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Title:
VALVE OPENING/CLOSING TIMING CONTROL DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/037986
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a valve opening/closing timing control device comprising a phase converting mechanism (1) for displacing a relative phase between a drive-side rotary member (12) and a driven-side rotary member (11) made rotatable integrally with a camshaft, a lock mechanism (6) for making the relative phase fixable at an intermediate lock phase suitable for a start and for releasing the fixed state with a working fluid, and a bias mechanism (3) restricting a biasing function to bias the phase converting mechanism (1) in an advance angle phase direction, between an intermediate regulating phase positioned on the side closer to a delay angle phase direction than the intermediate lock phase and the most delay angle phase.

Inventors:
SUZUKI SHIGEMITSU (JP)
TOMA NAOTO (JP)
KANADA YOJI (JP)
MUKAIDE HIROKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066152
Publication Date:
March 26, 2009
Filing Date:
September 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AISIN SEIKI (JP)
SUZUKI SHIGEMITSU (JP)
TOMA NAOTO (JP)
KANADA YOJI (JP)
MUKAIDE HIROKI (JP)
International Classes:
F01L1/34; F02D13/02
Foreign References:
JP2002295276A2002-10-09
JP2007132272A2007-05-31
JP2006322409A2006-11-30
JP2006037886A2006-02-09
JP2002227621A2002-08-14
Other References:
See also references of EP 2157291A4
Attorney, Agent or Firm:
KITAMURA, Shuichiro (Kita-ku Osaka-sh, Osaka 05, JP)
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Claims:
 内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して同軸上に配置され、前記内燃機関の吸気弁及び排気弁の少なくとも一方を開閉するカムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材との相対位相を、可動する仕切りによって容積が相補的に可変する2種類の圧力室のそれぞれに対する作動流体の給排によって変位させる位相変換機構と、
 前記内燃機関の始動に適した中間ロック位相において前記相対位相を固定可能にするとともにその固定解除を作動流体によって行うロック機構と、
 前記位相変換機構を進角位相方向へ付勢する付勢機能を前記中間ロック位相より遅角位相方向側に位置する中間規制位相と最遅角位相の間に限定している付勢機構と、
を有する弁開閉時期制御装置。
 前記中間ロック位相で前記内燃機関を始動させた所定時間後に、前記ロック機構を固定解除し、前記相対位相を前記中間規制位相まで変位させる請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
 前記ロック機構は、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との一方の回転部材に互いに位相変位方向に間隔をあけて設けられた第1ロック片及び第2ロック片と、前記第1ロック片と第2ロック片とが突入することにより前記相対位相を固定するように他方の回転部材に設けられた係止溝とを有し、前記係止溝の両端部のうち進角側端部に前記係止溝の深さより浅い深さを有するとともに遅角位相方向での前記中間ロック位相から前記中間規制位置までの範囲の前記第1ロック片の相対変位を許容する規制補助係止溝を有する請求項1又は2に記載の弁開閉時期制御装置。
 前記内燃機関により駆動されて前記位相変換機構に作動流体を供給する第1ポンプと、前記内燃機関とは異なる動力により駆動されて前記位相変換機構に作動流体を供給する第2ポンプとが備えられ、かつ
 前記中間規制位相と前記最遅角位相との間における前記付勢機構の最小付勢力が、前記第1ポンプによる最低圧力の作動流体が供給された前記位相変換機構による遅角位相方向への変位力を超えるように設定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
Description:
弁開閉時期制御装置

 本発明は、内燃機関の吸気弁及び排気弁 少なくとも一方の開閉時期を制御するため 弁開閉時期制御装置に関する。

 従来、内燃機関(エンジン)の運転状態に じて吸気弁や排気弁の開閉時期を変更する 開閉時期制御装置が実用化されている。例 ば、クランクシャフトに対するカムシャフ の回転位相を変化させることによりカムシ フトの回転に伴って開閉される吸排気弁の 閉時期を変更する機構が知られている。と ろで、吸気弁及び排気弁にはそれぞれ、エ ジン始動時に好適な開閉時期が存在してい 。この開閉時期は一般的に車両の走行時に ける弁の開閉時期とは異なることが多い。 動時のカムシャフトの回転位相は、進角側 遅角側との中間に位置することが多い。こ 位置をエンジン始動に適した中間ロック位 として機械的に定めるために、カムシャフ の回転位相をその中間ロック位相で固定す ロック機構を有する可変バルブタイミング 構が知られている(例えば、特許文献1参照) この可変バルブタイミング機構では、エン ンが中間ロック位相で始動し、運転状態と って油圧が上昇するとロック機構が解除さ 、運転状態に応じた適切な位相制御が可能 なる。

 さらに、エンジン始動時に、遅角位相側 らエンジン始動に適した相対位相である中 ロック位相(中間ロック位置)への変位を確 にするため、進角側への位相変位を支援す 進角アシストスプリングを備えたバルブタ ミング調整装置も知られている(例えば、特 文献2参照)。このバルブタイミング調整装 では、進角アシストスプリングの付勢位相 範囲を最大遅角位相から中間ロック位相+10° の範囲とし、エンジン停止時に油圧力が低下 しても、進角アシストスプリングの付勢力に よって相対位相を中間ロック位相を超えたと ころまで変位させておき、エンジン始動時に は、カム反力により進角アシストスプリング の付勢力に抗して相対位相が遅角側に変位さ れ、中間ロック位置でロックされる。

 上記特許文献2による弁開閉時期制御技術で は、エンジン停止時に進角アシストスプリン グの付勢力を利用してクランクシャフトとカ ムシャフトとの相対位相を中間ロック位相を わずかに超える位相に変位させ、エンジン始 動時には、カム反力やオイル粘性等による遅 角位相方向に作用する力でカムシャフトの相 対位相を中間ロック位相にロックさせること でエンジンの始動性を良好にしている。しか し、エンジン始動後は、エミッションを改善 するためや低温時のトルクアップのためには 中間ロック位相から遅角位相側に少し変位さ せることが好ましい。この中間ロック位相か ら遅角位相側への変位にあたって進角アシス トスプリングの付勢力が抗力となってしまう ので、その変位過程がスムーズに行われない という問題が生じる。
 さらに、相対位相を遅角位相側から中間ロ ク位相に素早く変位させるには、進角アシ トスプリングの付勢力が強いことが好まし 。しかし、カム反力やオイル粘性等による 角位相方向に作用する力が弱いと、中間ロ ク位相より遅角側に変位させる場合には、 角アシストスプリングの付勢力に打ち勝つ めに、制御油圧に頼らなければならない。 れ故、進角アシストスプリングの強さは、 低油圧で遅角位相方向への制御が可能な程 に設定しておかなければならない。

 上記特許文献2による弁開閉時期制御技術で は、エンジン停止時に進角アシストスプリン グの付勢力を利用してクランクシャフトとカ ムシャフトとの相対位相を中間ロック位相を わずかに超える位相に変位させ、エンジン始 動時には、カム反力やオイル粘性等による遅 角位相方向に作用する力でカムシャフトの相 対位相を中間ロック位相にロックさせること でエンジンの始動性を良好にしている。しか し、エンジン始動後は、エミッションを改善 するためや低温時のトルクアップのためには 中間ロック位相から遅角位相側に少し変位さ せることが好ましい。この中間ロック位相か ら遅角位相側への変位にあたって進角アシス トスプリングの付勢力が抗力となってしまう ので、その変位過程がスムーズに行われない という問題が生じる。
 さらに、相対位相を遅角位相側から中間ロ ク位相に素早く変位させるには、進角アシ トスプリングの付勢力が強いことが好まし 。しかし、カム反力やオイル粘性等による 角位相方向に作用する力が弱いと、中間ロ ク位相より遅角側に変位させる場合には、 角アシストスプリングの付勢力に打ち勝つ めに、制御油圧に頼らなければならない。 れ故、進角アシストスプリングの強さは、 低油圧で遅角位相方向への制御が可能な程 に設定しておかなければならない。

日本国特許第3211713号公報(第36~57段落等)

日本国特開2002-227621号公報(第50~59段落等)

 本発明の目的は、上に例示した従来の弁 閉時期制御技術が持つ問題点に鑑み、エン ン始動に適した中間ロック位相からスムー に遅角位相側に少し変位させ、エミッショ の改善やトルクアップを図る弁開閉時期制 装置を提供することにある。

 上記目的を達成するための本発明に係る弁 閉時期制御装置は、
内燃機関のクランクシャフトに対して同期回 転する駆動側回転部材と、前記駆動側回転部 材に対して同軸上に配置され、前記内燃機関 の吸気弁及び排気弁の少なくとも一方を開閉 するカムシャフトに対して一体回転する従動 側回転部材との相対位相を、可動する仕切り によって容積が相補的に可変する2種類の圧 室のそれぞれに対する作動流体の給排によ て変位させる位相変換機構と、
 前記内燃機関の始動に適した中間ロック位 において前記相対位相を固定可能にすると もにその固定解除を作動流体によって行う ック機構と、
 前記位相変換機構を進角位相方向へ付勢す 付勢機能を前記中間ロック位相より遅角位 方向側に位置する中間規制位相と最遅角位 の間に限定している付勢機構とからなる。

 通常、内燃機関(エンジン)の停止は、ア ドリング状態で行われるので、位相変換機 における相対位相は遅角位相領域となって る。本発明では、遅角位相領域でエンジン 止要求がなされると、付勢機構による進角 への付勢力及び位相変換機構に供給される 動流体による変位力により、迅速にその相 位相は中間規制位相に移行し、後は作動流 による変位力で中間ロック位相に達して、 ック機構によりその相対位相が固定される 従って、エンジン始動に適した中間ロック 相でエンジンを再始動することができる。 らに、中間ロック位相において、ロック機 を固定解除して、位相変換機構が遅角位相 向に変位するように作動流体を制御すると 作動流体による変位力及びカム反力により の相対位相は遅角位相方向に変位する。変 していく相対位置が、エンジン始動後のエ ッションの改善やトルクアップのために適 た中間規制位相のところにくると、付勢機 による付勢力が抗力として作用し、中間規 位相を超えて遅角位相方向に変位すること 抑制される。これにより、本発明による弁 閉時期制御装置では、エンジン始動に適し 中間ロック位相でエンジンを始動させるこ ができ、エンジン始動後には、さらに中間 ック位相からスムーズに中間規制位相に変 させて、エミッションの改善やトルクアッ を図ることができる。なお、上記中間規制 相は中間ロック位相より遅角位相側の位相 あるが、エンジンが始動可能であるという 件は満たされている。

 上述したエミッションの改善や低温時ト クアップは、エンジン始動後の後処理とし 特に重要である。このため、本発明の好適 形態の1つでは、前記中間ロック位相で前記 内燃機関を始動させた所定時間後に、例えば 数十秒後に、前記ロック機構を固定解除し、 前記相対位相を前記中間規制位相まで変位さ せるように構成されている。これにより、エ ンジン始動に適した中間ロック位相から所定 時間後に要求される、低温時トルクアップと エミッションの改善に適した中間規制位相へ の相対位相の変位をスムーズにかつ自動的に 行うことができる。

 ロック機構の好適な形態の1つは、前記駆動 側回転部材と前記従動側回転部材との一方の 回転部材に互いに位相変位方向に間隔をあけ て設けられた第1ロック片及び第2ロック片と 前記第1ロック片と第2ロック片とが突入す ことにより前記相対位相を固定するように 方の回転部材に設けられた係止溝とを有し 前記係止溝の両端部のうち進角側端部に前 係止溝の深さより浅い深さを有するととも 遅角位相方向での前記中間ロック位相から 記中間規制位置までの範囲の前記第1ロック の相対変位を許容する規制補助係止溝を有 るものである。
 この構成であれば、第1ロック片と第2ロッ 片の両方を係止溝に突入させた中間ロック 相から中間規制位相に変位させる場合、ま 、第1ロック片と第2ロック片とが規制補助係 止溝の深さレベルまで持ち上げられるように ロック機構に作動流体を供給することで、固 定解除を行う。固定解除後の中間規制位相の 方への変位は、第1ロック片が規制補助係止 の終端に接当することで制限される。この 1ロック片と規制補助係止溝とによるストッ 効果と、前述した付勢機構によるストッパ 果とによって、中間規制位相の安定した保 が可能となる。

 本発明の好適な形態の1つでは、前記内燃機 関により駆動されて前記位相変換機構に作動 流体を供給する第1ポンプと、前記内燃機関 は異なる動力により駆動されて前記位相変 機構に作動流体を供給する第2ポンプとが備 られ、かつ前記中間規制位相と前記最遅角 相との間における前記付勢機構の最小付勢 が、前記第1ポンプによる最低圧力の作動流 体が供給された前記位相変換機構による遅角 位相方向への変位力を超えるように設定され ている。
 この構成のように第1ポンプの代替として機 能可能な第2ポンプを備えた場合、エンジン 止に伴う第1ポンプによる作動流体の圧力不 は第2ポンプにより補償することができるの で、上述した特許文献1による装置のように 付勢機構の付勢力を第1ポンプによる最低圧 の作動流体による遅角位相方向へ変位力を 回るように制限する必要がない。従って付 機構の付勢圧を第1ポンプによる最低圧力の 作動流体が供給された位相変換機構による遅 角位相方向へ変位力を超えるように設定する ことができる。これにより、遅角位相領域か ら中間規制位相への戻りが迅速に行われる。 また、遅角制御を確実にすべく、第1ポンプ よって供給される作動流体が最低圧力の状 下で相対位相を遅角位相方向へ中間規制位 を超えて変位させる場合には、第2ポンプを 動するように設定しておくと好都合である

 さらに、内燃機関に対する停止要求時に 記相対位相が前記中間ロック位相領域から れている場合、内燃機関に対する停止要求 ら内燃機関の停止検出までの間に第2ポンプ を始動させ、相対位相を中間ロック位相に戻 す動作を支援することができる。内燃機関が 停止する際には、内燃機関に連動する第1ポ プも動作を停止する。この第1ポンプによる 動流体の圧力が失われていくが、内燃機関 は異なる動力により駆動される第2ポンプに よる作動流体の圧力がこれを補償する。よっ て、例えば、遅角位相でエンジンを停止する 場合には、付勢機構の付勢力と合わせた遅角 位相領域から中間ロック位相への変位力は大 きなものとなり、中間ロック位相への戻りが 迅速に行われる。

は、本発明による弁開閉時期制御装置 全体構成を示す破断断面図である。 は、弁開閉時期制御装置の一つの作動 態における図1のII-II断面図である。 は、最遅角位相における弁開閉時期制 装置の模式図である。 は、中間規制位相における弁開閉時期 御装置の模式図である。 は、中間ロック位相における弁開閉時 制御装置の模式図である。 は、最進角位相における弁開閉時期制 装置の模式図である。 は、トーションスプリングのバネ特性 示す説明図である。 は、始動制御のフローチャートである は、停止制御のフローチャートである

 以下、本発明の実施形態の1つを図面に基 づいて説明する。図1は、本発明の弁開閉時 制御装置の構成を模式的に示す断面図であ 。図2は、図1のII-II断面図であり、1つの作動 状態における位相変換機構の状態を模式的に 示す平面図である。図中の符号1は、位相変 機構を示す。位相変換機構1は、内燃機関(エ ンジン)に対して同期回転する駆動側回転部 12と、駆動側回転部材12に対して同軸上に配 される従動側回転部材11とを有している。 例では、駆動側回転部材12の内側に従動側回 転部材11が配置された場合を示している。駆 側回転部材12は、プーリや図示のようなス ロケットとなっている。不図示のベルトや ェーンを介して駆動側回転部材12に、エンジ ンのクランクシャフトからの回転が伝達され る。カムシャフト10にボルト14で固定される 動側回転部材11が駆動側回転部材12と連動回 し、カムシャフト10を回転させてエンジン 吸気弁や排気弁を開閉する。

 駆動側回転部材12と従動側回転部材11との 間には、空間2が形成されている。この空間2 、可動する仕切りであるベーン13によって2 類の圧力室2A及び2Bに分割されている。空間 の容積は決まっており、空間の中でベーン13 位置が変化することによって、2種類の圧力 室2A及び2Bは、相補的にその容積が変わる。 積が変わることによって、駆動側回転部材12 と従動側回転部材11との相対的な回転位相で る相対位相が変位され、ピストン運動する ンジンに対する吸気弁や排気弁の開閉タイ ングが変更される。尚、圧力室2A及び2Bとの 仕切りは図2に示すようなブロック状のベー 13に限らず、板状のものでもよい。

 この実施形態では、位相変換機構全体は 計回りに回転する。図2は、内燃機関の始動 に適した相対位相として設定されている中間 ロック位相の状態を示している。この中間ロ ック位相は、駆動側回転部材12に対して従動 回転部材11の位相が最も遅れた最遅角位相 駆動側回転部材12に対して従動側回転部材11 位相が最も進んだ最進角位相との間の中間 域に設定されており、後述するロック機構6 によって固定保持される。本発明による弁開 閉時期制御装置では、エンジン停止時に駆動 側回転部材12と従動側回転部材11との間の相 位相が中間ロック位相に変位され、ロック 構6により保持される。従って、中間ロック 相状態において確実にエンジンを始動する とができる。

 なお、本発明では、この中間ロック位相 り少し遅角位相方向側に、後述する中間規 位相が設定されている。この中間規制位相 は、エンジン始動後のアイドリング時には 間ロック位相に較べて、エミッションの改 やトルクアップが期待できる。

 図2の状態から、ロック機構6を解除し、 力室2Aに作動流体が供給されるとともに圧力 室2Bから作動流体が排出されると、圧力室2A 圧力室2Bに対する相対的な容積が増加するこ とによって従動側回転部材11の位相が駆動側 転部材12に対して遅角側に制御される。逆 、圧力室2Bに作動流体が供給されるとともに 圧力室2Bから作動流体が排出されると、従動 回転部材11の位相が駆動側回転部材12に対し て進角側に制御される。従って、本例では、 以下、圧力室2Aを遅角室、圧力室2Bを進角室 称する。また、図1において、遅角室2Aに通 る流路21を遅角流路、進角室2Bに通じる流路2 2を進角流路と称する。尚、遅角室2A及び進角 室2Bは完全密閉されてはおらず、各圧力室の 量を超える作動流体が供給されると、作動 体は位相変換機構1の外側へ漏れ出す。作動 流体は例えばエンジンオイルであり、漏れ出 した作動流体はエンジンの各部へ供給される 作動流体と共に回収される。

 駆動側回転部材12と従動側回転部材11との 間には、位相変換機構1を中間ロック位相の 向へ付勢する付勢機構として、トーション プリング3が設けられている。トーションス リング3は、従動側回転部材11を駆動側回転 材12に対して進角側に付勢力(アシストトル )を与えている。従動側回転部材11は、吸気 や排気弁のバルブスプリングや位相変換機 1から受ける抵抗により、駆動側回転部材12 対して遅れがちになる。トーションスプリ グ3は、この遅れ、即ち遅角側へ位相の変位 、詳しくは、前記中間規制位相と最遅角位相 との間の領域で遅角側へ位相の変位を抑制す るとともに、エンジン始動後の中間ロック位 相から中間規制位相への変位時におけるスト ッパ機能を果たす。

 油圧回路7は、図1に示すように、エンジ により駆動されて作動流体としての作動油( ンジンオイルでもある)の供給を行う第1ポ プ71と、第2ポンプ72と、第1ポンプ71と第2ポ プ72との間に設けられて作動油が貯留可能な 作動油貯留部73とを有している。第2ポンプ72 第1ポンプ71に対して下流側に設けられ、エ ジンとは異なる動力により駆動されて作動 の供給を行う。さらに、油圧回路7は、圧力 室2への作動油の供給を制御する第1制御弁74 、ロック機構6への作動油の供給を制御する 2制御弁75とを有している。また、この油圧 路7は、制御手段として、第2ポンプ72、第1 御弁74及び第2制御弁75の動作制御を行う制御 ユニット(ECU)8を有している。

 制御ユニット8には、クランク角を検出す るセンサとカム軸の角度位相を検出するセン サからの信号が入力され、これらのセンサの 検出結果から従動側回転部材11と駆動側回転 材12との相対位相が算出され、算出された 対位相と中間ロック位相との差違もそのズ 方向(進角側の位相方向または遅角側の位相 向)とともに算定される。制御ユニット8は エンジン停止時には、エンジン停止時に駆 側回転部材12と従動側回転部材11との間の相 位相が中間ロック位相に変位され、ロック 構6によりロックされるように動作する。ま た、制御ユニット8はそのメモリ内に、エン ンの運転状態に応じた最適の相対位相を格 ・記憶しており、別途検出される運転状態( ンジン回転数、冷却水温など)に対して、最 適の相対位相が取得できるように構成されて いる。したがって、制御ユニット8は、その のエンジンの運転状態に適合した最適の相 位相になるようにも動作する。更に、この 御ユニット8には、イグニッションキーのON/O FF情報、エンジン油温を検出する油温センサ らの情報等も入力される。

 第1ポンプ71は、エンジンのクランクシャ トの駆動力が伝達されることにより駆動さ る機械式の油圧ポンプであり、オイルパン7 6に貯留された作動油を吸入ポートから吸入 、その作動油を吐出ポートから下流側に吐 する。第1ポンプ71の吐出ポートは、フィル 77を介して、エンジン潤滑系78及び作動油貯 部73に連通している。ここで、エンジン潤 系78には、エンジン及びその周囲の作動油の 供給を必要とする全ての部位が含まれる。

 また、第2ポンプ72は、エンジンとは異な 動力、ここでは電動モータにより駆動され 電動ポンプとしている。これにより、第2ポ ンプ72は、エンジンの動作状態に関係なく制 ユニット8からの動作信号に従って動作可能 となっている。この第2ポンプ72は、作動油貯 留部73に貯留された作動油を吸入ポートから 入し、その作動油を吐出ポートから下流側 吐出する。第2ポンプ72の吐出ポートは、第1 制御弁74及び第2制御弁75に連通している。ま 、油圧回路7は、第2ポンプ72に対して並行す るように、第2ポンプの上流側の流路と下流 の流路とを連通させるバイパス流路79を有し ている。このバイパス流路79には、チェック ルブ79aを設けている。

 作動油貯留部73は、第1ポンプ71と第2ポン 72との間に設けられ、一定量の作動油を貯 可能な貯留室73aを有している。また、作動 貯留部73は、貯留室73aを第1ポンプ71の下流側 の流路に連通させる第1連通口73b、この第1連 口73bより低い位置に設けられ、貯留室73aを 2ポンプ72の上流側の流路に連通させる第2連 通口73c、及び第1連通口73bより高い位置に設 られ、貯留室73aをエンジン潤滑系78に連通さ せる潤滑系連通口73dを有している。そして、 作動油貯留部73の貯留室73aの容量は、第1連通 口73bより低く第2連通口73cより高い領域の容 が、第1ポンプ71の停止状態で第2ポンプ72に り供給する必要がある作動油の量以上とな ように設定する。

 エンジンの停止状態、すなわち第1ポンプ 71の停止状態において、第2ポンプ72は、流体 室4及びロック機構6に対して作動油を供給 る動作を行う。したがって、作動油貯留部73 の貯留室73aの容量は、第1連通口73bより低く 2連通口73cより高い領域の容量は、流体圧室4 及びロック機構5の係合凹部51の容量と、これ らから第2ポンプ72までの間の配管等の容量と を合わせた容量以上となるように設定する。 これにより、第1ポンプ71の停止状態で、第2 ンプ72により、駆動側回転部材12と従動側回 部材11との間相対位相を目標の相対位相に 位させることが可能となる。

 第1制御弁74としては、例えば、制御ユニ ト8からのソレノイドへの通電によってスリ ーブ内に摺動可能に配置されたスプールをス プリングに抗して変位させる可変式電磁スプ ールバルブを用いることができる。この第1 御弁74は、進角流路22に連通する進角ポート 、遅角流路21に連通する遅角ポートと、第2 ンプ72の下流側の流路に連通する供給ポー と、オイルパン76に連通するドレインポート とを有している。そして、この第1制御弁74は 、進角ポートを供給ポートと連通し、遅角ポ ートをドレインポートと連通する進角制御、 遅角ポートを供給ポートと連通し、進角ポー トをドレインポートと連通する遅角制御、及 び進角ポート及び遅角ポートを閉塞するホー ルド制御の3つの状態制御を行うことが可能 3位置制御弁としている。そして、第1制御弁 74は、制御ユニット8により制御されて動作す ることにより、進角制御や遅角制御を行う。   

 第2制御弁75としては、第1制御弁74と同様 可変式電磁スプールバルブを用いることが きる。この第2制御弁75は、ロック機構6の作 動油流路であるロック流路63に連通するロッ ポートと、第2ポンプ72の下流側の流路に連 する供給ポートと、オイルパン76に連通す ドレインポートとを有している。そして、 の第2制御弁75は、ロックポートを供給ポー と連通するロック解除制御、及び規制ポー をドレインポートと連通するロック制御の2 の状態制御を行うことが可能な2位置制御弁 としている。そして、第2制御弁75は、制御ユ ニット8により制御されて動作することによ 、ロック機構6の制御を行う。この第2制御弁 75とロック機構6を接続するロック流路63は、 相変換機構1内の進角流路22や遅角流路21と 1制御弁75を接続する流路とは独立しており ロック機構6に対する作動油の給排制御は、 角室2Aや進角室2Bへの作動油の給排制御に対 して独立して可能である。

 トーションスプリング3は、図1と図3に示 れているように、その一方の端部3aが駆動 回転部材12に固定されているとともに、その 他方の端部3bが従動側回転部材11に設けられ 径方向開口部15の軸方向に沿った側面である 接当面15aに接当可能となっている。さらに端 部3bの先端部が駆動側回転部材12に径方向に びるように形成されたスプリング受け溝16の 中に挿入されている。

 図3から図6に、駆動側回転部材12と従動側 回転部材11との間の相対位相の変遷が示され おり、図3は最遅角位相状態を、図4は中間 制位相状態を、図5は中間ロック位相状態を 図6は最進角位相状態を示している。つまり 、駆動側回転部材12に対して従動側回転部材1 1が時計方向に回転するに従って、最遅角位 から、中間規制位相と中間ロック位相を経 、最進角位相に達する。

 これらの相対位相の位相変遷図から明ら なように、トーションスプリング3は、従動 側回転部材11を進角位相方向へ付勢する付勢 が最遅角位相から中間規制位相の間だけ機 するように設定されている。つまり、従動 回転部材11と駆動側回転部材12との相対位相 が最遅角位相(図3参照)からほぼ中間規制位相 (図4参照)までの間がトーションスプリング3 付勢力有効範囲であり、この付勢力有効範 においてのみ、トーションスプリング3の端 3bが接当面15aに接当して、従動側回転部材11 を進角位相方向に付勢する。しかしながら、 この中間規制位相において、トーションスプ リング3の端部3bの先端がスプリング受け溝16 ストッパ面16aに接当してそれ以上従動側回 部材11を付勢することができなくなる。従 て、中間規制位相を超えて、中間ロック位 (図5参照)を経て最進角位相(図6参照)に達す 間では、トーションスプリング3による従動 回転部材11に対する付勢力はゼロとなる。 の相対位相とトーションスプリング3による 勢力の関係は図7のグラフに示されている。

 さらに、図7でも示しているように、この 実施形態では、付勢力有効範囲におけるこの トーションスプリング3による最小付勢力が エンジンによる駆動される第1ポンプ71によ 最低圧力(アイドリング回転数での圧力)の作 動油が供給された前記位相変換機構1による 角位相方向へ変位力を超える値となる程度 、強力なばね特性を有するトーションスプ ング3が選択されている。このような強力な ーションスプリング3を採用したことにより 、最遅角位相から中間規制位相への位相変位 がトーションスプリング3の強いアシスト力 もって迅速に行われる。また、進角位相か 中間ロック位相への、さらには中間規制位 への位相変位は、この変位領域においては ーションスプリング3のバネ力は効かないの 、カム反力と、必要に応じて動作する第2ポ ンプ72の油圧力とによって迅速に行われる。 らに、アイドリング時などにおける第1ポン プ71の最低圧力による遅角位相方向への力で 、トーションスプリング3の強いバネ力のた め中間規制位相からの遅角領域で相対位相を 保持することが困難ので、中間規制位相を超 えて遅角位相方向に変位させる場合には、第 2ポンプ72の油圧力が補助力として用いられる 。また、このトーションスプリング3の強い ネ力は、相対位相を中間ロック位相から中 規制位相へ位相変位する場合には、中間規 位相でのストッパ効果として機能するので 中間規制位相での保持が容易となる。

 駆動側回転部材12と従動側回転部材11との 相対位相を中間ロック位相に固定保持するロ ック機構6は、図2に示されているように、駆 側回転部材12に設けられた遅角用ロック部6A 及び進角用ロック部6Bと、従動側回転部材11 最外周面の一部に形成されたロック凹部62と を備える。遅角方向への位相変化を規制する 遅角用ロック部6A及び進角方向への位相変化 規制する進角用ロック部6Bは、駆動側回転 材12上に径方向に摺動変位可能に支持された 各ロック片60Aと60B、および、各ロック片60Aと 60Bを径方向内向きに突出付勢するバネ61を有 る。ロック凹部62は従動側回転部材11の周方 向に延びており、ロック片60Aと60Bとが係入さ れる一段の溝ではなく、本来のロック機能を 果たすための係止溝62Mと、係止溝62Mよりもロ ック片60Aによる係止深度が浅くなっている規 制補助係止溝62aを備えた二段状の溝となって いる。規制補助係止溝62aは、係止溝62Mの最進 角側の端部から進角側に向かって延設されて おり、その周方向の長さは、中間規制位相と 中間ロック位相の間の距離に対応している。 つまり、図2及び図4から明らかなように、規 補助係止溝62aの端部にロック片60Aが接当す 位置が中間規制位相となっている。また、 止溝62Mおよび規制補助係止溝62aと第2補助係 止溝62bの底面は、従動側回転部材11の最外周 と略平行に延びている。なお、ロック片60A 60Bの形状としては、プレート形状、ピン形 などを適宜採用することができる。

 遅角用ロック部6Aは、遅角用ロック片60A 係止溝62Mに係入させることで従動側回転部 11が駆動側回転部材12に対して前記中間ロッ 位相から遅角位相方向へ変位することを阻 し、遅角用ロック片60Aを規制補助係止溝62a 係入させることで従動側回転部材11が駆動 回転部材12に対して前記中間規制位相から遅 角位相方向へ変位することを阻止する。他方 、進角用ロック片6Bは、進角用ロック片60Bを ック凹部62内に係入させることで、従動側 転部材11が駆動側回転部材12に対して前記中 ロック位相から進角側へ相対回転すること 阻止する。

 規制補助係止溝62aよりも深い係止溝62Mの は、遅角用ロック片60Aと進角用ロック片60B の、互いに従動側回転部材11の周方向に離 した側面どうしの距離と略一致させてある したがって、図2および図5に示すように、遅 角用ロック片60A及び進角用ロック片60Bの両方 を同時に係止溝62Mに係入させることで、従動 側回転部材11と駆動側回転部材12との相対位 を、実質的に許容幅を持たない中間ロック 相に拘束する、いわゆるロック状態とする とができる。

 尚、ロック凹部62は従動側回転部材11に形 成されたロック流路63に連通しており、ロッ 流路63は油圧回路7の第2制御弁75に接続され いる。第2制御弁75からロック流路63を通じ ロック凹部62に作動油が供給されると、ロッ ク凹部62に係入していた一対のロック片60Aと6 0Bは、その先端が従動側回転部材11の最外周 よりも僅かに径方向外側に位置するまで駆 側回転部材12側に退避する。これにより、駆 動側回転部材12と従動側回転部材11との間の ック状態が解除され、相対位相の変位が可 な状態になる。

 上述した弁開閉時期制御装置は、駆動側回 部材12と従動側回転部材11との間の相対位相 がロック機構6によってロックされる中間ロ ク位相に対して進角側と遅角側とのいずれ 位相にあるかを示す位相検出結果に基づい 、エンジン停止時に、その相対位相を中間 ック位相に戻してロックすることができる エンジン停止時に中間ロック位相でロック れているので、確実にエンジン始動に適し 中間ロック位相で再びエンジンを始動する とができる。
 以下に、エンジンの始動時および停止時に される弁開閉時期制御装置の制御動作の例 説明する。

(始動制御)
 一般には、エンジン停止時に中間ロック位 でロックされているので、イグニッション ーがON操作される以前では、相対位相は、 相変換機構1はロック機構6によって中間ロッ ク位相に拘束されたロック状態にある。また 、第1制御弁74は中立位置にあり、進角室2B及 遅角室2Aに対する作動油の給排は停止され いる。そして、イグニッションキーのON操作 によりエンジンの始動が指令されると、セル モータによるクランキングが実施され、エン ジンが始動し、第1ポンプ71が回転し、進角室 2B及び遅角室2Aへの作動油の供給が可能とな (#20)。また、制御ユニット8は、第1制御弁74 操作して、遅角室2Aと進角室2Bの両方を作動 で満たす(#21)。同時に、第2制御弁75を操作 てロック機構6の作動油を排出する(#22)。ロ ク機構6の作動油を排出することで、エンジ 始動時には、バネ61によりロック機構6はロ ク状態のままでとなる。エンジンが始動し (#23)、アイドリング回転に入ると、アクセ 踏み込み操作がなされたかどうかがチェッ される(#24)。アクセル踏み込み操作がなけれ ば(#24No分岐)、さらにエンジン始動から所定 間:t経過したかどうかがチェックされる(#25) この所定時間:tは、中間ロック位相でエン ンを始動後、中間規制位相でエミッション 改善が期待できる時間でもあり、エンジン 却水の水温に応じて20秒から30秒の間で選択 れる構成が好ましい。エンジン始動から所 時間:t経過していない場合には(#25No分岐)、 テップ#24にジャンプして処理を繰り返す。 テップ#24のチェックでアクセル踏み込み操 がされているか(#24Yes分岐)、あるいはステ プ#25のチェックでエンジン始動から所定時 :t経過した場合には(#25Yes分岐)、第2制御弁75 操作してロック機構6に作動油を供給する(#2 6)。ロック機構6に作動油を供給することで、 ロック機構6のロック状態が解除される。ロ ク状態が解除されると、カム反力により相 位相は遅角位相方向に変位し、中間規制位 に達した段階で、トーションスプリング3に る強い抗力を受けて、相対位相は中間規制 相付近で維持される。このことを確認する ェックが行われ(#27)、もし何らかの原因で 相対位相が中間規制位相から外れていた場 、制御ユニット8は、第1制御弁24を操作して 進角室2B及び遅角室2Cに対する作動油の供給 を適宜行って、相対位相が中間規制位相とな るように調整する(#28)。この中間規制位相が 持されると、始動制御が終了し、通常の運 制御に移行する。

(停止制御)
 エンジンの停止時になされる弁開閉時期制 装置の制御動作の例を、図5のフローチャー トを用いて説明する。停止制御は、イグニッ ションキーのOFF操作によるエンジン停止指令 が要求されることにより開始される。イグニ ッションキーのOFF操作時は、一般的にはエン ジンはアイドリング回転となっており、イグ ニッションキーのOFF操作により、その回転数 は停止に向かって低下し始める。
 まず、停止制御がスタートすると、制御ユ ット8は、ロック機構6の作動油を排出する うに第2制御弁75を作動させ、ロック機構6の ック片60Aと60Bの動きをバネ61による突出方 の力に委ねておく(#01)。エンジン停止による 第1ポンプ71の停止による油圧低下を補償する ため、第2ポンプ72を始動する(#02)。制御ユニ ト8は、クランク角を検出するセンサとカム 軸の角度位相を検出するセンサからの信号に 基づいて現在の相対位相(現相対位相)を求め その現相対位相と中間ロック位相とズレに じた制御動作を行う(#03)。

 現相対位相が遅角位相領域である場合、 角室2Bへ作動油を供給するとともに遅角室2A から作動油を排出するように第1制御弁74を動 作させる進角制御が行われる(#04)。なお、前 したようにエンジンがアイドリング状態に る時に実施されることが一般的であるので アイドリング状態では、相対位相が最遅角 近にある可能性が高い。この進角制御では ロック位置である中間ロック位相へ変位さ ようとする力がトーションスプリング3のバ ネ力と第2ポンプ72による油圧力であり、これ に対抗する力がカム反力やオイル粘性負荷が 大きい場合での粘性反力であるので、中間ロ ック位相へ変位させようとする力が非常に大 きく、迅速に中間ロック位相に戻されること になる。進角制御の最初の段階では既に係止 溝62Mの内部に係入されている進角用ロック片 60Bが、中間ロック位相に戻された段階で係止 溝62Mの遅角側端部に突き当たる。同様に、最 初の段階では、従動側回転部材11の表面に押 付けられていた遅角用ロック片60Aも、規制 助係止溝62aの底面を経て、中間ロック位相 戻された段階で係止溝62Mに係入されて、係 溝62Mの進角側端部に接当した状態となる。

 現相対位相が中間ロック位相領域である 合、保持制御が行われるが、この保持制御 は第1制御弁74は中立位置に設定しておくこ ができ、第2ポンプもこの段階で停止するこ とができる(#05)。現相対位相が中間ロック位 領域においては、遅角用ロック片60A又は進 用ロック片60Bの一方が係止溝62Mに係入され いる状態か、あるいは遅角用ロック片60Aと 角用ロック片60Bとの両方が係止溝62Mに係入 れている状態となる。遅角用ロック片60Aと 角用ロック片60Bの両方が係止溝62Mに係入さ ている状態は既にロック状態が完成してい 。遅角用ロック片60Aと進角用ロック片60Bの ずれかが係止溝62Mに入っている場合、相対 相の変位幅は係止溝62Mの長さ分だけである で、第1制御弁74や第2制御弁75を中立にして いても、トーションスプリング3のバネ力な いしはカム反力により、その相対位相は中間 ロック位相に戻され、遅角用ロック片60Aと進 角用ロック片60Bの両方が係止溝62Mに係入され る。

 現相対位相が進角位相領域である場合、 角室2Aへ作動油を供給するとともに進角室2B から作動油を排出するように第1制御弁74を動 作させる遅角制御が行われる(#06)。なお、こ 状況は、エンジンがアイドリング状態にな 時にイグニッションのOFF操作がなされた場 などで生じやすい。この遅角制御では、ロ ク位置である中間ロック位相へ変位させよ とする力が第2ポンプ72による油圧力に加え カム反力やオイル粘性負荷が大きい場合で 粘性反力であり、トーションスプリング3の バネ力は無関係となるので、迅速に中間ロッ ク位相に戻されることになる。

 進角制御(#04)、保持制御(#05)、遅角制御(#0 6)のいずれかの制御が現相対位相の検出結果 基づいて実行されると、まず、1秒の経過チ ェックを行い(#07)、1秒が経過されていないと (#07No分岐)、さらに現相対位相が中間ロック 相に戻ったかどうかがチェックされる(#08)。 現相対位相が中間ロック位相に戻っており、 結果的にロックされると(#08Yes分岐)、エンジ 停止処理が行われ(#09)、次いで第2ポンプ72 第1制御弁74、第2制御弁74の動作停止などの 了処理が行われる(#12)。ステップ#07において 、現相対位相が中間ロック位相に戻らないう ちに1秒が経過すると(#07Yes分岐)、エンジン停 止処理が行われ(#10)、次いで1秒の経過チェッ クが行われる(#11)。つまり、1秒間の猶予を与 えた後(#11Yes分岐)、ステップ#12にジャンプし 終了処理が行われる。

〔別実施形態〕
〈1〉図を用いた上述した実施の形態の説明 は、ロック機構6の中間規制位相に対応した 制補助係止溝62aを設けていた。しかしなが 、通常、中間規制位置はトーションスプリ グ3によるストッパ効果とカム反力により維 持することが可能であるので、規制補助係止 溝62aを省略することができる。ただし、この 規制補助係止溝62a、及び係止溝62Mの遅角側端 部から遅角側に延びる補助係止溝は、停止制 御時の中間ロック位相への変位プロセスにと っては好都合であるので、規制補助係止溝62a だけでなく上記さらなる補助係止溝を係止溝 62Mの両側に形成することは弁開閉時期制御装 置にとっては好ましい形態の1つである。
(2)上述した実施の形態の説明では、トーショ ンスプリング3の最小付勢力が、第1ポンプ71 よる最低圧力の作動流体が供給された位相 換機構1による遅角位相方向への変位力を超 るように設定されており、従来に較べ強い 勢力が利用することができた。これは、エ ジンにより駆動される第1ポンプ71だけでな 、電気駆動する第2ポンプ72も備えられ、こ 第2ポンプ72によるアシスト力がトーション プリング3に抗して相対位相の遅角位相方向 への変位を可能にしていたからである。した がって、トーションスプリング3の最小付勢 を、第1ポンプ71による最低圧力の作動流体 供給された位相変換機構1による遅角位相方 への変位力を下回るように設定する場合、 2ポンプ72は省略することができる。逆に、 2ポンプ72を採用することができない場合に 、トーションスプリング3の最小付勢力を、 第1ポンプ71による最低圧力の作動流体が供給 された位相変換機構1による遅角位相方向へ 変位力を下回るように設定することで、本 明を実現することが可能である。トーショ スプリング3の付勢力が小さくなったとして 、中間ロック位相から中間規制位相に変位 る際に、中間規制位相のところでトーショ スプリング3の抗力によるストッパ効果が得 られるので、中間規制位相領域での相対位相 の保持がスムーズとなる。

 本発明は、中間ロック位相でエンジンを 動させた後、中間ロック位相からわずかに 角位相方向にずれた位相である中間規制位 にスムーズに変位させることができる弁開 時期制御装置として、種々のタイプのエン ンの周辺機器として適用可能である。