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Patent Searching and Data


Title:
V-BELT FOR HIGH LOAD POWER TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/019849
Kind Code:
A1
Abstract:
A V-belt for high load power transmission produces less noise when it runs and has blocks with increased impact resistance. The V-belt (B) includes at least one tension belt (10) endlessly extending in a ring shape and also includes the blocks (20) engaged and fixed to place at predetermined pitches in the longitudinal direction of the tension belt (10). The blocks (20) each have contact surfaces (30) located at opposite ends in the lateral direction of the V-belt and coming into contact with a pulley. On the opposite ends of each block (20), there are tilt surface (31) formed to continue from the contact surfaces (30) to the inner peripheral side of the V-belt and tilting relative to the contact surfaces (30) toward the center in the lateral direction of the V-belt. The angle of each tilt surface (31) relative to a corresponding contact surface (30) is set not less than 120 degrees but not more than 140 degrees.

Inventors:
SANO KOUHEI (JP)
SAKANAKA HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002092
Publication Date:
February 12, 2009
Filing Date:
August 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BANDO CHEMICAL IND (JP)
SANO KOUHEI (JP)
SAKANAKA HIROYUKI (JP)
International Classes:
F16G5/00; F16G5/16
Foreign References:
JP2004028156A2004-01-29
JPH10176735A1998-06-30
Other References:
See also references of EP 2187090A4
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Hiroshi et al. (5-7 Hommachi 2-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 53, JP)
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Claims:
 エンドレスに延びて環状に形成された少なくとも1つの張力帯と、
 上記張力帯のベルト長さ方向に所定ピッチで係止固定された複数のブロックとを備え、
 上記複数のブロックが、ベルト幅方向の両側端部にプーリに接する接触面をそれぞれ有する高負荷伝動用Vベルトであって、
 上記複数のブロックは、それぞれ、上記接触面のベルト内周側に連続し、且つ、該接触面に対してベルト幅方向の中央側へ傾斜するように形成された傾斜面を有し、
 上記接触面に対する上記傾斜面の角度は、120度以上且つ140度以下である
ことを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
 請求項1において、
 上記傾斜面の角度は、130度以上且つ140度以下である
ことを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
 請求項1において、
 上記複数のブロックは、それぞれ、ベルト幅方向の両側端部がフェノール系樹脂によって形成されている
ことを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
Description:
高負荷伝動用Vベルト

 本発明は、高負荷伝動用Vベルトに関する ものである。

 近年、例えばコンバインやトラクタ等の 業用機械や自動車等における走行用変速装 として、変速時の操作性や燃料消費率の向 等を図る観点から、ベルト式無段変速装置 開発が進められている。ベルト式無段変速 置は、駆動軸及び従動軸に溝間隔が可変の 速プーリが取り付けられ、これらの変速プ リにVベルトが巻き掛けられることにより構 成されている。すなわち、上記ベルト式無段 変速装置は、上記変速プーリの溝間隔を変化 させることにより、無段階で変速を行えるよ うに構成されている。

 このベルト式無段変速装置に巻き掛けるV ベルトとして、エンドレスに延びて環状に形 成された少なくとも1つの張力帯と、その張 帯のベルト長さ方向に所定ピッチで係止固 された複数のブロックとを備えた高負荷伝 用Vベルトが知られている。上記複数のブロ クは、それぞれ、ベルト幅方向の両側端部 ある接触部に形成され且つプーリに接する 触面を有している。

 上記高負荷伝動用Vベルトは、上記ブロッ クの接触面がプーリ溝面に接触することによ りプーリの回転力を受け、該接触面でブロッ クがプーリから受けた力を推力として張力帯 に加えることにより伝動する。一般に、上記 ブロックの接触部は、プーリの回転力を推力 として張力帯に効率的に伝えて伝動性を向上 させる観点から、比較的、弾性率の高い樹脂 によって形成されている。

 このような構成のVベルトでは、ベルトが プーリに突入するときに、ベルトのピッチラ イン上に位置する張力帯はプーリ溝面に対し てスリップすることなく突入すると共に、各 ブロックも張力帯と同じ速度で突入する。そ うすると、プーリ溝面に対して、ブロックに おける張力帯よりもベルト内側の内側部と該 張力帯よりもベルト外側の外側部とで速度差 が生じる。

 すなわち、プーリは、その回転中心から れるほど周速度が大きくなるので、各ブロ クは、上記張力帯よりも回転中心側に位置 る内側部でベルト走行方向に対して後向き 力を受けると共に、上記張力帯よりもプー の径方向外方に位置する外側部でベルト走 方向に対して前向きの力を受けて、プーリ 面に対してスリップする。また、ブロック プーリから出るときにも、突入時と同様に リップが生じる。このように、プーリ溝面 対してブロックがスリップすることによっ 該ブロックの接触面が徐々に摩耗する。

 また、一般的に、上記各ブロックの接触 は、プーリ溝面に平行な断面における厚み 向の寸法が該プーリ溝面に直交する方向で 定ではなく、ベルトの幅方向中央に向かっ 大きくなっている(肉厚になっている)ため 接触面がプーリ溝面との接触によって摩耗 ていくと、接触面の面積が徐々に大きくな 。このように接触面の面積が増大すると、 ーリ溝面に対して該接触部のベルト内外周 での速度差が大きくなるため、ベルトの走 による騒音が大きくなる。

 これに対して、特許文献1のVベルトは、ブ ックのベルト幅方向の両側に、プーリ溝面 直交する方向に延び、且つそのプーリ溝面 沿った溝深さ方向の長さが略一定となる突 部を設けて、この突起部の先端に接触面を 成している。そのことにより、ベルトの走 に伴ってブロックの接触面積が大きくなる とを抑制している。

特開平10-176735号公報

 しかし、プーリに巻き掛けられたVベルト は、ベルトの張力によってプーリ溝の深さ方 向の底部側へ引っ張られているため、ブロッ クの接触部におけるベルト内側の角部(以下 内側角部ともいう)にはプーリから特に大き 負荷が加わる。したがって、上記内側角部 、ベルトの走行に伴って接触面が摩耗され 角張りやすい。

 そのため、上記特許文献1のような構成の Vベルトであっても、上述のように、ベルト 走行に伴って内側角部が角張った場合には ブロックが少しでも傾いた状態でプーリに 入したり、プーリの損傷等によってプーリ 面の角度が変化したりすると、ブロックが ーリに突入する際に生じる衝撃によって内 角部が欠けやすくなり、ベルトの寿命が低 する。

 本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされた のであり、その目的とするところは、ベル の走行による騒音を低減すると共に、ブロ クの耐衝撃性及びベルトの耐久性の向上を ることにある。

 上記の目的を達成するために、この発明 は、高負荷伝動用Vベルトのブロックにおい て、接触面のベルト内周側に連続して形成さ れた傾斜面と該接触面とがなす角度を120度以 上且つ140度以下にした。

 具体的に、第1の発明では、エンドレスに 延びて環状に形成された少なくとも1つの張 帯と、上記張力帯のベルト長さ方向に所定 ッチで係止固定された複数のブロックとを え、上記複数のブロックが、ベルト幅方向 両側端部にプーリに接する接触面をそれぞ 有する高負荷伝動用Vベルトを対象とする。

 そして、上記複数のブロックは、それぞ 、上記接触面のベルト内周側に連続し、且 、該接触面に対してベルト幅方向の中央側 傾斜するように形成された傾斜面を有し、 記接触面に対する上記傾斜面の角度は、120 以上且つ140度以下である。

 上記傾斜面の角度は、130度以上且つ140度 下であるのが好ましい(第2の発明)。

 上記複数のブロックは、ベルト幅方向の 側端部がフェノール系樹脂によってそれぞ 形成されていてもよい(第3の発明)。

   -作用-
 仮に、高負荷伝動用Vベルトのブロックの接 触面に対する傾斜面の角度が120度よりも小さ い場合には、接触面を有するブロックの両側 端部(接触部)におけるベルト内側の角部(内側 角部)における強度が比較的低くなるため、 ロックが少しでも傾くなどして接触面とプ リ溝面との角度関係に変化が生じた場合に 、プーリへの突入時に生じる衝撃によって 側角部が欠けやすくなり、ブロックの耐衝 性が低下する。

 一方、仮に、上記接触面に対する傾斜面 角度が140度よりも大きい場合には、ブロッ がベルト幅方向の中央に向かってベルト厚 方向に比較的大きく広がった形状となるた 、ベルトの走行に伴う接触面の摩耗によっ ブロックのベルト内側に形成される接触面 面積が増大する。このように接触面の面積 増大する結果、プーリ溝面に対する接触部 ベルト内外周側での速度差が大きくなるた 、ベルトの走行による騒音が大きくなる。

 これに対し、本発明に係る高負荷伝動用V ベルトでは、ブロックの接触面に対する傾斜 面の角度を120度以上且つ140度以下にした。こ れにより、上記接触面の摩耗によってベルト 内側の該接触面が増大するのを抑制できると 共に、内側角部における強度の向上を図れる ため、ベルトの走行による騒音が低減される と共に、ブロックの耐衝撃性及びベルトの耐 久性の向上を図れる。

 特に、傾斜面の角度が130度以上且つ140度 下である場合には、ブロックの内側角部の 度をより高められるため、ブロックの耐衝 性をさらに高められる。

 本発明によれば、高負荷伝動用Vベルトの ブロックの接触面に対する傾斜面の角度が120 度以上且つ140度以下であるので、上記接触面 の摩耗によってベルト内側の該接触面が増大 するのを抑制することができると共に、接触 面を含むブロックの端部におけるベルト内側 の角部の強度を向上させることができる。し たがって、ベルトの走行による騒音を低減で きると共に、ブロックの耐衝撃性及びベルト の耐久性の向上を図れる。

図1は、本発明の実施形態に係る高負荷 伝動用Vベルトの一部の構成を概略的に示す 視図である。 図2は、高負荷伝動用Vベルトのブロッ の構成を概略的に示す正面図である。 図3は、図2のA部分の拡大図である。 図4は、側圧強度試験装置の構成を概略 的に示す図である。 図5は、騒音試験装置の構成を模式的に 示す図である。 図6は、高速耐久性試験装置の構成を模 式的に示す図である。 図7は、第1実施例で測定した各Vベルト ブロック側圧強度、騒音、高速耐久寿命及 接触面増大長さの測定結果を示す図である 図8は、傾斜面と接触面との角度差に対 するブロック側圧強度の変化を示すグラフで ある。

符号の説明

B  高負荷伝動用Vベルト(Vベルト)
10  張力帯
20  ブロック
30  接触面
31  傾斜面

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実 形態に限定されるものではない。

 図1~図3は、本発明の実施形態に係る高負 伝動用Vベルトの構成を示している。すなわ ち、図1は、高負荷伝動用VベルトBの一部の構 成を概略的に示す斜視図である。図2は、該 負荷伝動用Vベルトのブロック20の構成を概 的に示す正面図である。図3は、図2のA部分 拡大図である。

 高負荷伝動用Vベルト(以下、単にVベルト もいう)Bは、図1に示すように、エンドレス 延びて環状に形成された一対の張力帯10と 該一対の張力帯10をベルト幅方向に並べた状 態で、該一対の張力帯10のベルト長さ方向に 定ピッチで係止固定された複数のブロック2 0とを備えている。

 上記一対の張力帯10は、ベルト長さ方向 互いに並んで延びるように、ベルト外側に 置された外ゴム層10a及びベルト内側に配置 れた内ゴム層10bと、これら外ゴム層10aと内 ム層10bとの間に配置された複数の心線11とを それぞれ有している。

 上記外ゴム層10aには、ベルト外側の表面 外帆布層(図示省略)が外ゴム層10aと一体に けられている。一方、上記内ゴム層10bには ベルト内側の表面に内帆布層(図示省略)が該 内ゴム層10bと一体に設けられている。上記外 ゴム層10a及び内ゴム層10bは、例えばメタクリ ル酸亜鉛を混合した水素化ニトリルゴム(H-NBR )にアラミド繊維又はナイロン繊維等の短繊 を含む硬質ゴム材料等によって形成されて る。

 上記複数の心線11は、ベルト長さ方向に びると共にベルト幅方向に所定の間隔で配 されている。各心線11は、例えばアラミド繊 維等から形成され、比較的高い強度及び弾性 率を有している。

 上記張力帯10のベルト外側の表面には、 側被噛合部として、ベルト長さ方向に所定 間隔で並ぶと共に、それぞれベルト幅方向 延びて断面凹字状をなす複数の外溝12が形成 されている。一方、上記張力帯10のベルト内 の表面には、内側被噛合部として、それぞ ベルト幅方向に延びて断面円弧状をなす複 の内溝13が形成されている。なお、これら 内溝13は、それぞれ、ベルト厚み方向に上記 外溝12と対向する位置に、所定の間隔で形成 れている。

 上記複数のブロック20は、図2に示すよう 、それぞれ、隣接するブロック20との対向 (正面)から視て略工字状に形成されている。 すなわち、上記各ブロック20は、ベルト外面 構成する外ビーム部(外側部)21と、ベルト内 面を構成する内ビーム部(内側部)22と、これ 外ビーム部21と内ビーム部22との間に配置さ て外ビーム部21と内ビーム部22とを連結する センターピラー部23とにより構成されている

 つまり、上記外ビーム部21及び内ビーム 22は、それぞれ、ベルト幅方向の寸法が上記 センターピラー部23のベルト幅方向の寸法よ も大きくなるように形成されている。上記 ンターピラー部23は、上記外ビーム部21にお けるベルト幅方向の中央部と、上記内ビーム 部22におけるベルト幅方向の中央部とを連結 るように設けられている。

 そして、上記センターピラー部23におけ ベルト幅方向の両側には、それぞれ、ベル 幅方向外方に向かって開口し、上記外ビー 部21及び内ビーム部22により区画形成された リット状の一対の嵌合部24が設けられてい 。この一対の嵌合部24には、それぞれ上記張 力帯10が圧入されていて、これにより、該張 帯10がブロック20と嵌合している。

 すなわち、上記嵌合部24には、外側噛合 として、ベルト外側の壁面に張力帯10の上記 外溝12に噛合する突条の外突条部25が形成さ ている一方、内側噛合部として、ベルト内 の壁面に張力帯10の上記内溝13に噛合する突 の内突条部26が形成されている。これらの 突条部25及び内突条部26は、ベルト厚み方向 対向する位置に設けられている。そうして 上記外突条部25が外溝12に噛合すると共に上 記内突条部26が内溝13に噛合することにより 複数のブロック20が張力帯10のベルト長さ方 にそれぞれ係止固定されている。

 上記各ブロック20は、補強部材27と、該補 強部材27におけるベルト幅方向の両側に樹脂 よって形成された接触部28とを有している すなわち、上記各ブロック20の両側端部は、 それぞれ、接触部28によって構成されている

 上記各ブロック20は、例えばインサート 形により、樹脂部材の内部に補強部材27がブ ロック20の略中央に位置するように埋め込ま てなる。つまり、上記各ブロック20は、例 ばフェノール系樹脂等により形成された樹 部29と、この樹脂部29に埋設された補強部材2 7とにより構成されている。この補強部材27は 、例えばアルミニウム合金等からなるもので 、上記ブロック20と略同じ輪郭形状である略 字状に形成されている。上記樹脂部29は、 記補強部材27の全面又は略全表面を覆うよう に形成されている。

 なお、上記フェノール系樹脂は、例えば ボラック、レゾール又はベンジリックエー ル型のフェノール系樹脂等であり、これら フェノール系樹脂は変性又は未変性のいず でもよい。変性フェノール系樹脂としては 例えばアルキル変性フェノール系樹脂、ト ルオイル変性フェノール系樹脂等が挙げら る。さらに好ましくは、カルドール等、す わち、カシューオイル、カシューオイルに まれているカルドール、アナカルド酸及び ルダノールの少なくとも1つで変性されたフ ェノール系樹脂等が挙げられる。また、上記 フェノール系樹脂は、単独又は複数混合して 使用することができる。特に、未変性フェノ ール系樹脂とカルドール等による変性フェノ ール系樹脂とを併用する場合には、両者の混 合比率を適宜選択するとよい。

 上記外ビーム部21及び内ビーム部22は、上 記補強部材27におけるベルト幅方向の両側の 面全体が樹脂部29により覆われてなる。換 すると、上記各ブロック20は、ベルト幅方向 の両側端部(接触部28)が樹脂部29によって構成 されている(つまり、フェノール系樹脂によ て形成されている)。樹脂部29の弾性率は、 えば常温において9000MPa以上等である。

 さらに、上記各ブロック20は、接触部(ベ ト幅方向の両端部)がプーリに接する接触面 をそれぞれ有している。具体的には、上記接 触部28は、ブロック20の幅方向両端部に位置 る突出部によって構成されていて、該突出 の先端面が接触面30となっている。なお、こ の突出部は、プーリ溝面に平行な断面におけ る厚み方向の寸法が、該プーリ溝面に直交す る方向に略一定になるように形成されている 。

 また、上記各ブロック20は、図3に示すよ に、接触面30のベルト内周側に連続し、且 、その接触面30に対してベルト幅方向の中央 側へ傾斜するように形成された傾斜面31を有 ている。つまり、これらの接触面30及び傾 面31は、接触部28におけるベルト内側の角部( 以下、内側角部ともいう)32を構成している。

 ところで、仮に、上記ブロック20の接触 30に対する傾斜面31の角度αが120度よりも小 い場合には、上記内側角部32における強度が 比較的低くなるため、ブロック20が少しでも くなどして接触面30とプーリ溝面との角度 係に変化が生じた場合には、プーリへの突 時に生じる衝撃によって上記内側角部32が欠 けやすくなり、ブロック20の耐衝撃性が低下 る。

 一方、仮に、上記ブロック20の接触面30に 対する傾斜面31の角度αが140度よりも大きい 合には、該ブロック20が、ベルト幅方向の中 央に向かうほどベルト厚み方向に比較的大き く広がった形状となるため、ベルトの走行に 伴う接触面30の摩耗によってブロック20のベ ト内側の接触面30の面積が増大する。このよ うに接触面30の面積が増大するため、プーリ 面に対する接触面30のベルト内外周側での 度差が大きくなり、ベルトの走行による騒 が大きくなる。

 このことから、本実施形態のVベルトBは 接触面30に対する傾斜面31の角度αを、120度 上且つ140度以下にしている。特に、この接 面30に対する傾斜面31の角度αは、内側角部32 の強度をより向上させる観点から、130度以上 且つ140度以下が好ましい。

 また、上記外ビーム部21及び内ビーム部22 は、ベルト外周側からベルト内周側に向かっ てベルト幅方向の寸法が小さくなるように形 成されている。また、上記外ビーム部21及び ビーム部22は、接触面30同士のなす角度(ベ ト角度)βが、VベルトBを巻き掛けるVプーリ( 示省略)のプーリ溝面同士がなす角度と同じ 角度になるように形成されている。

 また、上記各ブロック20は、ベルト長さ 向の一方の表面に突出して形成された凸部33 と、ベルト長さ方向の他方の表面に形成され 、隣接するブロック20の凸部33に係合する凹 (図示省略)とを有している。これらの凹部及 び凸部33は、センターピラー部23のピッチラ ン上に形成されている。

 上記凹部は、断面円弧状等に形成され、 径が底面側に向かうに連れて徐々に小さく るテーパ状に形成されている。一方、上記 部33は、断面円弧状に形成され、外径が先 側に向かうに連れて徐々に小さくなるテー 状に形成されている。

 VベルトBは、ベルト長さ方向に隣り合う ロック20の間において、一方のブロック20の 部に他方にブロック20の凸部33が係合するこ とにより、各ブロック20のベルト厚み方向及 ベルト幅方向への揺動が規制されるように っている。こうして、高負荷伝動用Vベルト Bは、プーリの回転力をブロック20が接触面30 受けて推力として張力帯10に伝えることに り伝動を行うようになっている。

  -実施形態の効果-
 したがって、この実施形態によると、高負 伝動用VベルトBのブロック20において、接触 面30に対する傾斜面31の角度(内側角部32の角 )αが120度以上且つ140度以下であるので、上 接触面30の摩耗によってブロック20のベルト 側の該接触面30が増大するのを抑制するこ ができると共に、内側角部32の強度を向上す ることができる。すなわち、上述のように、 従来の構成に比べて接触面30の増大を抑制す ことで、ベルトの走行による騒音の低減を れる。また、上記内側角部32の強度を向上 ることで、ブロック20の耐衝撃性及びベルト の耐久性の向上を図れる。

 さらに、上記接触面30に対する傾斜面31の 角度αが130度以上且つ140度以下であるため、 記内側角部32の強度をより向上させること でき、ブロック20の耐衝撃性をさらに高める ことができる。

 《その他の実施形態》
 上記実施形態では、接触部28がブロック20の 幅方向両端部に位置する突出部によって構成 されているが、本発明はこれに限られず、突 出部を設けずに、ブロック本体(ブロック20に おいて突出部が設けられていないもの)の幅 向両端部を接触部28としてもよい。

 上記実施形態では、VベルトBが一対の張 帯10を備えているとしたが、本発明はこれに 限られず、VベルトBは、少なくとも1つの張力 帯10を備えていればよい。

 上記実施形態では、樹脂部29の弾性率が常 において9000MPa以上であるとしたが、本発明 これに限られず、樹脂部29の弾性率は9000MPa りも小さくてもよい。
《実施例》
(第1実施例)
 本第1実施例では、上記実施形態に示す構造 を有する実施例1~4の高負荷伝動用VベルトBを 成して、該各VベルトB又は各VベルトBのブロ ック20に対して、ブロック側圧強度性試験、 音性試験及び高速耐久性試験をそれぞれ行 た。

 実施例1~4のVベルトBは、ベルト幅を25mmと て、ベルト長さを612mmとした。また、各ベ トのベルト角度βは26度とした。これらのベ トのブロック20は、厚みが2.95mmであり、厚 2mmの補強部材27を用いてインサート成形する ことによって形成した。上記各ブロック20は ベルト長さ方向に3mmのピッチで配置した。 れらの実施例1~4は、接触面30に対する傾斜 31の角度(内側角部32の角度)αを、順に、120度 、125度、130度、140度とした。

 また、上記実施例1~4に対する比較例1~3と て、これらの実施例1~4とは接触面30に対す 傾斜面31の角度αが異なるVベルトを形成して 、上記実施例1~4のVベルトBと同様の試験を行 た。尚、以降では、比較例1~4のVベルトにつ いても、理解しやすいように上記実施例1~4と 同様の参照符号を用いて説明する。

 比較例1~3のVベルトは、接触面30に対する 斜面31の角度αが、順に、103度、118度、145度 であり、その他の構成については、上記実施 例1~4のVベルトBと同様である。

 次に、ブロック側圧強度性試験、騒音性 験及び高速耐久性試験の試験装置及び試験 法について説明する。

 ブロック側圧強度性試験では、側圧強度 験装置を用いて実施例1~4及び比較例1~3の各V ベルトにおけるブロック20の側圧強度につい それぞれ測定した。

 上記側圧強度試験装置は、図4に示すよう に、ロードセル(図示省略)と、そのロードセ に一端が接続された柱状部51と、該柱状部51 の他端に接続された略コ字状の第1加圧部52と 、該第1加圧部52に係合する略逆コ字状の第2 圧部53と、この第2加圧部53の上記ロードセル とは反対側に一端が接続された柱状部54とを えている。

 上述の構成により、上記第1加圧部52と第2 加圧部53との間には、ブロック20を配置する めのブロック配置領域Sが形成されている。 記側圧強度試験装置は、このブロック配置 域S内にブロック20を配置した状態で、上記 2加圧部53をロードセルとは反対方向に引っ ることで、上記ブロック20に圧力を加える うに構成されている。すなわち、上記側圧 度試験装置は、上記ブロック20の両側面(接 面30)に第1加圧部52及び第2加圧部53をそれぞ 当接させた状態で、該第2加圧部53をロード ルとは反対側へ移動させることにより、該 1加圧部52及び第2加圧部53によって上記ブロ ク20の両側面に圧力を加えて、該ブロック20 加えられた圧力をロードセルで測定するよ に構成されている。

 上記第1加圧部52及び第2加圧部53は、上記 ロック20の接触面30に対し、該接触面30に当 する面55,56の角度(以下、接触面当たり角度 という)を、それらの面55,56が互いになす角 がベルト角度βよりも大きくなるような角 に調節可能に構成されている。

 すなわち、上記接触面当たり角度差が0.0 の状態は、上記接触面30に当接する上記第1 圧部52及び第2加圧部53の面55,56が互いになす 角度が、ベルト角度βに等しく、上記接触面 たり角度が0.0度よりも大きい状態は、上記 55,56が互いになす角度が、ベルト角度βより も大きい状態である。したがって、上記接触 面当たり角度が大きくなるほど、上記第1加 部52及び第2加圧部53は、上記ブロック20に対 て、面55,56がベルト角度βよりも大きい角度 をなすように接触するため、上記第1加圧部52 及び第2加圧部53によってベルト内側に位置す る内側角部32がより大きく加圧される。

 上述のような構成の側圧強度試験装置に って、ブロック20の接触部28が欠けるまで接 触面30に加えられた圧力の最大値を、ブロッ 側圧強度として測定した。なお、本実施例 ブロック側圧強度性試験は、常温環境下で 第2加圧部53を引っ張る速度を毎分0.5mmとし 行い、接触面当たり角度差が、0.0度、0.5度 1.0度、1.5度、2.0度のそれぞれの状態におい ブロック20の側圧強度を測定した。

 騒音性試験は、各Vベルトを一対のプーリ に巻き掛けて走行させ、300時間走行させた後 にベルトの走行を止めてベルトを取り外し、 騒音試験装置でベルトを走行させた状態で騒 音を計測した。また、各ベルトについて、ベ ルトを300時間、走行させる前にも予め騒音試 験装置でベルト走行時の騒音を測定した。図 5(a)は騒音試験装置を正面から見た図であり 図5(b)は騒音試験装置を上側から見た図であ 。

 騒音試験装置は、図5に示すように、駆動 軸に設けられた直径130.64mmの駆動プーリ60と 従動軸に設けられた直径65.32mmの従動プーリ6 1とを有している。そして、これらのプーリ60 ,61に各Vベルトを巻き掛け、従動軸を駆動軸 は反対方向(図5(a)の63)へ移動させることによ って従動軸の軸加重を3923Nとした状態で、駆 プーリ60を0~3000rpmで回転させると共に従動 ーリ61を0~6000rpmで回転させる。図5(a)の65はベ ルトの走行方向を示している。このとき、駆 動軸の中心から85mm離れると共にプーリの側 に100mm離れた位置でベルト走行による騒音を 騒音計64で測定した。

 高速耐久性試験は、図6に示すように、駆 動プーリ70及び従動プーリ71に各Vベルトを巻 掛け、駆動軸を従動軸とは反対方向(図6の72 )に移動させて駆動軸の軸加重を2246Nとした状 態で各ベルトを350時間走行させ、各ベルトの 走行可能時間を高速耐久寿命として測定した 。図6の73はベルトの走行方向を示している。

 この高速耐久性試験での駆動プーリ70の ーリ径は133.5mmであり、従動プーリ71のプー 径は、61.4mmである。上記駆動プーリ70の回転 数を5016rpmとし、該駆動プーリ70のトルクを63. 7N・mとした。また、試験中の雰囲気温度は、 105℃~120℃とした。

 また、実施例1~4及び比較例1~3のVベルトに ついて、各ベルトを300時間走行させた後、接 触面30におけるプーリ溝面に沿った溝深さ方 の長さの増大分(以下、接触面増大長さとい う)を測定した。

 上述したブロック側圧強度性試験、騒音 試験及び高速耐久性試験を実施例1~4及び比 例1~3のVベルトについて行った結果と、これ らのベルトの接触面増大長さの測定結果とを 図7及び図8に示す。具体的には、図7は、ブロ ック側圧強度性試験、騒音性試験及び高速耐 久性試験の結果と、各ベルトの接触面増大長 さの測定結果を示す図である。図8は、ブロ ク側圧強度性試験の結果をグラフ化して示 図である。

 比較例1及び比較例2のブロック20は、接触 面増大長さが比較的小さいものの、ブロック 側圧強度性試験におけるブロック側圧強度が 、接触面当たり角度差が大きくなるほど比較 的大きく低下した。また、比較例3について 、接触面増大長さが比較的大きくなり、騒 性試験において他のVベルト(実施例1~4、比較 例1及び比較例2)に比べて大きな騒音が計測さ れた。さらに、高速耐久性試験においては、 走行時間300時間でブロック20が破損に至った

 これに対して、実施例1~4のVベルトは、接 触面増大長さが比較的小さく、ブロック側圧 強度性試験においては、接触面当たり角度差 が大きくなってもブロック側圧強度の低下が 比較的小さかった。それに加えて、騒音性試 験においては、走行前と走行後とで大きな変 化は計測されず、高速耐久性試験においても 350時間に亘って問題なく走行した。

 特に、実施例3及び実施例4については、 ロック側圧強度性試験において、実施例1及 実施例2に比べて、接触面当たり角度差が大 きくなったときのブロック側圧強度の低下が 小さかった。

 以上のことから、接触面30に対する傾斜 31の角度αを120度以上且つ140度以下にするこ により、ベルトの走行による騒音を低減で ると共に、ブロック20の耐衝撃性及びベル の耐久性の向上を図れることが分かった。 に、接触面30に対する傾斜面31の角度αを130 以上且つ140度以下にすることによって、ブ ック20の耐衝撃性をさらに高められることが 分かった。

 以上説明したように、本発明は、高負荷 動用Vベルトについて有用であり、特に、ベ ルトの走行による騒音を低減すると共に、ブ ロックの耐衝撃性を高める場合に適している 。