れた固体担体とタンパク質とを一級アミノ を含まないpH6.5~9の緩衝液中で混和すること により、固体担体表面のカルボキシル基とタ ンパク質のアミノ基を結びつけることができ る。

 あるいは、架橋試薬BS3(ビス[スルホスク ンイミジル]スベレート) やDSS(ジスクシンイ ミジルスベレート)を用いて、固体担体表面 アミノ基とタンパク質のアミノ基を、ある は架橋試薬SPDP(N-スクシンイミジル 3-[2-ピリ ジルジチオ]プロピオネート)やGMBS(N-(4-マレイ ミドブチリルオキシ)スクシンイミド)を用い 、固体担体表面のアミノ基とタンパク質の オール基を結びつけることができる。

 本発明の固体担体に連結される耐熱性ビ チン結合性タンパク質は、高温域でのタン ク質安定性およびビオチン結合性を保持す 。このため、本発明の固体担体は、従来最 使用されていたストレプトアビジンよりも い温度で、ビオチン結合能を保持したまま 理することができる。本発明の固体担体は 70℃ないし90℃、好ましくは75℃ないし90℃ 80℃ないし90℃、85℃ないし90℃、70℃ないし8 5℃、70℃ないし80℃、75℃ないし80℃、75℃な し85℃、75℃ないし87.5℃、の加熱条件下に 露する処理を受けた場合にも、ビオチン結 能を保持したまま使用することができる。 のことは、例えば、より高い温度での核酸 イブリッド形成やその後の洗浄を行うこと できる、即ち、より高いストリンジェンシ でのハイブリダイゼーションが可能となる とを意味する。本発明の固体担体の使用に り、非特異的なハイブリッド形成を極力抑 することが可能なアッセイ系を構築するこ が可能である。あるいは、例えば、固体担 にタマビジンを連結させる際に、高温の処 が必須の方法を選択することも可能となる さらには、タマビジンに耐熱性タンパク、 素、または蛍光色素などを結合させる際、 るいは結合後ビオチン修飾物と反応させる に、高温を用いて、より特異的な反応をさ ることも可能である。

 また、本発明の固体担体に連結する耐熱 ビオチン結合性タンパク質は、DNAに対する 特異結合がほとんどないため、当該技術分 に公知の卵白由来のアビジンにおいて問題 なっているDNAに対する非特異結合性の問題 回避することもできる。

  耐熱性ビオチン結合性タンパク質 を用いた、ビオチンと連結した物質の分離、 濃縮、精製、検出および/または捕捉方法
 本発明は、ビオチンと連結した物質の分離 濃縮、捕捉、精製、および/または検出方法 であって、以下の工程:
 1)本発明のタマビジンを連結した固体担体 、ビオチンと連結した物質を接触させて、 該固体担体にビオチンと連結した物質を結 させ;
 2)当該固体担体に結合しなかった夾雑物を 浄し;そして
 3)当該固体担体に結合したビオチンと連結 た物質を回収することにより当該物質を分 、濃縮、捕捉もしくは精製し、および/また 、当該物質を検出する;
を含んでなる、前記方法を提供する。好まし い態様において、本発明の方法における上述 した工程の少なくとも1つは70℃ないし90℃の 熱条件下で行う、より好ましくは、75℃な し90℃、80℃ないし90℃、85℃ないし90℃、70 ないし85℃、70℃ないし80℃、75℃ないし80℃ 75℃ないし85℃、75℃ないし87.5℃、の加熱条 件下で行うことを含む。

 本発明の方法において、ビオチンと連結 た物質とは、ビオチンと直接的または間接 に連結した物質の双方をいう。ビオチンと 質の直接的な連結は、共有結合による連結 よって達成される。ビオチンと物質の間接 な連結は、ビオチンと共有結合により連結 たリガンドに対して、さらに物質が、共有 合、イオン結合、水素結合、または疎水性 互作用により連結することによって達成さ る。間接的な連結の具体的な例には、ビオ ン化抗体を用いる場合の抗原抗体反応によ 抗原分子の連結や、ビオチン化核酸プロー を用いる場合の核酸のハイブリダイゼーシ ンによる相補的な核酸の連結などが挙げら る。

 好ましい態様において、本発明の方法に ける少なくとも1つの工程は70℃ないし90℃ 加熱条件下で行われるので、ビオチンと物 の間接的な連結は、本発明の方法において 用する温度条件下において連結が保持され ことが好ましい。例えば、ビオチンと物質 間接的な連結として核酸のハイブリダイゼ ションを用いる場合は、ハイブリダイズす ヌクレオチドの長さは、少なくとも20ヌクレ オチド以上、好ましくは、少なくとも25ヌク オチド以上、30ヌクレオチド以上、35ヌクレ オチド以上、40ヌクレオチド以上、50ヌクレ チド以上、100ヌクレオチド以上、であって い。

 本発明の方法において使用するタマビジ を連結された固体担体を構成する材質およ その形状は、分離、濃縮、精製、検出およ /または捕捉したい物質の特性に応じて選択 されうる。

 また、本発明の方法の各工程に用いる、 衝液の組成、適用する温度などは、分離し い物質の性質等を考慮して、当業者が適宜 定することができる。本発明の方法により 離、濃縮、捕捉、および/または精製した物 質の検出方法は、当該物質の性質に応じて、 当業者が適宜選択することができる。

 本発明の方法は、これらに限定されるわ ではないが、例えば、核酸の検出(特開2003-1 25800)、サンプルから核酸を単離するための装 置および方法(ボートリンら、WO2004/005553)、核 酸増幅法:ハイブリダイゼーションシグナル 幅法(HSAM)(ザンら、WO1998/004745)、あるいはウ ルスやウイルスゲノムの濃縮等(玉造, 2004,  BIO INDUSTRY, 21(8): 39-47)に倣った方法であって よい。あるいは、細胞や微生物の検出・捕捉 ・濃縮に用いることもできる。

 例えば、体液中のウイルスを濃縮する場 、まず、検体を適当な緩衝液中で、ウイル 表層抗原に特異的に結合する抗体をビオチ 化したものとインキュベートする。抗体の オチン化は例えばPierce等から市販されてい キットを用いて行うことができる。次に、 発明のタマビジンを連結した固体担体、例 ば磁性ビーズ、を加え、混合する。最後に 石を用いて、ウイルス-抗体-ビオチン-タマ ジン-磁性ビーズの複合体を凝集させ、上清 を除去し、適当な緩衝液で数回の洗浄を行っ た後、磁石をはずし、所望の緩衝液に懸濁し 、ウイルスの濃縮を完了する。

 あるいは、体液中のウイルスゲノムDNAを 縮する場合、まず検体を、ウイルス粒子を 壊する適当な溶液中に入れ、ウイルスから ノムDNAを抽出せしめる。さらに必要であれ 、このゲノムを一本鎖化するステップを入 る。続いて、ウイルスゲノムの一部分に相 的な数十ないし数百塩基の一本鎖オリゴDNA ビオチン化したもの、あるいはウイルスゲ ムの一部分に相補的な鎖を有する数十ない 数百塩基の二本鎖DNAをビオチン化し熱変性 せたもの、とインキュベートし、ビオチン オリゴDNAとウイルスゲノムをハイブリダイ ーションさせる。本発明のタマビジンを連 した固体担体を用いる場合、従来のアビジ またはストレプトアビジンを連結した固体 体を用いる場合よりも高い温度、例えば、7 0℃ないし90℃、好ましくは75℃ないし90℃、80 ℃ないし90℃、85℃ないし90℃、70℃ないし85 、70℃ないし80℃、または75℃ないし80℃、75 ないし85℃、75℃ないし87.5℃、の温度範囲 適用可能である。ハイブリダイゼーション 度に上記のような高い温度を適用すること より、非特異的なDNAの結合が抑制され、所 のウイルスゲノム以外のDNAが極力混入しな 、より特異性の高いウイルスゲノムの濃縮 可能となる。次に、本発明のタマビジンを 結した固体担体、例えば磁性ビーズ、を高 状態のサンプル(ビオチン化オリゴDNAが特異 にウイルスゲノムを捕捉している状態)に加 え、混合する。最後に磁石を用いて、ウイル スゲノム-オリゴDNA-ビオチン-タマビジン-磁 ビーズの複合体を凝集させ、上清を除去し 適当な緩衝液で数回の洗浄を行った後、磁 をはずし、所望の緩衝液に懸濁し、ウイル ゲノムの濃縮を完了する。この後、ウイル ゲノムの検出は、例えばPCR(Saiki et al. (1985)  Science 230: 1350-1354)等を用いて行うことがで きる。タマビジンは、従来のアビジン、スト レプトアビジンよりも、ビオチン非存在下に おける耐熱性が高く、しかもDNAに対する非特 異的な結合がほとんどない。従って、例えば 上記のような方法によるDNAの特異的な濃縮に 好適である。

 本発明の固体担体に連結されるタマビジ は、高温域でのタンパク質安定性およびビ チン結合性を保持する。このため、本発明 固体担体は、従来最も使用されていたスト プトアビジンよりも高い温度で、ビオチン 合能を保持したまま処理することができる 本発明の固体担体を使用することにより、 温域での処理を含むアッセイ系を構築する とが可能となる。

図1は、タマビジン2、ストレプトアビ ンおよびアビジンのDNAに対する非特異結合 験の結果を示す写真(A)およびグラフ(B)であ 。 図2は、タマビジン2の耐熱性(タンパク 安定性)をストレプトアビジンと比較して評 価した結果を示す。図2Aは、SDS-PAGEの結果を し、図2Bはそのタンパク質バンドの定量結果 を示すグラフである。 図3は、タマビジン2(A)、ストレプトア ジン(B)およびアビジン(C)の耐熱性(蛍光ビオ ン結合活性)を示すグラフである。 図4は、タマビジン2磁性ビーズ(A)、市 のストレプトアビジン磁性ビーズ(B)、スト プトアビジン磁性ビーズ(C)、およびアビジ 磁性ビーズ(D)の耐熱性(蛍光ビオチン結合活 )を示すグラフである。 図5は、タマビジン2磁性ビーズ(Aおよび C)、市販のストレプトアビジン磁性ビーズ(B よびD)、の耐熱性(蛍光ビオチン結合活性)を すグラフである。 図6は、タマビジン2セファロースビー の耐熱性(蛍光ビオチン結合活性)を示すグラ フである。 図7は、タマビジン1の蛍光ビオチン結 活性を示すグラフである。

  実施例1:タマビジン2(TM2)
  1-1.タマビジン2の特徴づけ
  タマビジン2の大腸菌発現と精製
 タマビジン2(TM2)をコードするDNA(配列番号3) 発現ベクターpTrc99Aに組込んで大腸菌で発現 させると、発現したTM2の殆どが可溶性画分に 蓄積し、発現量も多い(WO 02/072817)。TM2タンパ ク質を、組換え大腸菌から、Hofmannら(Proc. Nat l. Acad. Sci. USA, 77: 4666-4668, 1980)の方法に従 ってイミノビオチンアガロース(Sigma)を充填 たカラムを用いて精製した。具体的には、WO  02/072817に記載されている大腸菌に対して、1 mM IPTG、37℃で5時間発現誘導をかけた後集菌 、ペレットを50mM Caps pH11.0, 50mM NaClに懸濁 し、超音波によって菌体を破壊した。遠心後 の上清を、50mM Caps pH11.0, 50mM NaClで平衡化 た自作のイミノビオチンカラム(高さ3cm、体 0.5ml)にアプライした。5mlの50mM Caps pH11.0, 5 00mM NaClで洗浄後、1.5-2mlの50mM NH 4 OAc pH4.0で溶出した。精製タンパク質の収量 50mLの培養液からおよそ1mgであった。

  質量分析
 タマビジン2を、10mg/mlの濃度で、0.1%TFA,50%MeC N飽和溶液に溶解し、このサンプル溶液をZipTi p C4(Millipore)にて精製を行い、MALDIプレートに 直接アプライした。風乾後、マトリックス溶 液(シナピン酸)を重層した。さらに風乾後、 ーザーイオン化飛行時間型質量分析装置(MAL DI-TOFMS)AXIMA-CFR(島津製作所)に搭載し、質量分 を行った(引き出し電圧:20kV、飛行モード:Lin ear、検出イオン:Positive)。その結果、m/z=15146.3 (単量体に相当)、30335.0(二量体に相当)、60932.0 (四量体に相当)が観測された。さらに、ビオ ン結合型のタマビジン2の場合、四量体に相 当するピークが大きくなった。この結果から 、タマビジン2は4量体で、質量60932と判断し 。タンパク質のN末端配列を解析したところ 翻訳開始メチオニンの次のセリンがN末端で あることが判明した。遺伝情報処理ソフトウ エアGENETYX Ver.7(ゼネティックス社製)を用い 、タマビジン2の開始メチオニンを除く、140 ミノ酸からなるポリペプチドの等電点を計 すると、7.36であった。

  分子吸光係数
 タマビジン2の分子吸光係数は理論値として 、A 280 =41750M -1 cm -1 subunit -1 (0.25mg/mLで0.68)である。実際にタマビジン2を 製し、酢酸アンモニウムに透析したサンプ を、凍結乾燥させ(酢酸アンモニウムは完全 華)、秤量したところ3mgであった。このサン プルを20mM KPi(pH6.5)に溶解し、濃度を0.25 mg/mL に調製して、A 280 を測定したところ、0.67の実測値を得た。こ は理論値の98%に相当した。これにより、A 280 を測定することでタマビジン濃度を簡便に測 定することが可能となった。

  蛍光ビオチンによる活性測定
 蛍光ビオチンによるタマビジン2のビオチン 結合活性の測定を、Kadaら(Biochim. Biophys. Acta. , 1427: 44-48, (1999))の方法に従って行った。20 0μLアッセイバッファー(50mM NaH 2 PO 4 、100mM NaCl、1mM EDTA(pH7.5))中に、精製したTM2 0pmolから486pmolまで段階的に含まれるように 整をした。この溶液に20pmol/μL蛍光ビオチン 液(biotin-4-fluorescein:  Molecular Probe)50μL(1nmol) を混和し、室温で10分間放置後、Las-3000(FUJIFIL M)を用いて蛍光強度を測定した。その結果、1 nmolの蛍光ビオチンに0.274nmolのTM2が結合した すなわち、1molのタマビジンに3.6molの蛍光ビ チンが結合した。このことから、タマビジ 1分子に蛍光ビオチン4分子(サブユニット当 り1分子)結合することが示された。同様に トレプトアビジンは、1molに対して3.4molの蛍 ビオチンに結合した。

  1-2.タマビジン2(TM2)の非特異結合
  ウサギ抗TM2抗体の精製
 大腸菌で発現させたタマビジン2(TM2)タンパ 質をイミノビオチンカラムで精製したもの および、これをさらにゲル精製したものを 原に用い、二種類の抗体を作成した。アル リフォスファターゼ標識抗IgG抗体を用いた ェスタン法による検出感度は、精製組換え マビジン2標品に対して、およそ0.5ngであっ 。以上の結果から特異性およびタイターと に高い抗体が完成したと結論した。なお抗 マビジン2抗体-タマビジン1の交差反応は、 いものの検出された(本来の抗原に対して1/2 0程度)。

 抗TM2抗体(イミノビオチンカラム精製のみ を行った抗原から作成した抗体)は、さらに 下のようにして精製した。TM2 40μgを15%アク ルアミドゲル 2枚を用いてSDS-PAGEによって 離し、タンパクをニトロセルロース膜(BIO-RAD )2枚に転写した。膜を3% BSAを含むTBS緩衝液に て室温で1時間振とうさせることによりブロ キングを行った。続いて、室温で一晩、抗TM 2抗体(イミノビオチンカラム精製のみを行っ 抗原から作成した抗体、1000倍希釈)と反応 せた後、TM2が転写されている部位を切り取 、溶出緩衝液(0.2M グリシン、 1mM EDTA pH2.8) 中で室温20分間振とうさせた。溶出緩衝液の1 /10容量の1M トリス溶液で中和後、同量の10×T BS緩衝液を加え4℃で保存した。

  DNAに対する非特異結合性
 タマビジン2(TM2)のDNAに対する非特異結合試
 TM2のDNAに対する非特異結合性を解析した。2 ×SSC緩衝液で10μgから0.3μgまで段階希釈した ケ精子DNAをアルカリ変性させ、Bio-Dot SF(BIO-R AD)を用いて、Hybond N+膜(Amersham Biosceinces)に吸 着させた。5×デンハルト液(0.1%BSA、0.1%フィコ ール、0.1%ポロビニルプロリドン)で膜をブロ キングした後、25μg/mLのTM2、ストレプトア ジン、およびアビジン溶液に室温で90分間浸 した。その後、膜をTTBS緩衝液(0.05%Tween20を含 TBS緩衝液)によって、室温で5分間3回洗浄し 。0.5%スキムミルク、0.01%Tween20を含むTBS緩衝 液で1時間、膜をブロッキングした。1次抗体 して、TM2には前述した方法で精製したウサ 抗TM2抗体を、ストレプトアビジンにはウサ 抗ストレプトアビジン抗体(SIGMA)を、アビジ ンにはウサギ抗アビジン抗体(Abcam)を、抗体 が同等になるように希釈して用いた。1次抗 との抗原抗体反応は、1晩室温で行った。膜 をTTBS緩衝液によって室温で5分間3回洗浄後、 2次抗体として、アルカリホスファターゼ標 抗ウサギIgG抗体(BIO-RAD)(10000倍希釈)を用い、 温で1時間反応させた。膜をTTBS緩衝液によ て室温で5分間3回洗浄後、Alkaline Phosphatase s ubstrate kit II、vector Black(フナコシ)にて発色 せ、Las-3000(FUJIFILM)で定量化した。その結果 アビジンはDNAの濃度依存的に染色強度が増 したのに対して、TM2、ストレプトアビジン 染色強度はDNA濃度に強い影響を受けなかっ (図1A、B)。この結果から、タマビジン2のDNA 対する非特異活性はほとんどなく、ストレ トアビジンと同等であることが示された。 れはタマビジン2のアビジンに対する優位性 を示すものである。

  1-3.タマビジン2とビオチンとの相 作用解析
  ビアコアバイオセンサーを用いた タマビジン2(TM2)とビオチンとの相互作用のカ イネティックス分析
 高精製度のBSA (Sigma)2mgとNHS-ビオチン(Pierce)1 mgを1mlの50mM ホウ酸ナトリウム pH8.0中で溶解 し、4℃で2時間インキュベーションした。NHS- ビオチン(EZ-Link NHS-LC-LC-Biotin)はあらかじめ少 量のDMSOに溶解してから加えた。これを透析 ューブ(MWCO 6-8,000)に入れ、50mM 炭酸ナトリ ム pH6.7に対して4℃で一晩透析した。こうし て作成したビオチン-BSAコンジュゲート(MW 67k Da,30μM)をビアコア(登録商標)バイオセンサー リガンド(センサーチップへ貼り付ける物質 )とした。一方、アナライト(流路系に流す物 )として組換えタマビジン2を調製し、Biacore( 登録商標)3000(表面プラズモン共鳴を原理とし たバイオセンサー、Biacore Inc.)による分子間 互作用の分析を行った。ビオチン-BSA、およ びネガティブコントロールとしたBSAは、アミ ンカップリング法によってCM5センサーチップ に固定化した。固定化量は、200RU程度になる に調節した。BSAを固定化したチップは、フ ーセル1と3に、ビオチン-BSAを固体化したチ プは、フローセル2と4に配置した。タマビ ン2は、フローセル1と2に、ストレプトアビ ンは、フローセル3と4に、流速20μl/minで2分 、ランニングバッファー[10mM HEPES pH7.4,150mM NaCl,3mM EDTA,0.005% Surfactantat20(Biacore Inc.)]中に ロードした。その後、60分間、サンプルの解 をモニターした。なお、結合したタマビジ 2、ならびにストレプトアビジンを解離させ ることは不可能であったため、測定では再生 操作を行わず、低濃度側から7段階の測定を った(3.125、6.25、12.5、25、50、100、および200nM )。BSAのデータはレファレンスとして、BSA-ビ チンのデータから差し引いた。測定は25℃ 行った。得られたセンサーグラムから、解 ソフトウェア BIAevaluation ver.4.1を用いて、1: 1結合モデルを用いて、反応速度論的解析を い、結合速度定数(k a )と解離速度定数(k d )を計算した。解離定数(K d ) は、k d /k a から求めた。

 なお、再生操作を行わない場合、各濃度 測定を行うごとにRmax(アナライトの最大結 量)が減少するが、解析時にはRmaxをローカル フィッティングして濃度ごとに算出を行った 。また、1:1結合モデルに近似できたアナライ ト濃度のデータのみを採用した。

 組換えタマビジン2とビオチンとのBiacore( 録商標)3000(表面プラズモン共鳴を原理とし バイオセンサー)による分子間相互作用のカ イネティックス分析結果は表1の通りである

 得られたタマビジン2の解離定数は、10 -12  Mのオーダーで、今回我々の測定したストレ プトアビジンの解離定数と同じオーダーであ った。この結果によって、タマビジン2は、 ビジン、ストレプトアビジンに次ぐ、ビオ ンと非常に高い親和性をもつタンパク質で ることが明らかとなった。タマビジン2は、 在広く応用されているアビジン-ビオチン技 術に応用が可能であると考えられる。

  1-4.タマビジン2の耐熱性
 タマビジン2(TM2)の耐熱性を、ストレプトア ジンまたはアビジンとの比較で解析した。

  タンパクの安定性
 0.2μg/μL TM2、および0.2μg/μL ストレプトア ジンを10μL(2μg)ずつ室温、50、60、70、80、90 99℃で20分間加熱した。続いて、15000rpmで10 間遠心し、上清の可溶性タンパクを等量の2 SDS サンプルバッファー(100mM Tris-HCl pH 6.8,1 2% 2-メルカプトエタノール,2% SDS,20% グリセ ール)と懸濁し、95℃で10分間加熱後、SDS-PAGE を行った。タンパクバンドはCBB染色によって 検出した。Las-3000(FUJIFILM)を用いて定量マーカ ー(LMW ELECTROPHORESIS CALIBRATION KIT; Pharmacia Biot ech)をもとに検量線を作成し、タンパク質バ ドを定量化した。SDS-PAGEの結果を図2Aに、タ パク質バンドの定量結果を図2Bに示す。50% タンパク質が消失する温度は、ストレプト ビジンが71℃であるのに対し、タマビジン2 87℃であった。この結果、タマビジン2は、 トレプトアビジンと比較して耐熱性が15℃以 上高いことが明らかとなった。また、タマビ ジン2はビオチンを加えると、耐熱性が極め 強くなり、95℃処理後も、4量体が解離しな なった。

  ビオチン結合活性
 ビオチン結合性タンパク質のビオチン結合 イトに蛍光ビオチンが結合すると、蛍光ビ チンの蛍光強度が消失する性質を利用して タマビジン2の高温度条件下におけるビオチ ン結合能を、ストレプトアビジン、アビジン と比較した。

 約0.25μg/μLのTM2とストレプトアビジンを、 温、50、60、70、80、90℃で20分間加熱後、150μ L アッセイバッファー(50mM NaH 2 PO 4 、100mM NaCl、1mM EDTA(pH7.5))中に0μLから27μLの 熱処理したTM2、またはストレプトアビジン 段階的に含む溶液を調製した。この溶液に5p mol/μL蛍光ビオチン溶液(ビオチン-4-フルオレ イン:Molecular Probe)50μL(250pmol)を混和し、室 で20分間放置後、Las-3000(FUJIFILM)を用いて蛍光 強度を測定した。

 ビオチン結合性タンパク質の耐熱性試験 以下の通りに実施した。約0.25μg/μLのビオ ン結合性タンパク質を、室温、50、60、70、80 、90℃で20分間加熱後、150μL アッセイバッフ ァー中に0μLから12μLの加熱したビオチン結合 性タンパク質を段階的に含む溶液に調製した 。この溶液に2pmol/μL蛍光ビオチン溶液 50μL(1 00pmol)を混和し、室温で20分間放置後、Infinite M200(TECAN)を用いて蛍光強度をEx=460nm、Em=525nm て測定した。

 結果を図3に示す。その結果、TM2における 蛍光ビオチンとの結合は、70℃以下では室温 変化はみられず、80℃で82%の活性を保持し いた。一方、ストレプトアビジンと蛍光ビ チンとの結合活性は70℃で40%、80℃で80%減少 た。また、アビジンと蛍光ビオチンとの結 活性は70℃で10%、80℃で70%減少した。蛍光強 度の減少割合が、加熱していないサンプルの 50%になる温度は、TM2は85℃であるのに対し、 トレプトアビジンは73℃、アビジンは78℃で あった。

  1-5.タマビジン2固定化担体の耐熱
  タマビジン2磁性ビーズの作成
 カルボキシル基で表面をコートされた磁性 ーズ(Dynabeads M-270 Carboxylic Acid, Dynal社)300μ lを0.01N 水酸化ナトリウム 300μlで10分間洗浄 後、さらに超純水 300μlで10分間3回洗浄した 洗浄済みの磁性ビーズに、冷超純水で溶解 た1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カ ボジイミド・ハイドロクロライド(EDC)(PIERCE )を最終濃度0.2Mになるように添加し30分間、 室温で振とうした。その後、冷超純水 300μl 続いて50mM MES緩衝液(pH5.0)300μlで磁性ビーズ を洗浄し、50mM MES緩衝液(pH5.0)に置換した0.6mg /ml TM2を300μl(180μg)混和した。室温で30分間振 とうさせることにより、共有結合にてTM2と磁 性ビーズを結合させた。磁石で磁性ビーズを 回収し、上清を除去した。次に50mM トリス緩 衝液(pH 7.0)300μlでビーズの未反応カルボキシ ル基を消去後、0.5% BSA、0.1% Tween20を含むPBS 衝液300μlで磁性ビーズをブロッキングした PBS緩衝液 300μlで磁性ビーズを懸濁し、磁性 ビーズを完成させた。ストレプトアビジンお よびアビジンについても同様に磁性ビーズを 作成した。

  タマビジン2磁性ビーズの加熱試
 (i)耐熱性
 蛍光ビオチンを用いて、TM2磁性ビーズの耐 性を、上記で作製したストレプトアビジン 性ビーズおよびアビジン磁性ビーズ、なら に、市販のストレプトアビジン磁性ビーズ( Dynabeads M-270 Streptavidin、Dynal)と比較した。

 各磁性ビーズをPBS緩衝液で洗浄後、室温 70、75、80、85、90℃で20分間加熱した。150μL アッセイバッファー中に、加熱した各磁性 ーズを0μLから16μLまで段階的に含む溶液を 製した。この溶液に1pmol/μL ビオチン-4-フル オレセイン溶液 50μL(50pmol)を混和し、室温で 20分間放置後、Infinite M200を用いて上清の蛍 強度をEx=460nm、Em=525nmにて測定した。

 結果を図4に示す。その結果、TM2磁性ビー ズにおいて、蛍光ビオチンとの結合は75℃以 では室温と変化がみられず、80℃で73%、85℃ で64%の活性があった。ストレプトアビジン磁 性ビーズは80℃で70%失活し、市販のストレプ アビジン磁性ビーズ(Dynal)は80℃で90%失活し 。また、アビジン磁性ビーズは80℃で35%、85 ℃で55%失活した。蛍光強度の減少割合が、加 熱してないサンプルの50%になる温度は、TM2は 87℃であるのに対し、ストレプトアビジンは7 8℃、ストレプトアビジン(Dynal)は72℃、アビ ンは84℃であった。

 (ii)高温域におけるビオチン結合活性
ビオチン結合性タンパク質のビオチン結合サ イトに蛍光ビオチンが結合すると、蛍光ビオ チンの蛍光強度が消失する性質を利用して、 TM2磁性ビーズの高温度条件下におけるビオチ ン結合能を、市販のストレプトアビジン磁性 ビーズと比較した。

 TM2磁性ビーズは、カルボキシル基で表面を ートされた磁性ビーズ(Dynabeads M-270 Carboxyli c Acid, Dynal社)にTM2を共有結合させることに って作成した。また、市販のストレプトア ジン磁性ビーズは、Dynabeads M-270 Streptavidin(D ynal社)を使用した。TM2磁性ビーズは2×10 9 ビーズ/30mg/mLであり磁性ビーズ1mg当り333pmolの 蛍光ビオチンが結合する。また、市販のスト レプトアビジン磁性ビーズは6.7×10 8 ビーズ/10mg/mLであり磁性ビーズ1mg当り625pmolの 蛍光ビオチンが結合する。

 TM2磁性ビーズ、および市販のストレプトア ジン磁性ビーズ300μLをPBS緩衝液300μLで2回洗 浄し、再びPBS緩衝液300μL中に懸濁した。それ ぞれの磁性ビーズを42μLずつ7本に分注した。 1pmol/μL蛍光ビオチン溶液(ビオチン-4-フルオ セイン:Molecular Probe社)50μL(50pmol)をアッセイ ッファー(50mM NaH 2 PO 4 、100mM NaCl、1mM EDTA(pH7.5))150、149、148、146、14 2、140、134μLにそれぞれ添加し、室温、50、60 65、70、80、95℃で10分間プレインキュベーシ ョンした。続いて、両磁性ビーズを室温、50 60、65、70、80、95℃で5分間プレインキュベ ション後、1、2、4、8、10、16μLを50pmol 蛍光 オチン溶液に添加して最終容積200μLとし、 れらを各温度で20分間加熱し続けた。この 、ピペッティングにより3回混合液を懸濁し 。その後、敏速に磁石で磁性ビーズを回収 、上清の蛍光強度をInfinite M200(TECAN)を用い Ex=460nm、Em=525nmにて測定した(実験1)。実験2 して、実験1と同様に、室温、70、75、80、85 90℃を解析した。

 実験1の結果を図5AおよびBに、実験2の結 を図5CおよびDに示す。その結果、TM2磁性ビ ズにおいて、蛍光ビオチンとの結合は70℃以 下では室温と変化がみられず、80℃、85℃で それぞれ、75%、62%の活性を保持していた(図5 A)。一方、市販のストレプトアビジン磁性ビ ズにおいては、蛍光ビオチンとの結合は、8 0℃では60%から80%消失した(図5B)。蛍光強度の 少割合が加熱していないサンプルの50%にな 温度は、ストレプトアビジン(Dynal)が77.5℃ あるのに対し、タマビジン2は87.5℃であった 。

  TM2セファロースビーズの作成
  表面のカルボキシル基がN-ヒドロキシスク シンイミド(NHS)により活性エステル化された ファロースビーズ (直径34μm)HiTrap NHS-activat ed HP(GEヘルスケア社)1mLを冷1mM 塩酸 10mlで洗 浄後、さらに冷超純水 1mlで洗浄した。この ファロースビーズに、予め0.5M 塩化ナトリ ムを含む0.2M 炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH8 .3)中で透析をした1mg/ml TM2を1ml混和した。室 で3時間振とうさせることによりTM2とセファ ロースビーズを結合させた。次に50mM トリス 緩衝液(pH8.0)5mlにて未反応の活性基を消去後 0.5% BSA、0.05% Tween 20を含むPBS緩衝液 5mlで ファロースビーズをブロッキングした。PBS 衝液 1mlでセファロースビーズを懸濁しTM2セ ファロースビーズを完成させた。

  TM2セファロースビーズの加熱試験
 蛍光ビオチンを用いて、TM2セファロースビ ズの耐熱性を検証した。TM2セファロースビ ズをPBS緩衝液で洗浄後、室温、70、75、80、8 5、90℃で20分間加熱した。150μL アッセイバ ファー中に、加熱したセファロースビーズ 0μLから16μLまで段階的に含む溶液を調整し 。次に3pmols/μl ビオチン-4-フルオレセイン 液 50μl(150pmol)を混和し、室温で20分間放置 、Infinite M200を用いて上清の蛍光強度をEx=460 nm、Em=525nmにて測定した。

 その結果、蛍光ビオチンとの結合は80℃以 では室温と変化がみられず、85℃で64%の活性 があった。また、蛍光強度の減少割合が、加 熱してないサンプルの50%になる温度は86℃で り、TM2を固定化した磁性ビーズと同等の耐 性を示した(図6)。

  実施例2:タマビジン1(TM1)
  2-1.タマビジン1の特徴づけ
  タマビジン1の大腸菌発現と精製
 タマビジン1をコードするDNA(配列番号1)を、 発現ベクターpTrc99Aに組込んで大腸菌で発現 せると、発現したタマビジン1タンパク質の どが可溶性画分に蓄積し、その発現量はタ ビジン2と同じレベルに多かった。そこで組 換えタマビジン1に関して、以下のように精 を試みた。発現誘導後、集菌した大腸菌の レットを20 mM Kpi pH7.0に懸濁し、超音波に って菌体を破壊した。15000rpmで10分間の遠心 の上清を、70℃で10分間処理した。熱処理後 さらに遠心分離操作を行い、その上清を、50m M Tris-HCl pH7.0、50mM NaClに置換した。このサ プルを同バッファーで平衡化したイオン交 カラムMonoQ HR5/5 (Phaemacia)にアプライし、組 えタマビジン1をカラム素通り画分として回 収した。タンパク質の回収量は培養液50mL当 りおよそ1mgであった。

  質量分析
 タマビジン1の質量分析を実施例1と同様に った。その結果、m/z=15961.6(単量体に相当)、3 1922.5(二量体に相当)が観測された。単量体の 量は、タマビジン1をSDS-ポリアクリルアミ 電気泳動した後の分子量に良く一致した。 方、タマビジン1にビオチンを過剰量添加し インキュベートした後のサンプルのSDS-ポリ アクリルアミド電気泳動像と、同じ処理を施 したタマビジン2の泳動像との比較分析から タマビジン1は4量体であることが示唆された 。遺伝情報処理ソフトウエアGENETYX Ver.7(ゼネ ティックス社製)を用いて、全長143アミノ酸 らなるタマビジン1の等電点を計算すると、6 .23であった。

  ビオチンとの結合性
上記70℃熱処理後の遠心後上清のタマビジン1 の蛍光ビオチン結合活性を測定した。方法は タマビジン2の場合に準じた。蛍光ビオチン のインキュベーションは室温で行った。結 を図7に示す。タマビジン1は、70℃処理後に いても蛍光ビオチンと結合することが明ら となった。

  2-2.タマビジン1の耐熱性
  タンパク質の安定性
 0.2μg/μLの濃度の精製タマビジン1を10μL(2μg) ずつ室温、50、60、70、80、90、99℃で20分間加 した。続いて、15000rpmで10分間遠心し、上清 の可溶性タンパクを等量の2×SDS サンプルバ ファー(100mM Tris-HCl pH6.8,12% 2-メルカプトエ タノール,2% SDS,20% グリセロール)と懸濁し、 95℃で10分間加熱後、SDS-PAGEを行った。タンパ クバンドはCBB染色によって検出した。Las-3000( FUJIFILM)を用いて定量マーカー(LMW ELECTROPHORESIS  CALIBRATION KIT; Pharmacia Biotech)をもとに検量 を作成し、タンパク質バンドを定量化した その結果、タマビジン1の50%のタンパク質が 失する温度は、76℃であった。この結果、 マビジン1は、上述のストレプトアビジンと 較して耐熱性が5℃高いことが明らかとなっ た。また、タマビジン1はビオチンを加える 、耐熱性が極めて強くなり、95℃処理後も、 4量体が解離しなくなった。

 本発明の固体担体に連結されるタマビジ は、高温域でのタンパク質安定性およびビ チン結合性を保持するため、本発明の固体 体は、高温域での処理を含むアッセイ系に 用可能である。高温域での処理を含むアッ イ系は、特異性の高い物質の分離、濃縮、 製、検出および/または捕捉を可能にするた め、一連のプロトコルの迅速化に貢献する。 また、タマビジンは、卵白由来のアビジンや ストレプトアビジンと比較して生産効率が高 いため、本発明の固体担体は、市販のビオチ ン結合性タンパク質を連結した固体担体と比 較してコスト面でも有利である。